ベルト駆動制御方法、ベルト駆動制御装置及び画像形成装置
【課題】 速度検出対象回転体の偏心等に起因した速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動を導出する計算量を抑え且つ、精度よく速度検出対象回転体の回転速度変動を導出できるとともに、安価な構成で速度検出対象回転体の回転速度変動によるベルト速度変動を抑制することができるベルト駆動制御方法及びその装置を提供する。
【解決手段】 第2支持ローラ14が既定回転角だけ回転するときの回転時間の計測結果および、第1支持ローラ17の1回転するときの回転時間に基づいて、制御部8で第2支持ローラの1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を求める。この回転速度変動の振幅及び位相に基づいて第2支持ローラ14の検出結果を制御部8で補正して、この補正された検出結果で駆動ローラ15を制御する。
【解決手段】 第2支持ローラ14が既定回転角だけ回転するときの回転時間の計測結果および、第1支持ローラ17の1回転するときの回転時間に基づいて、制御部8で第2支持ローラの1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を求める。この回転速度変動の振幅及び位相に基づいて第2支持ローラ14の検出結果を制御部8で補正して、この補正された検出結果で駆動ローラ15を制御する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトを駆動制御するベルト駆動制御方法及びベルト駆動制御装置装置、このベルト駆動制御装置を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このようなベルトを利用する装置として、感光体ベルト、中間転写ベルト、紙搬送ベルト等のベルトを用いる画像形成装置がある。このような画像形成装置においては、そのベルトの高精度な駆動制御が高品位な画像を得るために必須である。特に画像形成速度に優れ且つ小型化に適した直接転写方式のタンデム型画像形成装置では、記録材である記録用紙を搬送する搬送ベルトの高精度な駆動制御が要求される。この画像形成装置では、搬送ベルトを用いて記録用紙を搬送し、その搬送方向に沿って配置された互いに異なる単色の画像を形成する複数の画像形成ユニットを順次通過させる。これにより、記録用紙上に各単色画像を重ね合わせて形成しカラー画像を得ることができる。
【0003】
ここで、電子写真方式による直接転写方式のタンデム型画像形成装置の一例について、図23を用いて具体的に説明する。この画像形成装置では、例えばイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各単色画像を形成する画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kが記録用紙の搬送方向に順次配置される。そして、図示しないレーザ露光ユニットにより各感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kの表面に形成された静電潜像が各画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kで現像されることによりトナー像(顕像)が形成される。そして、静電力により搬送ベルト210に付着されて搬送される図示しない記録用紙上に順次重ね合わせられて転写された後、定着装置25によってトナーが溶融圧着されることにより、記録用紙上にカラー画像が形成される。搬送ベルト210は、互いに平行に配置された駆動ローラ215及び従動ローラ214に適当なテンションで掛け渡される。駆動ローラ215は、図示しない駆動モータによって所定の回転速度で回転駆動され、それに伴い搬送ベルト210も所定の速度で無端移動する。記録用紙は給紙機構によって所定のタイミングで搬送ベルト210の画像形成ユニット18Y,18M,18C,18K側に供給され、搬送ベルト210の移動速度と同一速度で移動して搬送されることにより、各画像形成ユニットを順次通過する。
このような画像形成装置では、記録用紙の移動速度、つまり搬送ベルト210の移動速度が一定速度に維持されないと、色ズレが発生する。この色ズレは、記録用紙上で重ね合わせられる各単色画像の転写位置が相対的にズレることによって発生する。色ズレが発生すると、例えば、複数色の画像が重なって形成された細線画像がにじんで見えたり、複数色の画像が重なって形成された背景画像中に形成される黒の文字画像の輪郭周辺に白抜けが発生したりする。
なお、図24に示すように、各画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kの感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kの表面に形成された各単色画像を、一旦中間転写ベルト10上に順次重なり合うように転写した後、これを記録用紙上に一括転写する中間転写方式を採用したタンデム型画像形成装置もある。この装置においても、中間転写ベルト10の移動速度が一定速度に維持されないと、同様に色ズレが発生する。
【0004】
また、上述したタンデム型の画像形成装置に限らず、記録材を搬送する記録材搬送部材や、その記録材に転写される画像を担持する感光体や中間転写体等の像担持体として、ベルトを用いた画像形成装置においては、そのベルトの移動速度が一定速度に維持されないとバンディングが発生する。このバンディングは、画像転写中にベルト移動速度が速くなったり遅くなったりすることにより発生する画像濃度ムラである。すなわち、ベルト移動速度が相対的に速い時に転写された画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に引き延ばされた形状となり、逆に、ベルト移動速度が相対的に遅い時に転写された画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に縮小された形状となる。これにより、引き延ばされた画像部分は濃度が薄くなり、縮小された画像部分は濃度が濃くなる。その結果、ベルト周方向に画像濃度ムラが発生し、バンディングが生じる。このバンディングは、淡い単色画像を形成する場合には人間の目に顕著に感じ取られる。
【0005】
以上のように感光体ベルト、中間転写ベルト、搬送ベルト等の無端状のベルトを一定の移動速度で移動させる高精度な駆動制御が要求される。このベルトの高精度な駆動制御ために、ベルトの移動速度を一定にするようにベルトが掛け渡された従動ローラの回転角変位又は回転角速度を検出して、この検出データに基づいて駆動ローラの回転を制御する画像形成装置が知られている(特許文献1、2)。特許文献1、2には、従動ローラに回転角変位又は回転角速度を検出する検出手段としてのエンコーダを取り付け、このエンコーダからの検出信号に基づいて、中間転写ベルト、搬送ベルト等の無端状のベルトの移動速度をフィードバック制御している。これらの画像形成装置は、従動ローラの回転角速度を一定に保持することにより、ベルトの移動速度を一定にするものである。しかしながら、上記特許文献1、2に記載された画像形成装置においては、検出手段としてのエンコーダが取り付けられた従動ローラ(エンコーダローラ)の偏心による変動成分やエンコーダの従動ローラへの取り付け偏心による変動成分により、従動ローラの回転速度の検出結果が変動してしまう。その結果、従動ローラの回転角速度が一定であると検出しているにも係わらず、ベルトの移動速度が変動するという問題点があった。
【0006】
そこで、このようなエンコーダローラの検出結果の変動成分を除去してベルトの駆動制御を行う画像形成装置が提案されている(特許文献3、4、5)。
特許文献3は、検出手段の検出信号から上記エンコーダローラの回転周波数成分(検出誤差)を除去するフィルタ手段を設けて、このフィルタ手段によってフィルタリングされた検出信号に基づいて無端状ベルトの移動速度を制御する画像形成装置が開示されている。
また、特許文献4で開示されている画像形成装置は、以下のようにしてベルトの駆動制御を行っている。検出手段の検出信号の周波数を周波数分解して、この周波数分解された検出信号からエンコーダローラの回転周波数を読取り、読み取れたエンコーダローラの回転周波数と上記周波数分解された検出信号とからエンコーダローラの偏心成分の大きさ(レベル)と位相を抽出する。そして、検出手段の検出信号からこの抽出されたエンコーダローラの偏心成分を除去し、このエンコーダローラの偏心成分を除去した信号に基づいて無端状ベルトの移動速度を制御する。
また、特許文献5では、以下のような画像形成装置が開示されている。互いに径の異なる駆動ローラとエンコーダローラとを設け、駆動ローラを定速で回転駆動し、このとき、検出手段で少なくとも駆動ローラの一周期分にわたってエンコーダローラの角速度情報を得る。この得られた角速度度情報を駆動ローラの(1/2)周期で区切って周期の前半部分と後半部分とを足し合わせることで、角速度度情報から駆動ローラの偏心による速度変動成分を相殺する。この駆動ローラの偏心による速度変動成分が相殺された角速度情報からエンコーダローラの偏心による検出誤差を得る。そして、画像形成時においては、検出手段で検出された角速度情報と得られた検出誤差との差分データに基づいて、無端状ベルトの移動速度を制御する。
【0007】
【特許文献1】特開昭63−300248号公報
【特許文献2】特許第3186090号公報
【特許文献3】特開平9−267946号公報
【特許文献4】特開平11−202576号公報
【特許文献5】特開2000−47547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記特許文献3に記載された画像形成装置においては、フィルタ手段によるフィルタ処理をデジタルで行う場合、多くの計算量を必要とし処理時間が長くなるという問題がある。また、上記のような演算処理を行うためのハードウエアも高価なものを使用する必要が生じる。また、フィルタ処理をアナログで行う場合は、デジタル/アナログ変換を行う必要があり、この変換時に変換誤差が生じて正確なエンコーダローラの回転速度変動が得られない問題がある。
また、特許文献4に記載された画像形成装置においても、検出信号の周波数を周波数分解するのに多くの計算量を必要とし、処理時間が長くなるという問題がある。また、特許文献4においても、上記のような演算処理を行うためのハードウエアも高価なものを使用する必要が生じる。
また、特許文献5に記載された画像形成装置においては、検出信号から検出誤差を抽出する計算量は抑えることができるが、駆動ローラの1周以上にわたり検出信号をデータ列として保存する必要があるため、容量の大きな記憶手段が必要となるという問題がある。また、エンコーダローラの回転速度変動には、駆動ローラの偏心による変動成分やエンコーダローラの偏心による変動成分の他にも、駆動ローラとベルトとのスリップによる変動成分等が含まれる。よって、抽出される検出誤差データには、駆動ローラの偏心による回転速度変動とともに、駆動ローラとベルトとのスリップによる変動成分等も含んでいる。よって、検出手段で検出された角速度情報と抽出された検出誤差との差分データに基づいて、無端状ベルトの移動速度を制御しても、ベルトを一定速度で搬送することができないという問題がある。
さらに、上記特許文献3、4、5においては、エンコーダローラの回転速度変動を精度よく求めるためには、高分解能のロータリーエンコーダを用いる必要があるため、装置が高価となってしまう。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、速度検出対象回転体の偏心等に起因した速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動を導出する計算量を抑え且つ、精度よく速度検出対象回転体の回転速度変動を導出できるとともに、安価な構成で速度検出対象回転体の回転速度変動によるベルト速度変動を抑制することができるベルト駆動制御方法及びその装置を提供することである。また、かかる回転体駆動制御装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御方法であって、該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間を該速度検出対象回転体が1回転する間にそれぞれ異なる位相で計測し、該複数の支持回転体のうち該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転したときに1回転する第1支持回転体の1回転するときの回転時間と、該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間とに基づいて、該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出し、導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御方法であって、該複数の支持回転体のうち該速度検出対象回転体と径の異なる第1支持回転体を等速で回転させて、該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間を該速度検出対象回転体が1回転する間にそれぞれ異なる位相で計測し、これらの回転時間に基づいて、該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出し、導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御方法であって、該速度検出対象回転体を等速で回転させ、該複数の支持回転体のうち該速度検出対象回転体と径の異なる第1支持回転体の一回転の回転時間を該速度検出対象回転体が1回転する間に少なくとも2回計測し、これらの回転時間に基づいて該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出し、導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1または2のベルト駆動制御方法において、上記既定回転角がπ[rad]であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4のベルト駆動制御方法において、該速度検出対象回転体が1回転する間に該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間を(π/2)[rad]位相をずらして計測することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置であって、該複数の支持回転体のうち、該速度検出対象回転体と径の異なる第1回転体が一回転するときに少なくとも1パルス以上の信号を発信する低分解能の第1検出手段と、該速度検出対象回転体が1回転するときに少なくとも2パルス以上の信号を発信する低分解能の第2検出手段と、該第1検出手段で検出された回転情報と、該第2検出手段で検出された回転情報とに基づいて該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出する演算手段と、該演算手段で導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置であって、該複数の支持回転体のうち、該速度検出対象回転体と径の異なる第1回転体の回転情報を検出する高分解能の第1検出手段と、該速度検出対象回転体が1回転するときに少なくとも2パルス以上の信号を発信する低分解能の第2検出手段と、該第2検出手段で検出された回転情報に基づいて該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出する演算手段と、該演算手段で導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置であって、該複数の支持回転体のうち、該速度検出対象回転体と径の異なる第1回転体が一回転するときに少なくとも1パルス以上の信号を発信する低分解能の第1検出手段と、該速度検出対象回転体の回転情報を検出するする高分解能の第2検出手段と、該第1検出手段で検出された回転情報に基づいて該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出する演算手段と、該演算手段で導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項6または8のベルト駆動制御装置において、上記速度検出対象回転体が上記駆動源からの回転駆動力が伝達される駆動支持回転体であることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項6乃至9いずれかのベルト駆動制御装置において、上記演算手段は、少なくとも、上記速度検出対象回転体の第1の位置から該速度検出対象回転体の既定回転角だけ回転するときの回転時間と、該速度検出対象回転体の第2の位置からから該速度検出対象回転体の既定回転角だけ回転するときの回転時間とからなる回転情報に基づいて、該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10のベルト駆動制御装置において、上記既定回転角がπ[rad]であることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11のベルト駆動制御装置において、該第1の位置と該第2の位置との位相差角度が(π/2)[rad]であることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項10乃至12いずれかのベルト駆動制御装置において、上記第2検出手段は、上記速度検出対象回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部と、該被検出部を検出した際にパルス信号を出力する検出器とを備えており、第2検出手段の回転情報は、該検出器が第1の被検出部を検出してから規定回転角だけ回転した位置にある被検出部を検出するまでの時間と、該検出器が第2の被検出部を検出してから規定回転角だけ回転した位置にある被検出部を検出するまでの時間とであることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項13のベルト駆動制御装置において、上記第1支持回転体の1回転の周長が、上記被検出部間の周長の整数倍であることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項13または14のベルト駆動制御装置において、上記速度検出対象回転体の径が、上記第1支持回転の径の4n(nは自然数)倍であることを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項13または14のベルト駆動制御装置において、上記速度検出対象回転体の径と上記第1支持回転の径の比が2:1であることを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項6乃至16いずれかのベルト駆動制御装置において、上記速度検出手段は、上記速度検出対象回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部と、該被検出部が通過した際にパルス信号を出力する検出器とを備えており、該被検出部のひとつを上記演算手段が該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出するときの基準となるホーム位置とすることを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項17のベルト駆動制御装置において、上記ホーム位置を、上記制御手段が上記駆動源を制御するときの基準とすることを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項17または18のベルト駆動制御装置において、上記第2検出手段は、少なくと3つの被検出部を備えることを特徴とするものである。
また、請求項20の発明は、請求項6乃至19のベルト駆動制御装置において、上記第2検出手段は、第1の検出器と第2の検出器とを備え、第2の検出器は、第1検出器で検出した被検出部と180°位相がずれた位置の被検出部を検出することを特徴とするものである。
また、請求項21の発明は、請求項6乃至20いずれかのベルト駆動制御装置において、上記第2検出手段および/または上記第1検出段は、検出対象の回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部を備えた回転板と、該被検出部を検出した際にパルス信号を出力する検出器とを備えており、該回転板が検出対象の回転体に固定されていることを特徴とするものである。
また、請求項22の発明は、請求項6乃至21いずれかのベルト駆動制御装置において、上記第2検出手段および/または上記第1検出段は、検出対象の回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部と、該被検出部を検出した際にパルス信号を出力する検出器とを備えており、上記被検出部が、検出対象の回転体に設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項23の発明は、請求項6乃至22いずれかのベルト駆動制御装置において、上記制御手段は、上記演算手段による速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相の導出を装置の電源投入時に行うことを特徴とするものである。
また、請求項24の発明は、請求項6乃至22いずれかのベルト駆動制御装置において、上記制御手段は、上記演算手段による速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相の導出を一定時間径過毎に行うことを特徴とするものである。
また、請求項25の発明は、請求項6乃至22いずれかのベルト駆動制御装置において、上記制御手段は、上記演算手段による速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相の導出を逐次的に行うことを特徴とするものである。
また、請求項26の発明は、請求項6乃至25いずれかのベルト駆動制御装置において、複数の支持回転体のうちひとつがテンションローラであり、また複数の支持回転体のうちひとつが回転駆動力が伝達される駆動支持回転体であって、第1支持回転体は、速度検出対象回転体と駆動支持回転体との間で形成される2つのベルト搬送経路のうち、該テンションローラが配置されているベルト搬送経路と異なるベルト搬送経路に配置されることを特徴とするものである。
また、請求項27の発明は、請求項6乃至26いずれかのベルト駆動制御装置において、速度検出対象回転体に発生するベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した回転速度変動を検出するベルト厚み変動検出手段を備え、上記制御手段は、該ベルト厚み変動検出手段で検出された速度検出対象回転体に発生するベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した回転速度変動と、上記演算手段で導出された速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相とに基づいて上記駆動源を制御することを特徴とするものである。
また、請求項28の発明は、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、該潜像担持体上の顕像を記録材に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、上記潜像担持体の駆動を制御するベルト駆動制御装置として、請求項6乃至27のベルト駆動制御装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項29の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる中間転写体と、該潜像担持体上の顕像を該中間転写体に転写する第1の転写手段と、該中間転写体上の顕像を記録材に転写する第2の転写手段とを備えた画像形成装置において、上記中間転写体の駆動を制御するベルト駆動制御装置として、請求項6乃至27のベルト駆動制御装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項30の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる記録材搬送部材と、該潜像担持体上の顕像を中間転写体を介して又は中間転写体を介しないで直接に、該記録材搬送部材で搬送されている記録材に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、上記記録材搬送部材の駆動を制御するベルト駆動制御装置として、請求項6乃至27のベルト駆動制御装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項31の発明は、請求項28乃至30いずれかの画像形成装置において、上記ベルトに画像を転写または作像を行う位置は、上記速度検出対象回転体よりもベルト搬送方向下流側に設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項32の発明は、請求項31の画像形成装置において、上記速度検出対象回転体から上記ベルトに画像を転写または作像を行う位置までのベルト搬送経路に配置される支持回転体の径を該速度検出対象回転体の径と同一にすることを特徴とするものである。
また、請求項33の発明は、請求項28乃至30いずれかの画像形成装置において、上記テンションローラから上記速度検出対象回転体までのベルト搬送経路の間に、上記ベルトに画像を転写または作像を行う位置があるとき、該速度検出対象回転体の偏心によって発生する該テンションローラから該速度検出対象回転体までのベルト搬送経路の間におけるベルト速動変動を、上記演算手段で導出した速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相から導出し、上記制御手段は、抽出されたベルト速動変動と該演算手段で導出された速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相とに基づいて上記駆動源を制御することを特徴とするものである。
【0011】
本発明者らは、速度検出対象回転体の偏心等に起因した速度検出対象回転体の回転速度変動が主に1回転周期の回転速度変動である場合、その速度検出対象回転体の回転速度変動を、数1に示す右辺の第2項に示すような、正弦波の振幅A及び位相αを未知のパラメータとして含む比較的簡易な数式で表すことができる点に着目した。なお、ω02は、ベルトの移動による速度検出対象回転体の回転速度である。
【数1】
そして、速度検出対象回転体1周期で互いに異なる位相の速度検出対象回転体の既定回転角の回転時間をそれぞれ計測することにより、数1の式について成立する連立方程式から振幅A及び位相αを決定できることを見い出した。
また、上記ω02は、ベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度検出対象回転体が既定回転角回転したときに1回転する第1支持回転体の1回転するときの回転時間から求める。この第1支持回転体の回転速度にも、第1支持回転体の偏心等に起因した速度変動が生じている。しかし、第1支持回転体を1回転するときの回転時間を計測することで、第1支持回転体の偏心等に起因する回転速度の影響がでない。これは、第1支持回転体の偏心などに起因する変動は、第1支持回転体の1回転周期とする正弦波や余弦波の三角関数で表すことができるため、1回転周期でその変動成分が相殺されるためである。よって、上記第1支持回転体が1回転したときの回転時間から、速度検出対象回転体が既定回転角回転したときの速度検出対象回転体がベルトの移動によって回転する回転速度ω02を正確に求めることができる。これにより、速度検出対象回転体の偏心等に起因した速度検出対象回転体の回転速度変動の振幅A及び位相αを精度よく導出することができる。
この振幅A及び位相αが決まれば速度検出対象回転体の偏心等に起因する1回転周期の回転速度変動を特定することができる。このように、検出データのフィルタ処理や検出データの周波数分解する処理などを行わなくても速度検出対象回転体の偏心などに起因する1回転周期の回転速度変動を特定することができ、計算量を抑えることができる。そして、その特定された回転速度変動に基づいて速度検出対象回転体の回転速度の検出結果を補正して、この補正された検出結果に基づいて駆動支持回転体を制御することで、速度検出対象回転体の偏心などに起因した回転速度変動の影響を受けずにベルトを一定の移動速度で駆動することができる。
従来のロータリーエンコーダを用いる場合は、速度検出対象回転体が微小回転角(例えば数度以下)ずつ回転する回転時間を連続的に計測し、この計測した各回転時間と上記微小回転角のデータとを用いて回転速度変動を算出している。従って、速度検出対象回転体の回転速度変動を精度よく求めるには、微小回転角の回転ごとにパルスを出力することができる高価なロータリーエンコーダを用いる必要がある。また、微小回転角の回転ごとにパルス出力を保存する必要があるため、容量の大きな記憶手段が必要となる。これに対し、本発明では、速度検出対象回転体が1回転する間に互いに位相の異なる既定回転角(例えばπ[rad])について回転時間の計測をそれぞれ行えば回転速度変動を算出できるため、上記高価なロータリーエンコーダを用いる必要がない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間の計測結果および、速度検出対象回転体が既定回転角回転したときに1回転する第1回転体の1回転するときの回転時間に基づいて、速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を求める。この回転速度変動の振幅及び位相に基づいて速度検出対象回転体の検出結果を補正して、この補正された検出結果で駆動支持回転を制御することにより、速度検出対象回転体の偏心等に起因したベルトの移動速度変動を抑制することができる。
しかも、上記回転時間の計測は、制御対象回転体が1回転する間に互いに位相の異なる既定回転角についてそれぞれ行えば回転速度変動を算出できるため、コスト高の要因となる高精度のロータリーエンコーダを用いる必要がないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明を適用する画像形成装置としての複写機の一例を示す概略構成図である。図1において、符号100は複写機本体であり、符号200はそれを載せる給紙テーブルであり、符号300は複写機本体100上に取り付けるスキャナであり、符号400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。この複写機は、タンデム型で中間転写(間接転写)方式を採用する電子写真複写機である。
【0014】
複写機本体100には、その中央に、像担持体としての中間転写体であるベルトからなる中間転写ベルト10が設けられている。この中間転写ベルト10は、3つの支持回転体としての支持第1支持ローラ4,15,16に掛け渡されており、図中時計回り方向に回転移動する。これらの3つの支持ローラのうちの第2支持第1支持ローラ5の図中左側には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。また、3つの支持ローラのうちの第1支持第1支持ローラ4と第2支持第1支持ローラ5との間に張り渡したベルト部分には、そのベルト移動方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成部18が並べて配置されたタンデム画像形成部20が対向配置されている。本実施形態においては、第2支持第1支持ローラ5を駆動ローラとしている。また、タンデム画像形成部20の上方には、潜像形成手段としての露光装置21が設けられている。
【0015】
また、中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成部20の反対側には、第2の転写手段としての2次転写装置22が設けられている。この2次転写装置22においては、2つの支持ローラ間に記録材搬送部材としてのベルトである2次転写ベルト24が掛け渡されている。この2次転写ベルト24は、中間転写ベルト10を介して第3支持第1支持ローラ6に押し当てられるように設けられている。この2次転写装置22により、中間転写ベルト10上の画像を記録材であるシートに転写する。また、この2次転写装置22の図中左方には、シート上に転写された画像を定着する定着装置25が設けられている。この定着装置25は、ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ7が押し当てられた構成となっている。上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備わっている。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて持たせることが難しくなる。また、本実施形態では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成部20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28も設けられている。
【0016】
上記複写機を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動する。他方、コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動する。次いで、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
この原稿読取りに並行して、図示しない駆動源である駆動モータで駆動第1支持ローラ6を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中時計回り方向に移動するとともに、この移動に伴って残り2つの支持ローラ(従動ローラ)14,15が連れ回り回転する。また、これと同時に、個々の画像形成部18において潜像担持体としての感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kを回転させ、各感光体ドラム上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いてそれぞれ露光現像し、単色のトナー画像(顕像)を形成する。そして、各感光体ドラム40Y,40M,40C,40K上のトナー画像を中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0017】
このような画像形成に並行して、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を転写する。画像転写後のシートは、2次転写ベルト24で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
なお、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0018】
この複写機を用いて、黒のモノクロコピーをとることもできる。その場合には、図示しない手段により、中間転写ベルト10を感光体ドラム40Y,40M,40Cから離れるようにする。これらの感光体ドラム40Y,40M,40Cは、一時的に駆動を止めておく。黒用の感光体ドラム40Kのみが中間転写ベルト10に接触させ、画像の形成と転写を行う。
【0019】
次に、本発明の特徴部分である、中間転写ベルト10の駆動制御について説明する。
本実施形態の複写機では、中間転写ベルト10を一定速度で移動させる必要がある。しかし、実際には、駆動ローラの偏心や、駆動モータから駆動ローラまでの歯車などで構成される減速機構の伝達誤差によって生じる速度変動がある。この伝達誤差は、主に歯車の偏心や歯の累積ピッチ誤差がある。また、その他にもベルトに接触するローラの負荷変動によって生じる速度変動などがある。
中間転写ベルト10のベルト移動速度が変動すると、実際のベルト移動位置が目標とするベルト移動位置からズレてしまい、感光体ドラム40Y,40M,40C上の各トナー画像の先端位置が中間転写ベルト10上でズレて色ズレが発生する。また、ベルト移動速度が相対的に速い時に中間転写ベルト10上に転写されたトナー画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に引き延ばされた形状となり、逆に、ベルト移動速度が相対的に遅い時に中間転写ベルト10上に転写されたトナー画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に縮小された形状となる。この場合、最終的にシート上に形成された画像には、そのベルト周方向に対応する方向に周期的な画像濃度の変化(バンディング)が表れる。
そこで、支持ローラにエンコーダを取り付けてベルト速度変動を認識し、ベルト速度が一定速度となるようにフィードバック制御を行うものがある。しかし、ベルトの搬送速度が一定にも係わらず、エンコーダを取り付けたローラの偏心や、エンコーダの取り付け偏心などの回転速度変動が検出手段に検出されてしまう。その結果、この回転速度変動がフィードバックされてしまい、ベルト速度を一定に維持することができなかった。
【0020】
図2は、中間転写ベルト10の主要部を示す断面模式図である。中間転写ベルト10は、従動ローラとしての第1支持ローラ17(以下、従動ローラ)と、第1支持ローラ17よりも半径の大きい速度検出対象回転体としての第2支持ローラ14とに巻き付いる。中間転写ベルト10は、図中矢印Aの方向に無端移動する。第1支持ローラ17、第2支持ローラ14には、検出手段としての図示しない検出手段がそれぞれ設けられている。
【0021】
次に、ローラに偏心があるときのベルト搬送速度Vとローラの回転角速度ωとの関係を説明する。
図3(a)は偏心を持つ第2支持ローラ14にベルトが巻き付いているモデルを示している。図3(a)に示すように、半径R2の第2支持ローラ14にベルト10が巻き付いている。第2支持ローラ14の回転中心302とローラの円断面中心303とが偏心量ε2(回転中心302と円断面中心303との直線距離)離れている。図中の直線306は、ローラの回転中心302と、ベルトがローラと接触している領域の中央とを結んだ線分である。直線306の長さによってベルト速度が決定されると仮定して、直線306の長さをベルト速度決定距離Rεとすると、以下のように表すことができる。
【数2】
【0022】
ベルト速度Vはベルト厚みの影響を除いて、数2から、半径R2の第2支持ローラ14の回転角速度ω2とベルト速度V関係を記述すると以下のようになる。
【数3】
θ2+α2は第2支持ローラ14の回転角であり、α2はθ2=0(時間t=0)のときの偏心方向位相(角度)である。
【0023】
数3からベルト速度Vが一定のベルト速度Voになるために、第2支持ローラ14の回転角速度ω2refは以下のようになる。
【数4】
数4の第2項が第2支持ローラ14の偏心による回転速度変動成分であることがわかる。つまり、ベルトを一定速度V0で回転させても、第2支持ローラ14の回転角速度ω2refは、変動することがわかる。
【0024】
ここで、ベルト速度Vが以下のように変動すると仮定する。ただし、ΔVnは、抑圧したいベルト速度変動第n次高周波成分振幅、ωnはベルト速度変動第n次高周波成分角周波数、そしてαnはベルト速度変動第n次高周波成分位相である。
【数5】
【0025】
このとき、第2支持ローラ14の回転角速度ω2は、数2より以下のようになる。
【数6】
【0026】
つまり、ベルト速度変動分(数6の係数ΔVnのある右辺第2項)を抑えて、一定速度にしたい場合、第2支持ローラ14の回転角速度ω2を第2支持ローラ基準回転角速度ω2refとなるように制御すれば、ベルト速度変動成分を抑圧することになり、ベルト速度Vが一定の速度V0となる。
【0027】
よって、数4において、以下に示す数7の第2支持ローラ14の回転速度変動成分が検出できれば、第2支持ローラ14の回転角速度をフィードバックしてベルト速度を一定に制御できることが可能になる。
【数7】
【0028】
ここで、第1支持ローラ17と第2支持ローラ14の回転角速度を検出することで数7に示した第2支持ローラ14の回転速度変動成分を導出する。簡単のために、半径R1の第1支持ローラ17の回転角速度ω1を一定の回転角速度ω01に制御したときについて説明する。第1支持ローラ17の回転角度をθ1+α1(ただしθ1=0(時間t=0)のときの偏心方向位相(角度)をα1)、第1支持ローラ17の偏心をε1としたとき第2支持ローラ14の回転角速度ω2Vは、数2から以下のようになる。
【数8】
数8より第1支持ローラ14を一定回転角速度ω01に回転したとき第2支持ローラ14の回転角速度ω2Vは、第1支持ローラ17の偏心による回転速度変動(数8の{}内第2項)と第2支持ローラ14の偏心による回転速度変動(数8の{}内第3項)が含まれていることがわかる。
【0029】
どちらか一方の回転速度変動を検出したい場合、第1支持ローラ17と第2支持ローラ14の回転周期が異なる、つまりローラ径が異なれば、それぞれの回転速度変動を区別して検出することが可能となる。このように、数4、数8から、第2支持ローラ14の偏心による回転速度変動を検出することができれば、第2支持ローラ14の回転角速度をフィードバックしてベルト速度Vを一定の速度V0に制御するフィードバック制御が可能であることがわかる。
【0030】
ここで、さらに第2支持ローラ14に取り付けられた検出手段に取付け偏心があるときのベルト搬送速度Vと検出手段で検出される回転角速度ωSとの関係を説明する。
図3(b)は回転軸に対して、エンコーダ盤の取付け誤差が生じ、エンコーダ盤が偏心を持って、回転するモデルを示している。図中312は、エンコーダ盤上に一定間隔のマークで形成されているタイミングマーク313の中心線を示している。この中心線上にあるタイミングマークがセンサ311を通過するタイミングで第2支持ローラの回転角速度を検出している。エンコーダ盤の回転中心308とローラの中心302とが偏心量εs(回転中心302と円断面中心303との直線距離)離れている。このときのエンコーダ盤のタイミングマークがセンサスリットを通過する速度Vsは、以下のように近似される。ただし、ω2は、回転軸の回転角速度であり、ここでは、第2支持ローラの回転角速度である。εSはエンコーダ盤の偏心量であり、αSはθS=0(時間t=0)のときの偏心方向位相(角度)である。
【数9】
【0031】
ここで、エンコーダで検出される第2支持ローラの回転角速度ωSは、ωS=VS/RSであることを考慮し、数3に数9を代入して、ベルト速度Vとエンコーダで検出される回転角速度ωSとの関係は、以下のようになる。
【数10】
【0032】
このように、ベルト速度と検出手段で検出される第2支持ローラの回転角速度との関係には、エンコーダ盤に取付け偏心がある場合、ローラ偏心量を振幅とした回転速度変動成分に、エンコーダ盤の取付け偏心量を振幅とした回転速度変動成分が重畳されたものが検出されることがわかる。
ローラ偏心の回転速度変動成分(数10の{}内第2項)とエンコーダ盤取付け偏心の回転速度変動成分(数10の{}内第3項)は、同じ回転軸302に固定されているため、周期は同一である。そこで、2つの回転速度変動成分は1つに合成することが可能である。すると数10は、以下のように変換される。(余弦波の減算過程は省略する。)
【数11】
ここで、ε2Sとα2Sは数10の2つの余弦関数合成で算出される。θ2Sは、新たに設定した基準軸からの回転角を示すが、ベルト巻付き部とセンサスリットが同一の回転軸上にある場合、θ2=θS=θ2Sとしてもよい。また、ベルト巻付き部とセンサスリットが別の場所にある場合は、θ2=θS+β=θ2Sとして計算すればよい。
【0033】
こうして、ローラ偏心に加えてエンコーダ取付け偏心があっても、ローラ偏心と合成された1つの回転速度変動として考え、上記数4から数8までの説明と同様にして、第2支持ローラの偏心と検出手段の取付け偏心による回転速度変動が検出できれば、第2支持ローラの回転角速度をフィードバックしてベルト速度Vを一定の速度V0に制御するフィードバック制御が可能であることがわかる。
【0034】
以下に、第2支持ローラの偏心と検出手段の取付け偏心による第2支持ローラの回転速度変動がベルト搬送速度変動とならないようにフィードバック制御を行うベルト駆動制御装置について説明する。なお、以下の説明は、中間転写ベルト10に限られるものではなく、広く、駆動制御がなされるベルトについて同様であるので、ベルトとして説明する。
【0035】
図4は、ベルト駆動制御装置の概略を示した図である。図4に示すように、ベルト10は、駆動ローラ15と、テンションローラ16、第1および第2支持ローラ17、14で張架されている。第1支持ローラ17と第2支持ローラ14とには、それぞれ回転情報を検出する第1検出手段404、第2検出手段504がそれぞれ設けられている。また、第2支持ローラ14は、速度検出対象回転体として用いられる。すなわち、第2支持ローラ14の回転速度を検出して、その検出結果に基づいて駆動源としてのモータが制御されてベルトを一定速度で駆動させている。駆動ローラ15は、2つの歯車11、12からなる伝達機構を介して駆動源としてのモータ7からの回転駆動力が伝達されるようになっている。駆動ローラ15は、モータ7からの回転駆動力により、ベルトを図中矢印方向に駆動搬送させる。このベルトの搬送に伴い、第1支持ローラ17と第2支持ローラ14とは従動回転する。このとき、第1検出手段404および第2検出手段504は支持ローラのパルス信号18、19を制御器8に送信する。制御器8は、第1支持ローラ17および第2支持ローラ14のパルス信号に基づいて第2検出手段504で検出される第2支持ローラ14の偏心および第2検出手段504の取り付け偏心による回転速度変動を検出する。この検出した第2支持ローラ14の回転速度変動に基づいて目標角速度を算出する。そして、画像形成時に本体からの駆動命令に従い、第2検出手段504で検出した第2支持ローラ14の回転角速度が目標角速度となるようにモータ駆動信号21をモータ7へ送信する。
【0036】
モータ7は、例えば、画像形成装置の用いられるDCモータを使用することができる。また、モータ軸にロータリエンコーダを設置し、ロータリエンコーダの出力を基にモータ軸をフィードバック制御するDCサーボモータや、入力する駆動パルス周波数でモータ軸の回転角速度を制御するステッピングモータを使用しても良い。DCサーボモータやステッピングモータを利用することで、駆動ローラを所望の回転角速度に早く、安定的に到達することができる。また、第2支持ローラの回転情報を基に駆動ローラのフィードバック制御においても、モータ軸の回転情報をフィードバックするマイナーループが形成されるため、より安定した制御系の設計が可能となる。
【0037】
図5は、制御器8で行う制御ブロック図である。制御器8には、第2支持ローラ回転速度変動演算処理部171、第2支持ローラ目標角速度演算処理部172、第2支持ローラ角速度算出部173、比較器175、コントローラ部174を備えている。第2支持ローラ回転速度変動演算処理部171は、第1支持ローラ17の回転情報としての第1検出手段404のパルス信号20、および第2支持ローラ14の回転情報としての第2検出手段504のパルス信号19を受信する。第2支持ローラ回転速度変動演算処理部171は、受信した第1支持ローラ17の回転情報と、第2支持ローラ14の回転情報とに基づき、第2支持ローラ14の回転速度変動の振幅Aと位相αを算出する。そして、算出された第2支持ローラ14の回転速度変動の振幅Aと位相αを第2支持ローラ目標角速度演算処理部172に送信する。
【0038】
第2支持ローラ目標角速度演算処理部172は、第2支持ローラの回転速度変動の振幅Aと位相αとを記憶部に記憶する。そして、装置本体から指令されるベルトの目標速度V0を受信したら、A、α、V0から第2支持ローラの目標回転角速度ω2refを基準回転角速度データとして導出し出力する。
【0039】
第2支持ローラ角速度算出部173は、フィードバックされた第2検出手段14の出力データから第2支持ローラの回転角速度を算出して比較器175に出力する。
【0040】
上記第2支持ローラ目標角速度演算処理部172で算出された第2支持ローラ14の目標回転角速度ω2refとフィードバックされた第2支持ローラの回転角速度との差分が比較器175で算出される。比較器175で算出された差分データがコントローラ部174に送られる。コントローラ174は、例えば、PID制御器を使い、モータの速度指令信号を出力する。モータ7は、この速度指令信号を受けて駆動トルクを調整して、ベルトを所望の速度で搬送する。
【0041】
次に、第1支持ローラ17および第2支持ローラ14に取り付けられる第1検出手段404、および第2検出手段504について説明する。第1支持ローラに取り付けられる第1検出手段404は、第1支持ローラの回転情報を検出して、その情報を制御部8に送信する。第2支持ローラ17に取り付けられる第2検出手段504は、第2支持ローラ14の回転情報を検出して、その情報を制御部8に送信する。第1支持ローラ17に用いる第1検出手段404の構成や第2支持ローラ17に用いられる第2検出手段504の構成は、第2支持ローラ14の回転速度変動を検出する検出方法によって異なる。
図6は、第1検出手段404と、第2検出手段504とを示した図である。図6(a)は、第1検出手段404を全周にわたり複数のスリット403が等間隔で設けられたエンコーダ盤405と、検出器406とからなるロータリエンコーダとし、第2検出手段を円周上4箇所に等間隔でスリット13を設けたエンコーダ盤505と、検出器506とで構成したものを示した図である。図6(b)は、第1検出手段404を一箇所にスリット403を設けたエンコーダ盤405と、検出器406とで構成し、第2検出手段504を円周上4箇所に等間隔でスリット13を設けたエンコーダ盤505と、検出器506とで構成したものを示した図である。図6(c)は、第1検出手段404を一箇所にスリット403を設けたエンコーダ盤405と、検出器406とで構成し、第2検出手段を全周にわたり複数のスリット13が等間隔で設けられたエンコーダ盤505と、検出器506とからなるロータリエンコーダとで構成したものを示す図である。
図6(a)に示すものは、第1支持ローラ17を一定で回転するように制御することで、第2検出手段504で検出される第2支持ローラ14の回転速度変動を検出する方法で好適に用いることができる。図6(b)は、駆動モータ7を一定で回転制御させて第2検出手段504で検出される第2支持ローラ14の回転速度変動を検出する方法で好適に用いることができる。図6(c)は、第2支持ローラ14を一定で回転させることで第2検出手段504で検出される第2支持ローラ14の回転速度変動を検出する方法で好適に用いることができる。これらの検出手法については、後述する。
また、図6に示す第1支持ローラ17の径と第2支持ローラ14の径比を、1:4としている。そして、図6(a)や図6(b)においては、第2支持ローラ14のエンコーダ盤505に設けられたスリット13は、第1支持ローラ17の回転周期にあたる位置に設けられている。
【0042】
検出器406、506は、発光素子と受光素子とで構成されており、発光素子と受光素子とは、エンコーダ盤405、505を挟んで対向するように設けられている。そして、スリット403、13が検出器上を通過するとき、発光素子の光を受光素子が検出するようにしている。受光素子が発行素子の光を検出すると電流が発生し、これがパルス信号として制御部8に送信される。
【0043】
本実施形態においては、検出器506でスリット13が検出されてから特定のスリットが検出されるまでの時間を計測することで第2支持ローラ14の回転情報を検出している。回転情報を検出するために設定される検出区間(スリットと特定スリットとの間隔)は、第1支持ローラ17の回転周期の整数倍とするのが好ましい。このように設定することで、第1支持ローラ17の回転速度変動による影響をほとんど無視することができる。第1支持ローラ17の回転速度変動は、第1支持ローラ17の偏心によるものであり、第1支持ローラ1回転を1周期とするものである。そして、第1支持ローラ17の偏心による回転速度変動は、第2支持ローラ14の回転角速度に影響を与える。しかし、第1支持ローラ17の偏心による回転速度変動は、第1支持ローラ17の一周期でプラスに変動する成分とマイナスに変動する成分がイコールになるため、第1支持ローラ17の一周期で計測時間の誤差がなくなる。この結果、検出区間を、第1支持ローラ17の回転周期の整数倍とすることで、第1支持ローラ17の回転速度変動による影響を受けることなく、第2支持ローラ14の回転情報を得ることができる。
【0044】
さらに、検出区間をπとし、検出区間と検出区間の位相差を(π/2)とすることで、第2支持ローラ14の回転速度変動を検出する感度を最も高めることができる。例えば、第2支持ローラ14の偏心および第2検出手段504の取り付け偏心による回転速度変動が位相0のCOS波の場合、0からπの区間は平均角速度に対してプラスに角速度が変動する領域であり、この間の区間が最も計測時間が短くなる。一方、πから2πの区間は、平均角速度に対してマイナスに角速度が変動する領域であり、この間の区間が最も計測時間が長くなる。このように、検出区間をπにすれば、変動成分の全てが平均角速度に対してプラスに角速度が変動する領域や、変動成分の全てが平均角速度に対してマイナスに角速度が変動する領域を検出することができ、第2支持ローラ14の回転速度変動を検出する感度を最も高めることができる。
しかしながら、検出区間をπと設定しても第2支持ローラ14の回転速度変動が位相0のSIN波(位相(π/2)のCOS波)の場合は、0からπの区間は(π/2)を境として平均角速度に対してプラスに角速度が変動する領域とマイナスに角速度が変動する領域が対称に現れる。その結果、第2支持ローラの回転速度変動の成分が相殺されて、0からπの区間は平均角速度で移動した場合と同様の計測時間となる。また、πから2πの区間においても、同様に回転速度変動の成分が相殺されて、平均角速度で移動した場合と同様の計測時間となり、第2支持ローラの回転速度変動を全く検出することができない。そこで、一方の検出区間を0〜πとし、他方の検出区間を(π/2)〜(3π/2)として、検出区間と検出区間の位相差を(π/2)とする。これにより、SIN波の場合でも検出区間が(π/2)〜(3π/2)において、平均角速度に対してマイナスに角速度が変動する領域となり最も計測時間が長くなる。このように、検出区間と検出区間の位相差を(π/2)とすることで、どちらか一方の検出区間で第2支持ローラ14の回転速度変動を検出する感度を高めることができる。第2支持ローラの回転速度変動がSIN波に近い場合は、検出区間が(π/2)〜(3π/2)の方が、検出区間が0〜πのものに比べて検出感度が高くなる。一方、検出誤差の回転速度変動がCOS波に近い場合は、検出区間が0〜πの方が、検出区間が(π/2)〜(3π/2)の方に比べて検出感度が高くなる。
【0045】
また、第2支持ローラ14にかかる変動成分には、上記第1支持ローラ17の回転速度変動のほかに、駆動ローラ15やモータ7からの駆動力を駆動ローラ15に伝達する歯車などの駆動伝達系の回転速度変動も存在する。検出区間をこのような駆動伝達系などの回転速度変動の整数倍とすることで、さらに検出精度を上げることができる。特に、検出区間を第1支持ローラの回転周期と、駆動伝達系などの回転速度変動との最小公倍数に設定することができれば、第1支持ローラ17の回転速度変動と駆動伝達系などの回転速度変動の両方の影響をほとんど無視することができる。
【0046】
また、図6に示す、第2検出手段は、エンコーダ盤505に4箇所のスリット13を設けているが、これに限らず、図7に示すように第2検出手段506のエンコーダ盤のスリット13を3箇所にしてもよい。
また、図8に示すように、第2検出手段504を4つの扇型の羽根状部材を取り付け、検出器506は図中太線で示したエッジを検出するようにしてもよい。また、第1検出手段404を図8に示すように、エッジを検出する検出手段としてもよい。
さらに、図9に示すように、第2支持ローラのフランジ部22に被検出部として切り欠き220を等間隔に4箇所設け、この切り欠き220を検出器506で検出することで第2支持ローラ14の回転情報を検出するようにしても良い。また、同様に第1検出手段404を同様な構成としてもよい。
【0047】
また、スリットやエッジなどの被検出部を磁性体で形成し、検出器を磁気センサとしてもよい。スリットやエッジを検出する検出器は、回転盤の一方の固定部に発光素子と受光素子を形成し反射型で形成してもよい。
【0048】
また、少なくとも第2支持ローラ14は、回転の基準となるホーム位置を設定する必要がある。このホーム位置は、第2支持ローラの偏心を検出したり、検出した第2支持ローラの回転速度変動を用いてフィードバック制御を行ったりするときの基準位置となる。
図10は、エンコーダ盤505に区間検出用のスリット13とは別にホーム位置検出用のスリット17を設けたものである。図10に示すように区間検出用のスリット13は、90°ずつ位相をずらしてエンコーダ盤505の周上に4箇所設けられている。ホーム位置検出用のスリット17は、スリット間のいずれかにひとつだけ設けられている。
【0049】
ホーム位置の検出は、以下のように行う。ホーム位置検出用のスリット17のない区間におけるパルス信号の発信間隔は、ほぼ、一定時間T1となっている。一方、ホーム位置検出用のスリット17のある区間においては、パルス信号の発信間隔が一定時間T1より短くなる。よって、制御部8でこの発信間隔を検出することで第2支持ローラのホーム位置を検出することができる。
【0050】
図11は、ホーム位置検出のフローチャートである。図11に示すように、制御部8は、パルス信号を検出したら、時間計測を開始する(S1)。そして、次のパルス信号を検出したら(S2のYES)、そのときの時間間隔が閾値以下であるかどうかチェックする(S3)。閾値以下でない場合は、この時間間隔を検出区間用のデータとして、内部メモリに記憶する(S4)。一方、閾値以下の場合は、ホーム位置を検出したとして、所定の制御、例えば、フィードバック制御を開始したり、第2支持ローラの回転速度変動の検出を開始したりする(S5)。
【0051】
また、図12に示すように、第2検出手段504が特別にホーム検出用スリットを設けない構成の場合のホーム位置の設定や検出方法について説明する。この場合、まず、制御部8は、第2支持ローラ14の回転速度変動検出時の所定の設定条件(例えば、モータが等速回転、第1支持ローラが等速回転等)になったことを検出したら、適当なタイミングで検出したスリット13をホーム位置として設定し監視する。具体的には、モータ等が等速回転となって適当なタイミングで受けたパルス信号の検出と同時にタイマカウンタをリセットする。そして、第2検出手段504のエンコーダ盤505に設けられたスリット13の数を予め記憶しておき、パルス信号の数がスリット13の数となったら、ホーム位置を検出したとしてタイマカウンタをリセットする。この場合、電源ON時に毎回ホーム位置の決定とそれに対応した第2支持ローラの回転速度変動の少なくとも位相を求める必要がある。このとき、どこをホーム位置にしたかは回路あるいはファームウェアで常に認識しておく。
【0052】
本実施形態のベルト駆動制御は、まず、事前動作として、第1支持ローラ17および第2支持ローラ14に設置された検出手段を用いて第2検出手段504で検出される第2支持ローラ14の回転速度変動を認識する。この事前動作は、図10のようにエンコーダ盤505にホーム位置17が特定の場所に設定できる場合は、商品出荷前の製造工程で行うことができる。また、ホーム位置が設けられていない場合は、本体の電源投入時に任意のホーム位置を設定して、事前動作行う必要がある。また、例えば、検出器506とローラとの締結部が経時あるいは環境ですべり等が発生する場合は、あらかじめ規定された時間毎、枚数毎、などにユーザーの使用状況(プリント要求の無いタイミング)に事前動作を実行して第2支持ローラ14の回転速度変動を検出して更新する。また、他の従動ローラの偏心による影響も除去したい場合は、従動ローラとベルトとのすべりなどの位相関係が変化するため、定期的に第2支持ローラ14の回転速度変動を検出して更新を行う。
【0053】
以下、第2支持ローラ回転速度変動を検出する方法を、実施例1〜3として説明する。実施例1の第2支持ローラ回転速度変動を検出する方法は、モータを一定の角速度で回転させることで、第2支持ローラ14の変動成分を検出する方法である。実施例2の第2支持ローラ回転速度変動を検出する方法は、第1支持ローラ17を等速で回転させて、第2支持ローラ14の変動成分を検出する方法である。実施例3の第2支持ローラの回転速度変動を検出する方法は、第2支持ローラ14を等速で回転させることで、第2支持ローラ14の変動成分を検出する方法である。
以下に、実施例1〜3の第2支持ローラ回転速度変動を検出方法を詳細に説明する。
【0054】
[実施例1]
まず、実施例1について説明する。実施例1においては、モータ7を一定の角速度で回転させることで、第2支持ローラ14の偏心による変動成分を検出するものである。実施例1で使用される好適な検出手段の組合せは、図6(b)であるが、図6(a)、図6(c)を用いても良い。
この実施例1で好適に用いられる図6(b)に示す検出手段の組合せは、第1支持ローラ17に取り付けられる第1検出手段404を1個のスリット403を備えたエンコーダ盤405と検出器406とで構成し、第2支持ローラ14に取り付けられる第2検出手段504を4個のスリット13を備えたエンコーダ盤505と検出器506とで構成している。第1支持ローラ17のローラ径は、第2支持ローラのローラ径の(1/4)に設定されており、スリット間の移動距離が丁度、第1支持ローラ17の一回転の移動距離となっている。
【0055】
第2検出手段504を4個のスリット13とすることで、検出区間を回転速度変動の検出感度の高いπに設定できるとともに、検出区間と検出区間との位相差を(π/2)に設定することができる。
【0056】
また、検出精度を上げるために、第1検出手段404の検出器406をスリット403が通過するタイミングと、第2検出手段504の検出器506をスリット13が通過するタイミングが同じとなるように第1検出手段のエンコーダ盤405と第2検出手段のエンコーダ盤505の回転位相は予め製造工程等で調整する。
【0057】
実施例1においては、第2支持ローラ14の回転情報は、検出器506でスリット13が検出されてから特定のスリットが検出されるまでの時間を計測することで検出している。
図13は、図6(b)に示した第2検出手段14の回転情報の検出について説明した模式図である。図中のA、B、C、Dは、検出区間を示している。検出区間は、第1支持ローラ17の回転周期の整数倍に設定される。これにより、この検出区間で第1支持ローラの回転速度変動の影響をほとんど無視することができる。第2支持ローラ14の回転速度変動を検出するためには、第2支持ローラ14の1周期で少なくとも2つの区間の時間を計測する必要がある。検出区間が第1支持ローラ17の回転周期の整数倍に設定されていれば、区間の組み合わせは、いかなるものであってもよい。例えば、区間B、すなわち検出器がスリット13Bを検出して、スリット13Dを検出するまでに要した時間と、区間D、すなわち検出器がスリット13Dを検出して、スリット13Bを検出するまでに要した時間を検出するようにしてもよい。また、区間Aと区間Cとを検出するようにしてもよいし、区間Aと区間Bとを検出するようにしてもよい。また、検出区間を180°にする必要もない。しかし、検出区間を180°とすれば、第2支持ローラの回転速度変動の検出感度を最も高くできる。また、検出区間と検出区間との位相を90°ずらした、区間Aと区間B、区間Bと区間C、区間Cと区間D、区間Dと区間Aの組合せが最も第2支持ローラの回転速度変動の検出感度を高くすることができる。以下の説明では、区間Aと区間Bとを検出する場合について説明する。
【0058】
図14は、実施例1の第2支持ローラの偏心および第2検出手段の取り付け偏心による変動の検出処理を示したフローチャートである。図14において、制御器8はDCサーボモータを安定に回転する適切なモータ目標角速度ωm指令信号を出力し(S1)、回転駆動させる。DCサーボモータに設置されたロータリエンコーダから制御器8は目標とする回転速度に達したかどうかを判断する(S2)。ここでは、検出精度を上げるために、モータを既定速度で安定して回転させることが目的である。
目標とする回転速度に達していると判断した場合(S2のYES)、適当なタイミングで第2支持ローラのスリットの一つをホーム位置と設定する(S3)。このとき、制御器8にある第2支持ローラ用の内蔵タイマユニットのカウンタを0に設定して、時間を計測していく。また同時に、ほぼ同タイミングで検出される第1支持ローラのスリットにおいても制御器8にある第1支持ローラの内蔵タイマユニットのカウンタを0に設定して、時間を計測していく(S4)。第2支持ローラの検出器504は、スリット13の通過時にパルス信号を出力し、制御器8に送信する。制御器8は、前記パルス信号を受信したときの内蔵タイマユニットのカウンタで計測された時間をデータメモリに記録する。予め、第2検出手段のエンコーダ盤505のスリット総数をデータとして保持しておき、出力されたパルス信号の総数が予め記憶されたスリット総数となることで第2支持ローラの1回転を検出する。そして、1回転に要する時間を計測して第2支持ローラの1回転の平均角速度ω2aを算出する。また、同様に第1支持ローラに設置された検出器406は、スリット403の通過時にパルス信号を出力し、制御器8に送信する。制御器8は、前記パルス信号を受信したときの内蔵タイマユニットのカウンタで計測された時間をデータメモリに記憶する。そして、記憶された1回転に要する時間から第1支持ローラの平均角速度ω1aを算出する。この第1支持ローラと第2支持ローラの平均角速度から現在のローラの径比を正確に求める(S5)。ローラ径比を正確に求めることで、製造誤差や環境、径時で変化するローラ径による回転速度変動検出誤差を補正することができる。また、第1支持ローラ、第2支持ローラを複数回転させて平均化したデータからローラ径比を求めて精度を上げても良い。
【0059】
ローラ径比を求めた後、図15に示すように、第2支持ローラにおいて、再びホーム位置を検出したときから被検出部を通過した順に、通過時間間隔をT1、T2、T3と制御器8に内蔵されているデータ用メモリに記憶していく(S6)。また同時に、第1支持ローラにおいて、ほぼ、同時刻に通過するスリットの通過時間間隔、つまり、1回転時間をT11、T12、T13として制御器8に内蔵されているデータ用メモリに記憶していく(S7)。そして、通過時間のデータT11、T12、T13、T1、T2、T3を用いて、ローラ2の回転速度変動の算出処理を実行する(S8)。
【0060】
第2支持ローラの回転速度変動の算出処理(S8)は、第2支持ローラの1回転に相当する回転速度変動の振幅と位相を算出する。具体的には、第2支持ローラの1回転の回転速度変動の振幅をA、ホーム位置を基準とした初期位相をαとして算出する。
【0061】
以下に、第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相を算出する方法について説明する。第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相は、ホーム位置(時間0)を基準として、2つのスリットで構成する第1区間(図13における検出区間A)の回転時間と、同様に、別の2つのスリットで構成する第1区間とは位相が異なる第2区間(図13における検出区間B)の回転時間から求める。また、第2支持ローラが第1区間と第2区間を回転する時間における平均角速度ω02_1とω02_2を第1支持ローラの回転情報から求める。
【0062】
まず、第2支持ローラの偏心による回転速度変動を含む第2支持ローラの回転角速度ω2を以下のように規定する。
【数12】
ここで、第1項のω02は、ベルトの搬送に伴い回転する第2支持ローラの平均回転角速度である。ベルト移動速度をローラの回転角速度に変換したものに等しい。この平均回転角速度に振幅A、位相αの第2支持ローラの偏心や検出手段の取付け偏心による回転速度変動成分を示す第2項が重畳されている。
【0063】
ここで、第1区間において、第2支持ローラが半回転(πラジアン回転)したことから以下の関係が成り立つ。
【数13】
ただし、ω02_1は、第1区間における第2支持ローラの平均回転角速度であり、以下の式から第1支持ローラの検出データによって求められる。
【数14】
【0064】
第1支持ローラと第2支持ローラの径比(R1/R2)は、図14(S5)にて求められた値を用いる。Nは第1の検出区間計測時における第1支持ローラの回転数である。ここでは、ローラ径比が1:4に設計されているので、第1の検出区間が第2支持ローラの回転角πとなっていることから、N=2である。また、第2の検出区間においても、数14と同様に積分範囲が異なる形で以下の式が成立する。
【数15】
ただし、ω02_2は、第2区間における第2支持ローラの平均回転角速度であり、以下の式から第1支持ローラの検出データによって求められる。
【数16】
【0065】
DCサーボモータを目標回転角速度で一定の回転速度で駆動していても、すべりなどの伝達駆動系の伝達誤差により、ベルト移動速度は変動している。このため、DCサーボモータの回転角速度から第2支持ローラの平均回転角速度ω02_2を推定する方法では、上述の伝達駆動系の伝達誤差が考慮に入れてないため、正確な第2支持ローラの平均回転角速度ω02_2を推定することができない。そこで、実施例1においては、第1支持ローラの計測時間から、第2支持ローラの平均回転角速度ω02_2を求めている。第1支持ローラは、従動ローラであるため、第2支持ローラ同様、ベルトの移動速度に伴い回転している。このため、第1支持ローラの回転時間は、伝達駆動系の伝達誤差の成分を含んだベルト移動速度の回転時間といえる。
また、第1支持ローラにおいても、第1支持ローラの偏心や第1検出手段の取り付け偏心による変動に回転速度変動が生じている。しかし、上記検出区間は、ほぼ第1支持ローラの回転周期の整数倍となっている。このため、第2支持ローラの検出区間における第2支持ローラの平均回転角速度ω02_2は、第1支持ローラが丁度、整数回転したときの計測時間から求められるため、第1支持ローラの偏心による角速度の変動成分は、無視することができる。これは、第1支持ローラの偏心による変動成分は、正弦波や余弦波などの三角関数で表すことができるためである。つまり、半周期は、プラスに変動し、もう半周期はマイナスに変動するので、第1支持ローラ1周期でこの変動成分が相殺されるためである。その結果、第2支持ローラの平均回転角速度ω02_2を求めるために用いられる、第1支持ローラの計測時間は、第1支持ローラの偏心の影響がほとんどなく、伝達駆動系の伝達誤差の成分を含んだベルト移動速度の回転時間となっている。
このようにして、第1支持ローラの時間間隔を用いることで、第1検出区間、第2検出区間にて計測しているときに伝達駆動系などによるベルト移動速度変動を考慮に入れた、検出区間における第2支持ローラの平均回転角速度ω02_2を求めることができる。
【0066】
この補正精度を上げるために、先述したように、第1検出手段404と第2検出手段504に設置されたスリットが検出器を通過するタイミングがほぼ同時刻となるように2つのローラの回転位相を予め調整しておくとよい。
【0067】
数13、数15を変形し導出される以下に示す方程式を解くことで、第2支持ローラの回転速度変動成分の振幅Aと位相αが求められる。
【数17】
【0068】
上式数17は、左辺の行列の逆行列を求めて解いても良いし、他の数値計算手法を利用しても良い。これにより、第2支持ローラの回転速度変動の振幅Aとホーム位置を基準とした位相αが求められる。実際の画像形成装置には、数17のみが制御部8のメモリに保存されており、数17に計測時間(T1、T2、T3)および平均角速度ω02_2、ω02_1を代入することで、振幅A、位相αを求める。
この振幅Aと位相αの演算処理終了後、数値をデータメモリに記憶(S9)し、第2支持ローラの目標回転角速度ω2refを設定する。検出精度を上げるために、実線で示したS4からS9まで、または、点線で示したS6からS9までの動作を繰り返して、複数の振幅A、位相αの平均値を求めても良い。
【0069】
数17の方程式により求められた振幅Aと位相αとから、ベルトが一定速度で移動したときの第2支持ローラの角速度(目標角速度)ω2refを生成し、フィードバック制御を行う。
【0070】
数12に示したω2は、ベルトの搬送に伴い回転する第2支持ローラの平均回転角速度ω02(ベルト移動速度)と、第2支持ローラの偏心による回転速度変動とで表したものである。従って、数12からベルト移動速度が一定のときの第2支持ローラの角速度(目標回転角速度)ω2refは、以下のように表すことができる。
【数18】
【0071】
よって、第2支持ローラの回転角速度を数18に示す目標回転角速度ω2refとなるようにフィードバック制御を行うことで、ベルト速度一定に制御することができる。なお、画像出力モードにより、ローラの目標平均速度を変更する場合には、ω02の値を適宜、変更する。
【0072】
このように、実施例1の方法により、第2支持ローラの偏心や第2検出手段の取付け偏心に起因する回転速度変動を検出することができる。また、予め検出された第2支持ローラの回転速度変動から第2支持ローラの目標角速度ω2refを設定して、この回転角速度情報を基にフィードバック制御を行うことができる。これにより、第2支持ローラの偏心や第2検出手段の取付け偏心の影響を受けることなく、ベルトを所望の速度で安定した駆動制御が可能となる。
【0073】
[実施例2]
次に、実施例2について説明する。実施例2においては、第1検出手段の検出結果から第1支持ローラを等速で回転するように制御することで、第2支持ローラの偏心による変動成分を検出するものである。実施例2で用いられる好適な検出手段の組合せは、図6(a)である。すなわち、第1支持ローラの回転情報を検出する第1検出手段404を公知のロータリエンコーダとして、第2支持ローラの回転情報を検出する第2検出手段504をそれぞれ(π/2)ずつ位相のずれた4個のスリット13を備えたエンコーダ盤505と、検出器506とで構成したものである。第1支持ローラのローラ径は、第2支持ローラのローラ径の(1/4)に設定されており、スリット間の移動距離が丁度、第1支持ローラの一回転の移動距離となっている。
【0074】
実施例2の場合は、第1検出手段の検出結果を用いて、第1支持ローラを等速で回転するよう制御する。このように第1支持ローラを等速で回転するよう制御することで、伝達駆動系などのベルト速度変動の影響を除去することができる。しかし、第1支持ローラを等速で回転するように制御した場合、第1支持ローラの偏心および第1検出手段の取り付け偏心による回転速度変動の影響によりベルトの移動速度が周期変動する。このベルト移動速度の変動は、従動ローラである第2支持ローラの回転に影響する。よって、第2検出手段で検出される回転速度は、第1支持ローラの回転速度変動と、第2支持ローラの偏心および第2検出手段の取り付け偏心による回転速度変動とが重畳された変動となっている。しかし、第2検出手段のスリット間の移動距離が丁度、第1支持ローラの1周期となっているため、各スリット間での第1支持ローラの回転速度変動が相殺され影響を無視することができる。よって、この実施例2においては、第2検出手段の各スリット間における検出器の通過時間を検出することで、他の変動成分が検出されることながなく、精度よく第2支持ローラの偏心および第2検出手段の取り付け偏心による第2支持ローラの回転速度変動を検出することができる。そして、第2検出手段の(π/2)ずつ位相のずれた4個のスリットから、π[rad]回転する時間を計測する区間を(π/2)[rad]位相をずらして構成することができる。これにより、第2支持ローラ一周期で2箇所の第2支持ローラの回転速度変動を検出することができ、第2支持ローラの回転速度変動の振幅Aと位相αを求めるための連立方程式を立てることができる。その結果、第2支持ローラの偏心による回転速度変動の振幅Aおよび位相αを求めることができ、第2支持ローラの偏心および第2検出手段の取り付け偏心による回転速度を検出することができる。
【0075】
図16は、実施例2の第2支持ローラの偏心による変動の検出処理を示したフローチャートである。図16に示すように、まず、制御器8は、DCモータを第1支持ローラの目標回転角速度ω01で駆動させる指令信号を出力し(S1)、ベルトを回転駆動させる。ここでは、DCモータを使用した例を説明するが、DCサーボモータ、ステッピングモータを使用しても良い。第1支持ローラに設置されたロータリエンコーダの出力から、制御器8は第1支持ローラが目標とする回転角速度ω01に達したかどうかをチェックする(S2)。目標とする回転速度に達している場合(S2のYES)は、適当なタイミングで第2検出手段14のスリット13の一つをホーム位置と設定する(S3)。このとき、制御器8にある内蔵タイマユニットのカウンタを0に設定して(S4b)、時間を計測していく。第2検出手段の検出器506は、エンコーダ盤505スリット13の通過時にパルス信号を出力し、制御器8に送信する。制御器8は、前記パルス信号を受信したときの内蔵タイマユニットのカウンタで計測された時間をデータメモリに記憶する。予め、第2検出手段のエンコーダ盤405のスリット総数をデータとして保持しておき、出力されたパルス信号の総数が予め記憶されたスリット総数となることで第2支持ローラの1回転を検出する。そして、メモリに記憶された時間から、1回転に要する時間を計測して、第2支持ローラの1回転の平均回転速度ω02を算出する(S5)。このように、第2支持ローラの1回転の平均回転速度ω02を算出することで、第1支持ローラの回転角速度を一定とする制御時に発生する定常的な誤差による第2支持ローラの回転速度変動算出誤差を軽減できる。
そして、再びホーム位置を検出したら、実施例1同様、スリットを通過する毎に、その通過時間間隔をT1、T2、T3として、制御器8のデータ用メモリに記憶していく(S6)。そして、通過時間のデータT1、T2、T3を用いて、第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相を演算する回転速度変動算出処理を実行する(S7)。
【0076】
実施例1と同様に、第2支持ローラの1回転に相当する回転速度変動の振幅をA、ホーム位置を基準とした初期位相をα、平均回転速度ω02をωとして、数12に示した第2支持ローラの回転速度変動を含む第2支持ローラの回転角速度ω2を規定する。そして、実施例1と同様に、ホーム位置(時間0)を基準として、スリットのうち2箇所で構成する第1区間(図15における検出区間A)の通過時間(T1+T2)と、同様に、スリットのうち2箇所で構成する第1区間と位相が(π/2)[rad]異なる第2区間(図15における検出区間B)の通過時間(T2+T3)から積分式を立て、以下に示す方程式を導出し、この方程式を解くことで求めることができる。
【数19】
【0077】
数19の左辺の行列の逆行列を求めて解いても良いし、他の数値計算手法を利用しても良い。これで、第2支持ローラの回転速度変動の振幅Aとホーム位置を基準とした位相αが求められる。また、実施例1同様、S4からS8、または、S6からS8までの動作を繰り返すことで精度が向上する。
【0078】
数19の方程式により求められた振幅Aと位相αとから、ベルトが一定速度で移動したときの第2支持ローラの角速度(目標角速度)ω2refを生成し、フィードバック制御を行う。
実施例2の方法で求められた振幅Aと位相αは、第1支持ローラの偏心による変動成分や、伝達駆動系の変動成分の影響を除去したうえで、求められたものであり、第2支持ローラの偏心や第2検出手段の取り付け偏心の変動成分の振幅と位相と言うことができる。この振幅Aおよび位相αから、数18に示す目標角速度変動ω2refを求めることができ、ホーム位置を基準にして第2支持ローラの回転角速度を目標回転角速度ω2refとなるようにフィードバック制御すればベルト速度Vを一定の移動速度V0にすることができる。
【0079】
[実施例3]
次に、実施例3について説明する。実施例3においては、第2検出手段で第2支持ローラを等速で回転するように制御することで、第2支持ローラの偏心や第2検出手段の取り付け偏心による変動成分を検出するものである。この実施例3に用いられる検出手段の組合せは、図6(c)である。すなわち、第2検出手段を公知のロータリエンコーダとして、第1検出手段を1個のスリットを備えたエンコーダ盤と、検出器で構成したものである。第1支持ローラのローラ径は、上述同様、第2支持ローラ径の(1/4)に設定されている。また、実施例3においては、第2検出手段の検出結果から第2支持ローラを等速で回転するよう制御することで、駆動伝達系の変動成分などの影響を除去して、第1支持ローラには、第2支持ローラの検出誤差(第2支持ローラの回転速度変動)の影響のみが検出されるようにするものである。
【0080】
このように第2検出手段の検出結果から第2支持ローラを等速で回転させるように制御することで、駆動ローラの偏心によるベルト速度変動の影響を除去することができる。しかし、第2支持ローラを等速で回転させるよう制御した場合、第2支持ローラの偏心および第2検出手段の取り付け偏心による第2支持ローラの変動成分の影響によりベルトの移動速度が周期変動する。このベルト移動速度の変動は、従動ローラである第1支持ローラの回転速度に影響する。よって、第1検出手段で検出される回転速度は、第2支持ローラの回転速度変動と、第1支持ローラの偏心と第1検出手段の取り付け偏心による第1支持ローラの回転速度変動とが重畳された変動となっている。第1支持ローラに設けたエンコーダ盤405には、一個のスリット403のみが設けられており、第1支持ローラの1周期を第1検出手段404で検出する。このため、第1支持ローラの回転速度変動が相殺され、無視することができる。これは、第1支持ローラの偏心による回転速度変動は、三角関数で表すことができるためである。そして、第2支持ローラの径を第1支持ローラの径の少なくとも2倍以上、(図6(c)においては、4倍)にして、第2支持ローラが一回転(1周期)する間に第1支持ローラのスリットを少なくとも2回以上検出できるように構成している。これにより、第2支持ローラ一周期で2箇所の第2支持ローラの回転速度変動を検出することができ、第2支持ローラの回転速度変動の振幅Aと位相αを求めるための連立方程式を立てることができる。その結果、第2支持ローラの偏心による回転速度変動の振幅Aおよび位相αを求めることができ、第2支持ローラの偏心および第2検出手段の取り付け偏心による回転速度を検出することができる。
【0081】
図17は、実施例3の第2支持ローラの偏心による回転速度変動の検出処理を示したフローチャートである。
まず、制御器8は、DCモータを第2支持ローラの目標回転角速度ω02で駆動させる指令信号を出力し(S1)、ベルトを回転駆動させる。ここでは、DCモータを使用した例を説明するが、DCサーボモータ、ステッピングモータを使用しても良い。第2支持ローラに設置されたロータリエンコーダの出力から、制御器8は第2支持ローラが目標とする回転角速度ω02に達したかどうかをフィードバック制御により判断する(S2)。目標とする回転角速度ω02に達していると判断した場合、適当なタイミングで
第1支持ローラのひとつのスリットを検出し、このときのスリットを第1支持ローラ(ローラ1)のホーム位置とする。また、このとき、第2支持ローラ(ローラ2)の検出器が検出したスリットを第2支持ローラのホーム位置と設定する(S3)。第2支持ローラのホーム位置の検出は、予め、第2検出手段のエンコーダ盤に設けられたスリットの総数を記憶しておき、上記第2支持ローラのホーム位置からスリットのカウントを開始して、カウント数が記憶されているスリットの総数となったときに、検出器が第2支持ローラのホーム位置を検出したとする。第1支持ローラのホーム位置の検出は、以下のように行う。予め、第1支持ローラと第2支持ローラの径比と、第1支持ローラにあるスリットの数とから、第2支持ローラが一回転する間に第1支持ローラの検出器が検出するスリットの総数を求めておく。そして、第1支持ローラのホーム位置からスリットのカウントを開始して、カウント数が上記求めたスリットの総数となったら第1検出手段404の検出器404bが第1支持ローらのホーム位置を検出したと判断する。例えば、第1支持ローラと第2支持ローラの径比が1:4で、第1検出手段のスリット数が1のとき、第1支持ローラが4回転し、同一のスリットが4回目に検出された時を第1支持ローラのホーム位置として検出する。
【0082】
上記のように、ホーム位置を設定したら、制御器8にある内蔵タイマユニットのカウンタを0に設定して(S4)、時間を計測していく。第1検出手段の検出器404は、スリット403の通過時にパルス信号を出力し、制御器8に送信する。また、第2検出手段の検出器14もまた、スリット13の通過時にパルス信号を出力し、制御器8に送信する。制御器8は、第1検出手段のパルス信号を受信したときの内蔵タイマユニットのカウンタで計測された時間をデータメモリに記録する。また、第2検出手段のパルス信号を受信したときも同様に内蔵タイマユニットのカウンタで計測された時間をデータメモリに記録する。次に、第2支持ローラの1回転に相当する第1支持ローラのホーム位置が検出される時間間隔(第1支持ローラ4回転分の時間間隔)と第2支持ローラのホーム位置が検出される時間間隔を計測して、第1支持ローラ(ローラ1)と第2支持ローラ(ローラ2)の径比を求める(S5)。ここで、第1支持ローラを4回転させ、第2支持ローラの1回転に相当する時間間隔に基づいて第1支持ローラと第2支持ローラとの径比を算出するのは、以下の理由による。上述したように、第1支持ローラの回転速度には、第2支持ローラの偏心による回転速度変動が重畳されている。このため、第1支持ローラ一回転の時間間隔では、第2支持ローラの変動成分の影響が出てしまい、正確な第1支持ローラと第2支持ローラとの径比を求めることができない。このため、第2支持ローラの周期に相当する時間間隔で、第1支持ローラと第2支持ローラの径比を求めることで、第2支持ローラの回転速度変動を相殺でき影響をほとんど無視することができる。第1支持ローラと第2支持ローラとの径比は、実施例1同様に第1支持ローラの平均回転角速度ω01と第2支持ローラの平均回転角速度ω02から求める。ローラ径比を正確に求めることで、製造誤差や環境、径時で変化するローラ径による第2支持ローラの偏心による周期変動導出誤差を補正することができる。また、第2支持ローラのホーム位置検出時間間隔から、第2支持ローラの平均回転角速度をω2cとしてデータ用メモリに記憶しておく。
第2支持ローラの1回転の平均回転速度ω02をメモリに記憶しておくことで、第2支持ローラの回転角速度を一定とする制御時に定常的な誤差による第2支持ローラの回転速度変動算出誤差を軽減できる。
【0083】
再び第2支持ローラ側のホーム位置と、第1支持ローラ側のホーム位置とを検出してそのときの時間間隔差、つまり、第1支持ローラと第2支持ローラとのホーム位置の時間差T0を算出する。次に、第1支持ローラのホーム位置からスリットを通過する毎に、その通過時間間隔をT11、T12、T13として制御器8に内蔵されているデータ用メモリに記憶していく(S6)。そして、通過時間のデータT11、T12、T13を用いて、第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相を演算する回転速度変動算出処理を実行する(S7)。
【0084】
第2支持ローラの1回転に相当する回転速度変動の振幅をA、ホーム位置を基準とした初期位相をα、平均回転速度ω2cとしたとき、第2支持ローラの偏心による周期変動を含む第2支持ローラの回転角速度ω2’を以下のように規定する。
【数20】
ここで、Pは、(S6)で検出した時間データT0から第2支持ローラの回転位相に変換したものである。これにより、数19、右辺第2項の第2支持ローラの回転速度変動が第2支持ローラのホーム位置を基準にすることができる。
【0085】
そして、第1支持ローラ側のホーム位置(時間0)を基準として、計測した時間間隔から、図13における検出区間Aに相当する通過時間(T11+T12)を第1区間とし、図13における検出区間Bに相当する通過時間(T12+T13)を第2区間として、実施例1同様の積分式を立て、以下示す行列を導出する。
【数21】
【0086】
数21の左辺の行列の逆行列を求めて解いても良いし、他の数値計算手法を利用しても良い。これで、第2支持ローラの回転速度変動の振幅Aとホーム位置を基準とした位相αが求められる。
この方程式は、第1支持ローラと第2支持ローラの径比が1:4であり、第1支持ローラの2回転分の回転時間となるT11+T12、T12+T13が第2支持ローラの検出区間角度πの通過時間に相当する。ここで、ローラ径の誤差により第1支持ローラの2回転が第2支持ローラの回転角度πに相当しない場合、図17(S5)で得られたローラ径比から第1支持ローラの2回転に相当する第2支持ローラでの検出区間角度πから補正する。そして、数21に示すπの値をローラ径比から補正された値に替えることでより高精度に第2支持ローラの偏心による回転速度変動を検出することができる。また、ローラ径比が、1:4でない場合でも数21と同様の方程式を導出することができる。
また、実施例1同様、S4からS8、または、S6からS8までの動作を繰り返すことで精度が向上する。
【0087】
数21の行列により求められた振幅Aと位相αとから、ベルトが一定速度で移動するときの第2支持ローラの角速度(目標角速度)ω2refを生成し、フィードバック制御を行う。
実施例3の方法で求められた振幅Aと位相αもまた、上述したように、第1支持ローラの偏心による変動成分や、伝達駆動系の変動成分の影響を除去したうえで、求められたものである。よって、数20に示した、回転角速度ω2’の右辺第2項は、第2支持ローラの偏心および第2検出手段の取り付け偏心による回転速度変動の振幅と位相と言うことができる。よって、数20からベルト移動速度が一定のときの第2支持ローラの角速度(目標回転角速度)ω2refは、以下のように表すことができる。
【数22】
【0088】
数22に示すように、右辺第2項の第2支持ローラの回転速度変動成分が実施例1や2と異なり、符号がマイナスとなる。これは、実施例3においては、第2支持ローラを等速で回転させて、第1支持ローラで第2支持ローラの回転速度変動を検出するためである。すなわち、第2検出手段で第2支持ローラが等速で回転している状態を検出したときは、第2支持ローラの回転速度変動成分と符号が逆の周期変動でベルトを移動している。第1支持ローラは、ベルトの移動に伴い従動回転する。その結果、ベルトを介して第1支持ローラで検出される第2支持ローラの変動成分は、実際、第2検出手段で検出される変動成分とは符号が逆となる。よって、数22においては、実施例1、2と逆の符号となる。
【0089】
第2支持ローラの回転角速度を数21に示す目標回転角速度ω2refとなるようにフィードバック制御を行うことで、ベルト速度Vを一定の移動速度V0に制御することができる。なお、画像出力モードにより、ローラの目標平均速度を変更する場合には、ω02の値を適宜、変更する。
【0090】
実施例1〜3では、第2支持ローラの検出区間を180°としているが、これに限られない。例えば、第2支持ローラの検出区間を図18に示すように任意の角度γ1、γ2としてもよい。この場合、第2支持ローラの振幅と位相を求める式は、以下のようになる。
【数23】
【0091】
上記数23の数式を解くことで、180°ではない、任意の角度であっても、第2支持ローラの偏心による振幅、位相を求めることができる。この場合にあっても、検出区間を第1支持ローラの周期の整数倍とすることで、検出精度を上げることができる。また、検出区間を駆動伝達系などの周期変動の整数倍とすることで、さらに検出精度を上げることができる。すなわち、検出区間を第1支持ローラの回転周期と、駆動伝達系などの周期変動との最小公倍数に設定することができれば、第1支持ローラの変動と駆動伝達系などの周期変動の両方の影響をほとんど無視することができる。
【0092】
また、上記においては、第2検出手段のスリット間が第1支持ローラの1周期となっているものについて説明してきたが、第2検出手段のスリット間が第1支持ローラの1周期となっていなくても、検出区間を第1支持ローラの1周期となっていれば、第1支持ローラの変動成分の影響を受けずに、第2支持ローラの回転速度変動を検出することができる。例えば、図18に示すように、検出区間γ1、γ2は、第1支持ローラの1周期としているが、スリット間の距離Pd1、Pd2が第1支持ローラの半周期であっても精度よく、第2支持ローラの回転速度変動を検出することができる。上記同様、検出区間γ1を第1区間、検出区間γ2を第2検出区間とした場合、第1区間γ1における周期変動を示す指標である(T1+T2)には、検出区間を第1支持ローラの周期としているため、第2支持ローラ偏心によるの回転速度変動のみを示す指標となっている。また、第2区間γ2のにおける周期変動を示す指標である(T2+T3)も上記同様第2支持ローラの偏心による回転速度変動のみを示す指標となっている。しかしながら、第1区間γ1と第2区間γ2の位相における周期変動を示す指標T1は、第1支持ローラを1周期としていないため、第2支持ローラ偏心によるの周期変動と、第1支持ローラの周期変動とが重畳された指標となる。よって、位相を示す指標T1は、第2支持ローラの回転速度変動成分のみとすることができなくない。
この場合、図18に示す検出区間γ3を第3区間として用いる。検出区間γ3は、検出区間γ1、γ2同様、第1支持ローラの1周期となっている。また、検出区間γ3は、検出区区間γ1の終了位置から開始している。まず、第1区間γ1の時間間隔(T1+T2)、第2区間γ2の時間間隔(T2+T3)、第1区間と第2区間の位相の時間間隔T1を数24に代入して、第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相を求める。次に、第2区間γ2の時間間隔(T2+T3)、第3区間γ3の時間間隔(T3+T4)、第2区間と第3区間の位相の時間間隔T2を以下に示す式に代入して、第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相を求める。
【数24】
【0093】
上記第1区間γ1と第2区間γ2とから算出した振幅と位相は、第1支持ローラの0〜πの周期変動の影響を受けたものとなっている。一方、第2区間γ2と第3区間γ3とか算出した振幅と位相は、第1支持ローラのπ〜2πの周期変動の影響を受けたものとなっている。よって、この両者を平均化すれば、第1支持ローラの周期変動成分の影響を除去することができる。ただし、第1区間γ1と第2区間γ2とから算出した第2支持ローラの回転速度変動と、第2区間γ2と第3区間γ3とから算出した第2支持ローラの回転速度変動とは、初期位相が異なっているため、調整が必要である。
【0094】
また、図7の第2支持ローラがホーム位置用スリットと、2つの検出用スリットからなる第2検出手段を用いる場合は、以下の式を解くことで、求めることができる。
【数25】
【0095】
また、今までの説明では、第2支持ローラに2つの検出区間(A,B)を設けて、この2つの検出区間における時間間隔を計測することで、第2支持ローラの偏心と第2検出手段の取り付け偏心とによる周期変動を検出しているが、これに限られない。例えば、検出用のスリットを複数(n個)設けて、連立方程式を立てるための検出区間を複数とおり設定し、それぞれ、第2支持ローラの回転速度変動の振幅、位相を求める。それを平均化することで、第2支持ローラの回転速度変動の検出精度を高めることができる。例えば、検出区間を3つに設定できれば、3通りの検出区間の組み合わせを設定でき、それぞれの組合せで、3通りの位相と振幅を求めて、これらを平均化する。検出区間を4つ設定できれば、6通りの検出区間の組み合わせを設定することができ、6通りの位相と振幅を求めてこれらを平均化することができる。
【0096】
また、環境の変化や、径時の使用により、第2支持ローラの回転速度変動が変化する場合がある。このように、第2支持ローラの回転速度変動が環境の変化や径時により変化してしまうと、検出した第2支持ローラの回転速度変動と異なってしまう。すると、検出した第2支持ローラの回転速度変動を用いてフィードバック制御を行っても、第2支持ローラの変動の影響がベルトの移動速度に現れて、ベルトを一定測度に搬送できなくなってしまうという不具合がある。そこで、第1支持ローラで、第2支持ローラの回転速度変動がないかどうかを検出するようにしてもよい。第2支持ローラの回転速度変動が検出時と同じ状態のときは、ベルトが一定速度で移動しているので、第1支持ローラの平均角速度に変動が生じることがない。一方、第2支持ローラの回転速度変動が経時で変化して、初期に算出した第2支持ローラの回転速度変動と異なると、第2支持ローラが目標回転速度ω2refで回転しているにもかかわらず、ベルトが一定速度で搬送されていない状態となる。すると、従動ローラである第1支持ローラの平均回転速度に変化生じる。そこで、第1支持ローラの回転速度の変化を検出することで、第2支持ローラの回転速度変動の経時変化を検出する。具体的には、第1支持ローラの1周期の時間間隔を検出して、時間間隔がある一定以上ずれたときに、第2支持ローラの回転速度変動が変化したとして、再度、第2支持ローラの回転速度変動の算出を行う。
【0097】
また、実施例3の第2支持ローラの回転速度変動の算出方法を用いれば、フィードバック制御中に第2支持ローラの回転速度変動の変更を行うことも可能となる。これにより、逐次第2支持ローラの回転速度変動の算出を行うことができる。この場合、まず、第2支持ローラが目標回転角速度ω2refで回転しているとき、図17のS6cからS7までの処理を実行し、第2支持ローラの回転速度変動(振幅・位相)を求める。ここで、新たに求められた目標回転角速度における、第2支持ローラの変動成分をΔωref2'とすると、以下にように表すことができる。
【数26】
【0098】
数26は、ベルトが一定速度で搬送されている場合は、変動成分がないので、値は「0」となる。しかし、環境や径時による変化や、検出時のローラとベルト間のスリップといった要因より誤差が発生し、補正誤差としてΔωref2'が検出される。
そこで、検出されたΔωref2'を用いて算出される、新たな第2支持ローラの基準回転角速度ωref2"は、以下のようになる。
【数27】
【0099】
この新たな第2支持ローラの基準回転角速度ωref2"を用いて、フィードバック制御を実行する。また、この目標回転角速度を更新する動作は、実施例1、2の方法と組み合わせて行うこともできる。つまり、最初に実施例1、2の方法で目標回転角速度を求めて、フィードバック駆動制御を実行し、その後、上記実施例3の第2支持ローラの回転速度変動の算出方法を用いて目標回転角速度の更新を行う。
【0100】
上記実施例1〜3で説明した第2支持ローラの回転速度変動を検出する方法では、第2支持ローラの偏心と第2支持ローラに取り付けられた第2検出手段の取り付け偏心とによる周期変動を検出することができる。しかし、第2検出手段の取り付け偏心が第2支持ローラの偏心に対して非常に大きいと、第2支持ローラの回転速度変動を正確に検出することが難しい。そこで、図19に示すように、センサを2つ設けて、第2検出手段の取り付け偏心を予め除去するようにしても良い。図19に示す第2検出手段514は、第1の検出器516aと第2の検出器516bとが第2支持ローラの軸を中心として180°離れて設けられている。図中の520は、エンコーダ盤515の中心であり、第2支持ローラの中心14aに対して偏心して取り付けられている。このため、第2支持ローラの軸心からエンコーダ盤の外周までの距離が周方向で異なる。第2支持ローラの軸心からエンコーダ盤外周までの距離の最大L1は、エンコーダ盤の半径と、エンコーダ盤の中心と第2支持ローラの中心との距離(偏心量ε)を足すことで表すことができる。一方、第2支持ローラの軸心からエンコーダ外周までの距離の最少L2は、エンコーダ盤の半径から偏心量εを引くことで表すことができる。エンコーダ盤515には、4つのスリットが設けられており、各スリットは、円周上90°ずつ離れて設けられている。図19に示す検出区間Aと検出区間Bとは、第2支持ローラの軸心からエンコーダ外周までの距離の最大L1の部分を検出する。一方、検出区間C、検出区間Dは、第2支持ローラの軸心からエンコーダ外周までの距離の最少L2の部分を検出する。
【0101】
このため、検出区間Aや検出区間Bの検出時間は、検出区間Cや検出区間Dの検出時間に比べて短くなる。これは、検出区間Aや検出区間Bは、第2支持ローラの軸心からエンコーダ外周までの距離の最大L1の部分を有するため、速度が早まり、逆に検出区間Cや検出区間Dは、第2支持ローラの軸心からエンコーダ外周までの距離の最少L2の部分を有するため速度が遅くなる。
【0102】
検出手段の取り付け偏心の除去は、以下のようにして行われる。まず、一方の検出器516aで例えば検出区間B検出しているとき、もう一方の検出器516bで180°位相のずれた検出区間Dを検出する。そして第1の検出器516aで検出された時間と第2検出器516bで検出された時間とを平均することで、検出手段の取り付け偏心を除去することができる。
【0103】
検出手段の取り付け偏心の除去について具体的に説明する。図19に示す、第1検出器516aで、検出区間Aおよび検出区間Bを検出し、第2検出器516bで検出区間Cおよび検出区間Dを検出する。検出区間Aで検出される時間間隔をT1a+T2aとし、検出区間Bで検出される時間間隔をT2a+T3a、検出区間Cで検出される時間間隔をT1b+T2b、検出区間Dで検出される時間間隔をT2b+T3bとすると、補正した通過時間T1+T2、T2+T3、T2は、以下のようにあらわすことができる。
【数28】
【0104】
このようにして、補正した通過時間T1、T2、T3を上記で説明した位相と振幅を求める演算式(例えば数16)に代入する。こうすることで、第2検出手段の取付け偏心の周期変動を除去して、第2支持ローラの回転速度変動を高精度に検出できる。
【0105】
または、上記の検出器516aで求めた通過時間T1a、T2a、T3aにより第2支持ローラの回転速度変動を求め、さらに上記の検出器516bで求めた通過時間T1b、T2b、T3bにより第2支持ローラの回転速度変動を求め、この求めた2つの周期変動を合成しても、第2検出手段の取り付け偏心による周期変動が除去された第2支持ローラの回転速度変動を求めることもできる。この場合、検出器516aと516bでそれぞれ、以下の回転速度変動を検出したとする。
【数29】
【0106】
このときの、第2検出手段の取付け偏心を除去した第2支持ローラの回転速度変動は、以下の通りになる。
【数30】
【0107】
また、第2支持ローラの目標回転角速度ω2refを基準信号としてフィードバック制御するときも、第2検出手段の取付け偏心による制御誤差が発生する。この誤差を軽減するために図19の二つ検出器516a、516bそれぞれの検出器の出力により生成された速度データを比較し、その差分データの和によりモータを制御すれば第2検出手段の取付け偏心の影響を軽減できる。また、第2支持ローラの回転角速度基準ω2refとそれぞれの検出器516a、516b出力より生成された速度データの平均値と比較し、モータを制御するようにしてもよい。あるいは二つの検出器516aと516bの出力によりそれぞれ回転角速度基準ω2ref-1とω2ref-2を生成し、それぞれ二つの検出器516aと516bの出力と比較し、その差分データの和によりモータを制御するようにしてもよい。
【0108】
図19においては、180°離れた位置に第1検出器516aと第2検出器516bとを設けているが、これに限らず、任意の位置に検出器を設けても検出手段の取り付け偏心を除去することができる。また、エンコーダ盤のスリットも4つに限らず、2個であっても検出手段の取り付け偏心を除去することができる。ただし、各スリットは、180°ずらした位置に設ける必要がある。また、検出区間は、180°である必要がなく任意に設定することができる。ただし、検出区間の中間点は180°ずらす必要がある。また、検出区間の角度も同じする必要がある。しかしながら、検出区間を180°とすることで、最も検出感度を高くすることができる。
【0109】
また、本実施形態においては、第1支持ローラ17の径と第2支持ローラ14の径との比を1:4としているが、第1支持ローラ17の径と第2支持ローラ14の径との比を1:2としてもよい。図26は、第1支持ローラ17の径と第2支持ローラ14の径との比を1:2としたものである。この場合、図26に示すように、第1支持ローラ17に設けられる第1検出手段404のエンコーダ盤405には、円周上2箇所に等間隔でスリット403A、403Bが設けられている。、第2支持ローラ14に設けられる第2検出手段504のエンコーダ盤505は、図6(c)と同様に、全周にわたり複数のスリット13が等間隔で設けらている。このような構成としたものは、実施例1、実施例3に示した回転速度検出方法に好適に用いることができるが、特に、実施例3に示した回転速度検出方法に好適に用いることができる。なお、第2支持ローラ14に設けられる第2検出手段504のエンコーダ盤405を、図6(a)、(b)に示すような円周上4箇所に等間隔でスリット13が設けられているものとしても良い。第2検出手段504のエンコーダ盤505を、図6(a)、(b)に示すような円周上4箇所に等間隔でスリット13を設けた構成としたものは、実施例1に示した回転速度検出方法に好適に用いることができる。
【0110】
この図26においては、第2支持ローラ14の第1区間(図26の検出区間A)の回転時間を第1検出手段404の検出器406がエンコーダ盤のスリット403Aを検出してから、再びこのスリット403Aを検出までの時間とする。また、第2支持ローラ14の第2区間(図26の検出区間B)の回転時間を第1検出手段404の検出器406がエンコーダ盤405のスリット403Bを検出してから、再びこのスリット403Bを検出までの時間とする。これにより、第1区間、第2区間ともに、第1支持ローラ17の整数倍(1倍)にすることができ、第1支持ローラ17の偏心に起因する回転速度変動をほとんど無視することができる。その結果、良好に第2支持ローラ14の偏心および第2検出手段504の取り付け偏心に起因する変動を求めることができる。
【0111】
また、図26に示すように、第1検出手段404のエンコーダ盤405に円周上2箇所に等間隔でスリット403a、403bを設けることで、検出区間をπとし、検出区間と検出区間の位相差を(π/2)に設定することができる。
【0112】
また、上記においては、第1支持ローラ、第2支持ローラは共に従動ローラとしているが、第1支持ローラ、第2支持ローラのどちらか一方をモータから回転駆動力が伝達される駆動ローラとしてもよい。ただし、この場合、駆動ローラとベルトとの間ですべりの発生を抑制する必要がある。駆動ローラとベルトとの間ですべりあると、第1支持ローラの回転情報と第2支持ローラの回転情報とがリンクしなくなり、正確に第2支持ローラの変動成分が検出できなくなってしまう。
第2支持ローラが駆動ローラの場合は、図20に示すような従動ギヤ150のフランジに切り欠き151を設けて、この切り欠き151を検出器506で検出することで第2支持ローラの回転情報を検出するようにしても良い。また、駆動源をDCサーボモータ、ステッピングモータとした場合、DCサーボモータが持つモータ軸の回転検出器の出力信号やステッピングモータへの駆動指令値を用いて、駆動ローラの回転角速度を推定することが可能となる。つまり、上記第2支持ローラに設置する検出器の替わりに、モータの駆動信号あるいは、モータ軸の回転検出器の出力から検出区間の回転角速度を求めることができる。
【0113】
第2支持ローラを駆動ローラとした例で説明すると、駆動ローラは、歯車等で構成された駆動伝達機構を介して、駆動源のDCサーボモータ(または、ステッピングモータ)が接続されている。このため、DCサーボモータ(または、ステッピングモータ)の回転角速度を制御することで、駆動伝達機構の伝達誤差が生じてしまうが、直接駆動ローラ(第2支持ローラ)の回転角速度を制御することができる。このため、第2検出手段の検出信号に基づき、駆動ローラを一定の角速度に回転させて、駆動ローラ(第2支持ローラ)の周期変動を求めることができる(実施例3の手法)。また、第1支持ローラを駆動ローラとした場合は、第1支持ローラを一定の角速度で回転させて、第2支持ローラに設けた検出手段の検出信号に基づき第2支持ローラの回転速度変動を求める手法(実施例2の手法)を用いることができる。もちろん、実施例1の手法を用いても、駆動ローラ(第2支持ローラ)の周期変動を求めることができる。
【0114】
以下に第2支持ローラを駆動ローラとした具体例について説明する。まず、実施例1の手法を用いた例について、説明する。
【0115】
図27は、DCサーボモータを用いたベルト駆動装置を画像形成装置の中間転写ベルトの駆動に用いた概略構成図である。図27に示すように、駆動ローラ15には、第2検出手段504たる1周512パルスを出力する高分解能のロータリエンコーダが設けられている。高分解能のロータリエンコーダを用いることで、モータ7や歯車11、12の回転周期変動を十分検出することができる。また、駆動ローラ14やロータリエンコーダ504の偏心による速度変動を検出するために第1支持ローラ17に取り付けられた、検出手段(第1検出手段)404は、先の図26と同様に、ロータリエンコーダ504の径との比が1:2で、円周上等間隔で2箇所のスリット403a、403bが設けられたエンコーダ盤405と検出器406とで構成されている。
【0116】
中間転写ベルト10に用いたベルト駆動装置において、最も精度よく制御したいベルト搬送領域は、感光体ドラム40上に形成された画像を中間転写ベルト10に転写する1次転写面である。このため、ベルトの速度を制御する第2回転検出手段504が設置される第2支持ローラたる駆動ローラ15は、1次転写面の端部に設置することが好ましい。これは、図27のベルト駆動制御装置では、第2支持ローラたる駆動ローラ15の回転情報と目標回転情報との差分を基にモータの駆動信号を生成することから、駆動ローラ15に巻き付いているベルト及びその近辺が最も精度よくベルトの速度を制御することができるためである。第2支持ローラたる駆動ローラ15を1次転写面の端部とは異なる部分(例えば、図27の支持ローラ16)に設置すると精度が低下する。この現象に関しては後で詳細に述べる。また、第1支持ローラ17は1次転写面のもう一方の端部に設置するのが好ましい。これは、第2支持ローラたる駆動ローラ15の偏心や第2検出手段504たるロータリエンコーダの取付け偏心による変動成分を認識するための回転情報を得る上で、駆動ローラ15との間にベルトが巻き付いた支持ローラが無い方が、精度が高いためである。この点についても後で詳細に述べる。
【0117】
図27に示すように、ベルト駆動装置は、制御部8とロータリエンコーダ504のパルス信号が入力されるカウンタ9とを備えている。制御部8の構成は、先の図5に示した制御部8と同様であるので、説明は省略する。カウンタ9は、同期型8ビットカウンタで構成され、128個のパルスが入力される毎に1個のパルスを制御器8に出力するように設定されている。つまり、第2支持ローラ1周に4パルスの信号22がカウンタ9から制御器8に送信される。このようなカウンタ9を設けることで、図6(b)に示した円周上4箇所に等間隔でスリット13を設けたエンコーダ盤505を備えた第2検出手段と同様な出力パルスを制御部8へ出力することができる。また、カウンタ9とロータリエンコーダ504とで4つのパルス信号を制御部8に送るよう構成することで、図6(b)に示した、第2検出手段を円周上4箇所に等間隔でスリット13を設けたエンコーダ盤505としたものに比べて、第1検出手段404のスリットの検出器通過タイミングと第2検出手段504のスリット13の検出器通過タイミングとの調整を容易に行うことができる。これは、第1検出手段404の検出器406がパルス信号を送信するタイミングで制御部8からカウンタ9へ同期信号が送られる。同期信号を受信したカウンタ9は、現在のカウント数値をリセットして再び0からカウントアップを開始する。これにより、ロータリエンコーダ504の任意のスリットを、第1検出手段404のスリットの検出器通過タイミングと同じにすることができるからである。
【0118】
駆動モータ7を等速で回転させる実施例1の手法では、第2検出手段であるロータリエンコーダ504にロータリエンコーダの取り付け偏心による速度変動成分が検出され、第1検出手段404に駆動ローラ15の偏心による速度変動成分が検出される。その結果、駆動ローラ15の偏心による速度変動成分は、第1検出手段404の検出データから得られる第1区間(図中A1区間)の時間(T11+T12)および第2区間(図中B1区間)の時間(T12+T13)として表れる。一方、ロータリエンコーダ504の取り付け偏心による速度変動成分は、ロータリエンコーダ504の検出データから得られる第1区間(図中A2区間)の時間(T1+T2)および第2区間(図中B2区間)の時間(T2+T3)として表れる。よって、第1検出手段404の検出データから得られる各区間の時間間隔および第1検出手段404の検出データから得られる各区間の時間間隔から、駆動ローラ17の偏心およびロータリエンコーダ504の取付け偏心による速度変動成分の振幅A、位相αを求めることができる。
【0119】
図27に示すベルト駆動装置は、ロータリエンコーダ504とカウンタ9を用いているため、カウンタ9の同期処理を行う以外は、上述した実施例1と同様の処理を行って振幅A、位相αを算出することができる。同期処理は、ローラ径比を求めた後に行われる。まず、制御器8は、第1検出手段404のスリットを検出したパルス信号20の受信と同時にカウンタ9へ同期パルス信号23を出力する。カウンタ9は、同期パルス信号23を受信すると現在のパルスカウント値をリセットして、次のパルス信号からカウントアップを開始する。例えば、第1支持ローラ17のスリット403Bを検出したタイミングで、制御器8は同期パルス信号を出力する。すると、カウンタ9のカウント値がリセットされ、再カウントした駆動ローラ15の最初のスリット13が駆動ローラ15のホーム位置と設定される。スリット13の設定後は、13を基準に1周4パルスがカウンタ9から出力される。この出力パルスは、第1ローラのスリット403の通過検知タイミングと同期する。このような同期処理の後に、通過時間間隔の計測を開始する。なお、このような同期処理は、駆動ローラが目標の回転速度に達した後に行っても良い。
【0120】
そして、カウンタ9から出力されるパルス信号に基づいて、時間間隔T1、T2、T3を計測して、メモリに記憶する。また、第1検知手段404の検出器406から出力されるパルス信号に基づいて、時間間隔T11、T12、T13を計測して、メモリに記憶する。第1支持ローラ17の図中区間A1における時間間隔(T11+T12)に基づいて、平均角速度ω02−1を算出し、第1支持ローラ17の図中区間B1における時間間隔(T12+T13)に基づいて、平均角速度ω02−2を算出する。そして、カウンタ9から出力されるパルス信号に基づいて計測された時間間隔T1、T2、T3および算出された平均角速度ω02−1、ω02−2を数17に代入することで、振幅A,位相αを求めることができる。
【0121】
このようにして得られた振幅Aおよび位相αから得られるベルト移動速度が一定のときの第2支持ローラ(駆動ローラ)の目標回転角速度ω2refは、数18に示すようになる。
【0122】
上記数18に示した駆動モータのフィードバック制御を行う場合は、第2支持ローラが駆動ローラ15の場合は、第2検知手段504の出力結果と目標回転角速度ω2refとに基づいて駆動モータ7のフィードバック制御を行う。具体的には、比較器などで第2検知手段504の出力結果と目標回転角速度ω2refとの差分を算出するのである。差分を算出することで、第2検知手段504の検知結果から、第2検知手段504の取り付け偏心の変動成分が除去される。その結果、算出された駆動ローラ15の偏心による変動成分と、第2検知手段504の検知結果として得られたギヤ11、12やモータ7などの変動成分とが抽出される。そして、この抽出された変動成分を打ち消すように、駆動モータ7を制御すれば、ベルトを等速で回転させることができる。
また、図27に示すように、第2検出手段の信号をフィードバック制御用の信号19と、カウンタ9を用いて駆動ローラ15の偏心や第2検出手段504の取付け偏心に起因する回転速度変動を検出するための信号22を同時に生成して制御器8に送信している。これによって、フィードバック制御中に、逐次駆動ローラ15の回転速度変動の算出及び更新を行うことができる。その結果、環境、経時変化に対応した高精度なフィードバック制御を実現することができる。
【0123】
次に、駆動ローラ15やロータリエンコーダ504の偏心による速度変動を先に示した実施例3を利用して検出する方法について説明する。この場合は、第2検出手段たるロータリエンコーダ504の検出結果から、駆動ローラ15を等速で回転させるように制御する。これにより、ギヤ11、12やモータ7などの変動成分を除去することができる。しかし、ロータリエンコーダ504の検出結果から、駆動ローラ15を等速で回転させるように制御することで、駆動ローラ15の偏心およびロータリエンコーダ504の取り付け偏心の影響でベルトの移動速度が周期変動する。このベルトの周期変動が第1支持ローラ17に検知される。そして、実施例3同様に、駆動ローラ15の第1区間(図27の検出区間A)の回転時間を第1検出手段404の検出器406がエンコーダ盤405のスリット403Aを検出してから、再びこのスリット403Aを検出までの時間と、駆動ローラ15の第2区間(図27の検出区間B)の回転時間を第1検出手段404の検出器406がエンコーダ盤405のスリット403Bを検出してから、再びこのスリット403Bを検出までの時間と、を用いて連立方程式をたてる。すると、数21のような行列を導出することができ、この行列を解く事で、駆動ローラ15の偏心およびロータリエンコーダ504の取り付け偏心による速度変動成分の振幅Aおよび位相αを求めることができる。これにより、数22に示すような、ベルトの移動速度が一定となるような駆動ローラ15の回転角速度(目標角速度ωref)が得られる。そして、上述同様に、第2検知手段504の出力結果と目標回転角速度ωref2との差分に基づいて駆動モータ7のフィードバック制御を行うことで、ベルトを所望の速度で回転駆動制御することができる。
【0124】
また、第2検知手段504を、ロータリエンコーダのような高性能なエンコーダとした場合は、第2支持ローラの回転角情報θから、第2支持ローラの偏心およびロータリエンコーダの取り付け偏心による変動成分を算出することもできる。以下に、第2支持ローラの回転角情報θから、第2支持ローラの偏心およびロータリエンコーダの取り付け偏心による変動成分を算出する方法について説明する。
【0125】
回転角による第2支持ローラの偏心およびロータリエンコーダの取り付け偏心による変動成分の算出も図27のベルト駆動装置を用いることができ、基本的なフローは、回転時間による算出手法と同じである。ここでは、回転時間による算出手法と異なる点について説明する。
図27に示すベルト駆動装置を用いて行う場合は、カウンタ9を同期型8ビットカウンタで構成し、現在のカウント数のデジタル値(カウントデータ)を制御部8へ出力するように設定する。この出力されたカウントデータに基づき、制御部8は第2支持ローラの周期変動の演算を行う。つまり、第2支持ローラの累積回転角情報が第2ローラ周期変動演算処理部に送られるのである。
【0126】
次に、回転角による第2支持ローラの偏心および第2検出手段の取り付け偏心による変動の検出処理を説明する。
まず、制御器8はDCサーボモータを回転させて、ベルトを駆動させる。モータの回転状態は、回転角検出時のローラとベルト間のすべりが微少となるように、回転速度が安定した状態である。次に、同期処理と第2支持ローラの回転位相基準となるホーム位置の設定を行う。同期処理と第2支持ローラのホーム位置の設定は、上述と同様であるので省略する。
【0127】
ホーム位置を設定したら、このホーム位置に基づき、ローラ径比を求める。第1検知手段404のパルス信号と同期した第2検知手段504のホーム位置を設定したら、カウンタ9で第2検知手段504から出力されるパルス信号をカウントする。そして、第1検知手段404のパルス信号が出力されたら、そのときのカウント数をカウントデータC1として記憶する。次の第1検知手段404のパルス信号が出力されたら、そのときのカウント数をカウントデータC2として記憶する。同様にして、カウントデータC3も記憶していき、第2支持ローラ1回転で3個のカウントデータを記憶する。そして、これらのカウントデータに基づき、第1検知手段404のパルス信号が出力されたときの第2支持ローラのホーム位置からの回転角θを算出する。具体的には、ホーム位置をθ0とし、カウントデータC1から算出される回転角をθ1とし、カウントデータC2から算出される回転角をθ2とし、カウントデータC3から算出される回転角をθ3とする。回転角θ1、θ2、θ3は、第1支持ローラ17が半回転したときの第2支持ローラ15の回転角であるから、第1支持ローラ17が1回転したときの第2支持ローラ15の回転角は、θ2、(θ3−θ1)として表すことができる。そして、これら算出された回転角θ2または(θ3−θ1)から第1支持ローラ17の径R1と第2支持ローラの径R2との径比(R1/R2)を求める。
【0128】
次に、第2支持ローラのホーム位置θ0を基準とした各回転角θ1、θ2、θ3と、第1支持ローラと第2支持ローラとの径比(R1/R2)用いて、第2支持ローラ15の偏心および第2検出手段504の取り付け偏心による変動成分の算出処理を実行する。具体的には、第2支持ローラ15の偏心および第2検出手段504の取り付け偏心による回転角変動の振幅A´とホーム位置θ0を基準とした位相α´とを算出する。具体的には、第1支持ローラ17が第1区間(図27おける検出区間A1)回転する間に第2支持ローラ15が回転した回転角と、第1支持ローラが第2区間(図27おける検出区間B1)回転する間に第2支持ローラが回転した回転角とから求める。第1支持ローラ17の第1区間A1は、図27に示す第2支持ローラ15の第1検出区間A2とほぼ一致する。また、第1支持ローラ17の第2区間B1は、図27に示す第2支持ローラの第2検出区間B2とほぼ一致する。そして、第1支持ローラ17が第1区間A1回転する間に第2支持ローラが回転した回転角は、(θ2−θ0)であり、第1支持ローラ17が第2区間B1回転する間に第2支持ローラが回転した回転角は、(θ3−θ1)である。このように、第1支持ローラ17が1回転する間に第2支持ローラ15が回転した回転角(θ2−θ0)、(θ3−θ1)に基づき振幅A´、位相α´を算出することで、上述同様に第1支持ローラ17の偏心や第1検出手段404の取り付け偏心の影響を無視することができる。
【0129】
以下に、第2支持ローラ15の偏心および第2検出手段504の取り付け偏心による回転角変動の振幅A´と位相α´を算出する方法について説明する。
【0130】
まず、第2支持ローラ15の偏心等による回転角変動を含む第2支持ローラ15の回転角θ2を以下のように規定する。
【数31】
ここで、数31の右辺第1項のθ02は、ベルトの搬送に伴い回転する第2支持ローラ15の理想回転角である。ベルト移動量をローラの回転角に変換したものに等しい。つまり、第2支持ローラ15の偏心等が無く、理想的なローラおよびエンコーダであれば、θ2=θ02となる。この回転角に振幅A´、位相α´の第2支持ローラ15の偏心や第2検出手段504の取付け偏心による回転角変動成分を示す右辺第2項が重畳されている。
【0131】
ここで、第1支持ローラ17が第1区間A1回転(整数回転)する間に第2支持ローラ15が回転する理想回転角θ02は、以下のように表すことができる。
【数32】
第1区間A1で第1支持ローラ17は、1回転するので、N=1である。また、第1支持ローラ17と第2支持ローラ15の径比(R1/R2)は、先述の検出データにて求められた値を用いる。
【0132】
そして、第1支持ローラ17が第1区間A1回転する間に第2支持ローラ15が回転した回転角(θ2−θ0)と、数32から、数31は、次のように表すことができる。
【数33】
【0133】
第1支持ローラ17が第2区間B1回転する間に第2支持ローラが回転した回転角は、(θ3−θ1)であり、第2区間B1で第1支持ローラ17もまた整数回転するので、θ02も、数32で表すことができるので、数31は、次のように表すことができる。
【数34】
【0134】
上記数33および数34を変形し導出される以下に示す連立方程式を解く事で第2支持ローラ15の偏心および第2検出手段504の取り付け偏心による回転角変動の振幅A´、位相α´を求めることができる。
【数35】
【0135】
上記数35に基づき求められた第2支持ローラ15の回転角変動の振幅A´とホーム位置を基準とした位相α´の数値をデータメモリに記憶し、第2支持ローラ15の目標回転角θ2refを設定する。また、検出精度を上げるために、これらの動作を繰り返して、複数の振幅A´、位相α´の平均値を求めても良い。
【0136】
数35の方程式により求められた振幅A´と位相α´とから、ベルトが一定量で移動したときの第2支持ローラ15の回転角(目標角)θ2refを生成し、そのデータに基づきフィードバック制御を行う。
図27に示すように、ベルト移動量が一定のときの第2支持ローラの回転角(目標回転角)θ2refは、以下のように表すことができる。なお、θ02´は、第2支持ローラ回転角である。
【数36】
【0137】
第2支持ローラが駆動ローラの場合は、第2検出手段の検出結果と目標回転角θ2refとを差分を算出して、第2検出手段の取り付け偏心成分を除去して、算出された駆動ローラの偏心による回転角変動成分と、第2検出手段で検出されたモータやギヤなどの回転角変動成分とを抽出し、これらの駆動ローラの偏心による回転角変動成分とモータやギヤなどの回転角変動成分が打ち消されるように、駆動モータ15のフィードバック制御を行う。
【0138】
また、第2支持ローラが従動ローラの場合は、第2検知手段の検知結果が目標回転角θ2refとなるように駆動モータ7のフィードバック制御を行う。ここで、θ02´は、第2支持ローラの回転角である。第2支持ローラの回転角θ02´は、ベルト搬送量を第2支持ローラの半径で除算したものであり、ベルト搬送量は、駆動モータの回転数と駆動ローラの半径とを乗算したものである。
【0139】
このように、第2検出手段504として、高分解能のロータリエンコーダを用いた場合は、回転角情報に基づいてもベルトを一定速度で搬送するようフィードバック制御が可能となる。
【0140】
また、ベルトの搬送速度が一定にもかかわらず、第2支持ローラの回転角速度が変位する要因として、上記の第2支持ローラの偏心やエンコーダの取り付け偏心による周期変動のほかに、ベルトの周方向の厚み変動がある。ベルトの周方向の厚み変動があると、第2支持ローラの回転速度に変動が生じるメカニズムを以下に説明する。ベルトに厚みの変動が存在すると、ベルトを駆動する駆動ローラ上にベルト厚の厚い部分が巻き付いているときにはローラの回転速度は遅くなり、反対にベルト厚の薄い部分が巻き付いているときにはローラの回転速度が遅くなる。そのため、ベルト移動速度が一定であっても、ローラの回転速度に変動が生じる。これは、数1に示したように、ローラの偏心を考慮しない場合、ベルト速度Vとローラの回転角速度との関係は、V=R×ωであるからである。
ローラにベルトが巻き付いて搬送していると、ベルトがローラに巻き付く際にベルト内側(ローラと接触する側)では縮みが、ベルト外側では伸びが発生する。このようなベルト体の変形に伴い、ベルト速度とローラの回転角速度との関係を決定するRがローラ中心からローラ表面までの距離でなく、ベルト膜厚の中心部までの距離となる。つまり、V=(R+1/2×B)ωとなる。(B:ベルト厚み)このことから、ベルトが一定速度の場合、ベルトの厚みBが変化するとR+1/2×B(以下ローラの実効半径)が変化し、ローラの回転が変動する。
【0141】
そこで、第1支持ローラと第2支持ローラとの回転情報(回転速度)からベルト厚み変動による第2支持ローラの回転速度変動を検出して、この検出結果から第2支持ローラの検出誤差を補正するようにしても良い。
まず、ベルト1周における厚み変動の検出を行う。ベルト厚み変動の検出は、ベルトを1周回以上駆動し、第1支持ローラと第2支持ローラとからそれぞれ回転速度を得る。このとき、ローラ偏心による周期変動も検出されてしまうため、ベルトの厚みによる回転速度変動の検出を行う場合は、ローラの回転周期の帯域を遮断するフィルタを用いて、第1支持ローラと第2支持ローラとの回転速度を得る。それぞれの回転速度には、ベルトの厚み変動に起因した回転速度変動が含まれている。2つの回転速度には、ローラの径や位置関係によって、位相や振幅の異なるベルト厚み変動による回転速度変動が検出される。しかし、2つのローラ位置関係やローラ径などの予め設計時に既定されるパラメータを用いることで、ベルトの厚み変動による回転速度変動を算出することができる。そして、算出されたベルト厚み変動による回転速度変動データを用いて、第2支持ローラのベルト厚み変動による回転速度変動を補正する。
ベルトの厚み変動による回転速度変動を算出して、第2支持ローラのベルト厚み変動による回転速度変動を補正したら、先程のフィルタを外して上記した方法に基づき第2支持ローラの偏心による回転速度変動を算出する。このとき、第1支持ローラおよび第2支持ローラの回転情報は、ベルトの厚み変動による回転速度変動が補正された回転情報となっている。よって、より正確な第2支持ローラの回転速度変動を求めることができる。この補正された回転情報に基づき第2支持ローラの回転速度変動を算出したら、先程設定した帯域遮断フィルタをはずして、再び、ベルト厚み変動による回転速度変動を検出する。このとき、第2支持ローラの回転情報は、第2支持ローラの偏心などによる回転速度変動が除去されたものとなっているので、帯域遮断フィルタをはずしても、第2支持ローラの回転速度変動から算出されるベルト厚み変動による回転速度変動に誤差が生じることがない。また、この2回目のベルト厚み変動による回転速度変動の検出で、より帯域の広い(より複雑な変動の)ベルト厚み変動による回転速度変動の検出が可能となり、より正確なベルト厚み変動による回転速度変動を算出することができる。
このようにして、求められたベルト厚み変動による回転速度変動と第2支持ローラの偏心および第2検出手段による回転速度変動とを用いて、フィードバック制御を行うときの目標となる第2支持ローラの目標回転速度を求めて、フィードバック制御を行う。このとき求められる第2支持ローラの回転速度は、ベルト厚み変動による回転速度変動と第2支持ローラの偏心および第2検出手段による回転速度変動とを考慮にいれたものであるので、より高精度にベルト搬送を制御することができる。
【0142】
また、本実施形態では、第1支持ローラを第2支持ローラと駆動ローラとの間に設け、且つ第2支持ローラと駆動ローラとの間に第1支持ローラ以外のローラを設けないようにすることが好ましい。上記第1支持ローラや第2支持ローラなど、従動ローラに偏心があると、その偏心によりベルトの経路長が変わりその影響が、偏心したローラから駆動ローラを介さずテンションローラを結んだ経路に設けられたローラに及んでしまう。
これを図21を用いて具体的に説明する。図21のベルト駆動装置には、駆動ローラ15、テンションローラ16、そして従動ローラとして、第1支持ローラ17、第2支持ローラ14が設けられている。例えば、図21に示すように、第1支持ローラ17が偏心している場合、第1支持ローラ17の偏心により、ベルト10が図中点線と実線との間を変動する。そして、このような変動は、第1支持ローラ17の回転周期を1周期とする変動成分である。例えば、ベルト10が実線から点線に変動したときは、テンションローラ16が図中上側に移動する。一方、ベルトが点線から実線に移動すると、テンションローラ16が図中下側に移動して、ベルト10が撓むのを防止している。駆動ローラ15は、ベルトとすべりなどが発生しないように巻き付いている。このため、ベルト10が点線から実線に移動したときの撓み分は、駆動ローラ15を介さず、第2支持ローラ14を介して、テンションローラ16に吸収される。つまり、第1支持ローラ17が点線から実線まで移動するとき、ベルト10はテンションローラ16によって、搬送方向と逆方向に引っ張られ、テンションローラ16から第2支持ローラ14を介し第1支持ローラ17までの搬送経路のベルト移動速度が他の位置のベルト移動速度よりも遅くなる。また、第1支持ローラ17が実線から点線に移動するときは、第1支持ローラ17によって、ベルトが搬送方向と順方向に引っ張られるため、テンションローラ16から第2支持ローラ14を介し第1支持ローラ17までの搬送経路のベルト移動速度が他の位置のベルト移動速度よりも早くなる。その結果、第2支持ローラ14の回転速度が第1支持ローラ17の偏心により、変動する。
一方、第2支持ローラ14が偏心により変動している場合は、テンションローラ16と第2支持ローラ14との間のベルト搬送経路でベルト速度変動が起こり、第1支持ローラ17には、第2支持ローラ14の偏心によるベルト速度変動の影響がない。
【0143】
上述したように、第1支持ローラ17は、第2支持ローラ14の整数倍とし、さらに第2検出手段504の各スリット13の間隔と同じにしている。このため、第2支持ローラ14に上記のような第1支持ローラ17の偏心によるベルト速度変動が生じても、第2支持ローラの偏心や第2検出手段の取り付け偏心による第2支持ローラの回転速度変動の導出においては、このベルト速度変動の影響をほとんど無視することができる。
また、第2支持ローラ14と駆動ローラ15との間に第1支持ローラ17以外の第3のローラ170を設けた場合、この第3のローラ170の偏心によるベルト速度変動が、第1支持ローラ17および、第2支持ローラ14に影響し、第1支持ローラ17の回転角速度や第2支持ローラ14の回転角速度が変動して、精度よく第2支持ローラ14の回転速度変動を算出することができなくなり、好ましくない。しかしながら、ベルトと巻きつきが少なく、偏心の影響の少ないローラであれば、設けることも可能である。
一方、逆に第1支持ローラ17と駆動ローラ15との間に第2支持ローラ14を設けた場合は、第1支持ローラ17に第2支持ローラ14の偏心によるベルト速度変動の影響により、第1支持ローラの回転情報を正しく検出できなくなり、好ましくない。
【0144】
また、感光体等の作像ユニットは、第2支持ローラよりもベルト搬送方向下流側に設けることが好ましく、図21に示すEの区間、すなわち、第2支持ローラと第1支持ローラとの間に設けることが好ましい。これは、第2支持ローラの回転角速度に基づいて、ベルトが一定速度で搬送されるよう、フィードバック制御しているためである。すなわち、駆動伝達系の周期変動などを第2支持ローラで補正しながら、第2支持ローラが目標回転角速度となるように、フィードバック制御するため、ベルトが第2支持ローラの巻き付きを抜けたところが他の変動成分の影響が最も少なく、最もベルト一定速度に移動しているところと言える。よって、第2支持ローラよりもベルト搬送方向下流側に作像ユニットを設けることで、バンディング画像の影響を少なくすることができる。また、作像ユニットを第2支持ローラと第1支持ローラとの間Eの区間に設けることで、作像ユニットを第2支持ローラと最も近い区間に設けることができ、より確実にバンディング画像の影響を少なくすることができる。
【0145】
また、第1支持ローラ17に偏心がある場合、第2支持ローラ14では、第1支持ローラのベルト変動成分が検出できなため、図21のEの区間で速度が変動してしまう。このように、第1支持ローラ17に偏心がある場合は、第1支持ローラ17と駆動ローラ15との間に感光体を設けることが好ましい。
【0146】
また、作像ユニットを図21に示す、テンションローラ16と第2支持ローラとの間の区間Fに設けると、第2支持ローラ14の偏心により、区間Fでベルト移動速度に変動が生じる場合があり、作像ユニットを区間Fに設置するのは好ましくない。しかし、以下に示す方法により、Fの区間におけるベルト搬送速度を一定にすることができ、Fの区間に作像ユニットを配置しても、良好に画像を形成することができる。
【0147】
F区間におけるベルト搬送速度を一定にする方法は、まず、第2検出手段を図19に示す2つの検出器を有するものを使用して、上述した方法でエンコーダ盤の取り付け偏心を除去する。すなわち、補正した通過時間T1、T2、T3で振幅および、位相を求める演算を実行する。この演算により求められた振幅と位相は、エンコーダ盤の取り付け偏心が除去された通過時間を用いて算出されたものであるので、第2支持ローラの偏心による回転速度変動成分ということができる。この第2支持ローラの偏心による回転速度変動成分の位相と振幅を数31に示すような式に代入することで、第2支持ローラの偏心によるベルトの移動量(変動量)ΔLBCを算出することができる。
【数37】
【0148】
上記数37について図25を用いて説明する。図25は、回転中心OA’から第2支持ローラの中心OAがε2だけ偏心した図である。ベルトの移動量(変動量)ΔLBCは、図25に示すテンションローラ16の中心OCと第2支持ローラの回転中心OA’とを結ぶ線分XACと、第1支持ローラ17の中心OBと第2支持ローラの回転中心OA’とを結ぶ線分XABとを基準にして求めらる。すなわち、テンションローラ16の中心OCと第2支持ローラの中心OAとを結ぶ線分ACの線分XACに対する変動量ΔLACと、第1支持ローラの中心OBと第2支持ローラの中心OAとを結ぶ線分ABの線分XABに対する変動量ΔLABとから第2支持ローラの偏心によるベルトの移動量(変動量)ΔLBCを算出している。
【0149】
ΔLACは、数31に示すように、LACとLAC´との差分で表すことができる。LACは、テンションローラの中心OCと第2支持ローラの中心OAとを結ぶ線上にある第2支持ローラの点A2から、テンションローラ16のベルトの巻き付き開始点Cまでのベルト経路長である。LAC´は、偏心量ε2が0のとき、すなわち、第2支持ローラの中心OAが、回転中心OA’のときのテンションローラまでのベルト経路長である。具体的には、テンションローラ16の中心OCと第2支持ローラ14の回転中心OA’とを結ぶ線上にある第2支持ローラ上の点A2’から、テンションローラ16のベルトの巻き付き開始点Cまでの距離である。
【0150】
同様に、ΔLABは、数31に示すように、LABとLAB´との差分で表すことができる。LABは、第1支持ローラの中心OBと第2支持ローラの中心OAとを結ぶ線上にある第2支持ローラの点A1から、第1支持ローラ17のベルトの巻き付き開始点Bまでのベルト経路長である。LAB´は、偏心量ε2が0のとき、すなわち、第2支持ローラの中心OAが、回転中心OA’のときの第1支持ローラ17までのベルト経路長であり、第1支持ローラ17の中心OBと第2支持ローラ14の回転中心OA’とを結ぶ線上にある第2支持ローラの点A1’から、第1支持ローラのベルトの巻き付き開始点Bまでの距離である。
LACおよびLAB値は、第2支持ローラの中心OAが第2支持ローラの回転中心OA’を基準に回転するため、変動する。一方、LAB´とLAC´の値は、設計時に予め分かる、第2支持ローラの回転中心OA’と半径RA、テンションローラの中心OCと半径RCおよび、第1支持ローラの中心OBと半径RBから求められる数値である。
【0151】
LACは、(LOACSinφAC+RAφAC)で表すことができ、LABは、(LOABSinφAB+RAφAB)で表すことができる。
数31に示すLOACは、第2支持ローラ14の中心OAとテンションローラ16の中心OCとの距離を示しており、LOABは、第2支持ローラ14の中心OAと第1支持ローラ17の中心OBとの距離を示している。
また、φABは、第2支持ローラのベルト巻き付き角度を第1支持ローラと第2支持ローラとの関係で表したものであり、φACは、第2支持ローラのベルト巻き付き角度をテンションローラと第2支持ローラとの関係で表したものである。
【0152】
また、数31に示すLOAB’は、第2支持ローラの回転中心OA’と第1支持ローラ17の中心OBとの距離であり、LOAC’は、第2支持ローラの回転中心OA’とテンションローラ16の中心OCとの距離である。これもまた、設計時に予め求められる数値である。
【0153】
また、θAは、第2支持ローラの回転中心OA’を中心として第2支持ローラの中心OAが、線分XABまで回転したときの回転角度である。一方、θBは、第2支持ローラの回転中心OA’を中心として第2支持ローラの中心OAが、線分XACまで回転したときの回転角度である。
【0154】
また、ηAは、第2支持ローラの回転中心OA’と第2支持ローラのベルト巻き付き部分の中央部(巻き付き角の1/2)の点Xとを結ぶ線分上に第2支持ローラの中心OAが位置しているときのθAである。ηBは、第2支持ローラの回転中心OA’と第2支持ローラのベルト巻き付き部分の中央部(巻き付き角の1/2)の点Xとを結ぶ線分上に第2支持ローラの中心OAが位置しているときのθBである。
ηAとηBとは、設計時に判明する線分XAC、線分ABと、巻き付き角から予め求めることができる。
【0155】
偏心量ε2は、上記で求められた第2支持ローラ14の偏心による回転速度変動成分の振幅Aに相当する。また、位相αは、第2支持ローラ14の偏心による回転速度変動成分の位相αである。また、回転角速度ωAは、第2支持ローラ一周期の平均回転角速度であり、第2支持ローラ14の偏心による回転速度変動成分の検出時のデータを基に求めることができる。
【0156】
これら、設計時に予め求められる、LAB’、LAC’、LOAB’、LOAC’、ηA、ηB、ωAおよび、上記演算で求められた偏心量ε2(振幅A)、位相αから、移動量(変動量)ΔLBCが算出される。
【0157】
この数31から求められた第2支持ローラの偏心によるベルトの変動量と、第2支持ローラの偏心による回転速度変動成分の位相と振幅に基づいてフィードバック制御を行う。その結果、上記第2支持ローラの偏心によるベルト変動量が加味されたフィードバック制御が行われるので、F区間のベルト速度変動が抑制され、良好な画像を形成することができる。
【0158】
また、例えば、画像形成装置の設計等の都合上、図22に示すように、第2支持ローラ14と第1支持ローラ17との間に第3のローラ170が設けられてしまう場合がある。このような場合、第2支持ローラ14は、第3のローラ170の偏心によるベルト移動変動の影響を受けて回転する。このため、第2支持ローラ14の回転速度変動を補正して、第2支持ローラ14の回転角速度を用いてベルト速度を制御する場合、第3のローラ170の偏心によって発生したベルト速度変動が考慮されたフィードバック制御がなされる。このとき、感光体などの作像ユニットを第3のローラ170と第2支持ローラ14との間の作像区間Fに設けることができれば、この領域では、ベルト速度変動が発生せずに良好な画像が形成できる。しかし、画像形成装置の設計等の都合上、第3のローラ170と第1支持ローラ17との間の作像区間Eに作像ユニットを設けなくてはならない場合がある。作像区間Eには、第3ローラ170の偏心による影響がないため、上述のフィードバック制御を行った場合、この間に第3ローラ170の偏心によるベルト速度変動が発生する。このような場合は、第3ローラ170を第2支持ローラ14と同じ径とすると良い。これにより、第2支持ローラ14と第3ローラ170とが同じ周期となり上記の方法で第2支持ローラ14の回転速度変動を検出すると、その検出結果は、第3ローラ170の偏心によるベルト変動による回転速度変動と第2支持ローラの偏心及び第2検出手段の取り付け偏心による回転速度変動とが合成されたものとなる。よって、この検出結果に基づいて第2支持ローラの目標回転角速度を求め、この求めた目標回転角速度でフィードバック制御を行えば、第3ローラの偏心によるベルト速度変動は、駆動モータにフィードバックされない。よって、作像区間Fには、第3ローラ170の偏心によるベルト速度変動が生じるが、作像区間Eでは、第3支持ローラ170の偏心によるベルトの速度変動が現れず、良好に画像を形成することができるようになる。
【0159】
(1)
以上本実施形態のベルト駆動制御方法によれば、速度検出対象回転体としての第2支持ローラの偏心などに起因する第2支持ローラの一回転周期の回転速度変動を数12に示すような簡単なパラメータを用いて正弦波の数式として規定する。そして、第2支持ローラが一回転する間に第2支持ローラが既定回転角を回転するときの回転時間をそれぞれ異なる位相で計測する。これらの計測した回転時間と上記数12を用いて連立方程式を立てて、解くことで振幅と位相とを導出することができる。この数式を求めるときに、第1支持回転体としての第1支持ローラの1回転するときの回転時間を用いて、第2支持ローラが既定角回転したときの平均角速度ω02を求める。これにより、第2支持ローラの既定角回転したときの回転時間を用いてベルト移動速度に起因する第2支持ローラの平均角速度ω02を算出するよりも精度よく算出することができる。これは、第2支持ローラの既定角回転したときの回転時間には、第2支持ローラの偏心による変動成分が含まれているが、第1支持ローラの1回転の回転時間には、第1支持ローラの偏心による変動成分が除去されており、ベルト移動速度の成分のみとなっているためである。
このように、本実施形態では、連立方程式に値を代入するだけで、正確に第2支持ローラの一回転周期の回転速度変動を導出することができ、従来のように周波数分解やフィルタを用いて抽出する方法に比べて、計算量を抑えることができる。その結果、高価な演算処理ソフトを用いる必要がなくなる。また、第2支持ローラが規定回転角を回転するときの時間を計測するだけで、第2支持ローラの偏心などに起因する回転速度変動を導出することができ、高価なロータリエンコーダ等を用いる必要がない。
(2)
また、本実施形態のベルト駆動制御方法によれば、第1支持ローラを等速で回転させている。このように、第1支持回転体を等速で回転させるように駆動源を制御すれば、駆動ローラの偏心による周期変動などの変動成分が第1支持ローラで除去される。これにより、第2支持ローラが既定角回転するときの回転時間に駆動ローラの偏心による周期変動などの変動成分の影響がなくなる。そして、この回転時間と上記数12の式を用いて、連立方程式を立てて第2支持ローラの偏心などに起因する回転速度変動の振幅と位相を求める。このとき用いられる回転時間には、駆動ローラの偏心による周期変動などの変動成分の影響がないため、精度良く振幅と位相とを求めることができる。また、この実施形態におけるベルト駆動制御方法においても、第2支持ローラが規定回転角を回転するときの時間を計測するだけで、第2支持ローラの偏心などに起因する回転速度変動を導出することができるため、高価なロータリエンコーダ等を用いる必要がない。
また、第2支持ローラが既定角回転するときに、第1支持ローラが1回転するように第1支持ローラの径を設定すれば、第1支持ローラに偏心があっても、第2支持ローラが既定角回転するときの回転時間に第1支持ローラの偏心による第2支持ローラの回転速度変動の影響が現れない。これは、第1支持回転体の偏心に起因する第2支持ローラの回転速度の変動は、第1支持ローラ1回転を1周期とする余弦波や正弦波などで表すことができ、1回転周期で変動成分が相殺されるためである。これにより、第1支持ローラに偏心があっても、第2支持ローラが既定角回転したときの回転時間から、第2支持ローラの偏心などに起因した第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相とを精度よく求めることができる。
(3)
また、本実施形態のベルト駆動制御方法によれば、第2支持ローラを等速で回転させ、このときの第1支持ローラの一回転の回転時間を支持ローラが1回転する間に少なくとも2回計測している。第2支持ローラを回転させることで、駆動ローラの偏心などの駆動伝達系の変動成分が除去される。しかし、第2支持ローラの偏心などに起因する回転速度変動がベルトの移動速度の変動成分として現れる。すると、第1支持ローラ回転速度が、第2支持ローラの回転速度変動により変動する。そこで、第1の支持ローラの一回転の時間を第2支持ローラが1回転する間に2回計測することで、上記数12に基づいて連立方程式を立てることができる。また、第1支持ローラの一回転の回転時間を計測しているので、仮の第1支持ローラが偏心しており、第1支持ローラの回転速度変動が発生していても、その変動の影響を無視することができる。これは、第1支持ローラの一回転周期で発生する周期変動が正弦波や余弦波として表すことができるため、第1支持ローラの一回転周期でその変動が相殺されるためである。よって、第1支持ローラの一回転の回転時間を用いて、第2支持ローラの回転速度変動の位相や振幅を正確に求めることができる。また、第1支持ローラの1回転の時間を計測するだけで、第2支持ローラの偏心に起因する第2支持ローラの回転速度変動を導出することができるため、高価なロータリエンコーダを用いる必要がない。
(4)
また、本実施形態のベルト駆動制御方法によれば、上記既定回転角をπ[rad]とすることで、第2支持ローラの変動成分の検出感度を高めることができる。
(5)
また、本実施形態のベルト駆動制御方法によれば、第2支持ローラが1回転する間で第2支持ローラが既定回転角を回転するときの回転時間を(π/2)異なる位相で計測している。これにより、確実に第2支持ローラの変動成分の検出感度を高めることができる。
(6)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2検出手段で上記した連立方程式に代入する第2支持ローラの回転情報を得る。この回転情報には、第2支持ローラの偏心などに起因する第2支持ローラの変動成分と駆動ローラの偏心等の駆動伝達系の変動成分とが含まれている。この駆動伝達系の変動成分を除去するために、第1検出手段で検出した第1支持ローラの回転情報を用いる。この第1支持ローラの回転情報にも第2支持ローラと同様に駆動伝達系の変動成分を有している。この第1支持ローラの回転情報を用いて演算手段で第2支持ローラの回転情報を補正して、第2支持ローラの回転情報から駆動伝達系の変動成分を除去する。この除去された第2支持ローラの回転情報を第2支持ローラの1周期で二つに分割し、連立方程式を立てて演算することで、分解能の低い検出手段を用いても正確に第2支持ローラの偏心に起因する第2支持ローラの回転速度変動の振幅及び位相を導出することができる。
(7)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、高分解能の第1検出手段で第1支持ローラの回転速度を検出して、この検出結果に基づき駆動ローラを制御して第1支持回転体を等速で回転させる。このように、第1支持ローラを等速で回転させることで、第2支持ローラの回転速度に駆動ローラの偏心等の駆動伝達系の変動が影響しない。その結果、第1支持回転体が等速で回転しているときに低分解能の第2検出手段で検出される第2支持ローラの回転情報には、駆動ローラの偏心等の駆動伝達系の変動の影響が検出されない。そして、第2支持ローラの回転情報の基づいて連立方程式を立てて演算することで、第2検出手段を分解能の低いものにしても正確に第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相を求めることができる。
(8)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、高分解能の第2検出手段で第2支持ローラの回転速度を検出して、この検出結果に基づき駆動源を制御して第2支持回転体を等速回転させる。このように、第2支持ローラを等速で回転させることで、第1支持ローラの回転速度に駆動ローラの偏心等の駆動伝達系の変動が影響しない。しかし、ベルトの移動速度は、第2支持ローラの回転速度変動により変動する。このベルトに発生した第2支持ローラの回転速度変動によって第1支持ローラの回転速度が変動する。この変動成分は、第1検出手段で検出されるので、第1検出段で検出された回転情報を用いることで、
第2支持ローラの回転速度の振幅と位相を正確に求めることができる。
(9)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2支持ローラを上記駆動ローラとすることもできる。
(10)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、演算手段は、第2支持ローラの第1の位置から第2支持ローラが既定回転角だけ回転するときの回転時間と、第2支持ローラの第2の位置から第2支持ローラが既定回転角だけ回転するときの回転時間とからなる回転情報に基づいて、位相および振幅を導出している。具体的には、演算手段は、これらの計測した回転時間と、第2支持ローラの回転速度変動を規定した数12に示す振幅及び位相を未知のパラメータとして含む正弦波関数とを用いて連立方程式を立てて、解くことで第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相とを導出している。このように連立方程式を解くだけで、第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相とを求めることができる。このため、従来のように第2支持ローラの回転速度変動を含んだ検出結果を周波数分解するような方法に比べて、計算量を抑えることができる。また、第2支持ローラが規定回転角回転するときの時間で第2支持ローラの回転速度変動の位相や振幅を導出することができるため、低分解能のエンコーダを用いても精度よく第2支持ローラの回転速度変動を導出することができる。
なお、実施例1および実施例2の場合は、第2検出手段で上記の回転情報(第2支持ローラが既定回転角だけ回転するときの回転時間)を取得し、実施例3の場合は、第1検出手段で上記の回転情報(第2支持ローラが既定回転角だけ回転するときの回転時間)を取得している。
(11)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、既定回転角をπ[rad]としている。これにより、第2支持ローラの回転速度変動の検出感度を高めることができる。
(12)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第1の位置と第2の位置との位相差角度を(π/2)[rad]としている。これにより、確実に第2支持ローラの変動成分の検出感度を高めることができる。
(13)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2検出手段は、検出器が第1の被検出部を検出してから規定回転角を回転した位置にある被検出部を検出するまでの時間と、検出器が第2の被検出部を検出してから規定回転角を回転した位置にある被検出部を検出するまでの時間とを計測するようにしている。このように、被検出部の検出して時間を計測することで、容易に第2支持ローラが規定回転角だけ回転するときの時間を計測することができる。
(14)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、上記第1支持ローラの1回転の周長が、被検出部間の周長の整数倍としている。これにより、第2支持ローラが規定回転角を回転するときに、ほぼ第1支持ローラが整数倍回転するようにできる。よって、規定回転角を回転するときの時間に第1支持ローラの偏心などの変動の影響が及ぶことが抑制される。これは、第1支持ローラの偏心などの変動成分は第1支持ローラを1回転とする正弦波または余弦波で表すことができ、第1支持ローラが1回転することで、その変動分が相殺されるためである。
また、第1の被検出部と第2の被検出部との間においてもほぼ第1支持ローラが整数倍回転する。第1被検出部と第2被検出部との位相に第1支持ローラの影響が及ぶのを抑制することができる。
(15)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2支持ローラの径が、第1支持ローラの径の4n(nは自然数)倍としている。これにより、第2支持ローラがπ[rad]回転したときおよび(π/2)[rad]回転したときに、第1支持ローラが丁度整数倍回転するようになる。これにより、規定回転角がπ[rad]で、第1の位置と第2の位置との位相差角度が(π/2)[rad]としている第2支持ローラにおいて、規定回転角回転するときの回転時間計測時に第1支持ローラの偏心などによる変動成分の影響を抑制することができる。
(16)
また、すくなくとも、上記第2支持ローラの径と上記第1支持ローラの径の比を2:1とすれば、図26に示すように、規定回転角がπ[rad]で、第1の位置と第2の位置との位相差角度が(π/2)[rad]としている第2支持ローラにおいて、規定回転角がπ[rad]回転したときに第1支持ローラが1回転するように設定することができる。
(17)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2検出手段は、被検出部のひとつを上記演算手段が第2支持ローラの1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出するときの基準となるホーム位置としている。よって、第2検出手段とは別に、第2支持ローラにホーム位置と、このホーム位置を検出する検出手段を設ける必要がない。
(18)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、上記ホーム位置を、導出した位相および振幅に基づいて駆動源を制御するときの基準位置としている。これにより、駆動源を制御するとき、導出した位相および振幅から求められた第2支持ローラの回転速度変動と第2支持ローラの回転速度変動を合わせることができ、正確にベルト駆動制御を行うことができる。
(19)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2検出手段は、少なくと3つの被検出部を備えている。これにより、2つの被検出部を規定回転角回転したときの回転時間を計測するための基準とし、もうひとつの被検出部をホーム位置用にすることができる。
(20)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2検出手段は、第1の検出器と第2の検出器とを備え、第2の検出器は、第1検出器で検出した被検出部と180°位相がずれた位置の被検出部を検出している。これにより、第2の検出器で検出される回転情報は、第1の検出器で検出される回転情報と180°位相のずれた回転情報とすることができる。第2検出手段の取り付け偏心の周期変動は、第2支持ローラ1回転を1周期とすることから、第1検出器で検出された回転情報と、第2の検出器の検出された回転情報とを平均化すれば、第2検出手段の取り付け偏心による周期変動が相殺される。その結果、第2検出手段で検出される回転情報に含まれる回転速度変動を第2支持ローラの偏心に起因したもののみにすることができる。その結果、この第2検出手段の回転情報を用いれば、高精度に第2支持ローラの回転速度変動を導出することができる。
(21)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2検出手段および/または第1検出段は、検出対象の回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部を備えた回転盤を備えており、この回転盤が検出対象の回転体に固定されている。このように、被検出部を回転盤に設けることで、検出手段を検出対象の回転体の任意の位置に設けることができる。
(22)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、被検出部が、検出対象の回転体に設けられている。これにより回転盤を無くすことができ、部品点数が少なくなり低コスト化を図ることができる。
(23)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2支持ローラの回転速度変動の振幅及び位相の導出を装置の電源投入時に行う。これにより、環境変化、径時変化に対応することができる。また、ホーム位置を特定の位置に固定しておかない場合であっても、電源投入時に再度任意の位置をホーム位置として、このホーム位置で第2支持ローラの回転速度変動を導出することができる。よって、ホーム位置を特定の位置に固定しておかない場合であっても、ホーム位置と導出された第2支持ローラの回転速度変動のホーム位置がずれることがない。
(24)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2支持ローラの1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相の導出を一定時間径過毎に行う。これにより、装置稼動中に環境の変化や第2支持ローラの径時変化が発生しても、自動的に第2支持ローラの回転速度変動が補正される。よって、稼動中にベルト搬送速度が変動するのを抑制することができる。
(25)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2支持ローラの1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相の導出を逐次的に行う。これにより、環境の変化や径時変化によって第2支持ローラの回転速度変動が変わっても、ベルトの移動速度が変動することがない。
(26)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第1支持ローラは、第2支持ローラと駆動ローラとの間で形成される2つのベルト搬送経路のうち、テンションローラが配置されるベルト搬送経路と異なるベルト搬送経路に配置される。これにより、第1支持ローラは、第2支持ローラの偏心により生じるテンションローラと第2支持ローラとの間で生じるベルト速度変動の影響を受けることがない。
(27)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した第2支持ローラの回転速度変動をベルト厚み変動検出手段で検出する。そして、第2支持ローラの偏心や第2検出手段の取り付け偏心に起因する回転速度変動と、上記ベルト厚み変動に起因する回転速度変動とに基づいて、フィードバック制御を行うことで、ベルトをより一定速度で搬送することができる。
(28)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、感光体ベルトを上記(6)〜(26)のベルト駆動制御装置で制御することで、ベルトの制御を高精度で安価に行うことができ、濃度ムラやバンディングを抑制することができる。
(29)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、中間転写ベルトを上記(6)〜(26)のベルト駆動制御装置で制御することで、ベルトの制御を高精度で安価に行うことができ、濃度ムラやバンディングを抑制することができる。
(30)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、用紙搬送ベルトを上記(6)〜(26)のベルト駆動制御装置で制御することで、ベルトの制御を高精度で安価に行うことができ、用紙に転写される画像の濃度ムラやバンディングを抑制することができる。
(31)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、ベルトに画像を転写または作像を行う位置は、第2支持ローラよりもベルト搬送方向下流側に設けられている。第2支持ローラの回転速度を検出して、この回転速度から駆動源を制御することで、ベルト移動速度を一定にしている。よって、第2支持ローラよりもベルト搬送方向下流側の方が、上流側に比べてベルトが一定速度で搬送される。よって、第2支持ローラよりもベルト搬送方向下流側に転写または作像を行う位置を設けることで、画像の濃度ムラやバンディングを抑制された画像を得ることができる。
(32)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、第2支持ローラからベルトに画像を転写または作像を行う位置までのベルト搬送経路に配置される支持回転体の径を第2支持回転体の径と同一にする。第2支持ローラよりもベルト搬送方向下流側に支持回転体があると、この支持回転体の偏心により支持回転体とテンションローラとの間でベルト速度変動が発生する。このベルト速度変動の影響により第2支持ローラの回転速度が変動する。この第2支持ローラの回転速度変動を除去するため、駆動源が制御される。その結果、テンションローラから支持回転体までの搬送経路では、上記支持回転体によるベルト速度変動成分が除去されて、安定してベルトが搬送される。しかし、支持回転体よりもベルト搬送方向下流側には、支持回転体の偏心によるベルト速度変動が生じていないので、逆に支持回転体の偏心によるベルト速度変動が現れてしまう。その結果、支持回転体よりベルト搬送方向下流側に転写または作像を行う位置を設けると、画像の濃度ムラやバンディングが発生してしまう。そこで、このような場合、支持回転体を第2支持ローラと同一の径とする。このように、同一の径とすると、第2支持ローラの偏心などに起因する回転速度変動と、支持回転体の偏心に起因するベルト移動変動によって生じる回転速度変動との周期が同じとなる。よって、第2支持ローラの回転速度変動算出の際に第2支持ローラの偏心などに起因する回転速度変動と支持回転体の偏心に起因する回転速度変動とが合成された波形の位相と振幅とが導出される。この導出された位相と振幅とを用いて駆動源の制御を行えば、検出手段に検出される支持回転体の偏心に起因する回転速度変動は、補正されて、駆動源にフィードバックされない。よって、支持回転体よりも下流側には、支持回転体の偏心に起因するベルト速度変動が生じない。その結果、支持回転体よりもベルト搬送方向下流側に転写または作像を行う位置を設けても、画像の濃度ムラやバンディングの発生が抑制されて良好な画像が形成することができる。
(33)
また、テンションローラから第2支持ローラまでのベルト搬送経路の間にベルトに画像を転写または作像を行う位置がある場合、第2支持ローラの偏心によりテンションローラと第2支持ローラとの間でベルトの移動速度が変動する。すると、画像の濃度ムラやバンディングが発生してしまう。そこで、このような場合は、演算手段で導出した第2支持ローラの回転速度変動の振幅及び位相から、第2支持ローラの偏心により生じるテンションローラと第2支持ローラとの間でベルトの移動速度の変動量を導出する。具体的には、上記2つの検出器を有する検出手段を第2検出手段として、第2検出手段から検出された回転情報から、第2検出手段の取り付け偏心による第2支持ローラの回転速度変動を除去する。この回転情報に含まれる回転速度変動成分を第2支持ローラの偏心による回転速度変動成分のみとすることができる。この回転情報に基づき、導出される位相と振幅は、第2支持ローラの偏心による回転速度変動である。この導出した位相と振幅とを、上記数31に代入することで、第2支持ローラの偏心により生じるベルト変動を導出することができる。そして、このベルト変動量と第2支持ローラの回転速度変動とを用いて駆動源の制御を行えば、上記第2支持ローラの偏心により生じるベルト変動がフィードバックされる。その結果、テンションローラと第2支持ローラとの間で生じるベルト移動変動が除去される。このため、テンションローラと第2支持ローラとの間にベルトに画像を転写または作像を行う位置でも、バンディングや濃度のムラが抑制された良好な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】実施形態に係る複写機全体の概略構成図。
【図2】中間転写ベルト10の主要部を示す断面模式図。
【図3】(a)は、ローラの偏心を示す模式図。(b)は、検出手段の偏心を示す模式図。
【図4】ベルト駆動制御装置の概略を示した図。
【図5】制御器8で行う制御ブロック図。
【図6】(a)は、実施例2で好適に用いられる第1検出手段と第2検出手段とを示した図であり、(b)は、実施例1で好適に用いらられる第1検出手段と第2検出手段っとを示した図であり、(c)は、実施例3で好適に用いられる第1検出手段と第2検出手段とを示した図。
【図7】エンコーダ盤のスリットを3個とした第2検出手段を示す図。
【図8】羽根部(又は検出マーク)を有する板状部材を用いて構成した第2検出手段を示す図。
【図9】第2支持ローラのフランジ部の切り欠きを用いて構成した第2検出手段を示す図。
【図10】エンコーダ盤に区間検出用のスリットとは別にホーム位置検出用のスリットを設けた構成の第2検出手段を示す図。
【図11】ホーム位置検出のフローチャートを示す図。
【図12】ホーム位置検出用のスリットを設けてない場合のホーム位置の設定方法を説明する図。
【図13】第2検出手段の回転情報の検出について説明した図。
【図14】実施例1における第2支持ローラの変動の検出処理のフローチャートを示す図。
【図15】ホーム位置からの通過時間T1、T2、T3について説明した図。
【図16】実施例2における第2支持ローラの変動の検出処理のフローチャートを示す図。
【図17】実施例3における第2支持ローラの変動の検出処理のフローチャートを示す図。
【図18】検出区間が180°でない構成の第2検出手段を示す図。
【図19】検出器を2つ設けた構成の第2検出手段を示す図。
【図20】第2支持ローラを駆動ローラとした場合の第2検出手段の構成例を示す図。
【図21】第1支持ローラと第2支持ローラおよび作像ユニットの配置関係について説明した図。
【図22】第1支持ローラと第2支持ローラとの間に第3のローラがある場合の作像ユニットの配置位置について説明した図。
【図23】直接転写方式のタンデム型画像形成装置一例を示す概略構成図。
【図24】中間転写方式のタンデム型画像形成装置一例を示す概略構成図。
【図25】第2支持ローラの偏心の影響によるベルト移動量を導出するための説明図。
【図26】第1検出手段と第2検出手段との他の例を示した図。
【図27】ベルト駆動装置を画像形成装置の中間転写ベルトの駆動に用いた概略構成図である。
【符号の説明】
【0161】
10 ベルト
14 第2支持ローラ
15 駆動ローラ
17 第1支持ローラ
404 第1検出手段
504 第2検出手段
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトを駆動制御するベルト駆動制御方法及びベルト駆動制御装置装置、このベルト駆動制御装置を用いた画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、このようなベルトを利用する装置として、感光体ベルト、中間転写ベルト、紙搬送ベルト等のベルトを用いる画像形成装置がある。このような画像形成装置においては、そのベルトの高精度な駆動制御が高品位な画像を得るために必須である。特に画像形成速度に優れ且つ小型化に適した直接転写方式のタンデム型画像形成装置では、記録材である記録用紙を搬送する搬送ベルトの高精度な駆動制御が要求される。この画像形成装置では、搬送ベルトを用いて記録用紙を搬送し、その搬送方向に沿って配置された互いに異なる単色の画像を形成する複数の画像形成ユニットを順次通過させる。これにより、記録用紙上に各単色画像を重ね合わせて形成しカラー画像を得ることができる。
【0003】
ここで、電子写真方式による直接転写方式のタンデム型画像形成装置の一例について、図23を用いて具体的に説明する。この画像形成装置では、例えばイエロー、マゼンタ、シアンおよび黒の各単色画像を形成する画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kが記録用紙の搬送方向に順次配置される。そして、図示しないレーザ露光ユニットにより各感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kの表面に形成された静電潜像が各画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kで現像されることによりトナー像(顕像)が形成される。そして、静電力により搬送ベルト210に付着されて搬送される図示しない記録用紙上に順次重ね合わせられて転写された後、定着装置25によってトナーが溶融圧着されることにより、記録用紙上にカラー画像が形成される。搬送ベルト210は、互いに平行に配置された駆動ローラ215及び従動ローラ214に適当なテンションで掛け渡される。駆動ローラ215は、図示しない駆動モータによって所定の回転速度で回転駆動され、それに伴い搬送ベルト210も所定の速度で無端移動する。記録用紙は給紙機構によって所定のタイミングで搬送ベルト210の画像形成ユニット18Y,18M,18C,18K側に供給され、搬送ベルト210の移動速度と同一速度で移動して搬送されることにより、各画像形成ユニットを順次通過する。
このような画像形成装置では、記録用紙の移動速度、つまり搬送ベルト210の移動速度が一定速度に維持されないと、色ズレが発生する。この色ズレは、記録用紙上で重ね合わせられる各単色画像の転写位置が相対的にズレることによって発生する。色ズレが発生すると、例えば、複数色の画像が重なって形成された細線画像がにじんで見えたり、複数色の画像が重なって形成された背景画像中に形成される黒の文字画像の輪郭周辺に白抜けが発生したりする。
なお、図24に示すように、各画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kの感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kの表面に形成された各単色画像を、一旦中間転写ベルト10上に順次重なり合うように転写した後、これを記録用紙上に一括転写する中間転写方式を採用したタンデム型画像形成装置もある。この装置においても、中間転写ベルト10の移動速度が一定速度に維持されないと、同様に色ズレが発生する。
【0004】
また、上述したタンデム型の画像形成装置に限らず、記録材を搬送する記録材搬送部材や、その記録材に転写される画像を担持する感光体や中間転写体等の像担持体として、ベルトを用いた画像形成装置においては、そのベルトの移動速度が一定速度に維持されないとバンディングが発生する。このバンディングは、画像転写中にベルト移動速度が速くなったり遅くなったりすることにより発生する画像濃度ムラである。すなわち、ベルト移動速度が相対的に速い時に転写された画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に引き延ばされた形状となり、逆に、ベルト移動速度が相対的に遅い時に転写された画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に縮小された形状となる。これにより、引き延ばされた画像部分は濃度が薄くなり、縮小された画像部分は濃度が濃くなる。その結果、ベルト周方向に画像濃度ムラが発生し、バンディングが生じる。このバンディングは、淡い単色画像を形成する場合には人間の目に顕著に感じ取られる。
【0005】
以上のように感光体ベルト、中間転写ベルト、搬送ベルト等の無端状のベルトを一定の移動速度で移動させる高精度な駆動制御が要求される。このベルトの高精度な駆動制御ために、ベルトの移動速度を一定にするようにベルトが掛け渡された従動ローラの回転角変位又は回転角速度を検出して、この検出データに基づいて駆動ローラの回転を制御する画像形成装置が知られている(特許文献1、2)。特許文献1、2には、従動ローラに回転角変位又は回転角速度を検出する検出手段としてのエンコーダを取り付け、このエンコーダからの検出信号に基づいて、中間転写ベルト、搬送ベルト等の無端状のベルトの移動速度をフィードバック制御している。これらの画像形成装置は、従動ローラの回転角速度を一定に保持することにより、ベルトの移動速度を一定にするものである。しかしながら、上記特許文献1、2に記載された画像形成装置においては、検出手段としてのエンコーダが取り付けられた従動ローラ(エンコーダローラ)の偏心による変動成分やエンコーダの従動ローラへの取り付け偏心による変動成分により、従動ローラの回転速度の検出結果が変動してしまう。その結果、従動ローラの回転角速度が一定であると検出しているにも係わらず、ベルトの移動速度が変動するという問題点があった。
【0006】
そこで、このようなエンコーダローラの検出結果の変動成分を除去してベルトの駆動制御を行う画像形成装置が提案されている(特許文献3、4、5)。
特許文献3は、検出手段の検出信号から上記エンコーダローラの回転周波数成分(検出誤差)を除去するフィルタ手段を設けて、このフィルタ手段によってフィルタリングされた検出信号に基づいて無端状ベルトの移動速度を制御する画像形成装置が開示されている。
また、特許文献4で開示されている画像形成装置は、以下のようにしてベルトの駆動制御を行っている。検出手段の検出信号の周波数を周波数分解して、この周波数分解された検出信号からエンコーダローラの回転周波数を読取り、読み取れたエンコーダローラの回転周波数と上記周波数分解された検出信号とからエンコーダローラの偏心成分の大きさ(レベル)と位相を抽出する。そして、検出手段の検出信号からこの抽出されたエンコーダローラの偏心成分を除去し、このエンコーダローラの偏心成分を除去した信号に基づいて無端状ベルトの移動速度を制御する。
また、特許文献5では、以下のような画像形成装置が開示されている。互いに径の異なる駆動ローラとエンコーダローラとを設け、駆動ローラを定速で回転駆動し、このとき、検出手段で少なくとも駆動ローラの一周期分にわたってエンコーダローラの角速度情報を得る。この得られた角速度度情報を駆動ローラの(1/2)周期で区切って周期の前半部分と後半部分とを足し合わせることで、角速度度情報から駆動ローラの偏心による速度変動成分を相殺する。この駆動ローラの偏心による速度変動成分が相殺された角速度情報からエンコーダローラの偏心による検出誤差を得る。そして、画像形成時においては、検出手段で検出された角速度情報と得られた検出誤差との差分データに基づいて、無端状ベルトの移動速度を制御する。
【0007】
【特許文献1】特開昭63−300248号公報
【特許文献2】特許第3186090号公報
【特許文献3】特開平9−267946号公報
【特許文献4】特開平11−202576号公報
【特許文献5】特開2000−47547号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
ところが、上記特許文献3に記載された画像形成装置においては、フィルタ手段によるフィルタ処理をデジタルで行う場合、多くの計算量を必要とし処理時間が長くなるという問題がある。また、上記のような演算処理を行うためのハードウエアも高価なものを使用する必要が生じる。また、フィルタ処理をアナログで行う場合は、デジタル/アナログ変換を行う必要があり、この変換時に変換誤差が生じて正確なエンコーダローラの回転速度変動が得られない問題がある。
また、特許文献4に記載された画像形成装置においても、検出信号の周波数を周波数分解するのに多くの計算量を必要とし、処理時間が長くなるという問題がある。また、特許文献4においても、上記のような演算処理を行うためのハードウエアも高価なものを使用する必要が生じる。
また、特許文献5に記載された画像形成装置においては、検出信号から検出誤差を抽出する計算量は抑えることができるが、駆動ローラの1周以上にわたり検出信号をデータ列として保存する必要があるため、容量の大きな記憶手段が必要となるという問題がある。また、エンコーダローラの回転速度変動には、駆動ローラの偏心による変動成分やエンコーダローラの偏心による変動成分の他にも、駆動ローラとベルトとのスリップによる変動成分等が含まれる。よって、抽出される検出誤差データには、駆動ローラの偏心による回転速度変動とともに、駆動ローラとベルトとのスリップによる変動成分等も含んでいる。よって、検出手段で検出された角速度情報と抽出された検出誤差との差分データに基づいて、無端状ベルトの移動速度を制御しても、ベルトを一定速度で搬送することができないという問題がある。
さらに、上記特許文献3、4、5においては、エンコーダローラの回転速度変動を精度よく求めるためには、高分解能のロータリーエンコーダを用いる必要があるため、装置が高価となってしまう。
【0009】
本発明は、上記問題に鑑みなされたものであり、その目的とするところは、速度検出対象回転体の偏心等に起因した速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動を導出する計算量を抑え且つ、精度よく速度検出対象回転体の回転速度変動を導出できるとともに、安価な構成で速度検出対象回転体の回転速度変動によるベルト速度変動を抑制することができるベルト駆動制御方法及びその装置を提供することである。また、かかる回転体駆動制御装置を備えた画像形成装置を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
上記目的を達成するために、請求項1の発明は、無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御方法であって、該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間を該速度検出対象回転体が1回転する間にそれぞれ異なる位相で計測し、該複数の支持回転体のうち該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転したときに1回転する第1支持回転体の1回転するときの回転時間と、該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間とに基づいて、該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出し、導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御することを特徴とするものである。
また、請求項2の発明は、無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御方法であって、該複数の支持回転体のうち該速度検出対象回転体と径の異なる第1支持回転体を等速で回転させて、該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間を該速度検出対象回転体が1回転する間にそれぞれ異なる位相で計測し、これらの回転時間に基づいて、該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出し、導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御することを特徴とするものである。
また、請求項3の発明は、無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御方法であって、該速度検出対象回転体を等速で回転させ、該複数の支持回転体のうち該速度検出対象回転体と径の異なる第1支持回転体の一回転の回転時間を該速度検出対象回転体が1回転する間に少なくとも2回計測し、これらの回転時間に基づいて該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出し、導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御することを特徴とするものである。
また、請求項4の発明は、請求項1または2のベルト駆動制御方法において、上記既定回転角がπ[rad]であることを特徴とするものである。
また、請求項5の発明は、請求項4のベルト駆動制御方法において、該速度検出対象回転体が1回転する間に該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間を(π/2)[rad]位相をずらして計測することを特徴とするものである。
また、請求項6の発明は、無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置であって、該複数の支持回転体のうち、該速度検出対象回転体と径の異なる第1回転体が一回転するときに少なくとも1パルス以上の信号を発信する低分解能の第1検出手段と、該速度検出対象回転体が1回転するときに少なくとも2パルス以上の信号を発信する低分解能の第2検出手段と、該第1検出手段で検出された回転情報と、該第2検出手段で検出された回転情報とに基づいて該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出する演算手段と、該演算手段で導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項7の発明は、無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置であって、該複数の支持回転体のうち、該速度検出対象回転体と径の異なる第1回転体の回転情報を検出する高分解能の第1検出手段と、該速度検出対象回転体が1回転するときに少なくとも2パルス以上の信号を発信する低分解能の第2検出手段と、該第2検出手段で検出された回転情報に基づいて該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出する演算手段と、該演算手段で導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項8の発明は、無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置であって、該複数の支持回転体のうち、該速度検出対象回転体と径の異なる第1回転体が一回転するときに少なくとも1パルス以上の信号を発信する低分解能の第1検出手段と、該速度検出対象回転体の回転情報を検出するする高分解能の第2検出手段と、該第1検出手段で検出された回転情報に基づいて該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出する演算手段と、該演算手段で導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするものである。
また、請求項9の発明は、請求項6または8のベルト駆動制御装置において、上記速度検出対象回転体が上記駆動源からの回転駆動力が伝達される駆動支持回転体であることを特徴とするものである。
また、請求項10の発明は、請求項6乃至9いずれかのベルト駆動制御装置において、上記演算手段は、少なくとも、上記速度検出対象回転体の第1の位置から該速度検出対象回転体の既定回転角だけ回転するときの回転時間と、該速度検出対象回転体の第2の位置からから該速度検出対象回転体の既定回転角だけ回転するときの回転時間とからなる回転情報に基づいて、該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出することを特徴とするものである。
また、請求項11の発明は、請求項10のベルト駆動制御装置において、上記既定回転角がπ[rad]であることを特徴とするものである。
また、請求項12の発明は、請求項11のベルト駆動制御装置において、該第1の位置と該第2の位置との位相差角度が(π/2)[rad]であることを特徴とするものである。
また、請求項13の発明は、請求項10乃至12いずれかのベルト駆動制御装置において、上記第2検出手段は、上記速度検出対象回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部と、該被検出部を検出した際にパルス信号を出力する検出器とを備えており、第2検出手段の回転情報は、該検出器が第1の被検出部を検出してから規定回転角だけ回転した位置にある被検出部を検出するまでの時間と、該検出器が第2の被検出部を検出してから規定回転角だけ回転した位置にある被検出部を検出するまでの時間とであることを特徴とするものである。
また、請求項14の発明は、請求項13のベルト駆動制御装置において、上記第1支持回転体の1回転の周長が、上記被検出部間の周長の整数倍であることを特徴とするものである。
また、請求項15の発明は、請求項13または14のベルト駆動制御装置において、上記速度検出対象回転体の径が、上記第1支持回転の径の4n(nは自然数)倍であることを特徴とするものである。
また、請求項16の発明は、請求項13または14のベルト駆動制御装置において、上記速度検出対象回転体の径と上記第1支持回転の径の比が2:1であることを特徴とするものである。
また、請求項17の発明は、請求項6乃至16いずれかのベルト駆動制御装置において、上記速度検出手段は、上記速度検出対象回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部と、該被検出部が通過した際にパルス信号を出力する検出器とを備えており、該被検出部のひとつを上記演算手段が該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出するときの基準となるホーム位置とすることを特徴とするものである。
また、請求項18の発明は、請求項17のベルト駆動制御装置において、上記ホーム位置を、上記制御手段が上記駆動源を制御するときの基準とすることを特徴とするものである。
また、請求項19の発明は、請求項17または18のベルト駆動制御装置において、上記第2検出手段は、少なくと3つの被検出部を備えることを特徴とするものである。
また、請求項20の発明は、請求項6乃至19のベルト駆動制御装置において、上記第2検出手段は、第1の検出器と第2の検出器とを備え、第2の検出器は、第1検出器で検出した被検出部と180°位相がずれた位置の被検出部を検出することを特徴とするものである。
また、請求項21の発明は、請求項6乃至20いずれかのベルト駆動制御装置において、上記第2検出手段および/または上記第1検出段は、検出対象の回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部を備えた回転板と、該被検出部を検出した際にパルス信号を出力する検出器とを備えており、該回転板が検出対象の回転体に固定されていることを特徴とするものである。
また、請求項22の発明は、請求項6乃至21いずれかのベルト駆動制御装置において、上記第2検出手段および/または上記第1検出段は、検出対象の回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部と、該被検出部を検出した際にパルス信号を出力する検出器とを備えており、上記被検出部が、検出対象の回転体に設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項23の発明は、請求項6乃至22いずれかのベルト駆動制御装置において、上記制御手段は、上記演算手段による速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相の導出を装置の電源投入時に行うことを特徴とするものである。
また、請求項24の発明は、請求項6乃至22いずれかのベルト駆動制御装置において、上記制御手段は、上記演算手段による速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相の導出を一定時間径過毎に行うことを特徴とするものである。
また、請求項25の発明は、請求項6乃至22いずれかのベルト駆動制御装置において、上記制御手段は、上記演算手段による速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相の導出を逐次的に行うことを特徴とするものである。
また、請求項26の発明は、請求項6乃至25いずれかのベルト駆動制御装置において、複数の支持回転体のうちひとつがテンションローラであり、また複数の支持回転体のうちひとつが回転駆動力が伝達される駆動支持回転体であって、第1支持回転体は、速度検出対象回転体と駆動支持回転体との間で形成される2つのベルト搬送経路のうち、該テンションローラが配置されているベルト搬送経路と異なるベルト搬送経路に配置されることを特徴とするものである。
また、請求項27の発明は、請求項6乃至26いずれかのベルト駆動制御装置において、速度検出対象回転体に発生するベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した回転速度変動を検出するベルト厚み変動検出手段を備え、上記制御手段は、該ベルト厚み変動検出手段で検出された速度検出対象回転体に発生するベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した回転速度変動と、上記演算手段で導出された速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相とに基づいて上記駆動源を制御することを特徴とするものである。
また、請求項28の発明は、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、該潜像担持体上の顕像を記録材に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、上記潜像担持体の駆動を制御するベルト駆動制御装置として、請求項6乃至27のベルト駆動制御装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項29の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる中間転写体と、該潜像担持体上の顕像を該中間転写体に転写する第1の転写手段と、該中間転写体上の顕像を記録材に転写する第2の転写手段とを備えた画像形成装置において、上記中間転写体の駆動を制御するベルト駆動制御装置として、請求項6乃至27のベルト駆動制御装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項30の発明は、潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる記録材搬送部材と、該潜像担持体上の顕像を中間転写体を介して又は中間転写体を介しないで直接に、該記録材搬送部材で搬送されている記録材に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、上記記録材搬送部材の駆動を制御するベルト駆動制御装置として、請求項6乃至27のベルト駆動制御装置を用いることを特徴とするものである。
また、請求項31の発明は、請求項28乃至30いずれかの画像形成装置において、上記ベルトに画像を転写または作像を行う位置は、上記速度検出対象回転体よりもベルト搬送方向下流側に設けられていることを特徴とするものである。
また、請求項32の発明は、請求項31の画像形成装置において、上記速度検出対象回転体から上記ベルトに画像を転写または作像を行う位置までのベルト搬送経路に配置される支持回転体の径を該速度検出対象回転体の径と同一にすることを特徴とするものである。
また、請求項33の発明は、請求項28乃至30いずれかの画像形成装置において、上記テンションローラから上記速度検出対象回転体までのベルト搬送経路の間に、上記ベルトに画像を転写または作像を行う位置があるとき、該速度検出対象回転体の偏心によって発生する該テンションローラから該速度検出対象回転体までのベルト搬送経路の間におけるベルト速動変動を、上記演算手段で導出した速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相から導出し、上記制御手段は、抽出されたベルト速動変動と該演算手段で導出された速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相とに基づいて上記駆動源を制御することを特徴とするものである。
【0011】
本発明者らは、速度検出対象回転体の偏心等に起因した速度検出対象回転体の回転速度変動が主に1回転周期の回転速度変動である場合、その速度検出対象回転体の回転速度変動を、数1に示す右辺の第2項に示すような、正弦波の振幅A及び位相αを未知のパラメータとして含む比較的簡易な数式で表すことができる点に着目した。なお、ω02は、ベルトの移動による速度検出対象回転体の回転速度である。
【数1】
そして、速度検出対象回転体1周期で互いに異なる位相の速度検出対象回転体の既定回転角の回転時間をそれぞれ計測することにより、数1の式について成立する連立方程式から振幅A及び位相αを決定できることを見い出した。
また、上記ω02は、ベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度検出対象回転体が既定回転角回転したときに1回転する第1支持回転体の1回転するときの回転時間から求める。この第1支持回転体の回転速度にも、第1支持回転体の偏心等に起因した速度変動が生じている。しかし、第1支持回転体を1回転するときの回転時間を計測することで、第1支持回転体の偏心等に起因する回転速度の影響がでない。これは、第1支持回転体の偏心などに起因する変動は、第1支持回転体の1回転周期とする正弦波や余弦波の三角関数で表すことができるため、1回転周期でその変動成分が相殺されるためである。よって、上記第1支持回転体が1回転したときの回転時間から、速度検出対象回転体が既定回転角回転したときの速度検出対象回転体がベルトの移動によって回転する回転速度ω02を正確に求めることができる。これにより、速度検出対象回転体の偏心等に起因した速度検出対象回転体の回転速度変動の振幅A及び位相αを精度よく導出することができる。
この振幅A及び位相αが決まれば速度検出対象回転体の偏心等に起因する1回転周期の回転速度変動を特定することができる。このように、検出データのフィルタ処理や検出データの周波数分解する処理などを行わなくても速度検出対象回転体の偏心などに起因する1回転周期の回転速度変動を特定することができ、計算量を抑えることができる。そして、その特定された回転速度変動に基づいて速度検出対象回転体の回転速度の検出結果を補正して、この補正された検出結果に基づいて駆動支持回転体を制御することで、速度検出対象回転体の偏心などに起因した回転速度変動の影響を受けずにベルトを一定の移動速度で駆動することができる。
従来のロータリーエンコーダを用いる場合は、速度検出対象回転体が微小回転角(例えば数度以下)ずつ回転する回転時間を連続的に計測し、この計測した各回転時間と上記微小回転角のデータとを用いて回転速度変動を算出している。従って、速度検出対象回転体の回転速度変動を精度よく求めるには、微小回転角の回転ごとにパルスを出力することができる高価なロータリーエンコーダを用いる必要がある。また、微小回転角の回転ごとにパルス出力を保存する必要があるため、容量の大きな記憶手段が必要となる。これに対し、本発明では、速度検出対象回転体が1回転する間に互いに位相の異なる既定回転角(例えばπ[rad])について回転時間の計測をそれぞれ行えば回転速度変動を算出できるため、上記高価なロータリーエンコーダを用いる必要がない。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間の計測結果および、速度検出対象回転体が既定回転角回転したときに1回転する第1回転体の1回転するときの回転時間に基づいて、速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を求める。この回転速度変動の振幅及び位相に基づいて速度検出対象回転体の検出結果を補正して、この補正された検出結果で駆動支持回転を制御することにより、速度検出対象回転体の偏心等に起因したベルトの移動速度変動を抑制することができる。
しかも、上記回転時間の計測は、制御対象回転体が1回転する間に互いに位相の異なる既定回転角についてそれぞれ行えば回転速度変動を算出できるため、コスト高の要因となる高精度のロータリーエンコーダを用いる必要がないという効果がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明を適用する画像形成装置としての複写機の一例を示す概略構成図である。図1において、符号100は複写機本体であり、符号200はそれを載せる給紙テーブルであり、符号300は複写機本体100上に取り付けるスキャナであり、符号400はさらにその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。この複写機は、タンデム型で中間転写(間接転写)方式を採用する電子写真複写機である。
【0014】
複写機本体100には、その中央に、像担持体としての中間転写体であるベルトからなる中間転写ベルト10が設けられている。この中間転写ベルト10は、3つの支持回転体としての支持第1支持ローラ4,15,16に掛け渡されており、図中時計回り方向に回転移動する。これらの3つの支持ローラのうちの第2支持第1支持ローラ5の図中左側には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。また、3つの支持ローラのうちの第1支持第1支持ローラ4と第2支持第1支持ローラ5との間に張り渡したベルト部分には、そのベルト移動方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成部18が並べて配置されたタンデム画像形成部20が対向配置されている。本実施形態においては、第2支持第1支持ローラ5を駆動ローラとしている。また、タンデム画像形成部20の上方には、潜像形成手段としての露光装置21が設けられている。
【0015】
また、中間転写ベルト10を挟んでタンデム画像形成部20の反対側には、第2の転写手段としての2次転写装置22が設けられている。この2次転写装置22においては、2つの支持ローラ間に記録材搬送部材としてのベルトである2次転写ベルト24が掛け渡されている。この2次転写ベルト24は、中間転写ベルト10を介して第3支持第1支持ローラ6に押し当てられるように設けられている。この2次転写装置22により、中間転写ベルト10上の画像を記録材であるシートに転写する。また、この2次転写装置22の図中左方には、シート上に転写された画像を定着する定着装置25が設けられている。この定着装置25は、ベルトである定着ベルト26に加圧ローラ7が押し当てられた構成となっている。上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備わっている。もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置してもよく、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて持たせることが難しくなる。また、本実施形態では、このような2次転写装置22および定着装置25の下に、上述したタンデム画像形成部20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28も設けられている。
【0016】
上記複写機を用いてコピーをとるときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。または、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。その後、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動する。他方、コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動する。次いで、第1走行体33および第2走行体34を走行する。そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光をさらに反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射して結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
この原稿読取りに並行して、図示しない駆動源である駆動モータで駆動第1支持ローラ6を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中時計回り方向に移動するとともに、この移動に伴って残り2つの支持ローラ(従動ローラ)14,15が連れ回り回転する。また、これと同時に、個々の画像形成部18において潜像担持体としての感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kを回転させ、各感光体ドラム上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いてそれぞれ露光現像し、単色のトナー画像(顕像)を形成する。そして、各感光体ドラム40Y,40M,40C,40K上のトナー画像を中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0017】
このような画像形成に並行して、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。または、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を転写する。画像転写後のシートは、2次転写ベルト24で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。または、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
なお、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム画像形成部20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0018】
この複写機を用いて、黒のモノクロコピーをとることもできる。その場合には、図示しない手段により、中間転写ベルト10を感光体ドラム40Y,40M,40Cから離れるようにする。これらの感光体ドラム40Y,40M,40Cは、一時的に駆動を止めておく。黒用の感光体ドラム40Kのみが中間転写ベルト10に接触させ、画像の形成と転写を行う。
【0019】
次に、本発明の特徴部分である、中間転写ベルト10の駆動制御について説明する。
本実施形態の複写機では、中間転写ベルト10を一定速度で移動させる必要がある。しかし、実際には、駆動ローラの偏心や、駆動モータから駆動ローラまでの歯車などで構成される減速機構の伝達誤差によって生じる速度変動がある。この伝達誤差は、主に歯車の偏心や歯の累積ピッチ誤差がある。また、その他にもベルトに接触するローラの負荷変動によって生じる速度変動などがある。
中間転写ベルト10のベルト移動速度が変動すると、実際のベルト移動位置が目標とするベルト移動位置からズレてしまい、感光体ドラム40Y,40M,40C上の各トナー画像の先端位置が中間転写ベルト10上でズレて色ズレが発生する。また、ベルト移動速度が相対的に速い時に中間転写ベルト10上に転写されたトナー画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に引き延ばされた形状となり、逆に、ベルト移動速度が相対的に遅い時に中間転写ベルト10上に転写されたトナー画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に縮小された形状となる。この場合、最終的にシート上に形成された画像には、そのベルト周方向に対応する方向に周期的な画像濃度の変化(バンディング)が表れる。
そこで、支持ローラにエンコーダを取り付けてベルト速度変動を認識し、ベルト速度が一定速度となるようにフィードバック制御を行うものがある。しかし、ベルトの搬送速度が一定にも係わらず、エンコーダを取り付けたローラの偏心や、エンコーダの取り付け偏心などの回転速度変動が検出手段に検出されてしまう。その結果、この回転速度変動がフィードバックされてしまい、ベルト速度を一定に維持することができなかった。
【0020】
図2は、中間転写ベルト10の主要部を示す断面模式図である。中間転写ベルト10は、従動ローラとしての第1支持ローラ17(以下、従動ローラ)と、第1支持ローラ17よりも半径の大きい速度検出対象回転体としての第2支持ローラ14とに巻き付いる。中間転写ベルト10は、図中矢印Aの方向に無端移動する。第1支持ローラ17、第2支持ローラ14には、検出手段としての図示しない検出手段がそれぞれ設けられている。
【0021】
次に、ローラに偏心があるときのベルト搬送速度Vとローラの回転角速度ωとの関係を説明する。
図3(a)は偏心を持つ第2支持ローラ14にベルトが巻き付いているモデルを示している。図3(a)に示すように、半径R2の第2支持ローラ14にベルト10が巻き付いている。第2支持ローラ14の回転中心302とローラの円断面中心303とが偏心量ε2(回転中心302と円断面中心303との直線距離)離れている。図中の直線306は、ローラの回転中心302と、ベルトがローラと接触している領域の中央とを結んだ線分である。直線306の長さによってベルト速度が決定されると仮定して、直線306の長さをベルト速度決定距離Rεとすると、以下のように表すことができる。
【数2】
【0022】
ベルト速度Vはベルト厚みの影響を除いて、数2から、半径R2の第2支持ローラ14の回転角速度ω2とベルト速度V関係を記述すると以下のようになる。
【数3】
θ2+α2は第2支持ローラ14の回転角であり、α2はθ2=0(時間t=0)のときの偏心方向位相(角度)である。
【0023】
数3からベルト速度Vが一定のベルト速度Voになるために、第2支持ローラ14の回転角速度ω2refは以下のようになる。
【数4】
数4の第2項が第2支持ローラ14の偏心による回転速度変動成分であることがわかる。つまり、ベルトを一定速度V0で回転させても、第2支持ローラ14の回転角速度ω2refは、変動することがわかる。
【0024】
ここで、ベルト速度Vが以下のように変動すると仮定する。ただし、ΔVnは、抑圧したいベルト速度変動第n次高周波成分振幅、ωnはベルト速度変動第n次高周波成分角周波数、そしてαnはベルト速度変動第n次高周波成分位相である。
【数5】
【0025】
このとき、第2支持ローラ14の回転角速度ω2は、数2より以下のようになる。
【数6】
【0026】
つまり、ベルト速度変動分(数6の係数ΔVnのある右辺第2項)を抑えて、一定速度にしたい場合、第2支持ローラ14の回転角速度ω2を第2支持ローラ基準回転角速度ω2refとなるように制御すれば、ベルト速度変動成分を抑圧することになり、ベルト速度Vが一定の速度V0となる。
【0027】
よって、数4において、以下に示す数7の第2支持ローラ14の回転速度変動成分が検出できれば、第2支持ローラ14の回転角速度をフィードバックしてベルト速度を一定に制御できることが可能になる。
【数7】
【0028】
ここで、第1支持ローラ17と第2支持ローラ14の回転角速度を検出することで数7に示した第2支持ローラ14の回転速度変動成分を導出する。簡単のために、半径R1の第1支持ローラ17の回転角速度ω1を一定の回転角速度ω01に制御したときについて説明する。第1支持ローラ17の回転角度をθ1+α1(ただしθ1=0(時間t=0)のときの偏心方向位相(角度)をα1)、第1支持ローラ17の偏心をε1としたとき第2支持ローラ14の回転角速度ω2Vは、数2から以下のようになる。
【数8】
数8より第1支持ローラ14を一定回転角速度ω01に回転したとき第2支持ローラ14の回転角速度ω2Vは、第1支持ローラ17の偏心による回転速度変動(数8の{}内第2項)と第2支持ローラ14の偏心による回転速度変動(数8の{}内第3項)が含まれていることがわかる。
【0029】
どちらか一方の回転速度変動を検出したい場合、第1支持ローラ17と第2支持ローラ14の回転周期が異なる、つまりローラ径が異なれば、それぞれの回転速度変動を区別して検出することが可能となる。このように、数4、数8から、第2支持ローラ14の偏心による回転速度変動を検出することができれば、第2支持ローラ14の回転角速度をフィードバックしてベルト速度Vを一定の速度V0に制御するフィードバック制御が可能であることがわかる。
【0030】
ここで、さらに第2支持ローラ14に取り付けられた検出手段に取付け偏心があるときのベルト搬送速度Vと検出手段で検出される回転角速度ωSとの関係を説明する。
図3(b)は回転軸に対して、エンコーダ盤の取付け誤差が生じ、エンコーダ盤が偏心を持って、回転するモデルを示している。図中312は、エンコーダ盤上に一定間隔のマークで形成されているタイミングマーク313の中心線を示している。この中心線上にあるタイミングマークがセンサ311を通過するタイミングで第2支持ローラの回転角速度を検出している。エンコーダ盤の回転中心308とローラの中心302とが偏心量εs(回転中心302と円断面中心303との直線距離)離れている。このときのエンコーダ盤のタイミングマークがセンサスリットを通過する速度Vsは、以下のように近似される。ただし、ω2は、回転軸の回転角速度であり、ここでは、第2支持ローラの回転角速度である。εSはエンコーダ盤の偏心量であり、αSはθS=0(時間t=0)のときの偏心方向位相(角度)である。
【数9】
【0031】
ここで、エンコーダで検出される第2支持ローラの回転角速度ωSは、ωS=VS/RSであることを考慮し、数3に数9を代入して、ベルト速度Vとエンコーダで検出される回転角速度ωSとの関係は、以下のようになる。
【数10】
【0032】
このように、ベルト速度と検出手段で検出される第2支持ローラの回転角速度との関係には、エンコーダ盤に取付け偏心がある場合、ローラ偏心量を振幅とした回転速度変動成分に、エンコーダ盤の取付け偏心量を振幅とした回転速度変動成分が重畳されたものが検出されることがわかる。
ローラ偏心の回転速度変動成分(数10の{}内第2項)とエンコーダ盤取付け偏心の回転速度変動成分(数10の{}内第3項)は、同じ回転軸302に固定されているため、周期は同一である。そこで、2つの回転速度変動成分は1つに合成することが可能である。すると数10は、以下のように変換される。(余弦波の減算過程は省略する。)
【数11】
ここで、ε2Sとα2Sは数10の2つの余弦関数合成で算出される。θ2Sは、新たに設定した基準軸からの回転角を示すが、ベルト巻付き部とセンサスリットが同一の回転軸上にある場合、θ2=θS=θ2Sとしてもよい。また、ベルト巻付き部とセンサスリットが別の場所にある場合は、θ2=θS+β=θ2Sとして計算すればよい。
【0033】
こうして、ローラ偏心に加えてエンコーダ取付け偏心があっても、ローラ偏心と合成された1つの回転速度変動として考え、上記数4から数8までの説明と同様にして、第2支持ローラの偏心と検出手段の取付け偏心による回転速度変動が検出できれば、第2支持ローラの回転角速度をフィードバックしてベルト速度Vを一定の速度V0に制御するフィードバック制御が可能であることがわかる。
【0034】
以下に、第2支持ローラの偏心と検出手段の取付け偏心による第2支持ローラの回転速度変動がベルト搬送速度変動とならないようにフィードバック制御を行うベルト駆動制御装置について説明する。なお、以下の説明は、中間転写ベルト10に限られるものではなく、広く、駆動制御がなされるベルトについて同様であるので、ベルトとして説明する。
【0035】
図4は、ベルト駆動制御装置の概略を示した図である。図4に示すように、ベルト10は、駆動ローラ15と、テンションローラ16、第1および第2支持ローラ17、14で張架されている。第1支持ローラ17と第2支持ローラ14とには、それぞれ回転情報を検出する第1検出手段404、第2検出手段504がそれぞれ設けられている。また、第2支持ローラ14は、速度検出対象回転体として用いられる。すなわち、第2支持ローラ14の回転速度を検出して、その検出結果に基づいて駆動源としてのモータが制御されてベルトを一定速度で駆動させている。駆動ローラ15は、2つの歯車11、12からなる伝達機構を介して駆動源としてのモータ7からの回転駆動力が伝達されるようになっている。駆動ローラ15は、モータ7からの回転駆動力により、ベルトを図中矢印方向に駆動搬送させる。このベルトの搬送に伴い、第1支持ローラ17と第2支持ローラ14とは従動回転する。このとき、第1検出手段404および第2検出手段504は支持ローラのパルス信号18、19を制御器8に送信する。制御器8は、第1支持ローラ17および第2支持ローラ14のパルス信号に基づいて第2検出手段504で検出される第2支持ローラ14の偏心および第2検出手段504の取り付け偏心による回転速度変動を検出する。この検出した第2支持ローラ14の回転速度変動に基づいて目標角速度を算出する。そして、画像形成時に本体からの駆動命令に従い、第2検出手段504で検出した第2支持ローラ14の回転角速度が目標角速度となるようにモータ駆動信号21をモータ7へ送信する。
【0036】
モータ7は、例えば、画像形成装置の用いられるDCモータを使用することができる。また、モータ軸にロータリエンコーダを設置し、ロータリエンコーダの出力を基にモータ軸をフィードバック制御するDCサーボモータや、入力する駆動パルス周波数でモータ軸の回転角速度を制御するステッピングモータを使用しても良い。DCサーボモータやステッピングモータを利用することで、駆動ローラを所望の回転角速度に早く、安定的に到達することができる。また、第2支持ローラの回転情報を基に駆動ローラのフィードバック制御においても、モータ軸の回転情報をフィードバックするマイナーループが形成されるため、より安定した制御系の設計が可能となる。
【0037】
図5は、制御器8で行う制御ブロック図である。制御器8には、第2支持ローラ回転速度変動演算処理部171、第2支持ローラ目標角速度演算処理部172、第2支持ローラ角速度算出部173、比較器175、コントローラ部174を備えている。第2支持ローラ回転速度変動演算処理部171は、第1支持ローラ17の回転情報としての第1検出手段404のパルス信号20、および第2支持ローラ14の回転情報としての第2検出手段504のパルス信号19を受信する。第2支持ローラ回転速度変動演算処理部171は、受信した第1支持ローラ17の回転情報と、第2支持ローラ14の回転情報とに基づき、第2支持ローラ14の回転速度変動の振幅Aと位相αを算出する。そして、算出された第2支持ローラ14の回転速度変動の振幅Aと位相αを第2支持ローラ目標角速度演算処理部172に送信する。
【0038】
第2支持ローラ目標角速度演算処理部172は、第2支持ローラの回転速度変動の振幅Aと位相αとを記憶部に記憶する。そして、装置本体から指令されるベルトの目標速度V0を受信したら、A、α、V0から第2支持ローラの目標回転角速度ω2refを基準回転角速度データとして導出し出力する。
【0039】
第2支持ローラ角速度算出部173は、フィードバックされた第2検出手段14の出力データから第2支持ローラの回転角速度を算出して比較器175に出力する。
【0040】
上記第2支持ローラ目標角速度演算処理部172で算出された第2支持ローラ14の目標回転角速度ω2refとフィードバックされた第2支持ローラの回転角速度との差分が比較器175で算出される。比較器175で算出された差分データがコントローラ部174に送られる。コントローラ174は、例えば、PID制御器を使い、モータの速度指令信号を出力する。モータ7は、この速度指令信号を受けて駆動トルクを調整して、ベルトを所望の速度で搬送する。
【0041】
次に、第1支持ローラ17および第2支持ローラ14に取り付けられる第1検出手段404、および第2検出手段504について説明する。第1支持ローラに取り付けられる第1検出手段404は、第1支持ローラの回転情報を検出して、その情報を制御部8に送信する。第2支持ローラ17に取り付けられる第2検出手段504は、第2支持ローラ14の回転情報を検出して、その情報を制御部8に送信する。第1支持ローラ17に用いる第1検出手段404の構成や第2支持ローラ17に用いられる第2検出手段504の構成は、第2支持ローラ14の回転速度変動を検出する検出方法によって異なる。
図6は、第1検出手段404と、第2検出手段504とを示した図である。図6(a)は、第1検出手段404を全周にわたり複数のスリット403が等間隔で設けられたエンコーダ盤405と、検出器406とからなるロータリエンコーダとし、第2検出手段を円周上4箇所に等間隔でスリット13を設けたエンコーダ盤505と、検出器506とで構成したものを示した図である。図6(b)は、第1検出手段404を一箇所にスリット403を設けたエンコーダ盤405と、検出器406とで構成し、第2検出手段504を円周上4箇所に等間隔でスリット13を設けたエンコーダ盤505と、検出器506とで構成したものを示した図である。図6(c)は、第1検出手段404を一箇所にスリット403を設けたエンコーダ盤405と、検出器406とで構成し、第2検出手段を全周にわたり複数のスリット13が等間隔で設けられたエンコーダ盤505と、検出器506とからなるロータリエンコーダとで構成したものを示す図である。
図6(a)に示すものは、第1支持ローラ17を一定で回転するように制御することで、第2検出手段504で検出される第2支持ローラ14の回転速度変動を検出する方法で好適に用いることができる。図6(b)は、駆動モータ7を一定で回転制御させて第2検出手段504で検出される第2支持ローラ14の回転速度変動を検出する方法で好適に用いることができる。図6(c)は、第2支持ローラ14を一定で回転させることで第2検出手段504で検出される第2支持ローラ14の回転速度変動を検出する方法で好適に用いることができる。これらの検出手法については、後述する。
また、図6に示す第1支持ローラ17の径と第2支持ローラ14の径比を、1:4としている。そして、図6(a)や図6(b)においては、第2支持ローラ14のエンコーダ盤505に設けられたスリット13は、第1支持ローラ17の回転周期にあたる位置に設けられている。
【0042】
検出器406、506は、発光素子と受光素子とで構成されており、発光素子と受光素子とは、エンコーダ盤405、505を挟んで対向するように設けられている。そして、スリット403、13が検出器上を通過するとき、発光素子の光を受光素子が検出するようにしている。受光素子が発行素子の光を検出すると電流が発生し、これがパルス信号として制御部8に送信される。
【0043】
本実施形態においては、検出器506でスリット13が検出されてから特定のスリットが検出されるまでの時間を計測することで第2支持ローラ14の回転情報を検出している。回転情報を検出するために設定される検出区間(スリットと特定スリットとの間隔)は、第1支持ローラ17の回転周期の整数倍とするのが好ましい。このように設定することで、第1支持ローラ17の回転速度変動による影響をほとんど無視することができる。第1支持ローラ17の回転速度変動は、第1支持ローラ17の偏心によるものであり、第1支持ローラ1回転を1周期とするものである。そして、第1支持ローラ17の偏心による回転速度変動は、第2支持ローラ14の回転角速度に影響を与える。しかし、第1支持ローラ17の偏心による回転速度変動は、第1支持ローラ17の一周期でプラスに変動する成分とマイナスに変動する成分がイコールになるため、第1支持ローラ17の一周期で計測時間の誤差がなくなる。この結果、検出区間を、第1支持ローラ17の回転周期の整数倍とすることで、第1支持ローラ17の回転速度変動による影響を受けることなく、第2支持ローラ14の回転情報を得ることができる。
【0044】
さらに、検出区間をπとし、検出区間と検出区間の位相差を(π/2)とすることで、第2支持ローラ14の回転速度変動を検出する感度を最も高めることができる。例えば、第2支持ローラ14の偏心および第2検出手段504の取り付け偏心による回転速度変動が位相0のCOS波の場合、0からπの区間は平均角速度に対してプラスに角速度が変動する領域であり、この間の区間が最も計測時間が短くなる。一方、πから2πの区間は、平均角速度に対してマイナスに角速度が変動する領域であり、この間の区間が最も計測時間が長くなる。このように、検出区間をπにすれば、変動成分の全てが平均角速度に対してプラスに角速度が変動する領域や、変動成分の全てが平均角速度に対してマイナスに角速度が変動する領域を検出することができ、第2支持ローラ14の回転速度変動を検出する感度を最も高めることができる。
しかしながら、検出区間をπと設定しても第2支持ローラ14の回転速度変動が位相0のSIN波(位相(π/2)のCOS波)の場合は、0からπの区間は(π/2)を境として平均角速度に対してプラスに角速度が変動する領域とマイナスに角速度が変動する領域が対称に現れる。その結果、第2支持ローラの回転速度変動の成分が相殺されて、0からπの区間は平均角速度で移動した場合と同様の計測時間となる。また、πから2πの区間においても、同様に回転速度変動の成分が相殺されて、平均角速度で移動した場合と同様の計測時間となり、第2支持ローラの回転速度変動を全く検出することができない。そこで、一方の検出区間を0〜πとし、他方の検出区間を(π/2)〜(3π/2)として、検出区間と検出区間の位相差を(π/2)とする。これにより、SIN波の場合でも検出区間が(π/2)〜(3π/2)において、平均角速度に対してマイナスに角速度が変動する領域となり最も計測時間が長くなる。このように、検出区間と検出区間の位相差を(π/2)とすることで、どちらか一方の検出区間で第2支持ローラ14の回転速度変動を検出する感度を高めることができる。第2支持ローラの回転速度変動がSIN波に近い場合は、検出区間が(π/2)〜(3π/2)の方が、検出区間が0〜πのものに比べて検出感度が高くなる。一方、検出誤差の回転速度変動がCOS波に近い場合は、検出区間が0〜πの方が、検出区間が(π/2)〜(3π/2)の方に比べて検出感度が高くなる。
【0045】
また、第2支持ローラ14にかかる変動成分には、上記第1支持ローラ17の回転速度変動のほかに、駆動ローラ15やモータ7からの駆動力を駆動ローラ15に伝達する歯車などの駆動伝達系の回転速度変動も存在する。検出区間をこのような駆動伝達系などの回転速度変動の整数倍とすることで、さらに検出精度を上げることができる。特に、検出区間を第1支持ローラの回転周期と、駆動伝達系などの回転速度変動との最小公倍数に設定することができれば、第1支持ローラ17の回転速度変動と駆動伝達系などの回転速度変動の両方の影響をほとんど無視することができる。
【0046】
また、図6に示す、第2検出手段は、エンコーダ盤505に4箇所のスリット13を設けているが、これに限らず、図7に示すように第2検出手段506のエンコーダ盤のスリット13を3箇所にしてもよい。
また、図8に示すように、第2検出手段504を4つの扇型の羽根状部材を取り付け、検出器506は図中太線で示したエッジを検出するようにしてもよい。また、第1検出手段404を図8に示すように、エッジを検出する検出手段としてもよい。
さらに、図9に示すように、第2支持ローラのフランジ部22に被検出部として切り欠き220を等間隔に4箇所設け、この切り欠き220を検出器506で検出することで第2支持ローラ14の回転情報を検出するようにしても良い。また、同様に第1検出手段404を同様な構成としてもよい。
【0047】
また、スリットやエッジなどの被検出部を磁性体で形成し、検出器を磁気センサとしてもよい。スリットやエッジを検出する検出器は、回転盤の一方の固定部に発光素子と受光素子を形成し反射型で形成してもよい。
【0048】
また、少なくとも第2支持ローラ14は、回転の基準となるホーム位置を設定する必要がある。このホーム位置は、第2支持ローラの偏心を検出したり、検出した第2支持ローラの回転速度変動を用いてフィードバック制御を行ったりするときの基準位置となる。
図10は、エンコーダ盤505に区間検出用のスリット13とは別にホーム位置検出用のスリット17を設けたものである。図10に示すように区間検出用のスリット13は、90°ずつ位相をずらしてエンコーダ盤505の周上に4箇所設けられている。ホーム位置検出用のスリット17は、スリット間のいずれかにひとつだけ設けられている。
【0049】
ホーム位置の検出は、以下のように行う。ホーム位置検出用のスリット17のない区間におけるパルス信号の発信間隔は、ほぼ、一定時間T1となっている。一方、ホーム位置検出用のスリット17のある区間においては、パルス信号の発信間隔が一定時間T1より短くなる。よって、制御部8でこの発信間隔を検出することで第2支持ローラのホーム位置を検出することができる。
【0050】
図11は、ホーム位置検出のフローチャートである。図11に示すように、制御部8は、パルス信号を検出したら、時間計測を開始する(S1)。そして、次のパルス信号を検出したら(S2のYES)、そのときの時間間隔が閾値以下であるかどうかチェックする(S3)。閾値以下でない場合は、この時間間隔を検出区間用のデータとして、内部メモリに記憶する(S4)。一方、閾値以下の場合は、ホーム位置を検出したとして、所定の制御、例えば、フィードバック制御を開始したり、第2支持ローラの回転速度変動の検出を開始したりする(S5)。
【0051】
また、図12に示すように、第2検出手段504が特別にホーム検出用スリットを設けない構成の場合のホーム位置の設定や検出方法について説明する。この場合、まず、制御部8は、第2支持ローラ14の回転速度変動検出時の所定の設定条件(例えば、モータが等速回転、第1支持ローラが等速回転等)になったことを検出したら、適当なタイミングで検出したスリット13をホーム位置として設定し監視する。具体的には、モータ等が等速回転となって適当なタイミングで受けたパルス信号の検出と同時にタイマカウンタをリセットする。そして、第2検出手段504のエンコーダ盤505に設けられたスリット13の数を予め記憶しておき、パルス信号の数がスリット13の数となったら、ホーム位置を検出したとしてタイマカウンタをリセットする。この場合、電源ON時に毎回ホーム位置の決定とそれに対応した第2支持ローラの回転速度変動の少なくとも位相を求める必要がある。このとき、どこをホーム位置にしたかは回路あるいはファームウェアで常に認識しておく。
【0052】
本実施形態のベルト駆動制御は、まず、事前動作として、第1支持ローラ17および第2支持ローラ14に設置された検出手段を用いて第2検出手段504で検出される第2支持ローラ14の回転速度変動を認識する。この事前動作は、図10のようにエンコーダ盤505にホーム位置17が特定の場所に設定できる場合は、商品出荷前の製造工程で行うことができる。また、ホーム位置が設けられていない場合は、本体の電源投入時に任意のホーム位置を設定して、事前動作行う必要がある。また、例えば、検出器506とローラとの締結部が経時あるいは環境ですべり等が発生する場合は、あらかじめ規定された時間毎、枚数毎、などにユーザーの使用状況(プリント要求の無いタイミング)に事前動作を実行して第2支持ローラ14の回転速度変動を検出して更新する。また、他の従動ローラの偏心による影響も除去したい場合は、従動ローラとベルトとのすべりなどの位相関係が変化するため、定期的に第2支持ローラ14の回転速度変動を検出して更新を行う。
【0053】
以下、第2支持ローラ回転速度変動を検出する方法を、実施例1〜3として説明する。実施例1の第2支持ローラ回転速度変動を検出する方法は、モータを一定の角速度で回転させることで、第2支持ローラ14の変動成分を検出する方法である。実施例2の第2支持ローラ回転速度変動を検出する方法は、第1支持ローラ17を等速で回転させて、第2支持ローラ14の変動成分を検出する方法である。実施例3の第2支持ローラの回転速度変動を検出する方法は、第2支持ローラ14を等速で回転させることで、第2支持ローラ14の変動成分を検出する方法である。
以下に、実施例1〜3の第2支持ローラ回転速度変動を検出方法を詳細に説明する。
【0054】
[実施例1]
まず、実施例1について説明する。実施例1においては、モータ7を一定の角速度で回転させることで、第2支持ローラ14の偏心による変動成分を検出するものである。実施例1で使用される好適な検出手段の組合せは、図6(b)であるが、図6(a)、図6(c)を用いても良い。
この実施例1で好適に用いられる図6(b)に示す検出手段の組合せは、第1支持ローラ17に取り付けられる第1検出手段404を1個のスリット403を備えたエンコーダ盤405と検出器406とで構成し、第2支持ローラ14に取り付けられる第2検出手段504を4個のスリット13を備えたエンコーダ盤505と検出器506とで構成している。第1支持ローラ17のローラ径は、第2支持ローラのローラ径の(1/4)に設定されており、スリット間の移動距離が丁度、第1支持ローラ17の一回転の移動距離となっている。
【0055】
第2検出手段504を4個のスリット13とすることで、検出区間を回転速度変動の検出感度の高いπに設定できるとともに、検出区間と検出区間との位相差を(π/2)に設定することができる。
【0056】
また、検出精度を上げるために、第1検出手段404の検出器406をスリット403が通過するタイミングと、第2検出手段504の検出器506をスリット13が通過するタイミングが同じとなるように第1検出手段のエンコーダ盤405と第2検出手段のエンコーダ盤505の回転位相は予め製造工程等で調整する。
【0057】
実施例1においては、第2支持ローラ14の回転情報は、検出器506でスリット13が検出されてから特定のスリットが検出されるまでの時間を計測することで検出している。
図13は、図6(b)に示した第2検出手段14の回転情報の検出について説明した模式図である。図中のA、B、C、Dは、検出区間を示している。検出区間は、第1支持ローラ17の回転周期の整数倍に設定される。これにより、この検出区間で第1支持ローラの回転速度変動の影響をほとんど無視することができる。第2支持ローラ14の回転速度変動を検出するためには、第2支持ローラ14の1周期で少なくとも2つの区間の時間を計測する必要がある。検出区間が第1支持ローラ17の回転周期の整数倍に設定されていれば、区間の組み合わせは、いかなるものであってもよい。例えば、区間B、すなわち検出器がスリット13Bを検出して、スリット13Dを検出するまでに要した時間と、区間D、すなわち検出器がスリット13Dを検出して、スリット13Bを検出するまでに要した時間を検出するようにしてもよい。また、区間Aと区間Cとを検出するようにしてもよいし、区間Aと区間Bとを検出するようにしてもよい。また、検出区間を180°にする必要もない。しかし、検出区間を180°とすれば、第2支持ローラの回転速度変動の検出感度を最も高くできる。また、検出区間と検出区間との位相を90°ずらした、区間Aと区間B、区間Bと区間C、区間Cと区間D、区間Dと区間Aの組合せが最も第2支持ローラの回転速度変動の検出感度を高くすることができる。以下の説明では、区間Aと区間Bとを検出する場合について説明する。
【0058】
図14は、実施例1の第2支持ローラの偏心および第2検出手段の取り付け偏心による変動の検出処理を示したフローチャートである。図14において、制御器8はDCサーボモータを安定に回転する適切なモータ目標角速度ωm指令信号を出力し(S1)、回転駆動させる。DCサーボモータに設置されたロータリエンコーダから制御器8は目標とする回転速度に達したかどうかを判断する(S2)。ここでは、検出精度を上げるために、モータを既定速度で安定して回転させることが目的である。
目標とする回転速度に達していると判断した場合(S2のYES)、適当なタイミングで第2支持ローラのスリットの一つをホーム位置と設定する(S3)。このとき、制御器8にある第2支持ローラ用の内蔵タイマユニットのカウンタを0に設定して、時間を計測していく。また同時に、ほぼ同タイミングで検出される第1支持ローラのスリットにおいても制御器8にある第1支持ローラの内蔵タイマユニットのカウンタを0に設定して、時間を計測していく(S4)。第2支持ローラの検出器504は、スリット13の通過時にパルス信号を出力し、制御器8に送信する。制御器8は、前記パルス信号を受信したときの内蔵タイマユニットのカウンタで計測された時間をデータメモリに記録する。予め、第2検出手段のエンコーダ盤505のスリット総数をデータとして保持しておき、出力されたパルス信号の総数が予め記憶されたスリット総数となることで第2支持ローラの1回転を検出する。そして、1回転に要する時間を計測して第2支持ローラの1回転の平均角速度ω2aを算出する。また、同様に第1支持ローラに設置された検出器406は、スリット403の通過時にパルス信号を出力し、制御器8に送信する。制御器8は、前記パルス信号を受信したときの内蔵タイマユニットのカウンタで計測された時間をデータメモリに記憶する。そして、記憶された1回転に要する時間から第1支持ローラの平均角速度ω1aを算出する。この第1支持ローラと第2支持ローラの平均角速度から現在のローラの径比を正確に求める(S5)。ローラ径比を正確に求めることで、製造誤差や環境、径時で変化するローラ径による回転速度変動検出誤差を補正することができる。また、第1支持ローラ、第2支持ローラを複数回転させて平均化したデータからローラ径比を求めて精度を上げても良い。
【0059】
ローラ径比を求めた後、図15に示すように、第2支持ローラにおいて、再びホーム位置を検出したときから被検出部を通過した順に、通過時間間隔をT1、T2、T3と制御器8に内蔵されているデータ用メモリに記憶していく(S6)。また同時に、第1支持ローラにおいて、ほぼ、同時刻に通過するスリットの通過時間間隔、つまり、1回転時間をT11、T12、T13として制御器8に内蔵されているデータ用メモリに記憶していく(S7)。そして、通過時間のデータT11、T12、T13、T1、T2、T3を用いて、ローラ2の回転速度変動の算出処理を実行する(S8)。
【0060】
第2支持ローラの回転速度変動の算出処理(S8)は、第2支持ローラの1回転に相当する回転速度変動の振幅と位相を算出する。具体的には、第2支持ローラの1回転の回転速度変動の振幅をA、ホーム位置を基準とした初期位相をαとして算出する。
【0061】
以下に、第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相を算出する方法について説明する。第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相は、ホーム位置(時間0)を基準として、2つのスリットで構成する第1区間(図13における検出区間A)の回転時間と、同様に、別の2つのスリットで構成する第1区間とは位相が異なる第2区間(図13における検出区間B)の回転時間から求める。また、第2支持ローラが第1区間と第2区間を回転する時間における平均角速度ω02_1とω02_2を第1支持ローラの回転情報から求める。
【0062】
まず、第2支持ローラの偏心による回転速度変動を含む第2支持ローラの回転角速度ω2を以下のように規定する。
【数12】
ここで、第1項のω02は、ベルトの搬送に伴い回転する第2支持ローラの平均回転角速度である。ベルト移動速度をローラの回転角速度に変換したものに等しい。この平均回転角速度に振幅A、位相αの第2支持ローラの偏心や検出手段の取付け偏心による回転速度変動成分を示す第2項が重畳されている。
【0063】
ここで、第1区間において、第2支持ローラが半回転(πラジアン回転)したことから以下の関係が成り立つ。
【数13】
ただし、ω02_1は、第1区間における第2支持ローラの平均回転角速度であり、以下の式から第1支持ローラの検出データによって求められる。
【数14】
【0064】
第1支持ローラと第2支持ローラの径比(R1/R2)は、図14(S5)にて求められた値を用いる。Nは第1の検出区間計測時における第1支持ローラの回転数である。ここでは、ローラ径比が1:4に設計されているので、第1の検出区間が第2支持ローラの回転角πとなっていることから、N=2である。また、第2の検出区間においても、数14と同様に積分範囲が異なる形で以下の式が成立する。
【数15】
ただし、ω02_2は、第2区間における第2支持ローラの平均回転角速度であり、以下の式から第1支持ローラの検出データによって求められる。
【数16】
【0065】
DCサーボモータを目標回転角速度で一定の回転速度で駆動していても、すべりなどの伝達駆動系の伝達誤差により、ベルト移動速度は変動している。このため、DCサーボモータの回転角速度から第2支持ローラの平均回転角速度ω02_2を推定する方法では、上述の伝達駆動系の伝達誤差が考慮に入れてないため、正確な第2支持ローラの平均回転角速度ω02_2を推定することができない。そこで、実施例1においては、第1支持ローラの計測時間から、第2支持ローラの平均回転角速度ω02_2を求めている。第1支持ローラは、従動ローラであるため、第2支持ローラ同様、ベルトの移動速度に伴い回転している。このため、第1支持ローラの回転時間は、伝達駆動系の伝達誤差の成分を含んだベルト移動速度の回転時間といえる。
また、第1支持ローラにおいても、第1支持ローラの偏心や第1検出手段の取り付け偏心による変動に回転速度変動が生じている。しかし、上記検出区間は、ほぼ第1支持ローラの回転周期の整数倍となっている。このため、第2支持ローラの検出区間における第2支持ローラの平均回転角速度ω02_2は、第1支持ローラが丁度、整数回転したときの計測時間から求められるため、第1支持ローラの偏心による角速度の変動成分は、無視することができる。これは、第1支持ローラの偏心による変動成分は、正弦波や余弦波などの三角関数で表すことができるためである。つまり、半周期は、プラスに変動し、もう半周期はマイナスに変動するので、第1支持ローラ1周期でこの変動成分が相殺されるためである。その結果、第2支持ローラの平均回転角速度ω02_2を求めるために用いられる、第1支持ローラの計測時間は、第1支持ローラの偏心の影響がほとんどなく、伝達駆動系の伝達誤差の成分を含んだベルト移動速度の回転時間となっている。
このようにして、第1支持ローラの時間間隔を用いることで、第1検出区間、第2検出区間にて計測しているときに伝達駆動系などによるベルト移動速度変動を考慮に入れた、検出区間における第2支持ローラの平均回転角速度ω02_2を求めることができる。
【0066】
この補正精度を上げるために、先述したように、第1検出手段404と第2検出手段504に設置されたスリットが検出器を通過するタイミングがほぼ同時刻となるように2つのローラの回転位相を予め調整しておくとよい。
【0067】
数13、数15を変形し導出される以下に示す方程式を解くことで、第2支持ローラの回転速度変動成分の振幅Aと位相αが求められる。
【数17】
【0068】
上式数17は、左辺の行列の逆行列を求めて解いても良いし、他の数値計算手法を利用しても良い。これにより、第2支持ローラの回転速度変動の振幅Aとホーム位置を基準とした位相αが求められる。実際の画像形成装置には、数17のみが制御部8のメモリに保存されており、数17に計測時間(T1、T2、T3)および平均角速度ω02_2、ω02_1を代入することで、振幅A、位相αを求める。
この振幅Aと位相αの演算処理終了後、数値をデータメモリに記憶(S9)し、第2支持ローラの目標回転角速度ω2refを設定する。検出精度を上げるために、実線で示したS4からS9まで、または、点線で示したS6からS9までの動作を繰り返して、複数の振幅A、位相αの平均値を求めても良い。
【0069】
数17の方程式により求められた振幅Aと位相αとから、ベルトが一定速度で移動したときの第2支持ローラの角速度(目標角速度)ω2refを生成し、フィードバック制御を行う。
【0070】
数12に示したω2は、ベルトの搬送に伴い回転する第2支持ローラの平均回転角速度ω02(ベルト移動速度)と、第2支持ローラの偏心による回転速度変動とで表したものである。従って、数12からベルト移動速度が一定のときの第2支持ローラの角速度(目標回転角速度)ω2refは、以下のように表すことができる。
【数18】
【0071】
よって、第2支持ローラの回転角速度を数18に示す目標回転角速度ω2refとなるようにフィードバック制御を行うことで、ベルト速度一定に制御することができる。なお、画像出力モードにより、ローラの目標平均速度を変更する場合には、ω02の値を適宜、変更する。
【0072】
このように、実施例1の方法により、第2支持ローラの偏心や第2検出手段の取付け偏心に起因する回転速度変動を検出することができる。また、予め検出された第2支持ローラの回転速度変動から第2支持ローラの目標角速度ω2refを設定して、この回転角速度情報を基にフィードバック制御を行うことができる。これにより、第2支持ローラの偏心や第2検出手段の取付け偏心の影響を受けることなく、ベルトを所望の速度で安定した駆動制御が可能となる。
【0073】
[実施例2]
次に、実施例2について説明する。実施例2においては、第1検出手段の検出結果から第1支持ローラを等速で回転するように制御することで、第2支持ローラの偏心による変動成分を検出するものである。実施例2で用いられる好適な検出手段の組合せは、図6(a)である。すなわち、第1支持ローラの回転情報を検出する第1検出手段404を公知のロータリエンコーダとして、第2支持ローラの回転情報を検出する第2検出手段504をそれぞれ(π/2)ずつ位相のずれた4個のスリット13を備えたエンコーダ盤505と、検出器506とで構成したものである。第1支持ローラのローラ径は、第2支持ローラのローラ径の(1/4)に設定されており、スリット間の移動距離が丁度、第1支持ローラの一回転の移動距離となっている。
【0074】
実施例2の場合は、第1検出手段の検出結果を用いて、第1支持ローラを等速で回転するよう制御する。このように第1支持ローラを等速で回転するよう制御することで、伝達駆動系などのベルト速度変動の影響を除去することができる。しかし、第1支持ローラを等速で回転するように制御した場合、第1支持ローラの偏心および第1検出手段の取り付け偏心による回転速度変動の影響によりベルトの移動速度が周期変動する。このベルト移動速度の変動は、従動ローラである第2支持ローラの回転に影響する。よって、第2検出手段で検出される回転速度は、第1支持ローラの回転速度変動と、第2支持ローラの偏心および第2検出手段の取り付け偏心による回転速度変動とが重畳された変動となっている。しかし、第2検出手段のスリット間の移動距離が丁度、第1支持ローラの1周期となっているため、各スリット間での第1支持ローラの回転速度変動が相殺され影響を無視することができる。よって、この実施例2においては、第2検出手段の各スリット間における検出器の通過時間を検出することで、他の変動成分が検出されることながなく、精度よく第2支持ローラの偏心および第2検出手段の取り付け偏心による第2支持ローラの回転速度変動を検出することができる。そして、第2検出手段の(π/2)ずつ位相のずれた4個のスリットから、π[rad]回転する時間を計測する区間を(π/2)[rad]位相をずらして構成することができる。これにより、第2支持ローラ一周期で2箇所の第2支持ローラの回転速度変動を検出することができ、第2支持ローラの回転速度変動の振幅Aと位相αを求めるための連立方程式を立てることができる。その結果、第2支持ローラの偏心による回転速度変動の振幅Aおよび位相αを求めることができ、第2支持ローラの偏心および第2検出手段の取り付け偏心による回転速度を検出することができる。
【0075】
図16は、実施例2の第2支持ローラの偏心による変動の検出処理を示したフローチャートである。図16に示すように、まず、制御器8は、DCモータを第1支持ローラの目標回転角速度ω01で駆動させる指令信号を出力し(S1)、ベルトを回転駆動させる。ここでは、DCモータを使用した例を説明するが、DCサーボモータ、ステッピングモータを使用しても良い。第1支持ローラに設置されたロータリエンコーダの出力から、制御器8は第1支持ローラが目標とする回転角速度ω01に達したかどうかをチェックする(S2)。目標とする回転速度に達している場合(S2のYES)は、適当なタイミングで第2検出手段14のスリット13の一つをホーム位置と設定する(S3)。このとき、制御器8にある内蔵タイマユニットのカウンタを0に設定して(S4b)、時間を計測していく。第2検出手段の検出器506は、エンコーダ盤505スリット13の通過時にパルス信号を出力し、制御器8に送信する。制御器8は、前記パルス信号を受信したときの内蔵タイマユニットのカウンタで計測された時間をデータメモリに記憶する。予め、第2検出手段のエンコーダ盤405のスリット総数をデータとして保持しておき、出力されたパルス信号の総数が予め記憶されたスリット総数となることで第2支持ローラの1回転を検出する。そして、メモリに記憶された時間から、1回転に要する時間を計測して、第2支持ローラの1回転の平均回転速度ω02を算出する(S5)。このように、第2支持ローラの1回転の平均回転速度ω02を算出することで、第1支持ローラの回転角速度を一定とする制御時に発生する定常的な誤差による第2支持ローラの回転速度変動算出誤差を軽減できる。
そして、再びホーム位置を検出したら、実施例1同様、スリットを通過する毎に、その通過時間間隔をT1、T2、T3として、制御器8のデータ用メモリに記憶していく(S6)。そして、通過時間のデータT1、T2、T3を用いて、第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相を演算する回転速度変動算出処理を実行する(S7)。
【0076】
実施例1と同様に、第2支持ローラの1回転に相当する回転速度変動の振幅をA、ホーム位置を基準とした初期位相をα、平均回転速度ω02をωとして、数12に示した第2支持ローラの回転速度変動を含む第2支持ローラの回転角速度ω2を規定する。そして、実施例1と同様に、ホーム位置(時間0)を基準として、スリットのうち2箇所で構成する第1区間(図15における検出区間A)の通過時間(T1+T2)と、同様に、スリットのうち2箇所で構成する第1区間と位相が(π/2)[rad]異なる第2区間(図15における検出区間B)の通過時間(T2+T3)から積分式を立て、以下に示す方程式を導出し、この方程式を解くことで求めることができる。
【数19】
【0077】
数19の左辺の行列の逆行列を求めて解いても良いし、他の数値計算手法を利用しても良い。これで、第2支持ローラの回転速度変動の振幅Aとホーム位置を基準とした位相αが求められる。また、実施例1同様、S4からS8、または、S6からS8までの動作を繰り返すことで精度が向上する。
【0078】
数19の方程式により求められた振幅Aと位相αとから、ベルトが一定速度で移動したときの第2支持ローラの角速度(目標角速度)ω2refを生成し、フィードバック制御を行う。
実施例2の方法で求められた振幅Aと位相αは、第1支持ローラの偏心による変動成分や、伝達駆動系の変動成分の影響を除去したうえで、求められたものであり、第2支持ローラの偏心や第2検出手段の取り付け偏心の変動成分の振幅と位相と言うことができる。この振幅Aおよび位相αから、数18に示す目標角速度変動ω2refを求めることができ、ホーム位置を基準にして第2支持ローラの回転角速度を目標回転角速度ω2refとなるようにフィードバック制御すればベルト速度Vを一定の移動速度V0にすることができる。
【0079】
[実施例3]
次に、実施例3について説明する。実施例3においては、第2検出手段で第2支持ローラを等速で回転するように制御することで、第2支持ローラの偏心や第2検出手段の取り付け偏心による変動成分を検出するものである。この実施例3に用いられる検出手段の組合せは、図6(c)である。すなわち、第2検出手段を公知のロータリエンコーダとして、第1検出手段を1個のスリットを備えたエンコーダ盤と、検出器で構成したものである。第1支持ローラのローラ径は、上述同様、第2支持ローラ径の(1/4)に設定されている。また、実施例3においては、第2検出手段の検出結果から第2支持ローラを等速で回転するよう制御することで、駆動伝達系の変動成分などの影響を除去して、第1支持ローラには、第2支持ローラの検出誤差(第2支持ローラの回転速度変動)の影響のみが検出されるようにするものである。
【0080】
このように第2検出手段の検出結果から第2支持ローラを等速で回転させるように制御することで、駆動ローラの偏心によるベルト速度変動の影響を除去することができる。しかし、第2支持ローラを等速で回転させるよう制御した場合、第2支持ローラの偏心および第2検出手段の取り付け偏心による第2支持ローラの変動成分の影響によりベルトの移動速度が周期変動する。このベルト移動速度の変動は、従動ローラである第1支持ローラの回転速度に影響する。よって、第1検出手段で検出される回転速度は、第2支持ローラの回転速度変動と、第1支持ローラの偏心と第1検出手段の取り付け偏心による第1支持ローラの回転速度変動とが重畳された変動となっている。第1支持ローラに設けたエンコーダ盤405には、一個のスリット403のみが設けられており、第1支持ローラの1周期を第1検出手段404で検出する。このため、第1支持ローラの回転速度変動が相殺され、無視することができる。これは、第1支持ローラの偏心による回転速度変動は、三角関数で表すことができるためである。そして、第2支持ローラの径を第1支持ローラの径の少なくとも2倍以上、(図6(c)においては、4倍)にして、第2支持ローラが一回転(1周期)する間に第1支持ローラのスリットを少なくとも2回以上検出できるように構成している。これにより、第2支持ローラ一周期で2箇所の第2支持ローラの回転速度変動を検出することができ、第2支持ローラの回転速度変動の振幅Aと位相αを求めるための連立方程式を立てることができる。その結果、第2支持ローラの偏心による回転速度変動の振幅Aおよび位相αを求めることができ、第2支持ローラの偏心および第2検出手段の取り付け偏心による回転速度を検出することができる。
【0081】
図17は、実施例3の第2支持ローラの偏心による回転速度変動の検出処理を示したフローチャートである。
まず、制御器8は、DCモータを第2支持ローラの目標回転角速度ω02で駆動させる指令信号を出力し(S1)、ベルトを回転駆動させる。ここでは、DCモータを使用した例を説明するが、DCサーボモータ、ステッピングモータを使用しても良い。第2支持ローラに設置されたロータリエンコーダの出力から、制御器8は第2支持ローラが目標とする回転角速度ω02に達したかどうかをフィードバック制御により判断する(S2)。目標とする回転角速度ω02に達していると判断した場合、適当なタイミングで
第1支持ローラのひとつのスリットを検出し、このときのスリットを第1支持ローラ(ローラ1)のホーム位置とする。また、このとき、第2支持ローラ(ローラ2)の検出器が検出したスリットを第2支持ローラのホーム位置と設定する(S3)。第2支持ローラのホーム位置の検出は、予め、第2検出手段のエンコーダ盤に設けられたスリットの総数を記憶しておき、上記第2支持ローラのホーム位置からスリットのカウントを開始して、カウント数が記憶されているスリットの総数となったときに、検出器が第2支持ローラのホーム位置を検出したとする。第1支持ローラのホーム位置の検出は、以下のように行う。予め、第1支持ローラと第2支持ローラの径比と、第1支持ローラにあるスリットの数とから、第2支持ローラが一回転する間に第1支持ローラの検出器が検出するスリットの総数を求めておく。そして、第1支持ローラのホーム位置からスリットのカウントを開始して、カウント数が上記求めたスリットの総数となったら第1検出手段404の検出器404bが第1支持ローらのホーム位置を検出したと判断する。例えば、第1支持ローラと第2支持ローラの径比が1:4で、第1検出手段のスリット数が1のとき、第1支持ローラが4回転し、同一のスリットが4回目に検出された時を第1支持ローラのホーム位置として検出する。
【0082】
上記のように、ホーム位置を設定したら、制御器8にある内蔵タイマユニットのカウンタを0に設定して(S4)、時間を計測していく。第1検出手段の検出器404は、スリット403の通過時にパルス信号を出力し、制御器8に送信する。また、第2検出手段の検出器14もまた、スリット13の通過時にパルス信号を出力し、制御器8に送信する。制御器8は、第1検出手段のパルス信号を受信したときの内蔵タイマユニットのカウンタで計測された時間をデータメモリに記録する。また、第2検出手段のパルス信号を受信したときも同様に内蔵タイマユニットのカウンタで計測された時間をデータメモリに記録する。次に、第2支持ローラの1回転に相当する第1支持ローラのホーム位置が検出される時間間隔(第1支持ローラ4回転分の時間間隔)と第2支持ローラのホーム位置が検出される時間間隔を計測して、第1支持ローラ(ローラ1)と第2支持ローラ(ローラ2)の径比を求める(S5)。ここで、第1支持ローラを4回転させ、第2支持ローラの1回転に相当する時間間隔に基づいて第1支持ローラと第2支持ローラとの径比を算出するのは、以下の理由による。上述したように、第1支持ローラの回転速度には、第2支持ローラの偏心による回転速度変動が重畳されている。このため、第1支持ローラ一回転の時間間隔では、第2支持ローラの変動成分の影響が出てしまい、正確な第1支持ローラと第2支持ローラとの径比を求めることができない。このため、第2支持ローラの周期に相当する時間間隔で、第1支持ローラと第2支持ローラの径比を求めることで、第2支持ローラの回転速度変動を相殺でき影響をほとんど無視することができる。第1支持ローラと第2支持ローラとの径比は、実施例1同様に第1支持ローラの平均回転角速度ω01と第2支持ローラの平均回転角速度ω02から求める。ローラ径比を正確に求めることで、製造誤差や環境、径時で変化するローラ径による第2支持ローラの偏心による周期変動導出誤差を補正することができる。また、第2支持ローラのホーム位置検出時間間隔から、第2支持ローラの平均回転角速度をω2cとしてデータ用メモリに記憶しておく。
第2支持ローラの1回転の平均回転速度ω02をメモリに記憶しておくことで、第2支持ローラの回転角速度を一定とする制御時に定常的な誤差による第2支持ローラの回転速度変動算出誤差を軽減できる。
【0083】
再び第2支持ローラ側のホーム位置と、第1支持ローラ側のホーム位置とを検出してそのときの時間間隔差、つまり、第1支持ローラと第2支持ローラとのホーム位置の時間差T0を算出する。次に、第1支持ローラのホーム位置からスリットを通過する毎に、その通過時間間隔をT11、T12、T13として制御器8に内蔵されているデータ用メモリに記憶していく(S6)。そして、通過時間のデータT11、T12、T13を用いて、第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相を演算する回転速度変動算出処理を実行する(S7)。
【0084】
第2支持ローラの1回転に相当する回転速度変動の振幅をA、ホーム位置を基準とした初期位相をα、平均回転速度ω2cとしたとき、第2支持ローラの偏心による周期変動を含む第2支持ローラの回転角速度ω2’を以下のように規定する。
【数20】
ここで、Pは、(S6)で検出した時間データT0から第2支持ローラの回転位相に変換したものである。これにより、数19、右辺第2項の第2支持ローラの回転速度変動が第2支持ローラのホーム位置を基準にすることができる。
【0085】
そして、第1支持ローラ側のホーム位置(時間0)を基準として、計測した時間間隔から、図13における検出区間Aに相当する通過時間(T11+T12)を第1区間とし、図13における検出区間Bに相当する通過時間(T12+T13)を第2区間として、実施例1同様の積分式を立て、以下示す行列を導出する。
【数21】
【0086】
数21の左辺の行列の逆行列を求めて解いても良いし、他の数値計算手法を利用しても良い。これで、第2支持ローラの回転速度変動の振幅Aとホーム位置を基準とした位相αが求められる。
この方程式は、第1支持ローラと第2支持ローラの径比が1:4であり、第1支持ローラの2回転分の回転時間となるT11+T12、T12+T13が第2支持ローラの検出区間角度πの通過時間に相当する。ここで、ローラ径の誤差により第1支持ローラの2回転が第2支持ローラの回転角度πに相当しない場合、図17(S5)で得られたローラ径比から第1支持ローラの2回転に相当する第2支持ローラでの検出区間角度πから補正する。そして、数21に示すπの値をローラ径比から補正された値に替えることでより高精度に第2支持ローラの偏心による回転速度変動を検出することができる。また、ローラ径比が、1:4でない場合でも数21と同様の方程式を導出することができる。
また、実施例1同様、S4からS8、または、S6からS8までの動作を繰り返すことで精度が向上する。
【0087】
数21の行列により求められた振幅Aと位相αとから、ベルトが一定速度で移動するときの第2支持ローラの角速度(目標角速度)ω2refを生成し、フィードバック制御を行う。
実施例3の方法で求められた振幅Aと位相αもまた、上述したように、第1支持ローラの偏心による変動成分や、伝達駆動系の変動成分の影響を除去したうえで、求められたものである。よって、数20に示した、回転角速度ω2’の右辺第2項は、第2支持ローラの偏心および第2検出手段の取り付け偏心による回転速度変動の振幅と位相と言うことができる。よって、数20からベルト移動速度が一定のときの第2支持ローラの角速度(目標回転角速度)ω2refは、以下のように表すことができる。
【数22】
【0088】
数22に示すように、右辺第2項の第2支持ローラの回転速度変動成分が実施例1や2と異なり、符号がマイナスとなる。これは、実施例3においては、第2支持ローラを等速で回転させて、第1支持ローラで第2支持ローラの回転速度変動を検出するためである。すなわち、第2検出手段で第2支持ローラが等速で回転している状態を検出したときは、第2支持ローラの回転速度変動成分と符号が逆の周期変動でベルトを移動している。第1支持ローラは、ベルトの移動に伴い従動回転する。その結果、ベルトを介して第1支持ローラで検出される第2支持ローラの変動成分は、実際、第2検出手段で検出される変動成分とは符号が逆となる。よって、数22においては、実施例1、2と逆の符号となる。
【0089】
第2支持ローラの回転角速度を数21に示す目標回転角速度ω2refとなるようにフィードバック制御を行うことで、ベルト速度Vを一定の移動速度V0に制御することができる。なお、画像出力モードにより、ローラの目標平均速度を変更する場合には、ω02の値を適宜、変更する。
【0090】
実施例1〜3では、第2支持ローラの検出区間を180°としているが、これに限られない。例えば、第2支持ローラの検出区間を図18に示すように任意の角度γ1、γ2としてもよい。この場合、第2支持ローラの振幅と位相を求める式は、以下のようになる。
【数23】
【0091】
上記数23の数式を解くことで、180°ではない、任意の角度であっても、第2支持ローラの偏心による振幅、位相を求めることができる。この場合にあっても、検出区間を第1支持ローラの周期の整数倍とすることで、検出精度を上げることができる。また、検出区間を駆動伝達系などの周期変動の整数倍とすることで、さらに検出精度を上げることができる。すなわち、検出区間を第1支持ローラの回転周期と、駆動伝達系などの周期変動との最小公倍数に設定することができれば、第1支持ローラの変動と駆動伝達系などの周期変動の両方の影響をほとんど無視することができる。
【0092】
また、上記においては、第2検出手段のスリット間が第1支持ローラの1周期となっているものについて説明してきたが、第2検出手段のスリット間が第1支持ローラの1周期となっていなくても、検出区間を第1支持ローラの1周期となっていれば、第1支持ローラの変動成分の影響を受けずに、第2支持ローラの回転速度変動を検出することができる。例えば、図18に示すように、検出区間γ1、γ2は、第1支持ローラの1周期としているが、スリット間の距離Pd1、Pd2が第1支持ローラの半周期であっても精度よく、第2支持ローラの回転速度変動を検出することができる。上記同様、検出区間γ1を第1区間、検出区間γ2を第2検出区間とした場合、第1区間γ1における周期変動を示す指標である(T1+T2)には、検出区間を第1支持ローラの周期としているため、第2支持ローラ偏心によるの回転速度変動のみを示す指標となっている。また、第2区間γ2のにおける周期変動を示す指標である(T2+T3)も上記同様第2支持ローラの偏心による回転速度変動のみを示す指標となっている。しかしながら、第1区間γ1と第2区間γ2の位相における周期変動を示す指標T1は、第1支持ローラを1周期としていないため、第2支持ローラ偏心によるの周期変動と、第1支持ローラの周期変動とが重畳された指標となる。よって、位相を示す指標T1は、第2支持ローラの回転速度変動成分のみとすることができなくない。
この場合、図18に示す検出区間γ3を第3区間として用いる。検出区間γ3は、検出区間γ1、γ2同様、第1支持ローラの1周期となっている。また、検出区間γ3は、検出区区間γ1の終了位置から開始している。まず、第1区間γ1の時間間隔(T1+T2)、第2区間γ2の時間間隔(T2+T3)、第1区間と第2区間の位相の時間間隔T1を数24に代入して、第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相を求める。次に、第2区間γ2の時間間隔(T2+T3)、第3区間γ3の時間間隔(T3+T4)、第2区間と第3区間の位相の時間間隔T2を以下に示す式に代入して、第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相を求める。
【数24】
【0093】
上記第1区間γ1と第2区間γ2とから算出した振幅と位相は、第1支持ローラの0〜πの周期変動の影響を受けたものとなっている。一方、第2区間γ2と第3区間γ3とか算出した振幅と位相は、第1支持ローラのπ〜2πの周期変動の影響を受けたものとなっている。よって、この両者を平均化すれば、第1支持ローラの周期変動成分の影響を除去することができる。ただし、第1区間γ1と第2区間γ2とから算出した第2支持ローラの回転速度変動と、第2区間γ2と第3区間γ3とから算出した第2支持ローラの回転速度変動とは、初期位相が異なっているため、調整が必要である。
【0094】
また、図7の第2支持ローラがホーム位置用スリットと、2つの検出用スリットからなる第2検出手段を用いる場合は、以下の式を解くことで、求めることができる。
【数25】
【0095】
また、今までの説明では、第2支持ローラに2つの検出区間(A,B)を設けて、この2つの検出区間における時間間隔を計測することで、第2支持ローラの偏心と第2検出手段の取り付け偏心とによる周期変動を検出しているが、これに限られない。例えば、検出用のスリットを複数(n個)設けて、連立方程式を立てるための検出区間を複数とおり設定し、それぞれ、第2支持ローラの回転速度変動の振幅、位相を求める。それを平均化することで、第2支持ローラの回転速度変動の検出精度を高めることができる。例えば、検出区間を3つに設定できれば、3通りの検出区間の組み合わせを設定でき、それぞれの組合せで、3通りの位相と振幅を求めて、これらを平均化する。検出区間を4つ設定できれば、6通りの検出区間の組み合わせを設定することができ、6通りの位相と振幅を求めてこれらを平均化することができる。
【0096】
また、環境の変化や、径時の使用により、第2支持ローラの回転速度変動が変化する場合がある。このように、第2支持ローラの回転速度変動が環境の変化や径時により変化してしまうと、検出した第2支持ローラの回転速度変動と異なってしまう。すると、検出した第2支持ローラの回転速度変動を用いてフィードバック制御を行っても、第2支持ローラの変動の影響がベルトの移動速度に現れて、ベルトを一定測度に搬送できなくなってしまうという不具合がある。そこで、第1支持ローラで、第2支持ローラの回転速度変動がないかどうかを検出するようにしてもよい。第2支持ローラの回転速度変動が検出時と同じ状態のときは、ベルトが一定速度で移動しているので、第1支持ローラの平均角速度に変動が生じることがない。一方、第2支持ローラの回転速度変動が経時で変化して、初期に算出した第2支持ローラの回転速度変動と異なると、第2支持ローラが目標回転速度ω2refで回転しているにもかかわらず、ベルトが一定速度で搬送されていない状態となる。すると、従動ローラである第1支持ローラの平均回転速度に変化生じる。そこで、第1支持ローラの回転速度の変化を検出することで、第2支持ローラの回転速度変動の経時変化を検出する。具体的には、第1支持ローラの1周期の時間間隔を検出して、時間間隔がある一定以上ずれたときに、第2支持ローラの回転速度変動が変化したとして、再度、第2支持ローラの回転速度変動の算出を行う。
【0097】
また、実施例3の第2支持ローラの回転速度変動の算出方法を用いれば、フィードバック制御中に第2支持ローラの回転速度変動の変更を行うことも可能となる。これにより、逐次第2支持ローラの回転速度変動の算出を行うことができる。この場合、まず、第2支持ローラが目標回転角速度ω2refで回転しているとき、図17のS6cからS7までの処理を実行し、第2支持ローラの回転速度変動(振幅・位相)を求める。ここで、新たに求められた目標回転角速度における、第2支持ローラの変動成分をΔωref2'とすると、以下にように表すことができる。
【数26】
【0098】
数26は、ベルトが一定速度で搬送されている場合は、変動成分がないので、値は「0」となる。しかし、環境や径時による変化や、検出時のローラとベルト間のスリップといった要因より誤差が発生し、補正誤差としてΔωref2'が検出される。
そこで、検出されたΔωref2'を用いて算出される、新たな第2支持ローラの基準回転角速度ωref2"は、以下のようになる。
【数27】
【0099】
この新たな第2支持ローラの基準回転角速度ωref2"を用いて、フィードバック制御を実行する。また、この目標回転角速度を更新する動作は、実施例1、2の方法と組み合わせて行うこともできる。つまり、最初に実施例1、2の方法で目標回転角速度を求めて、フィードバック駆動制御を実行し、その後、上記実施例3の第2支持ローラの回転速度変動の算出方法を用いて目標回転角速度の更新を行う。
【0100】
上記実施例1〜3で説明した第2支持ローラの回転速度変動を検出する方法では、第2支持ローラの偏心と第2支持ローラに取り付けられた第2検出手段の取り付け偏心とによる周期変動を検出することができる。しかし、第2検出手段の取り付け偏心が第2支持ローラの偏心に対して非常に大きいと、第2支持ローラの回転速度変動を正確に検出することが難しい。そこで、図19に示すように、センサを2つ設けて、第2検出手段の取り付け偏心を予め除去するようにしても良い。図19に示す第2検出手段514は、第1の検出器516aと第2の検出器516bとが第2支持ローラの軸を中心として180°離れて設けられている。図中の520は、エンコーダ盤515の中心であり、第2支持ローラの中心14aに対して偏心して取り付けられている。このため、第2支持ローラの軸心からエンコーダ盤の外周までの距離が周方向で異なる。第2支持ローラの軸心からエンコーダ盤外周までの距離の最大L1は、エンコーダ盤の半径と、エンコーダ盤の中心と第2支持ローラの中心との距離(偏心量ε)を足すことで表すことができる。一方、第2支持ローラの軸心からエンコーダ外周までの距離の最少L2は、エンコーダ盤の半径から偏心量εを引くことで表すことができる。エンコーダ盤515には、4つのスリットが設けられており、各スリットは、円周上90°ずつ離れて設けられている。図19に示す検出区間Aと検出区間Bとは、第2支持ローラの軸心からエンコーダ外周までの距離の最大L1の部分を検出する。一方、検出区間C、検出区間Dは、第2支持ローラの軸心からエンコーダ外周までの距離の最少L2の部分を検出する。
【0101】
このため、検出区間Aや検出区間Bの検出時間は、検出区間Cや検出区間Dの検出時間に比べて短くなる。これは、検出区間Aや検出区間Bは、第2支持ローラの軸心からエンコーダ外周までの距離の最大L1の部分を有するため、速度が早まり、逆に検出区間Cや検出区間Dは、第2支持ローラの軸心からエンコーダ外周までの距離の最少L2の部分を有するため速度が遅くなる。
【0102】
検出手段の取り付け偏心の除去は、以下のようにして行われる。まず、一方の検出器516aで例えば検出区間B検出しているとき、もう一方の検出器516bで180°位相のずれた検出区間Dを検出する。そして第1の検出器516aで検出された時間と第2検出器516bで検出された時間とを平均することで、検出手段の取り付け偏心を除去することができる。
【0103】
検出手段の取り付け偏心の除去について具体的に説明する。図19に示す、第1検出器516aで、検出区間Aおよび検出区間Bを検出し、第2検出器516bで検出区間Cおよび検出区間Dを検出する。検出区間Aで検出される時間間隔をT1a+T2aとし、検出区間Bで検出される時間間隔をT2a+T3a、検出区間Cで検出される時間間隔をT1b+T2b、検出区間Dで検出される時間間隔をT2b+T3bとすると、補正した通過時間T1+T2、T2+T3、T2は、以下のようにあらわすことができる。
【数28】
【0104】
このようにして、補正した通過時間T1、T2、T3を上記で説明した位相と振幅を求める演算式(例えば数16)に代入する。こうすることで、第2検出手段の取付け偏心の周期変動を除去して、第2支持ローラの回転速度変動を高精度に検出できる。
【0105】
または、上記の検出器516aで求めた通過時間T1a、T2a、T3aにより第2支持ローラの回転速度変動を求め、さらに上記の検出器516bで求めた通過時間T1b、T2b、T3bにより第2支持ローラの回転速度変動を求め、この求めた2つの周期変動を合成しても、第2検出手段の取り付け偏心による周期変動が除去された第2支持ローラの回転速度変動を求めることもできる。この場合、検出器516aと516bでそれぞれ、以下の回転速度変動を検出したとする。
【数29】
【0106】
このときの、第2検出手段の取付け偏心を除去した第2支持ローラの回転速度変動は、以下の通りになる。
【数30】
【0107】
また、第2支持ローラの目標回転角速度ω2refを基準信号としてフィードバック制御するときも、第2検出手段の取付け偏心による制御誤差が発生する。この誤差を軽減するために図19の二つ検出器516a、516bそれぞれの検出器の出力により生成された速度データを比較し、その差分データの和によりモータを制御すれば第2検出手段の取付け偏心の影響を軽減できる。また、第2支持ローラの回転角速度基準ω2refとそれぞれの検出器516a、516b出力より生成された速度データの平均値と比較し、モータを制御するようにしてもよい。あるいは二つの検出器516aと516bの出力によりそれぞれ回転角速度基準ω2ref-1とω2ref-2を生成し、それぞれ二つの検出器516aと516bの出力と比較し、その差分データの和によりモータを制御するようにしてもよい。
【0108】
図19においては、180°離れた位置に第1検出器516aと第2検出器516bとを設けているが、これに限らず、任意の位置に検出器を設けても検出手段の取り付け偏心を除去することができる。また、エンコーダ盤のスリットも4つに限らず、2個であっても検出手段の取り付け偏心を除去することができる。ただし、各スリットは、180°ずらした位置に設ける必要がある。また、検出区間は、180°である必要がなく任意に設定することができる。ただし、検出区間の中間点は180°ずらす必要がある。また、検出区間の角度も同じする必要がある。しかしながら、検出区間を180°とすることで、最も検出感度を高くすることができる。
【0109】
また、本実施形態においては、第1支持ローラ17の径と第2支持ローラ14の径との比を1:4としているが、第1支持ローラ17の径と第2支持ローラ14の径との比を1:2としてもよい。図26は、第1支持ローラ17の径と第2支持ローラ14の径との比を1:2としたものである。この場合、図26に示すように、第1支持ローラ17に設けられる第1検出手段404のエンコーダ盤405には、円周上2箇所に等間隔でスリット403A、403Bが設けられている。、第2支持ローラ14に設けられる第2検出手段504のエンコーダ盤505は、図6(c)と同様に、全周にわたり複数のスリット13が等間隔で設けらている。このような構成としたものは、実施例1、実施例3に示した回転速度検出方法に好適に用いることができるが、特に、実施例3に示した回転速度検出方法に好適に用いることができる。なお、第2支持ローラ14に設けられる第2検出手段504のエンコーダ盤405を、図6(a)、(b)に示すような円周上4箇所に等間隔でスリット13が設けられているものとしても良い。第2検出手段504のエンコーダ盤505を、図6(a)、(b)に示すような円周上4箇所に等間隔でスリット13を設けた構成としたものは、実施例1に示した回転速度検出方法に好適に用いることができる。
【0110】
この図26においては、第2支持ローラ14の第1区間(図26の検出区間A)の回転時間を第1検出手段404の検出器406がエンコーダ盤のスリット403Aを検出してから、再びこのスリット403Aを検出までの時間とする。また、第2支持ローラ14の第2区間(図26の検出区間B)の回転時間を第1検出手段404の検出器406がエンコーダ盤405のスリット403Bを検出してから、再びこのスリット403Bを検出までの時間とする。これにより、第1区間、第2区間ともに、第1支持ローラ17の整数倍(1倍)にすることができ、第1支持ローラ17の偏心に起因する回転速度変動をほとんど無視することができる。その結果、良好に第2支持ローラ14の偏心および第2検出手段504の取り付け偏心に起因する変動を求めることができる。
【0111】
また、図26に示すように、第1検出手段404のエンコーダ盤405に円周上2箇所に等間隔でスリット403a、403bを設けることで、検出区間をπとし、検出区間と検出区間の位相差を(π/2)に設定することができる。
【0112】
また、上記においては、第1支持ローラ、第2支持ローラは共に従動ローラとしているが、第1支持ローラ、第2支持ローラのどちらか一方をモータから回転駆動力が伝達される駆動ローラとしてもよい。ただし、この場合、駆動ローラとベルトとの間ですべりの発生を抑制する必要がある。駆動ローラとベルトとの間ですべりあると、第1支持ローラの回転情報と第2支持ローラの回転情報とがリンクしなくなり、正確に第2支持ローラの変動成分が検出できなくなってしまう。
第2支持ローラが駆動ローラの場合は、図20に示すような従動ギヤ150のフランジに切り欠き151を設けて、この切り欠き151を検出器506で検出することで第2支持ローラの回転情報を検出するようにしても良い。また、駆動源をDCサーボモータ、ステッピングモータとした場合、DCサーボモータが持つモータ軸の回転検出器の出力信号やステッピングモータへの駆動指令値を用いて、駆動ローラの回転角速度を推定することが可能となる。つまり、上記第2支持ローラに設置する検出器の替わりに、モータの駆動信号あるいは、モータ軸の回転検出器の出力から検出区間の回転角速度を求めることができる。
【0113】
第2支持ローラを駆動ローラとした例で説明すると、駆動ローラは、歯車等で構成された駆動伝達機構を介して、駆動源のDCサーボモータ(または、ステッピングモータ)が接続されている。このため、DCサーボモータ(または、ステッピングモータ)の回転角速度を制御することで、駆動伝達機構の伝達誤差が生じてしまうが、直接駆動ローラ(第2支持ローラ)の回転角速度を制御することができる。このため、第2検出手段の検出信号に基づき、駆動ローラを一定の角速度に回転させて、駆動ローラ(第2支持ローラ)の周期変動を求めることができる(実施例3の手法)。また、第1支持ローラを駆動ローラとした場合は、第1支持ローラを一定の角速度で回転させて、第2支持ローラに設けた検出手段の検出信号に基づき第2支持ローラの回転速度変動を求める手法(実施例2の手法)を用いることができる。もちろん、実施例1の手法を用いても、駆動ローラ(第2支持ローラ)の周期変動を求めることができる。
【0114】
以下に第2支持ローラを駆動ローラとした具体例について説明する。まず、実施例1の手法を用いた例について、説明する。
【0115】
図27は、DCサーボモータを用いたベルト駆動装置を画像形成装置の中間転写ベルトの駆動に用いた概略構成図である。図27に示すように、駆動ローラ15には、第2検出手段504たる1周512パルスを出力する高分解能のロータリエンコーダが設けられている。高分解能のロータリエンコーダを用いることで、モータ7や歯車11、12の回転周期変動を十分検出することができる。また、駆動ローラ14やロータリエンコーダ504の偏心による速度変動を検出するために第1支持ローラ17に取り付けられた、検出手段(第1検出手段)404は、先の図26と同様に、ロータリエンコーダ504の径との比が1:2で、円周上等間隔で2箇所のスリット403a、403bが設けられたエンコーダ盤405と検出器406とで構成されている。
【0116】
中間転写ベルト10に用いたベルト駆動装置において、最も精度よく制御したいベルト搬送領域は、感光体ドラム40上に形成された画像を中間転写ベルト10に転写する1次転写面である。このため、ベルトの速度を制御する第2回転検出手段504が設置される第2支持ローラたる駆動ローラ15は、1次転写面の端部に設置することが好ましい。これは、図27のベルト駆動制御装置では、第2支持ローラたる駆動ローラ15の回転情報と目標回転情報との差分を基にモータの駆動信号を生成することから、駆動ローラ15に巻き付いているベルト及びその近辺が最も精度よくベルトの速度を制御することができるためである。第2支持ローラたる駆動ローラ15を1次転写面の端部とは異なる部分(例えば、図27の支持ローラ16)に設置すると精度が低下する。この現象に関しては後で詳細に述べる。また、第1支持ローラ17は1次転写面のもう一方の端部に設置するのが好ましい。これは、第2支持ローラたる駆動ローラ15の偏心や第2検出手段504たるロータリエンコーダの取付け偏心による変動成分を認識するための回転情報を得る上で、駆動ローラ15との間にベルトが巻き付いた支持ローラが無い方が、精度が高いためである。この点についても後で詳細に述べる。
【0117】
図27に示すように、ベルト駆動装置は、制御部8とロータリエンコーダ504のパルス信号が入力されるカウンタ9とを備えている。制御部8の構成は、先の図5に示した制御部8と同様であるので、説明は省略する。カウンタ9は、同期型8ビットカウンタで構成され、128個のパルスが入力される毎に1個のパルスを制御器8に出力するように設定されている。つまり、第2支持ローラ1周に4パルスの信号22がカウンタ9から制御器8に送信される。このようなカウンタ9を設けることで、図6(b)に示した円周上4箇所に等間隔でスリット13を設けたエンコーダ盤505を備えた第2検出手段と同様な出力パルスを制御部8へ出力することができる。また、カウンタ9とロータリエンコーダ504とで4つのパルス信号を制御部8に送るよう構成することで、図6(b)に示した、第2検出手段を円周上4箇所に等間隔でスリット13を設けたエンコーダ盤505としたものに比べて、第1検出手段404のスリットの検出器通過タイミングと第2検出手段504のスリット13の検出器通過タイミングとの調整を容易に行うことができる。これは、第1検出手段404の検出器406がパルス信号を送信するタイミングで制御部8からカウンタ9へ同期信号が送られる。同期信号を受信したカウンタ9は、現在のカウント数値をリセットして再び0からカウントアップを開始する。これにより、ロータリエンコーダ504の任意のスリットを、第1検出手段404のスリットの検出器通過タイミングと同じにすることができるからである。
【0118】
駆動モータ7を等速で回転させる実施例1の手法では、第2検出手段であるロータリエンコーダ504にロータリエンコーダの取り付け偏心による速度変動成分が検出され、第1検出手段404に駆動ローラ15の偏心による速度変動成分が検出される。その結果、駆動ローラ15の偏心による速度変動成分は、第1検出手段404の検出データから得られる第1区間(図中A1区間)の時間(T11+T12)および第2区間(図中B1区間)の時間(T12+T13)として表れる。一方、ロータリエンコーダ504の取り付け偏心による速度変動成分は、ロータリエンコーダ504の検出データから得られる第1区間(図中A2区間)の時間(T1+T2)および第2区間(図中B2区間)の時間(T2+T3)として表れる。よって、第1検出手段404の検出データから得られる各区間の時間間隔および第1検出手段404の検出データから得られる各区間の時間間隔から、駆動ローラ17の偏心およびロータリエンコーダ504の取付け偏心による速度変動成分の振幅A、位相αを求めることができる。
【0119】
図27に示すベルト駆動装置は、ロータリエンコーダ504とカウンタ9を用いているため、カウンタ9の同期処理を行う以外は、上述した実施例1と同様の処理を行って振幅A、位相αを算出することができる。同期処理は、ローラ径比を求めた後に行われる。まず、制御器8は、第1検出手段404のスリットを検出したパルス信号20の受信と同時にカウンタ9へ同期パルス信号23を出力する。カウンタ9は、同期パルス信号23を受信すると現在のパルスカウント値をリセットして、次のパルス信号からカウントアップを開始する。例えば、第1支持ローラ17のスリット403Bを検出したタイミングで、制御器8は同期パルス信号を出力する。すると、カウンタ9のカウント値がリセットされ、再カウントした駆動ローラ15の最初のスリット13が駆動ローラ15のホーム位置と設定される。スリット13の設定後は、13を基準に1周4パルスがカウンタ9から出力される。この出力パルスは、第1ローラのスリット403の通過検知タイミングと同期する。このような同期処理の後に、通過時間間隔の計測を開始する。なお、このような同期処理は、駆動ローラが目標の回転速度に達した後に行っても良い。
【0120】
そして、カウンタ9から出力されるパルス信号に基づいて、時間間隔T1、T2、T3を計測して、メモリに記憶する。また、第1検知手段404の検出器406から出力されるパルス信号に基づいて、時間間隔T11、T12、T13を計測して、メモリに記憶する。第1支持ローラ17の図中区間A1における時間間隔(T11+T12)に基づいて、平均角速度ω02−1を算出し、第1支持ローラ17の図中区間B1における時間間隔(T12+T13)に基づいて、平均角速度ω02−2を算出する。そして、カウンタ9から出力されるパルス信号に基づいて計測された時間間隔T1、T2、T3および算出された平均角速度ω02−1、ω02−2を数17に代入することで、振幅A,位相αを求めることができる。
【0121】
このようにして得られた振幅Aおよび位相αから得られるベルト移動速度が一定のときの第2支持ローラ(駆動ローラ)の目標回転角速度ω2refは、数18に示すようになる。
【0122】
上記数18に示した駆動モータのフィードバック制御を行う場合は、第2支持ローラが駆動ローラ15の場合は、第2検知手段504の出力結果と目標回転角速度ω2refとに基づいて駆動モータ7のフィードバック制御を行う。具体的には、比較器などで第2検知手段504の出力結果と目標回転角速度ω2refとの差分を算出するのである。差分を算出することで、第2検知手段504の検知結果から、第2検知手段504の取り付け偏心の変動成分が除去される。その結果、算出された駆動ローラ15の偏心による変動成分と、第2検知手段504の検知結果として得られたギヤ11、12やモータ7などの変動成分とが抽出される。そして、この抽出された変動成分を打ち消すように、駆動モータ7を制御すれば、ベルトを等速で回転させることができる。
また、図27に示すように、第2検出手段の信号をフィードバック制御用の信号19と、カウンタ9を用いて駆動ローラ15の偏心や第2検出手段504の取付け偏心に起因する回転速度変動を検出するための信号22を同時に生成して制御器8に送信している。これによって、フィードバック制御中に、逐次駆動ローラ15の回転速度変動の算出及び更新を行うことができる。その結果、環境、経時変化に対応した高精度なフィードバック制御を実現することができる。
【0123】
次に、駆動ローラ15やロータリエンコーダ504の偏心による速度変動を先に示した実施例3を利用して検出する方法について説明する。この場合は、第2検出手段たるロータリエンコーダ504の検出結果から、駆動ローラ15を等速で回転させるように制御する。これにより、ギヤ11、12やモータ7などの変動成分を除去することができる。しかし、ロータリエンコーダ504の検出結果から、駆動ローラ15を等速で回転させるように制御することで、駆動ローラ15の偏心およびロータリエンコーダ504の取り付け偏心の影響でベルトの移動速度が周期変動する。このベルトの周期変動が第1支持ローラ17に検知される。そして、実施例3同様に、駆動ローラ15の第1区間(図27の検出区間A)の回転時間を第1検出手段404の検出器406がエンコーダ盤405のスリット403Aを検出してから、再びこのスリット403Aを検出までの時間と、駆動ローラ15の第2区間(図27の検出区間B)の回転時間を第1検出手段404の検出器406がエンコーダ盤405のスリット403Bを検出してから、再びこのスリット403Bを検出までの時間と、を用いて連立方程式をたてる。すると、数21のような行列を導出することができ、この行列を解く事で、駆動ローラ15の偏心およびロータリエンコーダ504の取り付け偏心による速度変動成分の振幅Aおよび位相αを求めることができる。これにより、数22に示すような、ベルトの移動速度が一定となるような駆動ローラ15の回転角速度(目標角速度ωref)が得られる。そして、上述同様に、第2検知手段504の出力結果と目標回転角速度ωref2との差分に基づいて駆動モータ7のフィードバック制御を行うことで、ベルトを所望の速度で回転駆動制御することができる。
【0124】
また、第2検知手段504を、ロータリエンコーダのような高性能なエンコーダとした場合は、第2支持ローラの回転角情報θから、第2支持ローラの偏心およびロータリエンコーダの取り付け偏心による変動成分を算出することもできる。以下に、第2支持ローラの回転角情報θから、第2支持ローラの偏心およびロータリエンコーダの取り付け偏心による変動成分を算出する方法について説明する。
【0125】
回転角による第2支持ローラの偏心およびロータリエンコーダの取り付け偏心による変動成分の算出も図27のベルト駆動装置を用いることができ、基本的なフローは、回転時間による算出手法と同じである。ここでは、回転時間による算出手法と異なる点について説明する。
図27に示すベルト駆動装置を用いて行う場合は、カウンタ9を同期型8ビットカウンタで構成し、現在のカウント数のデジタル値(カウントデータ)を制御部8へ出力するように設定する。この出力されたカウントデータに基づき、制御部8は第2支持ローラの周期変動の演算を行う。つまり、第2支持ローラの累積回転角情報が第2ローラ周期変動演算処理部に送られるのである。
【0126】
次に、回転角による第2支持ローラの偏心および第2検出手段の取り付け偏心による変動の検出処理を説明する。
まず、制御器8はDCサーボモータを回転させて、ベルトを駆動させる。モータの回転状態は、回転角検出時のローラとベルト間のすべりが微少となるように、回転速度が安定した状態である。次に、同期処理と第2支持ローラの回転位相基準となるホーム位置の設定を行う。同期処理と第2支持ローラのホーム位置の設定は、上述と同様であるので省略する。
【0127】
ホーム位置を設定したら、このホーム位置に基づき、ローラ径比を求める。第1検知手段404のパルス信号と同期した第2検知手段504のホーム位置を設定したら、カウンタ9で第2検知手段504から出力されるパルス信号をカウントする。そして、第1検知手段404のパルス信号が出力されたら、そのときのカウント数をカウントデータC1として記憶する。次の第1検知手段404のパルス信号が出力されたら、そのときのカウント数をカウントデータC2として記憶する。同様にして、カウントデータC3も記憶していき、第2支持ローラ1回転で3個のカウントデータを記憶する。そして、これらのカウントデータに基づき、第1検知手段404のパルス信号が出力されたときの第2支持ローラのホーム位置からの回転角θを算出する。具体的には、ホーム位置をθ0とし、カウントデータC1から算出される回転角をθ1とし、カウントデータC2から算出される回転角をθ2とし、カウントデータC3から算出される回転角をθ3とする。回転角θ1、θ2、θ3は、第1支持ローラ17が半回転したときの第2支持ローラ15の回転角であるから、第1支持ローラ17が1回転したときの第2支持ローラ15の回転角は、θ2、(θ3−θ1)として表すことができる。そして、これら算出された回転角θ2または(θ3−θ1)から第1支持ローラ17の径R1と第2支持ローラの径R2との径比(R1/R2)を求める。
【0128】
次に、第2支持ローラのホーム位置θ0を基準とした各回転角θ1、θ2、θ3と、第1支持ローラと第2支持ローラとの径比(R1/R2)用いて、第2支持ローラ15の偏心および第2検出手段504の取り付け偏心による変動成分の算出処理を実行する。具体的には、第2支持ローラ15の偏心および第2検出手段504の取り付け偏心による回転角変動の振幅A´とホーム位置θ0を基準とした位相α´とを算出する。具体的には、第1支持ローラ17が第1区間(図27おける検出区間A1)回転する間に第2支持ローラ15が回転した回転角と、第1支持ローラが第2区間(図27おける検出区間B1)回転する間に第2支持ローラが回転した回転角とから求める。第1支持ローラ17の第1区間A1は、図27に示す第2支持ローラ15の第1検出区間A2とほぼ一致する。また、第1支持ローラ17の第2区間B1は、図27に示す第2支持ローラの第2検出区間B2とほぼ一致する。そして、第1支持ローラ17が第1区間A1回転する間に第2支持ローラが回転した回転角は、(θ2−θ0)であり、第1支持ローラ17が第2区間B1回転する間に第2支持ローラが回転した回転角は、(θ3−θ1)である。このように、第1支持ローラ17が1回転する間に第2支持ローラ15が回転した回転角(θ2−θ0)、(θ3−θ1)に基づき振幅A´、位相α´を算出することで、上述同様に第1支持ローラ17の偏心や第1検出手段404の取り付け偏心の影響を無視することができる。
【0129】
以下に、第2支持ローラ15の偏心および第2検出手段504の取り付け偏心による回転角変動の振幅A´と位相α´を算出する方法について説明する。
【0130】
まず、第2支持ローラ15の偏心等による回転角変動を含む第2支持ローラ15の回転角θ2を以下のように規定する。
【数31】
ここで、数31の右辺第1項のθ02は、ベルトの搬送に伴い回転する第2支持ローラ15の理想回転角である。ベルト移動量をローラの回転角に変換したものに等しい。つまり、第2支持ローラ15の偏心等が無く、理想的なローラおよびエンコーダであれば、θ2=θ02となる。この回転角に振幅A´、位相α´の第2支持ローラ15の偏心や第2検出手段504の取付け偏心による回転角変動成分を示す右辺第2項が重畳されている。
【0131】
ここで、第1支持ローラ17が第1区間A1回転(整数回転)する間に第2支持ローラ15が回転する理想回転角θ02は、以下のように表すことができる。
【数32】
第1区間A1で第1支持ローラ17は、1回転するので、N=1である。また、第1支持ローラ17と第2支持ローラ15の径比(R1/R2)は、先述の検出データにて求められた値を用いる。
【0132】
そして、第1支持ローラ17が第1区間A1回転する間に第2支持ローラ15が回転した回転角(θ2−θ0)と、数32から、数31は、次のように表すことができる。
【数33】
【0133】
第1支持ローラ17が第2区間B1回転する間に第2支持ローラが回転した回転角は、(θ3−θ1)であり、第2区間B1で第1支持ローラ17もまた整数回転するので、θ02も、数32で表すことができるので、数31は、次のように表すことができる。
【数34】
【0134】
上記数33および数34を変形し導出される以下に示す連立方程式を解く事で第2支持ローラ15の偏心および第2検出手段504の取り付け偏心による回転角変動の振幅A´、位相α´を求めることができる。
【数35】
【0135】
上記数35に基づき求められた第2支持ローラ15の回転角変動の振幅A´とホーム位置を基準とした位相α´の数値をデータメモリに記憶し、第2支持ローラ15の目標回転角θ2refを設定する。また、検出精度を上げるために、これらの動作を繰り返して、複数の振幅A´、位相α´の平均値を求めても良い。
【0136】
数35の方程式により求められた振幅A´と位相α´とから、ベルトが一定量で移動したときの第2支持ローラ15の回転角(目標角)θ2refを生成し、そのデータに基づきフィードバック制御を行う。
図27に示すように、ベルト移動量が一定のときの第2支持ローラの回転角(目標回転角)θ2refは、以下のように表すことができる。なお、θ02´は、第2支持ローラ回転角である。
【数36】
【0137】
第2支持ローラが駆動ローラの場合は、第2検出手段の検出結果と目標回転角θ2refとを差分を算出して、第2検出手段の取り付け偏心成分を除去して、算出された駆動ローラの偏心による回転角変動成分と、第2検出手段で検出されたモータやギヤなどの回転角変動成分とを抽出し、これらの駆動ローラの偏心による回転角変動成分とモータやギヤなどの回転角変動成分が打ち消されるように、駆動モータ15のフィードバック制御を行う。
【0138】
また、第2支持ローラが従動ローラの場合は、第2検知手段の検知結果が目標回転角θ2refとなるように駆動モータ7のフィードバック制御を行う。ここで、θ02´は、第2支持ローラの回転角である。第2支持ローラの回転角θ02´は、ベルト搬送量を第2支持ローラの半径で除算したものであり、ベルト搬送量は、駆動モータの回転数と駆動ローラの半径とを乗算したものである。
【0139】
このように、第2検出手段504として、高分解能のロータリエンコーダを用いた場合は、回転角情報に基づいてもベルトを一定速度で搬送するようフィードバック制御が可能となる。
【0140】
また、ベルトの搬送速度が一定にもかかわらず、第2支持ローラの回転角速度が変位する要因として、上記の第2支持ローラの偏心やエンコーダの取り付け偏心による周期変動のほかに、ベルトの周方向の厚み変動がある。ベルトの周方向の厚み変動があると、第2支持ローラの回転速度に変動が生じるメカニズムを以下に説明する。ベルトに厚みの変動が存在すると、ベルトを駆動する駆動ローラ上にベルト厚の厚い部分が巻き付いているときにはローラの回転速度は遅くなり、反対にベルト厚の薄い部分が巻き付いているときにはローラの回転速度が遅くなる。そのため、ベルト移動速度が一定であっても、ローラの回転速度に変動が生じる。これは、数1に示したように、ローラの偏心を考慮しない場合、ベルト速度Vとローラの回転角速度との関係は、V=R×ωであるからである。
ローラにベルトが巻き付いて搬送していると、ベルトがローラに巻き付く際にベルト内側(ローラと接触する側)では縮みが、ベルト外側では伸びが発生する。このようなベルト体の変形に伴い、ベルト速度とローラの回転角速度との関係を決定するRがローラ中心からローラ表面までの距離でなく、ベルト膜厚の中心部までの距離となる。つまり、V=(R+1/2×B)ωとなる。(B:ベルト厚み)このことから、ベルトが一定速度の場合、ベルトの厚みBが変化するとR+1/2×B(以下ローラの実効半径)が変化し、ローラの回転が変動する。
【0141】
そこで、第1支持ローラと第2支持ローラとの回転情報(回転速度)からベルト厚み変動による第2支持ローラの回転速度変動を検出して、この検出結果から第2支持ローラの検出誤差を補正するようにしても良い。
まず、ベルト1周における厚み変動の検出を行う。ベルト厚み変動の検出は、ベルトを1周回以上駆動し、第1支持ローラと第2支持ローラとからそれぞれ回転速度を得る。このとき、ローラ偏心による周期変動も検出されてしまうため、ベルトの厚みによる回転速度変動の検出を行う場合は、ローラの回転周期の帯域を遮断するフィルタを用いて、第1支持ローラと第2支持ローラとの回転速度を得る。それぞれの回転速度には、ベルトの厚み変動に起因した回転速度変動が含まれている。2つの回転速度には、ローラの径や位置関係によって、位相や振幅の異なるベルト厚み変動による回転速度変動が検出される。しかし、2つのローラ位置関係やローラ径などの予め設計時に既定されるパラメータを用いることで、ベルトの厚み変動による回転速度変動を算出することができる。そして、算出されたベルト厚み変動による回転速度変動データを用いて、第2支持ローラのベルト厚み変動による回転速度変動を補正する。
ベルトの厚み変動による回転速度変動を算出して、第2支持ローラのベルト厚み変動による回転速度変動を補正したら、先程のフィルタを外して上記した方法に基づき第2支持ローラの偏心による回転速度変動を算出する。このとき、第1支持ローラおよび第2支持ローラの回転情報は、ベルトの厚み変動による回転速度変動が補正された回転情報となっている。よって、より正確な第2支持ローラの回転速度変動を求めることができる。この補正された回転情報に基づき第2支持ローラの回転速度変動を算出したら、先程設定した帯域遮断フィルタをはずして、再び、ベルト厚み変動による回転速度変動を検出する。このとき、第2支持ローラの回転情報は、第2支持ローラの偏心などによる回転速度変動が除去されたものとなっているので、帯域遮断フィルタをはずしても、第2支持ローラの回転速度変動から算出されるベルト厚み変動による回転速度変動に誤差が生じることがない。また、この2回目のベルト厚み変動による回転速度変動の検出で、より帯域の広い(より複雑な変動の)ベルト厚み変動による回転速度変動の検出が可能となり、より正確なベルト厚み変動による回転速度変動を算出することができる。
このようにして、求められたベルト厚み変動による回転速度変動と第2支持ローラの偏心および第2検出手段による回転速度変動とを用いて、フィードバック制御を行うときの目標となる第2支持ローラの目標回転速度を求めて、フィードバック制御を行う。このとき求められる第2支持ローラの回転速度は、ベルト厚み変動による回転速度変動と第2支持ローラの偏心および第2検出手段による回転速度変動とを考慮にいれたものであるので、より高精度にベルト搬送を制御することができる。
【0142】
また、本実施形態では、第1支持ローラを第2支持ローラと駆動ローラとの間に設け、且つ第2支持ローラと駆動ローラとの間に第1支持ローラ以外のローラを設けないようにすることが好ましい。上記第1支持ローラや第2支持ローラなど、従動ローラに偏心があると、その偏心によりベルトの経路長が変わりその影響が、偏心したローラから駆動ローラを介さずテンションローラを結んだ経路に設けられたローラに及んでしまう。
これを図21を用いて具体的に説明する。図21のベルト駆動装置には、駆動ローラ15、テンションローラ16、そして従動ローラとして、第1支持ローラ17、第2支持ローラ14が設けられている。例えば、図21に示すように、第1支持ローラ17が偏心している場合、第1支持ローラ17の偏心により、ベルト10が図中点線と実線との間を変動する。そして、このような変動は、第1支持ローラ17の回転周期を1周期とする変動成分である。例えば、ベルト10が実線から点線に変動したときは、テンションローラ16が図中上側に移動する。一方、ベルトが点線から実線に移動すると、テンションローラ16が図中下側に移動して、ベルト10が撓むのを防止している。駆動ローラ15は、ベルトとすべりなどが発生しないように巻き付いている。このため、ベルト10が点線から実線に移動したときの撓み分は、駆動ローラ15を介さず、第2支持ローラ14を介して、テンションローラ16に吸収される。つまり、第1支持ローラ17が点線から実線まで移動するとき、ベルト10はテンションローラ16によって、搬送方向と逆方向に引っ張られ、テンションローラ16から第2支持ローラ14を介し第1支持ローラ17までの搬送経路のベルト移動速度が他の位置のベルト移動速度よりも遅くなる。また、第1支持ローラ17が実線から点線に移動するときは、第1支持ローラ17によって、ベルトが搬送方向と順方向に引っ張られるため、テンションローラ16から第2支持ローラ14を介し第1支持ローラ17までの搬送経路のベルト移動速度が他の位置のベルト移動速度よりも早くなる。その結果、第2支持ローラ14の回転速度が第1支持ローラ17の偏心により、変動する。
一方、第2支持ローラ14が偏心により変動している場合は、テンションローラ16と第2支持ローラ14との間のベルト搬送経路でベルト速度変動が起こり、第1支持ローラ17には、第2支持ローラ14の偏心によるベルト速度変動の影響がない。
【0143】
上述したように、第1支持ローラ17は、第2支持ローラ14の整数倍とし、さらに第2検出手段504の各スリット13の間隔と同じにしている。このため、第2支持ローラ14に上記のような第1支持ローラ17の偏心によるベルト速度変動が生じても、第2支持ローラの偏心や第2検出手段の取り付け偏心による第2支持ローラの回転速度変動の導出においては、このベルト速度変動の影響をほとんど無視することができる。
また、第2支持ローラ14と駆動ローラ15との間に第1支持ローラ17以外の第3のローラ170を設けた場合、この第3のローラ170の偏心によるベルト速度変動が、第1支持ローラ17および、第2支持ローラ14に影響し、第1支持ローラ17の回転角速度や第2支持ローラ14の回転角速度が変動して、精度よく第2支持ローラ14の回転速度変動を算出することができなくなり、好ましくない。しかしながら、ベルトと巻きつきが少なく、偏心の影響の少ないローラであれば、設けることも可能である。
一方、逆に第1支持ローラ17と駆動ローラ15との間に第2支持ローラ14を設けた場合は、第1支持ローラ17に第2支持ローラ14の偏心によるベルト速度変動の影響により、第1支持ローラの回転情報を正しく検出できなくなり、好ましくない。
【0144】
また、感光体等の作像ユニットは、第2支持ローラよりもベルト搬送方向下流側に設けることが好ましく、図21に示すEの区間、すなわち、第2支持ローラと第1支持ローラとの間に設けることが好ましい。これは、第2支持ローラの回転角速度に基づいて、ベルトが一定速度で搬送されるよう、フィードバック制御しているためである。すなわち、駆動伝達系の周期変動などを第2支持ローラで補正しながら、第2支持ローラが目標回転角速度となるように、フィードバック制御するため、ベルトが第2支持ローラの巻き付きを抜けたところが他の変動成分の影響が最も少なく、最もベルト一定速度に移動しているところと言える。よって、第2支持ローラよりもベルト搬送方向下流側に作像ユニットを設けることで、バンディング画像の影響を少なくすることができる。また、作像ユニットを第2支持ローラと第1支持ローラとの間Eの区間に設けることで、作像ユニットを第2支持ローラと最も近い区間に設けることができ、より確実にバンディング画像の影響を少なくすることができる。
【0145】
また、第1支持ローラ17に偏心がある場合、第2支持ローラ14では、第1支持ローラのベルト変動成分が検出できなため、図21のEの区間で速度が変動してしまう。このように、第1支持ローラ17に偏心がある場合は、第1支持ローラ17と駆動ローラ15との間に感光体を設けることが好ましい。
【0146】
また、作像ユニットを図21に示す、テンションローラ16と第2支持ローラとの間の区間Fに設けると、第2支持ローラ14の偏心により、区間Fでベルト移動速度に変動が生じる場合があり、作像ユニットを区間Fに設置するのは好ましくない。しかし、以下に示す方法により、Fの区間におけるベルト搬送速度を一定にすることができ、Fの区間に作像ユニットを配置しても、良好に画像を形成することができる。
【0147】
F区間におけるベルト搬送速度を一定にする方法は、まず、第2検出手段を図19に示す2つの検出器を有するものを使用して、上述した方法でエンコーダ盤の取り付け偏心を除去する。すなわち、補正した通過時間T1、T2、T3で振幅および、位相を求める演算を実行する。この演算により求められた振幅と位相は、エンコーダ盤の取り付け偏心が除去された通過時間を用いて算出されたものであるので、第2支持ローラの偏心による回転速度変動成分ということができる。この第2支持ローラの偏心による回転速度変動成分の位相と振幅を数31に示すような式に代入することで、第2支持ローラの偏心によるベルトの移動量(変動量)ΔLBCを算出することができる。
【数37】
【0148】
上記数37について図25を用いて説明する。図25は、回転中心OA’から第2支持ローラの中心OAがε2だけ偏心した図である。ベルトの移動量(変動量)ΔLBCは、図25に示すテンションローラ16の中心OCと第2支持ローラの回転中心OA’とを結ぶ線分XACと、第1支持ローラ17の中心OBと第2支持ローラの回転中心OA’とを結ぶ線分XABとを基準にして求めらる。すなわち、テンションローラ16の中心OCと第2支持ローラの中心OAとを結ぶ線分ACの線分XACに対する変動量ΔLACと、第1支持ローラの中心OBと第2支持ローラの中心OAとを結ぶ線分ABの線分XABに対する変動量ΔLABとから第2支持ローラの偏心によるベルトの移動量(変動量)ΔLBCを算出している。
【0149】
ΔLACは、数31に示すように、LACとLAC´との差分で表すことができる。LACは、テンションローラの中心OCと第2支持ローラの中心OAとを結ぶ線上にある第2支持ローラの点A2から、テンションローラ16のベルトの巻き付き開始点Cまでのベルト経路長である。LAC´は、偏心量ε2が0のとき、すなわち、第2支持ローラの中心OAが、回転中心OA’のときのテンションローラまでのベルト経路長である。具体的には、テンションローラ16の中心OCと第2支持ローラ14の回転中心OA’とを結ぶ線上にある第2支持ローラ上の点A2’から、テンションローラ16のベルトの巻き付き開始点Cまでの距離である。
【0150】
同様に、ΔLABは、数31に示すように、LABとLAB´との差分で表すことができる。LABは、第1支持ローラの中心OBと第2支持ローラの中心OAとを結ぶ線上にある第2支持ローラの点A1から、第1支持ローラ17のベルトの巻き付き開始点Bまでのベルト経路長である。LAB´は、偏心量ε2が0のとき、すなわち、第2支持ローラの中心OAが、回転中心OA’のときの第1支持ローラ17までのベルト経路長であり、第1支持ローラ17の中心OBと第2支持ローラ14の回転中心OA’とを結ぶ線上にある第2支持ローラの点A1’から、第1支持ローラのベルトの巻き付き開始点Bまでの距離である。
LACおよびLAB値は、第2支持ローラの中心OAが第2支持ローラの回転中心OA’を基準に回転するため、変動する。一方、LAB´とLAC´の値は、設計時に予め分かる、第2支持ローラの回転中心OA’と半径RA、テンションローラの中心OCと半径RCおよび、第1支持ローラの中心OBと半径RBから求められる数値である。
【0151】
LACは、(LOACSinφAC+RAφAC)で表すことができ、LABは、(LOABSinφAB+RAφAB)で表すことができる。
数31に示すLOACは、第2支持ローラ14の中心OAとテンションローラ16の中心OCとの距離を示しており、LOABは、第2支持ローラ14の中心OAと第1支持ローラ17の中心OBとの距離を示している。
また、φABは、第2支持ローラのベルト巻き付き角度を第1支持ローラと第2支持ローラとの関係で表したものであり、φACは、第2支持ローラのベルト巻き付き角度をテンションローラと第2支持ローラとの関係で表したものである。
【0152】
また、数31に示すLOAB’は、第2支持ローラの回転中心OA’と第1支持ローラ17の中心OBとの距離であり、LOAC’は、第2支持ローラの回転中心OA’とテンションローラ16の中心OCとの距離である。これもまた、設計時に予め求められる数値である。
【0153】
また、θAは、第2支持ローラの回転中心OA’を中心として第2支持ローラの中心OAが、線分XABまで回転したときの回転角度である。一方、θBは、第2支持ローラの回転中心OA’を中心として第2支持ローラの中心OAが、線分XACまで回転したときの回転角度である。
【0154】
また、ηAは、第2支持ローラの回転中心OA’と第2支持ローラのベルト巻き付き部分の中央部(巻き付き角の1/2)の点Xとを結ぶ線分上に第2支持ローラの中心OAが位置しているときのθAである。ηBは、第2支持ローラの回転中心OA’と第2支持ローラのベルト巻き付き部分の中央部(巻き付き角の1/2)の点Xとを結ぶ線分上に第2支持ローラの中心OAが位置しているときのθBである。
ηAとηBとは、設計時に判明する線分XAC、線分ABと、巻き付き角から予め求めることができる。
【0155】
偏心量ε2は、上記で求められた第2支持ローラ14の偏心による回転速度変動成分の振幅Aに相当する。また、位相αは、第2支持ローラ14の偏心による回転速度変動成分の位相αである。また、回転角速度ωAは、第2支持ローラ一周期の平均回転角速度であり、第2支持ローラ14の偏心による回転速度変動成分の検出時のデータを基に求めることができる。
【0156】
これら、設計時に予め求められる、LAB’、LAC’、LOAB’、LOAC’、ηA、ηB、ωAおよび、上記演算で求められた偏心量ε2(振幅A)、位相αから、移動量(変動量)ΔLBCが算出される。
【0157】
この数31から求められた第2支持ローラの偏心によるベルトの変動量と、第2支持ローラの偏心による回転速度変動成分の位相と振幅に基づいてフィードバック制御を行う。その結果、上記第2支持ローラの偏心によるベルト変動量が加味されたフィードバック制御が行われるので、F区間のベルト速度変動が抑制され、良好な画像を形成することができる。
【0158】
また、例えば、画像形成装置の設計等の都合上、図22に示すように、第2支持ローラ14と第1支持ローラ17との間に第3のローラ170が設けられてしまう場合がある。このような場合、第2支持ローラ14は、第3のローラ170の偏心によるベルト移動変動の影響を受けて回転する。このため、第2支持ローラ14の回転速度変動を補正して、第2支持ローラ14の回転角速度を用いてベルト速度を制御する場合、第3のローラ170の偏心によって発生したベルト速度変動が考慮されたフィードバック制御がなされる。このとき、感光体などの作像ユニットを第3のローラ170と第2支持ローラ14との間の作像区間Fに設けることができれば、この領域では、ベルト速度変動が発生せずに良好な画像が形成できる。しかし、画像形成装置の設計等の都合上、第3のローラ170と第1支持ローラ17との間の作像区間Eに作像ユニットを設けなくてはならない場合がある。作像区間Eには、第3ローラ170の偏心による影響がないため、上述のフィードバック制御を行った場合、この間に第3ローラ170の偏心によるベルト速度変動が発生する。このような場合は、第3ローラ170を第2支持ローラ14と同じ径とすると良い。これにより、第2支持ローラ14と第3ローラ170とが同じ周期となり上記の方法で第2支持ローラ14の回転速度変動を検出すると、その検出結果は、第3ローラ170の偏心によるベルト変動による回転速度変動と第2支持ローラの偏心及び第2検出手段の取り付け偏心による回転速度変動とが合成されたものとなる。よって、この検出結果に基づいて第2支持ローラの目標回転角速度を求め、この求めた目標回転角速度でフィードバック制御を行えば、第3ローラの偏心によるベルト速度変動は、駆動モータにフィードバックされない。よって、作像区間Fには、第3ローラ170の偏心によるベルト速度変動が生じるが、作像区間Eでは、第3支持ローラ170の偏心によるベルトの速度変動が現れず、良好に画像を形成することができるようになる。
【0159】
(1)
以上本実施形態のベルト駆動制御方法によれば、速度検出対象回転体としての第2支持ローラの偏心などに起因する第2支持ローラの一回転周期の回転速度変動を数12に示すような簡単なパラメータを用いて正弦波の数式として規定する。そして、第2支持ローラが一回転する間に第2支持ローラが既定回転角を回転するときの回転時間をそれぞれ異なる位相で計測する。これらの計測した回転時間と上記数12を用いて連立方程式を立てて、解くことで振幅と位相とを導出することができる。この数式を求めるときに、第1支持回転体としての第1支持ローラの1回転するときの回転時間を用いて、第2支持ローラが既定角回転したときの平均角速度ω02を求める。これにより、第2支持ローラの既定角回転したときの回転時間を用いてベルト移動速度に起因する第2支持ローラの平均角速度ω02を算出するよりも精度よく算出することができる。これは、第2支持ローラの既定角回転したときの回転時間には、第2支持ローラの偏心による変動成分が含まれているが、第1支持ローラの1回転の回転時間には、第1支持ローラの偏心による変動成分が除去されており、ベルト移動速度の成分のみとなっているためである。
このように、本実施形態では、連立方程式に値を代入するだけで、正確に第2支持ローラの一回転周期の回転速度変動を導出することができ、従来のように周波数分解やフィルタを用いて抽出する方法に比べて、計算量を抑えることができる。その結果、高価な演算処理ソフトを用いる必要がなくなる。また、第2支持ローラが規定回転角を回転するときの時間を計測するだけで、第2支持ローラの偏心などに起因する回転速度変動を導出することができ、高価なロータリエンコーダ等を用いる必要がない。
(2)
また、本実施形態のベルト駆動制御方法によれば、第1支持ローラを等速で回転させている。このように、第1支持回転体を等速で回転させるように駆動源を制御すれば、駆動ローラの偏心による周期変動などの変動成分が第1支持ローラで除去される。これにより、第2支持ローラが既定角回転するときの回転時間に駆動ローラの偏心による周期変動などの変動成分の影響がなくなる。そして、この回転時間と上記数12の式を用いて、連立方程式を立てて第2支持ローラの偏心などに起因する回転速度変動の振幅と位相を求める。このとき用いられる回転時間には、駆動ローラの偏心による周期変動などの変動成分の影響がないため、精度良く振幅と位相とを求めることができる。また、この実施形態におけるベルト駆動制御方法においても、第2支持ローラが規定回転角を回転するときの時間を計測するだけで、第2支持ローラの偏心などに起因する回転速度変動を導出することができるため、高価なロータリエンコーダ等を用いる必要がない。
また、第2支持ローラが既定角回転するときに、第1支持ローラが1回転するように第1支持ローラの径を設定すれば、第1支持ローラに偏心があっても、第2支持ローラが既定角回転するときの回転時間に第1支持ローラの偏心による第2支持ローラの回転速度変動の影響が現れない。これは、第1支持回転体の偏心に起因する第2支持ローラの回転速度の変動は、第1支持ローラ1回転を1周期とする余弦波や正弦波などで表すことができ、1回転周期で変動成分が相殺されるためである。これにより、第1支持ローラに偏心があっても、第2支持ローラが既定角回転したときの回転時間から、第2支持ローラの偏心などに起因した第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相とを精度よく求めることができる。
(3)
また、本実施形態のベルト駆動制御方法によれば、第2支持ローラを等速で回転させ、このときの第1支持ローラの一回転の回転時間を支持ローラが1回転する間に少なくとも2回計測している。第2支持ローラを回転させることで、駆動ローラの偏心などの駆動伝達系の変動成分が除去される。しかし、第2支持ローラの偏心などに起因する回転速度変動がベルトの移動速度の変動成分として現れる。すると、第1支持ローラ回転速度が、第2支持ローラの回転速度変動により変動する。そこで、第1の支持ローラの一回転の時間を第2支持ローラが1回転する間に2回計測することで、上記数12に基づいて連立方程式を立てることができる。また、第1支持ローラの一回転の回転時間を計測しているので、仮の第1支持ローラが偏心しており、第1支持ローラの回転速度変動が発生していても、その変動の影響を無視することができる。これは、第1支持ローラの一回転周期で発生する周期変動が正弦波や余弦波として表すことができるため、第1支持ローラの一回転周期でその変動が相殺されるためである。よって、第1支持ローラの一回転の回転時間を用いて、第2支持ローラの回転速度変動の位相や振幅を正確に求めることができる。また、第1支持ローラの1回転の時間を計測するだけで、第2支持ローラの偏心に起因する第2支持ローラの回転速度変動を導出することができるため、高価なロータリエンコーダを用いる必要がない。
(4)
また、本実施形態のベルト駆動制御方法によれば、上記既定回転角をπ[rad]とすることで、第2支持ローラの変動成分の検出感度を高めることができる。
(5)
また、本実施形態のベルト駆動制御方法によれば、第2支持ローラが1回転する間で第2支持ローラが既定回転角を回転するときの回転時間を(π/2)異なる位相で計測している。これにより、確実に第2支持ローラの変動成分の検出感度を高めることができる。
(6)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2検出手段で上記した連立方程式に代入する第2支持ローラの回転情報を得る。この回転情報には、第2支持ローラの偏心などに起因する第2支持ローラの変動成分と駆動ローラの偏心等の駆動伝達系の変動成分とが含まれている。この駆動伝達系の変動成分を除去するために、第1検出手段で検出した第1支持ローラの回転情報を用いる。この第1支持ローラの回転情報にも第2支持ローラと同様に駆動伝達系の変動成分を有している。この第1支持ローラの回転情報を用いて演算手段で第2支持ローラの回転情報を補正して、第2支持ローラの回転情報から駆動伝達系の変動成分を除去する。この除去された第2支持ローラの回転情報を第2支持ローラの1周期で二つに分割し、連立方程式を立てて演算することで、分解能の低い検出手段を用いても正確に第2支持ローラの偏心に起因する第2支持ローラの回転速度変動の振幅及び位相を導出することができる。
(7)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、高分解能の第1検出手段で第1支持ローラの回転速度を検出して、この検出結果に基づき駆動ローラを制御して第1支持回転体を等速で回転させる。このように、第1支持ローラを等速で回転させることで、第2支持ローラの回転速度に駆動ローラの偏心等の駆動伝達系の変動が影響しない。その結果、第1支持回転体が等速で回転しているときに低分解能の第2検出手段で検出される第2支持ローラの回転情報には、駆動ローラの偏心等の駆動伝達系の変動の影響が検出されない。そして、第2支持ローラの回転情報の基づいて連立方程式を立てて演算することで、第2検出手段を分解能の低いものにしても正確に第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相を求めることができる。
(8)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、高分解能の第2検出手段で第2支持ローラの回転速度を検出して、この検出結果に基づき駆動源を制御して第2支持回転体を等速回転させる。このように、第2支持ローラを等速で回転させることで、第1支持ローラの回転速度に駆動ローラの偏心等の駆動伝達系の変動が影響しない。しかし、ベルトの移動速度は、第2支持ローラの回転速度変動により変動する。このベルトに発生した第2支持ローラの回転速度変動によって第1支持ローラの回転速度が変動する。この変動成分は、第1検出手段で検出されるので、第1検出段で検出された回転情報を用いることで、
第2支持ローラの回転速度の振幅と位相を正確に求めることができる。
(9)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2支持ローラを上記駆動ローラとすることもできる。
(10)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、演算手段は、第2支持ローラの第1の位置から第2支持ローラが既定回転角だけ回転するときの回転時間と、第2支持ローラの第2の位置から第2支持ローラが既定回転角だけ回転するときの回転時間とからなる回転情報に基づいて、位相および振幅を導出している。具体的には、演算手段は、これらの計測した回転時間と、第2支持ローラの回転速度変動を規定した数12に示す振幅及び位相を未知のパラメータとして含む正弦波関数とを用いて連立方程式を立てて、解くことで第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相とを導出している。このように連立方程式を解くだけで、第2支持ローラの回転速度変動の振幅と位相とを求めることができる。このため、従来のように第2支持ローラの回転速度変動を含んだ検出結果を周波数分解するような方法に比べて、計算量を抑えることができる。また、第2支持ローラが規定回転角回転するときの時間で第2支持ローラの回転速度変動の位相や振幅を導出することができるため、低分解能のエンコーダを用いても精度よく第2支持ローラの回転速度変動を導出することができる。
なお、実施例1および実施例2の場合は、第2検出手段で上記の回転情報(第2支持ローラが既定回転角だけ回転するときの回転時間)を取得し、実施例3の場合は、第1検出手段で上記の回転情報(第2支持ローラが既定回転角だけ回転するときの回転時間)を取得している。
(11)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、既定回転角をπ[rad]としている。これにより、第2支持ローラの回転速度変動の検出感度を高めることができる。
(12)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第1の位置と第2の位置との位相差角度を(π/2)[rad]としている。これにより、確実に第2支持ローラの変動成分の検出感度を高めることができる。
(13)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2検出手段は、検出器が第1の被検出部を検出してから規定回転角を回転した位置にある被検出部を検出するまでの時間と、検出器が第2の被検出部を検出してから規定回転角を回転した位置にある被検出部を検出するまでの時間とを計測するようにしている。このように、被検出部の検出して時間を計測することで、容易に第2支持ローラが規定回転角だけ回転するときの時間を計測することができる。
(14)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、上記第1支持ローラの1回転の周長が、被検出部間の周長の整数倍としている。これにより、第2支持ローラが規定回転角を回転するときに、ほぼ第1支持ローラが整数倍回転するようにできる。よって、規定回転角を回転するときの時間に第1支持ローラの偏心などの変動の影響が及ぶことが抑制される。これは、第1支持ローラの偏心などの変動成分は第1支持ローラを1回転とする正弦波または余弦波で表すことができ、第1支持ローラが1回転することで、その変動分が相殺されるためである。
また、第1の被検出部と第2の被検出部との間においてもほぼ第1支持ローラが整数倍回転する。第1被検出部と第2被検出部との位相に第1支持ローラの影響が及ぶのを抑制することができる。
(15)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2支持ローラの径が、第1支持ローラの径の4n(nは自然数)倍としている。これにより、第2支持ローラがπ[rad]回転したときおよび(π/2)[rad]回転したときに、第1支持ローラが丁度整数倍回転するようになる。これにより、規定回転角がπ[rad]で、第1の位置と第2の位置との位相差角度が(π/2)[rad]としている第2支持ローラにおいて、規定回転角回転するときの回転時間計測時に第1支持ローラの偏心などによる変動成分の影響を抑制することができる。
(16)
また、すくなくとも、上記第2支持ローラの径と上記第1支持ローラの径の比を2:1とすれば、図26に示すように、規定回転角がπ[rad]で、第1の位置と第2の位置との位相差角度が(π/2)[rad]としている第2支持ローラにおいて、規定回転角がπ[rad]回転したときに第1支持ローラが1回転するように設定することができる。
(17)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2検出手段は、被検出部のひとつを上記演算手段が第2支持ローラの1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出するときの基準となるホーム位置としている。よって、第2検出手段とは別に、第2支持ローラにホーム位置と、このホーム位置を検出する検出手段を設ける必要がない。
(18)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、上記ホーム位置を、導出した位相および振幅に基づいて駆動源を制御するときの基準位置としている。これにより、駆動源を制御するとき、導出した位相および振幅から求められた第2支持ローラの回転速度変動と第2支持ローラの回転速度変動を合わせることができ、正確にベルト駆動制御を行うことができる。
(19)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2検出手段は、少なくと3つの被検出部を備えている。これにより、2つの被検出部を規定回転角回転したときの回転時間を計測するための基準とし、もうひとつの被検出部をホーム位置用にすることができる。
(20)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2検出手段は、第1の検出器と第2の検出器とを備え、第2の検出器は、第1検出器で検出した被検出部と180°位相がずれた位置の被検出部を検出している。これにより、第2の検出器で検出される回転情報は、第1の検出器で検出される回転情報と180°位相のずれた回転情報とすることができる。第2検出手段の取り付け偏心の周期変動は、第2支持ローラ1回転を1周期とすることから、第1検出器で検出された回転情報と、第2の検出器の検出された回転情報とを平均化すれば、第2検出手段の取り付け偏心による周期変動が相殺される。その結果、第2検出手段で検出される回転情報に含まれる回転速度変動を第2支持ローラの偏心に起因したもののみにすることができる。その結果、この第2検出手段の回転情報を用いれば、高精度に第2支持ローラの回転速度変動を導出することができる。
(21)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2検出手段および/または第1検出段は、検出対象の回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部を備えた回転盤を備えており、この回転盤が検出対象の回転体に固定されている。このように、被検出部を回転盤に設けることで、検出手段を検出対象の回転体の任意の位置に設けることができる。
(22)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、被検出部が、検出対象の回転体に設けられている。これにより回転盤を無くすことができ、部品点数が少なくなり低コスト化を図ることができる。
(23)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2支持ローラの回転速度変動の振幅及び位相の導出を装置の電源投入時に行う。これにより、環境変化、径時変化に対応することができる。また、ホーム位置を特定の位置に固定しておかない場合であっても、電源投入時に再度任意の位置をホーム位置として、このホーム位置で第2支持ローラの回転速度変動を導出することができる。よって、ホーム位置を特定の位置に固定しておかない場合であっても、ホーム位置と導出された第2支持ローラの回転速度変動のホーム位置がずれることがない。
(24)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2支持ローラの1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相の導出を一定時間径過毎に行う。これにより、装置稼動中に環境の変化や第2支持ローラの径時変化が発生しても、自動的に第2支持ローラの回転速度変動が補正される。よって、稼動中にベルト搬送速度が変動するのを抑制することができる。
(25)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第2支持ローラの1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相の導出を逐次的に行う。これにより、環境の変化や径時変化によって第2支持ローラの回転速度変動が変わっても、ベルトの移動速度が変動することがない。
(26)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、第1支持ローラは、第2支持ローラと駆動ローラとの間で形成される2つのベルト搬送経路のうち、テンションローラが配置されるベルト搬送経路と異なるベルト搬送経路に配置される。これにより、第1支持ローラは、第2支持ローラの偏心により生じるテンションローラと第2支持ローラとの間で生じるベルト速度変動の影響を受けることがない。
(27)
また、本実施形態のベルト駆動制御装置によれば、ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した第2支持ローラの回転速度変動をベルト厚み変動検出手段で検出する。そして、第2支持ローラの偏心や第2検出手段の取り付け偏心に起因する回転速度変動と、上記ベルト厚み変動に起因する回転速度変動とに基づいて、フィードバック制御を行うことで、ベルトをより一定速度で搬送することができる。
(28)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、感光体ベルトを上記(6)〜(26)のベルト駆動制御装置で制御することで、ベルトの制御を高精度で安価に行うことができ、濃度ムラやバンディングを抑制することができる。
(29)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、中間転写ベルトを上記(6)〜(26)のベルト駆動制御装置で制御することで、ベルトの制御を高精度で安価に行うことができ、濃度ムラやバンディングを抑制することができる。
(30)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、用紙搬送ベルトを上記(6)〜(26)のベルト駆動制御装置で制御することで、ベルトの制御を高精度で安価に行うことができ、用紙に転写される画像の濃度ムラやバンディングを抑制することができる。
(31)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、ベルトに画像を転写または作像を行う位置は、第2支持ローラよりもベルト搬送方向下流側に設けられている。第2支持ローラの回転速度を検出して、この回転速度から駆動源を制御することで、ベルト移動速度を一定にしている。よって、第2支持ローラよりもベルト搬送方向下流側の方が、上流側に比べてベルトが一定速度で搬送される。よって、第2支持ローラよりもベルト搬送方向下流側に転写または作像を行う位置を設けることで、画像の濃度ムラやバンディングを抑制された画像を得ることができる。
(32)
また、本実施形態の画像形成装置によれば、第2支持ローラからベルトに画像を転写または作像を行う位置までのベルト搬送経路に配置される支持回転体の径を第2支持回転体の径と同一にする。第2支持ローラよりもベルト搬送方向下流側に支持回転体があると、この支持回転体の偏心により支持回転体とテンションローラとの間でベルト速度変動が発生する。このベルト速度変動の影響により第2支持ローラの回転速度が変動する。この第2支持ローラの回転速度変動を除去するため、駆動源が制御される。その結果、テンションローラから支持回転体までの搬送経路では、上記支持回転体によるベルト速度変動成分が除去されて、安定してベルトが搬送される。しかし、支持回転体よりもベルト搬送方向下流側には、支持回転体の偏心によるベルト速度変動が生じていないので、逆に支持回転体の偏心によるベルト速度変動が現れてしまう。その結果、支持回転体よりベルト搬送方向下流側に転写または作像を行う位置を設けると、画像の濃度ムラやバンディングが発生してしまう。そこで、このような場合、支持回転体を第2支持ローラと同一の径とする。このように、同一の径とすると、第2支持ローラの偏心などに起因する回転速度変動と、支持回転体の偏心に起因するベルト移動変動によって生じる回転速度変動との周期が同じとなる。よって、第2支持ローラの回転速度変動算出の際に第2支持ローラの偏心などに起因する回転速度変動と支持回転体の偏心に起因する回転速度変動とが合成された波形の位相と振幅とが導出される。この導出された位相と振幅とを用いて駆動源の制御を行えば、検出手段に検出される支持回転体の偏心に起因する回転速度変動は、補正されて、駆動源にフィードバックされない。よって、支持回転体よりも下流側には、支持回転体の偏心に起因するベルト速度変動が生じない。その結果、支持回転体よりもベルト搬送方向下流側に転写または作像を行う位置を設けても、画像の濃度ムラやバンディングの発生が抑制されて良好な画像が形成することができる。
(33)
また、テンションローラから第2支持ローラまでのベルト搬送経路の間にベルトに画像を転写または作像を行う位置がある場合、第2支持ローラの偏心によりテンションローラと第2支持ローラとの間でベルトの移動速度が変動する。すると、画像の濃度ムラやバンディングが発生してしまう。そこで、このような場合は、演算手段で導出した第2支持ローラの回転速度変動の振幅及び位相から、第2支持ローラの偏心により生じるテンションローラと第2支持ローラとの間でベルトの移動速度の変動量を導出する。具体的には、上記2つの検出器を有する検出手段を第2検出手段として、第2検出手段から検出された回転情報から、第2検出手段の取り付け偏心による第2支持ローラの回転速度変動を除去する。この回転情報に含まれる回転速度変動成分を第2支持ローラの偏心による回転速度変動成分のみとすることができる。この回転情報に基づき、導出される位相と振幅は、第2支持ローラの偏心による回転速度変動である。この導出した位相と振幅とを、上記数31に代入することで、第2支持ローラの偏心により生じるベルト変動を導出することができる。そして、このベルト変動量と第2支持ローラの回転速度変動とを用いて駆動源の制御を行えば、上記第2支持ローラの偏心により生じるベルト変動がフィードバックされる。その結果、テンションローラと第2支持ローラとの間で生じるベルト移動変動が除去される。このため、テンションローラと第2支持ローラとの間にベルトに画像を転写または作像を行う位置でも、バンディングや濃度のムラが抑制された良好な画像を形成することができる。
【図面の簡単な説明】
【0160】
【図1】実施形態に係る複写機全体の概略構成図。
【図2】中間転写ベルト10の主要部を示す断面模式図。
【図3】(a)は、ローラの偏心を示す模式図。(b)は、検出手段の偏心を示す模式図。
【図4】ベルト駆動制御装置の概略を示した図。
【図5】制御器8で行う制御ブロック図。
【図6】(a)は、実施例2で好適に用いられる第1検出手段と第2検出手段とを示した図であり、(b)は、実施例1で好適に用いらられる第1検出手段と第2検出手段っとを示した図であり、(c)は、実施例3で好適に用いられる第1検出手段と第2検出手段とを示した図。
【図7】エンコーダ盤のスリットを3個とした第2検出手段を示す図。
【図8】羽根部(又は検出マーク)を有する板状部材を用いて構成した第2検出手段を示す図。
【図9】第2支持ローラのフランジ部の切り欠きを用いて構成した第2検出手段を示す図。
【図10】エンコーダ盤に区間検出用のスリットとは別にホーム位置検出用のスリットを設けた構成の第2検出手段を示す図。
【図11】ホーム位置検出のフローチャートを示す図。
【図12】ホーム位置検出用のスリットを設けてない場合のホーム位置の設定方法を説明する図。
【図13】第2検出手段の回転情報の検出について説明した図。
【図14】実施例1における第2支持ローラの変動の検出処理のフローチャートを示す図。
【図15】ホーム位置からの通過時間T1、T2、T3について説明した図。
【図16】実施例2における第2支持ローラの変動の検出処理のフローチャートを示す図。
【図17】実施例3における第2支持ローラの変動の検出処理のフローチャートを示す図。
【図18】検出区間が180°でない構成の第2検出手段を示す図。
【図19】検出器を2つ設けた構成の第2検出手段を示す図。
【図20】第2支持ローラを駆動ローラとした場合の第2検出手段の構成例を示す図。
【図21】第1支持ローラと第2支持ローラおよび作像ユニットの配置関係について説明した図。
【図22】第1支持ローラと第2支持ローラとの間に第3のローラがある場合の作像ユニットの配置位置について説明した図。
【図23】直接転写方式のタンデム型画像形成装置一例を示す概略構成図。
【図24】中間転写方式のタンデム型画像形成装置一例を示す概略構成図。
【図25】第2支持ローラの偏心の影響によるベルト移動量を導出するための説明図。
【図26】第1検出手段と第2検出手段との他の例を示した図。
【図27】ベルト駆動装置を画像形成装置の中間転写ベルトの駆動に用いた概略構成図である。
【符号の説明】
【0161】
10 ベルト
14 第2支持ローラ
15 駆動ローラ
17 第1支持ローラ
404 第1検出手段
504 第2検出手段
【特許請求の範囲】
【請求項1】
無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御方法であって、
該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間を該速度検出対象回転体が1回転する間にそれぞれ異なる位相で計測し、該複数の支持回転体のうち該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転したときに1回転する第1支持回転体の1回転するときの回転時間と、該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間とに基づいて、該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出し、導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御することを特徴とするベルト駆動制御方法。
【請求項2】
無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御方法であって、
該複数の支持回転体のうち該速度検出対象回転体と径の異なる第1支持回転体を等速で回転させて、該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間を該速度検出対象回転体が1回転する間にそれぞれ異なる位相で計測し、これらの回転時間に基づいて、該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出し、導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御することを特徴とするベルト駆動制御方法。
【請求項3】
無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御方法であって、
該速度検出対象回転体を等速で回転させ、該複数の支持回転体のうち該速度検出対象回転体と径の異なる第1支持回転体の一回転の回転時間を該速度検出対象回転体が1回転する間に少なくとも2回計測し、これらの回転時間に基づいて該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出し、導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御することを特徴とするベルト駆動制御方法。
【請求項4】
請求項1または2のベルト駆動制御方法において、
上記既定回転角がπ[rad]であることを特徴とするベルト駆動制御方法。
【請求項5】
請求項4のベルト駆動制御方法において、該速度検出対象回転体が1回転する間に該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間を(π/2)[rad]位相をずらして計測することを特徴とするベルト駆動制御方法。
【請求項6】
無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置であって、
該複数の支持回転体のうち、該速度検出対象回転体と径の異なる第1回転体が一回転するときに少なくとも1パルス以上の信号を発信する低分解能の第1検出手段と、該速度検出対象回転体が1回転するときに少なくとも2パルス以上の信号を発信する低分解能の第2検出手段と、該第1検出手段で検出された回転情報と、該第2検出手段で検出された回転情報とに基づいて該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出する演算手段と、該演算手段で導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項7】
無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置であって、
該複数の支持回転体のうち、該速度検出対象回転体と径の異なる第1回転体の回転情報を検出する高分解能の第1検出手段と、該速度検出対象回転体が1回転するときに少なくとも2パルス以上の信号を発信する低分解能の第2検出手段と、該第2検出手段で検出された回転情報に基づいて該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出する演算手段と、該演算手段で導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項8】
無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置であって、
該複数の支持回転体のうち、該速度検出対象回転体と径の異なる第1回転体が一回転するときに少なくとも1パルス以上の信号を発信する低分解能の第1検出手段と、該速度検出対象回転体の回転情報を検出するする高分解能の第2検出手段と、該第1検出手段で検出された回転情報に基づいて該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出する演算手段と、該演算手段で導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項9】
請求項6または8のベルト駆動制御装置において、
上記速度検出対象回転体が上記駆動源からの回転駆動力が伝達される駆動支持回転体であることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項10】
請求項6乃至9いずれかのベルト駆動制御装置において、
上記演算手段は、少なくとも、上記速度検出対象回転体の第1の位置から該速度検出対象回転体の既定回転角だけ回転するときの回転時間と、該速度検出対象回転体の第2の位置からから該速度検出対象回転体の既定回転角だけ回転するときの回転時間とからなる回転情報に基づいて、該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出することを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項11】
請求項10のベルト駆動制御装置において、
上記既定回転角がπ[rad]であることを特徴とするベルト駆動制御方法。
【請求項12】
請求項11のベルト駆動制御装置において、該第1の位置と該第2の位置との位相差角度が(π/2)[rad]であることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項13】
請求項10乃至12いずれかのベルト駆動制御装置において、
上記第2検出手段は、上記速度検出対象回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部と、該被検出部を検出した際にパルス信号を出力する検出器とを備えており、第2検出手段の回転情報は、該検出器が第1の被検出部を検出してから規定回転角だけ回転した位置にある被検出部を検出するまでの時間と、該検出器が第2の被検出部を検出してから規定回転角だけ回転した位置にある被検出部を検出するまでの時間とであることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項14】
請求項13のベルト駆動制御装置において、
上記第1支持回転体の1回転の周長が、上記被検出部間の周長の整数倍であることを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項15】
請求項13または14のベルト駆動制御装置において、
上記速度検出対象回転体の径が、上記第1支持回転の径の4n(nは自然数)倍であることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項16】
請求項13または14のベルト駆動制御装置において、
上記速度検出対象回転体の径と上記第1支持回転の径の比が2:1であることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項17】
請求項6乃至16いずれかのベルト駆動制御装置において、
上記速度検出手段は、上記速度検出対象回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部と、該被検出部が通過した際にパルス信号を出力する検出器とを備えており、該被検出部のひとつを上記演算手段が該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出するときの基準となるホーム位置とすることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項18】
請求項17のベルト駆動制御装置において、
上記ホーム位置を、上記制御手段が上記駆動源を制御するときの基準とすることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項19】
請求項17または18のベルト駆動制御装置において、
上記第2検出手段は、少なくと3つの被検出部を備えることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項20】
請求項6乃至19のベルト駆動制御装置において、
上記第2検出手段は、第1の検出器と第2の検出器とを備え、第2の検出器は、第1検出器で検出した被検出部と180°位相がずれた位置の被検出部を検出することを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項21】
請求項6乃至20いずれかのベルト駆動制御装置において、
上記第2検出手段および/または上記第1検出段は、検出対象の回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部を備えた回転板と、該被検出部を検出した際にパルス信号を出力する検出器とを備えており、該回転板が検出対象の回転体に固定されていることを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項22】
請求項6乃至21いずれかのベルト駆動制御装置において、
上記第2検出手段および/または上記第1検出段は、検出対象の回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部と、該被検出部を検出した際にパルス信号を出力する検出器とを備えており、上記被検出部が、検出対象の回転体に設けられていることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項23】
請求項6乃至22いずれかのベルト駆動制御装置において、
上記制御手段は、上記演算手段による速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相の導出を装置の電源投入時に行うことを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項24】
請求項6乃至22いずれかのベルト駆動制御装置において、
上記制御手段は、上記演算手段による速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相の導出を一定時間径過毎に行うことを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項25】
請求項6乃至22いずれかのベルト駆動制御装置において、
上記制御手段は、上記演算手段による速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相の導出を逐次的に行うことを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項26】
請求項6乃至25いずれかのベルト駆動制御装置において、
複数の支持回転体のうちひとつがテンションローラであり、また複数の支持回転体のうちひとつが回転駆動力が伝達される駆動支持回転体であって、
第1支持回転体は、速度検出対象回転体と駆動支持回転体との間で形成される2つのベルト搬送経路のうち、該テンションローラが配置されているベルト搬送経路と異なるベルト搬送経路に配置されることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項27】
請求項6乃至26いずれかのベルト駆動制御装置において、
速度検出対象回転体に発生するベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した回転速度変動を検出するベルト厚み変動検出手段を備え、上記制御手段は、該ベルト厚み変動検出手段で検出された速度検出対象回転体に発生するベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した回転速度変動と、上記演算手段で導出された速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相とに基づいて上記駆動源を制御することを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項28】
複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、該潜像担持体上の顕像を記録材に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
上記潜像担持体の駆動を制御するベルト駆動制御装置として、請求項6乃至27のベルト駆動制御装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項29】
潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる中間転写体と、該潜像担持体上の顕像を該中間転写体に転写する第1の転写手段と、該中間転写体上の顕像を記録材に転写する第2の転写手段とを備えた画像形成装置において、
上記中間転写体の駆動を制御するベルト駆動制御装置として、請求項6乃至27のベルト駆動制御装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項30】
潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる記録材搬送部材と、該潜像担持体上の顕像を中間転写体を介して又は中間転写体を介しないで直接に、該記録材搬送部材で搬送されている記録材に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
上記記録材搬送部材の駆動を制御するベルト駆動制御装置として、請求項6乃至27のベルト駆動制御装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項31】
請求項28乃至30いずれかの画像形成装置において、
上記ベルトに画像を転写または作像を行う位置は、上記速度検出対象回転体よりもベルト搬送方向下流側に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項32】
請求項31の画像形成装置において、
上記速度検出対象回転体から上記ベルトに画像を転写または作像を行う位置までのベルト搬送経路に配置される支持回転体の径を該速度検出対象回転体の径と同一にすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項33】
請求項28乃至30いずれかの画像形成装置において、
上記テンションローラから上記速度検出対象回転体までのベルト搬送経路の間に、上記ベルトに画像を転写または作像を行う位置があるとき、
該速度検出対象回転体の偏心によって発生する該テンションローラから該速度検出対象回転体までのベルト搬送経路の間におけるベルト速動変動を、上記演算手段で導出した速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相から導出し、上記制御手段は、抽出されたベルト速動変動と該演算手段で導出された速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相とに基づいて上記駆動源を制御することを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御方法であって、
該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間を該速度検出対象回転体が1回転する間にそれぞれ異なる位相で計測し、該複数の支持回転体のうち該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転したときに1回転する第1支持回転体の1回転するときの回転時間と、該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間とに基づいて、該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出し、導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御することを特徴とするベルト駆動制御方法。
【請求項2】
無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御方法であって、
該複数の支持回転体のうち該速度検出対象回転体と径の異なる第1支持回転体を等速で回転させて、該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間を該速度検出対象回転体が1回転する間にそれぞれ異なる位相で計測し、これらの回転時間に基づいて、該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出し、導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御することを特徴とするベルト駆動制御方法。
【請求項3】
無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御方法であって、
該速度検出対象回転体を等速で回転させ、該複数の支持回転体のうち該速度検出対象回転体と径の異なる第1支持回転体の一回転の回転時間を該速度検出対象回転体が1回転する間に少なくとも2回計測し、これらの回転時間に基づいて該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出し、導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御することを特徴とするベルト駆動制御方法。
【請求項4】
請求項1または2のベルト駆動制御方法において、
上記既定回転角がπ[rad]であることを特徴とするベルト駆動制御方法。
【請求項5】
請求項4のベルト駆動制御方法において、該速度検出対象回転体が1回転する間に該速度検出対象回転体が既定回転角だけ回転するときの回転時間を(π/2)[rad]位相をずらして計測することを特徴とするベルト駆動制御方法。
【請求項6】
無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置であって、
該複数の支持回転体のうち、該速度検出対象回転体と径の異なる第1回転体が一回転するときに少なくとも1パルス以上の信号を発信する低分解能の第1検出手段と、該速度検出対象回転体が1回転するときに少なくとも2パルス以上の信号を発信する低分解能の第2検出手段と、該第1検出手段で検出された回転情報と、該第2検出手段で検出された回転情報とに基づいて該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出する演算手段と、該演算手段で導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項7】
無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置であって、
該複数の支持回転体のうち、該速度検出対象回転体と径の異なる第1回転体の回転情報を検出する高分解能の第1検出手段と、該速度検出対象回転体が1回転するときに少なくとも2パルス以上の信号を発信する低分解能の第2検出手段と、該第2検出手段で検出された回転情報に基づいて該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出する演算手段と、該演算手段で導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項8】
無端状のベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち速度が検出され、その検出結果がベルト駆動制御に用いられる速度検出対象回転体の回転速度を検出し、該検出結果に基づいて複数の支持回転体のうち回転駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転を制御することにより、該ベルトの駆動を制御するベルト駆動制御装置であって、
該複数の支持回転体のうち、該速度検出対象回転体と径の異なる第1回転体が一回転するときに少なくとも1パルス以上の信号を発信する低分解能の第1検出手段と、該速度検出対象回転体の回転情報を検出するする高分解能の第2検出手段と、該第1検出手段で検出された回転情報に基づいて該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出する演算手段と、該演算手段で導出された振幅及び位相に基づいて上記検出結果を補正して該駆動支持回転体を制御する制御手段とを備えたことを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項9】
請求項6または8のベルト駆動制御装置において、
上記速度検出対象回転体が上記駆動源からの回転駆動力が伝達される駆動支持回転体であることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項10】
請求項6乃至9いずれかのベルト駆動制御装置において、
上記演算手段は、少なくとも、上記速度検出対象回転体の第1の位置から該速度検出対象回転体の既定回転角だけ回転するときの回転時間と、該速度検出対象回転体の第2の位置からから該速度検出対象回転体の既定回転角だけ回転するときの回転時間とからなる回転情報に基づいて、該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出することを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項11】
請求項10のベルト駆動制御装置において、
上記既定回転角がπ[rad]であることを特徴とするベルト駆動制御方法。
【請求項12】
請求項11のベルト駆動制御装置において、該第1の位置と該第2の位置との位相差角度が(π/2)[rad]であることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項13】
請求項10乃至12いずれかのベルト駆動制御装置において、
上記第2検出手段は、上記速度検出対象回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部と、該被検出部を検出した際にパルス信号を出力する検出器とを備えており、第2検出手段の回転情報は、該検出器が第1の被検出部を検出してから規定回転角だけ回転した位置にある被検出部を検出するまでの時間と、該検出器が第2の被検出部を検出してから規定回転角だけ回転した位置にある被検出部を検出するまでの時間とであることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項14】
請求項13のベルト駆動制御装置において、
上記第1支持回転体の1回転の周長が、上記被検出部間の周長の整数倍であることを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項15】
請求項13または14のベルト駆動制御装置において、
上記速度検出対象回転体の径が、上記第1支持回転の径の4n(nは自然数)倍であることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項16】
請求項13または14のベルト駆動制御装置において、
上記速度検出対象回転体の径と上記第1支持回転の径の比が2:1であることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項17】
請求項6乃至16いずれかのベルト駆動制御装置において、
上記速度検出手段は、上記速度検出対象回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部と、該被検出部が通過した際にパルス信号を出力する検出器とを備えており、該被検出部のひとつを上記演算手段が該速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相を導出するときの基準となるホーム位置とすることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項18】
請求項17のベルト駆動制御装置において、
上記ホーム位置を、上記制御手段が上記駆動源を制御するときの基準とすることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項19】
請求項17または18のベルト駆動制御装置において、
上記第2検出手段は、少なくと3つの被検出部を備えることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項20】
請求項6乃至19のベルト駆動制御装置において、
上記第2検出手段は、第1の検出器と第2の検出器とを備え、第2の検出器は、第1検出器で検出した被検出部と180°位相がずれた位置の被検出部を検出することを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項21】
請求項6乃至20いずれかのベルト駆動制御装置において、
上記第2検出手段および/または上記第1検出段は、検出対象の回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部を備えた回転板と、該被検出部を検出した際にパルス信号を出力する検出器とを備えており、該回転板が検出対象の回転体に固定されていることを特徴とするベルト駆動装置。
【請求項22】
請求項6乃至21いずれかのベルト駆動制御装置において、
上記第2検出手段および/または上記第1検出段は、検出対象の回転体の回転軸を中心に環状に配置された複数の被検出部と、該被検出部を検出した際にパルス信号を出力する検出器とを備えており、上記被検出部が、検出対象の回転体に設けられていることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項23】
請求項6乃至22いずれかのベルト駆動制御装置において、
上記制御手段は、上記演算手段による速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相の導出を装置の電源投入時に行うことを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項24】
請求項6乃至22いずれかのベルト駆動制御装置において、
上記制御手段は、上記演算手段による速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相の導出を一定時間径過毎に行うことを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項25】
請求項6乃至22いずれかのベルト駆動制御装置において、
上記制御手段は、上記演算手段による速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相の導出を逐次的に行うことを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項26】
請求項6乃至25いずれかのベルト駆動制御装置において、
複数の支持回転体のうちひとつがテンションローラであり、また複数の支持回転体のうちひとつが回転駆動力が伝達される駆動支持回転体であって、
第1支持回転体は、速度検出対象回転体と駆動支持回転体との間で形成される2つのベルト搬送経路のうち、該テンションローラが配置されているベルト搬送経路と異なるベルト搬送経路に配置されることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項27】
請求項6乃至26いずれかのベルト駆動制御装置において、
速度検出対象回転体に発生するベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した回転速度変動を検出するベルト厚み変動検出手段を備え、上記制御手段は、該ベルト厚み変動検出手段で検出された速度検出対象回転体に発生するベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した回転速度変動と、上記演算手段で導出された速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相とに基づいて上記駆動源を制御することを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項28】
複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、該潜像担持体上の顕像を記録材に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
上記潜像担持体の駆動を制御するベルト駆動制御装置として、請求項6乃至27のベルト駆動制御装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項29】
潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる中間転写体と、該潜像担持体上の顕像を該中間転写体に転写する第1の転写手段と、該中間転写体上の顕像を記録材に転写する第2の転写手段とを備えた画像形成装置において、
上記中間転写体の駆動を制御するベルト駆動制御装置として、請求項6乃至27のベルト駆動制御装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項30】
潜像担持体と、該潜像担持体に潜像を形成する潜像形成手段と、該潜像担持体上の潜像を現像する現像手段と、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトからなる記録材搬送部材と、該潜像担持体上の顕像を中間転写体を介して又は中間転写体を介しないで直接に、該記録材搬送部材で搬送されている記録材に転写する転写手段とを備えた画像形成装置において、
上記記録材搬送部材の駆動を制御するベルト駆動制御装置として、請求項6乃至27のベルト駆動制御装置を用いることを特徴とする画像形成装置。
【請求項31】
請求項28乃至30いずれかの画像形成装置において、
上記ベルトに画像を転写または作像を行う位置は、上記速度検出対象回転体よりもベルト搬送方向下流側に設けられていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項32】
請求項31の画像形成装置において、
上記速度検出対象回転体から上記ベルトに画像を転写または作像を行う位置までのベルト搬送経路に配置される支持回転体の径を該速度検出対象回転体の径と同一にすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項33】
請求項28乃至30いずれかの画像形成装置において、
上記テンションローラから上記速度検出対象回転体までのベルト搬送経路の間に、上記ベルトに画像を転写または作像を行う位置があるとき、
該速度検出対象回転体の偏心によって発生する該テンションローラから該速度検出対象回転体までのベルト搬送経路の間におけるベルト速動変動を、上記演算手段で導出した速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相から導出し、上記制御手段は、抽出されたベルト速動変動と該演算手段で導出された速度検出対象回転体の1回転周期の回転速度変動の振幅及び位相とに基づいて上記駆動源を制御することを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図18】
【図19】
【図20】
【図21】
【図22】
【図23】
【図24】
【図25】
【図26】
【図27】
【公開番号】特開2006−154739(P2006−154739A)
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−205379(P2005−205379)
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年6月15日(2006.6.15)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月14日(2005.7.14)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】
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