説明

ベルト駆動制御装置、ベルト装置、画像形成装置、ベルト駆動制御方法、コンピュータプログラム、及び記録媒体

【課題】装置の寿命をいたずらに縮めることなく、ベルトの厚み偏差を補正する。
【解決手段】複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、支持回転体の1つに回転駆動力を付与するモータと、このモータを駆動制御する制御コントローラ部と、無端状のベルトの周方向の周期的な厚み偏差を検出する位相・振幅演算部と、を備え、位相・振幅演算部は厚み偏差を検出するためのデータサンプリングをベルトの回転動作と並行して実行し、制御コントローラ部は検出手段によって検出された厚み偏差を打ち消すようにモータを駆動するとともに、予め設定された条件のとき、例えば所定回数、省エネモードから復帰時、異常発生状態からの復帰時等にデータサンプリングがベルト1周分にわたって取得できるようにベルトを1周分駆動する(ステップS502〜S511)。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、複数の支持回転体に掛け渡されたベルトの駆動制御を行うベルト駆動制御装置、このベルト駆動制御装置を用いたベルト装置、このベルト装置を利用した複写機、プリンタ、ファクシミリ、あるいはこれらの機能を複合して有するデジタル複合機などの画像形成装置、前記ベルト駆動制御装置、ベルト装置、あるいは画像形成装置で実行されるベルト駆動制御方法、このベルト駆動制御方法をコンピュータで実行するためのコンピュータプログラム、及び、このコンピュータプログラムがコンピュータによって実行可能に記録されているいる記録媒体に関する。
【背景技術】
【0002】
ベルトを利用する装置として例えば感光体ベルト、中間転写ベルト、紙搬送ベルト等のベルトを用いる画像形成装置が知られている。このような画像形成装置においては、そのベルトの高精度な駆動制御が高品位な画像を得るために必須である。ここで、電子写真方式による中間転写方式のタンデム型画像形成装置の一例について、図1を用いて説明する。
【0003】
この画像形成装置では、例えばイエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)及び黒(K)の各単色画像を形成する画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kが記録用紙の搬送方向に順次配置される。そして、レーザ露光ユニット21により各感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kの表面に形成された静電潜像が各画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kで現像されることによりトナー像(顕像)が形成される。次いで、各画像形成ユニット18Y,18M,18C,18Kの感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kの表面に形成された各単色画像は、一旦中間転写ベルト10上に順次重なり合うように転写され、その後、定着装置25によってトナーが溶融圧着されることにより、記録用紙上にカラー画像が形成される。
【0004】
このような画像形成装置では、記録用紙の移動速度、つまり中間転写ベルト10の移動速度が一定速度に維持されないと、色ずれが発生する。この色ずれは、記録用紙上で重ね合わせられる各単色画像の転写位置が相対的にずれることによって発生する。色ずれが発生すると、例えば、複数色の画像が重なって形成された細線画像がにじんで見えたり、複数色の画像が重なって形成された背景画像中に形成される黒の文字画像の輪郭周辺に白抜けが発生したりする。
【0005】
また、上述したタンデム型の画像形成装置に限らず、記録材を搬送する記録材搬送部材や、その記録材に転写される画像を担持する感光体や中間転写体等の像担持体として、ベルトを用いた画像形成装置においては、そのベルトの移動速度が一定速度に維持されないとバンディングが発生する。このバンディングは、画像転写中にベルト移動速度が速くなったり遅くなったりすることにより発生する画像濃度ムラである。
【0006】
すなわち、ベルト移動速度が相対的に速いときに転写された画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に引き延ばされた形状となり、逆に、ベルト移動速度が相対的に遅いときに転写された画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に縮小された形状となる。これにより、引き延ばされた画像部分は濃度が薄くなり、縮小された画像部分は濃度が濃くなる。
【0007】
その結果、ベルト周方向に画像濃度ムラが発生し、バンディングが生じる。このバンディングは、淡い単色画像を形成する場合には人間の目に顕著に感じ取られる。
【0008】
以上のように、色ずれ、バンディングなどを防ぐためには、感光体ベルト、中間転写ベルト、搬送ベルト等の無端状のベルトを一定の移動速度で移動させる高精度な駆動制御が要求される。このベルトの高精度な駆動制御のために、従来、ベルトを駆動する駆動ローラの回転速度を一定にするように駆動ローラの回転を制御する駆動制御方法が知られている。この駆動制御方法は、駆動源であるモータの回転角速度や、モータで発生する回転駆動力を駆動ローラに伝達させるギアの回転角速度を一定に保持することにより、駆動ローラの回転速度を一定にする駆動制御方法である。
【0009】
しかしながら、上記従来のベルトの駆動制御方法では、ベルトの厚さ変動、特にベルト移動方向に沿った方向で厚さ変動がある場合、駆動ローラの回転角速度を一定にしてもベルトの移動速度を一定にできないという問題点があった。
【0010】
このような問題点に対応した技術として、例えば特許文献1に記載された発明が公知である。この発明では、ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する回転角変位又は回転角速度のベルト交流成分の振幅及び位相を抽出中であっても、画像形成を行うことができるようにするため、モータから出力された駆動入力信号を変換部で従動ローラの回転角速度として変換する。そして、比較器で駆動出力信号と変換部で変換された駆動入力信号とを比較し、ベルト1周期のベルト厚み変動に起因した変動成分を得る。次に、周期変動サンプル部でベルト1周期のベルト厚み変動に起因した変動成分をメモリに記憶する。メモリに記憶されたベルト1周期分の変動成分から変動振幅・位相検出部で、ベルト周期成分の振幅と位相とを検出するようにしている。
【0011】
なお、ベルトの周方向の厚さ変動を検出し、その変動に対応するように制御する技術として、特許文献2ないし5に記載された発明も公知である。
【特許文献1】特開2006−106642号公報
【特許文献2】特開2006−23403号公報
【特許文献3】特開2002−72816号公報
【特許文献4】特許第2754582号公報
【特許文献5】特開2004−21236号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
前記特許文献1記載の発明では、比較器で駆動出力信号と変換部で変換された駆動入力信号とを比較し、ベルト1周期のベルト厚み変動に起因した変動成分を得るように構成されている。すなわち、特許文献1記載の発明では、変動成分を得て、所定の制御を行うためにベルト1周分のデータが必要と言うことになる。
【0013】
すなわち、従来から実施されている技術では、ベルトの厚みの変動成分(厚み偏差)の抽出を行うため、ベルト駆動毎に必ずベルトを1周回していた。しかし、この方法ではベルト1周分に満たない分のベルト駆動量にて印刷が完了してしまう場合、1周回るまでの駆動は単に偏差の抽出を行うためだけとなり、無駄であり、ベルトの偏差をなくすためだけに作像装置全体の寿命を縮めていることになり、トレードオフの関係になってしまう。
【0014】
そこで、本発明が解決しようとする課題は、このように装置の寿命をいたずらに縮めることなく、ベルトの厚み偏差を補正することにある。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前記課題を解決するため、本発明は、ベルトの厚み偏差を補正する際、ベルト1周分の厚み偏差のデータが必要な場合と、ベルト1周分の前記データが必ずしも必要でない場合とに応じて、データサンプリングの方法を変更するようにした。
【0016】
具体的には、第1の手段は、複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、前記支持回転体の1つに回転駆動力を付与する駆動源と、前記駆動源を駆動制御する制御手段と、前記無端状のベルトの周方向の周期的な厚み偏差を検出する検出手段と、を備え、前記検出手段は、前記厚み偏差を検出するためのデータサンプリングを前記ベルトの回転動作と並行して実行し、前記制御手段は、前記検出手段によって検出された前記厚さ変動を打ち消すように前記駆動源を駆動するとともに、予め設定された条件のときに前記データサンプリングが前記ベルト1周分にわたって取得できるように前記ベルトを1周分駆動することを特徴とする。
【0017】
第2の手段は、第1の手段において、前記検出手段が、前記ベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する従動支持回転体検出手段と、前記回転駆動力を付与する駆動源からの駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する駆動支持回転体検出手段と、前記従動支持回転体検出手段の検出結果と前記駆動支持回転体検出手段の検出結果との差分から、前記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する回転角変位又は回転角速度のベルト交流成分の振幅及び位相を厚み偏差として抽出する抽出手段と、を備え、前記制御手段は、前記抽出手段により該抽出された交流成分の振幅及び位相に基づいて、前記駆動支持回転体の回転を制御することを特徴とする。
【0018】
第3の手段は、第1又は第2の手段において、前記予め設定された条件が、前記データサンプリングによって前記ベルト1周分にわたるデータの取得ができなかった連続回数であることを特徴とする。
【0019】
第4の手段は、第3の手段において、前記回数を計数するカウンタを備えていることを特徴とする。
【0020】
第5の手段は、第3又は第4の手段において、前回の前記ベルトの駆動時に、前記データサンプリングによって前記ベルト1周分にわたるデータの取得ができなかった場合には、次のベルト駆動時にはその前に取得していた1周分にわたるデータを使用することを特徴とする。
【0021】
第6の手段は、第1又は第2の手段において、前記予め設定された条件が、電源ON時の最初のデータサンプリング時であることを特徴とする。
【0022】
第7の手段は、第1又は第2の手段において、前記予め設定された条件が、省電源消費モードからの復帰時であることを特徴とする。
【0023】
第8の手段は、第1又は第2の手段において、前記予め設定された条件が、異常発生により前記支持回転体及び前記ベルトが停止し、前記異常発生が回復し、停止状態から復帰した後の最初の回転動作開始時であることを特徴とする。
【0024】
第9の手段は、第1ないし第8のいずれかの手段において、前記検出手段の検出動作を行わないように指示する指示手段を備えていることを特徴とする。
【0025】
第10の手段は、第1ないし第9のいずれかの手段に係るベルト駆動制御装置と、前記ベルト駆動制御装置によって制御される駆動源を有するベルト駆動装置とを備えたベルト装置を特徴とする。
【0026】
第11の手段は、第10の手段に係るベルト装置と、前記ベルト上に画像を形成し、当該画像を記録媒体に転写して可視画像を形成する画像形成手段と、
を備えた画像形成装置を特徴とする。
【0027】
第12の手段は、第10の手段に係るベルト装置と、前記ベルトによって搬送されるシート状態記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、を備えた画像形成装置を特徴とする。
【0028】
第13の手段は、第11又は第12の手段において、前記検出手段による厚み偏差の検出動作を実行中に、前記画像形成手段による画像形成動作が実行されていない場合には、前記厚み偏差の検出動作に関係のない負荷は待機状態とすることを特徴とする。
【0029】
第14の手段は、第13の手段において、前記負荷が、帯電を行うための高電圧装置、現像を行うための現像装置、定着を行う定着装置を含むことを特徴とする。なお、ここでいう待機状態は、高電圧装置及び現像装置ではオフ状態、定着装置では省電力状態、所謂エネ待機状態のことである。
【0030】
第15の手段は、第13又は第14の手段において、前記負荷が待機状態であるときに、次の画像形成指示が入力されたとき、前記待機状態を解除し、画像形成動作を開始することを特徴とする。
【0031】
第16の手段は、第11ないし第14のいずれかの手段において、前記画像が4連の感光体ドラムから画像が転写されることにより形成されることを特徴とする。
【0032】
第17の手段は、複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、前記支持回転体の1つに回転駆動力を付与する駆動源と、前記駆動源を駆動制御する制御手段と、前記無端状のベルトの周方向の周期的な厚み偏差を検出する検出手段と、を備え、前記検出手段によって前記厚み偏差を検出するためのデータサンプリングを前記ベルトの回転動作と並行して実行する検出工程と、前記制御手段によって前記検出手段によって検出された前記厚さ変動を打ち消すように前記駆動源を駆動するとともに、予め設定された条件のときに前記データサンプリングが前記ベルト1周分にわたって取得できるように前記ベルトを1周分駆動するサンプリング工程と、を備えていること特徴とする。
【0033】
第18の手段は、第17の手段において、前記検出工程が、前記ベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する第1の工程と、前記回転駆動力を付与する駆動源からの駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する第2の工程と、前記第1の工程における検出結果と前記第2の工程における検出結果との差分から、前記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する回転角変位又は回転角速度のベルト交流成分の振幅及び位相を厚み偏差として抽出する第3の工程と、を備え、前記第3の工程で該抽出された交流成分の振幅及び位相に基づいて、前記駆動支持回転体の回転を制御することを特徴とする。
【0034】
第19の手段は、複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、前記支持回転体の1つに回転駆動力を付与する駆動源と、前記駆動源を駆動制御する制御手段と、前記無端状のベルトの周方向の周期的な厚み偏差を検出する検出手段と、を備えたベルト駆動制御装置の制御をコンピュータによって実行するためのコンピュータプログラムであって、前記検出手段によって前記厚み偏差を検出するためのデータサンプリングを前記ベルトの回転動作と並行して実行する手順と、前記制御手段によって前記検出手段によって検出された前記厚さ変動を打ち消すように前記駆動源を駆動するとともに、予め設定された条件のときに前記データサンプリングが前記ベルト1周分にわたって取得できるように前記ベルトを1周分駆動する手順と、を備えていること特徴とする。
【0035】
この場合、前記検出手段によって実行される手順が、前記ベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する第1の手順と、前記回転駆動力を付与する駆動源からの駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する第2の手順と、前記第1の工程における検出結果と前記第2の工程における検出結果との差分から、前記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する回転角変位又は回転角速度のベルト交流成分の振幅及び位相を厚み偏差として抽出する第3の手順と、前記第3の工程で該抽出された交流成分の振幅及び位相に基づいて、前記駆動支持回転体の回転を制御する第4の手順と、を備えるように構成すると良い。
【0036】
第20の手段は、第19の手段に係るコンピュータプログラムが、コンピュータによって読み取られ、実行可能に記録媒体に記録されていることを特徴とする。
【0037】
なお、後述の実施形態では、支持回転体は支持ローラ14(従動ローラ),15(駆動ローラ),16(従動ローラ)に、無端状のベルトは中間転写ベルト10に、駆動源はDCブラシレスモータMに、駆動支持回転体は駆動ローラ15に、従動支持回転体は従動ローラ14に、従動支持回転体検出手段はエンコーダE及びパルスカウンタ503に、駆動支持回転体検出手段はDCブラシレスモータMから発生するモータFGパルス及びパルスカウンタ503に、抽出手段は位相・振幅演算部510に、制御手段は補正テーブル演算部513、加算器515及びパルス発生器516に、それぞれ対応し、カウンタはCPU601に設定され、指示手段は図示しない制御パネルに設定される。
【発明の効果】
【0038】
本発明によれば、予め設定された条件のときにのみベルト1周分にわたってデータサンプリングが行われ、必要なデータを取得するので、装置の寿命をいたずらに縮めることなく、ベルトの偏差を補正することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0039】
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
【0040】
図1は、本発明の実施形態に係る画像形成装置としての複写機の一例を示す概略構成図である。図1において、符号100は複写機本体、符号200はそれを載せる給紙テーブル、符号300は複写機本体100上に取り付けるスキャナ、符号400は更にその上に取り付ける原稿自動搬送装置(ADF)である。この複写機は、タンデム型で中間転写(間接転写)方式を採用する電子写真複写機である。
【0041】
複写機本体100には、その中央に、像担持体としての中間転写体であるベルトからなる中間転写ベルト10が設けられている。この中間転写ベルト10は、3つの支持回転体としての支持ローラ14,15,16に掛け渡されており、図中時計回り方向に回転移動する。これらの3つの支持ローラのうちの第2支持ローラ15の図中左側には、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去する中間転写ベルトクリーニング装置17が設けられている。
【0042】
また、3つの支持ローラのうちの第1支持ローラ14と第2支持ローラ15との間に張り渡したベルト部分には、そのベルト移動方向に沿って、イエロー(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)、黒(K)の4つの画像形成部18が並べて配置されたタンデム型画像形成部20が対向配置されている。本実施形態においては、第2支持ローラ15を駆動ローラとしている。また、タンデム型画像形成部20の上方には、潜像形成手段としての露光装置21が設けられている。
【0043】
一方、中間転写ベルト10を挟んでタンデム型画像形成部20の反対側には、第2の転写手段としての2次転写装置22が設けられている。この2次転写装置22においては、2つのローラ23間に記録材搬送部材としてのベルトである2次転写ベルト24が掛け渡されている。この2次転写ベルト24は、中間転写ベルト10を介して第3支持ローラ16に押し当てられるように設けられている。この2次転写装置22により、中間転写ベルト10上の画像を記録材であるシートに転写する。
【0044】
また、この2次転写装置22の図中左方には、シート上に転写された画像を定着する定着装置25が設けられている。この定着装置25は、定着ベルト26に加圧ローラ27が押し当てられた構成となっている。上述した2次転写装置22には、画像転写後のシートをこの定着装置25へと搬送するシート搬送機能も備わっている。
【0045】
もちろん、2次転写装置22として、転写ローラや非接触のチャージャを配置しても良く、そのような場合は、このシート搬送機能を併せて持たせることが難しくなる。また、本実施形態では、このような2次転写装置22及び定着装置25の下に、上述したタンデム型画像形成部20と平行に、シートの両面に画像を記録すべくシートを反転するシート反転装置28も設けられている。
【0046】
上記複写機を用いてコピーを取るときは、原稿自動搬送装置400の原稿台30上に原稿をセットする。又は、原稿自動搬送装置400を開いてスキャナ300のコンタクトガラス32上に原稿をセットし、原稿自動搬送装置400を閉じてそれで押さえる。
【0047】
その後、不図示のスタートスイッチを押すと、原稿自動搬送装置400に原稿をセットしたときは、原稿を搬送してコンタクトガラス32上へと移動する。他方、コンタクトガラス32上に原稿をセットしたときは、直ちにスキャナ300を駆動する。次いで、第1走行体33及び第2走行体34が走行する。
【0048】
そして、第1走行体33で光源から光を発射するとともに原稿面からの反射光を更に反射して第2走行体34に向け、第2走行体34のミラーで反射し、結像レンズ35を通して読取りセンサ36に入れ、原稿内容を読み取る。
【0049】
この原稿読取りに並行して、図示しない駆動源である駆動モータで駆動ローラ16を回転駆動させる。これにより、中間転写ベルト10が図中時計回り方向に移動するとともに、この移動に伴って残り2つの支持ローラ(従動ローラ)14,15が連れ回り回転する。
【0050】
また、これと同時に、個々の画像形成部18において潜像担持体としての感光体ドラム40Y,40M,40C,40Kを回転させ、各感光体ドラム上に、イエロー、マゼンタ、シアン、黒の色別情報を用いてそれぞれ露光現像し、単色のトナー画像(顕像)を形成する。
【0051】
そして、各感光体ドラム40Y,40M,40C,40K上のトナー画像を中間転写ベルト10上に互いに重なり合うように順次転写して、中間転写ベルト10上に合成カラー画像を形成する。
【0052】
このような画像形成に並行して、給紙テーブル200の給紙ローラ42の1つを選択回転し、ペーパーバンク43に多段に備える給紙カセット44の1つからシートを繰り出し、分離ローラ45で1枚ずつ分離して給紙路46に入れ、搬送ローラ47で搬送して複写機本体100内の給紙路48に導き、レジストローラ49に突き当てて止める。
【0053】
又は、給紙ローラ50を回転して手差しトレイ51上のシートを繰り出し、分離ローラ52で1枚ずつ分離して手差し給紙路53に入れ、同じくレジストローラ49に突き当てて止める。そして、中間転写ベルト10上の合成カラー画像にタイミングを合わせてレジストローラ49を回転し、中間転写ベルト10と2次転写装置22との間にシートを送り込み、2次転写装置22で転写してシート上にカラー画像を転写する。
【0054】
画像転写後のシートは、2次転写ベルト24で搬送して定着装置25へと送り込み、定着装置25で熱と圧力とを加えて転写画像を定着して後、切換爪55で切り換えて排出ローラ56で排出し、排紙トレイ57上にスタックする。又は、切換爪55で切り換えてシート反転装置28に入れ、そこで反転して再び転写位置へと導き、裏面にも画像を記録して後、排出ローラ56で排紙トレイ57上に排出する。
【0055】
なお、画像転写後の中間転写ベルト10は、中間転写ベルトクリーニング装置17で、画像転写後に中間転写ベルト10上に残留する残留トナーを除去し、タンデム型画像形成部20による再度の画像形成に備える。ここで、レジストローラ49は一般的には接地されて使用されることが多いが、シートの紙粉除去のためにバイアスを印加することも可能である。
【0056】
この複写機を用いて、黒のモノクロコピーを取ることもできる。その場合には、図示しない手段により、中間転写ベルト10を感光体ドラム40Y,40M,40Cから離れるようにする。これらの感光体ドラム40Y,40M,40Cは、一時的に駆動を止めておく。黒用の感光体ドラム40Kのみが中間転写ベルト10に接触させ、画像の形成と転写を行う。
【0057】
次に、本発明の特徴部分である、中間転写ベルト10の駆動制御について説明する。
【0058】
本実施形態の複写機では、中間転写ベルト10を一定速度で移動させる必要がある。しかし、実際には、ベルトの厚みにより、そのベルト移動速度に変動が生じる。中間転写ベルト10のベルト移動速度が変動すると、実際のベルト移動位置が目標とするベルト移動位置からずれてしまい、感光体ドラム40Y,40M,40C上の各トナー画像の先端位置が中間転写ベルト10上でずれて色ずれが発生する。
【0059】
また、ベルト移動速度が相対的に速いときに中間転写ベルト10上に転写されたトナー画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に引き延ばされた形状となり、逆に、ベルト移動速度が相対的に遅いときに中間転写ベルト10上に転写されたトナー画像部分は本来の形状よりもベルト周方向に縮小された形状となる。この場合、最終的にシート上に形成された画像には、そのベルト周方向に対応する方向に周期的な画像濃度の変化(バンディング)が表れる。
【0060】
そこで、本発明では、中間転写ベルト10を高い精度で一定速度に維持するようにした。以下、中間転写ベルト10を高い精度で一定速度に維持する構成及び動作について説明する。なお、以下の説明は、中間転写ベルト10に限られるものではなく、広く駆動制御がなされるベルトについて同様である。
【0061】
図2に中間転写ベルト10の主要部品の構成図を示す。転写駆動ローラ15の軸15bは転写駆動モータMの回転軸Mbのギアに噛合する減速ギアNa,Nbを介して駆動ギアNと接続され、転写駆動モータMを回転駆動することにより転写駆動モータMの駆動速度に比例して回転する。転写駆動ローラ15が回転することによって中間転写ベルト10が駆動され、中間転写ベルト10が駆動されることによって従動ローラ14が回転する。本実施形態では従動ローラ14の軸上に図示しないエンコーダが配置され、従動ローラ14の回転速度をエンコーダで検出することによって転写駆動モータMの速度制御を行っている。
【0062】
また、本実施形態では、転写駆動ローラ15の目標回転速度を予め設定し、当該目標回転速度に対し実際のエンコーダの回転検出速度が同一となる様にPLL制御(速度制御)を行っている。なお、PLL制御するにあたり、検出速度変動に対する制御の追従性を向上させるために、制御ゲインをかけて制御を行っている。
【0063】
上記の制御を行うことにより、中間転写ベルト10の速度変動を最小限とすることが可能となり、色ずれの発生を抑制している。
【0064】
ただし、エンコーダを用いたPLL制御では、前述したように制御ゲインをかけて転写駆動モータMの駆動速度を制御するため、ベルト厚みによって検出誤差が発生すると、誤差を増幅して転写駆動モータMを駆動してしまうという現象が発生する。すなわち、ベルト厚み量の変動によって転写ベルトの速度変動が発生し、色ずれが発生する。
【0065】
この色ずれ発生の現象の詳細を、図4を用いて説明する。
【0066】
転写駆動モータMを一定速度で駆動したときに、中間転写ベルト10が理想的に速度変動なく搬送されていても、中間転写ベルト10の厚い部分が従動軸14に巻き付いていると、中間転写ベルト10の従動実効半径が増加して、一定時間あたりの従動軸14の回転角変位量は低下する。これは、ベルト搬送速度低下として検出される。また、中間転写ベルト10の薄い部分が巻き付いていると、従動軸14の回転角変位量は増加して、ベルト搬送速度の増加として検出される。
【0067】
以下の説明では、わかり易くするため、駆動ローラの角速度を変動させて、ベルト速度を一定とした場合について図5を用いて説明する。
【0068】
図5のAは、駆動ローラ15を一定の回転角速度で回転させた場合のベルト搬送速度を示したグラフである。Cは駆動ローラ15を一定の回転角速度で回転させた場合の従動ローラ14の回転角速度である。B'はベルトを一定の搬送速度で回転させたときの従動ローラ14の回転角速度である。Ejは、図4に示す従動ローラ14におけるベルトの実効厚み変動である。Edは、動ローラ15におけるベルトの実効厚み変動である。
【0069】
図5からわかるように、駆動ローラ15を一定の回転角速度で回転した場合の従動ローラ14の回転角速度であるCは、ベルトを一定の搬送速度で回転したときの従動ローラ14の回転角速度変動B'と、駆動ローラ15を一定の回転角速度で回転した場合のベルト搬送速度であるAとを重畳したものである。
【0070】
また、ベルト速度が一定と仮定した場合、駆動ローラ14における回転角速度は、図5に示す波形Aとπだけ位相がずれた波形となる。このときの従動ローラにおける回転角速度は、図5に示す波形B'となる。駆動ローラにおける回転角速度(波形Aとπずれた波形)と従動ローラにおける回転角速度(波形B')との差分は、図5のCの波形(駆動ローラ15を一定回転させたときの従動ローラ14の回転角速度)となる。
【0071】
上記説明では、わかり易くするために、ベルト速度が一定と仮定した場合について説明したが、上述のように駆動ローラにおける回転角速度から従動ローラにおける回転角速度を差し引けば、図5のCの波形(駆動ローラ15を一定回転させたときの従動ローラ14の回転角速度)が得られる。
【0072】
つまり、駆動ローラ軸の回転角速度が変動していても、従動ローラ軸の回転角速度から駆動ローラ軸の回転角速度を差し引くことによって、駆動ローラ軸を一定に回転させたときと同様にベルト厚み変動に起因した変動成分を得ることができる。
【0073】
上記のように従動ローラ軸の回転角速度及び駆動ローラ軸の回転角速度(角変位)の変動を計測したデータから、ベルト厚み変動による従動ローラ14の回転角速度(角変位)変動を算出する。そして、この算出データから、ベルトが一定搬送速度となる従動ローラの制御目標値を設定し、この目標値と従動ローラ側ロータリエンコーダの出力値と比較して駆動制御する。
【0074】
これはμm単位の実際の転写ベルトの厚みを計測してそれを制御パラメータとするのではなく、ベルト厚みの影響で発生するrad単位のエンコーダの検出角変位誤差を制御パラメータとしている。
【0075】
前記のように駆動ローラとエンコーダの出力結果から制御パラメータを生成するので、実機でも制御パラメータを生成することが可能であり、ベルトの厚みを計測するための計測装置が必要なく非常に安価で構成することが可能となる。
【0076】
なお、実際のエンコーダの出力結果には、ベルト厚みによる検出角変位誤差だけではなく、駆動ローラ及びその他の構成要素の変動及び回転偏芯成分が重畳して出力される。そのためその中から従動ローラの影響成分のみを抽出する処理が行われ、抽出した結果を検出角変位誤差の制御パラメータとしている。
【0077】
図3に従動ローラ14とエンコーダの詳細図を示す。エンコーダ501はディスク401、発光素子402、受光素子403、圧入ブッシュ404,405から構成されている。ディスク401は従動ローラ14と接する右下ローラ66の軸上に圧入ブッシュ404,405を圧入することで固定され、従動ローラ14の回転と同時に回転するようになっている。また、ディスク401には円周方向に数百単位の分解能で光を透過するスリットを有していて、その両側に発光素子402と受光素子403を配置することで、従動ローラ14の回転量に応じてパルス状のON/OFF信号を得ている。このパルス状のON/OFF信号を用いて従動ローラ14の移動角(以下、角変位と称す)を検出することにより、転写駆動モータMの駆動量を制御している。
【0078】
図6は、本実施形態に係る複写機の駆動制御装置のブロック図である。
図6において、転写駆動モータMの角変位信号とエンコーダ501の検出角変位信号は、制御コントローラ部502に入力される。なお、本実施形態では転写駆動モータとしてDCブラシレスモータを使用しており、転写駆動モータMの角変位信号は、モータのロータの回転速度を検出しているFG信号を用いているが、FG信号に限らずモータ軸上に取り付けられたエンコーダなどを使用しても良い。
【0079】
この制御コントローラ部502は、駆動モータMの角変位信号(Motor FG Pulse)とエンコーダ501の検出角変位信号のパルス数(Encoder Pulse)をカウントするパルスカウント部503、各々のパルスカウント値の差を算出する減算部505、高周波ノイズを除去するためのローパスフィルタ506、ローパスフィルタ後の減算結果をダウンサンプリングして更にベルト1周分のダウンサンプリング結果を一次格納するデータ間引きメモリ508、ベルト1周分のダウンサンプリング結果からベルト厚み変動成分(厚み偏差)を抽出する位相・振幅演算部510、算出された位相及び振幅値から補正値を算出してテーブル展開する補正テーブル演算部513、補正テーブルから補正値を読み出してモータに与えるパルス信号を生成するパルス生成部516から主に構成されている。
【0080】
パルスカウント部503は、駆動モータMの角変位信号とエンコーダ501の検出角変位信号のパルス数をカウントする処理を行っている。パルスのカウントはハードウェア的にパルスのエッジを検出し、エッジの入力回数を計測するものである。このときモータFGとエンコーダの分解能が異なるため、乗算部504で分解能を合わせるための定数を乗算する。
【0081】
その後、各々のカウント結果から減算部505で差分値を算出する。本実施形態では内部に4msタイマ517を有しており、4msタイマ517のタイミングで各パルスカウンタ値を参照している。差分した結果は、4ms周期でローパスフィルタ部506のメモリに格納される。なお、差分値を算出するタイミングは本実施形態では4msとしているが、高速サンプリングが可能であれば、量子誤差が少なくなるため、これに限ったものではない。差分値を算出するタイミングはモータFG及びエンコーダの分解能とベルト回転速度から決定されるパルスの発生周期と、内部メモリの確保可能な容量で決定される。
【0082】
各々の出力には、ローラ回転周期変動、駆動ギア周期変動、ベルト厚み変動によるベルト周期変動成分が含まれているため、ローパスフィルタ部506では、4ms毎にサンプリングした差分値から移動平均処理によりベルト厚み以外の周期変動成分を除去する。本実施形態ではベルト周期成分に比較的近い駆動ローラの周期変動成分を除去するために、駆動ローラ2周分の差分値を格納可能なメモリを用意して移動平均処理を行っている。これは後述する位相及び振幅値を算出する際に、ベルトの周期変動に近い変動成分が重畳していると演算誤差が発生するからで、この誤差を排除するために、事前に駆動ローラの周期変動成分を除去する処理を行う。
【0083】
移動平均処理後のデータは、同期タイマ519で40ms毎に間引いて、ベルト1周分のデータをデータ間引きメモリ508に一次格納する。なお、データの間引き周期に関して、移動平均処理では量子化誤差を少なくするため4msでの比較的早い周期でのサンプリングを行ったが、位相及び振幅値演算ではベルト1周の位相・振幅値の算出を行う用途のため、他の変動成分が重畳していないデータであればそれほど多くのデータ数は必要ない。そのため本実施形態では移動平均処理したデータを更に40ms周期で間引いてデータ間引きメモリ508に保持する処理を行っている。
【0084】
また、次処理の位相・振幅処理510では、位相値を算出するために転写ベルト10の基準となる位置管理が必要となる。そのため転写ベルト10上に基準マークを取り付け、センサで基準位置を検出しながらデータをサンプリングすることによって基準位置の管理が可能となるが、本実施形態では4msタイマでパルスカウント値を参照して、差分値の演算を開始したタイミングを仮想の基準位置とし、以降は4msのカウント量でベルトの周回数と基準位置を認識する処理を行っている。
【0085】
データ間引きメモリ508にベルト1周分のデータが格納された後、前述したように位相・振幅演算処理部510で、基準位置での位相値と最大振幅値の演算が行われる。位相及び振幅演算は、転写ベルト10の周期変動成分の高次成分まで演算することが可能であり、本実施形態では1〜3次成分までの値の算出を行っている。
【0086】
演算方法は直交検波処理で行う。直交検波処理の基本概念を以下に示す。一般的に時間領域で周期的に変化する波形は、波形の周期をTとおくと、
基本周波数 f0 = 1/T
基本角周波数 ω0 = 2πf0
となり、離散データはフーリエ級数として下記の式(1)ように表すことができる。
【数1】

【0087】
ここで、下記の式(2)で各成分を求めることができる。
【数2】

【0088】
なお、式(2)において、a0は直流成分、an及びbnは角周波数がnω0のcos波とsin波の振幅であり、これらから、下記の式(3)を得ることができる。
【数3】

【0089】
上記式(3)において、rn、φnは、各々第n次高調波の振幅及び位相を示している。
【0090】
振幅及び位相値を算出する場合は、先ず式(2)を用いてデータ間引きメモリ508に格納されたデータ間引き処理後の離散データに対して、計測時の転写ベルト1周の周波数fと各離散データのデータサンプリング時間tからsinとcosの演算を行い、その累積値から振幅anとbnを算出し、式(3)を用いて振幅rnと位相φnを算出する。
【0091】
上記演算結果には駆動軸15の誤検出分と従動軸14の誤検出分が重畳されている。そのため最終的に転写ユニット(2次転写装置22)のメカレイアウトによって一意に決定される変換係数を用いて振幅値の補正を行い、従動軸14の誤検出分への換算を行う。そして、従動軸14で誤検出される成分の1〜3次成分までの位相及び振幅値を演算後、sin関数を用いて各成分の合成波を算出し、補正テーブル演算部513でベルト1周分の補正テーブルの演算を行う。
【0092】
補正テーブル演算部513で補正テーブルを演算後、パルス生成部516で転写駆動モータMに出力するパルス信号を生成する。その際、補正テーブル513からベルトの移動位置に応じてメモリの参照アドレスを切り換えながら値をリードする。このメモリが特許請求の範囲にいう第1及び第2の保持手段に対応する。補正テーブル演算部513で演算された値は、4ms周期でのモータFGとエンコーダカウント値の差分値であることから、この値を周波数に換算して本来の基準周波数に加算することで駆動モータMに与える周波数を決定し、当該周波数から周期パルス信号を生成することにより駆動モータMに与えるパルス信号の生成を行っている。
【0093】
以上の動作を周回毎に繰り返すことで、モータFGとエンコーダ出力からベルトの厚み変動による従動ローラの誤検出分を抽出し、誤検出分を制御目標周波数とすることによって結果的にDCモータのPLL制御が動作し、ベルトを等速に動作させることが可能となる。
【0094】
なお、図6において、符号511,515は加算器、符号507,509,512,514はベルト位置カウンタ518からのカウント位置に応じて動作し、接続方向を選択するスイッチである。
【0095】
図7は、本実施形態における転写駆動モータMの制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。この制御系は、上記エンコーダ501の出力信号に基づいて転写駆動モータMの駆動パルスをデジタル制御する制御系である。この制御系は、CPU601、RAM602、ROM603、不揮発メモリ611、IO制御部604、転写駆動モータ駆動I/F部606、ドライバ607、検出IO部608から構成されている。
【0096】
上記CPU601は外部装置610から入力される画像データの受信及び制御コマンドの送受信制御をはじめ、本画像形成装置全体の制御を行っている。また、ワーク用として用いるRAM602及びプログラムを格納するROM603、IO制御部604はバスを介して相互に接続され、CPU601からの指示によりデータのリードライト処理及び各負荷を駆動するモータ、クラッチ、ソレノイド、センサなど各種の動作を実行する。CPU601はROM603に格納されたプログラムコードに沿った処理をRAM602をワークエリアとして使用しながら実行し、プログラムで定義された制御を実行する。
【0097】
転写駆動モータIF606は、CPU601からの駆動指令により、ドライバ607に対して駆動パルス信号の駆動周波数を指令する指令信号を出力する。この周波数に応じてドライバ607によりPLL制御が行われ、転写駆動モータMが回転駆動される。
【0098】
エンコーダ501の出力及びモータMのFG信号は、検出用IO部608に入力される。検出IO部608は、エンコーダ501及びモータMのFGの出力パルスを処理してデジタル数値に変換する。またこの検出用IO部608では、出力パルスを計数するカウンタを備えている。そして、このカウンタのカウントした数値は、バス609を介してCPU601に送られる。
【0099】
上記転写駆動モータ駆動用IF部606は、上記CPU601から送られてきた駆動周波数の指令信号に基づいて、パルス状の制御信号を生成する。
【0100】
上記ドライバ607は、PLL制御用IC及びパワー半導体素子(例えばトランジスタ)等で構成されている。このドライバ607は、上記転写駆動モータ駆動用IF部606から出力されたパルス状の制御信号とエンコーダ501から出力される従動ローラ(軸)14の回転情報に基づいて、従動ローラ(軸)14の回転角速度が制御信号と位相及び速度が同一となるようにPLL制御が行われる。更にPLL制御によって生成されたパルス周波数に応じて転写駆動モータMに相信号を印加する。この結果、従動ローラ(軸)14は、CPU601から出力される所定の駆動周波数で駆動制御される。これにより、ディスク401の角変位が目標角変位に従うように追従制御され、従動ローラ(軸)14が所定の角速度で等角速度回転する。ディスク401の角変位は、エンコーダ501と検出IO部608により検出され、CPU601に取り込まれ、制御が繰り返される。
【0101】
RAM602はROM603に格納されているプログラムを実行する際のワークエリアとして使用される機能の他に、前述したようにエンコーダ501と転写駆動モータMのFG信号の差分値からノイズ成分を除去するためのローパスフィルタ用のデータ格納エリア、及び間引いたデータを格納するエリア、更に補正値を格納するエリアとして使用される。RAM602は揮発性メモリのため、位相及び振幅値など次のベルト起動で使用するパラメータはEEPROMなどの不揮発性メモリ611に格納しておき、電源ON時もしくは転写駆動モータ起動時にsin関数もしくは近似式を用いて、転写ベルト101周期分のデータをRAM602上に展開する。
【0102】
実際の転写ベルト10の厚みは、その製造工程に左右される要素が大きいが、ほとんど場合、sin状となっていて、特に転写ベルト1周分の全ての検出角変位誤差データを持っておく必要もなく、計測時に基準位置からの位相と振幅を算出し、このデータから検出角変位誤差データを算出しても十分同等のデータとして扱える。そのため、制御周期毎の検出角変位誤差データを、不揮発性メモリ611に格納しておく必要がなく、上記位相及び振幅パラメータのみでベルト厚みによる検出角変位誤差データを生成することができる。それ故、揮発性メモリのみのエリアだけ用意すれば制御可能となる。ベルト厚みによる検出角変位誤差データは、電源ON時もしくは転写駆動モータ起動時に生成される。
【0103】
本実施形態では、このようにして中間転写ベルトの厚みの偏差をベルト1周分のデータに基づいて検出し、補正するようにしている。すなわち、本実施形態では、色ずれを防止するため、
1)ベルトが駆動されたら、ベルトの従動ローラに付けられたエンコーダによりベルトの速度を検出し、その情報を元にして偏差検出モジュールが間接的にベルトの厚み偏差をベルト1周分求める。
2)求めた1周分の厚み偏差に基づいて、次のベルト1周分の駆動ローラの駆動量をデバイスモジュールが決定し、補正する。
3)この動作をベルト1周毎に繰り返す。
という処理を行っている。図8は、この処理を実行する複写機100のソフトモジュール構成を示すブロック図である。同図において、複写機100は、全体制御部(CPU)601によって制御され、この全体制御部にバスを介してメモリ611、紙搬送モジュール200M、定着モジュール25M、デバイスモジュール620、スキャナモジュール300M、作像モジュール20Mが接続され、全体制御部601との間の信号の送受が可能となっている。デバイスモジュール620には偏差検出モジュール510Mとドライバ607が接続され、偏差検出モジュール510Mは図6に示した位相・振幅演算部510に対応し、中間転写ベルト10の従動軸である支持ローラ14に取り付けられたエンコーダ501のエンコーダ出力を基に前述の処理が行われた信号が入力される。中間転写ベルト10はデバイスモジュール620及びドライバ607によって駆動されるベルト駆動モータMの駆動力により、回転駆動される。
【0104】
中間転写ベルト10の駆動に際し、厚み偏差を補正する方法は、前述した通りである。この補正については、中間転写ベルト1周分の厚み偏差データが必要となる。そのためにはベルト1周分ローラを駆動しなければならない。この動作は印刷と平行して行われるが、ベルト1周分ローラを駆動する前に印刷が終了してしまった場合には、データを取る目的のためだけに、ベルトを空回しする必要がある。そして、ベルトが1周したら、作像装置を停止することになる。
【0105】
このような動作を全ベルト駆動毎に行うと、作像装置の寿命が縮む原因となる。そこで、本複写機100では、図9のフローチャートに示すように処理する。図9はベルトの厚さの偏差を検出する際に、必要のあるときのみベルトを1周させ、ベルトを1周させなくともベルトの厚み偏差に対応可能である場合には、ベルトを1周回転させる前にベルト駆動を停止する制御手順を示すフローチャートである。
【0106】
このフローチャートでは、先ず、モータMを駆動し(ステップS101)、制御コントローラ部502(図6参照)でデータサンプリングを行いながら(ステップS102)、印刷終了を待つ(ステップS103)。そして、印刷が終了すると、中間転写ベルト10が1周回ったかどうかをチェックし、回っていれば、データサンプリングを完了し(ステップS105)、データを不揮発性メモリ611に格納し(ステップS106)、モータMの駆動を停止させる(ステップS107)。一方、印刷完了時にベルトが1周駆動していない場合には(ステップS104−N)、作像装置を停止して中間転写ベルト10も止める。このとき、ベルト1周駆動未達カウンタを+1する(ステップS108)。
【0107】
次の印刷時、ベルト1周駆動未達カウンタのベルト駆動ローラ15の駆動の補正には、前に1周分ベルトが駆動完了して取たデータを使用する。このデータは不揮発性メモリ611から読み出されるが、古いデータとなるので、補正の精度はある程度落ちる。この印刷終了時、ベルトが1周駆動していない場合には(ステップS104−N)、ベルト1周駆動未達カウンタを+1し(ステップS108)、当該カウンタのカウント値を見る。カウント値が一定値(予め実験的に計測し、適切な値を設定しておく)以上になっている場合は(ステップS109−Y)、ベルトが1周するのを待ってベルト1周分の厚み偏差データを取得した(ステップS110,S105)後、ステップS106でデータを不揮発性メモリ611に格納し、モータMを停止させる(ステップS107)。
【0108】
他方、ステップS509で一定値に達していない場合には(ステップS109−N)、データサンプリングを中断して(ステップS111)、モータMを停止させ(ステップS107)作像モジュールの動作も停止する。このとき、補正データは前回取得した1周分にわたる補正データを使用する。
【0109】
このようにステップS109である一定回数以上、ベルト1周分の厚み偏差データが取得できなかった場合に限り、ベルトを1周回してデータを取得するようにすれば(ステップS110,S105)、データの精度と中間転写ベルト10を含む作像装置の寿命を両立させることができる。
【0110】
なお、図9のフローチャートでは、ベルト1周分のデータを取得していない回数をカウンタでカウントし、1周したデータを取得できなかった回数が所定回数を超えたときに、ベルト1周分のデータをサンプリングし、そのデータを補正に使用するようにしているが、これは使用する補正データの精度を問題にしているからである。使用する補正データが問題となるのは、このような経時的な要素の他に、複写機100の電源ON時の最初のデータサンプリング時、省電源消費モード(省エネモード)から復帰時、ジャム処理、電源断などの異常発生時から復帰した最初の回転動作開始時などにおいても、ベルト1周分のデータサンプリングを行い、その後の定常運転で図9に示したフローチャートに沿った処理を実行する。
【0111】
また、ステップS108における未達カウンタはCPU601に設定され、図9の処理は処理状態で設定されているが、このようなベルト1周分のデータサンプリングを行うか否かは複写機100の図示しない制御パネルから設定することも可能である。
【0112】
なお、本発明に対する実施形態として、タンデム型画像形成装置における中間転写ベルトの駆動制御についての例を挙げたが、搬送ベルトによって搬送される記録用紙(シート状記録媒体)に直接転写する直接転写方式のタンデム型画像形成装置にも、あるいは、これらの形式の画像形成装置に限らず感光体ベルトを用いた画像形成装置における駆動制御にも同様に適用でき、同様の効果を奏する。
【0113】
以上のように、本実施形態によれば、
1)必要なときにはベルト1周分のデータをサンプリングするので、必ずベルト1周分の厚み偏差を抽出することができ、次の印刷時には最新のデータに基づいて厚み偏差を補正した支持回転体の駆動制御が可能となる。
2)常にベルト1周分の厚み偏差を抽出するわけではないので、不要にベルトを駆動することがなくなり、負荷の寿命を延ばすことができる。
3)一定のベルト駆動回数に達した時点、あるいはそれ以前にで厚み偏差が抽出されるので、一定以上古いデータを使用することなく、支持回転体の補正をすることができる。
4)前回の前記ベルトの駆動時にベルト1周分にわたるデータの取得ができなかった場合には、次のベルト駆動時にはその前に取得していた1周分にわたるデータを使用するので、いずれの場合においても以前に取得した最新のデータを用いて支持回転体の補正を行うので、補正しない場合に比べて、ベルトの駆動速度を一定に保つことができる。
5)厚み偏差の検出動作を実行中に、画像形成手段による画像形成動作が実行されていない場合には、厚み偏差の検出動作に関係のない負荷は待機状態とするので、厚み偏差の検出に使用する必要のない負荷の消耗を防ぐことができる。
6)負荷が待機状態のときに印刷指示が入力された場合には、印刷時に使用する必要のある負荷をオンするので、そのまま印刷を開始することができ、ユーザを待たせることなく印刷出力を行うことができる。
7)これらのことから、予め設定された条件のときにのみベルト1周分にわたってデータサンプリングが行われ、必要なデータを取得するので、装置の寿命をいたずらに縮めることなく、ベルトの偏差を補正することができる。
等の効果を奏する。
【0114】
また、本実施形態で説明した無端状のベルトの周方向の周期的な厚み偏差を検出する手法、検出した厚み偏差に基づいて補正する手法は、検出手段及び制御手段の一例に過ぎず、他の手法を導入して検出及び補正を行って良いことは言うまでもない。本発明は本実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載された技術思想に含まれる技術的事項の全てが対象となる。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】従来から実施されているタンデム型画像形成装置の一例を示す図である。
【図2】図1における中間転写ベルトの主要部を示す斜視模式図である。
【図3】従動ローラとエンコーダの詳細を示す要部斜視図である。
【図4】ベルト搬送系の構成の一例を示す図である。
【図5】ベルト厚さ変動とローラ軸の各速度変動の関係を示す図である。
【図6】転写ベルトフィードバック制御及びベルト厚み変動補正制御を実行する本実施形態における制御構成を示すブロック図である。
【図7】本実施形態における転写駆動モータMの制御系及び制御対象のハードウェア構成を示すブロック図である。
【図8】本実施形態係るタンデム型画像形成装置(複写機)のソフトモジュール構成を示すブロック図である。
【図9】ベルトの厚さの偏差を検出する際に、必要のあるときのみベルトを1周させ、ベルトを1周させなくともベルトの厚み偏差に対応可能である場合には、ベルトを1周回転させる前にベルト駆動を停止する本実施形態に係る制御手順を示すフローチャートである。
【符号の説明】
【0116】
10 中間転写ベルト(ベルト)
14 従動ローラ
15 駆動ローラ
502 制御コントローラ部
503 パルスカウンタ
510 位相・振幅演算部
513 補正テーブル演算部
515 加算部
516 パルス発生器
501(E) エンコーダ
M モータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、
前記支持回転体の1つに回転駆動力を付与する駆動源と、
前記駆動源を駆動制御する制御手段と、
前記無端状のベルトの周方向の周期的な厚み偏差を検出する検出手段と、
を備え、
前記検出手段は、前記厚み偏差を検出するためのデータサンプリングを前記ベルトの回転動作と並行して実行し、
前記制御手段は、前記検出手段によって検出された前記厚み偏差を打ち消すように前記駆動源を駆動するとともに、予め設定された条件のときに前記データサンプリングが前記ベルト1周分にわたって取得できるように前記ベルトを1周分駆動すること
を特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項2】
請求項1記載のベルト駆動制御装置において、
前記検出手段が、
前記ベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する従動支持回転体検出手段と、
前記回転駆動力を付与する駆動源からの駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する駆動支持回転体検出手段と、
前記従動支持回転体検出手段の検出結果と前記駆動支持回転体検出手段の検出結果との差分から、前記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する回転角変位又は回転角速度のベルト交流成分の振幅及び位相を厚み偏差として抽出する抽出手段と、
を備え、
前記制御手段は、前記抽出手段により該抽出された交流成分の振幅及び位相に基づいて、前記駆動支持回転体の回転を制御すること
を特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項3】
請求項1又は2記載のベルト駆動制御装置において、
前記予め設定された条件が、前記データサンプリングによって前記ベルト1周分にわたるデータの取得ができなかった連続回数であることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項4】
請求項3記載のベルト駆動制御装置において、
前記回数を計数するカウンタを備えていることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項5】
請求項3又は4記載のベルト駆動制御装置において、
前回の前記ベルトの駆動時に、前記データサンプリングによって前記ベルト1周分にわたるデータの取得ができなかった場合には、前記制御手段は次のベルト駆動時にはその前に取得していた1周分にわたるデータを使用することを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項6】
請求項1又は2記載のベルト駆動制御装置において、
前記予め設定された条件が、電源ON時の最初のデータサンプリング時であることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項7】
請求項1又は2記載のベルト駆動制御装置において、
前記予め設定された条件が、省電源消費モードからの復帰時であることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項8】
請求項1又は2記載のベルト駆動制御装置において、
前記予め設定された条件が、異常発生により前記支持回転体及び前記ベルトが停止し、前記異常発生が回復し、停止状態から復帰した後の最初の回転動作開始時であることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項9】
請求項1ないし8のいずれか1項にベルト駆動制御装置において、
前記検出手段の検出動作を行わないように指示する指示手段を備えていることを特徴とするベルト駆動制御装置。
【請求項10】
請求項1ないし9のいずれか1項に記載のベルト駆動制御装置と、
前記ベルト駆動制御装置によって制御される駆動源を有するベルト駆動装置と、
を備えていることを特徴とするベルト装置。
【請求項11】
請求項10記載のベルト装置と、
前記ベルト上に画像を形成し、当該画像を記録媒体に転写して可視画像を形成する画像形成手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項12】
請求項10記載のベルト装置と、
前記ベルトによって搬送されるシート状態記録媒体に画像を形成する画像形成手段と、
を備えていることを特徴とする画像形成装置。
【請求項13】
請求項11又は12記載の画像形成装置において、
前記検出手段による厚み偏差の検出動作を実行中に、前記画像形成手段による画像形成動作が実行されていない場合には、前記厚み偏差の検出動作に関係のない負荷は待機状態とすることを特徴とする画像形成装置。
【請求項14】
請求項13記載の画像形成装置において、
前記負荷が、帯電を行うための高圧装置、現像を行うための現像装置、定着を行う定着装置を含むことを特徴とする画像形成装置。
【請求項15】
請求項13又は14記載の画像形成装置において、
前記負荷が待機状態であるときに、次の画像形成指示が入力されたとき、前記待機状態を解除し、画像形成動作を開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項16】
請求項11ないし14のいずれか1項に記載の画像形成装置において、
前記画像が、4連の感光体ドラムから画像が転写されることにより形成されることを特徴とする画像形成装置。
【請求項17】
複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、
前記支持回転体の1つに回転駆動力を付与する駆動源と、
前記駆動源を駆動制御する制御手段と、
前記無端状のベルトの周方向の周期的な厚み偏差を検出する検出手段と、
を備え、
前記検出手段によって前記厚み偏差を検出するためのデータサンプリングを前記ベルトの回転動作と並行して実行する検出工程と、
前記制御手段によって前記検出手段によって検出された前記厚さ変動を打ち消すように前記駆動源を駆動するとともに、予め設定された条件のときに前記データサンプリングが前記ベルト1周分にわたって取得できるように前記ベルトを1周分駆動するサンプリング工程と、
を備えていること特徴とするベルト駆動制御方法。
【請求項18】
請求項17記載のベルト駆動制御方法において、
前記検出工程が、
前記ベルトが掛け渡された複数の支持回転体のうち回転駆動力の伝達に寄与しない従動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する第1の工程と、
前記回転駆動力を付与する駆動源からの駆動力が伝達される駆動支持回転体の回転角変位又は回転角速度を検出する第2の工程と、
前記第1の工程における検出結果と前記第2の工程における検出結果との差分から、前記ベルトの周方向の周期的な厚さ変動に対応した周波数を有する回転角変位又は回転角速度のベルト交流成分の振幅及び位相を厚み偏差として抽出する第3の工程と、
を備え、
前記第3の工程で該抽出された交流成分の振幅及び位相に基づいて、前記駆動支持回転体の回転を制御すること
を特徴とするベルト駆動制御方法。
【請求項19】
複数の支持回転体に掛け渡された無端状のベルトと、
前記支持回転体の1つに回転駆動力を付与する駆動源と、
前記駆動源を駆動制御する制御手段と、
前記無端状のベルトの周方向の周期的な厚み偏差を検出する検出手段と、
を備えたベルト駆動制御装置の制御をコンピュータによって実行するためのコンピュータプログラムであって、
前記検出手段によって前記厚み偏差を検出するためのデータサンプリングを前記ベルトの回転動作と並行して実行する手順と、
前記制御手段によって前記検出手段によって検出された前記厚さ変動を打ち消すように前記駆動源を駆動するとともに、予め設定された条件のときに前記データサンプリングが前記ベルト1周分にわたって取得できるように前記ベルトを1周分駆動する手順と、
を備えていること特徴とするコンピュータプログラム。
【請求項20】
請求項19記載のコンピュータプログラムが、コンピュータによって読み取られ、実行可能に記録されていることを特徴とする記録媒体。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【公開番号】特開2010−54953(P2010−54953A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−221621(P2008−221621)
【出願日】平成20年8月29日(2008.8.29)
【出願人】(000006747)株式会社リコー (37,907)
【Fターム(参考)】