説明

ベンゼン誘導体を含むリポプロテインリパーゼ活性化組成物

本発明は、下記一般式(1):


[式中のR1、R2、R3およびR4は、明細書に記載した基を示す。]
で表されるベンゼン化合物を有効成分として含有する医薬組成物、特に高脂質血症の治療および予防剤、抗肥満剤等として有用なLPL活性化組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リポプロテインリパーゼ(以下”LPL”と略記する)活性化組成物およびベンゼン化合物に関する。本発明はさらに、LPL活性化組成物を調製するためのLPLを活性化する化合物の使用、および該化合物を使用するLPL活性化方法に関する。
【背景技術】
【0002】
現代社会は、飽食の社会といわれ、高脂質血症、肥満などと診断される人々が急増してきている。高脂質血症、肥満などの状態は、糖尿病を引き起こしたり、動脈硬化、それに起因する心筋梗塞、脳梗塞などの原因となったりするため、極めて危険である。
【0003】
従って、このような高脂質血症、肥満などの予防または治療のために、これらの状態を改善する医薬品、化学療法などに関して種々の研究がなされており、例えばLPL(リポプロテインリパーゼ)を活性化する化学療法およびそのための化学療法剤が挙げられる。このLPLの活性化は、高脂質血症、肥満、動脈硬化、白内障、悪液質、ネフローゼ等の予防または治療に有効であると言われている。これらの疾患とLPL活性化の関係については種々の文献に記載されている。例えばLPL活性化と動脈硬化の関係については非特許文献1に記載されている。LPL活性化と白内障との関係については非特許文献2に記載されている。LPL活性化と悪液質との関係については非特許文献3に記載されている。LPL活性化とネフローゼとの関係については非特許文献4に記載されている。LPL活性化と高脂質血症との関係については非特許文献5に記載されている。LPL活性化と肥満との関係については非特許文献6に記載されている。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0004】
【非特許文献1】J. Clin. Invest., 92, 411 (1993)
【非特許文献2】Biol. Phar. Bull., 19, 1570 (1996)
【非特許文献3】Anticancer Research, 19, 4099 (1999)
【非特許文献4】Metabolism, 49, 588 (2000)
【非特許文献5】Diabetes, 44, 414 (1995)
【非特許文献6】Diabetologia, 43, 875 (2000)
【発明の概要】
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明者らは、高脂質血症、肥満などの予防および治療に有効な医薬品(化学療法剤)を得ることを目的として、LPL活性化作用を有する化合物を模索し、その結果、後記一般式(1)で表される特定の化合物が、強いLPL活性化作用を有することを見出した。該化合物中には一部公知の化合物も含まれるが、これらの化合物がLPLを活性化することは、今まで知られていない。本発明は、上記知見を基礎として、更に研究を重ねた結果完成されたものである。
【0006】
本発明は、下記項1-42に記載の発明を提供する。
【0007】
1. LPL活性化処理を必要とする患者に、ベンゼン化合物の有効量を投与することにより、該患者のLPLを活性化する方法であって、
前記ベンゼン化合物が、一般式(1):
【0008】
【化1】

【0009】
[式中、
R1は、水素原子、ヒドロキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシ基またはフェニル低級アルキル基を示し、
R2は、水素原子;低級アルキル基;1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基;シクロアルキル低級アルキル基;フェニル基;置換基としてハロゲン原子、低級アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン置換低級アルキル基およびハロゲン置換低級アルコキシ基からなる群から選ばれる1または2個の基を有するフェニル基;フェニル低級アルキル基;ベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン置換低級アルキル基、シアノ基、ニトロ基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、低級アルコキシ基およびハロゲン置換低級アルコキシ基からなる群から選ばれる1または2個の基を有するフェニル低級アルキル基;またはシクロアルキル基1個とフェニル基もしくはハロゲン置換フェニル基1個とを有する低級アルキル基を示すか、
あるいはR1とR2とは互いに結合して基-CH=C(Ph)-(Phはフェニル基を示す)を形成し、
R3は水素原子または低級アルコキシ基を示し、
Zは以下の(a)-(h)に示されるいずれかの基を示す;
(a)イミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル基もしくは低級アルキル基を1個有するイミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル基
(b)ベンズイミダゾール-2-イル基
(c)ベンゾチアゾール-2-イル基
(d)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル基
(e)フェニル基もしくはハロゲン置換低級アルキル基で置換されたフェニル基1個を有するイミダゾール-4-イル基
(f)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル基
(g)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル基
(h)下記式で示される基
【0010】
【化2】

【0011】
(基中、R4は水素原子、低級アルキル基またはハロゲン原子を示し、R5は水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基またはフェニル低級アルコキシ基を示し、R6は水素原子、低級アルキル基、カルボキシ基またはハロゲン置換低級アルキル基を示し、R7は水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン置換低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、シアノ基、カルバモイル基またはフェニル基を示し、またR8は水素原子または低級アルキル基を示す。)
但し、Zが上記(e)で示される基である場合、R1が低級アルコキシ基を示し、R2がフェニル低級アルキル基を示し、且つR3が水素原子を示すものとする。]
で表わされるベンゼン化合物である、LPL活性化方法。
【0012】
2. 前記ベンゼン化合物が、一般式(1)においてZが(a)に示される基の化合物である、項1に記載の方法。
【0013】
3. 前記ベンゼン化合物が、一般式(1)においてZが(b)に示される基の化合物である、項1に記載の方法。
【0014】
4. 前記ベンゼン化合物が、一般式(1)においてZが(d)に示される基の化合物である、項1に記載の方法。
【0015】
5. 前記ベンゼン化合物が、一般式(1)においてZが(e)に示される基の化合物である、項1に記載の方法。
【0016】
6. 前記ベンゼン化合物が、一般式(1)においてZが(f)、(g)または(h)に示される基の化合物である項1に記載の方法。
【0017】
7. 前記ベンゼン化合物が、下記(1-1)〜(1-4)のいずれかに示す化合物である、項1に記載の方法:
(1-1)一般式(1)においてR1が低級アルコキシ基を示し、R2がフェニル基、ベンゼン環上に置換基として1または2個のハロゲン原子を有するフェニル基、フェニル低級アルキル基、ベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子およびシアノ基から選ばれる1または2個の基を有するフェニル低級アルキル基を示すか、あるいはR1とR2とは互いに結合して基-CH=C(Ph)-(Phはフェニル基を示す)を形成し、Zが(h)に示される基である化合物;
(1-2)一般式(1)においてR1が低級アルコキシ基を示し、R2がベンゼン環上に置換基として1または2個のハロゲン原子を有するフェニル低級アルキル基を示し、Zが(a)に示される基である化合物;
(1-3) 一般式(1)においてR1が低級アルコキシ基を示し、R2がフェニル低級アルキル基、またはベンゼン環上に置換基として1または2個のハロゲン原子を有するフェニル低級アルキル基を示し、Zが(f)に示される基である化合物;
(1-4) 一般式(1)においてR1が低級アルコキシ基を示し、R2がフェニル低級アルキル基である化合物を示し、Zが(e)に示される基である化合物。
【0018】
8. LPL活性化処理を必要とする患者が、高脂質血症の患者である、項1に記載の方法。
【0019】
9 LPL活性化処理を必要とする患者が、肥満患者である、項1に記載の方法。
【0020】
10. ベンゼン化合物が、2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン、2-[4-(4-シアノベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジン、2-[4-(4-ブロモ-2-フルオロベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジンおよび2-[4-(4-クロロベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジンからなる群から選ばれる化合物である項1に記載の方法。
【0021】
11. ベンゼン化合物が、6-[4-(4-クロロベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]イミダゾ[2,1-b]チアゾールである項1に記載の方法。
【0022】
12. ベンゼン化合物が、4-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)-2-(4-トリフルオロ)メチルフェニル)イミダゾールである項1に記載の方法。
【0023】
13. 下記一般式(1)に示されるベンゼン化合物と、製剤学的に許容される担体とを含有するLPL活性化組成物。
一般式(1):
【0024】
【化3】

【0025】
[式中、
R1は、水素原子、ヒドロキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシ基またはフェニル低級アルコキシ基を示し、
R2は、水素原子;低級アルキル基;1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基;シクロアルキル低級アルキル基;フェニル基;置換基としてハロゲン原子、低級アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン置換低級アルキル基およびハロゲン置換低級アルコキシ基からなる群から選ばれる1または2個の基を有するフェニル基;フェニル低級アルキル基;ベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン置換低級アルキル基、シアノ基、ニトロ基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、低級アルコキシ基およびハロゲン置換低級アルコキシ基からなる群から選ばれる1または2個の基を有するフェニル低級アルキル基;またはシクロアルキル基1個とフェニル基もしくはハロゲン置換フェニル基1個とを有する低級アルキル基を示すか、
あるいはR1とR2とは互いに結合して基-CH=C(Ph)-(Phはフェニル基を示す)を形成し、
R3は水素原子または低級アルコキシ基を示し、
Zは以下の(a)-(h)に示されるいずれかの基を示す;
(a)イミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル基もしくは低級アルキル基を1個有するイミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル基
(b)ベンズイミダゾール-2-イル基
(c)ベンゾチアゾール-2-イル基
(d)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル基
(e)フェニル基もしくはハロゲン置換低級アルキル基で置換されたフェニル基1個を有するイミダゾール-4-イル基
(f)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル基
(g)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル基
(h)下記式で示される基
【0026】
【化4】

【0027】
(基中、R4は水素原子、低級アルキル基またはハロゲン原子を示し、R5は水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基またはフェニル低級アルコキシ基を示し、R6は水素原子、低級アルキル基、カルボキシ基またはハロゲン置換低級アルキル基を示し、R7は水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン置換低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、シアノ基、カルバモイル基またはフェニル基を示し、またR8は水素原子または低級アルキル基を示す。)
但し、Zが上記(e)で示される基である場合、R1が低級アルコキシ基を示し、R2がフェニル低級アルキル基を示し、且つR3が水素原子を示すものとする。]
で表わされるベンゼン化合物。
【0028】
14. 前記ベンゼン化合物が、一般式(1)においてZが(a)に示される基の化合物である、項13に記載のLPL活性化組成物。
【0029】
15. 前記ベンゼン化合物が、一般式(1)においてZが(b)に示される基の化合物である、項13に記載のLPL活性化組成物。
【0030】
16. 前記ベンゼン化合物が、一般式(1)においてZが(d)に示される基の化合物である、項13に記載のLPL活性化組成物。
【0031】
17. 前記ベンゼン化合物が、一般式(1)においてZが(e)に示される基の化合物である、項13に記載のLPL活性化組成物。
【0032】
18. 前記ベンゼン化合物が、一般式(1)においてZが(f)、(g)または(h)に示される基の化合物である項13に記載のLPL活性化組成物。
【0033】
19. 前記ベンゼン化合物が、下記(1-1)〜(1-4)のいずれかに示す化合物である、項13に記載のLPL活性化組成物:
(1-1)一般式(1)においてR1が低級アルコキシ基を示し、R2がベンゼン環上にフェニル基、置換基として1または2個のハロゲン原子を有するフェニル基、フェニル低級アルキル基、ベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子およびシアノ基から選ばれる1または2個の基を有するフェニル低級アルキル基を示すか、あるいはR1とR2とは互いに結合して基-CH=C(Ph)-(Phはフェニル基を示す)を形成し、Zが (h)に示される基である化合物;
(1-2)一般式(1)においてR1が低級アルコキシ基を示し、R2がベンゼン環上に置換基として1または2個のハロゲン原子を有するフェニル低級アルキル基を示し、Zが(a)に示される基である化合物;
(1-3) 一般式(1)においてR1が低級アルコキシ基を示し、Rがフェニル低級アルキル基、またはベンゼン環上に置換基として1または2個のハロゲン原子を有するフェニル低級アルキル基を示し、Zが(f)に示される基である化合物;
(1-4) 一般式(1)においてR1が低級アルコキシ基を示し、R2がフェニル低級アルキル基である化合物を示し、Zが(e)に示される基である化合物。
【0034】
20. ベンゼン化合物が、2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン、2-[4-(4-シアノベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジン、2-[4-(4-ブロモ-2-フルオロベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジンおよび2-[4-(4-クロロベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジンからなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物である項13に記載の医薬組成物。
【0035】
21. ベンゼン化合物が、6-[4-(4-クロロベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]イミダゾ[2,1-b]チアゾールである項13に記載の医薬組成物。
【0036】
22. ベンゼン化合物が、4-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)-2-(4-トリフルオロ)メチルフェニル)イミダゾールである請求13に記載の医薬組成物。
【0037】
23. 高脂質血症の予防および治療に用いられる、項13に記載の医薬組成物。
【0038】
24. 抗肥満に用いられる、項13に記載の医薬組成物。
【0039】
25. 一般式(1a)
【0040】
【化5】

【0041】
[式中、
(2-1)R1aが低級アルコキシ基を示し、
R2aが、ベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子、シアノ基およびニトロ基からなる群から選ばれる1または2個の基を有するフェニル低級アルキル基を示し、Zaが(a)に示される基である;
(2-2)R1aが低級アルコキシ基を示し、
R2aが、水素原子、フェニル基、置換基として1または2個の低級アルコキシ基を有するフェニル基、フェニル低級アルキル基またはベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン置換低級アルキル基、シアノ基、ニトロ基、低級アルコキシ基およびハロゲン置換低級アルコキシ基からなる群から選ばれる1または2個の基を有するフェニル低級アルキル基
Zaが(d)、(f)または(g)に示される基である;
(2-3) R1aが低級アルコキシ基を示し、
R2aがフェニル低級アルキル基を示し、
Zaが(e)に示される基である;あるいは
(2-4) R1aがヒドロキシ基または低級アルコキシ基を示し、
R2aが、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基、シクロアルキル低級アルキル基、フェニル基、置換基としてハロゲン原子、低級アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン置換低級アルキル基およびハロゲン置換低級アルコキシ基からなる群から選ばれる1または2個の基を有するフェニル基、ベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン置換低級アルキル基、シアノ基、ニトロ基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、低級アルコキシ基およびハロゲン置換低級アルコキシ基からなる群から選ばれる1または2個の基を有するフェニル低級アルキル基、またはシクロアルキル基1個とフェニル基もしくはハロゲン置換フェニル基1個とを有する低級アルキル基を示すか、
あるいはR1aとR2aは互いに結合して基-CH=C(Ph)-(Phはフェニル基を示す)を形成し、
Zaが(h)に示される基である。]
で表されるベンゼン化合物。
【0042】
26. 下記(3-1)〜(3-4)のいずれかである、項25に記載のベンゼン化合物。
(3-1)R1aが低級アルコキシ基を示し、
R2aがフェニル基、置換基としてハロゲン原子1または2個を有するフェニル基、またはベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子およびシアノ基から選ばれる1または2個の基を有するフェニル低級アルキル基を示すか、あるいはR1とR2とは互いに結合して基-CH=C(Ph)-(Phはフェニル基を示す)を形成し、
Zaが(h)に示される基である化合物;
(3-2) R1aが低級アルコキシ基を示し、
R2aがベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子1または2個を有するフェニル低級アルキル基を示し、
Zaがイミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル基である化合物;
(3-3) R1aが低級アルコキシ基を示し、
R2aがフェニル低級アルキル基、またはベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子1または2個を有するフェニル低級アルキル基を示し、
Zaが(f)に示される基である化合物;
(3-4) R1aが低級アルコキシ基を示し、
R2aがフェニル低級アルキル基を示し、
Zaが(e)に示される基である化合物。
【0043】
27. 前記一般式(1a)において、Zaが(d)、(f)または(g)に示される基である項25に記載のベンゼン化合物。
【0044】
28. 前記一般式(1a)において、R2aが、ベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子、シアノ基およびニトロ基からなる群から選ばれる1または2個の基を有するフェニル低級アルキル基を示し、
Zaが(a)に示される基である、
項25に記載のベンゼン化合物。
【0045】
29. 前記一般式(1a)において、Zaが(e)に示される基である項25に記載のベンゼン化合物。
【0046】
30. 前記一般式(1a)において、Zaが(h)に示される基である項25に記載のベンゼン化合物。
【0047】
31. 2-[4-(4-シアノベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジン、2-[4-(4-ブロモ-2-フルオロベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジン、2-[4-(4-クロロベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]イミダゾ[1,2-a]ピリジン、6-[4-(4-クロロベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]イミダゾ[2,1-b]チアゾールおよび4-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)-2-(4-トリフルオロメチルフェニル)イミダゾールから選ばれる少なくとも1種の化合物である項25に記載のベンゼン化合物。
【0048】
32. LPL活性化組成物の製造のための項13に記載のベンゼン化合物の使用。
【0049】
33. 高脂質血症予防または治療用組成物の製造のための項13に記載のベンゼン化合物の使用。
【0050】
34. 抗肥満組成物の製造のための項13に記載のベンゼン化合物の使用。
【0051】
35. 項25に記載のベンゼン化合物を製剤学的に許容される担体と共に含有する医薬組成物。
【0052】
36. LPL活性化組成物として用いられる項25に記載の医薬組成物。
【0053】
37. 高脂質血症の予防または治療用組成物として用いられる項25に記載の医薬組成物。
【0054】
38. 抗肥満用組成物として用いられる項25に記載の医薬組成物。
【0055】
39. 高脂質血症の予防を必要とする患者における高脂質血症の予防方法であって、項25に記載のベンゼン化合物の少なくとも1種の有効量を該患者に投与することを含む方法。
【0056】
40. 肥満の治療を必要とする患者における肥満の治療方法であって、項25に記載のベンゼン化合物の少なくとも1種の有効量を該患者に投与することを含む方法。
【0057】
41. 高脂質血症予防または治療用組成物の製造のための項13に記載のベンゼン化合物の使用。
【0058】
42. 肥満予防または治療用組成物の製造のための項13に記載のベンゼン化合物の使用。
【0059】
本発明ベンゼン化合物
以下、本発明LPL活性化組成物に使用される一般式(1)で表されるベンゼン化合物(以下単に本発明の「化合物1」という)につき詳述する。
【0060】
化合物1を表わす一般式(1)において、またその他の本明細書中において用いられる各基は、より具体的にはそれぞれ次の通りである。本明細書において炭素を含む各基につき用いられる「低級」なる語は、「炭素数1-6の」なる意味で用いられるものとする。
【0061】
低級アルキル基としては、例えばメチル、エチル、プロピル、イソプロピル、ブチル、イソブチル、tert-ブチル、ペンチル、ヘキシル基などの炭素数1-6の直鎖または分枝鎖状のアルキル基を例示できる。
【0062】
低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソプロポキシ、ブトキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシ基などの炭素数1-6の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基を例示できる。
【0063】
低級アルコキシカルボニル基としては、例えばメトキシカルボニル、エトキシカルボニル、プロポキシカルボニル、1-メチルエトキシカルボニル、ブトキシカルボニル、2-メチルプロポキシカルボニル、1,1-ジメチルエトキシカルボニル、ペンチルオキシカルボニル、ヘキシルオキシカルボニルなどの炭素数1-6の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシカルボニル基を例示できる。
【0064】
フェニル低級アルコキシ基としては、例えば1-フェニルエトキシ、2-フェニルエトキシ、3-フェニルプロポキシ、2-フェニルプロポキシ、4-フェニルブチルオキシ、5-フェニルペンチルオキシ、6-フェニルヘキシルオキシ基などのフェニル基1個が置換した炭素数1-6の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基を例示できる。
【0065】
1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基には、1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-1-イルおよび1,2,3,4-テトラヒドロナフタレン-2-イル基が含まれる。
【0066】
シクロアルキル低級アルキル基としては、例えばシクロプロピルメチル、2-シクロプロピルエチル、3-シクロプロピルプロピル、4-シクロプロピルブチル、5-シクロプロピルペンチル、6-シクロプロピルヘキシル、シクロブチルメチル、シクロペンチルメチル、シクロヘキシルメチル、シクロヘプチルメチル、シクロオクチルメチルなどの炭素数3-8のシクロアルキル基1個を有する炭素数1-6のアルキル基を例示できる。
【0067】
シクロアルキル基には、炭素数3-8のシクロアルキル基、すなわちシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチル基が含まれる。
【0068】
置換基としてハロゲン原子、低級アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン置換低級アルキル基およびハロゲン置換低級アルコキシ基からなる群から選ばれる基の1〜2個を有するフェニル基としては、例えば2-クロロフェニル、3-クロロフェニル、4-クロロフェニル、4-フルオロフェニル、4-ブロモフェニル、4-ヨードフェニル、3,4-ジクロロフェニル、2,4-ジクロロフェニル、2,6-ジクロロフェニル、2-シアノフェニル、3-シアノフェニル、4-シアノフェニル、2-トリフルオロメトキシフェニル、3-トリフルオロメトキシフェニル、4-トリフルオロメトキシフェニル、4-テトラフルオロエトキシフェニル、2-メトキシフェニル、3-メトキシフェニル、4-メトキシフェニル、2,4-ジメトキシフェニル、3,4-ジメトキシフェニル、3,5-ジメトキシフェニル、4-エトキシフェニル、4-プロポキシフェニル、4-ブトキシフェニル、4-(1,1-ジメチルエトキシ)フェニル、4-ペンチルオキシフェニル、4-ヘキシルオキシフェニル、2-トリフルオロメチルフェニル、3-トリフルオロメチルフェニル、4-トリフルオロメチルフェニル、2,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル、3,4-ビス(トリフルオロメチル)フェニル、3,5-ビス(トリフルオロメチル)フェニル、4-テトラフルオロエチルフェニル、4-ヘプタフルオロプロピルフェニル、4-ノナフルオロブチルフェニル、4-ウンデカフルオロペンチルフェニル、4-トリデカフルオロヘキシルフェニル基などを例示することができる。
【0069】
ハロゲン原子には、フッ素原子、塩素原子、臭素原子およびヨウ素原子が含まれる。
【0070】
低級アルコキシ基としては、例えばメトキシ、エトキシ、プロポキシ、1-メチルエトキシ、ブトキシ、2-メチルプロポキシ、ペンチルオキシ、ヘキシルオキシなどの炭素数1-6の直鎖状または分岐鎖状のアルコキシ基を例示できる。
【0071】
ハロゲン置換低級アルキル基には、パーハロゲノ-(C1-6-アルキル)基、特に、パーフルオロ-(C1-6-アルキル)基が含まれる。ハロゲン置換基は、同様に、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選ばれる。具体的には、トリフルオロメチル、ペンタフルオロエチル、ヘプタフルオロプロピル、ノナフルオロブチル、ウンデカフルオロペンチル、トリデカフルオロヘキシル基などが挙げられる。
【0072】
ハロゲン置換低級アルコキシ基には、パーハロゲノ-(C1-6-アルコキシ)基、特に、パーフルオロ-(C1-6-アルコキシ)基が含まれる。ハロゲン置換基は、同様に、フッ素、塩素、臭素およびヨウ素からなる群から選ばれる。具体的には、トリフルオロメトキシ、ペンタフルオロエトキシ、ヘプタフルオロプロポキシ、ノナフルオロブチルオキシ、ウンデカフルオロペンチルオキシ、トリデカフルオロヘキシルオキシ基などが例示できる。
【0073】
フェニル低級アルキル基としては、例えばベンジル、1-フェニルエチル、2-フェニルエチル、3-フェニルプロピル、2-フェニルプロピル、4-フェニルブチル、5-フェニルペンチル、6-フェニルヘキシル基などのフェニル基1個を置換基として有する炭素数1-6のアルキル基を例示できる。
【0074】
ベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン置換アルキル基、シアノ基、ニトロ基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、低級アルコキシ基およびハロゲン置換低級アルコキシ基からなる群から選ばれる基の1〜2個を有するフェニル低級アルキル基としては、以下に示すような各基を例示できる。
(1) ハロゲン原子1個が置換したフェニル低級アルキル基;
2-フルオロベンジル、3-フルオロベンジル、4-フルオロベンジル、2,4-ジフルオロベンジル、2,5-ジフルオロベンジル、2,6-ジフルオロベンジル、3,5-ジフルオロベンジル、2-クロロベンジル、3-クロロベンジル、4-クロロベンジル、2,4-ジクロロベンジル、3,4-ジクロロベンジル、4-ブロモベンジル、4-ヨードベンジル、4-ブロモ-2-フルオロベンジル、4-クロロ-2-フルオロベンジル、1-(4-クロロフェニル)エチル、2-(4-クロロフェニル)エチル、3-(4-クロロフェニル)プロピル、2-(4-クロロフェニル)プロピル、4-(4-クロロフェニル)ブチル、5-(4-クロロフェニル)ペンチル、6-(4-クロロフェニル)ヘキシルなど。
【0075】
(2) 低級アルキル置換フェニル低級アルキル基;
2-メチルベンジル、3-メチルベンジル、4-メチルベンジル、4-エチルベンジル、4-(1,1-ジメチルエチル)ベンジル、4-プロピルベンジル、4-ブチルベンジル、4-ペンチルベンジル、4-ヘキシルベンジル、1-(4-メチルフェニル)エチル、2-(4-メチルフェニル)エチル、3-(4-メチルフェニル)プロピル、4-(4-メチルフェニル)ブチル、5-(4-メチルフェニル)ペンチル、6-(4-メチルフェニル)ヘキシル基など。
(3) ハロゲン置換低級アルキル基(特にパーハロゲノ-(C1-6-アルキル基)1個が置換したフェニル低級アルキル基;
2-トリフルオロメチルベンジル、3-トリフルオロメチルベンジル、4-トリフルオロメチルベンジル、4-ペンタフルオロエチルベンジル、4-(2,2,2-トリフルオロエチル)ベンジル、4-ヘプタフルオロプロピルベンジル、4-ノナフルオロブチルベンジル、4-ウンデカフルオロペンチルベンジル、4-トリデカフルオロヘキシルベンジル、1-(4-トリフルオロメチルフェニル)エチル、2-(4-トリフルオロメチルフェニル)エチル、3-(4-トリフルオロメチルフェニル)プロピル、4-(4-トリフルオロメチルフェニル)ブチル、5-(4-トリフルオロメチルフェニル)ペンチル、6-(4-トリフルオロメチルフェニル)ヘキシルなど。
(4) シアノ置換フェニル低級アルキル基;
2-シアノベンジル、3-シアノベンジル、4-シアノベンジル、1-(4-シアノフェニル)エチル、2-(4-シアノフェニル)エチル、3-(4-シアノフェニル)プロピル、4-(4-シアノフェニル)ブチル、5-(4-シアノフェニル)ペンチル、6-(4-シアノフェニル)ヘキシルなどのシアノフェニル-C1-6-アルキル基。
(5) ニトロ置換フェニル低級アルキル基;
2-ニトロベンジル、3-ニトロベンジル、4-ニトロベンジル、1-(4-ニトロフェニル)エチル、2-(4-ニトロフェニル)エチル、3-(4-ニトロフェニル)プロピル、4-(4-ニトロフェニル)ブチル、5-(4-ニトロフェニル)ペンチル、6-(4-ニトロフェニル)ヘキシルなどのニトロフェニル-C1-6アルキル基。
(6) 低級アルコキシカルボニル置換フェニル低級アルキル基;
2-メトキシカルボニルベンジル、3-メトキシカルボニルベンジル、4-メトキシカルボニルベンジル、4-エトキシカルボニルベンジル、4-プロポキシカルボニルベンジル、4-ブトキシカルボニルベンジル、4-ペンチルオキシカルボニルベンジル、4-ヘキシルオキシカルボニルベンジル、1-(4-メトキシカルボニルフェニル)エチル、2-(4-メトキシカルボニルフェニル)エチル、3-(4-メトキシカルボニルフェニル)プロピル、4-(4-メトキシカルボニルフェニル)ブチル、5-(4-メトキシカルボニルフェニル)ペンチル、6-(4-メトキシカルボニルフェニル)ヘキシルなどのC1-6アルコキシアルボニルフェニル-C1-6アルキル基。
(7) カルボキシル置換フェニル低級アルキル基;
2-カルボキシルベンジル、3-カルボキシルベンジル、4-カルボキシルベンジル、1-(4-カルボキシルフェニル)エチル、2-(4-カルボキシルフェニル)エチル、3-(4-カルボキシルフェニル)プロピル、4-(4-カルボキシルフェニル)ブチル、5-(4-カルボキシルフェニル)ペンチル、6-(4-カルボキシルフェニル)ヘキシルなどのカルボキシフェニル-C1-6アルキル基。
(8) 低級アルコキシ置換フェニル低級アルキル基;
2-メトキシベンジル、3-メトキシベンジル、4-メトキシベンジル、4-エトキシベンジル、4-プロポキシベンジル、4-ブトキシベンジル、4-ペンチルオキシベンジル、4-ヘキシルオキシベンジル、1-(4-メトキシフェニル)エチル、2-(4-メトキシフェニル)エチル、3-(4-メトキシフェニル)プロピル、4-(4-メトキシフェニル)ブチル、5-(4-メトキシフェニル)ペンチル、6-(4-メトキシフェニル)ヘキシル、3,5-ジメトキシベンジル、3,4,5-トリメトキシベンジルなど。
(9) ハロゲン置換低級アルコキシ基が置換したフェニル低級アルコキシ基;
2-トリフルオロメトキシベンジル、3-トリフルオロメトキシベンジル、4-トリフルオロメトキシベンジル、4-ペンタフルオロエトキシベンジル、4-(2,2,2-トリフルオロエトキシ)ベンジル、4-ヘプタフルオロプロポキシベンジル、4-ノナフルオロブトキシベンジル、4-ウンデカフルオロペンチルオキシベンジル、4-トリデカフルオロヘキシルオキシベンジル、1-(4-トリフルオロメトキシフェニル)エチル、2-(4-トリフルオロメトキシフェニル)エチル、3-(4-トリフルオロメトキシフェニル)プロピル、4-(4-トリフルオロメトキシフェニル)ブチル、5-(4-トリフルオロメトキシフェニル)ペンチル、6-(4-トリフルオロメトキシフェニル)ヘキシルなど。
(10) その他の置換フェニル低級アルキル基;
5-フルオロ-2-トリフルオロメチルベンジル、2-フルオロ-5-トリフルオロメチルベンジル、5-フルオロ-2-メチルベンジル、5-フルオロ-2-メトキシベンジル、4-メトキシ-3-メトキシカルボニルベンジル、3-メトキシ-4-メトキシカルボニルベンジルなど。
【0076】
ハロゲン置換低級フェニル基としては、4-フルオロフェニル、4-クロロフェニル、4-ブロモフェニル、4-ヨードフェニル、3-クロロフェニル、2-クロロフェニル基などを例示できる。
【0077】
シクロアルキル基1個とフェニル基もしくはハロゲン置換フェニル基1個とを有する低級アルキル基としては、例えばα-シクロプロピルベンジル、α-シクロプロピル-4-クロロベンジル、α-シクロプロピル-4-フルオロベンジル、α-シクロプロピル-4-ブロモベンジル、α-シクロプロピル-4-ヨードベンジル、α-シクロプロピル-3-クロロベンジル、α-シクロプロピル-2-クロロベンジル、α-シクロブチルベンジル、α-シクロペンチルベンジル、α-シクロヘキシルベンジル、α-シクロヘプチルベンジル、α-シクロオクチルベンジル基などを例示できる。
【0078】
(a)として示すイミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル基もしくは低級アルキル基1個を有するイミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル基には、例えばイミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル、2-メチルイミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル、3-メチルイミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル、5-メチルイミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル、2-エチルイミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル、2-プロピルイミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル、2-ブチルイミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル、2-ペンチルイミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル、2-ヘキシル[2,1-b]チアゾール-6-イル基などが含まれる。
【0079】
(e)として示すフェニル基もしくはハロゲン置換低級アルキル基で置換された低級アルキルフェニル基1個を有するイミダゾール-4-イル基には、例えば2-フェニルイミダゾール-4-イル、5-フェニルイミダゾール-4-イル、2-(4-トリフルオロメチルフェニル)イミダゾール-4-イル、5-(4-トリフルオロメチルフェニル)イミダゾール-4-イル、2-(3-トリフルオロフェニル)イミダゾール-4-イル、2-(2-トリフルオロメチルフェニル)イミダゾール-4-イル、2-(4-ペンタフルオロエチルフェニル)イミダゾール-4-イル、2-(4-ヘプタフルオロプロピルフェニル)イミダゾール-4-イル、2-(4-ノナフルオロブチルフェニル)イミダゾール-4-イル、2-(4-ウンデカフルオロヘキシルフェニル)イミダゾール-4-イルなどが含まれる。
【0080】
本発明化合物中、薬理活性の点で好適な化合物としては、下記(I)-(V)に示す各群に属する化合物を挙げることができる。
(I) 一般式(1)中、Zが(a)として示される基である化合物。
(II) 一般式(1)中、Zが(b)または(c)として示される基である化合物。
(III)一般式(1)中、Zが(d)として示される基である化合物。
(IV)一般式(1)中、Zが(e)として示される基である化合物。
(V) 一般式(1)中、Zが(f)、(g)または(h)として示される各基である化合物。
【0081】
上記の内では、(I)、(IV)および(V)群に属する化合物が好ましく、これらの中でも、Zが(a)、(e)および(h)として示される各基である化合物は特に好適である。
【0082】
化合物(1)(本発明LPL活性化組成物の有効成分化合物)および本発明に係る新規なベンゼン化合物(以下本発明の「化合物(1a)」という)には、ナトリウム塩、カリウム塩などのアルカリ金属塩、カルシウム塩、マグネシウム塩などのアルカリ土類金属塩、銅塩などのその他の塩類が含まれる。これらの塩の製造は常法に従うことができる。得られる塩類は、遊離形態の本発明化合物と同様の薬理活性を有しており、同様にLPL活性化組成物などとして有用である。
【0083】
さらに、化合物(1)および化合物(1a)には、例えば塩酸塩、硝酸塩、硫酸塩、臭化水素酸塩、リン酸塩、炭酸塩、酢酸塩、乳酸塩、クエン酸塩などの製剤学的に許容される酸付加塩が含まれる。そのような付加塩の製造も常法に従うことができる。これらの酸付加塩も、遊離形態の本発明化合物と同様の薬理活性を有している。従って、本発明は、これらの酸付加塩および該酸付加塩を有効成分とするLPL活性化組成物などの医薬組成物をも提供するものである。
【0084】
尚、本発明化合物(1)および本発明化合物(1a)中の一部には、炭素原子を不斉中心とする光学異性体を含んでいてもよい。本発明はこのような光学異性体の混合物であるラセミ体およびそれぞれの光学異性体の光学活性体、ならびにこれらのラセミ体または光学異性体のいずれかを有効成分とするLPL活性化組成物などをも提供する。上記光学異性体は、公知の各種の分割法を利用して分離することができる。
化合物(1)の製造方法
本発明化合物(1)は、その有する置換基Zの種類に応じて、すなわち、前記(a)-(h)の各基を有する化合物毎に、それぞれ既知の化合物であるかまたは既知の方法に準じて製造することができる。
【0085】
例えば、Zが(a)として示されるイミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル基または低級アルキル基を有するイミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル基である化合物は、特開平7-291976号公報に記載された化合物であるか、該公報に記載の化合物と類似の骨格を有するものである。これらは該公報に記載の「方法1」または「方法3」に従うかまたはこれらの各方法に準じて製造することができる。より具体的には該公報の方法1に記載の化合物(2)またはそれに対応する適当な置換基を有する化合物と、化合物(3)またはそれに対応する適当な置換基を有する化合物とを出発原料として、これらを環化反応させることにより得ることができる。また、該公報の方法3に記載の化合物(1c)またはこれに対応する適当な置換基を有する化合物を加水分解反応させた後、得られる化合物に適当なハライドを反応させることによっても製造することができる。各反応の条件は、上記公報に記載のそれに従うことができる。
【0086】
Zが(b)として示されるベンズイミダゾール-2-イル基である化合物は、例えば、欧州特許出願公開第694535号明細書に記載された方法に従うかまたは該方法に準じて製造することができる。より具体的には該公報の第6頁第24-58行に記載の方法に準じて、適当な置換基を有するo-フェニレンジアミンを出発原料化合物として、該原料化合物を環化反応させることにより製造することができる。
【0087】
Zが(c)として示されるベンゾチアゾール-2-イル基である化合物は、例えば、米国特許第3,876,791号明細書に記載された方法に従うかまたは該方法に準じて製造することができる。より具体的には該公報の第2欄第40-56行に記載の方法および第3欄第39-50行に記載された方法に準じて製造することができる。これらの方法の詳細は、例えば米国特許第3,669,979号明細書、同第3,647,812号明細書、同第3,095,422号明細書、J. Medicinal Chem. 14(1971): 248に記述されている。より詳しくは、例えば適当なo-アミノチオフェノールと芳香族酸とをリン酸トリクロライドの存在下に反応させるか、更に硼酸触媒の存在下に上記反応を行うか、あるいは適当なo−アミノチオフェノールと芳香族アルデヒドとを縮合反応させることにより、所望のZが(c)として示されるベンゾチアゾール-2-イル基である化合物を製造することができる。
【0088】
Zが(d)として示されるイミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル基である化合物は、例えば、欧州特許出願公開第113236号明細書に一般式Iaとして示された化合物であるか、それらと類似の化合物である。これらは該公報に記載の方法に従うかまたは該方法に準じて製造することができる。より詳しくは、該公報に記載の一般式IIのアミン類および一般式IIIのα-ハロケトン類にそれぞれ相当する適当な原料化合物を用いて、該公報第7頁第15行〜第8頁第28行の記載または実施例1の記載に準じて製造することができる。
【0089】
Zが(e)として示されるイミダゾール-4-イル基または、置換フェニル基を有するイミダゾール-4-イル基である化合物は、特開2001-163861号公報に記載の方法に従うかまたは該方法に準じて製造することができる。より具体的には該公報に記載の製造法1、製造法2、実施例8などに従って、一般式(II)のα-ジケトン類と一般式(III)のベンズアルデヒド化合物にそれぞれ相当する化合物を反応させることにより製造することができる。また、該公報に記載の一般式(IV)の2位にハロゲン原子が置換した2-アセトフェノン類と一般式(V)のベンズアミジン化合物にそれぞれ相当する適当な化合物を反応させることによっても、所望のZが(e)として示される基である化合物を製造することができる。
【0090】
なお、一般式(II)のα-ジケトン類は、公知の方法に従い製造することができる。該方法としては、例えば(1) 適当なアミノ酸と適当なアルキル金属、アリール金属あるいはアリル金属試薬とを反応させる方法(Tetrahedron. Lett. 24 (23) (1983): 2375参照)、(2) 適当なハロゲン化アリール類とアリールアセチレン類とを反応させる方法(Tetrahedron. Lett. (1971):2941参照)、(3) 適当なα-アリールケトン類を反応させる方法(J. Org. Chem. 53 (1988):129、J. Org. Chem. 24 (1995):516、Tetrahedron. Lett. (1972): 1175、Org. Syn. 32 (1952):35、J. Org., Chem. 14 (1949):836、Am. Chem. Soc. 71 (1949):3760、J. Am. Chem. Soc. 71 (1949):1585など参照)などを挙げることができる。
【0091】
Zが(h)として示される所定の複素環基である化合物は、例えば、特開平7-291972号公報に記載の化合物であってもよい。これらの化合物は前記公報に記載の方法に従うか、該方法に準じて製造することができる。より詳しくは、該化合物は、該公報に記載の方法1〜3、実施例1〜20などに記載された方法に従い製造することができる。具体的には、該公報に記載の化合物(2)と化合物(3)とにそれぞれ対応する適当な化合物を環化反応させる(方法1)ことによって、化合物(1b)に相当する化合物を加水素分解することによって(方法2)、化合物(1c)に相当する化合物にシクロアルキルハライド(4)を反応させることによって(方法3)、それぞれ所望のZが(h)として示される所定の複素環基である化合物を製造することができる。
【0092】
上記文献は、本明細において参考として引用される。
【0093】
Zが(f)として示されるイミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル基である化合物および(g)として示されるイミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル基である化合物(下記(4)で示される化合物)は、例えば下記反応工程式-1に示す方法に従って製造することができる。
【0094】
【化6】

【0095】
[式中、R1、R2およびR3は前記に同じ。Xはハロゲン原子を示す。Bはホウ素を示す。RおよびRbはそれぞれ同一または異なって水素原子または低級アルキル基を示すか、または両者が互いに結合して低級アルキル基を有することのある低級アルキレン基を示す。Zbは(f)または(g)に示される基を示す。]
反応工程式-1においては、化合物(2)と少過剰量の化合物(3)とを反応させることにより化合物(4)が得られる。該反応は、例えばN,N-ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N-ジメチルアセトアミド(DMA)などの適当な不活性溶媒中、化合物(2)に対して過剰モル量のリン酸カリウムを含む水溶液および触媒量のテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウムの存在下に実施できる。反応温度としては、約50℃から溶媒の還流温度条件を採用できる。反応は5-50時間程度で完結する。
【0096】
化合物(2)は、J. Org. Chem., 60. 7508 (1995)に記載の方法に従って合成することができ、化合物(3)は、J. Org. Chem., 30 (12), 4085 (1965)および特開平10-324688号公報に記載の方法に従って合成することができる。
【0097】
ZがZbではない本発明化合物(すなわち反応工程式-1における化合物(4)以外の本発明化合物)は、Zが(a)〜(e)および(h)のいずれかに示される基である化合物を製造する上記方法に従って、製造することができる。
【0098】
R2が水素原子である本発明化合物1(例えば上記反応工程式-1において一般式(4)で示され、Rが水素原子である化合物)は、下記反応工程式-2に示す方法に従って、所望のR2基を有する化合物に変換することができる。
【0099】
【化7】

【0100】
[式中、R1Aは、水素原子、ヒドロキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシル基またはフェニル低級アルコキシ基を示す。R2Aは、低級アルキル基;1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基;シクロアルキル低級アルキル基;フェニル基;置換基としてハロゲン原子、低級アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン置換低級アルキル基およびハロゲン置換低級アルコキシ基からなる群から選ばれる基の1または2個を有するフェニル基;フェニル低級アルキル基;ベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン置換低級アルキル基、シアノ基、ニトロ基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシル基、低級アルコキシ基およびハロゲン置換低級アルコキシ基からなる群から選ばれる基の1〜2個を有するフェニル低級アルキル基、またはシクロアルキル基1個とフェニル基もしくはハロゲン置換フェニル基1個とを有する低級アルキル基を示す。Yはハロゲン原子または基-B(OH)2-を示す。RおよびZは前記に同じ。]
反応工程式−2に示す変換反応は、用いる化合物(5)の有する基Yに応じて、それぞれ次の通り実施される。
【0101】
すなわち、Yがハロゲン原子の場合は、化合物(1a)と化合物(5)とを、DMF、DMAなどの適当な不活性溶媒中、炭酸カリウム、炭酸セシウムなどのアルカリの存在下に反応させる。化合物(5)およびアルカリは、化合物(1a)に対してそれぞれ通常当モル量〜過剰モル量使用される。反応は、一般に0℃〜室温の範囲の温度条件下に、約5〜100時間を要して行われる。
【0102】
Yが基-B(OH)2の場合は、化合物(1a)と化合物(5)とを、DMF、DMA、ジクロロメタンなどの適当な不活性溶媒中、トリエチルアミン、N,N-ジメチルアニリンなどの塩基の存在下、更に必要に応じて二酢酸銅を添加して、反応させる。化合物(5)、塩基および二酢酸銅は、それぞれ化合物(1a)に対して、等モル量〜過剰モル量使用することができる。反応は、一般に0℃〜室温の範囲の温度条件下に、約5〜100時間を要して行われる。
【0103】
上述したように、一般式(1a)で表されるベンゼン化合物は新規化合物である。
【0104】
一般式(1a)において、Zが(f)または(g)で示される基を示す化合物は、前記反応工程式−1に示す方法により製造される。
【0105】
一般式(1a)においてZが(a)で示される基を示す化合物は、例えば後記実施例23に記載されている方法または該方法に準じて製造される。
【0106】
一般式(1a)においてZが(d)で示される基を示す化合物は、例えば後記実施例28に記載されている方法または該方法に準じて製造される。
【0107】
一般式(1a)においてZが(e)で示される基を示す化合物は、例えば後記実施例95に記載されている方法または該方法に準じて製造される。
【0108】
一般式(1a)においてZが(h)で示される基を示す化合物は、例えば後記実施例1に記載されている方法または該方法に準じて製造される。
【0109】
前記反応工程式に示す各工程における目的化合物(化合物1)およびそれらの塩は、通常の分離手段により容易に単離精製できる。該手段としては、例えば吸着クロマトグラフィー、プレパラティブ薄層クロマトグラフィー、再結晶、溶媒抽出などを例示することができる。
本発明医薬組成物
化合物1(その塩を含む、以下同じ)は、リポプロテインリパーゼ(LPL)の活性化作用を有しており、高脂質血症、動脈硬化、肥満などの予防および治療に有用である。従って、本発明は高脂質血症予防および治療剤、高脂質血症予防および治療組成物、抗肥満剤乃至抗肥満組成物などをも提供する。
【0110】
本発明LPL活性化組成物(高脂質血症予防および治療剤、抗肥満剤などを含む)は、化合物1を製剤学的に許容される担体と共に含有する医薬組成物(製剤形態)に調製される。本発明医薬組成物に利用される製剤学的に許容される担体としては、例えば、充填剤、増量剤、結合剤、付湿剤、崩壊剤、表面活性剤、滑沢剤などの製剤の使用形態に応じて通常使用される希釈剤乃至賦形剤を例示できる。これらは得られる製剤の投与単位形態に応じて適宜選択使用される。
【0111】
医薬製剤の投与単位形態としては、各種の形態が治療目的に応じて適宜選択できる。その代表的なものとしては、錠剤、丸剤、散剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤、カプセル剤、坐剤、注射剤(液剤、懸濁剤など)、軟膏剤などが挙げられる。
【0112】
錠剤の形態に成形するに際しては、製剤学的に許容される担体として、例えば乳糖、白糖、塩化ナトリウム、ブドウ糖、尿素、デンプン、炭酸カルシウム、カオリン、結晶セルロース、ケイ酸、リン酸カリウムなどの賦形剤;水、エタノール、プロパノール、単シロップ、ブドウ糖液、デンプン液、ゼラチン溶液、カルボキシルメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、メチルセルロース、ポリビニルピロリドンなどの結合剤;カルボキシルメチルセルロースナトリウム、カルボキシルメチルセルロースカルシウム、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、乾燥デンプン、アルギン酸ナトリウム、カンテン末、ナミナラン末、炭酸水素ナトリウム、炭酸カルシウムなどの崩壊剤;ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル類、ラウリル硫酸ナトリウム、ステアリン酸モノグリセリドなどの界面活性剤;白糖、ステアリン、カカオバター、水素添加油などの崩壊抑制剤;第4級アンモニウム塩基、ラウリル硫酸ナトリウムなどの吸収促進剤;グリセリン、デンプンなどの保湿剤;デンプン、乳糖、カオリン、ベンナイト、コロイド状ケイ酸などの吸着剤;精製タルク、ステアリン酸塩、ホウ酸末、ポリエチレングリコールなどの滑沢剤などを使用できる。更に、錠剤は、必要に応じ通常の剤皮を施した錠剤、例えば糖衣錠、ゼラチン被包錠、腸溶被錠、フィルムコーティング錠または二重錠、多層錠とすることができる。
【0113】
丸剤の形態に成形するに際しては、製剤学的に許容される担体として、例えば、ブドウ糖、乳糖、デンプン、カカオバター、硬化植物油、カオリン、タルクなどの賦形剤;アラビアゴム末、トラガント末、ゼラチン、エタノールなどの結合剤;ラミナラン、カンテンなどの崩壊剤などを使用できる。
【0114】
坐剤の形態に形成するに際しては、製剤学的に許容される担体として、例えば、ポリエチレングリコール、カカオバター、高級アルコール、高級アルコールのエステル類、ゼラチン、半合成グリセライドなどを使用できる。
【0115】
カプセル剤は、常法に従い、通常化合物1を上記で例示した各種の製剤学的に許容される担体と混合して、硬質ゼラチンカプセル、軟質ゼラチンカプセルなどに充填して調製される。
【0116】
液剤、乳剤、懸濁剤などの注射剤として調製される場合、これらは殺菌され且つ血液と等張であるのが好ましい。これらの形態にするに際しては、希釈剤として、例えば、水、エタノール、マクロゴール、プロピレングリコール、エトキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシ化イソステアリルアルコール、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステルなどを使用できる。尚、この場合、等張性の溶液を調製するに充分な量の食塩、ブドウ糖またはグリセリンを医薬製剤中に含有させてもよく、また通常の溶解補助剤、緩衝剤、無痛化剤などを添加してもよい。
【0117】
ペースト、クリーム、ゲルなどの軟膏剤の形態に調製するに際しては、希釈剤として、例えば、白色ワセリン、パラフィン、グリセリン、セルロース化合物、ポリエチレングリコール、シリコーン、ベンナイトなどを使用できる。
【0118】
更に、本発明医薬組成物中には、必要に応じて着色剤、保存剤、香料、風味剤、甘味剤などや他の医薬品を含有させることもできる。
【0119】
本発明医薬組成物中に配合される有効成分化合物の量は、特に限定されず広範囲より適宜選択される。通常医薬組成物中に、約0.5-90重量%、好ましくは約1-85重量%程度配合されるのがよい。
【0120】
本発明医薬製剤の投与方法は特に制限がなく、各種製剤形態、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件に応じて決定される。例えば、錠剤、丸剤、液剤、懸濁剤、乳剤、顆粒剤およびカプセル剤は経口投与され、注射剤は単独でまたはブドウ糖、アミノ酸などの通常の補液と混合して静脈内に、あるいは筋肉内、皮内、皮下または腹腔内に投与され、坐剤は直腸内投与される。
【0121】
本発明医薬製剤の投与量は、その用法、患者の年齢、性別、疾患の程度、その他の条件により適宜選択される。通常有効成分である化合物(1)が、成人体重1kg当たり約0.5-20mg程度、好ましくは1-10mg程度となる量で、成人に投与することができる。該製剤は1日に1回または2-4回に分けて投与することができる。
本発明の予防および治療方法
本発明は、LPL活性化を必要とする患者におけるLPL活性化方法であって、少なくとも1種の化合物1のLPL活性化に有効な量を該患者に投与することを含む方法を提供する。
【0122】
また、本発明は高脂血症の予防を必要とする患者における高脂血症予防方法であって、少なくとも1種の化合物1の高脂血症予防に有効な量を該患者に投与することを含む方法に係る。
【0123】
さらに、本発明は高脂血症の治療を必要とする患者における高脂血症治療方法であって、少なくとも1種の化合物1の高脂血症治療に有効な量を該患者に投与することを含む方法に係る。
【0124】
加えて、本発明は肥満の予防を必要とする患者における肥満の予防方法であって、少なくとも1種の化合物1の肥満予防に有効な量を該患者に投与することを含む方法に係る。
【0125】
さらに、本発明は肥満の治療を必要とする患者における肥満の治療方法であって、少なくとも1種の化合物1の肥満治療に有効な量を該患者に投与することを含む方法に係る。
【0126】
また、本発明は化合物1のLPL活性化組成物の製造のための使用、高脂血症予防用組成物の製造のための使用、高脂血症治療用組成物の製造のための使用、抗肥満組成物の製造のための使用を提供する。
【発明を実施するための形態】
【0127】
以下、本発明を更に詳しく説明するため、実施例を示すが、本発明の範囲はこれら実施例に限定されない。
【0128】
各例において、1H-NMR分光法は、特に明示しない限りジメチルスルホキシド-D6(DMSO-d6)溶媒中、内部標準としてテトラメチルシラン(TMS)を用いて測定した。
実施例1
2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジンの製造
(工程1)
4'-ヒドロキシ-3'-メトキシアセトフェノン12.0g(72.2mmol)の無水テトラヒドロフラン120mL溶液に、0℃で三臭化フェニルトリメチルアンモニウム28.5g(75.8mmol)を75分かけて加えた。この混合物を0℃で2時間撹拌後、室温で30分撹拌した。このようにして得られた反応懸濁液を減圧下に濃縮後、酢酸エチル-ヘキサン(1:1 v/v)溶液100mLを加え0℃で30分撹拌した。懸濁液中の三臭化フェニルトリメチルアンモニウムの結晶を吸引濾過し、酢酸エチル-ヘキサン(1:1 v/v)溶液50mLで結晶を洗浄した。濾液を減圧下に濃縮して、粗生成物30gを得た。
【0129】
上記で得た粗生成物30gのアセトニトリル150mL溶液に、2-アミノピリジン14.95g(158.9mmol)を室温で加えた。この混合物を50℃で45分、次いで80℃で30分撹拌した。反応混合物を室温で一晩放置した後、析出した結晶を吸引濾過し、アセトニトリル約50mLで洗浄した。得られた結晶を80℃で減圧乾燥して、2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジンの臭化水素塩19.0gを得た。この化合物を以下「実施例145の化合物」と記載する。
(工程2)
工程1で得られた化合物 (実施例145の化合物)17.0g(52.9mmol) の無水DMF懸濁液106mLに、0℃で炭酸カリウム15.4g(111.4mmol)を加えた。この混合物を60分撹拌し、臭化ベンジル10.4g(60.8mmol)を滴下しながら、さらに0℃で60分、室温で24時間撹拌した。反応混合物を0℃に冷却し、水30mLを加え10分撹拌後、さらに水300mLを加え1時間撹拌した。析出した結晶を吸引濾過し、水100mLで洗浄した後、60℃で減圧乾燥し、粗結晶18.2gを得た。
【0130】
上記粗結晶18.2gをメタノール-水より再結晶し、目的化合物(実施例1の化合物)の結晶15.18gを得た。
実施例2-11, 13-22, 26, 27, 30-41, 44-47, 50-75, 80-83, 85-94, 96-104, 114, 115, 119, 121, 123, 125-130, 134, 136および138-149の化合物の製造
適当な出発原料を用いて、実施例1の工程1または工程1および2に記載の操作を繰り返して、実施例2-11、13-22、26, 27、30-41、44-47、50-75, 80-83, 85-94, 96-104, 114, 115, 119, 121, 123, 125-130, 134, 136および138-149の各化合物を製造した。
実施例12
3-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジンの製造
(工程1)
2-メトキシ-4-(4,4,5,5)-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボラン-2-イル)フェノール4.23g(16.9mmol)を乾燥DMF200mLに溶かした溶液に、3-ブロモイミダゾ[1,2-a]ピリジン5.0g(25.4mmol)を加え、さらにテトラキス(トリフェニルホスフィン)パラジウム(0) (Pd(PPh3)4: Ph=フェニル基)0.39g(0.34mmol)と、2Mリン酸カリウム水溶液42.25mLとを加えた。この混合物を80℃で20時間撹拌した。反応後、DMFを減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムで精製した(展開溶媒:2/98〜4/96=メタノール/塩化メチレン)。
【0131】
得られた結晶を、メタノール-ヘキサンから再結晶して、3-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリジン2.82gを得た(収率70%)。
【0132】
尚、この化合物を以下「実施例131の化合物」とする。
(工程2)
工程1で得られた化合物(実施例131の化合物)24mg(0.1mmol)、炭酸セシウム65mg(0.2mmol)および臭化ベンジル17mg(0.1mmol)をDMF1mLに溶かした。この混合物を一晩室温で撹拌した。DMFを減圧留去し、残渣を分離用TLCプレートを利用して精製(展開溶媒:1/98=メタノール/塩化メチレン)して、目的物(実施例12の化合物)28mgを収率83%で得た。
実施例105-113, 116-118, 120, 122, 124, 132, 133, 135および137の化合物の製造
適当な出発原料を用いて、実施例12の工程1または工程1および2に記載の操作を繰り返して実施例105-113, 116-118, 120, 122, 124, 132, 133, 135および137の各化合物を製造した。
実施例23
6-[4-(4-クロロベンジルオキシ)-3-メトキシフェニル]イミダゾ[2,1-b]チアゾールの製造
(工程1)
4'-ヒドロキシ-3'-メトキシアセトフェノン100gの無水THF600mL溶液に、フェニルトリメチルアンモニウムトリブロマイド237.5gを0℃で約3時間かけて加え、0℃で6時間、次いで室温で13時間撹拌した。得られた反応溶液を減圧下に濃縮し、酢酸エチル500mLを加えて0℃で1時間撹拌した。析出した結晶を吸引濾過し、濾液を減圧下に濃縮して、油状物265gを得た。
【0133】
この油状物を無水DMF400mLに溶解し、得られた溶液に2-アミノチアゾール60gを加えて、室温で30分、次いで40℃で3.5時間撹拌した。得られた反応混合物を酢酸エチル400mLで希釈し、室温で15時間放置した。析出した結晶を吸引濾過により集めた。得られた結晶を酢酸エチルで洗浄し、減圧下に乾燥して、2-アミノ-3-[2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)-2-オキソエチル]チアゾール-3-イウムブロミドのチアゾリウム塩153gを無色結晶として得た。
【0134】
上記で得られたチアゾリウム塩152.6gにn-ブタノール590mLを加え、100℃で45時間、次いで120℃で1時間撹拌した。反応溶液を冷却後、該液を酢酸エチル600mLで希釈し、室温で3時間放置した。析出した結晶を吸引濾過し、酢酸エチルで洗浄し、減圧下に乾燥して、6-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)イミダゾ[2,1-b]チアゾール臭化水素酸塩の無色結晶140.8gを得た。
融点:253-254℃
1H-NMR(DMSO-d6) δ: 8.43(1H, s), 8.23(1H, d, J=4.6Hz), 7.64(1H, d, J=4.6Hz), 7.40(1H, d, J=2.1Hz), 7.25(1H, dd, J=2.1, 8.3Hz), 6.91(1H, d, J=8.3Hz), 3.86(3H, s)
(工程2)
工程1で得た化合物120gの無水DMF490mL懸濁液に、炭酸カリウム106gを加えた。この混合物を2時間撹拌後、0℃でp-クロロベンジルブロミド82.9gを加えて、0℃で3時間、次いで室温で42時間撹拌した。反応混合物にメタノール500mLおよび水450mLを加え、70℃で30分撹拌した。室温に冷却し、析出した結晶を吸引濾過し、50%メタノールおよび水で洗浄し、減圧下に乾燥して、目的化合物(実施例23の化合物)の無色結晶102gを得た。
実施例24, 25, 42, 43, 48, 49および84の化合物の製造
適当な出発原料を用いて、実施例23に記載の操作を繰り返して、実施例24、25、42、43、48、49および84の各化合物を製造した。
実施例28
2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジンの製造
4'-ヒドロキシ-3'-メトキシ-2-ブロモアセトフェノン3.9g(16mmol)のアセトニトリル30mL溶液に、2-アミノピリミジン3.2g(34mmol)を加え、65℃で2時間撹拌した。析出した結晶を吸引濾過後、50%メタノール100mLに溶かした。該溶液に炭酸水素ナトリウム1.3gと混合し、室温で10分間撹拌した。析出した結晶を吸引濾過後、50%メタノール50mLから再結晶して、2-(4-ヒドロキシ-3-メトキシフェニル)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン2.4gを収率62%で得た。
融点:230-233℃
1H-NMR(DMSO-d6) δ: 9.21(1H, s), 8.92(1H, dd, J=2.1, 6.7Hz), 8.48(1H, dd, J=2.1, 4.1Hz), 8.25(1H, s), 7.57(1H, d, J=1.5Hz), 7.54(1H, dd, J=1.5, 7.9Hz), 7.02(1H, dd, J=4.1, 6.7Hz), 6.86(1H, d, J=7.9Hz), 3.87(3H, s)
上記で得た化合物0.50g(2.1mmol)の無水DMF4.2mL懸濁液に、0℃で炭酸カリウム0.34g(2.5mmol)を加えた。この混合物を30分間攪拌後、ベンジルブロミド0.41g(2.4mmol)を滴下し、0℃で15分間、室温で20分間、さらに40℃で16時間撹拌した。反応混合物に室温で水20mLを加え1時間攪拌後、析出した結晶を吸引濾過して、目的化合物の粗結晶0.72gを得た。
【0135】
粗結晶をシリカゲルカラムで精製後(シリカゲル10g使用、展開溶媒:塩化メチレン/メタノール=50/1)、塩化メチレン/ジエチルエーテルより再結晶して、目的化合物0.55gを得た(収率79%)。
実施例29の化合物の製造
適当な出発原料を用いて、実施例28に記載の操作を繰り返して、実施例29の化合物を製造した。
実施例76
2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)ベンズイミダゾールの製造
(工程1)
4-ベンジルオキシ-3-メトキシ安息香酸2.0 g(7.7mmol)を塩化メチレン20 mLに懸濁した。この溶液にDMF(0.05g)およびチオニルクロリド0.68mLを加えて、50℃で2時間撹拌した。この反応液に、室温下に2-ニトロアニリン1.1g(8.0mmol)をピリジン20mLに溶かした溶液を、0℃で滴下した。この混合物を室温で2時間撹拌した後、このものに水を加え、塩化メチレン層を抽出した。抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去し、得られた結晶を塩化メチレン-へキサンから再結晶して、N-(2-ニトロフェニル)-4-ベンジルオキシ-3-メトキシベンズアミド1.5 gの結晶を得た。
1H-NMR(DMSO-d6) δ: 11.32(1H, brs), 8.99(1H, d, J=8.0Hz), 8.27(1H, d, J=7.6Hz), 7.70(1H, dd, J=7.6, 7.6Hz), 7.59(1H, d, J=2.0Hz), 7.51(1H, dd, J=2.0, 8.4Hz), 7.30-7.47(5H, m), 7.20(1H, dd, J=7.6, 8.0Hz), 6.99(1H, d, J=8.4Hz)
(工程2)
上記で得られた結晶(1.5 g)をエタノール100 mLに懸濁させ、懸濁液に塩化錫・2水和物4.5 gを加えて80℃で2時間撹拌した。反応混合物に、氷冷下に飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50ml)を加え、不溶物をセライト濾過した。濾液に酢酸エチル200 mLを加え、混合物(酢酸エチル層)を水および飽和食塩水で順次洗浄した。得られた有機層(酢酸エチル層)を、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣にジエチルエーテルを加えて結晶化させ、目的化合物1.2gを得た。
実施例77の化合物の製造
適当な出発原料を用いて、実施例76に記載の操作を繰り返して、実施例77の化合物を製造した。
実施例78
2-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)ベンゾチアゾールの製造
4-ベンジルオキシ-3-メトキシ安息香酸2.0 g(7.7mmol)を塩化メチレン(10mL)に懸濁させ、この懸濁液にDMF0.05gとチオニルクロリド0.68mLとを加えて、50℃で2時間撹拌した。この反応液を、室温下に2-アミノチオフェノール1.2 g(9.3mmol)をピリジン10mLに溶かした溶液に、0℃で滴下した。この混合物をさらに室温で一晩撹拌した後、水で希釈し、酢酸エチルで抽出した(50mLx2回)。抽出物を無水硫酸マグネシウムで乾燥後、溶媒を留去した。得られた残渣をトルエン30mLに溶かし、トルエン溶液から水を留去しながら一晩加熱還流した。該溶液からトルエンを減圧留去した後、残渣をシリカゲルカラムで精製した(展開溶媒:酢酸エチル/へキサン=1/5)。溶媒を減圧留去し、得られた結晶を塩化メチレン-へキサンから再結晶して、目的化合物0.18gを得た。
実施例95
4-(4-ベンジルオキシ-3-メトキシフェニル)-2-(4-トリフルオロメチルフェニル)イミダゾールの製造
炭酸水素カリウム(2.9g, 29.0mmol)とα-ブロモ-4-ベンジルオキシ-3-メトキシアセトフェノン(1.9g, 7.3mmol)とを、水(2.5mL)とTHF(10mL)との混合液に懸濁させた。懸濁液に、70℃加温下に4-トリフルオロメチルベンズアミジン2.4g(7.3mmol)を加えてさらに1時間撹拌した。反応溶液に、室温まで温度を下げた後、酢酸エチル70mLを加えて30分間撹拌した。得られた溶液を水および食塩水で順次洗浄後、無水硫酸マグネシウムで乾燥した。溶媒を減圧留去し、残渣をシリカゲルカラムで精製(展開溶媒:酢酸エチル/へキサン=1/1)し、得られた残渣化合物を酢酸エチル20mLとメタノール5mLとの混液に溶かした。この溶液に室温下で4N塩酸(1,4-ジオキサン溶液)1.9mLを滴下し、生成した塩酸塩を濾過し、60℃で一晩減圧乾燥して、目的化合物2.0gを得た(収率59%)。
実施例79の化合物の製造
適当な出発原料を用いて、実施例95に記載の操作を繰り返して、実施例79の化合物を製造した。
【0136】
下記表1に、前記各実施例で得られた化合物の構造および物性(融点、1H-NMR分析結果およびマススペクトル分析結果)を示す。表中の略語は以下のとおりである。
Me:メチル
Meo:メトキシ
Et:エチル
Eto(OEt):エトキシ
n-Pr:n-プロピル
n-Pro(O-n-Pr):n-プロポキシ
t-Bu:tert-ブチル
【0137】
【表1】

【0138】
【表2】

【0139】
【表3】

【0140】
【表4】

【0141】
【表5】

【0142】
【表6】

【0143】
【表7】

【0144】
【表8】

【0145】
【表9】

【0146】
【表10】

【0147】
【表11】

【0148】
【表12】

【0149】
【表13】

【0150】
薬理試験1
LPL mRNA発現増加作用試験
ヒトLPLmRNAの増加作用を、より簡易かつ迅速に測定するために、ルシフェラーゼアッセイ(Luciferase assay)法を用いた。その原理は次の通りである。すなわち、ルシフェラーゼは、ルシフェリン(基質)を添加すると化学発光を起こす。また、LPLmRNAの発現は、LPL遺伝子の5’-UTRおよび3’-UTR(プロモーター領域)によって制御されている。このLPL遺伝子のプロモーター領域を、ルシフェラーゼを発現する市販のプラスミド(例えば、Clonetics社製)に導入して、ルシフェラーゼをヒト細胞で安定に発現するようなプラスミド(レポータープラスミド)を作製すれば、該プラスミドは、LPLmRNAが増加する条件下でのみルシフェラーゼを発現するため、その発現系に基質を添加してルシフェラーゼの発現量(ルシフェラーゼ活性)を化学発光量として定量することによって、LPLmRNAの発現量を定量することができる。
【0151】
本試験は、次の通り行った。まず、ヒトLPLの5’-UTR (Enerback, S., et al., Mol. Cell. Biol. 12 (10) (1992): 4622-4633)および3’-UTR (Wion, K. L., et al., Science, 235 (1987) : 4796, 1638-1641)を導入したクロンテック(Clonetics)社製Luciferase assay用プラスミドを用いて、ヒト由来脂肪肉腫細胞株SW872(ATCC Accession No. HTB-92)を形質転換させて、安定的にLuciferaseを発現するHTB-92/p387/p383細胞株を作製した。
【0152】
次いで、該HTB-92/p387/p383細胞株を、生育培地を入れた225平方センチ培養用フラスコに藩種して、37℃、CO2非存在下でコンフルエントになるまで培養した。生育培地としてはLeibovitz's L-15培地 (10% FBS, 1% GlutaMaxII, 10μg/mL streptomycin, 1μg/mL puromycin, 250μg/mL hygromycin B含有)を利用した。コンフルエントになった時点で細胞を回収し、384ウエルのプレートに20,000細胞/ウエルになるようにプレーティングし、50μL/ウエルの生育培地の存在下に、上記と同一の条件(37℃、CO2非存在下)で培養した。培養3日後、フェノールレッド不含DMEM培地(10% FBS, 1% GlutaMax, 10U/mL penicillin, 10μg/mL streptomycin, 1 μg/mL puromycin, 250μg/mL hygromycin, 1μM Dexamethasone, 0.5 mM IBMX含有)(分化培地)の50μL/ウエルで培地交換し、さらに5日間37℃、CO2存在下で培養して細胞を分化させた。
【0153】
さらに、被検物質として本発明化合物(実施例で製造した化合物)を10-4Mから3×10-10Mの間の所定濃度にDMSOにて調整した溶液の50μL/ウエルで培地を交換して、5日間、37℃、CO2存在下で培養した。
【0154】
5日間の培養後、30μL/ウエルとなる量のLuciferase基質溶液(Promega社製)を各ウエルに添加し、室温で10分間放置後、 ルミノメーター(マイクロプレートシンチレーションカウンティング測定用測定器; The Wallac Microbeta Trilux, Perkin Elmer社製)でルシフェラーゼ活性を測定した。
【0155】
対照群として、前記フェノールレッド不含DMEM培地(分化培地)に0.1% DMSOを添加して調製された分化培地で刺激を行った同細胞を利用した(5日間の分化培養の後、5日間刺激を行った)。該対照群細胞についても同一操作によってルシフェラーゼ活性を求めた。各濃度で被検物質を利用して行った試験の結果をプロットして、得られた直線からEC50値(対照群のLPLmRNA発現量を50%増加させる被検物質の濃度;単位:M)を求めた。また、Maximum Induction (Max. Ind.値)を下式に従って求めた。
Max. Ind.値=Lt/Lc
式中、Ltは、被験物質で刺激して得られるLuciferase活性の最大値を示し、Lcは対照群におけるLuciferase活性値を示す。
【0156】
下記表2は、実施例で製造した本発明の化合物を被検物質として用いて得られた上記試験の結果(EC50値およびMax. Ind.値)を、各化合物に対応する実施例番号と共に下表に示す。
【0157】
【表14】

【0158】
上記表に示す結果から明らかなとおり、本発明化合物はいずれも優れたLPLmRNA発現増加作用を奏する。
【0159】
従来、同様の作用が認められていたエチル4-〔(4-ブロモ-2-シアノフェニル)カルバモイル〕ベンジルホスホナートのLPL増加作用(Max. Ind.値)は約1.2であり、本発明の化合物は、さらに優れたLPL増加作用を有していることが示された。
薬理試験2
オリーブオイル誘発高中性脂肪血症モデルに対する治療効果試験
この試験には6週齢SDラット(日本チャールスリバー社より購入)を利用した。
【0160】
供試ラットを5週齢の体重を指標にして一群あたり6匹の実験群および対照群に群分けした。
【0161】
めのう乳鉢に前記各実施例で製造した本発明化合物のそれぞれ所定量を量り採り、これに5%アラビアゴム水溶液を少量ずつ加えて化合物を均一に粉砕、懸濁させた後、5%アラビアゴム水溶液で少量ずつ添加しながら試料を調製した。その後、調製した試料を10分間超音波洗浄機を用いて均質化して検体とした。尚、検体は用事調製した。
【0162】
実験群の各ラットには、本発明化合物を10, 30, 100mg/kg体重となる量で経口投与した。本発明化合物は、上述のように5%アラビアゴム懸濁液の形態に調製した。
また、対照群の各ラットには、5%アラビアゴム懸濁液(本発明化合物を含まない)を5mL/kg体重の割合で経口投与した。投与は、供試ラットが6週齢に達してから毎日1回定時に1週間継続的に実施した。なお、本試験は非絶食下(ラットに飼料および水を自由摂取させる)で行った。また、本発明化合物または5%アラビアゴム懸濁液の最終投与後は絶食とした。
【0163】
最終投与の2時間後、オリーブ油を3mL/kg体重の割合で各群ラットにそれぞれ経口投与した。
【0164】
オリーブ油投与の2時間後に、各群ラットの腹部大動脈から、ヘパリン添加注射筒を用いて採血した。採血した血液から4℃の条件下で血漿を遠心分離し、血漿中のトリグリセリド量を測定した。測定機器としては、日立7170形自動分析装置を用いた。実験群および対照群の各測定値から、実験群における血漿トリグリセリド低下率(%)を次式に従って算出した。
血漿トリグリセリド低下率(%) = (1-E/C) x 100
式中Eは各実験群における血漿トリグリセリドの平均値を示し、Cは対照群における血漿トリグリセリドの平均値を示す。
【0165】
下記表3は実施例で製造した本発明化合物を前記各投与量で投与して得られた結果を、下表に示す。
【0166】
【表15】

【0167】
上記表に示す結果から明らかなとおり、本発明化合物はいずれも優れた血漿トリグリセリド低下作用を奏する。
薬理試験3
Zucker fatty ラットを用いた抗肥満作用試験
Zucker fattyラットは、1961年にZucker らにより13C系ラットとM系ラットの交雑種13M 系の中に突然変異体として発見された肥満ラットである。すなわち、発症個体(fa/fa)は生後3週齢頃から、外観において、同腹の正常仔との区別が付くほどの肥満状態を呈し始め、加齢に従い発症個体と正常個体との体重差が拡大する。このラットは現在単純性肥満モデルとして各種機関で維持されており、容易に入手することができる。
【0168】
本試験は、本発明化合物の抗肥満作用を確認するために、このモデルラットを用いて実施したものである。検体の調製方法および試験方法を以下に示す。
(1)検体調製方法
検体は、上記試験例2と同様に調製した。
(2)試験方法
Zucker fattyラットおよびLeanラット(いずれも日本チャールスリバー社)は、5週齢で入荷し、6週齢で体重を指標にして群分け(一群あたり10匹)して馴化した後、8週齢から検体の投与を開始した。検体は、検体中の本発明化合物量が100mg/kg体重(検体量:5mL/kg体重)となる量を経口ゾンデを用いて経口投与した。検体の投与は、毎日定時1日1回実施し、4週間継続した。
【0169】
尚、対照群として、検体の代わりに5%アラビアゴム水溶液の同量(5mL/kg体重)を経口投与する群の群を設けた。
【0170】
最終投与日に各群ラットの体重を測定した。各群ラットの測定された体重の平均値を、対照群の同体重測定値の平均値(基準値)と対比して、その変化量(差)を求め、該変化量の基準値に対する百分率(%)を算出した。この算出値を「体重変化%」として評価した。尚、変化量(差)が負の値の場合は、体重変化%は「-(マイナス)」を付して表示するものとする。
【0171】
試験期間中、各群ラットには、ラット食餌(オリエンタル酵母社製CRF-1)および水(水道水)を自由摂取させた。
(3)結果
下記表4は検体として前記実施例で製造した本発明化合物を利用して得られた上記試験の結果を示す。
【0172】
【表16】

【0173】
(4)考察
上表に示される結果から、試験した本発明化合物はいずれも優れた抗肥満作用を奏することが明らかである。
薬理試験4
AKRマウスを用いた抗肥満作用試験
本試験の目的は、ヒトに近いといわれる食餌性の肥満モデルであるAKR/Jマウスに対して、本発明化合物がその体重を抑制する効果を示すことを検証することにある。試験に利用したモデルマウスは、体重増加と血中Leptin量の増加に相関があり、体重の低下とLeptin量の低下の両方から抗肥満作用を確認することができる実験モデルである(J. Clin. Invest. 99 (3), 1997, Feb 1: 385-90参照)。
【0174】
また、この試験は、糖尿病に対する治療効果についての評価も行い得るものである。すなわち、本モデルAKR/Jマウスは、高脂肪食負荷において高インスリン血症の観察されることが報告されており(Am. J. Physiol. 266 (5 Pt 2), 1994, May: R1423-8参照)、該高インスリン血症と糖尿病とは深い関連のあることが知られている(例えばJ. Cardiovasc. Nurs. 16 (2), 2002, Jan: 17-23参照)。従って、本試験によれば、被検化合物として用いた本発明化合物の糖尿病への治療効果を確認することができる。
【0175】
本試験は以下の通り実施した。
【0176】
ラットの食餌としては、正常食としてCRF-1(チャールス・リバー フォーミュラー1)の粉末餌(オリエンタル酵母社)を使用した。また、高脂肪食としてCRF-1に18%サフラワー油を混合した高脂肪食(オリエンタル酵母社)を使用した。
【0177】
被検物質は、1mg/gCRF-1粉末餌となる量で高脂肪食に混餌した。
【0178】
AKR/Jマウス(日本クレア社)は、4週齢で入荷し、5週齢で体重を指標にして2群に大別した。この間、各マウスには正常食を与えた。
【0179】
その後、一群のマウス(n=8)は引き続き正常食を与えた(正常食群)。また、他の一群のマウス(n=8×(被検物質の数+1))は、高脂肪食に交換した(高脂肪食群)。
【0180】
各群マウスの体重を経日的に測定し、高脂肪食群マウスの体重が正常食群マウスのそれと比較して有意な増加を示すことが観察された時点で、高脂肪食群マウスをさらに1群8匹ずつに群分けし、各群マウスの食餌(高脂肪食)を、それぞれ被検物質を混餌した高脂肪食に切り替えて、さらに7週間飼育を継続した(被検物質+高脂肪食群、各被検物質毎にn=8)。すなわち、被検物質の投与を7週間継続した。対照群として、何らの被検物質をも混餌しない高脂肪食を引き続き与える群(高脂肪食対照群、n=8)を設けた。
【0181】
被検物質+高脂肪食群において、上記7週間の最終日(実験終了日)の食餌から4時間後に、マウスの体重を測定し、次いで、マウス腹部大動脈からヘパリン添加注射筒で採血を行って、血漿中のLeptinおよびInsulin量をELISAキット(モリナガ社製)を用いて測定した。他の群(正常食群および高脂肪食対照群)においても、上記と同じ実験終了日まで飼育を継続し、実験終了日における最終食餌の4時間後に、同一操作および測定を行った。
【0182】
被検物質として、前記実施例(実施例10および58)で製造した本発明化合物を利用した被検物質+高脂肪食群(「実施例10混餌高脂肪食群」および「実施例58混餌高脂肪食群」という)について得られた試験結果(体重、Leptin量およびInsulin量)の平均値を、それぞれ高脂肪食対照群の同結果の平均値(基準値)と対比して、その変化量(差)を求め、該変化量の基準値に対する百分率(%)を算出した。この算出値をそれぞれ「体重変化%」、「Leptin量変化%」および「Insulin量変化%」として評価した。尚、下表中、各変化量(差)が負の値の場合は、それぞれ「-(マイナス)」を付して表示した。
【0183】
表5は、実施例10混餌高脂肪食群、実施例58混餌高脂肪食群、正常食群および高脂肪食対照群におけるマウスの体重変化%、Leptin量変化%およびInsulin量変化%の結果を示す。
【0184】
【表17】

【0185】
表5に示す結果より、実施例10および58で得られた本発明化合物は、それぞれ優れた抗肥満作用および糖尿病治療効果を奏することが明らかである。
【0186】
前記実施例で製造した他の全ての本発明化合物は、薬理試験1-4に示す各試験によってそれぞれ表33-36に示される結果とほぼ同様の結果を示すと考えられる。
薬理試験5
正常ラットにおけるLPL活性増加作用試験
6週齢SDラット(日本チャールズリバー社より購入)を被験動物として使用した。供試ラットを5週齢の体重を指標にして群分けした。各実験群のラットに5%アラビアゴム懸濁液を5ml/kg体重の割合で経口投与し、本発明の化合物の用量が1つの群で30mg/kg体重、その他の群で100mg/kg体重になるように、本発明の試験化合物を含有する懸濁液を経口投与した。対照群のラットには、5%アラビアゴム懸濁液(本発明の試験化合物を含まない)を5mL/kg体重の割合で経口投与した。供試ラットが6週齢に達してから各試験懸濁液を毎日1回定時に1週間継続して経口投与した。
【0187】
被験懸濁液を投与した4時間後、ラットの骨格筋組織を採取し、凍結固定して液体窒素下で保存した。骨格筋中のLPL活性は以下の方法で測定した。
【0188】
骨格筋LPL活性の測定方法
1)骨格筋組織抽出物の調製
1mL/100mg組織の湿重量あたり0.5U/mLのへパリンを含有する0.05mol/LのNH4OH-NH4Cl緩衝液(pH8.5)の冷却した溶液中でヒラメ筋をホモジェナイズした。15分間隔で激しく攪拌しながら60分間氷冷した後、ホモジェネートを3000rpm、4℃で10分間遠心分離し、上清を分離した。
2)骨格筋LPL活性の測定
グリセロールトリ[1-14C]オレエート2μCi、非標識トリオレイン0.133g、1%Triton X-100 0.9mLおよび4%ウシ血清アルブミン(0.2mol/L Tris-HCl緩衝溶液(pH8.6))0.9mLおよび0.2mol/L Tris-HCl緩衝溶液(pH8.6)10.2mLを混合して基質溶液を調製した。混合物を氷上で3分間超音波処理して乳化させた。
【0189】
組織抽出物0.1mL、加熱不活性化したラット血清0.05mLおよび4%ウシ血清アルブミン(0.2mol/L Tris-HCl緩衝溶液(pH7.4))をガラス試験管中で混合した。基質溶液0.2mLを添加して酵素反応を開始し、反応を37℃で30分間行った。
【0190】
2mLの1.5mol/L H2SO4/2-プロパノール(1:40,v/v)を添加して反応を停止し、蒸留水1mLおよびヘキサン3mLを試験管に添加した。室温で10分間激しく攪拌した後、試験管を3000rpm、10分間の遠心分離にかけた。
【0191】
上層(3.5mL)を新しい試験管に回収し、0.1mol/L KOH 1mLと混合した。試験管を室温で10分間激しく攪拌した後、3000rpm、10分間の遠心分離にかけた。
【0192】
上層を除去した後、1mLの下層(水相)を計測用バイアルに移し、1.3mol/L HCL 50μLで中和し、シンチレーター4mLと混合した。液体シンチレーションカウンターを用いて放射能を測定した。
【0193】
LPL活性増加率(%)を、対照群および実験群のLPL活性測定値より、下記式に従って算出した。
【0194】
LPL活性増加率(%)=(実験群の平均値)/(対照群の平均値)×100-100
結果を下記表6に示す。
【0195】
【表18】

【0196】
以下、本発明医薬製物の調製例を製剤例としてあげる。
製剤例1
錠剤の調製
有効成分として実施例1で得た化合物を用いて、1錠当たりその300mgを含有する錠剤(10000錠)を、次の処方により調製した。
実施例1で得た化合物 3000g
乳糖(日本薬局方品) 335g
コーンスターチ(日本薬局方品) 165g
カルボキシメチルセルロースカルシウム 125g
(日本薬局方品)
メチルセルロース(日本薬局方品) 60g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 15g
上記処方に従い、実施例1で得た化合物、乳糖、コーンスターチおよびカルボキシメチルセルロースカルシウムを充分に混合し、メチルセルロース水溶液を用いて混合物を顆粒化し、24メッシュの篩を通し、これをステアリン酸マグネシウムと混合して、錠剤にプレスして目的の錠剤を得た。
製剤例2
カプセル剤の調製
有効成分として実施例95で得た化合物を用いて、1カプセル当たりその200mgを含有する硬質ゼラチンカプセル剤(10000カプセル)を、次の処方により調製した。
実施例95で得た化合物 2000g
結晶セルロース(日本薬局方品) 300g
コーンスターチ(日本薬局方品) 170g
タルク(日本薬局方品) 20g
ステアリン酸マグネシウム(日本薬局方品) 10g
上記処方に従い、各成分を細かく粉末にし、均一な混合物となるように完全に混合した後、所望の寸法を有する経口投与用ゼラチンカプセルに充填して、目的のカプセル剤を得た。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
LPL活性化処理を必要とする患者に、ベンゼン化合物の有効量を投与することにより、該患者のLPLを活性化する方法であって、
前記ベンゼン化合物が、一般式(1):
【化1】

[式中、
R1は、水素原子、ヒドロキシ基、低級アルキル基、低級アルコキシ基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシ基またはフェニル低級アルキル基を示し、
R2は、水素原子;低級アルキル基;1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基;シクロアルキル低級アルキル基;フェニル基;置換基としてハロゲン原子、低級アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン置換低級アルキル基およびハロゲン置換低級アルコキシ基からなる群から選ばれる1または2個の基を有するフェニル基;フェニル低級アルキル基;ベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン置換低級アルキル基、シアノ基、ニトロ基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、低級アルコキシ基およびハロゲン置換低級アルコキシ基からなる群から選ばれる1または2個の基を有するフェニル低級アルキル基;またはシクロアルキル基1個とフェニル基もしくはハロゲン置換フェニル基1個とを有する低級アルキル基を示すか、
あるいはR1とR2とは互いに結合して基-CH=C(Ph)- (Phはフェニル基を示す)を形成し、
R3は水素原子または低級アルコキシ基を示し、
Zは以下の(a)-(h)に示されるいずれかの基を示す;
(a)イミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル基もしくは低級アルキル基を1個有するイミダゾ[2,1-b]チアゾール-6-イル基
(b)ベンズイミダゾール-2-イル基
(c)ベンゾチアゾール-2-イル基
(d)イミダゾ[1,2-a]ピリミジン-2-イル基
(e)フェニル基もしくはハロゲン置換低級アルキル基で置換されたフェニル基1個を有するイミダゾール-4-イル基
(f)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-3-イル基
(g)イミダゾ[1,2-a]ピリジン-5-イル基
(h)下記式で示される基
【化2】

(基中、R4は水素原子、低級アルキル基またはハロゲン原子を示し、R5は水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、低級アルコキシ基またはフェニル低級アルコキシ基を示し、R6は水素原子、低級アルキル基、カルボキシ基またはハロゲン置換低級アルキル基を示し、R7は水素原子、低級アルキル基、ハロゲン原子、ハロゲン置換低級アルキル基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、シアノ基、カルバモイル基またはフェニル基を示し、またR8は水素原子または低級アルキル基を示す。)
但し、Zが上記(e)で示される基である場合、R1が低級アルコキシ基を示し、R2がフェニル低級アルキル基を示し、且つR3が水素原子を示すものとする。]
で表わされるベンゼン化合物である、LPL活性化方法。
【請求項2】
前記ベンゼン化合物が、一般式(1)においてZが(a)に示される基の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項3】
前記ベンゼン化合物が、一般式(1)においてZが(b)に示される基の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項4】
前記ベンゼン化合物が、一般式(1)においてZが(d)に示される基の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項5】
前記ベンゼン化合物が、一般式(1)においてZが(e)に示される基の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項6】
前記ベンゼン化合物が、一般式(1)においてZが(f)、(g)または(h)に示される基の化合物である、請求項1に記載の方法。
【請求項7】
前記ベンゼン化合物が、下記(1-1)〜(1-4)のいずれかに示す化合物である、請求項1に記載の方法:
(1-1)一般式(1)においてR1が低級アルコキシ基を示し、R2がフェニル基、ベンゼン環上に置換基として1または2個のハロゲン原子を有するフェニル基、フェニル低級アルキル基、ベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子およびシアノ基から選ばれる1または2個の基を有するフェニル低級アルキル基を示すか、あるいはR1とR2とは互いに結合して基-CH=C(Ph)-(Phはフェニル基を示す)を形成し、Zが(h)に示される基である化合物;
(1-2)一般式(1)においてR1が低級アルコキシ基を示し、R2がベンゼン環上に置換基として1または2個のハロゲン原子を有するフェニル低級アルキル基を示し、Zが(a)に示される基である化合物;
(1-3)一般式(1)においてR1が低級アルコキシ基を示し、R2がフェニル低級アルキル基、またはベンゼン環上に置換基として1または2個のハロゲン原子を有するフェニル低級アルキル基を示し、Zが(f)に示される基である化合物;
(1-4)一般式(1)においてR1が低級アルコキシ基を示し、R2がフェニル低級アルキル基である化合物を示し、Zが(e)に示される基である化合物。
【請求項8】
LPL活性化処理を必要とする患者が、高脂質血症の患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項9】
LPL活性化処理を必要とする患者が、肥満患者である、請求項1に記載の方法。
【請求項10】
一般式(1a)
【化3】

[式中、
(2-1)R1aが低級アルコキシ基を示し、
R2aが、ベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子、シアノ基およびニトロ基からなる群から選ばれる1または2個の基を有するフェニル低級アルキル基を示し、Zaが(a)に示される基である;
(2-2)R1aが低級アルコキシ基を示し、
R2aが、水素原子、フェニル基、置換基として1または2個の低級アルコキシ基を有するフェニル基、フェニル低級アルキル基またはベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン置換低級アルキル基、シアノ基、ニトロ基、低級アルコキシ基およびハロゲン置換低級アルコキシ基からなる群から選ばれる1または2個の基を有するフェニル低級アルキル基
Zaが(d)、(f)または(g)に示される基である;
(2-3) R1aが低級アルコキシ基を示し、
R2aがフェニル低級アルキル基を示し、
Zaが(e)に示される基である;あるいは
(2-4) R1aがヒドロキシ基または低級アルコキシ基を示し、
R2aが、1,2,3,4-テトラヒドロナフチル基、シクロアルキル低級アルキル基、フェニル基、置換基としてハロゲン原子、低級アルコキシ基、シアノ基、ハロゲン置換低級アルキル基およびハロゲン置換低級アルコキシ基からなる群から選ばれる1または2個の基を有するフェニル基、ベンゼン環上に置換基としてハロゲン原子、低級アルキル基、ハロゲン置換低級アルキル基、シアノ基、ニトロ基、低級アルコキシカルボニル基、カルボキシ基、低級アルコキシ基およびハロゲン置換低級アルコキシ基からなる群から選ばれる1または2個の基を有するフェニル低級アルキル基、またはシクロアルキル基1個とフェニル基もしくはハロゲン置換フェニル基1個とを有する低級アルキル基を示すか、あるいはR1aとR2aは互いに結合して基-CH=C(Ph)-(Phはフェニル基を示す)を形成し、
Zaが(h)に示される基である。]
で表されるベンゼン化合物。

【公表番号】特表2011−520775(P2011−520775A)
【公表日】平成23年7月21日(2011.7.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−545320(P2010−545320)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【国際出願番号】PCT/JP2008/059294
【国際公開番号】WO2009/139076
【国際公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【出願人】(000149435)株式会社大塚製薬工場 (154)
【Fターム(参考)】