説明

ペンダント

【課題】見栄え良く、且つ操作性および保管性を向上させたペンダントを提供することである。
【解決手段】カード識別情報を予め記憶している鍵カード20を挿入すると、挿入した鍵カード20を検出し、検出した鍵カード20のカード識別情報を読み取る鍵カード読取部13cと、ペンダント識別情報を予め記憶している記憶部13bと、前記鍵カード読取部13cが読み取ったカード識別情報と前記記憶部13bに記憶のペンダント識別情報とを照合する鍵カード照合部13aと、電源回路14と、操作回路15と、前記鍵カード照合部13aによる照合が一致すると、ペンダント10を操作可能となるように前記操作回路15を前記電源回路14によって通電させ、前記鍵カード読取部13cが鍵カード20を検出しなくなると、前記操作回路15への通電を遮断させる制御部13dとを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、制御装置のインターフェイスであるペンダントに関し、詳しくは電源キーによってペンダント内の所定回路への電源供給と電源供給停止を行い得るペンダントに関する。
【背景技術】
【0002】
この種のペンダントは、ペンダントがその機能を果たすために設けられた内部の所定諸回路(以後、操作回路という)を電源回路(共に図示しない)から通電(ON)または遮断(OFF)させる電源スイッチを備えており、作業者はペンダントを使用前に電源スイッチを「通電」状態とさせ、またペンダント100を使用後に電源スイッチを「遮断」状態とさせることで、ペンダント100を使用時のみ操作回路を通電させて、無駄な電力を消費しないように省エネを図っている。この電源スイッチの例として、例えば図3に示す錠機構130によって操作回路を通電または遮断させる技術が知られている。この技術では、錠機構130の鍵穴132に鍵200を挿入し、挿入した鍵200を「遮断」位置から「通電」位置へと回転させることで、操作回路と電源回路(以後、電源回路のことを本書ではバッテリとも称するものとする)が電気的に接続状態となり操作回路が通電される構成となっている。また、逆に、鍵200を「通電」位置から「遮断」位置へと回転させることで、操作回路とバッテリが電気的に非接続状態となり操作回路への通電が遮断される構成となっている。また、作業者は、この鍵200を「遮断」位置でのみ鍵穴132から引き抜くことができ、鍵200を引き抜いておけば、ペンダント100の操作回路を通電させることができないため、ペンダント100の悪戯操作の防止を図ることができる。なお、このペンダント100は、表面に表示部110、入力部120を備えケーブル300を介して制御装置400と電気的に接続してある一般的な教示ペンダントである。
【0003】
この出願の発明に関連する先行技術文献情報としては、例えば、特許文献1が知られている。
【特許文献1】特開2002−33200号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上述したペンダントを使用する場合、鍵を鍵穴へ挿入したままとなるため、ペンダントの表面は鍵の柄が突出した状態(図3に示す状態)となっていた。そのため、ペンダントの見栄えが悪くなっていた。また、作業者は、突出した鍵の柄で自身の指や何か物を引っ掛けることがあり、ペンダントの操作性が悪くなっていた。また、鍵の紛失防止の観点および他のペンダントの鍵との間違え防止の観点から、ペンダントを使用後、鍵を鍵穴の「遮断」位置に挿入したままでペンダントを保管することがあった。この状態で保管すると、突出した鍵の柄が干渉することによって、ペンダントを重ねて保管することができなかったり、保管時に何か物を引っ掛けることがあったり、ペンダントの保管性が悪くなっていた。
【0005】
本発明は、このような点に鑑みて創案されたものであり、操作性および保管性を向上させたペンダントを提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、上記の目的を達成するためのものであって、以下のように構成されている。
請求項1に記載のペンダントは、カード識別情報を予め記憶している鍵カードを挿入すると、挿入した鍵カードを検出し、検出した鍵カードのカード識別情報を読み取る鍵カード読取部と、ペンダント識別情報を予め記憶している記憶部と、前記鍵カード読取部が読み取ったカード識別情報と前記記憶部に記憶のペンダント識別情報とを照合する鍵カード照合部と、電源回路と、操作回路と、前記鍵カード照合部による照合が一致すると、ペンダントを操作可能となるように前記操作回路を前記電源回路によって通電させ、前記鍵カード読取部が鍵カードを検出しなくなると、前記操作回路への通電を遮断させる制御部とを備える構成である。
この構成によれば、ペンダントと鍵カードを照合させ、その照合が一致するとペンダントの操作回路を通電させることができる。そのため、従来技術に記した錠機構130と鍵200によってペンダントの操作回路を通電させる作用と同様の作用を本発明でも有することができる。そして、その照合は、ペンダントの内部に認識手段を備え、その認識手段によって鍵カードを照合させる構成であるため、ペンダントを使用時に鍵カードがペンダントの表面から突出することはない。したがって、ペンダントの見栄え、操作性および保管性が悪くなることはない。
【発明を実施するための最良の形態】
【0007】
以下に本発明を実施するための最良の形態を、図1〜3を用いて説明する。
図1は、本発明のペンダント10を使用した制御装置40のシステム構成図である。図2は、本発明のペンダント10内部の電気的構成を示すブロック図である。図3は、従来技術のペンダント100を使用した制御装置400のシステム構成図である。
【0008】
[ペンダント10について]
まず、本発明のペンダント10について説明する。
図1に示すように、ペンダント10は表面に表示部(例えば、液晶パネル)11、入力部(例えば、入力キー)12、また一方の側面(図1において、右側側面)に鍵カード挿入口13fおよび取出ボタン13eを備えており、ケーブル30を介して制御装置40と電気的に接続してある。また、図2に示すように、ペンダント10は内部に認識手段13、バッテリ14、および操作回路15を備えている。この操作回路15とは、ペンダント100を操作可能とさせる電気回路であり、この電気回路を通電させることにより、表示部11および入力部12が使用可能となる。なお、このペンダント10は、従来技術に記したペンダント100と同様に一般的な教示ペンダントである。
【0009】
鍵カード挿入口13fは、ペンダント10の内部に鍵カード20を挿入するための挿入口である。また、取出ボタン13eが鍵カード挿入口13fに併設してあり、この取出ボタン13eを押下することによって、挿入した鍵カード20の一端(図1において、右端)を鍵カード挿入口13fから飛び出させることができる。例えば、挿入してある鍵カード20を1cm飛び出させることができる。このように、鍵カード20を飛び出させることによって、飛び出させた鍵カード20の一端を把持しペンダント10の内部から完全に抜き出させることができる。もちろん、一端を飛び出させた鍵カード20を、そのままの状態で鍵カード挿入口13fに保持させておくことも可能である。
【0010】
図2に示すように、認識手段13は、鍵カード照合部13a、記憶部13b、鍵カード読取部13cおよび制御部13dによって構成されているとともに、バッテリ14と電気的に常時接続してある。そのため、鍵カード20を鍵カード挿入口13fへ挿入すると、鍵カード読取部13cは、挿入された鍵カード20を検出し、検出した鍵カード20に記憶してあるカード識別情報を読み取り、読み取ったカード識別情報を記憶部13bへ記憶させる。このカード識別情報については、後述する[鍵カード20について]の説明欄で詳述する。
【0011】
ここで鍵カード読取部13cは、鍵カード20を検出すると、鍵カード照合部13aへ鍵カード検出信号を送信する。なお、鍵カード読取部13cは、鍵カード20を検出しなくなると、鍵カード検出信号の送信を中止する。また、記憶部13bには、他のペンダントと識別可能なペンダント識別情報を予め記憶させている。このペンダント識別情報は、複数の英数字から構成される識別情報であり、例えば「000A」を記憶させている場合について説明する。なお、複数のペンダント10を所有する場合には、各ペンダント10に異なるペンダント識別情報を記憶させておくことになる。
【0012】
また、バッテリ14と操作回路15は、リレー接点(a接点)16を介して電気的に接続してある。このリレー接点16を動作させる動作コイル(図示しない)は、制御部13dに備えられており、制御部13dは鍵カード照合部13aからの照合一致信号によってこの動作コイルを励磁させリレー接点16を動作させている。このリレー接点16が動作すると、バッテリ14によって操作回路15は通電され、表示部11および入力部12が動作可能となり、ペンダント10は制御装置40のインターフェイスとして使用可能となる。
【0013】
[鍵カード20について]
次に、鍵カード20について説明する。
鍵カード20は、例えば「磁気カード」であり他の鍵カード20と識別可能なカード識別情報を予め記憶している。このカード識別情報は、複数の英数字から構成される識別情報であり、例えば「000A」を記憶させている場合について説明する。なお、複数の鍵カード20を所有する場合には複数のペンダント10を所有する場合と同様に、各鍵カード20に異なるカード識別情報を記憶させておくことになる。
【0014】
[ペンダント10の通電について]
続いて、ペンダント10の操作回路15を通電させる方法について説明する。
作業者は鍵カード20をペンダント10の鍵カード挿入口13fへ挿入する。すると、鍵カード読取部13cは、挿入された鍵カード20を検出し、検出した鍵カード20のカード識別情報を読み取り、読み取ったカード識別情報を記憶部13bへ記憶させる。この例では、既に説明したように、鍵カード20にはカード識別情報として「000A」が記憶されているため、記憶部13bには、この「000A」が記憶される。
【0015】
鍵カード読取部13cによって鍵カード識別情報が読み取られると、鍵カード照合部13aは、この読み取りによって記憶された鍵カード識別情報と予め記憶のペンダント識別情報とを照合する。この場合、鍵カード識別情報もペンダント識別情報もともに「000A」であるため照合が一致する。照合が一致すると、鍵カード照合部13aは照合一致信号を制御部13dへ送信する。この照合一致信号を受けて制御部13dは、動作コイルを励磁させてリレー接点16を動作させる。すると、既に説明したように、バッテリ14によって操作回路15は通電され、表示部11および入力部12が動作可能となり、ペンダント10は制御装置40のインターフェイスとして使用可能となる。なお、照合が不一致の場合、制御部13dは動作コイルを励磁させない。
【0016】
このように鍵カード20によってペンダント10は使用可能となる。この使用可能な状態では、従来技術(図3参照)に記した錠機構130および鍵200が存在しないため、ペンダント100の表面から鍵200が突出することがない。したがって、ペンダント10の見栄が良くなり、且つ操作性も向上する。
【0017】
次に、通電させた操作回路15を遮断させる方法について説明する。
作業者はペンダント10の取出ボタン13eを押下する。すると、既に説明したように、鍵カード20の一端が鍵カード挿入口13fから飛び出てくる。このように鍵カード20が飛び出てくると、鍵カード読取部13cは、鍵カード20を検出しなくなる。すると、鍵カード照合部13aは鍵カード検出信号を検出しなくなるため、制御部13dは動作コイルの励磁を解除するとともに、記憶部13bに記憶してあるカード識別情報を消去させる。この励磁の解除に伴って、リレー接点16が開放されるため、バッテリ14から操作回路15への通電が遮断される。したがって、表示部11および入力部12は動作不能となり、ペンダント10は制御装置40のインターフェイスとして使用できなくなる。
【0018】
このようにペンダント10に挿入してある鍵カード20の一端を鍵カード挿入口13fから飛び出させることによって、ペンダント10は使用不能な状態となる。そして、本来であれば、ペンダント10の鍵カード挿入口13fから鍵カード20を完全に抜き出した状態でペンダント10を保管することになるが、鍵カード20の紛失防止の観点および他のペンダント10の鍵カード20との間違え防止の観点から、このように鍵カード20の一端を鍵カード挿入口13fから飛び出させた状態でペンダント10を保管する場合もある。その場合であっても、従来技術(図3参照)に記した錠機構130および鍵200が存在しないため、ペンダント10を重ねて保管することができ、ペンダント100の保管性が悪くなることはない。すなわち、ペンダント10の保管性が向上する。
【0019】
また、制御部13dに現在の日時を認識可能な計時部(図示しない)を備えさせ、鍵カード読取部13cがカード識別情報を記憶部13bへ記憶させる際に、その日時を対応付けて記憶部13bへ記憶させる構成でも構わない。その場合、後日に記憶部13bを参照することにより、読み込んだ鍵カードのカード識別情報と日時の履歴を確認できる。
【0020】
上述した内容は、あくまでも本発明の一実施の形態に関するものであって、本発明が上記内容に限定されることを意味するものではない。
実施例では、鍵カード20が「磁気カード」である例を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、鍵カード20が「ICカード」または「パンチカード」であっても構わない。その場合には、鍵カード読取部13cが「ICカード」または「パンチカード」を読み取ることができるようにする必要がある。
【0021】
また、実施例では、ペンダント10の右側側面に鍵カード挿入口13fと取出ボタン13eとを備える構成を説明した。しかし、これに限定されるものでなく、ペンダント10の左側側面(図1において、B方向矢印)または下側(図1において、A方向矢印)に鍵カード挿入口13fと取出ボタン13eとを備える構成でも構わない。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、本発明のペンダント10を使用した制御装置40のシステム構成図である。
【図2】図2は、本発明のペンダント10操作の電気的構成を示すブロック図である。
【図3】図3は、従来技術のペンダント100を使用した制御装置400のシステム構成図である。
【符号の説明】
【0023】
10 ペンダント
13 鍵カード識別手段
13a 鍵カード照合部
13b 記憶部
13c 鍵カード読取部
13d 制御部
14 バッテリ
15 操作回路

【特許請求の範囲】
【請求項1】
カード識別情報を予め記憶している鍵カードを挿入すると、挿入した鍵カードを検出し、検出した鍵カードのカード識別情報を読み取る鍵カード読取部と、
ペンダント識別情報を予め記憶している記憶部と、
前記鍵カード読取部が読み取ったカード識別情報と前記記憶部に記憶のペンダント識別情報とを照合する鍵カード照合部と、
電源回路と、
操作回路と、
前記鍵カード照合部による照合が一致すると、ペンダントを操作可能となるように前記操作回路を前記電源回路によって通電させ、前記鍵カード読取部が鍵カードを検出しなくなると、前記操作回路への通電を遮断させる制御部とを備えるペンダント。




【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2006−205333(P2006−205333A)
【公開日】平成18年8月10日(2006.8.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−22990(P2005−22990)
【出願日】平成17年1月31日(2005.1.31)
【出願人】(391006348)株式会社タイテック (79)
【Fターム(参考)】