説明

ホスホジエステラーゼ5阻害剤(PDE5)と併用するエンドセリンA受容体(ETA)アンタゴニストおよびその使用

本発明は、概ね、エンドセリンA受容体(ETA)アンタゴニストおよびホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤を含む併用療法と、ETAアンタゴニストおよびPDE5阻害剤を含む医薬組成物と、ETAアンタゴニストおよびPDE5阻害剤の投与を含む、様々な障害を治療する方法とに関する。詳細には、上記の併用療法および医薬組成物は、肺動脈高血圧症(PAH)などの心障害の治療および/または予防に有用である。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本願は、2004年8月26日出願の米国特許仮出願第60/604462号に基づく権利を主張し、この開示を参照により全体として本明細書に援用する。
【0002】
本発明は、概ね、エンドセリンA受容体(ETA)アンタゴニストおよびホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤を含む併用療法と、ETAアンタゴニストおよびPDE5阻害剤を含む医薬組成物と、ETAアンタゴニストおよびPDE5阻害剤の投与を含む、様々な障害を治療する方法とに関する。詳細には、上記の併用療法および医薬組成物は、肺動脈高血圧症(PAH)などの心障害の治療および/または予防に有用である。
【背景技術】
【0003】
全身性高血圧は、高血圧症とも呼ばれ、動脈または静脈のいずれかにおける血圧が異常に高い状態である。血圧は、血液によって血管壁に対して加えられる力と定義されている。通常には、心臓のポンピングによって、血管壁沿い、および血管壁に対する血液の律動的な脈動が生成する。血管壁は膨張または収縮するのに十分に柔軟であり、それによって血圧を一定に維持している。ほとんどの医師は、健康な成人の正常な体血圧は約120/80、すなわち、心臓が収縮している間(収縮期)には高さ120mm、弛緩している間(弛緩期)には高さ80mmの水銀柱によって加えられる圧力と同等であると考えている。しかし、血管は、様々な理由によって、それらの柔軟性を喪失することがあり、あるいはそれらの周囲にある筋によって収縮を余儀なくされることがある。その結果、心臓は、手狭になった血管を介して同量の血液を毛細血管に送り込むのに、より力強くポンピングしなければならなくなり、それによって血圧が上昇する。どのような機構によるものであっても、一定期間にわたって持続する血圧上昇は、全身にわたる重大な心臓血管損傷、例えば、鬱血性心不全、冠動脈障害、脳卒中、および進行性腎不全をもたらすことが示されている。鬱血性心不全は、しばしば、全身性高血圧症または心臓弁機能不全による、心臓過負荷の末期合併症を構成するが、急性または慢性の虚血性心疾患および特発性心筋症の結果として生じることもある(例えば、非特許文献1参照)。全身性高血圧症または大動脈弁機能不全を患っている患者は、適切な薬物療法または弁置換の恩恵を得ることができるが、肥大および心臓麻痺は不可逆的な状態になりうる(例えば、非特許文献2参照)。
【0004】
全身性高血圧は、その原因によって、概ね、本態性(起源不明)または2次疾患(特定の疾患、障害、または他の状態の結果)として分類される。2次性高血圧は広範囲な原因の結果でありうる。例えば腎性高血圧症は、体全体の循環に影響を与え、大動脈から分岐して血液を腎臓に供給する腎動脈内部の高血圧によって引き起こされる。高血圧は、副腎の外側の物質すなわち皮質が異常に機能している間にホルモンが過剰に分泌された結果として発症したり(クッシング症候群;アルドステロン症)、副腎の内側の物質(髄質)の腫瘍である褐色細胞腫によって生じた過剰ホルモンの結果として発症したり、あるいは脳下垂体腫瘍によって分泌された過剰ホルモンの結果として発症したりすることがある。2次性高血圧症の他の原因には、大動脈の縮窄−局部的な狭窄−、妊娠、および経口避妊薬の使用がある。すべての2次性高血圧症の症例において、根底にある状態または原因を治療することによって、高血圧症が軽減される。圧倒的に最も一般的な形態(全症例の90パーセント)の高血圧症は、本態性または特発性の高血圧症である。そのような場合には、特定の原因が判定されていないが、いくつかの寄与因子が研究によって指摘されている。これらの中には、高血圧症の家族歴、肥満、高い塩分摂取、喫煙、そして最も重要なものとして精神的および身体的ストレスが含まれる。
【0005】
比較的軽度の形態にある本態性高血圧症は、通常、自助療法によって治療され、これには、無塩食餌法およびおそらく体重低減食餌法、喫煙の減少または休止、軽度の運動、ストレスの大きな状況の回避またはそのような状況に対するよりよい対処が含まれる。自助プログラムによって患者の血圧低下が補助されない場合には、医師は通常、利尿剤または交感神経遮断薬を処方するであろう。神経遮断薬は、通常、心拍出量および血流に対する末梢抵抗を低減することによって作用する。ベータ遮断薬は、これらの薬物の中で最も一般的に使用されているものであり、これには、メトプロロール、ナドロール、およびプロプラノロールが含まれる。より重度の高血圧症は、血管拡張薬と呼ばれる薬物の使用を必要とすることが多いが、この薬物は動脈を膨張させ、それによって血圧を低下させる。体の自然な傾向である、動脈の拡張に反応して体液貯留を増加させ、かつ血流量を増加させる傾向を抑制するために、しばしば、利尿剤および交感神経遮断薬と併せて経口血管拡張薬を使用するが、これにはヒドララジンおよびミノキシジルが含まれる。重度であって、かつ即座に生命の危険がある高血圧症は、2次性のものも、本態性のものも、悪性高血圧と呼ばれ、通常は、入院および緊急医療が必要とされる。治療には、ジアゾキシドなどの血管拡張薬の静脈内投与が含まれる。
【0006】
環状ヌクレオチドセカンドメッセンジャー(cAMPおよびcGMP)は、シグナル伝達、および血管拡張などの生理学反応の調節で中心的役割を果たしている。それらの細胞内レベルは、複雑な環状ヌクレオチドホスホジエステラーゼ(PDE)スーパーファミリーの酵素によって制御されている。PDE阻害剤は、この酵素とのアロステリック相互作用、またはこの酵素の活性部位への結合を介してPDEを活性化または抑制ができる薬剤である。PDEファミリーには、少なくとも19の異なった遺伝子と、少なくとも11のPDEアイソザイムファミリーが含まれ、これまでのところ50以上のアイソザイムが同定されている。PDEは、(a)基質特異性、すなわち、cGMP特異的PDE、cAMP特異的PDE、または非特異的PDE、(b)組織、細胞、または細胞内分布、および、(c)異なったアロステリック活性化物質または抑制物質による調節によって識別される。PDE阻害剤には、非特異的PDE阻害剤と、特異的PDE阻害剤(単一のタイプのホスホジエステラーゼを阻害し、他のタイプのホスホジエステラーゼにはあってもごくわずかな影響しか与えないもの)との両方が含まれる。
【0007】
肺動脈は、心臓の右側面から肺へとつながる血管であり、肺動脈高血圧(PAH)は、高血圧および肺動脈壁の構造変化に関連した状態である。PAHは、息切れを引き起こして、行動を制限し、心臓および肺の移植による治療に成功しない限り、最終的には致死となる。世界中で約8〜10万人の人が1次性および2次性のPAHを患っていると推算されており、その多くが子供と若い女性である。
【0008】
PAHを患っている患者の標準的な管理には、右側心不全によって引き起こされた体液貯留を管理するフロセミド(LASIX社および他)などの利尿剤と併せてワルファリン(COUMADIN社および他)を用いる抗凝固療法と、選択された患者に対する、アムロジピン(NORVASC社)などのカルシウムチャネル遮断薬とが含まれる(例えば、非特許文献3および4参照)。最近、ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害剤の1つであるシルデナフィル(REVATIO)が、20mg用量(TID)でのPAH治療に認可された。PDE5は、肺血管系における主要なホスホジエステラーゼであり、これを阻害すると、cGMPが高レベルに維持され、それによって、内因性一酸化窒素による血管拡張作用が促進される(例えば、非特許文献5参照)。
【0009】
しかし、シルデナフィルなど、PDE5阻害剤にはいくつかの有害作用がある。例えば、シルデナフィル(VIAGRA)を勃起不全に日用量25〜100mgで間欠使用することによって、頭痛、消化不良、および視力障害が生じている。それによる最も重大な影響は、狭心症治療に硝酸を服用している患者における重度で、ときには致死的な低血圧である(例えば、非特許文献6参照)。したがって、相補治療を処置し、用量量および/または、PDE5阻害剤を用いた処置に関連した副作用を低減させるのが有益であろう。
【0010】
エンドセリンは、21アミノ酸で構成されている合成ペプチドであり、血管内皮によって放出される。エンドセリンには、3つのイソ型、すなわちET−1、ET−2、およびET−3が存在する。エンドセリンは、強力な血管収縮剤であり、血管緊張度に対して強力な作用を有する。血管収縮作用は、エンドセリンが、血管平滑筋細胞表面にあるその受容体に結合することによって引き起こされる(例えば、非特許文献7〜9参照)。
【0011】
エンドセリン放出の増大または異常は、末梢血管、腎血管、および脳血管の持続的血管収縮を引き起こし、疾患へと導きうる。高血圧、急性心筋梗塞、肺高血圧症、レイノー症候群、およびアテローム硬化症を患っている患者の血漿中、および喘息患者の気道で、エンドセリンレベルの上昇が見られることが文献に報告されている(例えば、非特許文献10〜12参照)。
【0012】
ETAおよびETBと名付けられた2つの異なるエンドセリン受容体が同定されており、各受容体をコードするDNAクローンが単離されている(例えば、非特許文献13および14参照)。クローニングされたDNAによってコードされたタンパク質のアミノ酸配列に基づくと、各受容体は7つの膜貫通ドメインを含有しているようであり、Gタンパク質結合型膜タンパク質に対する構造類似性を示している。心臓、肺、腎臓、および脳を含めた様々な組織で、両受容体をコードするメッセンジャーRNAが検出された。受容体サブタイプの分布は組織特異的である(例えば、非特許文献15参照)。ETAは、エンドセリン1に選択的であると考えられており、心血管組織で支配的な受容体である。ETBは、中枢神経系および腎臓などの非心血管組織で支配的な受容体であり、3つのエンドセリンイソペプチドと相互作用する(例えば、非特許文献14参照)。加えて、ETAは、血管平滑筋上に存在し、血管収縮と結びついており、心血管疾患、腎疾患、および中枢神経系疾患に関連しており、一方、ETBは、血管内皮表面に局在し、血管拡張反応と結びついており(例えば、非特許文献16参照)、気管支収縮障害に関連している。
【0013】
受容体型の分布および各受容体型に対する各イソペプチドの親和性の相違によって、異なった組織におけるエンドセリンイソペプチドの活性に相違が生じている。例えば、エンドセリン1は、心血管組織における125I標識されたエンドセリン1の結合を、エンドセリン3より40〜700倍強力に阻害する。腎臓、副腎、および小脳などの非心血管組織における125I標識エンドセリン1の結合の阻害は、エンドセリン1と、エンドセリン−3とで同程度であり、これは、心血管組織ではETAが支配的な受容体であり、非心血管組織ではETBが支配的な受容体であることを示している。
【0014】
ある種の疾患状態では、エンドセリンの血漿中レベルが上昇している(例えば、特許文献1および2参照)。ラジオイムノアッセイ(RIA)で測定した、健康な個体におけるエンドセリン1血漿中レベルは約0.26〜5pg/mlである。エンドセリン1およびその前駆体(ビッグエンドセリン)の血中濃度は、ショック、心筋梗塞、血管攣縮性狭心症、腎不全、および様々な結合織障害において上昇している。血液透析もしくは腎移植を行っている患者、または心原性ショック、心筋梗塞、もしくは肺高血圧症を患っている患者では、35pg/mlという高いエンドセリン1血中濃度が観測されている(例えば、非特許文献17参照)。エンドセリンは全身性ではなく局在的な調節因子のようなので、内皮/平滑筋境界面のエンドセリンレベルは、循環レベルよりはるかに高い可能性がある。
【0015】
虚血性心疾患を患っている患者でも高レベルのエンドセリンが測定されている(例えば、非特許文献18および19参照)。循環性エンドセリンおよび組織性エンドセリンの免疫応答性は、進行アテローム硬化症を患っている患者では2倍を超えて増大していた(例えば、非特許文献20参照)。エンドセリン免疫応答性の増大はバージャー病(例えば、非特許文献21参照)、およびレイノー現象(例えば、非特許文献22参照)に関連している。高レベルの循環性エンドセリンが、経皮経管冠動脈形成術(PICA)を受けた患者(例えば、非特許文献23および24参照)および肺高血圧症を患っている個体(例えば、非特許文献25および17参照)で観測された。
【0016】
鬱血性心不全を患っている患者に関する最近の研究によって、血漿中エンドセリンレベルの上昇と、疾患重篤度との間に良い相関関係があることが実証された。
【0017】
エンドセリンは、血管平滑筋または非血管系平滑筋の持続的収縮を直接的または間接的に(様々な他の内因性物質の調節放出によって)誘発する内因性物質である。エンドセリンの過剰生産または過剰分泌は、高血圧症、肺性高血圧症、レイノー病、気管支喘息、急性腎不全、心筋梗塞、狭心症、動脈硬化、脳血管痙攣、および脳梗塞の原因となる因子の1つであると考えられている(例えば、非特許文献26参照)。
【0018】
エンドセリンがその受容体に結合するのを特異的に阻害する物質は、エンドセリンの生理作用を遮断すると考えられており、エンドセリン関連の障害を有する患者の治療に有用である。
【0019】
本発明の一実施形態は、少なくとも1つのエンドセリンA受容体(ETA)アンタゴニストと、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤とを含むことを特徴とする併用療法を対象とする。
【0020】
本発明の別の実施形態は、上記ETAアンタゴニストおよび上記PDE5阻害剤を共にまたは別々に投与することを特徴とする併用療法を対象とする。
【0021】
本発明の別の実施形態は、医薬組成物であることを特徴とする併用療法を提供し、上記医薬組成物は即放性製剤または徐放性製剤であり、ETAアンタゴニストが徐放性製剤であるか、PDE5阻害剤が徐放性製剤であるか、あるいは、両方が徐放性製剤である。両方とも徐放性製剤である場合、上記ETAアンタゴニストおよび上記PDE5阻害剤が異なった速度で放出されるものでもよい。
【0022】
本発明の別の実施形態は、エンドセリンA受容体(ETA)アンタゴニスト、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤、および薬学的担体を含むことを特徴とする医薬組成物を対象とする。
【0023】
本発明の別の実施形態は、即放性製剤または徐放性製剤であることを特徴とする医薬組成物を提供し、ETAアンタゴニストが徐放性製剤であるか、PDE5阻害剤が徐放性製剤であるか、あるいは、両方が徐放性製剤である。両方とも徐放性製剤である場合、上記ETAアンタゴニストおよび上記PDE5阻害剤が異なった速度で放出されるものでもよい。
【0024】
さらに別の実施形態は、ETAアンタゴニスト、PDE5阻害剤、またはそれら両方の副作用または毒性を低減する方法を提供し、この方法は、ETAアンタゴニストおよびPDE5阻害剤を投与するステップを含み、状態を治療するのに必要なPDE5の量が減少または調節されていることを特徴とする。
【0025】
本発明の別の実施形態は、肺高血圧症を治療する方法を対象とし、この方法は、有効量のa)PDE5阻害剤およびb)ETAアンタゴニストを、それを必要とする対象に投与するステップを含み、a)およびb)の投与が同時に行われるか、あるいはいずれかの順序で順次に行われることを特徴とする。
【0026】
本発明の別の実施形態は、哺乳動物における血管の状態の治療を実現または促進する方法を対象とし、この方法は、治療有効量のETAアンタゴニストおよびPDE5阻害剤を投与するステップを含むことを特徴とする。
【0027】
本発明の別の実施形態は、肺動脈高血圧を治療する方法を対象とし、この方法は、治療有効量のETAアンタゴニストおよびPDE5阻害剤を、それを必要とする対象に投与するステップを含むことを特徴とする。
【0028】
本発明の別の実施形態は、血管の状態を治療する方法を対象とし、この方法は、ETAアンタゴニストおよびPDE5阻害剤の組合せを、それを必要とする対象に治療有効量投与するステップを含むことを特徴とする。
【0029】
本願明細書に記載の説明される実施形態のそれぞれに関して、上記ETAアンタゴニストは、エンドセリンA受容体に選択的な、本明細書に記載の化合物のいずれか1つから選択されたものでもよく、あるいは本明細書に引用した参考文献に従って決定することもでき、PDE5阻害剤は、PDE5に選択的な、本明細書に記載の化合物のいずれか1つから選択されたものでもよく、あるいは本明細書に引用した参考文献に従って決定することもできる。記載した実施形態それぞれの一例は、ETAアンタゴニストとして、シタクセンタン(sitaxsentan)を含み、PDE5阻害剤として、シルデナフィル、タダラフィル(CIALIS)、バルデナフィル(LEVITRA)、またはダサンタフィル(dasantafil)を含む。本願明細書に記載の説明される実施形態それぞれの別の例では、上記の組合せは、シタクセンタンおよびシルデナフィルを含む。本願明細書に記載の説明される実施形態それぞれのさらに別の例では、上記の組合せは、シタクセンタンおよびタダラフィルを含む。
【0030】
本発明の実施形態は、勃起不全、アテローム性動脈硬化、腎不全症、高血圧症、鬱血性心不全、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、間質性肺疾患、閉塞性睡眠時呼吸困難、閉塞性睡眠無呼吸、および抵抗性高血圧などの、血管の状態を治療するのに有用である。
【0031】
本発明の実施形態は、高血圧症、肺高血圧症、虚血後の腎不全、血管れん縮、脳虚血および心虚血、心筋梗塞、内毒素性ショック、良性の前立腺肥大、糖尿病の合併症、片頭痛、骨吸収、ならびに、レイノー病および喘息を含めた炎症性疾患などの、心血管障害を治療するのにも有用である。一実施形態では、本発明に従って治療される状態は、肺動脈高血圧症である。
【0032】
本発明の方法には、ETAアンタゴニストおよびPDE5阻害剤の両方を含む二薬剤錠剤が含まれる。しかし、それら2つの薬剤は、必要とされる治療量を与えるのにそれぞれを実質的に同時または順次に投与できるように、別々の製剤として提供してもよい。
【0033】
対象群の中での改善は、当業者に知られている様々な方法で測定できる。
【0034】
これより、本発明を、添付図面に示すその例示的実施形態を参照してより詳細に説明する。以下では本発明を例示的実施形態に関して説明するが、本発明はそれらに限定されないことを理解するべきである。当業者ならば、本明細書の開示に照らして、本発明に包含される追加の実施態様、改変、および実施形態、ならびに重要でありうる他の使用分野を認識するであろう。
【0035】
本発明のより完全な理解を容易にするため、添付図面に関して下記に言及する。下記に示す図は、本発明を限定するものとして理解するべきではなく、例示のみを意図したものである。
【0036】
【特許文献1】国際公開第94/27979号パンフレット
【特許文献2】米国特許第5382569号明細書
【特許文献3】米国特許第5250534号明細書
【特許文献4】米国特許第6469012号明細書
【特許文献5】米国特許第5114918号明細書
【特許文献6】欧州特許第0436189号明細書
【特許文献7】米国特許第5352800号明細書
【特許文献8】米国特許第5334598号明細書
【特許文献9】米国特許第5352659号明細書
【特許文献10】米国特許第5248807号明細書
【特許文献11】米国特許第5240910号明細書
【特許文献12】米国特許第5198548号明細書
【特許文献13】米国特許第5187195号明細書
【特許文献14】米国特許第5082838号明細書
【特許文献15】欧州特許出願公開第0569193号明細書
【特許文献16】欧州特許出願公開第0558258号明細書
【特許文献17】カナダ特許出願第2067288号明細書
【特許文献18】カナダ特許出願第2071193号明細書
【特許文献19】米国特許第5208243号明細書
【特許文献20】米国特許第5270313号明細書
【特許文献21】欧州特許出願公開第0496452号明細書
【特許文献22】国際公開第93/08799号パンフレット
【特許文献23】国際公開第96/11914号パンフレット
【特許文献24】国際公開第95/26716号パンフレット
【特許文献25】米国特許出願公開第20030092757号明細書
【特許文献26】米国特許出願公開第20030040534号明細書
【特許文献27】米国特許第5591761号明細書
【特許文献28】米国特許第5594021号明細書
【特許文献29】米国特許第5962490号明細書
【特許文献30】米国特許第6248767号明細書
【特許文献31】米国特許第6458805号明細書
【特許文献32】米国特許第5783705号明細書
【特許文献33】米国特許第5686478号明細書
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【非特許文献48】Cheng et al., Ann. Reports in Medicinal Chemistry, Section II, Ch. 7, Endothelin Inhibitors, 61-70, (A. M. Doherty, ed., Academic Press, Inc. 1997)
【非特許文献49】Wu-Wong, Endothelin Antagonists: Past, Present and Future, Current Opinion in Cardiovascular, Pulmonary & Renal Investigational Drugs, 1 (3): 346-351 (1999)
【非特許文献50】Krum, H. et al., Role of endothelin in hypertension and therapeutic potential of endothelin blockade, Cardiovascular, Pulmonary & Renal Investigational Drugs, 1 (3): 316-329 (1999)
【非特許文献51】Remington: The Science and Practice of Pharmacy (20th ed. ), ed. A. R. Gennaro, Lippincott Williams & Wilkins, 2000
【非特許文献52】Encyclopedia of Pharmaceutical Technology, eds. J. Swarbrick and J. C. Boylan, 1988-1999, Marcel Dekker, New York
【発明を実施するための最良の形態】
【0037】
本明細書に引用されたすべての刊行物、特許、および特許出願を、個々の刊行物、特許、または特許出願のそれぞれを参照により援用すると明確かつ個別に示したのと同じように、参照により本明細書に援用する。理解を明快なものとするために、例示によって本発明をある程度詳細に説明するが、本発明の教示に照らして、添付の特許請求の範囲の趣旨からまたは範囲から逸脱せずに、本発明にある種の変更および修正を加えることができることは、当業者には容易に明らかとなろう。
【0038】
「肺高血圧症」は、肺における高血圧の特定の状態であり、肺における動脈高血圧症、毛細管高血圧症、または静脈高血圧症に関連している。「肺高血圧症」という用語は、肺動脈高血圧症(FAH)に関連している。さらに、肺動脈高血圧は、これらに限定されるものではないが、1次性動脈高血圧症と、慢性気管支炎、肺気腫、脊柱後側弯、および慢性高山病のような状態などの肺疾患の2次疾患として発症する肺動脈高血圧との両方に関連していることが理解されよう。肺高血圧症は、右室肥大、右室不全、および死亡に至る可能性のある重度の医学的状態である。本明細書で使用される場合、「右心不全」という用語は、肺性心および心臓の先天性異常などの障害に関するものである。肺性心は、慢性気管支炎および肺気腫などのある種の肺疾患の2次疾患として発症することが多い状態であると理解されよう。心臓の先天性異常には、心房中隔欠損症、ファロー四徴症、心室中隔欠損症、および動脈管開存症などの障害が含まれる。
【0039】
(ホスホジエステラーゼ阻害剤)
最近、ホスホジエステラーゼ5型(PDE5)阻害剤の1つであるシルデナフィル(REVATIO)が、20mg用量(TID)でのPAH治療に承認された。PDE5は、肺血管系における主要なホスホジエステラーゼであり、これを阻害すると、cGMPが高レベルに維持され、それによって、内因性一酸化窒素による血管拡張作用が促進される(例えば、非特許文献5参照)。
【0040】
しかし、シルデナフィルなど、PDE5阻害剤にはいくつかの有害作用がある。例えば、シルデナフィル(VIAGRA)を勃起不全に日用量25〜100mgで間欠使用することによって、頭痛、消化不良、および視力障害が生じている。それによる最も重大な影響は、狭心症治療に硝酸を服用している患者における重度で、ときには致死的な低血圧である(例えば、非特許文献6参照)。PAHを治療するためにREVATIOを使用する際にも、副作用がある。したがって、PDE5阻害剤をETAアンタゴニストと併用して、相補治療を処置し、投与量および/または、PDE5阻害剤を用いた処置に関連した副作用を低減させるのが有益であろう。
【0041】
記載されている実施形態のそれぞれに関して、有用なホスホジエステラーゼ5型阻害剤には、例えば、バルデナフィル(LEVITRA)、タダラフィル(CIALIS)、ザプリナスト、MBCQ、MY−5445、ジピリダモール、フロイル、およびベンゾフロイルピロロキノロン、2−(2−メチルピリジン−4−イル)メチル−4−(3,4,5−トリメトキシフェン−イル)−8−(ピリミジン−2−イル)メトキシ−1,2−ジヒドロ−1−オキソ−2,7−ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル塩酸塩(T−0156)およびT−1032(メチル2−(4−アミノフェニル)−1,2−ジヒドロ−1−オキソ−7−(2−ピリジルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−3−イソキノリンカルボン酸硫酸塩)、ならびにシルデナフィルが含まれている。例として言及できるPDE5阻害剤には、RX−RA−69、SCH−51866、KT−734、ベスナリノン、ザプリナスト、SKF−96231、ER−21355、BF/GP−385、およびNM−702がある。さらに他のPDE5阻害剤およびそれらの構造も記載されている(例えば、特許文献3および4参照)。本発明の一実施形態では、異性体(例えば、分離されたエナンチオマーまたはラセミ混合物)、代謝産物、同質異像体、塩、およびこれらの複合体など、他の形態のPDE5阻害剤も使用できる。
【0042】
一実施形態では、前述のPDE5阻害剤の混合物が使用される。別の実施形態では、上記PDE5阻害剤はタダラフィルである。さらに別の実施形態では、上記PDE5阻害剤はシルデナフィルである。クエン酸シルデナフィルは、化学的には、クエン酸1−[[3−(6,7−ジヒドロ−1−メチル−7−オキソ−3−プロピル−1H−ピラゾロ[4,3−d]ピリミジン−5−イル)−4−エトキシフェニル]スルホニル]−4−メチルピペラジンと命名され、以下の構造式を有する。
【0043】
【化1】

【0044】
(エンドセリン受容体アンタゴニスト)
エンドセリンは特定の疾患状態と関連しており、多数の生理作用と関連付けられているので、エンドセリン受容体相互作用および血管収縮剤活性など、エンドセリン関連の活性に干渉し、あるいはそれを妨害できる化合物は興味深い。エンドセリン受容体アンタゴニストである化合物がいくつか同定されている。例えば、BE−18257Bと命名された、ストレプトミセス−ミサキエンシス(Streptomyces misakiensis)の発酵産物がETAアンタゴニストとして同定されている。BE−18257Bは、シクロペンタペプチド(シクロ−(D−Glu−L−Ala−allo−D−Ile−L−Leu−D−Trp))であり、心血管組織における125I標識エンドセリン1の結合を濃度依存的に阻害する(IC50は大動脈平滑筋で1.4μM、脳室膜で0.8μM、そして培養大動脈平滑筋細胞で0.5μMである)が、ETBが支配的な組織の受容体への結合は、最大100μMの濃度まで阻害しない。BQ−123(シクロ(D−Asp−Pro−D−Val−Leu−D−Trp))など、BE−18257Bに関連したシクロペンタペプチドが合成されており、これもETAアンタゴニストであることが示されている(例えば、Ishikawa et al.の特許文献5およびBanyu Pharmacuetical Co.,Ltdの特許文献6(1991年10月7日)参照)。これらの環状ペプチドによる、エンドセリン特異的受容体へのエンドセリン1の結合の阻害を測定した研究によって、これらの環状ペプチドが選択的にETAに結合することが示された。他のペプチド性および非ペプチド性ETAアンタゴニストも同定されている(例えば、特許文献7〜14参照)。これらには、他の環状ペプチド、アシルトリペプチド、ヘキサペプチド類似体、ある種のアントラキノン誘導体、インダンカルボン酸、ある種のN−ピリミジニルベンゼンスルホンアミド、ある種のベンゼンスルホンアミド、およびある種のナフタリンスルホンアミドが含まれる(例えば、非特許文献27〜29、Ishikawa et al.の特許文献5、特許文献15および16、Banyu Pharmacuetical Co.,Ltdの特許文献6(1991年10月7日)、特許文献17〜20、非特許文献30〜34、特許文献21、非特許文献35、特許文献22、および非特許文献36〜37参照)。概して、同定された化合物は、in vitroアッセイにおいて、約50〜100mMオーダー以下の濃度のETAアンタゴニスト活性を有する。そのような化合物のいくつかは、in vivo動物モデルでも活性を有することが示されている。
【0045】
エンドセリンアンタゴニスト活性またはアゴニスト活性を評価する標準的なin vitroアッセイにおいて、IC50またはEC50濃度が10-4mMオーダー以下である活性を示す化合物は、薬理学的有用性を有すると認識されている(例えば、特許文献7〜14参照)。この活性によって、そのような化合物は、末梢循環不全などの高血圧症、狭心症などの心臓病、心筋障害、動脈硬化、心筋梗塞、肺高血圧症、血管攣縮、血管再狭窄、レイノー疾患、脳動脈攣縮、脳虚血などの卒中発作、クモ膜下出血後の遅発性脳血管痙攣、喘息、気管支収縮、腎不全症、特に虚血後腎不全、急性腎不全などのサイクロスポリン腎毒性、大腸カタル、ならびに他の炎症性疾患、エンドセリンに起因もしくは関連する内毒素性ショック、およびエンドセリンに結びつけられている他の疾患の治療に有用であると考えられている。
【0046】
したがって、エンドセリン受容体アンタゴニスト活性を示す化合物は、虚血に起因する疾患、例えば、脳の梗塞、狭心症、心筋梗塞、および腎不全に対する予防効果または治療効果を有する。
【0047】
このように、エンドセリンが多数の疾患と関連していることに照らして、エンドセリンは、これらの病態生理学的状態において重要な役割を演じていると考えられている(例えば、非特許文献26、および38〜41参照)。
【0048】
したがって、エンドセリンがその受容体に結合するのを特異的に阻害する物質(すなわちアンタゴニスト)は、エンドセリンの様々な上記の生理作用を予防し、したがって貴重な薬物であるにちがいない。例えば、本発明のエンドセリン受容体アンタゴニストは、高血圧症、肺高血圧症、心筋梗塞、狭心症、急性腎不全、腎臓機能不全、脳血管痙攣、脳虚血、クモ膜下出血、片頭痛、喘息、アテローム硬化症、内毒素性ショック、内毒素誘発性の臓器障害、血管内凝固、血管形成術後の再狭窄、良性前立腺肥大、虚血または中毒に起因する高血圧症または腎不全の治療に使用できる(例えば、特許文献23および24参照)。
【0049】
2つのタイプの哺乳類エンドセリン(ET)受容体、すなわちETAおよびETBが特徴付けられている。ETAは、ET−1およびET−2に選択的であり、一方、ETBは、ET−1、ET−2、およびET−3に等しい親和性で結合する。ETAは血管収縮および細胞増殖を媒介し、一方、ETBは、ET−1のクリアランス、内皮細胞の生き残り、一酸化窒素およびプロスタサイクリンの放出、ならびにECE−1の阻害に重要である(例えば、非特許文献42および43参照)。
【0050】
ET分野における大きな前進が、エンドセリン受容体アンタゴニストの開発でなされた。2つのペプチド性ETA選択的アンタゴニスト、BQ−123およびFR139317は、ET媒介性の病態生理の研究における重要な前進である。ペプチド性化合物に続いて、Ro47−0203、SB217242、アトラセンタンなど、薬物動態の改善された多数の非ペプチドアンタゴニストが開発された。
【0051】
エンドセリン受容体アンタゴニストの例には、BE1827、BQ−610、ABT627(図1参照)、ABT546(図2参照)、Ro61−1790、ZD1611、BMS−182874、BMS−193884、シタクセンタン(TBC11251)(図3参照)、EMD122946、J−104132、LU127043、LU135252、SB234551、SB247083、およびこれらの誘導体などが含まれるが、これらに限定されない(例えば、非特許文献44参照)。他のエテンスルホンアミド誘導体も開示されている(例えば、非特許文献45参照)。エテンスルアミド誘導体は、エンドセリン受容体アンタゴニストであり、本発明の方法で有用である。N−オキサゾールチオフェンスルホンアミド(図4参照)も記載されている(例えば、非特許文献46参照)。他のETAアンタゴニストも記載されている(例えば、特許文献25および26参照)。本発明の一実施形態では、異性体(例えば、分離されたエナンチオマーまたはラセミ混合物)、代謝産物、同質異像体、塩、およびこれらの複合体など、他の形態のETAアンタゴニストも使用できる。
【0052】
一実施形態では、上記ETAアンタゴニストはシタクセンタンである。シタクセンタンはTHELINという商標で販売されている。シタクセンタンを含む組成物、シタクセンタンを使用する方法、およびシタクセンタンを含む医薬組成物が開示されている(例えば、特許文献27〜31参照)。シタクセンタンを作る方法も開示されている(例えば、特許文献32参照)。
【0053】
THELIN(シタクセンタンナトリウム;TBC11251Na)は、肺動脈高血圧症(PAH)を治療するために開発された経口活性を有するエンドセリンA受容体アンタゴニストである。ET−1は、主として血管内皮細胞によって産生され、心血管系内に存在する支配的なアイソフォームであり、増殖促進および繊維化促進作用がある強力な内因性血管収縮因子である。ET−1は、レニン−アンジオテンシン−アルドステロンおよび交感神経系と共に、塩および水の恒常性に影響を与える。実験動物およびPAH患者におけるET−1の1次的な生理学作用は、血管平滑筋の増殖および肥大による血管リモデリングを伴った、肺血管系の持続的な血管収縮であることを示す多くの実験結果がある。
【0054】
心血管系内では、血管平滑筋細胞および心臓筋細胞へのET−1の作用は、主としてETAを介して媒介されると考えられている。ETAの活性化は、血管平滑筋の持続的血管収縮、血管平滑筋細胞の刺激、増殖、および肥大、ならびに心臓細胞の陽性変力活性および肥大を促進する。対照的に、ETBは、主として内皮細胞、腎臓、および中枢神経組織に存在し、ET−1のクリアランス、特に肺および腎臓の血管床におけるET−1のクリアランスに関与している。内皮ETBは、一酸化窒素およびプロスタサイクリンなどの平滑筋弛緩因子の放出による血管拡張反応を促進する。ET−1の放出を促進する重要な刺激には、低酸素、虚血、カテコールアミン、およびアンジオテンシンIIが含まれるが、これらに限定されない。THELINは、ETAに対する高い特異性を有し、ETAのアンタゴニストとしての選択性が、ETBと比較して約6500倍高い。
【0055】
本発明によるETAアンタゴニストに選択的な化合物は、概して、受容体サブタイプの1つのみ、例えばETAのみに作用する場合、増加分500で1000を超える数、すなわち、1500、2000、2500など、1000超など、少なくとも100の相対的受容体結合比を示すべきである。
【0056】
ボセンタンは、PAH治療用に承認されている唯一のエンドセリン受容体アンタゴニストであるが、in vitroでの受容体親和性比に基づくと、20のETA:ETB選択性比を有し、非選択的アンタゴニストとして分類されている。対照的に、シタクセンタンは、6500のETA:ETB選択性比を有し、ETAに選択的なアンタゴニストとして分類されている。したがって、本発明の目的では、ボセンタンも、他のいかなる非特異的エンドセリン受容体アンタゴニストも、ETA特異的アンタゴニストを表さないであろう。
【0057】
THELINは、エンドセリンの作用を遮断する小分子であり、血管収縮および血管壁の平滑筋成長の強力な媒介因子である。エンドセリン受容体アンタゴニストは、血管狭窄の調節が重要な様々な疾患の治療に有効である。THELINの副作用には、肝機能障害(ALTおよびASTの増大)、頭痛、水腫、便秘、鼻閉、および潮紅が含まれる。
【0058】
ETAはエンドセリン1に選択的なようなので、有用でありうる化合物の例には、開示されている化合物(例えば、特許文献33参照)および表1に記載の化合物が含まれる。
【0059】
【表1】

【0060】
「ETAアンタゴニスト」は、ETAに結合し、かつ、ET−1またはこの受容体の他のアゴニストの機能を遮断または阻害するいかなる天然化合物も、あるいは合成化合物も意味する。ETAアンタゴニストは、ペプチド性化合物でも、非ペプチド性化合物でもよい。ETAアンタゴニストは、ETAに対して<1μMのKdを有することが好ましく、より好ましくは<100nM、最も好ましくは<10nM、あるいは<1nMのKdさえ有する。ETAアンタゴニストには、例えば、スルフィソキサゾール、TBC−1 1251、BQ−123、BQ−610、BQ−745、PD156707、PD151242、TTA−386、JKC−301、JKC−302、BE−18257A、BE−18257B、A−1277722、LU135252、TAK−044、SB209670、SB217242、FR139317、およびABT−627が含まれる(表2および非特許文献48参照)。
【0061】
【表2】

【0062】
ET受容体アンタゴニストのいくつかの例は臨床開発を受けた(表3を参照)。
【0063】
【表3】

【0064】
高血圧症におけるエンドセリンの役割に関する考察が非特許文献50に記載されている。ボセンタンと比較したシタクセンタンの生化学的および薬理学的特性のいくつかを表4に要約する。
【0065】
【表4】

【0066】
記載されている実施形態のそれぞれに関して、有用なETAアンタゴニストが上述されている。
【0067】
(併用療法)
PAHの治療にシルデナフィルを用いることの、本質的な欠点は、高い用量を1日あたり3回必要とすることである(定期的に15mgから75mgという勃起不全用の用量よりはるかに高い)。現在、PAHにおける使用に承認されている唯一のエンドセリン受容体アンタゴニストはボセンタンであるが、これは、A受容体およびB受容体の両方を遮断する非選択的化合物である。非選択的ET受容体の使用は、複数の経路を妨害するが、特異的ETAアンタゴニストの使用は、複数の経路(PDEおよび/またはプロスタサイクリンおよび/またはETA)に相補的に作用して、より優れた効力および/もしくは投与計画、ならびに/または副作用の低減をもたらすであろう。
【0068】
例えば、ETAは血管収縮を引き起こし、ETBは血管拡張を引き起こす。ボセンタンは、ETA受容体およびETB受容体の両方を遮断することによって作用する。シタクセンタンは、ETAのみを遮断し、ETBを無損傷のままにする。ETBが血管拡張を引き起こす機構は、亜酸化窒素およびプロスタサイクリンの産生の刺激を介したものである。次に、亜酸化窒素(NO)がグアニルシクラーゼを活性化し、それがcGMPレベルを上昇させる。cGMPが、血管を弛緩させる原因である。PDE5はcGMPを分解するのに作用し、したがって、PDE5阻害剤もcGMPレベルを上昇させて血管拡張を引き起こす。したがって、両者を併用した場合、ETB受容体を介してcGMPを増大させ、その分解を阻止することによって、血管拡張の増大と、両方の薬剤のより高い効力とが導かれる。非選択的アンタゴニストは、ETBによって刺激されたcGMP産生を遮断するので、同程度に効果的には機能しないであろう。加えて、最近の研究において、非選択的アンタゴニストであるボセンタンのシルデナフィルとの併用が試験されたが、この研究は、薬物動態学的な薬物干渉問題のために中止された。
【0069】
したがって、本発明は、心臓ストレスまたはPAHを抑制および予防する際のETA特異的拮抗薬治療と併せたPDE5阻害剤の使用に関する。本発明の方法および製剤は、動物のPAHを治療および予防する新規の治療法を提供する。「治療」または「治療する」は、1次部位および2次部位において休止(または静止)状態にあるPAHを含めた心臓の状態の維持も包含するものとする。さらに、「治療」または「治療する」によって、治療様式の効力を増大させること、ならびに治療様式に対する抵抗性を予防または低減させることを意味する。「治療」または「治療する」は、再発の防止、疼痛、不快感、および身体障害(病的状態)の軽減、ならびにその状態に関連したクオリティオブライフの向上も包含するものとする。「効力を増大させる」によって、ETAアンタゴニストおよび/もしくはPDE5阻害剤の能力および/もしくは活性の増大、ならびに/または必要用量の低減が含まれるものとする。治療を受ける患者の状態は、当技術分野で知られている標準的方法によって評価することができる。例えば、PAHを患っている患者は、治療時間の前後に6分間の運動の歩行試験を受けることがある。
【0070】
「治療上有効な用量」は、期待されている効果を達成する結果となる活性物質の量を指す。そのような活性物質の毒性および治療効力は、細胞培養または実験動物における標準的な薬学手法によって、例えば、LD50(集団の50%にとって致死的な用量)およびED50(集団の50%にとって治療上有効な用量)を測定することによって決定できる。毒性効果と治療効果との間の用量比が治療係数であり、LD50とED50との間の比率として計算される。高い治療係数が好ましい。そのようなデータから得られたデータは、ヒトで使用するための用量の範囲を計算する際に使用することができる。活性物質の用量は、毒性がまったく伴わないかほとんど伴わない、ED50を含めた循環濃度の範囲にあることが好ましい。用量は、使用される剤形および投与経路によって、この範囲内で変化しうる。
【0071】
正確な処方剤、投与経路、および用量は、個々の医師が患者の状態に照らして決定する。投与量および投与間隔は、治療効果または予防効果を維持するのに十分なレベルの活性物質が与えられるように個々に調整することができる。
【0072】
投与される医薬組成物の量は、治療される対象、対象の体重、疾患の重度、投与方法、および処方を行う医師の判断に応じて異なる。本発明の一実施形態では、あるものは1日2回投与を受け、一方、他のものは1日1回または3回投与を受けるように、ETAアンタゴニストまたはPDE5阻害剤のいずれかを別々の日用量で順次に投与することが企図されている。同様に、順次にというのは、治療効果を実現するための必要に応じて、ある薬剤を隔日投与し、もう一方の薬剤を毎日投与または1日複数回投与するなどの変形形態も含むことが意図されている。併用療法は、PDE5阻害剤およびETAアンタゴニストを、用量投与計画の説明書と共に包装された別々の剤形で提供することによって行ってもよい。
【0073】
PDE5阻害剤およびETAアンタゴニスト、または薬学的に許容されるそれらの塩は、肺高血圧症などの障害の治療および/または予防用の経口単位用量など、単位用量の組成物の形態で投与されることが極めて好ましい。
【0074】
PDE5阻害剤の一日の用量は、50mgから250mgの範囲であろう。これは、治療に有用な範囲が包含されるように、5mg増加分で調整することができる。例えば、その範囲は、50mgから225mg、50mgから215mg、50mgから200mgなど、または55mgから250mg、60mgから250mg、65mgから250mg、65mgから215mg、70mgから210mgなど、およびこれらの変形でありうる。ETAアンタゴニストの一日の用量は、5mgから125mgの範囲であろう。これは、治療に有用な範囲が包含されるように、5mg増加分で調整することができる。例えば、その範囲は、10mgから125mg、15mgから125mg、20mgから125mgなど、または5mgから120mg、5mgから115mg、5mgから110mg、または25mgから90mg、30mgから85mgなど、およびこれらの変形でありうる。PDE5阻害剤対、ETAアンタゴニストの比率は、5:1から2:1の範囲が好ましい。
【0075】
(医薬組成物の処方)
本発明のいかなる化合物の投与も、その治療に有効な化合物濃度を与える任意の適切な手段によって行うことができる。任意の適当な担体物質中に任意の適当な量の化合物を含有させることができる。化合物は、通常、組成物の全重量の1〜95重量%の量で存在する。組成物は、経口経路に適した剤形で提供することができる。したがって、組成物の形態は、例えば、錠剤、カプセル剤、丸剤、粉末薬、顆粒、懸濁液、エマルジョン、溶液、またはゲルでありうる。医薬組成物は従来の薬務に従って処方できる(例えば、非特許文献51および52参照)。
【0076】
本発明による医薬組成物は、投与の際に実質的に直ちに、あるいは投与後の任意の所定の時点、または任意の所定の時間が過ぎたときに、活性化合物(薬剤)が放出されるように処方することができる。後者のタイプの組成物は、通常、徐放性製剤と呼ばれ、これらには、(i)長時間にわたって体内における薬物の濃度を実質的に一定にする製剤と、(ii)所定の遅延時間の後に、長時間にわたって体内における薬物の濃度を実質的に一定にする製剤と、(iii)所定の時間の間、体内における薬物レベルを比較的一定な有効レベルに維持し、同時に、活性薬剤物質の血漿中レベルの変動に関連した望ましくない副作用を最小限にすることによって、薬物作用を維持する製剤と、(iv)例えば、徐放性組成物を疾患組織もしくは疾患臓器内またはそれに隣接するように空間的に配置することにより薬物作用を局在化する製剤と、(v)薬物を特定の標的細胞型に送達する担体または化学的誘導体を用いることによって、薬物作用を標的に向ける製剤とが含まれる。徐放性製剤は、少なくとも2つの活性成分を、異なった速度で放出するものでもよい。加えて、徐放性製剤は、少なくとも1つの活性成分を、12時間または24時間など、様々な長さの時間にわたって放出するものでもよい。本発明の一実施形態では、徐放性製剤は、少なくとも1つの活性成分を24時間にわたって放出するものである。
【0077】
本発明の他の実施形態には、即放性製剤および徐放性製剤を含む医薬組成物であって、即放性製剤がETAアンタゴニスト、PDES阻害剤、またはこれら両方を含み、徐放性製剤は、ETAアンタゴニスト、PDE5阻害剤、またはこれら両方を含むことを特徴とする医薬組成物が含まれる。本発明の一実施形態では、即放性製剤はシタクセンタンを含み、徐放性製剤はシルデナフィルを含む。
【0078】
徐放性製剤形態にある化合物の投与は、併用される化合物が、(i)狭い治療係数を有する(すなわち、有害な副作用または毒性反応に導く血漿中濃度と、治療効果に導く血漿中濃度との相違が小さい)場合、(ii)胃腸管で、狭い吸収ウィンドウを有する場合、または、(iii)非常に短い生物学的半減期を有し、そのため、治療レベルの血漿中レベルを維持するために、1日中頻繁な投与が必要である場合に特に好ましい。
【0079】
問題の化合物の放出速度が代謝速度を上回るような徐放性を得るために、多数のストラテジーのうちの任意のものを実施することができる。一例では、例えば様々なタイプの徐放性組成物およびコーティングを含めた、様々な製剤パラメータおよび成分を適切に選択することによって徐放性を得る。したがって、薬物は、投与された際に、調節された様式で薬物を放出する適当な賦形剤を用いて医薬組成物に処方される。その例には、一単位または多単位の錠剤組成物またはカプセル剤組成物、油剤、懸濁液、エマルジョン、マイクロカプセル、微細球、ナノ粒子、パッチ、およびリポソームが含まれる。
【0080】
(経口投与用固体剤形)
経口投与用製剤には、薬学的に許容される無毒性賦形剤と混合された活性成分を含有する錠剤が含まれる。これらの賦形剤は、例えば、不活性希釈剤もしくは充填剤(例えば、ショ糖、ソルビトール、糖、マンニトール、微晶性セルロース、ジャガイモデンプンを含めたデンプン、炭酸カルシウム、塩化ナトリウム、ラクトース、リン酸カルシウム、硫酸カルシウム、またはリン酸ナトリウム);顆粒化剤および崩壊剤(例えば、微晶性セルロースを含めたセルロース誘導体、ジャガイモデンプンを含めたデンプン、クロスカルメローセナトリウム、アルギン酸塩、またはアルギン酸);結合剤(例えば、ショ糖、グルコース、ソルビトール、アカシア、アルギン酸、アルギン酸ナトリウム、ゼラチン、デンプン、アルファー化デンプン、微晶性セルロース、ケイ酸アルミニウムマグネシウム、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、エチルセルロース、ポリビニルピロリドン、またはポリエチレングリコール);ならびに潤滑薬剤、滑沢剤、および抗接着剤(例えば、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸亜鉛、ステアリン酸、シリカ、硬化植物油、またはタルク)であってよい。薬学的に許容される他の賦形剤は、着色剤、風味剤、可塑剤、湿潤剤、緩衝剤、および同様のものでありうる。
【0081】
錠剤は、コーティングされていないものでもよく、あるいは知られている技法によってコーティングされているものでもよい。任意選択で、コーティングは、胃腸管における崩壊および吸収を遅延させて、それによってより長時間にわたって持続的な作用を提供するものでもよい。コーティングは、(例えば徐放性製剤を得るために)所定のパターンで活性薬剤物質を放出するように適合させたものでもよく、あるいは、胃を通過した後まで活性薬剤物質を放出しないように適合させたもの(腸溶コーティング)でもよい。コーティングは、糖衣、フィルムコーティング(例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、メチルセルロース、メチルヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アクリル酸共重合体、ポリエチレングリコール、および/またはポリビニルピロリドンをベースとしたもの)または腸溶コーティング(例えば、メタクリル酸共重合体、酢酸フタル酸セルロース、フタル酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸コハク酸ヒドロキシプロピルメチルセルロース、酢酸フタル酸ポリビニル、セラック、および/またはエチルセルロースをベースとしたもの)でよい。さらに、例えば、モノステアリン酸グリセリンまたはジステアリン酸グリセリンなどの時間遅延物質も利用できる。
【0082】
固体錠剤組成物は、好ましくない化学変化(例えば活性薬剤物質放出前の化学分解)から組成物を保護するように適合されたコーティングを含んだものでもよい。コーティングは、非特許文献52に記載されているものと同様の方法で固体剤形に添加できる。
【0083】
複数の薬剤を同時に投与する場合、それらの薬剤を共に錠剤中に混合してもよく、あるいは仕切りを設けてもよい。一例では、第1の薬剤は錠剤内に含有されており、第2の薬剤は外側にあり、そのため、第1の薬剤が放出される前に、第2の薬剤のかなりの部分が放出される。
【0084】
経口投与用の製剤は、そしゃく錠またはゼラチン硬カプセルとして提供してもよく、その場合は、活性成分が不活性固体希釈剤(例えば、ジャガイモデンプン、ラクトース、微晶性セルロース、炭酸カルシウム、リン酸カルシウム、またはカオリン)と混合され、あるいは軟ゼラチンカプセルとして提供してもよく、その場合は、活性成分が水性溶媒または油性溶媒、例えば落花生油、流動パラフィン、もしくはオリーブ油と混合される。粉末剤もしくは顆粒は、錠剤およびカプセル剤に関して上述した成分を使用し、例えば、撹拌機、流動床装置、または噴霧乾燥装置を用いた従来の方法で調製できる。
【0085】
(徐放性経口投与薬)
経口投与用徐放性組成物は、例えば、活性薬剤物質の溶解および/または拡散を調節することによって、活性薬剤を放出するように構築できる。徐放性製剤は、少なくとも2つの活性成分を異なった速度で放出するものでもよい。
【0086】
溶解または拡散調節性の徐放性は、化合物の錠剤、カプセル剤、ペレット剤、または粒剤の適切なコーティングによって、あるいは化合物を適当な基質に組み入れることによって実現できる。徐放性コーティングには、1つまたは複数の上述のコーティング物質および/または、例えば、セラック、蜜蝋、グリコワックス、キャスターワックス、カルナウバワックス、ステアリルアルコール、モノステアリン酸グリセリン、ジステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセロール、エチルセルロース、アクリル樹脂、DL−ポリ乳酸、酢酸酪酸セルロース、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ビニルピロリドン、ポリエチレン、ポリメタクリレート、メチルメタクリレート、2−ヒドロキシメタクリル酸、メタクリル酸ヒドロゲル、1,3ブチレングリコール、メタクリル酸エチレングリコール、および/またはポリエチレングリコールが含まれうる。徐放性基質製剤では、基質物質に、例えば、水和メチルセルロース、カルナウバワックス、およびステアリルアルコール、カルボポール934、シリコーン、トリステアリン酸グリセリン、メチルアクリレートメチルメタクリレート、ポリ塩化ビニル、ポリエチレン、およびに/またはハロゲン化過フッ化炭化水素も含まれうる。
【0087】
上記の組合せの化合物のうち1つまたは複数を含有する徐放性組成物は、浮遊性錠剤またはカプセル剤(すなわち、経口投与した際に胃の内容物上に特定の時間浮遊している錠剤またはカプセル剤)の形態であってもよい。化合物の浮遊性錠剤は、薬剤の混合物を、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、またはヒドロキシプロピルメチルセルロースなど、20〜75重量%のハイドロコロイドおよび賦形剤と共に顆粒にすることによって調製できる。その後、得られた果粒を圧縮して錠剤にできる。胃液と接触した際に、錠剤は、その表面の周囲に実質的に水不浸透性のゲル障壁を形成する。このゲル障壁の参加によって、密度が1未満に維持され、それによって、錠剤が胃液中で浮遊していることが可能となる。
【0088】
(経口投与用の液体製剤)
水の添加によって水性懸濁液を調製するのに適した粉末薬、分散性粉末薬、または果粒は、経口投与用に好都合な製剤である。懸濁液としての製剤は、分散剤または湿潤剤、懸濁剤、および1つまたは複数の保存剤の混合物中に活性成分を有する。適当な分散剤または湿潤剤は、例えば天然ホスファチド(例えばレシチン、すなわち脂肪酸、長鎖脂肪族アルコール、または脂肪酸に由来する部分エステルとエチレンオキシドとの縮合物)、およびヘキシトールまたは無水ヘキシトール(例えば、ステアリン酸ポリオキシエチレン、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビトール、モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタンなど)である。適当な懸濁剤は、例えば、カルボキシメチルセルロースナトリウム、メチルセルロース、およびアルギン酸ナトリウムなどである。
【0089】
経口液体製剤は、例えば、水性もしくは油性懸濁液、溶液、エマルジョン、シロップ、またはエリキシールの形態のものでもよく、あるいは使用前に水または他の適当な溶媒で再構成させる乾燥産物として提供してもよい。そのような液体製剤は、懸濁剤、例えば、ソルビトール、シロップ、メチルセルロース、ゼラチン、ヒドロキシエチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、ステアリン酸アルミニウムゲル、または硬化食用脂;乳化剤、例えば、レシチン、モノオレイン酸ソルビタン、またはアカシア;非水性溶媒(これには食用油も含まれうる)、例えば、アーモンド油、ヤシ油、グリセリン、プロピレングリコール、またはエチルアルコールのエステルなどの油性エステル;保存剤、例えば、メチルもしくはプロピルp−ヒドロキシ安息香酸またはソルビン酸;そして所望に応じて従来の風味剤または着色剤などの従来の添加物を含有しうる。経口製剤には、腸溶コーティングを有する錠剤または粒剤など、従来の徐放性製剤も含まれる。
【0090】
肺高血圧症の治療および/または予防に使用するための組成物は、気道投与用に、嗅剤すなわち噴霧装置用のエアゾールまたは溶液として、吹入剤用の微細粉末薬として、単独で、あるいはラクトースなどの不活性担体と併せて与えることができる。そのような場合、活性化合物の粒子は、50ミクロン、好ましくは10ミクロン未満、例えば、2ミクロンと5ミクロンとの間など、1ミクロンと5ミクロンとの間の直径を有するものが適している。好ましい吸入用量は、約0.05mgから2mgまでの範囲、例えば、約0.05mgから0.5mgまで、約0.1mgから1mgまで、または約0.5mgから2mgまでの範囲にあろう。
【0091】
一般的に行われているように、組成物には、通常、関係している治療での使用に関する記載または印刷された指示が伴うであろう。
【実施例】
【0092】
下記の実施例は、この開示の例示であり、限定をしない実施形態を示す。
【0093】
(実施例1)
(薬物動態学的薬物相互作用試験)
24人の個体を用いて、薬物動態学的薬物相互作用研究を行った。この研究には、2回の処置期間に24人の正常かつ健康なボランティアの一群が参加した。一つの処置期間中、対象に100mgのシタクセンタンナトリウム(THELIN)を7日間与え、最終日に100mgのシルデナフィル(VIAGRA)を単回投与した。もう一方の処置期間中は、対象にプラセボを7日間与え、第7日目に100mgのバイアグラを与えた。各処置期間には12人の対象を無作為に割り振った。対象は、ある処置期間が終了したときに、もう一方の処置期間に切り換えられた。2人の対象(各群に1人)がこの研究を完遂しなかった。
【0094】
シタクセンタン、シルデナフィル、およびN脱メチル化シルデナフィルの血漿中レベルを測定するために、EDTAを抗凝血物質として使用して、各対象から採血した。試料は、各処置期間に対して1、3、5、および6日目に(デュプリケートで)1回、7日目に15回、そして、8日目に再度1回採血した。試料は、名目上−20℃の温度に38日間を超えない期間保存した。すべての試料に関して、1セットの較正用標準物質、ならびに低濃度、中濃度、および高濃度精度管理試料を用いて分析した。
【0095】
結果は、シルデナフィルの投与によってシタクセンタンのレベルが変化しなかったことを示した。表5は、健康な対象に100mgのシタクセンタンまたはプラセボを7日間毎日投与し、その後、100mgのシルデナフィルを単回経口投与した後における、シタクセンタンの存在下でのシルデナフィルおよびN脱メチル化シルデナフィルの薬物動態学的パラメータを要約したものである。シルデナフィルのCmax(最大濃度)が18%増大し、AUC(血漿中濃度/時間曲線下の領域)は28%増大した。活性代謝物であるN脱メチル化シルデナフィルのレベルにはいかなる影響も観測されなかった。表6は、100mgのシタクセンタンまたはプラセボを7日間、毎日投与した後、健康な対象に、100mgのシルデナフィルを単回経口投与した後におけるシルデナフィルおよびN脱メチル化シルデナフィルの薬物動態学的パラメータに関する統計的比較を示す。
【0096】
図5は、100mg用量のシタクセンタンまたはプラセボを7日間、毎日投与した後、健康な対象に100mg用量のシルデナフィルを単回経口投与した後におけるシルデナフィルの平均血漿中濃度を示し、図6は、100mg用量のシタクセンタンまたはプラセボを7日間、毎日投与した後、健康な対象に、100mg用量のシルデナフィルを単回経口投与した後におけるN脱メチル化シルデナフィルの平均血漿中濃度を示す。
【0097】
これらのデータに基づくと、VIAGRAはTHELINの薬物動態に影響を与えないようである。THELINは、VIAGRAの全体的な薬物動態に対するわずかな影響を示した。これはおそらく、培養肝細胞で観測される予測されるチトクロムP450遺伝子3A4の弱い阻害に基づくものである。
【0098】
【表5】

【0099】
【表6】

【0100】
(実施例2)
(効力試験)
次の状態の1つ、すなわち特発性肺動脈高血圧症(PAH、1次性肺高血圧症とも呼ばれる)、結合組織疾患(CTD)、または先天性心疾患(CHD)に起因する中程度から重度な肺動脈高血圧を患っている60人の対象を含む無作為、二重盲検、プラセボ対照試験を行った。対象は、以下の投与計画の1つに無作為に割り当てた(1処置あたり12人の対象)。
【0101】
(i)プラセボおよびプラセボ、
(ii)プラセボおよび25mgのTHELIN、
(iii)プラセボおよび60mgのシルデナフィル、
(iv)25mgのTHELINおよび60mgのシルデナフィル、ならびに、
(v)50mgのTHELINおよび120mgのシルデナフィル。
【0102】
血漿中のTHELINレベルを測定するため、ならびにシルデナフィルおよびN脱メチル化シルデナフィルの薬物動態および薬動力学を評価するために、血液試料が収集されている。加えて、対象の運動能力の変化を評価するために、6分間の歩行距離試験が行われる。最後に、NYHA/WHP機能クラスおよび臨床的悪化速度を用いてPAHの症候が評価される。
【0103】
群(iv)および(v)におけるTHELINおよびシルデナフィルの併用は、良好な治療効果を維持し、それによって生じる薬物相互作用および処置の副作用は最小限度のものであろう。
【図面の簡単な説明】
【0104】
【図1】ETA選択的阻害剤であるABT−627(アルトラセンタン(artrasentan))を示す図である。
【図2】ETA選択的阻害剤であるABT−546を示す図である。
【図3】シタクセンタンを示す図である。
【図4】N−オキサゾールチオフェンスルホンアミド(非特許文献46に記載)を示す図である。
【図5】健康な対象に、100mg用量のシタクセンタンまたはプラセボを7日間、毎日経口投与した後に、100mgのシルデナフィルを単一用量経口投与した後におけるシルデナフィルの平均血漿濃度を示す図である。
【図6】健康な対象に、100mg用量のシタクセンタンまたはプラセボを7日間毎日経口投与した後に、100mgのシルデナフィルを単一用量経口投与した後における、N脱メチル化シルデナフィルの平均血漿濃度を示す図である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
肺高血圧症を治療する方法であって、有効量のa)ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤およびb)エンドセリンA受容体(ETA)アンタゴニストを、それを必要とする対象に投与するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項2】
ETAアンタゴニスト、PDE5阻害剤、またはそれら両方の副作用または毒性を低減する方法であって、PDE5阻害剤およびETAアンタゴニストを投与するステップを含み、状態を治療するのに必要なPDE5の量が減少または調節されていることを特徴とする方法。
【請求項3】
ETAアンタゴニスト、PDE5阻害剤、またはそれら両方の副作用または毒性を低減する方法であって、PDE5阻害剤およびETAアンタゴニストを投与するステップを含み、状態を治療するのに必要なETAアンタゴニストの量が減少または調節されていることを特徴とする方法。
【請求項4】
哺乳動物における血管の状態の治療を実現または促進させる方法であって、治療有効量のa)ETAアンタゴニストおよびb)PDE5阻害剤を投与するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項5】
血管の状態を治療する方法であって、治療有効量のa)ETAアンタゴニストおよびb)PDE5阻害剤を、それを必要とする対象に投与するステップを含むことを特徴とする方法。
【請求項6】
前記ETAアンタゴニストは、12m、A−127772、A−1277722、ABT−627、BE1827、BE−18257A、BE−18257B、BE−18572A/B、BMS−182874、BMS−193884、BMS−20794、BQ−123、BQ−153、BQ−162、BQ−485、BQ−610、BQ−745、EMD−122946、EMD−94246、FR−139317、J−104121、J−104132、JKC−301、JKC−302、L−744453、L−749329、L−754142、LU127043、LU135252、LU208075、LU302146、PD−147953、PD−151242、PD−155080、PD−156707、RO61−1790、S−0139、SB209670、SB217242、SB−234551、SB−247083、シタクセンタン、スルフィソキサゾール、TA−0115、TA−0201、TAK−044、TBC11251、TTA−386、WS−7338B、ZD1611、およびその混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項7】
前記ホスホジエステラーゼ5阻害剤は、バルデナフィル、タダラフィル、ザプリナスト、ダサンタフィル、MBCQ、MY−5445、ジピリダモール、フロイル、およびベンゾフロイルピロロキノロン、2−(2−メチルピリジン−4−イル)メチル−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−8−(ピリミジン−2−イル)メトキシ−1,2−ジヒドロ−1−オキソ−2,7−ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル塩酸塩、T−1032(メチル2−(4−アミノフェニル)−1,2−ジヒドロ−1−オキソ−7−(2−ピリジルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−3−イソキノリンカルボン酸硫酸塩)、シルデナフィル、RX−RA−69、SCH−51866、KT−734、ベスナリノン、ザプリナスト、SKF−96231、ER−21355、BF/GP−385、NM−702、およびその混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項8】
前記ETAアンタゴニストは、ABT−627、シタクセンタン、スルフィソキサゾール、TBC11251、ZD1611、およびその混合物から選択されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項9】
前記PDE5阻害剤は、バルデナフィル、タダラフィル、ダサンタフィル、ジピリダモール、2−(2−メチルピリジン−4−イル)メチル−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−8−(ピリミジン−2−イル)メトキシ−1,2−ジヒドロ−1−オキソ−2,7−ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル塩酸塩、(メチル2−(4−アミノフェニル)−1,2−ジヒドロ−1−オキソ−7−(2−ピリジルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−3−イソキノリンカルボン酸硫酸塩)、シルデナフィル、ベスナリノン、ザプリナスト、およびその混合物から選択されることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項10】
前記ETAアンタゴニストはシタクセンタンであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項11】
前記PDE5阻害剤はシルデナフィルであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項12】
前記PDE5阻害剤はタダラフィルであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項13】
前記ETAアンタゴニストはシタクセンタンであり、前記PDE5阻害剤はシルデナフィルであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項14】
前記ETAアンタゴニストはシタクセンタンであり、前記PDE5阻害剤はタダラフィルであることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項に記載の方法。
【請求項15】
前記血管の状態は、勃起不全、アテローム性動脈硬化、腎不全症、高血圧症、鬱血性心不全、糖尿病性腎症、糖尿病性神経障害、間質性肺疾患、閉塞性睡眠時呼吸困難、閉塞性睡眠無呼吸、および抵抗性高血圧からなる群から選択されることを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項16】
前記血管の状態は、心臓血管状態であることを特徴とする請求項4または5に記載の方法。
【請求項17】
(a)および(b)を実質的に同時に投与することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項18】
(a)および(b)を順次に投与することを特徴とする請求項15に記載の方法。
【請求項19】
少なくとも1つのエンドセリンA受容体(ETA)アンタゴニストと、ホスホジエステラーゼ5(PDE5)阻害剤とを含むことを特徴とする併用療法。
【請求項20】
前記ETAアンタゴニストは、12m、A−127772、A−1277722、ABT−627、BE1827、BE−18257A、BE−18257B、BE−18572A/B、BMS−182874、BMS−193884、BMS−20794、BQ−123、BQ−153、BQ−162、BQ−485、BQ−610、BQ−745、EMD−122946、EMD−94246、FR−139317、J−104121、J−104132、JKC−301、JKC−302、L−744453、L−749329、L−754142、LU127043、LU135252、LU208075、LU302146、PD−147953、PD−151242、PD−155080、PD−156707、RO61−1790、S−0139、SB209670、SB217242、SB−234551、SB−247083、シタクセンタン、スルフィソキサゾール、TA−0115、TA−0201、TAK−044、TBC11251、TTA−386、WS−7338B、ZD1611、およびその混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の併用療法。
【請求項21】
前記PDE5阻害剤は、バルデナフィル、タダラフィル、ダサンタフィル、MBCQ、MY−5445、ジピリダモール、フロイル、およびベンゾフロイルピロロキノロン、2−(2−メチルピリジン−4−イル)メチル−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−8−(ピリミジン−2−イル)メトキシ−1,2−ジヒドロ−1−オキソ−2,7−ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル塩酸塩、T−1032(メチル2−(4−アミノフェニル)−1,2−ジヒドロ−1−オキソ−7−(2−ピリジルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−3−イソキノリンカルボン酸硫酸塩)、シルデナフィル、RX−RA−69、SCH−51866、KT−734、ベスナリノン、ザプリナスト、SKF−96231、ER−21355、BF/GP−385、NM−702、およびその混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項19に記載の併用療法。
【請求項22】
前記ETAアンタゴニストは、ABT−627、シタクセンタン、スルフィソキサゾール、TBC11251、ZD1611、およびその混合物から選択されることを特徴とする請求項19に記載の併用療法。
【請求項23】
前記PDE5阻害剤は、バルデナフィル、タダラフィル、ダサンタフィル、ジピリダモール、2−(2−メチルピリジン−4−イル)メチル−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−8−(ピリミジン−2−イル)メトキシ−1,2−ジヒドロ−1−オキソ−2,7−ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル塩酸塩、(メチル2−(4−アミノフェニル)−1,2−ジヒドロ−1−オキソ−7−(2−ピリジルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−3−イソキノリンカルボン酸硫酸塩)、シルデナフィル、ベスナリノン、ザプリナスト、およびその混合物から選択されることを特徴とする請求項19に記載の併用療法。
【請求項24】
前記ETAアンタゴニストはシタクセンタンであることを特徴とする請求項19に記載の併用療法。
【請求項25】
前記PDE5阻害剤はシルデナフィルであることを特徴とする請求項19に記載の併用療法。
【請求項26】
前記PDE5阻害剤はタダラフィルであることを特徴とする請求項19に記載の併用療法。
【請求項27】
前記ETAアンタゴニストはシタクセンタンであり、前記PDE5阻害剤はシルデナフィルであることを特徴とする請求項19に記載の併用療法。
【請求項28】
前記ETAアンタゴニストはシタクセンタンであり、前記PDE5阻害剤はタダラフィルであることを特徴とする請求項19に記載の併用療法。
【請求項29】
前記ETAアンタゴニストおよび前記PDE5阻害剤を共にまたは別々に投与することを特徴とする請求項19に記載の併用療法。
【請求項30】
前記併用療法は医薬組成物であることを特徴とする請求項19に記載の併用療法。
【請求項31】
前記医薬組成物は即放性製剤であることを特徴とする請求項19に記載の併用療法。
【請求項32】
前記ETAアンタゴニストが徐放性製剤であるか、前記PDE5阻害剤が徐放性製剤であるか、あるいは、両方が徐放性製剤であることを特徴とする請求項30に記載の併用療法。
【請求項33】
前記ETAアンタゴニストおよび前記PDE5阻害剤は両方とも徐放性製剤であるが、前記ETAアンタゴニストおよび前記PDE5阻害剤は異なった速度で放出されることを特徴とする請求項30に記載の併用療法。
【請求項34】
ETAアンタゴニスト、PDE5阻害剤、および薬学的担体を含むことを特徴とする医薬組成物。
【請求項35】
前記ETAアンタゴニストは、12m、A−127772、A−1277722、ABT−627、BE1827、BE−18257A、BE−18257B、BE−18572A/B、BMS−182874、BMS−193884、BMS−20794、BQ−123、BQ−153、BQ−162、BQ−485、BQ−610、BQ−745、EMD−122946、EMD−94246、FR−139317、J−104121、J−104132、JKC−301、JKC−302、L−744453、L−749329、L−754142、LU127043、LU135252、LU208075、LU302146、PD−147953、PD−151242、PD−155080、PD−156707、RO61−1790、S−0139、SB209670、SB217242、SB−234551、SB−247083、シタクセンタン、スルフィソキサゾール、TA−0115、TA−0201、TAK−044、TBC11251、TTA−386、WS−7338B、ZD1611、およびその混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項36】
前記PDE5阻害剤は、バルデナフィル、タダラフィル、ダサンタフィル、MBCQ、MY−5445、ジピリダモール、フロイル、およびベンゾフロイルピロロキノロン、2−(2−メチルピリジン−4−イル)メチル−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−8−(ピリミジン−2−イル)メトキシ−1,2−ジヒドロ−1−オキソ−2,7−ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル硫酸塩、T−1032(メチル2−(4−アミノフェニル)−1,2−ジヒドロ−1−オキソ−7−(2−ピリジルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−3−イソキノリンカルボン酸硫酸塩)、シルデナフィル、RX−RA−69、SCH−51866、KT−734、ベスナリノン、ザプリナスト、SKF−96231、ER−21355、BF/GP−385、NM−702、およびその混合物からなる群から選択されることを特徴とする請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項37】
前記ETAアンタゴニストは、ABT−627、シタクセンタン、スルフィソキサゾール、TBC11251、ZD1611、およびその混合物から選択されることを特徴とする請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項38】
前記PDE5阻害剤は、バルデナフィル、タダラフィル、ダサンタフィル、ジピリダモール、2−(2−メチルピリジン−4−イル)メチル−4−(3,4,5−トリメトキシフェニル)−8−(ピリミジン−2−イル)メトキシ−1,2−ジヒドロ−1−オキソ−2,7−ナフチリジン−3−カルボン酸メチルエステル塩酸塩、(メチル2−(4−アミノフェニル)−1,2−ジヒドロ−1−オキソ−7−(2−ピリジルメトキシ)−4−(3,4,5−トリメトキシ−フェニル)−3−イソキノリンカルボン酸硫酸塩)、シルデナフィル、ベスナリノン、ザプリナスト、およびその混合物から選択されることを特徴とする請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項39】
前記ETAアンタゴニストはシタクセンタンであることを特徴とする請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項40】
前記PDE5阻害剤はシルデナフィルであることを特徴とする請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項41】
前記PDE5阻害剤はタダラフィルであることを特徴とする請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項42】
前記ETAアンタゴニストはシタクセンタンであり、前記PDE5阻害剤はシルデナフィルであることを特徴とする請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項43】
前記ETAアンタゴニストはシタクセンタンであり、前記PDE5阻害剤はタダラフィルであることを特徴とする請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項44】
前記医薬組成物は即放性製剤であることを特徴とする請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項45】
前記ETAアンタゴニストが徐放性製剤であるか、前記PDE5阻害剤が徐放性製剤であるか、あるいは、両方が徐放性製剤であることを特徴とする請求項34に記載の医薬組成物。
【請求項46】
前記ETAアンタゴニストおよび前記PDE5阻害剤は両方とも徐放性製剤であるが、前記ETAアンタゴニストおよび前記PDE5阻害剤は異なった速度で放出されることを特徴とする請求項34に記載の医薬組成物。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2008−510830(P2008−510830A)
【公表日】平成20年4月10日(2008.4.10)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−530143(P2007−530143)
【出願日】平成17年8月26日(2005.8.26)
【国際出願番号】PCT/US2005/030342
【国際公開番号】WO2006/026395
【国際公開日】平成18年3月9日(2006.3.9)
【出願人】(501178651)エンサイシブ・ファーマシューティカルズ・インコーポレイテッド (6)
【氏名又は名称原語表記】ENCYSIVE PHARMACEUTICALS INC.
【Fターム(参考)】