説明

ホース外被用ゴム組成物

【課題】ハロゲンフリーで、かつ加硫速度と接着性とが両立されていると共に、十分な耐油性、耐候性、耐磨耗性を有し、油圧ホースの外被材料として好適に用いられるホース外被用ゴム組成物を提供することを目的とする。
【解決手段】ゴム成分としてエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とニトリル含量が40%質量以下のアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)とを含有し、前記EPDMの含有割合が25〜40phr、前記NBRの含有割合がゴム成分全体に占めるニトリル含量が10〜20質量%となる割合であり、かつチウラム系加硫促進剤を含有すると共に、有機酸コバルトを1〜5phr含有することを特徴とするホース外被ゴム組成物を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、建築機械、農業機械やその他の産業機械などの油圧ホースの外被として好適に使用されるホース外被用ゴム組成物に関し、更に詳述すると、スチールコードとの接着性に優れ、かつ良好な加硫速度を有するホース外被用ゴム組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
油圧ホースは、パワーショベルやブルドーザー等の建築機械、耕うん機やトラクター等の農業機械、その他油圧ジャッキ、油圧パンチャー、油圧プレス、油圧ベンダーなどの産業機器等の油圧で駆動する機械に使用され、ホース内に充填された作動油の圧力により駆動力を伝えるものである。
【0003】
そのため、この油圧ホースは、高圧に耐え、駆動力(圧力)を正確かつ迅速に伝達することが求められると共に、高い耐油性を有することや、圧力による体積膨張が少ないことが重要となる。また、機械の稼動中には作動油が高温により、更には屋外で振動や屈曲等が常に加わる厳しい環境下で使用されることが多いため、高い耐熱性、耐候性、耐磨耗性等が求められる。
【0004】
このような油圧ホースは、作動油が充填されるゴム製の内面ゴム層(以下、「内管ゴム」という場合もある)、作動油の圧力に耐える為の補強層、外部からの損傷を防止する外面ゴム層(以下、「外被ゴム」という)を内側から順次積層した構造が一般的であり、また上記補強層を複数層設けることもよく行われる。
【0005】
従来、このような油圧ホースの上記外面ゴム層には、耐油性、耐候性、耐磨耗性のバランスからクロロプレンゴムが用いられてきたが、環境問題からこのクロロプレンゴムに代わるハロゲンフリーのゴムが求められている。
【0006】
また、ホース用のゴムは上記補強層に用いられるスチールコード、特に汎用されるブラスめっきワイヤーとの接着性も重要な要素であり、この接着性を向上させる技術としては、例えば特開昭55−12138号公報(特許文献1)や特開昭56−162648号公報(特許文献2)に、有機酸コバルトを配合して硫化銅形成反応を促進させることにより、ゴム組成物の接着性を向上させることが提案されている。しかしながら、上記有機酸コバルトを配合すると加硫遅延が生じて加硫時間の調整が困難になる場合があり、製造条件の制約が多くなって、製造上の取扱性に劣るものとなりやすい。
【0007】
更に、特開昭58−72436号公報(特許文献3)や特開昭59−162648号公報(特許文献4)には、フェノール樹脂や無水マレイン酸変性ポリマーを配合してブラスめっき上の官能基と水素結合を形成することにより、ゴム組成物の接着性を向上させることが提案されている。しかしながら、上記フェノール樹脂を用いる手法では、ゴム硬度が上昇して疲労性の低下を招く可能性があり、また上記変性ポリマーを用いる手法では、変性ポリマーの官能基によって未加硫又は加硫ゴムの表面タッキネスが過度に上昇して作業性やゴム製品の外観に悪影響を及ぼす場合がある。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】特開昭55−12138号公報
【特許文献2】特開昭56−162648号公報
【特許文献3】特開昭58−72436号公報
【特許文献4】特開昭59−162648号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
本発明は上記事情に鑑みなされたもので、加硫速度と接着性とが両立されていると共に、十分な耐油性、耐候性、耐磨耗性を有し、油圧ホースの外被材料として好適に用いられるホース外被用ゴム組成物を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明者は、上記の課題を解決するために鋭意検討した結果、エチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)と特定のニトリル含量を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)とを特定の割合で含有するゴム成分に、チウラム系加硫促進剤及び特定量の有機酸コバルトを配合することにより、良好な加硫速度と接着性とを両立することができ、かつ良好な耐油性、耐候性、耐磨耗性が得られることを見い出し、本発明を完成した。
【0011】
従って、本発明は、ゴム成分としてエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とニトリル含量が40%質量以下のアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)とを含有し、前記EPDMの含有割合が25〜40phr、前記NBRの含有割合がゴム成分全体に占めるニトリル含量が10〜20質量%となる割合であり、かつチウラム系加硫促進剤を含有すると共に、有機酸コバルトを1〜5phr含有することを特徴とするホース外被ゴム組成物、及び、
ホースの内面を形成する内管ゴム層と、ホースの外面を形成する外面ゴム層と、この内管ゴム層と外面ゴム層との間に設けられた補強層とを具備するホースにおいて、前記外面ゴム層を上記本発明のホース外被用ゴム組成物で形成したことを特徴とするホースを提供する。
【0012】
また、本発明者は、更に検討を重ねた結果、フェノール樹脂やレゾルシンを所定量添加することにより接着性をより確実かつ良好に向上させることができ、またスルフェンアミド系加硫促進剤を併用することによってより確実かつ良好に加硫速度を速めることができ、更にゴム成分の一部としてスチレン−ブタジエンゴム(SBR)などの他のジエン系ゴムを配合することにより、これが上記EPDMとNBR相容化剤として作用すると共に、ゴムの耐磨耗性をより向上させることができることを見い出した。
【0013】
従って、本発明は、好適な実施態様として下記(1)〜(5)を提供する。
(1)フェノール樹脂を0.5〜5phr含有する上記本発明のホース外被用ゴム組成物、及びこのホース外被用ゴム組成物で外面ゴム層を形成した上記本発明のホース。
(2)レゾルシンを0.3〜3phr含有する上記本発明のホース外被用ゴム組成物、及びこのホース外被用ゴム組成物で外面ゴム層を形成した上記本発明のホース。
(3)チウラム系加硫促進剤と共に、更にスルフェンアミド系加硫促進剤を含有する上記本発明のホース外被用ゴム組成物、及びこのホース外被用ゴム組成物で外面ゴム層を形成した上記本発明のホース。
(4)ゴム成分として、上記EPDMと共に更にその他のジエン系ゴムを含有する上記本発明のホース外被用ゴム組成物、及びこのホース外被用ゴム組成物で外面ゴム層を形成した上記本発明のホース。
(5)上記ジエン系ゴムがスチレン−ブタジエンゴム(SBR)である上記本発明のホース外被用ゴム組成物、及びこのホース外被用ゴム組成物で外面ゴム層を形成した上記本発明のホース。
【発明の効果】
【0014】
本発明のホース外被用ゴム組成物は、環境に配慮したハロゲンフリーを達成し得る上、ブラスめっきワイヤーとの接着性に優れ、かつ良好な耐油性、耐候性、耐磨耗性を有するホースの外面ゴム層を加硫速度の低下を招くことなく、作業性よく形成することができる。
【発明を実施するための形態】
【0015】
本発明のホース外被用ゴム組成物は、上記の通り、ゴム成分としてエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)と特定のニトリル含量を有するアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)とを特定割合で含有し、更にチウラム系加硫促進剤と、特定量の有機酸コバルトとを含有するものである。
【0016】
上記EPDMの配合割合は、25〜40phrとされ、好ましくは30〜40phr、より好ましくは35〜40phrである。EPDMの配合割合が25phr未満であると、耐候性に劣るものとなり、一方40phrを超えると耐油性、耐磨耗性の低下を招き、また作業性においても押出し成形したゴム表面の平滑性が低下して、良好な寸法精度を確保することが困難になる場合がある。
【0017】
上記NBRとしては、ニトリル含有量(AN含量)が40質量%以下のものが用いられ、特に10〜40質量%、好ましくは20〜40質量%、より好ましくは20〜35質量%のものが用いられる。ここでAN含量が40質量%を超えると、他のポリマーとの極性差がより大きくなり、その結果、配合薬品の分配のバランスが崩れ、ワイヤーとの接着性や異種ポリマー間の共架橋性などが低下する。また、高ニトリル含有NBRは耐低温性が低いために適用した外被ゴムの耐低温性も低下することとなる。
【0018】
上記NBRの配合割合は、ゴム組成物中のゴム成分全体に占めるニトリル含量(AN含量)が10〜20質量%となる割合であり、好ましくはこのニトリル含量が10〜15質量%、より好ましくは12〜13質量%である。この場合、NBRの配合割合がゴム成分中のニトリル含量で10質量%未満であると、耐油性に劣るものとなって本発明の目的を達成することができず、一方20質量%を超えると、耐低温性に劣るものとなり好ましくない。
【0019】
本発明では、特に制限されるものではないが、ゴム成分として上記EPDM及びNBRに加えて、更にEPDM以外のジエン系ゴムを配合することができ、特に上記EPDMとNBRとの相容性を向上させると共に、得られるゴム組成物の耐磨耗性を向上させる目的で、スチレン−ブタジエンゴム(SBR)を配合することが好ましい。このジエン系ゴムの配合量は、特に制限されるものではなく適量とされるが、特にSBRの場合10〜40phr、特に20〜30phrとすることが好ましい。この場合、SBRの配合割合が10phr未満であると、配合による十分な効果が得られない場合があり、一方40phrを超えるとEPDMとNBRとを組み合わせた特性を十分に発揮する配合組成を構成することが困難となる場合があり、長期耐候性と耐油性とを両立することが困難となる場合がある。
【0020】
なお、SBR以外のジエン系ゴムとしては、天然ゴム(NR)、ブタジエンゴム(BR)、イソプレンゴム(IR)、シンジオタクチック−1,2−ポリブタジエンなどが例示される。
【0021】
上記チウラム系加硫促進剤としては、特に制限はなく公知のチウラム系加硫促進剤を用いることができ、具体的にはテトラメチルチウラムジスルフィド(TMTD)、テトラメチルチウラムモノスルフィド(TMTM)、テトラエチルチウラムジスルフィド(TETD)、テトラブチルチウラムジスルフィド(TBTD)などが例示され、これらの1種又は2種以上を用いることができる。
【0022】
このチウラム系加硫促進剤の配合割合は、有効量とされ特に制限されるものではないが、通常は0.1〜5phrとすることが好ましく、より好ましくは1〜3phrされる。上記チウラム系加硫促進剤の配合割合が0.1phr未満であると、加硫速度が遅くなって作業性に劣るゴム組成物となる場合があり、逆に5phrを超えると加硫速度が過剰に上昇して、配合ゴムの精練、加工時に発生する熱により一部に架橋が生じ、製品の外観や耐久性を損なう可能性がある。
【0023】
また、特に制限されるものではないが、加硫速度をより効果的に速くするため、このチウラム系加硫促進剤と共にスルフェンアミド系加硫促進剤を併用することが好ましい。この場合、スルフェンアミド系加硫促進剤としては、N−シクロへキシル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−オキシジエチレン−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミド、N−t−ブチル−2−ベンゾチアゾールスルフェンアミドなど、公知のものを用いることができる。
【0024】
このスルフェンアミド系加硫促進剤の配合割合は、特に制限されるものではないが、0.1〜1phr、特に0.3〜0.6phrとすることが好ましく、0.1phr未満ではスルフェンアミド系加硫促進剤配合の効果が十分に得られない場合があり、一方1phrを超えると、加硫速度が過剰に上昇して、ヤケの発生やブラスめっきワイヤーとの接着性低下を招く場合がある。
【0025】
なお、特に制限されるものではないが、本発明においては、通常加硫剤として硫黄が用いられ、その配合割合は、特に制限されるものではなく、通常は0.5〜3phr、特に1〜2.5phrとすることができる。
【0026】
次に、上記有機酸コバルトとしては、特に制限はなく、例えばナフテン酸コバルト、ステアリン酸コバルト、バーサチック酸コバルト、ドデカン酸コバルトなどが例示され、これらの1種又は2種以上を用いることができる。有機酸コバルトは、ホースの補強層に用いられるスチールコード、特にブラスめっきワイヤーとの接着性を効果的に向上させるものであり、配合割合は1〜5phrとされ、好ましくは2〜4phrとされる。有機酸コバルトの配合量が1phrに満たないと十分な接着性向上効果を得ることができず、逆に5phrを超えると過剰添加となり、ブラスめっきワイヤーとの接着性の低下を招く虞があり好ましくない。
【0027】
本発明では、接着性の更なる向上を目的として、上記有機酸コバルトに加えてフェノール樹脂、レゾルシンのいずれか又は両方を併用することができる。
【0028】
フェノール樹脂としては変性、未変性のいずれを用いてもよく、具体的にはアルキルフェノール樹脂、カシュー変性フェノール樹脂、オイル変性フェノール樹脂などが例示され、これらの1種又は2種以上を用いることができる。フェノール樹脂の配合割合は、特に制限されるものではないが、0.5〜5phrとすることが好ましく、特に0.5〜2phrとすることが好ましい。配合割合が0.5phr未満では十分な配合の効果を得ることができない場合があり、一方5phrを超えても、更なる接着性向上は見込めない上、ゴム硬度が上昇して耐久性低下を招く可能性もある。
【0029】
また、上記レゾルシンの配合割合は、特に制限されるものではないが、0.1〜3phr、特に0.3〜1phrとすることが好ましく、0.1phr未満では配合による十分な効果を得ることができない場合があり、一方3phrを超えても更なる接着性向上は見込めない上、ゴム硬度上昇による耐久性低下につながる可能性がある。
【0030】
本発明のゴム組成物には、必要に応じて上述以外の添加剤を適量添加配合することができる。例えば上記以外の加硫剤、加硫促進剤及び加硫促進助剤や、通常使用されているカーボン、老化防止剤、可塑剤、石油樹脂、ワックス類、酸化防止剤、充填剤、オイル、滑剤、紫外線吸収剤、分散剤、相容化剤、均質化剤等の添加剤を適宜配合することができる。
【0031】
本発明のゴム組成物を用いて外面ゴム層(外被ゴム)を形成することによりゴムホースを製造する場合の方法は、通常の方法を採用することができ、例えば、内管ゴム層、スチールコードを有する補強層及び外面ゴム層からなる油圧ホースを製造する場合、以下の製造方法を例示することができる。
【0032】
まず、ホース内径と同程度の直径を有する芯体(マンドレル)の外側に内管ゴム層用のゴム組成物を押出成形して該マンドレルを被覆し、内面ゴム層(内管ゴム)を形成する(内管押出工程)。次に、該内管押出工程で形成した内面ゴム層の外側に、所定本数のブラスめっきワイヤーを編み上げて補強層を形成し(編上げ工程)、該補強層の外側に本発明の外被用ゴム組成物を押出成形して、外面ゴム層(外被ゴム)を形成する(外被押出工程)。更に、外被押出工程で形成した外面ゴム層の外側を適宜な樹脂で被覆し(樹脂モールド被覆工程)、これを所定の条件で加硫する(加硫工程)。加硫後、上記被覆樹脂を剥離し(樹脂モールド剥離工程)、マンドレルを取り除く(マンドレル抜出工程)ことにより、内管ゴムと外被ゴムとの間に補強層を有する油圧ホースを製造する。
【0033】
なお、油圧ホースの構造は、上記のように内側から内管ゴム、補強層及び外被ゴムを順次積層した3層構造としてもよいし、更に強度等が必要な場合は、上記補強層を2層とし、この2層の補強層の間に中間層(中間ゴム)を配した5層構造とすることもでき、これらの構造はホースの要求特性等に応じて適宜設定すればよい。
【実施例】
【0034】
以下、実施例,比較例を示し、本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記実施例に制限されるものではない。なお、下記の例において部及び%は質量部及び質量%を示す。
【0035】
[実施例1〜20、比較例1〜13]
下記表1及び表2に示す配合処方でゴム組成物を混練し、ホース外被用ゴム組成物を得た。この場合、混練操作は、まず加硫剤を除く各配合剤を原料ゴムに添加してバンバリーミキサー又はニーダーで混練し(ノンプロ練り)、これを混練機から取り出して十分に冷却した後、加硫剤を含む残り配合剤を添加して再び上記混練機に戻して混練し(プロ練り)した。
【0036】
この場合、表1及び表2中の各配合成分の詳細は次の通りである。
EPDM:JSR株式会社製「EP35」
SBR:旭化成ケミカルズ社製「タフデン2000R」
NBR(AN% 35%):JSR株式会社製「N230S」
NBR(AN% 40%):JSR株式会社製「N220S」
NBR(AN% 48%):JSR株式会社製「N215SL」
有機酸コバルト:ナフテン酸コバルト(DIC株式会社製)
フェノール樹脂:住友ベークライト株式会社製「スミライトレジンPR−12687」
レゾルシン:三井化学株式会社製のレゾルシン
スルフェンアミド系加硫促進剤:大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーCZ−G」
チウラム系加硫促進剤:大内新興化学工業株式会社製「ノクセラーTOT−N」
【0037】
混練調製した上記各ゴム組成物をJIS K 6300に規定のダイ加硫試験A法に準拠して加硫硬化させ、(株)エー・アンド・デイ製のキャラストメータを使用して加硫速度(T90)を測定した。また、T90(分)を1ベストとして150℃の温度条件で1.5ベストとなる時間をかけ、6.5MPaの圧力条件下で上記各ゴム組成物を加硫して、別途ホース外被用ゴム試料を作製し、下記特性及び性能を評価した。結果を表1及び表2に示す。
【0038】
[硬度]
JIS K 6253に準拠し、デュロメータ硬さ試験タイプAの手法を用いて硬度を測定した。測定には高分子計器株式会社製「CL−150」を使用した。
[耐候性]
JIS K 6259の「5.動的オゾン劣化試験引張法」により、50℃、50pphm、0〜20%伸張、50時間の条件で測定した。測定にはスガ試験機株式会社製「オゾンウェザーメーターを使用した。
[耐油性]
JIS K 6258に準拠し、使用油:グリース(ナフテン+パラフィン)80℃,72時間の条件で浸せき試験を行い、体積変化率(ΔV)を測定した。測定には(株)東洋精機製作所製「TEST TUBE AGING TESTER」を使用した。
[耐低温性]
JIS K 6261の「4.低温衝撃脆化試験」に準拠し、(株)東洋精機製作所製「BRITTLENESS TEMP. TESTER」を使用して衝撃脆化温度を測定した。
[耐磨耗性]
JIS K 6264の「6.アクロン摩耗試験」B法に準拠し、(株)島津製作所製「アクロン摩耗試験機」を使用して摩耗容積を測定した。
[接着性]
ブラスめっきワイヤー7本を互いに接触した状態で平行に並べて未加硫のゴム組成物シートに貼り付けて加硫した後、両端2本を除いた5本のワイヤーを1本ずつ剥離し、ワイヤーへのゴム付き面積を、ワイヤーのゴムと接触していた面全てにゴムが付着している状態を100%とする百分率で判定し、5本の平均値を測定結果とした。
【0039】
【表1】

【0040】
【表2】

【0041】
表1及び表2の通り、本発明のホース外被用ゴム組成物は、良好な加硫速度と接着性と有していると共に、十分な耐油性、耐候性、耐低温性、耐磨耗性を有し、油圧ホースの外被材料として優れた性能を有するものであることが確認された。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ゴム成分としてエチレン−プロピレン−ジエンゴム(EPDM)とニトリル含量が40%質量以下のアクリロニトリル−ブタジエンゴム(NBR)とを含有し、前記EPDMの含有割合が25〜40phr、前記NBRの含有割合がゴム成分全体に占めるニトリル含量が10〜20質量%となる割合であり、かつチウラム系加硫促進剤を含有すると共に、有機酸コバルトを1〜5phr含有することを特徴とするホース外被ゴム組成物。
【請求項2】
フェノール樹脂を0.5〜5phr含有する請求項1記載のホース外被用ゴム組成物。
【請求項3】
レゾルシンを0.3〜3phr含有する請求項1又は2記載のホース外被用ゴム組成物。
【請求項4】
チウラム系加硫促進剤と共に、更にスルフェンアミド系加硫促進剤を含有する請求項1乃至3のいずれか1項記載のホース外被用ゴム組成物。
【請求項5】
ゴム成分として、上記EPDMと共に更にその他のジエン系ゴムを含有する請求項1乃至4のいずれか1項記載のホース外被用ゴム組成物。
【請求項6】
上記ジエン系ゴムがスチレン−ブタジエンゴム(SBR)である請求項1乃至5のいずれか1項記載のホース外被用ゴム組成物。
【請求項7】
ホースの内面を形成する内管ゴム層と、ホースの外面を形成する外面ゴム層と、この内管ゴム層と外面ゴム層との間に設けられた補強層とを具備するホースにおいて、前記外面ゴム層を請求項1乃至6のいずれか1項記載のホース外被用ゴム組成物で形成したことを特徴とするホース。
【請求項8】
油圧駆動装置の作動油が充填される油圧ホースである請求項7記載のホース。

【公開番号】特開2010−164063(P2010−164063A)
【公開日】平成22年7月29日(2010.7.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−4259(P2009−4259)
【出願日】平成21年1月13日(2009.1.13)
【出願人】(000005278)株式会社ブリヂストン (11,469)
【Fターム(参考)】