説明

ポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法

【課題】良好な形状のレジストパターンを形成できるポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法の提供。
【解決手段】酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有し、(A)成分は、側鎖の末端に「−SO−を含む環式基」を含む構成単位(a0)を有し、かつ、その構造中に酸解離性溶解抑制基を含む高分子化合物(A1)を含有し、(B)成分は、一般式(b1−1)[式中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基である。ただし、−SOにおける硫黄原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していない。Zは有機カチオンである。]で表される化合物からなる酸発生剤(B1)を含有するポジ型レジスト組成物。
[化1]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポジ型レジスト組成物、およびポジ型レジスト組成物を用いたレジストパターン形成方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィー技術においては、例えば基板の上にレジスト材料からなるレジスト膜を形成し、該レジスト膜に対し、所定のパターンが形成されたマスクを介して、光、電子線等の放射線にて選択的露光を行い、現像処理を施すことにより、前記レジスト膜に所定形状のレジストパターンを形成する工程が行われる。
露光した部分が現像液に溶解する特性に変化するレジスト材料をポジ型、露光した部分が現像液に溶解しない特性に変化するレジスト材料をネガ型という。
近年、半導体素子や液晶表示素子の製造においては、リソグラフィー技術の進歩により急速にパターンの微細化が進んでいる。
微細化の手法としては、一般に、露光光源の短波長化が行われている。具体的には、従来は、g線、i線に代表される紫外線が用いられていたが、現在では、KrFエキシマレーザーや、ArFエキシマレーザーを用いた半導体素子の量産が開始されている。また、これらエキシマレーザーより短波長のFエキシマレーザー、電子線、EUV(極紫外線)やX線などについても検討が行われている。
【0003】
レジスト材料には、これらの露光光源に対する感度、微細な寸法のパターンを再現できる解像性等のリソグラフィー特性が求められる。
このような要求を満たすレジスト材料として、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が変化する基材成分と、露光により酸を発生する酸発生剤とを含有する化学増幅型レジスト組成物が用いられている。
例えばポジ型の化学増幅型レジスト組成物としては、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する樹脂成分(ベース樹脂)と、酸発生剤成分とを含有するものが一般的に用いられている。かかる、レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜は、レジストパターン形成時に選択的露光を行うと、露光部において、酸発生剤から酸が発生し、該酸の作用により樹脂成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大して、露光部がアルカリ現像液に対して可溶となる。
現在、ArFエキシマレーザーリソグラフィー等において使用されるレジストのベース樹脂としては、193nm付近における透明性に優れることから、(メタ)アクリル酸エステルから誘導される構成単位を主鎖に有する樹脂(アクリル系樹脂)などが一般的に用いられている(たとえば特許文献1参照)。
ここで、「(メタ)アクリル酸」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸と、α位にメチル基が結合したメタクリル酸の一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリル酸エステル」とは、α位に水素原子が結合したアクリル酸エステルと、α位にメチル基が結合したメタクリル酸エステルの一方あるいは両方を意味する。「(メタ)アクリレート」とは、α位に水素原子が結合したアクリレートと、α位にメチル基が結合したメタクリレートの一方あるいは両方を意味する。
【0004】
化学増幅型レジスト組成物において使用される酸発生剤としては、これまで多種多様のものが提案されており、たとえばヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤などが知られている。
現在、酸発生剤としては、カチオン部にトリフェニルスルホニウム等のオニウムイオンを有するオニウム塩系酸発生剤が用いられている。オニウム塩系酸発生剤のアニオン部としては、アルキルスルホン酸イオンやそのアルキル基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換されたフッ素化アルキルスルホン酸イオンが一般的である(たとえば特許文献2参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2003−241385号公報
【特許文献2】特開2005−37888号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
近年、レジストパターンの微細化はますます進み、従来のレジスト組成物には、レジストパターン形成において、良好な形状のレジストパターンを形成できることがよりいっそう求められている。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであって、良好な形状のレジストパターンを形成できるポジ型レジスト組成物およびレジストパターン形成方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記の課題を解決するために、本発明は以下の構成を採用した。
【0008】
すなわち、本発明の第一の態様は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するポジ型レジスト組成物であって、前記基材成分(A)は、下記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)を有し、かつ、その構造中に酸解離性溶解抑制基を含む高分子化合物(A1)を含有し、前記酸発生剤成分(B)は、下記一般式(b1−1)で表される化合物からなる酸発生剤(B1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物である。
【0009】
【化1】

[式(a0−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Rは2価の連結基であり、Rはその環骨格中に−SO−を含む環式基である。]
【0010】
【化2】

[式(b1−1)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基である。ただし、−SOにおける硫黄原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していない。Zは有機カチオンである。]
【0011】
本発明の第二の態様は、支持体上に、前記第一の態様のポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法である。
【0012】
本明細書および本特許請求の範囲において、「アルキル基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の1価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
また、「アルキレン基」は、特に断りがない限り、直鎖状、分岐鎖状および環状の2価の飽和炭化水素基を包含するものとする。
「低級アルキル基」は、炭素数1〜5のアルキル基である。
「ハロゲン化アルキル基」は、アルキル基の水素原子の一部又は全部がハロゲン原子で置換された基であり、該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子が挙げられる。
「脂肪族」とは、芳香族に対する相対的な概念であって、芳香族性を持たない基、化合物等を意味するものと定義する。
「構成単位」とは、高分子化合物(重合体、共重合体)を構成するモノマー単位(単量体単位)を意味する。
「露光」は、放射線の照射全般を含む概念とする。
【発明の効果】
【0013】
本発明により、良好な形状のレジストパターンを形成できるポジ型レジスト組成物、および該ポジ型レジスト組成物を用いるレジストパターン形成方法が提供できる。
【発明を実施するための形態】
【0014】
≪ポジ型レジスト組成物≫
本発明の第一の態様のポジ型レジスト組成物は、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)(以下「(A)成分」という。)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)(以下「(B)成分」という。)を含有する。
かかるポジ型レジスト組成物においては、放射線が照射(露光)されると、(B)成分から酸が発生し、該酸の作用により(A)成分のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。そのため、レジストパターンの形成において、当該ポジ型レジスト組成物を用いて得られるレジスト膜に対して選択的露光を行うと、当該レジスト膜の露光部のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する一方で、未露光部のアルカリ現像液に対する溶解性は変化しないため、アルカリ現像を行うことにより、レジストパターンを形成できる。
本発明のポジ型レジスト組成物においては、さらに、含窒素有機化合物成分(D)を含有することが好ましい。
【0015】
<(A)成分>
本発明において、「基材成分」とは、膜形成能を有する有機化合物をいう。
かかる基材成分としては、好ましくは分子量が500以上の有機化合物が用いられる。該有機化合物の分子量が500以上であることにより、膜形成能が向上し、また、ナノレベルのレジストパターンを形成しやすい。
前記基材成分として用いられる「分子量が500以上の有機化合物」は、非重合体と重合体とに大別される。
非重合体としては、通常、分子量が500以上4000未満のものが用いられる。以下、分子量が500以上4000未満の非重合体を低分子化合物という。
重合体としては、通常、分子量が2000以上のものが用いられる。以下、分子量が2000以上の重合体を高分子化合物という。高分子化合物の場合、「分子量」としてはGPC(ゲルパーミエーションクロマトグラフィー)によるポリスチレン換算の質量平均分子量を用いるものとする。以下、高分子化合物を単に「樹脂」ということがある。
本発明において、(A)成分は、前記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)を有し、かつ、その構造中に酸解離性溶解抑制基を含む高分子化合物(A1)(以下「(A1)成分」という。)を含有する。
【0016】
[(A1)成分]
(A1)成分は、構成単位(a0)を有し、かつ、その構造中に酸解離性溶解抑制基を含む高分子化合物である。
また、(A1)成分は、前記構成単位(a0)に該当しない、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有することが好ましい。
また、(A1)成分は、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有することが好ましい。
また、(A1)成分は、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有することが好ましい。
【0017】
(構成単位(a0))
前記式(a0−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基である。
Rにおける炭素数1〜5のアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられる。
Rにおけるハロゲン化アルキル基は、前記炭素数1〜5のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基である。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。
Rとしては、水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のフッ素化アルキル基が好ましく、工業上の入手の容易さから、水素原子またはメチル基が最も好ましい。
【0018】
前記式(a0−1)中、Rは2価の連結基である。
としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基、ヘテロ原子を含む2価の連結基等が好適なものとして挙げられる。
【0019】
・置換基を有していてもよい2価の炭化水素基について
において、該炭化水素基が「置換基を有する」とは、該炭化水素基における水素原子の一部または全部が、水素原子以外の基または原子で置換されていることを意味する。
該炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であってもよく、芳香族炭化水素基であってもよい。脂肪族炭化水素基は、芳香族性を持たない炭化水素基を意味する。
該脂肪族炭化水素基は、飽和であってもよく、不飽和であってもよく、通常は飽和であることが好ましい。
【0020】
前記脂肪族炭化水素基として、より具体的には、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基、構造中に環を含む脂肪族炭化水素基等が挙げられる。
直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜2が最も好ましい。
直鎖状の脂肪族炭化水素基としては、直鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、メチレン基[−CH−]、エチレン基[−(CH−]、トリメチレン基[−(CH−]、テトラメチレン基[−(CH−]、ペンタメチレン基[−(CH−]等が挙げられる。
分岐鎖状の脂肪族炭化水素基としては、分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、具体的には、−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−C(CHCH−CH−等のアルキルエチレン基;−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基などのアルキルアルキレン基等が挙げられる。アルキルアルキレン基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましい。
鎖状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。該置換基としては、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0021】
構造中に環を含む脂肪族炭化水素基としては、環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族炭化水素環から水素原子2個を除いた基)、該環状の脂肪族炭化水素基が前述した鎖状の脂肪族炭化水素基の末端に結合するか又は鎖状の脂肪族炭化水素基の途中に介在する基などが挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜12であることがより好ましい。
環状の脂肪族炭化水素基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。
単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該モノシクロアルカンとしてはシクロペンタン、シクロヘキサン等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12のポリシクロアルカンから2個の水素原子を除いた基が好ましく、該ポリシクロアルカンとして具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。
環状の脂肪族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。
この置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0022】
前記芳香族炭化水素基としては、例えば、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、1価の芳香族炭化水素基の芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた2価の芳香族炭化水素基;
当該2価の芳香族炭化水素基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換された芳香族炭化水素基;
ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等で、かつ、その芳香族炭化水素の核から水素原子をさらに1つ除いた芳香族炭化水素基等が挙げられる。
芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0023】
・ヘテロ原子を含む2価の連結基について
において、「ヘテロ原子を含む2価の連結基」におけるヘテロ原子とは、炭素原子および水素原子以外原子であり、たとえば酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む2価の連結基として、具体的には、−O−、−C(=O)−、−C(=O)−O−、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)、−NH−、−NR04−(R04はアルキル基、アシル基等の置換基である。)、−NH−C(=O)−、=N−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。また、これらの「ヘテロ原子を含む2価の連結基」と2価の炭化水素基との組み合わせ等が挙げられる。2価の炭化水素基としては、上述した置換基を有していてもよい炭化水素基と同様のものが挙げられ、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましい。
−NR04−において、R04はアルキル基、アシル基等の置換基である。該置換基(アルキル基、アシル基等)は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8であることがさらに好ましく、1〜5であることが特に好ましい。
【0024】
は、その構造中に酸解離性部位を有していてもよいし、有していなくてもよい。
「酸解離性部位」とは、Rの構造内における、露光により発生する酸が作用して解離する部位をいう。Rが酸解離性部位を有する場合、好ましくは第三級炭素原子を有する酸解離性部位を有することが好ましい。
【0025】
本発明において、Rの2価の連結基としては、アルキレン基、2価の脂肪族環式基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、アルキレン基が特に好ましい。
がアルキレン基である場合、該アルキレン基は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜6であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが特に好ましく、炭素数1〜3であることが最も好ましい。具体的には、前記で挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
が2価の脂肪族環式基である場合、該脂肪族環式基としては、前記「構造中に環を含む脂肪族炭化水素基」で挙げた環状の脂肪族炭化水素基と同様のものが挙げられる。
該脂肪族環式基としては、シクロペンタン、シクロヘキサン、ノルボルナン、イソボルナン、アダマンタン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンから水素原子が二個以上除かれた基であることが特に好ましい。
【0026】
がヘテロ原子を含む2価の連結基である場合、該連結基として好ましいものとしては、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NR04−(R04はアルキル基、アシル基等の置換基である。)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−、式−A−O−B−で表される基、式−[A−C(=O)−O]−B−で表される基等が挙げられる。ここで、AおよびBはそれぞれ独立して置換基を有していてもよい2価の炭化水素基であり、qは0〜3の整数である。
−A−O−B−または−[A−C(=O)−O]−B−において、AおよびBは、それぞれ独立して、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基である。
AおよびBにおける置換基を有していてもよい2価の炭化水素基としては、前記でRにおける「置換基を有していてもよい2価の炭化水素基」として挙げたものと同様のものが挙げられる。
Aとしては、直鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、直鎖状のアルキレン基がより好ましく、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基またはエチレン基が特に好ましい。
Bとしては、直鎖状または分岐鎖状の脂肪族炭化水素基が好ましく、メチレン基、エチレン基またはアルキルメチレン基がより好ましい。該アルキルメチレン基におけるアルキル基は、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜3の直鎖状のアルキル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
また、式−[A−C(=O)−O]−B−で表される基において、qは0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
【0027】
前記式(a0−1)中、Rは、その環骨格中に−SO−を含む環式基である。
における環式基とは、その環骨格中に−SO−を含む環を含有する環式基を示し、該環をひとつの目の環として数え、該環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。Rにおける環式基は、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。
なかでも、Rは、その環骨格中に−O−SO−を含む環式基、すなわちスルトン(sultone)環、であることが特に好ましい。
における環式基は、炭素数が3〜30であることが好ましく、4〜20であることがより好ましく、4〜15であることがさらに好ましく、4〜12であることが特に好ましい。
ただし、該炭素数は、環骨格を構成する炭素原子の数であり、置換基における炭素数を含まないものとする。
における環式基は、脂肪族環式基であってもよく、芳香族環式基であってもよく、脂肪族環式基であることが好ましい。
における脂肪族環式基としては、前記において挙げた環状の脂肪族炭化水素基の環骨格を構成する炭素原子の一部が−SO−または−O−SO−で置換されたものが挙げられる。
より具体的には、たとえば、前記単環式基としては、その環骨格を構成する−CH−が−SO−で置換されたモノシクロアルカンから水素原子1つを除いた基、その環を構成する−CH−CH−が−O−SO−で置換されたモノシクロアルカンから水素原子1つを除いた基等が挙げられる。また、前記多環式基としては、その環骨格を構成する−CH−が−SO−で置換されたポリシクロアルカン(ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等)から水素原子1つを除いた基、その環を構成する−CH−CH−が−O−SO−で置換されたポリシクロアルカンから水素原子1つを除いた基等が挙げられる。
【0028】
における環式基は、置換基を有していてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基、シアノ基等が挙げられる。R”は水素原子又はアルキル基を示す。
該置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜6のアルキル基が好ましい。該アルキル基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、ヘキシル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が特に好ましい。
該置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜6のアルコキシ基が好ましい。該アルコキシ基は、直鎖状または分岐鎖状であることが好ましい。具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基に酸素原子(−O−)に結合した基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
該置換基のハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
該置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン化アルキル基としてはフッ素化アルキル基が好ましく、特にパーフルオロアルキル基が好ましい。
前記−COOR”、−OC(=O)R”におけるR”は、いずれも、水素原子または炭素数1〜15の直鎖状、分岐鎖状もしくは環状のアルキル基であることが好ましい。
R”が直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基の場合は、炭素数1〜10であることが好ましく、炭素数1〜5であることがさらに好ましく、メチル基またはエチル基であることが特に好ましい。
R”が環状のアルキル基の場合は、炭素数3〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
該置換基としてのヒドロキシアルキル基としては、炭素数が1〜6であるものが好ましく、具体的には、前記置換基としてのアルキル基として挙げたアルキル基の水素原子の少なくとも1つが水酸基で置換された基が挙げられる。
として、より具体的には、下記一般式(3−1)〜(3−4)で表される基が挙げられる。
【0029】
【化3】

[式中、A’は酸素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子であり;pは0〜2の整数であり;Rはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり、R”は水素原子又はアルキル基である。]
【0030】
前記一般式(3−1)〜(3−4)中、A’は、酸素原子(−O−)若しくは硫黄原子(−S−)を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子である。
A’における炭素数1〜5のアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基、n−プロピレン基、イソプロピレン基等が挙げられる。
該アルキレン基が酸素原子または硫黄原子を含む場合、その具体例としては、前記アルキレン基の末端または炭素原子間に−O−または−S−が介在する基が挙げられ、たとえば−O−CH−、−CH−O−CH−、−S−CH−、−CH−S−CH−等が挙げられる。
A’としては、炭素数1〜5のアルキレン基または−O−が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がより好ましく、メチレン基が最も好ましい。
pは0〜2の整数のいずれであってもよく、0が最も好ましい。
pが2である場合、複数のRはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
におけるアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基としては、それぞれ、前記Rにおける環式基が有していてもよい置換基として挙げたアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基と同様のものが挙げられる。
以下に、前記一般式(3−1)〜(3−4)で表される具体的な環式基を例示する。なお、式中の「Ac」はアセチル基を示す。
【0031】
【化4】

【0032】
【化5】

【0033】
【化6】

【0034】
【化7】

【0035】
上記の中でも、Rとしては、前記一般式(3−1)、(3−3)又は(3−4)で表される環式基が好ましく、前記一般式(3−1)で表される環式基であることが特に好ましい。
として具体的には、前記化学式(3−1−1)、(3−1−18)、(3−3−1)および(3−4−1)で表される環式基からなる群から選択される少なくとも一種を用いることがより好ましく、前記化学式(3−1−1)で表される環式基が最も好ましい。
【0036】
本発明において、構成単位(a0)としては、下記一般式(a0−1−11)で表される構成単位が特に好ましい。
【0037】
【化8】

[式中、Rは前記と同じであり、R02は直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基又は−A−C(=O)−O−B−(A、Bは前記と同じである。)であり、A’は前記と同じである。]
【0038】
02における直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、1〜8がより好ましく、1〜5がさらに好ましく、1〜3が特に好ましく、1〜2が最も好ましい。
−A−C(=O)−O−B−において、A、Bは、それぞれ直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、炭素数1〜5のアルキレン基がさらに好ましく、メチレン基、エチレン基が特に好ましい。具体的には、−(CH−C(=O)−O−(CH−、−(CH−O−C(=O)−(CH−が挙げられる。
A’はメチレン基、酸素原子(−O−)または硫黄原子(−S−)であることが好ましい。
【0039】
構成単位(a0)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1)成分中の構成単位(a0)の割合は、当該(A1)成分を含有するポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジストパターン形状が良好となり、露光余裕度(ELマージン)、LWR(ラインワイズラフネス)等のリソグラフィー特性にも優れることから、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、1〜60モル%であることが好ましく、5〜55モル%がより好ましく、10〜50モル%がさらに好ましく、15〜45モル%が最も好ましい。
【0040】
(A1)成分は、その構造中に酸解離性溶解抑制基を含む。
該酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、露光の際、(B)成分から発生した酸の作用により解離する酸解離性を有する基である。そのため、(A1)成分から該酸解離性溶解抑制基が解離すると、(A1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性が増大する。
(A1)成分の構造中に含まれる酸解離性溶解抑制基は、酸解離性溶解抑制基に相当するものを含む構成単位(a0)を用いる方法、構成単位(a0)以外の構成単位であって酸解離性溶解抑制基を含むものを含有させる方法等により導入できる。
前記構成単位(a0)で挙げた構成単位のうち、前記式(3−1−2)、(3−1−17)、(3−1−19)で表される構成単位は、当該構造中の環式基が、酸解離性溶解抑制基としての機能も果たす。また、Rが、その構造中に酸解離性部位を有する場合、該酸解離性部位から末端までの部分が酸解離性溶解抑制基としての機能を果たす。
このように、酸解離性溶解抑制基に相当するものを含む構成単位(a0)を用いる場合は、(A1)成分は、構成単位(a0)のみからなるものであってもよく、任意に他の構成単位(たとえば後述する構成単位(a1)、(a2)、(a3)、(a4)等)を含んでもよい。
酸解離性溶解抑制基に相当するものを含まない構成単位(a0)を用いる場合は、構成単位(a0)に加えて、酸解離性溶解抑制基を有する構成単位(たとえば後述する構成単位(a1))を有する必要がある。
本発明においては、酸解離性溶解抑制基を有する構成単位として、特に、前記構成単位(a0)に該当しない、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有することが好ましい。
【0041】
(構成単位(a1))
構成単位(a1)は、前記構成単位(a0)に該当しない、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
構成単位(a1)における酸解離性溶解抑制基は、解離前は(A1)成分全体をアルカリ現像液に対して難溶とするアルカリ溶解抑制性を有するとともに、酸により解離してこの(A1)成分全体のアルカリ現像液に対する溶解性を増大させるものであり、これまで、化学増幅型レジスト用のベース樹脂の酸解離性溶解抑制基として提案されているものを使用することができる。一般的には、(メタ)アクリル酸等におけるカルボキシ基と環状または鎖状の第3級アルキルエステルを形成する基;アルコキシアルキル基等のアセタール型酸解離性溶解抑制基などが広く知られている。
ここで、「第3級アルキルエステル」とは、カルボキシ基の水素原子が、鎖状または環状のアルキル基で置換されることによりエステルを形成しており、そのカルボニルオキシ基(−C(=O)−O−)の末端の酸素原子に、前記鎖状または環状のアルキル基の第3級炭素原子が結合している構造を示す。この第3級アルキルエステルにおいては、酸が作用すると、酸素原子と第3級炭素原子との間で結合が切断される。
なお、前記鎖状または環状のアルキル基は置換基を有していてもよい。
以下、カルボキシ基と第3級アルキルエステルを構成することにより、酸解離性となっている基を、便宜上、「第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基」という。
【0042】
第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基としては、脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基、脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基が挙げられる。
ここで、「脂肪族分岐鎖状」とは、芳香族性を持たない分岐鎖状の構造を有することを示す。「脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基」の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。
また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。
脂肪族分岐鎖状酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、−C(R71)(R72)(R73)で表される基が挙げられる。式中、R71〜R73は、それぞれ独立に、炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基である。−C(R71)(R72)(R73)で表される基は、炭素数が4〜8であることが好ましく、具体的にはtert−ブチル基、2−メチル−2−ブチル基、2−メチル−2−ペンチル基、3−メチル−3−ペンチル基などが挙げられる。特にtert−ブチル基が好ましい。
【0043】
「脂肪族環式基」は、芳香族性を持たない単環式基または多環式基であることを示す。
構成単位(a1)における「脂肪族環式基」は、置換基を有していてもよいし、有していなくてもよい。置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基、フッ素原子、フッ素原子で置換された炭素数1〜5のフッ素化アルキル基、酸素原子(=O)、等が挙げられる。
「脂肪族環式基」の置換基を除いた基本の環の構造は、炭素および水素からなる基(炭化水素基)であることに限定はされないが、炭化水素基であることが好ましい。
また、「炭化水素基」は飽和または不飽和のいずれでもよいが、通常は飽和であることが好ましい。「脂肪族環式基」は、多環式基であることが好ましい。
脂肪族環式基としては、例えば、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基や、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。また、これらのモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基またはポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基の環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されたものであってもよい。
【0044】
脂肪族環式基を含有する酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基;
(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレンとを有する基、等が挙げられる。
(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基の具体例としては、たとえば、下記一般式(1−1)〜(1−9)で表される基等が挙げられる。
(ii)1価の脂肪族環式基と、これに結合する第3級炭素原子を有する分岐鎖状アルキレン基とを有する基の具体例としては、たとえば、下記一般式(2−1)〜(2−6)で表される基等が挙げられる。
【0045】
【化9】

[式中、R14はアルキル基であり、gは0〜8の整数である。]
【0046】
【化10】

[式中、R15およびR16は、それぞれ独立してアルキル基である。]
【0047】
上記R14のアルキル基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましい。
該直鎖状のアルキル基は、炭素数が1〜5であることが好ましく、1〜4がより好ましく、1または2がさらに好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基等が挙げられる。これらの中でも、メチル基、エチル基またはn−ブチル基が好ましく、メチル基またはエチル基がより好ましい。
該分岐鎖状のアルキル基は、炭素数が3〜10であることが好ましく、3〜5がより好ましい。具体的には、イソプロピル基、イソブチル基、tert−ブチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基等が挙げられ、イソプロピル基であることが最も好ましい。
gは0〜3の整数が好ましく、1〜3の整数がより好ましく、1または2がさらに好ましい。
15〜R16のアルキル基としては、R14のアルキル基と同様のものが挙げられる。
上記式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよい。
また、式(1−1)〜(1−9)、(2−1)〜(2−6)中、環を構成する炭素原子に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子、フッ素化アルキル基が挙げられる。
【0048】
「アセタール型酸解離性溶解抑制基」は、一般的に、カルボキシ基、水酸基等のアルカリ可溶性基末端の水素原子と置換して酸素原子と結合している。そして、露光により酸が発生すると、この酸が作用して、アセタール型酸解離性溶解抑制基と、当該アセタール型酸解離性溶解抑制基が結合した酸素原子との間で結合が切断される。
アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、たとえば、下記一般式(p1)で表される基が挙げられる。
【0049】
【化11】

[式中、R’,R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表し、nは0〜3の整数を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基または脂肪族環式基を表す。]
【0050】
前記式(p1)中、nは、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、0が最も好ましい。
’,R’における炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rにおける炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
本発明においては、R’,R’のうち少なくとも1つが水素原子であることが好ましい。すなわち、酸解離性溶解抑制基(p1)が、下記一般式(p1−1)で表される基であることが好ましい。
【0051】
【化12】

[式中、R’、n、Yは上記と同じである。]
【0052】
Yにおける炭素数1〜5のアルキル基としては、上記Rにおける炭素数1〜5のアルキル基と同様のものが挙げられる。
Yの脂肪族環式基としては、従来ArFレジスト等において多数提案されている単環又は多環式の脂肪族環式基の中から適宜選択して用いることができ、たとえば上記「脂肪族環式基」と同様のものが例示できる。
【0053】
また、アセタール型酸解離性溶解抑制基としては、下記一般式(p2)で示される基も挙げられる。
【0054】
【化13】

[式中、R17、R18はそれぞれ独立して直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキル基または水素原子であり;R19は直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基である。または、R17およびR19がそれぞれ独立に直鎖状若しくは分岐鎖状のアルキレン基であって、R17の末端とR19の末端とが結合して環を形成していてもよい。]
【0055】
17、R18において、アルキル基の炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
特にR17、R18の一方が水素原子で、他方がメチル基であることが好ましい。
19は直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基であり、炭素数は、好ましくは1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状又は環状のいずれでもよい。
19が直鎖状、分岐鎖状の場合は、炭素数1〜5であることが好ましく、エチル基、メチル基がさらに好ましく、特にエチル基が最も好ましい。
19が環状の場合は、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンや、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等のポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
また、上記式(p2)においては、R17及びR19がそれぞれ独立に直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基(好ましくは炭素数1〜5のアルキレン基)であって、R19の末端とR17の末端とが結合していてもよい。
この場合、R17と、R19と、R19が結合した酸素原子と、該酸素原子およびR17が結合した炭素原子とにより環式基が形成されている。該環式基としては、4〜7員環が好ましく、4〜6員環がより好ましい。該環式基の具体例としては、テトラヒドロピラニル基、テトラヒドロフラニル基等が挙げられる。
【0056】
アセタール型酸解離性溶解抑制基の具体例としては、たとえば、下記式(p3−1)〜(p3−12)で表される基等が挙げられる。
【0057】
【化14】

[式中、R13は水素原子またはメチル基であり、gは前記と同じである。]
【0058】
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−0−1)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位等が挙げられる。
【0059】
【化15】

[式中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基または炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり;Xは酸解離性溶解抑制基であり;Yは2価の連結基であり;Xは酸解離性溶解抑制基である。]
【0060】
一般式(a1−0−1)中、Rは、前記式(a0−1)中のRと同様である。
は、酸解離性溶解抑制基であれば特に限定されることはなく、例えば上述した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基、アセタール型酸解離性溶解抑制基などを挙げることができ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基が好ましい。
【0061】
一般式(a1−0−2)において、Rは上記と同様である。
は、式(a1−0−1)中のXと同様である。
の2価の連結基としては、前記式(a0−1)中のRと同様のものが挙げられる。
としては、前記Rについての説明において例示したアルキレン基、2価の脂肪族環式基またはヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましい。これらの中でも、ヘテロ原子を含む2価の連結基が好ましく、特に、ヘテロ原子として酸素原子を有する直鎖状の基、例えばエステル結合を含む基が特に好ましい。
中でも、前記−A−O−B−または−A−C(=O)−O−B−で表される基が好ましく、特に、−(CH−C(=O)−O−(CH−で表される基が好ましい。
xは1〜5の整数であり、1または2が好ましく、1が最も好ましい。
yは1〜5の整数であり、1または2が好ましく、1が最も好ましい。
【0062】
構成単位(a1)として、より具体的には、下記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位が挙げられる。
【0063】
【化16】

[式中、X’は第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基を表し、Yは炭素数1〜5のアルキル基、または脂肪族環式基を表し;nは0〜3の整数を表し;Yは2価の連結基を表し;Rは前記と同じであり、R’、R’はそれぞれ独立して水素原子または炭素数1〜5のアルキル基を表す。]
【0064】
前記式中、X’は、前記Xにおいて例示した第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基と同様のものが挙げられる。
’、R’、n、Yとしては、それぞれ、上述の「アセタール型酸解離性溶解抑制基」の説明において挙げた一般式(p1)におけるR’、R’、n、Yと同様のものが挙げられる。
としては、上述の一般式(a1−0−2)におけるYと同様のものが挙げられる。
以下に、上記一般式(a1−1)〜(a1−4)で表される構成単位の具体例を示す。
以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0065】
【化17】

【0066】
【化18】

【0067】
【化19】

【0068】
【化20】

【0069】
【化21】

【0070】
【化22】

【0071】
【化23】

【0072】
【化24】

【0073】
【化25】

【0074】
構成単位(a1)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、構成単位(a1)としては、特に、ELマージン、LWR、解像性等のリソグラフィー特性、レジストパターン形状が優れることから、前記一般式(a1−1)の具体例として例示した、式(a1−1−1)〜(a1−1−2)、(a1−1−7)〜(a1−1−15)を包含する下記一般式(a1−1−01)で表される構成単位が好ましい。
下記一般式(a1−1−01)で表される構成単位としては、特に、前記式(a1−1−1)〜式(a1−1−2)を包括する下記一般式(a1−1−101)で表される構成単位が好ましい。
【0075】
【化26】

[式中、Rは前記と同じであり、R55およびR11はそれぞれ独立に炭素数1〜5の直鎖状のアルキル基であり、R54は、当該R54が結合した炭素原子と共に脂肪族多環式基を形成する基である。]
【0076】
前記式(a1−1−01)中、R54が、当該R54が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族多環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基において挙げた脂肪族環式基のうち、多環式基であるものと同様のものが挙げられる。
【0077】
また、(A1)成分は、構成単位(a1)として、下記一般式(a1−0−11)で表される構成単位、下記一般式(a1−0−12)で表される構成単位及び下記一般式(a1−0−2)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種の構成単位を有することも好ましい。
【0078】
【化27】

[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であり、R51はアルキル基であり、R52は、当該R52が結合した炭素原子と共に脂肪族単環式基を形成する基であり、R53は分岐鎖状のアルキル基であり、R54は前記式(a1−1−01)におけるR54と同じであり、Yは2価の連結基であり、Xは酸解離性溶解抑制基である。]
【0079】
各式中、R、Y、Xについての説明は前記と同じである。
式(a1−0−11)中、R51のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR14のアルキル基と同様のものが挙げられ、メチル基又はエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。
52が、当該R52が結合した炭素原子と共に形成する脂肪族単環式基としては、前記第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基において挙げた脂肪族環式基のうち、単環式基であるものと同様のものが挙げられる。具体的には、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。該モノシクロアルカンは、3〜11員環であることが好ましく、3〜8員環であることがより好ましく、4〜6員環がさらに好ましく、5または6員環が特に好ましい。
該モノシクロアルカンは、環を構成する炭素原子の一部がエーテル性酸素原子(−O−)で置換されていてもよいし、されていなくてもよい。
また、該モノシクロアルカンは、置換基として、低級アルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基を有していてもよい。
かかる脂肪族単環式基を構成するR52としては、たとえば、炭素原子間にエーテル性酸素原子(−O−)が介在してもよい直鎖状のアルキレン基が挙げられる。
【0080】
式(a1−0−11)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−1−16)〜(a1−1−23)で表される構成単位が挙げられる。これらの中でも、式(a1−1−16)〜(a1−1−17)、(a1−1−20)〜(a1−1−23)で表される構成単位を包括する下記(a1−1−02)で表される構成単位が好ましい。また、下記(a1−1−02’)で表される構成単位も好ましい。
各式中、hは、1または2が好ましく、2が最も好ましい。
【0081】
【化28】

(式中、R、R51はそれぞれ前記と同じであり、hは1〜3の整数である。)
【0082】
式(a1−0−12)中、R53の分岐鎖状のアルキル基としては、前記式(1−1)〜(1−9)中のR14のアルキル基で挙げた分岐鎖状のアルキル基と同様のものが挙げられ、イソプロピル基が最も好ましい。
54は、前記式(a1−1−01)におけるR54と同じである。
式(a1−0−12)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−1−26)〜(a1−1−31)で表される構成単位が挙げられる。
【0083】
式(a1−0−2)で表される構成単位としては、前記式(a1−3)または(a1−4)で表される構成単位が挙げられ、前記式(a1−3)で表される構成単位が特に好ましい。
式(a1−0−2)で表される構成単位としては、特に、式中のYが前記−A−O−B−または−A−C(=O)−O−B−で表される基であるものが好ましい。
かかる構成単位として、好ましいものとしては、下記一般式(a1−3−01)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−02)で表される構成単位;下記一般式(a1−3−03)で表される構成単位などが挙げられる。
【0084】
【化29】

(式中、R、R14は前記と同じであり、R12は水素原子またはメチル基であり、vは1〜10の整数である。)
【0085】
【化30】

(式中、R、R14は前記と同じであり、R12は水素原子またはメチル基であり、vは1〜10の整数であり、n’は0〜3の整数である。)
【0086】
【化31】

[式中、Rは前記と同じであり、Y’およびY”はそれぞれ独立して2価の連結基であり、X’は酸解離性溶解抑制基であり、n”は0〜3の整数である。]
【0087】
式(a1−3−01)〜(a1−3−02)中、R12は、水素原子が好ましい。
vは、1〜8の整数が好ましく、1〜5の整数がより好ましく、1または2が最も好ましい。
n’は、1または2が好ましく、2が最も好ましい。
式(a1−3−01)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−25)〜(a1−3−26)で表される構成単位等が挙げられる。
式(a1−3−02)で表される構成単位の具体例としては、前記式(a1−3−27)〜(a1−3−28)で表される構成単位等が挙げられる。
【0088】
式(a1−3−03)中、Y’、Y” における2価の連結基としては、前記一般式(a1−3)におけるYと同様のものが挙げられる。
’としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
”としては、置換基を有していてもよい2価の炭化水素基が好ましく、直鎖状の脂肪族炭化水素基がより好ましく、直鎖状のアルキレン基がさらに好ましい。中でも、炭素数1〜5の直鎖状のアルキレン基が好ましく、メチレン基、エチレン基が最も好ましい。
X’における酸解離性溶解抑制基は、前記と同様のものが挙げられ、第3級アルキルエステル型酸解離性溶解抑制基であることが好ましく、上述した(i)1価の脂肪族環式基の環骨格上に第3級炭素原子を有する基がより好ましく、中でも、前記一般式(1−1)で表される基が好ましい。
n”は0〜3の整数であり、0〜2の整数であることが好ましく、0または1がより好ましく、1が最も好ましい。
式(a1−3−03)で表される構成単位としては、下記一般式(a1−3−03−1)または(a1−3−03−2)で表される構成単位が好ましい。これらの中でも、式(a1−3−03−1)で表される構成単位が好ましく、前記式(a1−3−29)〜(a1−3−30)で表される構成単位が特に好ましい。
【0089】
【化32】

[式中、RおよびR14はそれぞれ前記と同じであり、vは1〜10の整数であり、wは1〜10の整数であり、tは0〜3の整数である。]
【0090】
vは1〜5の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
wは1〜5の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
tは1〜3の整数が好ましく、1または2が特に好ましい。
【0091】
(A1)成分中、構成単位(a1)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、10〜80モル%が好ましく、20〜70モル%がより好ましく、25〜65モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることによって、レジスト組成物とした際に容易にパターンを得ることができ、上限値以下とすることにより他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0092】
・構成単位(a2)
構成単位(a2)は、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
ここで、ラクトン含有環式基とは、−O−C(O)−構造を含むひとつの環(ラクトン環)を含有する環式基を示す。ラクトン環をひとつの目の環として数え、ラクトン環のみの場合は単環式基、さらに他の環構造を有する場合は、その構造に関わらず多環式基と称する。
なお、本発明において、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位であって前記構成単位(a1)にも該当するものは、前記構成単位(a1)に含まれるものとする。
構成単位(a2)のラクトン環式基は、(A1)成分をレジスト膜の形成に用いた場合に、レジスト膜の基板への密着性を高めたり、水を含有する現像液との親和性を高めたりするうえで有効なものである。
構成単位(a2)としては、特に限定されることなく任意のものが使用可能である。
具体的には、ラクトン含有単環式基としては、4〜6員環ラクトンから水素原子を1つ除いた基、たとえばβ−プロピオラクトンから水素原子を1つ除いた基、γ−ブチロラクトンから水素原子1つを除いた基、δ−バレロラクトンから水素原子を1つ除いた基が挙げられる。また、ラクトン含有多環式基としては、ラクトン環を有するビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンから水素原子一つを除いた基が挙げられる。
構成単位(a2)の例として、より具体的には、下記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位が挙げられる。
【0093】
【化33】

[式中、Rは水素原子、低級アルキル基またはハロゲン化低級アルキル基であり;R’はそれぞれ独立に水素原子、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基または−COOR”であり、R”は水素原子またはアルキル基であり;R29は単結合または2価の連結基であり、s”は0または1〜2の整数であり;A”は酸素原子もしくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子または硫黄原子であり;mは0または1の整数である。]
【0094】
一般式(a2−1)〜(a2−5)におけるRは、前記構成単位(a1)におけるRと同様である。
R’としては、前記一般式(3−1)中のRと同様のものが挙げられる。R’は、工業上入手が容易であること等を考慮すると、水素原子が好ましい。
A”としては、前記一般式(3−1)中のA’と同様のものが挙げられる。
29は単結合または2価の連結基である。2価の連結基としては、前記一般式(a0−1)中のRで説明した2価の連結基と同様であり、それらの中でも、アルキレン基、エステル結合(−C(=O)−O−)、もしくはそれらの組み合わせであることが好ましい。R29における2価の連結基としてのアルキレン基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基がより好ましい。具体的には、前記Rで挙げた直鎖状のアルキレン基、分岐鎖状のアルキレン基と同様のものが挙げられる。
s”は1〜2の整数が好ましい。
以下に、前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の具体例を例示する。以下の各式中、Rαは、水素原子、メチル基またはトリフルオロメチル基を示す。
【0095】
【化34】

【0096】
【化35】

【0097】
【化36】

【0098】
【化37】

【0099】
【化38】

【0100】
また、s’が1である場合の前記一般式(a2−1)〜(a2−5)で表される構成単位の好ましい具体例としては、上記各式中、α位の炭素原子に結合したカルボニルオキシ基における酸素原子(−O−)と、該酸素原子に結合したラクトン含有環式基との間に、−CH−C(=O)−O−、−C(CH−C(=O)−O−が介在するものが挙げられる。
【0101】
(A1)成分において、構成単位(a2)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明において、(A1)成分は、特に、構成単位(a2)として、前記一般式(a2−1)で表される構成単位および前記一般式(a2−2)で表される構成単位からなる群から選択される少なくとも1種を有することが好ましい。
【0102】
(A1)成分中の構成単位(a2)の割合は、当該(A1)成分を含有するポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜の基板等の支持体への密着性、現像液との親和性等に優れることから、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、5〜70モル%であることが好ましく、10〜65モル%がより好ましく、20〜65モル%がさらに好ましく、20〜45モル%が最も好ましい。上記範囲とすることにより、CDU、パターン形状がさらに良好なものとなる。
【0103】
また、(A1)成分においては、種々のリソグラフィー特性に優れることから、前記構成単位(a0)および構成単位(a2)の合計の割合が、(A1)成分を構成する全構成単位に対し、1〜70モル%であることが好ましく、5〜70モル%であることがより好ましく、10〜65モル%であることがさらに好ましく、20〜65モル%が最も好ましい。上記範囲とすることにより、CDU、パターン形状もさらに良好なものとなる。
【0104】
(構成単位(a3))
構成単位(a3)は、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位である。
(A1)成分が構成単位(a3)を有することにより、(A)成分の親水性が高まり、現像液との親和性が高まって、露光部でのアルカリ溶解性が向上し、解像性の向上に寄与する。
極性基としては、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基等が挙げられ、特に水酸基が好ましい。
脂肪族炭化水素基としては、炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基(好ましくはアルキレン基)や、環状の脂肪族炭化水素基(環式基)が挙げられる。該環式基としては、単環式基でも多環式基でもよく、例えばArFエキシマレーザー用レジスト組成物用の樹脂において、多数提案されているものの中から適宜選択して用いることができる。該環式基としては多環式基であることが好ましく、炭素数は7〜30であることがより好ましい。
その中でも、水酸基、シアノ基、カルボキシ基、またはアルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基を含有する脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位がより好ましい。該多環式基としては、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどから2個以上の水素原子を除いた基などを例示できる。具体的には、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから2個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。これらの多環式基の中でも、アダマンタンから2個以上の水素原子を除いた基、ノルボルナンから2個以上の水素原子を除いた基、テトラシクロドデカンから2個以上の水素原子を除いた基が工業上好ましい。
構成単位(a3)としては、極性基含有脂肪族炭化水素基における炭化水素基が炭素数1〜10の直鎖状または分岐鎖状の炭化水素基のときは、アクリル酸のヒドロキシエチルエステルから誘導される構成単位が好ましく、該炭化水素基が多環式基のときは、下記式(a3−1)で表される構成単位、下記式(a3−2)で表される構成単位、下記式(a3−3)で表される構成単位が好ましいものとして挙げられる。
【0105】
【化39】

(式中、Rは前記と同じであり、jは1〜3の整数であり、kは1〜3の整数であり、t’は1〜3の整数であり、lは1〜5の整数であり、sは1〜3の整数である。)
【0106】
式(a3−1)中、jは1又は2であることが好ましく、1であることがさらに好ましい。jが2の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位と5位に結合しているものが好ましい。jが1の場合は、水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。jは1であることが好ましく、特に水酸基がアダマンチル基の3位に結合しているものが好ましい。
式(a3−2)中、kは1であることが好ましい。シアノ基は、ノルボルニル基の5位または6位に結合していることが好ましい。
式(a3−3)中、t’は1であることが好ましい。lは1であることが好ましい。sは1であることが好ましい。これらは、アクリル酸のカルボキシ基の末端に、2−ノルボルニル基または3−ノルボルニル基が結合していることが好ましい。フッ素化アルキルアルコールは、ノルボルニル基の5又は6位に結合していることが好ましい。
【0107】
構成単位(a3)は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
(A1)成分中の構成単位(a3)の割合は、当該(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対し、5〜50モル%であることが好ましく、5〜40モル%がより好ましく、5〜25モル%がさらに好ましい。下限値以上とすることにより、構成単位(a3)を含有させることによる効果が充分に得られ、上限値以下とすることにより、他の構成単位とのバランスをとることができる。
【0108】
(その他の構成単位)
(A1)成分は、本発明の効果を損なわない範囲で、上記構成単位(a0)、(a1)、(a2)及び(a3)以外の他の構成単位を含んでいてもよい。
かかる他の構成単位は、上述の構成単位(a0)、(a1)、(a2)及び(a3)に分類されない他の構成単位であれば特に限定されるものではなく、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト用樹脂に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
かかる他の構成単位としては、たとえば、酸非解離性の脂肪族多環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a4)などが好ましい。
該多環式基は、例えば、前記の構成単位(a1)の場合に例示したものと同様のものを例示することができ、ArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のレジスト組成物の樹脂成分に用いられるものとして従来から知られている多数のものが使用可能である。
特にトリシクロデカニル基、アダマンチル基、テトラシクロドデカニル基、イソボルニル基、ノルボルニル基から選ばれる少なくとも1種であると、工業上入手し易いなどの点で好ましい。これらの多環式基は、炭素数1〜5の直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基を置換基として有していてもよい。
構成単位(a4)として、具体的には、下記一般式(a4−1)〜(a4−5)の構造のものを例示することができる。
【0109】
【化40】

(式中、Rは前記と同じである。)
【0110】
かかる構成単位(a4)を(A1)成分に含有させる場合、構成単位(a4)の割合は、(A1)成分を構成する全構成単位の合計に対して、1〜30モル%が好ましく、10〜20モル%がより好ましい。
【0111】
本発明において、(A1)成分は、構成単位(a0)を有し、かつ、その構造中に酸解離性溶解抑制基を含む高分子化合物である。
かかる(A1)成分としては、たとえば、構成単位(a0)および(a1)を有する共重合体を含有することが好ましい。該共重合体としては、構成単位(a0)および(a1)からなる共重合体;構成単位(a0)、(a1)および(a3)からなる共重合体;
構成単位(a0)、(a1)および(a2)からなる共重合体;構成単位(a0)、(a1)、(a2)および(a3)からなる共重合体等が例示できる。
【0112】
本発明において、(A1)成分としては、特に下記の様な構成単位の組み合わせを含む共重合体(高分子化合物(A1−1)〜(A1−7))が好ましい。
【0113】
【化41】

[式中、R、R02、A’はそれぞれ前記と同じである。複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R20およびR51’はそれぞれアルキル基である。]
【0114】
【化42】

[式中、R、R02、A’、R51はそれぞれ前記と同じである。複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R20はアルキル基である。]
【0115】
【化43】

[式中、R、R02、A’はそれぞれ前記と同じである。複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R20はアルキル基である。]
【0116】
【化44】

[式中、R、R02、A’、R14、v、wはそれぞれ前記と同じである。複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R20はアルキル基である。]
【0117】
【化45】

[式中、R、R02、A’はそれぞれ前記と同じである。複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R20はアルキル基である。]
【0118】
【化46】

[式中、R、R02、A’、R51、hはそれぞれ前記と同じである。複数のRはそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R20はアルキル基である。]
【0119】
【化47】

[式中、R、R02、A’、R51、h、R29、A”、R’はそれぞれ前記と同じである。複数のRおよびR’はそれぞれ同じであっても異なっていてもよい。R20はアルキル基である。]
【0120】
高分子化合物(A1−1)〜(A1−7)をそれぞれ示す上記化学式中、R20のアルキル基は、前記R14のアルキル基と同様のものが挙げられ、直鎖状又は分岐鎖状のアルキル基であることが好ましい。直鎖状のアルキル基としては、メチル基又はエチル基が好ましい。分岐鎖状のアルキル基としては、イソプロピル基が最も好ましい。
上記化学式中、R51のアルキル基は、Rの低級アルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
上記化学式中、R51’のアルキル基は、Rの低級アルキル基と同様であり、メチル基またはエチル基が好ましく、エチル基が最も好ましい。
上記化学式中、A’は、前記一般式(a0−1−11)におけるA’と同じであり、酸素原子、メチレン基又はエチレン基であることが好ましい。
【0121】
(A1)成分の質量平均分子量(Mw)(ゲルパーミエーションクロマトグラフィーによるポリスチレン換算基準)は、特に限定されるものではなく、2000〜50000が好ましく、3000〜30000がより好ましく、5000〜20000が最も好ましい。この範囲の上限値以下であると、レジストとして用いるのに充分なレジスト溶剤への溶解性があり、この範囲の下限値以上であると、耐ドライエッチング性やレジストパターン断面形状が良好である。
また、分散度(Mw/Mn)は1.0〜5.0が好ましく、1.0〜3.0がより好ましく、1.2〜2.5が最も好ましい。なお、Mnは数平均分子量を示す。
【0122】
(A)成分中、(A1)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(A)成分中の(A1)成分の割合は、(A)成分の総質量に対し、25質量%以上が好ましく、50質量%がより好ましく、75質量%がさらに好ましく、100質量%であってもよい。該割合が25質量%以上であると、矩形性のより高いレジストパターンが形成され、リソグラフィー特性等の効果も向上する。また、基材成分(A)の有機溶剤への溶解性がより向上する。
【0123】
(A1)成分は、各構成単位を誘導するモノマーを、例えばアゾビスイソブチロニトリル(AIBN)のようなラジカル重合開始剤を用いた公知のラジカル重合等によって重合させることによって得ることができる。
また、(A1)成分には、上記重合の際に、たとえばHS−CH−CH−CH−C(CF−OHのような連鎖移動剤を併用して用いることにより、末端に−C(CF−OH基を導入してもよい。このように、アルキル基の水素原子の一部がフッ素原子で置換されたヒドロキシアルキル基が導入された共重合体は、現像欠陥の低減やLER(ラインエッジラフネス:ライン側壁の不均一な凹凸)の低減に有効である。
【0124】
各構成単位を誘導するモノマーは、市販のものを用いてもよく、公知の方法を利用して合成してもよい。
たとえば、構成単位(a0)を誘導するモノマーとしては、下記一般式(a0−1−0)で表される化合物(以下「化合物(a0−1−0)」という。)が挙げられる。
【0125】
【化48】

[式(a0−1−0)中、R、RおよびRはそれぞれ前記と同じである。]
【0126】
かかる化合物(a0−1−0)の製造方法は特に限定されず、公知の方法を利用して製造できる。
たとえば、塩基の存在下、下記一般式(X−1)で表される化合物(X−1)が反応溶媒に溶解した溶液に、下記一般式(X−2)で表される化合物(X−2)を添加し、反応させることにより、上記化合物(a0−1−0)が得られる。
塩基としては、たとえば水素化ナトリウム、KCO、CsCO等の無機塩基;トリエチルアミン、4−ジメチルアミノピリジン(DMAP)、ピリジン等の有機塩基等が挙げられる。縮合剤としては、例えばエチルジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDCI)塩酸塩、ジシクロヘキシルカルボキシイミド(DCC)、ジイソプロピルカルボジイミド、カルボジイミダゾール等のカルボジイミド試薬やテトラエチルピロホスフェイト、ベンゾトリアゾール−N−ヒドロキシトリスジメチルアミノホスホニウムヘキサフルオロリン化物塩(Bop試薬)等が挙げられる。
また、必要に応じて酸を用いてもよい。酸としては、脱水縮合等で通常用いられるものを使用することができ、具体的には塩酸、硫酸、リン酸等の無機酸類や、メタンスルホン酸、トリフルオロメタンスルホン酸、ベンゼンスルホン酸、p−トルエンスルホン酸等の有機酸類が挙げられる。これらは単独で使用してもよいし、2種類以上を組み合わせて使用してもよい。
【0127】
【化49】

【0128】
本発明のポジ型レジスト組成物は、(A)成分として、前記(A1)成分に該当しない、酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(以下「(A2)成分」という。)を含有してもよい。
(A2)成分としては、特に限定されず、化学増幅型ポジ型レジスト組成物用の基材成分として従来から知られている多数のもの(たとえばArFエキシマレーザー用、KrFエキシマレーザー用(好ましくはArFエキシマレーザー用)等のベース樹脂)から任意に選択して用いればよい。たとえばArFエキシマレーザー用のベース樹脂としては、前記構成単位(a1)を必須の構成単位として有し、任意に前記構成単位(a2)〜(a4)をさらに有する樹脂が挙げられる。
(A2)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0129】
(A)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
本発明のレジスト組成物中、(A)成分の含有量は、形成しようとするレジスト膜厚等に応じて調整すればよい。
【0130】
<(B)成分>
(B)成分は、下記一般式(b1−1)で表される化合物からなる酸発生剤(B1)(以下「(B1)成分」という。)を含有する。
【0131】
【化50】

[式(b1−1)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基である。ただし、−SOにおける硫黄原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していない。Zは有機カチオンである。]
【0132】
前記式(b1−1)中、Rにおける炭化水素基は、置換基を有していてもよく有していなくてもよい。
ただし、−SOにおける硫黄原子に隣接する炭素原子には、フッ素原子は結合していない。このため、(B1)成分は、たとえば、−SOにおける硫黄原子に隣接する炭素原子にフッ素原子が結合しているものに比べて、酸強度の弱いスルホン酸を露光により発生する。そして、本発明においては、レジストパターン形状がより良好になる。また、リソグラフィー特性も向上する。
該置換基は、フッ素原子を含有しないものが好ましく、たとえば炭素数1〜5の低級アルキル基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
【0133】
における炭素数1〜12の炭化水素基は、脂肪族炭化水素基であっても芳香族炭化水素基であってもよい。炭素数1〜12の炭化水素基であることにより、レジストパターンの矩形性が向上する。
【0134】
における炭化水素基が脂肪族炭化水素基である場合、該脂肪族炭化水素基は、飽和または不飽和のいずれでもよく、通常は飽和であることが好ましい。
また、脂肪族炭化水素基は、鎖状(直鎖状、分岐鎖状)であってもよく、環状であってもよい。
鎖状の炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、該アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数が1〜8であることがより好ましく、3〜8であることがさらに好ましい。
直鎖状または分岐鎖状のアルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基等が挙げられる。これらの中でもメチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−オクチル基が好ましく、特にn−オクチル基が好ましい。
【0135】
アニオン部として、Rが直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であるスルホン酸イオンを有する(B1)成分の具体例としては、たとえば、カチオン部として後述の一般式(I−1)、(I−2)、(I−5)または(I−6)で表されるカチオンを有し、かつ、アニオン部として下記一般式(b1−1−1)で表されるスルホン酸イオンを有するオニウム塩が挙げられる。
【0136】
【化51】

[式中、aは1〜10の整数である。]
【0137】
前記式(b1−1−1)中、aは1〜10の整数であり、好ましくは1〜8の整数である。
一般式(b1−1−1)で表されるスルホン酸イオンの具体例としては、たとえば、メタンスルホネートイオン、エタンスルホネートイオン、n−プロパンスルホネートイオン、n−ブタンスルホネートイオン、n−オクタンスルホネートイオン等が挙げられる。
【0138】
の炭化水素基において、環状の炭化水素基としては、脂肪族環式基や、鎖状の炭化水素基の水素原子の少なくとも1つが脂肪族環式基で置換された基(脂肪族環式基含有基)等が挙げられる。
前記「脂肪族環式基」としては、前記(A)成分の酸解離性溶解抑制基における「脂肪族環式基」として挙げたものと同様のものが挙げられ、炭素数が3〜12であることが好ましく、炭素数が4〜10であることがより好ましい。
脂肪族環式基は、多環式基であってもよく、単環式基であってもよい。
単環式基としては、炭素数3〜6のモノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、たとえばシクロペンチル基、シクロヘキシル基等が例示できる。
多環式基としては、炭素数7〜12が好ましく、具体的には、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等が挙げられる。
これらの中でも、多環式基が好ましく、工業上、アダマンチル基、ノルボルニル基、テトラシクロドデカニル基が好ましい。また、これらの脂肪族環式基は、上述したように、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。
前記「脂肪族環式基含有基」における脂肪族環式基としては、上記と同様のものが挙げられる。「脂肪族環式基含有基」において脂肪族環式基が結合する鎖状の炭化水素基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基が好ましく、炭素数1〜5の低級アルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、これらの中でも、直鎖状のアルキル基が好ましく、工業的にはメチル基またはエチル基が好ましい。
【0139】
が環状の炭化水素基であるスルホン酸イオンの具体例としては、たとえば下記式(b1−1−21)〜(b1−1−26)で表されるものが挙げられる。
【0140】
【化52】

【0141】
また、Rが環状の炭化水素基であるスルホン酸イオンとしては、下記一般式(b1−1−20)で表されるものも好ましい。
【0142】
【化53】

[式(b1−1−20)中、R0Xは置換基として酸素原子(=O)を有する炭素数4〜12の環状のアルキル基を表し;rは0または1を表す。]
【0143】
前記一般式(b1−1−20)中、R0Xは、置換基として酸素原子(=O)を有する炭素数4〜12の環状のアルキル基を表す。
「置換基として酸素原子(=O)を有する」とは、炭素数4〜12の環状のアルキル基を構成する1の炭素原子に結合する2つの水素原子が、酸素原子(=O)と置換されている基を意味する。
0Xの環状のアルキル基としては、炭素数4〜12であれば特に制限はなく、多環式基、単環式基のいずれでもよく、例えば、モノシクロアルカンや、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカン等のポリシクロアルカンから、1個の水素原子を除いた基等が挙げられる。単環式基としては、炭素数3〜8のモノシクロアルカンから1個の水素原子を除いた基が好ましく、具体的には、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が例示できる。多環式基としては、炭素数7〜12が好ましく、具体的には、アダマンチル基、ノルボルニル基、イソボルニル基、トリシクロデカニル基、テトラシクロドデカニル基等が挙げられる。
0Xとしては、置換基として酸素原子(=O)を有する炭素数4〜12の多環式のアルキル基が好ましく、工業上、アダマンチル基、ノルボルニル基、またはテトラシクロドデカニル基を構成する1の炭素原子に結合する2つの水素原子が、酸素原子(=O)と置換されている基が好ましく、特に置換基として酸素原子(=O)を有するノルボルニル基が好ましい。
【0144】
0Xとしては、酸素原子以外にも置換基を有していてもよい。該置換基としては、炭素数1〜5の低級アルキル基等が挙げられる。
【0145】
前記一般式(b1−1−20)中、rは、0または1を表し、1であることが好ましい。
【0146】
本発明における化合物(b1−1−20)におけるアニオン部として具体的には、下記式(b1−1−201)〜(b1−1−202)で表されるアニオンが好適なものとして挙げられる。
なかでも、下記式(b1−1−21)で表されるカンファースルホン酸イオンであることが、本発明の効果に優れるため好ましい。
【0147】
【化54】

【0148】
の炭化水素基において、芳香族炭化水素基としては、フェニル基、トリル基、キシリル基、メシチル基、フェネチル基、ナフチル基などが挙げられる。芳香族炭化水素基は、上述したように、置換基を有していてもよく、有していなくてもよい。
が芳香族炭化水素基である場合の具体例としては、たとえば下記式(b1−1−31)または(b1−1−32)で表される基が挙げられる。
【0149】
【化55】

【0150】
式(b1−1−31)中、R61およびR62は、それぞれ独立に、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基である。
61およびR62のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、特にメチル基が好ましい。
61およびR62のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などが挙げられ、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
dおよびeは、それぞれ独立に、0〜4の整数であり、好ましくは0〜2であり、最も好ましくは0である。
dおよび/またはeが2以上の整数であって、R61および/またはR62が複数存在する場合、複数のR61および/またはR62は、互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
【0151】
式(b1−1−32)中、R63は、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数1〜5のアルコキシ基である。
63のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、tert−ブチル基、ペンチル基、イソペンチル基、ネオペンチル基などが挙げられ、特にメチル基が好ましい。
63のアルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基などが挙げられ、特にメトキシ基、エトキシ基が好ましい。
fは0〜3の整数であり、好ましくは1又は2であり、最も好ましくは1である。
fが2以上の整数であって、R63が複数存在する場合、複数のR63は互いに同じであってもよく異なっていてもよい。
【0152】
前記式(b1−1)中、Zの有機カチオンとしては、特に限定されず、従来、オニウム塩系酸発生剤のカチオン部として知られているものを適宜用いることができる。かかるカチオン部としては、スルホニウムイオンまたはヨードニウムイオンが好ましく、特にスルホニウムイオンが好ましい。
の有機カチオンの具体例としては、たとえば、下記一般式(I−1)または(I−2)で表されるカチオンが挙げられる。
【0153】
【化56】

[式中、R”〜R”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいアルキル基であり、R”〜R”のうち少なくとも1つは前記アリール基であり、R”〜R”のうちの2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよい。式中、R”〜R”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいアルキル基であり、R”〜R”のうち少なくとも1つは前記アリール基である。]
【0154】
式(I−1)中、R”〜R”は、それぞれ独立に、アリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成してもよい。
また、R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のうち、2以上がアリール基であることが好ましく、R”〜R”のすべてがアリール基であることが最も好ましい。
【0155】
”〜R”のアリール基としては、特に制限はなく、例えば、炭素数6〜20の無置換のアリール基、該無置換のアリール基の水素原子の一部または全部がアルキル基、アルコキシ基、アルコキシアルキルオキシ基、アルコキシカルボニルアルキルオキシ基、ハロゲン原子、水酸基等で置換された置換アリール基、−(R’)−C(=O)−R’が挙げられる。R’は炭素数1〜5のアルキレン基である。R’はアリール基である。R’のアリール基としては、前記R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
無置換のアリール基としては、安価に合成可能なことから、炭素数6〜10のアリール基が好ましい。具体的には、たとえばフェニル基、ナフチル基が挙げられる。
【0156】
置換アリール基におけるアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
置換アリール基におけるアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基であることが最も好ましい。
置換アリール基におけるハロゲン原子としては、フッ素原子が好ましい。
【0157】
置換アリール基におけるアルコキシアルキルオキシ基としては、たとえば、一般式:−O−C(R47)(R48)−O−R49[式中、R47、R48はそれぞれ独立して水素原子または直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキル基であり、R49はアルキル基である。
47、R48において、アルキル基の炭素数は好ましくは1〜5であり、直鎖状、分岐鎖状のいずれでもよく、エチル基、メチル基が好ましく、メチル基が最も好ましい。
47、R48は、少なくとも一方が水素原子であることが好ましい。特に、一方が水素原子であり、他方が水素原子またはメチル基であることがより好ましい。
49のアルキル基としては、好ましくは炭素数が1〜15であり、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
49における直鎖状、分岐鎖状のアルキル基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基などが挙げられる。
49における環状のアルキル基としては、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜12であることがさらに好ましく、炭素数5〜10が最も好ましい。具体的には炭素数1〜5のアルキル基、フッ素原子またはフッ素化アルキル基で置換されていてもよいし、されていなくてもよいモノシクロアルカン、ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。モノシクロアルカンとしては、シクロペンタン、シクロヘキサン等が挙げられる。ポリシクロアルカンとしては、アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカン等が挙げられる。中でもアダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましい。
【0158】
置換アリール基におけるアルコキシカルボニルアルキルオキシ基としては、たとえば、一般式:−O−R50−C(=O)−O−R56[式中、R50は直鎖状もしくは分岐鎖状のアルキレン基であり、R56は第3級アルキル基である。]で表される基が挙げられる。
50における直鎖状、分岐鎖状のアルキレン基としては、炭素数が1〜5であることが好ましく、例えば、メチレン基、エチレン基、トリメチレン基、テトラメチレン基、1,1−ジメチルエチレン基などが挙げられる。
56における第3級アルキル基としては、2−メチル−2−アダマンチル基、2−エチル−2−アダマンチル基、1−メチル−1−シクロペンチル基、1−エチル−1−シクロペンチル基、1−メチル−1−シクロヘキシル基、1−エチル−1−シクロヘキシル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−アダマンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロペンチル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロペンチル)−1−メチルペンチル基;1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルエチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルプロピル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルブチル基、1−(1−シクロヘキシル)−1−メチルペンチル基、tert−ブチル基、tert−ペンチル基、tert−ヘキシル基などが挙げられる。
【0159】
”〜R”のアリール基としては、それぞれ、フェニル基またはナフチル基であることが好ましい。
【0160】
”〜R”のアルキル基としては、特に制限はなく、例えば炭素数1〜10の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。解像性に優れる点から、炭素数1〜5であることが好ましい。具体的には、メチル基、エチル基、n−プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、n−ペンチル基、シクロペンチル基、ヘキシル基、シクロヘキシル基、ノニル基、デカニル基等が挙げられ、解像性に優れ、また安価に合成可能なことから好ましいものとして、メチル基を挙げることができる。
【0161】
”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、イオウ原子を含めて3〜10員環を形成していることが好ましく、5〜7員環を形成していることが特に好ましい。
”〜R”のうち、いずれか2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成する場合、残りの1つは、アリール基であることが好ましい。前記アリール基は、前記R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
【0162】
式(I−1)で表されるカチオン部の具体例としては、たとえば、トリフェニルスルホニウム、(3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−(2−アダマントキシメチルオキシ)−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−(2−アダマントキシメチルオキシ)フェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)フェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−(tert−ブトキシカルボニルメチルオキシ)−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−(2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチルオキシ)フェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−(2−メチル−2−アダマンチルオキシカルボニルメチルオキシ)−3,5−ジメチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウム、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウム、モノフェニルジメチルスルホニウム、ジフェニルモノメチルスルホニウム、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウム、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウム、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウム、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウム、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウム、1−フェニルテトラヒドロチオフェニウム、1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウム、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウム、1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム、1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム、1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウム、1−フェニルテトラヒドロチオピラニウム、1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウム、1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウム、1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウム等が挙げられる。
【0163】
式(I−2)中、R”〜R”はそれぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のすべてがアリール基であることが好ましい。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”は、すべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(I−2)で表されるカチオン部の具体例としては、ジフェニルヨードニウム、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウム等が挙げられる。
【0164】
また、Zの有機カチオンの好適なものとして、下記一般式(I−5)または(I−6)で表されるカチオンも挙げられる。
【0165】
【化57】

[式中、R40は水素原子またはアルキル基であり、R41はアルキル基、アセチル基、カルボキシ基、またはヒドロキシアルキル基であり、R42〜R46はそれぞれ独立してアルキル基、アセチル基、アルコキシ基、カルボキシ基、またはヒドロキシアルキル基であり;n〜nはそれぞれ独立して0〜3の整数であり、ただし、n+nは5以下であり、nは0〜2の整数である。]
【0166】
一般式(I−5)または(I−6)中のR40〜R46において、アルキル基は、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルキル基がより好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、又はtert−ブチル基であることが特に好ましい。
アルコキシ基は、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、なかでも直鎖または分岐鎖状のアルコキシ基がより好ましく、メトキシ基、エトキシ基が特に好ましい。
ヒドロキシアルキル基は、上記アルキル基中の一個又は複数個の水素原子がヒドロキシ基に置換した基が好ましく、ヒドロキシメチル基、ヒドロキシエチル基、ヒドロキシプロピル基等が挙げられる。
OR40に付された符号nが2以上の整数である場合、複数のOR40はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
41〜R46に付された符号n〜nが2以上の整数である場合、複数のR41〜R46はそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
は、好ましくは0又は1である。
は、好ましくは0〜2である。
およびnは、好ましくはそれぞれ独立して0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0〜2であり、より好ましくは0又は1である。
は、好ましくは0又は1であり、より好ましくは0である。
は、好ましくは0又は1である。
【0167】
としては、式(I−1)または(I−5)で表されるカチオン部が好ましく、特に、下記式(I−1−1)〜(I−1−12)、(I−5−1)〜(I−5−4)で表されるカチオン部が好ましい。中でも、式(I−1−1)〜(I−1−10)で表されるカチオン部等の、トリフェニル骨格のカチオン部がより好ましい。
式(I−1−9)〜(I−1−10)中、R、R10は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、ナフチル基または炭素数1〜5のアルキル基、アルコキシ基、水酸基である。
uは1〜3の整数であり、1または2が最も好ましい。
【0168】
【化58】

【0169】
【化59】

【0170】
【化60】

【0171】
【化61】

【0172】
上記のなかでも、(B1)成分としては、下記一般式(b1−11)で表される化合物が好ましい。
【0173】
【化62】

[式中、R”〜R”、 R0X、rはそれぞれ前記と同じである。]
【0174】
以下に、(B1)成分の好適な具体例を示す。
【0175】
【化63】

【0176】
(B1)成分としては、1種を単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明のポジ型レジスト組成物における(B1)成分の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.1〜40質量部が好ましく、0.5〜20質量%がより好ましく、1〜15質量%以上がさらに好ましい。上記範囲の下限値以上であると、本発明の効果がより向上する。上限値以下であると、感度、リソグラフィー特性にも優れる。
(B)成分中、(B1)成分の割合は、(B)成分の総質量に対し、3質量%以上が好ましく、5〜50質量%がより好ましく、7〜35質量%以上がさらに好ましい。(B1)成分の割合が上記範囲の下限値以上であると、本発明の効果が向上する。
【0177】
[(B2)成分]
本発明のレジスト組成物は、(B)成分として、必要に応じて、上記(B1)成分以外の酸発生剤(以下「(B2)成分」という。)を含有してもよい。
(B2)成分としては、上記(B1)成分に該当しないものであれば特に限定されず、これまで、ヨードニウム塩やスルホニウム塩などのオニウム塩系酸発生剤、オキシムスルホネート系酸発生剤、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類などのジアゾメタン系酸発生剤、ニトロベンジルスルホネート系酸発生剤、イミノスルホネート系酸発生剤、ジスルホン系酸発生剤など多種のものが知られている。
【0178】
上記(B1)成分に該当しないオニウム塩系酸発生剤としては、たとえば下記一般式(b−1)または(b−2)で表される化合物を用いることができる。
【0179】
【化64】

[式中、R”〜R”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいアルキル基であり、R”〜R”のうち少なくとも1つは前記アリール基であり、R”〜R”のうちの2つが相互に結合して式中のイオウ原子と共に環を形成していてもよい。式中、R”〜R”は、それぞれ独立に、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいアルキル基であり、R”〜R”のうち少なくとも1つは前記アリール基である。R”は、置換基を有していてもよいハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基を表す。]
【0180】
式(b−1)中、R”〜R”は、それぞれ前記式(I−1)中のR”〜R”と同じである。
式(b−2)中、R”〜R”は、それぞれ前記式(I−2)中のR”〜R”と同じである。
【0181】
”は、置換基を有していてもよいハロゲン化アルキル基、置換基を有していてもよいアリール基、または置換基を有していてもよいアルケニル基を表す。
”におけるハロゲン化アルキル基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基の水素原子の一部または全部がハロゲン原子で置換された基が挙げられる。該ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
ハロゲン化アルキル基におけるアルキル基は、直鎖状または分岐鎖状のアルキル基である場合、炭素数は1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8であることがさらに好ましく、炭素数1〜4であることが最も好ましく;環状のアルキル基である場合、炭素数4〜15であることが好ましく、炭素数4〜10であることがさらに好ましく、炭素数6〜10であることが最も好ましい。
ハロゲン化アルキル基においては、当該ハロゲン化アルキル基に含まれるハロゲン原子および水素原子の合計数に対するハロゲン原子の数の割合(ハロゲン化率(%))が、10〜100%であることが好ましく、50〜100%であることが好ましく、100%が最も好ましい。該ハロゲン化率が高いほど、酸の強度が強くなるため好ましい。
前記R”におけるアリール基は、炭素数6〜20のアリール基であることが好ましい。
前記R”におけるアルケニル基は、炭素数2〜10のアルケニル基であることが好ましい。
前記R”において、「置換基を有していてもよい」とは、前記直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アリール基、またはアルケニル基における水素原子の一部または全部が置換基(水素原子以外の他の原子または基)で置換されていてもよいことを意味する。
”における置換基の数は、1つであってもよく、2つ以上であってもよい。
【0182】
前記置換基としては、例えば、ハロゲン原子、ヘテロ原子、アルキル基、式:X−Q−[式中、Qは酸素原子を含む2価の連結基であり、Xは置換基を有していてもよい炭素数3〜30の炭化水素基である。]で表される基等が挙げられる。
前記ハロゲン原子、アルキル基としては、R”において、ハロゲン化アルキル基におけるハロゲン原子、アルキル基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
前記ヘテロ原子としては、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。
【0183】
X−Q−で表される基において、Qは、酸素原子を含む2価の連結基である。
は、酸素原子以外の原子を含有してもよい。酸素原子以外の原子としては、たとえば炭素原子、水素原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。
酸素原子を含む2価の連結基としては、たとえば、酸素原子(エーテル結合;−O−)、エステル結合(−C(=O)−O−)、アミド結合(−C(=O)−NH−)、カルボニル基(−C(=O)−)、カーボネート結合(−O−C(=O)−O−)等の非炭化水素系の酸素原子含有連結基;該非炭化水素系の酸素原子含有連結基とアルキレン基との組み合わせ等が挙げられる。
該組み合わせとしては、たとえば、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−、−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−(式中、R91〜R93はそれぞれ独立にアルキレン基である。)等が挙げられる。
91〜R93におけるアルキレン基としては、直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基が好ましく、該アルキレン基の炭素数は、1〜12が好ましく、1〜5がより好ましく、1〜3が特に好ましい。
該アルキレン基として、具体的には、たとえばメチレン基[−CH−];−CH(CH)−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−C(CH)(CHCH)−、−C(CH)(CHCHCH)−、−C(CHCH−等のアルキルメチレン基;エチレン基[−CHCH−];−CH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−等のアルキルエチレン基;トリメチレン基(n−プロピレン基)[−CHCHCH−];−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−等のアルキルトリメチレン基;テトラメチレン基[−CHCHCHCH−];−CH(CH)CHCHCH−、−CHCH(CH)CHCH−等のアルキルテトラメチレン基;ペンタメチレン基[−CHCHCHCHCH−]等が挙げられる。
としては、エステル結合またはエーテル結合を含む2価の連結基が好ましく、なかでも、−R91−O−、−R92−O−C(=O)−または−C(=O)−O−R93−O−C(=O)−が好ましい。
【0184】
X−Q−で表される基において、Xの炭化水素基は、芳香族炭化水素基であってもよく、脂肪族炭化水素基であってもよい。
【0185】
芳香族炭化水素基は、芳香環を有する炭化水素基である。該芳香族炭化水素基の炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。ただし、該炭素数には、置換基における炭素数を含まないものとする。
芳香族炭化水素基として、具体的には、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素環から水素原子を1つ除いたアリール基、ベンジル基、フェネチル基、1−ナフチルメチル基、2−ナフチルメチル基、1−ナフチルエチル基、2−ナフチルエチル基等のアリールアルキル基等が挙げられる。前記アリールアルキル基中のアルキル鎖の炭素数は、1〜4であることが好ましく、1〜2であることがより好ましく、1であることが特に好ましい。
【0186】
該芳香族炭化水素基は、置換基を有していてもよい。たとえば当該芳香族炭化水素基が有する芳香環を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子で置換されていてもよく、当該芳香族炭化水素基が有する芳香環に結合した水素原子が置換基で置換されていてもよい。
前者の例としては、前記アリール基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基、前記アリールアルキル基中の芳香族炭化水素環を構成する炭素原子の一部が前記ヘテロ原子で置換されたヘテロアリールアルキル基等が挙げられる。
後者の例における芳香族炭化水素基の置換基としては、たとえば、アルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのアルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記芳香族炭化水素基の置換基としてのハロゲン化アルキル基としては、前記アルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0187】
Xにおける脂肪族炭化水素基は、飽和脂肪族炭化水素基であってもよく、不飽和脂肪族炭化水素基であってもよい。また、脂肪族炭化水素基は、直鎖状、分岐鎖状、環状のいずれであってもよい。
Xにおいて、脂肪族炭化水素基は、当該脂肪族炭化水素基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよく、当該脂肪族炭化水素基を構成する水素原子の一部または全部がヘテロ原子を含む置換基で置換されていてもよい。
Xにおける「ヘテロ原子」としては、炭素原子および水素原子以外の原子であれば特に限定されず、たとえばハロゲン原子、酸素原子、硫黄原子、窒素原子等が挙げられる。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、ヨウ素原子、臭素原子等が挙げられる。
ヘテロ原子を含む置換基は、前記ヘテロ原子のみからなるものであってもよく、前記ヘテロ原子以外の基または原子を含む基であってもよい。
炭素原子の一部を置換する置換基として、具体的には、たとえば−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等が挙げられる。脂肪族炭化水素基が環状である場合、これらの置換基を環構造中に含んでいてもよい。
水素原子の一部または全部を置換する置換基として、具体的には、たとえばアルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)、シアノ基等が挙げられる。
前記アルコキシ基としては、炭素数1〜5のアルコキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基、n−プロポキシ基、iso−プロポキシ基、n−ブトキシ基、tert−ブトキシ基が好ましく、メトキシ基、エトキシ基が最も好ましい。
前記ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、フッ素原子が好ましい。
前記ハロゲン化アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基、たとえばメチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基等のアルキル基の水素原子の一部または全部が前記ハロゲン原子で置換された基が挙げられる。
【0188】
脂肪族炭化水素基としては、直鎖状もしくは分岐鎖状の飽和炭化水素基、直鎖状もしくは分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基、または環状の脂肪族炭化水素基(脂肪族環式基)が好ましい。
直鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が1〜20であることが好ましく、1〜15であることがより好ましく、1〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基、オクチル基、ノニル基、デカニル基、ウンデシル基、ドデシル基、トリデシル基、イソトリデシル基、テトラデシル基、ペンタデシル基、ヘキサデシル基、イソヘキサデシル基、ヘプタデシル基、オクタデシル基、ノナデシル基、イコシル基、ヘンイコシル基、ドコシル基等が挙げられる。
分岐鎖状の飽和炭化水素基(アルキル基)としては、炭素数が3〜20であることが好ましく、3〜15であることがより好ましく、3〜10が最も好ましい。具体的には、例えば、1−メチルエチル基、1−メチルプロピル基、2−メチルプロピル基、1−メチルブチル基、2−メチルブチル基、3−メチルブチル基、1−エチルブチル基、2−エチルブチル基、1−メチルペンチル基、2−メチルペンチル基、3−メチルペンチル基、4−メチルペンチル基などが挙げられる。
【0189】
不飽和炭化水素基としては、炭素数が2〜10であることが好ましく、2〜5が好ましく、2〜4が好ましく、3が特に好ましい。直鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、ビニル基、プロペニル基(アリル基)、ブチニル基などが挙げられる。分岐鎖状の1価の不飽和炭化水素基としては、例えば、1−メチルプロペニル基、2−メチルプロペニル基などが挙げられる。
不飽和炭化水素基としては、上記の中でも、特にプロペニル基が好ましい。
【0190】
脂肪族環式基としては、単環式基であってもよく、多環式基であってもよい。その炭素数は3〜30であることが好ましく、5〜30であることがより好ましく、5〜20がさらに好ましく、6〜15が特に好ましく、6〜12が最も好ましい。
具体的には、たとえば、モノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;ビシクロアルカン、トリシクロアルカン、テトラシクロアルカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。より具体的には、シクロペンタン、シクロヘキサン等のモノシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基;アダマンタン、ノルボルナン、イソボルナン、トリシクロデカン、テトラシクロドデカンなどのポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基などが挙げられる。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含まない場合は、脂肪族環式基としては、多環式基が好ましく、ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基が好ましく、アダマンタンから1個以上の水素原子を除いた基が最も好ましい。
脂肪族環式基が、その環構造中にヘテロ原子を含む置換基を含むものである場合、該ヘテロ原子を含む置換基としては、−O−、−C(=O)−O−、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−が好ましい。かかる脂肪族環式基の具体例としては、たとえば下記式(L1)〜(L5)、(S1)〜(S4)等が挙げられる。
【0191】
【化65】

[式中、Q”は炭素数1〜5のアルキレン基、−O−、−S−、−O−R94−または−S−R95−であり、R94およびR95はそれぞれ独立に炭素数1〜5のアルキレン基であり、mは0または1の整数である。]
【0192】
式中、Q”、R94およびR95におけるアルキレン基としては、それぞれ、前記R91〜R93におけるアルキレン基と同様のものが挙げられる。
これらの脂肪族環式基は、その環構造を構成する炭素原子に結合した水素原子の一部が置換基で置換されていてもよい。該置換基としては、たとえばアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン原子、ハロゲン化アルキル基、水酸基、酸素原子(=O)等が挙げられる。
前記アルキル基としては、炭素数1〜5のアルキル基が好ましく、メチル基、エチル基、プロピル基、n−ブチル基、tert−ブチル基であることが特に好ましい。
前記アルコキシ基、ハロゲン原子はそれぞれ前記水素原子の一部または全部を置換する置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
【0193】
上記のなかでも、かかるXとしては、置換基を有していてもよい環式基であることが好ましい。該環式基は、置換基を有していてもよい芳香族炭化水素基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であってもよく、置換基を有していてもよい脂肪族環式基であることが好ましい。
前記芳香族炭化水素基としては、置換基を有していてもよいナフチル基、または置換基を有していてもよいフェニル基が好ましい。
置換基を有していてもよい脂肪族環式基としては、置換基を有していてもよい多環式の脂肪族環式基が好ましい。該多環式の脂肪族環式基としては、前記ポリシクロアルカンから1個以上の水素原子を除いた基、前記(L2)〜(L5)、(S3)〜(S4)等が好ましい。
【0194】
また、本発明において、Xは、リソグラフィー特性、レジストパターン形状がより向上することから、前述した(A1)成分における構成単位(a0)中のRと類似骨格を有する構造のものが好ましく、そのなかでも極性部位を有するものが特に好ましい。
極性部位を有するものとしては、たとえば、上述したXの脂肪族環式基を構成する炭素原子の一部がヘテロ原子を含む置換基、すなわち、−O−、−C(=O)−O−、−C(=O)−、−O−C(=O)−O−、−C(=O)−NH−、−NH−(Hがアルキル基、アシル基等の置換基で置換されていてもよい)、−S−、−S(=O)−、−S(=O)−O−等、で置換されたものが挙げられる。
【0195】
本発明において、R”は、置換基としてX−Q−を有することが好ましい。この場合、R”としては、X−Q−Y−[式中、QおよびXは前記と同じであり、Yは置換基を有していてもよい炭素数1〜4のアルキレン基または置換基を有していてもよい炭素数1〜4のフッ素化アルキレン基である。]で表される基が好ましい。
X−Q−Y−で表される基において、Yのアルキレン基としては、前記Qで挙げたアルキレン基のうち炭素数1〜4のものと同様のものが挙げられる。
のフッ素化アルキレン基としては、該アルキレン基の水素原子の一部または全部がフッ素原子で置換された基が挙げられる。
として、具体的には、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CF(CFCF)−、−C(CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−、−CF(CFCFCF)−、−C(CF)(CFCF)−;−CHF−、−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−、−CH(CF)CH−、−CH(CFCF)−、−C(CH)(CF)−、−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CH(CF)CHCH−、−CHCH(CF)CH−、−CH(CF)CH(CF)−、−C(CFCH−;−CH−、−CHCH−、−CHCHCH−、−CH(CH)CH−、−CH(CHCH)−、−C(CH−、−CHCHCHCH−、−CH(CH)CHCH−、−CHCH(CH)CH−、−CH(CH)CH(CH)−、−C(CHCH−、−CH(CHCH)CH−、−CH(CHCHCH)−、−C(CH)(CHCH)−等が挙げられる。
【0196】
としては、フッ素化アルキレン基が好ましく、特に、隣接する硫黄原子に結合する炭素原子がフッ素化されているフッ素化アルキレン基が好ましい。このようなフッ素化アルキレン基としては、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、−CF(CF)CF−、−CFCFCFCF−、−CF(CF)CFCF−、−CFCF(CF)CF−、−CF(CF)CF(CF)−、−C(CFCF−、−CF(CFCF)CF−;−CHCF−、−CHCHCF−、−CHCFCF−;−CHCHCHCF−、−CHCHCFCF−、−CHCFCFCF−等を挙げることができる。
これらの中でも、−CF−、−CFCF−、−CFCFCF−、又はCHCFCF−が好ましく、−CF−、−CFCF−又は−CFCFCF−がより好ましく、−CF−が特に好ましい。
【0197】
前記アルキレン基またはフッ素化アルキレン基は、置換基を有していてもよい。アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が「置換基を有する」とは、当該アルキレン基またはフッ素化アルキレン基における水素原子またはフッ素原子の一部または全部が、水素原子およびフッ素原子以外の原子または基で置換されていることを意味する。
アルキレン基またはフッ素化アルキレン基が有していてもよい置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、水酸基等が挙げられる。
【0198】
前記式(b−2)中、R”〜R”は、それぞれ独立にアリール基またはアルキル基を表す。R”〜R”のうち、少なくとも1つはアリール基を表す。R”〜R”のすべてがアリール基であることが好ましい。
”〜R”のアリール基としては、R”〜R”のアリール基と同様のものが挙げられる。
”〜R”のアルキル基としては、R”〜R”のアルキル基と同様のものが挙げられる。
これらの中で、R”〜R”は、すべてフェニル基であることが最も好ましい。
式(b−2)中のR”としては、上記式(b−1)におけるR”と同様のものが挙げられる。
【0199】
式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤の具体例としては、ジフェニルヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、ビス(4−tert−ブチルフェニル)ヨードニウムのトリフルオロメタンスルホネートまたはノナフルオロブタンスルホネート、トリフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−メチルフェニル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジメチル(4−ヒドロキシナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、モノフェニルジメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;ジフェニルモノメチルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、(4−メトキシフェニル)ジフェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、トリ(4−tert−ブチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジフェニル(1−(4−メトキシ)ナフチル)スルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート、ジ(1−ナフチル)フェニルスルホニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−エトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−n−ブトキシナフタレン−1−イル)テトラヒドロチオフェニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−フェニルテトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(3,5−ジメチル−4−ヒドロキシフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート;1−(4−メチルフェニル)テトラヒドロチオピラニウムのトリフルオロメタンスルホネート、そのヘプタフルオロプロパンスルホネートまたはそのノナフルオロブタンスルホネート等が挙げられる。
【0200】
また、これらのオニウム塩のアニオン部を、下記式(b1)〜(b8)のいずれかで表されるアニオンに置き換えたオニウム塩も用いることができる。
【0201】
【化66】

[式中、z0は1〜3の整数であり、q1〜q2はそれぞれ独立に1〜5の整数であり、q3は1〜12の整数であり、t3は1〜3の整数であり、r1〜r2はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、iは1〜20の整数であり、Rは置換基であり、m1〜m5はそれぞれ独立に0または1であり、v0〜v5はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、w1〜w5はそれぞれ独立に0〜3の整数であり、Q”は前記と同じである。]
【0202】
の置換基としては、前記Xにおいて、脂肪族炭化水素基が有していてもよい置換基、芳香族炭化水素基が有していてもよい置換基として挙げたものと同様のものが挙げられる。
に付された符号(r1〜r2、w1〜w5)が2以上の整数である場合、当該化合物中の複数のRはそれぞれ同じであってもよく、異なっていてもよい。
【0203】
上記のなかでも、式(b−1)、(b−2)で表されるオニウム塩系酸発生剤は、本発明の効果が特に良好であることから、オニウム塩のアニオン部が、−SOにおける硫黄原子に隣接する炭素原子にフッ素原子が結合しているものであることが好ましく;R”が置換基を有していてもよいハロゲン化アルキル基であるものがより好ましく、上記式(b1)〜(b8)のいずれかで表されるアニオンをアニオン部とするオニウム塩が特に好ましい。
【0204】
また、前記一般式(b−1)又は(b−2)において、アニオン部を下記一般式(b−3)又は(b−4)で表されるアニオンに置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる(カチオン部は(b−1)又は(b−2)と同様)。
【0205】
【化67】

[式中、X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数2〜6のアルキレン基を表し;Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された炭素数1〜10のアルキル基を表す。]
【0206】
X”は、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキレン基であり、該アルキレン基の炭素数は2〜6であり、好ましくは炭素数3〜5、最も好ましくは炭素数3である。
Y”、Z”は、それぞれ独立に、少なくとも1つの水素原子がフッ素原子で置換された直鎖状または分岐鎖状のアルキル基であり、該アルキル基の炭素数は1〜10であり、好ましくは炭素数1〜7、より好ましくは炭素数1〜3である。
X”のアルキレン基の炭素数またはY”、Z”のアルキル基の炭素数は、上記炭素数の範囲内において、レジスト溶媒への溶解性も良好である等の理由により、小さいほど好ましい。
また、X”のアルキレン基またはY”、Z”のアルキル基において、フッ素原子で置換されている水素原子の数が多いほど、酸の強度が強くなり、また200nm以下の高エネルギー光や電子線に対する透明性が向上するので好ましい。
該アルキレン基またはアルキル基中のフッ素原子の割合、すなわちフッ素化率は、好ましくは70〜100%、さらに好ましくは90〜100%であり、最も好ましくは、全ての水素原子がフッ素原子で置換されたパーフルオロアルキレン基またはパーフルオロアルキル基である。
【0207】
また、カチオン部が前記一般式(I−5)又は(I−6)で表されるカチオンである場合において、アニオン部を、前記一般式(b−1)もしくは式(b−2)におけるアニオン部(R”SO)等のフッ素化アルキルスルホン酸イオン、前記一般式(b−3)又は式(b−4)で表されるアニオンに置き換えたオニウム塩系酸発生剤も用いることができる。
【0208】
本明細書において、オキシムスルホネート系酸発生剤とは、下記一般式(B−1)で表される基を少なくとも1つ有する化合物であって、放射線の照射(露光)によって酸を発生する特性を有するものである。この様なオキシムスルホネート系酸発生剤は、化学増幅型レジスト組成物用として多用されているので、任意に選択して用いることができる。
【0209】
【化68】

(式(B−1)中、R31、R32はそれぞれ独立に有機基を表す。)
【0210】
31、R32の有機基は、炭素原子を含む基であり、炭素原子以外の原子(たとえば水素原子、酸素原子、窒素原子、硫黄原子、ハロゲン原子(フッ素原子、塩素原子等)等)を有していてもよい。
31の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基またはアリール基が好ましい。これらのアルキル基、アリール基は置換基を有していてもよい。該置換基としては、特に制限はなく、たとえばフッ素原子、炭素数1〜6の直鎖状、分岐鎖状または環状のアルキル基等が挙げられる。ここで、「置換基を有する」とは、アルキル基またはアリール基の水素原子の一部若しくは全部が置換基で置換されていることを意味する。
アルキル基としては、炭素数1〜20が好ましく、炭素数1〜10がより好ましく、炭素数1〜8がさらに好ましく、炭素数1〜6が特に好ましく、炭素数1〜4が最も好ましい。アルキル基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアルキル基(以下、ハロゲン化アルキル基ということがある)が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味し、完全にハロゲン化されたアルキル基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアルキル基を意味する。ハロゲン原子としては、フッ素原子、塩素原子、臭素原子、ヨウ素原子等が挙げられ、特にフッ素原子が好ましい。すなわち、ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
アリール基は、炭素数4〜20が好ましく、炭素数4〜10がより好ましく、炭素数6〜10が最も好ましい。アリール基としては、特に、部分的または完全にハロゲン化されたアリール基が好ましい。なお、部分的にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の一部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味し、完全にハロゲン化されたアリール基とは、水素原子の全部がハロゲン原子で置換されたアリール基を意味する。
31としては、特に、置換基を有さない炭素数1〜4のアルキル基、または炭素数1〜4のフッ素化アルキル基が好ましい。
32の有機基としては、直鎖状、分岐鎖状若しくは環状のアルキル基、アリール基またはシアノ基が好ましい。R32のアルキル基、アリール基としては、前記R31で挙げたアルキル基、アリール基と同様のものが挙げられる。
32としては、特に、シアノ基、置換基を有さない炭素数1〜8のアルキル基、または炭素数1〜8のフッ素化アルキル基が好ましい。
【0211】
オキシムスルホネート系酸発生剤として、さらに好ましいものとしては、下記一般式(B−2)または(B−3)で表される化合物が挙げられる。
【0212】
【化69】

[式(B−2)中、R33は、シアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R34はアリール基である。R35は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。]
【0213】
【化70】

[式(B−3)中、R36はシアノ基、置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。R37は2または3価の芳香族炭化水素基である。R38は置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基である。p”は2または3である。]
【0214】
前記一般式(B−2)において、R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
33としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
33におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが特に好ましい。
34のアリール基としては、フェニル基、ビフェニル(biphenyl)基、フルオレニル(fluorenyl)基、ナフチル基、アントリル(anthryl)基、フェナントリル基等の、芳香族炭化水素の環から水素原子を1つ除いた基、およびこれらの基の環を構成する炭素原子の一部が酸素原子、硫黄原子、窒素原子等のヘテロ原子で置換されたヘテロアリール基等が挙げられる。これらのなかでも、フルオレニル基が好ましい。
34のアリール基は、炭素数1〜10のアルキル基、ハロゲン化アルキル基、アルコキシ基等の置換基を有していてもよい。該置換基におけるアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜8であることが好ましく、炭素数1〜4がさらに好ましい。また、該ハロゲン化アルキル基は、フッ素化アルキル基であることが好ましい。
35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基は、炭素数が1〜10であることが好ましく、炭素数1〜8がより好ましく、炭素数1〜6が最も好ましい。
35としては、ハロゲン化アルキル基が好ましく、フッ素化アルキル基がより好ましい。
35におけるフッ素化アルキル基は、アルキル基の水素原子が50%以上フッ素化されていることが好ましく、70%以上フッ素化されていることがより好ましく、90%以上フッ素化されていることが、発生する酸の強度が高まるため特に好ましい。最も好ましくは、水素原子が100%フッ素置換された完全フッ素化アルキル基である。
【0215】
前記一般式(B−3)において、R36の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R33の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
37の2または3価の芳香族炭化水素基としては、上記R34のアリール基からさらに1または2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
38の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基としては、上記R35の置換基を有さないアルキル基またはハロゲン化アルキル基と同様のものが挙げられる。
p”は、好ましくは2である。
【0216】
オキシムスルホネート系酸発生剤の具体例としては、α−(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(p−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(4−ニトロ−2−トリフルオロメチルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−クロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,4−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−2,6−ジクロロベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(2−クロロベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシベンジルシアニド、α−(ベンゼンスルホニルオキシイミノ)−チエン−2−イルアセトニトリル、α−(4−ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−ベンジルシアニド、α−[(p−トルエンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−[(ドデシルベンゼンスルホニルオキシイミノ)−4−メトキシフェニル]アセトニトリル、α−(トシルオキシイミノ)−4−チエニルシアニド、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘプテニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロオクテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−エチルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−プロピルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロペンチルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−シクロヘキシルアセトニトリル、α−(シクロヘキシルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロペンテニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(イソプロピルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(n−ブチルスルホニルオキシイミノ)−1−シクロヘキセニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−フェニルアセトニトリル、α−(トリフルオロメチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(エチルスルホニルオキシイミノ)−p−メトキシフェニルアセトニトリル、α−(プロピルスルホニルオキシイミノ)−p−メチルフェニルアセトニトリル、α−(メチルスルホニルオキシイミノ)−p−ブロモフェニルアセトニトリルなどが挙げられる。
また、特開平9−208554号公報(段落[0012]〜[0014]の[化18]〜[化19])に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤、国際公開第04/074242号パンフレット(65〜85頁目のExample1〜40)に開示されているオキシムスルホネート系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、好適なものとして以下のものを例示することができる。
【0217】
【化71】

【0218】
ジアゾメタン系酸発生剤のうち、ビスアルキルまたはビスアリールスルホニルジアゾメタン類の具体例としては、ビス(イソプロピルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(p−トルエンスルホニル)ジアゾメタン、ビス(1,1−ジメチルエチルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(シクロヘキシルスルホニル)ジアゾメタン、ビス(2,4−ジメチルフェニルスルホニル)ジアゾメタン等が挙げられる。
また、特開平11−035551号公報、特開平11−035552号公報、特開平11−035573号公報に開示されているジアゾメタン系酸発生剤も好適に用いることができる。
また、ポリ(ビススルホニル)ジアゾメタン類としては、例えば、特開平11−322707号公報に開示されている、1,3−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,4−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ブタン、1,6−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(フェニルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカン、1,2−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)エタン、1,3−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)プロパン、1,6−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)ヘキサン、1,10−ビス(シクロヘキシルスルホニルジアゾメチルスルホニル)デカンなどを挙げることができる。
【0219】
(B2)成分は、1種単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
【0220】
本発明のポジ型レジスト組成物における(B)成分全体の含有量は、(A)成分100質量部に対し、0.5〜50質量部が好ましく、1〜40質量部がより好ましい。上記範囲とすることでパターン形成が充分に行われる。また、均一な溶液が得られ、保存安定性が良好となるため好ましい。
【0221】
<(D)成分>
本発明のポジ型レジスト組成物には、任意の成分として、含窒素有機化合物成分(D)(以下「(D)成分」という。)を配合させることができる。
この(D)成分は、酸拡散制御剤、すなわち露光により前記(B)成分から発生する酸をトラップするクエンチャーとして作用するものであれば特に限定されず、既に多種多様なものが提案されているので、公知のものから任意に用いればよく、なかでも脂肪族アミン、特に第2級脂肪族アミンや第3級脂肪族アミンが好ましい。脂肪族アミンとは、1つ以上の脂肪族基を有するアミンであり、該脂肪族基は炭素数が1〜12であることが好ましい。
脂肪族アミンとしては、アンモニアNHの水素原子の少なくとも1つを、炭素数12以下のアルキル基またはヒドロキシアルキル基で置換したアミン(アルキルアミンまたはアルキルアルコールアミン)又は環式アミンが挙げられる。
アルキルアミンおよびアルキルアルコールアミンの具体例としては、n−ヘキシルアミン、n−ヘプチルアミン、n−オクチルアミン、n−ノニルアミン、n−デシルアミン等のモノアルキルアミン;ジエチルアミン、ジ−n−プロピルアミン、ジ−n−ヘプチルアミン、ジ−n−オクチルアミン、ジシクロヘキシルアミン等のジアルキルアミン;トリメチルアミン、トリエチルアミン、トリ−n−プロピルアミン、トリ−n−ブチルアミン、トリ−n−ヘキシルアミン、トリ−n−ペンチルアミン、トリ−n−ヘプチルアミン、トリ−n−オクチルアミン、トリ−n−ノニルアミン、トリ−n−デカニルアミン、トリ−n−ドデシルアミン等のトリアルキルアミン;ジエタノールアミン、トリエタノールアミン、ジイソプロパノールアミン、トリイソプロパノールアミン、ジ−n−オクタノールアミン、トリ−n−オクタノールアミン等のアルキルアルコールアミンが挙げられる。これらの中でも、炭素数5〜10のトリアルキルアミンがさらに好ましく、トリ−n−ペンチルアミンが最も好ましい。
環式アミンとしては、たとえば、ヘテロ原子として窒素原子を含む複素環化合物が挙げられる。該複素環化合物としては、単環式のもの(脂肪族単環式アミン)であっても多環式のもの(脂肪族多環式アミン)であってもよい。
脂肪族単環式アミンとして、具体的には、ピペリジン、ピペラジン等が挙げられる。
脂肪族多環式アミンとしては、炭素数が6〜10のものが好ましく、具体的には、1,5−ジアザビシクロ[4.3.0]−5−ノネン、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]−7−ウンデセン、ヘキサメチレンテトラミン、1,4−ジアザビシクロ[2.2.2]オクタン等が挙げられる。
【0222】
(D)成分は、単独で用いてもよいし、2種以上を組み合わせて用いてもよい。
本発明においては、(D)成分として、炭素数5〜10のトリアルキルアミンを用いることが好ましい。
(D)成分は、(A)成分100質量部に対して、通常0.01〜5.0質量部の範囲で用いられる。上記範囲とすることにより、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等が向上する。
【0223】
<任意成分>
[(E)成分]
本発明のポジ型レジスト組成物には、感度劣化の防止や、レジストパターン形状、引き置き経時安定性等の向上の目的で、任意の成分として、有機カルボン酸、ならびにリンのオキソ酸およびその誘導体からなる群から選択される少なくとも1種の化合物(E)(以下「(E)成分」という。)を含有させることができる。
有機カルボン酸としては、例えば、酢酸、マロン酸、クエン酸、リンゴ酸、コハク酸、安息香酸、サリチル酸などが好適である。
リンのオキソ酸としては、リン酸、ホスホン酸、ホスフィン酸等が挙げられ、これらの中でも特にホスホン酸が好ましい。
リンのオキソ酸の誘導体としては、たとえば、上記オキソ酸の水素原子を炭化水素基で置換したエステル等が挙げられ、前記炭化水素基としては、炭素数1〜5のアルキル基、炭素数6〜15のアリール基等が挙げられる。
リン酸の誘導体としては、リン酸ジ−n−ブチルエステル、リン酸ジフェニルエステル等のリン酸エステルなどが挙げられる。
ホスホン酸の誘導体としては、ホスホン酸ジメチルエステル、ホスホン酸−ジ−n−ブチルエステル、フェニルホスホン酸、ホスホン酸ジフェニルエステル、ホスホン酸ジベンジルエステル等のホスホン酸エステルなどが挙げられる。
ホスフィン酸の誘導体としては、フェニルホスフィン酸等のホスフィン酸エステルなどが挙げられる。
(E)成分は、1種を単独で用いてもよく、2種以上を併用してもよい。
(E)成分としては、有機カルボン酸が好ましく、特にサリチル酸が好ましい。
(E)成分は、(A)成分100質量部当り0.01〜5.0質量部の割合で用いられる。
【0224】
本発明のポジ型レジスト組成物には、さらに所望により混和性のある添加剤、例えばレジスト膜の性能を改良するための付加的樹脂、塗布性を向上させるための界面活性剤、溶解抑制剤、可塑剤、安定剤、着色剤、ハレーション防止剤、染料などを適宜、添加含有させることができる。
【0225】
[(S)成分]
本発明のポジ型レジスト組成物は、材料を有機溶剤(以下「(S)成分」ということがある。)に溶解させて製造することができる。
(S)成分としては、使用する各成分を溶解し、均一な溶液とすることができるものであればよく、従来、化学増幅型レジストの溶剤として公知のものの中から任意のものを1種または2種以上適宜選択して用いることができる。
例えば、γ−ブチロラクトン等のラクトン類;アセトン、メチルエチルケトン、メチル−n−ペンチルケトン、メチルイソペンチルケトン、2−ヘプタノン、5員環を有するケトン(例えば、シクロペンタノン、2−メチル−2−シクロペンテン−1−オン、2−メチルシクロペンタノン、3−メチルシクロペンタノン、2−エチルシクロペンタノン、3−エチルシクロペンタノン、2,2−ジメチルシクロペンタノン、2,4,4−トリメチルシクロペンタノン等)、6員環を有するケトン(例えば、シクロヘキサノン、2−シクロヘキセン−1−オン、2−メチルシクロヘキサノン、3−メチルシクロヘキサノン、4−メチルシクロヘキサノン、4−エチルシクロヘキサノン、2,6−ジメチルシクロヘキサノン、2,2−ジメチルシクロヘキサノン等)、7員環を有するケトン(例えば、シクロヘプタノン、2−シクロヘプタン−1−オン、(1S,4R)−ビシクロ[2.2.1]ヘプタン−2−オンなどのノルボルナン骨格若しくはノルボルネン骨格を有する多環式ケトン等)などのケトン類;エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコールなどの多価アルコール類;エチレングリコールモノアセテート、ジエチレングリコールモノアセテート、プロピレングリコールモノアセテート、またはジプロピレングリコールモノアセテート等のエステル結合を有する化合物、前記多価アルコール類または前記エステル結合を有する化合物のモノメチルエーテル、モノエチルエーテル、モノプロピルエーテル、モノブチルエーテル等のモノアルキルエーテルまたはモノフェニルエーテル等のエーテル結合を有する化合物等の多価アルコール類の誘導体[これらの中では、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMEA)、プロピレングリコールモノメチルエーテル(PGME)が好ましい];ジオキサンのような環式エーテル類や、乳酸メチル、乳酸エチル(EL)、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸ブチル、ピルビン酸メチル、ピルビン酸エチル、メトキシプロピオン酸メチル、エトキシプロピオン酸エチルなどのエステル類;アニソール、エチルベンジルエーテル、クレジルメチルエーテル、ジフェニルエーテル、ジベンジルエーテル、フェネトール、ブチルフェニルエーテル、エチルベンゼン、ジエチルベンゼン、ペンチルベンゼン、イソプロピルベンゼン、トルエン、キシレン、シメン、メシチレン等の芳香族系有機溶剤などを挙げることができる。
【0226】
これらの有機溶剤は単独で用いてもよく、2種以上の混合溶剤として用いてもよい。
中でも、PGMEA、PGME、EL、シクロヘキサノンが好ましい。
【0227】
また、PGMEAと極性溶剤とを混合した混合溶媒も好ましい。その配合比(質量比)は、PGMEAと極性溶剤との相溶性等を考慮して適宜決定すればよいが、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2の範囲内とすることが好ましい。
より具体的には、極性溶剤としてELを配合する場合は、PGMEA:ELの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2である。また、極性溶剤としてPGMEを配合する場合は、PGMEA:PGMEの質量比は、好ましくは1:9〜9:1、より好ましくは2:8〜8:2、さらに好ましくは3:7〜7:3である。
また、(S)成分として、その他には、PGMEA及びELの中から選ばれる少なくとも1種とγ−ブチロラクトンとの混合溶剤も好ましい。この場合、混合割合としては、前者と後者の質量比が好ましくは70:30〜95:5とされる。
また、シクロヘキサノン等の環式ケトンを用いる場合、(S)成分中の環式ケトンの含有量は、環式ケトンの種類に応じて適宜設定することができ、特に限定されるものではなく、より良好なリソグラフィー特性が得られるという点では、1〜80質量%が好ましく、5〜60質量%がより好ましく、10〜50質量%がさらに好ましい。
【0228】
(S)成分の使用量は特に限定しないが、基板等に塗布可能な濃度で、塗布膜厚に応じて適宜設定されるものであるが、一般的にはレジスト組成物の固形分濃度が0.5〜20質量%、好ましくは1〜15質量%の範囲内となる様に用いられる。
【0229】
レジスト材料の(S)成分への溶解は、たとえば、上記各成分を通常の方法で混合、撹拌するだけでも行うことができ、また、必要に応じてディゾルバー、ホモジナイザー、3本ロールミルなどの分散機を用い分散、混合させてもよい。また、混合した後で、さらにメッシュ、メンブレンフィルターなどを用いてろ過してもよい。
【0230】
本発明のポジ型レジスト組成物は、良好な形状のレジストパターンを形成できる、という効果を有する。かかる効果が得られる理由としては、定かではないが、以下のように推測される。
本発明のポジ型レジスト組成物は、前記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)を有し、かつ、その構造中に酸解離性溶解抑制基を含む高分子化合物(A1)と、前記一般式(b1−1)で表される化合物からなる酸発生剤(B1)とを含有する。
構成単位(a0)は、その側鎖の末端に「−SO−を含む環式基」をもつバルキーな構造を有する。そのため、本発明のポジ型レジスト組成物を用いて形成されるレジスト膜のガラス転移点(Tg)は、(A1)成分を用いていない場合よりも高くなる。Tgが高くなると、レジストパターン形成において、露光により酸発生剤成分(B)から発生する酸のレジスト膜内での拡散が適度に抑えられ、未露光部への当該酸の拡散が抑制される。
また、(B1)成分は、−SOにおける硫黄原子に隣接する炭素原子に、フッ素原子が結合していないため、たとえば露光により前記(B2)成分から発生するスルホン酸に比べて、酸強度の弱いスルホン酸を発生する。
レジストパターン形成における露光の際、光の強度が大きいところほど、(B)成分から発生する酸の発生量も多くなると考えられる。ここで、光強度が最大になる部分は、たとえばラインアンドスペースのレジストパターン(以下「LSパターン」という。)の場合であればライン間のスペースの中心部、ホールのレジストパターンの場合であればホールの中心部であると推測される。前記中心部での酸の拡散が制御されていない場合、酸が未露光部まで拡散することにより、前記中心部付近の未露光部は、アルカリ現像により溶解しやすくなる。その結果、レジストパターン(未露光部)の中心部付近がくびれた形状のレジストパターンが形成されることになる。
本発明においては、(B1)成分から強度の弱い酸が露光により発生するため、強度の強い酸が発生する場合よりも、(A)成分における酸解離性溶解抑制基が解離しにくい。また、(B1)成分と(B2)成分とを併用した場合、(B1)成分と、(B2)成分から発生する酸との間で塩交換が起こり、露光により(B2)成分から発生する酸の拡散が(B1)成分によって効果的に抑制される(塩交換によるクエンチング効果が期待できる)。これによって、光の強度及び酸の発生量が、前記中心部付近で最大であっても、スペース又はホール全体に存在する強度の強い酸の存在量は平均化され、結果的に(A)成分の酸解離反応もより均一に進行すると推測される。
以上のことから、(A1)成分と(B1)成分とを併用したポジ型レジスト組成物においては、レジスト膜内で、露光部で発生した酸の未露光部への拡散が格段に抑制され、かつ、酸解離反応も露光部全体で平均化されるため、矩形性の高い良好な形状のレジストパターンを形成できると推測される。
【0231】
また、本発明のレジスト組成物によれば、たとえばホールパターン形成において、真円性の高いレジストパターンを形成できる。また、ホールの円周部に、バンド状の白い凹凸のない、良好な形状のホールパターンを形成できる。さらには、ホール直径(CD)の均一性(CDU)が向上し、狭いピッチであっても真円性の高い、良好な形状のレジストパターンを形成できる。
【0232】
≪レジストパターン形成方法≫
本発明の第二の態様であるレジストパターン形成方法は、支持体上に、上記本発明のポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含む。
本発明のレジストパターン形成方法は、例えば以下の様にして行うことができる。
すなわち、まず支持体上に、前記本発明のポジ型レジスト組成物をスピンナーなどで塗布し、80〜150℃の温度条件下、プレベーク(ポストアプライベーク(PAB))を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施し、これに例えばArF露光装置、電子線描画装置、EUV露光装置等の露光装置を用いて、マスクパターンを介した露光、またはマスクパターンを介さない電子線の直接照射による描画等により選択的に露光した後、80〜150℃の温度条件下、PEB(露光後加熱)を40〜120秒間、好ましくは60〜90秒間施す。次いでこれをアルカリ現像液、例えば0.1〜10質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液を用いて現像処理し、好ましくは純水を用いて水リンスを行い、乾燥を行う。また、場合によっては、上記現像処理後にベーク処理(ポストベーク)を行ってもよい。このようにして、マスクパターンに忠実なレジストパターンを得ることができる。
【0233】
支持体としては、特に限定されず、従来公知のものを用いることができ、例えば、電子部品用の基板や、これに所定の配線パターンが形成されたもの等を例示することができる。より具体的には、シリコンウェーハ、銅、クロム、鉄、アルミニウム等の金属製の基板や、ガラス基板等が挙げられる。配線パターンの材料としては、例えば銅、アルミニウム、ニッケル、金等が使用可能である。
また、支持体としては、上述のような基板上に、無機系および/または有機系の膜が設けられたものであってもよい。無機系の膜としては、無機反射防止膜(無機BARC)が挙げられる。有機系の膜としては、有機反射防止膜(有機BARC)や多層レジスト法における下層有機膜等の有機膜が挙げられる。
ここで、多層レジスト法とは、基板上に、少なくとも一層の有機膜(下層有機膜)と、少なくとも一層のレジスト膜(上層レジスト膜)とを設け、上層レジスト膜に形成したレジストパターンをマスクとして下層有機膜のパターニングを行う方法であり、高アスペクト比のパターンを形成できるとされている。すなわち、多層レジスト法によれば、下層有機膜により所要の厚みを確保できるため、レジスト膜を薄膜化でき、高アスペクト比の微細パターン形成が可能となる。
多層レジスト法には、基本的に、上層レジスト膜と、下層有機膜との二層構造とする方法(2層レジスト法)と、上層レジスト膜と下層有機膜との間に一層以上の中間層(金属薄膜等)を設けた三層以上の多層構造とする方法(3層レジスト法)とに分けられる。
【0234】
露光に用いる波長は、特に限定されず、ArFエキシマレーザー、KrFエキシマレーザー、Fエキシマレーザー、EUV(極紫外線)、VUV(真空紫外線)、EB(電子線)、X線、軟X線等の放射線を用いて行うことができる。前記レジスト組成物は、KrFエキシマレーザー、ArFエキシマレーザー、EBまたはEUVに対して有効であり、特にArFエキシマレーザーに対して有効である。
【0235】
レジスト膜の露光方法は、空気や窒素等の不活性ガス中で行う通常の露光(ドライ露光)であってもよく、液浸露光(Liquid Immersion Lithography)であってもよい。
液浸露光は、予めレジスト膜と露光装置の最下位置のレンズ間を、空気の屈折率よりも大きい屈折率を有する溶媒(液浸媒体)で満たし、その状態で露光(浸漬露光)を行う露光方法である。
液浸媒体としては、空気の屈折率よりも大きく、かつ露光されるレジスト膜の有する屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒が好ましい。かかる溶媒の屈折率としては、前記範囲内であれば特に制限されない。
空気の屈折率よりも大きく、かつ前記レジスト膜の屈折率よりも小さい屈折率を有する溶媒としては、例えば、水、フッ素系不活性液体、シリコン系溶剤、炭化水素系溶剤等が挙げられる。
フッ素系不活性液体の具体例としては、CHCl、COCH、COC、C等のフッ素系化合物を主成分とする液体等が挙げられ、沸点が70〜180℃のものが好ましく、80〜160℃のものがより好ましい。フッ素系不活性液体が上記範囲の沸点を有するものであると、露光終了後に、液浸に用いた媒体の除去を、簡便な方法で行えることから好ましい。
フッ素系不活性液体としては、特に、アルキル基の水素原子が全てフッ素原子で置換されたパーフロオロアルキル化合物が好ましい。パーフロオロアルキル化合物としては、具体的には、パーフルオロアルキルエーテル化合物やパーフルオロアルキルアミン化合物を挙げることができる。
さらに、具体的には、前記パーフルオロアルキルエーテル化合物としては、パーフルオロ(2−ブチル−テトラヒドロフラン)(沸点102℃)を挙げることができ、前記パーフルオロアルキルアミン化合物としては、パーフルオロトリブチルアミン(沸点174℃)を挙げることができる。
液浸媒体としては、コスト、安全性、環境問題、汎用性等の観点から、水が好ましく用いられる。
【0236】
本発明のレジストパターン形成方法は、二重露光法、ダブルパターニング法にも用いることが可能である。
【実施例】
【0237】
次に、実施例により本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらの例によって限定されるものではない。
本実施例では、化学式(1)で表される単位を「化合物(1)」と記載し、他の式で表される化合物についても同様に記載する。
【0238】
<基材成分(A)>
本実施例において、基材成分(A)として用いた高分子化合物は、下記化学式で表される化合物(1)〜(9)を用いて、以下に示すポリマー合成例によりそれぞれ合成した。
当該ポリマー合成例で使用した化合物(1)は、以下に示すモノマー合成例により合成した。
【0239】
【化72】

【0240】
[モノマー合成例1:化合物(1)の合成]
500mlの3つ口フラスコに、窒素雰囲気下、アルコール(1)20g(105.14mmol)、エチルジイソプロピルアミノカルボジイミド(EDCI)塩酸塩30.23g(157.71mmol)およびジメチルアミノピリジン(DMAP)0.6g(5mmol)のTHF溶液300mlを入れ、そこに、氷冷下(0℃)で前駆体(1)16.67g(115.66mmol)を加えた後、室温で12時間撹拌した。
薄層クロマトグラフィー(TLC)にて原料の消失を確認後、50mlの水を加えて反応を停止した。反応溶媒を減圧濃縮し、酢酸エチルで3回抽出して得られた有機層を水、飽和炭酸水素ナトリウム、1N―HClaqの順で洗浄した。減圧下、溶媒留去して得られた生成物を乾燥させ、化合物(1)を得た。
【0241】
【化73】

【0242】
得られた化合物(1)の機器分析結果は、以下の通りであった。
H−NMR(CDCl,400MHz):δ(ppm)=6.22(s,1H,H),5.70(s,1H,H),4.71−4.85(m,2H,Hc,d),4.67(s,2H,H),3.40−3.60(m,2H,He,f),2.58−2.70(m,1H,H),2.11−2.21(m,2H,H),2.00(s,3H,H),1.76−2.09(m,2H,H).
上記の結果から、化合物(1)が下記に示す構造を有することが確認できた。
【0243】
【化74】

【0244】
[ポリマー合成例1:高分子化合物(1)の合成]
温度計、還流管を繋いだ3つ口フラスコに、11.77g(69.23mmol)の化合物(7)、15.00g(47.47mmol)の化合物(1)、16.58g(63.29mmol)の化合物(3)、4.65g(27.69mmol)の化合物(5)、3.27g(13.85mmol)の化合物(9)を、76.91gのメチルエチルケトン(MEK)に溶解させた。この溶液に、重合開始剤としてアゾビスイソ酪酸ジメチル(V−601)を22.1mmol添加し溶解させた。これを窒素雰囲気下、3時間かけて、78℃に加熱したMEK42.72gに滴下した。滴下終了後、反応液を4時間加熱攪拌し、その後、反応液を室温まで冷却した。得られた反応重合液を大量のノルマル(n−)ヘプタンに滴下し、重合体を析出させる操作を行い、沈殿した白色粉体をろ別、n−ヘプタン/イソプロピルアルコール混合溶媒にて洗浄、乾燥して、目的物である高分子化合物(1)を41g得た。
この高分子化合物(1)について、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)は7,900であり、分子量分散度(Mw/Mn)は1.78であった。また、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))は、a21/a0/a12/a14/a3=35/27/18/13/7であった。
【0245】
【化75】

【0246】
[ポリマー合成例2〜8:高分子化合物(2)〜(8)の合成]
他の高分子化合物(2)〜(8)の合成は、上記ポリマー合成例1において、各高分子化合物の構成単位を誘導するモノマーを所定のモル比で用いた以外は、上記ポリマー合成例1と同様の方法により行った。
以下に、得られた高分子化合物(2)〜(8)の構造式、GPC測定により求めた標準ポリスチレン換算の質量平均分子量(Mw)と分子量分散度(Mw/Mn)、カーボン13核磁気共鳴スペクトル(600MHz_13C−NMR)により求められた共重合組成比(構造式中の各構成単位の割合(モル比))をそれぞれ示す。
【0247】
【化76】

[Mw7000、Mw/Mn1.8;a21/a0/a11/a14/a3=35/25/19/12.5/7.5]
【0248】
【化77】

【0249】
高分子化合物(3)
[Mw7000、Mw/Mn1.8;a21/a0/a12/a14/a3=36/21/18/13/12]
【0250】
高分子化合物(4)
[Mw7900、Mw/Mn1.78;a21/a0/a12/a14/a3=35/21/24/13/7]
【0251】
【化78】

[Mw8000、Mw/Mn1.8;a21/a0/a13/a11/a3=30/25/25/10/10]
【0252】
【化79】

[Mw8000、Mw/Mn1.8;a21/a22/a13/a11/a3=30/25/25/10/10]
【0253】
【化80】

[Mw8000、Mw/Mn1.8;a0/a15/a3=50/30/20]
【0254】
【化81】

[Mw8000、Mw/Mn1.8;a21/a15/a3=50/30/20]
【0255】
<酸発生剤成分(B)の合成>
本実施例において、酸発生剤成分(B)として用いた酸発生剤は、以下に示す酸発生剤合成例によりそれぞれ合成した。
【0256】
[酸発生剤合成例1:酸発生剤(1)の合成]
(i)化合物(IV)の合成
フルオロスルホニル(ジフルオロ)酢酸メチル150g、純水375gに、氷浴中で10℃以下に保ちつつ、30%水酸化ナトリウム水溶液343.6gを滴下した。滴下後、100℃で3時間還流し、冷却後、濃塩酸で中和した。得られた溶液をアセトン8888gに滴下し、析出物を濾過、乾燥することによって、白色固体として化合物(I)184.5g(純度:88.9%、収率:95.5%)を得た。
【0257】
【化82】

【0258】
次いで、化合物(I)56.2g、アセトニトリル562.2gを仕込み、p−トルエンスルホン酸一水和物77.4gを添加し、110℃で3時間還流した。その後、濾過し、濾液を濃縮し、乾燥した。得られた固体にt−ブチルメチルエーテル900gを添加撹拌した。その後、濾過し、濾過物を乾燥することによって、白色固体として化合物(II)22.2g(純度:91.0%、収率:44.9%)を得た。
【0259】
【化83】

【0260】
次いで、化合物(II)4.34g(純度:94.1%)、2−ベンジルオキシエタノール3.14g、トルエン43.4gを仕込み、p−トルエンスルホン酸一水和物0.47gを添加し、105℃で20時間還流した。反応液を濾過し、濾物にヘキサン20gを添加し、撹拌した。再度濾過し、濾物を乾燥することにより化合物(III)を1.41g(収率:43.1%)得た。
【0261】
【化84】

【0262】
得られた化合物(III)について、NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)=4.74−4.83(t,1H,OH)、4.18−4.22(t,2H,H)、3.59−3.64(q,2H,H)。
19F−NMR(DMSO−d6、376MHz):δ(ppm)=−106.6。
上記の結果から、化合物(III)が下記に示す構造を有することが確認できた。
【0263】
【化85】

【0264】
次いで、化合物(III)1.00gおよびアセトニトリル3.00gに対し、1−アダマンタンカルボニルクロライド0.82gおよびトリエチルアミン0.397gを氷冷下滴下した。滴下終了後、室温で20時間撹拌し、濾過した。ろ液を濃縮乾固し、ジクロロメタン30gに溶解させ水洗を3回行った。有機層を濃縮乾燥することにより化合物(IV)を0.82g(収率:41%)得た。
【0265】
【化86】

【0266】
得られた化合物(IV)について、NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)=8.81(s,1H,H)、4.37−4.44(t,2H,H)、4.17−4.26(t,2H,H)、3.03−3.15(q,6H,H)、1.61−1.98(m,15H,Adamantane)、1.10−1.24(t,9H,H)。
19F−NMR(DMSO−d6、376MHz):δ(ppm)=−106.61。
上記の結果から、化合物(IV)が下記に示す構造を有することが確認できた。
【0267】
【化87】

【0268】
(ii)酸発生剤(1)の合成
ジクロロメタン(20g)と水(20g)に、下記化合物(V)(2g)を添加し、撹拌した。さらに、化合物(IV)(2.54g)を添加し、1時間撹拌した。反応液を分液した後、水(20g)で4回洗浄した。洗浄後、有機溶媒層を濃縮乾固することにより酸発生剤(1)2.3gを得た。
得られた酸発生剤(1)について、NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6,400MHz):δ(ppm)=7.72−7.83(m,10H,Ar),7.72(s,2H,Ar),6.49−6.55(m,1H,Vinyl),4.37−4.44(t,2H,CH),4.20−4.23(d,1H,Vinyl),4.00−4.26(m,7H,,CH+Vinyl),2.27(s,6H,CH),1.61−1.98(m,15H,Adamantane)
19F−NMR(DMSO−d6,376MHz):δ(ppm)=−106.61
上記の結果から、得られた酸発生剤(1)が、下記に示す構造を有することが確認できた。
【0269】
【化88】

【0270】
[酸発生剤合成例2:酸発生剤(4)の合成]
(i)化合物(d)の合成
前記の化合物(II)5.00g、サルトン−OH(c)5.68g、トルエン100gを仕込み、p−トルエンスルホン酸一水和物0.43gを添加し、トルエンが還流するまで加熱し、その状態にて65時間反応を行った。その後、濾過し、残渣にトルエン100gを添加し、室温にて10分間撹拌し、濾過を行う工程を2回繰り返して黒色の粉末を得た。当該粉末を一晩減圧乾燥させた後、アセトン100gによる抽出を計2回行い、得られた濾液からアセトンを留去し、再度30gのアセトンに溶解させた。得られた溶液をTBME300gと塩化メチレン300gにゆっくり滴下し、析出した固体を濾過により回収・乾燥させることで、白色粉体として化合物(d)6.88g(収率:78.4%)を得た。
【0271】
【化89】

【0272】
得られた化合物(d)について、H−NMR及び19F−NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)1.73−2.49(m,4H,Ha,Hb),2.49(m,1H,Hc),3.48(m,1H,Hd), 3.88(t,1H,He),4.66(t,1H,Hf),4.78(m,1H,Hg).
19F−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)−107.7(m,2F,Fa),(但し、ヘキサフルオロベンゼンのピークを−160ppmとした。)
上記の結果から、化合物(d)が下記に示す構造を有することが確認できた。
【0273】
【化90】

【0274】
(ii)中間体化合物(f−01)の合成
20℃以下で制御したメタンスルホン酸(60.75g)に酸化リン(8.53g)と2,6−ジメチルフェノール(8.81g)とジフェニルスルホキシド(12.2g)を少量ずつ添加した。温度を15〜20℃で制御しながら30分熟成した後、40℃まで昇温し2時間熟成した。その後、15℃以下に冷却した純水(109.35g)に反応液を滴下した。滴下終了後、ジクロロメタン(54.68g)を加え、撹拌後、ジクロロメタン層を回収した。別容器に20〜25℃のヘキサン(386.86g)を仕込み、ジクロロメタン層を滴下した。滴下終了後、20〜25℃で30分間熟成した後、ろ過することによって目的の中間体化合物(f−01)を得た(収率70.9%)。
得られた中間体化合物(f−01)について、H−NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6、600MHz):δ(ppm)=7.61−7.72(m,10H,phenyl),7.14(S,2H,H),3.12(S,3H,H),2.22(s,6H,H)。
上記分析の結果から、得られた中間体化合物(f−01)が下記に示す構造を有することが確認できた。
【0275】
【化91】

【0276】
(iii)化合物(f−1)〜(f−3)の合成
前記の中間体化合物(f−01)(4g)をジクロロメタン(79.8g)に溶解させた。溶解確認後、炭酸カリウム(6.87g)を添加し、ブロモ酢酸2−メチル−2−アダマンタン(3.42g)を添加した。還流下、24時間反応後、ろ過、水洗浄を行い、ヘキサンで晶析した。得られた粉体を減圧乾燥することによって目的化合物3.98gを得た(収率66%)。
該目的化合物について、H−NMRによる分析を行った。その結果を以下に示す。
H−NMR(CDCl、600MHz):δ(ppm)=7.83−7.86(m,4H,phenyl),7.69−7.78(m,6H,phenyl),7.51(s,2H,Hd),4.46(s,2H,Hc),2.39(s,6H,Ha),2.33(s,2H,Adamantane),2.17(s,2H,Adamantane),1.71−1.976(m,11H,Adamantane),1.68(s,3H,Hb),1.57−1.61(m,2H,Adamantane)。
上記分析の結果から、該目的化合物には、下記に示す構造を有する化合物(f−1)が含まれることが確認された。
【0277】
【化92】

【0278】
さらに、該目的化合物には、化合物(f−1)と共に、カチオン部のNMRデータが上記と同じである化合物(f−2)および化合物(f−3)も含まれることが、イオンクロマトグラフィーの測定結果から確認された。これら化合物の比率は、化合物(f−1)21.4mol%、化合物(f−2)11.4mol%、化合物(f−3)67.2mol%であった。
【0279】
【化93】

【0280】
(iv)酸発生剤(4)の合成
前記の化合物(d)5.00gを純水50.0gに溶解させ、前記の化合物(f−3)6.19gを加えた後、塩化メチレン50.0gを加え、室温で10時間撹拌を行った。その後、分液により有機層を取り出した。その有機層を1%HCl水溶液で3回洗浄、さらに1%アンモニア水溶液にて1回洗浄を行った後、純水で4回洗浄し、有機層を濃縮することで、白色固体として酸発生剤(4)を8.58g(収率:90.4%)得た。
【0281】
【化94】

【0282】
得られた酸発生剤(4)について、H−NMR及び19F−NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)=1.47−1.95(m,15H,Ad,3H,anion),2.13−2.16(m,2H,Ad,1H,anion),2.30(s,6H,PhCH),2.49(m,1H,anion),3.48(m,1H,anion),3.88(t,1H,anion),4.58(s,2H,CH)4.66(t,1H,anion),4.78(m,1H,anion),7.57(m,2H,Ph),7.72−7.84(m,10H,Ph).
19F−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)−107.8(m,2F,CF),(但し、ヘキサフルオロベンゼンのピークを−160ppmとした。)
上記の結果から、酸発生剤(4)が上記式に示す構造を有することが確認できた。
【0283】
[酸発生剤合成例3:酸発生剤(5)の合成]
前記の化合物(d)3.21gを純水32.1gに溶解させ、4−メチルフェニルジフェニルスルホニウムブロミド3.72gを加えた後、塩化メチレン32.1gを加え、室温で1時間撹拌を行った。その後、分液により有機層を取り出した。その有機層を1%HCl水溶液で3回洗浄し、その後、純水で4回洗浄し、有機層を濃縮することで、白色固体として酸発生剤(5)を4.94g(収率:86.8%)得た。
【0284】
【化95】

【0285】
得られた酸発生剤(5)について、H−NMR及び19F−NMRによる分析を行った。
H−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)1.74−2.21(m,4H,anion),2.41(t,3H,PhCH),2.58(m,1H,anion),3.48(m,1H,anion),3.87(t,1H,anion),4.66(t,1H,anion),4.78(m,1H,anion),7.58(m,2H,ph),7.64−7.84(m,12H,ph).
19F−NMR(DMSO−d6、400MHz):δ(ppm)−107.6(m,2F,Fa),(但し、ヘキサフルオロベンゼンのピークを−160ppmとした。)
上記の結果から、酸発生剤(5)が上記式に示す構造を有することが確認できた。
【0286】
<ポジ型レジスト組成物の調製>
表1〜3に示す各成分を混合して溶解することにより、ポジ型レジスト組成物を調製した。なお、表中、「−」は未配合であることを示す。
【0287】
【表1】

【0288】
【表2】

【0289】
【表3】

【0290】
表1〜3中、各略号はそれぞれ以下のものを示し、[ ]内の数値は配合量(質量部)である。
【0291】
(A)−1:前記高分子化合物(1)。
(A)−2:前記高分子化合物(2)。
(A)−3:前記高分子化合物(3)。
(A)−4:前記高分子化合物(4)。
(A)−5:前記高分子化合物(5)。
(A)−6:前記高分子化合物(6)。
(A)−7:前記高分子化合物(7)。
(A)−8:前記高分子化合物(8)。
【0292】
(B)−1:前記酸発生剤(1)。
(B)−2:下記化学式(B1−1)で表される酸発生剤(2)。
(B)−3:下記化学式(B2−1)で表される酸発生剤(3)。
【0293】
【化96】

【0294】
(B)−4:前記酸発生剤(4)。
(B)−5:前記酸発生剤(5)。
(B)−6:下記化学式(B1−2)で表される酸発生剤(6)。
【0295】
【化97】

【0296】
(B)−7:(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムノナフルオロ−n−ブタンスルホネート。
(B)−8:(4−メチルフェニル)ジフェニルスルホニウムトリフルオロメタンスルホネート。
【0297】
(D)−1:トリ−n−ペンチルアミン。
(E)−1:サリチル酸。
(S)−1:PGMEA/PGME/シクロヘキサノン=45/30/25(質量比)の混合溶剤。
(S)−2:PGMEA/PGME=6/4(質量比)の混合溶剤。
【0298】
<レジストパターンの評価>
得られたポジ型レジスト組成物について、以下の手順に従って、レジストパターンを形成してレジストパターン形状を評価した。
【0299】
(実施例1〜3、比較例1〜2)
[液浸露光によるレジストパターンの形成(1)]
12インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC95」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚90nmの有機系反射防止膜を形成した。
そして、該有機系反射防止膜上に、上記で得られた実施例1〜3および比較例1〜2のポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で110℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚90nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜上に、保護膜形成用塗布液「TILC−057」(商品名、東京応化工業株式会社製)を、スピンナーを用いて塗布し、90℃で60秒間加熱することにより、膜厚35nmのトップコートを形成した。
次に、ArF液浸露光装置NSR−S609B(ニコン社製;NA(開口数)=1.07,σ0.97)により、ホールパターンのマスクを介して、トップコートが形成された前記レジスト膜に対して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
そして、95℃、60秒間の条件で露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%のTMAH水溶液NMD−3(商品名、東京応化工業株式会社製)で30秒間の条件でアルカリ現像し、その後25秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
その結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、ライン幅50nm/ピッチ100nmのラインアンドスペースパターン(以下「LSパターン」という。)がそれぞれ形成された。
【0300】
[感度]
上記のレジストパターンの形成(1)において、ライン幅50nm/ピッチ100nmのLSパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm;感度)を求めた。その結果を表4に示す。
【0301】
[レジストパターン形状の評価]
上記Eopにて形成されたライン幅50nm、ピッチ100nmのLSパターンを、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、LSパターンの断面形状を評価した。その結果を表4に示す。
【0302】
【表4】

【0303】
表4の結果から、実施例1〜3のポジ型レジスト組成物は、比較例1〜2のポジ型レジスト組成物に比べて、矩形性の高い、良好な形状のレジストパターンを形成できることが確認できた。
【0304】
(実施例4〜8、比較例3〜4)
[液浸露光によるレジストパターンの形成(2)]
12インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間焼成して乾燥させることにより、膜厚89nmの有機系反射防止膜を形成した。
そして、該反射防止膜上に、上記で得られた実施例4〜8および比較例3〜4のポジ型レジスト組成物を、スピンナーを用いてそれぞれ塗布し、ホットプレート上で表5に示す温度、60秒間の条件によりプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥して膜厚100nmのレジスト膜を形成した。
次に、前記レジスト膜上に、保護膜形成用塗布液「TILC−057」(商品名、東京応化工業株式会社製)を、スピンナーを用いて塗布し、90℃で60秒間加熱することにより、膜厚35nmのトップコートを形成した。
次いで、ArF液浸露光装置NSR−S609B(ニコン社製;NA(開口数)=1.07,σ=0.97)により、ArFエキシマレーザー(193nm)を、ホールパターンのマスクパターンを介し、トップコートが形成された前記レジスト膜に対して選択的に照射した。
その後、表5に示す温度で60秒間の露光後加熱(PEB)処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%のTMAH水溶液「NMD−3」(商品名、東京応化工業株式会社製)で30秒間現像し、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
その結果、いずれの例においても、ホール直径90nmのホールが等間隔(ピッチ540nm)に配置されたコンタクトホールパターン(以下「Iso CHパターン」という。)が形成された。
【0305】
次に、表6に示す温度でPAB、PEB処理をそれぞれ行った以外は前記[液浸露光によるレジストパターンの形成(2)]と同様にしてホールパターンを形成した。
その結果、いずれの例においても、ホール直径90nmのホールが等間隔(ピッチ140nm)に配置されたコンタクトホールパターン(以下「Nested CHパターン」という。)が形成された。
【0306】
・Iso CHパターンの評価:
[感度]
上記のレジストパターンの形成(2)において、ホール直径90nm、ピッチ540nmのIso CHパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm;感度)を求めた。その結果を表5に示す。
【0307】
[CD均一性(CDU)の評価]
上記Eopで形成されたIso CHパターンについて、各CHパターン中の25個のホールの直径(CD)を測定し、その測定結果から算出した標準偏差(σ)の3倍値(3σ)を求めてCD均一性(CDU)を評価した。その結果を表5に示す。
このようにして求められる3σは、その値が小さいほど、当該レジスト膜に形成された各ホールのCD均一性(CDU)が高いことを意味する。
【0308】
[真円性(Circularity)の評価]
上記Eopで形成されたIso CHパターンを、測長SEM(日立製作所社製,製品名:S−9220)を用いて上空から観察し、ホールパターンの真円性を下記の基準で評価した。その結果を表5に示す。
○:ホール周囲の凹凸がほとんどなく、ホールの真円性が特に良好であった。
△:ホール周囲の凹凸が少なく、ホールの真円性が良好であった。
【0309】
【表5】

【0310】
・Nested CHパターンの評価:
上記で形成されたNested CHパターンについて、感度、CD均一性(CDU)、真円性(Circularity)を、上記Iso CHパターンにおける場合と同様にしてそれぞれ評価した。それらの結果を表6に示す。
【0311】
【表6】

【0312】
表5〜6の結果から明らかなように、本発明の実施例4〜8のポジ型レジスト組成物は、比較例3〜4のポジ型レジスト組成物よりも、IsoおよびNested CHパターン(疎密ホールパターン)のいずれにおいても、真円性の高い、良好な形状のレジストパターンを形成できることが確認できた。
また、実施例4〜8のポジ型レジスト組成物におけるCDUは、比較例3〜4のポジ型レジスト組成物と同程度に良好であることも確認できた。
よって、疎密ホールパターンのいずれの場合も、本発明に係るポジ型レジスト組成物においては、構成単位(a0)を有し、かつ、その構造中に酸解離性溶解抑制基を含む高分子化合物(A1)と、酸発生剤(B1)とを含有することで、上述したように(A)成分の酸解離反応がより均一に進行していると考えられる。
【0313】
(実施例9〜10、比較例5〜6)
[レジストパターンの形成(3)]
8インチのシリコンウェーハ上に、有機系反射防止膜組成物「ARC29A」(商品名、ブリュワーサイエンス社製)を、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で205℃、60秒間ベークして乾燥させることにより、膜厚77nmの有機系反射防止膜を形成した。
そして、該反射防止膜上に、上記で得られた実施例9〜10および比較例5〜6のポジ型レジスト組成物をそれぞれ、スピンナーを用いて塗布し、ホットプレート上で115℃、60秒間の条件でプレベーク(PAB)処理を行い、乾燥することにより、膜厚150nmのレジスト膜を形成した。
次に、ArF露光装置NSR−S306(ニコン社製;NA(開口数)=0.78,2/3輪帯照明)により、マスクパターンを介して、前記レジスト膜に対して、ArFエキシマレーザー(193nm)を選択的に照射した。
そして、115℃で60秒間のPEB処理を行い、さらに23℃にて2.38質量%テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)水溶液(商品名:NMD−3、東京応化工業(株)製)で30秒間の現像処理を行い、その後30秒間、純水を用いて水リンスし、振り切り乾燥を行った。
上記レジストパターンの形成の結果、いずれの例においても、前記レジスト膜に、ライン幅85nm/ピッチ170nmのラインアンドスペースパターン(LSパターン)がそれぞれ形成された。
【0314】
[感度]
上記のレジストパターンの形成(3)において、ライン幅85nm/ピッチ170nmのLSパターンが形成される最適露光量Eop(mJ/cm;感度)を求めた。その結果を表7に示す。
【0315】
[レジストパターン形状の評価]
上記Eopにて形成されたライン幅85nm、ピッチ170nmのLSパターンを、走査型電子顕微鏡(SEM)を用いて観察し、LSパターンの断面形状を下記の基準で評価した。その結果を表7に示す。
【0316】
【表7】

【0317】
表7の結果から、実施例9、10のポジ型レジスト組成物は、比較例5、6のポジ型レジスト組成物よりも、矩形性の高い、良好な形状のレジストパターンを形成できることが確認できた。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
酸の作用によりアルカリ現像液に対する溶解性が増大する基材成分(A)、および露光により酸を発生する酸発生剤成分(B)を含有するポジ型レジスト組成物であって、
前記基材成分(A)は、下記一般式(a0−1)で表される構成単位(a0)を有し、かつ、その構造中に酸解離性溶解抑制基を含む高分子化合物(A1)を含有し、
前記酸発生剤成分(B)は、下記一般式(b1−1)で表される化合物からなる酸発生剤(B1)を含有することを特徴とするポジ型レジスト組成物。
【化1】

[式(a0−1)中、Rは水素原子、炭素数1〜5のアルキル基又は炭素数1〜5のハロゲン化アルキル基であり、Rは2価の連結基であり、Rはその環骨格中に−SO−を含む環式基である。]
【化2】

[式(b1−1)中、Rは置換基を有していてもよい炭素数1〜12の炭化水素基である。ただし、−SOにおける硫黄原子に隣接する炭素原子にはフッ素原子は結合していない。Zは有機カチオンである。]
【請求項2】
前記一般式(a0−1)におけるRが、その環骨格中に−O−SO−を含む環式基である請求項1記載のポジ型レジスト組成物。
【請求項3】
前記一般式(a0−1)におけるRが、下記一般式(3−1)で表される環式基である請求項2記載のポジ型レジスト組成物。
【化3】

[式(3−1)中、A’は酸素原子若しくは硫黄原子を含んでいてもよい炭素数1〜5のアルキレン基、酸素原子又は硫黄原子であり;pは0〜2の整数であり;Rはアルキル基、アルコキシ基、ハロゲン化アルキル基、水酸基、−COOR”、−OC(=O)R”、ヒドロキシアルキル基又はシアノ基であり、R”は水素原子又はアルキル基である。]
【請求項4】
前記高分子化合物(A1)が、前記構成単位(a0)に該当しない、酸解離性溶解抑制基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a1)を有する請求項1〜3のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
【請求項5】
前記高分子化合物(A1)が、さらに、ラクトン含有環式基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a2)を有する請求項1〜4のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
【請求項6】
前記高分子化合物(A1)が、さらに、極性基含有脂肪族炭化水素基を含むアクリル酸エステルから誘導される構成単位(a3)を有する請求項1〜5のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
【請求項7】
さらに、含窒素有機化合物成分(D)を含有する請求項1〜6のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物。
【請求項8】
支持体上に、請求項1〜7のいずれか一項に記載のポジ型レジスト組成物を用いてレジスト膜を形成する工程、前記レジスト膜を露光する工程および前記レジスト膜をアルカリ現像してレジストパターンを形成する工程を含むレジストパターン形成方法。

【公開番号】特開2010−211073(P2010−211073A)
【公開日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−58738(P2009−58738)
【出願日】平成21年3月11日(2009.3.11)
【出願人】(000220239)東京応化工業株式会社 (1,407)
【Fターム(参考)】