説明

ポジ型感光性組成物、並びにそれを用いたパターンの製造方法、色フィルタアレイ、固体撮像素子及びカメラシステム

【課題】フォトリソグラフィー法での加熱硬化の際にパターンが球面化せず、平坦なパターンを製造できるポジ型感光性組成物を提供すること。
【解決手段】バインダー樹脂、キノンジアジド化合物、硬化剤、式(I)で表される熱酸発生剤、色素及び溶剤を含有するポジ型感光性組成物。


[式(I)中、R101〜R103は、互いに独立に、C1-10炭化水素基を示す。但しR101〜R103のうち少なくとも1つは、C6-10アリール基である。
-は、1価のアニオンを表す。
前記炭化水素基およびアリール基は、置換基を有していてもよい。なお前記炭化水素基及びアリール基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。]

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、固体撮像素子(CCD、CMOSセンサなど)の色フィルタアレイを製造するのに有用なポジ型感光性組成物に関する。
【背景技術】
【0002】
固体撮像素子をカラー化(有色化)するための色フィルタアレイとしては、赤色フィルタ層(R)、緑色フィルタ層(G)及び青色フィルタ層(B)を素子上の同一平面に隣接して形成した色フィルタアレイが知られている。色フィルタアレイの各フィルタ層(R、G、B)の平面パターンは適宜設定されている。またフィルタ層は、前記赤色(R)、緑色(G)、青色(B)からなる原色系の組合せの他、黄色(Y)、マゼンタ(M)、シアン(C)からなる補色系の組合せが採用されることもある。
【0003】
色フィルタアレイは、各フィルタ層に対応する着色感光性組成物を準備し、これらを順に露光・現像・加熱硬化してパターンを形成していくフォトリソグラフィー法(カラーレジスト法)によって製造されることが多い。これまで、この着色感光性組成物に関する様々な技術が提案されている。
【0004】
また組成物の分野では、硬化開始剤として光酸発生剤または熱酸発生剤を使用することがある。この硬化開始剤についても、様々な技術が提案されている。例えば、特許文献1は、エポキシ硬化開始剤として有用なスルホニウム化合物(スルホニウムカチオンとビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミンアニオン{特許文献1でいう「ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド基」}との塩)を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開2006−96742号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
従来の組成物を用いて、フォトリソグラフィー法による色フィルタアレイを製造する場合、露光・現像によって平坦な未硬化パターンが形成される。この平坦な未硬化パターンを加熱硬化する際に、パターンが熱によって流動して、上に凸の半球状の球面化した硬化パターンが形成されることがある。このように球面化した硬化パターンからなる色フィルタアレイでは、入射光を効率的にフォトダイオードに集めることができなくなり、固体撮像素子の光感度が低下する。
【課題を解決するための手段】
【0007】
そこで本発明者らは、上記課題について鋭意検討した結果、本発明のポジ型感光性組成物によれば、フォトリソグラフィー法での加熱硬化の際にパターンが球面化せず、平坦なパターンを製造できることを見出した。
【0008】
本発明は、以下を提供する。
バインダー樹脂、キノンジアジド化合物、硬化剤、熱酸発生剤、色素及び溶剤を含有する組成物であって、前記熱酸発生剤が式(I)で表される化合物であることを特徴とするポジ型感光性組成物。
【0009】
【化1】

【0010】
〔式(I)中、R101〜R103は、互いに独立に、C1-10炭化水素基を示す。但しR101〜R103のうち少なくとも1つは、C6-10アリール基である。
-は、1価のアニオンを表す。
前記炭化水素基およびアリール基は、置換基を有していてもよい。なお前記炭化水素基及びアリール基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。〕
【0011】
なお本明細書中、「Ca-b」とは、「炭素数がa以上b以下」であることを意味する。また以下では式(I)で表される化合物を「化合物(I)」と略称することがある。また他の化学式で表される化合物も同様に略称することがある。
【0012】
好ましい熱酸発生剤は、式(I−1)で表される化合物である。
【0013】
【化2】

【0014】
〔式(I−1)中、n個のR11は、互いに独立に、ヒドロキシ基、C1-4アルキル基、C1-4アシルオキシ基、C1-4アルコキシカルボニルオキシ基、又はC7-10アラルキルオキシカルボニルオキシ基を示す。
12及びR13は、互いに独立に、C1-4アルキル基又はベンジル基を示す。
-は、BF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミンアニオンを示す。
nは、0〜5の整数を表す。〕
【0015】
さらに好ましい熱酸発生剤は、式(I−2)で表される化合物である。
【0016】
【化3】

【0017】
式(I−2)中、R14は、C1-4アルキル基又はベンジル基を示す。
15は、水素原子又はC1-4アルキル基を示す。
16は、C1-4アルキル基又はベンジル基を示す。
17は、C1-4アルキル基を示す。
【0018】
好ましい硬化剤は、式(a)で表される基を有する化合物である。
−(CH2sOR ・・・ (a)
〔式(a)中、Rは水素原子又は低級アルキル基を示す。
sは1〜4の整数を示す。〕
【0019】
本発明は、平坦なパターンを製造する方法も提供する。
前記の製造方法は、以下の工程を有する。
(1)支持体上に前記ポジ型感光性組成物を塗布する工程
(2)前記塗布されたポジ型感光性組成物から溶剤を除去し塗膜を形成する工程
(3)前記塗膜に、マスクを介して、露光する工程
(4)前記露光された部分を、現像液で除去し、未露光部をパターンとして残す工程
(5)前記パターンを、加熱硬化工程の温度よりも、30〜100℃低い温度で、予備加熱する工程
(6)前記パターンを150〜250℃で加熱して硬化させる加熱硬化工程
【0020】
さらに本発明は、上記のポジ型感光性組成物を用いて形成される色フィルタアレイ、並びにこの色フィルタアレイを具備する固体撮像素子及びカメラシステムも提供する。
【発明の効果】
【0021】
本発明のポジ型感光性組成物は、フォトリソグラフィー法での加熱硬化の際に、製造されるパターンが熱によって流動して球面化せず、平坦なパターンを製造できる。そして前記平坦なパターンからなるからなる色フィルタアレイを備えた固体撮像素子又はカメラシステムでは、入射光が色フィルタアレイにおいて屈折しないため、効率的にフォトダイオードに集められることから、良好な光感度が達成される。
【図面の簡単な説明】
【0022】
【図1】図1は、CCDイメージセンサの一例を示す部分拡大概略断面図である。
【図2】図2は、図1のイメージセンサの製造方法を示す第1番目の図である。
【図3】図3は、図1のイメージセンサの製造方法を示す第2番目の図である。
【図4】図4は、図1のイメージセンサの製造方法を示す第3番目の図である。
【図5】図5は、図1のイメージセンサの製造方法を示す第4番目の図である。
【図6】図6は、図1のイメージセンサの製造方法を示す第5番目の図である。
【図7】図7は、図1のイメージセンサの製造方法を示す第6番目の図である。
【図8】図8は、カメラシステムの一例を示す構成図である。
【図9】比較例1のポジ型感光性組成物から得られた未硬化パターン(図9(a))及び硬化パターン(図9(b))の断面SEM写真である。
【図10】実施例1のポジ型感光性組成物から得られた未硬化パターン(図10(a))及び硬化パターン(図10(b))の断面SEM写真である。
【図11】実施例2のポジ型感光性組成物から得られた未硬化パターン(図11(a))及び硬化パターン(図11(b))の断面SEM写真である。
【図12】実施例3のポジ型感光性組成物から得られた未硬化パターン(図12(a))及び硬化パターン(図12(b))の断面SEM写真である。
【図13】実施例4のポジ型感光性組成物から得られた未硬化パターン(図13(a))及び硬化パターン(図13(b))の断面SEM写真である。
【発明を実施するための形態】
【0023】
本発明のポジ型感光性組成物は、バインダー樹脂、キノンジアジド化合物、硬化剤、熱酸発生剤、色素及び溶剤を含有し、該熱酸発生剤が式(I)で表される化合物である点に要旨がある。
【0024】
【化4】

【0025】
〔式(I)中、R101〜R103は、互いに独立に、C1-10炭化水素基を示す。但しR101〜R103のうち少なくとも1つは、C6-10アリール基である。
-は、1価のアニオンを表す。
前記炭化水素基およびアリール基は、置換基を有していてもよい。なお前記炭化水素基及びアリール基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。〕
【0026】
当該熱酸発生剤を使用することによって、フォトリソグラフィー法での加熱硬化の際にパターンが熱によって流動して半球状になる前に、硬化反応が促進されて、平坦な形状を維持したパターンが製造されると考えられる。
【0027】
本発明のポジ型感光性組成物は、バインダー樹脂、キノンジアジド化合物、硬化剤、熱酸発生剤、色素及び溶剤から構成される。前記バインダー樹脂、キノンジアジド化合物、硬化剤、及び熱酸発生剤は、前記溶剤に溶解していてもよく、分散していてもよい。以下、各成分について順に説明する。
【0028】
〈バインダー樹脂〉
バインダー樹脂は、後述する硬化剤と架橋反応することによって組成物(現像後のパターン)を硬化させる作用を有する。このようなバインダー樹脂として、例えば、カルボキシ基又はヒドロキシ基(中でもフェノール性水酸基)を有する樹脂が挙げられる。
【0029】
カルボキシ基を有する樹脂として、例えば、ポリメタクリレートとマレイン酸無水物との共重合体等が挙げられる。
【0030】
フェノール性水酸基を有する樹脂として、例えば、アルカリ可溶性のフェノール樹脂、ノボラック樹脂、又はヒドロキシスチレン構造を含む共重合体(例えば、J. Photopolym. Sci. Technol. vol.3, No.3 (1990) の第235〜247頁に記載されているようなp−ヒドロキシスチレンとp−アセトキシメチルスチレンとの共重合体)等が挙げられる。
【0031】
これらのバインダー樹脂は、単独で又は2種以上を組合せて使用できる。さらにノボラック樹脂の原料として後述するビスフェノールA又はビスフェノールCなどのフェノール類を、バインダー樹脂に添加してもよい。
【0032】
フェノール性水酸基を有する樹脂の中で、フェノール類とアルデヒド類とを酸触媒の存在下に縮合して得られるノボラック樹脂が好ましい。前記フェノール類としては、例えば、フェノール、クレゾール、エチルフェノール、ブチルフェノール、キシレノール、フェニルフェノール、カテコール、レゾルシノール、ピロガロール、ナフトール、ビスフェノールC、ビスフェノールA、又は3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチル−5−インダノール等が挙げられる。また前記アルデヒド類としては、例えば、ホルムアルデヒド、パラホルムアルデヒド、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド又はベンズアルデヒド等の脂肪族又は芳香族アルデヒドが挙げられる。前記フェノール類及びアルデヒド類は、単独で又は2種以上組合せて使用できる。
【0033】
前記ノボラック樹脂として、p−クレゾールノボラック樹脂、m−クレゾールノボラック樹脂、p−クレゾールとm−クレゾールを含むノボラック樹脂、及び式(II−1)で表される構成単位を有するノボラック樹脂(3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチル−5−インダノール・ホルムアルデヒド重縮合物)などが好ましい。
【0034】
【化5】

【0035】
前記のバインダー樹脂としては、例えば、式(II−2)〜式(II−5)で表される構成単位を有する樹脂が例示される。
【0036】
【化6】

【0037】
バインダー樹脂の重量平均分子量(ポリスチレン換算)は、例えば、3,000〜60,000程度、好ましくは4,000〜50,000程度、より好ましくは5,000〜30,000程度である。バインダー樹脂の分子量分布は、必要に応じ、分別等の手段を用いて適宜調整できる。
【0038】
〈キノンジアジド化合物〉
キノンジアジド化合物は、ポジ型感光性組成物の分野で代表的に用いられる感光剤である。キノンジアジド化合物として、o−ナフトキノンジアジド化合物が好ましい。特に好ましいo−ナフトキノンジアジド化合物は、o−ナフトキノンジアジドスルホン酸化合物(例えば、o−ナフトキノンジアジド5−スルホン酸、o−ナフトキノンジアジド4−スルホン酸など)と、多価フェノール(好ましくはフェノール性水酸基を3つ以上有する多価フェノール)とのエステルである。
【0039】
多価フェノールとしては、例えば、(i)1つ又はそれ以上の水酸基を有するベンゼン環(以下「水酸基含有ベンゼン環」と略称する。)がカルボニル基を介して結合されている化合物、(ii)水酸基含有ベンゼン環がアルキレン基(好ましくはメチレン基)を介して結合されている化合物、及び(iii)ジヒドロピラン環と第1の水酸基含有ベンゼン環とが縮環し、さらにこの縮環のジヒドロピラン環部分に第2の水酸基含有ベンゼン環が結合している化合物が挙げられる。
【0040】
上記(i)の多価フェノールとして、例えば、ジ、トリ、テトラまたはペンタヒドロキシベンゾフェノン(好ましくは2,3,4,4’−テトラヒドロキシベンゾフェノンなど)が挙げられる。
【0041】
上記(ii)の多価フェノールとして、例えば、式(III−1)〜(III−7)で表される化合物が挙げられる。
【0042】
【化7】

【0043】
上記(iii)の多価フェノールとして、例えば、式(III−8)〜(III−11)で表される化合物が挙げられる。
【0044】
【化8】

【0045】
多価フェノールとして、上記(iii)に分類したものが好ましく、それらの中でも化合物(III−8)、(III−9)及び(III−10)がより好ましい。
【0046】
〈硬化剤(架橋剤)〉
硬化剤は、バインダー樹脂との架橋反応によって組成物(現像後のパターン)を硬化させる作用を有する。このような硬化剤として、式(a)で表される基を有する化合物が挙げられる。
−(CH2sOR ・・・ (a)
【0047】
式(a)中、Rは、水素原子又は低級アルキル基(特にC1-4アルキル基)を示し、sは1〜4の整数を示す。低級アルキル基として、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル及びn−ブチル基が挙げられ、好ましくはメチル基及びエチル基が挙げられる。
【0048】
硬化剤として、例えば、式(IV−I)で表されるメラミン化合物、又は式(IV−2)で表されるベンゾグアナミン化合物が挙げられる。
【0049】
【化9】

【0050】
式(IV−1)及び式(IV−2)中、R40〜R49は、互いに独立に、水素原子又は−(CH2sOR基を示す。ただし、式(IV−1)では、R40〜R45のうち少なくとも2つ、好ましくは3つ以上、さらに好ましくは5つ以上が−(CH2sOR基である。式(IV−2)ではR46〜R49のうち少なくとも2つ、好ましくは3つ以上が−(CH2sOR基である。
【0051】
メラミン化合物(IV−1)としては、例えば、
アミノ基が6つのアルコキシメチル基(アルコキシメチロール基ともいう)で変性されているメラミン(ヘキサアルコキシメチルメラミン類(ヘキサアルコキシメチロールメラミン類))、好ましくはアミノ基が合せて6つのC1-4アルコキシメチル基(特にメトキシメチル基、ブトキシメチル基)で変性されているメラミン、例えば、ヘキサメトキシメチルメラミン、ヘキサブトキシメチルメラミン;
アミノ基が合せて6つのアルコキシメチル基及びヒドロキシメチル基(メチロール基)で変性されているメラミン;
アミノ基が5つ以下のアルコキシメチル基で変性されているメラミン;
アミノ基が合せて5つ以下のアルコキシメチル基及びヒドロキシメチル基で変性されているメラミン;
などが挙げられる。
【0052】
ベンゾグアナミン化合物(IV−2)としては、例えば、
アミノ基が4つのアルコキシメチル基(アルコキシメチロール基)で変性されているベンゾグアナミン(テトラアルコキシメチルベンゾグアナミン類(テトラアルコキシメチロールベンゾグアナミン類))、例えば、テトラメトキシメチルベンゾグアナミン;
アミノ基が合せて4つのアルコキシメチル基(特にメトキシメチル基)及びヒドロキシメチル基(メチロール基)で変性されているベンゾグアナミン;
アミノ基が3つ以下のアルコキシメチル基(特にメトキシメチル基)で変性されているベンゾグアナミン;
アミノ基が合せて3つ以下のアルコキシメチル基(特にメトキシメチル基)及びヒドロキシメチル基で変性されているベンゾグアナミン;
などが挙げられる。
【0053】
メラミン化合物(IV−1)及びベンゾグアナミン化合物(IV−2)は、例えば、サイメル(登録商標)300、同301、同303、同370、同325、同327、同701、同266、同267、同238、同1141、同272、同202、同1156、同1158、同1123、同1170、同1174、同UFR65及び同UFR300(以上、日本サイテックインダストリーズ(株)製);ニカラック(登録商標)MX−750、同MX−035、同MX−706、同MX−708、同MX−042、同MX−45、同MS−11、同MW−22、同MS−21、同MW−24X、同MS−001、同MX−002、同MX−730、同MW−30M、MX−45、同MX−500、同MX−520、同MX−43、同MX−417、同MX−410、及び同MW−30(以上、(株)三和ケミカル社製);並びにニカラックBX−4000、同SB−401、同BX−37、同SB−355、同SB−303、同SB−301、同BL−60、同SB−255、同SB−203、及び同SB−201(以上、(株)三和ケミカル社製)の商品名で市販されている。
【0054】
その他の硬化剤としては、式(IV−3)〜(IV−8)で表される化合物が挙げられる。
【0055】
【化10】

【0056】
化合物(IV−3)又は(IV−4)は、p−クレゾール又はt−ブチルフェノールを塩基性条件下でホルムアルデヒドと縮合させることで製造できる。また化合物(IV−5)〜(IV−8)は、特開平1−293339号公報に記載された公知化合物である。
【0057】
〈熱酸発生剤〉
熱酸発生剤は、熱によって酸を発生する作用を有する。該熱酸発生剤は、ポジ型感光性組成物を基板上に塗布し、溶剤を除去した後、マスクを介して露光によってパターン化した後、パターンを加熱硬化している。熱酸発生剤を使用することによって、加熱硬化の際にパターンが熱によって流動して半球状にならず、現像後の平坦な形状が維持されると考えられる。
本発明において、熱酸発生剤としては、式(I)で表される化合物が用いられる。
【0058】
【化11】

【0059】
式(I)中、R101〜R103は、互いに独立に、C1-10炭化水素基を示す。但しR101〜R103のうち少なくとも1つは、C6-10アリール基である。X-は、1価のアニオンを表す。前記炭化水素基およびアリール基は、置換基を有していてもよい。なお前記炭化水素基及びアリール基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。
【0060】
1-10炭化水素基(以下、基本炭化水素基という場合がある)としては、例えば、フェニル基、ナフチル基等のアリール基;ベンジル基、ナフチルメチル基等のアラルキル基;C1-10アルキル基;及びC5−8シクロアルキル基等を挙げることができる。
【0061】
基本炭化水素基に結合する置換基としては、例えば、ハロゲン原子、C1-5アルキル基、C3-6シクロアルキル基、ニトロ基、シアノ基、−OR104、−COR105、−COOR106、−NR107108、−OCOOR109、及び−OCOR110等を挙げることができる(前記R104〜R108は、互いに独立に、水素原子、C1-5アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基又はC7-11アラルキル基を表し、R109及びR110は、互いに独立に、C1-5アルキル基、C3-6シクロアルキル基、C6-10アリール基又はC7-11アラルキル基を示す。)。
【0062】
置換基が結合した基本炭化水素基としては、置換アリール基、置換アラルキル基、置換アルキル基、置換シクロアルキル基などが例示できる。置換アリール基には、C1-4アルキルフェニル基、ジC1-4アルキルフェニル基、トリC1-4アルキルフェニル基、C1-4アルキルナフチル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、クロロ−メチルフェニル基、クロロ−ヒドロキシフェニル基、クロロ−メトキシフェニル基、クロロ−アセトフェニル基、クロロ−カルボキシフェニル基、クロロ−メトキシカルボニルフェニル基、クロロ−N,N−ジメチルアミノフェニル基、クロロ−メトキシカルボニルオキシフェニル基、クロロ−アセトキシフェニル基、ニトロフェニル基、ニトロ−ヒドロキシフェニル基、シアノフェニル基、シアノ−ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、トリヒドロキシフェニル基、C1-4アルキル−ヒドロキシフェニル基、ジC1-4アルキル−ヒドロキシフェニル基、C1-6アルコキシフェニル基、フェノキシフェニル基、ベンジルオキシフェニル基、アセトフェニル基、C2-6アルキルカルボニルフェニル基、フェニルカルボニルフェニル基、ベンジルカルボニルフェニル基、カルボキシフェニル基、C1-6アルコキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、ベンジルオキシカルボニルフェニル基、アミノフェニル基、N,N−ジC1-3アルキルアミノフェニル基、フェノキシカルボニルオキシフェニル基、ベンジルオキシカルボニルオキシフェニル基、アセトキシフェニル基、シクロヘキシルカルボニルオキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、ベンジルカルボニルオキシフェニル基、メトキシ−ヒドロキシフェニル基、アセト−ヒドロキシフェニル基、アセト−ヒドロキシベンジル基、メトキシカルボニル−ヒドロキシフェニル基、メトキシカルボニル−ヒドロキシフェニル基、N,N−ジメチルアミノ−ヒドロキシフェニル基、メトキシカルボニルオキシ−ヒドロキシフェニル基、アセトキシ−ヒドロキシベンジル基、フルオロC1-3アルキル−フェニル基、クロロC1-3アルキル−フェニル基等が含まれる。
【0063】
置換アラルキル基としては、C1-4アルキルベンジル基、ジC1-4アルキルベンジル基、トリC1-4アルキルベンジル基、クロロベンジル基、クロロ−メチルベンジル基、ジクロロベンジル基、ニトロベンジル基、シアノベンジル基、ヒドロキシベンジル基、C1-4アルキル−ヒドロキシベンジル基、ジC1-4アルキル−ヒドロキシベンジル基、ジヒドロキシベンジル基、トリヒドロキシベンジル基、C1-6アルコキシベンジル基、フェノキシベンジル基、ベンジルオキシベンジル基、アセトベンジル基、C2-6アルキルカルボニルベンジル基、ベンゾイルベンジル基、ベンジルカルボニルベンジル基、カルボキシベンジル基、C1-6アルコキシカルボニルベンジル基、フェノキシカルボニルベンジル基、ベンジルオキシカルボニルベンジル基、アミノベンジル基、N,N−ジC1-3アルキルアミノベンジル基、C1-6アルコキシカルボニルオキシベンジル基、フェノキシカルボニルオキシベンジル基、ベンジルオキシカルボニルオキシベンジル基、アセトキシベンジル基、シクロヘキシルカルボニルオキシベンジル基、ベンゾイルオキシベンジル基、ベンジルカルボニルオキシベンジル基、クロロ−ヒドロキシベンジル基、クロロ−C1-2アルコキシベンジル基、クロロ−アセトベンジル基、クロロ−カルボキシベンジル基、クロロ−N,N−ジメチルアミノベンジル基、クロロ−メトキシカルボニルオキシベンジル基、クロロ−アセトキシベンジル基、ニトロ−ヒドロキシベンジル基、シアノ−ヒドロキシベンジル基、メトキシ−ヒドロキシベンジル基、アセト−ヒドロキシベンジル基、メトキシカルボニル−ヒドロキシベンジル基、N,N−ジメチルアミノ−ヒドロキシベンジル基、メトキシカルボニルオキシ−ヒドロキシベンジル基、フルオロC1-3アルキル−ベンジル基、クロロC1-3アルキル−ベンジル基等が挙げられる。
【0064】
置換アルキル基は、例えば、フルオロC1-3アルキル基、クロロC1-4アルキル基、ニトロC1-4アルキル基、シアノC1-4アルキル基、ヒドロキシC1-4アルキル基、C1-2アルコキシC1-4アルキル基、アセトC1-4アルキル基、シクロヘキシルカルボニルC1-2アルキル基、フェニルカルボニルC1-2アルキル基、ベンジルカルボニルC1-2アルキル基、カルボキシC1-4アルキル基、C1-4アルコキシカルボニルC1-2アルキル基、シクロヘキルオキシカルボニルC1-2アルキル基、フェノキシカルボニルC1-2アルキル基、ベンジルオキシカルボニルC1-2アルキル基、アミノC1-4アルキル基、N,N−ジメチルアミノC1-4アルキル基、C1-4アルコキシカルボニルオキシC1-2アルキル基、シクロヘキルオキシカルボニルオキシC1-2アルキル基、フェノキシカルボニルオキシC1-2アルキル基、ベンジルオキシカルボニルオキシC1-2アルキル基、アセトキシC1-4アルキル基、ベンゾイルオキシC1-2アルキル基、ベンジルカルボニルオキシC1-2アルキル基等である。
【0065】
置換シクロアルキル基としては、クロロシクロへキシル基、ニトロシクロへキシル基、シアノシクロへキシル基、ヒドロキシシクロへキシル基、C1-2アルコキシシクロへキシル基、アセトシクロへキシル基、カルボキシシクロへキシル基、アミノシクロへキシル基、N,N−ジメチルアミノシクロへキシル基、アセトキシシクロへキシル基などの置換C5-6シクロヘキシル基が好ましい。
【0066】
前記基R101〜R103とS+とから構成されるスルホニウムカチオンとしては、以下の(i)〜(iv)のスルホニウムカチオンが好ましい。
(i)1つのアリール基と2つのアルキル基とを有するスルホニウムカチオン類。
例えば、フェニル基、メチルフェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メチル−ヒドロキシフェニル基、メチル−ヒドロキシ−ブチルフェニル基、ジヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、フェノキシフェニル基、ベンジルオキシフェニル基、アセトフェニル基、ベンゾイルフェニル基、ベンジルカルボニルフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、フェノキシカルボニルフェニル基、ベンジルオキシカルボニルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、メトキシカルボニルオキシフェニル基、フェノキシカルボニルオキシフェニル基、ベンジルオキシカルボニルオキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、クロロ−ヒドロキシフェニル基、及びクロロ−ヒドロキシフェニル基よりなる群から選ばれる1つのアリール基と、2つのメチル基とを有するスルホニウムカチオンなど。
【0067】
(ii)フェニル基、ベンジル基及びアルキル基を有するスルホニウムカチオン類。
例えば、フェニル基、メチルフェニル基、クロロフェニル基、クロロ−メチルフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メチル−ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシ−ブチルフェニル基、メチル−ヒドロキシ−ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、アセトフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、メトキシカルボニルオキシフェニル基、アセトキシフェニル基、ベンゾイルオキシフェニル基、及びクロロ−ヒドロキシフェニル基よりなる群から選ばれる1つのフェニル基と、ベンジル基と、メチル基とを有するスルホニウムカチオン;
フェニル基、クロロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、アセトフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、メトキシカルボニルオキシフェニル基、アセトキシフェニル基、及びベンゾイルオキシフェニル基よりなる群から選ばれる1つのフェニル基と、メチルベンジル基と、メチル基とを有するスルホニウムカチオン;
フェニル基、クロロフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メトキシフェニル基、アセトフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、N,N−ジメチルアミノフェニル基、メトキシカルボニルオキシフェニル基、アセトキシフェニル基、及びベンゾイルオキシフェニル基よりなる群から選ばれる1つのフェニル基と、ナフチルメチル基と、メチル基とを有するスルホニウムカチオン;
フェニル基と、クロロベンジル基、ジクロロベンジル基、ニトロベンジル基、シアノベンジル基、ヒドロキシベンジル基、メトキシベンジル基、アセトベンジル基、メトキシカルボニルベンジル基、N,N−ジメチルアミノベンジル基、メトキシカルボニルオキシベンジル基、及びアセトキシベンジル基よりなる群から選ばれる1つのベンジル基と、メチル基とを有するスルホニウムカチオン;
クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メチル−ヒドロキシフェニル基、メチル−ヒドロキシ−ブチルフェニル基、及びクロロ−ヒドロキシフェニル基よりなる群から選ばれる1つのフェニル基と、クロロベンジル基又はジクロロベンジル基と、メチル基とを有するスルホニウムカチオン;
ニトロフェニル基又はシアノフェニル基と、クロロベンジル基と、メチル基とを有するスルホニウムカチオン;
ヒドロキシフェニル基と、ニトロベンジル基、シアノベンジル基、ヒドロキシベンジル基、メトキシベンジル基、アセトベンジル基、メトキシカルボニルベンジル基、ジメチルアミノベンジル基、メトキシカルボニルオキシベンジル基、及びアセトキシベンジル基よりなる群から選ばれる1つのベンジル基と、メチル基とを有するスルホニウムカチオンなど。
【0068】
(iii)フェニル基及び2つのベンジル基を有するスルホニウムカチオン。
例えば、フェニル基、クロロフェニル基、ジクロロフェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メチル−ヒドロキシフェニル基、ヒドロキシ−ブチルフェニル基、メチル−ヒドロキシ−ブチルフェニル基、メトキシフェニル基、アセトフェニル基、メトキシカルボニルフェニル基、ジメチルアミノフェニル基、メトキシカルボニルオキシフェニル基、アセトキシフェニル基、クロロ−ヒドロキシフェニル基、及びクロロ−ヒドロキシフェニル基よりなる群から選ばれる1つのフェニル基と、2つのベンジル基とを有するスルホニウムカチオンなど。
【0069】
(iv)フェニル基、無置換ベンジル基及び置換ベンジル基を有するスルホニウムカチオン。
例えば、フェニル基、ニトロフェニル基、シアノフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メチル−ヒドロキシフェニル基、メチル−ヒドロキシ−ブチルフェニル基、及びクロロ−ヒドロキシフェニル基よりなる群から選ばれる1つのフェニル基と、ベンジル基と、クロロベンジル基とを有するスルホニウムカチオン;
フェニル基、メチル−ヒドロキシ−ブチルフェニル基、ヒドロキシフェニル基、メチル−ヒドロキシフェニル基、及びクロロ−ヒドロキシフェニル基よりなる群から選ばれる1つのフェニル基と、ベンジル基と、ジクロロベンジル基とを有するスルホニウムカチオンなど。
【0070】
式(I)のX-としては、例えば、BF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、及びスルホン酸アニオン(例えば、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、p−トルエンスルホン酸アニオン、p−ドデシルベンゼンスルホン酸アニオン、1−ナフタレンスルホン酸アニオン、1−ピレンスルホン酸アニオンなど)、ビス(パーフルオロC1-3アルキルスルホニル)アミンアニオン(好ましくはビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミンアニオンなど)などが挙げられる。これらの中でもPF、SbF、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミンアニオンが好ましく、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミンアニオン(「ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドアニオン」ともいう)がより好ましい。
【0071】
より好ましい熱酸発生剤は、式(I−1)で表される化合物である。
【0072】
【化12】

【0073】
式(I−1)中、n個のR11は、互いに独立に、ヒドロキシ基、C1-4アルキル基、C1-4アシルオキシ基、C1-4アルコキシカルボニルオキシ基、又はC7-10アラルキルオキシカルボニルオキシ基を表し、好ましくはC1-4アシルオキシ基(例えば、アセトキシ基{CH3COO−})、C1-4アルコキシカルボニルオキシ基(例えば、メトキシカルボニルオキシ基{CH3O−C(=O)−O−})、又はC7-10アラルキルオキシカルボニルオキシ基(ベンジルオキシカルボニルオキシ基{PhCH2O−C(=O)−O−})を表し、より好ましくはアセトキシ基を表す。
12及びR13は、互いに独立に、C1-4アルキル基又はベンジル基を表し、いずれか一方がC1-4アルキル基(特にメチル基)であり、もう一方がベンジル基であることが好ましい。R12及びR13のベンジル基は、上述のように置換基を有していてもよいが、無置換であることが好ましい。
-は、BF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミンアニオンを示す。
nは、0〜5の整数を表す。
【0074】
さらに好ましい熱酸発生剤は、式(I−2)で表される化合物である。
【0075】
【化13】

【0076】
式(I−2)中、R14は、C1-4アルキル基又はベンジル基、好ましくはC1-4アルキル基を表し、好ましくはメチル基を表す。R15は、水素原子又はC1-4アルキル基を表し、好ましくは水素原子を表す。R16は、C1-4アルキル基又はベンジル基を表し、好ましくはベンジル基を表す。R16のベンジル基は、上述のように置換基を有していてもよいが、無置換であることが好ましい。R17は、C1-4アルキル基を表し、好ましくはメチル基を表す。
【0077】
スルホニウム塩の具体例として、4−アセトキシフェニル・ジメチルスルホニウムカチオン、4−ヒドロキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウムカチオン、4−アセトキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウムカチオン、4−メトキシカルボニルオキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウムカチオン、4−ヒドロキシフェニル・ジベンジルスルホニウムカチオン、又は4−アセトキシフェニル・ジベンジルスルホニウムカチオンと、PF6-、SbF6-、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミンアニオンとの塩が挙げられる。ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミン=4−アセトキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウム塩、及びビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミン=4−メトキシカルボニルオキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウム塩が特に好ましく、ビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミン=4−メトキシカルボニルオキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウム塩(「4−メトキシカルボニルオキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド」ともいう)が最も好ましい。
【0078】
スルホニウム塩は、例えば、サンエイド(登録商標)SI−60L、同SI−80L、同SI−100L、同SI−110L、同SI−145、同SI−150、同SI−160、同SI−180L、同SI−250(以上、三新化学工業(株)製)、アデカオプトマーSP−170、同SP−172((株)ADEKA製)などの商品名で市販されている。また特許文献1に記載されているような公知の方法で合成できる。
【0079】
〈色素〉
本発明では色素に特に限定はなく、カラーフィルタ(特に色フィルタアレイ)として望ましいスペクトルを有する色素を使用できる。色素としては、そのままの形又は変性した形で、後述の溶剤に溶解する染料が好ましい。染料は、油溶性染料、分散染料、反応性染料、酸性染料又は直接染料等に分類され、本発明ではいずれの染料も使用できる。
【0080】
前記の染料としては、
C.I.ソルベントイエロー4、同14、同15、同24、同82、同88、同94、同98、同162;
C.I.ソルベントレッド45、同49;
C.I.ソルベントオレンジ2、同7、同11、同15、同26、同56;
C.I.ソルベントブルー35、同37、同59、同67;
C.I.アシッドイエロー17、同29、同40、同76;
C.I.アシッドレッド91、同92、同97、同114、同138、同151;
C.I.アシッドオレンジ51、同63;
C.I.アシッドブルー80、同83、同90;
C.I.アシッドグリーン9、同16、同25、同27などが挙げられ、好ましくは、
C.I.ソルベントイエロー82、同162;
C.I.ソルベントレッド45、同49;
C.I.ソルベントオレンジ56;
C.I.ソルベントブルー67;
C.I.アシッドブルー90;
C.I.アシッドグリーン9、同16が挙げられる。
【0081】
染料として、例えば式(1)〜式(7)のいずれかで表される基を有する酸性染料のアミン塩、及び式(8)又は式(9)で表される基を有する酸性染料のスルホンアミド化合物を使用できる。前記酸性染料のスルホンアミド化合物は、式(8)又は式(9)で表される基に加えて、式(10)で表される基を有していてもよい。前記酸性染料としては、例えばアゾ染料、キサンテン染料、アントラキノン染料、トリフェニルメタン染料、メチン染料、シアニン染料およびフタロシアニン染料などが挙げられる。
【0082】
−(SO3-)(Cp2p+1+3) (1)
−(SO3-){(Cp2p+12+2} (2)
−(SO3-){(Cp2p+13+H} (3)
−(SO3-){(Cp2p+14+} (4)
−(SO3-)(Cq2q+1OCr2r+3) (5)
−(SO3-){(Cp2p+1)(PhCH22+H} (6)
−(SO3-){(Cp2p+1)Py+} (7)
−SO2NH(Cp2p+1) (8)
−SO2NH(Cq2q+1OCr2r) (9)
−SO3M (10)
【0083】
式(1)〜(10)中、pは、1以上20以下の整数を表す。q及びrは、それぞれ独立に、1以上10以下の整数を表す。Phは、フェニル基を表す。Py+は、式(11)で表される基である。Mは、水素原子又は一価の陽イオンを表す。
【0084】
【化14】

【0085】
式(11)中、tは、0又は1を表し、tが0であるとはメチル基が存在しないことを意味する。式(11)中の*印はPy+の結合位置を表し、Py+はこの結合位置で式(7)中のCp2p+1の炭素原子と結合する。
【0086】
pは、好ましくは1以上、10以下(より好ましくは8以下)の整数である。q及びrは、それぞれ独立に、好ましくは1以上、8以下(より好ましくは6以下)の整数である。nは、好ましくは1である。Mの一価の陽イオンとしては、例えば、ナトリウムイオン、カリウムイオン、4級アンモニウムイオン{例えば(C253HN+}などが挙げられる。
【0087】
酸性染料のアミン塩に含まれる式(1)〜式(7)のいずれかで表される基の数は、好ましくは1以上、20以下(より好ましくは10以下、さらに好ましくは8以下)である。酸性染料のスルホンアミド化合物に含まれる式(8)又は式(9)で表される基の数は、好ましくは1以上、8以下(より好ましくは6以下、さらに好ましくは5以下)の整数である。さらに酸性染料のスルホンアミド化合物は、好ましくは8個以下、より好ましくは6個以下、さらに好ましくは5個以下の式(10)で表される基を有していてもよい。
【0088】
また、染料として、式(V−1)〜式(V−13)で表される染料を使用することができる。
【0089】
【化15】

【0090】
【化16】

【0091】
【化17】

【0092】
【化18】

【0093】
本発明のポジ型感光性組成物における染料の組合せ例として、赤のカラーフィルタを形成するためには、例えば、好ましくは式(V−2)で表される染料、式(V−5)で表される染料および式(V−6)で表される染料の組合せが選択できる。
青のカラーフィルタを形成するためには、例えば、好ましくは式(25)で表される染料、C.I.アシッドブルー90およびC.I.ソルベントブルー67の組合せが選択できる。
緑のカラーフィルタを形成するためには、例えば、好ましくはC.I.ソルベントブルー67、C.I.アシッドグリーン9、C.I.アシッドグリーン16、C.I.ソルベントイエロー82およびC.I.ソルベントイエロー162の組合せが選択できる。
シアンのカラーフィルタを形成するためには、例えば、好ましくは式(V−1)で表される染料、式(V−2)で表される染料および式(V−3)で表される染料の組合せが選択できる。
黄色のカラーフィルタを形成するためには、例えば、好ましくはC.I.ソルベントイエロー82およびC.I.ソルベントイエロー162の組合せが選択できる。
【0094】
赤、緑、青、シアンおよび黄の染料の組合せは上記の組合せに限られるものではなく、目的としたカラーフィルタの分光スペクトルに合せて適宜で各染料を組合せることがで
きる。
【0095】
〈溶剤〉
溶剤としては、例えば、エチレングリコール類(メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、メチルセルソルブアセテート、エチルセルソルブアセテート、ジエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテルなど)、プロピレングリコール類(プロピレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテートなど)、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルピロリドン、γ−ブチロラクトン、ジメチルスルホキシド、N,N−ジメチルホルムアミド、ケトン類(4−ヒドロキシ−4−メチル−2−ペンタノン(別名「ジアセトンアルコール」)、シクロヘキサノンなど)、カルボン酸エステル類(酢酸エチル、酢酸n−ブチル、酢酸プロピレングリコールモノエチルエーテル、ピルビン酸エチル、乳酸メチル、乳酸エチル、乳酸n−ブチルなど)などが挙げられる。これら溶剤は、単独で又は2種以上を組合せて使用できる。
【0096】
〈他の成分〉
さらに本発明のポジ型感光性組成物は、本発明の効果を損なわない程度で、他の成分(例えば、塩基性化合物、エポキシ樹脂、オキセタン化合物、紫外線吸収剤、酸化防止剤、金属イオン封鎖剤、レベリング剤など)を含んでいてもよい。
【0097】
該塩基性化合物としては、アミン類などの塩基性含窒素有機化合物などが挙げられる。
該塩基性化合物の具体例としては、式(VI−1)〜式(VI−3)で表される化合物が挙げられる。
【0098】
【化19】

【0099】
〔式(VI−1)〜式(VI−3)中、R61〜R63は、それぞれ独立に、水素原子、C1-6直鎖状アルキル基、C3-6分枝鎖状アルキル基、C3-10シクロアルキル基またはC6-12アリール基を表す。前記の直鎖状アルキル基、分枝鎖状アルキル基、シクロアルキル基、およびアリール基は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、アミノ基、またはC1-6アルコキシ基で置換されていてもよい。前記アミノ基は、C1-4直鎖状またはC3-4分枝鎖状アルキル基で置換されていてもよい。
64は、C1-6直鎖状アルキル基、C3-6分枝鎖状アルキル基またはC3-10シクロアルキル基を表す。前記の直鎖状アルキル基、分枝鎖状アルキル基およびシクロアルキル基は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、アミノ基またはC1-6アルコキシ基で置換されていてもよい。前記アミノ基は、C1-4直鎖状アルキル基またはC3-4分枝鎖状アルキル基で置換されていてもよい。
65〜R67は、それぞれ独立に、水素原子、C1-6直鎖状アルキル基、C3-6分枝鎖状アルキル基、C3-10シクロアルキル基、C6-12アリール基またはC1-6アルコキシ基を表す。前記の直鎖状アルキル基、分枝鎖状アルキル基、シクロアルキル基、アリール基、アルコキシ基は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、アミノ基、またはC1-6アルコキシ基で置換されていてもよい。前記アミノ基は、C1-4直鎖状アルキル基またはC3-4分枝鎖状アルキル基で置換されていてもよい。
61は、単結合、C1-10アルキレン基、カルボニル基、イミノ基、スルファンジイル基またはジスルファンジイル基を表す。〕
【0100】
前記直鎖状アルキル基としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基が挙げられ、好ましくはメチル基、エチル基、n−プロピル基が挙げられる。
前記分枝鎖状アルキル基としては、イソプロピル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基が挙げられる。
前記シクロアルキル基としては、好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基が挙げられ、より好ましくはシクロペンチル基、シクロヘキシル基が挙げられる。
前記アリール基としては、フェニル基、ナフチル基が挙げられる。
【0101】
前記の塩基性化合物としては、ヘキシルアミン、ヘプチルアミン、オクチルアミン、ノニルアミン、デシルアミン、アニリン、2−メチルアニリン、3−メチルアニリン、4−メチルアニリン、4−ニトロアニリン、エチレンジアミン、テトラメチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、4,4’−ジアミノ−1,2−ジフェニルエタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジメチルジフェニルメタン、4,4’−ジアミノ−3,3’−ジエチルジフェニルメタン、ジブチルアミン、ジペンチルアミン、ジヘキシルアミン、ジヘプチルアミン、ジオクチルアミン、ジノニルアミン、ジデシルアミン、N−メチルアニリン、ピペリジン、ジフェニルアミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トリブチルアミン、トリペンチルアミン、トリヘキシルアミン、トリヘプチルアミン、トリオクチルアミン、トリノニルアミン、トリデシルアミン、メチルジブチルアミン、メチルジペンチルアミン、メチルジヘキシルアミン、メチルジシクロヘキシルアミン、メチルジヘプチルアミン、メチルジオクチルアミン、メチルジノニルアミン、メチルジデシルアミン、エチルジブチルアミン、エチルジペンチルアミン、エチルジヘキシルアミン、エチルジヘプチルアミン、エチルジオクチルアミン、エチルジノニルアミン、エチルジデシルアミン、ジシクロヘキシルメチルアミン、トリス[2−(2−メトキシエトキシ)エチル]アミン、トリイソプロパノールアミン、N,N−ジメチルアニリン、2,6−イソプロピルアニリン、イミダゾール、ピリジン、4−メチルピリジン、4−メチルイミダゾール、ビピリジン、2,2’−ジピリジルアミン、ジ−2−ピリジルケトン、1,2−ジ(2−ピリジル)エタン、1,2−ジ(4−ピリジル)エタン、1,3−ジ(4−ピリジル)プロパン、1,2−ビス(2−ピリジル)エチレン、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、1,2−ビス(4−ピリジルオキシ)エタン、4,4’−ジピリジルスルフィド、4,4’−ジピリジルジスルフィド、1,2−ビス(4−ピリジル)エチレン、2,2’−ジピコリルアミン、3,3’−ジピコリルアミン、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド、テトライソプロピルアンモニウムヒドロキシド、テトラブチルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−ヘキシルアンモニウムヒドロキシド、テトラ−n−オクチルアンモニウムヒドロキシド、フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、3−(トリフルオロメチル)フェニルトリメチルアンモニウムヒドロキシド、およびコリンなどが挙げられる。
【0102】
前記のエポキシ樹脂としては、具体的には、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾール・ノボラック型エポキシ樹脂、トリスフェノールメタン型エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、ビフェノール型エポキシ樹脂などのグリシジルエーテル類;
3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキサンカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、1−エポキシエチル−3,4−エポキシシクロヘキサンなどの脂環式エポキシ樹脂;
フタル酸ジグリシジルエステル、テトラヒドロフタル酸ジグリシジルエステル、ダイマー酸グリシジルエステルなどのグリシジルエステル類;
テトラグリシジルジアミノジフェニルメタンなどのグリシジルアミン類;
トリグリシジルイソシアヌレートなどの複素環式エポキシ樹脂などが挙げられる。
【0103】
前記のエポキシ樹脂の市販品としては、エピコート(登録商標)801(ビスフェノールF型エポキシ化合物、エポキシ当量は205〜225)、802(ビスフェノールF型エポキシ化合物、エポキシ当量は190〜205)、807(ビスフェノールF型エポキシ化合物、エポキシ当量は160〜175)、815(ビスフェノールF型エポキシ化合物、エポキシ当量は181〜191)、827(ビスフェノールA型エポキシ化合物、エポキシ当量は180〜190)、828(ビスフェノールA型エポキシ化合物、エポキシ当量は184〜194)、152(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量は172〜178g)、154(フェノールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量は176〜180)、180S65(オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量は205〜220)(いずれも、ジャパンエポキシレジン(株)製)、住友化学(株)製のESCN195XL(オルソクレゾールノボラック型エポキシ樹脂、エポキシ当量は195〜200)(住友化学(株)製)、EP4100(ビスフェノールA型エポキシ化合物、エポキシ当量は180〜200)、4340(ビスフェノールA型エポキシ化合物、エポキシ当量は205〜230)(いずれも、(株)ADEKA製)などが挙げられる。
【0104】
前記のオキセタン化合物としては、例えば、カーボネートビスオキセタン、キシリレンビスオキセタン、アジペートビスオキセタン、テレフタレートビスオキセタン、シクロヘキサンジカルボン酸ビスオキセタンなどが挙げられる。
【0105】
前記のエポキシ樹脂やオキセタン化合物を用いる場合、その各使用量は、ポジ型感光性組成物の固形分に対して質量分率で、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.1〜5質量%である。ここで固形分とは組成物から溶剤を除いた分をいう(以下、同じ)。エポキシ樹脂やオキセタン化合物の使用量が前記の範囲にあると、耐溶剤性を高める傾向が知られており、好ましい。
【0106】
前記の紫外線吸収剤としては、アデカスタブLA−32、アデカスタブLA−36、アデカスタブLA−36RG、アデカスタブ1413、アデカスタブLA−51、アデカスタブLA−52、アデカスタブLA−57、アデカスタブLA−62、アデカスタブLA−67、アデカスタブLA−63P、アデカスタブLA−68LD、アデカスタブLA−77Y、アデカスタブLA−77G、アデカスタブLA−82、アデカスタブLA−87、アデカスタブLA−501、アデカスタブLA−502XP、アデカスタブLA−503、アデカスタブLA−601、アデカスタブLA−602、アデカスタブLA−603、アデカスタブLA−801(いずれも、(株)ADEKA製)、Sumisorb(登録商標) 200、Sumisorb 320、Sumisorb 300、Sumisorb 350、Sumisorb 340(いずれも、住友化学(株)製)、TINUVIN(登録商標) P、TINUVIN 326、TINUVIN 327、TINUVIN 328、TINUVIN 234(いずれも、チバ・ジャパン(株)製)などが挙げられる。
【0107】
紫外線吸収剤を用いる場合、その使用量は、ポジ型感光性組成物の固形分に対して質量分率で、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜1質量%である。紫外線吸収剤の使用量が前記の範囲にあると、耐光性が向上する傾向があることが知られており、好ましい。
【0108】
前記の酸化防止剤としては、アデカスタブPEP−4C、アデカスタブPEP−8、アデカスタブPEP−8W、アデカスタブPEP−11C、アデカスタブPEP−24G、アデカスタブPEP−36、アデカスタブPEP−36Z、アデカスタブHP−10、ア
デカスタブ2112、アデカスタブ2112RG、アデカスタブ260、アデカスタブ522A、アデカスタブ329K、アデカスタブ1178、アデカスタブ1500、アデカスタブC、アデカスタブ135A、アデカスタブ3010、アデカスタブTPP、アデカスタブAO−20、アデカスタブAO−30、アデカスタブAO−40、アデカスタブAO−50、アデカスタブAO−50RG、アデカスタブAO−50F、アデカスタブAO−60、アデカスタブAO−60G、アデカスタブAO−60P、アデカスタブAO−70、アデカスタブAO−80、アデカスタブAO−330、アデカスタブA−611、アデカスタブA−611RG、アデカスタブA−612、アデカスタブA−612RG、アデカスタブA−613、アデカスタブA−613RG、アデカスタブAO−51、アデカスタブAO−15、アデカスタブAO−18、アデカスタブ328、アデカスタブAO−37、アデカスタブAO−23、アデカスタブAO−412S、アデカスタブAO−503A(いずれも、(株)ADEKA製)、Sumilizer(登録商標) GM、Sumilizer GS、Sumilizer BBM−S、Sumilizer WX−R、Sumilizer WX−RA、Sumilizer WX−RC、Sumilizer NW、Sumilizer GA−80、Sumilizer GP、Sumilizer TPL−R、Sumilizer TPM、Sumilizer TPS、Sumilizer TP−D、Sumilizer MB、Sumilizer 9A(いずれも、住友化学(株)製)、Irganox(登録商標) 1076、Irganox 1010、Irganox 3114、Irganox 245(いずれも、チバ・ジャパン(株)製)などが挙げられる。
【0109】
酸化防止剤を用いる場合、その使用量は、ポジ型感光性組成物の固形分に対して質量分率で、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜1質量%である。酸化防止剤の使用量が前記の範囲にあると、耐光性や耐熱性が向上する傾向があることが知られており、好ましい。
【0110】
前記の金属イオン封鎖剤としては、好ましくは、式(VII−1)〜式(VII−4)で表される化合物からなる群から選ばれる少なくとも1種の化合物が挙げられる。
【0111】
【化20】

【0112】
式(VII−1)中、R71〜R74は、それぞれ独立に、水素原子、C1-10アルキル基、C5-10環状アルキル基、C2-10アルケニル基、C1-10アルコキシ基、C1-10アルコキシアルキル基、C6-15芳香族基を表す。前記のアルキル基、環状アルキル基、アルケニル基、アルコキシ基、アルコキシアルキル基および芳香族基は、それぞれ独立に、ヒドロキシ基、ハロゲン原子、ニトロ基、シアノ基、C1-9アルキル基またはC1-9アルコキシ基で置換されていてもよい。
71は、単結合、C1-12アルキレン基、C2-12アルケニレン基、C2-12アルキニレン基、カルボニル基、イミノ基、スルファンジイル基またはジスルファンジイル基を表す。
【0113】
式(VII−2)中、R75〜R78は、それぞれ独立に、水素原子、又はC1-10炭化水素基を表す。R75及びR76、並びにR77及びR78は、それぞれ独立に互いに結合して、芳香環を形成していてもよい。
【0114】
式(VII−3)中、R79は、C1-12アルキル基、C1-12アルコキシ基、トリアゾール環またはベンゾトリアゾール環を表す。
【0115】
式(VII−4)中、L72は、C1-12アルキレン基、アミド基、カルボニル基、イミノ基、スルファンジイル基、ジスルファンジイル基、又はこれらの組合せを表す。前記のアミド基、カルボニル基、イミノ基、スルファンジイル基、およびジスルファンジイル基は、それぞれ独立に、C1-12アルキル基またはC1-12アルコキシ基で置換されていてもよい。
【0116】
式(VII−1)〜式(VII−4)中、各置換基の説明は以下の通りである。
前記アルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、イソプロピル基、n−ブチル基、イソブチル基、sec−ブチル基、tert−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基などが挙げられる。
前記環状アルキル基としては、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基、シクロノニル基、シクロデシル基などが挙げられる。
前記アルケニル基としては、エテニル基、プロペニル基(特にアリル基)、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基、オクテニル基、ノネニル基、デセニル基などが挙げられる。
前記アルコキシ基としては、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、イソプロポキシ基、n−ブトキシ基、イソブトキシ基、sec−ブトキシ基、tert−ブトキシ基、ペンチルオキシ基、ヘキシルオキシ基、ヘプチルオキシ基、オクチルオキシ基、ノニルオキシ基、デシルオキシ基などが挙げられる。
前記アルコキシアルキル基としては、メトキシメチル基、メトキシエチル基、メトキシプロピル基、メトキシブチル基、メトキシペンチル基、メトキシヘキシル基、メトキシヘプチル基、メトキシオクチル基、メトキシノニル基、エトキシメチル基、エトキシエチル基、エトキシプロピル基、エトキシブチル基、エトキシペンチル基、エトキシヘキシル基、エトキシヘプチル基、エトキシオクチル基、プロポキシメチル基、プロポキシエチル基、プロポキシプロピル基、プロポキシブチル基、プロポキシペンチル基、プロポキシヘキシル基、プロポキシヘプチル基、イソプロポキシメチル基、イソプロポキシエチル基、イソプロポキシプロピル基、イソプロポキシブチル基、イソプロポキシペンチル基、イソプロポキシヘキシル基、イソプロポキシヘプチル基、ブトキシメチル基、ブトキシエチル基、ブトキシプロピル基、ブトキシブチル基、ブトキシペンチル基、ブトキシヘキシル基、イソブトキシメチル基、イソブトキシエチル基、イソブトキシプロピル基、イソブトキシブチル基、イソブトキシペンチル基、イソブトキシヘキシル基、tert−ブトキシメチル基、tert−ブトキシエチル基、tert−ブトキシプロピル基、tert−ブトキシブチル基、tert−ブトキシペンチル基、tert−ブトキシヘキシル基、ペンチルオキシメチル基、ペンチルオキシエチル基、ペンチルオキシプロピル基、ペンチルオキシブチル基、ペンチルオキシペンチル基、ヘキシルオキシメチル基、ヘキシルオキシエチル基、ヘキシルオキシプロピル基、ヘキシルオキシブチル基、ヘプチルオキシメチル基、ヘプチルオキシエチル基、ヘプチルオキシプロピル基、オクチルオキシメチル基、オクチルオキシエチル基、ノニルオキシメチル基などが挙げられる。
前記芳香族基としては、フェニル基、ナフチル基、フェナントリル基、アントリル基が挙げられる。
【0117】
式(VII−1)で表される化合物は、好ましくは、式(VII−1−1)又は式(VII−1−2)で表される化合物である。
【0118】
【化21】

【0119】
式(VII−2)で表される化合物は、好ましくは、式(VII−2−1)又は式(VII−2−2)で表される化合物である。
【0120】
【化22】

【0121】
式(VII−3)で表される化合物は、好ましくは、式(VII−3−1)で表される化合物である。
【0122】
【化23】

【0123】
式(VII−4)で表される化合物は、好ましくは、式(VII−4−1)で表される化合物である。
【0124】
【化24】

【0125】
前記の金属イオン封鎖剤として入手可能な市販品としては、例えば、アデカスタブCDA−1、CDA−1M、CDA−6、ZS−27、ZS−90、ZS−91(いずれも、(株)ADEKA製)、キレストMZ−2、キレストMZ−4A(いずれも、キレスト(株)製)、1,10−フェナントロリン、1,2−フェニレンジアミン、1,7−フェナントロリン、トリピリジン、2,2’−ビピリジン、2,3,7,8,12,13,17,18−オクタエチル−21H,23H−ポルフィリン、ネオクプロイン、3,5,6,8−テトラメチル−1,10−フェナントロリン、4,4’−ジメチル−2,2’−ビキノリン、4,4’−ジフェニル−2,2’−ビキノリン、4,7−ジメチル−1,10−フェナントロリン、p−フェナントロリン、5−メチル−1,10−フェナントロリンが挙げられる。前記の金属イオン封鎖剤は、単独でも、混合して用いてもよい。
【0126】
金属イオン封鎖剤を含有する場合、その含有量は、ポジ型感光性組成物の固形分に対して質量分率で、好ましくは0.001〜10質量%、より好ましくは0.01〜1質量%である。金属イオン封鎖剤の使用量が前記の範囲にあると、これを含むポジ型感光性組成物のフォトリソグラフィーにおける感度が高く、また該組成物の保存の前後での、露光量の変化がより小さくなるということが知られており、好ましい。
【0127】
前記のレベリング剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤などが使用できる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンエーテル類(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルなど)、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸エステル類(ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなど)、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、オレイルアルコール硫酸エステルナトリウムなどの高級アルコール硫酸エステル塩類;ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類等が挙げられる。カチオン界面活性剤は、例えば、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアミン塩又は第四級アンモニウム塩などである。界面活性剤は、単独で又は2種以上組合せて用いることができる。
【0128】
〈各成分量〉
バインダー樹脂の含有量は、ポジ型感光性組成物の固形分に対して質量分率で、好ましくは10〜25質量%、より好ましくは13〜20質量%である。バインダー樹脂量を前記の好適範囲に調整することによって、平坦な硬化パターンが形成しやすくなる。
キノンジアジド化合物の含有量は、ポジ型感光性組成物の固形分に対して質量分率で、好ましくは20〜40質量%、より好ましくは25〜35質量%である。
硬化剤の含有量は、ポジ型感光性組成物の固形分に対して質量分率で、好ましくは5〜25質量%、より好ましくは8〜20質量%である。
熱酸発生剤の含有量は、ポジ型感光性組成物の固形分に対して質量分率で、好ましくは1〜10質量%、より好ましくは2〜5質量%である。
色素の含有量は、ポジ型感光性組成物の固形分に対して質量分率で、好ましくは20〜80質量%、より好ましくは25〜75質量%、特に好ましくは35〜60質量%である。
溶剤の含有量は、本発明のポジ型感光性組成物全体に対して質量分率で、好ましくは70〜95質量%、より好ましくは80〜90質量%である。
ここで固形分とは組成物から溶剤を除いた分をいう。
【0129】
〈ポジ型感光性組成物の製造〉
前記各成分を溶剤中で混合することで本発明のポジ型感光性組成物を調製できる。この調製されたポジ型感光性組成物を、ポアサイズが0.1μm以下程度のフィルタでろ過することが好ましい。ろ過によって、ポジ型感光性組成物を塗布する際の均一性が向上する。
【0130】
〈パターン製造〉
本発明のポジ型感光性組成物は、通常の感光性組成物と同様に一般的なフォトリソグラフィー法によって、パターンを製造できる。ポジ型感光性組成物を用いるフォトリソグラフィー法では、一般に(1)ポジ型感光性組成物を塗布する工程(塗布工程)、(2)塗布したポジ型感光性組成物から溶剤を除去して塗膜を形成する工程(プリベーク工程)、(3)前記塗膜をマスキングした後に露光することによって部分的に可溶化させる工程(露光工程)、(4)可溶化部を洗い流す工程(現像工程)、及び(5)残った塗膜を加熱によって硬化する工程(ポストベーク工程)を経て、パターンが製造される。
【0131】
例えば、以下の工程を有するパターン製造方法が好ましい。
(1)支持体上にバインダー樹脂、キノンジアジド化合物、硬化剤、式(I)で表される熱酸発生剤、色素及び溶剤を含有するポジ型感光性組成物を塗布する工程
(2)前記塗布されたポジ型感光性組成物から溶剤を除去し塗膜を形成する工程
(3)前記塗膜に、マスクを介して、露光する工程
(4)前記露光された部分を、現像液で除去し、未露光部をパターンとして残す工程
(5)前記パターンを、加熱硬化工程の温度よりも、30〜100℃低い温度で、予備加熱する工程
(6)前記パターンを150〜250℃で加熱して硬化させる加熱硬化工程
【0132】
通常の加熱硬化(第2ポストベーク)の前に低温の予備加熱硬化(第1ポストベーク)を行うことで、パターンが熱によって流動する前に、熱酸発生剤から発生する酸で加熱硬化を促進でき、パターンが半球状になることをより一層防止できる。
以下、本発明のパターン製造方法の各工程を順次説明する。
【0133】
(1)工程
基板(支持体)にポジ型感光性組成物を塗布する。塗布手段として、例えば、スピンコーター、スリット&スピンコーター、スリットコーター(ダイコーター、カーテンフローコーターとも呼ばれることがある。)、インクジェットなどが使用できる。
【0134】
(2)工程
加熱(例えば、温度100℃程度で数分間程度)して溶剤などの揮発成分を除去することによって、平滑な塗膜を形成する。
【0135】
(3)工程
目的のパターン形状に応じたマスクを介して部分的に露光して可溶化させる。露光には、例えば、マスクアライナーやステッパーなどの露光装置を使用する。これらを用いれば、露光部全体に均一に平行光線を照射でき、且つマスクと基板の正確な位置合せを行える。光源の種類は、ポジ型感光性組成物を可溶化できる限り特に限定されないが、通常、紫外線(g線、h線、i線など)が使用される。
【0136】
(4)工程
アルカリ水溶液(現像液)を用いて塗膜の可溶化部分を除去し、目的とするパターン形状を得る。現像方法は、液盛り法、ディッピング法、スプレー法のいずれでもよい。また現像の際に、基板を任意の角度に傾けてもよい。
【0137】
前記現像液は、通常、アルカリ性化合物と界面活性剤を含む。アルカリ性化合物は、無機物および有機物のいずれでもよい。無機アルカリ性化合物としては、例えば、水酸化物(水酸化ナトリウム、水酸化カリウムなど)、燐酸塩(燐酸水素二ナトリウム、燐酸二水素ナトリウム、燐酸水素二アンモニウム、燐酸二水素アンモニウム、燐酸二水素カリウムなど)、ケイ酸塩(ケイ酸ナトリウム、ケイ酸カリウムなど)、炭酸塩(炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸水素カリウムなど)、ホウ酸塩(ホウ酸ナトリウム、ホウ酸カリウムなど)、アンモニアなどが挙げられる。有機アルカリ性化合物は、例えば、テトラアルキルアンモニウムヒドロキシド類(テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)、2−ヒドロキシエチルトリメチルアンモニウムヒドロキシドなど)、アミン類(モノメチルアミン、ジメチルアミン、トリメチルアミン、モノエチルアミン、ジエチルアミン、トリエチルアミン、モノイソプロピルアミン、ジイソプロピルアミン、エタノールアミンなど)などである。アルカリ性化合物は、単独で又は2種以上組合せて用いることができる。
【0138】
現像液中のアルカリ性化合物の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%であり、より好ましくは0.03〜5質量%である。
【0139】
現像液に含まれる界面活性剤としては、ノニオン界面活性剤、アニオン界面活性剤、カチオン界面活性剤などが挙げられる。ノニオン界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンエーテル類(ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアリールエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリールエーテルなど)、その他のポリオキシエチレン誘導体、オキシエチレン/オキシプロピレンブロックコポリマー、脂肪酸エステル類(ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビトール脂肪酸エステル、グリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステルなど)、ポリオキシエチレンアルキルアミンなどが挙げられる。アニオン界面活性剤としては、例えば、ラウリルアルコール硫酸エステルナトリウム、オレイルアルコール硫酸エステルナトリウムなどの高級アルコール硫酸エステル塩類;ラウリル硫酸ナトリウムやラウリル硫酸アンモニウムなどのアルキル硫酸塩類;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウムやドデシルナフタレンスルホン酸ナトリウムなどのアルキルアリールスルホン酸塩類等が挙げられる。カチオン界面活性剤は、例えば、ステアリルアミン塩酸塩やラウリルトリメチルアンモニウムクロライドなどのアミン塩又は第四級アンモニウム塩などである。界面活性剤は、単独で又は2種以上組合せて用いることができる。
【0140】
現像液中の界面活性剤の濃度は、好ましくは0.01〜10質量%、より好ましくは0.05〜8質量%、特に好ましくは0.1〜5質量%である。
なお現像後は、通常、基板(支持体)及び塗膜を水洗いする。水洗いによって、現像液や可溶化部分の残りが除去される。
【0141】
(5)工程
予備加熱硬化温度は、次の加熱硬化工程における加熱硬化温度よりも30〜100℃低い温度である。予備加熱硬化の時間は、バインダー樹脂及び硬化剤の種類に応じて適宜設定すればよく、それぞれ、通常、数分程度、例えば、1〜3分程度である。
【0142】
(6)工程
(6)工程での加熱硬化温度は、バインダー樹脂及び硬化剤の種類に応じて適宜設定すればよく、通常、150〜250℃、好ましくは160〜220℃、より好ましくは170〜200℃であり、加熱硬化の時間は、バインダー樹脂及び硬化剤の種類に応じて適宜設定すればよく、それぞれ、通常、数分程度、例えば、1〜3分程度である。
【0143】
本発明のパターン製造方法は、ポストベーク工程での加熱硬化を、(5)工程及び(6)工程の2段階に分けて行うことを特徴とする。2段階に分けてポストベークを行うことにより、パターンが球面化せず、平坦なパターンを製造できる。
【0144】
本発明のパターン製造方法は、上記以外の工程を有していてもよい。例えば(4)工程後で、(5)工程を行う前に、現像したパターンに追加露光してもよい。追加露光を行えば、現像後のパターン中に残った感光剤(キノンジアジド化合物)を分解することができる。
【0145】
〈色フィルタアレイ〉
上記のようなフォトリソグラフィー法を、色ごとに繰り返すことによって色フィルタアレイを製造できる。色フィルタアレイの厚みは、例えば、0.4〜2.0μm程度である。また各画素の縦及び横の長さは、互いに独立に、1.0〜20μm程度の範囲で設定できる。
【0146】
本発明の色フィルタアレイは、固体撮像素子(CCDやCMOSセンサ)などの素子上に形成でき、これらをカラー化するのに有用である。本発明の色フィルタアレイをCCDイメージセンサに形成する場合の典型例、及びこれらを用いたカメラシステムについて、図を参照しながら詳細に説明する。
【0147】
〈CCDイメージセンサ及びカメラシステム〉
図1は、本発明の色フィルタアレイを形成したCCDイメージセンサの一例を示す部分拡大概略断面図であり、図2〜図7は図1のCCDイメージセンサに色フィルタを形成する手順を示す部分拡大概略断面図である。
【0148】
図示例のCCDイメージセンサでは、シリコン基板1におけるP型不純物領域の表面の一部にPやAs等のN型不純物をイオン注入した後、熱処理を行うことにより、フォトダイオード2を形成する。またシリコン基板1の表面であってフォトダイオード形成部位とは異なる領域に、フォトダイオード2よりもN型不純物濃度が高い不純物拡散層からなる垂直電荷転送部3を形成する。この垂直電荷転送部3はPやAs等のN型不純物をイオン注入した後、熱処理を行うことにより形成でき、フォトダイオード2が入射光を受けることにより発生した電荷を縦方向に転送するCCDの役割を果たす。
【0149】
図示例のCCDイメージセンサでは、シリコン基板1の不純物領域をP型不純物層、フォトダイオード2及び垂直電荷転送部3をN型不純物層としているが、シリコン基板1の不純物領域をN型不純物層、フォトダイオード2及び垂直電荷転送部3をP型不純物層としても実施できる。
【0150】
シリコン基板1、フォトダイオード2及び垂直電荷転送部3上には、例えば、SiO2等の絶縁膜5aを形成し、垂直電荷転送部3の上方には前記絶縁膜5aを介して、例えば、ポリSi等からなる垂直電荷転送電極4を形成する。この垂直電荷転送電極4は、フォトダイオード2に発生した電荷を垂直電荷転送部3に転送するための転送ゲートとしての役割と、垂直電荷転送部3に転送された電荷をCCDイメージセンサの縦方向に転送するための転送電極としての役割を果たす。
【0151】
垂直電荷転送電極4の上方、及び側面には、例えば、SiO2等の絶縁膜5bを介して遮光膜6を形成する。遮光膜6はタングステン、タングステンシリサイド、又はAl、Al−シリサイド等の金属からなり、入射光が垂直電荷転送電極4や垂直電荷転送部3に入り込むのを防ぐ役割を果たす。また遮光膜6の側面のうち、フォトダイオード2の上方には遮光膜6に張り出し部を設け、入射光が垂直電荷転送部3に漏れこむのを防ぐこともできる。
【0152】
遮光膜6の上方には、例えば、BPSG膜7をフォトダイオード2に対して、下向きに凸型となるように形成し、さらにその上にはP−SiN膜8を積層する。BPSG膜7とP−SiN膜8は、これらの界面がフォトダイオード2の上方で下に湾曲するように積層されており、入射光を効率よくフォトダイオード2に導くための層内レンズの役割を果たす。P−SiN膜8表面には、この表面又は画素領域以外の凹凸部を平坦化する目的で平坦化膜9を形成する。
【0153】
さらに平坦化膜9の上には、色フィルタアレイ10を形成する。この色フィルタアレイ10の形成は、上述のフォトリソグラフィー法に従えばよいが、CCDイメージセンサの例で説明すると、図2〜図7に示した通りになる。
【0154】
色フィルタアレイを形成するためには、まず始めに平坦化膜9の上に、第一の色のポジ型感光性組成物(図示例では、緑色感光性組成物10G)を塗布し(図2)、フォトマスク13を介してパターンの投影露光を行う(図3)。この露光によって露光領域15の緑色感光性組成物は現像液に対して可溶化し、一方、未露光領域14の緑色感光性組成物は不溶なまま残る。そして現像(現像液による溶解)でパターンを形成する。その後、残った未露光領域14の緑色感光性組成物を加熱硬化し、所望の緑色画素パターン10Gを形成する(図4)。
【0155】
次いで、他の色の画素パターン(図示例では、赤色画素パターン10R及び青色画素パターン10B)についても前記と同様の工程を繰り返し、3色の画素パターンをイメージセンサ形成基板の同一平面上に形成する(図5)。なおこの図示例では赤色(R)、緑色(G)及び青色(B)の原色系の組合せを示したが、黄色(Y)、マゼンタ(M)及びシアン(C)(及び場合により緑色(G))の補色系の組合せを採用してもよい。
【0156】
上記のようにして形成された色フィルタアレイ10の表面に、その凹凸を平坦化する目的で平坦化膜11を形成し(図6)、さらにこの平坦化膜11の上面に、フォトダイオード2に入射する光を効率良く集光するためのマイクロレンズ12を形成することによって(図1、図7)、CCDイメージセンサ及びこれを用いたカメラシステムが形成される。
【0157】
図8は固体撮像素子(イメージセンサ)を組込んだカメラシステムの一例を示す構成図である。このカメラシステムでは、入射光はレンズ21を介して、イメージセンサ22に入射する。イメージセンサ22の光入射面側には、前述のマイクロレンズ12(オンチップレンズ)と色フィルタアレイ10が形成されており、入射光の各色に応じた信号を出力する。このイメージセンサ22からの信号は、信号処理回路23で信号処理され、カメラ出力される。
【0158】
図示例のカメラシステムでは、イメージセンサ22はイメージセンサ駆動回路25により駆動される。イメージセンサ駆動回路25の動作は、モード設定部24から静止画モード、動画モード等のモード信号を送ることによって制御できる。なお本発明は、CCDイメージセンサだけでなく、CMOSイメージセンサなどの増幅型固体撮像素子、及びこれを用いたカメラシステムにも適用できる。
【実施例】
【0159】
以下、実施例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例によって制限を受けるものではなく、上記・下記の趣旨に適合し得る範囲で適当に変更を加えて実施することも勿論可能であり、それらはいずれも本発明の技術的範囲に包含される。
なお実施例では、含有量ないし使用量を表す「%」及び「部」は、断りが無いかぎり、「質量%」及び「質量部」を表す。
【0160】
合成例1(熱酸発生剤1の合成)
式(I−2−1)で表される熱酸発生剤1を以下のようにして合成した。
【0161】
【化25】

【0162】
塩化ベンジルと4−ヒドロキシフェニルメチルスルフィドとを反応させて得られた4−ヒドロキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウムクロライド30g(0.11モル)を水500mLに溶解させ、これにビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミドリチウム33.9g(0.118モル)と酢酸エチル500mLとを加え、撹拌しながら、5〜10℃で2時間撹拌した。水層を除き、回収された有機層を乾燥させたあと、該有機層を減圧濃縮し、真空乾燥させて油状物を得た。得られた油状物をヘキサンで処理し、再度真空乾燥させる。真空乾燥後、白色結晶のビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミン=4−ヒドロキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウム塩(「4−ヒドロキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド」ともいう)44.1g(収率76.7%)が得られた(融点:76〜80℃)。
【0163】
このようにして得られたスルホニウム塩73.1g(0.143モル)をアセトニトリル1200mlに溶解させ、5〜10℃でトリエチルアミン15.2g(0.150モル)を加え、5〜10℃でクロルギ酸メチル14.2g(0.150モル)を滴下した。24時間撹拌後、副生するトリエチルアミン塩酸塩をろ過して除去し、回収されたアセトニトリル層を減圧濃縮して、淡黄色粘性油状のビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミン=4−メトキシカルボニルオキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウム塩(熱酸発生剤1、「4−メトキシカルボニルオキシフェニル・ベンジル・メチルスルホニウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド」ともいう)79.8g(収率98.0%)を得た。
【0164】
熱酸発生剤1の物性データ
IR(KBr、cm-1):1197、1228、1353、1270、1058、1138、1772、617、1443、1732.
1H−NMR:3.10ppm(s、3H、スルホニウムメチル)、3.80ppm(s、3H、炭酸メチル)、4.68ppm(d、2H、ベンジルメチレン)、6.90〜7.70ppm(m、9H、ベンゼン核)
【0165】
実施例1〜4、比較例1
表1に示す組成で以下の各成分を混合して、ポジ型感光性組成物を調製した。なおこれらの組成物には、組成物全体でレベリング剤の固形分が50ppmとなるような量で、東レ・ダウコーニング製「SH8400」(ジメチルポリシロキサン−ポリオキシアルキレン共重合体の1%乳酸エチル溶液)を添加した。
【0166】
(1)バインダー樹脂
式(II−1)で表される構成単位を有する3−(4−ヒドロキシフェニル)−1,1,3−トリメチル−5−インダノール・ホルムアルデヒド重縮合物。重量平均分子量:24,000。
【0167】
【化26】

【0168】
(2)キノンジアジド化合物
(2−1):o−ナフトキノンジアジド5−スルホン酸と式(III−8)で表されるフェノール化合物とのエステル、及びo−ナフトキノンジアジド5−スルホン酸と式(III−9)で表されるフェノール化合物とのエステルの混合物
(2−2):o−ナフトキノンジアジド5−スルホン酸と式(III−10)で表されるフェノール化合物とのエステル
【0169】
【化27】

【0170】
(3)硬化剤:ヘキサメトキシメチロールメラミン
(4)熱酸発生剤:熱酸発生剤1
【0171】
(5)色素
(5−1):式(V−1)で表される化合物
(5−2):式(V−2)で表される化合物
(5−3):式(V−3)で表される化合物
【0172】
【化28】

【0173】
(6)溶剤:乳酸エチル(EL)及びジアセトンアルコール(HMP)
【0174】
【表1】

【0175】
ポジ型感光性組成物を用いて、以下のようにしてパターンを製造し、そのパターン形状、残膜率及び耐溶剤性を評価した。
【0176】
(1)パターン形状評価
(1−1)未硬化パターンの形状観察
シリコンウエハ上にポリグリシジルメタクリレート樹脂を主成分とした平坦化膜形成材をスピンコートし、120℃で2分間加熱することで揮発成分を除去して、0.96μmの膜厚の支持体を形成した。この支持体上に、プリベーク後の膜厚が0.54±0.05μmとなるように、表1に示す回転数で組成物をスピンコートした。次いで100℃で1分間プリベークして、塗膜を形成した。次いで露光機〔「Nikon NSR i7A」(ニコン(株)製)〕を用い、マスクパターンを介してi線を照射することによって、塗膜を露光した。露光後、現像液〔2.38%TMAH水溶液、23℃〕に1分間浸漬して、パターンを現像した。現像後、水洗、乾燥することによって、厚みが0.54μmで、縦横が2μmの市松状に形成されたシアン色のパターンを有するウエハを得た。この時点でのパターンを、未硬化パターンとする。未硬化パターンの断面形状のSEM写真を図9〜13に示す。
【0177】
(1−2)硬化パターンの形状観察
上記(1−1)と同様に、スピンコート・プリベーク・露光・現像して、ポジ型感光性組成物から未硬化パターンを形成した。この未硬化パターンに、露光機(USH−500BY;ウシオ電機(株))を使用して200mJ/cm2で露光した。露光後に、120℃で1分間予備加熱硬化(第1ポストベーク)し、次いで180℃で3分間加熱硬化(第2ポストベーク)した。この時点でのパターンを、硬化パターンとする。硬化パターンの断面形状のSEM写真を図9〜13に示す。
【0178】
図9〜13に示すSEM写真から分かるように、熱酸発生剤を含有する実施例のポジ型感光性組成物を使用した場合(図10〜13)、熱酸発生剤を含有しない比較例のポジ型感光性組成物を使用した場合(図9)に比べて、現像後の未硬化パターンの平坦形状が、ポストベーク後も良好に維持されている。
【0179】
(2)残膜率及び耐溶剤性の評価
(2−1)残膜率の測定
ポジ型感光性組成物から得られる未露光塗膜の現像液に対する残膜率を以下のようにして測定した。
シリコンウエハ上に、プリベーク後の膜厚が0.54±0.05μmとなるように、ポジ型感光性組成物をスピンコートした。次いで100℃で1分間プリベークして塗膜を形成した。
この塗膜の膜厚を、膜厚測定機(Axiospeed;Zeiss社製)を用いて測定した。このときの膜厚をd1とする。
次いで基板ごと、100℃の上記現像液に1分間浸漬してから、塗膜の膜厚を測定した。このときの膜厚をd2とする。
式(i)によって得られた値を、残膜率として評価した。
耐溶剤性(%)=d2/d1×100 (i)
結果を表2に示す。
【0180】
(2−2)耐溶剤性の評価
ポジ型感光性組成物から得られるポストベーク後の硬化塗膜の溶剤に対する耐性を以下のようにして測定した。
シリコンウエハ上に、プリベーク後の膜厚が0.54±0.05μmとなるように、ポジ型感光性組成物をスピンコートした。次いで100℃で1分間プリベークして塗膜を形成した。この塗膜に、露光機(USH−500BY;ウシオ電機(株))を使用して紫外光を200mJ/cm2で露光し、120℃で1分間予備加熱硬化(第1ポストベーク)し、次いで180℃で3分間加熱硬化(第2ポストベーク)した。この露光塗膜の膜厚を測定した。このときの膜厚をd3とする。
次いでこの露光塗膜を基板ごと、23℃の溶剤(乳酸エチル70vol%/HMP 30vol%)に2分間浸漬し、その後に膜厚を測定した。このときの膜厚をd4とする。
式(ii)によって得られた値を、耐溶剤性の指標として評価した。
耐溶剤性(%)=d4/d3×100 (ii)
結果を表2に示す。
【0181】
【表2】

【0182】
表2の結果から分かるように、実施例のポジ型感光性組成物は、比較例のポジ型感光性組成物と同様に良好な残膜率及び耐溶剤性を示す。
【産業上の利用可能性】
【0183】
本発明のポジ型感光性組成物は、フォトリソグラフィー法での加熱硬化の際にパターンが球面化せず、平坦なパターンを製造できる。このようにして製造される平坦なパターンで色フィルタアレイを構成することによって、固体撮像素子(CCD、CMOSセンサなど)で優れた光感度を達成できる。
【符号の説明】
【0184】
10 色フィルタアレイ
10R 赤色フィルタ層(赤色画素パターン)
10G 緑色フィルタ層(緑色画素パターン)
10B 青色フィルタ層(青色画素パターン)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
バインダー樹脂、キノンジアジド化合物、硬化剤、式(I)で表される熱酸発生剤、色素及び溶剤を含有するポジ型感光性組成物。
【化1】

〔式(I)中、R101〜R103は、互いに独立に、C1-10炭化水素基を示す。但しR101〜R103のうち少なくとも1つは、C6-10アリール基である。
-は、1価のアニオンを表す。
前記炭化水素基およびアリール基は、置換基を有していてもよい。なお前記炭化水素基及びアリール基の炭素数には、置換基の炭素数は含まれない。〕
【請求項2】
式(I)で表される熱酸発生剤が、式(I−1)で表される化合物である請求項1記載のポジ型感光性組成物。
【化2】

〔式(I−1)中、n個のR11は、互いに独立に、ヒドロキシ基、C1-4アルキル基、C1-4アシルオキシ基、C1-4アルコキシカルボニルオキシ基、又はC7-10アラルキルオキシカルボニルオキシ基を示す。
12及びR13は、互いに独立に、C1-4アルキル基又はベンジル基を示す。
-は、BF4-、PF6-、AsF6-、SbF6-、トリフルオロメタンスルホン酸アニオン、又はビス(トリフルオロメタンスルホニル)アミンアニオンを示す。
nは、0〜5の整数を表す。〕
【請求項3】
前記式(I−1)で表される化合物が、式(I−2)で表される化合物である請求項2記載のポジ型感光性組成物。
【化3】

〔式(I−2)中、R14は、C1-4アルキル基又はベンジル基を示す。
15は、水素原子又はC1-4アルキル基を示す。
16は、C1-4アルキル基又はベンジル基を示す。
17は、C1-4アルキル基を示す。〕
【請求項4】
前記硬化剤は、式(a)で表される基を有する化合物である請求項1〜3のいずれか記載のポジ型感光性組成物。
−(CH2sOR ・・・ (a)
〔式(a)中、Rは水素原子又は低級アルキル基を示す。
sは1〜4の整数を示す。〕
【請求項5】
以下の工程を有するパターンの製造方法。
(1)支持体上に請求項1〜4のいずれか記載のポジ型感光性組成物を塗布する工程
(2)前記塗布されたポジ型感光性組成物から溶剤を除去し塗膜を形成する工程
(3)前記塗膜に、マスクを介して、露光する工程
(4)前記露光された部分を、現像液で除去し、未露光部をパターンとして残す工程
(5)前記パターンを、加熱硬化工程の温度よりも、30〜100℃低い温度で、予備加熱する工程
(6)前記パターンを150〜250℃で加熱して硬化させる加熱硬化工程
【請求項6】
請求項1〜4のいずれか記載のポジ型感光性組成物を用いて形成される色フィルタアレイ。
【請求項7】
請求項6記載の色フィルタアレイを具備する固体撮像素子。
【請求項8】
請求項6記載の色フィルタアレイを具備するカメラシステム。

【図8】
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【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【公開番号】特開2011−81087(P2011−81087A)
【公開日】平成23年4月21日(2011.4.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−231763(P2009−231763)
【出願日】平成21年10月5日(2009.10.5)
【出願人】(000002093)住友化学株式会社 (8,981)
【出願人】(000002185)ソニー株式会社 (34,172)
【Fターム(参考)】