説明

ポリウレタンフォーム物品

少なくとも1つのポリイソシアネートと少なくとも1つのポリオールと少なくとも1つのカルバメート発泡剤とを含む反応混合物から1回の注入工程で形成されるインテグラルスキンポリウレタンフォームセクションを含み、そのポリウレタンフォームセクションが、厚さの異なる少なくとも2つの部分を含む物品。その物品の製造方法。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、新規インテグラルスキンポリウレタンフォーム物品(integral skin polyurethane foam article)および前記物品の製造方法に関する。
【背景技術】
【0002】
結果として生ずるコンパウンドが、発泡した内部およびよりコンパクトなインテグラルスキン層を有するように、ポリウレタンフォームを密閉金型(closed mould)内で形成できることは、公知である。このタイプのインテグラルスキンフォームは、自動車用内装トリムを含む、様々な異なる分野において使用することができる。
【0003】
特許文献1には、高分子量ポリイソシアネート、ポリエーテルポリオールおよびカルバメート連鎖延長剤(chain extender)から形成されるインテグラルスキンポリウレタンフォームの製造方法が開示されている。このフォームは、自動車のクラッシュパッド、肘掛けおよびホーンボタンに使用される。
【0004】
特許文献2には、自動車内装飾トリム、例えばドアパネル、サンバイザーおよびオーバーヘッドパディング、の製造に適する、低い密度を有するインテグラルスキンポリウレタンフォームの製造方法が開示されている。
【0005】
特許文献3には、カーボネートまたはビカーボネート源を発泡剤として使用して形成されるインテグラルスキンポリウレタンが開示されている。このポリウレタンは、一般に、製品、例えば肘掛けおよびダッシュボードを製造するために使用される。
【0006】
典型的に、これらのインテグラルスキンポリウレタンは、部品全体にわたって本質的に同じ厚さまたは硬度を有する部品の製造に使用される。これらのポリウレタンは、注入時のそれら反応物の流動特性により、ポリウレタンが形成される前にその金型を通って流れることができないため、著しく厚さの異なる領域を有する部品の1回の成形での製造には適さない。
【0007】
厚さの異なる部品が、特に自動車業界において、必要とされる場合、その部品は、典型的に、PVCまたは熱可塑性ポリオレフィン(TPO)から製造される、プラスチックカバーストックで構成され、前記PVCまたは熱可塑性ポリオレフィン(TPO)に1つまたはそれ以上のポリウレタン軟質フォームセクションを裏打ちして発泡させて、それらをカバーストックに接着させ、その部品に「柔らかい感触の」風合いをもたせる。
【0008】
この方法の欠点は、異なる層を製造するために幾つかの異なるプロセス工程を必要とする点である。さらなる欠点は、それらの異なる層が、典型的に、異なるポリマー材料で製造される点であり、これは、その部品をリサイクルすることになったとき、問題を生じさせる。
【0009】
異なる厚さおよび硬度を有する密閉金型内でインテグラルスキン付きポリウレタンフォームにすることができ、十分な耐久性も有する、フォームの前駆物質を提供することが望ましい。
【0010】
特許文献4には、二酸化炭素とアルカノールアミンを接触させることで作られるカルバメート付加物を使用する、インテグラルスキンポリウレタンフォームの製造方法が開示されている。この技術を用いて特許文献4の実施例におけるポリウレタンフォームから製造される物品は、ステアリングホイールである。これらのステアリングホイールは、異なる硬度ではなく、均一な硬度を有する。このステアリングホイールの硬度は、車輌内のサイドパネルおよびダッシュボードに使用するには典型的に高すぎる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0011】
【特許文献1】英国特許第1300476号
【特許文献2】米国特許第3694530号
【特許文献3】米国特許第5451612号
【特許文献4】欧州特許第915922号
【発明の開示】
【0012】
本発明の第一の態様では、
a)少なくとも1つのポリイソシアネートと;
b)少なくとも1つのポリオールと;
c)少なくとも1つのカルバメート発泡剤と、
を含む反応混合物から1回の注入工程で形成されるインテグラルスキンポリウレタンフォームセクション(integral skin polyurethane foam section)を含む物品を提供し、この場合のポリウレタンフォームセクションは、少なくとも2つの部分、第一の表面硬度を有する第一部分および第二の異なる表面硬度を有する第二部分を含み、前記第一部分は、60未満のアスカーC硬度を有する。好ましくは、前記第二部分は、60より大きいアスカーC硬度を有する。さらに好ましくは、前記第一部分は、55未満およびさらにいっそう好ましくは50未満のアスカー(Asker)C硬度を有する。前記第二部分は、65より大きいおよびさらに好ましくは70より大きいアスカーC硬度を有することが好ましい。
【0013】
アスカーC硬度は、ASTM 2240に従って測定される。軟質ポリマーの硬度の測定には、より一般に使用されているショアーA硬度よりアスカー硬度測定のほうが適する。ショアーA硬度値は、DIN53505に従って測定されている。
【0014】
本発明の物品は、一部の部分の手ざわりが柔らかいという点で有利である。アスカーC測定は、測定器の曲面を利用し、そのようにして軟質ポリマーの「押込硬度」を表示する。
【0015】
前記ポリウレタンフォームの第一部分は、そのフォームの体積の少なくとも25パーセント、好ましくは、そのフォームの体積の少なくとも35パーセントであることが好ましい。好ましくは、前記ポリウレタンフォームの第二部分は、そのフォームの体積の少なくとも10パーセント、およびさらに好ましくは、そのフォームの体積の少なくとも25パーセントである。
【0016】
本発明の第二の態様では、
a)少なくとも1つのポリイソシアネートと;
b)少なくとも1つのポリオールと;
c)少なくとも1つのカルバメート発泡剤と、
を含む反応混合物から1回の注入工程で形成されるインテグラルスキンポリウレタンフォームセクションを含む物品を提供し、この場合のポリウレタンフォームセクションは、第一の厚さを有する第一部分および第二の異なる厚さを有する第二部分を含み、前記第一部分は、前記第一の厚さの全体にわたって500g/L未満の平均密度を有し、および前記第二部分は、前記第二の厚さの全体にわたって600g/Lより大きい平均密度を有する。前記密度は、DIN53479−76に従って測定する。
【0017】
本発明の第三の態様では、
a)少なくとも1つのポリイソシアネートと;
b)少なくとも1つのポリオールと;
c)少なくとも1つのカルバメート発泡剤と、
を含む反応混合物から1回の注入工程で形成されるインテグラルスキンポリウレタンフォームセクションを含む物品を提供し、この場合のポリウレタンフォームセクションは、少なくとも2つの部分、第一の厚さを有する第一部分および第二の異なる厚さを有する第二部分、を含み、前記第一部分は、15mmより厚い厚さを有し、および前記第二部分は、2mm未満の厚さを有する。
【0018】
本発明の第四の態様では、
a)少なくとも1つのポリイソシアネートと;
b)少なくとも1つのポリオールと;
c)少なくとも1つのカルバメート発泡剤と、
を含む反応混合物から1回の注入工程で形成されるインテグラルスキンポリウレタンフォームセクションを含む物品を提供し、この場合のポリウレタンフォームセクションは、少なくとも2つの部分、第一の表面硬度を有する第一部分および第二の表面硬度を有する第二部分、を含み、前記第一の表面硬度は、前記第二の表面硬度と実質的に異なる。好ましくは、前記第一部分における表面硬度は、前記第二部分における表面硬度と、アスカーC測定値で少なくとも10およびさらに好ましくは少なくとも15異なる。
【0019】
好ましい実施形態において、前記ポリウレタンフォームは、本発明の第一から第四の態様の1つより多くの特徴を有する。
【0020】
本発明によると、ある部分は、その部分全体にわたって実質的に同じ硬度、密度および/または厚さを有する。「実質的に同じ」とは、硬度、密度および厚さのうちの1つについての測定値のすべてが、互いに10パーセント以内、好ましくは5パーセント以内、およびさらに好ましくは2パーセント以内であることを意味する。
【0021】
本発明は、異なるタイプの物品、例えば、自動車内装部品用途、例えばドアパネル、サイドパネル、コンソール、ピラー、ハッチバックパーセルシェルフおよびダッシュボード、ならびに非自動車用途、例えば椅子をはじめとする家具、の製造に用いることができる。
【0022】
典型的に、本物品は、その物品の1つディメンションでのサイズが他のディメンションでのサイズより有意に小さくなるように成形される、実質的にパネル形状である物品である。この小さいほうのディメンションを本明細書では厚さと呼ぶ。「パネル」という語が本質的に平面の物体に限定されるものとする意図はない。前記パネルは、それぞれが他の2つのディメンションよりはるかに小さい1つのディメンションを有する、異なるセクションを有するものである場合ある。このディメンションは、それぞれのセクションについて必ずしも同じでない。例えば、物品が椅子である場合、その椅子の1つのセクションを構成する座席と別のセクションを構成する背もたれを、1回の成形で形成することができる。この場合の厚さは、椅子の座席については上から下の厚さおよび背もたれについては表から裏の厚さである。
【0023】
好ましくは、本物品は、剛性基板および金型内コーティング(in-mould coating)のうちの少なくとも1つをさらに含む。
【0024】
本発明のさらなる態様では、
a)少なくとも1つのポリイソシアネートと;
b)少なくとも1つのポリオールと;
c)少なくとも1つのカルバメート発泡剤と、
を含む反応混合物を密閉金型キャビティーに1回の注入工程で注入することによってインテグラルスキンポリウレタンフォームセクションを形成する、硬度の異なる領域を有するインテグラルスキンポリウレタンフォームセクションを有する物品の製造方法を提供し、この場合、前記金型キャビティーが厚さの異なる領域を有するので、前記フォームセクションは、前記厚さの異なる領域に対応する、異なる硬度の領域を有する。
【0025】
結果として生ずる硬度の異なる領域の1つは、60未満およびさらに好ましくは55未満のアスカーC硬度を有することが好ましい。適切には、別の領域は、60より大きいおよび好ましくは65より大きいアスカーC硬度を有する。1つの領域の硬度が、別の領域の硬度と、アスカーC測定値で少なくとも10およびさらに好ましくは少なくとも15異なるとさらに好ましい。
【0026】
前記方法は、好ましくは、前記反応混合物の注入前に前記金型の内面に金型内コーティングを施す追加の工程を含む。
【0027】
前記方法は、好ましくは、剛性基板を設ける追加の工程も含む。適する基板は、その製品に所望の剛度をもたらすために十分剛性である任意の材料を含むことができる。当業者は、フォームに剛性基板を設ける方法を承知している。フォームセクションを形成する前に剛性基板を金型に挿入してもよいし、または形成後にそのフォームセクションに取り付けてもよい。本発明のポリウレタン配合物は、使用することができる剛性基板に関して特に融通がきく。1つの特に適する基板は、低密度強化反応射出成形ポリウレタン基板である。これは、一工程で、ポリウレタンフォームと併せてリサイクルできるからである。
【0028】
本発明のさらなる態様では、その反応混合物がカルバメート発泡剤、水、触媒および連鎖延長剤を含む、ポリウレタン組成物を提供する。このタイプのポリウレタン組成物は、本発明の物品の製造に有用である。
【0029】
以前には、1回の注入工程を用いて硬度の異なる領域を有するインテグラルスキンポリウレタンフォーム部品を製造できることは考えられなかった。部品の硬度およびまた密度の違いは、金型キャビティーの厚さの違い、および従って、結果として生ずる金型の厚さの違いに起因する。典型的に、標準的なポリウレタンフォーム配合物を、異なる厚さを有する金型キャビティーに注入した場合、反応混合物が、その金型の狭い部分から広い部分にまたはその逆に流れると、問題が生ずる。厚さの変化は、その反応混合物に乱流を生じさせ、その結果、金型の表面に気泡が生ずる。これは、結果として得られる部品の表面に欠陥を生じさせ、そのため、その部品は使用に適さない。
【0030】
加えて、金型の厚さの変化のため、ポリウレタンの形成により流れが制限される前にその金型の全域にわたって反応混合物を注入することは一般に難しい。金型の全域にわたって完全な注入を達成するために、高圧注入ツールが必要である。重ねて、これは、反応混合物の乱流を増加させ、その結果、部品の表面で気泡が形成される。
【0031】
カルバメート発泡剤を使用すると、異なる厚さおよび従って異なる硬度を有し、同時に卓越した表面特性を有するフォーム部品を、1回の成形で形成できることが、今般、判明している。従って、カルバメート発泡剤の使用によって、より遅い注入時間を用いることも可能となり、反応混合物を注入するための高価な機械の必要もなくなる。
【0032】
1回の成形で硬度の異なる部品を製造できる利点は、例えば自動車のドアパネルを製造するために必要な工程数の減少である。工程数の減少は、より容易に部品を製造することができ、必要とする独立した成形装置セットがより少ないので、有意な費用節約となる。
【0033】
ポリウレタンフォーム反応プロセス中に二酸化炭素を放出するいずれのカルバメート付加物も適する。好ましくは、使用するカルバメート付加物は、アミンと二酸化炭素の反応生成物である。適するカルバメート付加物としては、欧州特許第915922号、米国特許第6346559号、米国特許第6326412号、独国特許第10000494号および米国特許第5760098号に開示されているものが挙げられる。
【0034】
カルバメート付加物が、少なくとも60℃、好ましくは少なくとも75℃で、約130℃までの熱分解温度を有することは特に好ましい。この温度より低い分解温度は、その付加物を取り扱う上で現実的でない。これより高い分解温度を有する発泡剤は、ポリウレタンポリマーを作製するとき、そのポリマーの作製中に遭遇し、その付加物の分解を果たすために用いられる反応熱が、130℃よりはるかに高いものでないことがあるので、価値が限られる。
【0035】
好ましくは、本組成物は、成分(a)および(b)の併せた総重量に基づき、成分(a)を5から95重量パーセントの量で、および成分(b)を95から5重量パーセントの量で含む。有利には、前記カルバメート発泡剤は、好ましくは2.5から8.5重量パーセントの量で、さらに好ましくは3.5から7.5重量パーセント、およびさらにいっそう好ましくは4.5から5.5重量パーセントの量で存在する。
【0036】
好ましい実施形態において、前記カルバメート付加物は、二酸化炭素とアルカノールアミンを接触させることによって得ることができ、この場合のアルカノールアミンは、分子1個につき1つまたは2つのエーテル部分を含有する物質である。そのようなアルカノールアミンの使用は、第一に、室温で液体である付加物に;第二に、ポリウレタンポリマーの製造に適便な粘度を有する付加物に;および第三に、非常に有効な量の二酸化炭素を放出することができる付加物に備えるものである。
【0037】
前記アルカノールアミンは、第二アミンであってもよいが、好ましくは第一アミンである。第一アミンは、カルバメートの形成に関してより大きな反応性を示す。前記アルカノールアミンが第一アミンであるとき、それは、次の一般式、
【化1】

によって特徴付けられ、ならびに前記アルカノールアミンが第二アミンであるとき、それは、次の一般式、
【化2】

によって特徴づけられ、これらの式中、独立して、R’は、水素、メチルまたはエチルであり;R’’は、水素、メチルまたはエチルであり;整数nまたはn’は、1または2であるが、但し、nとn’の合計が3未満であることを条件とし;ならびに整数xまたはx’は、1から4のすべての数である。適するおよび好ましいアルカノールの例は、第一アミン2−(2−アミノエトキシ)エタンまたは2−(2−(2−アミノエトキシ)エトキシ)エタノールである。
【0038】
上述の組成物の液体媒質成分は、周囲温度で液体である、非プロトン性または好ましくはプロトン性物質であり得る。用語「周囲温度」は、一般に、室温、すなわち25℃と解釈する。プロトン性物質の例としては、液体ジオールもしくはトリオール物質、または特に、ポリオキシアルキレンジオールもしくはトリオール物質((ポリオキシ)エチレン、(ポリオキシ)プロピレン−、または(ポリオキシ)ブチレン物質を含む)が挙げられる。有利には、最終用途価値に備えて、前記ジオールまたはトリオール物質は、ポリウレタンポリマーの製造に一般に使用される反応対に対応する。本発明では、低分子量(ポリオキシ)エチレン、(ポリオキシ)プロピレン−または(ポリオキシ)ブチレントリオール、およびとりわけジオールが、プロトン媒質として特に価値のあることが判明した。低分子量という用語は、有利には1000未満、好ましくは600未満、およびさらに好ましくは400またはそれ以下の分子量を有する物質と解釈する。プロトン性媒質としての使用に適する物質としては、エチレングリコール、1,2−または1,3−プロパングリコール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、グリセリン、トリメチルプロパンが挙げられ、好ましい物質としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2−または1,3−または1,4−ブタンジオールが挙げられる。1000未満の分子量を有する上述の物質のエチレンオキシド、プロピレンオキシドまたはブチレンオキシド付加物も、プロトン性媒質として適する。
【0039】
好ましいカルバメート付加物は、二酸化炭素と上で説明したようなアルカノールアミンとを、有利には非水性媒質中で、接触させることによって作製される。非水性液体媒質は、上で説明したとおりである。用語「非水性」は、本質的に水が存在しないことを意味する。万一、媒質が残留含水量を有したとしても、これは、0.5重量パーセントを超えてはならず、好ましくは、0.2重量パーセントを超えてはならない。前記アルカノールアミンおよび媒質は、有利には、重量部で5:95から95:5の比で存在する。前記アルカノールアミンは、好ましくは、15:85から85:15、さらに好ましくは25:75から75:25、およびさらにいっそう好ましくは45:55から55:45の比で存在する。存在するアルカノールアミンの量がこの比率を超えると、結果として生ずるカルバメート生成物の粘度は、不都合に高くなり得る。プロトン性媒質の存在下でのカルバメートの作製は、アルカノールの転化を増進して、より高いカルバメート収量をもたらすのに役立つ。
【0040】
好ましくは、二酸化炭素とアルカノールアミンを接触させるプロセスは、カルバメートへのアルカノールアミンの実質的に完全な転化を達成するために十分な量の二酸化炭素を制御された速度で導入しながら、本質的に周囲温度および圧で行う。カルバメートの形成は、一般に発熱反応であり、二酸化炭素の添加速度制御および任意の反応容器冷却によって温度上昇の程度を制限する。周囲温度および圧での気体二酸化炭素の使用は非常に適便であるが、適する高圧反応器を利用できる場合には液化二酸化炭素を利用できることも期待される。源に関係なく、有利には、二酸化炭素の含水量は、0.2重量パーセントを超えず、好ましくは0.1重量パーセントを超えない。
【0041】
本発明のポリオール成分は、適切には、少なくとも1つのポリエステルポリオールまたはポリエーテルポリオールである。ポリエーテルポリオール、さらに好ましくは、平均で2から4個、好ましくは2から3個のヒドロキシル基/分子と、500から5000、好ましくは1000から4000の平均ヒドロキシル当量を有するもの、を使用することがさらに好ましい。
【0042】
前記ポリオールは、好ましくは、25から40、さらに好ましくは25から35、および最も好ましくは25から30のヒドロキシル数を有する。場合によっては、および有利には、そのようなポリエーテルポリオールは、そのポリオールの全ヒドロキシル含有量に基づいて、少なくとも50、好ましくは少なくとも75、およびさらに好ましくは少なくとも85パーセントの第一ヒドロキシル含有量も有し得る。典型的に、そのようなポリエーテルポリオールは、活性水素含有開始剤と、所望のヒドロキシル特性および当量の生成物を生じさせる量の1つまたはそれ以上のアルキレンオキシドとの反応によって得ることができる。一般に、そのようなアルキレンオキシドは、C2−4アルキレンオキシドであり、それらとしては、1,4−ブチレンオキシド、2,3−ブチレンオキシド、プロピレンオキシドおよびエチレンオキシド、好ましくはプロピレンオキシドおよびエチレンオキシドが挙げられる。適する活性水素含有開始剤の例は、ポリオール、ポリオールのポリエーテル付加物、ポリアミン、および分子1個につき多数の活性水素原子を有する他の化合物、例えば、米国特許第4,500,422号に記載されているものである。
【0043】
ポリウレタンエラストマーを作製するプロセスでの利用に適するポリエーテルポリオールを作製する際に使用するために好ましい開始剤としては、エチレングリコール、プロピレングリコール、ブチレングリコール、グリセリン、1,1,1−トリメチロールプロパン、1,1,1−トリメチロールエタン、α−メチルグリコシド、C2−8アルキレンジアミン、例えばエチレンジアミンおよびヘキサメチレンジアミンなど、ならびにそれらの混合物が挙げられる。グリコール開始剤、またはそのようなグリコールとグリセリンのアルコキシル化付加物が、特に好ましい。本発明のプロセスによりポリウレタンエラストマーを製造する際に使用するための市販の好ましいポリエーテルポリオールの例は、商標「VORANOL」によって特定されるポリエーテルポリオールであり、The Dow Chemical Companyによって販売されているVORANOL EP 1900およびVORNOL CP 6001と称する製品を含む。
【0044】
ポリオールの混合物の使用は、さらにいっそう好ましい。その混合物が、少なくとも1つのトリオールおよび少なくとも1つのジオールを含むことが特に好ましい。
【0045】
本明細書において上で説明したポリオールに加えて、ポリウレタンエラストマーを作製するプロセスに存在し得る他の適するポリオールとしては、ポリエーテルポリオール、例えば米国特許第4,394,491号に記載されているものに基づくいわゆるポリマーポリオールが挙げられる。有用なポリマーポリオールには、連続ポリエーテルポリオール相中の、ビニルポリマー、特にスチレン/アクリロニトリルコポリマーの分散物が含まれる。いわゆるポリイソシアネート重付加(PIPA)ポリオール(ポリオール中のポリウレア−ポリウレタン粒子の分散物)、およびポリオール中のポリウレア分散物、例えばPHDポリオールも有用である。ビニルタイプのコポリマーポリオールは、例えば、米国特許第4,390,645号;同第4,463,107号;同第4,148,840号および同第4,574,137号に記載されている。上に記載したポリエーテルポリオールおよびコポリマーポリオールに加えて、堅い硬質ポリウレタンフォームの製造に一般に付随するポリエーテルおよびポリエステルポリオールを上述のものとの混合物で使用することもできる。硬質ポリウレタンフォームは、2から8、好ましくは3から8の平均官能価、すなわち、それらが50から200の平均ヒドロキシル当量を有することを特徴とする。
【0046】
適するポリエステルポリオールは、例えば、アルキレンラジカル中に2から12個の炭素原子を有するジカルボン酸、好ましくは脂肪族ジカルボン酸、および多官能性アルコール、好ましくはジオールから製造することができる。これらの酸としては、例えば、脂肪族ジカルボン酸、例えばグルタル酸、ピメリン酸、スベリン酸、アゼライン酸、セバシン酸、ウンデカン二酸、ドデカン二酸、および好ましくはコハク酸およびアジピン酸;脂環式ジカルボン酸、例えば1,3−および1,4−シクロヘキサンジカルボン酸;ならびに芳香族ジカルボン酸、例えばフタル酸およびテレフタル酸が挙げられる。二および多官能性、特に二官能性アルコールの例は、エチレングリコール、ジエチレングリコール、プロピレングリコール、ジプロピレングリコール、1,3−プロパンジオール、1,10−デカンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ならびに好ましくは1,4−ブタンジオールおよび1,6−ヘキサンジオールである。
【0047】
本発明での使用に適するポリイソシアネートとしては、脂肪族、脂環式、芳香脂肪族および好ましくは芳香族多官能性イソシアネートが挙げられる。
【0048】
具体的な例は、そのアルキレンラジカルに4から12個の炭素原子を有するアルキレンジイソシアネート、例えば、ドデカン1,12−ジイソシアネート、2−エチルテトラメチレン1,4−ジイソシアネート、2−メチルペンタメチレン1,5−ジイソシアネート、テトラメチレン1,4−ジイソシアネートおよび好ましくはヘキサメチレン1,6−ジイソシアネート;脂環式ジイソシアネート、例えばシクロヘキサン1,3−および1,4−ジイソシアネートならびにまたこれらの異性体の混合物、1−イソシアナト−3,3,5−トリメチル−5−イソシアナトメチルシクロヘキサン(イソホロンジイソシアネート)、ヘキサヒドロトリレン2,4−および2,6−ジイソシアネートならびにまた対応する異性体混合物、ジシクロヘキシルメタン4,4’−および2,4’−ジイソシアネートならびにまた対応する異性体混合物、ならびに好ましくは、芳香族ジイソシアネートおよびポリイソシアネート、例えばトリレン2,4−および2,6−ジイソシアネートならびに対応する異性体混合物、ジフェニルメタン4,4’−、2,4’−および2,2’−ジイソシアネートならびにまた対応する異性体混合物、ジフェニルメタン4,4’−およびジイソシアネートとジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネートの混合物、ポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート、ジフェニルメタン4,4’−ジイソシアネートとジフェニルメタン2,4’−ジイソシアネートとジフェニルメタン2,2’−ジイソシアネートの混合物、ならびにポリフェニルポリメチレンポリイソシアネート(原料MDI)および原料MDIとトリレンジイソシアネートの混合物である。前記有機ジイソシアネートおよびポリイソシアネートは、個々に、またはそれらの混合物の形態で、使用することができる。
【0049】
1つの好ましい実施形態では、ポリウレタンプレポリマーを使用する。前記プレポリマーは、アミン、アルコールおよびイソシアネートから選択される多官能性化合物と、少なくとも1つのポリウレタンと、少なくとも1つのポリオールまたはポリアミンとの反応から形成される。好ましくは、前記プレポリマーは、芳香族ポリイソシアネート、例えばMDIまたはTID、に基づく。
【0050】
インテグラルスキン付きフォームを製造するとき、ポリイソシアネートは、一般に、25から35重量パーセントのイソシアネート含有量を有する。しかし、本出願人は、驚くべきことに、本発明ではより低いイソシアネート含有量を用いたときに優れた生成物が形成されることを発見した。19から25重量パーセント、好ましくは20から23重量パーセントのイソシアネート含有量の使用が好ましい。
【0051】
使用される1つの好ましいポリイソシアネート成分は、ウレタン変性ポリイソシアネート、および特に、ウレタン変性芳香族ポリイソシアネートである。好ましいウレタン変性芳香族ポリイソシアネートは、過剰のトルエンジイソシアネートまたは好ましくはメチレンジフェニルイソシアネートをポリオール(これは、ポリエステルまたは好ましくはポリエーテルポリオール、特にジオールまたはトリオールである)と反応させることによって得られるものである。本出願人は、低分子量グリコールまたは高分子量ポリオールとの反応によって変性されたメチレンジフェニルイソシアネートが、同じく本発明に適することを発見した。用語「高分子量」は、1000またはそれ以上の分子量を有するポリオールを意味する。そのようなウレタン変性ポリイソシアネートを作製するための技術は、公開文献に十分に記録されており、本明細書ではさらに報告しないこととする。
【0052】
本発明に従ってポリウレタンポリマーを作製するとき、ポリイソシアネートは、有利には80から120、好ましくは90から110、およびさらに好ましくは95から105のイソシアネート反応指数を備える量で使用する。用語「イソシアネート指数」は、100の指数の場合、ポリイソシアネートと反応することができるポリオールまたは他の活性水素原子保有物質から存在するそれぞれの反応性水素原子について、1当量のイソシアネートが存在することをと解釈する。
【0053】
本明細書に開示するようなポリウレタンエラストマーを作製するとき、場合によっては、および有利には、ポリエーテルまたはポリエステルポリオールを連鎖延長剤との混合物で使用する。連鎖延長剤の存在は、結果として生ずるフォームに望ましい物理特性、特に硬度、をもたらす点で有用である。有利には、連鎖延長剤は、ポリエーテルポリオールと連鎖延長剤の総重量に基づいて、6重量パーセント未満、好ましくは2から4重量パーセントの量で使用する。
【0054】
連鎖延長剤は、イソシアネート反応性物質であること、特に、150未満または150である、好ましくは100未満または100である当量を有する有機二官能性イソシアネート反応性物質であることを特徴とする。適する連鎖延長剤の代表としては、多価アルコール、脂肪族ジアミン(ポリオキシアルキレンジアミンを含む)、芳香族ジアミンおよびそれらの混合物が挙げられる。好ましい連鎖延長剤は、ジヒドロキシ化合物、特にグリコールである。適する連鎖延長剤の実例としては、1,2−エタンジオール、1,3−プロパンジオール、1,5−ペンタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,2−プロパンジオール、1,3−ブタンジオール、1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジオール、1,4−シクロヘキサンジメタノール、エチレンジアミン、1,4−ブチレンジアミンおよび1,6−ヘキサメチレンジアミンが挙げられる。化合物、例えばエトキシル化ヒドロキノンも連鎖延長剤として利用することができる。上述の連鎖延長剤は、単独で、または他の化合物(ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、トリプロピレングリコール、エタノールアミン、ジエタノールアミン、トリエタノールアミンおよびN−メチルジエタノールアミン、およびN−エチルジエタノールアミン、ならびに脂肪族カルボン酸の脂肪族ジオールまたはトリオールでのエステル化によって得られる付加物、例えば、1モルのジオール/トリオールにつき0.01から1.08モルの酸を利用する上に例示したもの、を含む)との混合物で、使用することができる。上に例示した連鎖延長剤はいずれも、前記ポリウレタンエラストマーの作製プロセスに利用することができるが、単独でまたは混合物での1,4−ブタンジオール、1,6−ヘキサンジオール、ネオペンチルグリコール、1,4−シクロヘキサンジオール、エチレングリコール、ビスヒドロキシエトキシベンゼン、エトキシル化ヒドロキノングリセリン、およびジエチレングリコールの使用が、特に好ましい。1,2−エタンジオールが、連鎖延長剤として特に好ましい。RIM型ポリウレタンフォームの作製するとき、場合によっては架橋剤が存在することがあり、そのような薬剤は、グリセリンによって例示されるような、2より大きい、好ましくは3またはそれ以上のイソシアネート反応性水素官能価を有する物質である。
【0055】
前記反応混合物に少なくとも1つの触媒を用いることは好ましい。ラジカル触媒および非ラジカル触媒を含む、ポリウレタンの製造に適するいずれの触媒を使用してもよい。
【0056】
適する触媒としては、周知のポリウレタン触媒、例えば、米国特許第5,817,860号のカラム6に記載されているものが挙げられる。
【0057】
そのような触媒としては、錫、亜鉛、ビスマス、鉄および水銀の塩およびキレート、ならびに第三アミン化合物が挙げられる。有機錫触媒、例えば、オクタン酸第一錫、オレイン酸第一錫、塩化第二錫、ジメチル錫ジラウレートおよびジブチル錫ジラウレートは、好ましい金属触媒である。適する第三アミン触媒としては、トリエチレンジアミン(これは、33重量パーセントの溶液として市販されている)、トリメチルアミン、トリエチルアミン、N−メチルモルホリン、N−エチルモルホリン、N−ココ−モルホリン、1−メチル−4−ジメチルアミノエチルピペラジン、3−メトキシ−N−ジメチルプロピルアミン、N,N−ジメチル−N’,N’−メチルイソプロピルプロピレンジアミン、N,N’−ジエチルアミノプロピルアミン、N,N−ジメチルベンジルアミン、N,N−ジメチルエタノールアミン、N,N−ジメチルピペラジン、1,4−ジアゾビシクロ[2,2,2]オクタン、ビス(ジメチルアミノエチル)エーテル、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、モルホリン、N,N−ジモルホリンジエチルエーテル、N,N−ジメチルシクロヘキシルアミン、4,4’−(オキシジ−2,1−エタンジイル)ビス、およびペンタメチレンジアミンが挙げられる。適便には、前記触媒を、イソシアネート反応性成分またはイソシアネート成分に溶解または分散させる。
【0058】
触媒の量は、所望の反応速度をもたらすように選択する。(下で説明する試験1回につき)15から50秒、好ましくは25から40秒、さらに好ましくは28から35秒のゲル化時間をもたらすために十分な触媒が、大部分の用途に望ましい。
【0059】
従来の(散逸性(fugitive))触媒を本発明の実施の際に利用することはできるが、非散逸性(non-fugitive)触媒、例えばWO2004/081075に開示されているもの、の使用が特に好ましい。非散逸性ウレタン触媒とは、イソシアネートとポリオールの反応からのウレタンの形成を促進できる物質と解釈し、そのような触媒は、イソシアネート反応性部分を有するために、最終的には、結果として生ずるウレタンポリマーに結合および固定されることとなる。好ましくは、前記非散逸性ウレタン触媒は、反応性アミン触媒であり、好ましくは、反応性部分としてヒドロキシル、第一もしくは第二アミン基、またはチオールを有する第三アミン触媒である。
【0060】
反応性部分としてアミン基を有する第三アミン触媒である物質は、非散逸性アミン触媒として本発明に好ましい。ヒドロキシル基を有する、適する反応性アミン触媒の例としては、JEFFCAT ZF−10として市販されているN,N,N’−トリメチル−N−ヒドロキシエチル−ビスアミノエチルエーテル、JEFFCAT ZR−50として市販されているN,N−ビス(3−ジメチルアミノプロピル)−N−イソプロパノールアミン;JEFFCAT DPAとして市販されているN−(3−ジメチルアミノプロピル)−N,N−ジイソプロパノールアミン;JEFFCAT DMEAとして市販されているN,N−ジメチルエタノールアミン;JEFFCAT ZR−70として市販されている2−(2−ジメチルアミノエトキシ)エタノール(すべて、Huntsman Corp.から入手できる)が挙げられる。
【0061】
ヒドロキシル基を有する他の適する反応性アミン触媒は、例えば、公開特許出願US2002/0025989、カラムパラグラフ17および18に挙げられている。アミン基を有する反応性アミン触媒の実例としては、3−ジメチルアミノプロピルウレアおよび3−ジメチルアミノプロピルアミンならびにそれらの付加物が挙げられる。アミン反応性部分を有することがわかっている市販の反応性アミン触媒の例としては、次の有標製品が挙げられる。Air Productsから入手できるDABCO NE200およびDABCO NE1060;ならびに東ソー株式会社から入手できるTOYOCAT RX20、TOYOCAT RX21およびTOYOCAT RX30。前記非散逸性アミン触媒は、ポリウレタンフォームの作製のために有効な量で存在する。そのような量は、存在する材料および反応物の性質および反応性に依存するが、典型的に、100重量部のポリオールあたり0.01から3重量部、好ましくは0.1から2.5重量部、およびさらに好ましくは0.2から2重量部である。
【0062】
特に好ましい触媒としては、ジアゾビシクロ2,2,2オクタン、例えば、Dabco 33LB、およびMEG中33%のTeda;ジカルボン酸ジオクチル錫、例えば、CromptonからのFomrez UL 38;ジエタノールアミン;変性ジメチルアミノプロピルアミンの反応性ブレンド、例えば、東ソーからのToyocat RX20;ビス(N,N ジメチルアミノ)エトキシ)エタノール、例えば、Air ProductsからのPolycat 15;ならびに立体障害触媒、例えば、GEからのNiax EF 708が挙げられる。
【0063】
カルバメート付加物によってもたらされる発泡作用を補うために、当業者に公知であるような他の物理的および化学的発泡剤が、場合によっては存在することがある。しかし、他の発泡剤を使用する場合、それらは、その発泡作用の非常に小さな部分を構成することが好ましい。好ましくは、他の発泡剤は一切存在しない。
【0064】
他の発泡剤を使用する場合、それらは、好ましくは、3重量パーセント未満の量で使用される。
【0065】
本明細書において上で述べたように、カルバメートの熱分解によって生成される二酸化炭素が発泡剤として存在する状態で、ポリウレタンエラストマーポリマーを作製する。カルバメートに加えて、水、脂肪族もしくは脂環式C3−8アルカンまたは塩素負含ハロゲン化アルカンあるいはこれらの混合物をはじめとする、他の発泡手段も存在することがある。水は、存在する場合には、存在するポリオールおよび任意の連鎖延長剤の総重量に基づいて、0.05から2、好ましくは0.1から1.5およびさらに好ましくは0.1から0.3重量パーセントの量で用いる。適する脂肪族または脂環式C−Cアルカンの例としては、ブタン、n−ペンタン、i−ペンタン、ヘキサン、シクロペンタンおよびシクロヘキサンが挙げられる。適する塩素負含ハロゲン化アルカンの例としては、ジ−、トリ−およびテトラフルオロエタンが挙げられる。
【0066】
場合によるが、有利には、前記ポリウレタンポリマーを作製するとき、界面活性剤、有機または無機フィラー、顔料、難燃剤、酸化防止剤および静電防止剤をはじめとする追加の添加剤が存在する。そのような添加剤の使用は、当分野において周知であり、この目的でそれらに言及する。
【0067】
適する界面活性剤としては、様々なシリコーン界面活性剤、好ましくは、ポリシロキサンとポリオキシアルキレンのブロックコポリマーであるものが挙げられる。そのような界面活性剤の例は、Dow Corningから入手できる製品DC−193およびQ4−3667、およびGoldschmidtから入手できる製品TEGOSTAB B4113である。存在する場合、有利に利用される界面活性剤の量は、そのポリオールと任意の連鎖延長剤の総重量の0.1から2、および好ましくは0.2から1.3パーセントである。他の適する界面活性剤としては、非シリコーン含有界面活性剤、例えば、ポリ(アルキレンオキシド)も挙げられる。
【0068】
適する顔料およびフィラーとしては、例えば、炭酸カルシウム、グラファイト、カーボンブラック、二酸化チタン、酸化鉄、アルミナ三水和物、珪灰石、落下によりおまたは連続的に作製されたガラス繊維、ポリエステルおよび他のポリマー線維が挙げられる。他の有機フィラーの例としては、セルロース、木部線維およびポリウレタン粉砕再生材料が挙げられる。
【0069】
前記ウレタン変性ポリイソシアネートと前記ポリオールの好適な均質混合方法としては、成形技法、例えば、ミュンヒェンのGunter Oerterl Hanser Publishersによる「Polyurethanes Handbook」 ISBN 0-02-948920-2 (1985)に記載されているものなどのが挙げられる。微孔質で弾性のポリウレタンポリマーの他の好適な作製方法は、例えば、米国特許第4,297,444号;同第4,218,543号;同第4,444,910号;同第4,530,941号および同第4,269,945号に記載されている。
【0070】
本明細書に開示するポリウレタンエラストマーは、好ましくは、微孔質ポリウレタンエラストマーである。典型的に、そのようなエラストマーは、反応成分を室温またはわずかに高い温度で短時間、均質混合し、得られた混合物を密閉金型に注入し、それを加熱することによって作製する。反応が完了したら、その混合物は、予め定められた構造のポリウレタンエラストマーを製造するための金型の形をとる。その後、それを十分に硬化させ、意図した最終用途に許容されるものより大きな変形を受ける危険は最小限でその金型から取り外すことができる。前記エラストマーの硬化の促進に適する条件としては、典型的には20℃から150℃、好ましくは35℃から75℃、およびさらに好ましくは45℃から55℃の金型温度が挙げられる。一般に、そのような温度によって、反応物の均質混合後、典型的には10分未満およびさらに典型的には5分未満に、その十分に硬化されたエラストマーを金型から取り外すことができる。最適な硬化条件は、そのエラストマーの作製の際に使用される特定の成分(触媒を含む)および量に、ならびに製造される物品のサイズおよび形状にも依存する。
【0071】
本発明のポリウレタン前駆体は、異なる厚さを有する物品を形成する際に使用するために特に適する。フォームの異なる厚さにより、その厚さに依存して、物品が硬度の異なるおよび密度の異なる領域を有することとなる。従って、本発明によると、より厚く、従って手触りがより柔らかい一部のセクションと、より薄く、手ざわりがより硬い他のセクションとを有する物品を、1回の注入工程から形成することができる。例えば、座席部分のためのより厚いフォームのセクションと、腕および/または脚のためのより硬い、より薄いセクションから成る椅子を形成することができる。
【0072】
本明細書に開示するポリウレタンエラストマーは、例えば自動車内装トリム、例えば、ドアおよびルーフパネル、ならびにダッシュボード、および非自動車用途、例えば、椅子および他の家具製品などの物品の作製に有用である。
【0073】
本発明の好ましい実施形態を、以下の図を参照して説明する。
【図面の簡単な説明】
【0074】
【図1】引裂強度、引張強度および破断点伸びに関するできたてのおよびエージングした(aged)本発明に組成物の結果を示すグラフである。
【図2】引裂強度、引張強度および破断点伸びに関するできたてのおよびエージングした本発明に組成物の結果を示すグラフである。
【図3】引裂強度、引張強度および破断点伸びに関するできたてのおよびエージングした本発明に組成物の結果を示すグラフである。
【図4】密度および硬度測定値を含む、本発明のパネルの断面を示す。
【発明を実施するための形態】
【0075】
以下の実施例は、本発明を例証するために提供するものであり、本発明の範囲を限定するためのものではない。すべての部および百分率は、格別の指示がない限り、重量で与える。本実施例において使用する材料を、次のように特定する。
ポリオール
ポリオール1 グリセリン系ポリオール、末端にエチレンオキシドを有する、28のヒドロキシル数、官能価3
ポリオール2 分子量4000、28のヒドロキシル数、官能価2
ポリオール3 グリセリン/ソルビトールポリマー、32.4のヒドロキシル数、官能価>3
ポリイソシアネート
ポリオール4 ポリエーテルポリオールを有するMDIプレポリマー NCO% 20.1
ポリオール5 MIDプレポリマー ハイブリッドポリエーテル/ポリエステル NCO% 23.0
カルバメート付加物
Specflex NR 556 CO2/脂肪族アミン付加物
触媒
触媒1 エチレングリコール中33%のジアゾビシクロ2,2,2オクタン
触媒2 Cromptonからのジカルボン酸ジオクチル錫
触媒3 ジエタノールアミン
触媒4 立体障害触媒(GE NIAX EF708)
連鎖延長剤
エチレングリコール(MEG)
ジ−エチレングリコール(DEG)
【0076】
本実施例は、表1の加工パラメータに従って製造した。
【表1】

【0077】
(実施例1および2)
ポリイソシアネートを除く成分を、下の表2の量(重量パーセントに基づく)で混合した。
【表2】

【0078】
その後、その混合物を、表3に示すとおりのポリイソシアネートと、示すとおりの様々な異なるイソシアネート指数で混合した。得られた混合物を金型に注入した。その後、得られたフォームを密度(DIN53479−76に従って)、硬度(ショアーA硬度、DIN 53505に従って)、引裂強度(DIN 53507に従って)、引張強度(DIN 53543に従って)および破断点伸び(DIN 53543に従って)試験した。その後、それらのフォームのうちの幾つかを、120℃で504時間(21日)エージングした後、再び試験した。結果を表3および図1から3に示す。
【0079】
【表3】

【0080】
上の結果からわかるように、本発明のフォームは、卓越した硬度、引裂強度、引張強度および伸びを有する。さらに、エージングした後でさえ、本フォームの特性は同等であり、場合によっては、エージングする前の特性より優れていることさえある。
【0081】
従って、これらのフォームは、例えば自動車内装部品(この場合、フォームが良好なエージング特性を有することが重要である)としての使用に適する。
【0082】
(実施例3および8)
表4に示すとおりの基礎配合物を使用して製造した多数の部品に関しても試験を行った。
【表4】

【0083】
上のポリオール系を100から103のイソシアネート指数でSpecflex NE 124と混合した。加工パラメータは、上と同じである。パネル壁が40mmまでの厚さの部分と1mmほど薄い厚さの部分を有する自動車ドアパネルの形状の成形部品を製造した。それぞれの部品についてその部品の設置位置で7つの別個の硬度測定値をとった。下の表4に示すように、それぞれの部品タイプについての結果の平均をとった。1から6での測定値は、そのパネルのより厚い部分でのものであり、これに対して7での測定値は、そのパネルのより薄い部分でのものである。
【0084】
実施例3は、木部線維複合基板で裏打ちしたフォームである。実施例4から6は、低密度強化反応射出成形(LD−RRIM)基板で裏打ちしたフォームである。実施例5は、薄い厚さのスキンを有し、実施例6は、厚いの厚さのスキンを有する。実施例7および8は、基板で裏打ちしていないフォームである。実施例8は、薄い厚さのスキンを有する。
【0085】
【表5】

【0086】
ドアパネルの幾つかの部分は、41ほどもの低さのアスカーC硬度を有し、これに対して、そのパネルのより薄い部分は、73ほどもの高さのアスカーC硬度を有する。
【0087】
上の配合物により、物品の形状および使用する基板に依存して、30秒ほどもの短い、またはそれより短いことさえある、改善された離型時間で、物品を作ることができる。
【0088】
本発明に従って製造したフォームの断面は、図4で見ることができる。このフォームは、鉱質基板上に取り付けられている。わかるように、このフォームセクションの薄い部分は、厚い部分と比較して有意に高い密度およびアスカーC硬度を有する。この断面は、有意に厚さの異なる部分を有するフォームを、本発明に従って1回の注入工程で製造できることを明確に示している。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)少なくとも1つのポリイソシアネートと;
b)少なくとも1つのポリオールと;
c)少なくとも1つのカルバメート発泡剤と、
を含む反応混合物から1回の注入工程で形成されるインテグラルスキンポリウレタンフォームセクション(integral skin polyurethane foam section)を含む物品であって、
前記ポリウレタンフォームセクションが、少なくとも2つの部分、第一の表面硬度を有する第一部分および第二の異なる表面硬度を有する第二部分、を含み、前記第一部分が60未満のアスカー(Asker)C硬度を有する、物品。
【請求項2】
前記第二部分が、60より大きいアスカーC硬度を有する、請求項1に記載の物品。
【請求項3】
前記第一部分が、55未満のアスカーC硬度を有する、請求項1または請求項2に記載の物品。
【請求項4】
前記第二部分が、65より大きいアスカーC硬度を有する、請求項1から3のいずれか一項に記載の物品。
【請求項5】
前記フォームセクションがある体積を有し、ならびに前記ポリウレタンフォームの第一部分が、そのフォームセクションの総体積の少なくとも25パーセントであり、および前記ポリウレタンフォームの第二部分が、そのフォームセクションの総体積の少なくとも10パーセントである、請求項1から4のいずれか一項に記載の物品。
【請求項6】
a)少なくとも1つのポリイソシアネートと;
b)少なくとも1つのポリオールと;
c)少なくとも1つのカルバメート発泡剤と、
を含む反応混合物から1回の注入工程で形成されるインテグラルスキンポリウレタンフォームセクションを含む物品であって、
前記ポリウレタンフォームセクションが、第一の厚さを有する第一部分および第二の異なる厚さを有する第二部分を含み、前記第一部分が、前記第一の厚さの全体にわたって500g/L未満の平均密度を有し、および前記第二部分が、前記第二の厚さの全体にわたって600g/Lより大きい平均密度を有する、物品。
【請求項7】
a)少なくとも1つのポリイソシアネートと;
b)少なくとも1つのポリオールと;
c)少なくとも1つのカルバメート発泡剤と、
を含む反応混合物から1回の注入工程で形成されるインテグラルスキンポリウレタンフォームセクションを含む物品であって、
前記ポリウレタンフォームセクションが、少なくとも2つの部分、第一の厚さを有する第一部分および第二の異なる厚さを有する第二部分、を含み、前記第一部分が15mmより厚い厚さを有し、および前記第二部分が2mm未満の厚さを有する、物品。
【請求項8】
a)少なくとも1つのポリイソシアネートと;
b)少なくとも1つのポリオールと;
c)少なくとも1つのカルバメート発泡剤と、
を含む反応混合物から1回の注入工程で形成されるインテグラルスキンポリウレタンフォームセクションを含む物品であって、
前記ポリウレタンフォームセクションが、少なくとも2つの部分、第一の表面硬度を有する第一部分および第二の表面硬度を有する第二部分、を含み、前記第一の表面硬度が、前記第二の表面硬度と実質的に異なる、物品。
【請求項9】
前記第一部分における表面硬度が、前記第二部分における表面硬度と、アスカーC測定値で少なくとも10異なる、請求項8に記載の物品。
【請求項10】
前記反応混合物が、少なくとも1つの連鎖延長剤(chain extender)をさらに含む、請求項1から9のいずれか一項に記載の物品。
【請求項11】
剛性基板および金型内コーティング(in-mould coating)のうちの少なくとも1つをさらに含む、請求項1から10のいずれか一項に記載の物品。
【請求項12】
前記反応混合物が、少なくとも1つの触媒をさらに含む、請求項1から11のいずれか一項に記載の物品。
【請求項13】
前記ポリオールが、ポリエーテルポリオールである、請求項1から12のいずれか一項に記載の物品。
【請求項14】
前記ポリイソシアネートが、芳香族多官能性イソシアネートである、請求項1から13のいずれか一項に記載の物品。
【請求項15】
a)少なくとも1つのポリイソシアネートと;
b)少なくとも1つのポリオールと;
c)少なくとも1つのカルバメート発泡剤と、
を含む反応混合物を密閉金型キャビティーに1回の注入工程で注入することによってインテグラルスキンポリウレタンフォームセクションを形成する(この場合、前記金型キャビティーが厚さの異なる領域を有するので、前記フォームセクションが、前記厚さの異なる領域に対応する硬度の異なる領域を有する)、硬度の異なる領域を有するインテグラルスキンポリウレタンフォームセクションを有する物品の製造方法。
【請求項16】
結果として生ずる硬度の異なる領域の1つが、60未満のアスカーC硬度を有し、別の領域が、60より大きいアスカーC硬度を有する、請求項15に記載の方法。
【請求項17】
前記反応混合物の注入前に前記金型の内面に少なくとも1つの金型内コーティングを施す工程を含む、請求項15または請求項16に記載の方法。
【請求項18】
剛性基板を設ける工程を含む、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
【請求項19】
前記反応混合物が、連鎖延長剤をさらに含む、請求項15から18のいずれか一項に記載の方法。
【請求項20】
自動車内装部品である、請求項1から14のいずれか一項に記載の物品。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公表番号】特表2010−511733(P2010−511733A)
【公表日】平成22年4月15日(2010.4.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−528729(P2009−528729)
【出願日】平成19年9月20日(2007.9.20)
【国際出願番号】PCT/EP2007/059994
【国際公開番号】WO2008/034884
【国際公開日】平成20年3月27日(2008.3.27)
【出願人】(502141050)ダウ グローバル テクノロジーズ インコーポレイティド (1,383)
【Fターム(参考)】