説明

ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分と有機ポリマーの混合物

本発明は、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有材料及び有機ポリマーの混合物に関する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有材料と有機ポリマーの混合物、具体的には、プラスチック、剥離面、感圧性接着剤、ホットメルト接着剤、振動減衰組成物などとして有用な混合物に関する。
【背景技術】
【0002】
シロキサンポリマー類は、シロキサン結合の物理的及び化学的特徴に主として由来する特有の性質を有する。これらの性質としては、低いガラス転移温度、熱安定度及び酸化安定度、紫外線への抵抗力、低表面エネルギー及び低疎水性、多くの気体に対する高透過性、及び生体適合性が挙げられる。しかし、シロキサンポリマー類は、多くの場合、引張り強度を欠いている。
【0003】
シロキサンポリマー類の低引張り強さは、ブロック共重合体類を生成することにより改善することができる。幾つかのブロックコポリマー類は、「ソフトな」シロキサン高分子のブロック又はセグメント及び任意の種々の「ハードな」ブロック又はセグメントを含有する。ポリジオルガノシロキサンポリアミド類及びポリジオルガノシロキサンポリアミド類が、例示的ブロックコポリマーである。
【0004】
ポリマー成分の混合物もまた、様々な用途で使われている。アクリル感圧性接着剤を熱可塑性エラストマーと混合して溶融し、続いて様々な基材上に押出しコーティングするとき、剥離接着性能が向上することが見出されている。後で適用されるトナーからより容易に取り除かれる、静電印刷方法の画像化シート用の誘電体層を生成するために、ポリジオルガノシロキサンポリアミドは、誘電性ポリマーと溶媒中で混合されている。しかし、ポリジオルガノシロキサンポリアミドが、少なくとも50重量パーセントの非ポリジオルガノシロキサンハードセグメントを含有する場合にのみ、良好な画像が得られる。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
様々な特性を有し、広く応用できる、他のポリマー混合物の必要性が、依然として存在する。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、
少なくとも2個の式I−a:
【0007】
【化1】

【0008】
の繰り返し単位を含む少なくとも1種のコポリマー
(式中、
各Rは、互いに独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールであり;
各Yは、互いに独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組合せであり、
Gは、式RHN−G−NHRのジアミンから、2個の−NHR基を差し引いたものに等しい二価の残基であり、
は、水素若しくはアルキルであるか、又はRは、Gとともにそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基を生成し、
各基Bは、独立して共有結合、4〜20個の炭素からなるアルキレン、アラルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせであり、
nは、互いに独立して0〜1500の整数であり、及び
pは、1〜10の整数である);並びに
ホットメルト加工が可能な熱可塑性樹脂、ホットメルト加工が可能なエラストマー熱硬化性樹脂、シリコーンポリマー、及びこれらの混合物の群から選択される少なくとも1種の有機ポリマー
(この少なくとも1種の有機ポリマーは、少なくとも2個の式I−aの繰り返し単位を含むコポリマーではなく、粘着付与樹脂ではなく、かつ、繊維状のナイロンではない)を含む混合物を提供し、
かかる混合物は、2層間の境界面で存在しない。
【0009】
特定の実施形態では、コポリマーは、少なくとも2個の式I−b:
【0010】
【化2】

【0011】
の繰り返し単位を含み、
ここで、少なくとも1種の有機ポリマーは少なくとも2個の式I−bの繰り返し単位を含むコポリマーではない。
【0012】
特定の実施形態では、コポリマーの各Rはメチルである。特定の実施形態では、コポリマーの少なくとも50パーセントのR基は、フェニル、メチル、又はこれらの組み合わせである。
【0013】
特定の実施形態では、コポリマーの各Yは、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン、1〜10個の炭素原子を有するアルキレンに結合したフェニレン、1から10個の炭素原子を有する第1のアルキレン及び1〜10個の炭素原子を有する第2のアルキレンに結合したフェニレンである。特定の実施形態では、Yは、1〜4個の炭素原子を有するアルキレンである。
【0014】
特定の実施形態では、コポリマーは、pが1に等しい第1の繰り返し単位、及びpが少なくとも2である第2の繰り返し単位を有する。
【0015】
特定の実施形態では、コポリマーのGは、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、アラルキレン、ポリジオルガノシロキサン、又はこれらの組み合わせである。
【0016】
特定の実施形態では、コポリマーのnは、少なくとも40である。
【0017】
特定の実施形態では、コポリマーのRは、水素である。
【0018】
特定の実施形態では、本発明の混合物は、少なくとも1種の粘着付与材料と更に組み合わせることができる。特定の実施形態では、粘着付与材料は、シリケート樹脂又は有機粘着付与剤である。
【0019】
特定の実施形態では、本発明の混合物は、ホットメルト加工性ではない添加物と更に組み合わせることができる。
【0020】
特定の実施形態では、本発明は、剛性を有する少なくとも1つの基材、及び、本明細書に記載される粘着付与された組成物(粘着付与された組成物は基材に固定された)を含む少なくとも1つの層で構成される、振動減衰拘束層型構成物を提供する。特定の実施形態では、本発明は、本発明の混合物でその上にコーティングされた、可撓性基材、を含む振動減衰複合体を提供する。
【0021】
特定の実施形態では、本発明は、少なくとも2つの剛性部材であって各剛性部材が別の剛性部材の広い表面に隣接する広い表面を有しそこから密に配置された部材、及び、本明細書に記載される粘着付与された組成物であって、粘着付与された組成物が、密に配置された剛性部材間に包含され、かかる部材に接着された組成物を含む、二方向性振動減衰拘束層型構成物を提供する。
【0022】
特定の実施形態では、本発明は、可撓性基材と、その上にコーティングされた本明細書に記載される粘着付与された組成物とを含む、感圧性接着剤物品を提供する。
【0023】
特定の実施形態では、本発明は、非粘着性表面及び粘着性表面を有する本明細書に記載される混合物で製造した層を含む、感圧性接着剤物品を提供する。
【0024】
特定の実施形態では、本発明は、可撓性基材と、その上にコーティングされた本明細書に記載される混合物とを含む、剥離剤コーティング物品を提供する。
【0025】
特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される混合物を含む、物品を提供する。特定の実施形態では、かかる物品は、コポリマーを含む混合物が基材に隣接した層内にある、基材を更に含む。特定の実施形態では、かかる物品は、コポリマーを含む混合物が第1の基材と第2の基材との間の層内にある、第1の基材及び第2の基材を更に含む。
【0026】
特定の実施形態では、本発明は、本明細書に記載される混合物を含む1つ以上の層を含む、多層フィルムを提供する。
【0027】
特定の実施形態では、本発明は、混合物の製造方法を提供し、少なくとも1種のポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分及び少なくとも1種の有機ポリマーを容器に継続的に供給することと、成分を混合して混合物を生成することと、並びに容器から混合物を移送することとを含む。
【0028】
特定の実施形態では、混合は実質的に無溶剤条件下で行われる。
【0029】
特定の実施形態では、本発明は、混合物の製造方法を提供し、少なくとも1種のポリジオルガノシロキサンポリアミドを生成するための反応物質成分と、反応物質成分と反応しない少なくとも1種の有機ポリマーとを継続的に供給することと、成分を混合することと、反応物質成分を反応させ、ポリジオルガノシロキサンアミドセグメント化コポリマーを生成することと、反応装置から混合物を移送することとを含む。
【0030】
これらの熱可塑性樹脂混合物は、封止剤、接着剤中に、繊維材料として、プラスチック添加物として、例えば、衝撃変性剤又は難燃剤として、消泡製剤用材料として、高性能ポリマー(熱可塑性樹脂、熱可塑性エラストマー、エラストマー)として、電子部品用梱包材料として、断熱材又は遮蔽材中に、ケーブルの被覆中に、防汚剤中に、研磨製品、洗浄製品、又は艶出し製品用添加物として、ボディケア組成物用添加物として、木、紙、及び板用コーティング材料として、金型離型剤として、コンタクトレンズなど医療用生体適合性材料として、紡織繊維又は織物用コーティング材料として、皮及び毛皮など天然物質用コーティング材料として、例えば、膜用材料として、及び光能動的システム用材料として、例えば、リソグラフ技術用、光学式データ保護用、又は光学式データ伝送用など、多くの用途での利用が考えられる。
【0031】
定義
用語「含む」及びこの変形は、これらの用語が現れる説明及び請求項を制限する意図を持たない。
【0032】
「好ましい」及び「好ましくは」という語は、特定の状況下で特定の利点をもたらし得る本発明の実施形態を指す。しかしながら、同様の又は他の環境において、他の実施形態も好まれる可能性がある。更に、1つ以上の好ましい実施形態の詳細説明は、他の実施形態が有用でないことを示すものではなく、本発明の範囲内から他の実施形態を排除することを意図するものではない。
【0033】
用語「a」、「an」、及び「the」は、「少なくとも1つの」と同じ意味で用いられ、記載された要素の1以上を意味する。
【0034】
本明細書で使用する時、用語「又は」は、その内容に別段の明確な指示がなされていない場合は、一般に「及び/又は」を含む意味で用いられている。
【0035】
用語「及び/又は」は、列記されている要素の1つ若しくは全て、又は列記されている要素の2つ以上の組み合わせを意味する。
【0036】
用語「アルケニル」とは、少なくとも1つの炭素―炭素二重結合を備えた炭化水素であるアルケンのラジカルである1価の基を意味する。アルケニルは、直鎖、分岐鎖、環状、又はそれらの組合せであることができ、かつ、通常、2〜20個の炭素原子を含有する。幾つかの実施形態では、アルケニルは、2〜18個、2〜12個、2〜10個、4〜10個、4〜8個、2〜8個、2〜6個、又は2〜4個の炭素原子を含有する。例示のアルケニル基としては、エテニル、n−プロペニル、及びn−ブテニルが挙げられる。
【0037】
用語「アルキル」は、アルカンのラジカルである一価の基を意味し、そしてそれは、飽和炭化水素である。アルキルは、直鎖、分岐鎖、環状、又はそれらの組合せであることができ、かつ、通常、1〜20個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態では、アルキル基は、1〜18個、1〜12個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を含有する。アルキル基の例としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソプロピル、n−ブチル、イソブチル、第三ブチル、n−ペンチル、n−ヘキシル、シクロヘキシル、n−ヘプチル、n−オクチル、及びエチルヘキシルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0038】
用語「アルキレン」とは、アルカンのラジカルである二価の基を意味する。アルキレンは、直鎖、分岐鎖、環状、又はそれらの組み合わせであることができる。アルキレンは多くの場合、1〜20個の炭素原子を有する。幾つかの実施形態では、アルキレンは、1〜18個、1〜12個、1〜10個、1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を含有する。アルキレンのラジカル中心は、同一炭素原子上に(即ち、アルキリデン)又は異なる炭素原子上にあることができる。
【0039】
用語「アルコキシ」とは、化学式−ORの一価の基を意味し、式中、Rはアルキル基である。
【0040】
用語「アルコキシカルボニル」とは、式−(CO)ORの1価の基を意味し、式中、Rはアルキル基であり、かつ(CO)は、炭素が二重結合にて酸素に結合しているカルボニル基を意味する。
【0041】
用語「アラルキル」とは、式−R−Ar(式中、Rはアルキレンであり、かつArはアリール基である)の1価の基を意味する。即ち、アラルキルは、アリールで置換されたアルキルである。
【0042】
用語「アラルキレン」とは、式−R−Ar−(式中、Rはアルキレンであり、かつArはアリーレン(即ち、アルキレンがアリーレンに結合している))の2価の基を意味する。
【0043】
用語「アリール」とは、芳香族かつ炭素環式である一価の基を意味する。アリールは、芳香環に結合又は縮合した1〜5個の環を有することができる。その他の環状構造は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組み合わせであることができる。アリール基の例としては、フェニル、ビフェニル、テルフェニル、アンスリル、ナフチル、アセナフチル、アントラキノニル、フェナンスリル、アントラセニル、ピレニル、ペリレニル、及びフルオレニルが挙げられるが、これらに限定されない。
【0044】
用語「アリーレン」とは、炭素環式かつ芳香族である二価の基を意味する。基は、結合し、縮合し、又はこれらが組み合わせられた1〜5個の環を有する。その他の環は、芳香族、非芳香族、又はこれらの組み合わせであることができる。幾つかの実施形態では、アリーレン基は、5個までの環、4個までの環、3個までの環、2個までの環、又は1個の芳香環を有する。例えば、アリーレン基は、フェニレンであることができる。
【0045】
用語「アリールオキシ」とは、式−OArの一価の基(式中、Arはアリール基である)を意味する。
【0046】
用語「カルボニル」とは、式−(CO)−の2価の基を意味し、式中、炭素原子は二重結合を備えた酸素原子に結合している。
【0047】
用語「ハロ」とは、フルオロ、クロロ、ブロモ、又はヨードを意味する。
【0048】
用語「ハロアルキル」とは、ハロにより置き換えられた少なくとも1つの水素原子を有するアルキルを意味する。幾つかのハロアルキル基は、フルオロアルキル基、クロロアルキル基、又はブロモアルキル基である。
【0049】
用語「ヘテロアルキレン」とは、チオ、オキシ、又は−NR−(式中、Rはアルキルである)によって結合された、少なくとも2個のアルキレン基を包含する二価の基を意味する。ヘテロアルキレンは、直鎖、分岐鎖、環状、又はそれらの組み合わせであることができ、かつ60個までの炭素原子及び15個までのヘテロ原子を含むことができる。幾つかの実施形態では、ヘテロアルキレンは、50個までの炭素原子、40個までの炭素原子、30個までの炭素原子、20個までの炭素原子、又は10個までの炭素原子を含む。幾つかのヘテロアルキレン類は、ポリアルキレンオキシド類であり、ここでへテロ原子は酸素である。
【0050】
用語「オキサリル」とは、式−(CO)−(CO)−の二価の基(式中、各(CO)はカルボニル基を意味する)を意味する。
【0051】
用語「オキサリルアミノ」及び「アミノオキサリル」は、同じ意味で用いられ、式−(CO)−(CO)−NH−の二価の基(式中、各(CO)はカルボニルを意味する)を意味する。
【0052】
用語「アミノオキサリルアミノ」とは、−NH−(CO)−(CO)−NR−(式中、各(CO)はカルボニル基を意味し、かつRは水素、アルキル、又は複素環基の一部であり、それが結合している窒素を含む)の2価の基を意味する。ほとんどの実施形態では、Rは水素又はアルキルである。多くの実施形態では、Rは水素である。
【0053】
用語「ポリマー」及び「ポリマー材料」とは、1種のモノマーから調製した物質、例えばホモポリマー又は、2種若しくはそれ以上のモノマーから調製した物質、例えば共重合体、ターポリマーなど、の両方を意味する。同様に、用語「重合させる」とは、ホモポリマー、コポリマー、ターポリマー等であり得る高分子物質の製造方法を意味する。用語「共重合体」及び「共重合材料」とは、少なくとも2種類のモノマーから調製したポリマー材料を意味する。
【0054】
用語「ポリジオルガノシロキサン」とは、次式を持つ2価のセグメントを意味し、
【0055】
【化3】

【0056】
式中、各Rは、独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、又はハロで置換されたアリールであり;各Yは、独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組み合わせであり;かつ、添字nは、独立して40〜1500の0整数である。
【0057】
用語「室温」及び「周囲温度」は、同じ意味で用いられ、20℃〜25℃の範囲の温度を意味する。
【0058】
指示がない限り、明細書及び請求項に使用される外観の寸法、量、物理的特性を表す全ての数字は、用語「約」によって全ての事例において修飾されると理解されたい。したがって、指示がない限り、本明細書の数字は、本明細書で開示される教示を使用する所望の特性によって変化し得る近似値である。
【0059】
本発明の上述の「課題を解決するための手段」は、本発明の開示される各実施形態又は全ての実施を記載することを目的としていない。以下の説明により、例示的な実施形態をより具体的に例示する。明細書全体にわたって幾つかの箇所で、実施例の一覧を通して説明を提供するが、実施例は各種組み合わせにて使用することが可能である。いずれの場合にも、記載した一覧は、代表的な群としてのみ役立つものであり、排他的な一覧として解釈されるべきではない。
【発明を実施するための形態】
【0060】
ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー及び有機ポリマーを含有する混合物、かかる混合物の製造方法、かかる混合物を含む組成物、及びこれらの使用が提供される。ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマーは、ホットメルト加工が可能な熱可塑性ポリマー(エラストマーでも非エラストマーでもよい)、ホットメルト加工が可能なエラストマー熱硬化性ポリマー、シリコーンポリマー、又はこれらの混合物を含む、様々な有機ポリマーと混合される。
【0061】
(AB)タイプのポリジオルガノシロキサンポリアミドコポリマーは、(a)一級又は二級アミノ基を有するジアミンの、(b)少なくとも1個のポリジオルガノシロキサンセグメント及び少なくとも2個のジカルボキサミドエステル基(好ましくは、オキサリルアミドエステル基)を有する前駆体との縮合反応生成物である。共重合体類は、低いガラス転移温度、熱的安定性及び酸化安定性、紫外線への抵抗力、低表面エネルギー及び低疎水性、数多くのガスに対する高透過性などのポリシロキサン類の望ましい特徴の多くを有する。更に、共重合体類は、ポリシロキサン類と比較して、改善された機械的強さ及びゴム状弾性を有することができる。共重合体類の少なくとも幾つかは、視覚的に透明であるか、低屈折率を有するか、又はその両方である。その結果、少なくとも幾つかのポリマー混合物は、類似する特性を有する。
【0062】
ポリマー混合物は、ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー及び有機ポリマーの両方がホットメルト処理できる、即ち、加熱処理により流動性を有する溶融状態にできる、ホットメルト加工が可能な混合物であることができる。ホットメルト処理は特定の実施形態に対しては好ましいが、これらの成分(ホットメルト加工が可能であっても)は溶媒を用いて混合できるため、必須ではない。
【0063】
あるポリマー混合物、又は混合物を含有する組成物中における、これら成分の相対量は、求められる特定のレオロジー的特性及び機械的特性、並びに、個々の成分自体(例えば、有機ポリマーの分子量、ポリジオルガノシロキサンポリアミドコポリマーの重合度)によって決まる。しかし一般には、好ましい組成物は、少なくとも0.1重量パーセント(重量%)の有機ポリマー、かつ99.9重量%以下の当該ポリマーを含有する。
【0064】
有機ポリマー成分
有機ポリマー成分は、本明細書に記載されるポリジオルガノシロキサン化合物(例えば、式I−a及びI−bのもの)を除く、ホットメルト加工が可能な熱可塑性ポリマー(エラストマーでも非エラストマーでもよい)、ホットメルト加工が可能なエラストマー熱硬化性ポリマー、シリコーンポリマー、又はこれらの混合物である。「ホットメルト加工が可能」とは、式I−a及びI−bのポリジオルガノシロキサン化合物が溶融かつ流動する温度において、ポリマーが溶融かつ流動することを意味する。シリコーンポリマーは、典型的には、室温において極めて低いTg値を持つ流体ポリマーであり、加熱の必要がなく室温以上で流動するため、それ自体は「ホットメルト加工性」ではない。
【0065】
有機ポリマーは、ポリジオルガノシロキサンポリアミドセグメント化コポリマーと混合される、溶媒又は溶融物であってもよい。有機ポリマーは、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分、又は、ポリジオルガノシロキサンセグメントを含有しないポリマーであってもよいが、式I−a又はI−bのポリジオルガノシロキサンポリアミド化合物ではない。
【0066】
使用温度において、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分と有機ポリマーの一般的非混和性により、混合物は通常、一方は非連続的で他方は連続的である少なくとも2つのドメインを有する。もちろん、混合物は、2種以上のポリジオルガノシロキサンポリアミド化合物及び2種以上の有機ポリマーを含有してもよい。
【0067】
熱可塑性樹脂材料は、一般的に、ガラス転移点を超えて十分に加熱されると流動し、冷却されると固体になる材料である。これらはエラストマー特性を有していてもよい。
【0068】
かかる混合物は、有機ポリマーとして粘着付与樹脂を含まず、有機ポリマー繊維状のナイロンを含まないが、別の形状のナイロンは使用できる。更に、かかる混合物は、2層間の中間面に存在しない。
【0069】
概して非エラストマーと考えられる本発明に有用な熱可塑性樹脂材料として、例えば、アイソタクチックポリプロピレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、超低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、ポリブチレンなどのポリオレフィン、エチレン/プロピレンコポリマー及びそのブレンドなどの非エラストマーポリオレフィンコポリマー又はターポリマー、エチレンビニルアセテートコポリマー(例えば、デュポン・ケミカル社(DuPont Chemical Co.)からエルバックス(ELVAX)260の商品名で入手可能なもの)、エチレンアクリル酸コポリマー、エチレンメタクリル酸コポリマー(例えば、デュポン・ケミカル社(DuPont Chemical Co.)からサーリン(SURLYN)1702の商品名で入手可能なもの)、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、エチレンビニルアルコール、ポリエステル、非晶質ポリエステル、ポリアミド、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレン、フッ素化エチレン/プロピレンコポリマー、及びフッ素化エチレン/プロピレンコポリマーなどのフッ素化熱可塑性樹脂、塩素化ポリエチレンなどのハロゲン化熱可塑性樹脂が挙げられる。任意の単一の熱可塑性樹脂材料を、少なくとも1種のポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分と混合することができる。あるいは、熱可塑性樹脂材料の混合物を用いてもよい。
【0070】
エラストマー特性を有する熱可塑性樹脂材料は、一般に熱可塑性エラストマー材料と呼ばれる。熱可塑性エラストマー材料は、共有結合的に架橋されたように作用し、軟化点以上に加熱するとき、高弾性かつ低クリープ、更に流動性を示す材料であると、一般的に定義される。本発明で有用な熱可塑性エラストマー材料としては、例えば、テキサス州ヒューストン(Houston)のシェル・ケミカル社(Shell Chemical Co.)からクラトン(KRATON)D1107Pの商品名で市販されるもの、及びテキサス州ヒューストン(Houston)のエニケム・エラストマーズ・アメリカズ社(EniChem Elastomers Americas, Inc.)からユーロプレン・ゾル(EUROPRENE SOL)TE9110の商品名で市販されるものなどの、線状、放射状、星状、及びテーパー形状のスチレン−イソプレンブロックコポリマー、シェル・ケミカル社(Shell Chemical Co.)からクラトン(KRATON)G1657の商品名で市販されるものなどの、線状スチレン−(エチレン−ブチレン)ブロックコポリマー、シェル・ケミカル社(Shell Chemical Co.)からクラトン(KRATON)G1657Xの商品名で市販されるものなどの、線状スチレン−(エチレン−プロピレン)ブロックコポリマー、シェル・ケミカル社(Shell Chemical Co.)からクラトン(KRATON)D1118Xの商品名で市販されるもの、及びエニケム・エラストマーズ・アメリカズ社(EniChem Elastomers Americas, Inc.)からユーロプレン・ゾル(EUROPRENE SOL)TE6205の商品名で市販されるものなどの、線状、放射状、及び星状のスチレン−ブタジエンブロックコポリマー、デュポン(DuPont)からハイトレル(HYTREL)G3548の商品名で市販されるものなどの、ポリエーテルエステル、エラストマーエチレン−プロピレンコポリマー、イリノイ州シカゴ(Chicago)のモートン・インターナショナル社(Morton International, Inc.)からモータン・ウレタン(MORTHANE URETHENE)PE44−203の商品名で市販されるものなどの、熱可塑性エラストマーポリウレタン、例えば、アクリル酸イソオクチルなどの他のコモノマーと、0〜20重量パーセントのアクリル酸を含有することができる、C〜C12のアルキルエステルを含む自己粘着性又は粘着付与ポリアクリレート、ポリビニルエーテル、ポリ−α−オレフィン系熱可塑性エラストマー材料、例えば、式−(CHCHR)(式中、Rは、2〜10個の炭素原子を含むアルキル基である)で表されるもの、及び、メタロセン触媒反応に基づくポリ−α−オレフィン、例えば、ミシガン州ミッドランド(Midland)のダウ・プラスチックス社(Dow Plastics Co.)からエンゲージ(ENGAGE)EG8200の商品名のエチレン/ポリ−α−オレフィンコポリマーとして市販されるもの、並びに、ドイツのワッカー・ケミー社(Wacker Chemie AG)からジェニオマー(GENIOMER)の商品名で市販されるポリジオルガノシロキサンポリ尿素−ウレタンが挙げられる。
【0071】
熱硬化性エラストマー(即ち、エラストマー熱硬化性樹脂)は、熱の影響を受けて、共有結合的に架橋された熱的に安定なネットワークの生成により、可融性かつ可溶性材料から不融性かつ不溶性のものへ、不可逆的に変化する材料である。本発明で有用な熱硬化性エラストマーとしては、例えば、オハイオ州アクロン(Akron)、OHのグッドイヤー・ケミカル(Goodyear Chemical)から市販される粘度調節等級のCV−60、及びリブド・スモークド・シートゴムであるSMR−5などの天然ゴム、エクソン・ケミカル社(Exxon Chemical Co.)から市販されるエクソン・ブチル(Exxon Butyl)268などのブチルゴム、オランダのロイヤル・ダッチ・シェル(Royal Dutch Shell)からカリフレックス(CARIFLEX)IR309の商品名で市販されるもの、及び、グッドイヤー・タイヤ・アンド・ラバー社(Goodyear Tire and Rubber Co.)からナットシン(NATSYN)2210の商品名で市販されるものなどの合成ポリイソプレン、オハイオ州アクロン(Akron)、OHのBFグッドリッチ(BF Goodrich)からアメリポール(AMERIPOL)1011Aの商品名で市販されるものなどのスチレン−ブタジエンランダムコポリマーゴム、ポリブタジエン、エクソン・ケミカル社(Exxon Chemical Co.)からビスタネクス(VISTANEX)MML−80の商品名で市販されるものなどのポリイソブチレン、例えば、米国特許第2,532,011号に開示されるポリオクタデシルカルバメートなどのポリウレタン、非晶質ポリ−α−オレフィン(例えば、C〜C10の直鎖又は分枝鎖ポリ−α−オレフィン)、同第5,214,119号に開示されるものなどのポリジオルガノシロキサンポリ尿素含有成分が挙げられる。
【0072】
好適なシリコーンポリマーは、典型的には流体であり、硬化性(ヒドロキシル基又はエチレン性不飽和基、例えば、アクリレート基などの好適な官能基を組み込むことによる)であってもよく、又は実質的に非硬化性であってもよい。好適なシリコーン流体の例は、例えば、国際公開第97/40103号、米国特許第6,441,118号、同第5,091,483号、及び米国特許出願公開第2005/0136266号に記載されている。特に好ましいシリコーンポリマーは、ヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンなどの水分硬化性シリコーン流体、又は、ローディア・シリコーンズ(Rhodia Silicones)から47V1000ロドルシル(RHODORSIL)の商品名で市販されるものなどの非反応性シリコーン流体である。既知のシリコーン封止剤及び接着剤組成物中で通常使用される任意のヒドロキシル末端ポリジオルガノシロキサンは、本発明の組成物中で使用してもよい。好適な市販のシリコーン流体の例として、ルーブリゾール社(Lubruzol Corp.)(オハイオ州)及びワッカー・ケミー(Wacker Chemie AG)(ドイツ)からマーシル(MASIL)の商品名で市販されるものが挙げられる。
【0073】
ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分
本発明の混合物中で有用な線状ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマーは、式I−aの少なくとも2個の繰り返し単位を含む。
【0074】
【化4】

【0075】
この式(I−a)中、各Rは、互いに独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールである。各Yは、独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組合せである。添字nは、互いに独立して0〜1500の整数であり、添字pは、1〜10の整数である。基Gは、式RHN−G−NHRのジアミンから、2個の−NHR基(即ち、アミノ基)を差し引いたものに等しい残基単位である二価の基であり、式中、Rは、水素、アルキルであるか、Gとともにそれらが結合した窒素と一緒になるとき複素環基を生成する。各基Bは、独立して共有結合、4〜20個の炭素から成るアルキレン、アラルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせである。各基Bが共有結合のとき、式I−aのポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマーは、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーと呼ばれ、好ましくは以下に示す式I−bである。各アスタリスク()は、繰り返し単位が別の基、例えば別の式Iの繰り返し単位などへ結合する部位を示す。
【0076】
本発明の混合物中で有用な、好ましい線状ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマーは、式I−bの少なくとも2個の繰り返し単位を含む。
【0077】
【化5】

【0078】
この式I−b中、各Rは、互いに独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールである。各Yは、独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組合せである。添字nは、互いに独立した0〜1500の整数であり、添字pは、1〜10の整数である。基Gは、式RHN−G−NHRのジアミンから、2個の−NHR基を差し引いたものに等しい残基単位である二価の基である。基Rは、水素若しくはアルキル(例えば、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル)であるか、又はRはGと共にそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基(例えば、RHN−G−NHRはピペラジン等)を生成する。各アスタリスク()は、繰り返し単位がコポリマー内の別の基、例えば別の式I−bの繰り返し単位などへ結合する部位を示す。
【0079】
式I(I−a又はI−b)中のRとして好適なアルキル基は、典型的には1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。例示のアルキル基としては、メチル、エチル、イソプロピル、n−プロピル、n−ブチル、及びイソ−ブチルが挙げられるが、これらに限定されない。Rのための好適なハロアルキル基は、多くの場合、ハロゲンで置換された対応するアルキル基の水素原子の一部を有するに過ぎない。例示のハロアルキル基としては、1〜3個のハロ原子及び3〜10個の炭素原子を備えたクロロアルキル及びフルオロアルキル基が挙げられる。Rのための好適なアルケニル基は、2〜10個の炭素原子を有する。例示のアルケニル基は、多くの場合、2〜8個、2〜6個、又は2〜4個の炭素原子、例えばエテニル、n−プロペニル、及びn−ブテニルを有する。Rのための好適なアリール基は、2〜10個の炭素原子を有する。フェニルは、例示的アリール基である。アリール基は、アルキル(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル)、アルコキシ(例えば、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ)、又はハロ(例えば、クロロ、ブロモ、又はフルオロ)によって非置換であるか又は置換されることができる。Rのための好適なアラルキル基は、通常、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基及び6〜12個の炭素原子を有するアリール基を有する。幾つかの例示的アラルキル基においては、アリール基はフェニルであり、かつアルキレン基は、1〜10個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子(即ち、アラルキルの構造は、アルキレン−フェニルであり、ここでアルキレンがフェニル基に結合されている)を有する。
【0080】
幾つかの実施形態において、式I(I−a又はI−b)中の幾つかの繰り返し単位中、R基の少なくとも40パーセント、及び好ましくは少なくとも50パーセントは、フェニル、メチル、又はこれらの組み合わせである。例えば、R基の少なくとも60パーセント、少なくとも70パーセント、少なくとも80パーセント、少なくとも90パーセント、少なくとも95パーセント、少なくとも98パーセント、又は少なくとも99パーセントは、フェニル、メチル、又はこれらの組み合わせであることができる。幾つかの実施形態において、式I(I−a又はI−b)の幾つかの繰り返し単位中、R基の少なくとも40パーセント、及び好ましくは少なくとも50パーセントは、メチルである。例えば、R基の少なくとも60%、少なくとも70%、少なくとも80%、少なくとも90%、少なくとも95%、少なくとも98%、又は少なくとも99%は、メチルであることができる。残りのR基は、少なくとも2つの炭素原子を有するアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールから選択されることができる。
【0081】
式I(I−a又はI−b)中の各Yは、独立してアルキレン、アラルキレン、又はこれらの組合せである。好適なアルキレン基は通常、10個以下の炭素原子、8個以下の炭素原子、6個以下の炭素原子、又は4個以下の炭素原子を有する。例示的アルキレン基としては、メチレン、エチレン、プロピレン、ブチレン、などが挙げられる。好適なアラルキレン基は通常、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基に結合された、6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基を有する。幾つかの例示的アラルキレン基においては、アリーレン部分はフェニレンである。即ち、2価アラルキレン基は、フェニレン−アルキレンであり、ここで、フェニレンが、1〜10個、1〜8個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキレンに結合している。本明細書で使用する時、基Yに関して、「これらの組み合わせ」とは、アルキレン基及びアラルキレン基から選択される2つ又はそれ以上の基の組み合わせを意味する。例えば、組み合わせは、単一のアルキレンに結合した単一のアラルキレン(例えば、アルキレン−アリーレン−アルキレン)であることができる。1つの例示的なアルキレン−アリーレン−アルキレンの組み合わせにおいては、アリーレンはフェニレンであり、かつ各アルキレンは、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。
【0082】
式I(I−a又はI−b)の各添字nは、独立した、0〜1500の整数である。例えば、添字nは、1000以下、500以下、400以下、300以下、200以下、100以下、80以下、60以下、40以下、20以下、又は10以下の整数であることができる。nの値は、多くの場合、少なくとも1、少なくとも2、少なくとも3、少なくとも5、少なくとも10、少なくとも20、又は少なくとも40である。例えば、添字nは、40〜1500、0〜1000、40〜1000、0〜500、1〜500、40〜500、1〜400、1〜300、1〜200、1〜100、1〜80、1〜40、又は1〜20の範囲内であることができる。
【0083】
添字pは、1〜10の整数である。例えば、pの値は、多くの場合、9以下、8以下、7以下、6以下、5以下、4以下、3以下、又は2以下の整数である。pの値は、1〜8、1〜6、又は1〜4の範囲内であることができる。
【0084】
式I(I−a又はI−b)中の基Gは、式RHN−G−NHRのジアミン化合物から2個のアミノ基(即ち、−NHR基)を差し引いたものに等しい残基単位である。ジアミンは、一級又は二級アミノ基を有することができる。基Rは、水素若しくはアルキル(例えば、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル)であるか、又はRはGとともにそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基(例えば、RHN−G−NHRはピペラジン)を生成する。ほとんどの実施形態では、Rは水素又はアルキルである。多くの実施形態では、ジアミンの両方のアミノ基は、一級アミノ基であり(即ち、両方のR基が水素である)、かつジアミンが、式HN−G−NHを持つ。
【0085】
幾つかの実施形態では、Gは、アルキレン、ヘテロアルキレン、ポリジオルガノシロキサン、アリーレン、アラルキレン、又はこれらの組み合わせである。好適なアルキレン類は、多くの場合、2〜10個、2〜6個、又は2〜4個の炭素原子を有する。例示的アルキレン基としては、エチレン、プロピレン、ブチレン、などが挙げられる。好適なヘテロアルキレン類は、多くの場合、少なくとも2つのエチレン単位を有するポリオキシエチレン、少なくとも2つのプロピレン単位を有するポリオキシプロピレン、又はこれらのコポリマー類などのポリオキシアルキレン類である。好適なポリジオルガノシロキサン類としては、式IIIのポリジオルガノシロキサンジアミン類(後述)から2つのアミノ基を差し引いたものが挙げられる。例示的ポリジオルガノシロキサン類としては、アルキレンY基を備えたポリジメチルシロキサン類が挙げられるが、これらに限定されない。好適なアラルキレン基は通常、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン基に結合された、6〜12個の炭素原子を有するアリーレン基を含有する。幾つかの例示的アラルキレン基は、フェニレン−アルキレンであり、ここで、フェニレンが、1〜10個の炭素原子、1〜8個の炭素原子、1〜6個の炭素原子、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキレンに結合されている。本明細書で使用する時、基Gに関して、「これらの組合せ」とは、アルキレン、ヘテロアルキレン、ポリジオルガノシロキサン、アリーレン、及びアラルキレンから選択される2個又はそれ以上の基の組合せを意味する。例えば、組合せは、アルキレンに結合したアラルキレン(例えば、アルキレン−アリーレン−アルキレン)であることができる。1つの例示的なアルキレン−アリーレン−アルキレンの組み合わせにおいては、アリーレンはフェニレンであり、かつ各アルキレンは、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。
【0086】
好ましい実施形態では、ポリジオルガノシロキサンポリアミドは、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドである。ポリジオルガノシロキサンポリアミドは、式−R−(CO)−NH−(式中、Rはアルキレンである)を有する基を含まない傾向がある。コポリマー材料の主鎖に沿った全てのカルボニルアミノ基は、オキサリルアミノ基(即ち、−(CO)−(CO)−NH−基)の一部である。即ち、共重合材料の主鎖に沿った任意のカルボニル基は、別のカルボニル基に結合しており、かつオキサリル基の一部である。更に具体的には、ポリジオルガノシロキサンポリアミドは、複数のアミノオキサリルアミノ基を有する。
【0087】
ポリジオルガノシロキサンポリアミドは、線状のブロックコポリマーであり、かつエラストマー材料であることができる。脆性固体又は硬質プラスチックとして一般に処方される、周知のポリジオルガノシロキサンポリアミド類の多くとは異なり、ポリジオルガノシロキサンポリアミド類は、コポリマーの重量に基づいて、50重量%超のポリジオルガノシロキサンセグメントを含むように処方することができる。ジオルガノシロキサンのポリジオルガノシロキサンポリアミド類中での重量%は、より高分子量のポリジオルガノシロキサンセグメントを使用することによって増大させることができ、60重量%超、70重量%超、80重量%超、90重量%超、95重量%超、又は98重量%超のポリジオルガノシロキサンポリアミド類中のポリジオルガノシロキサンセグメントを提供することができる。より多量のポリジオルガノシロキサンを使用して、妥当な強度を維持しつつ、より低弾性率のエラストマー材料を調製することができる。
【0088】
ポリジオルガノシロキサンポリアミド類の幾つかは、当該材料を顕著に分解させること無しに、200℃以下、225℃以下、250℃以下、275℃以下、又は300℃以下の温度まで加熱することができる。例えば、空気の存在下で、熱重量分析器内で加熱した際に、コポリマー類は、多くの場合、毎分50℃の速度にて、20℃〜350℃の範囲内で走査した際に、10%未満の重量喪失を持つ。更に、コポリマー類は、多くの場合、例えば250℃の温度にて1時間空気中で加熱することができ、冷却時の機械的強度の喪失が検出できないことよって同定されるように明確な分解をすることが無い。
【0089】
式I(I−a又はI−b)のコポリマー材料の特定の実施形態は、視覚的に透明であることができる。本明細書で使用する時、用語「視覚的に透明」とは、人間の目に透明に見える材料を意味する。視覚的に透明なコポリマー材料は、多くの場合、少なくとも90%の視感透過率、2%未満の曇価、及び400nm〜700nmの波長帯での約1%未満の不透明度を有する。視感透過率及び曇度の両方は、例えば、ASTM−D 1003−95の方法を使用して決定することができる。
【0090】
更に、式I(I−a又はI−b)のコポリマー材料の特定の実施形態は、低屈折率を有することができる。本明細書で使用する時、用語「屈折率」とは、材料(例えば、コポリマー材料)の絶対屈折率を意味し、かつ自由空間内での電磁放射線速度対対象材料中での電磁放射線速度の比である。電磁放射線は、白色光である。屈折率は、例えばフィッシャーインストルメンツ(Fischer Instruments)(ペンシルベニア州ピッツバーグ)から市販品として入手可能なアッベの屈折計を使用して測定する。屈折率測定は、ある程度、使用する特定の屈折計に依存する場合がある。コポリマー材料は、通常、1.41〜1.50の範囲内の屈折率を有することができる。
【0091】
ポリジオルガノシロキサンポリアミド類は、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサンなどのアルカン類)又はこれらの混合物などの多くの一般的有機溶媒に可溶性である。
【0092】
任意の添加物
機能性成分、粘着付与剤、可塑剤、及びその他特性変性剤が、有機ポリマー、ポリジオルガノシロキサンポリアミドセグメント化有機ポリマー、又は本発明の混合物の成分の両方に組み込まれてもよい。好ましい任意の添加物は、ホットメルト加工性ではない。つまり、それらは、ホットメルト加工が可能な有機ポリマー及びポリジオルガノシロキサンポリアミドセグメント化有機ポリマーが溶融かつ流動する温度において、溶融かつ流動しない。
【0093】
機能性成分としては、例えば、帯電防止添加物、紫外線吸収剤(UVA)、ヒンダードアミン光安定剤(HALS)、染料、着色剤、色素、酸化防止剤、スリップ剤、低粘着性材料、導電性材料、耐摩耗性材料、光学素子、形状安定剤、接着剤、粘着付与剤、難燃剤、燐光材料、蛍光材料、ナノ粒子、落書き防止剤、結露防止剤、耐荷重剤、シリケート樹脂、ヒュームドシリカ、ガラス玉、ガラス球、ガラス繊維、鉱物繊維、粘土粒子、有機繊維、例えばナイロン、ケブラー、金属粒子などが挙げられる。このような任意の添加物は、有機ポリマー及びポリジオルガノシロキサンポリアミドセグメント化ポリマー成分の合計100重量部に対して100重量部以下の量で添加することができ、組み込まれる場合、このような添加物は、最終ポリマー製品の機能及び機能性に不利益ではない。その他の添加物、例えば、光拡散材料、光吸収材料及び蛍光増白剤、難燃剤、安定剤、酸化防止剤、相溶剤、酸化亜鉛などの抗菌剤、導電体、有機及び/若しくは無機粒子を含む、酸化アルミニウム、窒化ホウ素、窒化アルミニウム、並びにニッケル粒子などの熱導体、又はこれらのうちの任意の数の組み合わせをこれらのシステムにブレンドできる。上記に掲載された機能性成分はまた、ポリジオルガノシロキサンポリアミドブロックコポリマー中へ組み込まれてもよいが、このような組み込みが、得られるいかなる製品にも望ましくない程度にまで悪影響を与えないことが前提である。
【0094】
ポリマー材料に有用な粘着付与材料又は可塑剤は、好ましくは、分子レベルで相溶性がある、例えば、エラストマー材料又は熱可塑性エラストマー材料の任意の又は全てのポリマーセグメントに可溶性である。これらの粘着付与材料又は可塑剤は、一般に、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分に不混和性である。粘着付与材料が存在するとき、100重量部のポリマー材料に基づいて、一般には5〜300重量部で、より典型的には200重量部以下で含まれる。
【0095】
本発明に好適な粘着付与剤の例として、液体ゴム、炭化水素樹脂、ロジン、二量化又は水素添加バルサム及びエステル化アビエチン酸等の天然樹脂、ポリテルペン、テルペンフェノール樹脂、フェノール−ホルムアルデヒド樹脂、及びロジンエステルが挙げられるが、それらに限定されない。可塑剤の例として、ポリブテン、パラフィン系油、ワセリン、及びジトリデシルフタレートなどの長脂肪族側鎖を有する特定のフタレートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0096】
その他好適な粘着付与剤として、シリケート粘着付与樹脂が挙げられる。好適なシリケート粘着付与樹脂としては、次の構造単位、M(即ち、1価のR3SiO1/2単位)、D(即ち、2価のR2SiO2/2単位)、T(即ち、3価のRSiO3/2単位)、及びQ(即ち、四価のSiO4/2単位)、並びにこれらの組み合わせで構成されている樹脂ようなものが挙げられる。典型的な例示的シリケート樹脂類としては、MQシリケート粘着付与樹脂、MQDシリケート粘着付与樹脂、及びMQTシリケート粘着付与樹脂が挙げられる。これらのシリケート粘着付与樹脂は通常、100〜50,000の範囲の又は500〜15,000の範囲の数平均分子量を有し、かつ一般に、メチルR基を有する。
【0097】
MQシリケート粘着付与樹脂は、R3SiO1/2単位(「M」単位)及びSiO4/2単位(「Q」単位)を有するコポリマー樹脂であり、式中、M単位がQ単位に結合され、その各々が少なくとも1つのその他のQ単位に結合されている。SiO4/2単位(「Q」単位)の幾つかは、ヒドロキシルラジカル類に結合して、HOSiO3/2単位(「TOH」単位)をもたらし、したがって、シリケート粘着付与樹脂のシリコン結合ヒドロキシル含量を説明でき、かつ、幾つかはその他のSiO4/2単位にのみ結合されていることを説明できる。
【0098】
このような樹脂類は、例えば、「ポリマーサイエンス・エンジニアリング百科事典(Encyclopedia of Polymer Science and Engineering)」(第15巻、ジョン・ワイリー・アンド・サンズ社(John Wiley & Sons,Inc.)、ニューヨーク、1989年、265〜270頁)、並びに米国特許第2,676,182号(ダウト(Daudt)ら)、同第3,627,851号(ブラディ(Brady))、同第3,772,247号(フラニガン(Flannigan))、及び同第5,248,739号(シュミット(Schmidt)ら)に記載されている。その他の例は、米国特許第5,082,706号(タングニィ(Tangney))に記載されている。上述の樹脂は、一般に、溶媒中で調製される。乾燥させた又は無溶媒の、Mシリコーン粘着力強化樹脂は、米国特許第5,319,040号(ヴェングロヴィウス(Wengrovius)ら)、同第5,302,685号(ツムラ(Tsumura)ら)、及び同第4,935,484号(ウォルフグルーバー(Wolfgruber)ら)に記載されている様にして調製可能である。
【0099】
ある種のMQシリケート粘着付与樹脂は、米国特許第2,676,182号(ダウト(Daudt)ら)に記載され、同第3,627,851号(ブラディ(Brady))、及び同第3,772,247号(フラニガン(Flannigan))に従って修正されている、シリカヒドロゾルキャッピングプロセスにより調製することができる。これらの修正方法は、多くの場合、ケイ酸ナトリウム溶液濃度、及び/又は、ケイ酸ナトリウム中のケイ酸−ナトリウム比、及び/又は、中和されたケイ酸ナトリウム溶液のキャッピング前の時間を、ダウト(Daudt)らにより開示されるものよりも一般的に低い値に制限することから構成される。中和されたシリカヒドロゾルは、多くの場合、2−プロパノールなどのアルコールで安定化されており、中和後できるだけ早くR3SiO1/2のシロキサン単位で末端保護される。シリコン結合ヒドロキシル基(即ち、シラノール)のMQ樹脂上の濃度は、シリケート粘着付与樹脂の重量に基づいて、1.5重量%以下、1.2重量%以下、1.0重量%以下、又は0.8重量%以下まで減らすことができる。これは、例えばヘキサメチルジシラザンをシリケート粘着付与樹脂と反応させることによって実現することができる。このような反応は、例えばトリフルオロ酢酸によって触媒されてもよい。あるいは、トリメチルクロロシラン又はトリメチルシリルアセトアミドをシリケート粘着付与樹脂と反応させてもよく、この場合、触媒は必要ではない。
【0100】
MQDシリコーン粘着付与樹脂は、米国特許第2,736,721号(デクスター(Dexter))にて教示されているように、R3SiO1/2単位(「M」単位)、SiO4/2単位(「Q」単位)、及びR2SiO2/2単位(「D」単位)、を有するターポリマーである。MQDシリコーン粘着付与樹脂においては、R2SiO2/2単位(「D」単位)のメチルR基の幾つかは、ビニル(CH2=CH−)基(「DVi」単位)によって置き換えることができる。
【0101】
MQTシリケート粘着付与樹脂は、米国特許第5,110,890号(バトラー(Butler))及び日本特許公開平2−36234号にて教示されているように、R3SiO1/2単位、SiO4/2単位及びRSiO3/2単位(「T」単位)を有するターポリマーである。
【0102】
好適なシリケート粘着付与樹脂は、ダウ・コーニング(ミシガン州ミッドランド)ゼネラル・エレクトリック・シリコーンズ(General Electric Silicones)(ニューヨーク州ウォーターフォード)及びローディア・シリコーンズ(Rhodia Silicones)(サウスカロライナ州ロックヒル)などの供給源から市販されている。特に有用なMQシリケート粘着付与樹脂の例としては、SR−545及びSR−1000の商標名にて入手可能なものが挙げられ、それらは両方とも、GEシリコーン(ニューヨーク州ウォーターフォード)から市販されている。このような樹脂類は、一般に、有機溶媒中にて供給され、かつそのままで本発明の接着剤の処方に用いてもよい。2つ又はそれ以上のシリケート樹脂類のブレンドが、接着剤組成物内に含まれることができる。
【0103】
ポリジオルガノシロキサンポリアミドコポリマーの製造方法
式I(I−a又はI−b)の繰り返し単位を有する線状ブロックコポリマーは、例えば、反応スキームAに示されるように調製できる。
【0104】
【化6】

【0105】
本反応スキームにおいて、式IIの前駆体は、2個の一級又は二級アミノ基、2個の二級アミノ基、又は1個の一級アミノ基及び1個の二級アミノ基を有するジアミンを含む反応条件下で混ぜ合わせる。ジアミンは、通常、式RHN−G−NHRである。ROHの副生成物は、典型的には得られたポリジオルガノシロキサンポリアミドから除去される。
【0106】
反応スキームA中のジアミン・RHN−G−NHRは、2つのアミノ基(即ち、−NHR3)を有する。−NHR)。基Rは、水素若しくはアルキル(例えば、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有するアルキル)であるか、又はRはGとともにそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基(例えば、ジアミンがピペラジン等である)を生成する。ほとんどの実施形態では、Rは水素又はアルキルである。多くの実施形態では、ジアミンは、2個の一級アミノ基を有し(即ち、各R基は水素である)、かつジアミンは、式HN−G−NHである。ジアミンの2個のアミノ基を除く部分は、式I(I−a又はI−b)の基Gとみなされる。
【0107】
ジアミン類は、場合により、有機ジアミン類又は例えば、アルキレンジアミン類、ヘテロアルキレンジアミン類、アリーレンジアミン類、アラルキレンジアミン類、若しくはアルキレン−アラルキレンジアミン類から選択されたようなものを包含する有機ジアミン類を備えたポリジオルガノシロキサンジアミン類として分類される。ジアミンは、得られたポリジオルガノシロキサンポリオキサミド類が、線状ブロックコポリマー類であり、それらが多くの場合、エラストマーであり、高温で溶融し、かつ、幾つかの一般的な有機溶媒に可溶性であるように、2個のアミノ基のみを有する。ジアミンは、3つ以上の一級又は二級アミノ基を有するポリアミンを有しない。式IIの前駆体と反応しない3級アミンが存在することができる。更に、ジアミンは、いかなるカルボニルアミノ基も有しない。即ち、ジアミンはアミドではない。
【0108】
例示的ポリオキシアルキレンジアミン類(即ち、Gは、へテロ原子が酸素であるヘテロアルキレンである)としては、ハンツマン社(Huntsman)(テキサス州ウッドランド(The Woodlands))から、ジェファミン(JEFFAMINE)D−230(即ち、230g/モルの平均分子量を有するポリオキシプロピレン(polyoxypropropylene)ジアミン)、ジェファミン(JEFFAMINE)D−400(即ち、400g/モルの平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミン)、ジェファミン(JEFFAMINE)D−2000(即ち、2,000g/モルの平均分子量を有するポリオキシプロピレンジアミン)、ジェファミン(JEFFAMINE)HK−511(即ち、オキシエチレン基とオキシプロピレン基の両方を備え、かつ220g/モルの平均分子量を有するポリエーテルジアミン)、ジェファミン(JEFFAMINE)ED−2003(即ち、ポリプロピレンオキシドでキャップした、2,000g/モルの平均分子量を有するポリエチレングリコール)、及びジェファミン(JEFFAMINE)EDR−148(即ち、トリエチレングリコールジアミン)の商品名で市販されているものが挙げられるが、これらに限定されない。
【0109】
例示的アルキレンジアミン類(即ち、Gはアルキレン)としては、エチレンジアミン、プロピレンジアミン、ブチレンジアミン、ヘキサメチレンジアミン、2−メチルペンタメチレン−1,5−ジアミン(即ち、デュポン社(デラウェア州ウィルミントン)からダイテック(DYTEK)Aの商標名で市販されている)、1,3−ペンタンジアミン(デュポン社からダイテック(DYTEK)EPの商標名で市販されている)、1,4−シクロヘキサンジアミン、1,2−シクロヘキサンジアミン(デュポン社からDHC−99の商標名で市販されている)、4,4’−ビス(アミノシクロヘキシル)メタン、及び3−アミノメチル−3,5,5−トリメチルシクロヘキシルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0110】
例示的アリーレンジアミン類(即ち、Gはフェニレンなどのアリーレン)としては、m−フェニレンジアミン、o−フェニレンジアミン、及びp−フェニレンジアミンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的アラルキレンジアミン類(即ち、Gはアルキレン−フェニルなどのアラルキレン)としては、4−アミノメチル−フェニルアミン、3−アミノメチル−フェニルアミン、及び2−アミノメチル−フェニルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。例示的アルキレン−アラルキレンジアミン類(即ち、Gはアルキレン−フェニレン−アルキレンなどのアルキレン−アラルキレン)としては、4−アミノメチル−ベンジルアミン、3−アミノメチル−ベンジルアミン、及び2−アミノメチル−ベンジルアミンが挙げられるが、これらに限定されない。
【0111】
反応スキームA中の式IIの前駆体は、少なくとも1個のポリジオルガノシロキサンセグメント及び少なくとも2個のオキサリルアミノ基を有する。基R、基Y、添字n、及び添字pは、式I(I−a又はI−b)について記載されたものと同一である。各基Rは、独立してアルキル、ハロアルキル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、ハロ、若しくはアルコキシカルボニルで置換されたアリールである。式IIの前駆体は、単一化合物を包含することができ(即ち、化合物の全てがp及びnについて同一の値を有する)、又は複数の化合物を含むことができる(即ち、化合物がpについての異なった値、nについての異なった値、又はp及びnの両方についての異なった値を有する)。異なったn値を持つ前駆体は、異なった長さのシロキサン鎖を有する。少なくとも2のp値を有する前駆体は、鎖が延長されている。
【0112】
幾つかの実施形態において、前駆体は、添字pが1に等しい式IIの第1の化合物、及び、添字pが少なくとも2に等しい式IIの第2の化合物の混合物である。第1の化合物は、異なったn値を有する複数の異なる化合物を包含することができる。第2の化合物は、異なったp値、異なったn値、又はp及びnの両方についての異なった値を有する、複数の化合物を包含することができる。混合物は、混合物中の第1及び第2化合物の重量合計に基づいて、少なくとも50重量%の式IIを持つ第1の化合物(即ち、pは1に等しい)及び50重量%以下の式IIを持つ第2の化合物(即ち、pは少なくとも2に等しい)を包含することができる。幾つかの混合物では、第1の化合物は、式IIを持つ化合物の全量を基準にして、少なくとも55重量%、少なくとも60重量%、少なくとも65重量%、少なくとも70重量%、少なくとも75重量%、少なくとも80重量%、少なくとも85重量%、少なくとも90重量%、少なくとも95重量%、又は少なくとも98重量%の量で存在する。混合物は、多くの場合、50重量%以下、45重量%以下、40重量%以下、35重量%以下、30重量%以下、25重量%以下、20重量%以下、15重量%以下、10重量%以下、5重量%以下、又は2重量%以下の第2の化合物を含有する。
【0113】
混合物中の式IIの鎖延長前駆体の量が異なると、式I(I−a又はI−b)のエラストマー材料の最終特性に影響及ぼす場合がある。即ち、式IIの第2化合物の量(即ち、pが少なくとも2に等しい)は、一連の性質を持つエラストマー材料を提供するために、有利には変えることができる。例えば、式IIの第2の化合物をより多量にすると、溶融レオロジーを変更したり(例えば、溶解物として存在する際にエラストマー材料をより容易に流動させる)、エラストマー材料の柔軟性を変更したり、エラストマー材料の弾性率を低下させたり、又はそれらの組合せを実現することができる。
【0114】
反応スキームAは、式IIを持つ複数の前駆体、複数のジアミン、又はそれらの組み合わせを使用して実施することができる。異なった平均分子量を有する複数の前駆体は、単一のジアミン又は複数のジアミンを備えた反応条件下で混ぜ合わせることができる。例えば、式IIの前駆体は、異なったn値、異なったp値、又はn及びpの両方についての異なった値を有する材料の混合物を包含してもよい。複数のジアミンは、例えば、有機ジアミンである第1のジアミン及びポリジオルガノシロキサンジアミンである第2のジアミンを包含することができる。同様に、単一の前駆体を複数のジアミンを備えた反応条件下で混ぜ合わせることができる。
【0115】
特定の実施形態について、式IIの前駆体とジアミンのモル比は、多くの場合1:1である。例えば、モル比は多くの場合、1:0.80以下、1:0.85以下、1:0.90以下、1:0.95以下、又は1:1以下である。モル比は多くの場合、1:1.05以上、1:1.10以上、1:1.15以上である。例えば、モル比を、1:0.80〜1:1.20の範囲内、1:0.80〜1:1.15の範囲内、1:0.80〜1:1.10の範囲内、1:0.80〜1:1.05の範囲内、1:0.90〜1:1.10の範囲内、又は1:0.95〜1:1.05の範囲内とすることができる。
【0116】
特定の実施形態について、式IIの前駆体とジアミンのモル比を、1:1.20未満、又は1:0.80超とすることができる。例えば、1:0.50、1:0.55、1:0.60、1:0.65、1:0.70、若しくは1:0.75とすることができ、又は、1:1.25、1:1.30、若しくは1:1.35とすることができる。例えば、モル比を、1:1.20未満から、1:2.00までに至る範囲内にすることができる。あるいは、1:0.80を超え、1:0.50までに至る範囲内にすることができる。
【0117】
例えば、全体的な分子量を変更し、得られたコポリマー類のレオロジーに影響を与えることができるように、モル比を変化させることが可能である。更に、モル比を変化させて、いずれの反応物質がモル過剰で存在するかによって、オキサリルアミノ含有末端基又はアミノ末端基を提供することができる。
【0118】
式IIの前駆体とジアミンとの縮合反応(即ち、反応スキームA)は、多くの場合、室温又は250℃以下の温度といった高温にて実施される。例えば、反応は、多くの場合、室温又は100℃以下の温度にて実施することができる。その他の実施例では、反応は、少なくとも100℃、少なくとも120℃、又は少なくとも150℃の温度にて実施することができる。例えば、反応温度は多くの場合、100℃〜220℃の範囲内、120℃〜220℃の範囲内、又は150℃〜200℃の範囲内である。縮合反応は多くの場合、1時間未満、2時間未満、4時間未満、8時間未満、又は12時間未満で完了する。
【0119】
反応スキームAは、溶媒の存在下又は不存在下にて発生することができる。好適な溶媒類は通常、反応のいかなる反応物又は生成物とも反応しない。更に、好適な溶媒類は通常、溶液中の全ての反応物質及び全ての生成物を重合方法全体を通して維持することができる。例示的溶媒類としては、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサンなどのアルカン類)又はこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0120】
存在するあらゆる溶媒は、反応終了時に、得られたポリジオルガノシロキサンポリアミドから除去することができる。アルコール副生成物を除去するために使用される同一条件下で除去することができる溶媒類が、多くの場合、好ましい。除去方法は、多くの場合、少なくとも100℃、少なくとも125℃、又は少なくとも150℃の温度で実施される。前記剥離方法は典型的には、300℃未満、250℃未満、又は225℃未満の温度で行われる。
【0121】
揮発性副生成物、ROHのみを反応終了時に除去する必要があるため、反応スキームAを溶媒の不存在下で実施することが望ましい場合がある。更に、反応物質及び生成物の両方と適合性がない溶媒では、反応が完了せずかつ重合度が低い。
【0122】
反応スキームAに従って共重合材料を調製するために、任意の好適な反応器又は方法を使用することができる。反応は、バッチプロセス、半バッチ式方法、又は連続方法を使用して実施することができる。例示的バッチプロセスは、機械式撹拌機例えばブラベンダー(Brabender)ミキサーを備えた反応容器内で実施することができ、この際、溶融状態にある反応生成物が、反応器から排出させるに十分なだけの低い粘度を有する。例示的半バッチ式方法は、連続攪拌しているチューブ、タンク、又は流動床内で実施することができる。例示的連続工程は、1軸又は2軸押し出し機、例えば吐出表面(wiped surface)逆回転又は共回転2軸押し出し機にて実施することができる。
【0123】
多くの方法において、成分は計量され、次に共に混合して、反応混合物を生成する。成分は、例えばギア、ピストン又はプログレッシング・キャビティポンプを使用して、容量分析又は重量測定法にて計量することができる。成分は、任意の既知の静的又は動的な方法、例えば、静的ミキサー、1軸又は多軸押し出し機などのコンパウンドミキサーを使用して混合することができる。次に、反応混合物は、生成したり、注いだり、ポンピングしたり、コーティングしたり、射出成形したり、噴霧したり、スパッタリングしたり、霧化したり、撚線にしたり又はシート化したり、及び部分的に又は完全に重合することができる。次に、の部分的に又は完全に重合した材料は、固体ポリマーへの形質転換に先だって、所望により、粒子、液滴、ペレット、球体、ストランド、リボン、ロッド、チューブ、フィルム、シート、同時押出フィルム、ウェブ、不織の物、マイクロ複写構造体、又はその他の連続的な又は分離性の形態へと変えることができる。これらの工程のうちで任意のものは、熱を適用して、又は熱を適用しないで実施することができる。1つの例示的方法においては、成分は、重合材料の固化に先立って、ギアポンプを使用して計量したり、静的ミキサーを使用して混合したり、及び型へ注入したりすることができる。
【0124】
反応スキームA中の式IIを持つポリジオルガノシロキサン含有前駆体は、任意の既知の方法により調製することができる。幾つかの実施形態では、本前駆体は、反応スキームBに従って調製される。
【0125】
【化7】

【0126】
式IIIのポリジオルガノシロキサンジアミン(pモル)をモル過剰の式IVのオキサラート(p+1モル超)と、不活性雰囲気下にて反応させて、式IIを持つポリジオルガノシロキサン含有前駆体及びR−OH副生成物を製造する。この反応において、R、Y、n、及びpは、式I(I−a又はI−b)について上述されたものと同一である。式IV中の各基Rは、独立してアルキル、ハロアルキル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、ハロ、若しくはアルコキシカルボニルで置換されたアリールである。反応スキームBによる式IIの前駆体の調製については、出願人の譲渡人による同時係属中の米国特許出願公開第2007−0149745号(レイア(Leir)ら)に、更に記載されている。
【0127】
反応スキームB中の式IIIを持つポリジオルガノシロキサンジアミンは、任意の既知の方法により調製することができ、かつ、任意の好適な分子量、例えば700〜150,000グラム/モルの範囲内の平均分子量を有することができる。好適なポリジオルガノシロキサンジアミン類及びポリジオルガノシロキサンジアミン類の製造方法については、例えば、米国特許第3,890,269号(マーチン(Martin))、同第4,661,577号(ジョー・レーン(Jo Lane)ら)、同第5,026,890号(ウェッブ(Webb)ら)、同第5,276,122号(アオキ(Aoki)ら)、同第5,214,119号(レイア(Leir)ら)、同第5,461,134号(レイア(Leir)ら)、同第5,512,650号(レイア(Leir)ら)、及び同第6,355,759号(シェルマン(Sherman)ら)に記載されている。幾つかのポリジオルガノシロキサンジアミン類は、例えば信越シリコーン・アメリカ(カルフォルニア州トーランス)及びジェレスト社(Gelest Inc.)(ペンシルベニア州モリスビル)から市販されている。
【0128】
2,000グラム/モル超又は5,000グラム/モル超の分子量を有するポリジオルガノシロキサンジアミンは、米国特許第5,214,119号(レイア(Leir)ら)、同第5,461,134号(レイア(Leir)ら)、及び同第5,512,650号(レイア(Leir)ら)に記載されている方法を使用して調製可能である。記載した方法の1つは、反応条件下にてかつ不活性雰囲気下にて、(a)次の式を持つアミン官能性末端ブロック剤
【0129】
【化8】

【0130】
(式中、Y及びRは、式I(I−a又はI−b)について定義されたものと同一である。)、(b)アミン官能性末端ブロック剤と反応して、2,000g/モル未満の分子量を有するポリジオルガノシロキサンジアミンを生成するのに十分な環状シロキサン、並びに(c)次の式を持つ無水アミノアルキルシラノレート触媒
【0131】
【化9】

【0132】
(式中、Y及びRは、式I(I−a又はI−b)について定義されたものと同一であり、Mは、ナトリウムイオン、カリウムイオン、セシウムイオン、ルビジウムイオン、又はテトラメチルアンモニウムイオンである。)を混ぜ合わせることから構成される。ほぼ全てのアミン官能性末端ブロック剤が消費されるまで、反応を継続し、次に、追加の環状シロキサンを加えて、分子量を増大させる。追加する環状シロキサンは多くの場合、ゆっくりと加えられる(例えば、滴下)。多くの場合、反応温度は80℃〜90℃の範囲内とされ、反応時間は5〜7時間である。得られたポリジオルガノシロキサンジアミンは、高純度であることができる(例えば、2重量%未満、1.5重量%未満、1重量%未満、0.5重量%未満、0.1重量%未満、0.05重量%未満、又は0.01重量%未満のシラノール不純物)。アミン官能性末端ブロック剤対環状シロキサンの比を変更することによって、式IIIの得られたポリジオルガノシロキサンジアミンの分子量を変えることができる。
【0133】
式IIIのポリジオルガノシロキサンジアミンを調製するもう1つの方法は、反応条件下かつ不活性環境下にて、(a)次の式を持つアミン官能性末端ブロック剤
【0134】
【化10】

【0135】
(式中、R及びYは、式I(I−a又はI−b)について記載されたものと同一であり、かつ、添字xが、1〜150の整数に等しい。)、(b)アミン官能性末端ブロック剤の平均分子量より大きい平均分子量を有するポリジオルガノシロキサンジアミンを得るのに十分な環状シロキサン、並びに(c)水酸化セシウム、セシウムシラノレート、ルビジウムシラノレート、セシウムポリシロキサノレート、ルビジウムポリシロキサノレート、及びこれらの混合物から選択される触媒を混ぜ合わせることから構成される。ほぼ全てのアミン官能性末端ブロック剤が消費されるまで、反応を継続する。この方法は更に、米国特許第6,355,759 B1号(シェルマン(Sherman)ら)に記載されている。この手順を使用して、任意の分子量を持つポリジオルガノシロキサンジアミンを調製することができる。
【0136】
式IIIのポリジオルガノシロキサンジアミンを調製するための更に別の方法は、米国特許第6,531,620 B2号(ブレーダー(Brader)ら)に記載されている。本方法では、次の反応に示すように、環状シラザンは、ヒドロキシ末端基を有するシロキサン材料と反応する。
【0137】
【化11】

【0138】
基R及びYは、式I(I−a又はI−b)について記載されたものと同一である。添字mは、1より大きい整数である。
【0139】
ポリジオルガノシロキサンジアミン類の例としては、ポリジメチルシロキサンジアミン、ポリジフェニルシロキサンジアミン、ポリトリフルオロプロピルメチルシロキサンジアミン、ポリフェニルメチルシロキサンジアミン、ポリジエチルシロキサンジアミン、ポリジビニルシロキサンジアミン、ポリビニルメチルシロキサンジアミン、ポリ(5−ヘキセニル)メチルシロキサンジアミン、及びこれらの混合物が挙げられるが、これらに限定されない。
【0140】
反応スキームBでは、式IVのシュウ酸塩は、不活性雰囲気下にて、式IIIのポリジオルガノシロキサンジアミンと反応する。式IVのシュウ酸塩中の2つのR基は、同一であるか又は異なることができる。幾つかの方法においては、上記2つのR基は異なり、かつ反応スキームB中の式IIIを持つポリジオルガノシロキサンジアミンとの異なった反応性を有する。
【0141】
基Rは、アルキル、ハロアルキル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、ハロ、若しくはアルコキシカルボニルで置換されたアリールであることができる。Rのための好適なアルキル基及びハロアルキル基は、多くの場合、1〜10個、1〜6個、又は1〜4個の炭素原子を有する。3級アルキル(例えば、第三ブチル)及びハロアルキル基を使用することが可能ではあるが、多くの場合、隣接したオキシ基に直接付着した(即ち、結合した)、一級又は二級炭素原子がある。例示的アルキル基としては、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、及びイソ−ブチルが挙げられる。例示的ハロアルキル基としては、クロロアルキル基及びフルオロアルキル基が挙げられ、ここで、対応するアルキル基上の水素原子の幾つか(全てではない)が、ハロ原子と置き換えられている。例えば、クロロアルキル基又はフルオロアルキル基は、クロロメチル、2−クロロエチル、2,2,2−トリクロロエチル、3−クロロプロピル、4−クロロブチル、フルオロメチル、2−フルオロエチル、2,2,2−トリフルオロエチル、3−フルオロプロピル、4−フルオロブチル、などであることができる。Rのための好適なアリール基としては、6〜12個の炭素原子を有するもの、例えばフェニルなどが挙げられる。アリール基は、アルキル(例えば、メチル、エチル、又はn−プロピルのような、1〜4個の炭素原子を有するアルキル)、アルコキシ(例えば、メトキシ、エトキシ、又はプロポキシのような、1〜4個の炭素原子を有するアルコキシ)ハロ(例えば、クロロ、ブロモ、又はフルオロ)、又はアルコキシカルボニル(例えば、メトキシカルボニル、エトキシカルボニル、若しくはプロポキシカルボニルのような、2〜5個の炭素原子を有するアルコキシカルボニル)によって非置換であるか又は置換されることができる。
【0142】
反応スキームB中の式IVを持つシュウ酸塩は、例えば式R−OHのアルコールをオキサリルジクロリドと反応させることにより調製可能である。式IVを持つ市販のオキサラート(例えば、シグマ−アルドリッチ(ウィスコンシン州ミルウォーキー)及びVMR・インターナショナル(VWR International)(コネチカット州ブリストル)から)としては、ジメチルオキサラート、ジエチルオキサラート、ジ−n−ブチルオキサラート、ジ−t−ブチル−オキサラート、ビス(フェニル)オキサラート、ビス(ペンタフルオロフェニル)オキサラート、1−(2,6−ジフルオロフェニル)−2−(2,3,4,5,6−ペンタクロロフェニル)オキサラート、及びビス(2,4,6−トリクロロフェニル)オキサラートが挙げられるが、これらに限定されない。
【0143】
モル過剰のシュウ酸塩が、反応スキームBにて使用される。即ち、シュウ酸塩対ポリジオルガノシロキサンジアミンのモル比は、化学量論的モル比である(p+1):1より大きい。モル比は、多くの場合、2:1超、3:1超、4:1超、又は6:1超である。典型的には、成分の混合時に、不活性雰囲気下、かつ室温にて縮合反応が起こる。
【0144】
式IIの前駆体を製造するために使用される縮合反応(即ち、反応スキームB)は、溶媒の存在下又は不存在下にて生じることができる。幾つかの方法においては、反応混合物中には、溶媒が含まれないか又は少量の溶媒のみが含まれる。その他の方法においては、溶媒としては、例えば、トルエン、テトラヒドロフラン、ジクロロメタン、又は脂肪族炭化水素類(例えば、ヘキサンなどのアルカン類)などを包含してもよい。
【0145】
過剰なオキサラートを式IIの前駆体から、反応スキームA内のジアミンとの反応に先だって除去することによって、視覚的に透明なポリジオルガノシロキサンポリアミドを良好に生成できる傾向がある。過剰なシュウ酸塩は、典型的には、前駆体から剥離方法を使用して剥離される。例えば、反応済み混合物(即ち、反応スキームBに従う縮合反応の生成物(単一の又は複数の))は、過剰なシュウ酸塩を揮発させるために、150℃以下、175℃以下、200℃以下、225℃以下、又は250℃以下の温度まで加熱することができる。真空引きを行って、過剰なオキサラートの除去に必要な温度を下げることができる。式IIの前駆体化合物は、200℃〜250℃以上の範囲の温度にて、ごく僅かに分解するか又ははっきりした分解を示さない傾向がある。過剰なシュウ酸塩を除去する任意のその他の既知の方法を使用できる。
【0146】
反応スキームBに示す縮合反応の副生成物は、アルコールである(即ち、R−OHはアルコールである)。基は、多くの場合、250℃以下の温度で加熱することにより、容易に除去(例えば、蒸発)可能なアルコールを生成する1〜4個の炭素原子を有するアルキル、1〜4個の炭素原子を有するハロアルキル、又はフェニルなどのアリールに限定される。反応済み混合物を、式IVの過剰なオキサラートを除去するに十分なだけの温度まで加熱した際に、このようなアルコールを除去することができる。
【0147】
組成物及び構成物の製造方法
本明細書の組成物及び構成物は、当該技術分野において既知の溶媒系方法、無溶剤方法、又は2つの組み合わせにより製造できる。
【0148】
当業者は、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分の構成及び比、有機ポリマーの構成及び比、任意の反応開始剤の構成、及び、任意の機能性成分、添加物、又は特性変性剤が添加されるかどうかに応じて、特定の用途に対して最適な材料を推測できる。
【0149】
有機ポリマーは、一般に、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分、又は、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分の反応物質のうちの1つに、溶融流として添加される。時には、ポリマー材料は、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分が、(1)ペレットとして、(2)反応物質として、又は、(3)第2の容器からの別の溶融流として添加される前に、別の容器で溶融される必要がある。別の容器が好ましい場合の例として、例えば、(1)添加剤が有機ポリマー中に濃縮されるのが好ましいとき、(2)有機ポリマーが高い処理温度を要するとき、及び、(3)有機ポリマーがエラストマー熱硬化性材料を含むとき、が挙げられる。
【0150】
種々の成分を追加する順序は、混合物を生成する上で重要である。有機ポリマーが上述したポリジオルガノシロキサンポリアミド(例えば、ジアミン)を生成する反応物質と実質的に非反応性の場合、任意の添加順序を用いることができる。ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分を有機ポリマーに添加することができ、逆もまた同様である。つまり有機ポリマーの存在下でポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分を生成することができる。しかし、有機ポリマーがこのような成分を生成する反応物質と反応する場合は、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分の生成後に、有機ポリマーを添加すべきである。また、有機ポリマーがポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分を分解する方法に温度を要する場合、有機ポリマーは、好ましくは、別の容器で加工が可能な状態まで十分に加熱され、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分の溶融流に添加される。
【0151】
その他の添加物、例えば、可塑化材料、粘着付与材料、色素、充填剤、反応開始剤などは、通常は反応物質と反応しないため、一般には工程中の任意の時点で添加することができるが、典型的には相当量のポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分が生成された後に、添加される。
【0152】
非熱可塑性エラストマー材料である有機ポリマーは、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分と混合されるとき、通常は溶融加工に特別な条件を必要とする。溶融加工可能な非熱可塑性エラストマー材料の2つの製造方法は、(1)粘着付与材料又は可塑化材料と膨潤させることによりこれらの見かけの融解粘度を下げること、又は、(2)米国特許第5,539,033号に記載されるように材料を素練りすること、である。
【0153】
4つの方法条件が、無溶剤方法により製造される混合物の最終特性に影響を及ぼす場合がある。第1に、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分が溶媒中で、又は本質的に無溶剤方法で製造されるかにより、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分の特性が影響されうる。第2に、過度の熱や剪断力に暴露される場合、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分が分解されうる。第3に、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分の有機ポリマーとの混合方法により、混合物の安定性が影響される。第4に、処理パラメーターの相互作用と、混合物中の成分の特性により、混合物で製造される物品の形態が決定される。
【0154】
第1の条件では、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分が、溶媒方法若しくは無溶剤方法により事前に製造することができる、又は、有機ポリマーの存在下で製造することができる。溶媒中におけるポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分の製造方法を、上で開示した。実質的な無溶媒条件中におけるポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分の製造方法により、高分子量のポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分をもたらすことができる。
【0155】
第2の条件では、剪断力条件下で過度に加熱される場合、特に酸素存在下において、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分が分解されうる。有機ポリマーの存在下で製造されるとき、特に、混合物が不活性雰囲気下で製造されるとき、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分は最低限の熱及び剪断力に暴露される。
【0156】
第3の条件では、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分の有機ポリマーとの混合方法により、混合物の安定性が影響される。ポリジオルガノシロキサンは、一般には、多くの他のポリマー材料に不混和性である。しかし、発明者らは、両方が溶融状態にあるとき、様々なポリマーが、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分と混合できることを見出した。1つの成分の軟化に必要な条件が他方を分解しないためには、慎重さが必要である。好ましくは、混合温度を、混合物の混合温度及び移送温度より高く、かつ、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分の分解温度より低い温度にすべきである。ポリジオルガノシロキサンポリオキサミド共重合体は通常、明らかな分解をすることなしに、250℃以上の高温に晒すことができる。
【0157】
成分が溶融状態で十分に加熱され、混合されることができる任意の容器が、本発明の混合物の製造に好適である。
【0158】
第4の条件では、処理工程が、本発明の混合物で製造される物品の形態に影響する。混合物は、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分と有機ポリマーの一般的非混和性のために、通常、一方は非連続的で他方は連続的である少なくとも2つのドメインを有する。少量相を含む成分は、典型的には、球状から楕円状、リボン様、繊維状にわたる形状の非連続的ドメインを生成する。大量相を含む成分は、典型的には、非連続的ドメインの周囲に連続的ドメインを生成する。混合物の非連続的ドメインは、混合物がフィルム又はコーティングなどの物品に生成されるとき、混合物が十分な剪断力又は伸長力に晒される場合、通常は伸長される。非連続的ドメインは、少なくとも成分の1つが、使用温度において十分な粘度を有する場合、通常は伸長された状態で保持され、混合物が既に伸長力や剪断力下にないとき、伸長されたドメインが弛緩して球体に戻らないようにする。伸長された形態は、混合物が、成分の軟化点を超えて再加熱されるまで、通常は安定である。
【0159】
本発明の混合物の製造法として、溶媒系方法及び無溶剤方法の両方を用いることができるが、この2法の組み合わせが好ましい状況のときもある。後者の場合では、ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分を溶媒系方法で製造し、続いて乾燥し、有機ポリマーと溶融することができる。
【0160】
物品の種類
本発明のポリマー混合物及びこれらを含む組成物は、固有の処方に応じて、様々な物品の製造に用いることができる。例えば、剥離フィルム、光学フィルム及びフィルター、拡散光学物品、加工助剤、光学感圧性接着剤、感圧性接着剤テープ、感圧性接着剤転写テープ、例えば、経皮的薬物送達デバイスを含む感圧性接着剤医療テープ、ゴム強化物品、又は所望の物品上に直接コーティングされる感圧性接着剤として、使用できる。また、例えば、ホットメルト接着剤、不織布ウェブ、撥水フィルム、落書き防止フィルム、キャスティングライナー、振動減衰器、音響減衰器、医療用裏材、テープ用裏材、封止剤、反射偏光子(relective polarizer)、赤外線放射反射器などの反射器、及び透湿性フィルムとして、使用できる。担持基材上にコーティングされた非担持フィルムに生成し、及び/又は、多層フィルムの1枚以上の層に組み込むことができる。
【0161】
本発明のポリマー混合物及びこれらを含む組成物は、溶融加工助剤中で使用できる。表面改質剤、スリップ助剤、相溶剤、屈折率変性剤、衝撃変性剤、光学的変性剤、レオロジー変性剤、浸透性変性剤、撥水性変性剤、完全平滑性変性剤、潤滑性変性剤、べたつき変性剤(例えば、べたつき感の減少)、及び触感変性剤を付与する繊維トリートメント材料。
【0162】
本発明のポリマー混合物及びこれらを含む組成物は、使用する固有の処方に応じて、感圧性接着剤材料、熱活性化接着剤、振動減衰材料、及び非接着剤材料であることができる。非接着剤振動減衰材料を使用するためには、特定用途での望ましい形状に応じて、抑制層及び/又は共鳴構造に制振材料を固着するための材料である、結合剤の使用が要求される。
【0163】
本発明のポリマー混合物及びこれらを含む組成物は、溶媒からフィルムとしてキャストしたり、様々な形状で成形若しくはエンボス加工したり、又はフィルムへと押し出し加工することができる。それらにより、様々な物品、例えば、ポリジオルガノシロキサンポリアミドコポリマー含む混合物を含有する層、及び1つ以上の任意の基材を含むものを生成することができる。例えば、ポリジオルガノシロキサンポリアミドコポリマー含有混合物は、第1の基材に隣接した層内にあるか、又は第1の基材と第2の基材との間に位置することができる。即ち、物品は、第1の基材、ポリジオルガノシロキサンポリアミドコポリマー含有混合物を含有する層、第2の基材の順番で配置することができる。本明細書で使用する時、用語「隣接した」とは、第2の層に接触する、又は当該第2層の近傍に配置されてはいるが当該第2の層からは1種類以上の追加の層によって分離されている第1の層を意味する。
【0164】
感圧性接着剤物品は、周知のホットメルト又は溶媒コーティングプロセスで感圧性接着剤を塗布することにより製造される。使用可能な任意の好適な基材として、例えば、布及びガラス繊維布、メタライズフィルム及び箔、ポリマーフィルム、不織布、紙、及びポリマーコーティング紙、及びフォーム状裏材が挙げられるが、これらには限定されない。ポリマーフィルムとして、ポリプロピレン、ポリエチレン、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、及び高密度ポリエチレンなどのポリオレフィン、ポリエチレンテレフタレートなどのポリエステル、ポリカーボネート、セルロースアセテート、カプトン(KAPTON)の商品名で市販されるものなどのポリイミドが挙げられるが、これらに限定されない。不織布は、一般にランダムに配向された繊維から製造され、ナイロン、ポリプロピレン、エチレンビニルアセテートコポリマー、ポリウレタン、レーヨンなどが挙げられるが、これらに限定されない。フォーム状裏材として、アクリル酸、シリコーン、ポリウレタン、ポリエチレン、ネオプレンゴム、及びポリプロピレンが挙げられるが、これらに限定されず、充填又は未充填でもよい。ポリエチレン−アルミニウム膜状複合材料などの層状の裏材も好適である。
【0165】
感圧性テープの場合、これらの材料は、典型的には裏材上にコーティングされた感圧性接着剤材料の層を含むテープ構成物を第1に製造することにより、適用される。続いて、感圧性接着剤コーティングの露出面を、剥離層となる表面へ、又は、直接所望の基材へ適用してもよい。
【0166】
幾つかの感圧性接着剤物品は、剥離ライナー、即ち、剥離剤コーティングで両方ともコーティングされた2つのライナーの間にある、組成物をコーティングすることにより製造できる転写テープを用いる。剥離ライナーは、典型的には、ポリエステル、ポリエチレン、ポリオレフィンなどのようなポリマー材料、又は、剥離剤コーティング紙若しくはポリエチレンコーティング紙を含む。好ましくは、各剥離ライナーは、本発明で利用される接着剤材料に対する剥離材料で、まずコーティングされるかプライミングされる。混合物が相当量の粘着付与されたポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分を含有するとき、有用な剥離ライナーとして、シリコーン接着剤とともに用いるのに好適なものが挙げられる。一例は、欧州特許公開第433070号に記載されているポリフルオロポリエーテルでコーティングされたライナーである。その他の有用な剥離ライナー、剥離剤コーティング組成物は、欧州特許出願公開第378420号、米国特許第4,889,753号、及び欧州特許出願公開第311262号に記載されている。市販のライナー及び組成物として、ダウ・コーニング社(Dow Corning Corp.)(ミシガン州ミッドランド(Midland))からシルオフ(SYL-OFF)Q2−7785の商品名で市販されるフルオロシリコーン剥離剤コーティング、シンエツ・シリコーンズ・アメリカ社(Shin-Etsu Silicones of America, Inc.)(カリフォルニア州トランス(Torrance))から市販されるX−70−029NSフルオロシリコーン剥離剤コーティング、リリース・インターナショナル(Release International)(イリノイ州ベッドフォードパーク(Bedford Park))からSテイクオフ(TAKE-OFF)2402の商品名で市販されるフルオロシリコーン剥離ライナーなどが挙げられる。
【0167】
本発明のポリマー混合物及びこれらを含む組成物は、経皮的薬物送達デバイスなどの医療用途においても有用である。経皮的薬物送達デバイスは、治療的に有効量の薬物を患者の皮膚を通して、又は皮膚に送達するよう設計される。経皮的薬物送達は、顕著な利点をもたらす、つまり、注射とは異なって非侵襲的であり、経口投与とは異なって肝臓による初回通過代謝を受けず、胃腸への影響が最小限であり、血中濃度が安定する。
【0168】
本発明のポリマー混合物及びこれらを含む組成物は、処理済み及び未処理の表面、特に金属、ポリオレフィン及びフッ素含有ポリマーフィルムに容易に接着する感圧性接着剤においても有用である場合があり、環境汚染物質(非保護面を腐食的に攻撃するものを含む)の侵入を防ぐ、高い柔軟性を有する連続界面シリコーンコーティングをもたらす。感圧性接着剤パッチは、典型的には、保護ポリジオルガノシロキサンポリアミド含有感圧性接着剤混合物と、所望により、バリア若しくは縁部接着剤、柔軟性のあるバリア若しくは裏材材料層、又はこれら材料の組み合わせからなる。幾つかの用途において、裏材が電界線を遮蔽しないことが好ましく、解放構造の裏材を、例えば、ポリエチレン又はPVCの固体フィルムにすることがより好ましい。幾つかの表面に適用するとき、表面の空間配置により適合するテーパー形状又は浮き上がり状の接着剤層が好ましい場合がある。
【0169】
本発明のポリマー混合物及びこれらを含む組成物は、熱収縮チューブのための感圧性接着剤又はホットメルト接着剤としても、有用である場合がある。これらの構成物は、熱収縮操作中に発生する高温に耐えることができる単一の物品をもたらし、冷却後の周辺封止をもたらす。これらの材料のレオロジー、熱安定性、粘着性、及び透明度により、本用途に特に好適となる。
【0170】
本発明のポリマー混合物及びこれらを含む組成物を、別の剥離ライナー、即ち、ライナーの片面上の第1の剥離剤コーティング、及び対面上にコーティングされた第2の剥離剤コーティングを有する剥離ライナー上に、コーティングすることもできる。2つの剥離剤コーティングは、好ましくは異なる剥離値を有する。例えば、1つの剥離剤コーティングは、5グラム/cm(即ち、1cm幅の材料ストリップをコーティングから剥がすのに、5グラムの抵抗力が必要)の剥離値を有してもよく、一方第2の剥離剤コーティングは、15グラム/cmの剥離値を有してもよい。より高い剥離値を有する剥離ライナーコーティング上に材料をコーティングできる。得られたテープをロール状に巻くことができる。テープがほどかれると、感圧性接着剤は、より高い剥離値を有する剥離剤コーティングに接着する。テープを基材に適用した後、剥離ライナーを取り除き、接着剤表面を更なる用途のために暴露することができる。
【0171】
ホットメルト接着剤は、複合物にまとめて非接着性表面を結合するのに使用可能な組成物である。基材に適用中、ホットメルト接着剤は、表面を完全に濡らし、その表面がでこぼこであっても空隙を残さないように、十分に流動性を持たなければならない。したがって、適用時は、接着剤の粘度が低くなければならない。しかし、接着剤は一般に固体になり、ストレスの多い条件下で、基材に接着されたままになるよう十分な貼着力を発揮する。
【0172】
ホットメルト接着剤において、流体から固体への遷移を幾つかの方法で行ってもよい。第1に、ホットメルト接着剤は、加熱時に軟化かつ溶融し、冷却時に再び硬化する熱可塑性樹脂であってもよい。このように加熱すると、十分に高流動性となり、満足な濡れを達成する。あるいは、ホットメルト接着剤を、接着剤の粘度を十分に低下させて満足な濡れを可能にし、溶媒又はキャリアが除去されたときに接着剤粘度が上がる、溶媒又はキャリアに溶解してもよい。かかる接着剤は、必要に応じて加熱によって活性化できる。
【0173】
本発明のポリマー混合物及びこれらを含む組成物は、振動減衰材料単独で(つまり自由層型の処理)、又は、硬質層と組み合わせて(つまり拘束層型処理の一部として)使用してもよい。振動減衰材料は、減衰される構造物/デバイスと比較的硬質な層、例えば薄板金属との間に挟まれる場合、最も効果的に使用される。このようにすると、パネルが振動した際に、粘弾性材料が剪断力により強制的に変形させられるので、自由層処理で起こるように材料が伸縮変形するときよりも、実質的により多くのエネルギーが散逸される。好ましくは、拘束層型構成物は、1つ以上の硬質層と1つ以上の振動減衰材料層のラミネートからなる。
【0174】
拘束層型構成物は、幾つかの方法により調製できる。1つの方法では、振動減衰材料層は、当該技術分野において既知の従来の溶液コーティング又はホットメルトコーティング技術により、剥離ライナー上にコーティングされる。得られた粘弾性材料層を、硬質裏材上に移して接着させると、拘束層型構成物が得られる。別の方法では、振動減衰材料層は、当該技術分野において既知の従来の溶液コーティング又はホットメルトコーティング技術により、硬質裏材上に直接コーティングされる。いずれの場合においても、拘束層型構成物は、次に、制振を必要とする構造物に取り付けられる。粘弾性材料の界面を介して、即ち機械的な固定を行わずに、振動構造物に抑制層を固定するかぎりは、いかなる方法で構成物を取り付けてもよい。この後、内部又は外部に加わる力の影響下で構造物が振動すると、振動は減衰する。
【0175】
本発明の振動減衰材料のもう1つの用途は、E.J.ニールセン(Neilsen, E. J.)ら、「地震及び風への応用のための粘弾性減衰器の概要(Viscoelastic Damper Overview For Seismic and Wind Applications)」、カリフォルニア構造工学協会(Structural Engineering Association of California)、タホ・オリンピアード(Tahoe Olympiad)、1994年10月、に記載されているような二方向性制振ユニットである。二方向性、即ち変位が大きい制振とは、ビルなどの構造物の亜音速振動を、構造物の振動を減衰させるための粘弾性材料の剪断変形に変換することである。この用途において、最大振動減衰能力を有する材料は、使用温度における剪断貯蔵弾性率G’が、好ましくは6.9×10Pa〜3.45×10Pa、より好ましくは3.45×10Pa〜1.4×10Pa、最も好ましくは3.45×10Pa〜6.9×10Paであり、使用温度及び振動数範囲にわたりできるかぎり高いtanδを有する。また、好ましくは、この材料は、温度及び振動数の使用範囲内において引張伸びが少なくとも100パーセントであるか、又は剪断歪能が少なくとも100パーセントである。
【0176】
振動減衰材料が感圧性接着剤の性質を有する場合、通常、他の結合剤を使用せずに硬質層に接着させることができる。しかしながら、例えば、いずれも当該技術分野で既知であるアクリル系接着剤、エポキシ系接着剤、又はシリコーン系接着剤など強力接着剤の薄い層(例えば、厚さ20〜50μm)を使用して、本発明の振動減衰組成物を構造物に接合させることが必要なこともある。
【0177】
ほとんどの用途において、振動減衰材料層は厚さが少なくとも0.01mm〜100mm、より好ましくは0.05mm〜100mmである。減衰材料は、スプレーコーティング、浸漬コーティング、ナイフコーティング、若しくはカーテンコーティング、又は成形、積層、注型、又は押出など、当該技術分野において既知の技術のいずれかを用いて適用できる。
【0178】
上述したように、硬質層は、本発明の拘束層型振動減衰構成物に必須の部分である。硬質層に好適な材料の剛さは、伸び率で硬質層の剛さを測定した場合、好ましくは、振動減衰材料の剛さ(即ち、貯蔵弾性率)の少なくとも100倍である。硬質層の所望の剛さは、硬質層の弾性率にもよるが、この層の厚さを調節することによって、例えば、約25マイクロメートル〜5センチメートルの範囲で変わりうる。拘束層型構成物に用いるのに好適な硬質材料の例として、例えば、鉄、鋼鉄、ニッケル、アルミニウム、クロム、コバルト、及び銅などの金属、並びにこれらの合金、ポリスチレン、ポリエステル、ポリ塩化ビニル、ポリウレタン、ポリカーボネート、ポリイミド、及びポリエポキシドなどの硬質ポリマー材料、ガラス繊維強化ポリエステル、セラミック繊維強化ポリエステル、及び金属繊維強化ポリエステルなどの繊維強化プラスチック、ガラス、並びにセラミックが挙げられる。
【0179】
本発明の振動減衰組成物は、広範な温度及び振動数にわたって有効な制振が必要であるとともに、特定の温度範囲にわたって最小及び/又は最大弾性率要件も満たす必要がある様々な用途に有用である。多くの場合、最大制振領域(即ち、損失率がほぼ最大となる点)が所望の制振温度及び振動数範囲の中心にくることが望ましい。特定の用途に最適な制振材料を設計するには、ポリジオルガノシロキサンポリアミドセグメント化コポリマー、有機ポリマー、シリケート樹脂、任意にポリジオルガノシロキサンオリゴポリアミドセグメント化コポリマー及び充填剤、並びにそれぞれの濃度が制振性能に及ぼす影響を理解する必要がある。
【0180】
振動減衰材料が感圧性接着剤特性を提供する場合では、これらの材料は、典型的には、まず最初に、少なくとも一方が剥離材料でコーティングされた2つのライナー間にコーティングされる振動減衰材料の層を含むテープ構成物を製造することにより適用される。感圧性接着剤の性質を有する本発明の振動減衰材料は、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエチレン及びポリプロピレンなどのポリオレフィン、並びにテフロン(登録商標)(後の2種の材料は、従来は接着剤で結合させるのが難しい材料であると知られている)に、よく接着する。
【0181】
本発明は、以下の実施形態を提供する。
【0182】
1.
少なくとも2個の式I−a:
【0183】
【化12】

【0184】
の繰り返し単位を含む少なくとも1種のコポリマー
(式中、
各Rは、互いに独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールであり、
各Yは、互いに独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組合せであり、
Gは、式RHN−G−NHRのジアミンから、2個の−NHR基を差し引いたものに等しい二価の残基であり、
は、水素若しくはアルキルであるか、又はRは、Gとともにそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基を生成し、
各基Bは、独立して共有結合、4〜20個の炭素からなるアルキレン、アラルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせであり、
nは、互いに独立して0〜1500の整数であり、及び
pは、1〜10の整数である);並びに
ホットメルト加工が可能な熱可塑性樹脂、ホットメルト加工が可能なエラストマー熱硬化性樹脂、シリコーンポリマー、及びこれらの混合物の群から選択される少なくとも1種のホット有機ポリマーと、を含む混合物であって、
少なくとも1種の有機ポリマーが少なくとも2個の式I−aの繰り返し単位を含むコポリマーではなく、粘着付与樹脂ではなく、かつ、繊維状のナイロンではない、有機ポリマー;を含む混合物であって、
混合物が2層間の境界面で存在しない、混合物。
【0185】
2.コポリマーが、少なくとも2個の式I−b:
【0186】
【化13】

【0187】
の繰り返し単位を含み、
少なくとも1種の有機ポリマーが、少なくとも2個の式I−bの繰り返し単位を含むコポリマーではない、実施形態1の混合物。
【0188】
3.コポリマーの各Rがメチルである、実施形態1又は実施形態2の混合物。
【0189】
4.コポリマーのR基の少なくとも50パーセントがフェニル、メチル、又はこれらの組み合わせである、実施形態1又は実施形態2の混合物。
【0190】
5.コポリマーの各Yが、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン、1〜10個の炭素原子を有するアルキレンに結合したフェニレン、1〜10個の炭素原子を有する第1のアルキレン及び1〜10個の炭素原子を有する第2のアルキレンに結合したフェニレンである、実施形態1〜4のいずれか1つの混合物。
【0191】
6.Yが1〜4個の炭素原子を有するアルキレンである、実施形態5の混合物。
【0192】
7.コポリマーが、pが1に等しい第1の繰り返し単位、及び、pが少なくとも2である第2の繰り返し単位を有する、実施形態1〜6のいずれか1つの混合物。
【0193】
8.コポリマーのGが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、アラルキレン、ポリジオルガノシロキサン、又はこれらの組み合わせである、実施形態1〜7のいずれか1つの混合物。
【0194】
9.コポリマーnが少なくとも40である、実施形態1〜8のいずれか1つの混合物。
【0195】
10.コポリマーのRが水素である、実施形態1〜9のいずれか1つの混合物。
【0196】
11.実施形態1〜10のいずれか1つの混合物と、少なくとも1種の粘着付与材料と、を含む、組成物。
【0197】
12.粘着付与材料がシリケート樹脂又は有機粘着付与剤である、実施形態11の組成物。
【0198】
13.ホットメルト加工性ではない1種以上の添加物を更に含む、実施形態1〜12のいずれか1つの混合物又は組成物。
【0199】
14.剛性を有する少なくとも1枚の基材と、実施形態11の粘着付与された組成物を含む少なくとも1枚の層と、を含む振動減衰拘束層型構成物であって、粘着付与された組成物が基材に固定された、構成物。
【0200】
15.実施形態11〜13のいずれか1つの組成物、又は実施形態1〜10のいずれか1つの混合物がその上部にコーティングされた可撓性基材、を含む振動減衰複合体。
【0201】
16.少なくとも2つの剛性部材であって各剛性部材が別の剛性部材の広い表面に隣接する広い表面を有しそこから密に配置された少なくとも2つの剛性部材と、実施形態11〜13のいずれか1つの粘着付与された組成物と、を含む、二方向性振動減衰拘束層型構成物であって、粘着付与された組成物が密に配置された剛性部材間に包含され、かかる部材に接着された、構成物。
【0202】
17.可撓性基材と、その上にコーティングされた実施形態11〜13のいずれか1つの粘着付与された組成物とを含む、感圧性接着剤物品。
【0203】
18.実施形態1〜10のいずれか1つの混合物を含む層、又は、非粘着性表面及び粘着性表面を有する実施形態11〜13のいずれか1つの組成物を含む、感圧性接着剤物品。
【0204】
19.可撓性基材と、その上にコーティングされた実施形態1〜10のいずれか1つの混合物、又は、実施形態11〜13のいずれか1つの組成物とを含む、剥離剤コーティング物品。
【0205】
20.実施形態1〜10のいずれか1つの混合物、又は、実施形態11〜13のいずれか1つの組成物を含む、物品。
【0206】
21.基材を更に含み、コポリマーを含む混合物又は組成物が基材に隣接した層内にある、実施形態20の物品。
【0207】
22.第1の基材及び第2の基材を更に含み、コポリマーを含む混合物又は組成物が第1の基材と第2の基材との間の層内にある、実施形態21の物品。
【0208】
23.実施形態1〜10のいずれか1つの混合物、又は、実施形態11〜13のいずれか1つの組成物を含む1つ以上の層を含む、多層フィルム。
【0209】
24.実施形態1〜10のいずれか1つの混合物、又は、実施形態11〜13のいずれか1つの組成物の製造方法であって、少なくとも1種のポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分、及び、少なくとも1種の有機ポリマーを継続的に容器に供給することと、成分を混合し、混合物を生成すること、及び、容器から混合物を移送することと、を含む方法。
【0210】
25.混合が実質的に無溶剤条件下で行われる、実施形態24の方法。
【0211】
26.実施形態1〜10のいずれか1つの混合物、又は、実施形態11〜13のいずれか1つの組成物の製造方法であって、少なくとも1種のポリジオルガノシロキサンポリアミドを生成するための反応物質成分と、反応物質成分と反応しない少なくとも1種の有機ポリマーとを継続的に供給することと、成分を混合することと、反応物質成分を反応させ、ポリジオルガノシロキサンアミドセグメント化コポリマーを生成することと、反応装置から混合物を移送することと、を含む、方法。
【0212】
前述の事項は、現在予見されない、本発明の実質的でない修正が、本発明の均等物を表しうるにもかかわらず、本発明者らによって権能付与的記載が入手できる予見された実施形態の観点から本発明を記載している。
【実施例】
【0213】
これらの実施例は単にあくまで例示を目的としたものであり、添付した書類名特許請求の範囲の範囲に限定するものではない。実施例における部、パーセント、比等は全て、他に記載されない限り、重量基準である。使用した溶媒類及びその他の試薬類は、特に記載のない限り、ウィスコンシン州ミルウォーキー(Milwaukee)のシグマ−アルドリッチ・ケミカル社(Sigma-Aldrich Chemical Company)より入手した。
【0214】
【表1】

【0215】
当量を決定するための滴定法
10(10)グラム(正確に計量する)の調製例1の化合物を瓶型容器に入れた。約50グラムのTHF溶媒(正確な計量ではない)を添加した。混合物が均質になるまで、電磁攪拌棒を使用して内容物を混合した。前駆体の理論当量を計算し、次に本当量数の3〜4倍の範囲の量のN−ヘキシルアミン(正確に計量する)を添加した。反応混合物を最低4時間撹拌した。ブロモフェノールブルー(10〜20滴)を添加し、内容物が均質になるまで混合した。混合物を黄色の終点まで1.0N(又は0.1N)塩酸にて滴定した。前駆体の当量数は、試料に加えたN−ヘキシルアミンの当量数から、滴定中に加えた塩酸の当量数を差し引いたものに等しかった。当量(グラム/当量)は、前駆体の試料重量を前駆体の当量数で割ったものに等しかった。
【0216】
ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーの固有粘度(IV)
キャノン−フェンスケ(Canon-Fenske)粘度計(モデルNo.50 P296)を用いて、30℃、濃度0.2グラム/デシリットル(g/dL)のテトラヒドロフラン(THF)溶液中の平均固有粘度(IV)を30℃で測定した。本発明の材料の固有粘度は、0.1〜0.4グラム/デシリットルの範囲の濃度とは実質的に無関係であることが判明した。平均固有粘度は、3回以上の測定の平均とした。平均固有粘度を決定するための任意の変法は、具体例に記述されている。
【0217】
調製例1
14K PDMSジアミンの試料(830.00グラム)を、機械的撹拌機、加熱マントル、窒素導入用チューブ(ストップコック付き)、及び排出管を装備した2リットルの3つ口樹脂フラスコ内に入れた。フラスコを窒素で15分間パージし、次に、激しく撹拌し、シュウ酸ジエチル(33.56グラム)を滴加した。本反応混合物を約1時間、室温で攪拌し、次に、80℃にて75分間撹拌した。反応フラスコには、蒸留アダプタ及び蒸留レシーバを装着した。反応混合物を減圧下(133パスカル、(1トール))、120℃にて2時間加熱し、次に、130℃にて30分間、更なる留出物を集めることができなくなるまで加熱した。反応混合物を室温まで冷却し、式Iの化合物生成物を得た。透明な流動性の液体ガスクロマトグラフィー分析は、検出可能濃度のシュウ酸ジエチルが残存していないことを示した。エステル当量は、H NMR(7,916グラム/当量に相当する当量)を使用し、滴定(8,272グラム/当量に相当する当量)することによって決定した。
【0218】
調製例2
20℃、10ガロン(37.85リットル)のステンレス鋼製容器に、18158.4グラムの14Kエチルオキサリルアミドプロピル末端ポリジメチルシロキサン(滴定分子量=14,890、調製例1に記載した方法と類似の方法で調製し、適宜容量をと調整したもの)を入れた。容器を撹拌し(75回転/分(rpm))、窒素フローによりパージし、15分間真空にした。次に、ケトルを80℃まで25分間にわたって加熱した。エチレンジアミン(73.29グラム、GFSケミカルズ(GFS Chemicals))をケトル内に真空投入し、続けて73.29グラムのトルエンも真空投入した。次に、ケトルを6894Pa(1psig)まで加圧し、かつ120℃の温度まで加熱した。30分後、ケトルを150℃まで加熱した。一旦、150℃の温度に到達させ、ケトルを5分間かけてベントした。ケトルを40分間真空引き(約65mmHg、8665Pa)し、エタノール及びトルエンを除いた。次に、ケトルを13789Pa(2psig)まで加圧し、次に粘稠な溶融ポリマーをテフロン(登録商標)コーティングしたトレイに排出し、冷却させた。冷却されたシリコーンポリオキサミド生成物である、ポリジオルガノシロキサンポリオキサミドブロックコポリマーを次に微粒ペレットへと粉砕した。
【0219】
調製例3
本調製例は、1.0モル%のエチレンジアミン(EDA)をトリス(2−アミノエチル)アミンに置き換えた以外は、調製例2に記載の方法で調製した。この物質のIVは、1.37g/dL(THF中)と決定された。
【0220】
調製例4
ジエチルオキサラート(241.10グラム)を、機械的撹拌機、加熱マントル、窒素導入用チューブ(ストップコック付き)、及び排出管を装備した3リットルの3つ口樹脂フラスコ内に入れた。フラスコを窒素で15分間パージし、5K PDMS ジアミン(約5,000g/モルの平均分子量を持ち、米国特許第5,214,119号の実施例2に記載の如く調製されたポリジメチルシロキサンジアミン)(2,028.40グラム、分子量=4,918)を、撹拌しながらゆっくりと添加した。室温にて8時間後、反応フラスコに、蒸留アダプタ及び蒸留レシーバを装着し、内容物を撹拌し、減圧下(133Pa、1トール)にて150℃まで4時間、更なる留出物を集めることができなくなるまで加熱した。残留液体を室温まで冷却し、オキサミドエステルで末端処理した生成物2,573グラムを得た。透明な流動性の液体ガスクロマトグラフィー分析は、検出可能濃度のシュウ酸ジエチルが残存していないことを示した。分子量は、H NMR(分子量=5,477グラム/モル)及び滴定(2,573グラム/モル及び2,578グラム/モルの当量)によって決定した。
【0221】
調製例5
20℃、10ガロン(37.85リットル)のステンレス鋼製容器に、18.14kg(40ポンド)の調製例4の物質を入れた。容器を撹拌し(80rpm)、窒素フローによりパージし、15分間真空にした。次いで、容器を34.4kPa(5ポンド/平方インチ)まで窒素加圧し、25分間かけて90℃の温度まで加熱した。エチレンジアミン(0.19kg(0.44ポンド))を容器に追加した。この追加に続けて、80グラムのトルエンを追加した。次に、容器を105℃の温度まで加熱し、容器内の圧力を5分間かけてゆっくりとベントした。続いて、容器を1時間真空引き(約20mm Hg、2666Pa)し、エタノール及びトルエンを除いた。次に、容器を、13789Pa(2psig)まで再度加圧し、粘稠な溶融ポリマーをテフロン(登録商標)コーティングしたトレイに排出し、冷却させた。次いで、冷却したシリコーンポリオキサミド生成物を砕いて微粒ペレットとした。この物質のIVは、1.135g/dL(THF中)と決定された。
【0222】
調製例6
本調製例は、3.0モル%のエチレンジアミン(EDA)をトリス(2−アミノエチル)アミンに置き換えた以外は、調製例2に記載の方法で調製した。
【0223】
調製例7
20℃、10ガロン(37.85リットル)のステンレス鋼製容器に、18158.4グラムの5Kエチルオキサリルアミドプロピル末端ポリジメチルシロキサン(滴定分子量=5,146、調製例4で調製されたもの)を入れた。容器を撹拌し(75rpm)、窒素フローによりパージし、15分間真空にした。次に、ケトルを80℃まで25分間にわたって加熱した。エチレンジアミン(250.3グラム、GFSケミカルズ(GFS Chemicals))をケトル内に真空投入し、続けて73.29グラムのトルエンも真空投入した。次に、ケトルを6894Pa(1psig)まで加圧し、かつ120℃の温度まで加熱した。30分後、ケトルを150℃まで加熱した。一旦150℃の温度に到達させ、ケトルを5分間かけてベントした。ケトルを40分間真空引き(約65mm Hg、8665Pa)し、エタノール及びトルエンを除いた。次に、ケトルを13789Pa(2psig)まで加圧し、次に粘稠な溶融ポリマーをテフロン(登録商標)コーティングしたトレイに排出し、冷却した。次いで、冷却したアミンで末端保護したシリコーンポリオキサミドオリゴマー生成物を砕いて微粒くずとした。
【0224】
色、曇価、及び視感透過率測定
サンプルの視感透過率及び曇価を、米国材料試験協会(American Society for Testing and Materials)(ASTM)の試験方法D1003−95(「透明プラスチックの曇価及び視感透過率の標準試験(Standard Test for Haze and Luminous Transmittance of Transparent Plastic)」)に従って、ビック・ガードナー社(BYK-Gardner Inc.)(メリーランド州シルバースプリング(Silver Springs))のTCSプラス分光光度計を用いて測定した。色測定は、同じ機器を用い、CIE(照明委員会のフランス語の省略形)が制定した国際カラースケール、L、a、bに従って行った。
【0225】
剥離テスト
裏材/接着剤/ライナーの3層ラミネートの、ライナーの非剥離面を介し、二重コーティングされた接着テープ(スリーエム・カンパニー(3M Company)より商品名「410B」で市販)を用いて、17.8センチメートル(cm)×33センチメートルのスチールパネルに2.3kgのラバーローラーを使用して貼り付け、サンプルを剥離テスト用に調製した。次いで、裏材/接着剤を、2.3メートル/分(90インチ/分)の速度で、180°でライナーからはがした。記載しない限り、一定温度(70℃)かつ一定湿度(50%RH)の施設内で、全ての試験を実施した。衝撃剥離の場合、最小剥離値、最大剥離値、及び平均剥離値を全て報告して衝撃度を示し、剥離の説明も含める。全てのサンプルについて用いた剥離試験機は、IMASS社(IMASS, Inc.)(マサチューセッツ州アコード(Accord))から入手したIMassモデルSP2000剥離試験機であった。測定値は、グラム/cm(オンス/インチ)で得られ、場合によってはグラム/cm(インチ)に変換した。
【0226】
UV重合接着剤サンプルの剥離テスト
2.54μm(1ミル)厚のPETフィルムをサンプルの感圧性接着剤面に積層し、2.54μm(1ミル)PET/50.8μm(2ミル)感圧性接着剤/ライナーの3層構成物を得た。2.54cm幅×12cm呼称長さに試験サンプルストリップを切断し、剥離テスト用に3層サンプルを調製した。次いで、ライナー側を下にした試験サンプルを、2.54cm幅の二重コーティングされた接着テープ及び2.54cm幅の片面テープ(スリーエム・カンパニー(3M Company)より、それぞれ商品名「9579」「8403」で市販)を用いて、インストルメンターズ社(INSTRUMENTORS, Inc.)の滑り/剥離試験機、モデル3M90Aの作業プラテンに貼り付けた。作業プラテン上で、2.3kgのラバーローラーを試験サンプル上に1回かけた。次いで、裏材及び感圧性接着剤を、2.3メートル/分(90インチ/分)の速度で、5秒間のデータ収集時間をかけて180°にライナーからはがした。最低2本のサンプルを試験した。報告した剥離力値は、各試験サンプルの剥離力値の平均である。記載しない限り、一定温度(70℃)かつ一定湿度(50%RH)の施設内で、全ての試験を実施した。測定値は、グラム/cm(オンス/インチ)で得られ、場合によってはグラム/cm(インチ)に変換した。
【0227】
実施例1〜4及び比較例1〜4:押出混合フィルム製造方法
混合スクリューを備える0.19dM(3/4インチ)のブラベンダー(Brabender)単軸押出成形機を用い、以下の実施例におけるブレンドフィルムを製造した。溶融及び混合した後、単軸押出成形機中で、押出物を1.524dM(6インチ)のフラット型押出ダイに押し通し、溶融フィルムを生成した。次いで、溶融フィルムを冷却したロールスタックに通し、最終の完成したフィルム形状に樹脂を冷却し固化する。
【0228】
剥離テスト用の実施例を得るため、スリーエム社(3M Co.)(ミネソタ州セントポール(Saint Paul)から入手可能な4種の接着剤製品の接着剤面を、フィルムに積層した。
【0229】
全てスリーエム社(3M Co.)(ミネソタ州セントポール(Saint Paul))から入手した、(赤)スリーエム(3M)スコッチカル(SCOTCHCAL)7725−13、(白)スリーエム(3M)スコッチカル(SCOTCHCAL)160−30、845ブックテープ(Book Tape)、及び371ボックステープ(Box Tape)の4種の市販テープを用いた。
【0230】
比較例1
100%エクソン(Exxon)129.24低密度ポリエチレンフィルムを、上述の押出混合フィルム製造方法を用いて製造した。押出方法において、185℃、190℃、195℃、200℃、200℃の押出ゾーン温度を用いた。製造したフィルムサンプルの厚さは、約125マイクロメートル(5ミル)であった。
【0231】
比較例2
100パーセント(100%)の調製例2を押出成形機に投入し、上述の方法を用いてフィルムを製造した。100℃、115℃、120℃、140℃、140℃の押出特性温度を用い、押出圧は90rpmにおいて413685Pa(60ポンド)であった。得られた押出フィルムは透明であった。得られた押出フィルムはゴム状かつ弾性的であり、冷却したニップロール及び巻き取り機を通して材料を運ぶためには、PETキャリアライナーの使用を必要とした。製造したフィルムサンプルの厚さは、約125マイクロメートル(5ミル)であった。
【0232】
(実施例1)
1パーセント(1%)の調製例2を99%エクソン(Exxon)129.24低密度ポリエチレンと乾式混合して押出成形機に投入し、上述の方法を用いてフィルムを製造した。100℃、115℃、120℃、140℃、140℃の押出特性温度を用い、押出圧は90rpmにおいて4205802Pa(610ポンド)であった。得られたフィルム比較例1のポリエチレンフィルムと同様の物理的性質を有した。得られたフィルムは透明であった。製造したフィルムサンプルの厚さは、約125マイクロメートル(5ミル)であった。
【0233】
(実施例2)
2パーセント(2%)の調製例2を98%エクソン(Exxon)129.24低密度ポリエチレンと乾式混合して押出成形機に投入し、上述の方法を用いてフィルムを製造した。100℃、115℃、120℃、140℃、140℃の押出特性温度を用い、押出圧は90rpmにおいて3447379Pa(500ポンド)であった。得られたフィルムは透明であった。製造したフィルムサンプルの厚さは、約125マイクロメートル(5ミル)であった。
【0234】
(実施例3)
3パーセント(3%)の調製例2を97%エクソン(Exxon)129.24低密度ポリエチレンと乾式混合して押出成形機に投入し、上述の方法を用いてフィルムを製造した。100℃、115℃、120℃、140℃、140℃の押出特性温度を用い、押出圧は90rpmにおいて4274750Pa(620ポンド)であった。得られたフィルムは透明で、曇った外観を有した。製造したフィルムサンプルの厚さは、約125マイクロメートル(5ミル)であった。
【0235】
(実施例4)
4パーセント(4%)の調製例2を95%エクソン(Exxon)129.24低密度ポリエチレンと乾式混合して押出成形機に投入し、上述の方法を用いてフィルムを製造した。100℃、115℃、120℃、140℃、140℃の押出特性温度を用い、押出圧は90rpmにおいて3998959Pa(580ポンド)であった。得られたフィルムは透明で、曇った外観を有した。製造したフィルムサンプルの厚さは、約125マイクロメートル(5ミル)であった。
【0236】
比較例3
100パーセント(100%)エクソン(Exxon)129.24低密度ポリエチレンを押出成形機に導入し(今回は、実施例1〜5で用いた温度より低い温度において)、過度のトルクにより押出成形機は停止した。これらの押出条件(混合物を生成するために本発明のシリコーン添加物が存在しないとき)では、サンプルフィルムを収集できなかった。
【0237】
比較例4
100%エクソン・エグザクト(Exxon EXACT)5181線状低密度ポリエチレンフィルムを、上述の工程を用いて製造した。押出方法において、185℃、190℃、195℃、200℃、200℃の押出ゾーン温度を用いた。
【0238】
(実施例5〜14)
これらのフィルム例を、比較例4並びに実施例2及び4に記載される方法で製造した。以下の表に、実施例フィルムの製造に用いた各ポリマーの種類及び割合(%)を列挙する。これらの実施例を製造するために、押出方法において、185℃、190℃、195℃、200℃、200℃の押出ゾーン温度を用いた。製造したフィルムサンプルの厚さは、約125マイクロメートル(5ミル)であった。
【0239】
実施例15〜17及び比較例5〜7
比較例1及び4並びに実施例6〜8で製造したフィルムを用い、フィルム複合体を製造した。PSA/フィルム複合体を、ノッチ付きバーコーターを用いて、アクリル酸放射線感受性シロップ(90:10(w/w)のアクリル酸イソオクチル:アクリル酸、10%未満が重合)をコーティングすることにより調製し、本発明の実施例フィルムの上に、呼称厚50.8μm(2ミル)(0.051ミリメートル、0.002インチ)の連続ウェブを生成した。次いで、窒素環境で作り出す不活性環境において、放射線感受性シロップを紫外線に暴露することにより、又は、25.4μm(1ミル)(0.025ミリメートル、0.001インチ)厚のポリエステルテレフタレート(PET)フィルムで重層することにより、コーティングを95%超まで重合した。本発明の実施例フィルム及び重合化シロップを硬化すると、米国特許番号第4,181,752号の実施例1〜7に記載のものと類似する感圧性接着剤が生成された。
(表は、各樹脂が何%であるかを示し、用いた方法は、フィルム及び複合体サンプルの両方について既に上述したことに留意されたい)。
【0240】
【表2】

【0241】
【表3】

【0242】
【表4】

【0243】
(実施例18)
ポリエチレンテレフタレート(PET)とシリコーンポリオキサミド(調製例5)のブレンドフィルムを以下のように製造した。インビスタ(Invista)8602 PET(約0.60IV)を、Kトロン(K-Tron)モデルK−SFS−24/6ペレットフィーダー(フィーダーNo.1)に投入した。シリコーンポリオキサミドを、同様のKトロン(K-Tron)モデルK−SFS−24/6ペレットフィーダー(フィーダーNo.2)に投入した。これらのフィーダーの排出口を、25mmベルストルフ(Berstroff)2軸押し出し機の供給口の上に設置した。ベルストルフ(Berstorff)から下流は、ネックチューブ、ギアポンプ、ネックチューブ、フィードブロック、及び20.3cm(8インチ)のダイとした。ダイは、冷却したキャスティングロール、及び付随する巻取装置のすぐ上に、かつ、ごく接近して配置した。この設定を利用し、フィルムのキャストウェブサンプルを製造した。ダイ、フィードブロック、ネックチューブ、及びギアポンプは、全て277℃(530°F)の温度まで加熱した。2軸押し出し機は、加熱ゾーンにわたって232℃(450°F)から始まり277℃(530°F)まで上昇する、漸進式加熱プロファイルを有した。
【0244】
シリコーンポリオキサミド及びインビスタ(Invista)8602 PET樹脂(ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte)のインビスタ(Invista)から入手可能)を様々な比率で押出成形機に投入し、一連の溶融ブレンドされたサンプルにより、PET中に分散された6〜22重量%のシリコーンポリオキサミドを製造した。これら約508μm(20ミル)厚のキャストウェブフィルムは、様々な程度の曇価、落書き防止性、及びスリップ特性を示し、全てフィルム内に分散されたシリコーンポリオキサミドの濃度に応じて増加する。
【0245】
(実施例19)
ポリエチレンテレフタレート(PET)及びシリコーンポリオキサミド(調製例2)のブレンドフィルムを以下のように製造した。インビスタ(Invista)8602 PET樹脂(ノースカロライナ州シャーロット(Charlotte)のインビスタ(Invista)から入手可能)(約0.60IV)を、Kトロン(K-Tron)モデルK−SFS−24/6ペレットフィーダー(フィーダーNo.1)に投入した。シリコーンポリオキサミドを、同様のKトロン(K-Tron)モデルK−SFS−24/6ペレットフィーダー(フィーダーNo.2)に投入した。これらのフィーダーの排出口を、25mmベルストルフ(Berstroff)2軸押し出し機の供給口の上に設置した。ベルストルフ(Berstorff)から下流は、ネックチューブ、ギアポンプ、ネックチューブ、フィードブロック、及び20.3cm(8インチ)のダイとした。ダイは、冷却したキャスティングロール、及び付随する巻取装置のすぐ上に、かつ、ごく接近して配置した。この設定を利用し、フィルムのキャストウェブサンプルを製造した。ダイ、フィードブロック、ネックチューブ、及びギアポンプは、全て277℃(530°F)の温度まで加熱した。2軸押し出し機は、加熱ゾーンにわたって232℃(450°F)から始まり277℃(530°F)まで上昇する、漸進式加熱プロファイルを有した。
【0246】
シリコーンポリオキサミド及びインビスタ(Invista)PETを、を様々な比率で押出成形機に投入し、一連の溶融ブレンドされたサンプルにより、PET中に分散された6〜22重量%のシリコーンポリオキサミドを製造した。これら約508μm(20ミル)厚のキャストウェブフィルムは、様々な程度の曇価、落書き防止性、及びスリップ特性を示し、全てフィルム内に分散されたシリコーンポリオキサミドの濃度に応じて増加する。
【0247】
(実施例20)
低融点PEN(エチレングリコール及び90mol%(エステルを基準として)の2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチル及び10mol%(エステルを基準として)のジメチルテレフタレートの反応生成物を含むスリーエム・カンパニー(3M company)が製造する約0.48IVのポリマー)とシリコーンポリオキサミド(調製例3)のブレンドフィルムを以下のように製造した。低融点PENを、Kトロン(K-Tron)モデルK−SFS−24/6ペレットフィーダー(フィーダーNo.1)に投入した。シリコーンポリオキサミドを、同様のKトロン(K-Tron)モデルK−SFS−24/6ペレットフィーダー(フィーダーNo.2)に投入した。これらのフィーダーの排出口を、25mmベルストルフ(Berstroff)2軸押し出し機の供給口の上に設置した。ベルストルフ(Berstorff)から下流は、ネックチューブ、ギアポンプ、ネックチューブ、フィードブロック、及び20.3cm(8インチ)のダイとした。ダイは、冷却したキャスティングロール、及び付随する巻取装置のすぐ上に、かつ、ごく接近して配置した。この設定を利用し、フィルムのキャストウェブサンプルを製造した。ダイ、フィードブロック、ネックチューブ、及びギアポンプは、全て277℃(530°F)の温度まで加熱した。2軸押し出し機は、加熱ゾーンにわたって232℃(450°F)から始まり277℃(530°F)まで上昇する、漸進式加熱プロファイルを有した。
【0248】
シリコーンポリオキサミド及び低融点PENを、を様々な比率で押出成形機に投入し、一連の溶融ブレンドされたサンプルにより、低融点PEN中に分散された6〜22重量%のシリコーンポリオキサミドを製造した。これら約508μm(20ミル)厚のキャストウェブフィルムは、様々な程度の曇価、落書き防止性、及びスリップ特性を示し、全てフィルム内に分散されたシリコーンポリオキサミドの濃度に応じて増加する。
【0249】
(実施例21)
ポリエチレンナフタレート(PEN)(エチレングリコール及び2,6−ナフタレンジカルボン酸ジメチルの反応生成物を含むスリーエム・カンパニー(3M company)が製造する約0.48IVのポリマー)とシリコーンポリオキサミド(調製例2)のブレンドフィルムを以下のように製造した。PENを、Kトロン(K-Tron)モデルK−SFS−24/6ペレットフィーダー(フィーダーNo.1)に投入した。シリコーンポリオキサミドを、同様のKトロン(K-Tron)モデルK−SFS−24/6ペレットフィーダー(フィーダーNo.2)に投入した。これらのフィーダーの排出口を、25mmベルストルフ(Berstroff)2軸押し出し機の供給口の上に設置した。ベルストルフ(Berstorff)から下流は、ネックチューブ、ギアポンプ、ネックチューブ、フィードブロック、及び20.3cm(8インチ)のダイとした。ダイは、冷却したキャスティングロール、及び付随する巻取装置のすぐ上に、かつ、ごく接近して配置した。この設定を利用し、フィルムのキャストウェブサンプルを製造した。ダイ、フィードブロック、ネックチューブ、及びギアポンプは、全て282℃(540°F)の温度まで加熱した。2軸押し出し機は、加熱ゾーンにわたって249℃(480°F)から始まり282℃(540°F)まで上昇する、漸進式加熱プロファイルを有した。
【0250】
シリコーンポリオキサミド及びPENを、を様々な比率で押出成形機に投入し、一連の溶融ブレンドされたサンプルにより、PEN中に分散された5〜70重量%のシリコーンポリオキサミドを製造した。これら約635μm(25ミル)厚のキャストウェブフィルムは、様々な程度の曇価、落書き防止性、及びスリップ特性を示し、全てフィルム内に分散されたシリコーンポリオキサミドの濃度に応じて増加する。
【0251】
実施例22〜43及び比較例8〜13
10グラム(10グラム)バッチを手を用いて以下の表2に示す割合で乾式混合し、DSMマイクロ15押出成形機に投入した。各バッチをプランジャを用いて押出成形機内に押し込んだ。100rpmにて混合した実施例28〜31以外は、各サンプルを150rpmにて2〜4分間混合した。溶融した混合物を、押出成形機の終末部で、棒状に成型するために小型の加熱シリンダー内へ、又は、プレスシートを製造するために加熱アルミニウム片上へ出した。シリンダーをダイの前に設置し、プランジャ−で材料をダイ中に押し込んだ。アルミニウムシート上の材料は、別のアルミニウムシートをその上に置き、カーバー(Carver)液圧プレスに入れた。プレスは、実施例の押出しに用いた温度と同じ温度に設定した。プラテンを合わせて、材料を平らにした。各サンプルに異なる圧力をかけ、127μm(5ミル)の所望の厚さを得た。
【0252】
材料を剥離テストに従って試験し、その結果を以下の表3及び4に記した。
【0253】
【表5】

【0254】
【表6】

【0255】
【表7】

【0256】
実施例44〜47及び比較例14
組み合わせたブレンド(組成は表5に記す)を手を用いて混合し、圧縮比2.93:1で1−1/4キリオン(Killion)単軸押出成形機に材料供給した。材料は押出成形機内で溶融し混合された。溶融材料を、ネックチューブを通して、1.524dM(6インチ)の平らなフィルムダイに計量しながら投入した。溶融材料をダイから加熱したクロムロール上に出し、ラバーロールでニップした。サージングを防ぐために、のど部の冷却が必要であった。
【0257】
押出し条件を監視し、シリコーンブロックコポリマーの割合が変化する方法条件を記録した。その結果を表6に記す。
【0258】
材料を剥離テストに従って試験し、その結果を以下の表7に記した。
【0259】
【表8】

【0260】
【表9】

【0261】
【表10】

【0262】
実施例48〜51及び比較例15
組み合わせたブレンド(組成は表8に記す)を手を用いて混合し、Kトロン(K-Tron)フィーダーKCLK20を4.5kg/秒(10ポンド/時間)で用いて、L/D36:1のベルストルフ(Berstroff)ウルトラグライド25mm2軸押し出し機に材料供給した。押出成形機は、材料を溶融して混合し、1つのホールダイに計量しながら投入した。これにより生成された1本のストランドを、水浴中で冷却した。ダイからストランド状で出てきた溶融材料を水浴中で冷却した後、乾燥してペレット状に砕いた。
【0263】
押出し条件を監視し、シリコーンブロックコポリマーの割合が変化する方法条件を記録した。その結果を表9に記す。
【0264】
【表11】

【0265】
【表12】

【0266】
実施例52〜55及び比較例16及び17
これらのフィルム例は、実施例6〜19に記載の方法で製造した。以下の表10に、実施例フィルムの製造に用いた各ポリマーの種類及び割合を列挙する。
【0267】
【表13】

【0268】
実施例56〜58及び比較例18
組み合わせたブレンドを手を用いて混合し、圧縮比2.93:1で1−1/4キリオン(Killion)単軸押出成形機に材料供給した。材料は押出成形機内で溶融され混合された。溶融材料を、ネックチューブを通して、1.524dM(6インチ)の平らなフィルムダイに計量しながら投入した。溶融材料をダイから加熱したクロムロール上に出し、ラバーロールでニップした。サージングを防ぐために、のど部の冷却が必要であった。各実施例の量は、以下の表11に示す。ボックステープ(Box tape)371を用いて冷却したフィルムの剥離特性を試験した。
【0269】
【表14】

【0270】
本発明の範囲及び趣旨から逸脱しない本発明の様々な変更や改変は、当業者には明らかとなるであろう。本発明は、本明細書で述べる例示的な実施形態及び実施例によって不当に限定されるものではないこと、また、こうした実施例及び実施形態は、本明細書において以下に記述する特許請求の範囲によってのみ限定されると意図する本発明の範囲に関する例示のためにのみ提示されることを理解すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
少なくとも2個の式I−a:
【化1】

の繰り返し単位を含む少なくとも1種のコポリマー
(式中、
各Rは、互いに独立してアルキル、ハロアルキル、アラルキル、アルケニル、アリール、又はアルキル、アルコキシ、若しくはハロで置換されたアリールであり、
各Yは、互いに独立してアルキレン、アラルキレン、又はそれらの組合せであり、
Gは、式RHN−G−NHRのジアミンから、2個の−NHR基を差し引いたものに等しい二価の残基であり、
は、水素若しくはアルキルであるか、又はRは、Gとともにそれら両方が結合した窒素と一緒になって複素環基を形成し、
各基Bは、独立して共有結合、4〜20個の炭素からなるアルキレン、アラルキレン、アリーレン、又はこれらの組み合わせであり、
nは、互いに独立して0〜1500の整数であり、及び
pは、1〜10の整数である);並びに
ホットメルト加工が可能な熱可塑性樹脂、ホットメルト加工が可能なエラストマー熱硬化性樹脂、シリコーンポリマー、及びこれらの混合物の群から選択される少なくとも1種の有機ポリマーであって、
前記少なくとも1種の有機ポリマーが少なくとも2個の式I−aの繰り返し単位を含むコポリマーではなく、粘着付与樹脂ではなく、かつ、繊維状のナイロンではない、
有機ポリマー;
を含む混合物であって、
前記混合物が2層間の境界面で存在しない、混合物。
【請求項2】
前記コポリマーが、少なくとも2個の式I−b:
【化2】

の繰り返し単位を含み、
前記少なくとも1種の有機ポリマーが、少なくとも2個の式I−bの繰り返し単位を含むコポリマーではない、
請求項1に記載の混合物。
【請求項3】
前記コポリマーの各Rがメチルである、請求項2に記載の混合物。
【請求項4】
前記コポリマーのR基の少なくとも50パーセントがフェニル、メチル、又はこれらの組み合わせである、請求項2に記載の混合物。
【請求項5】
前記コポリマーの各Yが、1〜10個の炭素原子を有するアルキレン、1〜10個の炭素原子を有するアルキレンに結合したフェニレン、又は1〜10個の炭素原子を有する第1のアルキレン及び1〜10個の炭素原子を有する第2のアルキレンに結合したフェニレンである、請求項2に記載の混合物。
【請求項6】
Yが、1〜4個の炭素原子を有するアルキレンである、請求項5に記載の混合物。
【請求項7】
前記コポリマーが、pが1に等しい第1の繰り返し単位及びpが少なくとも2である第2の繰り返し単位を有する、請求項2に記載の混合物。
【請求項8】
前記コポリマーのGが、アルキレン、ヘテロアルキレン、アリーレン、アラルキレン、ポリジオルガノシロキサン、又はこれらの組み合わせである、請求項2に記載の混合物。
【請求項9】
前記コポリマーのnが少なくとも40である、請求項2に記載の混合物。
【請求項10】
前記コポリマーのRが水素である、請求項2に記載の混合物。
【請求項11】
請求項1に記載の混合物と、少なくとも1種の粘着付与材料と、を含む組成物。
【請求項12】
前記粘着付与材料がシリケート樹脂又は有機粘着付与剤である、請求項11に記載の組成物。
【請求項13】
請求項1に記載の混合物と、ホットメルト加工性ではない1種以上の添加物と、を含む組成物。
【請求項14】
剛性を有する少なくとも1枚の基材と、請求項11に記載の粘着付与された組成物を含む少なくとも1枚の層と、を含む、振動減衰拘束層型構成物であって、前記粘着付与された組成物が前記基材に固定された、構成物。
【請求項15】
請求項1に記載の混合物がその上にコーティングされた可撓性基材、を含む振動減衰複合体。
【請求項16】
少なくとも2つの剛性部材であって各剛性部材が別の剛性部材の広い表面に隣接する広い表面を有しそこから密に配置された少なくとも2つの剛性部材と、請求項11に記載の粘着付与された組成物と、を含む、二方向性振動減衰拘束層型構成物であって、前記粘着付与された組成物が密に配置された剛性部材間に包含され、かかる部材に接着された、構成物。
【請求項17】
可撓性基材と、その上にコーティングされた請求項11に記載の粘着付与された組成物とを含む、感圧性接着剤物品。
【請求項18】
非粘着性表面及び粘着性表面を有する請求項1に記載の混合物を含む層を含む、感圧性接着剤物品。
【請求項19】
可撓性基材と、その上にコーティングされた請求項1に記載の混合物とを含む、剥離剤コーティング物品。
【請求項20】
請求項1に記載の混合物を含む、物品。
【請求項21】
基材を更に含み、コポリマーを含む前記混合物が前記基材に隣接した層内にある、請求項20に記載の物品。
【請求項22】
第1の基材及び第2の基材を更に含み、前記コポリマーを含む前記混合物が、前記第1の基材と前記第2の基材との間に配置された層内にある、請求項21に記載の物品。
【請求項23】
請求項1に記載の混合物を含む1枚以上の層を含む、多層フィルム。
【請求項24】
請求項1に記載の混合物を製造する方法であって、
少なくとも1種のポリジオルガノシロキサンポリアミド含有成分、及び、少なくとも1種の有機ポリマーを、継続的に容器に供給することと、
前記成分を混合し、混合物を形成することと、
前記容器から前記混合物を移送することと、
を含む方法。
【請求項25】
混合が実質的に無溶剤条件下で行われる、請求項24に記載の方法。
【請求項26】
請求項1に記載の混合物を製造する方法であって、
少なくとも1種のポリジオルガノシロキサンポリアミドを生成するための反応物質成分と、反応物質成分と反応しない少なくとも1種の有機ポリマーとを継続的に供給することと、
前記成分を混合することと、
前記反応物質成分を反応させ、ポリジオルガノシロキサンアミドセグメント化コポリマーを生成することと、
反応装置から前記混合物を移送することと、
を含む方法。

【公表番号】特表2010−531369(P2010−531369A)
【公表日】平成22年9月24日(2010.9.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−513316(P2010−513316)
【出願日】平成20年6月3日(2008.6.3)
【国際出願番号】PCT/US2008/065645
【国際公開番号】WO2009/002668
【国際公開日】平成20年12月31日(2008.12.31)
【出願人】(505005049)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (2,080)
【Fターム(参考)】