説明

ポリヒドロキシエーテル及び有機粒子を含む接着剤組成物及びそれを用いた回路基板の接続方法

【課題】回路基板に対して高い接着力を発揮することができ、かつ、一旦接続した回路基板から接続を解除し、再接続を行う能力(リペア性)を有する接着剤組成物を提供する。
【解決手段】(i)1種又は複数種の芳香族基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂、
(ii)分子内にアルコキシシリル基とイミダゾール基を含む化合物、及び、
(iii)有機粒子、
を含む接着剤組成物であって、前記有機粒子は前記接着剤組成物の質量を基準として50質量%以上の量で含まれる接着剤組成物。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はポリヒドロキシエーテル及び分子内にアルコキシシリル基とイミダゾール基を含む化合物を含む熱可塑性樹脂相中に有機粒子を分散させた接着剤組成物、および、それを用いた回路の接続などのエレクトロニクス接続方法に関する。
【背景技術】
【0002】
微細ピッチ回路を接続する方法として、絶縁性接着剤中に所定の量の導電性粒子を含有させた異方導電性接着剤がしばしば利用される。このような異方導電性接着剤に用いられる絶縁性樹脂としては、特許文献1(特開昭62−181379号公報)に示されるような熱可塑性樹脂を用いることができる。熱可塑性樹脂は溶剤に可溶性であり、また、熱流動性を保持し続けるので、接続を取り除きそして再接続を行うことができる能力(リペア性)を有する。また、基本的に、樹脂を硬化する必要がないので、短時間の熱圧着で接合できる。しかし、樹脂構造が線状高分子の絡み合いからなるため、外力が課されたときにクリープが起こる。クリープは温度の増加とともに顕著になるので、熱可塑性樹脂による樹脂接続は耐熱性に劣るという欠点がある。クリープの問題を改善するためには、熱可塑性樹脂を高ガラス転移温度(Tg)とすることが有効であるが、このような樹脂は一般に高弾性であるから、温度変化に伴って回路に熱応力を及ぼし、回路の断線などの問題が生じる。また、高弾性の樹脂は接着の剥離強度が低く、接続部に外力が作用した際に剥離してしまう問題があった。熱可塑性樹脂のさらなる問題は、熱及び圧力を作用させて、導体どうしを接触させた状態で、圧力を解除すると、導体のスプリングバック(跳ね返り)のために樹脂が流動し、接圧を保持することができず、良好な電気的接続が得られない。この問題を解決するためには、圧力を解除する前に、樹脂のガラス転移温度(Tg)以下まで温度を下げる必要がある。このような熱圧着操作を行うためには、熱圧着用ボンダーに冷却機構を備えることが必要となる。このようなボンダーはヘッド部を一定温度に保つ機構のボンダーよりも高価になる場合が多い。
【0003】
そこで、特許文献2及び3(それぞれ、特開平1−113480号公報及び特開平1−309206号公報)に示されるように、熱硬化性樹脂を用いる技術が提案され、現在広く用いられている。熱硬化性樹脂は熱硬化することにより、3次元網目を形成し、クリープが起こりにくいので、耐熱性に優れる。反面、接続時に樹脂が3次元網目を形成してしまうので取り外しができず、リペア性に劣る。しかし、電子部品の組立工程においては、リペア性の要求が強く、熱硬化性樹脂をベースとした導電性接着剤に熱可塑性性樹脂を加えて、溶剤でリペアできるようにした特許文献4及び5(それぞれ特開平3−292209号公報及び特開平2−288809号公報)に示される技術が提案されている。しかし、これらの樹脂は、溶剤によってある程度は膨潤するが、圧着時に熱硬化し、3次元網目を形成してしまう点では従来の熱硬化性樹脂と同じであり、熱圧着後の熱流動性は著しく低下している。このような樹脂が接続部に残っていると、再接続時に樹脂が排除されないので、接続不良の原因となる。このため、リペア工程時に樹脂を完全に除去しなければならなかった。また、熱硬化性樹脂を用いた場合に、熱圧着時に十分な熱をかけて熱硬化することが必要なので、熱可塑性樹脂を用いた接合に比べて接合に要する時間が長くなってしまうという問題がある。
【0004】
【特許文献1】特開昭62−181379号公報
【特許文献2】特開平1−113480号公報
【特許文献3】特開平1−309206号公報
【特許文献4】特開平3−292209号公報
【特許文献5】特開平2−288809号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
そこで、本発明の目的の1つは、回路基板に対して高い接着力を発揮することができ、かつ、一旦接続した回路基板から接続を解除し、再接続を行う能力(リペア性)を有する接着剤組成物を提供することである。また、本発明のさらなる目的は導電性粒子を含まなくても回路基板どうしを信頼性をもって電気的に接続することができる接着剤組成物を提供することである。本発明のさらなる目的は、本発明の接着剤組成物により、耐熱性の高い接着構造体を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
本発明は、以下のとおりの態様を含む。
(1)(i)1種又は複数種の芳香族基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂、
(ii)分子内にアルコキシシリル基とイミダゾール基を含む化合物、及び、
(iii)有機粒子、
を含む接着剤組成物であって、前記有機粒子は前記接着剤組成物の質量を基準として50質量%以上の量で含まれる接着剤組成物。
【0007】
(2)前記芳香族基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂は以下の化学構造単位(I)〜(III)
【化1】

(式中、Rは各々独立して、水素、又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基である)のいずれかを含む、上記(1)記載の接着剤組成物。
【0008】
(3)前記ポリヒドロキシエーテル樹脂は以下の化学構造単位(I’)〜(III’)
【化2】

(式中、Rは各々独立して、水素、又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり、Arは二価の芳香族基含有基である)からなるポリマーである、上記(2)記載の接着剤組成物。
【0009】
(4)前記分子内にアルコキシシリル基とイミダゾール基を含む化合物は、以下の一般式(IV)
【化3】

(式中、mは1、2又は3の整数であり、nは1、2又は3の整数であり、Rは独立に水素又は1〜20個の炭素原子を有する有機基、たとえば、アルキル基であり、pは0、1又は2であり、qは1、2又は3であり、R及びRは独立に1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり、但し、Rのうちの1つがX基と共有結合してSiを含む環を形成してそのRがX基への直接結合として作用してもよく、Xは3〜約12個の炭素原子を有する有機基であって、置換されていても又は置換されていなくてもよく、直鎖であっても、枝分かれであっても又は環式であってもよく、エーテル結合を含んでもよく、また、Xは別の一般式(IV)の分子との反応生成物も含むことができ、それにより、Xはアルコキシシリル基及びイミダゾール基を含むことができる)を有する、上記(1)〜(3)のいずれか1項記載の接着剤組成物。
【0010】
(5)エポキシ樹脂をさらに含む、上記(1)〜(4)のいずれか1項記載の接着剤組成物。
【0011】
(6)前記有機粒子はアクリル粒子である、上記(1)〜(5)のいずれか1項記載の接着剤組成物。
【0012】
(7)導体を有する第一の基板と、導体を有する第二の基板との間の導体接続方法であって、該第一の基板と該第二の基板との間に上記(1)〜(6)のいずれか1項記載の接着剤組成物を介在させ、熱及び圧力を印加することで、該第一の基板の導体と該第二の基板の導体とを接触させ、接圧を保持する導体接続方法。
(8)前記第一の基板は前記導体に粗化処理を施したものである、上記(7)記載の方法。
【0013】
(9)導体を有する第一の基板と、導体を有する第二の基板との間の導体接続及びリペア方法であって、該第一の基板と該第二の基板との間に上記(1)〜(6)のいずれか1項記載の接着剤組成物を介在させ、熱及び圧力を印加することで、該第一の基板の導体と該第二の基板の導体とを接触させて接続し、その後、加熱しながら接続を解除し、さらに、再結合させる、導体接続及びリペア方法。
(10)前記第一の基板は前記導体に粗化処理を施したものである、上記(9)記載の方法。
【0014】
(11)上記(7)〜(10)のいずれか1項記載の方法により導体接続された構造体。
【発明の効果】
【0015】
本発明の接着剤組成物は、短時間の熱圧着で、銅箔やポリイミドに対して高い接着力を発現する。また、Tgが高く、耐熱性が良好である。このため、本発明の接着剤組成物は、導電性粒子なしに、フレキシブル配線板と別の基板、たとえば、ガラス基板との接続を行うのに適している。
本発明の接着剤組成物は、接着剤組成物中に含まれる有機粒子に基づく塑性流動性を有する。このため、接着剤組成物は、接続後に、大きな応力を加えないかぎり、流動せず、接続を保持することができる一方、接続部に比較的に大きい応力を加えることで、接着剤組成物の流動性を発現することができる。結果として、接着剤組成物は、接続操作後の接続解除及び再結合の能力(すなわち、リペア性)がある。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
本発明について、以下の実施形態に基づいて説明するが、本発明は記載される具体的な実施形態に限定されるものではない。
本発明の接着剤組成物は、(i)1種又は複数種の芳香族基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂、(ii)分子内にアルコキシシリル基とイミダゾール基を含む化合物、及び、(iii)有機粒子を含み、有機粒子は接着剤組成物の質量を基準として50質量%以上の量で含まれる。本発明の接着剤組成物の主成分は有機粒子で、好ましくは、アクリル粒子などのエラスティックな有機粒子であり、その間を、芳香族基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂を含む熱可塑性樹脂の相が包囲している。接着剤組成物が上述の量で有機粒子を含むと、粒子間の相互作用が強くなり、比較的に小さい応力では粒子間の物理的相互作用のために流動が起こらない。一方、粒子間の物理的相互作用を破壊する程度の応力が作用すると、流動性を発現する。このような流動は塑性流動又はビンガム塑性と呼ばれる。このような特殊なレオロジー的性質のために、本発明の接着剤組成物はクリープを起こしにくいという特徴を有する。一方、熱圧着による導体間の接続工程では、比較的に高い圧力が導体に作用するので、接着剤組成物は塑性流動によって容易に押し退けられ、導体どうしの接触が接着剤組成物内で達成される。圧着操作を終了した後には、流動性が低下し、したがって、接着剤組成物の接続保持性が確保される。
【0017】
上述の効果を発揮する有機粒子としては、アクリル系樹脂、スチレン−ブタジエン系樹脂、スチレン−ブタジエン−アクリル系樹脂、メラミン樹脂、メラミン−イソシアヌレート付加物、ポリイミド、シリコーン樹脂、ポリエーテルイミド、ポリエーテルスルフォン、ポリエステル、ポリカーボネート、ポリエーテルエーテルケトン、ポリベンゾイミダゾール、ポリアリレート、液晶ポリマー、オレフィン系樹脂、エチレン−アクリル共重合体などの粒子が使用され、そのサイズは、10μm以下、好ましくは5μm以下とされる。有機粒子は好ましくはアクリル系樹脂からなるアクリル粒子である。アクリル粒子は接着剤組成物系の弾性率をあまり高くしないので、接続部近傍での熱応力を与えにくいからである。有機粒子の量は好ましくは接着剤組成物を基準として少なくとも約50質量%である。有機粒子の量は好ましくは接着剤組成物を基準として約90質量%未満である。有機粒子の量が少なすぎると、塑性流動性を示さず、多量でありすぎると、接着剤組成物の耐熱性が確保できず、また、接着力及び凝集強さが不十分になることがある。
【0018】
有機粒子の間には、つなぎの役割として、芳香族基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂を含む熱可塑性樹脂が存在する。芳香族基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂はガラス転移温度(Tg)が高いので、接着剤組成物の耐熱性を高めることができる。このため、芳香族基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂は以下の化学構造単位(I)〜(III)
【0019】
【化4】

【0020】
(式中、Rは各々独立して、水素、又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基である)のいずれかを含み、より詳細には、ポリヒドロキシエーテル樹脂は以下の化学構造単位(I’)〜(III’)
【0021】
【化5】

【0022】
(式中、Rは各々独立して、水素、又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり、Arは二価の芳香族含有基である)からなるポリマーである。Arはたとえば、ビフェニル又はアルキリデンジフェニルであり、1個以上の不活性置換基、たとえば、1〜3個の炭素原子のアルキル基で置換されていてもよい。言い換えれば、Arはビフェノール又はビスフェノールに基づく芳香族残基であって、すなわち、OH−Ar−OHは、Arが1個以上の不活性基、たとえば、1〜3個の炭素原子のアルキル基で置換されていてよいビフェノール又はビスフェノールである。
【0023】
上述の芳香族基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂は剛直な構造を有するが、接着剤組成物の主成分はアクリル粒子などの有機粒子であるから、接着剤組成物の全体としては弾性率がそれほど大きくならず、接続部近傍の導体に熱応力を与えにくい。
【0024】
ポリヒドロキシエーテル樹脂は好ましくは重量平均分子量(Mw)が1万〜500万である。分子量が低すぎると、高温において接合部の接続が解除されることがあり、また、分子量が高すぎると、熱圧着操作を行うのに適切な接着剤組成物の流動性を得ることができない。なお、重量平均分子量(Mw)はゲルパーミエーションクロマトグラフィー(GPC)(ポリスチレン標品基準)で測定される。
【0025】
芳香族ポリヒドロキシエーテル樹脂は、一般に、以下のとおりに製造されうる。
化学構造(I)〜(III)を誘導する二価フェノール(たとえば、(I)の場合、4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェノール)と、アルキリデンジフェノールジグリシジルエーテルやビフェニルジグリシジルエーテルなどの芳香族ジグリシジルエーテルとを、シクロヘキサノンなどの適切な溶剤中で混合し、加熱して溶解させる。次いで、この溶液に、触媒溶液を添加して、攪拌しながら反応させることで芳香族基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂を得ることができる。
【0026】
また、本発明の接着剤組成物は、分子内にアルコキシシリル基とイミダゾール基を含む化合物を含む。アルコキシシリル基の加水分解により生じるシラノール基は、芳香族基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂の(I)〜(III)で示された化学構造中のOH基や被着体表面のOH基と容易に共有結合を生じる。また、シラノール基を含む化合物どうしでも反応し、シラノールオリゴマーを形成することができる。このようなメカニズムによって、本発明の接着剤組成物は熱圧着時に接着剤組成物と被着体との界面で化学結合を形成し、非常に高い接着力を発現することができる。また、分子内にアルコキシシリル基とイミダゾール基を含む化合物のイミダゾール基はシラノール基の反応のための触媒として作用することができるので、このメカニズムを促進することができる。
【0027】
分子内にアルコキシシリル基とイミダゾール基を含む化合物は、以下の一般式(IV)
【化6】

【0028】
(式中、mは1、2又は3の整数であり、nは1、2又は3の整数であり、Rは独立に水素又は1〜20個の炭素原子を有する有機基、たとえば、アルキル基であり、pは0、1又は2であり、qは1、2又は3であり、R及びRは独立に1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり、但し、Rのうちの1つがX基と共有結合してSiを含む環を形成してそのRがX基への直接結合として作用してもよく、Xは3〜約12個の炭素原子を有する有機基であって、置換されていても又は置換されていなくてもよく、直鎖であっても、枝分かれであっても又は環式であってもよく、エーテル結合を含んでもよく、また、Xは別の一般式(IV)の分子との反応生成物も含むことができ、それにより、Xはアルコキシシリル基及びイミダゾール基を含むことができる)を有することができる。本発明において使用可能な分子内にアルコキシシリル基とイミダゾール基を含む化合物は、たとえば、特開平7−68256号公報などに記載されている。詳細には、分子内にアルコキシシリル基とイミダゾール基を含む化合物は、
【0029】
【化7】

【0030】
(式中、R2’は水素又は1〜20個の炭素原子を有するアルキル基であり、R2”は水素、ビニル基又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり、R3’及びR4’は独立に1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり、nは1〜3である)を有することができる。
【0031】
分子内にアルコキシシリル基とイミダゾール基を含む化合物はシラノール基の反応などの反応を触媒するのに有効な量であればよく、たとえば、接着剤組成物の質量を基準として0.05〜5質量%程度で十分である。
【0032】
同一化合物中に両方の基を含むことによって、これらの基同士の反応がより効率的に発生すると考えられる。この化合物は触媒として少量しか含まないため、別々の化合物として含んでいる場合には、反応時に二つの基が出会う確率が低く、反応を効率的に発生できない。反応の効率を上げるために触媒を多量に添加することも考えられるが、そのようにすると接着剤組成物の特性を低下させてしまう。従って、同一化合物中に両方の基を含むと、少量の触媒で、非常に効率の高い反応を起こさせることができる。
【0033】
本発明の接着剤組成物は、リペア性を損なわない量のエポキシ樹脂をさらに含んでよい。エポキシ樹脂は熱硬化性樹脂であるから、三次元網目構造を形成して、リペア性が損なわれる可能性がないわけではない。しかしながら、エポキシ樹脂は(I)〜(III)の化学構造と高い相溶性を有するため、芳香族ポリヒドロキシエーテル樹脂を含む熱可塑性成分とエポキシ樹脂との系は1つの相を形成し、その相のガラス転移温度(Tg)は非常に高い。このような系では、エポキシ基の分子運動性は極端に抑制されており、室温では実質的に反応が進行しない。このような現象はGillhamとその共同研究者によって研究されている(詳細についてはG.Wisanrakkit and J.K. Gillham, J. Applied Polym. Sci., Vol.41, 2885〜2929, 1990を参照されたい)。このため、本発明の接着剤組成物にエポキシ樹脂を添加すると、イミダゾール基を含む化合物による触媒作用で、熱圧着時にその一部が反応するが、熱圧着時間が比較的に短ければ、三次元網目構造を形成するには至らず、リペア性は損なわれない。エポキシ樹脂の部分的な反応は、エポキシ基の開環で生成したOH基と被着体との間に水素結合を形成するので、接着力のさらなる改善に寄与する。
【0034】
エポキシ樹脂としては、例えば、ポリカプロラクトン変性エポキシ樹脂、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAジグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フルオレンエポキシ樹脂、グリシジルアミン樹脂、脂肪族エポキシ樹脂、臭素化エポキシ樹脂、フッ素化エポキシ樹脂などが使用可能である。
なお、接着剤組成物のリペア性を維持するために、エポキシ樹脂の量は接着剤組成物の30質量%以下の量で含まれることがよい。
【0035】
本発明の接着剤組成物は、必要に応じて、他の成分を含むこともできる。たとえば、金属の酸化を防ぐためのフラックス性のある化合物、例えばロジンなど、防錆剤として作用するキレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)など)、シッフ塩基など、エポキシ樹脂に対する硬化促進剤:ジシアンジアミド(DICY)、有機酸ヒトラジド、アミン、有機カルボン酸、ポリメルカプタン系硬化剤、フェノール類、イソシアネートなどを含むことができる。
なお、本発明の接着剤組成物は導電性粒子を含むことを排除するわけではないが、好ましくは導電性粒子を含まない。本発明の接着剤組成物は、導電性粒子を含まなくても、フレキシブル配線板の導体の接続を行うことが可能であり、このことは、微小ピッチの配線板の接続の際に、隣接導体配線の導電性粒子による短絡を防止することができるので特に有利である。
【0036】
本発明の接着剤組成物は、導体を有する第一の基板と、導体を有する第二の基板との導体接続に好適に使用することができ、特に、フレキシブル配線板と、導体を有する別の基板との接続に好適に使用することができる。本発明は、一つの態様によると、導体とフレキシブル基板とからなり、場合により、該導体に粗化処理を施したフレキシブル配線板と、導体を有する第二の基板との間の導体接続方法であって、該フレキシブル配線板と該第二の基板との間に本発明の接着剤組成物を介在させ、熱及び圧力を印加することで、該フレキシブル配線板の導体と該第二の基板の導体とを接触させ、接圧を保持する導体接続方法を提供する。また、本発明の接着剤組成物を用いると、導体どうしの接続後に、加熱しながら接続を解除し、さらに、再結合させるリペア性を発揮することができる。
【0037】
フレキシブル配線板は、限定するわけではないが、通常、銅箔からなる導体配線を、ポリイミド基板上に形成したものである。一方、第二の基板は硬質プリント配線板、フレキシブルプリント配線板、ガラス基板、セラミック基板などであることができる。
【0038】
フレキシブル配線板の導体は以下のとおりの粗化方法を施すことで、接着剤組成物中に導電性粒子を含有しなくても、確実に接続を行うことができる。粗化された表面の導体が接続対象の導体と接触しやすくなるからである。粗化処理としては、化学処理(銅の黒化処理、ソフトエッチング、陽極酸化、電気メッキ、無電解メッキ)又は物理処理(液体ホーニング処理、サンドブラスト、サンドペーパーなどによる研磨、表面に凹凸のある硬質金属を押し当てるエンボス処理)を採用することができる。粗化された導体の表面は、金、錫、銀、ニッケルなどの金属を無電解メッキ又は電解メッキにより処理することが望ましい。このような方法では、高価な導電性粒子を用いないので、材料コストを大幅に低減することができる。このような接続の特に有用な応用は、液晶ディスプレイ、プラズマディスプレイ、有機エレクトロルミネセンス(EL)ディスプレイなどに使用されるガラス基板と、フレキシブルプリント配線板との接合である。これらの基板は一般に多数のスレキシブル基板プリント配線板と接合されるので、接続不良が生じた場合に、リペアすることが必要となる。本発明の接続は、接続箇所を加熱しながら剥離・脱着し、さらに再結合することができるので特に有効である。また、近年、ディスプレイの画素数の増加に伴って、ガラスパネル上の電極ピッチは狭くなってきている。特に、中、小型ディスプレイで大型ディスプレイと同じ画素数を達成しようとすると、ガラスパネル上の電極ピッチは狭く、たとえば、50μm以下になってしまうことがある。このような場合に、導電性粒子を含む接着剤組成物を用いて接続を行うと、導電性粒子が電極間をショートさせてしまう危険性が高まる。このため、導電性粒子を必要としない本発明の接着剤組成物を用いた接続方法は極めて有効な手段である。
【0039】
導体表面の粗化処理では、表面粗さ(Rz)が1〜10であるように行うことが好ましい。Rzは3〜10であることが接続安定性の観点からさらに好ましい。なお、Rzは十点平均粗さと呼ばれ、評価長さの中で、平均線から最も高い山から5番目までの山の高さの平均と、最も深い谷から5番目までの谷の深さの平均の和であり、JIS B 0601:1994により測定されるものとして定義される。
【実施例】
【0040】
以下において、本発明を実施例に基づいて説明する。しかし、実施例は本発明を制限するものと解釈されるべきでない。
【0041】
1.原料
ポリヒドロキシエーテル樹脂(PHE1)
フルオレンビスフェノールポリヒドロキシエーテルを以下の方法で合成した。
還流器付きの2リットルのセパラブルフラスコに、フルオレンビスフェノール(4,4’−(9−フルオレニリデン)ジフェノール)100g、ビスフェノールAジクリシジルエーテル(DER332(商品名):ダウ・ケミカル日本株式会社から入手可能なエポキシ樹脂、エポキシ当量174)100gおよびシクロヘキサノン300gを入れ、150℃で完全に溶解させた。この溶液をスクリューで攪拌しながら、トリフェニルフォスフィンのシクロヘキサノン溶液(6.2wt%)16.1gを滴下し、攪拌を続けながら150℃で10時間加熱した。得られたポリマーの分子量を、テトラヒドロフラン(THF)溶液によってゲルパーミエーションクロマトグライー(GPC)でポリスチレン標品を用いて測定したところ、数平均分子量(Mn)=24000及び重量平均分子量(Mw)=96000であった。
得られたポリヒドロキシエーテル樹脂(PHE1)は以下の繰り返し単位を有するポリマーである。
【0042】
【化8】

【0043】
ポリヒドロキシエーテル樹脂(PHE2)
ビスフェノールAとビスフェノールS−エポキシからなるポリヒドロキシエーテル(YPS007A30:東都化成社から入手可能)を用意した。
このポリマーは、GPC測定(ポリスチレン標品)による重量平均分子量(Mw)は40000である。ポリヒドロキシエーテル樹脂(PHE2)は以下の繰り返し単位を有するポリマーである。
【0044】
【化9】

【0045】
ポリヒドロキシエーテル樹脂(PHE3)
以下の繰り返し単位を有し、GPC測定(ポリスチレン標品)による数平均分子量(Mn)が14500であり、重量平均分子量(Mw)が39000であるポリヒドロキシエーテル樹脂(PHE3)を用意した。
【0046】
【化10】

【0047】
ポリヒドロキシエーテル樹脂(PHE4)
以下の繰り返し単位を有し、GPC測定(ポリスチレン標品)による数平均分子量(Mn)が14000であり、重量平均分子量(Mw)が38000であるポリヒドロキシエーテル樹脂(PHE4)を用意した。
【0048】
【化11】

【0049】
ポリヒドロキシエーテル樹脂(PHE5)
以下の繰り返し単位を有し、GPC測定(ポリスチレン標品)による重量平均分子量(Mw)が47500であるポリヒドロキシエーテル樹脂(PHE5)を用意した。
【0050】
【化12】

【0051】
有機粒子
有機粒子として、アクリル粒子(EXL2314: PARALOID(商標)EXLTM Rohm and Haas Companyから入手可能)を用いた。
【0052】
エポキシ樹脂
追加成分として、以下のエポキシ樹脂を用いた。
YD128:東都化成社から入手可能、エポキシ当量180
G402:ポリカプロラクトン変性エポキシ樹脂:ダイセル化学工業株式会社から入手可能、エポキシ当量 1350
【0053】
触媒として以下のものを用いた。
KBM403 : 3-グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(信越化学工業社から入手可能)、
2MI : 2−メチルイミダゾール
IS1000 :日鉱マテリアルズ社から入手可能なイミダゾールシラン、
IM1000 : 日鉱マテリアルズ社から入手可能なイミダゾールシラン、
KE604 :荒川化学工業株式会社から入手可能なロジン。
【0054】
その他
YP50S:東都化成社から入手可能なフェノキシ樹脂。
【0055】
2.接着剤組成物の調製
下記の表1に記載されるとおりの配合比の接着剤組成物をテトラヒドロフラン(THF)500g+メタノール20gの混合溶剤に溶解・分散し、ナイフコーターを用いてフィルム状の接着剤を作成した。
【0056】
【表1】

【0057】
3.測定
3.1.動的粘弾性解析(DMA)測定
得られた接着剤組成物の動的粘弾性解析(DMA)はレオメトリックス社(Rheometrics社)のRSA(商品名)を用いて行った。DMA測定のためのサンプルサイズは30×5×0.06mmであった。1Hzの周波数で伸縮モードで0.5%歪の振幅にて5℃ずつ昇温して測定を行った。貯蔵弾性率E’と損失弾性率E”を求め、ガラス転移温度(Tg)をtanδ=E’/E”のピークになる温度として求めた。
【0058】
3.2.ピール強度の測定
2mmのガラスエポキシ(FR4)の上に接着剤フィルムを置き、その上に圧延銅箔(厚さ35μm)またはポリイミド(厚さ25μm、デュポン社のKapton(商標))を置き、圧力3MPa、200℃で20秒間の熱圧着を行って接着させた。このようにして得られた試験片から、銅箔又はポリイミドの端部を接着剤から剥離させておき、剥離角度90°を保持しながら50mm/分の速度で剥離した際の荷重を平均し、ピール強度を求めた。ここで、銅箔に対する接着力は銅箔の凹凸の中に樹脂が入り込んで発生する投錨(アンカー)効果と、接着剤と被着体との間に生じる分子間力及び化学結合との合算値であり、ポリイミドに対する接着力は、ポリイミド表面が平滑であるから、投錨効果が得られず、したがって、接着剤と被着体との間に生じる分子間力及び化学結合による接着力であると考えられる。
【0059】
4.結果
実施例及び比較例の測定結果を下記の表2に示す。
【表2】

【0060】
実施例及び比較例ともに、銅箔に対する十分な接着力が発現した。しかし、比較例においては、ポリイミドに対する接着力はきわめて低い。このため、ポリイミドについては、接着剤と被着体との間に生じる分子間力及び化学結合による接着力は低いと考えられる。また、比較例1ではイミダゾールのみを含み、比較例3では、アルコキシシリル基とエポキシ基を含んでいるが、効果は認められない。さらに、比較例2では、イミダゾールを含む化合物と、アルコキシシリル基を含む化合物とを別々の化合物として含んでいるが、効果は認められなかった。すなわち、1つの分子中にイミダゾール基とアルコキシシリル基とを含む化合物を用いることが重要であることが判った。
【0061】
5.接続試験
導体の粗化方法1
エスネパックス基材に厚さ12μmの銅パターンを有するライン幅0.1mmでピッチ0.2mmのフレキシブルプリント配線板(FPC)を用意した。銅パターンの表面を、過硫酸ナトリウム(100g/L)及び硫酸(18g/L)を含む水溶液で25℃/2分間ソフトエッチングし、硫酸(100g/L)で室温で1分間洗浄後、無電解メッキ(Au1.2g/L、pH=7.2)で0.045μmの金メッキを表面に形成した。
【0062】
導体の粗化方法2
エスネパックス基材に厚さ12μmの銅パターンを有するライン幅0.1mmでピッチ0.2mmのフレキシブルプリント配線板(FPC)を用意した。銅パターンの表面を、液体ホーニング加工(数ミクロンのシリコンカーバイドを分散させた水を高速で吹き付ける処理)で物理的に処理した後に、洗浄し、過硫酸ナトリウム(100g/L)及び硫酸(18g/L)を含む水溶液で25℃/2分間ソフトエッチングし、硫酸(100g/L)で室温で1分間洗浄後、無電解メッキ(Au1.2g/L、pH=7.2)で0.050μmの金メッキを表面に形成した。
【0063】
導体の粗化方法3
カプトン基材に厚さ12μmの銅パターンを有するライン幅0.1mmでピッチ0.04mmのフレキシブルプリント配線板(FPC)を用意した。メルテックス社のソフトエッチング剤、エンプレートE−462(商品名)を50ミリリットル/リットルに希釈した溶液と、HSO(98%)を10〜200ミリリットル/リットルに希釈した溶液と、H(35%)を30〜70ミリリットル/リットルに希釈した溶液を1:1:1の混合比で混合したもので、銅パターンの表面を10〜120秒間処理し、粗化した。その上に、無電解ニッケルメッキを行った後に、電解金メッキ処理を行った。
【0064】
FPCとインジウムスズオキシド(ITO)蒸着ガラス基板との接続
FPCに接着剤フィルム(厚さ9μm)を200℃でラミネートし、ITOを蒸着した(1500Å)ガラス基板(6×6×0.5mm)の上に、ピーク温度210℃、圧力5.5Mpa、圧着時間5秒で圧着した。FPCパターン中の3ライン(1ラインは電流用、1ラインは電圧測定用、1ラインは電流・電圧共用)を用い、電流を印加して、電圧を測定する4端子電位差法を用いてITOと導体との接続抵抗を測定した。表3に得られた結果を示す。また、比較のために、同じ評価モデルを用いて、ソニーケミカル株式会社製の異方導電膜(CP9120FS)を用いて、ピーク温度180℃、圧力3.5Mpa、圧着時間10秒で圧着した結果も示した。また、ITO蒸着したガラス基板を200℃のホットプレートに押し当てて、FPCを剥離させた後に、上記の方法で再接続してリペアを行った。
【0065】
【表3】

【0066】
なお、表3において、比較例4の接着剤組成物はアクリル粒子の添加量が50質量%未満であるから、塑性流動が十分でなく、接続できなかったものと考えられる。
【0067】
上述の粗化方法3を用いて、種々の時間で粗化方法を行い、下記の表4〜6に示された粗度(Rz)のものを作製した。なお、粗度(Rz)は菱化システム製三次元非接触表面形状計測システムMM520N−M100型を使用して測定した。
また、その上に2水準の厚さ(1.5μmと3μm)のNiメッキを施し、その上に金メッキを行った。FPCに実施例6の接着剤フィルム(厚さ9μm)を200℃でラミネートし、ITOを蒸着した(1500Å)ガラス基板(6×6×0.5mm)の上に、ピーク温度180℃、圧力5.5Mpa、圧着時間15秒で圧着した。FPCパターン中の3ライン(1ラインは電流用、1ラインは電圧測定用、1ラインは電流・電圧共用)を用い、電流を印加して、電圧を測定する4端子電位差法を用いてITOと導体との接続抵抗を測定した。結果を下記の表4〜6に示す。
【0068】
【表4】

【0069】
【表5】

【0070】
【表6】

【0071】
上記結果から、銅箔の表面を粗化処理することにより、良好に接続できるようになることが判った。特に、銅箔の粗度Rzが1.99μm以上では、良好な初期抵抗が得られること、及び、銅箔の粗度Rzが3.8μm程度では、高温・高湿のエージング処理を行っても安定な接続が得られることが判る。
【0072】
FPCとガラスエポキシ配線板との接続
0.2mmピッチ、51ラインの導体(導体厚さ18μm、導体幅0.1mm、Ni/Auメッキあり、粗化処理なし、Rz<0.5μm)を有するガラスエポキシ(FR4)基板と、エスパネックス基材に厚さ12μm、幅0.1mmの銅パターンをピッチ0.2mmで有するFPCの間に30μmの実施例3の接着剤組成物をはさみ、大崎エンジニアリング社のセラミックボンダー(CT−300)を用いて熱圧着を行った。圧着時の最大到達温度(ボンドラインの実測温度値)は210℃で、圧着時間は15秒間であった。上述のとおりのFPCとガラスエポキシ配線版との接合により、51箇所の接続が直列になった電気回路が形成された。この回路の電気抵抗を測定した。測定は、接合部に荷重をかけない状態(FPC側をまっすぐにした状態)と、接合部に荷重をかけた状態(FPCをガラスエポキシ基板側に180°折り返した状態)で行った。なお、初期の測定値を得た後に、温度85℃、相対湿度85%のオーブンに入れて、各経過時間(H)後に測定を行った。結果を下記の表7〜9に示す。さらに、ヒートショックを行い、次いで、抵抗値を測定した。ヒートショックでは、サンプルを−55℃の試験槽に30分間保持し、次いで125℃の試験槽にサンプルを約30秒間で移送し、125℃で30分間保持した(この作業を1サイクルとする)。また、サンプルを−55℃の試験槽に約30秒間で移送し、上述と同じ操作を繰り返した。ヒートショック後に測定した抵抗値を下記の表10に示す。
【0073】
【表7】

【0074】
【表8】

【0075】
【表9】

【0076】
【表10】

【0077】
FPCとガラスエポキシ配線板との接続では、導体表面の粗化処理を行わなくても良好な接続が得られることがわかった。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
(i)1種又は複数種の芳香族基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂、
(ii)分子内にアルコキシシリル基とイミダゾール基を含む化合物、及び、
(iii)有機粒子、
を含む接着剤組成物であって、前記有機粒子は前記接着剤組成物の質量を基準として50質量%以上の量で含まれる接着剤組成物。
【請求項2】
前記芳香族基含有ポリヒドロキシエーテル樹脂は以下の化学構造単位(I)〜(III)
【化1】

(式中、Rは各々独立して、水素、又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基である)のいずれかを含む、請求項1記載の接着剤組成物。
【請求項3】
前記ポリヒドロキシエーテル樹脂は以下の化学構造単位(I’)〜(III’)
【化2】

(式中、Rは各々独立して、水素、又は1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり、Arは二価の芳香族基含有基である)からなるポリマーである、請求項2記載の接着剤組成物。
【請求項4】
前記分子内にアルコキシシリル基とイミダゾール基を含む化合物は、以下の一般式(IV)
【化3】

(式中、mは1、2又は3の整数であり、nは1、2又は3の整数であり、Rは独立に水素又は1〜20個の炭素原子を有する有機基、たとえば、アルキル基であり、pは0、1又は2であり、qは1、2又は3であり、R及びRは独立に1〜3個の炭素原子を有するアルキル基であり、但し、Rのうちの1つがX基と共有結合してSiを含む環を形成してそのRがX基への直接結合として作用してもよく、Xは3〜12個の炭素原子を有する有機基であって、置換されていても又は置換されていなくてもよく、直鎖であっても、枝分かれであっても又は環式であってもよく、エーテル結合を含んでもよく、また、Xは別の一般式(IV)の分子との反応生成物も含むことができ、それにより、Xはアルコキシシリル基及びイミダゾール基を含むことができる)を有する、請求項1〜3のいずれか1項記載の接着剤組成物。
【請求項5】
エポキシ樹脂をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項記載の接着剤組成物。
【請求項6】
前記有機粒子はアクリル粒子である、請求項1〜5のいずれか1項記載の接着剤組成物。
【請求項7】
導体を有する第一の基板と、導体を有する第二の基板との間の導体接続方法であって、該第一の基板と該第二の基板との間に請求項1〜6のいずれか1項記載の接着剤組成物を介在させ、熱及び圧力を印加することで、該第一の基板の導体と該第二の基板の導体とを接触させ、接圧を保持する導体接続方法。
【請求項8】
前記第一の基板は前記導体に粗化処理を施したものである、請求項7記載の方法。
【請求項9】
導体を有する第一の基板と、導体を有する第二の基板との間の導体接続及びリペア方法であって、該第一の基板と該第二の基板との間に請求項1〜6のいずれか1項記載の接着剤組成物を介在させ、熱及び圧力を印加することで、該第一の基板の導体と該第二の基板の導体とを接触させて接続し、その後、加熱しながら接続を解除し、さらに、再結合させる、導体接続及びリペア方法。
【請求項10】
前記第一の基板は前記導体に粗化処理を施したものである、請求項9記載の方法。
【請求項11】
請求項7〜10のいずれか1項記載の方法により導体接続された構造体。

【公開番号】特開2008−7555(P2008−7555A)
【公開日】平成20年1月17日(2008.1.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−176796(P2006−176796)
【出願日】平成18年6月27日(2006.6.27)
【出願人】(599056437)スリーエム イノベイティブ プロパティズ カンパニー (1,802)
【Fターム(参考)】