マイクロ波照射装置およびマイクロ波照射方法
【課題】複数のマグネトロンを用いて反射電力を少なくしてマイクロ波を照射することができるマイクロ波照射装置およびマイクロ波照射方法を提供すること。
【解決手段】マイクロ波照射装置100は、被処理体を収容するチャンバ1と、電圧が供給されることによりマイクロ波を発生させ、そのマイクロ波を前記チャンバ1内の被処理体に照射するための複数のマグネトロン10a,10bと、これら複数のマグネトロン10a,10bにパルス状電圧を供給する電源部20とを具備し、電源部20は、複数のマグネトロン10a,10bにそれぞれ供給されるパルス状電圧の電圧パルス同士が時間的に重ならないように電圧を供給する。
【解決手段】マイクロ波照射装置100は、被処理体を収容するチャンバ1と、電圧が供給されることによりマイクロ波を発生させ、そのマイクロ波を前記チャンバ1内の被処理体に照射するための複数のマグネトロン10a,10bと、これら複数のマグネトロン10a,10bにパルス状電圧を供給する電源部20とを具備し、電源部20は、複数のマグネトロン10a,10bにそれぞれ供給されるパルス状電圧の電圧パルス同士が時間的に重ならないように電圧を供給する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波を対象物に照射して加熱等の処理を行うマイクロ波照射装置およびマイクロ波照射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、ドーパントの活性化等のためにアニール処理が行われるが、このようなアニールとしてマイクロ波アニールが提案されている(例えば特許文献1)。マイクロ波アニールは、不純物拡散が少なく、浅い活性層を形成できることから、次世代のアニール技術として注目されている。また、マイクロ波によりアニール処理を行う場合には、格子欠損の修復も可能であることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−516375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マイクロ波発生装置としては、マグネトロンを備えたものが一般的であるが、アニールの対象が300mmウエハの場合には、単一のマグネトロンではパワーが不十分で、複数のマグネトロンが必要となる場合がある。しかし、複数のマグネトロンを用いてマイクロ波を合成する場合に、複数のマグネトロンからのマイクロ波を同時に照射すると、プラズマ状態で合成する場合とは異なり、電磁波(マイクロ波)同士が干渉し、互いに反射波が多くなり、効率的にパワーを入れることが困難となる。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、複数のマグネトロンを用いて反射電力を少なくしてマイクロ波を照射することができるマイクロ波照射装置およびマイクロ波照射方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、被処理体を収容するチャンバと、電圧が供給されることによりマイクロ波を発生させ、そのマイクロ波を前記チャンバ内の被処理体に照射するための複数のマグネトロンと、前記複数のマグネトロンにパルス状電圧を供給する電源部とを具備し、前記電源部は、前記複数のマグネトロンにそれぞれ供給されるパルス状電圧の電圧パルス同士が時間的に重ならないように電圧を供給することを特徴とするマイクロ波照射装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、複数のマグネトロンにパルス状電圧を供給して発生するマイクロ波をチャンバ内の被処理体に照射するマイクロ波照射方法であって、前記複数のマグネトロンにそれぞれ供給されるパルス状電圧の電圧パルス同士が時間的に重ならないように電圧を供給することを特徴とするマイクロ波照射方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のマグネトロンにそれぞれ供給されるパルス状電圧の電圧パルス同士が時間的に重ならないように電圧を供給するので、複数のマグネトロンから同時にマイクロ波を発生させる時間が存在しないようにすることができる。このため、複数のマグネトロンから発生するマイクロ波同士の干渉が生じないので、反射波の発生を抑制することができ、複数のマグネトロンから効率良く被処理体にマイクロ波パワーを入れることができる。また、このように複数のマグネトロンから同時にマイクロ波を発生させないため、マイクロ波の位相の干渉がなく、マイクロ波を同時に発生させる場合よりも電界強度を大きくすることができ、かつ電界の均一性も飛躍的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るマイクロ波照射装置を示す概略図である。
【図2】図1のマイクロ波照射装置の主要部を示す回路図である。
【図3】デューティー比が20%、50%、90%のパルス状トランス一次側電圧を得るためのフェーズシフトの状態と、その際の電圧の実波形とを示す図である。
【図4】図1のマイクロ波照射装置において、2つのマグネトロンに供給する好ましい電圧波形の例を示す図である。
【図5】2.45GHzのマグネトロンから出力されるマイクロ波パワーと出力周波数との関係を示す図である。
【図6】5.8GHzのマグネトロンから出力されるマイクロ波の周波数とマイクロ波のピーク電力との関係の実測値を示すグラフである。
【図7】周波数シフトと定在波の位置の移動量との関係を説明するための図である。
【図8】図1のマイクロ波照射装置において、2つのマグネトロンに供給する好ましい電圧波形の他の例を示す図である。
【図9】電子レンジに用いられるリーケージトランスの回路図である。
【図10】マグネトロンへ供給される電圧波形の制御をPWM制御を行うことによって実現する例を示す図である。
【図11】図1のマイクロ波照射装置において、2つのマグネトロンに供給する電圧波形のより好ましい例を示す図である。
【図12】マグネトロンを4つにした場合のマイクロ波照射装置の主要部を示す回路図である。
【図13】図12のマイクロ波照射装置において、4つのマグネトロンに供給する電圧波形の例を示す図である。
【図14】図12のマイクロ波照射装置において、4つのマグネトロンに電圧を供給する順番の好ましい例を示す図である。
【図15】4つの導入口から同時に導入することなくシリアルに導入した場合と、4つの導入口から同時に導入した場合とでウエハ上の電界強度とその分布をシミュレーションする際のウエハと導入口との関係を示す図である。
【図16】4つの導入口からマイクロ波をシリアルに導入した場合における、各導入口から導入したマイクロ波のウエハ上の電界分布とこれらの合算値を示す図である。
【図17】シリアル導入の場合の合算したウエハ上の電界分布と、4つの導入口から同時に導入した場合のウエハ上の電界分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態について詳細に説明する。ここでは、被処理体として半導体ウエハを用い、マイクロ波を照射することによりアニールを行う装置に本発明を適用した例について説明する。ただし、被処理体としては半導体ウエハに限らず、またマイクロ波を照射する処理がアニールに限らないことはいうまでもない。
【0011】
図1は本発明の一実施形態に係るマイクロ波照射装置を示す概略図である。このマイクロ波照射装置100は、被処理体である半導体ウエハWを収容するチャンバ1を有している。チャンバ1内には、その中で半導体ウエハWを載置する複数、例えば3本(2本のみ図示)の載置ピン2がチャンバ1の底部から突出するように設けられている。載置ピン2は、誘電損失の少ない石英等で構成されている。チャンバ1の側壁上部にはガス導入ポート3が形成されており、処理の際の雰囲気を形成するガスがガス供給部4から配管3aを介してチャンバ1内に供給されるようになっている。このような雰囲気を形成するガスとしては、Arガスや、N2ガス等の不活性ガスを用いることができる。なお、処理によっては、雰囲気を形成するガスとしてH2ガスやO2ガス等を用いることもできる。チャンバ1の底部にはガスを排気する排気ポート5が設けられ、側壁にはゲート7により開閉可能な半導体ウエハWの搬入出を行う搬入出口6が設けられている。なお、チャンバ1内は、例えば常圧近傍の所定圧力に保持される。
【0012】
チャンバ1の上部には2つのマイクロ波導入ポート8a,8bが設けられており、これらにはそれぞれ導波路9a,9bを介してマイクロ波を発生するためのマグネトロン10a,10bが接続されている。導波路9a,9bのチャンバ1とマグネトロン10a,10bの間には、サーキュレータ11a,11bが接続されており、これらサーキュレータ11a,11bには共通のダミーロード12が接続されている。これらサーキュレータ11a,11bおよびダミーロード12は、反射マイクロ波を分離するアイソレータを構成する。すなわち、サーキュレータ11a,11bは、チャンバ1内で反射したマイクロ波をダミーロード12へ導き、ダミーロード12は反射マイクロ波を熱に変換する。
【0013】
マグネトロン10a,10bには、高電圧電源部20から給電されるようになっている。高電圧電源部20は、商用電源から三相200Vの交流が供給され、これを整流して所定波形の直流に変換するAC/DC変換回路21と、直流のスイッチングを行うスイッチング回路22と、スイッチング回路22を制御するスイッチングコントローラ23と、電圧を所望の値に昇圧する昇圧トランス24と、昇圧トランス24の二次側に接続され、二次側の電圧をマグネトロン10a,10bへ供給するとともに、供給する電圧を半波整流して所定の波形に制御する電圧供給・波形制御回路25とを有している。
【0014】
図2は、電源部20の回路図である。図2に示すように、AC/DC変換回路21は、整流回路31と、コンデンサ32aを有する平滑回路32と、力率改善のためのパワーFET33と、コンデンサ34aおよびコイル34bを有する平滑回路34とを有している。また、スイッチング回路22は、4つのスイッチングトランジスタQ1、Q2、Q3、Q4がフルブリッジ回路(Hブリッジとも言う)を構成してなっており、スイッチングコントローラ23によりフェーズシフト型のPWM(Pulse Width Modulation)制御またはPAM(Pulse Amplitude Modulation)制御を行ってパルス状電圧が形成されるようになっている。スイッチングトランジスタQ1、Q2、Q3、Q4には、スイッチングコントローラ23からゲートドライブ信号が入力され、これらが合成されてパルス状電圧がスイッチング回路22から出力され、トランス一次側電圧となる。フェーズシフト型のPWM制御の場合には、スイッチングトランジスタQ1、Q2、Q3、Q4には、スイッチングコントローラ23からそれぞれ位相(フェーズ)が制御されたデューティー比50%のゲートドライブ信号が入力され、これらが合成されてパルス状電圧がスイッチング回路22からトランス一次側電圧として出力される。スイッチングトランジスタQ1〜Q4のうち、トランジスタQ1、Q4が正出力、トランジスタQ2、Q3が負出力である。スイッチングトランジスタQ1〜Q4をフェーズシフトさせることにより、所望のデューティー比のパルス電圧をトランス一次側電圧として出力させることができる。図3は、実際にスイッチングトランジスタQ1〜Q4をフェーズシフトさせてトランス一次側電圧のデューティー比を変化させた場合のデューティー比20%、50%、90%のパルス状トランス一次側電圧を得るためのフェーズシフト状態と、その際の電圧の実波形とを示す図である。図中、スイッチングトランジスタQ1とQ4が共にONしている時間、およびスイッチングトランジスタQ2とQ3が共にONしている時間は斜線部で示されている。
【0015】
スイッチングトランジスタとしては、効率の観点から電界効果型トランジスタを用いることができ、MOS型のものが好ましくパワーMOSFETが好適である。またMOSFETに比べ高耐圧であり高パワー用に適しているIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)を用いることもできる。また、スイッチング回路22の負荷である昇圧トランス24は、直列に接続されたトランジスタQ1とQ2の間およびトランジスタQ3とQ4の間からそれぞれ延びる配線に接続されている。スイッチングトランジスタQ1〜Q4と並列に共振コンデンサC0が挿入されている。
【0016】
電圧供給・波形制御回路25は、マグネトロン10aに電圧を供給する第1電圧供給部36aと、マグネトロン10bに電圧を供給する第2電圧供給部36bとを有しており、これらはそれぞれ昇圧トランス24の二次側に接続されている。第1電圧供給部36aには、スイッチング回路22からのパルス状電圧を整流する2つのダイオードD1,D′1を有する第1整流回路37aとコイルL1およびコンデンサC1を有する第1平滑回路38aが設けられている。また、第2電圧供給部36bには、スイッチング回路22からのパルス状電圧を整流する2つのダイオードD2,D′2を有する第2整流回路37bとコイルL2およびコンデンサC2を有する第2平滑回路38bが設けられている。平滑回路38a,38bでは、コイルL1,L2、コンデンサC1,C2の時定数を調整することにより、スイッチング周波数は通さず、電力パルス波形の周波数を通すフィルターが構成される。なお、昇圧トランス24に珪素鋼板のような高周波を通過できないものを使用することにより、コイルL1,L2、コンデンサC1,C2を省略することができる。
【0017】
このような構成により、第1電圧供給部36aおよび第2電圧供給部36bでは、それぞれ例えば100kHz程度のスイッチング周波数で50Hz程度の半波整流波形を形成し、このような波形のパルス状電圧をそれぞれマグネトロン10a(Mag1)およびマグネトロン10b(Mag2)に供給することができる。そして、スイッチング回路22のスイッチングトランジスタQ1およびQ4によりマグネトロン10a(Mag1)に供給される電圧がオン・オフ制御され、スイッチングトランジスタQ2およびQ3によりマグネトロン10b(Mag2)に供給される電圧がオン・オフ制御され、これにより、電圧供給・波形制御回路25では、第1電圧供給部36aの電圧パルスと第2電圧供給部36bの電圧パルスとが時間的に重ならないように電圧が供給される。具体的には、図4(a)、(b)に示すように、第1電圧供給部36aからマグネトロン10a(Mag1)に供給される電圧パルスと、第2電圧供給部36bからマグネトロン10b(Mag2)に供給される電圧パルスとを交互に出現させ、例えば100kHz程度のスイッチング周波数で50Hz程度の擬似サインカーブの全波整流波形を形成する。これにより、マグネトロン10a(Mag1)およびマグネトロン10b(Mag2)から同時にマイクロ波を発生させる時間が存在しないようになる。
【0018】
マグネトロン10a,10bのそれぞれから放射されるマイクロ波は、干渉により定在波を形成するが、その影響を抑える方法として、マグネトロンへのカソード−アノード電流を制御する方法がある。図5は、2.45GHzのマグネトロンから出力されるマイクロ波のパワーと、出力されるマイクロ波の中心周波数との関係を示すグラフである。この図から出力されるパワーが増加すると中心周波数が大きくなることがわかる。マグネトロンから出力されるマイクロ波のパワーは、高電圧電源部20(直流電源)の電流値と比例するから、電流値を変化させることによりパワーと同時に中心周波数もシフトさせることができる。図5に示すように、電流値を変化させてパワーを0から100Wにすると中心周波数は20MHzほどシフトする。高電圧電源部20からマグネトロンに供給される電圧が純粋な直流電圧の場合、または矩形パルス波形の場合、2.45GHzのマグネトロンでは中心周波数の帯域が10MHz程度であってほぼ固定的であるから定在波の影響は大きい。これに対して図4のような半波整流波形の場合には電圧と同様、電流も擬似サインカーブであり、電流値は0から所定値の間で連続的に変化するので、マイクロ波の中心周波数をシフトすることができ、電流の極大値がパワー100Wに対応すると、図5より中心周波数のシフト量が20MHzとなる。2.45GHzのマグネトロンの場合、出力されるマイクロ波の波長は120mm程度であるから、定在波の「ふし」から「ふし」の間の長さが約60mmとなり、中心周波数の帯域が20MHzであれば定在波の「はら」と「ふし」の間隔を約0.6mmの間でシフトさせることが可能であり、定在波の影響を抑えることができる。このため、高電圧電源部20からマグネトロンに印加される電圧が半波整流波形である擬似サインカーブとすることにより、より均一なマイクロ波照射を実現することができる。
【0019】
図6は、5.8GHzのマグネトロンから出力されるマイクロ波の周波数とマイクロ波のピーク電力との関係の実測値を示すグラフである。この図から、5.8GHzの場合も、出力されるパワーが増加すると中心周波数が大きくなることがわかる。上述したようにマグネトロンから出力されるマイクロ波のパワーは、高電圧電源部20(直流電源)の電流値と比例するから、電流値を変化させることによりパワーと同時に中心周波数もシフトさせることができる。電流値を変化させてパワーを0から500Wにすると、図6に示すように、中心周波数は50MHzほどシフトする。高電圧電源部20からマグネトロンに供給される電圧が純粋な直流電圧の場合、図6に示すように、5.8GHzのマグネトロンでは中心周波数の帯域が2MHz程度であってほぼ固定的であるから定在波の影響は大きい。矩形パルス波形の場合も同様である。これに対して図4のような半波整流波形の場合には電圧と同様、電流も擬似サインカーブであり、電流値は0から所定値の間で連続的に変化するので、マイクロ波の中心周波数をシフトすることができ、電流の極大値がパワー500Wに対応すると、図6より中心周波数のシフト量が50MHzとなる。5.8GHzのマグネトロンの場合、出力されるマイクロ波の波長は52mm程度であるから、定在波の「ふし」から「ふし」の間の長さが約26mmとなり、中心周波数の帯域が50MHzであれば定在波の「はら」と「ふし」の間隔を約0.26mmの間でシフトさせることが可能であり、定在波の影響を抑えることができる。このため、5.8GHzの場合も、高電圧電源部20からマグネトロンに印加される電圧が半波整流波形である擬似サインカーブとすることにより、より均一なマイクロ波照射を実現することができる。
【0020】
0.26mmという小さいシフト量で定在波の影響を抑えることができる理由は以下の通りである。
マグネトロンから出力されるマイクロ波が例えばチャンバ壁で反射する場合において、波長をλとし、周波数シフトにより変化した波長をλ+Δとし、定在波の所定の基準位置(例えば被処理基板の端部)から反射波が戻ってくるまでの走路距離に含まれる波の数をnとすると、定在波の位置は上記基準位置からn×Δだけずれるので、腹・節の位相はn×Δ/λだけずれる。すなわち、図7(a)に示すように、波長λで往復n波長分(この例ではn=10)の走路がある場合、周波数シフトにより波長がλ+Δに変化すると、図7(b)に示すように、反射端近傍での腹・節の位置はさほど変わらなくても(変化量Δ)、反射端の反対側(=入射端に近い位置、あるいは被処理基板の位置)では、波の数(n)倍だけ定在波の位置がずれる。この例に示すように、往復10波長分の走路がある場合、マイクロ波の周波数が5.8GHzでは、定在波の波長である52mmに対してチャンバ壁部から約260mmの位置が入力端となる。この場合には1%の周波数シフト(Δ=0.52mm)で波長の10%すなわち5.2mm定在波の位置を動かすことができ、定在波の影響を抑えることができる。
【0021】
以上のような効果は、電圧値がパルス状の波形(時間的に連続的に変化する波形)であれば、電流値が時間的に連続的に変化するので得ることができ、擬似サインカーブの場合に限らず、例えば図8の(a)に示す三角波、(b)に示す台形波、(c)に示すのこぎり波であっても同様に得ることができる。
【0022】
昇圧手段として、図9に示すような電子レンジで使用しているリーケージトランス80を使用した場合には、制御性はよいが、電源容量が大きく、三相であるため、マグネトロンに供給される電圧は直流ないしは矩形波となり、定在波の影響を軽減することが困難である。これに対して、本実施形態では、三相交流を整流した後、リーケージの少ない昇圧トランス24で昇圧する電源回路を用いたので、一次側の電圧波形を二次側でも維持することができ、積極的に上述のような擬似サインカーブ等に波形制御して定在波の影響を抑制することができる。
【0023】
マグネトロンとしては、種々の周波数のマイクロ波を発振するものを用いることができるが、被処理体であるウエハ上での放電を起こりにくくする観点から周波数の高いものであることが好ましい。そのような観点から、2.45GHz、5.8GHzのものが好ましく、この中では5.8GHzのものがより好ましい。
【0024】
上述したような、マグネトロンの特性を利用した定在波抑制のためのマグネトロンへ供給される電圧波形の制御は、一周期を適当な区分に分割して、その中で、スイッチングトランジスタQ1〜Q4によるON/OFF時間の制御(PWM制御)を行うことによっても実現することができる。その例を図10に示す。これにより擬似サインカーブ、サインカーブ等、種々の波形整形を実現することができる。
【0025】
マイクロ波照射装置100の各構成部は、全体制御部40により制御されるようになっている。全体制御部40は、上位コントローラ41と、制御に必要な各種プログラムや、処理条件等が記憶されて所定の処理を実行する制御プログラム、いわゆるレシピ等が格納された記憶部42と、各種設定を行う設定部や、ステータスおよび警報等を表示する表示部等を有するインターフェース部43とを有している。前記レシピは、例えば、CD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、不揮発性メモリなどの読み出し可能な記憶媒体に格納された状態のものとすることができる。
【0026】
次に、このように構成されるマイクロ波照射装置100の動作について説明する。
まず、インターフェース部43の設定部において、各種設定を行う。そして、チャンバ1内に搬入出口6から被処理体である半導体ウエハWを搬入し、チャンバ1内を排気ポート5から排気しつつガス供給部4からガス導入ポート3を介してチャンバ1内に所定の雰囲気ガスを導入し、チャンバ1内を常圧近傍の圧力を有する所定雰囲気とする。
【0027】
この状態で、高電圧電源部20から2つのマグネトロン10a,10bに電圧を印加してマイクロ波を発生させ、これらマグネトロン10a,10bから発生したマイクロ波をチャンバ1内のウエハWに照射し、2つマグネトロン10a,10bからのマイクロ波パワーを合成してウエハWのアニールを行う。
【0028】
このとき、2つのマグネトロン10a,10bからマイクロ波を同時に発生させると、発生した電磁波(マイクロ波)同士が干渉し、互いに反射波が多くなり、効率的にパワーを入れることが困難となる。
【0029】
そこで、本実施形態では、高電圧電源部20から2つのマグネトロン10a,10bに電圧を印加してマイクロ波を発生させる際に、2つのマグネトロン10a,10bに供給する電圧をパルス状にして、この2つのマグネトロンにそれぞれ印加される電圧パルスが時間的に重ならないようにする。これにより、2つのマグネトロン10a,10bから発生するマイクロ波が時間的に重なることなく、ウエハWに照射される。
【0030】
具体的には、上述したように、商用電源の三相200Vの交流を、AC/DC変換回路21に供給し、所定波形の直流電圧に整流する。そして、スイッチング回路22において、その電圧をスイッチングコントローラ23からの信号に基づいて例えば図3に示すようなパルス電圧に変換し、トランス一次側電圧として出力させる。このトランス一次側電圧を昇圧トランス24で昇圧し、電圧供給・波形制御回路25において、第1電圧供給部36aおよび第2電圧供給部36bでは、それぞれ例えば100kHz程度のスイッチング周波数で50Hz程度の半波整流波形が形成され、第1電圧供給部36aの電圧パルスと第2電圧供給部36bの電圧パルスとが時間的に重ならないように、それぞれマグネトロン10a(Mag1)および10b(Mag2)に供給される。この際には、図4(a),(b)に示すように、第1電圧供給部36aからマグネトロン10a(Mag1)に供給されるパルス電圧と、第2電圧供給部36bからマグネトロン10b(Mag2)に供給されるパルス電圧とが交互に出現し、例えば100kHz程度のスイッチング周波数で50Hz程度の擬似サインカーブの全波整流波形となる。
【0031】
これにより、マグネトロン10a(Mag1),10b(Mag2)から同時にマイクロ波を発生させる時間が存在しないようになり、これらマグネトロンから発生するマイクロ波同士の干渉が生じないので、反射波の発生が抑制される。このため、2つのマグネトロンから効率良くウエハWにマイクロ波パワーを入れることができる。
【0032】
また、図4に示す、全波整流波形とすることにより、常にいずれかのマグネトロンに電力が供給されていることになるため、効率的である。また、本実施形態では、上述したように、高電圧電源部20により積極的に波形制御して、電圧波形を例えば擬似サインカーブとすることにより、マグネトロンから出力されるマイクロ波の周波数をシフトさせることができ、定在波の影響を軽減して、均一なマイクロ波照射を実現することができる。また、電圧波形が、例えば三角波、台形波、のこぎり波であっても同様の効果を得ることができる。
【0033】
なお、矩形波ではこのような効果が得られないが、マイクロ波の導入位置を調整する等の他の手段を講じれば、定在波の影響を幾分軽減することは可能である。
【0034】
さらに、マグネトロンは低電圧では発振せず、発振電圧よりも低い電圧部分で急激に電圧を上昇および下降させても問題は生じないため、図11に示すように、発振電圧よりも低い電圧部分で急激に上昇および下降させ、発振電圧以上の部分で所望の波形、例えば擬似サインカーブとすることにより、マグネトロンへの電力供給から発振までの時間を短くすることができるため、より効率の高いマグネトロン発振を行うことができる。
【0035】
なお、以上の説明では、電圧パルスが時間的に重ならないことを前提にしているが、電圧パルスが時間的に重なっても、その重なりがマグネトロンの発振電圧に満たない電圧パルスに起因する場合には、本発明の趣旨から外れるものではなく、本発明の範囲に含まれる。
【0036】
以上はマグネトロンを2つ用いてマイクロ波を照射する例を示したが、マグネトロンの数は2つより多くてもよい。図12は、4つのマグネトロンからマイクロ波を照射する場合の高電圧電源部20′の一例を示す。この高電圧電源部20′は、AC/DC変換回路21に、スイッチング回路22と同様の構造を有するスイッチング回路22′をスイッチング回路22と並
列に接続し、これに昇圧トランス24と同様の構造の昇圧トランス24′を接続し、さらに電圧供給・波形制御回路25と同様の構造を有する電圧供給・波形制御回路25′を接続して、他の2つのマグネトロン(Mag3、Mag4)に電圧を供給する。なお、波形制御回路25′のコイルL3,L4は波形制御回路25のコイルL1,L2と等価なものであり、コンデンサC3,C4は波形制御回路25のコンデンサC1,C2と等価なものである。
【0037】
このとき、スイッチングコントローラ23からスイッチング回路22のスイッチングトランジスタQ1〜Q4およびスイッチング回路22′のスイッチングトランジスタQ1′〜Q4′へ制御信号を送り、これらをフェーズシフトさせることにより、4つのマグネトロンに供給する電圧をパルス状にして、この4つのマグネトロンにそれぞれ印加される電圧パルスが時間的に重ならないようにする。具体的には、スイッチング回路22のスイッチングトランジスタQ1およびQ4によりMag1に供給される電圧がオン・オフ制御され、次いでスイッチング回路22のスイッチングトランジスタQ2およびQ3によりMag2に供給される電圧がオン・オフ制御され、次いでスイッチング回路22′のスイッチングトランジスタQ1′およびQ4′によりMag3に供給される電圧がオン・オフ制御され、次いでスイッチング回路22′のスイッチングトランジスタQ2′およびQ3′によりMag4に供給される電圧がオン・オフ制御される。これにより、図13に示すように、4つのマグネトロン(Mag1,Mag2,Mag3,Mag4)に供給されるパルス電圧が順次出現し、例えば100kHz程度のスイッチング周波数で50Hz程度の擬似サインカーブの全波整流波形となる。
【0038】
これにより、4つのマグネトロン(Mag1,Mag2,Mag3,Mag4)から同時にマイクロ波を発生させる時間が存在しないようになり、これらマグネトロンから発生するマイクロ波同士の干渉が生じないので、反射波の発生が抑制される。このため、4つのマグネトロンから効率良くウエハWにマイクロ波パワーを入れることができる。
【0039】
なお、本実施形態によれば、複数のマグネトロンのそれぞれに供給される電圧が時間的に重ならないように、複数のマグネトロンに順次電圧パルスが供給されるようにしたので、各マグネトロンに一度に供給される電圧の供給時間は短い。通常、マグネトロンへの電圧供給時間が短時間であれば、最大電流は定格電流の4倍程度とれるので、本実施形態では定格電流よりも大きな電流を流すことができ、1つのマグネトロンから連続的に電圧を供給する場合に比べて、大きなパワーを得ることができる。
【0040】
次に、図12の装置におけるより好ましい動作例について説明する。スイッチング回路22において、スイッチングトランジスタQ1とQ2を同時にオンした場合、およびスイッチングトランジスタQ3とQ4を同時にオンした場合には、トランジスタが破壊するおそれがある。それを回避するためには、例えばスイッチングトランジスタQ1をオフにしてからスイッチングトランジスタQ2をオンする際には、安全性のためにこれらの間に両方オフのデッドタイムを設ける必要があり、効率が低下する。そこで、本例では、スイッチング回路22のスイッチングトランジスタQ1およびQ4によりMag1に供給される電圧をオン・オフ制御し、次いでスイッチング回路22′のスイッチングトランジスタQ1′およびQ4′によりMag3に供給される電圧をオン・オフ制御し、次いでスイッチング回路22のスイッチングトランジスタQ2およびQ3によりMag2に供給される電圧をオン・オフ制御し、次いでスイッチング回路22′のスイッチングトランジスタQ2′およびQ3′によりMag4に供給される電圧をオン・オフ制御するようにして、図14に示すように、Mag1,Mag3,Mag2,Mag4の順でパルス電圧を供給するようにする。これによりスイッチングトランジスタQ1とQ2、およびQ3とQ4のオンタイミングが完全に分離され、デッドタイムを設けることなく、スイッチングトランジスタQ1とQ2、およびQ3とQ4の同時オンによるトランジスタ破壊の危険性をなくすことができる。スイッチング回路22′のスイッチングトランジスタQ1′〜Q4′においても同様である。
【0041】
以上の実施形態では、上述した、複数のマグネトロンにそれぞれ供給されるパルス状電圧の電圧パルス同士が時間的に重ならないように電圧を供給して、複数のマグネトロンから同時にマイクロ波を発生させる時間が存在しないようにすることにより、複数のマグネトロンから発生するマイクロ波同士の干渉が生じないので、反射波の発生を抑制して効率良く被処理体にマイクロ波パワーを入れることができるといった効果を奏する他、以下のような効果も奏する。
【0042】
すなわち、複数のマグネトロンから同時にマイクロ波を発生させる時間が存在しないようにすることにより、複数のマグネトロンからマイクロ波を同時に発生させる場合のような位相の干渉が生じず、電界強度は各マグネトロンから発生したマイクロ波の電界強度の絶対値の足し算となるため、マイクロ波を同時に発生させる場合よりも電界強度を大きくすることができ、また、電界の均一性も飛躍的に向上する。
【0043】
この点について、以下詳細に説明する。ここでは、図15に示すように、4つのマグネトロンから発生させた1000Wのマイクロ波を300mmウエハの外周に対応する位置に互いに90°ずつずらして設けられた4つのマイクロ波導入口P1、P2、P3、P4からチャンバ内に導入する際に、4つの導入口から同時に導入することなくシリアルに導入した場合と、4つの導入口から同時に導入した場合とについてシミュレーションした。図16は、導入口P1、P2、P3、P4からマイクロ波をシリアルに導入した場合における、各導入口から導入したマイクロ波のウエハ上の電界分布とこれらの合算値を示すものである。図17は、シリアル導入の場合の合算した電界分布と、4つの導入口から同時に導入した場合の電界分布を示すものである。なお、図16,17はいずれも、ウエハ上のP1とP3とを結ぶ線に沿った電界分布を示すものである。
【0044】
図17に示すように、4つの導入口からシリアルにマイクロ波を導入した場合は、同時導入した場合に比べ電界強度が大きくなり、最大2倍もの電界強度が得られ、また電界の均一性も飛躍的に向上することがわかる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態においては、本発明のマイクロ波照射装置を半導体ウエハのアニールに用いた例を示したが、半導体ウエハとしてはシリコンのみならず化合物半導体であってもよい。また、被処理体としては、半導体ウエハに限らず、FPD用基板、太陽電池用基板、LED用基板等に適用することもできる。また、マイクロ波照射処理としては、アニール処理に限らず、酸化処理、窒化処理、成膜処理、改質処理、結晶化処理等に適用することができる。さらに、マグネトロンの数は、上記実施形態のような2つまたは4つに限らず、3つであっても5つ以上であってもよい。また、上記実施形態では、スイッチング回路として4つのスイッチングトランジスタを搭載したフルブリッジ回路を用いたが、これに限らず例えばハーフブリッジ回路であってもよい。さらに、他の回路についても、上記実施形態の構成は例示であって、他の種々の回路を採用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1;チャンバ
2;載置ピン
3;ガス導入ポート
4;ガス供給部
5;排気ポート
8a,8b;マイクロ波導入ポート
9a,9b;導波路
10a,10b;マグネトロン
11a,11b;サーキュレータ
12;ダミーロード
20,20′;電源部
21;AC/DC変換回路
22,22′;スイッチング回路
23;スイッチングコントローラ
24,24′;昇圧トランス
25,25′;電圧供給・波形制御回路
40;全体制御部
41;上位コントローラ
100:マイクロ波照射装置
Q1〜Q4;スイッチングトランジスタ
W;半導体ウエハ
【技術分野】
【0001】
本発明は、マイクロ波を対象物に照射して加熱等の処理を行うマイクロ波照射装置およびマイクロ波照射方法に関する。
【背景技術】
【0002】
半導体デバイスの製造工程においては、ドーパントの活性化等のためにアニール処理が行われるが、このようなアニールとしてマイクロ波アニールが提案されている(例えば特許文献1)。マイクロ波アニールは、不純物拡散が少なく、浅い活性層を形成できることから、次世代のアニール技術として注目されている。また、マイクロ波によりアニール処理を行う場合には、格子欠損の修復も可能であることが報告されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特表2009−516375号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、マイクロ波発生装置としては、マグネトロンを備えたものが一般的であるが、アニールの対象が300mmウエハの場合には、単一のマグネトロンではパワーが不十分で、複数のマグネトロンが必要となる場合がある。しかし、複数のマグネトロンを用いてマイクロ波を合成する場合に、複数のマグネトロンからのマイクロ波を同時に照射すると、プラズマ状態で合成する場合とは異なり、電磁波(マイクロ波)同士が干渉し、互いに反射波が多くなり、効率的にパワーを入れることが困難となる。
【0005】
本発明はかかる事情に鑑みてなされたものであって、複数のマグネトロンを用いて反射電力を少なくしてマイクロ波を照射することができるマイクロ波照射装置およびマイクロ波照射方法を提供することを課題とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明は、被処理体を収容するチャンバと、電圧が供給されることによりマイクロ波を発生させ、そのマイクロ波を前記チャンバ内の被処理体に照射するための複数のマグネトロンと、前記複数のマグネトロンにパルス状電圧を供給する電源部とを具備し、前記電源部は、前記複数のマグネトロンにそれぞれ供給されるパルス状電圧の電圧パルス同士が時間的に重ならないように電圧を供給することを特徴とするマイクロ波照射装置を提供する。
【0007】
また、本発明は、複数のマグネトロンにパルス状電圧を供給して発生するマイクロ波をチャンバ内の被処理体に照射するマイクロ波照射方法であって、前記複数のマグネトロンにそれぞれ供給されるパルス状電圧の電圧パルス同士が時間的に重ならないように電圧を供給することを特徴とするマイクロ波照射方法を提供する。
【発明の効果】
【0008】
本発明によれば、複数のマグネトロンにそれぞれ供給されるパルス状電圧の電圧パルス同士が時間的に重ならないように電圧を供給するので、複数のマグネトロンから同時にマイクロ波を発生させる時間が存在しないようにすることができる。このため、複数のマグネトロンから発生するマイクロ波同士の干渉が生じないので、反射波の発生を抑制することができ、複数のマグネトロンから効率良く被処理体にマイクロ波パワーを入れることができる。また、このように複数のマグネトロンから同時にマイクロ波を発生させないため、マイクロ波の位相の干渉がなく、マイクロ波を同時に発生させる場合よりも電界強度を大きくすることができ、かつ電界の均一性も飛躍的に向上する。
【図面の簡単な説明】
【0009】
【図1】本発明の一実施形態に係るマイクロ波照射装置を示す概略図である。
【図2】図1のマイクロ波照射装置の主要部を示す回路図である。
【図3】デューティー比が20%、50%、90%のパルス状トランス一次側電圧を得るためのフェーズシフトの状態と、その際の電圧の実波形とを示す図である。
【図4】図1のマイクロ波照射装置において、2つのマグネトロンに供給する好ましい電圧波形の例を示す図である。
【図5】2.45GHzのマグネトロンから出力されるマイクロ波パワーと出力周波数との関係を示す図である。
【図6】5.8GHzのマグネトロンから出力されるマイクロ波の周波数とマイクロ波のピーク電力との関係の実測値を示すグラフである。
【図7】周波数シフトと定在波の位置の移動量との関係を説明するための図である。
【図8】図1のマイクロ波照射装置において、2つのマグネトロンに供給する好ましい電圧波形の他の例を示す図である。
【図9】電子レンジに用いられるリーケージトランスの回路図である。
【図10】マグネトロンへ供給される電圧波形の制御をPWM制御を行うことによって実現する例を示す図である。
【図11】図1のマイクロ波照射装置において、2つのマグネトロンに供給する電圧波形のより好ましい例を示す図である。
【図12】マグネトロンを4つにした場合のマイクロ波照射装置の主要部を示す回路図である。
【図13】図12のマイクロ波照射装置において、4つのマグネトロンに供給する電圧波形の例を示す図である。
【図14】図12のマイクロ波照射装置において、4つのマグネトロンに電圧を供給する順番の好ましい例を示す図である。
【図15】4つの導入口から同時に導入することなくシリアルに導入した場合と、4つの導入口から同時に導入した場合とでウエハ上の電界強度とその分布をシミュレーションする際のウエハと導入口との関係を示す図である。
【図16】4つの導入口からマイクロ波をシリアルに導入した場合における、各導入口から導入したマイクロ波のウエハ上の電界分布とこれらの合算値を示す図である。
【図17】シリアル導入の場合の合算したウエハ上の電界分布と、4つの導入口から同時に導入した場合のウエハ上の電界分布を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0010】
以下、添付図面を参照して本発明の一実施形態について詳細に説明する。ここでは、被処理体として半導体ウエハを用い、マイクロ波を照射することによりアニールを行う装置に本発明を適用した例について説明する。ただし、被処理体としては半導体ウエハに限らず、またマイクロ波を照射する処理がアニールに限らないことはいうまでもない。
【0011】
図1は本発明の一実施形態に係るマイクロ波照射装置を示す概略図である。このマイクロ波照射装置100は、被処理体である半導体ウエハWを収容するチャンバ1を有している。チャンバ1内には、その中で半導体ウエハWを載置する複数、例えば3本(2本のみ図示)の載置ピン2がチャンバ1の底部から突出するように設けられている。載置ピン2は、誘電損失の少ない石英等で構成されている。チャンバ1の側壁上部にはガス導入ポート3が形成されており、処理の際の雰囲気を形成するガスがガス供給部4から配管3aを介してチャンバ1内に供給されるようになっている。このような雰囲気を形成するガスとしては、Arガスや、N2ガス等の不活性ガスを用いることができる。なお、処理によっては、雰囲気を形成するガスとしてH2ガスやO2ガス等を用いることもできる。チャンバ1の底部にはガスを排気する排気ポート5が設けられ、側壁にはゲート7により開閉可能な半導体ウエハWの搬入出を行う搬入出口6が設けられている。なお、チャンバ1内は、例えば常圧近傍の所定圧力に保持される。
【0012】
チャンバ1の上部には2つのマイクロ波導入ポート8a,8bが設けられており、これらにはそれぞれ導波路9a,9bを介してマイクロ波を発生するためのマグネトロン10a,10bが接続されている。導波路9a,9bのチャンバ1とマグネトロン10a,10bの間には、サーキュレータ11a,11bが接続されており、これらサーキュレータ11a,11bには共通のダミーロード12が接続されている。これらサーキュレータ11a,11bおよびダミーロード12は、反射マイクロ波を分離するアイソレータを構成する。すなわち、サーキュレータ11a,11bは、チャンバ1内で反射したマイクロ波をダミーロード12へ導き、ダミーロード12は反射マイクロ波を熱に変換する。
【0013】
マグネトロン10a,10bには、高電圧電源部20から給電されるようになっている。高電圧電源部20は、商用電源から三相200Vの交流が供給され、これを整流して所定波形の直流に変換するAC/DC変換回路21と、直流のスイッチングを行うスイッチング回路22と、スイッチング回路22を制御するスイッチングコントローラ23と、電圧を所望の値に昇圧する昇圧トランス24と、昇圧トランス24の二次側に接続され、二次側の電圧をマグネトロン10a,10bへ供給するとともに、供給する電圧を半波整流して所定の波形に制御する電圧供給・波形制御回路25とを有している。
【0014】
図2は、電源部20の回路図である。図2に示すように、AC/DC変換回路21は、整流回路31と、コンデンサ32aを有する平滑回路32と、力率改善のためのパワーFET33と、コンデンサ34aおよびコイル34bを有する平滑回路34とを有している。また、スイッチング回路22は、4つのスイッチングトランジスタQ1、Q2、Q3、Q4がフルブリッジ回路(Hブリッジとも言う)を構成してなっており、スイッチングコントローラ23によりフェーズシフト型のPWM(Pulse Width Modulation)制御またはPAM(Pulse Amplitude Modulation)制御を行ってパルス状電圧が形成されるようになっている。スイッチングトランジスタQ1、Q2、Q3、Q4には、スイッチングコントローラ23からゲートドライブ信号が入力され、これらが合成されてパルス状電圧がスイッチング回路22から出力され、トランス一次側電圧となる。フェーズシフト型のPWM制御の場合には、スイッチングトランジスタQ1、Q2、Q3、Q4には、スイッチングコントローラ23からそれぞれ位相(フェーズ)が制御されたデューティー比50%のゲートドライブ信号が入力され、これらが合成されてパルス状電圧がスイッチング回路22からトランス一次側電圧として出力される。スイッチングトランジスタQ1〜Q4のうち、トランジスタQ1、Q4が正出力、トランジスタQ2、Q3が負出力である。スイッチングトランジスタQ1〜Q4をフェーズシフトさせることにより、所望のデューティー比のパルス電圧をトランス一次側電圧として出力させることができる。図3は、実際にスイッチングトランジスタQ1〜Q4をフェーズシフトさせてトランス一次側電圧のデューティー比を変化させた場合のデューティー比20%、50%、90%のパルス状トランス一次側電圧を得るためのフェーズシフト状態と、その際の電圧の実波形とを示す図である。図中、スイッチングトランジスタQ1とQ4が共にONしている時間、およびスイッチングトランジスタQ2とQ3が共にONしている時間は斜線部で示されている。
【0015】
スイッチングトランジスタとしては、効率の観点から電界効果型トランジスタを用いることができ、MOS型のものが好ましくパワーMOSFETが好適である。またMOSFETに比べ高耐圧であり高パワー用に適しているIGBT(絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ)を用いることもできる。また、スイッチング回路22の負荷である昇圧トランス24は、直列に接続されたトランジスタQ1とQ2の間およびトランジスタQ3とQ4の間からそれぞれ延びる配線に接続されている。スイッチングトランジスタQ1〜Q4と並列に共振コンデンサC0が挿入されている。
【0016】
電圧供給・波形制御回路25は、マグネトロン10aに電圧を供給する第1電圧供給部36aと、マグネトロン10bに電圧を供給する第2電圧供給部36bとを有しており、これらはそれぞれ昇圧トランス24の二次側に接続されている。第1電圧供給部36aには、スイッチング回路22からのパルス状電圧を整流する2つのダイオードD1,D′1を有する第1整流回路37aとコイルL1およびコンデンサC1を有する第1平滑回路38aが設けられている。また、第2電圧供給部36bには、スイッチング回路22からのパルス状電圧を整流する2つのダイオードD2,D′2を有する第2整流回路37bとコイルL2およびコンデンサC2を有する第2平滑回路38bが設けられている。平滑回路38a,38bでは、コイルL1,L2、コンデンサC1,C2の時定数を調整することにより、スイッチング周波数は通さず、電力パルス波形の周波数を通すフィルターが構成される。なお、昇圧トランス24に珪素鋼板のような高周波を通過できないものを使用することにより、コイルL1,L2、コンデンサC1,C2を省略することができる。
【0017】
このような構成により、第1電圧供給部36aおよび第2電圧供給部36bでは、それぞれ例えば100kHz程度のスイッチング周波数で50Hz程度の半波整流波形を形成し、このような波形のパルス状電圧をそれぞれマグネトロン10a(Mag1)およびマグネトロン10b(Mag2)に供給することができる。そして、スイッチング回路22のスイッチングトランジスタQ1およびQ4によりマグネトロン10a(Mag1)に供給される電圧がオン・オフ制御され、スイッチングトランジスタQ2およびQ3によりマグネトロン10b(Mag2)に供給される電圧がオン・オフ制御され、これにより、電圧供給・波形制御回路25では、第1電圧供給部36aの電圧パルスと第2電圧供給部36bの電圧パルスとが時間的に重ならないように電圧が供給される。具体的には、図4(a)、(b)に示すように、第1電圧供給部36aからマグネトロン10a(Mag1)に供給される電圧パルスと、第2電圧供給部36bからマグネトロン10b(Mag2)に供給される電圧パルスとを交互に出現させ、例えば100kHz程度のスイッチング周波数で50Hz程度の擬似サインカーブの全波整流波形を形成する。これにより、マグネトロン10a(Mag1)およびマグネトロン10b(Mag2)から同時にマイクロ波を発生させる時間が存在しないようになる。
【0018】
マグネトロン10a,10bのそれぞれから放射されるマイクロ波は、干渉により定在波を形成するが、その影響を抑える方法として、マグネトロンへのカソード−アノード電流を制御する方法がある。図5は、2.45GHzのマグネトロンから出力されるマイクロ波のパワーと、出力されるマイクロ波の中心周波数との関係を示すグラフである。この図から出力されるパワーが増加すると中心周波数が大きくなることがわかる。マグネトロンから出力されるマイクロ波のパワーは、高電圧電源部20(直流電源)の電流値と比例するから、電流値を変化させることによりパワーと同時に中心周波数もシフトさせることができる。図5に示すように、電流値を変化させてパワーを0から100Wにすると中心周波数は20MHzほどシフトする。高電圧電源部20からマグネトロンに供給される電圧が純粋な直流電圧の場合、または矩形パルス波形の場合、2.45GHzのマグネトロンでは中心周波数の帯域が10MHz程度であってほぼ固定的であるから定在波の影響は大きい。これに対して図4のような半波整流波形の場合には電圧と同様、電流も擬似サインカーブであり、電流値は0から所定値の間で連続的に変化するので、マイクロ波の中心周波数をシフトすることができ、電流の極大値がパワー100Wに対応すると、図5より中心周波数のシフト量が20MHzとなる。2.45GHzのマグネトロンの場合、出力されるマイクロ波の波長は120mm程度であるから、定在波の「ふし」から「ふし」の間の長さが約60mmとなり、中心周波数の帯域が20MHzであれば定在波の「はら」と「ふし」の間隔を約0.6mmの間でシフトさせることが可能であり、定在波の影響を抑えることができる。このため、高電圧電源部20からマグネトロンに印加される電圧が半波整流波形である擬似サインカーブとすることにより、より均一なマイクロ波照射を実現することができる。
【0019】
図6は、5.8GHzのマグネトロンから出力されるマイクロ波の周波数とマイクロ波のピーク電力との関係の実測値を示すグラフである。この図から、5.8GHzの場合も、出力されるパワーが増加すると中心周波数が大きくなることがわかる。上述したようにマグネトロンから出力されるマイクロ波のパワーは、高電圧電源部20(直流電源)の電流値と比例するから、電流値を変化させることによりパワーと同時に中心周波数もシフトさせることができる。電流値を変化させてパワーを0から500Wにすると、図6に示すように、中心周波数は50MHzほどシフトする。高電圧電源部20からマグネトロンに供給される電圧が純粋な直流電圧の場合、図6に示すように、5.8GHzのマグネトロンでは中心周波数の帯域が2MHz程度であってほぼ固定的であるから定在波の影響は大きい。矩形パルス波形の場合も同様である。これに対して図4のような半波整流波形の場合には電圧と同様、電流も擬似サインカーブであり、電流値は0から所定値の間で連続的に変化するので、マイクロ波の中心周波数をシフトすることができ、電流の極大値がパワー500Wに対応すると、図6より中心周波数のシフト量が50MHzとなる。5.8GHzのマグネトロンの場合、出力されるマイクロ波の波長は52mm程度であるから、定在波の「ふし」から「ふし」の間の長さが約26mmとなり、中心周波数の帯域が50MHzであれば定在波の「はら」と「ふし」の間隔を約0.26mmの間でシフトさせることが可能であり、定在波の影響を抑えることができる。このため、5.8GHzの場合も、高電圧電源部20からマグネトロンに印加される電圧が半波整流波形である擬似サインカーブとすることにより、より均一なマイクロ波照射を実現することができる。
【0020】
0.26mmという小さいシフト量で定在波の影響を抑えることができる理由は以下の通りである。
マグネトロンから出力されるマイクロ波が例えばチャンバ壁で反射する場合において、波長をλとし、周波数シフトにより変化した波長をλ+Δとし、定在波の所定の基準位置(例えば被処理基板の端部)から反射波が戻ってくるまでの走路距離に含まれる波の数をnとすると、定在波の位置は上記基準位置からn×Δだけずれるので、腹・節の位相はn×Δ/λだけずれる。すなわち、図7(a)に示すように、波長λで往復n波長分(この例ではn=10)の走路がある場合、周波数シフトにより波長がλ+Δに変化すると、図7(b)に示すように、反射端近傍での腹・節の位置はさほど変わらなくても(変化量Δ)、反射端の反対側(=入射端に近い位置、あるいは被処理基板の位置)では、波の数(n)倍だけ定在波の位置がずれる。この例に示すように、往復10波長分の走路がある場合、マイクロ波の周波数が5.8GHzでは、定在波の波長である52mmに対してチャンバ壁部から約260mmの位置が入力端となる。この場合には1%の周波数シフト(Δ=0.52mm)で波長の10%すなわち5.2mm定在波の位置を動かすことができ、定在波の影響を抑えることができる。
【0021】
以上のような効果は、電圧値がパルス状の波形(時間的に連続的に変化する波形)であれば、電流値が時間的に連続的に変化するので得ることができ、擬似サインカーブの場合に限らず、例えば図8の(a)に示す三角波、(b)に示す台形波、(c)に示すのこぎり波であっても同様に得ることができる。
【0022】
昇圧手段として、図9に示すような電子レンジで使用しているリーケージトランス80を使用した場合には、制御性はよいが、電源容量が大きく、三相であるため、マグネトロンに供給される電圧は直流ないしは矩形波となり、定在波の影響を軽減することが困難である。これに対して、本実施形態では、三相交流を整流した後、リーケージの少ない昇圧トランス24で昇圧する電源回路を用いたので、一次側の電圧波形を二次側でも維持することができ、積極的に上述のような擬似サインカーブ等に波形制御して定在波の影響を抑制することができる。
【0023】
マグネトロンとしては、種々の周波数のマイクロ波を発振するものを用いることができるが、被処理体であるウエハ上での放電を起こりにくくする観点から周波数の高いものであることが好ましい。そのような観点から、2.45GHz、5.8GHzのものが好ましく、この中では5.8GHzのものがより好ましい。
【0024】
上述したような、マグネトロンの特性を利用した定在波抑制のためのマグネトロンへ供給される電圧波形の制御は、一周期を適当な区分に分割して、その中で、スイッチングトランジスタQ1〜Q4によるON/OFF時間の制御(PWM制御)を行うことによっても実現することができる。その例を図10に示す。これにより擬似サインカーブ、サインカーブ等、種々の波形整形を実現することができる。
【0025】
マイクロ波照射装置100の各構成部は、全体制御部40により制御されるようになっている。全体制御部40は、上位コントローラ41と、制御に必要な各種プログラムや、処理条件等が記憶されて所定の処理を実行する制御プログラム、いわゆるレシピ等が格納された記憶部42と、各種設定を行う設定部や、ステータスおよび警報等を表示する表示部等を有するインターフェース部43とを有している。前記レシピは、例えば、CD−ROM、ハードディスク、フレキシブルディスク、不揮発性メモリなどの読み出し可能な記憶媒体に格納された状態のものとすることができる。
【0026】
次に、このように構成されるマイクロ波照射装置100の動作について説明する。
まず、インターフェース部43の設定部において、各種設定を行う。そして、チャンバ1内に搬入出口6から被処理体である半導体ウエハWを搬入し、チャンバ1内を排気ポート5から排気しつつガス供給部4からガス導入ポート3を介してチャンバ1内に所定の雰囲気ガスを導入し、チャンバ1内を常圧近傍の圧力を有する所定雰囲気とする。
【0027】
この状態で、高電圧電源部20から2つのマグネトロン10a,10bに電圧を印加してマイクロ波を発生させ、これらマグネトロン10a,10bから発生したマイクロ波をチャンバ1内のウエハWに照射し、2つマグネトロン10a,10bからのマイクロ波パワーを合成してウエハWのアニールを行う。
【0028】
このとき、2つのマグネトロン10a,10bからマイクロ波を同時に発生させると、発生した電磁波(マイクロ波)同士が干渉し、互いに反射波が多くなり、効率的にパワーを入れることが困難となる。
【0029】
そこで、本実施形態では、高電圧電源部20から2つのマグネトロン10a,10bに電圧を印加してマイクロ波を発生させる際に、2つのマグネトロン10a,10bに供給する電圧をパルス状にして、この2つのマグネトロンにそれぞれ印加される電圧パルスが時間的に重ならないようにする。これにより、2つのマグネトロン10a,10bから発生するマイクロ波が時間的に重なることなく、ウエハWに照射される。
【0030】
具体的には、上述したように、商用電源の三相200Vの交流を、AC/DC変換回路21に供給し、所定波形の直流電圧に整流する。そして、スイッチング回路22において、その電圧をスイッチングコントローラ23からの信号に基づいて例えば図3に示すようなパルス電圧に変換し、トランス一次側電圧として出力させる。このトランス一次側電圧を昇圧トランス24で昇圧し、電圧供給・波形制御回路25において、第1電圧供給部36aおよび第2電圧供給部36bでは、それぞれ例えば100kHz程度のスイッチング周波数で50Hz程度の半波整流波形が形成され、第1電圧供給部36aの電圧パルスと第2電圧供給部36bの電圧パルスとが時間的に重ならないように、それぞれマグネトロン10a(Mag1)および10b(Mag2)に供給される。この際には、図4(a),(b)に示すように、第1電圧供給部36aからマグネトロン10a(Mag1)に供給されるパルス電圧と、第2電圧供給部36bからマグネトロン10b(Mag2)に供給されるパルス電圧とが交互に出現し、例えば100kHz程度のスイッチング周波数で50Hz程度の擬似サインカーブの全波整流波形となる。
【0031】
これにより、マグネトロン10a(Mag1),10b(Mag2)から同時にマイクロ波を発生させる時間が存在しないようになり、これらマグネトロンから発生するマイクロ波同士の干渉が生じないので、反射波の発生が抑制される。このため、2つのマグネトロンから効率良くウエハWにマイクロ波パワーを入れることができる。
【0032】
また、図4に示す、全波整流波形とすることにより、常にいずれかのマグネトロンに電力が供給されていることになるため、効率的である。また、本実施形態では、上述したように、高電圧電源部20により積極的に波形制御して、電圧波形を例えば擬似サインカーブとすることにより、マグネトロンから出力されるマイクロ波の周波数をシフトさせることができ、定在波の影響を軽減して、均一なマイクロ波照射を実現することができる。また、電圧波形が、例えば三角波、台形波、のこぎり波であっても同様の効果を得ることができる。
【0033】
なお、矩形波ではこのような効果が得られないが、マイクロ波の導入位置を調整する等の他の手段を講じれば、定在波の影響を幾分軽減することは可能である。
【0034】
さらに、マグネトロンは低電圧では発振せず、発振電圧よりも低い電圧部分で急激に電圧を上昇および下降させても問題は生じないため、図11に示すように、発振電圧よりも低い電圧部分で急激に上昇および下降させ、発振電圧以上の部分で所望の波形、例えば擬似サインカーブとすることにより、マグネトロンへの電力供給から発振までの時間を短くすることができるため、より効率の高いマグネトロン発振を行うことができる。
【0035】
なお、以上の説明では、電圧パルスが時間的に重ならないことを前提にしているが、電圧パルスが時間的に重なっても、その重なりがマグネトロンの発振電圧に満たない電圧パルスに起因する場合には、本発明の趣旨から外れるものではなく、本発明の範囲に含まれる。
【0036】
以上はマグネトロンを2つ用いてマイクロ波を照射する例を示したが、マグネトロンの数は2つより多くてもよい。図12は、4つのマグネトロンからマイクロ波を照射する場合の高電圧電源部20′の一例を示す。この高電圧電源部20′は、AC/DC変換回路21に、スイッチング回路22と同様の構造を有するスイッチング回路22′をスイッチング回路22と並
列に接続し、これに昇圧トランス24と同様の構造の昇圧トランス24′を接続し、さらに電圧供給・波形制御回路25と同様の構造を有する電圧供給・波形制御回路25′を接続して、他の2つのマグネトロン(Mag3、Mag4)に電圧を供給する。なお、波形制御回路25′のコイルL3,L4は波形制御回路25のコイルL1,L2と等価なものであり、コンデンサC3,C4は波形制御回路25のコンデンサC1,C2と等価なものである。
【0037】
このとき、スイッチングコントローラ23からスイッチング回路22のスイッチングトランジスタQ1〜Q4およびスイッチング回路22′のスイッチングトランジスタQ1′〜Q4′へ制御信号を送り、これらをフェーズシフトさせることにより、4つのマグネトロンに供給する電圧をパルス状にして、この4つのマグネトロンにそれぞれ印加される電圧パルスが時間的に重ならないようにする。具体的には、スイッチング回路22のスイッチングトランジスタQ1およびQ4によりMag1に供給される電圧がオン・オフ制御され、次いでスイッチング回路22のスイッチングトランジスタQ2およびQ3によりMag2に供給される電圧がオン・オフ制御され、次いでスイッチング回路22′のスイッチングトランジスタQ1′およびQ4′によりMag3に供給される電圧がオン・オフ制御され、次いでスイッチング回路22′のスイッチングトランジスタQ2′およびQ3′によりMag4に供給される電圧がオン・オフ制御される。これにより、図13に示すように、4つのマグネトロン(Mag1,Mag2,Mag3,Mag4)に供給されるパルス電圧が順次出現し、例えば100kHz程度のスイッチング周波数で50Hz程度の擬似サインカーブの全波整流波形となる。
【0038】
これにより、4つのマグネトロン(Mag1,Mag2,Mag3,Mag4)から同時にマイクロ波を発生させる時間が存在しないようになり、これらマグネトロンから発生するマイクロ波同士の干渉が生じないので、反射波の発生が抑制される。このため、4つのマグネトロンから効率良くウエハWにマイクロ波パワーを入れることができる。
【0039】
なお、本実施形態によれば、複数のマグネトロンのそれぞれに供給される電圧が時間的に重ならないように、複数のマグネトロンに順次電圧パルスが供給されるようにしたので、各マグネトロンに一度に供給される電圧の供給時間は短い。通常、マグネトロンへの電圧供給時間が短時間であれば、最大電流は定格電流の4倍程度とれるので、本実施形態では定格電流よりも大きな電流を流すことができ、1つのマグネトロンから連続的に電圧を供給する場合に比べて、大きなパワーを得ることができる。
【0040】
次に、図12の装置におけるより好ましい動作例について説明する。スイッチング回路22において、スイッチングトランジスタQ1とQ2を同時にオンした場合、およびスイッチングトランジスタQ3とQ4を同時にオンした場合には、トランジスタが破壊するおそれがある。それを回避するためには、例えばスイッチングトランジスタQ1をオフにしてからスイッチングトランジスタQ2をオンする際には、安全性のためにこれらの間に両方オフのデッドタイムを設ける必要があり、効率が低下する。そこで、本例では、スイッチング回路22のスイッチングトランジスタQ1およびQ4によりMag1に供給される電圧をオン・オフ制御し、次いでスイッチング回路22′のスイッチングトランジスタQ1′およびQ4′によりMag3に供給される電圧をオン・オフ制御し、次いでスイッチング回路22のスイッチングトランジスタQ2およびQ3によりMag2に供給される電圧をオン・オフ制御し、次いでスイッチング回路22′のスイッチングトランジスタQ2′およびQ3′によりMag4に供給される電圧をオン・オフ制御するようにして、図14に示すように、Mag1,Mag3,Mag2,Mag4の順でパルス電圧を供給するようにする。これによりスイッチングトランジスタQ1とQ2、およびQ3とQ4のオンタイミングが完全に分離され、デッドタイムを設けることなく、スイッチングトランジスタQ1とQ2、およびQ3とQ4の同時オンによるトランジスタ破壊の危険性をなくすことができる。スイッチング回路22′のスイッチングトランジスタQ1′〜Q4′においても同様である。
【0041】
以上の実施形態では、上述した、複数のマグネトロンにそれぞれ供給されるパルス状電圧の電圧パルス同士が時間的に重ならないように電圧を供給して、複数のマグネトロンから同時にマイクロ波を発生させる時間が存在しないようにすることにより、複数のマグネトロンから発生するマイクロ波同士の干渉が生じないので、反射波の発生を抑制して効率良く被処理体にマイクロ波パワーを入れることができるといった効果を奏する他、以下のような効果も奏する。
【0042】
すなわち、複数のマグネトロンから同時にマイクロ波を発生させる時間が存在しないようにすることにより、複数のマグネトロンからマイクロ波を同時に発生させる場合のような位相の干渉が生じず、電界強度は各マグネトロンから発生したマイクロ波の電界強度の絶対値の足し算となるため、マイクロ波を同時に発生させる場合よりも電界強度を大きくすることができ、また、電界の均一性も飛躍的に向上する。
【0043】
この点について、以下詳細に説明する。ここでは、図15に示すように、4つのマグネトロンから発生させた1000Wのマイクロ波を300mmウエハの外周に対応する位置に互いに90°ずつずらして設けられた4つのマイクロ波導入口P1、P2、P3、P4からチャンバ内に導入する際に、4つの導入口から同時に導入することなくシリアルに導入した場合と、4つの導入口から同時に導入した場合とについてシミュレーションした。図16は、導入口P1、P2、P3、P4からマイクロ波をシリアルに導入した場合における、各導入口から導入したマイクロ波のウエハ上の電界分布とこれらの合算値を示すものである。図17は、シリアル導入の場合の合算した電界分布と、4つの導入口から同時に導入した場合の電界分布を示すものである。なお、図16,17はいずれも、ウエハ上のP1とP3とを結ぶ線に沿った電界分布を示すものである。
【0044】
図17に示すように、4つの導入口からシリアルにマイクロ波を導入した場合は、同時導入した場合に比べ電界強度が大きくなり、最大2倍もの電界強度が得られ、また電界の均一性も飛躍的に向上することがわかる。
【0045】
なお、本発明は上記実施形態に限定されることなく種々変形可能である。例えば、上記実施形態においては、本発明のマイクロ波照射装置を半導体ウエハのアニールに用いた例を示したが、半導体ウエハとしてはシリコンのみならず化合物半導体であってもよい。また、被処理体としては、半導体ウエハに限らず、FPD用基板、太陽電池用基板、LED用基板等に適用することもできる。また、マイクロ波照射処理としては、アニール処理に限らず、酸化処理、窒化処理、成膜処理、改質処理、結晶化処理等に適用することができる。さらに、マグネトロンの数は、上記実施形態のような2つまたは4つに限らず、3つであっても5つ以上であってもよい。また、上記実施形態では、スイッチング回路として4つのスイッチングトランジスタを搭載したフルブリッジ回路を用いたが、これに限らず例えばハーフブリッジ回路であってもよい。さらに、他の回路についても、上記実施形態の構成は例示であって、他の種々の回路を採用することができる。
【符号の説明】
【0046】
1;チャンバ
2;載置ピン
3;ガス導入ポート
4;ガス供給部
5;排気ポート
8a,8b;マイクロ波導入ポート
9a,9b;導波路
10a,10b;マグネトロン
11a,11b;サーキュレータ
12;ダミーロード
20,20′;電源部
21;AC/DC変換回路
22,22′;スイッチング回路
23;スイッチングコントローラ
24,24′;昇圧トランス
25,25′;電圧供給・波形制御回路
40;全体制御部
41;上位コントローラ
100:マイクロ波照射装置
Q1〜Q4;スイッチングトランジスタ
W;半導体ウエハ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
被処理体を収容するチャンバと、
電圧が供給されることによりマイクロ波を発生させ、そのマイクロ波を前記チャンバ内の被処理体に照射するための複数のマグネトロンと、
前記複数のマグネトロンにパルス状電圧を供給する電源部と
を具備し、
前記電源部は、前記複数のマグネトロンにそれぞれ供給されるパルス状電圧の電圧パルス同士が時間的に重ならないように電圧を供給することを特徴とするマイクロ波照射装置。
【請求項2】
前記電源部は、前記複数のマグネトロンに順次電圧パルスが供給されるように前記パルス状電圧を供給することを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項3】
前記電源部は、前記電圧パルスの電圧値が時間的に連続的に変化するように電圧波形制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項4】
前記電源部は、前記電圧パルスが全波整流波形を形成するように電圧波形制御することを特徴とする請求項3に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項5】
前記電源部は、前記電圧パルスが擬似サインカーブとなるように電圧波形制御することを特徴とする請求項3に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項6】
前記電源部は、前記電圧パルスが三角波、台形波、のこぎり波のいずれかになるように電圧波形制御することを特徴とする請求項3に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項7】
前記電源部は、前記電圧パルスが、前記複数のマグネトロンの発振電圧よりも低い電圧部分で急激に上昇および下降し、発振電圧以上の部分で所望の波形となるように電圧波形制御することを特徴とする請求項3に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項8】
前記電源部は、
交流電流を直流に変換する交流/直流変換部と、
複数のスイッチングトランジスタを有し、前記変換された直流電圧が入力され、前記各スイッチングトランジスタにオン・オフサイクルを生じさせ、これら各スイッチングトランジスタの組み合わせにより所定のパルス状電圧を出力するスイッチング回路と、
前記スイッチング回路を制御するスイッチング制御部と、
前記スイッチング回路から所定のパルス状電圧を2つのマグネトロンへ交互に導く電圧供給回路と
を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項9】
前記電源部は、
交流電流を直流に変換する交流/直流変換部と、
それぞれ、複数のスイッチングトランジスタを有し、前記変換された直流電圧が入力され、前記各スイッチングトランジスタにオン・オフサイクルを生じさせ、これら各スイッチングトランジスタの組み合わせにより所定のパルス状電圧を出力する第1および第2のスイッチング回路と、
前記第1および第2のスイッチング回路を制御するスイッチング制御部と、
前記第1のスイッチング回路から所定波形のパルス状電圧を第1および第2のマグネトロンへ交互に導く第1の電圧供給回路と、
前記第2のスイッチング回路から所定のパルス状電圧を第3および第4のマグネトロンへ交互に導く第2の電圧供給回路と
を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項10】
最初に、前記第1のスイッチング回路の一部のスイッチングトランジスタにより前記第1の電圧供給回路から前記第1のマグネトロンに電圧が供給され、次に、前記第2のスイッチング回路の一部のスイッチングトランジスタにより前記第2の電圧供給回路から前記第3のマグネトロンに電圧が供給され、次に前記第1のスイッチング回路の他の一部のスイッチングトランジスタにより前記第1の電圧供給回路から前記第2のマグネトロンに電圧が供給され、次に、前記第2のスイッチング回路の他の一部のスイッチングトランジスタにより前記第2の電圧供給回路から前記第4のマグネトロンに電圧が供給されるように電圧供給が制御されることを特徴とする請求項9に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項11】
複数のマグネトロンにパルス状電圧を供給して発生するマイクロ波をチャンバ内の被処理体に照射するマイクロ波照射方法であって、
前記複数のマグネトロンにそれぞれ供給されるパルス状電圧の電圧パルス同士が時間的に重ならないように電圧を供給することを特徴とするマイクロ波照射方法。
【請求項12】
前記複数のマグネトロンに順次電圧パルスが供給されるように前記パルス状電圧を供給することを特徴とする請求項11に記載のマイクロ波照射方法。
【請求項13】
前記電圧パルスの電圧値が時間的に連続的に変化するように電圧波形制御することを特徴とする請求項11または請求項12に記載のマイクロ波照射方法。
【請求項14】
前記電圧パルスが全波整流波形を形成するように電圧波形制御することを特徴とする請求項13に記載のマイクロ波照射方法。
【請求項15】
前記電圧パルスが擬似サインカーブとなるように電圧波形制御することを特徴とする請求項13に記載のマイクロ波照射方法。
【請求項16】
前記電圧パルスが三角波、台形波、のこぎり波のいずれかになるように電圧波形制御することを特徴とする請求項13に記載のマイクロ波照射方法。
【請求項17】
前記電圧パルスが、前記複数のマグネトロンの発振電圧よりも低い電圧部分で急激に上昇および下降し、発振電圧以上の部分で所望の波形となるように電圧波形制御することを特徴とする請求項13に記載のマイクロ波照射方法。
【請求項1】
被処理体を収容するチャンバと、
電圧が供給されることによりマイクロ波を発生させ、そのマイクロ波を前記チャンバ内の被処理体に照射するための複数のマグネトロンと、
前記複数のマグネトロンにパルス状電圧を供給する電源部と
を具備し、
前記電源部は、前記複数のマグネトロンにそれぞれ供給されるパルス状電圧の電圧パルス同士が時間的に重ならないように電圧を供給することを特徴とするマイクロ波照射装置。
【請求項2】
前記電源部は、前記複数のマグネトロンに順次電圧パルスが供給されるように前記パルス状電圧を供給することを特徴とする請求項1に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項3】
前記電源部は、前記電圧パルスの電圧値が時間的に連続的に変化するように電圧波形制御することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項4】
前記電源部は、前記電圧パルスが全波整流波形を形成するように電圧波形制御することを特徴とする請求項3に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項5】
前記電源部は、前記電圧パルスが擬似サインカーブとなるように電圧波形制御することを特徴とする請求項3に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項6】
前記電源部は、前記電圧パルスが三角波、台形波、のこぎり波のいずれかになるように電圧波形制御することを特徴とする請求項3に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項7】
前記電源部は、前記電圧パルスが、前記複数のマグネトロンの発振電圧よりも低い電圧部分で急激に上昇および下降し、発振電圧以上の部分で所望の波形となるように電圧波形制御することを特徴とする請求項3に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項8】
前記電源部は、
交流電流を直流に変換する交流/直流変換部と、
複数のスイッチングトランジスタを有し、前記変換された直流電圧が入力され、前記各スイッチングトランジスタにオン・オフサイクルを生じさせ、これら各スイッチングトランジスタの組み合わせにより所定のパルス状電圧を出力するスイッチング回路と、
前記スイッチング回路を制御するスイッチング制御部と、
前記スイッチング回路から所定のパルス状電圧を2つのマグネトロンへ交互に導く電圧供給回路と
を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項9】
前記電源部は、
交流電流を直流に変換する交流/直流変換部と、
それぞれ、複数のスイッチングトランジスタを有し、前記変換された直流電圧が入力され、前記各スイッチングトランジスタにオン・オフサイクルを生じさせ、これら各スイッチングトランジスタの組み合わせにより所定のパルス状電圧を出力する第1および第2のスイッチング回路と、
前記第1および第2のスイッチング回路を制御するスイッチング制御部と、
前記第1のスイッチング回路から所定波形のパルス状電圧を第1および第2のマグネトロンへ交互に導く第1の電圧供給回路と、
前記第2のスイッチング回路から所定のパルス状電圧を第3および第4のマグネトロンへ交互に導く第2の電圧供給回路と
を有することを特徴とする請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項10】
最初に、前記第1のスイッチング回路の一部のスイッチングトランジスタにより前記第1の電圧供給回路から前記第1のマグネトロンに電圧が供給され、次に、前記第2のスイッチング回路の一部のスイッチングトランジスタにより前記第2の電圧供給回路から前記第3のマグネトロンに電圧が供給され、次に前記第1のスイッチング回路の他の一部のスイッチングトランジスタにより前記第1の電圧供給回路から前記第2のマグネトロンに電圧が供給され、次に、前記第2のスイッチング回路の他の一部のスイッチングトランジスタにより前記第2の電圧供給回路から前記第4のマグネトロンに電圧が供給されるように電圧供給が制御されることを特徴とする請求項9に記載のマイクロ波照射装置。
【請求項11】
複数のマグネトロンにパルス状電圧を供給して発生するマイクロ波をチャンバ内の被処理体に照射するマイクロ波照射方法であって、
前記複数のマグネトロンにそれぞれ供給されるパルス状電圧の電圧パルス同士が時間的に重ならないように電圧を供給することを特徴とするマイクロ波照射方法。
【請求項12】
前記複数のマグネトロンに順次電圧パルスが供給されるように前記パルス状電圧を供給することを特徴とする請求項11に記載のマイクロ波照射方法。
【請求項13】
前記電圧パルスの電圧値が時間的に連続的に変化するように電圧波形制御することを特徴とする請求項11または請求項12に記載のマイクロ波照射方法。
【請求項14】
前記電圧パルスが全波整流波形を形成するように電圧波形制御することを特徴とする請求項13に記載のマイクロ波照射方法。
【請求項15】
前記電圧パルスが擬似サインカーブとなるように電圧波形制御することを特徴とする請求項13に記載のマイクロ波照射方法。
【請求項16】
前記電圧パルスが三角波、台形波、のこぎり波のいずれかになるように電圧波形制御することを特徴とする請求項13に記載のマイクロ波照射方法。
【請求項17】
前記電圧パルスが、前記複数のマグネトロンの発振電圧よりも低い電圧部分で急激に上昇および下降し、発振電圧以上の部分で所望の波形となるように電圧波形制御することを特徴とする請求項13に記載のマイクロ波照射方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図17】
【公開番号】特開2012−84510(P2012−84510A)
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−178378(P2011−178378)
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成24年4月26日(2012.4.26)
【国際特許分類】
【出願日】平成23年8月17日(2011.8.17)
【出願人】(000219967)東京エレクトロン株式会社 (5,184)
【Fターム(参考)】
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