説明

マスク部材貼付装置および塗布システム

【課題】流動性材料が塗布される基板上の非塗布領域に流動性材料の付着を防止するマスク部材を粘着剤層を介して貼付するマスク部材貼付装置において、マスク部材の貼付時に粘着剤層が押し潰されて塗布領域にはみ出てしまうことを防止する。
【解決手段】マスク部材貼付装置では、マスク部材12が基板9の非塗布領域92に向けて押圧されることにより、マスク部材12が、非塗布領域92上に形成された粘着剤層11を介して基板9上に貼付される。粘着剤層11は、粘着材料111および粒状のスペーサ112を含んでいるため、マスク部材12の基板9の主面90からの高さはスペーサ112の直径におよそ等しくされる。また、マスク部材12の貼付時に粘着剤層11が押し潰されて塗布領域91へとはみ出してしまうことを防止することができる。その結果、基板9の塗布領域91に有機EL液を高精度に塗布することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、流動性材料が塗布される基板の主面上の非塗布領域に、非塗布領域に対する流動性材料の付着を防止するマスク部材を貼付するマスク部材貼付装置、および、当該マスク部材貼付装置を備えるとともに基板に流動性材料を塗布する塗布システムに関する。
【背景技術】
【0002】
従来より、有機EL(Electro Luminescence)材料を利用した有機EL表示装置の開発が行われており、例えば、高分子有機EL材料を用いたアクティブマトリックス駆動方式の有機EL表示装置の製造では、ガラス基板(以下、単に「基板」という。)に対して、TFT(Thin Film Transistor)回路の形成、陽極となるITO(Indium Tin Oxide)電極の形成、隔壁の形成、正孔輸送材料を含む流動性材料(以下、「正孔輸送液」という。)の塗布、加熱処理による正孔輸送層の形成、有機EL材料を含む流動性材料(以下、「有機EL液」という。)の塗布、加熱処理による有機EL層の形成、陰極の形成、および、絶縁膜の形成が順次行われる。
【0003】
有機EL表示装置の製造において、正孔輸送液または有機EL液を基板に塗布する装置の1つとして、特許文献1および特許文献2に示されるように、流動性材料を連続的に吐出する複数のノズルを、基板に対して主走査方向および副走査方向に相対移動することにより、基板上に流動性材料をストライプ状に塗布する装置が知られている。
【0004】
有機EL表示装置用の基板の表面には、正孔輸送液や有機EL液等の流動性材料が塗布されるべき塗布領域(すなわち、発光領域)の周囲に、ドライバ回路が組み込まれた領域や、塗布領域を封止する封止基板との接合時に接着剤等を塗布するための領域が設けられている。有機EL表示装置の製造では、正孔輸送層や有機EL層の形成工程においてこれらの塗布領域の周囲の領域(以下、「非塗布領域」という。)に流動性材料が付着する可能性があり、流動性材料が付着した状態で後工程が行われると電極の特性劣化や封止不良等が発生する可能性がある。したがって、基板上の非塗布領域に流動性材料が付着することを防止する必要がある。
【0005】
特許文献3では、有機EL素子用の基板上の非塗布領域にマスキングテープを貼付することにより、素子形成領域に選択的に塗布液を塗布する技術が開示されている。また、特許文献4では、マスキングテープの両側面において、マスキングテープの粘着剤層の下面エッジを上面エッジよりも幅方向に関して内側に位置させることにより、マスキングテープが基板から剥離される際に、粘着剤層の下面エッジ近傍の部位をマスキングテープの基材により強固に支持し、粘着剤層の一部が残渣として基板上に残ることを防止する技術が開示されている。
【特許文献1】特開2004−111073号公報
【特許文献2】特開2004−89771号公報
【特許文献3】特開2006−216414号公報
【特許文献4】特開2008−024857号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
ところで、特許文献3および特許文献4のようなマスキングテープは、基板に対して押圧されることにより貼付されるが、このとき、マスキングテープの粘着剤層が柔らかいと、粘着剤層が押し潰されて塗布領域にはみ出してしまい、塗布領域に対する塗布液の塗布がはみ出した粘着剤層により妨げられるおそれがある。
【0007】
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであり、マスク部材の貼付時に粘着剤層が押し潰されて塗布領域にはみ出てしまうことを防止し、流動性材料を基板上の塗布領域に高精度に塗布することを目的としている。
【課題を解決するための手段】
【0008】
請求項1に記載の発明は、流動性材料が塗布される基板の主面上の非塗布領域に、前記非塗布領域に対する前記流動性材料の付着を防止するマスク部材を貼付するマスク部材貼付装置であって、基板を保持する基板保持部と、帯状のマスク部材を、粘着材料と粒状のスペーサとを含む粘着剤層を介して前記基板の主面上の非塗布領域と塗布領域との間の境界と平行に前記非塗布領域に貼付する貼付機構とを備える。
【0009】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のマスク部材貼付装置であって、前記貼付機構が、前記粘着材料と前記スペーサとを含む粘着剤を前記基板の前記主面に塗布することにより前記非塗布領域上に前記粘着剤層を形成する粘着剤塗布機構を備え、前記貼付機構により、前記非塗布領域の前記粘着剤層上に前記マスク部材が貼付される。
【0010】
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載のマスク部材貼付装置であって、前記マスク部材がロールから繰り出されて前記粘着剤層上に貼付されるテープ状の部材である。
【0011】
請求項4に記載の発明は、請求項3に記載のマスク部材貼付装置であって、前記マスク部材が、テープ状の基材と、前記基材の一方の面に形成された補助粘着剤層とを備え、前記マスク部材が前記粘着剤層上に貼付される際に、前記補助粘着剤層と前記粘着剤層とが互いに接着される。
【0012】
請求項5に記載の発明は、請求項1に記載のマスク部材貼付装置であって、前記マスク部材がロールから繰り出されるテープ状の部材であり、前記貼付機構が、前記マスク部材を前記ロールから繰り出すマスク部材供給部と、前記マスク部材の前記マスク部材供給部から繰り出された部位に、前記粘着材料と前記スペーサとを含む粘着剤を付与することにより、前記マスク部材の一方の面に前記粘着剤層を形成する粘着剤層形成部と、前記粘着剤層を前記非塗布領域に接触させつつ前記マスク部材を前記非塗布領域に向けて押圧する押圧部と、前記マスク部材が前記押圧部により押圧された状態で、前記基板を前記非塗布領域の前記境界に平行な方向に前記押圧部に対して相対的に移動することにより、前記マスク部材を前記境界に沿って順次貼付する移動機構とを備える。
【0013】
請求項6に記載の発明は、請求項1ないし5のいずれかに記載のマスク部材貼付装置であって、前記スペーサが球状の粒子である。
【0014】
請求項7に記載の発明は、請求項1ないし6のいずれかに記載のマスク部材貼付装置であって、前記非塗布領域に貼付された前記マスク部材の一方の側部よりも内側に前記粘着剤層が位置し、前記マスク部材の前記粘着剤層から前記塗布領域に向かって側方に突出する部位が前記基板の前記主面から離間する庇部とされる。
【0015】
請求項8に記載の発明は、請求項7に記載のマスク部材貼付装置であって、前記非塗布領域に貼付された前記マスク部材の他方の側部よりも内側に前記粘着剤層が位置し、前記非塗布領域が前記塗布領域ともう1つの塗布領域との間に位置し、前記マスク部材の前記粘着剤層から前記もう1つの塗布領域に向かって側方に突出する部位が前記基板の前記主面から離間するもう1つの庇部とされる。
【0016】
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載のマスク部材貼付装置であって、前記マスク部材の幅が、前記非塗布領域の幅に等しい。
【0017】
請求項10に記載の発明は、基板に流動性材料を塗布する塗布システムであって、請求項1ないし9のいずれかに記載のマスク部材貼付装置と、マスク部材が貼付された基板上の前記マスク部材を含む領域に流動性材料を塗布する塗布装置と、粘着材料と粒状のスペーサとを含む粘着剤層を前記基板上に残しつつ前記基板から前記マスク部材を剥離するマスク部材剥離装置と、前記マスク部材貼付装置、前記塗布装置および前記マスク部材剥離装置へと順に前記基板を搬送する基板搬送機構とを備え、前記塗布装置が、前記基板に向けて流動性材料を吐出する吐出機構と、前記吐出機構を前記基板の主面に平行であって前記マスク部材と交差する主走査方向に前記基板に対して相対的に移動するとともに、前記主走査方向への移動が行われる毎に前記基板を前記吐出機構に対して前記主走査方向に垂直な副走査方向に相対的に移動する移動機構とを備える。
【0018】
請求項11に記載の発明は、請求項10に記載の塗布システムであって、前記粘着剤層の前記基板に対する粘着力が、前記粘着剤層の前記マスク部材に対する粘着力よりも大きい。
【0019】
請求項12に記載の発明は、請求項10または11に記載の塗布システムであって、前記マスク部材が剥離された前記基板の塗布領域の周囲、または、前記塗布領域を封止する封止基板における前記基板の前記塗布領域の周囲に対応する領域に封止接着剤を塗布する封止接着剤塗布装置と、前記基板の前記主面に前記粘着剤層を介在させつつ前記封止基板を重ねて前記スペーサにより前記基板と前記封止基板との間の間隙の高さを決定し、前記塗布領域を囲む前記封止接着剤により前記封止基板と前記基板とを接着する封止装置とをさらに備える。
【0020】
請求項13に記載の発明は、基板に流動性材料を塗布する塗布システムであって、請求項7ないし9のいずれかに記載のマスク部材貼付装置と、マスク部材が貼付された基板上の前記マスク部材を含む領域に流動性材料を塗布する塗布装置と、粘着材料と粒状のスペーサとを含む粘着剤層を前記基板上に残しつつ前記基板から前記マスク部材を剥離するマスク部材剥離装置と、前記マスク部材が剥離された前記基板の塗布領域の周囲、または、前記塗布領域を封止する封止基板における前記基板の前記塗布領域の周囲に対応する領域に封止接着剤を塗布する封止接着剤塗布装置と、前記基板の前記主面に前記粘着剤層を介在させつつ前記封止基板を重ねて前記スペーサにより前記基板と前記封止基板との間の間隙の高さを決定し、前記塗布領域を囲む前記封止接着剤により前記封止基板と前記基板とを接着する封止装置と、前記マスク部材貼付装置、前記塗布装置、前記マスク部材剥離装置、前記封止接着剤塗布装置および前記封止装置へと順に前記基板を搬送する基板搬送機構とを備え、前記塗布装置が、前記基板に向けて流動性材料を吐出する吐出機構と、前記吐出機構を前記基板の主面に平行であって前記マスク部材と交差する主走査方向に前記基板に対して相対的に移動するとともに、前記主走査方向への移動が行われる毎に前記基板を前記吐出機構に対して前記主走査方向に垂直な副走査方向に相対的に移動する移動機構とを備え、前記封止接着剤の一部が、前記粘着剤層が設けられる非塗布領域のうち、前記非塗布領域と前記塗布領域との間の境界と前記粘着剤層の側部とに挟まれる領域に設けられる。
【0021】
請求項14に記載の発明は、請求項13に記載の塗布システムであって、前記粘着剤層の前記基板に対する粘着力が、前記粘着剤層の前記マスク部材に対する粘着力よりも大きい。
【0022】
請求項15に記載の発明は、請求項10ないし14のいずれかに記載の塗布システムであって、前記流動性材料が、平面表示装置用の画素形成材料を含む。
【0023】
請求項16に記載の発明は、請求項15に記載の塗布システムであって、前記画素形成材料が、有機EL表示装置用の有機EL材料または正孔輸送材料である。
【発明の効果】
【0024】
本発明では、マスク部材の貼付時に粘着剤層が押し潰されて塗布領域にはみ出てしまうことを防止することができる。また、請求項7ないし9の発明では、塗布領域と非塗布領域との境界における流動性材料のメニスカスの発生を防止することもできる。
【0025】
請求項10ないし16の発明では、流動性材料の塗布後にマスク部材を剥離することにより、スペーサを含む粘着剤層を基板上に容易に形成することができる。請求項11および14の発明では、また、粘着剤層を基板上に残しつつマスク部材を容易に剥離することができる。さらに、請求項12および13の発明では、基板と封止基板との間隔の均一性を向上しつつ塗布領域を封止することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るマスク部材貼付装置を備える塗布システム8の構成を示す図である。塗布システム8は、マスク部材が貼付された平面表示装置用のガラス基板(以下、単に「基板」という。)に画素形成材料を含む流動性材料を塗布するシステムである。本実施の形態では、塗布システム8において、アクティブマトリックス駆動方式の有機EL(Electro Luminescence)表示装置用の基板に、有機EL材料を含む流動性材料(以下、「有機EL液」という。)が塗布される。有機EL液は、有機EL材料の他に、キシレンやメシチレン等の有機溶媒(本実施の形態では、キシレン)を含む。
【0027】
図2は、可撓性を有する樹脂製のテープ状の部材であるマスク部材12が貼付された基板9を示す平面図である。図2では、図の理解を容易にするために、塗布システム8(図1参照)により有機EL液が塗布される領域(以下、「塗布領域」という。)91に平行斜線を付す。本実施の形態では、基板9上に4つの塗布領域91が設けられ、1枚の基板9から4つの有機EL表示装置用の基板が製造される。4つの塗布領域91の周囲の格子状の領域92は、ドライバ回路の組み込みや封止基板との接合等に利用されるため、有機EL液が塗布されるべきではない領域であり、以下、「非塗布領域92」という。マスク部材12は、図2に示すように、有機EL液が塗布される基板9の(+Z)側の主面90上の非塗布領域92に貼付されて(すなわち、密着して)非塗布領域92に対する有機EL液の付着を防止する。
【0028】
図1に示すように、塗布システム8は、基板9上の非塗布領域92にマスク部材12(図2参照)を貼付するマスク部材貼付装置2、マスク部材12が貼付された基板9に向けて有機EL液をノズルから連続的に吐出しつつノズルを基板9に対して相対的に移動してマスク部材12を含む領域に有機EL液を塗布する塗布装置3、有機EL液が塗布された基板9からマスク部材12を剥離するマスク部材剥離装置4、マスク部材12が剥離された基板9の塗布領域91の周囲に封止接着剤を塗布する封止接着剤塗布装置5、および、基板9の塗布領域91(図2参照)を封止する封止基板と基板9とを封止接着剤により接着する封止装置6を備える。
【0029】
塗布システム8では、また、マスク部材貼付装置2と塗布装置3との間、塗布装置3とマスク部材剥離装置4との間、マスク部材剥離装置4と封止接着剤塗布装置5との間、および、封止接着剤塗布装置5と封止装置6との間にそれぞれ、固定型の搬送ロボット81が設けられ、これら4つの搬送ロボット81が、マスク部材貼付装置2、塗布装置3、マスク部材剥離装置4、封止接着剤塗布装置5および封止装置6へと順に基板9を搬送する基板搬送機構となっている。
【0030】
図3は、図2に示す基板9の一部を、図2中のA−Aの位置にてマスク部材12の長手方向(すなわち、図2中のY方向)に垂直に切断した断面図である。マスク部材12は、基板9の主面90上に形成された粘着剤層11を介して、図2および図3に示すように、基板9の主面90上の2つの塗布領域91の間に位置する非塗布領域92に、非塗布領域92と塗布領域91との間の境界920と平行に貼付される。図3に示すように、粘着剤層11は、粘着材料111と粘着材料111よりも剛性が高い粒状のスペーサ112を含んでおり、本実施の形態では、スペーサ112は球状の粒子である。マスク部材12および粘着剤層11は、長手方向の全長に亘って図3に示す断面と同じ外形(すなわち、輪郭)を有する。なお、図3では、図示の都合上、粘着剤層11およびマスク部材12の厚さやスペーサ112の直径を、粘着剤層11およびマスク部材12の幅に比べて厚く描いており、実際には、粘着剤層11の断面にはもっと多数のスペーサ112が含まれる(図11、図16および図19においても同様)。
【0031】
粘着剤層11の粘着材料111としては、例えば、ポリエステル系粘着剤、アクリル系粘着剤、シリコン系粘着剤、天然ゴム系粘着剤または合成ゴム系粘着剤が利用され、本実施の形態では、アクリル系粘着剤が利用される。
【0032】
マスク部材12は、例えば、プラスチックフィルムにより形成される。マスク部材12として使用されるプラスチックフィルムは、ポリエチレンやポリプロピレン等のポリオレフィン系フィルム、ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレート等のポリエステル系フィルム、ナイロン等のポリアミド系フィルム、トリアセチルセルロースフィルム、ポリイミドフィルム等であり、これらのプラスチックフィルムは、無延伸フィルムおよび延伸(一軸延伸または二軸延伸)フィルムのいずれであってもよい。
【0033】
マスク部材貼付装置2では、図2に示すように、1つのマスク部材12が、基板9の主面90上の非塗布領域92と非塗布領域92のX方向の両側に位置する塗布領域91との間の2つの境界920と平行にY方向を向いた状態で非塗布領域92に貼付され、2つのマスク部材12が、上記マスク部材12のX方向の両側において、非塗布領域92と非塗布領域92の(+X)側または(−X)側に位置する塗布領域91との間の境界920に平行に非塗布領域92に貼付される。
【0034】
図3に示すように、粘着剤層11の下面1122(すなわち、(−Z)側の面)の(+X)側に位置する一のエッジ1123(以下、「第1下面エッジ1123」という。)は、非塗布領域92と当該非塗布領域92の(+X)側に位置する塗布領域91との間の境界920(図3中では、図示の都合上、丸い点にて表す。)よりも非塗布領域92の内側である(−X)側に位置する。また、粘着剤層11の下面1122の(−X)側に位置する他方の第1下面エッジ1123は、非塗布領域92と当該非塗布領域92の(−X)側に位置するもう1つの塗布領域91との間の境界920(すなわち、非塗布領域92のもう1つの境界)よりも非塗布領域92の内側である(+X)側に位置する。
【0035】
マスク部材12の下面1222(すなわち、(−Z)側の面)の(+X)側に位置する一のエッジ1223(以下、「第2下面エッジ1223」という。)は、(+X)側の第1下面エッジ1123の上方に位置する粘着剤層11の上面1111の(+X)側のエッジである第1上面エッジ1113よりも外側である(+X)側に位置する。このように、非塗布領域92に貼付されたマスク部材12の(+X)側の側部(側面1203)よりも幅方向の内側に粘着剤層11が位置することにより、マスク部材12の粘着剤層11から(+X)側の塗布領域91に向かって側方に突出する部位が、基板9の主面90から離間する庇部120として基板9上に設けられる。
【0036】
また、マスク部材12の下面1222の(−X)側に位置する他方の第2下面エッジ1223は、(−X)側の第1下面エッジ1123の上方に位置する粘着剤層11の(−X)側の第1上面エッジ1113よりも外側である(−X)側に位置する。このように、非塗布領域92に貼付されたマスク部材12の(−X)側の側部(側面1203)よりも幅方向の内側に粘着剤層11が位置することにより、マスク部材12の粘着剤層11から(−X)側の塗布領域91に向かって側方に突出する部位が、基板9の主面90から離間するもう1つの庇部120として基板9上に設けられる。マスク部材12の(+X)側および(−X)側の庇部120の下面1202は、基板9の主面90に平行とされる。
【0037】
粘着剤層11の両側の側面1103、および、マスク部材12の両側の側面1203は、基板9の主面90に略垂直とされる。また、マスク部材12のX方向の幅は非塗布領域92のX方向の幅に等しく、マスク部材12のX方向の両側の第2下面エッジ1223は、非塗布領域92の両側の境界920と平面視において重なっている。すなわち、マスク部材12のX方向の中心を通る線(以下、「中心線」という。)は、非塗布領域92の中心線に平面視において重なっている。また、粘着剤層11のX方向の幅は非塗布領域92のX方向の幅よりも小さくされ、粘着剤層11の中心線は、マスク部材12と同様に、非塗布領域92の中心線に平面視において重なっている。
【0038】
本実施の形態では、粘着剤層11およびマスク部材12の厚さはそれぞれ、約15μmおよび約38μmとされる。また、粘着剤層11およびマスク部材12の幅はそれぞれ4mmおよび6mmとされ、マスク部材12の両側の庇部120の幅はそれぞれ1mmとされる。上述のように、マスク部材12および粘着剤層11の断面の外形は長手方向の全長に亘って同形状とされるため、図3に示すマスク部材12および粘着剤層11の形状に関する上記説明は、マスク部材12および粘着剤層11の長手方向に垂直な任意の断面において同様である。
【0039】
図4ないし図6はそれぞれ、マスク部材貼付装置2の構成を示す平面図、正面図および左側面図である。図4ないし図6に示すように、マスク部材貼付装置2は、基板9を保持する基板保持部21、基板9を基板保持部21と共に基板9の主面90(図2参照)に平行な所定の移動方向(すなわち、図4ないし図6中のY方向であり、以下、「走査方向」という。)に移動する基板移動機構22、有機EL液が塗布される前の基板9の主面90上の非塗布領域92(図2参照)に粘着剤層11を介してマスク部材12(図3参照)を貼付する貼付ヘッド23、並びに、貼付ヘッド23を走査方向に垂直な方向(すなわち、図4ないし図6中のX方向)に個別に移動するヘッド移動機構24を備える。マスク部材貼付装置2では、基板移動機構22により、基板保持部21が基板9と共にレール221に沿って水平方向に移動する。また、ヘッド移動機構24により、貼付ヘッド23が基板9の移動経路の上方においてレール241に沿って水平方向に移動する。
【0040】
図7.Aは、貼付ヘッド23の構成を拡大して示す左側面図であり、図7.Aでは、貼付ヘッド23のハウジング231に収容される内部構成を描いている。図7.Aに示すように、貼付ヘッド23は、粘着材料111とスペーサ112(図3参照)とを含む粘着剤を基板9の主面90に塗布することにより非塗布領域92上に粘着剤層11を形成する粘着剤塗布機構であるディスペンサ232、非塗布領域92上に形成された粘着剤層11に向けてマスク部材12を押圧して貼付するマスク部材押圧機構233、並びに、ディスペンサ232およびマスク部材押圧機構233を収容するハウジング231を備える。
【0041】
ディスペンサ232は、ハウジング231の下部に形成された開口2311を介して基板9に対向する。マスク部材押圧機構233は、未使用のマスク部材12が巻き付けられるロール2341を有するとともにロール2341からマスク部材12を繰り出すマスク部材供給部234、ロール2341から繰り出されたマスク部材12を案内するローラ2331〜2333およびガイド236、ガイド236に対向する位置に配置される切断部235、ハウジング231の下部に形成された開口2312上に配置される貼付ローラ239、並びに、貼付ローラ239を駆動するエアシリンダ238を備える。
【0042】
マスク部材貼付装置2により基板9にマスク部材12が貼付される際には、まず、図4ないし図6に示すヘッド移動機構24により貼付ヘッド23がX方向に移動されて基板9の移動経路の上方に位置する。このとき、基板9は、貼付ヘッド23の(−Y)側に位置している。続いて、基板移動機構22により基板9が(+Y)方向に移動し、ディスペンサ232から吐出された粘着剤が基板9の非塗布領域92に連続的に塗布されて粘着剤層11が形成される。
【0043】
そして、非塗布領域92に形成された粘着剤層11が開口2312の下方に到達すると、マスク部材供給部234のロール2341が図7.A中における時計回りに回転することにより、マスク部材12の先端部が開口2312から基板9に向かって移動する。これと並行して、エアシリンダ238により貼付ローラ239が開口2312を介して下方に移動し、図7.Bに示すように、マスク部材12の先端部を上側から基板9の主面90上に形成された粘着剤層11に向けて押圧して貼付する(すなわち、マスク部材12の先端部を基板9の主面90に向けて押圧し、粘着剤層11を介して基板9に貼付する)。
【0044】
図4ないし図6に示すマスク部材貼付装置2では、ディスペンサ232(図7.A参照)から粘着剤を吐出しつつ、基板移動機構22により基板9が非塗布領域92の境界920(図2参照)に平行な走査方向(すなわち、(+Y)方向)に継続的に移動することにより、非塗布領域92に粘着剤層11(図3参照)が形成される。また、粘着剤層11の形成と並行して、図7.Aに示すマスク部材供給部234のロール2341からマスク部材12が継続的に送り出されるとともに、マスク部材12が貼付ローラ239により粘着剤層11に押圧された状態で、基板移動機構22により基板9が走査方向に移動することにより、基板9の主面90上において、マスク部材12が境界920に沿って非塗布領域92に順次貼付される。
【0045】
貼付ヘッド23では、切断部235(図7.A参照)によりマスク部材12が切断され、マスク部材12が後端部まで粘着剤層11に向けて押圧されることにより、マスク部材12が粘着剤層11を介して基板9の主面90に密着する。マスク部材貼付装置2では、基板移動機構22および貼付ヘッド23が、マスク部材12を基板9の主面90の非塗布領域92に粘着剤層11を介して貼付する貼付機構となっている。
【0046】
なお、図7.Aに示す貼付ヘッド23では、マスク部材12の先端部および後端部の貼付時には、マスク部材12が貼付ローラ239により粘着剤層11に向けて押圧されている必要があるが、先端部および後端部の貼付時以外は、貼付ローラ239がハウジング231内へと退避してマスク部材12の押圧が解除されていてもよい。換言すれば、マスク部材貼付装置2の貼付機構では、マスク部材12の少なくとも先端部および後端部の貼付時にマスク部材12が基板9に対して押圧された状態で、基板9が貼付ヘッド23のマスク部材押圧機構233に対して走査方向に相対的に移動することにより、マスク部材12が基板9上の非塗布領域92に貼付される。
【0047】
マスク部材貼付装置2では、図2に示すように、基板9の格子状の非塗布領域92のうち、基板移動機構22による基板9の移動方向である走査方向に平行に伸びる3つの領域(すなわち、図2中のY方向に伸びる領域)にのみマスク部材12が貼付される。なお、非塗布領域92のうち、走査方向に垂直に伸びる領域(すなわち、図2中のX方向に伸びる領域)には、粘着剤層11の形成およびマスク部材12の貼付は行われない。後述するように、図1に示す塗布システム8では、非塗布領域92のうちマスク部材12の貼付が省略された領域に対しては有機EL液の塗布は行われない。塗布システム8では、マスク部材12が貼付された基板9(図2参照)が、搬送ロボット81によりマスク部材貼付装置2から搬出されて塗布装置3に搬入される。
【0048】
次に、基板9に有機EL液を塗布する塗布装置3について説明する。図8および図9は、塗布装置3を示す平面図および正面図である。図8および図9に示すように、塗布装置3は、マスク部材12が非塗布領域92(図2参照)に貼付された基板9を保持する基板保持部31を備える。図8および図9では、図示の都合上、基板9の主面90上に貼付されたマスク部材12の図示を省略している。
【0049】
塗布装置3は、また、基板保持部31を基板9の主面90に平行な所定の方向(すなわち、図8中のY方向であり、以下、「副走査方向」という。)に水平移動するとともに垂直方向に向く軸を中心として回転する基板移動機構32、基板9上に形成された位置調整用目印(図示省略)を撮像して検出する目印検出部33、基板保持部31上の基板9に向けて3本のノズル37から有機EL液を連続的に吐出する吐出機構である塗布ヘッド34、基板9の主面90に平行であって副走査方向に垂直な方向(すなわち、図8中のX方向であり、以下、「主走査方向」という。)に塗布ヘッド34を水平移動するヘッド移動機構35、主走査方向に関して基板保持部31の両側に設けられるとともに塗布ヘッド34からの有機EL液を受ける2つの受液部36、および、塗布ヘッド34の3本のノズル37に有機EL液を供給する流動性材料供給部38を備える。塗布装置3では、ヘッド移動機構35および基板移動機構32が、塗布ヘッド34の3本のノズル37を基板9に対して主走査方向に相対的に移動するとともに、基板9を塗布ヘッド34の3本のノズル37に対して副走査方向に相対的に移動する移動機構となる。
【0050】
塗布ヘッド34では、3本のノズル37が、図8中のX方向(主走査方向)に関して略直線状に離れて配列されるとともに図8中のY方向(副走査方向)に僅かにずれて配置され、これらのノズル37から吐出された有機EL液が、基板9の塗布領域91(図2参照)に予め形成されている主走査方向に伸びる隔壁の間の溝に塗布される。本実施の形態では、隣接する2本のノズル37の間の副走査方向に関する距離は、隔壁間のピッチ(以下、「隔壁ピッチ」という。)に等しい。塗布ヘッド34では、赤色(R)、緑色(G)、青色(B)と互いに色が異なる3種類の有機EL材料をそれぞれ含む3種類の有機EL液が3本のノズル37から吐出される。
【0051】
塗布装置3により有機EL液の塗布が行われる際には、まず、マスク部材貼付装置2(図4ないし図6参照)により非塗布領域92にマスク部材12(図2参照)が貼付された基板9が基板保持部31に載置されて保持され、目印検出部33からの出力に基づいて基板移動機構32が駆動されて基板9が図8中に実線にて示す塗布開始位置に位置する。塗布ヘッド34は予め図8および図9中に実線にて示す位置に位置している。
【0052】
続いて、流動性材料供給部38から塗布ヘッド34へと有機EL液が供給されてノズル37から有機EL液の吐出が開始され、ヘッド移動機構35が駆動されて塗布ヘッド34の移動が開始される。塗布装置3では、ノズル37から有機EL液を基板9に向けて連続的に吐出しつつ、ノズル37を基板9に対して図8中の(−X)側から(+X)側へと(すなわち、基板9に貼付されたマスク部材12の長手方向と垂直に交差する主走査方向に)相対的に移動することにより、基板9の隔壁間の3つの隣接する溝、および、マスク部材12上に有機EL液が塗布される。
【0053】
塗布ヘッド34が図8および図9中に二点鎖線にて示す位置まで移動すると、基板移動機構32が駆動され、基板9が基板保持部31と共に図8中の(+Y)側に(すなわち、副走査方向に)隔壁ピッチの3倍の距離だけ移動する。このとき、塗布ヘッド34では、3本のノズル37から受液部36に向けて有機EL液が連続的に吐出されている。
【0054】
副走査方向における基板9の移動が終了すると、塗布ヘッド34が有機EL液を吐出しつつ図8中において(+X)側から(−X)側へと主走査方向に移動することにより、基板9上に3種類の有機EL液が塗布された後、副走査方向における基板9の移動が再び行われる。
【0055】
図10は、マスク部材12が貼付された基板9を示す平面図である。塗布装置3では、基板9が図8中に二点鎖線にて示す塗布終了位置に位置するまで、塗布ヘッド34の主走査方向への移動、および、塗布ヘッド34の1回の主走査方向への移動が行われる毎に行われる基板9の副走査方向へのピッチ移動が繰り返され、これにより、図10に示すように、基板9上のマスク部材12を含む領域(すなわち、非塗布領域92に貼付されたマスク部材12上の領域、および、塗布領域91の隔壁間の溝)に有機EL液93がストライプ状に塗布される。なお、図10では、図の理解を容易にするために塗布領域91の輪郭を破線にて描いており、また、図示の都合上、基板9上に塗布された有機EL液93の幅およびピッチを実際よりも大きく描いている(図15においても同様)。
【0056】
塗布装置3では、有機EL液93の塗布が行われている間、塗布ヘッド34のノズル37(図8および図9参照)から有機EL液93が連続的に吐出されている。塗布装置3では、非塗布領域92のうち基板9の移動方向に垂直に伸びる領域(すなわち、図10中においてX方向に伸びる領域であり、マスク部材12の貼付が省略されている領域)に対して、塗布ヘッド34を受液部36上に待機させた状態で、基板9を当該領域の幅(すなわち、図10中のY方向の幅)と等しい距離だけ副走査方向に移動することにより、当該領域への有機EL液93の塗布が回避される。
【0057】
図11は、有機EL液が塗布された基板9の一部を、図10中のB−Bの位置にて切断して示す断面図であり、図3に対応している。図11に示すように、塗布システム8のマスク部材貼付装置2(図4ないし図6参照)によりマスク部材12が貼付された基板9では、マスク部材12の(+X)側および(−X)側の庇部120が、非塗布領域92のうち粘着剤層11の(+X)側および(−X)側にて粘着剤層11から露出する領域921(以下、「露出領域921」という。)を、当該露出領域921と離間しつつ覆う。
【0058】
仮に、粘着剤層の幅が非塗布領域の幅に等しく、粘着剤層の下面の(+X)側および(−X)側の第1下面エッジが非塗布領域と塗布領域との境界に一致しているとすると、有機EL液が粘着剤層の側面に付着することにより、塗布領域と粘着剤層の側面との間に(すなわち、非塗布領域と塗布領域との境界上に)上方に向けて突出する有機EL液のメニスカスが形成される。そして、有機EL液の乾燥後に基板上に残る有機EL材料の膜において、非塗布領域と塗布領域との境界上にて上記メニスカスに対応する部分が突出してしまい、当該境界近傍の部位の膜厚が他の部位よりも厚くなる。その結果、後工程において有機EL材料の膜上に形成される他の膜(例えば、陰極の膜)の厚さが、当該突出部において不足してしまうおそれがある。
【0059】
本実施の形態では、上述のように、粘着剤層11の幅が非塗布領域92の幅よりも小さくされ、非塗布領域92の露出領域921がマスク部材12により非接触にて覆われているため、塗布装置3のノズル37(図8および図9参照)から基板9上に吐出された有機EL液93が、非塗布領域92の露出領域921に付着することが防止されるとともに、非塗布領域92上に形成された粘着剤層11の側面1103に付着することも防止される。その結果、非塗布領域92と(+X)側および(−X)側の塗布領域91との間の各境界920における有機EL液のメニスカスの発生を容易に防止することができ、塗布領域91に形成される有機EL液の膜の厚さの均一性を向上することができる。
【0060】
なお、塗布装置3では、ノズル37が高速に移動しつつ有機EL液を吐出するため、ノズル37が(+X)方向に移動しつつ有機EL液の塗布が行われる際には、粘着剤層11の(−X)側(すなわち、ノズル37の移動方向の上流側)の露出領域921において、境界920近傍に僅かに有機EL液93が付着することがあるが、後工程に対する影響のおそれがない程度に付着量が微量であるため、非塗布領域92に対する有機EL液93の付着は、マスク部材12により実質的に防止されていると考えてよい。また、ノズル37が(−X)方向に移動しつつ有機EL液の塗布が行われる際には、粘着剤層11の(+X)側の露出領域921の境界920近傍に有機EL液が僅かに付着することがあるが、この場合も上記と同様に、マスク部材12により、非塗布領域92に対する有機EL液93の付着が実質的に防止されていると考えてよい。
【0061】
一方、ノズル37が(+X)方向に移動しつつ有機EL液の塗布が行われる際には、マスク部材12の(+X)側(すなわち、ノズル37の移動方向の下流側)に位置する塗布領域91において、有機EL液93の塗布領域91に対する塗布開始位置が境界920から僅かな距離だけ離間することがある。しかしながら、塗布領域91の境界920近傍の領域は有機EL表示装置の画素領域として利用されず、かつ、塗布領域91の境界920近傍において有機EL液93が塗布されない距離が、画素領域として利用されない領域の幅よりも小さいため、上記塗布開始位置と境界920との僅かな離間は有機EL表示装置の性能には影響しない。また、ノズル37が(−X)方向に移動しつつ有機EL液の塗布が行われる際には、マスク部材12の(−X)側に位置する塗布領域91において、有機EL液93の塗布領域91に対する塗布開始位置が境界920から僅かな距離だけ離間することがあるが、上記と同様に、当該離間は有機EL表示装置の性能には影響しない。
【0062】
マスク部材貼付装置2では、上述のように、粘着剤層11およびマスク部材12のそれぞれの中心線が非塗布領域92の中心線に重なるように粘着剤層11が形成されるとともにマスク部材12が貼付され、粘着剤層11およびマスク部材12が、非塗布領域92の中心線に対して線対称とされる。これにより、塗布装置3において、ノズル37が(+X)方向に移動しつつ有機EL液の塗布が行われる場合と、ノズル37が(−X)方向に移動しつつ有機EL液の塗布が行われる場合とで、非塗布領域92に対する有機EL液の僅かな付着や塗布領域91における有機EL液の塗布開始位置と境界920との僅かな離間の態様を等しくすることができる。その結果、非塗布領域92の両側の2つの塗布領域91に対する有機EL液の塗布の質を均一化することができる。
【0063】
また、マスク部材貼付装置2では、マスク部材12の幅が非塗布領域92の幅に等しくされ、マスク部材12の幅方向のエッジが平面視において非塗布領域92の両側の境界920に重ねられる。これにより、非塗布領域92に対する有機EL液の付着がより確実に防止される。さらには、マスク部材12の庇部120の下面1202が基板9の主面90に平行とされることにより、マスク部材12の側面1203に付着した有機EL液93が、庇部120の下面1202に沿って粘着剤層11の側面1103へと流れて側面1103に付着してしまうことを防止することができる。その結果、マスク部材12の側面1203に付着した有機EL液93が、庇部120の下面1202および粘着剤層11の側面1103を経由して非塗布領域92に付着してしまうことが防止される。
【0064】
マスク部材12の各庇部120の幅(すなわち、図3に示す粘着剤層11の第1上面エッジ1113とマスク部材12の第2下面エッジ1223との間のX方向の距離)はそれぞれ、0.5mm以上3mm以下とされることが好ましい。各庇部120の幅が0.5mm以上とされることにより、粘着剤層11の側面1103に対する有機EL液の付着防止の確実性をより向上することができる。また、各庇部120の幅が3mm以下とされることにより、庇部120の強度を十分に確保することができ、庇部120が基板9の主面90に向けて下がってしまうことを防止することができる。
【0065】
図1に示す塗布システム8では、塗布装置3により有機EL液が塗布された基板9は、搬送ロボット81により塗布装置3から搬出されてマスク部材剥離装置4に搬入される。図12は、マスク部材剥離装置4を示す平面図である。図12に示すように、マスク部材剥離装置4は、図4ないし図6に示すマスク部材貼付装置2の貼付ヘッド23に代えて剥離ヘッド43を備え、粘着剤層11(図11参照)を基板9上に残しつつ基板9からマスク部材12(図11参照)を剥離する。マスク部材剥離装置4のその他の構成はマスク部材貼付装置2とほぼ同様である。
【0066】
マスク部材剥離装置4は、基板9を保持する基板保持部41、基板9を基板保持部41と共に図12中のY方向に移動する基板移動機構42、マスク部材12を保持して剥離する剥離ヘッド43、および、剥離ヘッド43を基板9の移動方向に垂直な方向(すなわち、図12中のX方向)に移動するヘッド移動機構44を備える。マスク部材剥離装置4では、基板移動機構42により、基板9が基板保持部41と共にレール421に沿って水平方向に移動する。また、ヘッド移動機構44により、剥離ヘッド43が基板9の移動範囲の上方においてレール441に沿って水平方向に移動する。
【0067】
図13.Aは、剥離ヘッド43の構成を拡大して示す左側面図である。図13.Aでも、図7.Aと同様に、剥離ヘッド43のハウジング431の内部構成を描いている。図13.Aに示すように、剥離ヘッド43は、マスク部材12に粘着することによりマスク部材12の少なくとも一部を保持する剥離テープ45、剥離テープ45の粘着面をマスク部材12に対向させつつ剥離テープ45を案内して基板9上のマスク部材12に順次粘着させる剥離テープ案内部である粘着機構433、未使用の剥離テープ45を粘着機構433に供給する剥離テープ供給部である供給リール432、剥離テープ45を剥離テープ45に粘着されたマスク部材12と共に基板9から引き上げて回収する剥離テープ回収部である回収リール434、および、これらの構成を収容するハウジング431を備える。粘着機構433は、エアシリンダ436および押圧ローラ437を備える。また、剥離テープ45の幅はマスク部材12の幅よりも大きい。
【0068】
マスク部材剥離装置4により基板9からマスク部材12が剥離される際には、まず、図12に示す基板移動機構42およびヘッド移動機構44により、基板9および剥離ヘッド43が移動されて剥離開始位置に位置する。このとき、図13.Aに示すように、剥離対象であるマスク部材12の先端が、剥離ヘッド43のハウジング431の下部開口435の下方に位置する。
【0069】
続いて、エアシリンダ436により押圧ローラ437が下部開口435を介して下方に移動し、剥離テープ45を上側(すなわち、剥離テープ45の粘着面とは反対側)からマスク部材12の先端部に押圧して粘着する。次に、基板移動機構42(図12参照)により基板9が図13.A中の(+Y)方向に移動を開始する。これと同時に、供給リール432および回収リール434の図13.A中における時計回りの回転が開始されて供給リール432に巻き付けられている剥離テープ45が送り出されるとともに、図13.Bに示すように、押圧ローラ437が上方に移動して元の位置に戻ることにより、剥離テープ45に粘着されたマスク部材12の先端部が粘着剤層11から離間して(+Z)側に持ち上げられる。換言すれば、マスク部材12の先端部が、粘着剤層11を基板9上に残しつつ基板9から剥離される。そして、図13.Aに示す供給リール432から剥離テープ45が継続的に送り出されるとともに基板9が移動を継続することにより、基板9上のマスク部材12が剥離テープ45に粘着されつつ粘着剤層11を基板9上に残して基板9から剥離し、回収リール434により巻き取られて回収される。
【0070】
このように、図12に示すマスク部材剥離装置4では、剥離ヘッド43によりマスク部材12を保持して持ち上げた状態で、基板移動機構42により基板9をマスク部材12が貼付されている方向に沿って移動することにより、基板9からのマスク部材12の剥離が行われる。マスク部材剥離装置4では、有機EL液が塗布された基板9からマスク部材12が剥離されることにより、基板9の塗布領域91上にのみ有機EL液が残置され、非塗布領域92には粘着材料111およびスペーサ112(図3参照)を含む粘着剤層11が残置される。
【0071】
塗布システム8では、マスク部材貼付装置2により基板9上に形成された粘着剤層11の基板9に対する粘着力が、粘着剤層11上に貼付されたマスク部材12に対する粘着剤層11の粘着力よりも大きくされる。これにより、マスク部材剥離装置4において、剥離テープ45によりマスク部材12を持ち上げる際に、粘着剤層11がマスク部材12に粘着した状態でマスク部材12と共に基板9から剥離してしまうことが防止される。換言すれば、粘着剤層11を基板9上に残しつつマスク部材12のみを基板9から容易に剥離することができる。
【0072】
また、マスク部材剥離装置4では、有機EL液が付着したマスク部材12の上面を剥離テープ45により覆ってマスク部材12を基板9から剥離するため、マスク部材12上に付着した有機EL液を基板9に落下させることなくマスク部材12を回収することができる。なお、剥離テープ45のマスク部材12への粘着開始は、剥離テープ45を供給しつつ剥離テープ45の供給速度に等しい速度で移動している基板9に対して行われてもよい。
【0073】
図1に示す塗布システム8では、マスク部材12の基板9からの剥離が終了すると、搬送ロボット81により基板9がマスク部材剥離装置4から搬出されて封止接着剤塗布装置5に搬入される。図14は、封止接着剤塗布装置5を示す正面図である。図14に示すように、封止接着剤塗布装置5は、基板9を保持する基板保持部51、基板9を基板保持部51と共に基板9の主面90に平行なY方向に移動する基板移動機構52、基板9の主面90に向けて封止接着剤を吐出する封止接着剤吐出部であるディスペンサ53、および、ディスペンサ53を基板移動機構52による基板9の移動方向に垂直なX方向に移動するディスペンサ移動機構54を備える。
【0074】
封止接着剤塗布装置5では、ディスペンサ53から封止接着剤を吐出しつつ基板9がY方向に移動されることにより、基板9の主面90上において封止接着剤がY方向へと連続的に塗布され、封止接着剤を吐出するディスペンサ53をX方向へと移動することにより、封止接着剤がX方向へと連続的に塗布される。本実施の形態では、ディスペンサ53から封止接着剤を吐出しつつ基板9のY方向への移動、および、ディスペンサ53のX方向への移動が順次繰り返されることにより、図15に示すように、基板9上の4つの塗布領域91のそれぞれの周囲において、封止接着剤が塗布領域91の全周に亘って非塗布領域92に塗布される。図15では、図の理解を容易にするために、非塗布領域92上において封止接着剤が塗布される領域94に平行斜線を付して示している。以下、領域94に塗布される封止接着剤に符号94を付して説明する。
【0075】
図16は、図15に示す基板9の一部を、図15中のC−Cの位置にて粘着剤層11の長手方向である図15中のY方向に垂直に切断した断面図である。非塗布領域92に塗布された封止接着剤94の一部は、図16に示すように、粘着剤層11が設けられる非塗布領域92のうち粘着剤層11から露出する露出領域921(すなわち、非塗布領域92と塗布領域91との間の境界920と粘着剤層11の側部(側面1103)とに挟まれる領域)に設けられる。
【0076】
基板9に対する封止接着剤の塗布が終了すると、図1に示す搬送ロボット81により基板9が封止接着剤塗布装置5から搬出されて封止装置6に搬入される。図17は、封止装置6を示す正面図である。図17に示すように、封止装置6は、基板9を保持する基板保持部61、基板9の塗布領域91(図15参照)を封止する封止基板99を基板9の主面90と対向させつつ保持する封止基板保持部62、および、封止基板保持部62を基板保持部61上の基板9の主面90に垂直な方向に相対的に移動する保持部移動機構63を備える。
【0077】
封止装置6では、保持部移動機構63により封止基板保持部62を基板保持部61に対して近づけることにより、基板9の主面90上に形成された粘着剤層11(図16参照)、および、基板9の主面90上に塗布された封止接着剤94(図16参照)を介在させつつ、基板9の主面90に封止基板99が重ねられて基板9に向けて押圧される。このとき、基板9と封止基板99との間の間隙の高さ(すなわち、基板9の主面90に垂直な方向の距離)が粘着剤層11に含まれるスペーサ112(図16参照)により決定される。本実施の形態では、基板9と封止基板99との間の間隙の高さが、球状の粒子であるスペーサ112の直径におよそ等しくなる。そして、塗布領域91を囲む封止接着剤94が、加熱または紫外線の照射により硬化することにより封止基板99と基板9とが接着され、基板9上の4つの塗布領域91が互いに独立した状態で封止される。
【0078】
封止基板99が接着された基板9は、封止装置6から塗布システム8の外部へと搬出され、後工程において、4つの塗布領域91の間にてX方向およびY方向に伸びる非塗布領域92にて切断されて4つの有機EL表示装置用の基板が形成される。基板9および封止基板99が、塗布領域91の間にてY方向に伸びる非塗布領域92にて切断される際には、当該非塗布領域92上の粘着剤層11の幅方向(すなわち、X方向)の中央にて切断が行われる。なお、塗布システム8では、実際には、マスク部材12の貼付、有機EL液の塗布、マスク部材12の剥離、封止接着剤の塗布、および、封止基板99の接着が、複数の基板に対して連続的に行われる。
【0079】
以上に説明したように、塗布システム8では、基板9の非塗布領域92上に形成される粘着剤層11に粒状のスペーサ112が含まれることにより、マスク部材貼付装置2において、粘着剤層11上に貼付されるマスク部材12の基板9の主面90からの高さがスペーサ112により決定される(すなわち、当該高さがスペーサ112の直径におよそ等しくされる)。その結果、マスク部材12の基板9の主面90からの高さを、マスク部材12の全長に亘って均一化することができる。また、スペーサ112により、マスク部材12の貼付時に粘着剤層11が押し潰されて塗布領域91へとはみ出してしまうことを防止することができるため、塗布装置3において、基板9の塗布領域91に有機EL液を高精度に塗布することができる。
【0080】
ところで、有機EL表示装置用の基板上に形成される有機EL層の膜厚(すなわち、有機EL液の乾燥により形成される有機EL材料の膜の厚さ)は、平面表示装置の表示性能等に大きく影響するため、高精度にコントロールされる必要がある。したがって、有機EL液を高精度に塗布することができる塗布システム8は、有機EL表示装置用の基板に対する有機EL液の塗布に特に適しているといえる。また、有機EL表示装置以外の他の平面表示装置でも、有機EL表示装置と同様に、基板上に形成される画素形成材料の膜厚が高精度にコントロールされる必要があるため、塗布システム8は、平面表示装置用の画素形成材料を含む流動性材料の塗布にも適している。
【0081】
マスク部材貼付装置2では、マスク部材12を貼付する貼付機構の一部である貼付ヘッド23に、基板9に粘着剤を塗布して粘着剤層11を形成するディスペンサ232が設けられることにより、ディスペンサ232とマスク部材押圧機構233とが個別に設けられて独立して移動する場合に比べて、粘着剤層11とマスク部材12との位置合わせをする必要がないため、基板9に対するマスク部材12の貼付を容易とすることができる。また、粘着剤層11に含まれるスペーサ112を球状の粒子とすることにより、マスク部材12の基板9の主面90からの高さを容易に均一化することができる。
【0082】
塗布システム8では、封止装置6において、基板9と封止基板99との間の間隙の高さが粘着剤層11中のスペーサ112により決定されることにより、基板9と封止基板99との間隔の均一性を向上しつつ塗布領域91を封止することができる。特に、封止接着剤塗布装置5において、封止接着剤94の一部が、粘着剤層11が設けられる非塗布領域92のうち粘着剤層11から露出する露出領域921に設けられており、粘着剤層11上に封止接着剤94が塗布されないため、粘着剤層11と封止基板99とを直接接触させることができる。その結果、基板9と封止基板99との間隔の均一性をより向上することができる。
【0083】
次に、本発明の第2の実施の形態に係る塗布システムについて説明する。図18は、第2の実施の形態に係る塗布システムのマスク部材貼付装置の貼付ヘッド23aの構成を示す左側面図であり、図7.Aと同様に、貼付ヘッド23aのハウジング231に収容される内部構成を描いている。第2の実施の形態に係るマスク部材貼付装置の貼付ヘッド23a以外の構成、および、塗布システムのその他の構成は第1の実施の形態と同様であり、以下の説明において対応する構成に同符号を付す。
【0084】
第2の実施の形態に係るマスク部材貼付装置では、図3に示すマスク部材12に代えて、図19に断面にて示すマスク部材12aが、基板9上に形成された粘着剤層11を介して非塗布領域92に貼付される。マスク部材12aは、可撓性を有する樹脂製のテープ状の部材である基材121、および、基材121の一方の面(すなわち、図19中の(−Z)側の面)に粘着材料により形成された補助粘着剤層122を備え、マスク部材12aが粘着剤層11上に貼付される際には、補助粘着剤層122と粘着剤層11とが互いに接着される。
【0085】
図18に示すように、貼付ヘッド23aは、粘着材料111とスペーサ112(図19参照)とを含む粘着剤を基板9の主面90に塗布することにより非塗布領域92上に粘着剤層11を形成する粘着剤塗布機構であるディスペンサ232、非塗布領域92上に形成された粘着剤層11に向けてマスク部材12aを押圧して貼付するマスク部材押圧機構233a、並びに、ディスペンサ232およびマスク部材押圧機構233aを収容するハウジング231を備える。第2の実施の形態に係るマスク部材貼付装置では、ベーステープ271の一方の主面にマスク部材12aが保持されたテープ27を利用してマスク部材12aの貼付が行われる。テープ27では、マスク部材12aの補助粘着剤層122(図19参照)がベーステープ271により覆われている。
【0086】
マスク部材12aが貼付される際には、マスク部材押圧機構233aの切断部235により、テープ27の切断部235と対向する側においてマスク部材12aのみが切断される。続いて、ディスペンサ232による非塗布領域92への粘着剤層11の形成と並行して、マスク部材供給部234aおよびマスク部材回収部234bにおいてロール2341,2342が図18中における反時計回りに回転することにより、ロール2341からテープ27が繰り出されるとともに切断されたマスク部材12aがベーステープ271と共にテープ分離部材236aの先端へと送られる。そして、当該先端において、ベーステープ271が送られてきた方向とはおよそ反対側に導かれることにより、マスク部材12aがベーステープ271から剥離し、その先端部がハウジング231の開口2312から基板9に向かって移動する。
【0087】
マスク部材押圧機構233aでは、第1の実施の形態と同様に、エアシリンダ238により貼付ローラ239が開口2312を介して下方に移動し、マスク部材12aの先端部を上側から(すなわち、マスク部材12aの基材121側から)基板9の主面90に向けて押圧して貼付する。そして、マスク部材供給部234aのロール2341からテープ27が継続的に送り出されるとともに、マスク部材12aが貼付ローラ239により押圧された状態で基板9が非塗布領域92の境界920(図19参照)に平行な走査方向((+Y)方向)に移動することにより、基板9の主面90上においてマスク部材12aが境界920に沿って非塗布領域92に順次貼付される。
【0088】
マスク部材貼付装置では、第1の実施の形態と同様に、粘着剤層11に図19に示すように粒状のスペーサ112が含まれることにより、マスク部材12aの基板9の主面90からの高さを、マスク部材12aの全長に亘って均一化することができる。また、マスク部材12aの貼付時に粘着剤層11が押し潰されて塗布領域91へとはみ出してしまうことを防止することができる。その結果、塗布装置3(図8および図9参照)において、基板9の塗布領域91に有機EL液を高精度に塗布することができる。また、封止装置6(図17参照)において、基板9と封止基板99(図17参照)との間の間隙の高さが粘着剤層11中のスペーサ112により決定されることにより、基板9と封止基板99との間隔の均一性を向上しつつ塗布領域91を封止することができる。
【0089】
第2の実施の形態に係るマスク部材貼付装置では、特に、マスク部材12aに補助粘着剤層122が設けられ、補助粘着剤層122と非塗布領域92上の粘着剤層11とが接着されることにより、マスク部材12aが粘着剤層11を介して非塗布領域92上に貼付される。これにより、粘着剤層11の粘着力があまり大きくない場合であっても、マスク部材12aの基板9への貼付を確実に行うことができる。
【0090】
また、マスク部材貼付装置では、粘着剤層11の基板9に対する粘着力が、粘着剤層11上に貼付されたマスク部材12aに対する粘着剤層11の粘着力(すなわち、補助粘着剤層122に対する粘着剤層11の粘着力)よりも大きくされる。これにより、マスク部材剥離装置4(図13.A参照)において、剥離テープ45によりマスク部材12aを持ち上げる際に、粘着剤層11がマスク部材12aに粘着した状態でマスク部材12aと共に基板9から剥離してしまうことが防止される。換言すれば、粘着剤層11を基板9上に残しつつマスク部材12aのみを基板9から容易に剥離することができる。
【0091】
次に、本発明の第3の実施の形態に係る塗布システムについて説明する。図20は、第3の実施の形態に係る塗布システムのマスク部材貼付装置の貼付ヘッド23bの構成を示す左側面図であり、図7.Aと同様に、貼付ヘッド23bのハウジング231に収容される内部構成を描いている。第3の実施の形態に係るマスク部材貼付装置では、第1の実施の形態と同様に、可撓性を有する樹脂製のテープ状の部材であるマスク部材12が粘着剤層11(図3参照)を介して基板9上に貼付される。マスク部材貼付装置の貼付ヘッド23b以外の構成、および、塗布システムのその他の構成は第1の実施の形態と同様であり、以下の説明において対応する構成に同符号を付す。
【0092】
図20に示すように、貼付ヘッド23bは、未使用のマスク部材12をロール2341から繰り出すマスク部材供給部234、ロール2341から繰り出されたマスク部材12を案内するローラ2331〜2333およびガイド236、ガイド236に対向する位置に配置される切断部235、ローラ2333に対向する位置に配置されてマスク部材12に向けて粘着剤を吐出するディスペンサ232a、ハウジング231の下部に形成された開口2312上に配置される貼付ローラ239、並びに、貼付ローラ239を駆動するエアシリンダ238を備える。
【0093】
マスク部材12が貼付される際には、マスク部材供給部234のロール2341が図20中における時計回りに回転することによりマスク部材12が繰り出され、マスク部材12のマスク部材供給部234から繰り出された部位に、粘着材料111とスペーサ112(図3参照)とを含む粘着剤がディスペンサ232aにより付与される。これにより、マスク部材12の一方の面(すなわち、図20中における(−Z)側の面)に粘着剤層11が形成される。貼付ヘッド23bでは、ディスペンサ232aが、マスク部材12上に粘着剤層11を形成する粘着剤層形成部となっている。
【0094】
粘着剤層11が形成されたマスク部材12の先端部は、ロール2341の回転に伴ってハウジング231の開口2312から基板9に向かって移動する。これと並行して、エアシリンダ238により貼付ローラ239が開口2312を介して下方に移動することにより、粘着剤層11を基板9の非塗布領域92に接触させつつマスク部材12の先端部が上側から(すなわち、粘着剤層11とは反対側から)非塗布領域92に向けて押圧され、粘着剤層11を介してマスク部材12が基板9の主面90上に貼付される。
【0095】
マスク部材12の先端部が貼付されると、基板移動機構22(図6参照)により基板9が図20中の(+Y)方向に移動を開始する。そして、マスク部材供給部234によるマスク部材12の繰り出し、および、ディスペンサ232aによるマスク部材12への粘着剤の塗布が継続的に行われるとともに、マスク部材12が押圧部である貼付ローラ239により押圧された状態で、基板移動機構22により基板9が非塗布領域92の境界920(図2参照)に平行な走査方向((+Y)方向)に貼付ローラ239に対して相対的に移動することにより、基板9の主面90上においてマスク部材12が境界920に沿って非塗布領域92に順次貼付される。
【0096】
貼付ヘッド23bでは、切断部235によりマスク部材12が切断され、マスク部材12が後端部まで非塗布領域92に向けて押圧されることにより、マスク部材12が粘着剤層11を介して基板9の主面90に密着する。マスク部材貼付装置では、基板移動機構22(図6参照)および貼付ヘッド23bが、マスク部材12を基板9の主面90の非塗布領域92に粘着剤層11を介して貼付する貼付機構となっている。
【0097】
マスク部材貼付装置では、マスク部材12上に形成される粘着剤層11に粒状のスペーサ112(図3参照)が含まれることにより、第1の実施の形態と同様に、マスク部材12の基板9の主面90からの高さを、マスク部材12の全長に亘って均一化することができる。また、マスク部材12の貼付時に粘着剤層11が押し潰されて塗布領域91(図3参照)へとはみ出してしまうことを防止することができる。その結果、塗布装置3(図8および図9参照)において、基板9の塗布領域91に有機EL液を高精度に塗布することができる。また、封止装置6(図17参照)において、基板9と封止基板99との間の間隙の高さが粘着剤層11中のスペーサ112により決定されることにより、基板9と封止基板99との間隔の均一性を向上しつつ塗布領域91を封止することができる。
【0098】
第3の実施の形態に係るマスク部材貼付装置では、特に、マスク部材12を貼付する貼付機構の一部である貼付ヘッド23bに、マスク部材12に粘着剤を塗布して粘着剤層11を形成するディスペンサ232aが設けられることにより、基板9上に粘着剤層11を形成する場合に比べて、粘着剤層11とマスク部材12との位置合わせをする必要がないため、基板9に対するマスク部材12の貼付を容易とすることができる。
【0099】
また、マスク部材貼付装置では、粘着剤層11の基板9に対する粘着力が、マスク部材12に対する粘着剤層11の粘着力よりも大きくされる。これにより、マスク部材剥離装置4(図13.A参照)において、剥離テープ45によりマスク部材12を持ち上げる際に、粘着剤層11がマスク部材12に粘着した状態でマスク部材12と共に基板9から剥離してしまうことが防止される。
【0100】
以上、本発明の実施の形態について説明してきたが、本発明は上記実施の形態に限定されるものではなく、様々な変更が可能である。
【0101】
例えば、第1および第2の実施の形態に係るマスク部材貼付装置では、ディスペンサ232は、必ずしもマスク部材押圧機構と共に1つのハウジング231に収容される必要はなく、マスク部材押圧機構233とは独立して設けられて個別にX方向に移動可能とされてもよい。この場合、例えば、非塗布領域92に対してディスペンサ232による粘着剤層11の形成が終了した後、マスク部材12の貼付が行われてもよい。
【0102】
第1および第2の実施の形態に係るマスク部材貼付装置では、ディスペンサ232からの粘着剤の吐出が断続的に行われることにより、基板9の非塗布領域92上に、Y方向に非連続にて配列されたそれぞれが比較的短い複数の粘着剤層が形成されてもよい。第3の実施の形態に係るマスク部材貼付装置でも同様に、ディスペンサ232aからの粘着剤の吐出が断続的に行われることにより、マスク部材12の一方の面に非連続にて配列されたそれぞれが比較的短い複数の粘着剤層が形成されてもよい。
【0103】
第1および第2の実施の形態に係るマスク部材貼付装置では、基板移動機構22による基板9の走査方向への移動に代えて、貼付ヘッドが走査方向に移動されることにより、基板9のマスク部材押圧機構に対する相対的な移動が実現されてもよい。また、ヘッド移動機構24による貼付ヘッドの移動に代えて、基板9が基板保持部21と共に走査方向に垂直な方向に移動されてもよい。第3の実施の形態に係るマスク部材貼付装置でも同様に、貼付ヘッド23bが走査方向に移動されることにより、基板9の貼付ローラ239に対する相対的な移動が実現されてもよい。
【0104】
第1および第2の実施の形態に係るマスク部材貼付装置では、他の装置により非塗布領域92上に粘着剤層が形成された基板9が搬入され、当該基板9上の予め形成された粘着剤層を介してマスク部材が基板9に貼付されてもよい。
【0105】
粘着剤層11の両側の側面1103は、必ずしも基板9の主面90に略垂直である必要はなく、粘着剤層11の第1上面エッジ1113がマスク部材の第2下面エッジ1223よりも幅方向の内側に位置するのであれば、基板9の主面90から離れるに従って幅方向の内側または外側に向かうように傾斜していてもよい。マスク部材12についても同様に、マスク部材12の両側の側面1203は、必ずしも基板9の主面90に略垂直である必要はなく、基板9の主面90から離れるに従って幅方向の内側または外側に向かうように傾斜していてもよい。ただし、マスク部材12の最大幅が非塗布領域92の幅に等しくされ、マスク部材12の幅方向のエッジが、平面視において非塗布領域92の両側の境界920に重ねられることにより、非塗布領域92に対する有機EL液の付着がより確実に防止される。
【0106】
マスク部材では、庇部120の下面1202は、必ずしも基板9の主面90に平行とされる必要はないが、庇部120の下面1202が基板9の主面90にほぼ平行とされることにより、上述のように、有機EL液が粘着剤層11の側面1103や非塗布領域92に付着してしまうことがより確実に防止される。また、粘着剤層11およびマスク部材のそれぞれの中心線は、必ずしも非塗布領域92の中心線に重なっている必要はないが、粘着剤層11およびマスク部材の中心線をそれぞれ非塗布領域92の中心線にほぼ重ねて粘着剤層11が形成されるとともにマスク部材が貼付されることにより、上述のように、非塗布領域92の両側の2つの塗布領域91に対する有機EL液の塗布の質を均一化することができる。
【0107】
上記実施の形態では、基板9上に残置される粘着剤層11の幅は非塗布領域92の幅よりも小さくされるが、粘着剤層11の幅が非塗布領域92の幅に等しくされ、第1下面エッジ1123が塗布領域91と非塗布領域92との境界920に一致するように粘着剤層11が形成されてもよい。この場合であっても、粘着剤層11に粒状のスペーサ112が含まれることにより、粘着剤層11上に貼付されるマスク部材の基板9の主面90からの高さが全長に亘って均一とされる。また、マスク部材の貼付時に粘着剤層11が押し潰されて塗布領域91へとはみ出してしまうことが防止される。なお、このように、粘着剤層11により非塗布領域92が全幅に亘って覆われる場合、封止接着剤は、例えば、粘着剤層11の上面1111全体に薄く塗布される。
【0108】
封止接着剤塗布装置5では、基板9ではなく、封止基板99における基板9の塗布領域91の周囲に対応する領域に封止接着剤が塗布されてもよい。この場合、封止接着剤の封止基板99への塗布は、基板9に対するマスク部材の貼付、有機EL液の塗布、および、マスク部材の剥離と並行して行われることが好ましい。これにより、有機EL表示装置用の基板の製造効率を向上することができる。
【0109】
塗布システムでは、マスク部材は必ずしも可撓性に富むテープ状の部材には限定されず、所定幅を有するとともに幅に比べて長さが長くある程度以上の剛性を有する帯状の部材(例えば、薄板状の樹脂部材)がマスク部材として利用されてもよい。ただし、上述の実施の形態に係る塗布システムのように、マスク部材がテープ状の部材とされることにより、マスク部材の取り扱いが容易とされ、また、マスク部材貼付装置およびマスク部材剥離装置4におけるマスク部材の貼付および剥離も容易とされる。
【0110】
また、塗布システムでは、基板9を非塗布領域92にて切断し、それぞれが1つの塗布領域91のみを有する複数の小基板に分割する切断装置がマスク部材剥離装置4と封止接着剤塗布装置5との間に設けられてもよい。この場合、封止接着剤塗布装置5において各小基板に対する封止接着剤の塗布が行われ、封止装置6において、小基板と小基板に対応する封止基板との接着が行われる。
【0111】
塗布装置3では、塗布ヘッド34に設けられるノズルの本数は3本には限定されず、また、必ずしも3種類の有機EL液が同時に塗布される必要もない。例えば、3本以上のノズルから同一種類の有機EL液が同時に吐出されて基板9に塗布されてもよい。この場合、隣接する2本のノズルの間の副走査方向に関する距離は、隔壁ピッチの3倍と等しくされる。なお、基板9の塗布領域91には、必ずしも隔壁が形成されている必要はなく、塗布装置3では、隔壁が設けられていない塗布領域91に対して、有機EL液が所定のピッチにて塗布されてもよい。
【0112】
また、塗布システムでは、複数の固定型の搬送ロボット81(図1参照)に代えて、自走式の1つ(または、複数)の搬送ロボットが、マスク部材貼付装置、塗布装置3、マスク部材剥離装置4、封止接着剤塗布装置5および封止装置6へと順に基板9を搬送する基板搬送機構として設けられてもよい。
【0113】
上記塗布システムは、有機EL液の塗布以外に、有機EL表示装置用の基板9に対して正孔輸送材料を含む流動性材料(以下、「正孔輸送液」という。)を塗布する際に、非塗布領域92に対する正孔輸送液の付着防止に利用されてもよい。ここで、「正孔輸送材料」とは、有機EL表示装置の正孔輸送層を形成する材料であり、「正孔輸送層」とは、有機EL材料により形成された有機EL層へと正孔を輸送する狭義の正孔輸送層のみを意味するのではなく、正孔の注入を行う正孔注入層も含む。
【0114】
また、塗布システムは、必ずしも有機EL表示装置用の有機EL材料または正孔輸送材料を画素形成材料として含む流動性材料の塗布の際にのみ利用されるわけではなく、例えば、液晶表示装置やプラズマ表示装置等の平面表示装置用の基板に対し、着色材料や蛍光材料等の他の種類の画素形成材料を含む流動性材料を塗布する場合やその他の流動性材料を塗布する場合に利用されてもよい。また、他の様々な基板に対する流動性材料の塗布の際に利用されてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0115】
【図1】第1の実施の形態に係る塗布システムの構成を示す図である。
【図2】基板の平面図である。
【図3】基板の一部を示す断面図である。
【図4】マスク部材貼付装置の平面図である。
【図5】マスク部材貼付装置の正面図である。
【図6】マスク部材貼付装置の左側面図である。
【図7.A】貼付ヘッドを拡大して示す左側面図である。
【図7.B】貼付ヘッドの一部を拡大して示す左側面図である。
【図8】塗布装置の平面図である。
【図9】塗布装置の正面図である。
【図10】基板の平面図である。
【図11】基板の一部を示す断面図である。
【図12】マスク部材剥離装置の平面図である。
【図13.A】剥離ヘッドを拡大して示す左側面図である。
【図13.B】剥離ヘッドの一部を拡大して示す左側面図である。
【図14】封止接着剤塗布装置の正面図である。
【図15】基板の平面図である。
【図16】基板の一部を示す断面図である。
【図17】封止装置の正面図である。
【図18】第2の実施の形態に係るマスク部材貼付装置の貼付ヘッドを示す左側面図である。
【図19】基板の一部を示す断面図である。
【図20】第3の実施の形態に係るマスク部材貼付装置の貼付ヘッドを示す左側面図である。
【符号の説明】
【0116】
2 マスク部材貼付装置
3 塗布装置
4 マスク部材剥離装置
5 封止接着剤塗布装置
6 封止装置
8 塗布システム
9 基板
11 粘着剤層
12,12a マスク部材
21 基板保持部
22 基板移動機構
23,23a,23b 貼付ヘッド
32 基板移動機構
34 塗布ヘッド
35 ヘッド移動機構
81 搬送ロボット
90 主面
91 塗布領域
92 非塗布領域
93 有機EL液
94 封止接着剤
99 封止基板
111 粘着材料
112 スペーサ
120 庇部
121 基材
122 補助粘着剤層
232,232a ディスペンサ
234,234a マスク部材供給部
239 貼付ローラ
920 境界
921 露出領域
1103 側面
1203 側面
2341 ロール

【特許請求の範囲】
【請求項1】
流動性材料が塗布される基板の主面上の非塗布領域に、前記非塗布領域に対する前記流動性材料の付着を防止するマスク部材を貼付するマスク部材貼付装置であって、
基板を保持する基板保持部と、
帯状のマスク部材を、粘着材料と粒状のスペーサとを含む粘着剤層を介して前記基板の主面上の非塗布領域と塗布領域との間の境界と平行に前記非塗布領域に貼付する貼付機構と、
を備えることを特徴とするマスク部材貼付装置。
【請求項2】
請求項1に記載のマスク部材貼付装置であって、
前記貼付機構が、前記粘着材料と前記スペーサとを含む粘着剤を前記基板の前記主面に塗布することにより前記非塗布領域上に前記粘着剤層を形成する粘着剤塗布機構を備え、
前記貼付機構により、前記非塗布領域の前記粘着剤層上に前記マスク部材が貼付されることを特徴とするマスク部材貼付装置。
【請求項3】
請求項2に記載のマスク部材貼付装置であって、
前記マスク部材がロールから繰り出されて前記粘着剤層上に貼付されるテープ状の部材であることを特徴とするマスク部材貼付装置。
【請求項4】
請求項3に記載のマスク部材貼付装置であって、
前記マスク部材が、
テープ状の基材と、
前記基材の一方の面に形成された補助粘着剤層と、
を備え、
前記マスク部材が前記粘着剤層上に貼付される際に、前記補助粘着剤層と前記粘着剤層とが互いに接着されることを特徴とするマスク部材貼付装置。
【請求項5】
請求項1に記載のマスク部材貼付装置であって、
前記マスク部材がロールから繰り出されるテープ状の部材であり、
前記貼付機構が、
前記マスク部材を前記ロールから繰り出すマスク部材供給部と、
前記マスク部材の前記マスク部材供給部から繰り出された部位に、前記粘着材料と前記スペーサとを含む粘着剤を付与することにより、前記マスク部材の一方の面に前記粘着剤層を形成する粘着剤層形成部と、
前記粘着剤層を前記非塗布領域に接触させつつ前記マスク部材を前記非塗布領域に向けて押圧する押圧部と、
前記マスク部材が前記押圧部により押圧された状態で、前記基板を前記非塗布領域の前記境界に平行な方向に前記押圧部に対して相対的に移動することにより、前記マスク部材を前記境界に沿って順次貼付する移動機構と、
を備えることを特徴とするマスク部材貼付装置。
【請求項6】
請求項1ないし5のいずれかに記載のマスク部材貼付装置であって、
前記スペーサが球状の粒子であることを特徴とするマスク部材貼付装置。
【請求項7】
請求項1ないし6のいずれかに記載のマスク部材貼付装置であって、
前記非塗布領域に貼付された前記マスク部材の一方の側部よりも内側に前記粘着剤層が位置し、前記マスク部材の前記粘着剤層から前記塗布領域に向かって側方に突出する部位が前記基板の前記主面から離間する庇部とされることを特徴とするマスク部材貼付装置。
【請求項8】
請求項7に記載のマスク部材貼付装置であって、
前記非塗布領域に貼付された前記マスク部材の他方の側部よりも内側に前記粘着剤層が位置し、前記非塗布領域が前記塗布領域ともう1つの塗布領域との間に位置し、前記マスク部材の前記粘着剤層から前記もう1つの塗布領域に向かって側方に突出する部位が前記基板の前記主面から離間するもう1つの庇部とされることを特徴とするマスク部材貼付装置。
【請求項9】
請求項8に記載のマスク部材貼付装置であって、
前記マスク部材の幅が、前記非塗布領域の幅に等しいことを特徴とするマスク部材貼付装置。
【請求項10】
基板に流動性材料を塗布する塗布システムであって、
請求項1ないし9のいずれかに記載のマスク部材貼付装置と、
マスク部材が貼付された基板上の前記マスク部材を含む領域に流動性材料を塗布する塗布装置と、
粘着材料と粒状のスペーサとを含む粘着剤層を前記基板上に残しつつ前記基板から前記マスク部材を剥離するマスク部材剥離装置と、
前記マスク部材貼付装置、前記塗布装置および前記マスク部材剥離装置へと順に前記基板を搬送する基板搬送機構と、
を備え、
前記塗布装置が、
前記基板に向けて流動性材料を吐出する吐出機構と、
前記吐出機構を前記基板の主面に平行であって前記マスク部材と交差する主走査方向に前記基板に対して相対的に移動するとともに、前記主走査方向への移動が行われる毎に前記基板を前記吐出機構に対して前記主走査方向に垂直な副走査方向に相対的に移動する移動機構と、
を備えることを特徴とする塗布システム。
【請求項11】
請求項10に記載の塗布システムであって、
前記粘着剤層の前記基板に対する粘着力が、前記粘着剤層の前記マスク部材に対する粘着力よりも大きいことを特徴とする塗布システム。
【請求項12】
請求項10または11に記載の塗布システムであって、
前記マスク部材が剥離された前記基板の塗布領域の周囲、または、前記塗布領域を封止する封止基板における前記基板の前記塗布領域の周囲に対応する領域に封止接着剤を塗布する封止接着剤塗布装置と、
前記基板の前記主面に前記粘着剤層を介在させつつ前記封止基板を重ねて前記スペーサにより前記基板と前記封止基板との間の間隙の高さを決定し、前記塗布領域を囲む前記封止接着剤により前記封止基板と前記基板とを接着する封止装置と、
をさらに備えることを特徴とする塗布システム。
【請求項13】
基板に流動性材料を塗布する塗布システムであって、
請求項7ないし9のいずれかに記載のマスク部材貼付装置と、
マスク部材が貼付された基板上の前記マスク部材を含む領域に流動性材料を塗布する塗布装置と、
粘着材料と粒状のスペーサとを含む粘着剤層を前記基板上に残しつつ前記基板から前記マスク部材を剥離するマスク部材剥離装置と、
前記マスク部材が剥離された前記基板の塗布領域の周囲、または、前記塗布領域を封止する封止基板における前記基板の前記塗布領域の周囲に対応する領域に封止接着剤を塗布する封止接着剤塗布装置と、
前記基板の前記主面に前記粘着剤層を介在させつつ前記封止基板を重ねて前記スペーサにより前記基板と前記封止基板との間の間隙の高さを決定し、前記塗布領域を囲む前記封止接着剤により前記封止基板と前記基板とを接着する封止装置と、
前記マスク部材貼付装置、前記塗布装置、前記マスク部材剥離装置、前記封止接着剤塗布装置および前記封止装置へと順に前記基板を搬送する基板搬送機構と、
を備え、
前記塗布装置が、
前記基板に向けて流動性材料を吐出する吐出機構と、
前記吐出機構を前記基板の主面に平行であって前記マスク部材と交差する主走査方向に前記基板に対して相対的に移動するとともに、前記主走査方向への移動が行われる毎に前記基板を前記吐出機構に対して前記主走査方向に垂直な副走査方向に相対的に移動する移動機構と、
を備え、
前記封止接着剤の一部が、前記粘着剤層が設けられる非塗布領域のうち、前記非塗布領域と前記塗布領域との間の境界と前記粘着剤層の側部とに挟まれる領域に設けられることを特徴とする塗布システム。
【請求項14】
請求項13に記載の塗布システムであって、
前記粘着剤層の前記基板に対する粘着力が、前記粘着剤層の前記マスク部材に対する粘着力よりも大きいことを特徴とする塗布システム。
【請求項15】
請求項10ないし14のいずれかに記載の塗布システムであって、
前記流動性材料が、平面表示装置用の画素形成材料を含むことを特徴とする塗布システム。
【請求項16】
請求項15に記載の塗布システムであって、
前記画素形成材料が、有機EL表示装置用の有機EL材料または正孔輸送材料であることを特徴とする塗布システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7.A】
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【図7.B】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13.A】
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【図13.B】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【公開番号】特開2009−272208(P2009−272208A)
【公開日】平成21年11月19日(2009.11.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−123236(P2008−123236)
【出願日】平成20年5月9日(2008.5.9)
【出願人】(000207551)大日本スクリーン製造株式会社 (2,640)
【Fターム(参考)】