説明

ミシン

【課題】ミシンベッドが大型化することなく、縫製の不具合を早期に検知できるミシンを提供する。
【解決手段】ミシン1は、加工布を載置するミシンベッド2と、ミシンベッド2の内部に設けられ加工布を所定の送り方向に移動させる布送り機構と、ミシンベッド2に設けられ加工布の下面の第一範囲を撮像する第一撮像手段と、加工布の下面の第一範囲とは異なる第二範囲を撮像する第二撮像手段とを備え、第一撮像手段および第二撮像手段により撮像された送り方向に移動する加工布の下面のそれぞれの画像を合成し、合成された合成画像を表示部7に表示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ミシンベッド上の加工布を移動させる布送り機構を備えるミシンに関する。
【背景技術】
【0002】
加工布を縫製するミシンにおいては、例えば2枚の加工布を重ね縫いする場合に、縫製中に加工布がずれるなどの不具合が発生することがある。この場合、加工布の上面側は使用者により視認できるものの、加工布の下面側を視認することはできない。そこで、例えば特許文献1は、重ね合わされた加工布を縫製するときに、加工布を柄センサで上下から撮像し、加工布のずれを検知するミシンの加工布認識装置を開示している。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平4−256772号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ところで、ミシンを使用して、2枚の加工布を重ねて縫製している途中、上記した加工布がずれる不具合以外にも、加工布の下面側の縫目に不良が発生することがある。また、加工布に刺繍模様を縫製することができるミシンの場合は、刺繍模様の縫製途中で加工布の下面側に上糸が絡まってしまう縫目不良(所謂鳥の巣)が発生することがある。使用者がこのような縫目不良に気がつかずに縫製を続けてしまうと、後で大量の糸をほどく必要が生じたり、糸を無駄にしてしまうことがある。また、糸をほどくことで加工布を傷めてしまうこともある。このため、縫製中の不具合は早期に検知することが望ましい。
【0005】
しかしながら、特許文献1の柄センサ(撮像手段に相当)はミシンベッドの手前側に配置されているので、加工布のずれの有無をミシンベッドよりも手前側の位置で検知するだけであり、縫製中や縫製後における加工布の状態や加工布の下側の縫目の状態を検知することはできない。また、加工布が載置されるミシンベッド内には、布送り機構、釜機構などが収容されており、特許文献1の撮像手段をミシンベッド内に収容して加工布の下面側を撮像するように構成すると、ミシンベッドが大型化してしまうという問題がある。
そこで、本発明の目的は、ミシンベッドを大型化することなく、縫製中の不具合を早期に検知できるミシンを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0006】
請求項1記載のミシンは、加工布を載置するミシンベッドと、前記ミシンベッドの内部に設けられ前記加工布を所定の送り方向に移動させる布送り機構とを備えるミシンにおいて、前記ミシンベッドに設けられ前記加工布を下面側から撮像する撮像手段であって、前記加工布の下面の第一範囲を撮像する第一撮像手段と、前記加工布の下面の前記第一範囲とは異なる第二範囲を撮像する第二撮像手段とを有する撮像手段と、前記第一撮像手段および前記第二撮像手段により撮像された前記送り方向に移動する前記加工布の下面側のそれぞれの画像を合成する画像合成手段と、前記画像合成手段により合成された合成画像を表示する表示手段とを備えていることを特徴とする。
【0007】
上記の構成により、加工布の下面は、縫製中に、第一撮像手段によって第一範囲が撮像され、第二撮像手段によって第二範囲が撮像される。つまり、加工布の下面は、異なる範囲が個別に撮像される。そして、画像合成手段により第一範囲の撮像画像と第二範囲の撮像画像とを合成し、合成した画像すなわち縫製中の加工布の下面の撮像画像を表示手段に表示する。このように、第一撮像手段で撮像される第一範囲および第二撮像手段で撮像される第二範囲が比較的狭い範囲であっても、画像合成手段により夫々の撮像画像が合成されるので、第一撮像手段および第二撮像手段は小型化することができる。そして、表示手段が合成画像を表示することにより、使用者は、縫製中の加工布の下面の状態を容易に認識することが可能になる。したがって、ミシンベッドを大型化することなく、縫製中の不具合を早期に検知することができる。
【0008】
請求項2記載のミシンは、加工布を載置するミシンベッドと、前記ミシンベッドの内部に設けられ前記加工布を所定の送り方向に移動させる布送り機構とを備えるミシンにおいて、前記ミシンベッドに設けられ前記加工布を下面側から撮像する撮像手段であって、前記布送り機構の送り方向とは交差する方向に並設された複数の撮像素子を有する撮像手段と、前記撮像手段により撮像された前記送り方向に移動する前記加工布の下面の画像を表示する表示手段とを備えていることを特徴とする。
【0009】
上記の構成により、加工布の下面は、送り方向とは交差する方向に並設された複数の撮像素子を有する撮像手段により撮像される。従って、撮像手段の送り方向のスペースは小さくてもよいので、撮像手段を小型化できる。そして、表示手段は、送り方向に移動する加工布の下面の画像、すなわち、縫製中の加工布の下面の画像を表示する。これにより、使用者は、縫製中の加工布の下面の状態を容易に認識することが可能になる。したがって、ミシンベッドを大型化することなく、縫製中の不具合を早期に検知することができる。
【0010】
請求項3記載のミシンは、請求項1または2記載の発明において、前記送り機構は、前記加工布を、第一送り方向および前記第一送り方向とは異なる第二送り方向に移動可能に構成されていることを特徴とする。
請求項4記載のミシンは、請求項1から3のいずれか一項記載の発明において、前記撮像手段は、前記加工布の下面側に密着した状態で撮像可能な密着型イメージセンサであることを特徴とする。
請求項5記載のミシンは、請求項1から4のいずれか一項記載の発明において、前記撮像手段は、前記ミシンベッドに設けられた針板の針穴の近傍、または、前記ミシンベッドに設けられ前記送り機構の送り歯が出没する開口穴の近傍に設けられていることを特徴とする。
【0011】
請求項6記載のミシンは、請求項1から5のいずれか一項記載の発明において、縫針が装着される針棒と、前記針棒を上下方向に駆動する針棒機構とを備え、前記縫針が前記加工布に貫通する針下位置と前記加工布よりも上方の針上位置とのいずれに位置しているかを検知する針位置検知手段と、前記針位置検知手段により検知された前記縫針の位置が前記針上位置である場合に前記撮像手段による撮像処理を実行し、前記縫針の位置が前記針下位置である場合に前記撮像処理を停止する制御を行う撮像制御手段と、をさらに備えていることを特徴とする。
【0012】
請求項7記載のミシンは、請求項6記載の発明において、前記針棒機構を駆動するミシン主軸の回転数を検知する回転数検知手段をさらに備え、前記撮像制御手段は、前記回転数検知手段により検知された前記回転数に基づいて前記撮像手段による撮像処理の間隔を変更することを特徴とする。
請求項8記載のミシンは、請求項6または7記載の発明において、前記布送り機構により送られる前記加工布の移動量を検知する移動量検知手段をさらに備え、前記撮像制御手段は、前記移動量検知手段により検知された前記移動量に基づいて前記撮像手段による撮像処理の間隔を変更することを特徴とする。
【発明の効果】
【0013】
請求項1記載のミシンによれば、加工布の下面は、縫製中に、第一撮像手段によって第一範囲が撮像され、第二撮像手段によって第二範囲が撮像される。つまり、加工布の下面は、異なる範囲が個別に撮像される。そして、画像合成手段により第一範囲の撮像画像と第二範囲の撮像画像とを合成し、合成した画像すなわち縫製中の加工布の下面の撮像画像を表示手段に表示する。このように、第一撮像手段で撮像される第一範囲および第二撮像手段で撮像される第二範囲が比較的狭い範囲であっても、画像合成手段により夫々の撮像画像が合成されるので、第一撮像手段および第二撮像手段は小型化することができる。そして、表示手段が合成画像を表示することにより、使用者は、縫製中の加工布の下面の状態を容易に認識することが可能になる。したがって、ミシンベッドを大型化することなく、縫製中の不具合を早期に検知することができるという優れた効果を奏する。
【0014】
請求項2記載のミシンによれば、加工布の下面は、送り方向とは交差する方向に並設された複数の撮像素子を有する撮像手段により撮像される。従って、撮像手段の送り方向のスペースは小さくてもよいので、撮像手段を小型化できる。そして、表示手段は、送り方向に移動する加工布の下面の画像、すなわち、縫製中の加工布の下面の画像を表示する。これにより、使用者は、縫製中の加工布の下面の状態を容易に認識することが可能になる。したがって、ミシンベッドを大型化することなく、縫製中の不具合を縫製時に早期に検知することができるという優れた効果を奏する。
【0015】
請求項3記載のミシンによれば、請求項1または2記載の発明の効果に加え、前記布送り機構は、加工布を第一送り方向および第一送り方向とは異なる第二送り方向移動可能に構成されているので、加工布が第一送り方向および第二送り方向のいずれに移動する場合でも加工布の下面の画像が撮像される。したがって、加工布を、前後方向または左右方向に移動させて縫製するときの加工布の下面の状態を容易に認識することができる。また、加工布を、前後方向と左右方向を同時に移動させることで斜め方向に移動させて縫製するときも同様に、加工布の下面の状態を容易に認識することができる。
【0016】
請求項4記載のミシンによれば、請求項1から3のいずれか一項記載の発明の効果に加え、撮像手段は、加工布に密着した状態で画像が撮像可能な密着型イメージセンサからなるので、撮像手段の設置スペースをより低減することができる。
請求項5記載のミシンによれば、請求項1から4のいずれか一項記載の発明の効果に加え、撮像手段は、針穴または開口穴の近傍に配置されているので、縫目が形成された直後の加工布の下面の状態を認識でき、より早期に不具合を検知することができる。
【0017】
請求項6記載のミシンによれば、請求項1から5のいずれか一項記載の発明の効果に加え、縫針が加工布に貫通する針下位置と加工布よりも上方の針上位置とのいずれに位置しているかを検知する針位置検知手段と、針位置検知手段により検知された縫針の位置が針上位置である場合に撮像手段による撮像処理を実行し、針下位置である場合に撮像処理を停止する制御を行う撮像制御手段とを備えるので、加工布が停止しているときに不要な撮像を行うことが無く、撮像制御手段が実行する撮像処理の負荷を低減することができる。
【0018】
請求項7記載のミシンによれば、請求項6記載の発明の効果に加え、針棒機構を駆動するミシン主軸の回転数を検知する回転数検知手段を備え、撮像手段は、回転数検知手段により検知されたミシン主軸の回転数すなわち縫製速度に基づいて撮像間隔を変更するので、加工布の画像を取得する間隔が精度よく設定され、加工布の下面をより正確に撮像することができる。
【0019】
請求項8記載のミシンによれば、請求項6または7記載の発明の効果に加え、加工布の移動量を検知する移動量検知手段を備え、撮像制御手段は、移動量検知手段により検知された加工布の移動量に基づいて撮像間隔を変更するので、加工布の画像を取得する間隔が精度よく設定され、加工布の下面をより正確に撮像することができる。
【図面の簡単な説明】
【0020】
【図1】本発明の第1実施形態によるミシンを示す斜視図
【図2】刺繍枠移送装置を取り外した状態のミシンを示す斜視図
【図3】針板を示す平面図
【図4】ミシンの電気的な構成を模式的に示すブロック図
【図5】画像表示処理を示すフローチャート
【図6】刺繍縫製の工程を模式的に示す図
【図7】撮像間隔と閾値との関係を示す図
【図8】第2実施形態による加工布の状態を示す図
【発明を実施するための形態】
【0021】
以下、本発明の複数の実施形態によるミシンを図面に基づいて説明する。なお、複数の実施形態において実質的に同一の構成部分には同一の符号を付し、説明を省略する。
(第1実施形態)
まず、第1実施形態によるミシンについて図1から図7を参照しながら説明する。
図1に示すように、ミシン1は、ミシンベッド2、脚柱部3、アーム部4および刺繍枠移送装置5を備えている。以下、ミシン1に対して使用者が位置する方向をミシン1の前方、その反対方向を後方とし、それら前後方向をY方向とする。また、脚柱部3が位置する側を右側とし、その反対側を左側とし、それら左右方向をX方向とする。
【0022】
ミシンベッド2は、ミシン1のX方向に延びており、図示しない作業台の上に載置される。ミシンベッド2内には、図示しない釜機構および糸切り機構などが収容されている。また、ミシンベッド2内には、ミシンベッド2の上面に載置される図示しない加工布を、第一送り方向に相当するY方向(前後方向)、および第一送り方向とは異なる第二送り方向に相当するX方向(左右方向)とに移動させる布送り機構6(図4参照)も収容されている。なお、布送り機構6は公知の構成であるので詳しい説明は省略するが、例えば、特開2006−346087号公報に記載の機構を参照されたい。
【0023】
脚柱部3は、ミシンベッド2の右方の端部から上方へ延びている。脚柱部3は、内部にミシンモータ8a(図4参照)を収容している。脚柱部3の前面には、フルカラー表示可能な液晶ディスプレイからなる表示部7が設けられている。表示部7には、刺繍模様などの種々の縫製模様や、縫製に必要な各種の機能を実行させる機能名称、あるいは刺繍模様の色を設定するための設定画面などが表示される。また、表示部7には、透明電極からなる図示しないタッチパネルが設けられている。タッチパネルは、使用者の指やタッチペンなどで押圧操作されることにより、縫製模様の選択、各種機能の指示あるいは各種のパラメータの設定などが可能である。
【0024】
アーム部4は、脚柱部3の上端からミシン1の左方に向かってミシンベッド2と平行に延びている。アーム部4は、その内部に、X方向に延びるミシン主軸8(図4参照)を収容している。ミシン主軸8はミシンモータ8aにより回転駆動される。また、アーム部4の左方には、針棒9をミシン主軸8の回転によって上下方向に駆動する針棒機構10(図4参照)、針棒9を布送り方向と直交する方向(X方向)に揺動させる針棒揺動機構(図示省略)、図示しない天秤を針棒9の上下動に同期して上下動させる天秤駆動機構(図示省略)、押え棒11(図2参照)を上下動させる押え棒駆動機構(図示省略)などが設けられている。これら各機構の構成は、周知であるので、詳細な説明は省略する。アーム部4の左方下部には、縫針12を装着した針棒9と、押え足13を備えた押え棒11とが設けられている。
【0025】
また、アーム部4には、上面側を開閉するカバー14が開閉可能に設けられている。カバー14を開放した状態のアーム部4の内部には、糸駒14aを収容するための収容部が設けられている。糸駒14aから延びる上糸は、天秤等を含む糸供給経路を経由して縫針12に供給される。また、アーム部4の前面側には、縫製の開始と停止を指令する指令スイッチ15や、縫製速度すなわちミシン主軸8の回転速度を調節するための速度調節ツマミ16などの各種のスイッチが設けられている。
【0026】
ミシンベッド2の左側部分には、刺繍枠移送装置5がミシンベッド2に対して取り外し可能に装着されている。刺繍枠移送装置5は、ミシンベッド2の上面と同じ高さになる本体部17と、本体部17の上部にX方向に移動可能に設けられた可動部18とを備えている。可動部18には、縫製対象となる加工布Wを保持する刺繍枠19を着脱可能に連結するための図示しないキャリッジがY方向に移動可能に設けられている。
刺繍枠移送装置5には、キャリッジを可動部18ごとX方向に駆動させるX方向移送機構5a(図4参照)と、キャリッジをY方向に移動させるY方向移送機構5b(図4参照)とが設けられている。キャリッジに連結された刺繍枠19は、前記刺繍模様の刺繍データに基づいて、X方向移送機構5aおよびY方向移送機構5bのそれぞれ図示しない駆動モータにより、X方向およびY方向へ自在に移動され、加工布Wに刺繍模様が形成される。
【0027】
ミシンベッド2の上面には、図2に示すように、針板20が設けられている。なお、図2は、図1の状態から刺繍枠移送装置5と押え足13を取り外し、補助テーブル2aをミシンベッド2に装着した状態を示している。針板20は、図3に示すように、全体として略矩形板状をなしており、ミシンベッド2に固定される第一針板21と、この第一針板21に対して着脱可能に装着される第二針板22とを備えている。第一針板21は、例えば金属材料からなり矩形板状に形成されている。第一針板21には、縫針12が貫通可能な針穴23と、布送り機構6の図示しない送り歯が出没可能な複数個例えば7個の開口穴24とが形成されている。
針穴23は、X方向に延びる楕円形状をなしている。開口穴24はそれぞれY方向に延びる矩形形状をなしており、針穴23を囲むように設けられている。第一針板21は、2個のねじ穴25を有しており、図示しないねじによりミシンベッド2に固定される。
【0028】
第二針板22は、例えば金属材料からなり、平板状で且つ第一針板21の前縁部および左縁部に沿う平面視で略L字状に形成されている。第二針板22は、ミシンベッド2に固定された第一針板21に対して取外し可能に装着される。ミシンベッド2に固定された第一針板21に第二針板22が装着されたとき、第一針板21の上面と第二針板22の上面とは同一平面(同一高さ)となる。第二針板22には、X方向における中央に位置して、図示しない下糸ボビンを釜機構に装着するための開口部26が形成されている。この開口部26は、針板蓋27が着脱自在に取付けられており、縫製時には針板蓋27により閉鎖される。
【0029】
また、第一針板21は、開口穴24の後方および右方において、開口穴24に近接する位置に第一角穴28および第二角穴29が形成されている。これら第一角穴28および第二角穴29は、第一針板21を貫通している。第一角穴28は矩形形状に形成され、X方向(左右方向)に延びている。第二角穴29も矩形形状に形成され、Y方向(前後方向)に延びている。第一角穴28の右方前端部と第二角穴29の後端部は、隣接するように形成されている。これら第一角穴28および第二角穴29には、第一撮像部材30および第二撮像部材31(ともに図4参照)が設けられる。第一撮像部材30は第一撮像手段に相当し、第二撮像部材31は第二撮像手段に相当する。これら第一撮像部材30および第二撮像部材31は、針板20の上面に載置される加工布Wの下面側に密着した状態で加工布Wの下面を撮像可能な密着型イメージセンサ(CIS:Contact Image Sensor)で構成されている。
【0030】
詳しく図示しないが、第一撮像部材30は、X方向に並設された複数の撮像素子からなるラインセンサと、光源およびレンズとが一体に形成されている。また、第二撮像部材31は、Y方向に並設された複数の撮像素子からなるラインセンサと、光源およびレンズとが一体に形成されている。これら第一撮像部材30および第二撮像部材31は、複数の撮像素子が一方向に並設されたラインセンサなので、撮像素子が並設する方向と直交する方向は、外形および設置スペースを小さくすることができる。なお、第一撮像部材30および第二撮像部材31は、カラー画像が撮像可能に構成されているが、白黒画像が撮像可能に構成されていてもよい。
【0031】
本実施形態の場合、第一撮像部材30および第二撮像部材31は、第一角穴28および第二角穴29に取付け可能な直方体形状に形成されている。第一撮像部材30および第二撮像部材31の上面は、第一針板21の上面と同一平面(同一高さ)になるように第一針板21に取付けられる。つまり、第一撮像部材30および第二撮像部材31の上面は、加工布Wの下面にそれぞれ接触する。第一撮像部材30は、布送り機構6または刺繍枠移送装置5によってY方向に移動する加工布Wの下面を撮像する。同様に、第二撮像部材31は、布送り機構6または刺繍枠移送装置5によってX方向に移動する加工布Wの下面を撮像する。このとき、第一撮像部材30が撮像する範囲が第一範囲に相当し、第二撮像部材31が撮像する範囲が第二範囲に相当する。
【0032】
次に、ミシン1の電気的な構成について説明する。なお、ここでは本実施形態の要部に関連する構成について説明する。
図4に示すように、制御部32は、CPU32a、ROM32b、RAM32c、EEPROM32d、入力インターフェイス32e、出力インターフェィス32fを有するマイクロコンピュータを主体に構成されている。また、詳細は後述するが、制御部32は、画像合成部37(画像合成手段に相当)も有している。また、制御部32は、図示はしないが、外部記憶媒体としてのメモリカードなどが接続可能であってもよい。制御部32のROM32bには、通常縫製の縫製データ、刺繍模様の刺繍データ、縫製制御プログラム、表示部7の表示を制御する表示制御プログラムなどを記憶している。なお、これら各種のデータやプログラムは、EEPROM32d、或いはメモリカードなどの外部記憶媒体に記憶されていてもよい。
【0033】
制御部32は、上記した指令スイッチ15や速度調節ツマミ16などの入力部33、表示部7、ミシンモータ8a、第一撮像部材30および第二撮像部材31が接続している。また、制御部32は、針位置検知部34、移動量検知部35、回転数検知部36が接続している。制御部32は、予めROM32bに記憶されている制御プログラムにしたがって、ミシンモータ8a、布送り機構6または刺繍枠移送装置5などを含めたミシン1の全体を制御する。また、制御部32は、撮像制御手段として機能する。
【0034】
針位置検知部34は、針棒9に装着された縫針12が、加工布Wに貫通する針下位置、または加工布Wよりも上方の針上位置のいずれに位置しているかを検知する。移動量検知部35は、上記した布送り機構6の送り歯の移動量や刺繍枠19の移動量を検知することによって、加工布Wの移動量を検知する。回転数検知部36は、ミシン主軸8の回転数を検知する。これら針位置検知部34、移動量検知部35、および回転数検知部36は、周知構成の光センサやエンコーダで構成されており、詳細な説明は省略する。画像合成部37は、詳細は後述するが、第一撮像部材30により撮像された加工布Wの下面の画像と、第二撮像部材31により撮像された加工布Wの下面の画像とを合成する。
【0035】
次に、上記で説明したミシン1の作用について、画像表示処理とともに説明する。
ミシン1の制御部32は、ミシン1全体の制御とともに、図5に示す画像表示処理を実行する。なお、以下では、刺繍縫製時の処理を例にして説明する。制御部32は、使用者が指令スイッチ15を押圧することで刺繍縫製を開始すると、刺繍データ(刺繍模様の形状や大きさ)を元に背景画像表示範囲を決定する(S101)。ここで、背景画像表示範囲とは、表示部7に表示される加工布Wの下面の画像の表示範囲を意味している。制御部32は、使用者により選択された刺繍模様の刺繍データ基づいて、縫製を行う位置と加工布に縫製された刺繍模様の下面を撮影した画像を表示する画面上の表示位置とを対応づける。
【0036】
具体的には、制御部32は、図6(A)に示す星形の刺繍模様38において、例えば刺繍模様38の特定の点P1から縫製を開始するとき、点P1に対応する点として表示部7の所定の点P2の位置を決める。このように、点P2を表示部7の上方に決めることにより、星形の刺繍模様38の全体が表示可能になる。このように、制御部32は背景画像表示範囲を決定する。なお、図6では、縫針12などの図示を省略するとともに、詳細は後述するが、刺繍模様38のうち第一撮像部材30および第二撮像部材31の上面を移動(通過)した部位をハッチングにより模式的に示している。
【0037】
制御部32は、背景画像表示範囲を決定すると、針上であるか否かを判定する(S102)。ここで、針上とは、縫針12が針上位置にある状態を意味している。制御部32は、針位置検知部34で検知した縫針12の位置から、針上であるか否かを判定する。制御部32は、針上でないと判定すると(S102:NO)、撮像処理を停止する(S103)。縫針12が針上でない場合は、縫針12は加工布Wを貫通している針下位置にある。このとき、刺繍枠移送装置5は加工布Wを停止させている。そのため、制御部32は撮像処理を停止する。
【0038】
続いて、移動量検知部35が検知した刺繍枠19の移動量と、回転数検知部36で検知したミシン主軸8の回転数すなわち縫製速度とから、単位時間あたりの加工布Wの移動量を算出する(S104)。このとき、移動量検知部35は、加工布Wの移動方向(布送り方向)も検知する。続いて、制御部32は、単位時間あたりの加工布Wの移動量から、撮像間隔(SHOT_TIME)を算出する(S105)。ここで仮に、撮像間隔を一定として撮像処理を行うと、加工布Wの移動量が大きい場合には、加工布Wの撮像範囲の間隔(距離)が大きくなる。この場合、撮像される画像が連続せずにとぎれてしまい、加工布Wの下面の詳細な状態を認識することが困難になる。一方、加工布Wの移動量が小さい場合には、加工布Wがそれほど移動していないにも関わらず撮像されてしまう。つまり、ほとんど同じ画像を複数回撮像してしまう。
【0039】
そこで、制御部32は、ステップS104で算出した単位時間あたりの加工布Wの移動量に基づいて、撮像間隔を算出する(S105)。具体的には、図7に示すように、加工布Wの移動量が大きいときには撮像間隔を短くし、加工布Wの移動量が小さいときには撮像間隔を長くする。図7に示すデータテーブルは、予めROM32bに記憶されている。本実施形態では、単位時間あたりの加工布Wの移動量に応じて撮像間隔を4段階にしている。なお、図7のデータテーブルに示す数値は例示であり、これに限定されない。また、図7に示すデータテーブルを用いるのではなく、所定の関数式に基づいて撮像間隔を算出してもよい。
【0040】
続いて、制御部32は、算出した撮像間隔に基づいて、撮像間隔(SHOT_TIME)に対応する閾値(THRESHOLD)を図7のテーブルから検索する(S106)。閾値は、撮像した画像中において、刺繍模様38を抽出するときの基準値であり、上記した4段階の撮像間隔にそれぞれ対応した値が記憶されている。本実施形態の場合、閾値は撮像間隔が短いほど小さく設定されている。なお、閾値を用いる画像処理の手法は周知のものの利用が可能であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
撮像間隔の算出および閾値の検索が完了すると、制御部32は、縫製が終了したかを判定する(S107)。そして縫製が完了していない場合には(S107:NO)
ステップS102に移行して、以降の処理を繰り返す。
【0041】
さて、制御部32は、針上であると判定すると(S102:YES)、撮像処理を開始する(S108)。まず、制御部32は、ステップS105で算出した撮像間隔(SHOT_TIME)の間待機した後(S109)、画像を取得(撮像)する(S110)。続いて、制御部32は、撮像した画像をステップS106で検索した閾値(THRESHOULD)を元に1ライン分の加工布Wの下面の画像を生成する(S111)。
【0042】
例えば図6(A)に示すように、加工布WがY方向に移動しているとき、刺繍模様38は第一撮像部材30の上面を移動(通過)する。このとき、制御部32は、第一撮像部材30で撮像した画像から1ライン分の加工布Wの下面の画像を生成する。なお、第二撮像部材31でも加工布Wの下面の撮像が行われ、1ライン分の画像が撮像される。続いて、画像合成部37は、生成された前記画像を合成する。続いて、制御部32は、画像合成部37により合成された画像を背景画像の該当位置に合成して表示する(S112)。これにより、表示部7には、第一撮像部材30の上面を移動した刺繍模様38の合成画像39が表示される。
【0043】
より具体的には、点P1から刺繍模様38の縫製が開始されたとすると、加工布Wは、縫製の進行にともなってミシン1の後方側に送られる。このとき、縫製された刺繍模様38は、加工布Wとともに後方に移動する。そして、制御部32は、加工布Wの移動量および移動方向(送り方向)を検知していることから、刺繍模様38の点P1が第一撮像部材30の上面にあるときに撮像した点P1を含む加工布WのX方向の画像を1ライン分取得し、ステップS101で決定した表示範囲に基づいて、点P1を表示部7の画面上の点P2に対応させて表示する。
【0044】
そして、加工布Wの移動にともなって、1ライン分の画像の表示を繰り返す。その結果、表示部7には、加工布Wの移動に伴って、1ライン分の画像が積み重ねられ、第一撮像部材30の上面を移動した部分(ハッチング部分)の刺繍模様38の下面側の画像が表示される。なお、図6(A)の場合、刺繍模様38が第二撮像部材31の上面を移動していないため、第二撮像部材31で撮像した画像には刺繍模様38がないと判定されている状態である。このように、制御部32は、第一撮像部材30および第二撮像部材31で撮像した画像を合成した合成画像39を表示部7に表示する。
【0045】
その後、制御部32は、針上であるかを判定し(S113)、針上であれば(S113:YES)、ステップS109に移行して、同様の処理を繰り返す。一方、制御部32は、針上で無ければ(S113:NO)、ステップS107に移行して縫製終了であるかを判定する。制御部32は、縫製が終了していない場合(A107:NO)、上記した撮像処理を繰り返す。そして、図6(B)、(C)に示すように、第一撮像部材30の上面および第二撮像部材31の上面の両方を加工布Wが移動した場合、それぞれの画像を合成した合成画像39を表示部7に表示する。これら、図6(B)、(C)に示すように加工布Wの送り方向(刺繍模様38の移動方向)が変化した場合であっても、ステップS112の処理により、合成画像39は表示部7に表示される。
【0046】
つまり、加工布Wが前後方向や左右方向に往復移動するような場合であっても、加工布Wの移動方向に基づいて撮像処理を行うことにより、合成画像39を表示部7に表示することができる。もちろん、加工布Wが前後方向と左右方向に同時に移動する場合、すなわち、斜め方向に移動する場合であっても同様である。制御部32は、上記した処理を繰り返した結果、全ての縫製が終了した場合には(S107:YES)、画像表示処理を終了する。
【0047】
このように、制御部32は、針棒9の位置および加工布Wの移動量に応じて、加工布Wの下面を撮影した合成画像を表示部7に表示する。つまり、本実施形態のミシン1は、縫製時における加工布Wの下面を撮影した画像を表示部7に表示することで、使用者は、縫製中の加工布の下面の状態を容易に認識することが可能になる。
【0048】
以上説明した第1実施形態のミシン1は、以下のような効果を奏する。
ミシン1は、加工布Wの下面を、縫製中に、第一撮像部材30によって第一範囲を撮像し、第二撮像部材31によって第二範囲を撮像する。つまり、加工布Wの下面は、異なる範囲がそれぞれ個別に撮像される。そして、画像合成部37により第一範囲の撮像画像と第二範囲の撮像画像とを合成し、表示部7に表示する。このように、第一撮像部材30で撮像される第一範囲および第二撮像部材31で撮像される第二範囲が比較的狭い範囲であっても、画像合成部37により夫々の撮像画像が合成されるので、第一撮像部材30および第二撮像部材31は小型化することができる。そして、合成画像が表示部7に表示されることにより、使用者は、縫製中の加工布の下面の状態を容易に認識することが可能になる。したがって、ミシンベッド2を大型化することなく、縫製中の不具合、すなわち加工布Wのずれや縫目不良を早期に検知することができる。
【0049】
第一撮像部材30および第二撮像部材31は、送り方向とは交差する方向に並設された複数の撮像素子を有するラインセンサにより構成されている。このため、送り方向のスペースは小さくてもよいので、第一撮像部材30および第二撮像部材31を小型化できる。
第一撮像部材30によりY方向へ移動する加工布Wの下面を撮像し、第二撮像部材31によりX方向へ移動する加工布Wの下面を撮像するので、加工布Wの下面は、いずれの方向に移動したときにも撮像される。したがって、加工布Wの移動方向に関わらず加工布Wの下面の状態を容易に認識することができる。
【0050】
第一撮像部材30および第二撮像部材31を、加工布Wに密着した状態での画像の撮像が可能な密着型イメージセンサで構成している。このため、針板20(第一針板21)に取り付けることができ、設置スペースをより低減することができる。この場合、第一撮像部材30および第二撮像部材31は、その上面が、針板20の上面と同一平面(同一高さ)に設けられる。このため、第一撮像部材30および第二撮像部材31が加工布Wの移動を妨げることがない。したがって、加工布Wの移動、すなわち加工布Wの縫製をスムーズに行うことができる。
【0051】
第一撮像部材30および第二撮像部材31を針穴23または開口穴24の近傍に配置しているので、縫製後、すなわち縫目が形成された直後の加工布Wの下面の状態を認識でき、より早期に不具合を検知することができる。
制御部32は縫針12の位置に基づいて撮像処理の開始および停止を制御するので、加工布Wが停止しているときに不要な撮像を行うことが無く、制御部32が実行する撮像処理の負荷を低減することができる。
【0052】
制御部32はミシン主軸8の回転数すなわち縫製速度に基づいて撮像間隔を変更するので、加工布Wの画像を取得する間隔が精度よく設定され、加工布Wの下面をより正確に撮像することができる。
制御部32は加工布Wの移動量に基づいて撮像間隔を変更するので、加工布Wの画像を取得する間隔が精度よく設定され、加工布Wの下面の状態をより正確に撮像することができる。
【0053】
(第2実施形態)
第2実施形態によるミシンについて図8を参照して説明する。第2実施形態のミシンでは、刺繍模様ではなく、2枚の加工布を重ねて、送り機構6によって加工布を移動させ、直線縫い、ジグザク縫い、または飾り模様縫いなどを行っている点において第一実施形態と異なっている。なお、第2実施形態のミシンの構成および画像表示処理の流れは第1実施形態のミシン1(図2参照)と共通である。
【0054】
図8に示すように、例えば針板20に載置された2枚の加工布W1,W2を重ね縫いする場合、加工布の種類(布質)によっては、上側の加工布W1と下側の加工布W2との間に相対的なずれが生じる場合がある。この場合、使用者は、上側の加工布W1の状態は視認可能であるが、下側の加工布W2の状態は視認することができない。そこで、第2実施形態のミシンは、第一実施形態と同様に、画像表示処理(図5参照)を行うことで、第一撮像部材30および第二撮像部材31により下側の加工布W2の下面を撮像する。この場合、画像表示処理のステップS104では、移動量検知部35が送り歯の移動量を検知することで、加工布W1,W2の移動量を算出すればよい。
そして、撮像した画像を合成した後、表示部7に表示する。これにより、加工布W1、W2を重ね縫いする場合であっても、使用者は、下側の加工布W2の下面の画像を認識することができる。したがって、加工布W1、W2を重ね縫いするような場合であっても、第一実施形態と同様に、加工布の下面側の縫製の不具合、すなわち加工布W2のずれや縫目不良を縫製時に早期に検知することができる。
【0055】
(その他の実施形態)
本発明は、以上説明した各実施形態に限定されるものではなく、その要旨を逸脱しない範囲で種々の実施形態に適用可能であり、変形または拡張することができる。
加工布Wの送り方向が例えばY方向だけ、すなわち前後方向だけの場合、第一撮像部材30だけを設ける構成としてもよい。
第一撮像部材30および第二撮像部材31の撮像素子を、加工布Wの送り方向(X方向またはY方向)と直交する方向に並設した例を示したが、これに限定されない。90°以外の角度で交差するように設けてもよい。
第一撮像部材30および第二撮像部材31を設ける位置は、針板20に限定されない。ミシンベッド2に直接設けてもよいし、ミシンベッド2の構造や内部の各機構の配置などに応じて適宜選択すればよい。
【符号の説明】
【0056】
1 ミシン
2 ミシンベッド
6 布送り機構
7 表示部
8 ミシン主軸
9 針棒
10 針棒機構
12 縫針
20 針板
23 針穴
24 開口穴
30 第一撮像部材(撮像手段、第一撮像手段)
31 第二撮像部材(撮像手段、第二撮像手段)
32 制御部(撮像制御手段)
34 針位置検知部(針位置検知手段)
35 移動量検知部(移動量検知手段)
36 回転数検知部(回転数検知手段)
37 画像合成部(画像合成手段)
W、W1、W2 加工布

【特許請求の範囲】
【請求項1】
加工布を載置するミシンベッドと、前記ミシンベッドの内部に設けられ前記加工布を所定の送り方向に移動させる布送り機構とを備えるミシンにおいて、
前記ミシンベッドに設けられ前記加工布を下面側から撮像する撮像手段であって、前記加工布の下面の第一範囲を撮像する第一撮像手段と、前記加工布の下面の前記第一範囲とは異なる第二範囲を撮像する第二撮像手段とを有する撮像手段と、
前記第一撮像手段および前記第二撮像手段により撮像された前記送り方向に移動する前記加工布の下面側のそれぞれの画像を合成する画像合成手段と、
前記画像合成手段により合成された合成画像を表示する表示手段と
を備えていることを特徴とするミシン。
【請求項2】
加工布を載置するミシンベッドと、前記ミシンベッドの内部に設けられ前記加工布を所定の送り方向に移動させる布送り機構とを備えるミシンにおいて、
前記ミシンベッドに設けられ前記加工布を下面側から撮像する撮像手段であって、前記布送り機構の送り方向とは交差する方向に並設された複数の撮像素子を有する撮像手段と、
前記撮像手段により撮像された前記送り方向に移動する前記加工布の下面の画像を表示する表示手段と
を備えていることを特徴とするミシン。
【請求項3】
前記送り機構は、前記加工布を、第一送り方向および前記第一送り方向とは異なる第二送り方向に移動可能に構成されていることを特徴とする請求項1または2記載のミシン。
【請求項4】
前記撮像手段は、前記加工布の下面側に密着した状態で撮像可能な密着型イメージセンサであることを特徴とする請求項1から3のいずれか一項記載のミシン。
【請求項5】
前記撮像手段は、前記ミシンベッドに設けられた針板の針穴の近傍、または、前記ミシンベッドに設けられ前記送り機構の送り歯が出没する開口穴の近傍に設けられていることを特徴とする請求項1から4のいずれか一項記載のミシン。
【請求項6】
縫針が装着される針棒と、前記針棒を上下方向に駆動する針棒機構とを備え、
前記縫針が前記加工布に貫通する針下位置と前記加工布よりも上方の針上位置とのいずれに位置しているかを検知する針位置検知手段と、
前記針位置検知手段により検知された前記縫針の位置が前記針上位置である場合に前記撮像手段による撮像処理を実行し、前記縫針の位置が前記針下位置である場合に前記撮像処理を停止する制御を行う撮像制御手段と、
をさらに備えていることを特徴とする請求項1から5のいずれか一項記載のミシン。
【請求項7】
前記針棒機構を駆動するミシン主軸の回転数を検知する回転数検知手段をさらに備え、
前記撮像制御手段は、前記回転数検知手段により検知された前記回転数に基づいて前記撮像手段による撮像処理の間隔を変更することを特徴とする請求項6記載のミシン。
【請求項8】
前記布送り機構により送られる前記加工布の移動量を検知する移動量検知手段をさらに備え、
前記撮像制御手段は、前記移動量検知手段により検知された前記移動量に基づいて前記撮像手段による撮像処理の間隔を変更することを特徴とする請求項6または7記載のミシン。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公開番号】特開2012−187345(P2012−187345A)
【公開日】平成24年10月4日(2012.10.4)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−55413(P2011−55413)
【出願日】平成23年3月14日(2011.3.14)
【出願人】(000005267)ブラザー工業株式会社 (13,856)
【Fターム(参考)】