説明

メラニン凝集ホルモン受容体1アンタゴニストとしてのビス−ピリジルピリドン類

本発明は、メラニン凝集ホルモン受容体1(MCHR1)のアンタゴニストである新規のビス−ピリジルピリドン類、それらを含む医薬組成物、それらを調製する方法、ならびに肥満および糖尿病の治療における治療のためのそれらの使用を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、メラニン凝集ホルモン受容体1(MCHR1)のアンタゴニストである新規のビス−ピリジルピリドン類、それらを含んでなる医薬組成物、それらの調製方法、ならびに肥満および糖尿病の治療のための療法におけるそれらの使用に関する。
【背景技術】
【0002】
肥満は、世界中の多くの国々の人々の間で流行病の割合に達する医学的病態である。肥満は、生活活動および生活スタイルを破壊する他の疾患または病態とも関連するか、または誘発する病態である。肥満は、糖尿病、高血圧、および動脈硬化症などの他の疾患および病態に対する重大なリスクファクターと認識されている。肥満による体重増加は、膝関節などの関節に負担をかけ、関節炎、疼痛、および硬直を引き起こし得ることも知られている。
【0003】
過食および肥満は、一般的な集団においてこのような問題になっているので、多くの人々が、今や、体重減少、減量、ならびに健全な体重および望ましいライフスタイルの維持に関心がある。
【0004】
メラニン凝集ホルモンは視床下部に由来し、食欲促進作用を有することが知られている(例えば、Nature、Vol.396、p.670(1998)参照)。肥満ならびに、他の随伴するか、関連する疾患および病態の治療に有用なメラニン凝集ホルモンアンタゴニストの開発に対する継続したニーズがある。
【0005】
したがって、本発明者らは、今、メラニン凝集ホルモン受容体1(MCHR1)のアンタゴニストとして有用な活性プロファイルを示す新規の一群のビス−ピリジルピリドン類を見出した。
【発明の概要】
【0006】
本発明は、式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化1】

(式中、
は、1または2個の環窒素原子および任意で環酸素原子を含む6〜12員の飽和複素環系であり、この環系は、スピロ環を包含し、窒素原子を介してピリジン環に結合しており;
は、水素、C1−6アルキル、−C(O)NR、−C(O)R、−SO、−C(O)OR、オキソ、−C(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、および−NRSOからなる群から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され;
あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素と共にヘテロシクロアルキルを形成し(ここで、前記ヘテロシクロアルキルは、1、2、または3個のR基で置換されていてもよい);
は、H、F、Cl、C1−3アルキル、シクロプロピル、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−3アルキルアミノ、オキソ、またはCNであり;
は、H、F、Cl、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−3アルキルアミノ、オキソ、またはCNであり;
Xは、(CHであり;
mは、0〜2であり;
nは、0〜3であり;
pは、0〜3であり;
ただし、Rは−NRCOOHまたは−NRSOHではない)
を提供する。
【0007】
式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を含んでなる医薬組成物も提供される。
【0008】
さらに、式Iの化合物またはその塩と1種類以上の賦形剤とを含んでなる医薬組成物が提供される。
【0009】
式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩と少なくとも1種類の賦形剤とを含んでなる医薬組成物を哺乳類、特にヒトに投与することを含んでなる治療方法であって、前記治療は、肥満、糖尿病、うつ病、または不安症のためである治療方法がさらに提供される。
【0010】
さらに、(治療において)活性治療物質として使用するための式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩が提供される。
【0011】
ならびに、哺乳類、特にヒトにおける肥満、糖尿病、うつ病、または不安症の治療に使用するための式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩も提供される。
【0012】
式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩を調製する方法も提供される。
【発明の詳細な説明】
【0013】
本発明は、上記に示す式Iの化合物に関する。
【0014】
本発明は、式(I)(A)の化合物の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化2】

(式中、
R1は、1または2個の環窒素原子および任意で環酸素原子を含む6〜12員の飽和複素環系であり、この環系は、スピロ環を包含し、窒素原子を介してピリジン環に結合しており;
R2は、水素、C1−6アルキル、−C(O)NR、−C(O)R、−SO、−C(O)OR、オキソ、−C(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、および−NRSOからなる群から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され;
あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素と共にヘテロシクロアルキルを形成し(ここで、前記ヘテロシクロアルキルは、1、2、または3個のR基で置換されていてもよい);
は、H、F、Cl、C1−3アルキル、シクロプロピル、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−3アルキルアミノ、オキソ、またはCNであり;
は、H、F、Cl、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−3アルキルアミノ、オキソ、またはCNであり;
Xは、(CHであり;
mは、0〜2であり;
nは、0〜3であり;
pは、0〜3であり;
ただし、Rは−NRCOOHまたは−NRSOHではない)
にも関する。
【0015】
本発明は、式(I)(B)の化合物の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化3】

(式中、
R1は、1または2個の環窒素原子および任意で環酸素原子を含む6〜12員の飽和複素環系であり、この環系は、スピロ環を包含し、窒素原子を介してピリジン環に結合しており;
R2は、水素、C1−6アルキル、−C(O)NR、−C(O)R、−SO、−C(O)OR、オキソ、−C(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、および−NRSOからなる群から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され;
あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素と共にヘテロシクロアルキルを形成し(ここで、前記ヘテロシクロアルキルは、1、2、または3個のR基で置換されていてもよい);
は、H、F、Cl、C1−3アルキル、シクロプロピル、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−3アルキルアミノ、オキソ、またはCNであり;
は、H、F、Cl、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−3アルキルアミノ、オキソ、またはCNであり;
Xは、(CHであり;
mは、0〜2であり;
nは、0〜3であり;
pは、0〜3であり;
ただし、Rは−NRCOOHまたは−NRSOHではない)
にも関する。
【0016】
本発明は、式(I)(C)の化合物の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化4】

(式中、
R1は、1または2個の環窒素原子および任意で環酸素原子を含む6〜12員の飽和複素環系であり、この環系は、スピロ環を包含し、窒素原子を介してピリジン環に結合しており;
R2は、水素、C1−6アルキル、−C(O)NR、−C(O)R、−SO、−C(O)OR、オキソ、−C(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、および−NRSOからなる群から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され;
あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素と共にヘテロシクロアルキルを形成し(ここで、前記ヘテロシクロアルキルは、1、2、または3個のR基で置換されていてもよい);
は、H、F、Cl、C1−3アルキル、シクロプロピル、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−3アルキルアミノ、オキソ、またはCNであり;
は、H、F、Cl、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−3アルキルアミノ、オキソ、またはCNであり;
Xは、(CHであり;
mは、0〜2であり;
nは、0〜3であり;
pは、0〜3であり;
ただし、Rは−NRCOOHまたは−NRSOHではない)
にも関する。
【0017】
本発明の好ましい化合物は、式(I)(A)、(I)(B)または(I)(C)の化合物であり、式中、前記R1は、1−オキソ−2,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−7−イル、2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2−イル、1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−7−イル、1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−7−イル、1,8−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−8−イル、2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−2−イル、2,6−ジアザスピロ[3.5]ノナン−2−イル、1−オキソ−2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−7−イル、7−メチルアミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル、2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−イル、および1−オキサ−4,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−4−イルから選択される。
【0018】
本発明の好ましい化合物は、式(I)(A)の化合物であり、式中、RはFまたはClであり、Rは水素、C1−6アルキル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され、mは1であり、nは1である。
【0019】
最も好ましい化合物は、
4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(1−オキソ−2,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−7−イル)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン、
4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2−イル)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン、
4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−7−イル)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン、
4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−7−イル}−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン、
4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(1,8−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−8−イル)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン、
4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−2−イル)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン、
4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(2,6−ジアザスピロ[3.5]ノナン−2−イル)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン、
4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(1−オキソ−2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−7−イル)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン、
4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(7−メチルアミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル]−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン、
4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−イル)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン、
4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(1−オキサ−4,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−4−イル)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オンである。
【0020】
本発明の化合物はその薬学的に許容される塩の形態でも利用され得ることを、当業者は十分理解するであろう。
【0021】
典型的には、しかし絶対的ではないが、本発明の塩は薬学的に許容される塩である。「薬学的に許容される塩」という用語に包含される塩は、本発明の化合物の無毒性塩を表す。本発明の化合物の塩は酸付加塩を含み得る。一般に、これらの塩は、薬学的に許容される無機酸および有機酸から形成される。好適な酸性塩のより具体的な例として、マレイン酸塩、塩酸塩、臭化水素酸塩、硫酸塩、リン酸塩、硝酸(nitric)塩、過塩素酸塩、硝酸(fumic)塩、酢酸塩、プロピオン酸塩、コハク酸塩、グリコール酸塩、ギ酸塩、乳酸塩、アレイン(aleic)酸塩、酒石酸塩、クエン酸塩、パルモ(palmoic)酸塩、マロン酸塩、ヒドロキシマレイン酸塩、フェニル酢酸塩、グルタミン酸塩、安息香酸塩、サルリル酸塩、フマル酸塩、トルエンスルホン酸塩、メタンスルホン酸塩(メシル酸塩)、ナフタレン−2−スルホン酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化水素酸塩、リンゴ酸塩、テロ(teroic)酸塩、およびタンニン酸塩などが挙げられる。
【0022】
他の代表的な塩としては、酢酸塩、ベンゼンスルホン酸塩、安息香酸塩、重炭酸塩、重硫酸塩、重酒石酸塩、ホウ酸塩、カルシウムエデト酸塩、カンシル酸塩、炭酸塩、クラブラン酸塩、クエン酸塩、二塩酸塩、エジシル酸塩、エストレート、エシレート、フマル酸塩、グルセプト酸塩、グルコン酸塩、グルタミン酸塩、グリコリルアルサニル酸塩、ヘキシルレゾルシン酸塩、臭化水素酸塩、塩酸塩、ヒドロキシナフトエ酸塩、ヨウ化物、イセチオン酸塩、乳酸塩、ラクトビオン酸塩、ラウリン酸塩、リンゴ酸塩、マレイン酸塩、マンデル酸塩、メシル酸塩、メチル硫酸塩、マレイン酸一カリウム塩、ムチン酸塩、ナプシル酸塩、硝酸塩、シュウ酸塩、パモ酸塩(エンボン酸塩)、パルミチン酸塩、パントテン酸塩、リン酸塩/二リン酸塩、ポリガラクツロん酸塩、サリチル酸塩、ステアリン酸塩、塩基性酢酸塩、コハク酸塩、硫酸塩、タンニン酸塩、酒石酸塩、テオクル酸塩、トシレート、トリエチオジド(triethiodide)、および吉草酸塩が挙げられる。
【0023】
薬学的に許容されない他の塩が本発明の化合物の調製に有用である可能があり、これらは本発明のさらなる態様を形成するとみなされるべきである。シュウ酸塩またはトリフルオロ酢酸塩などのこれらの塩は、それ自体は薬学的に許容されないが、本発明の化合物およびそれらの薬学的に許容される塩を取得する際の中間体として有用な塩の調製に有用であり得る。
【0024】
式Iの化合物またはその塩は、立体異性体形態で存在してもよい(例えば、それは1個以上の不斉炭素原子を含む)。個々の立体異性体(エナンチオマーおよびジアステレオマー)およびこれらの混合物は、本発明の範囲内に含まれる。本発明は、1個以上のキラル中心が反転しているそれらの異性体を有する混合物として、式Iによって表される化合物または塩の個々の異性体も含む。同様に、式Iの化合物または塩が、その式で示される以外の互変異性形態で存在してもよく、これらも本発明の範囲に含まれることは理解される。本発明が、上記で定義した特定の基の全ての組み合わせおよびサブセットを含むことは理解されるべきである。本発明の範囲には、立体異性体の混合物および精製したエナンチオマーまたはエナンチオマー/ジアステレオマーの濃縮混合物が含まれる。式Iによって表される化合物の個々の異性体、およびそれらの任意の完全にまたは部分的に平衡化した混合物も本発明の範囲に含まれる。本発明には、式Iによって表される化合物または塩の個々の異性体、および1個以上のキラル中心が反転しているそれらの異性体を有する混合物も含まれる。本発明には、上記で定義した特定の基の全ての組み合わせおよびサブセットが含まれることは理解されるべきである。
【0025】
定義
用語をそれらの認められている意味で使用する。以下の定義は、定義する用語を明確にすることを意図し、限定することを意図しない。
【0026】
本明細書で使用する「アルキル」(または「アルキレン」)という用語は、直鎖状もしくは分枝鎖状のアルキル(好ましくは1〜12個の炭素原子を有する)を表し、本発明の中に含まれる多重度の置換で置換されていなくてもまたは置換されていてもよく、飽和していてもまたは飽和していなくてもよい。好適な置換基は、ハロゲン基、アミノ基、置換アミノ基、シアノ基、ヒドロキシル基、アルコキシ基およびアルキルチオ基からなる群から選択される。本明細書で使用する「アルキル」の例として、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、イソブチル、n−ブチル、t−ブチル、イソペンチル、およびn−ペンチルなど、ならびにそれらの置換型が挙げられるが、これらに限定されない。
【0027】
本明細書で使用する「シクロアルキル」という用語は、置換されていないか、または置換された単環式または多環式の非芳香族飽和環を表し、シクロアルキルが結合していてもよいアルキレンリンカーを含んでいてもよい。例示的な「シクロアルキル」基には、シクロプロピル基、シクロブチル基、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、およびシクロへプチル基など、ならびにそれらの非置換型および置換型が挙げられるが、これらに限定されない。
【0028】
本明細書で使用する「アルコキシ」という用語は−OR基を表し、Rは上記で定義したアルキルまたはシクロアルキルである。
【0029】
本明細書で使用する「複素環(heterocycle)」または「複素環(heterocyclyl)」という用語は、1つ以上のヘテロ原子を含む、置換されていないか、または置換された単環式または多環式の非芳香族環系を表す。好ましいヘテロ原子には、Nオキシド、硫黄酸化物、および二酸化物を含むN、O、およびSが挙げられる。好ましくは、この環は3〜8員であり、完全に飽和しているか、または1つ以上の不飽和度を有するかのいずれか一方である。多重度の置換は本定義に含まれる。「複素環」基の例として、テトラヒドロフラニル基、ピラニル基、1,4−ジオキサニル基、1,3−ジオキサニル基、ピペリジニル基、ピロリジニル基、モルホリニル基、アゼチジニル基、ピペラジニル基、ピロリジノニル基、ピペラジノニル(piperazinonyl)基、ピラゾリジニル基、およびそれらの様々な互変異性体が挙げられるが、これらに限定されない。
【0030】
本明細書で使用する「アリール」という用語は、特に定義されない限り、芳香族炭化水素環系を意味する。この環系は、置換されたまたは置換されていない単環系または縮合多環系(例えば、二環系、三環系など)であり得る。様々な実施形態において、単環式アリール環はC5〜C10、C5〜C7、またはC5〜C6であり、これらの炭素数は、この環系を形成する炭素原子の数を表す。C6環系、すなわち、フェニル環は好適なアリール基である。様々な実施形態において、多環式環は二環式アリール基であり、好適な二環式アリール基はC8〜C12、またはC9〜C10である。10個の炭素原子を有するナフチル環は、好適な多環式アリール基である。アリールの好適な置換基については、以下の「置換されていてもよい」の定義の中で記載する。
【0031】
本明細書で使用する「ヘテロアリール」という用語は、特に定義されない限り、炭素(複数可)および少なくとも1個のヘテロ原子を含む芳香族環系を意味する。ヘテロアリールは単環式でも多環式でもよく、置換されていても、または置換されていなくてもよい。単環式ヘテロアリール基は、この環内に1〜4個のヘテロ原子を有してもよく、多環式ヘテロアリール基は1〜10個のヘテロ原子を含んでもよい。多環式ヘテロアリール環は、縮合環、スピロ環または架橋環の接合部を含んでもよく、例えば、二環式ヘテロアリールは多環式ヘテロアリールである。二環式ヘテロアリール環は、8〜12員の原子を含んでもよい。単環式ヘテロアリール環は、5〜8員の原子(炭素およびヘテロ原子)を含んでもよい。例示的なヘテロアリール基には、ベンゾフラン、ベンゾチオフェン、フラン、イミダゾール、インドール、イソチアゾール、オキサゾール、ピラジン、ピラゾール、ピリダジン、ピリジン、ピリミジン、ピロール、キノリン、キナゾリン、キノキサリン、チアゾール、トリアゾール、テトラゾールおよびチオフェンが挙げられるが、これらに限定されない。ヘテロアリールの好適な置換基については、以下の「置換されていてもよい」の定義の中で記載する。
【0032】
本明細書で使用する「シアノ」という用語は−CN基を表す。
【0033】
本明細書で使用する「アセチル」という用語は−C(O)R基を表し、Rはアルキル、シクロアルキル、または複素環であり、各々は本明細書で定義されるとおりである。
【0034】
本明細書で使用する「スピロ化合物」という用語は、たった1個の原子を介して結合している環を有する二環式有機化合物を意味する。これらの環は、本来異なるかまたは同一であり得る。結合原子はスピロ原子とも呼ばれ、ほとんどの場合、四級炭素(「スピロ炭素」)である。全てのスピロ化合物は、固定したスピロ、続いて、スピロ環自体を除く小さい環の原子数および大きな環の原子数を含む大括弧[]を有する。例えば、化合物Aは1−ブロモ−3−クロロスピロ[4.5]デカン−7−オールと呼ばれ、化合物Bは1−ブロモ−3−クロロスピロ[3.6]デカン−7−オールと呼ばれる。シクロヘキサン環およびシクロペンタン環からなるスピロ化合物は、スピロ[4.5]デカンと呼ばれる。
【化5】

慣用名を有するスピロ化合物の例:スピロペンタジエン。
【0035】
本明細書で使用する「されていてもよい(optionally)」という用語は、その後に記載される事象(複数可)が生じても、生じなくてもよく、生じる事象(複数可)および生じない事象(複数可)の両方を含む。
【0036】
本明細書で使用する「置換されていてもよい」という語句またはその変形は、特に定義されない限り、多重度置換を含む1個以上の置換基により置換されていてもよいことを意味する。この語句は、本明細書に記載および描写する置換の重複と解釈されるべきではない。例示的な任意の置換基には、アシル基、アルキル基、アルキルスルホニル基、アルコキシ基、アルコキシカルボニル基、シアノ基、ハロゲン基、ハロアルキル基、ヒドロキシル基、オキソ基、およびニトロ基が挙げられる。
【0037】
本発明の化合物は、様々な方法によって作ることができる。実例となる一般的合成法を以下に示し、本発明の具体的な化合物を実施例において調製する。
【0038】
以下に記載するスキームの全てにおいて、合成化学の一般的な原理に従って、必要に応じて、感受性のある基または反応基に対して保護基を使用する。保護基を、有機合成の標準的方法に従って操作する(保護基に関して、参照により組込まれるT.W.Green and P.G.M.Wuts,(1991)Protecting Groups in Organic Synthesis,John Wiley&Sons)。当業者が見てすぐに分かる方法を用いて、これらの基を化合物合成の都合のよい段階で除去する。それらを実施するためのプロセスの選択、ならびに反応条件および反応の順番は、本発明の化合物の調製と矛盾のないものであるべきである。当業者は、スキーム1および2に従って、本発明の化合物を容易に調製することができる。
【0039】
スキーム1に図解するように、本発明のピリドン中間体を調製することができる。簡単に説明すると、置換ブロモピリジン(A)をアルコキシホルミル化し、その後、還元することにより、ヒドロキシメチルピリジン中間体(B)を得た。ナトリウム金属の存在下で、中間体(B)と4−ニトロピリジン−1−オキシドとを反応させることにより、置換ヒドロキシメチルエーテル中間体(C)を得た。中間体(C)を無水トリフルオロ酢酸(TFAA)または無水酢酸(AcO)で処理することにより、所望のピリドン中間体(D)を得た。
【化6】

【0040】
これらのピリドン中間体から、スキーム2に図解するように、本発明の化合物を調製することができる。簡単に説明すると、置換ピリドン中間体(D)と2−アミノ−5−ハロピリジン(E)とを反応させることにより2−アミノピリジン中間体(F)を得た。次に、中間体(F)をHF/ピリジンで処理した後、NaNOで処理することにより、2−フルオロピリジン中間体(G)を得た。中間体(G)と本発明の範囲に包含されるアミン類(H、またはその適切に官能基が保護されたバージョン、次に所定の脱保護を伴う)とを反応させることにより、実施例(I)を得た。
【化7】

【0041】
本明細書で利用する必須のアミン類(およびその適切に官能基が保護されたバージョン)を、可能な場合は市販のものを購入し、文献に記載のとおりにもしくは当業者が知るそれらの所定の改変により合成するか、または当業者が知る別の手順により合成した。
【0042】
本発明は、式Iの化合物またはその薬学的に許容される塩と1種類以上の賦形剤(医薬分野において担体および/または希釈剤とも称される)とを含んでなる医薬組成物(医薬製剤とも称される)をさらに提供する。これらの賦形剤は、この製剤の他の成分に適合し、かつそのレシピエント(すなわち、患者)に有害ではないという意味で許容される。
【0043】
本発明の別の態様に従って、式Iの化合物またはその塩と少なくとも1種類の賦形剤とを混合する(または混ぜる)ことを含んでなる医薬組成物の調製方法が提供される。
【0044】
医薬組成物は、1単位用量あたり所定量の有効成分を含む単位用量形態であってもよい。かかる単位は、治療有効量の式Iの化合物もしくはその塩を含んでもよく、または複数単位剤形を所定の時間に投与して、所望の治療有効用量が達成できるように治療有効用量の一部を含んでもよい。好ましい単位用量製剤は、本明細書の上記で説明するような、有効成分の1日用量もしくはサブ用量、またはその適切な一部を含む製剤である。さらに、かかる医薬組成物を、薬学分野において周知の方法のいずれかによって調製してもよい。
【0045】
医薬組成物は、任意の適切な経路、例えば、(頬もしくは舌下を含む)経口経路、直腸経路、経鼻経路、(頬、舌下もしくは経皮を含む)局所的経路、膣経路、または(皮下、筋肉内、静脈、もしくは皮内を含む)非経口経路による投与に適合させてもよい。かかる組成物を薬学分野で知られる任意の方法、例えば、この有効成分をこの賦形剤(複数可)と組み合わせて調製してもよい。
【0046】
医薬組成物は、経口投与用に適合させるとき、錠剤またはカプセル剤などの別々の単位;粉末剤または顆粒剤;液剤または水性または非水性の液体中の懸濁剤;食用の発泡体またはホイップ;水中油型液体エマルションまたは油中水型液体エマルションの中にあってもよい。本発明の化合物もしくはその塩または本発明の医薬組成物は、「すぐに溶ける」薬として投与するためのキャンディー、ウエハース、および/または舌テープ製剤に組込んでもよい。
【0047】
活性薬物成分は、例えば、錠剤またはカプセル剤の形態での経口投与用には、エタノール、グリセロール、および水などの経口で無毒の薬学的に許容される不活性担体と混合することができる。この化合物を好適な細かいサイズに粉砕し、例えば、デンプンまたはマンニトールのような食用炭水化物などの同様に粉砕した医薬担体と混合することによって、粉末剤または顆粒剤を調製する。着香剤、防腐剤、分散剤、および着色剤も存在させることができる。
【0048】
カプセル剤は、上記に記載の粉末混合物を調製し、形成されたゼラチンまたは非ゼラチン質の鞘に充填することによって作製する。コロイド状シリカ、タルク、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸カルシウム、固体のポリエチレングリコールなどの滑剤および潤滑剤を、充填作業の前にこの粉末混合物に加えることができる。寒天、炭酸カルシウム、または炭酸ナトリウムなどの崩壊剤もしくは可溶化剤は、カプセル剤が摂取されるときの薬の有効性を改善するために添加することもできる。
【0049】
さらに、望まれるか必要な場合には、好適な結合剤、潤滑剤、崩壊剤、および着色剤もこの混合物に組込むことができる。好適な結合剤としては、デンプン、ゼラチン、(グルコースまたはβ乳糖などの)天然糖、コーン甘味料、(アカシア、トラガカントなどの)天然ゴムおよび合成ゴム、アルギン酸ナトリウム、カルボキシメチルセルロース、ポリエチレングリコール、ならびにワックスなどが挙げられる。これらの剤形に用いられる潤滑剤としては、オレイン酸ナトリウム、ステアリン酸ナトリウム、ステアリン酸マグネシウム、安息香酸ナトリウム、酢酸ナトリウム、および塩化ナトリウムなどが挙げられる。崩壊剤としては、デンプン、メチルセルロース、寒天、ベントナイト、およびキサンタンガムなどが挙げられるが、これらに限定されない。
【0050】
錠剤は、例えば、粉末混合物を調製し、顆粒化し、スラッギングし、潤滑剤および崩壊剤を加え、錠剤に押し込むことにより製剤化する。粉末混合物は、好適に粉砕した化合物と上記に記載の希釈剤または基剤とを混合することによって調製されるが、カルボキシメチルセルロース、およびアリジネート(aliginate)、ゼラチン、もしくはポリビニルピロリドンなどの結合剤、パラフィンなどの溶液遅延剤、第4級塩などの吸収促進剤、および/またはベントナイト、カオリン、もしくはリン酸二カルシウムなどの吸収剤を混合することにより調製してもよい。この粉末混合物は、シロップ、デンプン糊、アカディア粘液(acadia mucilage)、またはセルロース物質もしくはポリマー物質の溶液などの結合剤を湿潤させ、ふるいに通すことにより顆粒化することができる。顆粒化する別の方法として、この粉末混合物を錠剤機に通すことができ、その結果、不完全に形成されたスラグが得られ、分解して顆粒にされる。これらの顆粒は、ステアリン酸、ステアリン酸塩、タルク、または鉱油を添加することによって潤滑化し、錠剤形成押型への粘着を防ぐことができる。その後、この潤滑化混合物は、圧縮して錠剤にする。本発明の化合物または塩は、自由に流れる不活性担体と混合し、顆粒化またはスラッギング工程を経ずに、直接圧縮して錠剤にすることもできる。シェラックの密封コーティング、糖またはポリマー物質のコーティング、およびワックスの光沢コーティングからなる明らかに不透明な保護コーティングを提供することができる。染料をこれらのコーティングに加え、異なる用量を区別することができる。
【0051】
液剤、シロップ剤、およびエリキシル剤などの口腔液は、既定量が所定量の有効成分を含むように用量単位形態で調製することができる。シロップ剤は、本発明の化合物またはその塩を好適に香味づけた水溶液に溶解させることによって調製することができ、エリキシル剤は、無毒のアルコール媒体の使用を通して調製する。懸濁液は、本発明の化合物または塩を無毒の媒体に分散させることにより、製剤化することができる。エトキシ化イソステアリルアルコールおよびポリオキシエチレンソルビトールエーテルなどの可溶化剤および乳化剤、防腐剤、ペパーミント油、天然甘味料、サッカリン、または他の人工甘味料などの香味添加剤なども加えることができる。
【0052】
経口投与用の用量単位製剤は、必要に応じて、マイクロカプセルの中に入れることができる。この製剤は、例えば、粒状物質をポリマーもしくはワックスなどでコーティングするか、またはそれらに包埋することにより、放出が延長または持続するように調製することもできる。
【0053】
本発明において、錠剤およびカプセル剤が医薬組成物の送達に好ましい。
【0054】
本明細書で使用する「治療」という用語は予防を含み、すでに罹患したかまたは診断された患者若しくは対象において、特定の病態を緩和し、その病態の1つ以上の症状を除去または軽減し、その病態の進行を遅延または除去し、この病態の再発を防止するか、または遅延させることを表す。予防(または疾患発症の防止または遅延)は、典型的には、発症した疾患または病態を伴う患者に投与するのと同じ方法または類似の方法で薬物を投与することによって達成される。
【0055】
本発明は、肥満、糖尿病、高血圧、うつ病、不安症、薬物依存症、物質依存症、またはそれらの組み合わせを患っている哺乳類、特に、ヒトにおける治療方法を提供する。かかる治療は、治療有効量の式Iの化合物またはその塩を前記哺乳類、特に、ヒトに投与する工程を含んでなる。治療は、式Iの化合物またはその塩を含んでなる治療有効量の医薬組成物を前記哺乳類、特に、ヒトに投与する工程も含んでなり得る。
【0056】
本明細書で使用する「有効量」という用語は、例えば、研究者または臨床医が求めている、組織、系、動物、もしくはヒトの生物学的反応または医学的反応を誘発する薬物または医薬品の量を意味する。
【0057】
「治療有効量」という用語は、かかる量を受け取っていない対応する対象と比較して、疾患、障害、もしくは副作用の治療、治癒、防止、もしくは寛解の改善、または疾患もしくは障害の進行速度の減少をもたらす、あらゆる量を意味する。この用語は、正常な生理機能を増強するのに有効な量もその範囲に含む。治療に用いるために、治療有効量の式Iの化合物は、その塩と同様に、未加工の化学物質として投与してもよい。さらに、この有効成分を医薬組成物として提供してもよい。
【0058】
治療有効量の式Iの化合物またはその塩は、治療に用いるために、未加工の化学物質として投与することができる可能性はあるが、典型的には、医薬組成物または医薬製剤の有効成分として提供される。
【0059】
本発明の化合物またはその塩の正確な治療有効量は、特に限定されないが、治療される対象(患者)の年齢および体重、治療を必要とする正確な障害およびその重症度、医薬製剤/組成物の性質ならびに投与経路を含む多数の要因によって決まり、最終的には、主治医または獣医の裁量で決まるであろう。典型的には、式Iの化合物またはその塩は、治療用に、1日あたり約0.1〜100mg/レシピエント(患者、哺乳類)の体重kgの範囲で、より通常では、1日あたり約0.1〜10mg/体重kgの範囲で与える。許容される1日用量は、約1〜約1000mg/日、好ましくは、約1〜100mg/日であり得る。この量は、1日あたりの単回用量で与えるか、または合計の1日用量が同じであるように1日あたりの(2、3、4、5回以上などの)いくつかのサブ用量で与えてもよい。その塩の有効量は、式Iの化合物それ自体の有効量のある割合として決定してもよい。同様の用量が、本明細書で言及した治療をすべき他の病態の治療(予防を含む)に適するべきである。一般に、医学または薬学分野の当業者は、容易に、適切な用量の決定に達することができる。
【0060】
さらに、本発明は、式Iの化合物もしくはその塩またはその医薬組成物を少なくとも1種類の他の抗肥満薬および/または少なくとも1種類の抗糖尿病薬と共に含んでなる。かかる抗肥満薬には、例えば、メトホルミン(またはグルコファージ)、CB1受容体アンタゴニスト、GLP−1アゴニスト、オピオイドアンタゴニスト、および神経伝達物質再取込阻害剤が挙げられる。本発明の化合物を別の抗肥満薬または抗糖尿病薬と組み合わせて使用するとき、この組み合わせの各化合物または各薬物の用量は、この薬物または化合物を単独で使用するときの用量とは異なり得ることを当業者は十分に理解するはずである。当業者は、適切な用量を容易に理解し、決定するであろう。式Iの化合物またはその塩および他の治療活性剤(複数可)の適切な用量、ならびに投与の相対的時期は、所望の併用治療効果を達成するために選択され、主治医または臨床医の専門的知識および裁量に委ねられている。
【実施例】
【0061】
以下の実施例は例証目的のみを意図し、決して本発明の範囲を限定することを意図せず、本発明は特許請求の範囲によって定義される。特に言及しない限り、試薬は市販されているか、または文献の手順に従って調製される。プロセス、スキーム、および実施例の記述に用いる記号および慣例は、現代科学文献、例えば、the Journal of the American Chemical Societyまたはthe Journal of Biological Chemistryで用いられる記号および慣例と整合する。
【0062】
I.中間体の調製
中間体I:メチル5−クロロ−2−ピリジンカルボキシレート
【0063】
【化8】

MeOH(280ml)中の2−ブロモ−5−クロロピリジン(30.0g、155.9ミリモル)溶液に、Pd(OAc)(3.5g、10.8ミリモル)、dppf(17.3g、37.96ミリモル)、EtN(42.0mL、312ミリモル)を加えた。得られた混合物を、CO雰囲気下(15psi)、50℃で24時間撹拌し、その後、減圧下で濃縮して粗残留物を得た。この残留物をEtOAc(500mLで3回)と水(300mL)の間に分配した。合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、蒸発させた。10:1の石油エーテル/EtOAcを用いて、この残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行うことにより、淡黄色固体として表題の化合物を得た(25g、93%): NMR(400MHz,CDCl)δ ppm 8.60(d,J=1.60Hz,1H),8.01(d,J=8.40Hz,1H),7.75(dd,J=8.40,2.40Hz,1H),3.92(s,3H)。
【0064】
中間体2:(5−クロロ−2−ピリジニル)メタノール
【0065】
【化9】

メタノール(400mL)中のメチル5−クロロ−2−ピリジンカルボキシレート(43g、251ミリモル)冷却溶液(0℃)に、NaBH(28.7g、754ミリモル)を少量ずつおよそ30分かけて加えた。添加後、この反応混合物を室温で2時間撹拌した時、TLC分析がこの反応の完了を示した。その後、この反応混合物を減圧下で濃縮し、1N HClを加えることにより、この残留物をpH1に調整した。得られた溶液を、EtOAc(300mLで3回)で抽出した。合わせた有機層を乾燥させ(NaSO)、蒸発させた。溶出剤として10:1の石油エーテル/EtOAcを用いて、この残留物をシリカゲルのフラッシュクロマトグラフィーを行うことにより、表題化合物を得た(36g,99%): NMR(400MHz,CDCl)δ ppm 8.44(d,J=1.60Hz,1H),7.62(dd,J=8.40,2.40Hz,1H),7.25(d,J=8.40Hz,1H),4.69(s,2H),3.83(s,1H)。
【0066】
中間体3:4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}ピリジン−1−オキシド
【0067】
【化10】

ナトリウム(7.5g、326ミリモル)を、THF(400mL)中の(5−クロロ−2−ピリジニル)メタノール(36g、252ミリモル)溶液に加えた。添加後、この混合物を16時間還流しながら撹拌し、その後、室温まで冷却した。この混合物に、THF(100mL)中の4−ニトロピリジンN−オキシド(11.7g、84ミリモル)溶液を加え、得られた混合物を、室温で更に4時間撹拌した。この混合物を濾過し、濾液を減圧下で濃縮した。EtOを加え、沈殿を形成させた。この沈殿物を濾過により収集し、EtOで(3回)洗浄した。この固体をCHClに溶解して濾過した。この濾液を乾燥させ(NaSO)、蒸発させて、表題化合物を得た(9.7g,49%): NMR(400MHz,CDCl)δ ppm 8.54(d,J=0.80Hz,1H),8.09(m,2H),7.71(dd,J=8.40,2.40Hz,2H),7.39(dd,J=8.40,0.40Hz,1H),6.87(m,2H),5.17(s,2H)。
【0068】
この表題化合物を大規模合成するために、別の手順を使用した。それゆえに、氷/水浴で冷却したDCM(250ml)中の(5−クロロ−2−ピリジニル)メタノール(15.36g、107ミリモル)および4−ニトロピリジン1−オキシド(14.99g、107ミリモル)の撹拌混合物に、塩化ベンジルトリエチルアンモニウム(0.682g、3.00ミリモル)を加え、9MのNaOH(140mL)を追加ロートにより滴加した。この混合物を室温で2.5時間撹拌し、HPLCで定期的に検査した。この期間、より穏やかに撹拌することで、この反応混合物は暗色溶液になった。この反応が完了したことをLC/MSが示した。水(300mL)をこの反応物に加えると、これは直ちに油状懸濁液になった。この反応混合物をDCMで希釈し、有機層を分離した。水層をDCMで更に3回抽出し、合わせた有機層をブラインで洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させた。濃縮することにより明黄色固体を得、それを収集し、エーテルで洗浄し、一晩乾燥させた(22.37g、88%):ES−LCMS m/z 237(M+H)
【0069】
中間体4:4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−2(1H)−ピリジノン
【0070】
【化11】

TFAA(9.7g、46.6ミリモル)を、THF(15mL)中の4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}ピリジン−1−オキシド(1.1g、4.7ミリモル)およびEtN(1.4g、14.0ミリモル)の撹拌冷却(0℃)した溶液に滴加した。この反応混合物を室温で16時間撹拌した時、TLC分析はこの反応がほぼ完了したことを示した。この反応混合物を水で希釈し、その後、CHClで(3回)抽出した。合わせた有機層を、水、1N NaOH、ブラインで洗浄し、乾燥させ、真空濃縮した。この残留固体をエーテルで粉末にして、表題化合物を得た(850mg,77%):HNMR(400MHz,DMSO−d)δppm 11.11(s,1H),8.61(s,1H),7.96(d,J=6.00Hz,1H),7.52(d,J=8.40Hz,1H),7.23(d,J=7.60Hz,1H),5.92(d,J=4.80Hz,1H),5.73(s,1H),5.10(s,2H);ES−LCMS m/z 237(M+H)
【0071】
この表題化合物を大規模合成するために、別の手順を使用した。それゆえに、4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}ピリジン−1−オキシド(25g、106ミリモル)およびトリエチルアミン(44.2mL、317ミリモル)を、氷浴で冷却しながら300mLのTHF中で撹拌した。無水トリフルオロ酢酸(224mL、1585ミリモル)を、追加ロートにより滴加した。この反応混合物を氷浴温度で更に15分間撹拌し、その後室温まで暖めた。この反応物を室温で一晩撹拌した。翌朝、この反応が完了したことをLC/MSが示した。この反応物を氷に注ぎ、得られた溶液を、DCM(100mLで4回)で抽出した。有機層を合わせ、水、1N NaOH、飽和ブライン溶液で洗浄し、硫酸ナトリウムで乾燥させ、濃縮した。得られた固体を、(30分間にわたる稼働で、0〜100%のEtOAC/ヘキサンの)勾配を用いたクロマトグラフィーにより精製して、白色固体として表題化合物を得た(15g、60%)。
【0072】
同様の規模で第2の別の手順を用いた。それゆえに、無水AcO(210mL)中の4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}ピリジン−1−オキシド(21g、90ミリモル)溶液を2時間還流しながら加熱した。この混合物を減圧下で濃縮した。この残留物をEtOAc/MeOH(5:1v/v,400mL)に溶解し、この混合物をさらに2時間還流した。溶媒を除去し、この残留物をEtOAc(200mL)に溶解した。この混合物を一晩放置した。この混合物を濾過し、濾過ケーキをEtOAcで洗浄し、黒色固体として表題化合物を得た(15g、75%)。
【0073】
中間体5:4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(アミノ)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン
【0074】
【化12】

無水DMF(250mL)中の4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−2(1H)−ピリジノン(9g、38ミリモル)溶液に、2−アミノ−5−ヨードピリジン(9.18g、41.7ミリモル)、CuI(1.5g、7.56ミリモル)、KCO(15.7g、114ミリモル)、および8−ヒドロキシキノリン(0.9g、7.2ミリモル)を加え、この混合物を12時間120℃で加熱した。出発物質が消費されたことをLC−MSが示した後、溶媒を真空除去して粗生成物を得、これをカラムクロマトグラフィー(EA/PEを3:1から、EA、DCM/MeOH 10:1を経て、MeOH)により精製して、表題化合物を得た(8.0g、71.9%):H NMR(400MHz,CDOD)δ ppm 8.51(d,J=1.60Hz,1H),7.83−7.87(m,2H),7.52(d,J=8.40Hz,1H),7.45(d,J=7.60Hz,1H),7.39(d,J=8.80Hz,1H),6.61(t,J=8.00Hz,1H),6.24(t,J=8.00Hz,1H),6.00(d,J=2.80Hz,1H),5.17(s,2H);ES−LCMS m/z 329(M+H)
【0075】
中間体6:4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(フルオロ)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン
【0076】
【化13】

氷浴のピリジン(50mL)中のHF/ピリジン(50mL)溶液に、4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(アミノ)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン(5.0g、15.2ミリモル)を加えた。室温で30分間撹拌した後、この混合物を−20℃で冷却した。NaNO(1.5g、20ミリモル)を加え、この反応混合物を室温で2時間撹拌した。出発物質が完全に消費されたことをTLCが示した後、0℃で撹拌しながら、この混合物を飽和KCO水溶液(200mL)に注いだ。この混合物をEA(800mLで3回)で抽出し、合わせた有機層をMgSOで乾燥させ、濃縮して、4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(フルオロ)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オンを得た(4.7g,93%):H NMR(400MHz,CDOD)δppm 8.57(d,J=2.40Hz,1H),8.24(d,J=2.00Hz,1H),8.03(d,J=8.00Hz,1H),7.91(dd,J=7.60,2.40Hz,1H),7.58(d,J=7.60Hz,2H),7.20(dd,J=7.20,2.80Hz,1H),6.32(dd,J=7.60,2.40Hz,1H),6.08(d,J=2.40Hz,1H),5.23(s,2H);ES−LCMS m/z 332(M+H)
【0077】
中間体7:4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(ヨード)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン
【0078】
【化14】

【0079】
イソアミルニトリル(30mL)およびジヨードメタン(100mL)中の4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(アミノ)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン(5.00g,15.21ミリモル)溶液に、ヨウ化水素酸(6.24ミリもつ,1.18mL)を加えた。この反応を一晩撹拌した。この混合物をNHOH/HO溶液(1:1,200mL)に注ぎ、CHCl(300mLで3回)で抽出した。合わせた有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮した。残留物をシリカのカラムクロマトグラフィー(PE 3LからDCM 5L、DCM/MeOH 100:1 3L、DCM/MeOH 50:1 2Lを経て、DCM/MeOH 40:1 3L)により精製し、黄褐色固体として表題化合物を得た(3.6g,45%): NMR(400MHz,MeOH−d)δ 8.59(brs,1H),8.37(d,J=2.4Hz,1H),7.83(d,J=8.4Hz,1H),7.73(dd,J=2.4,8.4Hz,1H),7.38−7.47(m,1H),7.20−7.26(m,2H),6.16(dd,J=2.4hz,7.6Hz,1H),6.01(d,J=2.8Hz,1H)5.30(s,2H);ES−LCMS m/z 440(M+H)
【0080】
中間体8:tert−ブチルメチル(5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−7−イル)カルバメート
【0081】
【化15】

【0082】
ステップ1:エチル1−アセチルシクロプロパンカルボキシレート
【0083】
【化16】

エチル3−オキソブタノエート(100g,0.769モル)、1,2−ジブロモエタン(215.7g,1.153モル)およびKCO(424g,3.07モル)の混合物を、室温で一晩撹拌した。水(800mL)を加え、この反応混合物をエーテル(500mLで3回)で抽出した。合わせた有機層をブライン(50mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、淡黄色油として表題化合物を得た(51g,51%): NMR(400MHz,CDCl)δ 4.10−4.16(m,3H),2.40(s,2H),1.39(s,3H),1.18−1.24(m,4H);ES−LCMS m/z 157(M+H)
【0084】
ステップ2:(R)−1−アセチル−N−(1−フェニルエチル)シクロプロパンカルボキシアミド
【0085】
【化17】

EtOH(500mL)中のエチル1−アセチルシクロプロパンカルボキシレート(250g,1.60モル)溶液に、NaOH水溶液(4N、2L)を0℃で加えた。この混合物を室温で一晩撹拌した。この反応混合物を真空濃縮し、残留物をエーテル(500mLで3回)で抽出した。水層を濃塩酸でpH4に調整し、CHCl(2Lで3回)で抽出した。合わせた有機層をブライン(150mL)で洗浄し、NaSOで乾燥させ、真空濃縮し、淡黄色油として1−アセチルシクロプロパンカルボン酸を得た(200g,92.8%)。
【0086】
エチルクロロホルメート(215,9g,1.99モル)を、−40〜−30℃で40分間かけて、DCM(2L)中の1−アセチルシクロプロパンカルボン酸(232g,1.80モル)およびトリエチルアミン(363g,3.60モル)撹拌溶液に滴加し、この混合物を−30℃で40分間撹拌した。この反応混合物に、(R)−(+)−1−フェニルエチルアミン(241.1g,1.98モル)を20分間かけて滴加した(内部温度を−20℃に保った)。1.5時間撹拌した後、この反応混合物をHCl水溶液(1N,500mL)、飽和NaHCO水溶液(500mL)および水で2回洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮して、粗表題化合物を得(489.3g,91%)、これをさらに精製することなく次のステップに用いた: NMR(400MHz,CDCl)δ 7.34(s,4H),7.23−7.26(m,1H),5.10−5.13(m,1H),1.96(s,3H),1.84(m,3H),1.26−1.54(m,4H);ES−LCMS m/z 232(M+H)
【0087】
ステップ3:(R)−1−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−N−(1−フェニルエチル)シクロプロパンカルボキシアミド
【0088】
【化18】

(R)−1−アセチル−N−(1−フェニルエチル)シクロプロパンカルボキシアミド(248.4g,1.07モル)、エチレングリコール(230mL,4.1モル)、p−トルエンスルホン酸一水和物(10.0g,52.6ミリモル)およびトルエン(800mL)の混合物を24時間還流した。この混合物を室温まで冷却した後、水(500mL)およびトルエン(500mL)を加えた。有機層を分離し、飽和NaHCO水溶液(50mL)で洗浄した。有機層を乾燥させ、濃縮して、粗表題化合物(227.8g,91%)を得、これをさらに精製することなく次のステップに用いた: NMR(400MHz,CDCl)δ 7.22−7.73(m,5H),5.09−5.17(m,1H),3.95(s,3H),1.48(s,6H),1.26−1.30(m,3H),0.70−0.95(m,2H);ES−LCMS m/z 276(M+H)
【0089】
ステップ4:(R)−1−(2−(ブロモメチル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)−N−(1−フェニルエチル)シクロプロパンカルボキシアミド
【0090】
【化19】

臭素(145.4g,0.91モル)をジオキサン(400mL)に30分間かけて滴加し、この混合物を30分間撹拌した。CHCl(2.0L)中の(R)−1−(2−メチル−1,3−ジオキソラン−2−イル)−N−(1−フェニルエチル)シクロプロパンカルボキシアミド(227.8g,0.95モル)溶液を加え、得られた混合物を2時間撹拌した。10%チオ硫酸ナトリウム水溶液を加え、有機層を分離した。この有機溶液を乾燥させ、濃縮して、粗表題化合物を得(326.0g,80%)、これをさらに精製することなく次のステップに用いた: NMR(400MHz,CDCl)δ 7.17−7.56(m,5H),5.00−5.05(m,1H),4.13−4.20(m,2H),3.95−4.02(m,2H),3.59−3.66(m,2H),1.41(m,3H),1.07−1.12(m,2H),0.85−0.90(m,2H);ES−LCMS m/z 356(M+3H)
【0091】
ステップ5:4,7−ジオキソ−5−[1−(R)−フェニルエチル]−5−アザスピロ[2.4]−ヘプタン7−エチレンアセタール
【0092】
【化20】

DMF(500mL)中の(R)−1−(2−(ブロモメチル)−1,3−ジオキソラン−2−イル)−N−(1−フェニルエチル)シクロプロパンカルボキシアミド(80g,0.83モル)溶液に、30℃を下回る内部温度を保ちながら、NaH(60%,12.80g,0.338モル)を1.5時間少量ずつ加え、この混合物を18時間撹拌した。この混合物を氷に注ぎ、EtOAc(3.0L)で抽出した。有機層を水で数回洗浄し、NaSOで乾燥させた。この溶液を濃縮して、残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製し、表題化合物を得た(50g,81%): NMR(400MHz,CDCl)δ 7.17−7.29(m,5H),5.52−5.57(m,1H),3.72−3.84(m,4H),3.34(d,J=10.2Hz,1H),3.02(d,J=10.2Hz,1H),1.46(d,J=6.8Hz,3H),0.98−1.38(m,4H);ES−LCMS m/z 274(M+H)
【0093】
ステップ6:(R)−5−(1−フェニルエチル)−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−4,7−ジオン
【0094】
【化21】

4,7−ジオキソ−5−[1(R)−フェニルエチル]−5−アザスピロ[2.4]−ヘプタン7−エチレンアセタール(3g,10.98ミリモル)、アセトン(20mL)およびHCl(1N,20mL)の混合物を1.5時間還流した。この混合物を濃縮し、EtOAc(15mL)を残留物に加えた。有機層を分離し、乾燥させて、表題化合物を得た(2g,81%): NMR(400MHz,CDCl)δ 7.30−7.40(m,5H),5.79−5.84(m,1H),4.10−4.15(m,4H),3.86(d,J=17.7Hz,1H),3.52(d,J=17.7Hz,1H),1.61−1.74(m,4H),1.25(m,3H);ES−LCMS m/z 230(M+H)
【0095】
ステップ7:(R)−7−(ヒドロキシイミノ)−5−(1−フェニルエチル)−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−4オン
【0096】
【化22】

(R)−5−(1−フェニルエチル)−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−4,7−ジオン(3.35g,14.6ミリモル)、ヒドロキシルアミン塩酸塩(1.60g,23.0ミリモル)、トリエチルアミン(2.3g,22.7ミリモル)およびEtOH(80mL)の混合物を2時間室温で撹拌した。この混合物を減圧下で濃縮した。残留物にCHCl(80mL)を加え、この混合物を10%クエン酸水溶液(30mL)およびブライン(10mL)で洗浄した。有機層をNaSOで乾燥させ、濃縮して、表題化合物を得た(3.50g,98%): NMR(400MHz,CDCl)δ 7.42−7.10(m,5H),5.65−5.55(m,1H),4.15(d,J=12.8Hz,1H),3.78(d,J=16.8Hz,1H),1.60−1.40(m,3H),1.30−1.10(m,5H);ES−LCMS m/z 245(M+H)
【0097】
ステップ8:7−アミノ−5−[(R)−1−フェニルエチル]−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−4−オン
【0098】
【化23】

(R)−7−(ヒドロキシイミノ)−5−(1−フェニルエチル)−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−4オン(3.50g,14.3ミリモル)、ラネーニッケル(750mg)およびMeOH(150mL)の混合物を水素下(1atm)で12時間撹拌した。触媒を濾過して取り除き、濾液を減圧下で濃縮して、目的化合物を得た(2.5g,85.7%):ES−LCMS m/z 231 (M+H)
【0099】
ステップ9:tert−ブチル{4−オキソ−5−[(R)−1−フェニルエチル]−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−7−イル}カルバメート
【0100】
【化24】

MeOH(15mL)中の7−アミノ−5−[(R)−1−フェニルエチル]−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−4−オン(565mg,2.45ミリモル)およびEtN(372mg,3.68ミリモル)溶液に、BocO(642mg,3.68ミリモル)を室温で滴加した。この混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物を真空濃縮した。残留物をCHCl(100mL)に溶解し、この混合物を飽和NHCl水溶液(50mL)で洗浄した。有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、濾過して真空濃縮し、茶色の油として表題化合物を得た(700mg,85%): NMR(400MHz,MeOH−d)δ 7.50−7.20(m,5H),5.50−5.35(m,1H),3.82−3.70(m,1H),3.42−3.35(m,1H),1.65−1.52(m,3H),1.40(s,9H),1.16−0.85(m,4H);ES−LCMS m/z 331(M+H)
【0101】
ステップ10:N−メチル−5−[(R)−1−フェニルエチル]−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−7−アミン
【0102】
【化25】

tert−ブチル{4−オキソ−5−[(R)−1−フェニルエチル]−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−7−イル}カルバメート(1.0g,3.03ミリモル)、水素化リチウムアルミニウム(0.23g,6.05ミリモル)およびTHF(50mL)の混合物を3時間還流した。この混合物に、氷で冷却しながら、水(0.5mL)、10%NaOH水溶液(0.5mL)およびHO(1.5mL)を注意深く加えた。沈殿を濾過し、濾液を減圧下で濃縮して、表題化合物を得、これをさらに精製することなく次のステップに用いた: NMR(400MHz,CDCl)δ 7.35−7.12(m,5H),4.50−4.30(b,1H),3.20−3.0(b,1H),2.90−2.82(m,3H),2.77−2.60(m,4H),2.51−2.15(m,2H),1.21−1.13(m,3H),0.62−0.3(m,4H);ES−LCMS m/z 231(M+H)
【0103】
ステップ11:tert−ブチルメチル(5−[(R)−1−フェニルエチル]−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−7−イル)カルバメート
【0104】
【化26】

MeOH(15mL)中のN−メチル−5−[(R)−1−フェニルエチル]−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−7−アミン(600mg,2.60ミリモル)およびEtN(372mg,3.68ミリモル)溶液に、室温でBocO(642mg,3.68ミリモル)を滴加した。この混合物を室温で一晩撹拌した。この混合物を真空濃縮した。残留物をCHCl(100mL)に溶解し、飽和NHCl水溶液(50mL)で洗浄した。有機層を分離し、NaSOで乾燥させ、濾過して真空濃縮し、残留物をカラムクロマトグラフィーにより精製して、茶色の油として表題化合物を得た(300mg,61%): NMR(400MHz,CDCl)δ 7.14−7.25(m,5H),4.37−4.38(m,1H),2.87(s,3H),2.21−2.65(m,4H),1.51(s,9H),1.20−1.40(m,4H),0.50−0.80(m,3H);ES−LCMS m/z 331(M+H)
【0105】
ステップ12:tert−ブチルメチル(5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−7−イル)カルバメート
tert−ブチルメチル(5−[(R)−1−フェニルエチル]−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−7−イル)カルバメート(300mg,2.24ミリモル)、5%Pd/C(500mg)およびEtOH(30mL)の混合物を、40psi水素雰囲気下で6時間撹拌した。触媒を濾過し、濾液を真空下で濃縮して、茶色の油として表題化合物(中間体8)を得た(200mg,81%): NMR(400MHz,MeOH−d)δ 8.51(d,J=2.4Hz,1H),8.03(d,J=2.4Hz,1H),7.85(dd,J=8.4Hz,2.8Hz,1H),7.48(dd,J=7.6Hz,2.4Hz,1H),7.52(d,J=8.8Hz,1H),7.44(d,J=7.6Hz,1H),6.67(d,J=9.2Hz,1H),6.25(dd,J=7.6Hz,2.8Hz,1H),6.01(d,J=2.8Hz,1H),5.17(s,2H),4.10(m,1H),3.78−3.90(m,2H),3.39(d,J=5.2Hz,1H),2.69(s,3H),1.15−0.82(m,5H);ES−LCMS m/z 438(M+H)
【0106】
II.本発明の化合物の調製
実施例1:4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(1−オキソ−2,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−1−オン−7−イル)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン
【0107】
【化27】

密閉バイアル中の4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(フルオロ)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン(50mg,0.15ミリモル)、2,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−1−オン(43mg,0.28ミリモル)、KCO(62mg,0.46ミリモル)およびDMF(5mL)の混合物を、120℃で3時間、マイクロ波条件下で照射した。この混合物を濾過し、濾液を濃縮した。残留物を分取HPLCにより精製して、淡黄色固体として表題化合物(5.28mg,7.5%)を得た: NMR(400MHz,MeOH−d)δ 8.51(d,J=2.0Hz,1H),8.06(d,J=2.4Hz,1H),7.87−7.85(m,2H),7.59−7.54(m,2H),6.23−6.26(m,1H),6.07(d,J=2.4Hz,1H),5.23(s,2H),3.98(m,2H),3.63−3.44(m,2H),3.36(m,2H),2.14−1.96(m,4H),1.78(2H);ES−LCMS m/z 466(M+H)
【0108】
実施例2:4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2−イル)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン
【0109】
【化28】

4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(フルオロ)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン(100mg,0.301ミリモル)、tert−ブチル2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2−カルボキシレート(81.87mg,0.36ミリモル)、およびKCO(124.99mg,0.904ミリモル)を、DMF(2mL)に溶解し、この混合物を110℃で18時間撹拌した。出発物質が消費されたことをLC−MSが示した後、溶媒を真空除去し、4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(2−tert−ブチルオキシカルボニル−2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−7−イル)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オンを得、これを分取HPLCにより精製した(65mg,40%): NMR(400MHz,MeOH−d)δ ppm 8.56(s,1H),8.09(s,1H),7.98(d,J=5.60Hz,1H),7.90(d,J=8.00Hz,1H),7.57(t,J=7.4Hz,2H),7.14(d,J=9.20Hz,1H),6.32(d,J=7.2,1H),6.07(d,J=7.6Hz,1H),5.22(s,2H),3.74(m,2H),3.63(m,2H),3.28−3.47(m,4H),2.16(d,J=4.0Hz,2H),2.01(s,2H),1.44(s,9H);ES−LCMS m/z 538(M+H)
【0110】
TFA/DCM(20%,5mL)中の4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(2−tert−ブチルオキシカルボニル)−2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−7−イル}−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン(65mg,0.133ミリモル)溶液を0℃で2時間撹拌した。TLC分析が出発物質の完全消費を示した後、溶媒を除去して、表題化合物を得た(39.1mg,73.9%: NMR(400MHz,MeOH−d)δ ppm 8.51(d,J=2.0Hz,1H),8.08(d,J=2.4Hz,1H),7.95(d,J=2.40Hz,1H),7.85(d,J=2.40Hz,1H),7.52(m,2H),7.05(d,J=9.60Hz,1H),6.27(d,J=7.6,1H),6.01(d,J=7.6Hz,1H),5.17(s,2H),3.70(t,J=7.0,2H),3.65(s,2H),3.21−3.32(m,4H),2.08(m,2H),2.19(m,2H);ES−LCMS m/z 438(M+H)
【0111】
実施例3:4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(3,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−2,4−ジオン−9−イル)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン
【0112】
【化29】

TFA(1mL)およびDCM(3mL)中のtert−ブチル8,10−ジオキソ−3,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−3−カルボキシレート(61mg,217マイクロモル)溶液を室温で約2時間撹拌した。溶媒を真空蒸発させ、残留物を得た。DMSO(3mL)中のこの残留物、4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(フルオロ)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン(60mg,181マイクロモル)およびKCO(50mg,362マイクロモル)の溶液を、110℃で一晩撹拌した。この反応混合物を濾過し、濾液を分取HPLCにより精製し、表題化合物を得た(4.52mg,5%):HNMR(400MHz,DMSO−d)δ 10.73(s,1H),8.58(d,J=2.4Hz,1H),7.95(d,J=2.8Hz,1H),7.52−7.47(m,1H),6.85(m,1H),6.05(m,1H),5.86(d,J=2.4Hz,1H),5.13(s,2H),3.52(m,5H),2.49(s,4H),1.41(m,3H);ES−LCMS m/z 494(M+H)
【0113】
実施例4:4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(1−オキソ−2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−2−イル)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン
【0114】
【化30】

ジメチルスルホキシド(2mL)中の4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(ヨード)−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン(55mg,123マイクロモル)、tert−ブチル{1−オキソ−2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−7−イル}カルボキシレート(30mg,123マイクロモル)、(1S,2S)−N,N−ジメチルシクロヘキサン−1,2−ジアミン(1.8mg,12マイクロモル)、ヨウ化銅(0.3mg,2マイクロモル)およびリン酸三カリウム(53mg,246マイクロモル)溶液をマイクロ波中、130℃で3時間撹拌した。この反応混合物を分取HPLCにより精製し、4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(7−tert−ブチルオキシカルボニル−1−オキソ−2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−2−イル}−2H−1,3’−ビピリジン−2−オンを得た(20mg,28.9%): NMR(400MHz,MeOH−d)δ 8.50(s,1H),8.23(s,1H),7.84(dd,J=8.2,2.6Hz,1H),7.74(s,2H),7.49(t,J=8.8Hz,2H),6.24(dd,J=7.8,2.2Hz,1H),6.01(s,1H),5.16(s,2H),3.65(s,2H),3.42−3.30(m,4H),1.87−1.78(m,4H),1.39(s,9H);ES−LCMS m/z 552.3(M+H)
【0115】
TFA/DCM(20%,2.5mL)中の4−{[(5−クロロ−2−ピリジニル)メチル]オキシ}−6’−(7−tert−ブチルオキシカルボニル−1−オキソ−2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−2−イル}−2H−1,3’−ビピリジン−2−オン(20mg,36マイクロモル)溶液を1時間室温で撹拌した。出発物質が消費されたことをLC−MS分析が示した後、溶媒を真空除去して、粗生成物を得、分取HPLCにより精製して、表題化合物を得た(5.37mg,32.8%): NMR(400MHz,MeOH−d)δ 8.50(d,J=1.6Hz,1H),8.25(s,1H),7.85(dd,J=8.4,2.4Hz,1H),7.77−7.73(m,2H),7.50(dd,J=11.8,7.8Hz,2H),6.26(dd,J=7.6,2.4Hz,1H),6.01(d,J=2.8Hz,1H),5.17(s,2H),3.72(s,2H),3.41−3.36(m,2H),3.27−3.22(m,2H),2.20−2.12(m,4H);ES−LCMS m/z 452(M+H)
【0116】
式Iの化合物の(再び番号付けた)実施例5〜28を、必須の6’−ハロピリジンおよびアミン(またはその適切に保護された官能基バージョン、次に所定の脱保護を伴う)から始めて、上記に記載の(再び番号付けた)実施例1〜4の方法またはその所定の変化によって調製した。本明細書で利用する必須のアミン類(およびその適切に官能基が保護されたバージョン)は、可能な場合は市販のものを購入し、文献に記載のとおりにもしくは当業者が知るそれらの所定の改変により合成するか、または当業者が知る別の手順により合成した。
【0117】
【化31】

【0118】
【表1】





【0119】
MCHR1 pIC50測定FLIPR(商標)アッセイ
hMCHR1で安定的にトランスフェクトしたHEK293細胞を、37℃の加湿インキュベーターの中で、接着培養法により増殖させた。1週間に2回、90%集密度の時に、細胞を1:8に分けた。新しい細胞ストックを、2カ月ごとに保管庫から回復させた。細胞を、アッセイの24時間前に、50μLのDMEM/F12、10%FBS、2mMのL−グルタミン中15,000細胞/ウェルで黒色384ウェルプレート(Greiner)に蒔いた。プロファイリングする化合物を、100%DMSO中3X10−3Mのストック溶液を作製することによって調製した。これらのストック溶液を、JANUS(PerkinElmer)液体取扱装置を用いて、100%DMSOで1:4に連続希釈し、一通りで11点の曲線を得た。このアッセイの時に、培地をこの細胞プレートから吸引により除去し、その後、20μLのローディング緩衝液(カルシウム4キット、Molecular Dynamics corporation)を加えた。37℃で50分インキュベートした後、10μLの化合物を、FLIPR(商標)装置(Molecular Dynamics corporation)によりこれらのプレートに加えた。これらのプレートを、MCHペプチドアゴニスト負荷プレートと共に室温で15分間インキュベートした。FLIPR(商標)で、基本応答を10秒にわたって収集し、その後、4XEC50の濃度のMCH負荷10μlを加えた。データを4分間にわたって収集し、非線形回帰分析曲線フィッティングプログラムに供して、pIC50を得た。
【0120】
MCHR1 pIC50測定レポーター遺伝子アッセイ
このアッセイは、黒色384ウェルアッセイプレートに、DMEM/F12、5%FBS、2mMのL−グルタミン中1万細胞/ウェルで蒔いた細胞からなる。蒔いた次の日、アッセイの17時間前にこの培地を吸引により除去し、その後、血清を含まない50μlの培地を加え、バックグラウンドのシグナル対ノイズを減少させた。化合物を3×10−3Mのストック溶液を作製することにより調製した。これらのストック溶液を、JANUS液体取扱装置(PerkinElmer)を用いて、100%DMSOで1:4に連続希釈し、一通りで11点の曲線を得た。このアッセイの日に、化合物(0.5μL)を、JANUSを用いてこのアッセイプレートにピペットで入れた。37℃で45分間インキュベートした後、6×EC80濃度(6×50nM)のMCH10μlをこのプレートに加え、適切な対照を得た。その後、これらのプレートを、同じ条件下で5時間インキュベートした。光抑制条件下で、この化合物/アッセイ溶液をこれらのプレートから吸引により除去し、その後、マルチドロップを用いて、1ウェルあたり15μlのSteadyGlo(商標)試薬を加えた。その後、プレートを接着剤がついた透明プレートシールを用いて密閉し、静電気が起きないドライヤーシートで拭き、静電荷による偽計数を減らし、暗い所の振盪機に8分間置いた。生じたルシフェラーゼの量を、19.8℃における、5秒カウント/ウェルのSPC(単一光子計数)モードでTopCount(PerkinElmer Packard)において定量化し、非線形回帰分析曲線フィッティングプログラムに供して、pIC50を得た。
【0121】
本発明の具体的な実施形態を本明細書で図解し、詳細に記載するが、本発明はこれらに限定されない。上記の詳細な記述を本発明の例として提供し、本発明のいかなる制限をも構成しないと解釈されるべきである。変更は当業者には明らかであり、本発明の趣旨を逸脱しない全ての変更は、添付の特許請求の範囲に含まれると意図される。
【0122】
本発明の例示した化合物は、上記のアッセイに従って試験され、MCHR1におけるMCHの機能的アンタゴニストであることが判明した。FLIPR(商標)アッセイにおけるIC50は、約10nM〜0.5μMの範囲であった。これらの化合物の大部分は60nM以下であり、最も活性のある化合物は40nM以下であった。
【0123】
実施例4の化合物を、全体的に、本明細書に記載のアッセイに従って試験し、少なくとも1つの実験の実行では、FLIPR(商標)アッセイにおいて49nMに等しいIC50値を示した。
【0124】
実施例11の化合物を、全体的に、本明細書に記載のアッセイに従って試験し、少なくとも1つの実験の実行では、FLIPR(商標)アッセイにおいて50nMに等しいIC50値を示した。
【0125】
実施例12の化合物を、全体的に、本明細書に記載のアッセイに従って試験し、少なくとも1つの実験の実行では、FLIPR(商標)アッセイにおいて54nMに等しいIC50値を示した。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化1】

[式中、
は、1または2個の環窒素原子および任意で環酸素原子を含む6〜12員の飽和複素環系であり、この環系は、スピロ環を包含し、窒素原子を介してピリジン環に結合しており;
は、水素、C1−6アルキル、−C(O)NR、−C(O)R、−SO、−C(O)OR、オキソ、−C(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、および−NRSOからなる群から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、アリール、およびヘテロアリールからなる群から選択され;
あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素と共にヘテロシクロアルキルを形成し(ここで、前記ヘテロシクロアルキルは、1、2、または3個のR基で置換されていてもよい);
は、H、F、Cl、C1−3アルキル、シクロプロピル、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−3アルキルアミノ、オキソ、またはCNであり;
は、H、F、Cl、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−3アルキルアミノ、オキソ、またはCNであり;
Xは、(CHであり;
mは、0〜2であり;
nは、0〜3であり;
pは、0〜3であり;
ただし、Rは−NRCOOHまたは−NRSOHではない]。
【請求項2】
式(I)(A)により表される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化2】

[式中、
R1は、1または2個の環窒素原子および任意で環酸素原子を含む6〜12員の飽和複素環系であり、この環系は、スピロ環を包含し、窒素原子を介してピリジン環に結合しており;
R2は、水素、C1−6アルキル、−C(O)NR、−C(O)R、−SO、−C(O)OR、オキソ、−C(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、および−NRSOからなる群から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され;
あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素と共にヘテロシクロアルキルを形成し(ここで、前記ヘテロシクロアルキルは、1、2、または3個のR基で置換されていてもよい);
は、H、F、Cl、C1−3アルキル、シクロプロピル、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−3アルキルアミノ、オキソ、またはCNであり;
は、H、F、Cl、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−3アルキルアミノ、オキソ、またはCNであり;
Xは、(CHであり;
mは、0〜2であり;
nは、0〜3であり;
pは、0〜3であり;
ただし、Rは−NRCOOHまたは−NRSOHではない]。
【請求項3】
式(I)(B)により表される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化3】

[式中、
R1は、1または2個の環窒素原子および任意で環酸素原子を含む6〜12員の飽和複素環系であり、この環系は、スピロ環を包含し、窒素原子を介してピリジン環に結合しており;
R2は、水素、C1−6アルキル、−C(O)NR、−C(O)R、−SO、−C(O)OR、オキソ、−C(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、および−NRSOからなる群から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され;
あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素と共にヘテロシクロアルキルを形成し(ここで、前記ヘテロシクロアルキルは、1、2、または3個のR基で置換されていてもよい);
は、H、F、Cl、C1−3アルキル、シクロプロピル、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−3アルキルアミノ、オキソ、またはCNであり;
は、H、F、Cl、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−3アルキルアミノ、オキソ、またはCNであり;
Xは、(CHであり;
mは、0〜2であり;
nは、0〜3であり;
pは、0〜3であり;
ただし、Rは−NRCOOHまたは−NRSOHではない]。
【請求項4】
式(I)(C)により表される、請求項1に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩:
【化4】

[式中、
R1は、1または2個の環窒素原子および任意で環酸素原子を含む6〜12員の飽和複素環系であり、この環系は、スピロ環を包含し、窒素原子を介してピリジン環に結合しており;
R2は、水素、C1−6アルキル、−C(O)NR、−C(O)R、−SO、−C(O)OR、オキソ、−C(O)NR、−NR、−NRC(O)R、−NRC(O)OR、および−NRSOからなる群から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され;
は、水素、C1−6アルキル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され;
あるいは、RおよびRは、それらが結合している窒素と共にヘテロシクロアルキルを形成し(ここで、前記ヘテロシクロアルキルは、1、2、または3個のR基で置換されていてもよい);
は、H、F、Cl、C1−3アルキル、シクロプロピル、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−3アルキルアミノ、オキソ、またはCNであり;
は、H、F、Cl、C1−6アルキル、C3−6シクロアルキル、C1−3アルコキシ、アミノ、C1−3アルキルアミノ、オキソ、またはCNであり;
Xは、(CHであり;
mは、0〜2であり;
nは、0〜3であり;
pは、0〜3であり;
ただし、Rは−NRCOOHまたは−NRSOHではない]。
【請求項5】
前記R1が、1−オキソ−2,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−7−イル、2,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−2−イル、1,7−ジアザスピロ[4.5]デカン−7−イル、1,7−ジアザスピロ[4.4]ノナン−7−イル、1,8−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−8−イル、2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−2−イル、2,6−ジアザスピロ[3.5]ノナン−2−イル、1−オキソ−2,7−ジアザスピロ[3.5]ノナン−7−イル、7−メチルアミノ−5−アザスピロ[2.4]ヘプタン−5−イル、2,8−ジアザスピロ[4.5]デカン−8−イル、および1−オキサ−4,9−ジアザスピロ[5.5]ウンデカン−4−イルから選択される、式(I)(A)、(I)(B)または(I)(C)の化合物。
【請求項6】
が、水素、C1−6アルキル、およびC3−6シクロアルキルからなる群から選択され、Rが、ClまたはFであり、mが、1であり、nが、1である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項7】
が、C1−6アルキルまたはC3−6シクロアルキルであり、Rが、Hである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項8】
が、置換C1−6アルキルである、請求項1〜7のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項9】
およびRが、各々メチルである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項10】
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって、置換されていてもよいピロリジニル基、またはモルホリニル基を形成する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項11】
およびRが、それらが結合している窒素と一緒になって複素環を形成する、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項12】
前記複素環が、1〜3個のR基で置換される、請求項1〜5のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項13】
前記Rが、置換C1−3アルコキシ、置換C1−6アルキル、および置換C3−6シクロアルキルからなる群から選択される、請求項12に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項14】
mが、1である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項15】
nが、0、1、または2である、請求項1〜13のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項16】
pが、1または2である、請求項1〜9のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩。
【請求項17】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物。
【請求項18】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物またはその塩と1種類以上の賦形剤とを含んでなる、医薬組成物。
【請求項19】
請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物またはその薬学的に許容される塩と少なくとも1種類の賦形剤とを含んでなる医薬組成物を、それを必要としているヒトに投与することを含んでなる治療方法であって、前記治療が、肥満、糖尿病、高血圧、うつ病、不安症、薬物依存症、物質依存症、またはそれらの組み合わせのためである、治療方法。
【請求項20】
前記治療が、肥満、糖尿病、またはその両方のためである、請求項19に記載の方法。
【請求項21】
療法に使用するための、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項22】
活性治療物質として使用するための、請求項1〜16のいずれか一項に記載の化合物またはその塩。
【請求項23】
肥満、糖尿病、高血圧、うつ病、不安症、薬物依存症、物質依存症、またはそれらの組み合わせの治療に使用するための薬剤の製造における、請求項1〜14のいずれか一項に記載の化合物またはその塩の使用。
【請求項24】
前記治療が、肥満、糖尿病、またはその両方のためである、請求項23に記載の使用。

【公表番号】特表2012−528872(P2012−528872A)
【公表日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2012−514068(P2012−514068)
【出願日】平成22年6月2日(2010.6.2)
【国際出願番号】PCT/US2010/037017
【国際公開番号】WO2010/141545
【国際公開日】平成22年12月9日(2010.12.9)
【出願人】(591002957)グラクソスミスクライン・リミテッド・ライアビリティ・カンパニー (341)
【氏名又は名称原語表記】GlaxoSmithKline LLC
【Fターム(参考)】