説明

メラノコルチン−4受容体調節物質としての置換ピペリジンおよびピペラジン誘導体

本発明は、メラノコルチン-4受容体(MC-4R)調節物質としての新規置換ピペリジンおよびピペラジン誘導体に関する。本発明のMC-4Rアゴニストは肥満、糖尿病および性機能不全などの障害および疾患の治療に用いることができる一方で、MC-4Rアンタゴニストは癌カヘキシー、筋萎縮、食欲不振、不安およびうつなどの障害および疾患の治療のために有用である。MC-4Rの調節が関与するすべての疾患および障害は、本発明の化合物で治療することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
発明の分野
本発明は、メラノコルチン-4受容体調節物質としての新規置換ピペリジンおよびピペラジン誘導体に関する。構造および立体化学に応じて、本発明の化合物はヒトメラノコルチン-4受容体(MC-4R)の選択的アゴニストまたは選択的アンタゴニストのいずれかである。アゴニストは肥満、糖尿病および性機能不全などの障害および疾患の治療に用いることができる一方で、アンタゴニストは癌カヘキシー、筋萎縮、食欲不振、不安およびうつなどの障害および疾患の治療のために有用である。一般に、MC-4Rの調節が関与するすべての疾患および障害は、本発明の化合物で治療することができる。
【背景技術】
【0002】
発明の背景
メラノコルチン(MC)は、プロオピオメラノコルチン(POMC)からタンパク質分解切断を介して生じる。これらのペプチド、副腎皮質刺激ホルモン(ACTH)、α-メラニン細胞刺激ホルモン(α-MSH)、β-MSHおよびγ-MSHは、サイズが12から39アミノ酸の範囲である。中枢MC-4R活性化のための最も重要な内因性アゴニストは、トリデカペプチドα-MSHであると思われる。MCの中でも、α-MSHは脳内の神経伝達物質または神経調節物質として作用することが報告された。MCペプチド、特にα-MSHは、摂食行動、色素産生、および外分泌機能を含む生体機能に対して広範な作用を有する。α-MSHの生体作用は、メラノコルチン受容体(MC-R)と呼ばれる7回膜貫通G-タンパク質結合受容体のサブファミリーによって媒介される。これらのMC-Rいずれを活性化しても、cAMP生成の刺激を引き起こす。
【0003】
今日までに、5つの異なる型のMC受容体サブタイプ(MC-1RからMC-5R)が同定されており、これらは異なる組織で発現される。
【0004】
MC-1Rはメラニン細胞で最初に見いだされた。動物におけるMC-1Rの天然不活性変異体は、チロシナーゼの制御を通してフェオメラニンのユーメラニンへの変換を制御することにより、色素産生の変化と、続いて薄い毛色を生じることが明らかにされた。これら、および他の試験から、MC-1Rはメラニン産生ならびに動物の毛色およびヒトの肌色の重要な調節物質であることが明らかである。
【0005】
MC-2Rは副腎で発現され、ACTH受容体である。MC-2Rはα-MSHの受容体ではないが、副腎皮質刺激ホルモン1(ACTH1)の受容体である。
【0006】
MC-3Rは脳(主に視床下部に局在)ならびに腸管および胎盤などの末梢組織で発現され、ノックアウト試験により、MC-3Rは摂食行動、体重および熱発生における変化の原因であることが判明した。
【0007】
MC-4Rは主に脳内で発現される。非常に多くのデータにより、MC-4Rのエネルギーホメオスタシスにおける役割が裏付けられている。動物におけるMC-4Rの遺伝子ノックアウトおよび薬理学的操作により、MC-4Rのアゴニスト作用は体重減少の原因となり、MC-4Rのアンタゴニスト作用は体重増加を引き起こすことが示されている。(A. Kask, et al., "Selective antagonist for the melanocortin-4 receptor (HS014) increases food intake in free-feeding rats", Biochem. Biophys. Res. Commun., 245: 90-93 (1998))。
【0008】
MC-5Rは、白色脂肪および胎盤を含む多くの末梢組織で広範に発現され、脳内でも低レベルの発現が認められる。しかし、その発現は外分泌腺で最大である。マウスにおけるこの受容体の遺伝子ノックアウトは、外分泌腺機能の調節に変化をもたらし、水に対する反発および体温調節における変化を引き起こす。MC-5Rノックアウトマウスでは、皮脂腺脂質産生の低下も認められる(Chen et al., Cell, 91: 789-798 (1997))。
【0009】
MC-3RおよびMC-4R調節物質ならびに肥満および食欲低下などの体重障害の治療におけるそれらの使用の研究に注意が集中してきた。しかし、MCペプチドは色素産生、摂食行動および外分泌機能の調節における役割の他に強力な生理作用を有するとの証拠が示されている。特に、α-MSHは最近、炎症性腸疾患、腎虚血/再灌流傷害およびエンドトキシン誘導性肝炎を含む炎症の急性および慢性両方のモデルにおいて強力な抗炎症効果を誘導することが明らかにされている。α-MSHのこれらのモデルへの投与により、炎症性組織損傷の実質的減少、白血球浸潤の顕著な減少、ならびにサイトカインおよび他の媒介物質の高いレベルのほぼ基準値への劇的低下が起こる。最近の研究により、α-MSHの抗炎症作用はMC-1Rによって媒介されることが示された。MC-1Rのアゴニスト作用が抗炎症反応を引き起こすメカニズムは、炎症誘発性転写活性化物質NF-κBの阻害によると考えられる。NF-κBは炎症誘発カスケードの重要な成分で、その活性化は多くの炎症性疾患開始における中心事象である。加えて、α-MSHの抗炎症作用は部分的にはMC-3Rおよび/またはMC-5Rのアゴニスト作用によって媒介されていると考えられる。
【0010】
肥満の制御のための標的となりうる特定の1つのMC-Rはまだ同定されていないが、摂食行動の媒介においてMC-4Rシグナリングが重要であるという証拠が示されている(S.Q. Giraudo et al., "Feeding effects of hypothalamic injection of melanocortin-4 receptor ligands", Brain Research, 80: 302-306 (1998))。肥満におけるMC-Rの関与についてのさらなる証拠には下記が含まれる:1)MC-1R、MC-3RおよびMC-4Rのアンタゴニストを異所性に発現するアグーチ(Avy)マウスは肥満で、これら3つのMC-Rの作用を阻止すると、過食症および代謝障害を引き起こしうることを示している;2)MC-4Rノックアウトマウス(D. Huszar et al., Cell, 88: 131-141 (1997))はアグーチマウスの表現型を反復し、これらのマウスは肥満である;3)齧歯類で脳室内(ICV)注射した環状ヘプタペプチドメラノタニンII(MT-II)(非選択的MC-1R、-3R、-4Rおよび-5Rアゴニスト)は、いくつかの動物摂食モデル(NPY、ob/ob、アグーチ、および絶食)で食物摂取を低下させるが、ICV注射したSHU-9119(MC-3Rおよび-4Rアンタゴニスト;MC-1Rおよび-5Rアゴニスト)はこの効果を逆転させ、過食症を引き起こしうる;4)Zucker肥満ラットのα-NDP-MSH誘導体(HP-228)による長期腹腔内治療は、12週間にわたってMC1-R、-3R、-4Rおよび-5Rを活性化し、食物摂取および体重増加を減少させることが報告されている(I. Corcos et al., "HP-228 is a potent agonist of melanocortin receptor-4 and significantly attenuates obesity and diabetes in Zucker fatty rats", Society for Neuroscience Abstracts, 23: 673 (1997))。
【0011】
MC-4Rは他の生理機能においても役割を果たす、すなわち毛づくろい行動、勃起および血圧を制御すると考えられる。勃起機能不全はうまく交尾するのに十分な陰茎勃起が不可能な医学的状態を意味する。「インポテンス」なる用語が、このよく見られる状態を述べるためにしばしば用いられる。合成メラノコルチン受容体アゴニストは、心因性勃起機能不全の男性において勃起を引き起こすことが判明している(H. Wessells et al., "Synthetic Melanotropic Peptide Initiates Erections in Men With Psychogenic Erectile Dysfunction: Double-Blind, Placebo Controlled Crossover Study", J. Urol., 160: 389-393, 1998)。脳のメラノコルチン受容体の活性化は、性的覚醒の正常な刺激をもたらすと考えられる。男性および/または女性の性機能不全においてMC-Rが関与することの証拠はWO/0074679に詳述されている。
【0012】
糖尿病は、哺乳動物の筋肉および肝細胞中に貯蔵するためにグルコースをグリコゲンに変換する能力が低下しているため、その血中のグルコースレベルを調節する能力が障害されている疾患である。I型糖尿病において、このグルコースを貯蔵する能力の低下は、インスリン産生低下によって引き起こされる。「II型糖尿病」または「非インスリン依存性糖尿病」(NIDDM)は、主なインスリン感受性組織、筋肉、肝臓および脂肪組織におけるグルコースおよび脂質代謝へのインスリン刺激または調節効果に対する深刻な抵抗性が原因の、糖尿病の型である。このインスリン反応性への抵抗により、グルコース取り込み、酸化および筋肉内貯蔵のインスリン活性化が不十分となり、また脂肪組織における脂肪分解や肝臓におけるグルコース産生および分泌のインスリン抑制が不十分となる。これらの細胞がインスリンに対して脱感作した場合、体は異常に高レベルのインスリン産生によって代償しようとし、高インスリン血症(hyperinsulemia)が起こる。高インスリン血症は高血圧および体重増加に関係している。インスリンは、インスリン感受性細胞によるグルコース、アミノ酸、およびトリグリセリドの血液からの細胞取り込み促進に関与しているため、インスリン非感受性は心血管疾患の危険因子であるトリグリセリドおよびLDLのレベル上昇を引き起こしうる。高インスリン血症と高血圧の組み合わせ、体重増加、トリグリセリド上昇、およびLDL上昇を含む症状の型はX症候群として知られている。MC-4RアゴニストはNIDDMおよびX症候群の治療において有用であると考えられる。
【0013】
MC受容体サブタイプの中で、MC4受容体は下記の知見に基づき、ストレスおよび感情行動の調節に関しても興味深い。ストレスは、内分泌、生化学および行動事象を含む反応の複雑なカスケードを引き起こす。これらの反応の多くは、コルチコトロピン放出因子(CRF)の放出によって起こる(Owen MJ and Nemeroff CB (1991). Physiology and pharmacology of corticotrophin releasing factor. Pharmacol Rev 43: 425-473)。脳CRF系の活性化に加えて、プロオピオメラノコルチンから酵素処理によって生じるメラノコルチン(MC)が、ストレスに対する重要な行動および生化学反応と、したがって不安およびうつのようなストレス性障害を媒介するという、いくつかの一連の証拠がある(Anxiolytic-Like and Antidepressant-Like Activities of MCL0129 (1-[(S)-2-(4-Fluorophenyl)-2-(4-isopropylpiperadin-1-yl)ethyl]-4- [4-(2-methoxynaphthalen-1-yl)butyl]piperazine), a Novel and Potent Nonpeptide Antagonist of the Melanocortin-4 Receptor; Shigeyuki Chaki et al, J. Pharm. Exp. Ther. (2003)304(2), 818-26)。
【0014】
悪性腫瘍または感染症などの慢性疾患は、食欲低下および除脂肪体重減少の組み合わせによるカヘキシーを伴うことが多い。除脂肪体重の大幅な減少は炎症プロセスによって誘発されることが多く、通常はサイトカイン(例えば、TNF-α)の血漿レベル上昇を伴い、これは脳内のα-MSH産生を高める。α-MSHによる視床下部のMC4受容体活性化は、食欲を低下させ、エネルギー消費を高める。腫瘍を有するマウスでの実験による証拠から、カヘキシーは遺伝子MC4受容体ノックアウトまたはMC4受容体遮断により防止または逆転可能であることが示唆される。処理マウスにおける体重増加は、主に骨格筋で構成される大量の除脂肪体重によるものである(Marks D.L. et al. Role of the central melanocortin system in cachexia. Cancer Res. (2001) 61: 1432-1438)。
【0015】
WO0074679Aでは、メラノコルチン-4受容体作用薬として置換ピペリジンが記述されている。ピペリジンは異なる置換フェニルアラニン、例えばD-p-シクロフェニルアラニンによりアシル化されており、その後、他のアミノ酸、特に1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸によりアシル化される。この特許出願の実施例2は、IC50が0.92nMでヒトMC4-受容体に結合する。化合物はEC50 2.1nMの作用薬として作用する(96%活性化)。
【0016】
WO0170337Aでは、メラノコルチン受容体作用薬としてスピロインダン誘導体が記述されている。スピロインダンはフェニルアラニン、特にp-クロロフェニルアラニンによりアシル化され、その後、非置換および置換1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-3-カルボン酸によりアシル化される。生物学的データは示されていない
【0017】
WO0191752Aでは、メラノコルチン受容作用薬が記述されている。3つの実施例が記述されており、3a-ベンジル-2-メチル-2,3a,4,5,6,7-ヘキサヒドロ-ピラゾロ[4,3-c]ピリジン-3-オンは、最初にBoc-D-4-クロロフェニルアラニンによりアシル化され、続いて、それぞれ、1-アミノ-1,2,3,4-テトラヒドロ-ナフタレン-2-カルボン酸および1,2,3,4-テトラヒドロ-イソキノリン-3-カルボン酸を用いた第2段階のアシル化を受ける。実施例に対する生物学的データは示されていない。
【0018】
WO02059107AおよびWO02059117Aでは、メラノコルチン受容体作用薬が記述されている。作用薬は置換フェニルピペリジンおよびフェニルピペラジンから構成され、これらは最初にフェニルアラニン、続いてアミノ酸によりアシル化される。実施例に対する生物学的データは示されていない。
【0019】
WO0134150Aでは、抗原虫薬として脂肪族アミン置換ピペリジルジアリールピロール誘導体が記述されている。いくつかの場合では、ピペリジンはアミノ酸によりアシル化され、得られたアミドがその後還元され、対応するアミンとなる。
【0020】
メラノコルチン受容体作用薬について記述している、引用した特許には、ピペリジンまたはピペラジンおよびフェニルアラニンがアミド結合の形成により結合されているという共通点がある。しかしながら、分子のピペリジンまたはピペラジン部分がアミン結合を介してフェニルアラニンに結合されている化合物は記述されていない。
【0021】
前述の様々な疾患および障害の治療における未解決の欠陥を考慮して、本発明の目的は、癌カヘキシー、筋萎縮、食欲不振、不安、うつ、肥満、糖尿病、性機能不全、および他のMC-4Rが関与する疾患を治療するためのメラノコルチン-4受容体調節物質として有用な、脳血液関門を通過する能力が改善された新規置換ピペリジンおよびピペラジン誘導体を提供することである。
【発明の開示】
【0022】
発明の概要
本発明は、構造式(I)の新規置換ピペリジンおよびピペラジン誘導体に関する。

ここで、可変部A、R1、R2、mおよびnは下記に定義される意味を有する。
【0023】
構造式(I)のピペリジンおよびピペラジン誘導体は、メラノコルチン受容体調節物質として有効で、特に選択的メラノコルチン-4受容体(MC-4R)調節物質として有効である。したがって、これらはMC-4Rの活性化または不活化が関与する障害の治療のために有用である。アゴニストは肥満、糖尿病、および性機能不全などの障害および疾患の治療のために用いることができる一方で、アンタゴニストは癌カヘキシー、筋萎縮、食欲不振、不安およびうつなどの障害および疾患の治療のために有用である。
【0024】
本発明は、本発明の化合物と薬学的に許容される担体とを含む薬学的組成物にも関する。
【0025】
発明の詳細な説明
本発明は、メラノコルチン受容体調節物質、特に選択的MC-4RアゴニストおよびMC-4Rアンタゴニストとして有用な新規置換ピペリジンおよびピペラジン誘導体に関する。
【0026】
本発明の化合物は構造式(I)、または薬学的に許容されるそれらの塩もしくは溶媒和物により表される:

ここで、
R1は、(D)-アリールまたは(D)-ヘテロアリールであり、ここで、アリールおよびヘテロアリールは非置換であるか、または置換されており;
R2は以下であり:

Aは以下であり:

各R3は独立して、以下であり:
水素、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、S-アルキル、SO2-アルキル、O-アルケニル、S-アルケニル、NR15C(O)R15、NR15SO2R15、N(R15)2、(D)-シクロアルキル、(D)-アリール(ここで、アリールはフェニルまたはナフチルである)、(D)-ヘテロアリール、(D)-ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは1つの窒素を含むヘテロシクリルを除外する)(ここで、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキルおよびシクロアルキルは非置換であるか、または置換されており、2つの隣接するR3は4〜7員環を形成してもよい);
各R4は独立して、以下であり:
水素、アルキル、C(O)-アルキル、SO2アルキル、SO2アリール、(D)-アリールまたは(D)-シクロアルキル;
各R5は独立して、以下であり:
水素、アルキル、(D)-アリール、(D)-ヘテロアリール、(D)-N(R7)2、(D)-NR7C(O)-アルキル、(D)-NR7SO2-アルキル、(D)-SO2N(R7)2、(D)-(O)q-アルキル、(D)-(O)q(D)-NR7COR7、(D)-(O)q(D)-NR7SO2R7、(D)-(O)q-ヘテロシクリルまたは(D)-(O)q(アルキル)-ヘテロシクリル;
各R6は独立して、以下であり:
水素、アルキル、(D)-フェニル、C(O)-アルキル、C(O)-フェニル、SO2-アルキルまたはSO2-フェニル;
R7およびR8はそれぞれ独立して、以下であり;
水素、アルキル、もしくは(D)-シクロアルキル、または、
R7およびR8はそれらが結合している窒素と共に、O、SおよびNR4から選択される追加のヘテロ原子を任意に含んでいてもよい5〜8員環を形成し、
(ここで、アルキルおよびシクロアルキルは非置換であるか、または置換されている);
R10は独立して、以下であり:
水素、アルキル、(D)-アリールまたは(D)-シクロアルキル;
R11は水素またはアルキルであり;
R12は以下であり:
水素、ハロ、アルキル、アルコキシ、C≡N、CF3またはOCF3
R13は独立して、以下であり:
水素、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、(D)-C(O)R15、(D)-C(O)OR15、(D)-C(O)SR15、(D)-C(O)-ヘテロアリール、(D)-C(O)-ヘテロシクリル、(D)-C(O)N(R15)2、(D)-N(R15)2、(D)-NR15COR15、(D)-NR15CON(R15)2、(D)-NR15C(O)OR15、(D)-NR15C(R15)=N(R15)、(D)-NR15C(=NR15)N(R15)2、(D)-NR15SO2R15、(D)-NR15SO2N(R15)2、(D)-NR15(D)-ヘテロシクリル、(D)-NR15(D)-ヘテロアリール、(D)-OR15、OSO2R15、(D)-[O]q(シクロアルキル)、(D)-[O]q(D)-アリール、(D)-[O]q(D)-ヘテロアリール、(D)-[O]q(D)-ヘテロシクリル、(D)-SR15、(D)-SOR15、(D)-SO2R15、または(D)-SO2N(R15)2(ここで、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは非置換であるか、または置換されている);
各R15は独立して、以下であり:
水素、アルキル、ハロアルキル、(D)-シクロアルキル、(D)-アリール(ここで、アリールはフェニルまたはナフチルである)、(D)-ヘテロアリール、(D)-ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、1つの窒素を含むヘテロシクリルを除外する)(ここで、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキルおよびシクロアルキルは非置換であるか、または置換されている);
R17は独立して、R10または(D)-ヘテロシクリルであり;
R18は独立して、以下であり:
R10、(D)-ヘテロアリール、(D)-ヘテロシクリル、(D)-N(Y)2、(D)-NH-ヘテロアリール、および(D)-NH-ヘテロシクリル(ここで、アリール、ヘテロアリール、アルキル、D、シクロアルキルおよびヘテロシクリルは非置換であるか、または置換されている)、
または、2つのR18基は、それらが結合している原子と共に、O、S、NR10、NBocおよびNZから選択される追加のヘテロ原子を任意に含んでいてもよい5〜8員の単環または二環式環構造を形成してもよく;
Cyは以下であり:
アリール、5もしくは6員ヘテロアリール、5もしくは6員ヘテロシクリルまたは5もしくは7員カルボシクリル;
Cy’はベンゼン、ピリジンまたはシクロヘキサンであり;
Xは以下であり:
アルキル、(D)-シクロアルキル、(D)-アリール、(D)-ヘテロアリール、(D)-ヘテロシクリル、(D)-C≡N、(D)-CON(R17R17)、(D)-CO2R17、(D)-COR17、(D)-NR17C(O)R17、(D)-NR17CO2R17、(D)-NR17C(O)N(R17)2、(D)-NR17SO2R17、(D)-S(O)pR17、(D)-SO2N(R17)(R17)、(D)-OR17、(D)-OC(O)R17、(D)-OC(O)OR17、(D)-OC(O)N(R17)2、(D)-N(R17)(R17)または(D)-NR17SO2N(R17)(R17)(ここで、アリール、ヘテロアリール、アルキル、D、シクロアルキルおよびヘテロシクリルは非置換であるか、または置換されている);
Yは以下であり:
水素、アルキル、(D)-シクロアルキル、(D)-アリール、 (D)-ヘテロシクリルまたは(D)-ヘテロアリール(ここで、アリール、ヘテロアリール、アルキル、Dおよびシクロアルキルは非置換であるか、または置換されている);
Qは結合、O、S(O)u、NR6またはCH2であり;
Dは結合またはC1〜C4アルキルであり;
EはO、SまたはNR6であり;
GはD、CH-アルキル、O、C=OまたはSO2であり、ただし、GがOの場合、環原子Mは炭素であることを条件とし;
JはNまたはCHであり;
Mは、CHCO2Y、CHC(O)N(Y)2、NSO2R18、CHN(Y)COR18、CHN(Y)SO2R18、CHCH2OYまたはCHCH2ヘテロアリールであり;
TはOまたはNR7であり、
nは0〜3であり;
mは1〜3であり;
oは0〜3であり;
pは0〜2であり;
qは0または1であり;
rは1または2であり;
sは0〜3であり;
uは0〜2である。
【0027】
好ましい態様では、変数は下記意味を有する。
【0028】
R1は上記で規定した通りであり、好ましくは、(D)-アリール、より好ましくは(D)-フェニルまたは(D)-ナフチルである。アリールまたはヘテロアリールが置換される場合、好ましくは1〜3、より好ましくは1または2、最も好ましくは1の置換基により置換される。置換基は好ましくは、シアノ、ニトロ、ペルフルオロアルコキシ、ハロ、アルキル、(D)-シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシルおよびハロアルキルからなる群より独立して選択され、より好ましくはペルフルオロアルコキシ、ハロ、アルキル、アルコキシまたはハロアルキルから選択され、さらに好ましくはハロ、アルキル、アルコキシおよびハロアルキルから選択される内、特にハロである。
【0029】
最も好ましくは、R1は(CH2)-フェニルまたは(CH2)-ナフチルであり、両方、好ましくはフェニルは1〜3、特に1のハロ、例えばClにより置換されてもよい。置換は任意の位置、好ましくは4位とすることができる。
【0030】
R2は上記で規定した通りであり、好ましくは以下であり:

より好ましくは、以下である:

【0031】
1つの態様では、R2は以下である:

【0032】
1つの態様では、R2は以下であり:

好ましくは以下であり:

より好ましくは以下であり:

最も好ましくは以下である:

【0033】
Aは上記で規定した通りであり、好ましくはAは非置換および置換4(1H-ピロール-2-イル)-ピペリジンを含まない。
【0034】
R3は上記で規定した通りである。アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキルおよび/またはシクロアルキルが置換される場合、それぞれ、オキソ、ハロ、アルキル、N(R4)2、OR4、SR4、およびCO2R4からなる群より選択される好ましくは1〜3、より好ましくは1の置換基により置換される。
【0035】
R3は好ましくは、水素、ハロ、非置換アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、S-アルキル、SO2-アルキル、O-アルケニル、S-アルケニル、非置換(D)-シクロアルキルまたは置換(D)-シクロアルキル、より好ましくは水素およびハロである。1つの態様では、R3は水素、ハロ、アルキル、ハロアルキル、(D)-シクロアルキル、(D)-アリール(ここで、アリールはフェニルまたはナフチルである)、(D)-ヘテロアリール、(D)-ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは1つの窒素を含むヘテロシクリルを除外する)(ここで、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキルおよびシクロアルキルは非置換であるか、または置換されている)であり、好ましくは、水素、ハロ、非置換アルキル、置換アルキル、ハロアルキル、アルコキシ、非置換(D)-シクロアルキルまたは置換(D)-シクロアルキルであり、より好ましくは水素である。
【0036】
R4は上記で規定した通りであり、好ましくは水素またはアルキル、より好ましくは水素である。
【0037】
R5は上記で規定した通りであり、好ましくは、水素、アルキル、(D)-アリール、(D)-ヘテロアリール、(D)-N(R7)2、(D)-NR7C(O)アルキルまたは(D)-NR7SO2アルキルであり、より好ましくは水素である。
【0038】
R7およびR8はそれぞれ、独立して、上記に規定した通りである。R7およびR8が環を形成する場合、環は、環内に好ましくは、O、SおよびNR4から選択される追加のヘテロ原子を含んでもよい。さらに、アルキル及びシクロアルキルが置換される場合、好ましくは、R9およびオキソから独立して選択される1〜3、より好ましくは1または2の基により置換される。
【0039】
R7およびR8はそれぞれ独立して、好ましくは、水素、アルキル、もしくはシクロアルキルからなる群より選択され、または、R7およびR8はそれらが結合している窒素と共に、5〜7員環を形成する。より好ましくは、R7およびR8はそれぞれ独立して、水素またはアルキルからなる群より選択され、または、R7およびR8はそれらが結合している窒素と共に、追加の酸素原子を任意に含んでいてもよい5〜6員環を形成する。
【0040】
上記R9はアルキル、(D)-アリール、(D)-シクロアルキル、(D)-ヘテロアリール、ハロ、OR10、NHSO2R10、N(R10)2、C≡N、CO2R7、C(R10)(R10)N(R10)2、ニトロ、SO2N(R10)2、S(O)uR10、CF3およびOCF3である。R9は好ましくは、アルキル、OR10、(D)-アリール、(D)-シクロアルキル、(D)-ヘテロアリールおよびハロからなる群より選択される。
【0041】
R12は上記で規定した通りであり、好ましくは水素、ハロ、アルキル、アルコキシまたはC≡Nであり、より好ましくは水素、ハロまたはC1〜C4アルキル、最も好ましくは水素である。
【0042】
R13は上記で規定した通りであり、ヘテロシクリルは、アゼチジン-2-オン-1-イル、ピロリジン-2-オン-1-イル、ピペリド-2-オン-1-イルおよびアゼパン-2-オン-1-イルを含む。さらに、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは好ましくは、R14から独立して選択される1〜5、好ましくは1〜3、より好ましくは1または2の置換基を有する置換アルキルまたは非置換アルキルである。好ましくは、R13は水素、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、(D)-N(R15)2、(D)-NR15COR15、(D)-NR15CON(R15)2、(D)-NR15C(O)OR15、(D)-NR15C(R15)=N(R15)、(D)-C(O)-ヘテロシクリル、(D)-NR15C(=NR15)N(R15)2、(D)-NR15SO2R15または(D)-NR15SO2N(R15)2であり、ここで、アルキルまたはアルコキシは、R14から選択される1〜5、好ましくは1〜3の置換基により置換され、または非置換である。より好ましくは、R13はシアノ、ニトロ、ハロ、アルキル、(D)-N(R15)2、(D)-NR15COR15、(D)-NR15CON(R15)2、(D)-NR15C(O)OR15、(D)-C(O)-ヘテロシクリルまたは(D)-NR15SO2R15である。最も好ましくは、R13はシアノ、ニトロ、ハロまたは(D)-NR15COR15である。ハロは好ましくはF、ClまたはBrである。R13は環の任意の位置、好ましくは1位とすることができる。1つの態様では、R13は水素、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、(D)-N(R15)2、(D)-NR15COR15、(D)-NR15CON(R15)2、(D)-NR15C(O)OR15、(D)-NR15C(R15)=N(R15)、(D)-NR15C(=NR15)N(R15)2、(D)-NR15SO2R15または(D)-NR15SO2N(R15)2であり、ここで、アルキルまたはアルコキシは、R14から選択される1〜5、好ましくは1〜3の置換基により置換され、または非置換である。より好ましくは、R13はシアノ、ニトロ、ハロ、アルキル、(D)-N(R15)2、(D)-NR15COR15、(D)-NR15CON(R15)2、(D)-NR15C(O)OR15または(D)-NR15SO2R15である。
【0043】
R14は独立して、水素、ハロ、オキソ、N(R16)2、アルキル、(D)-シクロアルキル、ハロアルキル、アルコキシ、ヘテロアリール、ヒドロキシまたはヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは1つの窒素を含むヘテロシクリルを除外する)、フェニル、(D)-COR15、(D)-C(O)OR15、(D)-OR15、(D)-OCOR15、(D)-OCO2R15、(D)-SR15、(D)-SOR15または(D)-SO2R15であり、ここで、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキルまたはシクロアルキルは、オキソ、アルキル、N(R16)2、OR16、SR16およびCO2R16からなる群より選択される1〜3の置換基により置換され、または非置換である。好ましくは、R14は上記で規定した通りであり、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキルまたはシクロアルキルは好ましくは、オキソ、アルキル、N(R16)2、OR16、SR16およびCO2R16からなる群より選択される1〜3、より好ましくは1または2の置換基により置換され、または非置換である。好ましくは、R14は水素、ハロ、アルキル、(D)-シクロアルキル、アルコキシまたはフェニルであり、より好ましくは、R14は水素、ハロ、アルキル、アルコキシまたはフェニルである。
【0044】
R15は上記で規定した通りであり、ここで、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキルまたはシクロアルキルは好ましくは、オキソ、アルキル、N(R16)2、OR16、SR16およびCO2R16からなる群より選択される1〜3、より好ましくは1または2の置換基により置換され、または非置換である。好ましくは、R15は水素、ハロ、アルキル、(D)-シクロアルキル、アルコキシまたはフェニル、より好ましくは、R15は水素、ハロ、アルキル、アルコキシまたはフェニルである。
【0045】
各R16は水素、アルキル、C(O)-アルキル、アリールまたはシクロアルキルであり、好ましくは水素、アルキルまたはシクロアルキル、特に水素である。
【0046】
Xは上記で規定した通りであり、ここで、アリールおよびヘテロアリールは好ましくは、非置換であるか、またはR9から選択される1〜3、好ましくは1または2の基により置換される。さらに、アルキル、Dおよびシクロアルキルは好ましくは、非置換であるか、またはR9およびオキソから独立して選択される1〜4の基により置換される。好ましくは、Xはアルキル、(D)-シクロアルキル、(D)-アリール、(D)-ヘテロアリール、(D)-ヘテロシクリル、(D)-NHC(O)R17、(D)-CO2R17または(D)-CON(R17R17)、より好ましくは、アルキル、(D)-シクロアルキル、(D)-ヘテロシクリル、(D)-NHC(O)R17または(D)-CON(R17R17)、最も好ましくはC1〜C4アルキル、C5〜C7シクロアルキル、(D)-CON(R17R17)およびN-含有ヘテロシクリル、特にトリアゾリルおよびテトラゾリルである。
【0047】
Yは上記で規定した通りであり、ここで、アリールおよびヘテロアリールは好ましくは、非置換であるか、またはR9から選択される1〜3、好ましくは1または2の基により置換される。さらに、アルキル、Dおよびシクロアルキルは好ましくは非置換であるか、またはR9およびオキソから選択される1〜3の基により置換される。好ましくは、Yは水素、アルキル、(D)-シクロアルキル、(D)-アリール、(D)-ヘテロアリールまたは(D)-ヘテロシクリル、より好ましくは、水素、アルキル、(D)-シクロアルキルまたは(D)-ヘテロシクリル、最も好ましくは、水素、C1〜C4アルキルおよびC5〜C7シクロアルキル、特にシクロヘキシルおよびフェニルである。
【0048】
Cyは上記で規定した通りであり、好ましくはアリール、5または6員ヘテロアリール、5または6員ヘテロシクリルおよび5〜7員カルボシクリルから選択され、より好ましくは、Cyはアリールおよびヘテロアリールである。1つの態様では、Cyはアリール、例えばフェニルまたはナフチルとしてもよい。
【0049】
Cy’は上記で規定した通りであり、好ましくはベンゼンまたはピリジン、より好ましくはベンゼンである。
【0050】
Dは上記で規定した通りであり、好ましくは結合またはC1〜C4アルキレン、より好ましくは結合またはCH2である。
【0051】
Mは上記で規定した通りであり、好ましくはNSO2R18、CHN(Y)COR18またはCHN(Y)SO2R18、より好ましくはNSO2R18である。
【0052】
Gは上記で規定した通りであり、好ましくはDまたはCHアルキル、より好ましくはD、特にCH2である。
【0053】
JはNまたはCHであり;
TはOまたはNR7であり、好ましくはOであり、1つの態様では、TはNR7であり;
nは0、1または2、好ましくは0または1であり;
mは1、2または3、好ましくは1または2であり;
pは0、1または2であり;
qは0または1であり;
rは1または2、好ましくは1であり;
sは0、1、2または3、好ましくは0、1または2、より好ましくは0または1である。
【0054】
前記および下記において、用いる用語は下記に記載の意味を有する:
【0055】
アリールは6から20炭素原子の芳香族単環式または多環式部分で、好ましくはフェニル、ビフェニル、ナフチル、テトラヒドロナフチル、フルオレニル、インデニルまたはフェナントレニル、より好ましくはフェニルまたはナフチルから選択される。
【0056】
ヘテロアリールは、少なくとも一つの複素環を有する、6から20炭素原子の芳香族部分で、好ましくはチエニル、ベンゾチエニル、ナフトチエニル、フラニル、ベンゾフラニル、クロメニル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、キノリル、イソキノリル、フタラジニル、キノキサリニル、シンノリニルまたはキナゾリニル、より好ましくはチエニル、フラニル、ベンゾチエニル、ベンゾフラニルまたはインドリルから選択される。
【0057】
ヘテロシクリルは、O、Nおよび/またはSから選択される少なくとも一つのヘテロ原子と、1から6個の炭素原子を含む、飽和、不飽和または芳香環で、好ましくはアゼチジン-2-オン-1-イル、ピロリジン-2-オン-1-イル、ピペリジ-2-オン-1-イル、アゼパン-2-オン-1-イル、チエニル、フリル、ピペリジニル、ピラニル、ピロリル、イミダゾリル、ピラゾリル、ピリジル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、トリアゾリル、イソチアゾリルまたはイソキサジル、より好ましくはピリジル、ピペリジニル、トリアゾリル、イミダゾリルまたはピラジニルから選択される。
【0058】
カルボシクリルは、3から20炭素原子の単環式または多環式の環構造で、飽和、不飽和または芳香族であってもよい。
【0059】
アルキルは、好ましくはメチル、エチル、n-プロピル、イソプロピル、n-ブチル、イソブチル、tert-ブチル、n-ペンチル、イソペンチル、ネオペンチル、ヘキシルまたはヘプチルなどの1から8個の炭素原子、より好ましくは1から4個の炭素原子を有する、直鎖または分枝アルキルである。
【0060】
シクロアルキルは、好ましくはシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルまたはシクロオクチルなどの3から8個の炭素原子、より好ましくは3から6個の炭素原子を有する、アルキル環である。
【0061】
アルケニルは、好ましくはビニル、アリル、メタリル、ブテン-2-イル、ブテン-3-イル、ペンテン-2-イル、ペンテン-3-イル、ペンテン-4-イル、3-メチル-ブタ-3-エニル、2-メチル-ブタ-3-エニル、1-メチル-ブタ-3-エニル、ヘキセニルまたはヘプテニルなどの2から8個の炭素原子、より好ましくは2から4個の原子を有する、直鎖または分子アルケニルである。
【0062】
アルコキシは、アルキルが前述の定義のとおりであるO-アルキルで、好ましくは1から4個の炭素原子、好ましくは1または3個の炭素原子を有する。
【0063】
ハロまたはハロゲンは、好ましくはF、Cl、BrおよびI、好ましくはF、ClおよびBrから選択されるハロゲン原子である。
【0064】
ハロアルキルは、好ましくは1から4個の炭素原子、より好ましくは1または2個の炭素原子を有する、前述の定義のとおりのアルキル部分で、少なくとも一つ、好ましくは1から3個の水素原子がハロゲン原子で置換されている。好ましい例は-CF3-、CH2CF3 -CF2CF3である。
【0065】
ここで、アルキレン部分は直鎖または分枝鎖基としてもよい。アルキレン部分は好ましくは1〜6の炭素原子を有する。その例としては、メチレン、エチレン、n-プロピレン、n-ブチレン、n-ペンチレン、n-ヘキシレン、イソ-プロピレン、sec-ブチレン、tert-ブチレン、1,1-ジメチルプロピレン、1,2-ジメチルプロピレン、2,2-ジメチルプロピレン、1,1-ジメチルブチレン、1,2-ジメチルブチレン、1,3-ジメチルブチレン、2,2-ジメチルブチレン、2,3-ジメチルブチレン、3,3-ジメチルブチレン、1-エチルブチレン、2-エチルブチレン、3-エチルブチレン、1-n-プロピルプロピレン、2-n-プロピルプロピレン、1-イソ-プロピルプロピレン、2-イソ-プロピルプロピレン、1-メチルペンチレン、2-メチルペンチレン、3-メチルペンチレンおよび4-メチルペンチレンが挙げられる。より好ましくは、アルキレン部分は1〜3の炭素原子を有し、例えば、メチレン、エチレン、n-プロピレンおよびイソ-プロピレンである。最も好ましくはメチレンである。
【0066】
構造式(I)の化合物は、メラノコルチン受容体調節物質として有効で、特にMC-4Rの選択的調節物質として有効である。したがって、これらは癌カヘキシー、筋萎縮、食欲不振、不安、うつ、肥満、糖尿病、性機能不全、およびMC-4Rが関与する他の疾患などの、MC-4Rの活性化および不活化に反応性の障害の治療および/または予防のために有用である。
【0067】
光学異性体−ジアステレオマー−幾何異性体−互変異性体
構造式(I)の化合物は、一つまたは複数の不斉中心を含み、ラセミ体およびラセミ混合物、単一の鏡像異性体、ジアステレオマー混合物および個々のジアステレオマーとして出現しうる。本発明は、構造式(I)の化合物のそのような異性体すべてを含むことが意図される。
【0068】
本明細書に記載の化合物のいくつかは、ケト-エノール互変異性体などの互変異性体として存在してもよい。個々の互変異性体、ならびにその混合物は、構造式(I)の化合物の範囲内に含まれる。
【0069】
構造式(I)の化合物は、例えば、適当な溶媒、例えば、メタノールもしくは酢酸エチルまたはその混合物からの分別結晶により、あるいは光学活性固定相を用いたキラルクロマトグラフィを介して、個々のジアステレオ異性体に分離してもよい。絶対立体配置は、結晶生成物または必要があれば既知の絶対配置の不斉中心を含む試薬で誘導体化した結晶中間体のX線結晶学によって調べることができる。または、構造式(I)の化合物の任意の立体異性体を、光学的に純粋な出発物質または既知の絶対配置の試薬を用いた立体特異的合成によって得ることができる。
【0070】

「薬学的に許容される塩」なる用語は、無機または有機塩基および無機または有機酸を含む、薬学的に許容される非毒性の塩基または酸から調製される塩を意味する。無機塩基由来の塩には、アルミニウム、アンモニウム、カルシウム、銅、鉄(III)、鉄(II)、リチウム、マグネシウム、マンガン(III)塩、マンガン(II)、カリウム、ナトリウム、亜鉛の塩などが含まれる。特に好ましいものは、アンモニウム、カルシウム、リチウム、マグネシウム、カリウムおよびナトリウム塩である。薬学的に許容される有機非毒性塩基由来の塩には、一級、二級および三級アミン、天然の置換アミンを含む置換アミン、環状アミン、ならびにアルギニン、ベタイン、カフェイン、コリン、N,N'-ジベンジルエチレンジアミン、ジエチルアミン、2-ジエチルアミノエタノール、2-ジメチルアミノエタノール、エタノールアミン、エチレンジアミン、N-エチルモルホリン、N-エチルピペリジン、グルカミン、グルコサミン、ヒスチジン、ヒドラバミン、イソプロピルアミン、リシン、メチルグルカミン、モルホリン、ピペラジン、ピペリジン、ポリアミン樹脂、プロカイン、プリン、テオブロミン、トリエチルアミン、トリメチルアミン、トリプロピルアミン、トロメタミンなどの塩基性イオン交換樹脂の塩が含まれる。
【0071】
本発明の化合物が塩基性である場合、無機および有機酸を含む薬学的に許容される非毒性酸から塩を調製することができる。そのような酸には、酢酸、ベンゼンスルホン酸、ベンゾイン酸、カンファースルホン酸、クエン酸、エタンスルホン酸、ギ酸、フマル酸、グルコン酸、グルタミン酸、臭化水素酸、塩酸、イセチオン酸、乳酸、マレイン酸、リンゴ酸、マンデル酸、メタンスルホン酸、マロン酸、ムチン酸、硝酸、パモ酸、パントテン酸、リン酸、プロピオン酸、コハク酸、硫酸、酒石酸、pトルエンスルホン酸、トリフルオロ酢酸などが含まれる。特に好ましいものは、クエン酸、フマル酸、臭化水素酸、塩酸、マレイン酸、リン酸、硫酸および酒石酸である。
【0072】
本明細書において用いられる場合、式(I)の化合物への言及は、薬学的に許容される塩も含むことを意味することが理解されると思われる。
【0073】
用途
式(I)の化合物はメラノコルチン受容体調節物質であり、したがって、MC-1 R、MC-2R、MC-3R、MC-4RまたはMC-5Rを含むが、それに限定されるわけではない、一つまたは複数のメラノコルチン受容体の活性化または不活化に反応性の疾患、障害または状態の治療、管理または予防において有用である。そのような疾患、障害または状態には、癌カヘキシー、筋萎縮、食欲不振、不安、うつ、肥満(食欲を低下させる、代謝速度を高める、脂肪摂取を減少させる、または、炭水化物欲求を低下させることにより)、糖尿病(糖耐性を高める、インスリン抵抗性を低下させることにより)、高血圧、高脂血症、骨関節症、癌、胆嚢疾患、睡眠無呼吸、うつ、不安、強迫行為、性機能不全、神経鞘、不眠/睡眠障害、物質乱用、疼痛、男性および女性性機能障害(インポテンス、性無欲症および勃起機能不全を含む)発熱、炎症、免疫調節、慢性関節リウマチ、皮膚黒化、ざ瘡および他の皮膚障害、神経保護ならびにアルツハイマー病の治療を含む認知および記憶強化が含まれるが、それに限定されるわけではない。
【0074】
式(I)に含まれるいくつかの化合物は、MC-1R、MC-2R、MC-3RおよびMC-5Rに比べてメラノコルチン-4受容体に高選択的親和性を示し、これにより化合物は癌カヘキシー、筋萎縮、食欲不振、不安、うつ、および肥満、ならびに勃起機能不全を含む男性および/または女性性機能不全の予防および治療において特に有用となる。「男性性機能不全」には、インポテンス、性無欲症および勃起機能不全が含まれる。「女性性機能不全」は、欲求、性的覚醒、性受容性およびオルガスムにおける機能不全を含む、複数の要素が原因と見ることができる。
【0075】
投与および用量範囲
任意の適当な投与経路を、哺乳動物、特にヒトに本発明の化合物の有効な用量を提供するために用いることができる。例えば、経口、直腸、局所、非経口、眼、肺、鼻などを用いてもよい。剤形には、錠剤、トローチ、分散剤、懸濁剤、液剤、カプセル剤、クリーム、軟膏、エアロゾルなどが含まれる。好ましくは、式(I)の化合物は経口または局所投与する。
【0076】
用いる活性成分の有効用量は、用いる特定の化合物、投与様式、治療中の状態、および治療中の状態の重症度に応じて変動しうる。そのような用量は、当業者であれば容易に確認することができる。
【0077】
癌カヘキシー、筋萎縮または食欲不振を治療する場合、一般には本発明の化合物を体重1キログラムあたり約0.001ミリグラムから約100ミリグラムの1日用量で、好ましくは1回用量もしくは1日に2から6回の分割用量で、または徐放剤形で投与すると、満足のいく結果が得られる。70kgの成人の場合、合計1日用量は一般には約0.07ミリグラムから約3500ミリグラムとなる。この投与法は最適な治療反応を提供するために調節してもよい。
【0078】
肥満を、糖尿病および/もしくは高血糖症と共に、または単独で治療する場合、一般には本発明の化合物を体重1キログラムあたり約0.001ミリグラムから約100ミリグラムの1日用量で、好ましくは1回用量もしくは1日に2から6回の分割用量で、または徐放剤形で投与すると、満足のいく結果が得られる。70kgの成人の場合、合計1日用量は一般には約0.07ミリグラムから約3500ミリグラムとなる。この投与法は最適な治療反応を提供するために調節してもよい。
【0079】
糖尿病および/または高血糖症ならびに式(I)の化合物が有用である他の疾患または障害を治療する場合、一般には本発明の化合物を動物体重1キログラムあたり約0.001ミリグラムから約100ミリグラムの1日用量で、好ましくは1回用量もしくは1日に2から6回の分割用量で、または徐放剤形で投与すると、満足のいく結果が得られる。70kgの成人の場合、合計1日用量は一般には約0.07ミリグラムから約3500ミリグラムとなる。この投与法は最適な治療反応を提供するために調節してもよい。
【0080】
性機能不全の治療のために、本発明の化合物を体重1キログラムあたり0.001ミリグラムから約100ミリグラムの用量範囲、好ましくは1回の経口用量、または鼻噴霧として投与する。
【0081】
製剤
式(I)の化合物は、好ましくは投与前に剤形に製剤する。したがって、本発明は、式(I)の化合物および適当な薬学的担体を含む薬学的組成物も含む。
【0082】
本発明の薬学的組成物は、周知の容易に入手可能な成分を用いて、公知の方法により調製する。本発明の製剤の製造において、活性成分(式(I)の化合物)を通常は、カプセル、サシェ、紙または他の容器であってもよい担体と混合するか、または担体により希釈するか、または担体内に封入する。担体が希釈剤として役立つ場合、担体は活性成分のための媒体、賦形剤または媒質としてはたらく固体、半固体、または液体材料であってもよい。したがって、組成物は錠剤、丸剤、散剤、ロゼンジ、サシェ剤、カシェ剤、エリキシル剤、懸濁剤、乳剤、液剤、シロップ、エアロゾル(固体として、または液体媒質中)、ゼラチン軟および硬カプセル剤、坐剤、無菌注射用液剤、および無菌包装散剤の形でありうる。
【0083】
適当な担体、賦形剤および希釈剤のいくつかの例には、ラクトース、デキストロース、スクロース、ソルビトール、マンニトール、デンプン、アカシアゴム、リン酸カルシウム、アルギン酸塩、トラガカント、ゼラチン、ケイ酸カルシウム、微結晶セルロース、ポリビニルピロリドン、セルロース、水シロップ(water syrup)、メチルセルロース、メチル、プロピルヒドロキシベンゾエート、タルク、ステアリン酸マグネシウムならびに鉱油が含まれる。製剤はさらに滑沢剤、湿潤剤、乳化および懸濁化剤、保存剤、甘味料または着香料も含むことができる。本発明の組成物は、患者への投与後に、活性成分の急速、持続または遅延放出を提供するように製剤してもよい。
【0084】
本発明の化合物の調製
式(I)の本化合物の調製について記載する際、「A部分」、「B部分」、および「C部分」なる用語を以下で用いる。この部分の概念を以下に例示する:

【0085】
本発明の化合物の調製は、連続的または収束的合成経路を介して実施してもよい。化学式(I)の化合物の「A部分」および「B部分」は、還元的アミノ化または求核置換反応により結合される。当業者であれば、標準手順を用いた、これらの2つの部分を結合する様々な経路および方法を知っている。熟練者であれば、いくつかの態様で、化学式(I)の化合物の「B部分」および「C部分」がアミド結合を介して結合されることを理解するであろう。そのため、熟練者は、標準ペプチドカップリング反応条件を介して、これらの2つの部分を結合する多くの経路および方法を容易に構想することができる。
【0086】
「標準的ペプチド結合反応条件」なる句は、カルボン酸をアミンと、DCMなどの不活性溶媒中、HOBtなどの触媒存在下、EDC、ジシクロヘキシルカルボジイミドおよびベンゾトリアゾール-1-イルオキシトリス(ジメチルアミノ)-ホスホニウムヘキサフルオロホスフェートなどの酸活性化試薬を用いて結合させることを意味する。所望の反応を促進し、望ましくない反応を最小限に抑えるための、アミンおよびカルボン酸の保護基の使用は、詳しく記録されている。保護基が存在する場合のその除去に必要な条件は、Greene et al., Protective Groups in Organic Synthesis, John Wiley & Sons, Inc., New York, NY 1991に見いだすことができる。
【0087】
合成中、Z、BocまたはFmocのような保護基が大々的に用いられ、それらの除去条件は当業者には周知である。例えば、Z基の除去は、エタノールなどのプロトン性溶媒中、活性炭担持パラジウムなどの貴金属またはその酸化物存在下、水素による接触水素添加により達成することができる。他の反応の可能性がある官能基の存在により接触水素添加が禁忌である場合、Zの除去は酢酸中、臭化水素溶液での処理、またはTFAおよび硫化ジメチルの混合物での処理により達成することもできる。Boc保護基の除去は、塩化メチレン、メタノールまたは酢酸エチルなどの溶媒中、TFA、HClまたは塩化水素ガスなどの強酸で実施する。
【0088】
式(I)の化合物がジアステレオマー混合物として存在する場合、これをメタノール、酢酸エチル、またはその混合物などの適当な溶媒からの分別結晶により、ジアステレオマーの鏡像異性体対に分離することができる。このようにして得た鏡像異性体対は、分割剤として光学活性な酸を用いた通常の手段により個々の立体異性体に分離することができる。または、式(I)の化合物の任意の鏡像異性体を、光学的に純粋な出発物質または既知の絶対配置の試薬を用いた立体特異的合成によって得ることができる。
【0089】
本発明の式(I)の化合物は、適当な材料を用いて、下記のスキームおよび実施例の方法に従って調製することができ、下記の具体的実施例によってさらに例示する。さらに、本明細書に記載の方法を、当技術分野の通常の技術と共に用いて、本明細書中において主張される本発明のその他の化合物を容易に調製することができる。しかし、実施例に例示する化合物は、本発明と考えられる種類だけを形成すると解釈されるべきではない。実施例は、本発明の化合物の調製についての詳細をさらに例示する。当業者であれば、下記の調製法の条件および工程の公知の変形を用いてこれらの化合物を調製しうることを容易に理解すると思われる。本発明の化合物は一般に、前述のものなどのそれらの薬学的に許容される塩の形で単離する。単離した塩に対応する遊離アミン塩基は、水性炭酸水素ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムおよび水酸化カリウムなどの適当な塩基による中和、およびアミン遊離塩基の有機溶媒中への抽出と、その後の蒸発によって生成することができる。この様式で単離したアミン遊離塩基は、有機溶媒に溶解した後、適当な酸を加えて蒸発、沈殿または結晶化させることにより、別の薬学的に許容される塩にさらに変換することもできる。温度はすべて摂氏度である。質量スペクトル(MS)は電子スプレーイオン質量分析法により測定した。
【0090】
下記のスキーム、調製および実施例において、様々な試薬記号および略語は以下の意味を有する:
BINAP 2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル
Boc t-ブトキシカルボニル
Bu ブチル
BZ2O2 過酸化ジベンゾイル
DCM ジクロロメタン
DIEA ジイソプロピルエチルアミン
DMAP 4-ジメチルアミノピリジン
DME ジメトキシエタン
DMF N,N-ジメチルホルムアミド
EDC 1-(3-ジメチルアミノプロピル)-3-エチルカルボジイミド塩酸塩
Et エチル
EtOAc 酢酸エチル
Fmoc 9-フルオレニルメチル-カルバメート
HOAc 酢酸
HOAt 1-ヒドロキシ-7-アザベンゾトリアゾール
HOBt 1-ヒドロキシベンゾトリアゾール
h 時間
iPr イソプロピル
NBS N-ブロモスクシンイミド
NMM N-メチルモルホリン
Me メチル
Ms メタンスルホニル
Pd2(dba)3 トリス(ジベンジリデンアセトン)2パラジウム(0)
Phe フェニルアラニン
TEA トリエチルアミン
TFA トリフルオロ酢酸
Tf トリフルオロメタンスルフォニル
THF テトラヒドロフラン
Tic 1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸
TLC 薄層クロマトグラフィー
TMOF オルトギ酸トリメチル
TMS トリメチルシリル
p-Ts パラトルエンスルフォニル
Z ベンジルオキシカルボニル
【0091】
3つの部分のカップリング
反応スキーム1:還元的アミノ化

H-AをアミノアルデヒドBoc-B-Hと結合させるために、NaBH(OAc)3、NaNH4、またはNaBH3CNを使用することができる。
【0092】
一般に、Boc-保護アミン(Boc-A)の開始材料は、TFA/CH2Cl2、HCl/EtOAc、HCl/ジオキサンまたはHClを含むMEOH/Et2Oの存在下、カチオン捕捉剤、例えばジメチルスルフィド(DMS)を用いて、または用いずに脱保護することができ、その後に、カップリング手順を受ける。
【0093】
適した溶媒、例えば、MeOH、EtOHもしくはイソプロパノール、または上記溶媒の混合物を、酢酸を添加して、または添加せずに、カップリング手順に使用することができる。
【0094】
反応スキーム2:AとBのカップリングのための求核置換

H-Aをハロゲン化フェナシルO=B-Brと結合させるために、DIEA、TEA、NMM、コリジンまたは2,6-ルチジンを塩基として使用することができる。
【0095】
一般に、Boc-保護アミン(Boc-A)の開始材料は、TFA/CH2Cl2、HCl/EtOAc、HCl/ジオキサンまたはHClを含むMEOH/Et2Oの存在下、カチオン捕捉剤、例えばジメチルスルフィド(DMS)を用いて、または用いずに脱保護することができ、その後に、カップリング手順を受ける。
【0096】
適した溶媒、例えば、DCM、Et2O、THFもしくはDMF、または上記溶媒の混合物を、カップリング手順に使用することができる。
【0097】
ケトンA-B=OはNaBH4、NaBH(OAc)3またはNABH3CNを用いて、適した溶媒、例えばMeOH、EtOHもしくはイソプロパノール、または上記溶媒の混合物中で還元することができる。
【0098】
反応スキーム3:AとBのカップリングのためのスチレンオキシドの付加反応

H-Aとスチレンオキシド(例えば、(R)-スチレンオキシド)を結合させるために、DIEA、TEA、NMM、コリジンまたは2,6-ルチジンを塩基として使用することができる。適した溶媒はDCM、DMF、DMSO、MeCNまたはTHEおよびそれらの混合物である。
【0099】
反応スキーム4:A、BおよびCのカップリングのための求核置換
手順1

手順2

ベンジルアルコールA-B-OHのOH官能基は、TEA、DIEAまたはNMMのような適した塩基の存在下、MsCl、p-TsClまたはTf2Oを用いて、遊離基に変換することができる。適した溶媒はDCM、THF、ジオキサンもしくはピリジン、またはそれらの混合物である。ピリジンを溶媒として使用する場合、追加の塩基は必要ない。
【0100】
中間体A-B-OMsは直接、C-H(例えば、1-メチル-ピペラジン、手順1)と結合させることができ、またはNaN3もしくはTMSN3を用いて対応アジドに変換し、その後の還元により(手順2)、A-B-Hを得ることができる。これは下記ペプチドカップリングに使用することができる。
【0101】
A-B-OHのA-B-CおよびA-B-N3への反応は、それぞれ、Mitsunobu条件を用いて達成することもできる。
【0102】
反応スキーム5:ペプチドカップリング

H-BAをBoc-C-OHと結合させるために、EDC/HOAt、EDC/HOBtまたはDCC/HOBtを使用することができる。
【0103】
一般に、Boc-保護アミン(Boc-BA)の開始材料は、TFA/CH2Cl2、HCl/EtOAc、HCl/ジオキサンまたはHClを含むMEOH/Et2Oの存在下、カチオン捕捉剤、例えばジメチルスルフィド(DMS)を用いて、または用いずに脱保護することができ、その後に、カップリング手順を受ける。カップリング手順を受ける前に、遊離塩基化することができる。または、場合によっては、塩として使用することができる。
【0104】
CH2Cl2、DMFもしくはTHF、または上記溶媒の混合物などの適した溶媒をカップリング手順に使用することができる。適した塩基としてはTEA、DIEA、NMM、コリジンまたは2,6-ルチジンが挙げられる。
【0105】
EDC/HOBtを使用する場合は塩基は必要ないかもしれない。
【0106】
一般に、反応完了後、反応混合物を、EtOAc、CH2Cl2またはEt2Oなどの適当な有機溶媒で希釈することができ、次いでこれを、水、HCl、NaHSO4、炭酸水素塩、NaH2PO4、リン酸緩衝液(pH7)、食塩水またはその任意の組み合わせなどの水溶液で洗浄する。反応混合物を濃縮し、次いで適当な有機溶媒と水溶液との間で分配することができる。反応混合物を濃縮し、水溶液による後処理なしでクロマトグラフィに供することもできる。
【0107】
Boc、Z、FmocおよびCF3COなどの保護基を、H2/Pd-C、TFA/DCM、HCl/EtOAc、HCl/ジオキサン、MeOH/Et2O中のHCl、NH3/MeOHまたはTBAF存在下、チオアニソール、エタンチオールまたは硫化ジメチル(DMS)などのカチオンスカベンジャーと共に、またはなしで、脱保護することができる。脱保護アミンは得られた塩として用いることもでき、またはDCMに溶解し、炭酸水素塩水溶液もしくはNaOH水溶液で洗浄することによって、遊離塩基とする。脱保護アミンはイオン交換クロマトグラフィによって遊離塩基とすることもできる。
【0108】
一般に、本発明の「A部分」、「B部分」および「C部分」は市販の開始材料から、公知の化学変換を介して調製してもよい。
【0109】
「A部分」の調製のための反応スキーム
化学式(I)の「A部分」の調製を下記反応スキームに示す。
いくつかの「A部分」は対応する文献で記述されているように調製することができる。
4-シクロヘキシル-4-[1,2,4]トリアゾール-1-イルメチル-ピペリジン(WO0074679)および4-シクロヘキシル-ピペリジン-4-カルボン酸tert-ブチルアミド(WO0170708)。
【0110】
反応スキーム6: ブーフヴァルト反応

X=ハロ;およびRはアリール
【0111】
反応スキーム6に示すとおり、本発明の化合物の「A部分」は、ハロ-置換アリール2(X-R)を1-Boc-ピペラジン1と、トルエンなどの有機溶媒中、トリ(ジベンジリデンアセトン)2パラジウム(Pd2(dba)3)、2,2'-ビス(ジフェニルホスフィノ)-1,1'-ビナフチル(BINAP)、およびナトリウム-tert-ブトキシド(NaOtBu)または炭酸セシウム(Cs2CO3)存在下、適当な温度でカップリングさせることにより調製することができる。「A部分」調製のより詳細な例を以下に記載する。
【0112】
反応スキーム7: トルエンの臭素化、ラクタムによる置換と、その後のブーフヴァルト

t=0-3
【0113】
反応スキーム7に示すとおり、本発明の化合物の「A部分」は次のとおりに調製することができる:様々なメチルベンゼン4をNBSと、Bz2O2などのラジカルスターター存在下で反応させ、続いてDIPEAなどの塩基存在下、亜リン酸ジエチルと反応させて臭化ベンジル5を得、これを用いて6のようなラクタムを、KF/アルミナなどの適当な塩基存在下、アルキル化することができる。次いで、置換ブロモベンゼンをブーフヴァルト条件に供し、続いてTFAなどの適当な反応物を用いて脱保護することができる。
【0114】
反応スキーム8: オメガ-(2-ブロモフェニル)カルボン酸の還元、ラクタムによる置換と、その後のブーフヴァルト反応

t=0-3
v=0-2
【0115】
反応スキーム8に示すとおり、カルボン酸10を、BF3-THFなどの適当な試薬を用いて還元して対応するアルコール11とすることができ、これを続いてCBr4およびPPh3などの試薬で対応する臭化アルキル12に変換する。次いで、臭化アルキルを用いて6のようなラクタムを、KF/アルミナなどの適当な塩基存在下、アルキル化することができる。次いで、置換ブロモベンゼンをブーフヴァルト条件に供し、続いてTFAなどの適当な反応物を用いて脱保護することができる。
【0116】
反応スキーム9: 鈴木カップリング

Br-Rは化合物7または13
【0117】
反応スキーム9に示すとおり、1-(2(H)-ピリジン-カルボン酸-3,6-ジヒドロ-4-(4,4,5,5-テトラメチル-1,3,2-ジオキサボロラン-2-イル)-1,1-ジメチルエチルエステル16(Tetrahedron Lett. 2000, 41, 3705-3708)を、7または13などのハロアリル化合物(halo aryl compounds)と、DMFまたはトルエンなどの有機溶媒中、K2CO3などの塩基およびジクロロ(1,1'-ビス(ジフェニルホスフィノ)フェロセン)パラジウム(II) DCM付加物などの触媒存在下、適当な温度で反応させることができる。テトラヒドロピリジンを、Pd/Cなどの触媒存在下で水素添加して、保護ピペリジン19を得ることができ、これを続いてTFAなどの試薬で脱保護して、ピペリジン20を得る。
【0118】
「B部分」の調製のための反応スキーム
反応スキーム10:Weinrebアミドの調製、その還元

【0119】
反応スキーム10に示されるように、アミノ酸21は、EDC/NMMなどの標準ペプチドカップリング条件を用い、DCMなどの適当な溶媒中で、対応するWeinrebアミドに変換することができる(analog Synth. Commun. 1982、676)。Weinrebアミド22のアルデヒド23への還元は、LAHのような試薬を用い、ジエチルエーテルなどの適当な溶媒中で実施することができる(Chirality 2000、12、2)。
【0120】
「C部分」の調製のための反応スキーム
反応スキーム11: クロメンカルボン酸

【0121】
反応スキーム11に示すとおり、3-ブロモ-4-オキソクロメン-2-カルボン酸エチル24(J. Chem. Soc. Perkin Trans. I 1986、1643-1649)を、MeCNなどの適当な溶媒中、K2CO3などの塩基と共に、またはなしで、アミンと反応させて25を生成することができ、これを続いてHBr/HOAcなどの試薬で処理してカルボン酸26を生成する。R8が水素である場合、遊離アミンを適当な溶媒中、TEAおよびDMAP存在下、Boc2Oなどの試薬で保護することができる。
【0122】
反応スキーム12: 4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-2-カルボン酸

【0123】
反応スキーム12に示すとおり、4-オキソ-1,4-ジヒドロ-キノリン-2-カルボン酸エチル28(Bioorg. Med. Chem. Lett. 2000, 10, 1487-1490)を、HBr/HOAcなどの適当な反応物により対応する酸29に変換することができる。
【0124】
反応スキーム13: クロモン-2-カルボン酸(方法1)

【0125】
反応スキーム13に示すとおり、置換フェノール30をジエチルエーテル中、トリエチルアミンと、続いてアセチレンジカルボン酸ジメチルと反応させて、化合物31を得ることができる(Aust. J. Chem. 1995, 48, 677-686)。この化合物の水酸化ナトリウム水溶液でのけん化により酸32を得、これを続いて塩化アセチル中、濃硫酸を用いて環化し、クロモン-2-カルボン酸33とする。
【0126】
反応スキーム14: クロモン-2-カルボン酸(方法2)

【0127】
反応スキーム14に示すとおり、2'-ヒドロキシアセトフェノン34をメタノールまたはベンゼンなどの適当な溶媒中、ナトリウムメトキシドなどの塩基存在下、シュウ酸ジエチル35と反応させ、続いて塩酸などの酸で処理することにより、クロモン-2-カルボン酸エステル36を得ることができる(J. Indian Chem. Soc. 1986, 63, 600-602)。エステルを、炭酸水素ナトリウム水溶液などの塩基性条件またはポリリン酸などの酸性条件を適当な温度で用いて切断し、対応する酸33とすることができる。
【0128】
反応スキーム15: メトキシクロモン-2-カルボン酸の脱メチル

【0129】
反応スキーム15に示すとおり、メトキシ-置換クロモン-2-カルボン酸を氷酢酸などの適当な溶媒中、ヨウ化水素酸などの試薬で脱メチルして、対応するヒドロキシ-置換クロモン-2-カルボン酸を得ることができる。
【0130】
5,7-ジヒドロキシクロモン-2-カルボン酸は、文献に記載のとおりに調製することができる(OPPI Briefs 1991, 23, 390-392)。
【0131】
以下に本発明の詳細な実施例を記載する。
【0132】

【0133】

【0134】
以下の実施例は本発明を例示するために提供するものであり、いかなる様式でも本発明の範囲を限定するものではない。
【0135】
実施例1

1,4-ジオキサン(10ml)に溶解した塩化水素4.0M溶液を、Boc-保護中間体1c)(31mg)に添加し、溶液を室温で90分間、撹拌した。溶媒を減圧下で除去した。残渣をDCMに溶解し、ジエチルエーテルで処理した。沈澱を濾過すると、標題化合物が固体として得られた。
白色固体
Mp.200-215℃
【0136】
所要の中間体は下記のように合成することができる:
中間体1a):

メタノール(3.2ml)および酢酸(0.8ml)に溶解した4-シクロヘキシル-ピペリジン-4-カルボン酸tert-ブチルアミド(134mg)の溶液に、Boc-L-4-クロロフェニルアラニナール(142mg)を添加し、90分間撹拌した。0℃まで冷却した後、水素化シアノホウ素ナトリウム(47mg)を少しずつ添加した。反応混合物を1時間撹拌し、飽和NaHCO3とDCMの間で分割させた。水相をDCMで2度抽出した。有機層を合わせ、Na2SO4上で乾燥させ、真空で濃縮させた。カラムクロマトグラムにより精製すると、標題化合物が得られた。
【0137】
中間体1b)

DCM(5ml)に溶解した1a)(132mg)からのBoc-保護アミンに、TFA(1ml)を添加し、室温で90分間撹拌した。追加のTFA(1ml)を添加し、10分間撹拌した。反応混合物をDCM(10ml)で希釈し、10%炭酸ナトリウム水溶液(20ml)中に注ぎ入れることにより注意深く塩基性化した。有機層を分離し、水層をさらに3度DCMで抽出した。有機層を合わせ、水および塩類溶液で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、白色固体が得られた。
【0138】
長期保存のために、遊離塩基を対応塩酸塩に変換した。遊離塩基をDCM(5ml)に溶解し、約1MのHClを含むエーテル(10ml)を添加した。沈澱を濾過し、残渣を3度エーテルで洗浄し、減圧下で乾燥させると所望の化合物が得られた。
【0139】
中間体1c):

DCM(2ml)に溶解した(R)-Boc-1,2,3,4-テトラヒドロイソキノリン-3-カルボン酸(24mg)に、中間体1b)(38mg)、N-メチルモルホリン(14μl)およびHOBt(14mg)を添加し、その後、20分間撹拌した。EDC(23mg)を添加し、1時間撹拌し続けた。追加のN-メチルモルホリン(8μl)を添加し、一晩中撹拌した。反応混合物を水(5ml)中に注ぎ入れ、有機相を分離した。水相を2度DCMで抽出した。有機相を合わせ、0.5N HClおよび飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮すると生成物が得られ、カラムクロマトグラフィーにより精製した。
【0140】
下記実施例は同様に調製することができる:
実施例2:

白色固体
Mp.185-195℃
実施例3:

白色固体
Mp.185-195℃
実施例4:

白色固体
Mp.200-215℃
実施例5:

白色固体
Rf=0.47(DCM/メタノール 9:1);Mp.180-210℃
実施例6:

白色固体
Rf=0.35(DCM/メタノール 9:1);Mp.195-215℃
実施例7:

実施例8:

実施例9:

実施例10:

実施例11:

実施例12:

実施例13:

実施例14:

実施例15:

実施例16:

実施例17:

実施例18:

実施例19:

実施例20:

実施例21:

実施例22:

実施例23:

実施例24:

実施例25:

白色固体
Rf=0.52、0.48(DCM/メタノール 9:1);Mp.215-235℃
実施例26:

DCMに溶解した中間体26c)(25mg)の溶液に、N-メチル-ピペラジン(18μl)を添加し、一晩中撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、水および塩類溶液で抽出した。有機層をNa2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、標題化合物が得られ、これをカラムクロマトグラフィーで精製した。
白色固体
Rf=0.20(酢酸エチル/エタノール/トリエチルアミン 50:50:1)
【0141】
所要の中間体は下記のように合成することができる。
中間体26a)

DCM(5ml)に溶解した4-シクロヘキシル-ピペリジン-4-カルボン酸tert-ブチルアミド(134mg)およびDIEA(258μl)の溶液に、p-フルオロフェナシルブロミド(117mg)を添加し、一晩中撹拌した。反応混合物をDCMで希釈し、その後水中に注ぎ入れた。水相を2度DCMで抽出した。有機層を合わせ、1M HClおよび飽和NaHCO3で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させた。溶媒を蒸発させた後、標題化合物が得られた。
【0142】
中間体26b)

エタノール(6ml)に溶解した中間体26a)(168mg)の撹拌溶液を30〜40℃で、NaBH4(16mg)により処理した。混合物を1時間加熱せずに、その後1時間50℃で撹拌した。冷却後、減圧下で揮発性物質を除去し、残渣を水で希釈し、3度DCMで抽出した。抽出物を合わせ、水および塩類溶液で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、溶媒を除去すると、標題化合物が得られた。
【0143】
中間体26c)

DCM(1ml)に溶解した中間体26b)(127mg)の溶液にTEA(84μl)を添加した。反応混合物を0℃まで冷却し、塩化メタンスルホニル(47μl)を添加した。反応混合物を90分間撹拌した後、真空で揮発性物質を除去し、残渣を水とEtOAcの間で分割させた。水相を2度EtOAcで抽出し、有機層を合わせ、塩類溶液で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、標題化合物が得られた。
【0144】
下記実施例は同様に調製することができる:
実施例27:

白色固体
Rf=0.22(酢酸エチル/エタノール/トリエチルアミン 50:50:1)
【0145】
実施例28:

DCM(2ml)に溶解したクロモン-2-カルボン酸(16mg)に、中間体1b)(38mg)、N-メチルモルホリン(14μl)およびHOBt(14mg)を添加し、その後、20分間撹拌した。EDC(23mg)を添加し、1時間、撹拌し続けた。追加量のN-メチルモルホリン(8μl)を添加し、一晩中撹拌した。反応混合物を水(5ml)中に注ぎ入れ、有機相を分離した。水相を2度DCMで抽出した。有機相を合わせ、0.5N HClおよび飽和重炭酸ナトリウム溶液で洗浄し、Na2SO4上で乾燥させ、濃縮すると、生成物が得られ、これをカラムクロマトグラフィーで精製した。
白色固体
Rf=0.27(酢酸エチル);Mp.187-188℃
【0146】
下記実施例は同様に調製することができる:
実施例29:

白色固体
Rf=0.27(酢酸エチル);Mp.184-187℃
実施例30:

白色針晶
Rf=0.17(酢酸エチル/エタノール 9:1);Mp.205-206℃
実施例31:

白色針晶
Rf=0.17(酢酸エチル/エタノール 9:1);Mp.205-207℃
実施例32:

白色固体
Rf=0.51(DCM/メタノール 9:1)
実施例33:

白色針晶
Rf=0.53(DCM/メタノール 9:1);Mp.193-194℃
実施例34:

白色固体
Rf=0.55(DCM/メタノール 9:1)
実施例35:

白色固体
Rf=0.63(DCM/メタノール 9:1)
実施例36:

白色固体
Rf=0.47(DCM/メタノール 9:1)
実施例37:

白色固体
Rf=0.55(DCM/メタノール 9:1)
実施例38:

白色固体
Rf=0.20(DCM/メタノール 95:5)
実施例39:

白色固体
Rf=0.22(DCM/メタノール 95:5)
実施例40:

実施例41:

白色固体
Rf=0.56(DCM/メタノール 9:1)
実施例42:

実施例43:

実施例44:

実施例45:

実施例46:

実施例47:

白色固体
Rf=0.34(DCM/メタノール 9:1)
実施例48:

白色固体
Rf=0.29(DCM/メタノール 9:1)
実施例49:

実施例50:

白色固体
Rf=0.62(DCM/メタノール 9:1);Mp.167-174℃
実施例51:

白色固体
Rf=0.16(DCM/メタノール 95:5)
実施例52:

実施例53:

白色固体
Rf=0.55(DCM/メタノール 9:1)
実施例54:

白色針晶
Rf=0.48(DCM/メタノール 9:1)
実施例55:

実施例56:

実施例57:

実施例58:

実施例59:

白色針晶
Rf=0.66(DCM/メタノール 9:1)
実施例60:

実施例61:

実施例62:

実施例63:

実施例64:

実施例65:

実施例66:

実施例67:

実施例68:

実施例69:

実施例70:

実施例71:

実施例72:

実施例73:

実施例74:

白色固体
Rf=0.18(ヘキサン/酢酸エチル 1:2);Mp.125-130℃
実施例75:

実施例76:

実施例77:

実施例78:

実施例79:

実施例80:

実施例81:

実施例82:

実施例83:

実施例84:

実施例85:

実施例86:

実施例87:

実施例88:

実施例89:

実施例90:

実施例91:

実施例92:

実施例93:

実施例94:

実施例95:

実施例96:

実施例97:

実施例98:

実施例99:

実施例100:

実施例101:

実施例102:

実施例103:

実施例104:

実施例105:

実施例106:

実施例107:

実施例108:

実施例109:

実施例110:

実施例111:

実施例112:

実施例113:

実施例114:

実施例115:

実施例116:

実施例117:

実施例118:

実施例119:

実施例120:

実施例121:

実施例122:

実施例123:

白色固体
Rf=0.48(DCM/メタノール 9:1);Mp.148-165℃
実施例124:

白色固体
Rf=0.48(DCM/メタノール 9:1);Mp.148-165℃
実施例125:

実施例126:

実施例127:

白色固体
Rf=0.49(DCM/メタノール 9:1);Mp.135-160℃
実施例128:

白色固体
Rf=0.48(DCM/メタノール 9:1);Mp.140-164℃
【0147】
クロモン-2-カルボン酸の調製:

方法1を用いたクロモン-2-カルボン酸の合成
【0148】
クロモン-2-カルボン酸1:

中間体CA1b)(5.85g)をAcCl(110ml)に懸濁し、室温で撹拌しながら濃硫酸(4.40ml)を加えた。次いで、わずかに黄色を帯びた反応混合物を激しく撹拌しながら加熱還流し、30min還流を続けた。反応混合物を約25mlまで減圧下で蒸発させ、次いで十分に撹拌中のH2O(300ml)にゆっくり注意深く加え、撹拌を1h続けた。短時間超音波処理した後、生じた沈殿をろ過し、冷H2O(3×30ml)で洗浄し、最後に40℃で終夜減圧乾燥した。粗生成物を最少量の沸騰H2O(270ml)に溶解し、室温までゆっくり放冷した。結晶化を室温、6hで完了し、次いで結晶生成物をろ過し、冷H2O(3×10ml)で洗浄した。最後に生成物を40℃で終夜減圧乾燥し、標題化合物を得た。
【0149】
中間体CA1a):

4-トリフルオロメトキシフェノール(6.67g)をEt2O(55ml)に溶解し、室温で撹拌しながらTEA(6.36ml)を加えた。次いで、アセチレンジカルボン酸ジメチル(5.12ml)を激しく撹拌しながら加え、反応混合物を室温、暗所で終夜撹拌した。反応混合物をEt2O(30ml)で希釈し、1M HCl(3×65ml)、H2O(30ml)および食塩水(25ml)で洗浄し、Na2SO4で乾燥し、次いで減圧下で蒸発させた。最後に高減圧下で2h乾燥し、所望の生成物を得た。
【0150】
中間体CA1b):

中間体CA1a)(9.57g)に、室温で撹拌しながら水(45ml)中のNaOH(4.80g)の溶液を加えた。次いで、反応混合物を激しく撹拌しながら加熱還流し、3h還流を続けた。反応混合物をEt2O(100ml)で抽出し、次いで氷水中で冷却しながら、濃HClでpH1未満になるまで酸性化した。白色沈殿が生じ、これをろ過し、H2O(3×30ml)で洗浄し、最後に40℃で終夜減圧乾燥して、所望の化合物を得た。
【0151】
下記のクロモン-2-カルボン酸を方法1を用いて調製した:
6-エチルクロモン-2-カルボン酸、6-イソプロピルクロモン-2-カルボン酸、6-メトキシクロモン-2-カルボン酸、6-トリフルオロメチルクロモン-2-カルボン酸、6-tert-ブチルクロモン-2-カルボン酸、6-クロロクロモン-2-カルボン酸、6-トリフルオロメトキシクロモン-2-カルボン酸、8-メトキシクロモン-2-カルボン酸、6-トリフルオロメチルスルファニルクロモン-2-カルボン酸、8-クロロクロモン-2-カルボン酸、8-フルオロクロモン-2-カルボン酸、7-クロロクロモン-2-カルボン酸、6-エトキシクロモン-2-カルボン酸、6-メタンスルホニルクロモン-2-カルボン酸、8-オキソ-8H-[1,3]ジオキソロ[4,5-g]クロメン-6-カルボン酸、6-アリロキシ-4-ヒドロキシ-4H-クロメン-2-カルボン酸、6-ブトキシ-4-ヒドロキシ-4H-クロメン-2-カルボン酸、6-プロポキシ-4-ヒドロキシ-4H-クロメン-2-カルボン酸、6-シクロペンチル-4-オキソ-4H-クロメン-2-カルボン酸、6-ペンタフルオロエトキシ-4-オキソ-4H-クロメン-2-カルボン酸、4-オキソ-6-[1,2,4]トリアゾル-1-イル-4H-クロメン-2-カルボン酸、6-イミダゾル-1-イル-4-オキソ-4H-クロメン-2-カルボン酸、6-アセチルアミノ-4-オキソ-4H-クロメン-2-カルボン酸、6-(アセチル-メチル-アミノ)-4-オキソ-4H-クロメン-2-カルボン酸、6-メタンスルホニルアミノ-4-オキソ-4H-クロメン-2-カルボン酸、6-(メタンスルホニル-メチル-アミノ)-4-オキソ-4H-クロメン-2-カルボン酸および6-ジメチルアミノ-4-オキソ-4H-クロメン-2-カルボン酸。

方法2を用いたクロモン-2-カルボン酸の合成
【0152】
クロモン-2-カルボン酸2:

中間体CA2a)(2.65g)を飽和炭酸水素ナトリウム溶液(50ml)に懸濁し、80℃で2h加熱した。反応終了時、澄明溶液が得られた。室温まで冷却後、反応混合物をHClで酸性化した。白色沈殿をろ過し、水で洗浄し、40℃で終夜減圧乾燥して、標題化合物を得た。
【0153】
中間体CA2a):

無水メエタノール(50ml)にナトリウム(4.0g)を加えた。メトキシドへの変換が完了した後、溶液を冷却し、これにシュウ酸ジエチル(12ml)、メタノール(50ml)およびトルエン(50ml)中の2'-ヒドロキシ-4',5'-ジメトキシアセトフェノン(3.92g)の溶液を加えた。混合物を終夜還流した。冷却後、ジエチルエーテル(200ml)を加えた。ナトリウム塩をろ過し、無水エーテルで洗浄し、水に懸濁して、溶液を酸性化した。得られた沈殿をろ過し、乾燥して、黄色固体を得た。
【0154】
中間体をエタノール(100ml)に溶解し、100℃で15min加熱し、濃HCl(2ml)を加え、溶液を100℃で1.5h撹拌した。酸の添加直後に沈殿が生じた。室温まで冷却後、反応混合物を水(150ml)で希釈し、淡黄色沈殿をろ過し、水で洗浄した。生成物を減圧下で乾燥した。
【0155】
下記のクロモン-2-カルボン酸を方法2を用いて調製した:
6-メトキシクロモン-2-カルボン酸、7-メトキシクロモン-2-カルボン酸、6,7-ジメチルクロモン-2-カルボン酸、6,7-ジメトキシクロモン-2-カルボン酸、6-クロロクロモン-2-カルボン酸、6,8-ジフルオロクロモン-2-カルボン酸、6,8-ジクロロクロモン-2-カルボン酸および7-フルオロクロモン-2-カルボン酸。

メトキシ置換クロモン-2-カルボン酸の脱メチル
【0156】
クロモン-2-カルボン酸3:

8-メトキシクロモン-2-カルボン酸(220mg)をAcOH(2ml)に懸濁し、室温で撹拌しながら濃HI(2ml)を加えた。次いで、わずかに黄色を帯びた懸濁液を激しく撹拌しながら120℃に加熱し、この温度で60min維持した。温かい反応混合物を十分に撹拌中のH2O(75ml)にゆっくり注意深く加え、得られた黄色溶液を氷中で30min冷却した。結晶化を冷蔵庫でさらに2hかけて完了した。生成した結晶沈殿物をろ過し、冷H2O(3×3ml)で洗浄し、最後に40℃で終夜減圧乾燥した。
【0157】
下記のクロモン-2-カルボン酸を脱メチル法を用いて調製した:
6-ヒドロキシクロモン-2-カルボン酸、7-ヒドロキシクロモン-2-カルボン酸、8-ヒドロキシクロモン-2-カルボン酸、6,7-ジヒドロキシクロモン-2-カルボン酸および6-ヒドロキシ-7-メトキシクロモン-2-カルボン酸。
【0158】
生物学的アッセイ
A. 結合アッセイ
膜結合アッセイを用いて、ヒトメラノコルチン受容体を発現するHEK293細胞膜調製物に結合する、蛍光標識したNDP-アルファ-MSHの競合阻害物質を同定する。
試験化合物または非標識NDP-アルファ-MSHを様々な濃度で384穴マイクロタイタープレートに分配する。蛍光標識NDP-アルファ-MSHを単一濃度で分配し、続いて膜調製物を加える。プレートを室温で5hインキュベートする。
蛍光偏光の程度を蛍光偏光マイクロプレート読み取り器で調べる。
【0159】
B. 機能アッセイ
cAMP特異抗体上の限られた数の結合部位に対する非標識cAMPと固定量の蛍光標識cAMPとの間の競合に基づく機能細胞アッセイを用いて、蛍光偏光によりメラノコルチン受容体アゴニストをアンタゴニストと区別する。
【0160】
ヒトメラノコルチン受容体の一つを発現するHEK293細胞を384穴マイクロタイタープレートに移し、適当な量のcAMP抗体を加え、続いて異なる濃度の試験化合物を加えて、cAMPを産生させる。細胞を溶解し、蛍光標識cAMP複合体を分配する。プレートを蛍光偏光マイクロプレート読み取り器で読み取り、試験化合物に反応して産生されたcAMPの量を、NDP-アルファ-MSHでの刺激によるcAMP産生と比較する。
【0161】
試験化合物のアンタゴニスト活性を調べるために、化合物を異なる濃度で適当な量のNDP-α-MSHで刺激した細胞に加える。cAMP産生の阻害を、試験化合物のcAMP産生阻害と同じ濃度で試験した公知の阻害剤によるcAMP産生阻害とを比較することにより評価する。
【0162】
本発明の選択した実施例についての生物学的データ:

【0163】
C. インビボ食物摂取モデル
1. 自発的摂食パラダイム
ラットの食物摂取を試験化合物のi.p.またはp.o.投与後に測定する(例えば、Chen, A.S. et al. Transgenic Res 2000 Apr;9(2):145-54参照)。
【0164】
光相(light-phase)の開始後3〜4時間に、それぞれ収容された、雄のWistarラット(200〜300g)に試験化合物または媒体を2ml/kgの投与量で腹腔内または経口投与する。物質(1〜30mg/kg)の投与後、予め重さを測った正常な研究室用の食餌を食物ホッパーに入れる。残った食物を手で1〜2時間間隔で、8時間まで測定する。試験化合物処理ラットと媒体処理ラットとの間の摂食の差を評価する。
【0165】
本発明の選択された実施例は、雄Wistarラット(n=4)を用い試験化合物を経口投与した後、ラットモデル、10mg/kgで活性であった。
【0166】
10mg/kgの実施例1では、累積摂食量は、媒体のみを受けた対照の雄Wistarラット(n=4)に比べ、それぞれ、2700%(投与後2時間、p=0.035、n=4)、700%(投与後4時間、p=0.010、n=4)および175%(投与後6時間、p=0.018、n=4)の増加となる。
【0167】
10mg/kgの実施例31では、累積摂食量は、媒体のみを受けた対照の雄Wistarラット(n=4)に比べ、それぞれ、1100%(投与後2時間、p=0.075、n=4)および380%(投与後4時間、p=0.020、n=4)の増加となる。
【0168】
2. LPSおよび腫瘍誘導性カヘキシーのモデル
リポ多糖(LPS)投与または腫瘍増殖のいずれかによって誘導されたカヘキシーの予防または改善を、ラットに試験化合物をi.p.またはp.o.投与した後に評価する(例えば、Marks, D.L.; Ling, N and Cone, R.D. Cancer Res 2001 Feb 15;61(4):1432-8参照)。
【0169】
a)ラットにおけるリポ多糖誘導性カヘキシー(急性モデル)
暗期開始の1〜2時間前に、個別に飼育した雄Wistarラット(200〜300g)に試験化合物または媒体(2ml/kg、1〜30mg/kg)をipまたはpo適用し、その前後いずれかにリポ多糖(LPS)または食塩水(2ml/kg、100μg/kg)のip注射を行う。食物摂取、飲水、および体重を1〜24時間間隔で測定し、実験群間の差を評価する。
【0170】
b)マウスにおける腫瘍誘導性カヘキシー(慢性モデル)
雄C57BL6マウスへのLewis肺癌細胞の皮下注入(100万細胞/100μl/マウス)により、非転移性腫瘍増殖と、次いで除脂肪体重の減少が起こる。試験化合物の長期ipまたはpo適用中(10ml/kg、1〜30mg/kgを7〜21日間)、1日1回食物摂取、飲水および体重の測定を行う。除脂肪体重を開始時、試験中、および試験終了時に、磁気共鳴リラクソメトリー(relaxometry)を用いて測定し、試験の最後に通常の化学抽出法(ソックスレー抽出)を用いて測定する。実験群間の差を評価する。
【0171】
D. ラット交尾外(Ex Copula)アッセイ
性成熟した雄帝王切開由来Sprague Dawley(CD)ラット(60日齢よりも上)を、交尾外評価中の陰茎の陰茎鞘中への収縮を防ぐために提靭帯を外科的に切除して用いる。ラットに食物および水を適宜与え、通常の明暗周期で維持する。試験は明周期中に行う。
【0172】
1. 交尾外反射試験のための仰臥位拘束への条件づけ
この条件づけは約4日かかる。1日目、動物を暗くした固定器に固定し、15〜30分間放置する。2日目、動物を固定器に仰臥位で15〜30分間拘束する。3日目、動物の陰茎鞘を収縮させて仰臥位で15〜30分間拘束する。4日目、動物の陰茎反射が観察されるまで陰茎鞘を収縮させて仰臥位で拘束する。動物の中には、処置に完全に順応するまでにさらに何日か条件づけが必要なものもある。反応のない動物はそれ以上の評価から除去する。いかなる取り扱いまたは評価後も、動物に正の強化を確実にするため、褒美を与える。
【0173】
2. 交尾外反射試験
ラットを、通常の頭部および足の毛づくろいができる十分なサイズの円筒内にその胴体腹側部を入れて仰臥位で軽く拘束する。400〜500グラムのラットでは、円筒の直径は約8cmである。胴体下部および後脚を非粘着性材料(ベトラップ)で拘束する。陰茎亀頭を通す穴を設けたもう一片のベトラップを動物に固定し、包皮鞘を収縮した位置に維持する。一般に交尾外性器反射試験と呼ぶ、陰茎反応を観察する。典型的に、鞘収縮後数分以内に一連の陰茎勃起が自発的に起こる。通常の反射発生性勃起反応のタイプには、伸長、怒張、杯状(cup)および反転(flip)が含まれる。伸長は陰茎本体の延長と分類される。怒張は陰茎亀頭の拡張である。杯状とは、亀頭の端部の縁が瞬間的に拡がって杯を形成する、強度の勃起と定義される。反転は陰茎本体の背屈である。
【0174】
動物がどのように反応するか、および反応するかどうかを調べるために、基準時および/または媒体評価を行う。動物の中には初回反応までに長時間かかるものもあれば、全く反応しないものもある。この基準時評価中に、初回反応までの潜時、ならびに反応の回数およびタイプを記録する。試験時間枠は初回反応後15分間である。
【0175】
評価と評価の間に最低1日おいた後、これらの同じ動物に試験化合物20mg/kgを投与し、陰茎反射を評価する。すべての評価を録画し、後で点数をつける。データを収集し、対応のある両側t検定を用いて解析し、個々の動物について基準時および/または媒体評価を薬物処理評価と比較する。最小4匹の動物群を用いてばらつきを抑える。
【0176】
陽性基準対照を各試験に含め、試験の有効性を確保する。動物には、実施する試験の特性に応じて、いくつかの投与経路で投与することができる。投与経路には、除内(IV)、腹腔内(IP)、皮下(SC)および脳室内(ICV)が含まれる。
【0177】
E. 雌性機能不全のモデル
雌の性受容性に関連する齧歯類アッセイには、ロードーシスの行動モデルおよび交尾活動の直接観察が含まれる。雄および雌両方のラットにおけるオルガスムを測定するための、麻酔した脊髄離断ラットの尿道性器反射モデルもある。これらおよび他の雌性機能不全の確立された動物モデルはMcKenna KE et al, A Model For The Study of Sexual Function In Anesthetized Male And Female Rats, Am. J. Physiol. (Regulatory Integrative Comp. Physiol 30): R1276-R1285, 1991; McKenna KE et al, Modulation By Peripheral Serotonin of The Threshold For Sexual Reflexes In Female Rats, Pharm. Bioch. Behav., 40:151-156, 1991;およびTakahashi LK et al, Dual Estradiol Action In The Diencephalon And The Regulation of Sociosexual Behavior In Female Golden Hamsters, Brain Res., 359:194-207, 1985に記載されている。
【0178】
生物学的結果(上記参照)により示されるように、本発明の代表的な化合物は、インビトロメラノコルチン-4受容体拮抗薬であるだけでなく、インビボで試験してもメラノコルチン-4受容体拮抗薬としても活性である。
【0179】
実施例1および31は自発的な摂食実例において活性である。試験動物は10mg/kg用量の経口投与で、摂食量の著しい増加を示す。
【0180】
当業者であれば、ペプチド模倣薬のアミドCO基をCH2基で置換すると、活性が著しく失われることは、予測できるであろう。しかしながら、本発明の化合物は、意外にも、依然としてメラノコルチン-4受容体に対し高い親和性を示す。活性の喪失が見られない。
【0181】
薬学的組成物の例
本発明の化合物の経口組成物の具体的態様として、実施例1の35mgを総量580から590mgとするのに十分な超微粒子ラクトースと共に製剤して、サイズ0のゼラチン硬カプセルに充填する。
【0182】
本発明の化合物の経口組成物のもう一つの具体的態様として、実施例31の50mgを総量580から590mgとするのに十分な超微粒子ラクトースと共に製剤して、サイズ0のゼラチン硬カプセルに充填する。
【0183】
本発明をその特定の好ましい態様に関して記載および例示してきたが、当業者であれば本発明の精神および範囲から逸脱することなく、様々な変更、改変および置換を行いうることを理解すると思われる。例えば、観察される具体的な薬理学的反応の結果、上記に説明される好ましい用量以外の有効用量が適用可能となることもあり、また選択した特定の活性化合物、ならびに用いる製剤のタイプおよび投与様式に応じて変動してもよく、結果におけるそのような予想される変動または相違は本発明の目的および実施に従って企図される。したがって、本発明は添付の特許請求の範囲によってのみ限定され、そのような特許請求の範囲は妥当な限り広く解釈されることが意図される。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
構造式(I)の化合物または薬学的に許容されるその塩もしくは溶媒和物:

ここで、
R1は、(D)-アリールまたは(D)-ヘテロアリールであり、ここで、アリールおよびヘテロアリールは非置換であるか、または置換されており;
R2は以下であり:

Aは以下であり:

各R3は独立して、以下であり:
水素、ハロ、アルキル、ハロアルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、S-アルキル、SO2-アルキル、O-アルケニル、S-アルケニル、NR15C(O)R15、NR15SO2R15、N(R15)2、(D)-シクロアルキル、(D)-アリール(ここで、アリールはフェニルまたはナフチルである)、(D)-ヘテロアリール、(D)-ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは1つの窒素を含むヘテロシクリルを除外する)(ここで、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキルおよびシクロアルキルは非置換であるか、または置換されており、2つの隣接するR3は4〜7員環を形成してもよい);
各R4は独立して、以下であり:
水素、アルキル、C(O)-アルキル、SO2アルキル、SO2アリール、(D)-アリールまたは(D)-シクロアルキル;
各R5は独立して、以下であり:
水素、アルキル、(D)-アリール、(D)-ヘテロアリール、(D)-N(R7)2、(D)-NR7C(O)-アルキル、(D)-NR7SO2-アルキル、(D)-SO2N(R7)2、(D)-(O)q-アルキル、(D)-(O)q(D)-NR7COR7、(D)-(O)q(D)-NR7SO2R7、(D)-(O)q-ヘテロシクリルまたは(D)-(O)q(アルキル)-ヘテロシクリル;
各R6は独立して、以下であり:
水素、アルキル、(D)-フェニル、C(O)-アルキル、C(O)-フェニル、SO2-アルキルまたはSO2-フェニル;
R7およびR8はそれぞれ独立して、以下であり;
水素、アルキル、もしくは(D)-シクロアルキル、または、
R7およびR8はそれらが結合している窒素と共に、O、SおよびNR4から選択される追加のヘテロ原子を任意に含んでいてもよい5〜8員環を形成し、
(ここで、アルキルおよびシクロアルキルは非置換であるか、または置換されている);
R10は独立して、以下であり:
水素、アルキル、(D)-アリールまたは(D)-シクロアルキル;
R11は水素またはアルキルであり;
R12は以下であり:
水素、ハロ、アルキル、アルコキシ、C≡N、CF3またはOCF3
R13は独立して、以下であり:
水素、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、(D)-C(O)R15、(D)-C(O)OR15、(D)-C(O)SR15、(D)-C(O)-ヘテロアリール、(D)-C(O)-ヘテロシクリル、(D)-C(O)N(R15)2、(D)-N(R15)2、(D)-NR15COR15、(D)-NR15CON(R15)2、(D)-NR15C(O)OR15、(D)-NR15C(R15)=N(R15)、(D)-NR15C(=NR15)N(R15)2、(D)-NR15SO2R15、(D)-NR15SO2N(R15)2、(D)-NR15(D)-ヘテロシクリル、(D)-NR15(D)-ヘテロアリール、(D)-OR15、OSO2R15、(D)-[O]q(シクロアルキル)、(D)-[O]q(D)-アリール、(D)-[O]q(D)-ヘテロアリール、(D)-[O]q(D)-ヘテロシクリル(ここで、q=1の場合、ヘテロシクリルは1つの窒素を含むヘテロシクリルを除外する)、(D)-SR15、(D)-SOR15、(D)-SO2R15、または(D)-SO2N(R15)2(ここで、アルキル、アルコキシ、シクロアルキル、アリール、ヘテロシクリルおよびヘテロアリールは非置換であるか、または置換されている);
各R15は独立して、以下であり:
水素、アルキル、ハロアルキル、(D)-シクロアルキル、(D)-アリール(ここで、アリールはフェニルまたはナフチルである)、(D)-ヘテロアリール、(D)-ヘテロシクリル(ここで、ヘテロシクリルは、1つの窒素を含むヘテロシクリルを除外する)(ここで、アリール、ヘテロアリール、ヘテロシクリル、アルキルおよびシクロアルキルは非置換であるか、または置換されている);
R17は独立して、R10または(D)-ヘテロシクリルであり;
R18は独立して、以下であり:
R10、(D)-ヘテロアリール、(D)-ヘテロシクリル、(D)-N(Y)2、(D)-NH-ヘテロアリール、または(D)-NH-ヘテロシクリル(ここで、アリール、ヘテロアリール、アルキル、D、シクロアルキルおよびヘテロシクリルは非置換であるか、または置換されている)、または
2つのR18基は、それらが結合している原子と共に、O、S、NR10、NBocおよびNZから選択される追加のヘテロ原子を任意に含んでいてもよい5〜8員の単環または二環式環構造を形成し、
Cyは以下であり:
アリール、5-もしくは6-員ヘテロアリール、5-もしくは6-員ヘテロシクリルまたは5-もしくは7-員カルボシクリル;
Cy’はベンゼン、ピリジンまたはシクロヘキサンであり;
Xは以下であり:
アルキル、(D)-シクロアルキル、(D)-アリール、(D)-ヘテロアリール、(D)-ヘテロシクリル、(D)-C≡N、(D)-CON(R17R17)、(D)-CO2R17、(D)-COR17、(D)-NR17C(O)R17、(D)-NR17CO2R17、(D)-NR17C(O)(R17)2、(D)-NR17SO2R17、(D)-S(O)pR17、(D)-SO2N(R17)(R17)、(D)-OR17、(D)-OC(O)R17、(D)-OC(O)OR17、(D)-OC(O)N(R17)2、(D)-N(R17)(R17)または(D)-NR17SO2N(R17)(R17)(ここで、アリール、ヘテロアリール、アルキル、D、シクロアルキルおよびヘテロシクリルは非置換であるか、または置換されている);
Yは以下であり:
水素、アルキル、(D)-シクロアルキル、(D)-アリール、(D)-ヘテロシクリルまたは(D)-ヘテロアリール(ここで、アリール、ヘテロアリール、アルキル、Dおよびシクロアルキルは非置換であるか、または置換されている);
Qは結合、O、S(O)u、NR6またはCH2であり;
Dは結合またはC1〜C4アルキルであり;
EはO、SまたはNR6であり;
GはD、CH-アルキル、O、C=OまたはSO2であり、ただし、GがOの場合、環原子Mは炭素であることを条件とし;
JはNまたはCHであり;
Mは、CHCO2Y、CHC(O)N(Y)2、NSO2R18、CHN(Y)COR18、CHN(Y)SO2R18、CHCH2OYまたはCHCH2ヘテロアリールであり;
TはOまたはNR7であり;
nは0〜3であり;
mは1〜3であり;
oは0〜3であり;
pは0〜2であり;
qは0または1であり;
rは1または2であり;
sは0〜3であり;
uは0〜2である。
【請求項2】
R1が(D)-アリールであり、(D)-アリールはシアノ、ニトロ、ペルフルオロアルコキシ、ハロ、アルキル、(D)-シクロアルキル、アルコキシ、ヒドロキシおよびハロアルキルからなる群より独立して選択される1〜3の置換基により置換されてもよく;
R2が以下であり:

R3が独立して、以下であり:
水素、ハロ、アルキル、ヒドロキシ、アルコキシ、S-アルキル、SO2-アルキル、O-アルケニル、S-アルケニル、ハロアルキルまたは(D)-シクロアルキル;
R4が水素またはアルキルであり;
各R5が独立して、以下であり:
水素、アルキル、(D)-アリール、(D)-ヘテロアリール、(D)-N(R7)2、(D)-NR7C(O)アルキルまたは(D)-NR7SO2アルキル;
R7およびR8はそれぞれ独立して、以下であり;
水素、アルキル、もしくはシクロアルキル、または、
R7およびR8が、それらが結合している窒素と共に、O、SおよびNR4から選択される追加のヘテロ原子を任意に含んでいてもよい5〜7員環を形成し、
R9が以下であり:
アルキル、OR10、(D)-アリール、(D)-シクロアルキル、(D)-ヘテロアリールおよびハロ;
R12が以下であり:
水素、ハロ、アルキル、アルコキシまたはC≡N;
R13が独立して、以下であり:
水素、ヒドロキシ、シアノ、ニトロ、ハロ、アルキル、アルコキシ、ハロアルキル、(D)-C(O)-ヘテロシクリル、(D)-N(R15)2、(D)-NR15COR15、(D)-NR15CON(R15)2、(D)-NR15C(O)OR15、(D)-NR15C(R15)=N(R15)、(D)-NR15C(=NR15)N(R15)2、(D)-NR15SO2R15または(D)-NR15SO2N(R15)2
各R14が独立して、以下であり:
水素、ハロ、アルキル、(D)-シクロアルキル、アルコキシまたはフェニル;
各R15が独立して、以下であり:
水素、ハロ、アルキル、(D)-シクロアルキル、アルコキシまたはフェニル;
各R16が独立して、以下であり:
水素、アルキルまたはシクロアルキル;
Xが以下であり:
アルキル、(D)-シクロアルキル、(D)-アリール、(D)-ヘテロアリール、(D)-ヘテロシクリル、(D)-NHC(O)R17、(D)-CO2R17または(D)-CON(R17R17);
Yが以下であり:
水素、アルキル、(D)-シクロアルキル、(D)-アリール、(D)-ヘテロシクリルまたは(D)-ヘテロアリール;
Cyが以下であり:
アリール、5もしくは6員ヘテロアリール、5もしくは6員ヘテロシクリルまたは5〜7員カルボシクリル;
Cy’がベンゼンまたはピリジンであり;
Dが結合またはC1〜C4アルキレンであり;
Mが、NSO2R18、CHN(Y)COR18またはCHN(Y)SO2R18であり;
GがDまたはCH-アルキルであり;
TがNR7またはOであり;
nが0または1であり;
mが1または2であり;
rが1であり;
sが0、1または2である、請求項1記載の化合物。
【請求項3】
R1が(D)-フェニルまたは(D)-ナフチルであり、(D)-フェニルまたは(D)-ナフチルがペルフルオロアルコキシ、ハロ、アルキル、アルコキシおよびハロアルキルからなる群より独立して選択される1または2の置換基により置換されてもよく;
R2が以下であり:

R3が水素またはハロであり;
R4が水素であり;
R5が水素であり;
R7およびR8がそれぞれ独立して、以下であり;
水素、もしくはアルキル、または、
R7およびR8が、それらが結合している窒素と共に、追加の酸素原子を任意に含んでいてもよい5〜6員環を形成し、
R12が以下であり:
水素、ハロ、またはC1〜C4アルキル;
R13が独立して、以下であり:
シアノ、ニトロ、ハロ、アルキル、(D)-C(O)-ヘテロシクリル、(D)-N(R15)2、(D)-NR15COR15、(D)-NR15CON(R15)2、(D)-NR15C(O)OR15または(D)-NR15SO2R15
各R14が独立して、以下であり:
水素、ハロ、アルキル、アルコキシまたはフェニル;
各R15が独立して、以下であり:
水素、ハロ、アルキル、アルコキシまたはフェニル;
Xが以下であり:
アルキル、(D)-シクロアルキル、(D)-ヘテロシクリル、(D)-NHC(O)R17または(D)-CON(R17R17);
Yが以下であり:
水素、アルキル、(D)-シクロアルキルまたは(D)-ヘテロシクリル;
Cyがアリールまたは5もしくは6員ヘテロアリールであり;
Cy’がベンゼンであり;
Dが結合またはCH2であり;
MがNSO2R18であり;
GがDであり;
sが0または1である、請求項1または2記載の化合物。
【請求項4】
R1が(CH2)-フェニルまたは(CH2)-ナフチルであり、(CH2)-フェニルまたは(CH2)-ナフチルは1〜3のハロ原子により置換されてもよく;
R2が以下であり:

R12が水素であり:
R13が独立して、以下であり:
シアノ、ニトロ、ハロまたは(D)-NR15COR15
Xが以下であり:
C1〜C4アルキル、C5〜C7シクロアルキル、(D)-CON(R17R17)またはN-含有ヘテロシクリル;
Yが以下であり:
水素、C1〜C4アルキルまたはC5〜C7シクロアルキル;
Cyがアリールであり;
GがCH2である、請求項1〜3のいずれか一項記載の化合物。
【請求項5】
薬剤として使用するための請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物。
【請求項6】
哺乳類においてメラノコルチン-4受容体の調節に応答する障害、疾患または状態の治療または予防のための薬剤を調製するための、請求項1〜4いずれか一項記載の化合物の使用であって、調節は、MC4-R作用薬の場合は活性化、MC4-R拮抗薬の場合は不活性化を意味する、使用。
【請求項7】
癌悪液質の治療または予防のための薬剤を調製するための、請求項6記載のMC4-R拮抗薬の使用。
【請求項8】
筋萎縮の治療または予防のための薬剤を調製するための、請求項6記載のMC4-R拮抗薬の使用。
【請求項9】
拒食症の治療または予防のための薬剤を調製するための、請求項6記載のMC4-R拮抗薬の使用。
【請求項10】
不安および/または鬱の治療または予防のための薬剤を調製するための、請求項6記載のMC4-R拮抗薬の使用。
【請求項11】
肥満の治療または予防のための薬剤を調製するための、請求項6記載のMC4-R作用薬の使用。
【請求項12】
糖尿病の治療または予防のための薬剤を調製するための、請求項6記載のMC4-R作用薬の使用。
【請求項13】
男性または女性の性的不全の治療または予防のための薬剤を調製するための、請求項6記載のMC4-R作用薬の使用。
【請求項14】
勃起不全の治療または予防のための薬剤を調製するための、請求項6記載のMC4-R作用薬の使用。
【請求項15】
請求項1〜4のいずれか一項記載の化合物および薬学的に許容される担体を含む薬学的組成物。

【公表番号】特表2006−520361(P2006−520361A)
【公表日】平成18年9月7日(2006.9.7)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−504750(P2006−504750)
【出願日】平成16年3月19日(2004.3.19)
【国際出願番号】PCT/EP2004/002896
【国際公開番号】WO2004/083208
【国際公開日】平成16年9月30日(2004.9.30)
【出願人】(505336024)サンテラ ファーマシューティカルズ (シュバイツ) ゲーエムベーハー (21)
【Fターム(参考)】