説明

メンテナンスを考慮した電池システム

【課題】複数の電池モジュールを直列に接続してなる電池システムにおいて、その出力電圧を、高価な充放電制御装置を用いることなく、簡便に調整することが可能な電池システムを提供する。
【解決手段】単位電池を複数積層してなる第1電池モジュールBと、第1電池モジュールに直列接続され、単位電池を複数積層してなる電池モジュールの正極端子11と負極端子12の間に電気を取り出すための接続端子21を設けた第2電池モジュールB’と、単位電池における、第1および第2電池モジュールの積層方向に互いに対向して設けられた正極板と負極板との間を短絡させる短絡部材71とを備えた電池システムであって、短絡部材により短絡された単位電池の数に応じて第2電池モジュールから電気を取り出すための端子を選択することにより電池システムの出力電圧が調整可能であるメンテナンスを考慮した電池システム。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、地上蓄電設備や車両搭載に用いられる電池システムに関し、詳しくは、その電池システムのメンテナンス技術に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、一般的な電気鉄道用の変電所では、例えば、電力会社からの交流電力を直流電力に変換して、き電線に供給している。電気車両は、前記き電線から架線を経由して直流電力の供給を受けて、運行を行なっている。
【0003】
電気車両は、加速時には、架線から供給された電力を、車両に搭載された電力制御装置を介して走行用のモータに電力を供給することで、電気エネルギーを走行エネルギーに変換して走行する。このとき、一般的に架線電圧は降下する。
【0004】
また、反対に減速時には電気車両が持つ走行エネルギーを、走行用のモータを発電機として作用させることにより電気エネルギーに変換し、回生電力が架線に流れる。このとき、一般的に架線電圧は上昇する。
【0005】
変電所に大型の電池システムを設備して、余剰回生電力を当該電池システムに充電することにより蓄積し、架線の電圧が降下したときに放電することにより、架線電圧の変動を緩和することが提案されている(例えば、特許文献1参照)。このような電池システムは、回生電力の有効利用及び架線電圧の適正値維持による運行性能維持の面から最近注目を浴びている。
【0006】
一方、充放電制御装置を用いずに、変電所に設備した電池システムを用いて、回生電力の有効利用を図るとともに、変電所の送電能力を補完する電力供給システムが提案されている(例えば、特許文献2参照)。
【0007】
変電所等に設置される電池システムは、多数の電池を直列接続して構成される電池モジュールを多数直列および並列に接続して構成されるところ、当該電池モジュールにおいては、充放電サイクルを繰り返す過程で、単位電池間の性能劣化度合いにバラつきが生じ、充放電容量のバランスが大きく崩れた状態が発生することがある。他の単位電池に比較して充放電容量が極端に劣化した単位電池が発生した状態で電池モジュールの充放電を行えば、劣化した単位電池が過充電または過放電されることになり、電池モジュールの性能を維持することが困難となる。
【0008】
このような問題点を解決する方法として、単位電池の正極と負極の間を金属片からなる短絡部材で短絡して劣化した単位電池を電池モジュールから除外する方法が提案されている(例えば、特許文献3参照)。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0009】
【特許文献1】特開2001−260719号公報
【特許文献2】国際公開第2009/107715号公報
【特許文献3】特開2010−049870号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
変電所に大型の電池システムを設備して、回生電力の回収を図る電気鉄道用の電力供給システムが提案されている(上記特許文献1)。しかし、当該電力供給システムには電池システムの電圧を適切に調整して架線に接続するための充放電制御装置を必要としている。
【0011】
この理由は、通常の二次電池では、電池のSOC(充電状態)に対する出力電圧(正確には端子電圧)が大きく変化するので、充放電制御装置を用いて電池システムの電圧を架線電圧に適合させて、架線に接続する方法が取られているからである。この充放電制御装置は高価であるし、設置に場所を取るので、係る電池システムの普及を阻む要因となっている。
【0012】
ニッケル水素電池は、電池のSOCに対する出力電圧の変化が小さく、電池システムの出力電圧を架線電圧に適合させるために、充放電制御装置を必要としない(上記特許文献2)。
【0013】
しかし、不具合が生じた単位電池の正極と負極の間を金属片からなる短絡部材で短絡して劣化した単位電池を電池モジュールから除外する例えば特許文献3に示すような方法をとれば、当該電池モジュールの出力電圧は低下する。
【0014】
短絡部材により短絡される単位電池の数が増えれば、多数の電池モジュールを直列に接続してなる電池システムの出力電圧が低下することとなり、ニッケル水素電池においても所定の出力電圧に調整する場合は充放電制御装置を必要とすることとなる。
【0015】
このように不具合を生じた単位電池を短絡して除外した後において、電池システムの出力電圧を調整したいという要望は、電気鉄道用の電力供給システムのみならず、一般産業用の電力供給システムにおいてもみられることである。
【0016】
本発明の目的は、上記課題を解決するために、複数の電池モジュールを直列に接続してなる電池システムにおいて、その出力電圧を、高価な充放電制御装置を用いることなく、簡便に調整することが可能な電池システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0017】
上記の目的を達成するために本発明に係るメンテナンスを考慮した電池システムは、単位電池を複数積層してなる第1電池モジュールと、前記第1電池モジュールに直列接続され、前記単位電池を複数積層してなる電池モジュールの正極端子と負極端子の間に電気を取り出すための接続端子を設けた第2電池モジュールと、前記単位電池における、前記第1および第2電池モジュールの積層方向に互いに対向して設けられた正極板と負極板との間を短絡させる短絡部材とを備えた電池システムであって、前記短絡部材により短絡された前記単位電池の数に応じて前記第2電池モジュールから電気を取り出すための端子を選択することにより電池システムの出力電圧が調整可能である。
【0018】
この構成によれば、電池モジュールを複数台直列に接続してなる電池システムにおいて、当該電池モジュールのプラス側の電気を取り出すための前記正極端子とマイナス側の電気を取り出すための前記負極端子の間に、前記正極端子または前記負極端子とは別の接続端子を設けて、第2電池モジュールを構成することにより、前記正極端子と前記負極端子間の電圧よりも小さな電圧を取り出すことを可能にしている。これにより、電池モジュールの出力電圧を調整可能にしている。
【0019】
不具合が生じた単位電池のプラス側の電気の集電体である正極板とマイナス側の電気の集電体である負極板の間を、導電性の短絡部材を介して、単位電池を外部短絡させることができる。これにより、簡単な構造の短絡部材を電池モジュールに追加するのみで、確実に不具合の生じた単位電池を外部短絡させて、電池システムの搭載された車両の運行を確保することができる。
【0020】
外部短絡した単位電池のセル数に応じて第2電池モジュールの電気の取り出す端子を選ぶことにより、電池システムの出力電圧を所定の値に保つことができる。このような電気の取り出し端子は接続端子であってもよく、また、正極端子もしくは負極端子であってもよい。
【0021】
請求項2記載のメンテナンスを考慮した電池システムは、前記単位電池の出力電圧を計測するセル電圧計と、前記セル電圧計からの信号を受信する電池監視装置を備えていて、前記セル電圧計の電圧値が所定の値より小さいときに、前記電池システムの出力に設けた遮断器を作動させる。
【0022】
この構成によれば、電池性能の劣化した単位電池をその出力電圧を計測することにより検知して、電池システムの運転を停止させるために、電池システムの出力に設けた遮断器を開放させる。遮断器を作動させる電圧値は変更可能である。また、電流計を設けて異常な過電流が流れたときに遮断器を作動させてもよい。
【0023】
請求項3記載のメンテナンスを考慮した電池システムは、前記セル電圧計の電圧値から単位電池が短絡状態であると判断されるときは、当該セル電圧の電圧値により前記遮断器を作動させない。
【0024】
この構成によれば、短絡状態の判断はセル電圧計の計測値で行う。例えば、ほぼゼロの電圧値が複数回以上計測された場合に遮断器を開放する。ほぼゼロというのはセル電圧計には誤差があるし、また、接続部分の熱起電力より、実際の電圧はゼロにも関わらず値を持って計測される場合があるので、多少の許容差を持たせる必要があるためである。複数回は好ましくは3回以上であって、過渡的な影響を排除する時間的余裕を持たせたものである。
【0025】
請求項4記載のメンテナンスを考慮した電池システムは、前記第2電池モジュールにおいて、隣接する前記単位電池の間に中間集電体を設け、当該中間集電体に前記接続端子を取り付けてなる。
【0026】
この構成によれば、接続端子は電気を第2電池モジュールの外部に取り出すためのものであり、第2電池モジュールの単位電池の間に中間集電体を設けて、中間集電体に前記接続端子を設ける。このような中間集電体は好ましくは1〜4であって、中間集電体は多すぎると単位電池の収納数が減るので最大4であることが好ましい。このような構成とすることにより、容易に第2電池モジュールより所定の電池モジュールの中間の電圧を取り出すことが可能となる。
【0027】
請求項5記載のメンテナンスを考慮した電池システムは、前記第2電池モジュールが板状の導電部材と前記単位電池とが交互に積層しており、前記中間集電体の厚みが前記単位電池と前記導電部材の厚みに等しい。
【0028】
この構成によれば、中間集電体の厚みを単位電池と前記導電部材とを合わせた厚みにすることにより、電池モジュールの設計寸法の標準化を図ることが可能となる。これは、接続端子を設けない第1電池モジュールにおいて、通常であれば単位電池等が収納される場所に中間集電体を配置することにより第2電池モジュールを構成することができるからである。これにより、製品の歩留まりを改善して、製造コストの上昇を抑えることができる。
【0029】
請求項6記載のメンテナンスを考慮した電池システムは、前記電池モジュールが板状の導電部材と前記単位電池とが交互に積層しており、前記導電部材に、前記第1および第2電池モジュールの積層方向に直交して延びる係合孔が形成されており、前記短絡部材は、板状の本体部と、該本体部に突設され前記単位電池を介して隣り合う2つの前記導電部材の各係合孔に係合する係合突起とを有する。
【0030】
この構成によれば、電池モジュールを構成する単位電池間に、係合孔を有する板状の導電部材を介在させ、この導電部材、および、導電部材の係合孔に係合する係合突起を有する短絡部材を介して、単位電池を外部短絡させることができる。したがって、簡単な構造の導電部材および短絡部材を電池モジュールに追加するのみで、確実に異常な単位電池を外部短絡させて、電池が搭載される車両の運行を確保することができる。しかも、導電部材および短絡部材の材質や寸法を変更することが可能となる。また、比較的過充電・過放電に対する安全性の高いニッケル水素二次電池のようなアルカリ系二次電池に適用するので、異常な単位電池を検出したときに応急処置的に1セルのみ外部短絡させても、残りの単位電池に大きな影響を及ぼすことなく、電池モジュールの性能を確保することができる。
【0031】
請求項7記載のメンテナンスを考慮した電池システムは、前記導電部材の前記係合孔が気体又は液体からなる冷媒の流通経路を構成しており、冷媒を流すことにより前記導電部材を介して前記単位電池の冷却が可能である。
【0032】
この構成によれば、このように構成することにより、導電部材を、単位電池を冷却するための放熱板として利用することが可能になる。その結果、電池モジュールにおける単位電池を冷却して、充放電時の電池温度上昇を抑制することにより、単位電池間の容量劣化のばらつきを抑えてより確実に電池モジュールの性能を確保することができる。
【0033】
請求項8記載のメンテナンスを考慮した電池システムは、前記電池監視装置は、前記単位電池を流れる電流を計測する電流計からの信号を受信して、前記単位電池のSOCを計算するとともに、前記第2電池モジュールにおいて新しく供用になる単位電池のSOCが前記短絡部材で短絡されていない単位電池のSOCと同じになるように充電を行う充電器を備えている。
【0034】
この構成によれば、電池監視装置においてセル電圧計やモジュール温度計の計測値から単位電池毎に電池の充電状態を示すSOCを計算しておき、短絡部材で短絡されていない正常な単位電池のSOCの平均値となるまで第2電池モジュールの単位電池を充電する。このように充電することにより電池システムを構成する単位電池間の性能のバラツキが防止できる。なお、充電器は電池監視装置にその機能を備えていてもよく、好ましくは別途準備されていてもよい。
【0035】
請求項9記載の電気鉄道用電力供給システムは、交流電力回線から受電する変圧器と該変圧器に接続された整流装置と該整流装置に接続されたき電線とを有する電気鉄道用の変電所において、前記電池システムを前記き電線に直結してなる。
【0036】
この構成によれば、電池システムは高価な充放電制御装置を用いることなく、架線に直接接続することができる。
【図面の簡単な説明】
【0037】
【図1】本発明の一実施形態に係る電池モジュールを示す部分破断側面図である。
【図2】図1の電池モジュールにおける単位電池を示す部分破断平面図である。
【図3】図1の電池モジュールのケーシングの内部を示す斜視図である。
【図4】図3IV−IVに沿った断面図である。
【図5】本発明の一実施形態に係るセル数調整用電池モジュールを示す部分破断図面である。(a)は平面図であり、(b)は側面図であり、(c)は接続端子近傍の拡大図である。
【図6】図1の電池モジュールにおける電池積層体を示す概略構成図であり、(a)は電池積層体の平面図、(b)は電池積層体の側面図である。
【図7】本発明の一実施形態に係る短絡部材を示す斜視図である。
【図8】本実施形態に係る短絡部材の取り付け状態を示す図であり、(a)は、図7の短絡部材を導電部材に取り付けた状態の正面図であり、(b)はその側面図である。
【図9】本発明の一実施形態に係る電池システムを構成する電池モジュールの接続図である。(a)は第1電池モジュールの電気取り出し部の接続図であり、(b)は第2電池モジュールの電気取り出し部の接続図であり、(c)は第1電池モジュールと第2電池モジュールの接続図である。
【図10】電池監視システムにおけるデータ収集システムを示す系統図である。
【図11】電池システムの保護系統図を示す図面である。
【図12】電池システムのアラームリストである。
【図13】本発明の一実施形態に係る電池モジュールの接続状態を示す電池構成図面であり、(a)は不具合セルがない状態における接続構成図であり、(b)は不具合セルが生じた場合の接続構成図であり、(c)はセル数調整用モジュールを接続した状態における接続構成図である。
【図14】本発明の一実施形態に係る電池システムを備えた電気鉄道電力供給システムの系統図である。
【発明を実施するための形態】
【0038】
以下、本発明に係る電池システムの実施形態を図面に従って説明するが、本発明はこの実施形態に限定されるものではない。
【0039】
まず、第1電池モジュールBの一例を示した後に、第2電池モジュールB’の説明を行なう。
【0040】
図1は第1電池モジュールB(以下特に区別する必要がないときは、電池モジュールBと称す)の構造を示す部分破断側面図である。この電池モジュールBは、例えば、電気鉄道の変電所に設置されるものであって、好ましくは密閉式の角形電池である単位電池Cを、単位電池Cの厚み方向に複数個(本実施形態では30個)積層した電池積層体1と、電池積層体1を積層方向Xに締め付け固定するための側面板3、圧縮板5および締付けボルト7とを主要な構成要素として備えており、これら主要な構成要素が、絶縁素材からなるケーシング9によって覆われている。
【0041】
図2は、図1に示す単位電池Cの構造の一例を示す部分破断平面図である。単位電池Cは、セパレータ17と、正極部材18および負極部材19とを含む電極体10と、電極体10を電解液とともに収容する角形形状の収納容器13とを備えている。収納容器13は、絶縁素材からなる矩形の枠形部材14と、互いに対向して枠形部材14の二つの開口をそれぞれ覆う、導電素材からなる第1蓋部材15および第2蓋部材16とから構成されている。
【0042】
電極体10は、複数の正極部材18と複数の負極部材19とが、プリーツ状に折り曲げられたセパレータ17を介して所定の方向に交互に積層されて対向する積層構造を有している。収納容器13の第1蓋部材15および第2蓋部材16は、ニッケルめっきを施した鋼板で形成されており、正極部材18は第1蓋部材15に、負極部材19は第2蓋部材16に、それぞれ電気的に接続されている。つまり、第1および第2蓋部材15,16は、それぞれ、単位電池Cのプラス側の電気の集電体である正極板とマイナス側の電気の集電体である負極板とを兼ねている。
【0043】
また、単位電池Cには、単位電池Cの電圧を監視するための電圧監視端子46が設けられている。電圧監視端子46は、1対、つまり正極側と負極側とに各1つずつ設けてもよいが、電池モジュールBにおける隣接する単位電池Cの正極側と負極側とで、1つの端子46を共有することが好ましい。
【0044】
次に、単位電池Cを用いて構成した電池モジュールBの構造について説明する。本実施形態における電池モジュールBの電池積層体1は、図1に示すように、単位電池Cと導電板31とを積層したものであり、単位電池Cは隣接する単位電池Cの一方の第1蓋部材15(図2)と、他方の第2蓋部材16(図2)とが互いに対向する方向に積層されており、さらに、単位電池Cの間には導電板31が介在している。なお、本実施形態において、単位電池C毎に単位電池Cの両面に導電板31を介在させているが、2組の単位電池Cについて1つの導電板31を介在させてもよい。
【0045】
図3は、電池モジュールBの主要部分であるモジュール本体47を部分的に破断して示す斜視図である。なお、以下の説明において、電池積層体1の正極側(図3の手前側)を前側と呼び、負極側(図3の奥側)を後側と呼ぶ。電池積層体1の積層方向Xの両側面には、積層方向Xに沿って延びる一組の板状の部材として形成された側面板3が配置されて、電池積層体1の両側面を覆っている。側面板3の、積層方向Xの前端部と後端部には、それぞれ、板状の圧縮部材である圧縮板5が側面ボルト32によって固定されており、前後の各圧縮板5,5によって、電池積層体1の積層方向Xの前面および後面が覆われている。また、電池積層体1の積層方向Xの上方および下方には、積層方向Xに沿って延びる板状部材である上面板33および下面板34がそれぞれ配置されている。上面板33および下面板34がボルト連結して側面板3に固定されている。
【0046】
図4は図3のIV−IV線に沿った断面図である。図4に示すように、電池積層体1の前端部に位置する単位電池Cの第1蓋部材15の前側には、正極側の集電部材となる第1集電板35が、単位電池Cに重ね合わせて配置されている。さらにこの第1集電板35の前側には、絶縁板37が配置されている。
【0047】
電池積層体1の後端部も、前端部と同様の構造を有しており、電池積層体1の後端部に位置する単位電池Cの第2蓋部材16の後側には、負極側の集電部材となる第2集電板36が、単位電池Cに重ね合わせて配置されている。さらにこの第2集電板36の後側には、絶縁板37が配置されている。
【0048】
第1集電板35には、電池モジュールBの正極端子11として機能する正極端子ボルト45が螺合されている。そして、電池積層体1の後端部には、前端部と同様に負極端子12が第2集電板36に螺合されて取り付けられている。なお、導電板31には単位電池Cの発生する熱を外部に放出するための冷媒を通す通気孔38が設けられている。
【0049】
本実施形態において電池モジュールBは30の単位電池Cで構成されている。変電所の公称電圧が450Vである場合、単位電池当りの出力電圧が1.367Vとして、電池モジュールを11台直列に接続して電池システムを組めばよいことになる。もっとも、電池モジュールBを構成する単位電池Cの数は30に限定されるものでなく、また、電池システムを構成する電池モジュールBの数も11に限定されるものでない。システム仕様に合わせて適宜変更可能である。
【0050】
【数1】

【0051】
次に、第2電池モジュールB’(以下、セル数調整用電池モジュールと称す)の一実施形態について図5を用いて説明する。なお、電池モジュールBと共通の部分については説明を省略し、同一の符号を用いて示している。
【0052】
図5において、図5(a)は前記セル数調整用電池モジュールB’の平面図であり、図5(b)は同側面図である。図5に示す実施形態において、導電板31は単位電池Cの両側に設けてある。
【0053】
本実施形態においては、正極側集電部である第1集電板35と負極側集電部である第2集電板36の間であって、単位電池Cの間に中間集電体20が2つ、離れて設けられている。すなわち、中間集電体20の一方の面が単位電池Cの第1蓋部材15と接し、中間集電体20の他方の面が別の単位電池Cの第2蓋部材16に接するように中間集電体20が配置されている。そして、後端側の中間集電体20と第2集電板36の間に単位電池Cが9セル、前端側の中間集電体20と第1集電板35の間に単位電池Cが9セル、2つの中間集電体20の間に10セルと全部で28セルを積層してセル数調整用電池モジュールB’を構成している。中間集電体20は、電気の良導体であるアルミニウム(またはアルミニウム合金)にニッケルメッキが施されていることが好ましい。中間集電体20はアルミニウム(またはアルミニウム合金)に限定されるものでなく、電気の良導体であればよく、例えばステンレス等であってもよい。ニッケルメッキを施せば接触抵抗を軽減することができるが、メッキを施さなくてもよい。
【0054】
中間集電体20は電気の良導体であるので、隣接する単位電池Cの電気を効率よく隣接する単位電池Cに伝えることができる。
【0055】
中間集電体20の厚みが単位電池Cと2枚の導電板31を合わせた厚みに等しく作られているので、電池モジュールBにおいて、単位電池Cと導電板31を取り出して中間集電体20を組み付ければセル数調整用電池モジュールB’となるので、電池モジュールBの設計を流用することができ、部品や組み立ての共用化を図ることを可能にしている。電池モジュールBにおいて、2組の単位電池Cに1つの導電板31を組み合わせる場合は、中間集電体20の厚みを単位電池Cと1つの導電板31を合わせた厚みとなるようにすることができる。
【0056】
中間集電体20に、導電板31と同様に、冷媒を通すための通気孔38(図示せず)を設けてもよい。中間集電体20が電池の冷却に資することとなる。
【0057】
中間集電体20の上面のほほ中央部にねじ孔23が設けられていて、ねじ孔23の上方であってケーシング9の天板及び上面板33には、円形の開口9a、33aがそれぞれ形成されており、開口9a、33a内で、ねじ孔23に接続端子ボルト22が上方から螺合されて、接続端子21が中間集電体20に取り付けられている。そして、接続端子21にはケーブル(図示せず)が取り付け可能となっていて、セル数調整用モジュールB’の電圧を外部に取り出すことができる。
【0058】
開口9aの上面には、中央部に接続端子21を通す穴が開けられた絶縁体からなるふさぎ円板24が配されていて、外部から異物の混入を防止している。接続端子21を設けない中間集電体20の上方の開口9a、33aには、中央部に接続端子21を通す穴を有していないふさぎ円板25が配されている。
【0059】
セル数調整用電池モジュールB’は28セルより構成され前端部より9セルおよび後端部より9セルの位置に設けた接続端子21から電気が取り出し可能になっているが、後端部側を10セルとしてもよいし、前端部側を10セルとしてもよい。更に、中間集電体20および接続端子21は1〜4のいずれかであってよい。
【0060】
次に、単位電池Cを用いて構成した電池積層体1の構造のうち、導電板31の構造について説明する。本実施形態における電池積層体1は、図6に示すように、複数の単位電池Cと導電板31とを交互に積層したものであり、単位電池Cは、導電板31を介して隣接する単位電池Cの一方の第1蓋部材15と、他方の第2蓋部材16とが互いに対向する方向に積層されていることは既に説明した通りである。
【0061】
電池積層体1を示す平面図である図6(a)に示すように、導電板31には、4つの側面31aの一つである上側面または上側面と下側面の両方に開口して、複数のほぼ矩形の断面形状を有する係合孔39が形成されている。これら複数の係合孔39は、複数の係合孔39が形成する、左右方向Yに延びた係合孔列Lの当該列方向の位置が、単位電池Cの電圧監視端子46の係合孔列L方向の位置と重ならないように配置されている。
【0062】
また、電池積層体1の側面図である図6(b)に示すように、各導電板31の係合孔39は、電池積層体1の積層方向Xに直交する上下方向に延びる孔として形成されている。さらに、複数の導電板31のうち、積層方向Xの両端に位置する導電板31,31を除く導電板31の各係合孔39は、導電板31を積層方向Xと直交する方向に貫通する通気孔38として形成されている。電池モジュールBに設けられた図示しない電動ファンから送られた冷却空気を、通気孔38を通過させることにより、通気孔38が設けられた導電板31は、その両側に位置する単位電池Cを冷却する放熱板として機能する。一方、積層方向Xの両端に位置する導電板31,31は、それぞれ、電池積層体1全体の、正極側および負極側の集電板として機能する。
【0063】
次に、本実施形態に係る短絡部材について説明する。図7は、本実施形態で使用する短絡部材の一例を示す斜視図である。この短絡部材71は、板状の本体部71aに複数の係合突起71bを突設して構成したものである。本体部71aは直方体形状であり、係合突起71bは横断面四角形の角柱状である。図8は、本実施形態に係る外部短絡システムSの主要部である、1つの単位電池Cおよびその両隣に位置する導電板31,31からなるユニットに、短絡部材71を取り付けた状態を示す。正面図である図8(a)に示すように、各係合突起71bは、導電板31の係合孔39に係合するように、位置および形状が設定される。また、短絡部材71は導電性の素材で形成されており、側面図である図8(b)に示すように、各係合突起71bが、単位電池Cを介して隣り合う2つの導電板31,31の係合孔39に係合することによって、単位電池Cの正極集電体である第1蓋部材15と負極集電体である第2蓋部材16との間が短絡される。
【0064】
単位電池Cの第1蓋部材15と第2蓋部材16との間の短絡は、2つの導電板31,31のみを介して行ってもよいが、本実施形態では、図8(b)に示すように、短絡部材71の本体部71aの下面が、第1および第2蓋部材15,16の各折り曲げ部15b,16bの両方の上面に直接接触している。
【0065】
なお、図8(b)に示す、短絡部材71として、本体部71aの厚さt1を、導電板31の係合孔39の積層方向X寸法lとほぼ同一としたものを使用している。この場合、短絡部材71を、均一な厚さの素材から切り出した後、その係合突起71bを、本体部71aから折り曲げることによって作成しても、係合突起71bの積層方向Xの寸法t2を、係合孔39の積層方向X寸法lにほぼ一致させることができる。したがって、短絡部材71を容易かつ安価に製造することができる。
【0066】
次に、上記で説明した本発明の一実施形態に係る短絡部材の動作について説明する。
【0067】
図1に示す電池モジュールBにおいて、電池積層体1を構成する単位電池Cのいずれかに、過充電や過放電などの電池電圧の異常が検知された場合、ケーシング9の上部を取り外した後、図8に示すように、異常が検出された単位電池Cの両隣に配置された2つの導電板31,31の各係合孔39、39に、短絡部材71の係合突起71bを導電部材に係合させる。このとき、短絡部材71の本体部71aが、単位電池Cの第1および第2蓋部材15,16の各折り曲げ部15b,16bに接触する位置まで短絡部材71を押し込む。
【0068】
本実施形態においては、このように、簡単な構造の導電板31および短絡部材71を電池モジュールBに追加するのみで、確実に異常な単位電池Cを外部短絡させて、電池モジュールBが搭載される機器の動作を確保することができる。しかも、導電板31および短絡部材71の材質や寸法を変更することで、容易に、電池モジュールBが搭載される機器の放電条件に応じた外部短絡を実現することが可能となる。
【0069】
また、上記いずれの実施形態においても、導電板31のすべての係合孔39が、短絡部材71の各係合突起71bによって塞がれるようにすることができる。電池モジュールBの係合孔39は、電池モジュールBの充放電に直接関与するものではない。したがって、係合孔39が上記のように電池冷却のための通気孔として形成されている場合も含めて、単位電池Cに異常が発生した場合における応急的な措置としてこの単位電池Cを外部短絡させる場合には、すべての係合孔39に係合突起を係合させることにより、短絡部材71を確実に導電板31に取り付けることができるとともに、短絡部材71と導電板31との間の接触抵抗を低減して、大電流に対してもより効果的に外部短絡させることが可能になる。
【0070】
なお、導電板31に形成する係合孔39の数および形状は、上記で説明したものに限定されず、電池モジュールBが使用される機器の用途や仕様に応じて適宜変更してよい。さらには、短絡部材71の係合突起71bの数および形状も、係合孔39の数および形状に合わせて変更することができる。
【0071】
次に、本発明の一実施形態に係る電池モジュールの電気の取り出し方法について接続図を用いて説明する。
【0072】
図9(a)は電池モジュールBの電気の取り出し部を説明するための図面であり、単位電池Cと導電板31からなる電池積層体1が第1集電板35と第2集電板36との間に挟持されている。そして、第1集電板35の接続された正極端子11と第2集電板36に接続された負極端子12にはそれぞれケーブル64が接続されるようになっていて、隣接する電池モジュールBがケーブル64を介して互いに接続可能になっている。
【0073】
図9(b)はセル数調整用電池モジュールB’の電気の取り出し部を説明するための図面であり、接続端子21a、21b間および接続端子21a、21bと集電板35,36の間にはそれぞれ電池積層体1が挟持されている。そして、接続端子21a、21bには電気を外部に取り出すためのケーブル66a、66bが取り付けられるようになっており、第2集電板36に接続された負極端子は接続端子21cとして電気を外部に取り出すためのケーブル66cが取り付けられるようになっている。そして、第1集電板35の接続された正極端子11にはケーブル64が取り付けられるようになっていて、ケーブル64により隣接する電池モジュールBの負極端子12に接続可能となっている。
【0074】
図9(c)は、本発明の一実施形態に係る電池システムAの接続状態を説明するための図面である。複数の電池モジュールBはケーブル64により互いに直列に接続されている。最高圧側(図で左端)の電池モジュールBの正極端子11にはケーブル65が接続されるようになっていて、最低圧側(図で右端)の電池モジュールBの負極端子12にはケーブル64を介してセル数調節用電池モジュールB’の正極端子11と接続可能となっている。これにより、電池システムAの高い電圧側の電気はケーブル65を介して、低い電圧側はケーブル66を介して外部に取り出し可能となっている。
【0075】
次に、本発明に係る電池システムの保護監視について、図10および図11を用いて説明する。図10は電池の状態を監視するためのデータ収集システムの構成図であり、電池モジュールBに設けられた電池監視装置48により電池の状態が監視される。すなわち、
【0076】
図10に示すように、各単位電池Cにはセル電圧計51が取り付けられており、電池監視装置48に配線52を介して接続されおり単位電池Cの出力電圧が計測可能になっている。そして、電池モジュールBには、それぞれ、モジュール温度計53とモジュール圧力計55とが取り付けられていて、配線54、56を介して電池監視装置48に接続されており電池モジュールBの温度と圧力が計測可能となっている。
【0077】
電池監視装置48は各単位電池(セル)の状態監視を行うとともに、電池の充電状態を示すSOCの計算も行う。
【0078】
なお、以降特に説明はしないが、セル数調整用電池モジュールB’にも、電池モジュールBと同様に、セル電圧計51、モジュール温度計53、モジュール圧力計55が取り付けられており、更には、短絡部材71により不具合セルが短絡可能になっている。
【0079】
図11は本発明に係る電池システムを電気鉄道電力供給システムに適用した場合の全体システムの系統図である。ケーブル65に取り付けられたシステム電圧計57が配線58を介して電池監視装置48に接続されており電池システム108の出力電圧が計測可能になっており、ケーブル66に取り付けられたシステム電流計59が配線60を介して電池監視装置48に接続されており電池システム108を流れる電流が計測可能となっている。
【0080】
電池監視装置48は、各検出器からの信号を監視して、軽度の異常であれば警報を発生し、重度の異常であれば警報を発生するとともに電池システム108の運転を停止する。図12に電池システム108における警報の種類と警報値とをまとめたものをアラームリストとして示す。電池監視装置48において、軽故障と判定出力されると警報音を発すると共に異常内容が表示装置(図示せず)に表示される。重故障と判定されると警報音を発すると共に異常内容が表示装置(図示せず)に表示され、電池システム108のプラス側に設置された遮断器115aとマイナス側に設置された遮断器115bを開路して電池システム108からき電線105に流れる電流を遮断する。
【0081】
限流リアクトル116は遮断器115を流れる電流の抑制をする。システム電流計59により過電流を検出した場合も遮断器115を開路する。なお、単位電池には個別にセル電圧計51が設けられているので、どのセルに不具合が生じたかわかる。
【0082】
次に、本発明の一実施形態に係る電池システムの運用について、図13の接続構成図を用いて説明する。
【0083】
図13(a)は、性能の劣化した不具合セル68がない状態における電池システム108の接続構成図である。この場合は、電池モジュールBが11台直列に接続されて、ケーブル65、66を介してそれぞれプラス側の電気、マイナス側の電気が外部に取り出される。セル数調整用電池モジュールB’は使用されない。この状態では、前述したように電池システムの出力電圧は30×1.367V×11=451Vとなる。
【0084】
充放電サイクルを繰り返す過程で、極端に性能劣化した単位電池が発生した場合、劣化した単位電池が電池モジュールの性能に悪影響を及ぼすこととなる。性能の劣化した不具合セル68が生じていて、セル数の調整が行われる前の電池システム108の接続状態を図13(b)に、セル数の調整を行った後の電池システム108の接続状態を図13(c)に示す。
【0085】
不具合セル68による電池モジュールBへの悪影響を防止するために単位電池Cの正極と負極の間を短絡部材71で短絡して劣化した不具合セル68を電池モジュールBから除外する(図13(c))。図では9セルが短絡部材71により短絡されている。この場合、電池システム108の出力電圧は、1.367V×9=12.3V低下する。電池システムの出力電圧の低下は、これを利用する機器の性能に悪影響を及ぼし、電車等の運行にも支障をきたすことがある。これを防止するためにセル数調整用電池モジュールB’を用いて電池システムの電圧の確保を図る。
【0086】
図13(c)において、セル数調整用電池モジュールB’の正極端子11と最低圧側の電池モジュールBの負極端子12をケーブル64で接続して、セル数調整用電池モジュールB’の接続端子21aにケーブル66aを接続する。これによりセル数調整用電池モジュールB’の正極端子11と接続端子21aの間の単位電池9台が新たに追加されるので、ケーブル65とケーブル66a間の電池システム108の出力電圧は所定の値に確保される。
【0087】
セル数の調整は適宜行うことができる。例えば、終業時とか定期点検時において、電池監視装置48において、性能の低下したセルを選定して、別途用意した短絡装置(図示せず)により完全に放電をさせた後、短絡部材71を用いて不具合セルを短絡する。不具合セルの選定に際してはセル毎に設けたセル電圧計51の計測値から出力電圧の低い順に9セルを選んでもよい。目視等で不具合のセルがある場合は、これと出力電圧の低い順に8セルを加えて、都合9セルを選んでもよい。
【0088】
次に、セル数調整用電池モジュールB’の9セルを別途設けた充電器にて充電する。すなわち、電池監視装置48は電池の状態を計測しているのですべてのセルのSOCを算出している。正常な電池のSOCの平均値となるように追加する9セルの充電を行う。
【0089】
不具合セル68が19個となったときは、ケーブル66は接続端子21bに接続され、28個となったときは接続端子21c(セル数調整用電池モジュールの負極端子)に接続されることとなる。
【0090】
電池監視装置48は、単位電池等の状態を監視して、警報を発令し、遮断器を動作させるところ、短絡部材で短絡したセルの出力電圧は重故障の下限値以下であるので、間違って遮断器を動作させることが考えられる。これを防止するために、短絡部材71で短絡したセルは警報から除外する必要がある。このような操作は電池監視装置48において、設定画面より手動で行うことができる。手動により行う代わりに好ましくは自動で行うことも可能である。自動にすればヒューマンエラーを防ぐことができる。具体的には、セル電圧が極めて小さい電圧が継続すれば、警報対象から除外する。より詳細には、セル電圧0.01V以下が連続して6回以上計測された場合であるが、これらの数値は適宜変更が可能である。
【0091】
図14は本発明の実施形態の電池システムを備えた電気鉄道電力供給システムの概略構成図である。
【0092】
電気鉄道用変電所100は、本発明に係る電池システム108がき電線105を介して架線109に直結されている。電池システム108は、その正極端子11がき電線105に接続され、負極端子12が帰線107に接続されている。電池システム108は、充放電電圧を制御する充放電制御装置を介さずに架線109に接続されている。
【0093】
電気鉄道電力供給システム99は、電力会社等からの交流電源101から交流電力回線102を介して受電する変圧器103と、変圧器103に接続された整流装置104とを備え、整流装置104は、その正側端子が架線109に接続され、負側端子が帰線107に接続されている。
【0094】
整流装置104から出力される直流電力は、き電線105から架線109を介して電気車両110に供給される。電気車両110では、供給される直流電力を、例えば車上の電力制御装置112によって交流に変換し、走行用の電動機113や補機に供給する。
【0095】
例えば、電気車両110が制動状態にある回生車両であり、他に回生電力を必要する電気車両がなければ、架線電圧が上昇して、回生電力は電池システム108に充電される。一方、電気車両110が加速車両であるとき、架線電圧が低下すれば、電池システム108から架線109を介して加速車両へ電力が供給される。
【0096】
要するに、電池システム108では、架線109と帰線107との間の電圧が、電池システム108の電池電圧より高いときに充電し、低いときに放電する。このように、電池システム108は、架線109における電力の過不足を補償するように働き、省エネと電気車両の運行の確保を実現する。
【産業上の利用可能性】
【0097】
本発明に係る電池システムは、地上蓄電設備や車両搭載用蓄電池設備をはじめ、例えば、交流電力回線から受電する変圧器と該変圧器に接続された整流装置と該整流装置に接続された架線とを有する電気鉄道用の変電所において電池システムが前記架線に直結されている電気鉄道用電力供給システム、もしくは、LRV(Light Rail Transit)や路面電車、もしくは、自然エネルギーによる発電設備を連系したスマートグリッドに利用することができる。また、メンテナンス技術として有用に利用することができる。
【符号の説明】
【0098】
1 電池積層体
3 側面板
5 圧縮板
7 締付けボルト
9 ケーシング
10 電極体
11 正極端子
12 負極端子
13 収納容器
14 枠形部材
15 第1蓋部材(正極板)
16 第2蓋部材(負極板)
17 セパレータ
18 正極部材
19 負極部材
20 中間集電体
21 接続端子
21a・21b・21c接続端子
22 接続端子ボルト
23 ねじ孔
31 導電板
31a 側面
33 上面板
34 下面板
35 第1集電板
36 第2集電板
38 通気孔
39 係合孔
46 電圧監視端子
48 電池監視装置
51 セル電圧計
52、54,56,58,60 配線
53 モジュール温度計
55 モジュール圧力計
57 システム電圧計
59 システム電流計
64 モジュール接続ケーブル
65 ケーブル(プラス側)
66 ケーブル(マイナス側)
68 不具合セル
71 外部短絡部材
71a 本体部
71b 係合突起
99 電気鉄道電力供給システム
100 電気鉄道用変電所
101 交流電源
102 交流電力回線
103 変圧器
104 整流装置
105 き電線
107 帰線
108 電池システム
109 架線
110 電気車両
112 電力制御装置
113 電動機
115 遮断器
116 限流リアクトル
A 電池システム
B 電池モジュール(第1電池モジュール)
B’セル数調整用電池モジュール(第2電池モジュール)
C 単位電池
S 外部短絡システム
L 係合孔列

【特許請求の範囲】
【請求項1】
単位電池を複数積層してなる第1電池モジュールと、
前記第1電池モジュールに直列接続され、前記単位電池を複数積層してなる電池モジュールの正極端子と負極端子の間に電気を取り出すための接続端子を設けた第2電池モジュールと、
前記単位電池における、前記第1および第2電池モジュールの積層方向に互いに対向して設けられた正極板と負極板との間を短絡させる短絡部材とを備えた電池システムであって、
前記短絡部材により短絡された前記単位電池の数に応じて前記第2電池モジュールから電気を取り出すための端子を選択することにより電池システムの出力電圧が調整可能であるメンテナンスを考慮した電池システム。
【請求項2】
前記単位電池の出力電圧を計測するセル電圧計と、
前記セル電圧計からの信号を受信する電池監視装置と、を備えていて、
前記セル電圧計の電圧値が所定の値より小さいときに、前記電池システムの出力に設けた遮断器を作動させる請求項1に記載のメンテナンスを考慮した電池システム。
【請求項3】
前記セル電圧計の電圧値から単位電池が短絡状態であると判断されるときは、
当該セル電圧の電圧値により前記遮断器を作動させない請求項1または2に記載のメンテナンスを考慮した電池システム。
【請求項4】
前記第2電池モジュールにおいて、隣接する前記単位電池の間に中間集電体を設け、当該中間集電体に前記接続端子を取り付けてなる請求項1〜3のいずれか1項に記載のメンテナンスを考慮した電池システム。
【請求項5】
前記第2電池モジュールが板状の導電部材と前記単位電池とが交互に積層しており、
前記中間集電体の厚みが前記単位電池と前記導電部材の厚みに等しい請求項1〜4のいずれか1項に記載のメンテナンスを考慮した電池システム。
【請求項6】
前記導電部材に、前記第1および第2電池モジュールの積層方向に直交して延びる係合孔が形成されており、
前記短絡部材は、板状の本体部と、該本体部に突設され前記単位電池を介して隣り合う2つの前記導電部材の各係合孔に係合する係合突起とを有する請求項1〜5のいずれか1項に記載のメンテナンスを考慮した電池システム。
【請求項7】
前記導電部材の前記係合孔が気体又は液体からなる冷媒の流通経路を構成しており、冷媒を流すことにより前記導電部材を介して前記単位電池の冷却が可能である請求項1〜6のいずれか1項に記載のメンテナンスを考慮した電池システム。
【請求項8】
前記電池監視装置は、前記単位電池を流れる電流を計測する電流計からの信号を受信して、前記単位電池のSOCを計算するとともに、
前記第2電池モジュールにおいて新しく供用になる単位電池のSOCが前記短絡部材で短絡されていない単位電池のSOCと同じになるように充電を行う充電器を備えた請求項1〜7のいずれか1項に記載のメンテナンスを考慮した電池システム。
【請求項9】
交流電力回線から受電する変圧器と該変圧器に接続された整流装置と該整流装置に接続されたき電線とを有する電気鉄道用の変電所において、
請求項1〜7のいずれか1項に記載の電池システムを前記き電線に直結してなる電気鉄道用電力供給システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【公開番号】特開2012−234684(P2012−234684A)
【公開日】平成24年11月29日(2012.11.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−101890(P2011−101890)
【出願日】平成23年4月28日(2011.4.28)
【出願人】(000000974)川崎重工業株式会社 (1,710)
【Fターム(参考)】