説明

モータ制御システム

【課題】定格出力が異なる2つのモータを全領域で効率よく駆動させる。
【解決手段】モータ制御システム1のECU8は、記憶部9とCPU10とを有する。記憶部9には、小出力及び大出力モータ4a,4bの全体のモータ効率に基づいて予め設定された第1〜第4領域の境界を示す境界トルクTx〜Tzが記憶される。CPU10の判定部12は、要求トルクTnと境界トルクTx〜Tzとを比較して、モータ回転数Nと要求トルクTnとが属する領域を判定する。CPU10の制御部13は、判定された領域が第1領域の場合には、小出力モータ4aのみを駆動し、第2領域の場合には、小出力モータ4aが最大トルクTamaxを出力する状態で2つのモータ4a,4bを駆動し、第3領域の場合には、大出力モータ4bのみを駆動し、第4領域の場合には、小出力モータ4aが最大トルクTamaxを出力する状態で2つのモータ4a,4bを駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両に搭載される定格出力が互いに異なる2つのモータの駆動を制御するモータ制御装置に関する。
【背景技術】
【0002】
特開平5−76106号公報には、大出力のモータと小出力のモータとを、これら2つのモータの最大トルクと車速を保つのに必要な必要トルクとの差を小さくするように選択的に駆動させ、モータの効率を向上させる電気自動車の駆動装置が記載されている。この駆動装置では、必要トルクが、小出力のモータの最大トルク未満である場合には、小出力のモータのみが駆動され、小出力のモータの最大トルク以上で大出力のモータの最大トルク未満である場合には、大出力のモータのみが駆動され、大出力のモータの最大トルク以上である場合には、大出力のモータでのトルク不足分を小出力のモータが補うように2つのモータが駆動される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平5−76106号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
2つのモータを適宜駆動する場合の全体のモータ効率は、使用する個々のモータの効率特性によって変わる。このため、上記のように、出力の小さいモータの最大トルク以上で出力の大きいモータの最大トルク未満であるトルク領域において、出力の大きいモータのみを駆動することや、出力の大きいモータの最大トルク以上であるトルク領域において、出力の大きいモータでのトルク不足分を出力の小さいモータが補うように2つのモータを駆動することが、全体のモータ効率の向上に十分寄与しない可能性がある。
【0005】
そこで、本発明は、車両に搭載される定格出力が互いに異なる2つのモータを、各モータの効率特性に応じて効率よく駆動させることが可能なモータ制御システムの提供を目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記目的を達成すべく、本発明の第1の態様は、定格出力が互いに異なる2つのモータの駆動を制御するモータ制御システムであって、小出力モータ及び大出力モータと記憶手段と制御手段とを備える。
【0007】
小出力モータ及び大出力モータは、車両の走行に必要な要求トルクを1つの駆動軸に対して出力し、1つの駆動軸を駆動する際のモータ回転数が等しく、且つ定格出力が互いに異なる(小出力モータの定格出力の方が大出力モータの定格出力よりも小さい)モータである。
【0008】
記憶手段には、モータ回転数とトルクとによって規定される複数の領域として、小出力モータの各モータ回転数に対応する最大トルクを高トルク側の境界とする第1領域と、第1領域の高トルク側に隣接する第2領域と、第2領域の高トルク側に隣接する第3領域とが記憶される。
【0009】
制御手段は、車両走行時のモータ回転数と要求トルクとが第1領域に属する場合には、要求トルクが全て配分されるように小出力モータを駆動し、第2領域に属する場合には、モータ回転数に対応する小出力モータの最大トルクが小出力モータに配分され、要求トルクから小出力モータの最大トルクを減算したトルクが大出力モータに配分されるように小出力及び大出力モータを駆動し、第3領域に属する場合には、要求トルクが全て配分されるように大出力モータを駆動する。
【0010】
所望のトルクを1つの駆動軸に対して出力し、1つの駆動軸を駆動する際のモータ回転数が等しく、且つ定格出力が互いに異なる2つのモータの中には、任意の回転数における2つのモータの全体としての効率が、出力トルクが定格出力の小さいモータ(小モータ)の最大トルク以下であるトルク領域では、小モータのみを駆動する場合が高く、小モータの最大トルクを超え定格出力が大きいモータ(大モータ)の最大トルク以下であるトルク領域のうち低トルク側では、小モータが最大トルクを出力する状態で2つのモータを駆動する場合が高く、当該トルク領域のうち高トルク側では、大モータのみを駆動する場合が高くなるという特性を有するものがある。
【0011】
上記構成では、任意のモータ回転数において、出力トルクが小出力モータの最大トルク以下である第1領域では、小出力モータのみが駆動され、第1領域の高トルク側に隣接する第2領域では、小出力モータが最大トルクを出力する状態で小出力及び大出力モータが駆動され、第2領域の高トルク側に隣接する第3領域では、大出力モータのみが駆動される。このように、小出力及び大出力モータは上述の効率に対応して駆動されるので、小出力及び大出力モータが上述のような効率特性を有する場合に、小出力及び大出力モータの全体としての効率(全体のモータ効率)を向上させることができる。
【0012】
また、第1領域では、要求トルクが全て配分されるように小出力モータを駆動するときの方が、要求トルクが全て配分されるように大出力モータを駆動するときよりもモータ効率が高く、第2領域では、モータ回転数に対応する小出力モータの最大トルクが小出力モータに配分され、要求トルクから小出力モータの最大トルクを減算したトルクが大出力モータに配分されるように小出力及び大出力モータを駆動するときの方が、要求トルクが全て配分されるように大出力モータを駆動するときよりもモータ効率が高く、第3領域では、要求トルクが全て配分されるように大出力モータを駆動するときの方が、モータ回転数に対応する小出力モータの最大トルクが小出力モータに配分され要求トルクから小出力モータの最大トルクを減算したトルクが大出力モータに配分されるように小出力及び大出力モータを駆動するときよりもモータ効率が高くてもよい。
【0013】
上記構成では、小出力モータのみを駆動するトルク配分と、小出力モータが最大トルクを出力する状態で小出力及び大出力モータを駆動するトルク配分と、大出力モータのみを駆動するトルク配分とのうち、第1〜第3領域の各領域において、任意のモータ回転数における全体のモータ効率が最も高くなるトルク配分に小出力及び大出力モータの駆動が制御される。従って、全体のモータ効率を更に向上させることができる。
【0014】
また、記憶手段に記憶される複数の領域は、第3領域の高トルク側に隣接する第4領域をさらに含んでもよい。第4領域では、モータ回転数に対応する小出力モータの最大トルクが小出力モータに配分され、要求トルクから小出力モータの最大トルクを減算したトルクが大出力モータに配分されるように小出力及び大出力モータを駆動するときの方が、要求トルクが全て配分されるように大出力モータを駆動するときよりもモータ効率が高い。制御手段は、車両走行時のモータ回転数と要求トルクとが第4領域に属する場合には、モータ回転数に対応する小出力モータの最大トルクが小出力モータに配分され、要求トルクから小出力モータの最大トルクを減算したトルクが大出力モータに配分されるように小出力及び大出力モータを駆動する。
【0015】
上記構成では、任意のモータ回転数において、第3領域の高トルク側に隣接する第4領域では、小出力モータが最大トルクを出力する状態で小出力及び大出力モータが駆動される。第4領域では、小出力モータが最大トルクを出力する状態で小出力及び大出力モータを駆動するトルク配分と、大出力モータのみを駆動するトルク配分とのうち、任意のモータ回転数における全体のモータ効率が高くなるトルク配分に小出力及び大出力モータの駆動が制御される。従って、全体のモータ効率を更に向上させることができる。
【0016】
本発明の第2の態様は、定格出力が互いに異なる2つのモータの駆動を制御するモータ制御システムであって、小出力モータ及び大出力モータと記憶手段と制御手段とを備える。
【0017】
小出力モータ及び大出力モータは、車両の走行に必要な要求トルクを1つの駆動軸に対して出力し、1つの駆動軸を駆動する際のモータ回転数が等しく、且つ定格出力が互いに異なる(小出力モータの定格出力の方が大出力モータの定格出力よりも小さい)モータである。
【0018】
記憶手段には、モータ回転数とトルクとによって規定される複数の領域として、低トルク側の低トルク領域と、低トルク領域の高トルク側に隣接する中トルク領域と、中トルク領域の高トルク側に隣接する高トルク領域とが記憶される。
【0019】
制御手段は、車両走行時のモータ回転数と要求トルクとが低トルク領域に属する場合には、要求トルクが全て配分されるように小出力モータを駆動し、中トルク領域に属する場合には、要求トルクが全て配分されるように大出力モータを駆動し、高トルク領域に属する場合には、モータ回転数に対応する小出力モータの最大トルクが小出力モータに配分され、要求トルクから小出力モータの最大トルクを減算したトルクが大出力モータに配分されるように小出力及び大出力モータを駆動する。
【0020】
所望のトルクを1つの駆動軸に対して出力し、1つの駆動軸を駆動する際のモータ回転数が等しく、且つ定格出力が互いに異なる2つのモータの中には、任意の回転数における2つのモータの全体としての効率が、出力トルクが低いトルク領域では、小モータのみを駆動する場合が高く、当該トルク領域の高トルク側に隣接するトルク領域では、大モータのみを駆動する場合が高く、当該トルク領域の高トルク側に隣接するトルク領域では、小モータが最大トルクを出力する状態で2つのモータを駆動する場合が高くなるという特性を有するものがある。
【0021】
上記構成では、任意のモータ回転数において、出力トルクが低い低トルク領域では、小出力モータのみが駆動され、低トルク領域の高トルク側に隣接する中トルク領域では、大出力モータのみが駆動され、中トルク領域の高トルク側に隣接する高トルク領域では、小出力モータが最大トルクを出力する状態で小出力及び大出力モータが駆動される。このように、小出力及び大出力モータは上述の効率に対応して駆動されるので、小出力及び大出力モータが上述のような効率特性を有する場合に、全体のモータ効率を向上させることができる。
【0022】
また、低トルク領域では、要求トルクが全て配分されるように小出力モータを駆動するときの方が、要求トルクが全て配分されるように大出力モータを駆動するときよりもモータ効率が高く、中トルク領域では、要求トルクが全て配分されるように大出力モータを駆動するときの方が、要求トルクが全て配分されるように小出力モータを駆動するとき、又はモータ回転数に対応する小出力モータの最大トルクが小出力モータに配分され要求トルクから小出力モータの最大トルクを減算したトルクが大出力モータに配分されるように小出力及び大出力モータを駆動するときよりもモータ効率が高く、高トルク領域では、モータ回転数に対応する小出力モータの最大トルクが小出力モータに配分され、要求トルクから小出力モータの最大トルクを減算したトルクが大出力モータに配分されるように小出力及び大出力モータを駆動するときの方が、要求トルクが全て配分されるように大出力モータを駆動するときよりもモータ効率が高くてもよい。
【0023】
上記構成では、小出力モータのみを駆動するトルク配分と、小出力モータが最大トルクを出力する状態で小出力及び大出力モータを駆動するトルク配分と、大出力モータのみを駆動するトルク配分とのうち、低トルク領域、中トルク領域及び高トルク領域の各領域において、任意のモータ回転数における全体のモータ効率が最も高くなるトルク配分に小出力及び大出力モータの駆動が制御される。従って、全体のモータ効率を更に向上させることができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、車両に搭載される定格出力が互いに異なる2つのモータを、各モータの効率特性に応じて効率よく駆動させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】第1実施形態のモータ制御システム1を模式的に示すブロック構成図である。
【図2】小出力及び大出力モータ4a,4bの全体としてのモータ効率を示す図である。
【図3】任意のモータ回転数に対応する境界トルクTx〜Tz及び第1〜第4領域を示す図である。
【図4】モータ制御処理を示すフローチャートである。
【図5】第1及び第2モータの全体としてのモータ効率を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の第1実施形態のモータ制御システムについて図面を参照して説明する。
【0027】
図1に示すように、モータ制御システム1は、2つのモータの駆動を制御するものであり、小出力モータ4a及び大出力モータ4bとともに車両に搭載される。モータ制御システム1は、バッテリ2と、第1インバータ3a及び第2インバータ3bと、小出力モータ4a及び大出力モータ4bと、アクセル開度センサ6と、回転数検出センサ7と、ECU(Electric Control Unit)8とを備える。
【0028】
バッテリ2には、充電スタンド等で充電された電力や小出力及び大出力モータ4a,4bが減速時等に発電する電力が蓄電される。第1インバータ3a及び第2インバータ3bは、後述するECU8からの制御信号に応じてバッテリ2から小出力モータ4a及び大出力モータ4bへ供給する電力を調節する。
【0029】
小出力モータ4a及び大出力モータ4bは、発電手段と電動手段との双方として機能するモータジェネレータであり、回転軸を有するロータとコイルを有するステータとを備える。小出力及び大出力モータ4a,4bは、定格出力が互いに異なり、小出力モータ4aの最大トルクTamaxは、例えば回転数が0のとき100N・mであり、大出力モータ4bの最大トルクTbmaxは、例えば回転数が0のとき500N・mである。なお、小出力及び大出力モータ4a,4bの定格出力は、これら2つのモータ4a,4bを搭載する車両の走行頻度の高い負荷領域と、これら2つのモータ4a,4bのうち一方の効率が高い領域とが一致するように選定している。
【0030】
小出力モータ4a及び大出力モータ4bは並列状態に配置され、一端が動力継手部5に連結される。動力継手部5は、小出力及び大出力モータ4a,4bの各回転軸にそれぞれ取り付けられた駆動ギアと、これら2つの駆動ギアに駆動されプロペラシャフト14に連結する被駆動ギアとを有し、小出力及び大出力モータ4a,4bは等しい回転数で駆動される。小出力及び大出力モータ4a,4bは、車両の走行に必要な要求トルクTnを適宜分担して出力する。小出力モータ4aは、バッテリ2から第1インバータ3aを介して供給される電力によって駆動し、分担トルクTaを出力する。大出力モータ4bは、バッテリ2から第2インバータ3bを介して供給される電力によって駆動し、分担トルクTbを出力する。小出力及び大出力モータ4a,4bが出力する分担トルクTa,Tbは、動力継手部5を介してプロペラシャフト14に伝達される。プロペラシャフト14は、ディファレンシャルギア15及びアクスルシャフト16a,16bを介して駆動輪17a,17bに連結されており、駆動輪17a,17bは、小出力及び大出力モータ4a,4bから出力された要求トルクTn(Tn=Ta+Tb)によって回転し、車両が走行する。
【0031】
アクセル開度検出センサ6は、所定時間毎に、車両の運転手が操作したアクセルペダルの踏み込み量(アクセル開度)Aを検出する。
【0032】
回転数検出センサ7は、所定時間毎に、小出力及び大出力モータ4a,4bの回転数(モータ回転数)Nを検出する。
【0033】
ECU(Electric Control Unit)8は、記憶部9とCPU(Central Processing Unit)10とを有する。
【0034】
記憶部9は、例えばRAM(Random Access Memory)などの記録媒体によって構成され、CPU10がモータ制御処理を実行するためのモータ制御処理実行プログラムを含む各種プログラムや各種データが記憶される。モータ制御処理実行プログラムには、境界トルクマップと回転数−トルク特性マップとトルク配分情報とが含まれる。境界トルクマップには、小出力及び大出力モータ4a,4bのモータ回転数と出力トルクとによって規定される第1〜第4領域(複数の領域)の各境界を示す境界トルクTx〜Tzが記憶される。回転数−トルク特性マップには、小出力モータ4aの任意のモータ回転数に対応する最大トルクTamaxが記憶される。トルク配分情報には、各領域における小出力及び大出力モータ4a,4bの分担トルクTa,Tbを算出する所定の演算式が記憶される。また、これら2つのマップやトルク配分情報は、モータ制御処理実行プログラムとは別に記憶部9に記憶されてもよい。
【0035】
ここで、第1〜第4領域について、図2及び図3を参照して説明する。第1〜第4領域は、小出力及び大出力モータ4a,4bのモータ回転数と出力トルクとによって規定され、小出力及び大出力モータ4a,4bの全体としてのモータ効率(全体のモータ効率)が全領域で向上するように、小出力及び大出力モータ4a,4bを異なる2つの駆動状態で駆動させた場合の全体のモータ効率を比較して予め設定される。小出力及び大出力モータ4a,4bの2つの駆動状態とは、任意のモータ回転数において、小出力モータ4aの最大トルクTamax以下のトルク領域では小出力モータ4aのみを駆動し、最大トルクTamaxを超えるトルク領域では小出力モータ4aが最大トルクTamaxを出力する状態で小出力及び大出力モータ4a,4bを駆動する第1の駆動状態と、小出力モータ4aの最大トルクTamaxに関わらず大出力モータ4bのみを駆動する第2の駆動状態とである。図2は、全体のモータ効率を示す図である。図2の曲線L1は、小出力及び大出力モータ4a,4bを2000rpmで第1の駆動状態で駆動する場合の全体のモータ効率を示し、曲線L2は、小出力及び大出力モータ4a,4bを2000rpmで第2の駆動状態で駆動する場合の全体のモータ効率を示す。図3は、任意のモータ回転数に対応する境界トルクTx〜Tz及び第1〜第4領域を示す図である。
【0036】
図2に示すように、小出力及び大出力モータ4a,4bを、そのモータ回転数Nを2000rpmに設定し、第1及び第2の駆動状態で駆動する場合、全体のモータ効率は、境界トルクTy以下のトルク領域では、第1の駆動状態(曲線L1)の方が高く、境界トルクTy〜Tzのトルク領域では、第2の駆動状態(曲線L2)の方が高く、境界トルクTzを超えるトルク領域では第1の駆動状態(曲線L1)の方が高くなる。このため、小出力及び大出力モータ4a,4bは、境界トルクTx〜Tzで駆動状態を切り替え、境界トルクTx以下のトルク領域(第1領域)では、小出力モータ4aのみを駆動し、境界トルクTx〜Tyのトルク領域(第2領域)では、小出力モータ4aが最大トルクTamaxを出力する状態で小出力及び大出力モータ4a,4bを駆動し、境界トルクTy〜Tzのトルク領域(第3領域)では、大出力モータ4bのみを駆動し、境界トルクTzを超えるトルク領域(第4領域)では、小出力モータ4aが最大トルクTamaxを出力する状態で小出力及び大出力モータ4a,4bを駆動することによって、全領域で効率よく駆動される。従って、第1〜第4領域は、境界トルクTx〜Tzで区画される領域として設定され、境界トルクTx〜Tzは境界トルクマップに記憶される。また、これら4つの領域は、その詳細な説明は省略するが、2000rpm以外の任意のモータ回転数についてもそれぞれ設定され、境界トルクマップに記憶される。なお、任意のモータ回転数に対応する境界トルクTx〜Tz及び4つの領域は図3に示すとおりである。
【0037】
モータ制御処理を実行するCPU10は、演算部11、判定部12及び制御部13として機能する。
【0038】
演算部11には、第1演算部と第2演算部とが含まれる。第1演算部は、アクセル開度検出センサ6が検出したアクセル開度Aを所定の演算式に代入して、車両の走行に必要な要求トルクTnを演算する。第2演算部は、小出力及び大出力モータ4a,4bが分担トルクTa,Tbを出力するために必要な電力を演算する。
【0039】
判定部12は、回転数検出センサ7が検出したモータ回転数Nと演算部11(第1演算部)が演算した要求トルクTnとが第1〜第4領域のうち何れの領域に属するかを判定する。具体的には、判定部12は、記憶部9に記憶された境界トルクマップを参照して、回転数検出センサ7が検出したモータ回転数Nに対応する境界トルクTx〜Tzを決定し、決定した境界トルクTx〜Tzと演算部11(第1演算部)が演算した要求トルクTnとを比較して判定する。判定部12は、要求トルクTnと境界トルクTxとを比較し、要求トルクTnが境界トルクTx以下である場合には、モータ回転数Nと要求トルクTnとは第1領域に属すると判定する。要求トルクTnが境界トルクTxを超える場合には、判定部12は、要求トルクTnと境界トルクTyとを比較し、要求トルクTnが境界トルクTy以下である場合には、モータ回転数Nと要求トルクTnとは第2領域に属すると判定する。要求トルクTnが境界トルクTyを超える場合には、判定部12は、要求トルクTnと境界トルクTzとを比較し、要求トルクTnが境界トルクTz以下である場合は、モータ回転数Nと要求トルクTnとは第3領域に属すると判定し、要求トルクTnが境界トルクTzを超える場合には、モータ回転数Nと要求トルクTnとは第4領域に属すると判定する。
【0040】
制御部13は、判定部12が判定した領域に応じて、要求トルクTnを小出力及び大出力モータ4a,4bに配分して、小出力及び大出力モータ4a,4bの少なくとも一方を駆動する。具体的には、判定部12が判定した領域が第1領域の場合には、制御部13は、要求トルクTnを小出力モータ4aのみに配分して、小出力モータ4aが分担トルクTa=Tnを出力するために必要な電力をバッテリ2から小出力モータ4aに供給させる制御信号を第1インバータ3aに出力するとともに、バッテリ2から大出力モータ4bへの電力の供給を遮断する制御信号を第2インバータ3bに出力する。第2領域の場合には、制御部13は、記憶部9に記憶された回転数−トルク特性マップを参照して、モータ回転数Nに対応する小出力モータ4aの最大トルクTamaxを取得し、取得した最大トルクTamaxを小出力モータ4aに配分し、要求トルクTnに対して不足するトルクTn−Tamaxを算出して大出力モータ4bに配分する。制御部13は、小出力モータ4aが分担トルクTa=Tamaxを出力するために必要な電力をバッテリ2から小出力モータ4aに供給させる制御信号を第1インバータ3aに出力し、大出力モータ4bが分担トルクTb=Tn−Tamaxを出力するために必要な電力をバッテリ2から大出力モータ4bに供給させる制御信号を第2インバータ3bに出力する。また、第3領域の場合には、制御部13は、要求トルクTnを大出力モータ4bのみに配分して、バッテリ2から小出力モータ4aへの電力の供給を遮断する制御信号を第1インバータ3aに出力するとともに、大出力モータ4bが分担トルクTb=Tnを出力するために必要な電力をバッテリ2から大出力モータ4bに供給させる制御信号を第2インバータ3bに出力する。第4領域の場合には、制御部13は、記憶部9に記憶された回転数−トルク特性マップを参照して、モータ回転数Nに対応する小出力モータ4aの最大トルクTamaxを取得し、取得した最大トルクTamaxを小出力モータ4aに配分し、要求トルクTnに対して不足するトルクTn−Tamaxを算出して大出力モータ4bに配分する。制御部13は、小出力モータ4aが分担トルクTa=Tamaxを出力するために必要な電力をバッテリ2から小出力モータ4aに供給させる制御信号を第1インバータ3aに出力し、大出力モータ4bが分担トルクTb=Tn−Tamaxを出力するために必要な電力をバッテリ2から大出力モータ4bに供給させる制御信号を第2インバータ3bに出力する。
【0041】
これにより、モータ回転数Nと要求トルクTnとが第1領域に属する場合には、小出力モータ4aのみが駆動され、第2領域に属する場合には、小出力モータ4aが最大トルクTamaxを出力する状態で小出力及び大出力モータ4a,4bが駆動され、第3領域に属する場合には、大出力モータ4bのみが駆動され、第4領域に属する場合には、小出力モータ4aが最大トルクTamaxを出力する状態で小出力及び大出力モータ4a,4bが駆動され、それぞれ要求トルクTnが出力される。
【0042】
次に、CPU10が実行するモータ制御処理について図4を参照して説明する。図4はモータ制御処理を示すフローチャートである。本処理は、イグニッションキーがON状態のとき、所定時間毎に繰り返して実行される。
【0043】
本処理が開始されると、アクセル開度検出センサ6はアクセル開度Aを検出し、演算部11は検出されたアクセル開度Aに基づいて、車両の走行に必要な要求トルクTnを演算する(ステップS1)。
【0044】
次に、回転数検出センサ7は、モータ回転数Nを検出し、判定部12は、記憶部9に記憶された境界トルクマップを参照して、回転数検出センサ7が検出したモータ回転数Nに対応する境界トルクTx〜Tzを決定する(ステップS2)。
【0045】
判定部12は、要求トルクTnと境界トルクTx〜Tzとを比較して、モータ回転数Nと要求トルクTnとが第1〜第4領域の何れに属するかを判定する。まず、判定部12は、要求トルクTnが境界トルクTx以下であるか否かを判定する(ステップS3)。
【0046】
要求トルクTnが境界トルクTx以下であるとき(ステップS3:YES)、モータ回転数Nと要求トルクTnとは第1領域に属すると判定部12は判定し、制御部13は、小出力モータ4aのみを駆動する(ステップS6)。制御部13は、要求トルクTnを小出力モータ4aに全て配分し、演算部11は、小出力モータ4aが分担トルクTa=Tnを出力するために必要な電力を演算する。制御部13は、演算部11が演算した電力をバッテリ2から小出力モータ4aに供給させる制御信号を第1インバータ3aに出力するとともに、バッテリ2から大出力モータ4bへの電力の供給を遮断する制御信号を第2インバータ3bに出力する。これにより、小出力モータ4aのみが駆動され、要求トルクTnが出力される。
【0047】
要求トルクTnが境界トルクTxを超えるとき(ステップS3:NO)、判定部12は、要求トルクTnが境界トルクTy以下であるか否かを判定する(ステップS4)。
【0048】
要求トルクTnが境界トルクTy以下であるとき(ステップS4:YES)、モータ回転数Nと要求トルクTnとは第2領域に属すると判定部12は判定し、制御部13は、小出力モータ4aが最大トルクTamaxを出力する状態で小出力及び大出力モータ4a,4bを駆動する(ステップS7)。制御部13は、記憶部9に記憶された回転数−トルク特性マップを参照して、モータ回転数Nに対応する小出力モータ4aの最大トルクTamaxを取得し、取得した最大トルクTamaxを小出力モータ4aに配分し、要求トルクTnに対して不足するトルクTn−Tamaxを算出して大出力モータ4bに配分する。制御部13は、小出力モータ4aが分担トルクTa=Tamaxを出力するために必要な電力をバッテリ2から小出力モータ4aに供給させる制御信号を第1インバータ3aに出力し、大出力モータ4bが分担トルクTb=Tn−Tamaxを出力するために必要な電力をバッテリ2から大出力モータ4bに供給させる制御信号を第2インバータ3bに出力する。これにより、小出力モータ4aが最大トルクTamaxを出力する状態で小出力及び大出力モータ4a,4bが駆動され、要求トルクTnが出力される。
【0049】
要求トルクTnが境界トルクTyを超えるとき(ステップS4:NO)、判定部12は、要求トルクTnが境界トルクTz以下であるか否かを判定する(ステップS5)。
【0050】
要求トルクTnが境界トルクTz以下であるとき(ステップS5:YES)、モータ回転数Nと要求トルクTnとは第3領域に属すると判定部12は判定し、制御部13は、要求トルクTnを大出力モータ4bのみに配分して、第1及び第2インバータ3a,3bに制御信号を出力する(ステップS8)。これにより、大出力モータ4bのみが駆動され、要求トルクTnが出力される。
【0051】
要求トルクTnが境界トルクTzを超えるとき(ステップS5:NO)、モータ回転数Nと要求トルクTnとは第4領域に属すると判定部12は判定し、制御部13は、記憶部9に記憶された回転数−トルク特性マップを参照して取得した小出力モータ4aの最大トルクTamaxを小出力モータ4aに配分し、要求トルクTnに対して不足するトルクTn−Tamaxを大出力モータ4bに配分して、第1及び第2インバータ3a,3bに制御信号を出力する(ステップS7)。これにより、小出力モータ4aが最大トルクTamaxを出力する状態で小出力及び大出力モータ4a,4bが駆動され、要求トルクTnが出力される。
【0052】
このように、本実施形態のモータ制御システム1によれば、小出力及び大出力モータ4a,4bは全体のモータ効率に基づいて駆動が切り替えられるので、小出力及び大出力モータ4a,4bを全領域で効率よく駆動することができる。
【0053】
なお、本実施形態では小出力及び大出力モータ4a,4bを並列状態に配置する構成としたが、1つの回転軸上に直列状態に配置する構成としてもよい。
【0054】
また、小出力及び大出力モータ4a,4bを第1及び第2の駆動状態で駆動する場合に全体のモータ効率が逆転する際のトルクを境界トルクTy,Tzとして設定しているが、全体のモータ効率が逆転する際のトルクではなく、当該トルクの近傍のトルクを境界トルクとして設定してもよい。この場合、小出力及び大出力モータ4a,4bと効率特性が近似する2つのモータの駆動を制御するモータ制御システムについては、同一の境界トルクマップを用いてモータ制御処理を実行することが可能である。
【0055】
また、領域の境界を示す境界トルクTx〜Tzは、連続的に変化するモータ回転数Nに対応して連続的に設定しているが、例えば、0〜300rpmに対応する境界トルクTx〜TzはTxa〜Tza、301〜600rpmに対応する境界トルクTx〜TzはTxb〜Tzbのように、所定の範囲のモータ回転数Nには同一の境界トルクTx〜Tzが対応するように段階的に設定してもよい。このとき、全体のモータ効率は、モータ回転数Nの所定の範囲が小さいほど向上し、大きいほど低下する。
【0056】
また、小出力4aの最大トルクTamaxも境界トルクTx〜Tzと同様に、所定の範囲のモータ回転数Nには同一の最大トルクTamaxが対応するように段階的に設定してもよい。
【0057】
次に、本発明の第2実施形態のモータ制御システムについて図面を参照して説明する。本実施形態は、制御の対象となる2つのモータが、小出力及び大出力モータ4a,4bとは異なる効率特性を有し、設定される領域(領域間の境界)が異なる場合である。なお、本実施形態のモータ制御システム1の構成は、制御の対象となる2つのモータが、小出力及び大出力モータ4a,4bから第1及び第2モータになる他は、上記第1実施形態と同様であるためその詳細な説明は省略する。
【0058】
第1及び第2モータは、定格出力が互いに異なり、第1モータの最大トルクTamax2は、回転数が0のとき100N・mであり、第2モータの最大トルクTbmax2は、回転数が0のとき500N・mである。
【0059】
記憶部9の境界トルクマップには、第1及び第2モータのモータ回転数と出力トルクとによって規定される低トルク領域、中トルク領域及び高トルク領域の各境界を示す境界トルクTx2,Ty2が記憶される。回転数−トルク特性マップには、第1モータの任意のモータ回転数に対応する最大トルクTamax2が記憶される。トルク配分情報には、各領域における第1及び第2モータのトルク配分及び第1及び第2モータの分担トルクを算出する所定の演算式が記憶される。
【0060】
第1及び第2モータを制御の対象とする場合に設定される領域(領域間の境界)について、図5を参照して説明する。図5は、第1及び第2モータの全体のモータ効率を示す図である。図5の曲線L3は、第1及び第2モータを2000rpmで第1モータの最大トルクTamax2以下のトルク領域では第1モータのみを駆動し、第1モータの最大トルクTamax2を超えるトルク領域では第1モータが最大トルクTamax2を出力する状態で第1及び第2モータを駆動する第3の駆動状態での全体のモータ効率を示し、曲線L4は、第1及び第2モータを2000rpmで第1モータの最大トルクTamaxに関わらず第2モータのみを駆動する第4の駆動状態での全体のモータ効率を示す。
【0061】
図5に示すように、全体のモータ効率は、境界トルクTx2以下のトルク領域(低トルク領域)では、第3の駆動状態(曲線L3)の方が高く、境界トルクTx2〜Ty2のトルク領域(中トルク領域)では、第4の駆動状態(曲線L4)の方が高く、境界トルクTy2を超えるトルク領域(高トルク領域)では、第3の駆動状態(曲線L3)の方が高くなる。このため、低トルク領域では、第1モータのみを駆動し、中トルク領域では、第2モータのみを駆動し、高トルク領域では、第1モータが最大トルクTamax2を出力する状態で第1及び第2モータを駆動することによって、全体のモータ効率が高くなる。従って、第1及び第2モータを制御の対象とする場合、領域の境界は境界トルクTx2,Ty2であり、境界トルクTx2,Ty2は境界トルクマップに記憶される。
【0062】
判定部12は、記憶部9に記憶された境界トルクマップを参照して、モータ回転数Nに対応する境界トルクTx2,Ty2を取得し、取得した境界トルクTx2,Ty2と演算部11が演算した要求トルクTnとを比較して領域を判定する。判定部12は、要求トルクTnと境界トルクTx2とを比較し、要求トルクTnが境界トルクTx2以下である場合には、モータ回転数Nと要求トルクTnとは低トルク領域に属すると判定する。要求トルクTnが境界トルクTx2を超える場合には、判定部12は、要求トルクTnと境界トルクTy2とを比較し、要求トルクTnが境界トルクTy2以下である場合には、モータ回転数Nと要求トルクTnとは中トルク領域に属すると判定し、要求トルクTnが境界トルクTy2を超える場合には、モータ回転数Nと要求トルクTnとは高トルク領域に属すると判定する。
【0063】
制御部13は、判定部12が判定した領域が低トルク領域の場合には、要求トルクTnを第1モータのみに配分して、第1モータのみを駆動し、中トルク領域の場合には、要求トルクTnを第2モータのみに配分して、第2モータのみを駆動し、高トルク領域の場合には、第1モータの最大トルクTamax2を第1モータに配分し、要求トルクTnに対して不足するトルクTn−Tamax2を第2モータに配分して、第1モータが最大トルクTamaxを出力する状態で第1及び第2モータを駆動する。
【0064】
このように、本実施形態のモータ制御システム1によれば、第1及び第2モータは第1及び第2モータの全体としてのモータ効率に基づいて駆動が切り替えられるので、第1及び第2モータを全領域で効率よく駆動することができる。
【0065】
上述した実施形態は本発明の一例であり、本発明を逸脱しない範囲において変更可能である。
【産業上の利用可能性】
【0066】
本発明は、電気自動車やハイブリッド車等の電動車両に広く適用可能である。
【符号の説明】
【0067】
1:モータ制御システム
2:バッテリ
3a,3b:インバータ
4a,4b:モータ
5:動力継手部
6:アクセル開度検出センサ
7:回転数検出センサ
8:ECU(Electric Control Unit)
9:記憶部(記憶手段)
10:CPU(Central Processing Unit)
11:演算部
12:判定部(判定手段)
13:制御部(制御手段)
14:プロペラシャフト
15:ディファレンシャルギア
16a,16b:アクスルシャフト
17a,17b:駆動輪

【特許請求の範囲】
【請求項1】
車両の走行に必要な要求トルクを1つの駆動軸に対して出力し、前記1つの駆動軸を駆動する際のモータ回転数が等しく、且つ定格出力が互いに異なる小出力モータ及び大出力モータと、
前記モータ回転数とトルクとによって規定される複数の領域として、前記小出力モータの各モータ回転数に対応する最大トルクを高トルク側の境界とする第1領域と、前記第1領域の高トルク側に隣接する第2領域と、前記第2領域の高トルク側に隣接する第3領域とが記憶される記憶手段と、
車両走行時の前記モータ回転数と前記要求トルクとが前記第1領域に属する場合には、前記要求トルクが全て配分されるように前記小出力モータを駆動し、前記第2領域に属する場合には、前記モータ回転数に対応する前記小出力モータの最大トルクが前記小出力モータに配分され、前記要求トルクから前記小出力モータの最大トルクを減算したトルクが前記大出力モータに配分されるように前記小出力及び大出力モータを駆動し、前記第3領域に属する場合には、前記要求トルクが全て配分されるように前記大出力モータを駆動する制御手段と、を備える
ことを特徴とするモータ制御システム。
【請求項2】
請求項1に記載のモータ制御システムであって、
前記第1領域では、前記要求トルクが全て配分されるように前記小出力モータを駆動するときの方が、前記要求トルクが全て配分されるように前記大出力モータを駆動するときよりもモータ効率が高く、
前記第2領域では、前記モータ回転数に対応する前記小出力モータの最大トルクが前記小出力モータに配分され、前記要求トルクから前記小出力モータの最大トルクを減算したトルクが前記大出力モータに配分されるように前記小出力及び大出力モータを駆動するときの方が、前記要求トルクが全て配分されるように前記大出力モータを駆動するときよりもモータ効率が高く、
前記第3領域では、前記要求トルクが全て配分されるように前記大出力モータを駆動するときの方が、前記モータ回転数に対応する前記小出力モータの最大トルクが前記小出力モータに配分され前記要求トルクから前記小出力モータの最大トルクを減算したトルクが前記大出力モータに配分されるように前記小出力及び大出力モータを駆動するときよりもモータ効率が高い
ことを特徴とするモータ制御システム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のモータ制御システムであって、
前記記憶手段に記憶される複数の領域は、前記第3領域の高トルク側に隣接する第4領域をさらに含み、
前記第4領域では、前記モータ回転数に対応する前記小出力モータの最大トルクが前記小出力モータに配分され、前記要求トルクから前記小出力モータの最大トルクを減算したトルクが前記大出力モータに配分されるように前記小出力及び大出力モータを駆動するときの方が、前記要求トルクが全て配分されるように前記大出力モータを駆動するときよりもモータ効率が高く、
前記制御手段は、車両走行時の前記モータ回転数と前記要求トルクとが前記第4領域に属する場合には、前記モータ回転数に対応する前記小出力モータの最大トルクが前記小出力モータに配分され、前記要求トルクから前記小出力モータの最大トルクを減算したトルクが前記大出力モータに配分されるように前記小出力及び大出力モータを駆動する
ことを特徴とするモータ制御システム。
【請求項4】
車両の走行に必要な要求トルクを1つの駆動軸に対して出力し、前記1つの駆動軸を駆動する際のモータ回転数が等しく、且つ定格出力が互いに異なる小出力モータ及び大出力モータと、
前記モータ回転数とトルクとによって規定される複数の領域として、低トルク側の低トルク領域と、前記低トルク領域の高トルク側に隣接する中トルク領域と、前記中トルク領域の高トルク側に隣接する高トルク領域とが記憶される記憶手段と、
車両走行時の前記モータ回転数と前記要求トルクとが前記低トルク領域に属する場合には、前記要求トルクが全て配分されるように前記小出力モータを駆動し、前記中トルク領域に属する場合には、前記要求トルクが全て配分されるように前記大出力モータを駆動し、前記高トルク領域に属する場合には、前記モータ回転数に対応する前記小出力モータの最大トルクが前記小出力モータに配分され、前記要求トルクから前記小出力モータの最大トルクを減算したトルクが前記大出力モータに配分されるように前記小出力及び大出力モータを駆動する制御手段と、を備える
ことを特徴とするモータ制御システム。
【請求項5】
請求項4に記載のモータ制御システムであって、
前記低トルク領域では、前記要求トルクが全て配分されるように前記小出力モータを駆動するときの方が、前記要求トルクが全て配分されるように前記大出力モータを駆動するときよりもモータ効率が高く、
前記中トルク領域では、前記要求トルクが全て配分されるように前記大出力モータを駆動するときの方が、前記要求トルクが全て配分されるように前記小出力モータを駆動するとき、又は前記モータ回転数に対応する前記小出力モータの最大トルクが前記小出力モータに配分され前記要求トルクから前記小出力モータの最大トルクを減算したトルクが前記大出力モータに配分されるように前記小出力及び大出力モータを駆動するときよりもモータ効率が高く、
前記高トルク領域では、前記モータ回転数に対応する前記小出力モータの最大トルクが前記小出力モータに配分され、前記要求トルクから前記小出力モータの最大トルクを減算したトルクが前記大出力モータに配分されるように前記小出力及び大出力モータを駆動するときの方が、前記要求トルクが全て配分されるように前記大出力モータを駆動するときよりもモータ効率が高い
ことを特徴とするモータ制御システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2012−60729(P2012−60729A)
【公開日】平成24年3月22日(2012.3.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−199589(P2010−199589)
【出願日】平成22年9月7日(2010.9.7)
【出願人】(000000170)いすゞ自動車株式会社 (1,721)
【Fターム(参考)】