説明

モータ周波数でのパルス幅変調による速度制御を利用したセンサレスおよびブラシレス直流モータ駆動

【課題】三相PWMブラシレス直流モータ駆動におけるスイッチング損失を最小限に抑える。
【解決手段】三相PWMブラシレス直流モータ制御回路20は、三相ブリッジ回路22と、コントローラ10とパルス回路30と、ハイサイドドライバ26A、26B、26Cと、2入力NORゲート回路28A、28B、28Cで構成される。 三相ブリッジ22は、複数のハイサイドスイッチAH、BH,CHと、ローサイドスイッチAL、BL,CLで構成され、出力φA、φB、φCは、モータの対応する各相に接続される。パルス回路30のの出力信号は、コントローラ10から出力されるハイサイドスイッチAH、BH,CHに対応するモータ速度制御パルス信号と共に2入力NORゲート回路26A、26B、26Cに入力され、ハイサイドドライバ26A、26B、26Cを介してハイサイドスイッチAH、BH,CHの各ゲート端子にPWMパルス信号を提供する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
[関連出願についての相互参照]
本発明は、2005年4月5日に出願された米国仮特許出願60/668,897「モータ周波数でのパルス幅変調による速度制御を利用したセンサレスおよびブラシレス直流モータ駆動」に基づくとともに、同出願の恩典を主張する。本発明は、同出願に対する優先権を主張する。同出願の開示内容は、参照によって本明細書に組み込まれる。
【0002】
本発明は、ブラシレス直流(BLDC)モータ駆動に関する。本発明は、より具体的には、三相パルス幅変調(PWM)によるBLDCモータ駆動におけるスイッチング損失を最小限に抑えることに関する。
【背景技術】
【0003】
通常、多相BLDCモータの駆動には、6ステップ台形駆動およびPWM駆動の2つの異なるタイプの駆動が用いられる。6ステップ台形駆動では、高周波数で動作するプレレギュレータによって直流(DC)電源電圧を制御することで、速度調整を得られる。PWM駆動では、電圧−時間交流(AC)出力を制御することで速度調整を得られる。これは、DC電源電圧を高周波数でPWMすることによって実現される。
【0004】
幾つかのタイプの6ステップブラシレス駆動が商業化されている。これらの駆動は、図1のBLDCモータ駆動回路に示されたフィリップス・セミコンダクタ社のTDA5142T集積回路(IC)10に代表される。IC10は、BLDCモータ12に接続されたパワー絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)14を直接駆動する。
【0005】
6ステップ台形駆動およびPWM駆動のいずれのタイプも、高周波数で動作可能なパワーIGBTを必要とするので、いずれのタイプの駆動も、かなりのスイッチング効率損失を伴う。
【0006】
したがって、本発明の目的は、高周波数で動作するIGBTまたはその他のタイプのトランジスタのスイッチング効率損失を最低限に抑える三相PWM BLDCモータ駆動回路を提供することにある。
【発明の開示】
【0007】
本発明によるBLDC駆動回路は、6ステップ台形駆動の最上の特徴とPWM駆動の最上の特徴とを組み合わせたものである。したがって、本発明によるBLDC駆動回路の特徴は、(a)スイッチング伝導損失が非常に低いという6ステップ駆動の特徴と、(b)高周波数IGBTスイッチの必要なくAC出力のPWMが実施されるという特徴と、を含む。さらに、これらの特徴は、本発明によるBLDC駆動回路において、モータ周波数で動作する際の伝導損失およびスイッチング効率損失が小さい標準速度のIGBTの使用を可能にする。また、本発明によるBLDC駆動回路は、得られる総合駆動効率を最大にする。
【0008】
センサレス整流制御は、モータの非励磁巻線内の逆起電力(逆EMF)のゼロクロス点の検出を通じて動作する。これらの条件は、モータの最適な整流のためのタイミングパルスを生成する。スタートアップ期間中、逆EMFが生成されていない場合には、駆動出力は、逆EMFが確立されるまで、周波数の増加によってクロックされる。
【0009】
IGBTを直接駆動する代わりに、本発明によるBLDC駆動回路の出力は、遅延をトリガする。この遅延は、モータの整流ごとに、IGBTの電気伝導時間を短縮する。IGBTの伝導時間の短縮によって、BLDC駆動回路は、電圧−時間出力を効果的に減少させ、そして、モータ速度を制御する。
【0010】
電圧−時間制御は、アナログ制御電圧源からの出力が制御される開ループシステム内で実施することができる。あるいは、電圧−時間制御は、モータ速度が電気配線および負荷の変化に対して調整可能である閉ループシステム内で実施することができる。
【0011】
本発明による可変速度式BLDCモータ駆動回路は、例えば絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)などの複数のハイサイドスイッチおよびローサイドスイッチを含む。これらのスイッチは、BLDCモータを整流させるための三相ブリッジを構成するように結合され、ブリッジの各相は、モータの対応する相に接続されている。本発明による回路は、また、複数のハイサイドおよびローサイドのIGBTのそれぞれのための信号を提供するコントローラを含む。これらの信号は、モータの非励磁巻線に対応するブリッジの各相の出力に対応する逆起電力(逆EMF)のゼロクロス点の検出に応じて提供される。
【0012】
さらに、本発明による回路は、モータの定速化を実現するために、直流バス電圧のパルス幅変調(PWM)によってモータを制御するための速度制御ループを含む。この速度制御ループは、パルス回路と、複数のハイサイドドライバと、複数のゲート回路と、を含む。パルス回路は、例えばデュアル単安定マルチバイブレータなどであり、コントローラからハイサイドIGBTへ提供される信号のリーディングエッジを受信する。複数のハイサイドドライバは、複数のハイサイドIGBTを制御するためのものであり、各ハイサイドIGBTは対応するハイサイドドライバに接続されている。複数のゲート回路は、マルチバイブレータからのパルスと、コントローラからハイサイドIGBTへの信号と、を受信し、対応するハイサイドIGBTを変調する各ハイサイドドライバにPWM信号を提供する。
【0013】
添付の図面を参照にして行われる以下の発明の説明から、本発明のその他の特徴および利点が明らかになる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
図1は、冷却を含む種々の用途に用いられる代表的な三相300W(ワット)ブラシレス直流(BLDC)モータ駆動集積回路(IC)10を示している。BLDCモータ駆動IC10のピン1,2,4,5,23,24において出力信号のパルス幅変調(PWM)を生成するために、マイクロプロセッサまたはデジタル信号プロセッサ(DSP)を使用することができる。PWM信号は、モータ12の始動および運転のための電力を供給するパワー絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)14の駆動に用いられる。このような三相BLDCモータ駆動IC10のためのPWM周波数は、波形ひずみを最小に押さえること、および、電磁妨害/高周波妨害(EMI/RFI)の発生を最少に押さえることを折衷して選択され、通常、4〜16KHzの範囲である。
【0015】
一方、6ステップ駆動では、通常40〜300Hzの範囲の周波数でモータを動作させ、直流(DC)バス電圧制御によって速度調整が実現される。直流バス電圧制御は、金属酸化物半導体(MOS)ゲートのスイッチを追加で必要とする。
【0016】
図2は、本発明によるBLDCモータ制御回路20を示している。制御回路20は、図1に示すような三相PWM BLDCモータ駆動の最上の特性と、6ステップ駆動の最上の特性と、を組み合わせたものである。本発明による制御回路20は、モータ周波数のPWMを採用した6ステップ駆動であるため、IGBTのスイッチング電力損失の問題をほぼ解消すると共に、マイクロコントローラを用いることなく三相BLDCモータ駆動制御回路20の総合効率を最大化する。
【0017】
本発明は、低電圧金属酸化物半導体電界効果トランジスタ(MOSFET)またはIGBTを駆動するように設計された三相15V(ボルト)BLDCモータ駆動IC10を使用する。BLDCモータ駆動IC10としては、例えば、図1を参照に上述されたフィリップス・セミコンダクタ社のTDA 5142Tを使用することができる。3つのローサイドNチャネルデバイスAL,BL,CLを駆動するための出力信号は、IC10のピン1,5,23から提供される。3つのハイサイドPチャネルデバイスAH,BH,CHを駆動するための出力信号は、IC10のピン2,4,24から提供される。ローサイドおよびハイサイドのデバイスA,B,Cは、例えば、インターナショナル・レクティファイア社の超高速ソフトリカバリダイオードIRG4BC20SDを用いたIGBTであり、三相ブリッジ22を構成するように結合されている。
【0018】
BLDCモータ駆動IC10は、相φA,φB,φCで三相ブリッジ22に接続されたBLDCモータ(不図示)を始動させるために、初期ロータ位置決め制御および加速度制御を提供する。そして、モータは、定速化を実現するためにDCバス電圧を変調する速度制御ループによって制御される。モータが逆EMFを生成するまでは、始動増加率dfreq/dtは、外部キャパシタによって選択される。生成された逆EMFは、相A,B,Cに対応するIC10の比較器入力ピン19,20,21において検出され、モータを最適に整流するために使用される。
【0019】
整流時間は、モータの非励磁巻線の逆EMFのゼロクロス点によって決定される。通常動作のとき、3つの相φA,φB,φCのうちの1つは正のバスに接続され、他の1つは負のバスに接続され、3つ目は、ゼロクロス点の検出に使用可能な開回路である。
【0020】
前述のように、ピン1,5,23からの3つのローサイド出力信号は、ローサイドの600V IGBT AL,BL,CLを直接駆動する。ピン2,4,24からの3つのハイサイド出力信号のそれぞれは、対応する2入力NORゲート28A,28B,28Cで処理される。NORゲートからの出力は、例えばインターナショナル・レクティファイア社のIR2117 ICなどの対応する3つのハイサイドドライバ26A,26B,26Cに送られる。
【0021】
NORゲート28A,28B,28Cへの第2の入力は、例えばフェアチャイルド・セミコンダクタ社のCD4538 ICなどのデュアル単安定マルチバイブレータIC30から提供される。IC30の動作は、BLDCモータ駆動IC10のピン2,4,24からの3つのハイサイド信号のそれぞれのリーディングエッジによってトリガされる。IC30のタイミング回路は、外部DC電圧およびタイミングキャパシタによって制御される。モータ周波数の3倍の周波数で出力されるIC30の出力パルスは、NORゲート28A,28B,28Cの第2の入力に与えられる。NORゲートは、ハイサイドドライバ26A,26B,26Cを介して、3つのハイサイドIGBT AH,BH,CHを変調するための所要のPWM入力信号を生成する。PWM入力信号は、次いで、パルス回路30からのパルスによって遅延され、ハイサイドスイッチのゲートに提供される信号をモータ周波数でパルス幅変調する。
【0022】
図3A,図3B,図3Cは、モータの電力を制御するために使用されるPWMの波形を示している。相電圧および相電流の波形は、最小変調(高電力)、中間変調、および近最大変調(すなわち最小電力入力)の各場合について取り出されている。図3A,図3B,図3Cにおいて、トレースTr1は、相AのローサイドIGBTのVge電圧を20V/divで表しており、トレースTr2は、相AのローサイドIGBTのVce電圧を50V/divで表しており、トレースTr3は、モータ相Aの電流を2A/divで表している。
【0023】
図3Cは、最小変調の場合の56W(ワット),50Hz,3000RPMの6ステップ波形を示している。図3Bは、中間変調の場合の160W,50Hz,3000RPMの6ステップ波形を示している。最後に、図3Aは、高変調の場合の300W,50Hz,3000RPMの6ステップ波形を示している。図3A,図3B,図3Cは、モータの電力を制御するための進行性のPWMモータ周波数を明確に示している。
【0024】
図2に戻って、モータの各巻線を流れる電流は、三相ブリッジの2つの導通相A,BまたはCを介して、瞬時に得られる。導通している2相は、異なる動作段階にあり、第3の相は、相整流のための電圧ゼロクロス点の検出に用いられる開回路になっている。3つのローサイドIGBT AL,BL,CLは、通常の120度の導通角で駆動されるが、相電流は、対応するハイサイドIGBTすなわちAH,BHまたはCHが導通状態にある場合にのみ流れる。この対応するハイサイドIGBTが、低減されたパルス幅、すなわち、3000RPMのときに通常45〜105度で、あるいは、より低速の場合はそれに比例してより低減されたパルス幅で、変調される。
【0025】
極めて低速の場合は、過剰なトルクむらが制約となる恐れがある。しかしながら、極めて低速な動作が不要である圧縮機の負荷などの場合は、このような制約による問題を生じることはない。代表的な冷凍圧縮機またはエアコン用圧縮機は、例えば、6極モータに関して50Hz対150Hzまたは1000RPM対3000RPMなど、約3:1の速度比で動作する。
【0026】
比較のため、図4Aは、60W(ワット),5KHzのマイクロプロセッサ制御式PWMの電圧波形および電流波形を示しており、図4Bは、300W(ワット),5KHzのマイクロプロセッサ制御式PWMの電圧波形および電流波形を示している。
【0027】
本発明を評価するために、回路20のテストが実施された。このテストでは、前述のように、IGBT22のための電力はDC電源32から供給され、第2の電源34からは15V,9mA(0.135W)の補助電力が供給された。BLDCモータ(不図示)は、例えば横河電機のWT1600などのデジタル多相電力計を介して、相φA,φB,φCに接続された。該モータは、他励のDC発電機によって装荷された。DC発電機の界磁電流は、IGBT22からの電力が56Wから300Wまでの範囲で制御されるように調整された。
【0028】
第1のテスト期間全体で、BLDCモータの周波数は、100Hz(4極,3000RPM)に維持された。表1に示されたテスト結果は、負荷電流に応じた効率の変化を示している。これらの結果は、さらに、代表的なIGBT伝導損失を表しており、スイッチング損失は小さく且つ一定に抑えられている。
【表1】

【0029】
図5Aは、表1に記録されたIGBT伝導スイッチング損失の値を、やはり表1に記録された対応するDC入力電力の値の関数として表したグラフである。このグラフは、IGBT伝導損失が、かなり小さく且つ一定であることを示している。このグラフは、また、回路20の総合効率が、55〜307W(ワット)の範囲のDC電力入力に対してほぼ97.8%に維持されることを示している。
【0030】
表2は、モータの負荷がモータの速度に比例する別のテストの結果を示している。このとき、DC発電機の負荷の界磁励磁は、一定に維持された。したがって、トルクは、モータのDC入力電力に正比例し、毎分回転数(RPM)に逆比例した。このテストは、約2:1の入力電力範囲のエアコンシステムにおける実際の圧縮機の動作を模擬したものである。
【表2】

【0031】
図5Bは、表2に挙げられた52.93Hz(1588RPM)〜99.4Hz(2982RPM)の範囲で得られるIGBTの総合効率またはモータの速度を、やはり表2に記録された116〜302Wの範囲のDC入力電力の関数として表したグラフである。
【0032】
上記の2種類の評価テストの比較対象として実施された第3のテストでは、300W,5KHzの(図1に示されるような)マイクロコントローラ駆動式BLDC駆動10を実施した。第3のテストの条件は、回路20のテストの条件にかなり一致する。同じセンサレスBLDCモータおよびIGBTが、100Hz(3000RPM)の速度および121VのDCバス電圧で使用された。テスト結果は、表3に挙げられている。
【表3】

【0033】
表1に記録された結果と表3に記録された結果とを比較すれば、本発明によるモータ周波数PWM回路の優れた特性を明確に知ることができる。本発明による回路20によって実現されるIGBT伝導損失の減少は、結果として、60W(ワット)の場合は95.4%から97.7%に、300Wの場合は96.36%から97.9%に効率を向上させる。さらに、本発明は、例えばインターナショナル・レクティファイア社のTO−200 100VパワーMOSFETなどのIGBTを使用した場合に、ヒートシンクを使用する必要を排除する。ヒートシンクは、そのパッケージサイズの小ささゆえに、三相モジュールでは依然として用いられ、より高い電力密度をもたらす。
【0034】
図5Cは、IGBTを制御するためにマイクロプロセッサを使用してPWM出力信号を生成し、その結果として高いIGBT損失を示す、第3のテストで使用された図1の参考回路と、本発明によるモータ周波数PWM回路20と、のスイッチング伝導損失の差を示している。
【0035】
以上では、具体的な実施形態に基づいた発明の説明を行ってきたが、当業者ならば明らかなように、その他に多くの変形態様、変更態様、および使用形態が可能である。したがって、本発明は、本明細書に記載された具体的な開示内容に限定されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】TDA5142T ICを用いた従来技術によるBLDCモータ駆動回路の回路図である。
【図2】本発明によるBLDCモータ駆動回路の回路図である。
【図3A】高変調の場合の、相AのローサイドIGBTのVge、相AのローサイドIGBTのVce、およびモータ相Aの電流のそれぞれの(6ステップ)波形を示した図である。
【図3B】中間変調の場合の、相AのローサイドIGBTのVge、相AのローサイドIGBTのVce、およびモータ相Aの電流のそれぞれの(6ステップ)波形を示した図である。
【図3C】最小変調の場合の、相AのローサイドIGBTのVge、相AのローサイドIGBTのVce、およびモータ相Aの電流のそれぞれの(6ステップ)波形を示した図である。
【図4A】60W,5KHzのマイクロプロセッサ制御式PWMの電圧波形および電流波形を示したグラフである。
【図4B】300W,5KHzのマイクロプロセッサ制御式PWMの電圧波形および電流波形を示したグラフである。
【図5A】入力電力に応じて測定されたIGBT伝導損失を、表1の値を用いて示したグラフである。
【図5B】効率を表2に示すモータ速度および入力電力の関数として示したグラフである。
【図5C】従来技術(図1)による5KHzのマイクロプロセッサ制御と、本発明に従ったモータ周波数PWMとについて、入力電力に応じたIGBTの総合損失を比較したグラフである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
可変速度式ブラシレス直流(BLDC)モータ駆動回路であって、
BLDCモータを整流するための三相ブリッジを構成するように結合された複数のハイサイドおよびローサイドの制御スイッチであって、前記ブリッジの各相は、前記モータの対応する相に接続されている、前記複数の制御スイッチと、
前記複数のハイサイドおよびローサイドのスイッチのそれぞれを駆動するために、駆動信号を提供するコントローラと、
モータの定速化を実現するために、直流バス電圧のパルス幅変調(PWM)によって前記モータを制御するための速度制御ループと、
を備え、
前記速度制御ループは、
前記複数のハイサイドスイッチを制御し、かつ、所望のモータ速度に関連するパルス信号を提供するために、前記コントローラから提供される前記駆動信号を受信するパルス回路と、
前記複数のハイサイドスイッチを駆動するための複数のハイサイドドライバであって、各ハイサイドスイッチは、各ハイサイドドライバに結合されている、前記複数のハイサイドドライバと、
複数のゲート回路であって、前記各ゲート回路は、前記パルス回路からの前記パルス信号によって決定されるパルス期間を有するパルス幅変調(PWM)制御信号を生成するために、前記パルス回路からの前記パルス信号と、前記コントローラからの各ハイサイドコントローラのための駆動信号と、を受信し、この結果、各ハイサイドドライバを駆動して対応するハイサイドスイッチを変調する、前記複数のゲート回路と、
を備える、回路。
【請求項2】
請求項1に記載の回路であって、
前記複数のスイッチは、複数の絶縁ゲート型バイポーラトランジスタ(IGBT)である、回路。
【請求項3】
請求項2に記載の回路であって、
前記複数のローサイドIGBTは、複数のNチャネルデバイスであり、前記複数のハイサイドIGBTは、複数のPチャネルデバイスである、回路。
【請求項4】
請求項1に記載の回路であって、
前記コントローラは、さらに、前記モータを始動させるための初期ロータ位置決め制御および加速度制御を提供する、回路。
【請求項5】
請求項4に記載の回路であって、
前記複数の信号は、前記モータの非励磁巻線に対応する前記ブリッジの各相の出力に対応する逆起電力(逆EMF)のゼロクロス点の検出に応じて提供される、回路。
【請求項6】
請求項5に記載の回路であって、
前記コントローラは、さらに、前記三相ブリッジの各相から複数の信号を受信し、
前記複数の信号は、整流時間を提供するために、前記モータの非励磁巻線の逆EMFのゼロクロス点の検出に使用される、回路。
【請求項7】
請求項6に記載の回路であって、
前記モータが逆EMFを生成する前に、前記コントローラの始動増加率dfreq/dtは外部キャパシタによって選択される、回路。
【請求項8】
請求項5に記載の回路であって、
スタートアップ期間において、逆EMFが生成されていない場合には、駆動出力は、逆EMFが確立されるまで周波数の増加によってクロックされる、回路。
【請求項9】
請求項1に記載の回路であって、
前記コントローラは、集積回路(IC)である、回路。
【請求項10】
請求項9に記載の回路であって、
前記ICは、三相の15V BLDCモータ駆動ICである、回路。
【請求項11】
請求項1に記載の回路であって、
前記パルス回路の動作は、前記コントローラから前記ハイサイドスイッチへの前記信号のリーディングエッジによってトリガされる、回路。
【請求項12】
請求項11に記載の回路であって、
前記パルス回路は、前記モータ周波数の3倍の周波数で前記パルス信号を出力する、回路。
【請求項13】
請求項12に記載の回路であって、
前記パルス回路のタイミング回路は、外部直流電圧およびタイミングキャパシタによって制御される、回路。
【請求項14】
請求項1に記載の回路であって、
前記PWM信号は、前記モータの整流ごとに、スイッチの電流伝導時間を調整する、回路。
【請求項15】
請求項14に記載の回路であって、
前記スイッチの伝導時間の調整は、前記モータの速度を制御する電圧−時間出力を調整する、回路。
【請求項16】
請求項14に記載の回路であって、
前記電圧−時間調整は、前記モータの速度がアナログ制御電圧源から制御される開ループシステム内で実行される、回路。
【請求項17】
請求項14に記載の回路であって、
前記電圧−時間調整は、前記モータの速度が配線および負荷の変化に対して調整される閉ループシステム内で実行される、回路。
【請求項18】
請求項1に記載の回路であって、
前記スイッチの伝導損失は最小化され、前記モータの総合効率は最大化される、回路。
【請求項19】
請求項1に記載の回路であって、
6ステップモータに対して約3:1の速度比で動作する冷凍圧縮機またはエアコン用圧縮機を動作させる、回路。
【請求項20】
請求項1に記載の回路であって、
前記パルス回路は、デュアル単安定マルチバイブレータである、回路。
【請求項21】
請求項1に記載の回路であって、
前記ゲート回路は、2入力NORゲートを備える、回路。
【請求項22】
モータ速度の定速化を実現するために直流バス電圧のパルス幅変調(PWM)を利用する可変速度式ブラシレス直流(BLDC)モータ駆動回路において、BLDCモータを制御する方法であって、
前記モータの非励磁巻線に対応する各相の出力に対応する逆起電力(逆EMF)のゼロクロス点を検出する工程と、
前記モータを整流するための三相ブリッジを構成するように結合された複数のハイサイドおよびローサイドのスイッチのそれぞれのために制御信号を提供する工程であって、前記複数のローサイドスイッチは、前記制御信号を直接受信する、前記工程と、
各ハイサイドスイッチについての工程であって、
前記制御信号と、前記制御信号を受信するパルス回路からのパルス信号と、に基づいてゲート動作を実行して、前記パルス回路からの前記パルス信号によって決定されるパルス期間を有する各ハイサイドスイッチのための制御PWM信号を生成する工程と、
前記PWM信号を用いて前記ハイサイドスイッチを駆動する工程と、
を含む前記各ハイサイドスイッチについての工程と、
を備え、
前記PWM信号は、前記モータの整流ごとに、前記スイッチの電流伝導時間を調整する、方法。

【図1】
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【図2】
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【図3A】
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【図3B】
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【図3C】
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【図4A】
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【図4B】
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【図5A】
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【図5B】
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【図5C】
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【公開番号】特開2006−296194(P2006−296194A)
【公開日】平成18年10月26日(2006.10.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2006−104142(P2006−104142)
【出願日】平成18年4月5日(2006.4.5)
【出願人】(505300623)インターナショナル・レクティファイヤ・コーポレーション (23)
【氏名又は名称原語表記】INTERNATIONAL RECTIFIER CORPORATION
【Fターム(参考)】