説明

ヨーレート較正装置

【課題】車両の走行状態における規範ヨーレート較正法だけでヨーレートセンサのゼロ点の較正ができるヨーレート較正装置を提供する。
【解決手段】ヨーレート較正装置100Aは、操舵方向を判定する操舵方向判定部15、車速演算部19、直進状態判定部12A、直進走行状態と判定された際の操舵角θHを記憶する操舵角記憶部13A、操舵角記憶部13Aに記憶された操舵角θHの値の分布に基づいて操舵角センサSHAの不感帯領域を演算する操舵角検出不感帯領域演算部14A、不感帯領域と操舵方向判定部15によって判定された操舵方向に基づいて操舵角θHを補正する操舵角補正部16、操舵角−ヨーレート特性データ104bと補正された操舵角θCHと車速VSとに基づいてヨーレートγのゼロ点を較正するヨーレートオフセット量演算部17及びヨーレートゼロ点補正部18と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両のヨーレート(旋回率)を検出するヨーレートセンサの較正装置に関する。
【背景技術】
【0002】
車両のヨーレートは、レートジャイロを用いたヨーレートセンサにより検出される。かかるヨーレートセンサのゼロ点の較正は、車両が停止していてヨーレートが発生していないときに、その出力値をゼロに一致させることにより可能である。しかしながら、ヨーレートセンサの出力特性は、温度により変化するため、車両の停車中ではなく、走行中にも継続的に較正を行う必要がある。
特許文献1には、ヨーレートセンサのゼロ点の較正方法の1つとして、操舵角センサで検出した操舵角と車速センサで検出した車速とに基づいて規範ヨーレートを算出し、この規範ヨーレートがゼロであるときにヨーレートが発生していないと推定してヨーレートセンサの出力値をゼロに一致させる方法(以下、「規範ヨーレート較正法」と称する)が記載されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0003】
【特許文献1】特開平11−94874号公報(段落[0002],[0003]参照)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、特許文献1に記載の従来技術では、車両の停車中もヨーレートセンサの出力値をゼロに較正し、その後、車両が直進状態であるときにもヨーレートセンサの出力値をゼロに較正する必要がある。
また、規範ヨーレート較正法では、操舵角センサに不感帯領域がある場合、例えば、操向ハンドルの回転軸の中立位置からの回転角を検出する方法として歯車機構を用いて、歯車機構のガタ(バックラッシュ)により不感帯領域が生じる場合、歯車機構のガタ分だけ操舵角が不正確となり規範ヨーレートに誤差が生じるという課題があった。
【0005】
本発明は、前記した従来の課題を解決するものであり、車両の停車状態でのヨーレートセンサのゼロ点の較正をする必要がなく、車両の走行状態における規範ヨーレート較正法だけでヨーレートセンサのゼロ点の較正ができるヨーレート較正装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
前記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、操舵角を検出する操舵角センサと、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサと、を備え、操舵角センサが検出した操舵角に応じてヨーレートセンサのゼロ点補正をするヨーレート較正装置において、操舵方向を判定する操舵方向判定手段と、車速を検出する車速検出手段と、車両の直進走行状態を判定する直進状態判定手段と、直進状態判定手段により直進走行状態と判定された際の操舵角センサにより検出された操舵角を記憶する操舵角記憶手段と、操舵角記憶手段に記憶された操舵角の値の分布に基づいて操舵角センサの不感帯領域を演算する操舵角検出不感帯領域演算手段と、操舵角検出不感帯領域演算手段によって求められた不感帯領域と操舵方向判定手段によって判定された操舵方向に基づいて検出された操舵角を補正する操舵角補正手段と、操舵角と車速とヨーレートとの相関関係が予め格納されたヨーレート特性データと、操舵角補正手段により補正された操舵角と、車速検出手段により検出された車速と、ヨーレート特性データとに基づいて、ヨーレートセンサで検出されたヨーレートのゼロ点を較正するゼロ点較正手段と、を備えることを特徴とする。
【0007】
請求項1に記載の発明によれば、操舵角センサの検出する操舵角に不感帯領域が存在して、正確な操舵角が検出されない場合でも、直進状態判定手段により直進走行状態と判定されたときの操舵角センサで検出された操舵角を記憶し、その記憶された操舵角の値の分布に基づいて操舵角センサの不感帯領域を容易に操舵角検出不感帯領域演算手段において演算できる。そして、演算された操舵角センサの不感帯領域と操舵方向判定手段によって判定された操舵方向に基づいて、実際の操舵角が補正されるので、精度の高い操舵角が得られる。こうして得られた補正された操舵角と車速とヨーレート特性データとに基づいてゼロ点較正手段において規範ヨーレートを演算し、更に、そのときにヨーレートセンサで検出されたヨーレートと比較してヨーレートの差分を演算して、ヨーレートのゼロ点補正を行える。従って、車両の走行中に操舵角と車速から正確な規範ヨーレートを演算することによって精度の高いヨーレートセンサのゼロ点較正(ゼロ点補正)ができる。
【0008】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の発明の構成に加え、直進状態判定手段により直進走行状態と判定された際の操舵角センサにより検出された操舵角を、車速検出手段により検出された車速と、ヨーレートセンサにより検出されたヨーレートと、ヨーレート特性データとに基づいて、検出されたヨーレートがゼロの値に対応する直進状態模擬操舵角に補正演算する直進状態操舵角演算手段を更に備え、
直進状態操舵角演算手段により演算された直進状態模擬操舵角を、直進状態判定手段により直進走行状態と判定された際の操舵角センサにより検出された操舵角の代わりの操舵角として操舵記憶手段に記憶させて、操舵角検出不感帯領域演算手段において用いられることを特徴とする。
【0009】
請求項2に記載の発明によれば、直進走行状態と判定されたときの操舵角センサで検出された操舵角を、ヨーレートがゼロの値に対応する操舵角に置き換えて記憶するので、操舵角検出不感帯領域演算手段において操舵角センサの不感帯領域をより精度良く演算できる。そして、演算された操舵角センサの不感帯領域と操舵方向判定手段によって判定された操舵方向に基づいて、実際の操舵角が補正されるので、精度の高い操舵角が得られる。こうして得られた補正された操舵角と車速とヨーレート特性データとに基づいてゼロ点較正手段において規範ヨーレートを演算し、更に、そのときにヨーレートセンサで検出されたヨーレートと比較してヨーレートの差分を演算して、ヨーレートのゼロ点補正を行える。従って、車両の走行中に操舵角と車速から正確な規範ヨーレートを演算することによって精度の高いヨーレートセンサのゼロ点較正(ゼロ点補正)ができる。
【0010】
請求項3に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明の構成に加え、更に、操舵角検出不感帯領域演算手段は、操舵角記憶手段に記憶された操舵角の値の最大値と最小値との差分を操舵角センサの不感帯領域とすることを特徴とする。
【0011】
請求項3に係る発明によれば、車両が走行を開始してから操舵角記憶手段に記憶された操舵角の値の数が少ない時点でも、操舵角検出不感帯領域演算手段が、操舵角記憶手段に記憶された操舵角の値の最大値と最小値との差分を操舵角センサの不感帯領域とするので容易に操舵角センサの不感帯領域が演算できる。その結果、走行開始の早い時点においてヨーレートセンサのゼロ点較正(ゼロ点補正)を完了することができる。
【0012】
請求項4に係る発明は、請求項1又は請求項2に記載の発明の構成に加え、更に、操舵角検出不感帯領域演算手段は、操舵角記憶手段に記憶された操舵角の値の分布の標準偏差値を演算し、演算された標準偏差の所定倍の値を操舵角センサの不感帯領域とすることを特徴とする。
【0013】
請求項4に係る発明によれば、車両が走行を開始してから操舵角記憶手段に記憶された操舵角の値の数が所定以上の数になり標準偏差値の演算が意味のある状態になれば、操舵角検出不感帯領域演算手段は、操舵角記憶手段に記憶された操舵角の値の分布の標準偏差値を演算し、演算された標準偏差の所定倍の値を操舵角センサの不感帯領域とする。その結果、操舵角センサの不感帯領域をノイズの影響を抑制して精度良く演算でき、その操舵角センサの不感帯領域を用いて操舵角補正手段が操舵角を補正するので、ゼロ点較正手段において、規範ヨーレートを精度良く演算でき、ヨーレートセンサのゼロ点較正(ゼロ点補正)を精度良く行うことができる。
【0014】
請求項5に係る発明は、操舵角を検出する操舵角センサと、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサと、を備え、操舵角センサが検出した操舵角に応じてヨーレートセンサのゼロ点補正をするヨーレート較正装置において、操舵方向を判定する操舵方向判定手段と、車両の直進走行状態を判定する直進状態判定手段と、操舵角センサにより検出された操舵角に基づき操舵角速度の発生を検出する操舵角速度検出手段と、直進状態判定手段により直進走行状態と判定され、かつ、操舵角速度検出手段により操舵角速度の発生が確認された際の操舵角を、左操舵及び右操舵それぞれの操舵方向に区別して記憶する操舵角記憶手段と、操舵角と車速とヨーレートとの相関関係が予め格納されたヨーレート特性データと、操舵角記憶手段に記憶された左操舵時の操舵角の値の分布と、右操舵時の操舵角の値の分布と、に基づいて操舵角センサの不感帯領域を演算する操舵角検出不感帯領域演算手段と、操舵角検出不感帯領域演算手段によって求められた不感帯領域と操舵方向判定手段により判定された操舵方向とに基づいて検出された操舵角を補正する操舵角補正手段と、操舵角補正手段により補正された操舵角と、車速検出手段により検出された車速と、ヨーレート特性データとに基づいて、ヨーレートセンサで検出されたヨーレートのゼロ点を較正するゼロ点較正手段と、を備えることを特徴とする。
【0015】
請求項5に記載の発明によれば、操舵角センサの検出する操舵角に不感帯領域が存在して、正確な操舵角が検出されない場合でも、直進状態判定手段により直進走行状態と判定されたときの操舵角センサで検出された操舵角を、左操舵及び右操舵それぞれの操舵方向毎に記憶する。その記憶された操舵角の値の左操舵方向及び右操舵方向毎の分布に基づいて、操舵角センサの不感帯領域の左操舵方向における端値、操舵角センサの不感帯領域の右操舵方向における端値を容易に操舵角検出不感帯領域演算手段において演算できる。そして、演算された操舵角センサの不感帯領域と操舵方向判定手段によって判定された操舵方向に基づいて、実際の操舵角が補正されるので、精度の高い操舵角が得られる。こうして得られた補正された操舵角と車速とヨーレート特性データとに基づいてゼロ点較正手段において規範ヨーレートを演算し、更に、そのときにヨーレートセンサで検出されたヨーレートと比較してヨーレートの差分を演算して、ヨーレートのゼロ点補正を行える。従って、車両の走行中に操舵角と車速から正確な規範ヨーレートを演算することによって精度の高いヨーレートのゼロ点補正ができる。
【0016】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の発明の構成に加え、直進状態判定手段により直進走行状態と判定され、かつ、操舵角速度検出手段により操舵角速度の発生が確認された際に、操舵角センサにより検出された操舵角を、操舵方向判定手段により判定された操舵方向と、車速検出手段により検出された車速と、ヨーレートセンサにより検出されたヨーレートと、ヨーレート特性データとに基づいて、検出されたヨーレートがゼロの値に対応する直進状態模擬操舵角に補正演算する直進状態操舵角演算手段を更に備え、
直進状態操舵角演算手段により演算された直進状態模擬操舵角を、直進状態判定手段により直進走行状態と判定され、かつ、操舵角速度検出手段により操舵角速度の発生が確認された際の操舵角センサにより検出された操舵角の代わりの操舵角として操舵角記憶手段に、左操舵及び右操舵それぞれの各操舵方向に区別して記憶させて、操舵角検出不感帯領域演算手段において用いられることを特徴とする。
【0017】
請求項6に記載の発明によれば、直進状態判定手段により直進走行状態と判定され、かつ、操舵角速度検出手段により操舵角速度の発生が確認された際に、直進状態操舵角演算手段において、操舵角センサにより検出された操舵角を、操舵方向判定手段により判定された操舵方向と、車速検出手段により検出された車速と、ヨーレートセンサにより検出されたヨーレートと、ヨーレート特性データとに基づいて、検出されたヨーレートがゼロの値に対応する直進状態模擬操舵角を演算し、操舵角センサにより検出された操舵角の代わりの操舵角として操舵角記憶手段に、左操舵及び右操舵それぞれの各操舵方向に区別して記憶させるので、操舵角検出不感帯領域演算手段において操舵角センサの不感帯領域をより精度良く演算できる。
そして、演算された操舵角センサの不感帯領域と操舵方向判定手段によって判定された操舵方向に基づいて、実際の操舵角が補正されるので、精度の高い操舵角が得られる。こうして得られた補正された操舵角と車速とヨーレート特性データとに基づいてゼロ点較正手段において規範ヨーレートを演算し、更に、そのときにヨーレートセンサで検出されたヨーレートと比較してヨーレートの差分を演算して、ヨーレートのゼロ点補正を行える。従って、車両の走行中に操舵角と車速から正確な規範ヨーレートを演算することによって精度の高いヨーレートセンサのゼロ点較正(ゼロ点補正)ができる。
また、走行開始の早い時点においてヨーレートセンサのゼロ点較正(ゼロ点補正)を完了することができる。
【0018】
請求項7に係る発明は、請求項5又は請求項6に記載の発明の構成に加え、更に、操舵角検出不感帯領域演算手段は、操舵角記憶手段に記憶された左操舵時の操舵角の値の分布の第1の最大値と第1の最小値との第1の中間値、及び右操舵時の操舵角の値の分布の第2の最大値と第2の最小値との第2の中間値の差分を操舵角センサの不感帯領域とすることを特徴とする。
【0019】
請求項7に係る発明によれば、車両が走行を開始してから操舵角記憶手段に記憶された操舵角の値の数が少ない時点でも、操舵角検出不感帯領域演算手段が、操舵角記憶手段に記憶された左操舵時の操舵角の値の分布の第1の最大値及び第1の最小値の第1の中間値と、右操舵時の操舵角の値の分布の第2の最大値及び第2の最小値の第2の中間値との差分を操舵角センサの不感帯領域とするので容易に操舵角センサの不感帯領域が演算できる。その結果、走行開始の早い時点においてヨーレートセンサのゼロ点較正(ゼロ点補正)を完了することができる。
【0020】
請求項8に係る発明は、請求項5又は請求項6に記載の発明の構成に加え、更に、操舵角検出不感帯領域演算手段は、操舵角記憶手段に記憶された左操舵時の操舵角の値の分布の第1の平均値と、右操舵時の操舵角の値の分布の第2の平均値との差分を操舵角センサの不感帯領域とすることを特徴とする。
【0021】
請求項8に係る発明によれば、車両が走行を開始してから操舵角記憶手段に記憶された操舵角の値の数が所定以上の数になり第1の平均値及び第2の平均値の演算が意味のある状態になれば、操舵角検出不感帯領域演算手段は、操舵角記憶手段に記憶された操舵角の値の分布の第1及び第2の平均値を演算し、演算された第1及び第2の平均値の差分を操舵角センサの不感帯領域とする。その結果、操舵角センサの不感帯領域をノイズの影響を抑制して精度良く演算でき、その操舵角センサの不感帯領域を用いて操舵角補正手段が操舵角を補正するので、ゼロ点較正手段において、規範ヨーレートを精度良く演算でき、ヨーレートセンサのゼロ点較正(ゼロ点補正)を精度良く行うことができる。
【0022】
請求項9に係る発明は、請求項5又は請求項6に記載の発明の構成に加え、更に、操舵角検出不感帯領域演算手段は、操舵角記憶手段に記憶された左操舵時の操舵角の値の分布の最大頻度値である第1の最大頻度値と、右操舵時の操舵角の値の分布の最大頻度値である第2の最大頻度値との差分を操舵角センサの不感帯領域とすることを特徴とする。
【0023】
請求項9に係る発明によれば、車両が走行を開始してから操舵角記憶手段に記憶された操舵角の値の数が所定以上の数になり第1の最大頻度値及び第2の最大頻度値の演算が意味のある状態になれば、操舵角検出不感帯領域演算手段は、操舵角記憶手段に記憶された操舵角の値の分布の第1及び第2の最大頻度値を演算し、演算された第1及び第2の最大頻度値の差分を操舵角センサの不感帯領域とする。その結果、操舵角センサの不感帯領域をノイズの影響を抑制して精度良く演算でき、その操舵角センサの不感帯領域を用いて操舵角補正手段が操舵角を補正するので、ゼロ点較正手段において、規範ヨーレートを精度良く演算でき、ヨーレートセンサのゼロ点較正(ゼロ点補正)を精度良く行うことができる。
【発明の効果】
【0024】
本発明によれば、車両の停車状態でのヨーレートセンサのゼロ点の較正をする必要がなく、車両の走行状態における規範ヨーレート較正法だけでヨーレートセンサのゼロ点の較正ができるヨーレート較正装置を提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】ヨーレート較正装置の機能構成ブロック図である。
【図2】操舵角−ヨーレート特性データの説明図である。
【図3】第1の実施形態のヨーレート較正装置における操舵角記憶部に記憶された操舵角θHの値の分布図である。
【図4】ヨーレート較正装置におけるヨーレートのゼロ点較正の処理の流れを示す全体フローチャートである。
【図5】図1の直進状態判定部と操舵角記憶部における直進状態における操舵角センサ値の記憶制御の流れを示す詳細フローチャートである。
【図6】図1の操舵角検出不感帯領域演算部における不感帯領域の演算処理の制御の流れを示す詳細フローチャートである。
【図7】図1の操舵角補正部における操舵角センサで検出された操舵角を補正する制御の流れを示す詳細フローチャートである。
【図8】実際の操舵角と操舵角センサが検出した操舵角θHの関係の説明図である。
【図9】操舵角θHの補正を説明する図である。
【図10】図1のヨーレートオフセット量演算部におけるヨーレートオフセット量の演算制御の流れを示す詳細フローチャートである。
【図11】図1のヨーレートゼロ点補正部におけるゼロ点補正の処理の制御の流れを示す詳細フローチャートである。
【図12】ヨーレートセンサで検出されたヨーレートγを、ヨーレートオフセット量の平均値〈Δγ〉で補正されたヨーレートγCを示す説明図である。
【図13】第2の実施形態のヨーレート較正装置における図1の直進状態判定部と操舵角記憶部における直進状態における操舵角センサ値の記憶制御の流れを示す詳細フローチャートである。
【図14】第2の実施形態のヨーレート較正装置における図1の操舵角検出不感帯領域演算部における不感帯領域の演算処理の制御の流れを示す詳細フローチャートである。
【図15】図14の続きの詳細フローチャートである。
【図16】第2の実施形態のヨーレート較正装置における操舵角記憶部に記憶された操舵角θHの値の分布図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
《第1の実施形態》
以下に、本発明の第1の実施形態に係る車両用ホイールについて図1から図12を参照しながら詳細に説明する。
図1は、ヨーレート較正装置の機能構成ブロック図である。図2は、操舵角−ヨーレート特性データの説明図である。
【0027】
ヨーレート較正装置100Aは、図1に示すようにCPU(Central Processing Unit)101、RAM(Random Access Memory)103、ROM(Read Only Memory)104、入出力インタフェース回路105、それらを接続するバス102などを備えるマイクロコンピュータ及び図示しない周辺回路などから構成され、ROM104に格納されたプログラム104aをCPU101が実行し、ヨーレートセンサSYのゼロ点補正(ゼロ点較正)を行う。
【0028】
ヨーレート較正装置100Aの入出力インタフェース回路105には、車両の各車輪に設けられた4つの車輪速センサSVWからの各車輪速VWを示す信号、前後加速度センサSαXからの前後加速度αXを示す信号、操向ハンドル(図示せず)の回転角である操舵角θHを検出する操舵角センサSHAからの検出された操舵角θHを示す信号、及び車両のヨーレート(旋回率)γを検出するヨーレートセンサSYからのヨーレートγを示す信号が入力される。また、入出力インタフェース回路105は、図示しない通信部を有し、例えば、CAN(Controller Area Network)通信を介して、電動パワーステアリング制御装置200及び車両運動安定化制御装置300にゼロ点補正されたヨーレートである補正ヨーレートγCを出力する。
【0029】
ちなみに、本実施形態では、操舵角θHの値は、中立点より左側の操舵角を正(+)、中立点より右側の操舵角を負(−)と定義し、ヨーレートγも左旋回率を正(+)、右旋回率を負(−)と定義する。
【0030】
CPU101は、ROM104に格納されるプログラム104aを実行することによって以下の機能部の機能を実行する。ちなみに、ROM(ヨーレート特性データの記憶手段)104は予め、車両特性として実験的に又はシミュレーション計算で得られた操舵角−ヨーレート特性データ104bを格納している。
前記したプログラム104aは、機能構成ブロックとして車速演算部(車速検出手段)11、直進状態判定部12A、操舵角記憶部(操舵角記憶手段、直進状態操舵角演算手段)13A、操舵角検出不感帯領域演算部(舵角検出不感帯領域演算手段)14A、操舵方向判定部(操舵方向判定手段)15、操舵角補正部(操舵角補正手段)16、ヨーレートオフセット量演算部(ゼロ点較正手段)17、ヨーレートゼロ点補正部(ゼロ点較正手段)18、操舵角速度演算部19などを含んで構成されている。
ここで、直進状態判定部12Aは、特許請求の範囲の請求項1に記載の「直進状態判定手段」に対応する。
【0031】
なお、図1においては、CPU101がプログラム104bを実行する際の機能ブロックの車速演算部11に車輪速センサSVWからの各車輪速VWが入力されるように表示してある。同様に前後加速度センサSαXからの前後加速度αXが直進状態判定部12A及びヨーレートオフセット量演算部17に入力されるように表示してある。また、操舵角センサSHAからの操舵角θHが操舵角記憶部13A、操舵方向判定部15、操舵角補正部16、操舵角速度演算部19に入力されるように表示してある。更に、ヨーレートセンサSYからのヨーレートγが直進状態判定部12A、ヨーレートオフセット量演算部17及びヨーレートゼロ点補正部18に入力されるように表示してある。
【0032】
ちなみに、図1において( )内に示した符号12B,13B,14B,100B、操舵角速度演算部19から直進状態判定部12Bへの破線矢印、破線枠で示した記憶エリア13b、及びヨーレートγの破線矢印による操舵角記憶部13Bへの入力は、第2の実施形態に係るヨーレート較正装置100Bに対応している。
【0033】
(車速演算部11)
車速演算部11は、各車輪速センサSVWからの車輪速VWを示す信号を読み込み、車両の車速VSを算出し、直進状態判定部12A及びヨーレートオフセット量演算部17に出力する。
【0034】
(直進状態判定部)
直進状態判定部12Aは、以下に示す直進状態判定条件Xを満たしているか否かをチェックして、直進状態判定条件Xを満たしている場合は、直進状態判定条件Xを満足している信号を操舵角記憶部13Aに出力して、操舵角記憶部13Aにそのとき入力されている操舵角θHの値(操舵角センサ値)を記憶させる。
【0035】
(直進状態判定条件X)
前記した直進状態判定条件Xとは、例えば、前記(1)〜(3)の条件を全て満たしているときに車両が直進状態判定条件Xを満たしているとする。
(1)前後加速度センサSαXで検出された前後加速度αXの絶対値が、0.05G未満
(2)ヨーレートセンサSYで検出されたヨーレートの絶対値が、0.5deg/sec未満
(3)車速演算部11からの車速VSが所定値以上、例えば、30km/hr以上での前進走行
【0036】
(操舵角記憶部13A)
操舵角記憶部13Aは、記憶エリア13a(操舵角記憶手段)を有しており、車両のイグニッションスイッチ(以下「IG−SW」と略称する)のオン以後、直進状態判定部112Aからの直進状態判定条件Xを満足している信号を受信したとき、そのとき入力されている操舵角θHの値(操舵角センサ値)を記憶エリア13aに記憶させる。
ちなみに、記憶エリア13aは、具体的にはRAM103の中のプログラム104aによって指定された特定の記憶領域である。
【0037】
なお、直進状態判定部12Aからの直進状態判定条件Xを満足している信号を受信したとき、そのとき入力されている操舵角θHの値(操舵角センサ値)を記憶エリア13aに記憶させるとしたが、それに限定されるものではなく、図2に示した操舵角−ヨーレート特性データ104bを準用して、ヨーレートが発生している分だけ操舵角θHの値を補正して、ヨーレートがゼロの状態の操舵角θHの値に換算した操舵角センサ値を記憶しても良い。
図2において、横軸は後記する不感帯領域の補正を行った後の補正された操舵角θCHが正値の場合を示し、縦軸はその場合の規範ヨーレートγ*を示しているが、補正された操舵角θCHが負値の場合は、図2の原点を通過してそのまま直線が補正された操舵角θCHが負値側及びに規範ヨーレートγ*の負値側に延びた操舵角−ヨーレート特性データとなる。
【0038】
前記した直進状態判定条件Xを満たしたときに、図2の操舵角−ヨーレート特性データ104bを準用する。つまり、図2において補正された操舵角θCHの代わりに操舵角θHと車速VSに基づいて、直線の傾きである操舵定常ゲインの値を予め求めておく。ヨーレートセンサSYからのヨーレートγの値と車速VSの値が分かっていれば、次式(1)によって前記したように予め求められた操舵定常ゲインの値からヨーレートγがゼロに相当する操舵角θHの値が算出できる。
(ヨーレートがゼロに相当する操舵角θHの値)=
(操舵角値θHの値)−(ヨーレートγの値)/(操舵定常ゲインの値)
・・・・・・・・(1)
その場合、図1においては表示されていないが、操舵角記憶部13Aにはヨーレートγ、車速VSが入力されている。
【0039】
なお、操舵角記憶部13Aが記憶エリア13aに記憶した操舵角センサ値は、IG−SWがオフになるとクリアされる。
【0040】
(操舵角検出不感帯領域演算部14A)
次に、操舵角記憶部13Aにおいて記憶エリア13aに記憶された操舵角センサ値を用いて操舵角θHの不感帯領域を演算する方法について説明する。図3は、第1の実施形態のヨーレート較正装置における操舵角記憶部に記憶された操舵角θHの値の分布図である。
操舵角検出不感帯領域演算部14Aは、操舵角記憶部13Aの記憶エリア13aに記憶された操舵角センサ値を読み出して、操舵角センサSHAと操向ハンドルとの間の歯車機構のガタによる不感帯領域の演算を行う。操舵角検出不感帯領域演算部14Aは、第1の実施形態のヨーレート較正装置100Aにおける操舵角記憶部13Aに記憶された操舵角θHの値の分布図(図3参照)に示すように、操舵角記憶部13Aの記憶エリア13aに記憶された操舵角センサ値の数に応じて、その数が所定値未満、例えば、50個未満のときは、最小値Aと最大値Bとを検索して、その差分の半値を不感帯領域の1/2幅θHdeadとして演算する。
そして、記憶エリア13aに記憶された操舵角センサ値の数が所定値以上、例えば、50個以上のときは、図3に示すように横軸に記憶された操舵角θH(操舵角センサ値)、縦軸を発生頻度とした正規分布を仮定し、標準偏差σの所定倍数、例えば、2倍の2σを不感帯領域の1/2幅θHdeadとして演算して設定する。
なお、不感帯領域の1/2幅θHdeadを2σとしたが、それに限定されるものではなく、所定倍数として2.0以外の数値であっても良い。
演算された不感帯領域の1/2幅θHdeadは、操舵角補正部16に入力される。
【0041】
(操舵角速度演算部19)
操舵角速度演算部19は、操舵角θHを時間微分して操舵角速度ωHを算出して、操舵方向判定部15とヨーレートオフセット量演算部17に入力する。
【0042】
(操舵方向判定部15)
操舵方向判定部15は、操舵角θHと操舵角速度ωHに基づいて、左操舵か右操舵かの操舵方向を判定し、操舵角補正部16にその結果を出力する。
操舵方向判定は、原則的に操舵角θHが正(+)の場合は左操舵、操舵角θHが負(−)の場合は右操舵と判定するが、後記する図9の説明図に示すように操舵角速度の符号が正(+)のときは左操舵と優先的に判定し、操舵角速度が負(−)の場合は右操舵と優先的に判定する。この詳細な操舵方向の判定方法については、後記する図9の説明において具体的に説明する。
操舵角センサSHAが、操舵角θHの値がゼロであることを示している場合は、必ずしも正確に中立状態(実操舵角がゼロ)であることを意味せず、中立状態近傍で左右の不感帯領域にいる場合も含むので、操舵方向判定部15は、操舵方向判定できずの信号を操舵角補正部16に出力し、左操舵、右操舵とそれぞれ判定したときはそれに対応する信号を操舵角補正部16に出力する。
【0043】
(操舵角補正部16)
操舵角補正部16は、操舵方向判定部15からの操舵方向判定の結果に基づいて、そのとき読み込んだ操舵角θHを、操舵角検出不感帯領域演算部14Aから入力された最新の不感帯領域の1/2幅θHdeadで補正して、補正された操舵角θCHをヨーレートオフセット量演算部17に出力する。
【0044】
(ヨーレートオフセット量演算部17)
ヨーレートオフセット量演算部17は、操舵角補正部16から入力された補正された操舵角θCHと車速演算部11から入力された車速VSとに基づき操舵角−ヨーレート特性データ104bを参照して、規範ヨーレートγ*を演算する(図2参照)。更にヨーレートセンサSYから入力されたヨーレートγと、前記演算された規範ヨーレートγ*をローパスフィルタ処理してノイズを除去する。このローパスフィルタ処理されたヨーレートγ及び規範ヨーレートγ*を、以下では、フィルタードヨーレートγ及びフィルタード規範ヨーレートγ*を意味して、単に「ヨーレートγf」及び「規範ヨーレートγ*f」と記載する。
その後、ヨーレートオフセット量演算部17は、前後加速度センサSαXから入力された前後加速度αXと操舵角速度演算部19から入力された操舵角速度ωHとにもとづいて、車両が所定の安定走行条件Yを満たしているか否かを判定し、所定の安定走行条件Yを満たしていると判定した場合に、ヨーレートオフセット量Δγ(=γf−γ*f)を演算して、タイマtの示す時間とともにヨーレートゼロ点補正部18に出力する。所定の安定走行条件Yを満たしていないと判定した場合には、ヨーレートオフセット量Δγ及びタイマtの示す時間はヨーレートゼロ点補正部18に出力されない。
【0045】
(車両の所定の安定走行条件Y)
前記した車両の所定の安定走行条件Yは、例えば、下記(1),(2)の両方が満たされているときである。
(1)前後加速度センサSαXで検出された前後加速度αXの絶対値が、0.05G未満
(2)操舵角速度ωHの絶対値が、10deg/sec未満
操舵角θHが変化していない場合は、操舵角θHの実際の変化が操舵角センサSHAの不感帯によって出力されていない可能性がある。そこで、確実に不感帯の全幅(2・θHdead)の一方の端に詰められた(機械的な表現では当接した)状態であるときにヨーレートγをゼロ点補正するためには、安定走行条件Yの(2)は、操舵角速度ωHの絶対値が、5〜10deg/sec未満であることが好ましい。
【0046】
(ヨーレートゼロ点補正部18)
ヨーレートゼロ点補正部18は、ヨーレートオフセット量演算部17から入力されたヨーレートオフセット量Δγ及びタイマtの示す時間を記憶エリア(ゼロ点較正手段)18aに時系列的に記憶蓄積する。ちなみに、記憶エリア18aは、具体的にはRAM103のプログラム104aによって指定された特定の記憶エリアである。
【0047】
ヨーレートゼロ点補正部18は、ヨーレートセンサSYから入力されたヨーレートγに対して、記憶エリア18aに記憶されたヨーレートオフセット量Δγの平均値〈Δγ〉を用いて、次式(2)のようにゼロ点補正をして補正されたヨーレート(補正ヨーレート)γCを入出力インタフェース回路105、CAN通信などを介して、例えば、電動パワーステアリング制御装置200や車両運動安定化制御装置300に出力する。
γC=γ−〈Δγ〉 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・(2)
【0048】
なお、ヨーレートゼロ点補正部18は、タイマtが示す現在の時間を基準にして、記憶エリア18aに記憶されたヨーレートオフセット量Δγのデータのうち所定の時間T、例えば、30分を超えて遡って記憶された古いヨーレートオフセット量Δγのデータを記憶エリア18aから削除(記憶データから削除)し、タイマtの示す現在の時間から30分以内に記憶されたヨーレートオフセット量Δγの平均値〈Δγ〉を用いるようにする。
【0049】
これにより、車両の走行中にヨーレートセンサSYの環境温度が変化して、ヨーレートセンサSYから出力されるヨーレートγのゼロ点が変化してもそれに追随してヨーレートオフセット量Δγの平均値〈Δγ〉が更新され、実質的に平均値〈Δγ〉は時間的な移動平均値となる。
【0050】
電動パワーステアリング制御装置200では、補正ヨーレートγCを用いてより正確なアクティブ操舵制御に用いることができる。また、車両運動安定化制御装置300では、補正ヨーレートγCを用いてより正確なヨーモーメント制御などに用いることができる。
【0051】
(全体フローチャート)
次に、図4を参照しながらヨーレートのゼロ点補正の全体フローチャートについて説明する。図4は、ヨーレート較正装置におけるヨーレートのゼロ点較正の処理の流れを示す全体フローチャートである。
ステップS01では、IG−SWがオン(ON)されるとCPU101が起動し、タイマtをスタートさせる(「タイマtスタート」)。
そして、車速演算部11は各車輪の車輪速VWから車速VSを演算し、直進状態判定部12A及びヨーレートオフセット量演算部17へ一定の所定の周期で出力する。また、操舵角速度演算部19は、操舵角θHを時間微分して操舵角速度ωHを操舵方向判定部15及びヨーレートオフセット量演算部17へ前記した一定の所定の周期で出力する。
更に、操舵方向判定部15は、操舵角θH及び操舵角速度ωHにもとづいて左方向操舵か右方向操舵かの操舵方向の判定を行い、その判定結果を、操舵方向を判定できない場合も含めて、操舵角補正部16へ前記した一定の所定の周期で出力する。
【0052】
ステップS02Aでは、直進状態判定部12A及び操舵角記憶部13Aにおいて処理され、前記した直進状態判定条件Xが満足されたときの操舵角センサ値が記憶エリア13aに記憶される(「操舵角センサ値の記憶」)。このステップS02Aの詳細なフローチャートは、後記する図5の詳細フローチャートで説明する。
ステップS03Aでは、操舵角検出不感帯領域演算部14Aにおいて、記憶エリア13aに記憶された操舵角センサ値を読み出して操舵角センサSHAの不感帯領域演算を行い、操舵角補正部16に出力する(「操舵角センサの不感帯領域演算」)。このステップS03Aの詳細なフローチャートは、後記する図6の詳細フローチャートで説明する。
ステップS04では、操舵角補正部16が、現在の操舵角θHを読み込んで補正し、補正された操舵角θCHをヨーレートオフセット量演算部17に出力する(「操舵角の補正」)。このステップS04の詳細なフローチャートは、後記する図7の詳細フローチャートで説明する。
【0053】
ステップS05では、ヨーレートオフセット量演算部17が、現在のヨーレートγを読み込んで、車両の所定の安定走行条件Yを満たしている場合に、ヨーレートオフセット量Δγを演算して、ヨーレートゼロ点補正部18に出力する(「ヨーレートのオフセット量の演算」)。このステップS05の詳細なフローチャートは、後記する図10の詳細フローチャートで説明する。
ステップS06では、ヨーレートゼロ点補正部18が、ヨーレートオフセット量演算部17からのヨーレートオフセット量Δγを時系列的に記憶エリア18aへ蓄積記憶して、ヨーレートオフセット量Δγの平均値〈Δγ〉を演算して、現在のヨーレートγを読み込んで、それを平均値〈Δγ〉で補正し、補正されたヨーレートγCを出力する(「ヨーレートのゼロ点補正」)。このステップS06の詳細なフローチャートは、後記する図11の詳細フローチャートで説明する。
【0054】
ステップS07では、IG−SWがオフ(OFF)されたか否かをチェックし、IG−SWがオフ(OFF)された場合(Yes)は、ステップS08に進み、タイマtをリセットし、ヨーレートゼロ点補正の処理を終了する。ステップS07でNoの場合は、ステップS02Aに戻り、繰り返し処理を行う。
【0055】
(ステップS02Aの詳細フローチャート)
次に、図5を参照しながら、図4の全体フローチャートにおけるステップS02Aについて説明する。図5は、図1の直進状態判定部と操舵角記憶部における直進状態における操舵角センサ値の記憶制御の流れを示す詳細フローチャートである。
ステップS21では、操舵角記憶部13Aは、CPU101が起動したときに、記憶エリア13aに記憶された操作角センサ値の数Nを0(ゼロ)にリセットする(「N=0」)。
【0056】
ステップS22では、直進状態判定部12Aは、車速VS、前後加速度αX、ヨーレートγを読み込んで、車両が直進状態判定条件Xを満足した直進の走行状態か否かをチェックする。直進状態判定条件Xを満足した場合(Yes)は、直進状態判定部12Aは、直進状態判定条件Xを満足したことを示す信号を操舵角記憶部13Aに入力し、ステップS23へ進み、直進状態判定条件Xを満足していない場合(No)は、ステップS25へ進む。
【0057】
ステップS23では、操舵角記憶部13Aは、操舵角センサSHAからの操舵角θHの値(操舵角センサ値)を読み込んで記憶エリア13aに記憶する。ここで、ステップS23が、特許請求の範囲に記載の「操舵角記憶手段」に対応する。
【0058】
なお、ステップS23では、操舵角記憶部13Aは、操舵角センサ値として、ヨーレートγの値と車速VSの値が分かっているので、図2の操舵角−ヨーレート特性データ104bを準用し、前記した式(1)の予め求められた操舵定常ゲインの値によってヨーレートセンサSYで検出されたヨーレートがゼロに相当する操舵角θHの値(直進状態模擬操舵角)が算出できる。そして、式(1)によってヨーレートγがゼロに相当する操作角θHを演算して記憶エリア13aに記憶しても良い。その場合、ステップS23が、特許請求の範囲に記載の「直進状態操舵角演算手段」及び「操舵角記憶手段」に対応する。また、式(1)によってヨーレートγがゼロに相当する操作角θHを演算することが、特許請求の範囲に記載の「直進状態判定手段により直進走行状態と判定された際の操舵角センサにより検出された操舵角を、車速検出手段により検出された車速と、ヨーレートセンサにより検出されたヨーレートと、ヨーレート特性データとに基づいて、前記検出されたヨーレートがゼロの値に対応する直進状態模擬操舵角に補正演算する」に対応する。
【0059】
ステップS24では、記憶エリア13aに記憶された操舵角センサ値の数Nを1だけインクレメントする(「N=N+1」)。
なお、記憶エリア13aに記憶された操舵角センサ値の数Nは、例えば、記憶エリア13aの先頭部分のロケーションに書き込み更新され、操舵角検出不感帯領域演算部14Aが読み込み可能になっている。
【0060】
ステップS25では、操舵角記憶部13Aは、IG−SWがオフ(OFF)されたか否かをチェックする。IG−SWがオフされた場合(Yes)は、記憶された操舵角センサ値をクリアする。ちなみに、記憶エリア13aはRAM103の所定の記憶エリアであり、ヨーレート較正装置100Aが電源オフになれば自動的に記憶は消去される。ステップS25でNoの場合は、ステップS22に戻り、操舵角センサ値の記憶の処理を繰り返す。
【0061】
(ステップS03Aの詳細フローチャート)
次に、図6を参照しながら、図4の全体フローチャートにおけるステップS03Aについて説明する。図6は、図1の操舵角検出不感帯領域演算部における不感帯領域の演算処理の制御の流れを示す詳細フローチャートである。この処理は、操舵角検出不感帯領域演算部14Aにおいて行われる。
ステップS31では、記憶エリア13aに記憶された操舵角センサ値の数Nが所定数以上か否か、例えば、50以上か否かをチェックする(「N≧50?」)。Nが所定数以上の場合(Yes)は、ステップS34へ進み、そうでない場合(No)はステップS32へ進む。
ステップS32では、記憶エリア13aに記憶された操舵角センサ値の中から最大値θHmax、最小値θHminを検索する。ステップS33では、不感帯領域の1/2幅θHdead{=(θHmax−θHmin)/2}を演算する。その後ステップS36へ進む。
【0062】
ステップS31からYesでステップS34へ進むと、記憶エリア13aに記憶された操舵角センサ値の分布は、正規分布であると仮定し、標準偏差σを演算して、それに所定の倍数、例えば、2.0の定数を乗算して2σの値を演算する(「正規分布を仮定し、2σを演算する」)。ステップS35では、不感帯領域の1/2幅θHdeadを設定する(θHdead=2σ)。その後ステップS36へ進む。
【0063】
ステップS36では、ステップS33又はステップS35で得られた操舵角センサSHAの不感帯領域の1/2幅を操舵角補正部16に出力する。これで全体フローチャートのステップS03Aの操舵角センサの不感帯領域演算の処理を終わり、全体フローチャートのステップS04へ進む。
【0064】
(ステップS04の詳細フローチャート)
次に、図7から図9を参照しながら、図4の全体フローチャートにおけるステップS04について説明する。図7は、図1の操舵角補正部における操舵角センサで検出された操舵角を補正する制御の流れを示す詳細フローチャートである。この処理は、操舵角補正部16において行われる。
【0065】
ステップS41では、操舵方向判定部15から操舵角θHと操舵角速度ωHに基づいた操舵方向の判定ができたか否かの信号をチェックする。操舵方向の判定ができなかった場合(No)は、操舵角補正をしないで終了する。この場合は、例えば、操舵角センサSHAが操舵角θHの値としてゼロの値を示し、操舵角速度ωHもゼロの値を示しているときである。このとき、ヨーレートオフセット量演算部17には何等信号は出力されない。操舵方向判定部15から左操舵又は右操舵に対応する信号を入力された場合は、操舵方向の判定ができた場合(Yes)であり、ステップS42へ進み、操舵方向判定部15で判定された操舵方向は左か右かをチェックする。
【0066】
ステップS42で操舵方向が左の場合は、ステップS43へ進み、補正された操舵角θCHは、操舵角θHに不感帯領域の1/2幅θHdeadを加算した結果とする(「θCH=θH+θHdead」)。ステップS42で操舵方向が右の場合は、ステップS44へ進み、補正された操舵角θCHは、操舵角センサSHAからの生値である操舵角θHから不感帯領域の1/2幅θHdeadを減算した結果とする(「θCH=θH−θHdead」)。
ステップS43又はステップS44の後は、ステップS45へ進む。
ステップS45では、ヨーレートオフセット量演算部17へ補正された操舵角θCHを出力する。これで全体フローチャートのステップS04の操舵角の補正の処理を終わり、全体フローチャートのステップS05へ進む。
【0067】
図8は、実際の操舵角と操舵角センサが検出した操舵角θHの関係の説明図、図9は、操舵角θHの補正を説明する図である。
図8に実線で示した操舵角センサSHAが出力する操舵角θHの値の時間推移は、実際の操舵角θHrealの値の時間推移に対して、不感帯領域が存在するため、例えば中立状態から左操舵を開始してもその立ち上がりはガタ分(ほぼ不感帯領域の1/2幅θHdead)だけ遅れており、左操舵状態で一定の操舵角θHrealを維持して右操舵を開始しても、やはりガタ分だけこの場合は、ほぼ不感帯領域の幅2・θHdead分だけ遅れて立ち下がる。
【0068】
そこで、操舵角の補正は、前記したように操舵方向判定部15において判定した操舵方向に応じて、左操舵と判定されたとき、例えば、図9の(a)のA部で示すように、操舵角θHの値が中立から正の方向に変化したとき又は図9の(b)に示すように操舵角速度ωHが正の間、左操舵と判定されて、θCH=θH+θHdeadの左操舵の補正がなされ、その後操舵角θHが正で操舵角速度ωHの値が負にならない間は、左操舵の補正が維持される。これは、操向ハンドルに加わる操舵反力により操舵角センサSHAはガタの一方に(不感帯領域の一方の端に)当接されている状態が継続するからである。
【0069】
しかし、図9の(a)のB部で示したように正の操舵角θHrealが減少するような右操舵が開始されると操舵角センサSHAはガタの一方(不感帯領域の一方の端)からガタの他方(不感帯領域の他方の端)に当接するまで操舵角θHの変化は開始せず、操舵角θHの減少が開始すると図9の(b)に示すように操舵角速度ωHが負の間、右操舵と判定されて、θCH=θH−θHdeadの補正がなされる。その後操舵角θHが負で操舵角速度ωHの値が正にならない間は、右操舵の補正が維持される。これは、操向ハンドルに加わる操舵反力により操舵角センサSHAはガタの他方に(不感帯領域の他方の端に)当接されている状態が継続するからである。
図9の(a)のC部で示した箇所は、図9の(a)のB部で示した場合の反対操舵であり説明を省略する。
従って、図9の(a)のB部、C部のような場合には、操舵角センサSHAからの生の操舵角θHは、2・θHdead分だけジャンプして補正されることになる。
【0070】
(ステップS05の詳細フローチャート)
次に、図10を参照しながら、図4の全体フローチャートにおけるステップS05について説明する。図10は、図1のヨーレートオフセット量演算部におけるヨーレートオフセット量の演算制御の流れを示す詳細フローチャートである。この処理は、ヨーレートオフセット量演算部17において行われる。
ステップS51では、ステップS45における補正された操舵角θCHの入力を受け、そのときの車速VSを読み取って操舵角−ヨーレート特性データ104b(図2参照)を参照して、規範ヨーレートγ*を演算する(「補正された操舵角θCHと車速VSに基づき、操舵角−ヨーレート特性データを参照して、規範ヨーレートγ*を演算する」)。
ここで、図2では、補正された操舵角θCHが正値の場合で例示してあるが、補正された操舵角θCHが負値の場合は、図2の原点を中心に点対称の直線が補正された操舵角θCHが負値側に延びた操舵角−ヨーレート特性データを用いる。
ステップS52では、ステップS45における補正された操舵角θCHの入力を受け、そのときのヨーレートγを読み込み、ローパスフィルタ処理してヨーレートγfとする(「ヨーレートγをローパスフィルタ処理」)。
ステップS53では、ステップS51で演算された規範ヨーレートγ*をローパスフィルタ処理して規範ヨーレートγ*fとする(「規範ヨーレートγ*をローパスフィルタ処理」)。
このように、ステップS52、S53でヨーレートγ及び規範ヨーレートγ*をローパスフィルタ処理することによってノイズをカットする。
【0071】
ステップS54では、前記した車両が所定の安定走行条件Yを満たしているか否かをチェックし、車両が所定の安定走行条件Yを満たしている場合(Yes)は、ステップS55へ進み、ヨーレートオフセット量Δγ(=γf−γ*f)を算出する。そして、ステップS56では、ヨーレートオフセット量Δγの値と、タイマtの示す時間をヨーレートゼロ点補正部18に出力する。
ステップS54において、前記した車両が所定の安定走行条件Yを満たしていない場合(No)は、そのままヨーレートオフセット量Δγの演算をしない。
これで、これで全体フローチャートのステップS05のヨーレートオフセット量の演算の処理を終わり、全体フローチャートのステップS06へ進む。
【0072】
(ステップS06の詳細フローチャート)
次に、図11、図12を参照しながら、図4の全体フローチャートにおけるステップS06について説明する。図11は、図1のヨーレートゼロ点補正部におけるゼロ点補正の処理の制御の流れを示す詳細フローチャート、図12は、ヨーレートセンサで検出されたヨーレートγを、ヨーレートオフセット量の平均値〈Δγ〉で補正されたヨーレートγCを示す説明図である。この処理は、ヨーレートゼロ点補正部18において行われる。
【0073】
ステップS61では、ステップS56において出力されたヨーレートオフセット量Δγの値と、タイマtの示す時間を記憶エリア18aに記憶する。
ステップS62では、タイマtの示す現在の時間から所定の時間T、例えば、30分を超えて遡って記憶された古いヨーレートオフセット量Δγの値とタイマtの示す時間のデータを記憶エリア18aの記憶データから削除する。
ステップS63では記憶エリア18aに記憶されているヨーレートオフセット量Δγの値の平均値〈Δγ〉を演算する。
ステップS64では、現在の読み込んだヨーレートγを平均値〈Δγ〉で補正して、ゼロ点補正されたヨーレートγC(図1では「補正ヨーレートγC」と表示)として出力する(γC=γ−〈Δγ〉)。
【0074】
その結果、図12に示すように時間の推移で変化するヨーレートセンサSY(図2参照)からのヨーレートγを〈Δγ〉だけ補正して、この場合は+側に加算補正されて補正ヨーレートγCが演算された場合である。
【0075】
本実施形態によれば、操舵角補正部16は、操舵角センサSHAに不感帯領域がある場合でも、操舵角センサSHAから出力される操舵角θHの値を、操舵方向判定部15において判定した操舵方向に応じて不感帯領域の1/2幅θHdeadを用いて補正して、より精度の高い補正された操舵角θCHを取得することができる。そして、ヨーレートオフセット量演算部17において、補正された操舵角θCHと車速VSに基づいて精度の良い規範ヨーレートγ*を演算することができる。また、精度の良い規範ヨーレートγ*を得られたときに、ヨーレートセンサSYから出力されたヨーレートγと規範ヨーレートγ*の差分からヨーレートオフセット量Δγが得られ、このヨーレートオフセット量Δγをヨーレートゼロ点補正部18において時系列的に記憶して、所定の時間Tを超えて遡って記憶されたヨーレートオフセット量Δγは自動的に削除する。
【0076】
この結果、所定の時間Tを超えた古いヨーレートオフセット量Δγは使用しないで、新しい現在から所定の時間T以内のヨーレートオフセット量Δγだけの平均値〈Δγ〉を得て、刻々と得られるヨーレートγを補正した補正ヨーレートγCが出力できる。そして、車両の走行環境の変化によるヨーレートセンサSYの環境温度の変化により出力されるヨーレートγの値の誤差変動に対し、適切にゼロ点補正ができる。
【0077】
また、操舵角検出不感帯領域演算部14Aは、操舵角記憶部13Aの記憶エリア13aに記憶された操舵角θHの値の数が、所定値、例えば50未満の場合は、不感帯領域の1/2幅θHdeadを、記憶された操舵角θHの最大値と最小値の中間値で決めるので、IG−SWのオンの後、迅速に不感帯領域の1/2幅θHdeadを決定することができる。その結果、ヨーレートセンサSYのゼロ点補正も、IG−SWがオンになってから迅速に開始できる。
また、操舵角記憶部13Aの記憶エリア13aに記憶された操舵角θHの値の数が所定値、例えば、50以上の場合は、標準偏差σの所定倍、例えば、2倍σの値を不感帯領域の1/2幅θHdeadとするので、不感帯領域の1/2幅θHdeadをより正確に決定でき、ヨーレートオフセット量演算部17における規範ヨーレートγ*の演算結果が精度良くでき、ヨーレートセンサSYのゼロ点補正が精度良くできるようになる。
【0078】
また、図7の詳細フローチャートに示したように操舵方向判定部15において操舵方向が判定できたときにのみ、ヨーレートオフセット量演算部17へ補正された操舵角θCHを出力する。例えば、操舵角センサSHAが操舵角θHの値としてゼロの値を示し、操舵角速度ωHもゼロの値を示しているときは、操舵方向判定不能として、ヨーレートオフセット量演算部17へ補正された操舵角θCHを出力しないので、ヨーレートオフセット量Δγとして不確かなデータは、ヨーレートオフセット量演算部17で算出されず、記憶エリア18aに記憶蓄積されることもない。その結果、ヨーレートγのゼロ点補正が精度良くできる。
【0079】
なお、本実施形態において、ステップS22において車両が直進状態判定条件Xを満足した直進の走行状態と判定されて、ステップS23において操舵角センサSHAで検出された操舵角θHの値を、ヨーレートγがゼロの値に対応する操舵角θHの値に置き換えて記憶エリア13aに記憶した場合、操舵角検出不感帯領域演部14Aにおいて操舵角センサSHAの不感帯領域をより精度良く演算できる。
【0080】
《第2の実施形態》
次に、図1、図2、図4、図13から図16を参照しながら本発明の第2の実施形態に係るヨーレート較正装置100Bについて説明する。
本実施形態におけるプログラム104aは、機能構成ブロックとして車速演算部(車速検出手段)11、直進状態判定部12B、操舵角記憶部(操舵角記憶手段、直進状態操舵角演算手段)13B、操舵角検出不感帯領域演算部(操舵角検出不感帯領域演算手段)14B、操舵方向判定部(操舵方向判定手段)15、操舵角補正部(操舵角補正手段)16、ヨーレートオフセット量演算部(ゼロ点較正手段)17、ヨーレートゼロ点補正部(ゼロ点較正手段)18、操舵角速度演算部(操舵角速度検出手段)19などを含んで構成されている。
ここで、直進状態判定部12Bは、特許請求の範囲の請求項5に記載の「直進状態判定手段」に対応する。
【0081】
第2の実施形態に係るヨーレート較正装置100Bにおける第1の実施形態のヨーレート較正装置100Aからの変更点は、(1)直進状態判定部12Aの代わりに直進状態判定部12Bに、操舵角記憶部13Aの代わりに操舵角記憶部13Bに、操舵角検出不感帯領域演算部14Aの代わりに操舵角検出不感帯領域演算部14Bに変更されることと、(2)操舵角記憶部13Bは、記憶エリア(操舵角記憶手段)13a、13bを有すること、(3)操舵角速度演算部19から操舵角速度ωHが直進状態判定部12Bにも入力されること、(4)操舵方向判定部15の操舵方向判定結果が操舵角記憶部13Bにも入力されること、(5)操舵角記憶部13Bにヨーレートγ、車速VSも入力される点である。ただし、図1では、車速VSの操舵角記憶部13Bへの入力は省略してある。
第2の実施形態において第1の実施形態と同じ構成については同じ符号を付し、重複する説明は省略する。
【0082】
前記のようなヨーレート較正装置100Bの機能構成ブロックの変更に伴い、図4における全体フローチャートは、第1の実施形態のステップS02AがステップS02Bに、ステップS03AがステップS03Bに、又、ステップS04〜S06それぞれの詳細フローチャートにおいて直進状態判定部12Aは直進状態判定部12Bに、操舵角記憶部13Aは操舵角記憶部13Bに、操舵角検出不感帯領域演算部14Aは操舵角検出不感帯領域演算部14Bに読み替える。また、操舵角記憶部13Bは記憶エリア13a,13b(図1参照)を有しているように読み替える。
【0083】
(ステップS02Bの詳細フローチャート)
直進状態判定部12B、操舵角記憶部13Bの機能について、図13を参照しながら図4の全体フローチャートにおけるステップS02Bの詳細フローチャートで説明する。図13は、第2の実施形態のヨーレート較正装置における図1の直進状態判定部と操舵角記憶部における直進状態における操舵角センサ値の記憶制御の流れを示す詳細フローチャートである。
ステップS121では、操舵角記憶部13Bは、CPU101が起動したときに、記憶エリア13aに記憶された左操舵方向の操作角センサ値の数NL、記憶エリア13bに記憶された右操舵方向の操作角センサ値の数NRを0(ゼロ)にリセットする(「NL=NR=0」)。
【0084】
ステップS122では、直進状態判定部12Bは、車速VS、前後加速度αX、ヨーレートγ、操舵角速度演算部19から入力された操舵角速度ωHを読み込んで、車両が直進状態判定条件Zを満足した直進の走行状態か否かをチェックする。直進状態判定条件Zを満足した場合(Yes)は、直進状態判定部12Bは、直進状態判定条件Zを満足したことを示す信号を操舵角記憶部13Bに入力し、ステップS123へ進み、直進状態判定条件Zを満足していない場合(No)は、ステップS127へ進む。
【0085】
(直進状態判定条件Z)
前記した直進状態判定条件Zとは、例えば、以下の(1)〜(4)の条件を全て満たしているときに車両が直進状態判定条件Zを満たしているとする。
(1)前後加速度センサSαXで検出された前後加速度αXの絶対値が、0.05G未満
(2)ヨーレートセンサSYで検出されたヨーレートの絶対値が、0.5deg/sec未満
(3)操舵角速度演算部19から入力された操舵角速度ωHが、左操舵を示し、その操舵角速度ωHの値が5〜10deg/secの範囲内であるか、又は、右操舵を示し、その操舵角速度ωHの値が−10〜−5deg/secの範囲内である
(4)車速演算部11からの車速VSが所定値以上、例えば、30km/hr以上での前進走行
【0086】
ステップS123では、操舵角記憶部13Bは、操舵方向判定部15から入力された操舵方向の判定結果が左操舵を示している場合は、記憶エリア13aに記憶し、操舵方向判定部15から入力された操舵方向の判定結果が右操舵を示している場合は、記憶エリア13bに記憶する(「操舵角センサ値を、左右の操舵方向を区別して、記憶」)。ここで、ステップS123が、特許請求の範囲に記載の「操舵角記憶手段」に対応する。
【0087】
なお、ステップS123では、操舵角記憶部13Bは、操舵角センサ値として、ヨーレートγの値と車速VSの値が分かっているので、図2の操舵角−ヨーレート特性データ104bを準用し、前記した式(1)の予め求められた操舵定常ゲインの値によってヨーレートセンサSYで検出されたヨーレートγがゼロに相当する操舵角θHの値(直進状態模擬操舵角)が算出できる。そして、式(1)によってヨーレートγがゼロに相当する操作角θHを演算して記憶エリア13a,13bに記憶しても良い。図1においては表示されていないが、操舵角記憶部13Bには、車速VSも入力されている。
その場合、ステップS123が、特許請求の範囲に記載の「直進状態操舵角演算手段」及び「操舵角記憶手段」に対応する。また、式(1)によってヨーレートγがゼロに相当する操作角θHを演算することが、特許請求の範囲に記載の「直進状態判定手段により、直進走行状態と判定され、かつ、操舵角速度検出手段により操舵角速度の発生が確認された際に、操舵角センサにより検出された操舵角を、操舵方向判定手段により判定された操舵方向と、車速検出手段により検出された車速と、ヨーレートセンサにより検出されたヨーレートと、ヨーレート特性データとに基づいて、検出されたヨーレートがゼロの値に対応する直進状態模擬操舵角に補正演算する」に対応する。
【0088】
ステップS124では、操舵角記憶部13Bは、操舵方向判定部15からの操舵方向の判定結果が左右いずれかをチェックする(「操舵方向は左右いずれか?」)。操舵方向が左の場合はステップS125へ進み、操舵方向が右の場合はステップS126へ進む。
ステップS125では、記憶エリア13aに記憶された操舵角センサ値の数NLを1だけインクレメントする(「NL=NL+1」)。
ステップS126では、記憶エリア13bに記憶された操舵角センサ値の数NRを1だけインクレメントする(「NR=NR+1」)。
なお、記憶エリア13a,13bに記憶された操舵角センサ値の数NL,NRは、例えば、記憶エリア13a,13bの先頭部分のロケーションに書き込み更新され、操舵角検出不感帯領域演算部14Bが読み込み可能になっている。
ステップS125又はステップS126の後は、ステップS127へ進む。
【0089】
ステップS127では、操舵角記憶部13Bは、IG−SWがオフ(OFF)されたか否かをチェックする。IG−SWがオフされた場合(Yes)は、記憶された操舵角センサ値をクリアする。ちなみに、記憶エリア13a,13bはRAM103の所定の記憶エリアであり、ヨーレート較正装置100Bが電源オフになれば自動的に記憶は消去される。ステップS127でNoの場合は、ステップS122に戻り、操舵角センサ値の記憶の処理を繰り返す。
【0090】
(ステップS03Bの詳細フローチャート)
次に、図14から図16を参照しながら、図4の全体フローチャートにおけるステップS03Bについて説明する。図14、図15は、第2の実施形態のヨーレート較正装置における図1の操舵角検出不感帯領域演算部における不感帯領域の演算処理の制御の流れを示す詳細フローチャートである。この処理は、操舵角検出不感帯領域演算部14Bにおいて行われる。
ステップS131では、記憶エリア13aに記憶された操舵角センサ値の数NLが所定数以上か否か、例えば、10以上か否かをチェックする(「NL≧10?」)。NLが所定数以上の場合(Yes)は、ステップS134へ進み、そうでない場合(No)はステップS132へ進む。
ステップS132では、左操舵時に記憶エリア13aに記憶された操舵角センサ値の中から最大値(第1の最大値)θHLmax、最小値(第1の最小値)θHLminを検索する。ステップS133では、中間値(第1の中間値)θHLM{=(θHLmax−θHLmin)/2}を演算する。その後、ステップS135へ進む。
【0091】
ステップS131からYesでステップS134へ進むと、左操舵時に記憶エリア13aに記憶された操舵角センサ値平均値(第1の平均値)θHLAを演算する{θHLA=(ΣθH)/NL}、そしてその後、ステップS135へ進む。
【0092】
ステップS135では、記憶エリア13bに記憶された操舵角センサ値の数NRが所定数以上か否か、例えば、10以上か否かをチェックする(「NR≧10?」)。NRが所定数以上の場合(Yes)は、結合子(B)に従って、図15のステップS138へ進み、そうでない場合(No)はステップS136へ進む。
ステップS136では、右操舵時に記憶エリア13bに記憶された操舵角センサ値の中から最大値(第2の最大値)θHRmax、最小値(第2の最小値)θHRminを検索する。ステップS137では、中間値(第2の中間値)θHRM{=(θHRmax−θHRmin)/2}を演算する。その後、結合子(A)に従って、図15のステップS139へ進む。
【0093】
ステップS135からYesでステップS138へ進むと、右操舵時に記憶エリア13bに記憶された操舵角センサ値平均値(第2の平均値)θHRAを演算する{θHRA=(ΣθH)/NR}、そしてその後、ステップS139へ進む。
【0094】
ステップS139では、記憶エリア13aに記憶された操舵角センサ値の数NL、記憶エリア13bに記憶された操舵角センサ値の数NRに応じて不感帯領域の1/2幅θHdeadを演算する。
具体的には、NL<10かつNR<10の場合は、不感帯領域の1/2幅θHdead={(θHLM−θHRM)/2}である。
L≧10かつNR<10の場合は、不感帯領域の1/2幅θHdead={(θHLA−θHRM)/2}である。
L<10かつNR≧10の場合は、不感帯領域の1/2幅θHdead={(θHLM−θHRA)/2}である。
L≧10かつNR≧10の場合は、不感帯領域の1/2幅θHdead={(θHLA−θHRA)/2}である。
その後ステップS140へ進む。
【0095】
ステップS140では、ステップS139で得られた操舵角センサの不感帯領域の1/2幅θHdeadを操舵角補正部16に出力する。これで全体フローチャートのステップS03Bの操舵角センサの不感帯領域演算の処理を終わり、全体フローチャートのステップS04へ進む。
【0096】
本実施形態によれば、操舵角の補正に当たり、図5の全体フローチャートのステップS02Bにおいて、操舵角センサSHAが操舵角θHの変化を示しているとき、つまり操舵角速度ωHが生じているときに、操舵角センサ値を記憶するか、若しくは、式(1)に従ってヨーレートγがゼロに相当する値の操舵角θHに換算して記憶する。従って、操舵角θHを補正する前の操舵角θHの値が、操舵角センサSHAのガタ、つまり、不感帯領域に入っていない状態で取得して記憶される確率が高いので、左操舵時の前記した中間値θHLM又は平均値θHLAや、右操舵時の前記した中間値θHRM又は平均値θHRAの値の信頼度が高い。
【0097】
図16は第2の実施形態のヨーレート較正装置における操舵角記憶部13Bの記憶エリア13a,13bに記憶された操舵角θHの値の分布図である。この図では、模式的に表わしているが、符号C1は右操舵時に記憶された最小値θHRminを、符号D1は右操舵時に記憶されたθHRmaxを、符号E1は最小値θHRminとθHRmaxとの中間値θHRMを示している。同様に符号C2は左操舵時に記憶された最小値θHLminを、符号D2は左操舵時に記憶されたθHLmaxを、符号E2は、最小値θHLminとθHLmaxとの中間値θHLMを示している。
また、符号F1は、右操舵時に記憶された操舵角センサ値の平均値θHRAを示し、符号F2は、左操舵時に記憶された操舵角センサ値の平均値θHLAを示している。
【0098】
図16では、左操舵時に記憶された操舵角センサ値、右操舵時に記憶された操舵角センサ値の分布は模式的に表わされており、図3に示されたような正規分布とはならない。また、図3よりもより幅が狭く鋭いピークになるが、図16では図3との差異を強調して表示してないだけである。
その結果、第2の実施形態のように操舵角センサ値の数NL,NRが所定数以上の場合にも、2σを用いず、左操舵方向及び右操舵方向それぞれの場合の操舵角センサ値の分布の平均値θHLA,θHMAを用いれば十分に正確な不感帯領域の1/2幅θHdeadを算出できる。
それを用いて操舵角を操舵角補正部16で補正して補正された操舵角θCHと、車速VSとに基づきヨーレートオフセット量演算部17でヨーレートオフセット量Δγがより精度良く演算でき、結果としてヨーレートゼロ点補正部18で正確にヨーレートγのゼロ点補正ができる。
【0099】
また、操舵角センサ値の数NL,NRが所定数未満の場合も、中間値θHLM,θHRMを用いて不感帯領域の1/2幅θdeadを算出できるので車両の走行を開始してから迅速に操舵角θHの補正ができ、その結果ヨーレートγのゼロ点補正もより迅速に行うことができる。
【0100】
本実施形態によれば、第1の実施形態と同様に車両の走行状態のみのヨーレートγのゼロ点補正が可能となる。
【0101】
また、本実施形態では、図14、図15の詳細フローチャートのステップS134,S138において平均値θHLA,θHRAを用いたがそれに限定されるものではなく、左操舵方向及び右操舵方向それぞれの場合の操舵角センサ値の分布のそれぞれの最大頻度の操舵角センサ値(第1及び第2の最大頻度値)を用いても良い。
【0102】
なお、本実施形態において、ステップS122において車両が直進状態判定条件Zを満足した直進の走行状態と判定されて、ステップS123において操舵角センサSHAで検出された操舵角θHの値を、ヨーレートγがゼロの値に対応する操舵角θHの値に置き換えて記憶エリア13a,13bに記憶した場合、操舵角検出不感帯領域演部14Bにおいて操舵角センサSHAの不感帯領域をより精度良く演算できる。
【符号の説明】
【0103】
11 車速演算部(車速検出手段)
12A 直進状態判定部(直進状態判定手段)
12B 直進状態判定部(直進状態判定手段)
13A 操舵角記憶部(操舵角記憶手段、直進状態操舵角演算手段)
13B 操舵角記憶部(操舵角記憶手段、直進状態操舵角演算手段)
13a 記憶エリア(操舵角記憶手段)
13b 記憶エリア(操舵角記憶手段)
14A 操舵角検出不感帯領域演算部(操舵角検出不感帯領域演算手段)
14B 操舵角検出不感帯領域演算部(操舵角検出不感帯領域演算手段)
15 操舵方向判定部(操舵方向判定手段)
16 操舵角補正部(操舵角補正手段)
17 ヨーレートオフセット量演算部(ゼロ点較正手段)
18 ヨーレートゼロ点補正部(ゼロ点較正手段)
18a 記憶エリア(ゼロ点較正手段)
19 操舵角速度演算部(操舵角速度検出手段)
100A ヨーレート較正装置
100B ヨーレート較正装置
101 CPU
102 バス
103 RAM
104 ROM(ヨーレート特性データの記憶手段)
104a プログラム
104b 操舵角−ヨーレート特性データ
105 入出力インタフェース回路
200 電動パワーステアリング制御装置
300 車両運動安定化制御装置
A 最小値
B 最大値
Y ヨーレートセンサ
HA 操舵角センサ
VW 車輪速センサ
VS 車速
X 直進状態判定条件
Y 安定走行条件
Z 直進状態判定条件

【特許請求の範囲】
【請求項1】
操舵角を検出する操舵角センサと、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサと、を備え、前記操舵角センサが検出した操舵角に応じて前記ヨーレートセンサのゼロ点補正をするヨーレート較正装置において、
操舵方向を判定する操舵方向判定手段と、
車速を検出する車速検出手段と、
前記車両の直進走行状態を判定する直進状態判定手段と、
該直進状態判定手段により直進走行状態と判定された際の前記操舵角センサにより検出された操舵角を記憶する操舵角記憶手段と、
該操舵角記憶手段に記憶された前記操舵角の値の分布に基づいて前記操舵角センサの不感帯領域を演算する操舵角検出不感帯領域演算手段と、
該操舵角検出不感帯領域演算手段によって求められた前記不感帯領域と前記操舵方向判定手段によって判定された操舵方向に基づいて前記検出された操舵角を補正する操舵角補正手段と、
前記操舵角と車速とヨーレートとの相関関係が予め格納されたヨーレート特性データの記憶手段と、
前記操舵角補正手段により補正された操舵角と、前記車速検出手段により検出された車速と、前記ヨーレート特性データとに基づいて、前記ヨーレートセンサで検出されたヨーレートのゼロ点を較正するゼロ点較正手段と、
を備えることを特徴とするヨーレート較正装置。
【請求項2】
前記直進状態判定手段により直進走行状態と判定された際の前記操舵角センサにより検出された操舵角を、前記車速検出手段により検出された車速と、前記ヨーレートセンサにより検出されたヨーレートと、前記ヨーレート特性データとに基づいて、前記検出されたヨーレートがゼロの値に対応する直進状態模擬操舵角に補正演算する直進状態操舵角演算手段を更に備え、
前記直進状態操舵角演算手段により演算された直進状態模擬操舵角を、前記直進状態判定手段により直進走行状態と判定された際の前記操舵角センサにより検出された操舵角の代わりの操舵角として前記操舵記憶手段に記憶させて、前記操舵角検出不感帯領域演算手段において用いられることを特徴とする請求項1に記載のヨーレート較正装置。
【請求項3】
前記操舵角検出不感帯領域演算手段は、前記操舵角記憶手段に記憶された前記操舵角の値の最大値と最小値との差分を前記操舵角センサの不感帯領域とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヨーレート較正装置。
【請求項4】
前記操舵角検出不感帯領域演算手段は、前記操舵角記憶手段に記憶された前記操舵角の値の分布の標準偏差値を演算し、前記演算された標準偏差の所定倍の値を前記操舵角センサの不感帯領域とすることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載のヨーレート較正装置。
【請求項5】
操舵角を検出する操舵角センサと、車両のヨーレートを検出するヨーレートセンサと、を備え、前記操舵角センサが検出した操舵角に応じて前記ヨーレートセンサのゼロ点補正をするヨーレート較正装置において、
操舵方向を判定する操舵方向判定手段と、
前記車両の直進走行状態を判定する直進状態判定手段と、
前記操舵角センサにより検出された操舵角に基づき操舵角速度の発生を検出する操舵角速度検出手段と、
前記直進状態判定手段により、直進走行状態と判定され、かつ、前記操舵角速度検出手段により操舵角速度の発生が確認された際の前記操舵角を、左操舵及び右操舵それぞれの操舵方向に区別して記憶する操舵角記憶手段と、
前記操舵角と車速とヨーレートとの相関関係が予め格納されたヨーレート特性データの記憶手段と、
前記操舵角記憶手段に記憶された左操舵時の前記操舵角の値の分布と、右操舵時の前記操舵角の値の分布と、に基づいて前記操舵角センサの不感帯領域を演算する操舵角検出不感帯領域演算手段と、
該操舵角検出不感帯領域演算手段によって求められた前記不感帯領域と前記操舵方向判定手段により判定された操舵方向とに基づいて前記検出された操舵角を補正する操舵角補正手段と、
前記操舵角補正手段により補正された操舵角と、前記車速検出手段により検出された車速と、前記ヨーレート特性データとに基づいて、前記ヨーレートセンサで検出されたヨーレートのゼロ点を較正するゼロ点較正手段と、
を備えることを特徴とするヨーレート較正装置。
【請求項6】
前記直進状態判定手段により、直進走行状態と判定され、かつ、前記操舵角速度検出手段により操舵角速度の発生が確認された際に、前記操舵角センサにより検出された操舵角を、前記操舵方向判定手段により判定された操舵方向と、前記車速検出手段により検出された車速と、前記ヨーレートセンサにより検出されたヨーレートと、前記ヨーレート特性データとに基づいて、前記検出されたヨーレートがゼロの値に対応する直進状態模擬操舵角に補正演算する直進状態操舵角演算手段を更に備え、
前記直進状態操舵角演算手段により演算された直進状態模擬操舵角を、前記直進状態判定手段により直進走行状態と判定され、かつ、前記操舵角速度検出手段により操舵角速度の発生が確認された際の前記操舵角センサにより検出された操舵角の代わりの操舵角として前記操舵角記憶手段に、左操舵及び右操舵それぞれの各操舵方向に区別して記憶させて、前記操舵角検出不感帯領域演算手段において用いられることを特徴とする請求項5に記載のヨーレート較正装置。
【請求項7】
前記操舵角検出不感帯領域演算手段は、前記操舵角記憶手段に記憶された左操舵時の前記操舵角の値の分布の第1の最大値及び第1の最小値の第1の中間値と、右操舵時の前記操舵角の値の分布の第2の最大値及び第2の最小値の第2の中間値との差分を前記操舵角センサの不感帯領域とすることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のヨーレート較正装置。
【請求項8】
前記操舵角検出不感帯領域演算手段は、前記操舵角記憶手段に記憶された左操舵時の前記操舵角の値の分布の第1の平均値と、右操舵時の前記操舵角の値の分布の第2の平均値との差分を前記操舵角センサの不感帯領域とすることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のヨーレート較正装置。
【請求項9】
前記操舵角検出不感帯領域演算手段は、前記操舵角記憶手段に記憶された左操舵時の前記操舵角の値の分布の最大頻度値である第1の最大頻度値と、右操舵時の前記操舵角の値の分布の最大頻度値である第2の最大頻度値との差分を前記操舵角センサの不感帯領域とすることを特徴とする請求項5又は請求項6に記載のヨーレート較正装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【公開番号】特開2012−63184(P2012−63184A)
【公開日】平成24年3月29日(2012.3.29)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−206248(P2010−206248)
【出願日】平成22年9月15日(2010.9.15)
【出願人】(000005326)本田技研工業株式会社 (23,863)
【Fターム(参考)】