ラインヘッド、及び画像形成装置
【課題】 発光素子としての有機EL素子の長寿命化を図りつつ、かつ高輝度なラインヘッド、及び該ラインヘッドを備えた画像形成装置を提供する。
【解決手段】 感光体ドラムに光を照射し、露光するラインヘッド1において、有機EL素子3を複数形成した素子基板5と、素子基板5の、有機EL素子3の光出射側の面に光透過性を有した接着層8を介して貼着された反射基板6と、を備えてなるヘッド基体7を有している。そして、反射基板8の内面側には、各有機EL素子3より出射された光を反射し、ヘッド基体7の端面側に導波させることで有機各EL素子3より出射された光を集光する反射膜6aが設けられ、ヘッド基体7の端面には、反射膜6aで集光された光を出射する光出射部12が複数設けられている。
【解決手段】 感光体ドラムに光を照射し、露光するラインヘッド1において、有機EL素子3を複数形成した素子基板5と、素子基板5の、有機EL素子3の光出射側の面に光透過性を有した接着層8を介して貼着された反射基板6と、を備えてなるヘッド基体7を有している。そして、反射基板8の内面側には、各有機EL素子3より出射された光を反射し、ヘッド基体7の端面側に導波させることで有機各EL素子3より出射された光を集光する反射膜6aが設けられ、ヘッド基体7の端面には、反射膜6aで集光された光を出射する光出射部12が複数設けられている。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインヘッド、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用したプリンタとして、ラインプリンタ(画像形成装置)が知られている。このラインプリンタは、被露光部となる感光体ドラムの周面上に、帯電器、ライン状のプリンタヘッド(ラインヘッド)、現像器、転写器などの装置を近接配置したものである。すなわち、帯電器によって帯電された感光体ドラムの周面上に、プリンタヘッドに設けられた発光素子の選択的な発光動作で露光を行うことにより、静電潜像となる露光スポットを形成し、この潜像を現像器から供給されるトナーで現像して、そのトナー像を転写器で用紙に転写するようにしたものである。
このようなラインプリンタとして、有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)を発光素子とする発光素子アレイを、プリンタヘッドとして用いた画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−119104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1のラインヘッドでは、面発光した有機EL素子によって感光体ドラム上に光を照射しているので光が広がって輝度が低下し、前記感光体ドラムを十分に露光させることが難しかった。そこで、例えば微小な有機EL素子に電流を多く流すことによって輝度の高い点状の光を取り出す方法が考えられるが、この場合、有機EL素子には電流量に応じて発声した高い熱によって劣化し発光素子としての寿命が短くなってしまう。
【0004】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、発光素子としての有機EL素子の長寿命化を図りつつ、かつ高輝度なラインヘッド、及び該ラインヘッドを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のラインヘッドは、感光体ドラムに光を照射し、露光するラインヘッドにおいて、有機EL素子を複数形成した素子基板と、該素子基板の、前記有機EL素子の光出射側の面に光透過性を有した接着層を介して貼着された反射基板と、を備えてなるヘッド基体を有し、前記反射基板の内面側には、前記各有機EL素子より出射された光を反射し、前記ヘッド基体の端面側に導波させることで前記各有機EL素子より出射された光を集光する反射膜が設けられ、前記ヘッド基体の端面には、前記反射膜で集光された光を出射する光出射部が複数設けられていることを特徴とする。
【0006】
本発明のラインヘッドによれば、各有機EL素子から出射された光は、反射基板に設けられた反射膜によって反射されるとともに、光透過性のある接着層内を導波されて、ヘッド基体の端面に設けられた光出射部に集光されて、外部に取り出されることとなる。
このように、各有機EL素子から発光された光を集光した光を前記光出射部から出射しているので、該光出射部から出射される光は輝度の高いものとなる。さらに、例えばヘッド基体の端面側に設けられている光出射部の大きさを変化させないで、前記有機EL素子を大きくすれば、該有機EL素子から発光される光量が増加して、より輝度の高い光を光出射部から取り出すことが可能となる。よって、輝度の高い光を出射できるラインヘッドを用いることで、感光体ドラムを確実に露光できる。また、このように小さな有機EL素子に多量の電流を流すことなく、輝度の高い光を取り出すことができるので、熱によって有機EL素子が劣化することが無い。
このように、本発明のラインヘッドによれば、有機EL素子の長寿命化を図りつつ、輝度の高い光を取り出すことができる。
【0007】
また、前記ラインヘッドにおいては、前記素子基板は、基板と該基板における一方の面側に設けられた前記有機EL素子とを備えてなり、前記基板における前記有機EL素子が設けられた側の面に前記反射基板が貼着されていることが好ましい。
このようにすれば、有機EL素子から出射された光は接着層を透過し、反射膜によって導波されるので、例えば反射基板を前記基板の反対側に貼着した場合のように、有機EL素子から出射された光が反射膜の前に透過する基板によって光が減衰することがなく、したがって前記光出射部から効率的に光を取り出すことで、輝度の高い光を取り出すことが可能となる。
【0008】
また、前記ラインヘッドにおいては、前記光出射部にマイクロレンズが設けられたことが好ましい。
このようにすれば、光出射部から出射された光をマイクロレンズによって集光することができ、光を効率的に外部に取り出すことが可能となり、光の輝度をより向上できる。
【0009】
本発明の画像形成装置は、前記ラインヘッドと、該ラインヘッドによって露光される感光体ドラムとを備えたことを特徴とする。
本発明の画像形成装置によれば、上述したように輝度の高いラインヘッドを露光手段として備えているので、感光体ドラムを確実に露光させることができ、正確な画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で参照する各図面においては、図面を見易くするために、各構成要素の寸法等を適宜変更して表示している。
(第1実施形態)
最初に、ラインヘッドの第1実施形態について説明する。なお、ラインヘッドは、後述する画像形成装置の露光手段として用いられるもので、具体的にはラインヘッドを含むラインヘッドモジュールの状態で用いられる。
【0011】
(ラインヘッドモジュール)
最初に、画像形成装置の露光手段として用いられるラインヘッドモジュールについて説明する。
図1は、ラインヘッドモジュールの側断面図である。図1に示すように、本実施形態のラインヘッドモジュール101は、複数の有機EL素子(エレクトロルミネッセンス素子)を備えたラインヘッド1と、該ラインヘッド1からの出射された光を正立等倍結像させるSL素子31aを整列配置したSLアレイ31とを、ヘッドケース52に固定して構成されている。このラインヘッドモジュール101では、ラインヘッド1に整列配置された有機EL素子からの光をSLアレイ31を構成するSL素子31aに入射させ、図1中2点鎖線で示される感光体ドラム41の外周面に成立等倍結像させて露光するようになっている。
【0012】
(ラインヘッド)
次に、本実施形態におけるラインヘッド1について図2〜4を参照し説明する。
図2は、前記ラインヘッド1を模式的に示した図であり、図2(a)は斜視図であり、図2(b)は側面図である。そして、図3は、図2(b)中A−A´線矢視によるラインヘッド1の側断面を概略的に示す図であり、図4は、図2(b)中B−B´線矢視によるラインヘッド1の側断面を概略的に示す図である。なお、図3、及び図4中においては、素子基板5に形成されたTFT素子等の駆動素子部の図示を省略している。
【0013】
図2(a),(b)に示すように、ラインヘッド1は、有機EL素子3が複数形成された素子基板5と、該素子基板5に貼着され、前記有機EL素子3からの光を反射する反射膜6aが形成された反射基板6と、を備えてなるヘッド基体7を有している。また、前記素子基板5は、後述するように有機EL素子3とSiから構成される基板5aとを含むもの(図6参照)であって、前記基板5aの一方の面上には駆動素子が形成されている。そして、前記有機EL素子3は駆動素子に接続された状態に形成されている。
【0014】
そして、図3に示すように、前記反射基板6は、前記素子基板5と、該素子基板5の、前記有機EL素子3の光出射側の面に光透過性を有した、例えばエポキシ樹脂等からなる接着層8を介して貼着されたものとなっている。具体的に、本実施形態における有機EL素子3は、所謂トップエミッション型で発光を行うことから、前記接着層8及び反射基板6は前記基板5aの有機EL素子3が設けられた側の面上に設けられている。
そして、前記ヘッド基体7の端面には、各有機EL素子3から発光された光を出射する光出射部12が設けられている。
【0015】
ここで、前記有機EL素子3は、素子基板5上に設けられた有機隔壁221間に設けられる、陽極及び陰極からなる一対の電極間に少なくとも発光層60を備えたものであり、その一対の電極から前記発光層60に電流を供給することにより発光するようになっている。なお、本実施形態では、前記有機EL素子3は、陽極として機能する画素電極23と、この画素電極23からの正孔を注入/輸送する正孔輸送層70と、有機EL物質からなる発光層60と、陰極50とが順に形成されたことによって構成されている。
また、素子基板5には、後述するように、薄膜トランジスタ(TFT)等のスイッチング素子(駆動回路)が設けられていて、該スイッチング素子により有機EL素子3への通電が制御されるようになっている。
【0016】
そして、図3、及び図4に示すように、前記反射基板6の内面側(すなわち、前記接着層8)には、前記各有機EL素子3の直上に対向するようにして形成される、断面視略半球状の溝部が複数設けられていて、該溝を含む前記反射基板6の内面側には、各有機EL素子3より出射された光を反射する反射膜6aが設けられている。
そして、前記反射膜6aにより覆われた溝部は、前記反射基板6の一方の端部に露出した状態に形成されていて、各有機EL素子3からの光を反射する反射部10として機能するようになっている。
ここで、反射部10とは、各有機EL素子3と反射膜6aとの間に接着層8が充填された領域であって、反射膜6aによって反射した各有機EL素子3の光を反射し、後述する光出射部12へと光を導波する導波路としての機能を発揮するものである。
また、反射部10は、
【0017】
前記反射膜6aによって反射された各有機EL素子3の光は、図4中に示される前記基接着層8(反射部10)内を導波されることにより、前記ヘッド基体7の端面側に集光されるようになっている。そして、前記ヘッド基体7の端面には、前記反射膜6aで反射した前記各有機EL素子3の光を出射する光出射部12が設けられている。ここで、前記光出射部12の面積は、前記各有機EL素子3が発光する面積、すなわち発光層60の面積よりも小さくなっている。また、前記光出射部12は、後述する製造工程によりその表面が研磨された状態となっていて、該光出射部12から出射する光の拡散を防止したものとなっている。
【0018】
本実施形態のラインヘッド1によれば、各有機EL素子3から出射された光は、反射基板6に設けられた反射膜6aによって反射されるとともに、光透過性のある接着層8内を導波されて、ヘッド基体7の端面に設けられた光出射部12に集光されて、外部に取り出されるようになっている。
このような構成のもとに、本実施形態のラインヘッド1は、有機EL素子3から発光された光を、ヘッド基体7の端面側に設けられた光出射部12まで導波し、かつ集光させることで輝度の高い光を取り出すことが可能となっている。
【0019】
なお、本実施形態では、トップエミッション型の有機EL素子3に適応したが、例えば前記基板5aの有機EL素子3が設けられていない側に設けることで、接着層を介して反射基板を貼着することでボトムエミッション型の有機EL素子3に適応してもよい。このとき、前記接着層8の厚みを薄くすることが好ましい。このようにすれば、前記有機EL素子3と反射膜6aとの間隔が狭まることによって、有機EL素子3からの光を光出射部12から効率的に取り出すことが可能となる。
【0020】
(SLアレイ)
図5は、SLアレイの斜視図である。このSLアレイ31は、日本板硝子株式会社製のSL素子31aを配列したものである。このSL素子31aは、直径0.28mm程度のファイバー状に形成されている。また、各SL素子31aは千鳥状に配置され、各SL素子31aの隙間には黒色のシリコーン樹脂32が充填されている。さらに、その周囲にフレーム34が配置されて、SLアレイ31が形成されている。
【0021】
このSL素子31aは、その中心から周辺にかけて放物線上の屈折率分布を有している。そのため、SL素子31aに入射した光は、その内部を一定周期で蛇行しながら進むようになっている。このSL素子31aの長さを調整すれば、画像を正立等倍結像させることができる。そして、正立等倍結像するSL素子31aを整列配置すれば、隣接するSL素子31aの作る像を重ね合わせることが可能になり、広範囲の画像を得ることができる。したがって、図5のSLアレイは、ラインヘッド1全体からの光を精度よく結像させることができるようになっている。
【0022】
(有機EL素子および駆動素子)
次に、前記ラインヘッド1における有機EL素子3や駆動素子等の詳細な構成について、図6(a),(b)を参照して説明する。ここで、図6(a)は、前記ラインヘッド1を構成する素子基板5に設けられた有機EL素子3の構成を詳細に示した図であり、図6(b)は、駆動素子の構成を詳細に示した図である。
【0023】
本実施形態における有機EL素子3は、上述したように、いわゆるトップエミッション型となっていることから、この素子基板2における封止層51側から発光光が取り出されるようになっている。素子基板5を構成する基板5aとしては、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができるが、本実施形態では不透明基板を用いている。
このような不透明基板としては、例えば、アルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したものの他に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0024】
なお、ボトムエミッション型の場合に、光が基板5aを透過して出射されることから、透明基板となる基板5aを構成する材料としては、例えばガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等が挙げられ、特にガラス基板を好適に用いることができる。
【0025】
基板5a上には、画素電極23に接続する駆動用TFT123(駆動素子4)などを含む回路部11が形成されており、その上に有機EL素子3が設けられている。前記有機EL素子3は、陽極として機能する画素電極23と、この画素電極23からの正孔を注入/輸送する正孔輸送層70と、有機EL物質からなる発光層60と、陰極50とが順に形成されたことによって構成されている。なお、前記有機EL素子3は、有機隔壁221によって区画された領域に形成されている。
【0026】
ここで、有機EL素子3および駆動用TFT123(駆動素子4)を図2(a)に対応した模式図で示すと、図6(b)に示すようになる。図6(b)において、電源線17は駆動素子4のソース/ドレイン電極に接続し、電源線18は有機EL素子3の陰極50に接続している。
そして、このような構成のもとに有機EL素子3は、図6(a)に示すように、正孔輸送層70から注入された正孔と陰極50からの電子とが発光層60で結合することにより、発光をなすようになっている。
【0027】
また、本実施形態においては、画素電極23上にSiO2等の親液性の絶縁材料からなる無機隔壁25が形成されており、この無機隔壁25には開口25aが形成されている。
ここで、無機隔壁25は絶縁材料からなっているので、後述するように前記開口25a内に臨むようにして設けられた機能層においては、この無機隔壁25で覆われた箇所には電流が流れず、したがって発光する領域、すなわち発光面積は、この無機隔壁25の開口25aによって決定されるようになっている。
【0028】
前記画素電極23は、特にボトムエミッション型である場合、透明導電材料によって形成され、具体的にはITO(インジウム錫酸化物)が好適に用いられるが、上述したように本実施形態の場合はトップエミッション型であるので、反射性の高いAgやAlなどの金属膜上に仕事関数の比較的高いITO等の透明導電材料によって形成された透明電極を積層して構成される。
【0029】
正孔輸送層70の形成材料としては、特に3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)の分散液、すなわち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液が好適に用いられる。
なお、正孔輸送層70の形成材料としては、前記のものに限定されることなく種々のものが使用可能である。例えば、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやその誘導体などを、適宜な分散媒、例えば前記のポリスチレンスルフォン酸に分散させたものなどが使用可能である。
【0030】
発光層60を形成するための材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料が用いられる。なお、本実施形態では、例えば発光波長帯域が赤色に対応した発光層が採用されるが、もちろん、発光波長帯域が緑色や青色に対応した発光層を採用するようにしてもよい。
【0031】
具体的な前記発光層60の形成材料としては、(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
【0032】
また、前記発光層60を覆うようにして陰極50が形成されている。
この陰極50を形成するための材料としては、本実施形態のラインヘッド1は上述したように、トップエミッション型であることから光透過性である必要があり、したがって透明導電材料が用いられる。透明導電材料としてはITOが好適とされるが、これ以外にも、例えば酸化インジウム・酸化亜鉛系アモルファス透明導電膜(Indium Zinc Oxide :IZO/アイ・ゼット・オー)(登録商標))(出光興産社製)等を用いることができる。なお、本実施形態ではITOを用いることとし、例えばCaを厚さ5nm程度に形成し、その上にITO膜を厚さ200nm程度に形成して積層構造の電極としたものが用いられる。よって、この陰極50側から発光光を取り出すことができるようになっている。
【0033】
このような陰極50の上には、該陰極50及び有機隔壁221の上面を覆うように、封止層51が設けられている。この封止層51は透光性を有する樹脂材料からなり、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などである。なお、この場合、陰極50上にパシベーションとしてSiN,SiONなどを製膜しておくとよい。
【0034】
また、封止層51は、その内側に酸素や水分が浸入するのを防止するためのものであって、これにより陰極50及び発光層60から構成される有機EL素子3への酸素や水分の浸入を防止し、酸素や水分による前記有機EL素子3の劣化等を抑えることができる。
【0035】
この封止層51は、例えば無機膜と合成樹脂等の接着機能を有する有機膜とを交互に複数積層してもよい。無機膜と有機膜とを複数積層することによりクラックの発生を防止することができる。また、無機膜を多層に設けてもよい。この場合、例えば酸窒化珪素(SiON)を多層に設けるなど、1種類の材料からなる膜を多層に設けてもよいし、窒化珪素と二酸化珪素とを積層するなど、異なる材料からなる膜を多層に設けてもよい。このように、無機膜を多層にすることにより、前記有機EL素子3に対する封止性能をより高めることができる。
【0036】
また、このような有機EL素子3の下方には、前述したように回路部11が設けられている。この回路部11は基板5a上に形成されたものである。すなわち、基板5aの表面にはSiO2を主体とする下地保護層281が下地として形成され、その上にはシリコン層241が形成されている。このシリコン層241の表面には、SiO2及び/又はSiNを主体とするゲート絶縁層282が形成されている。
【0037】
また、前記シリコン層241のうち、ゲート絶縁層282を挟んでゲート電極242と重なる領域がチャネル領域241aとされている。なお、このゲート電極242は、図示しない走査線の一部である。一方、シリコン層241を覆い、ゲート電極242を形成したゲート絶縁層282の表面には、SiO2を主体とする第1層間絶縁層283が形成されている。
【0038】
また、シリコン層241のうち、チャネル領域241aのソース側には、低濃度ソース領域241bおよび高濃度ソース領域241Sが設けられる一方、チャネル領域241aのドレイン側には低濃度ドレイン領域241cおよび高濃度ドレイン領域241Dが設けられて、いわゆるLDD(Light Doped Drain )構造となっている。これらのうち、高濃度ソース領域241Sは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホール243aを介して、ソース電極243に接続されている。このソース電極243は、電源線(図示せず)の一部として構成されている。一方、高濃度ドレイン領域241Dは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホール244aを介して、ソース電極243と同一層からなるドレイン電極244に接続されている。
【0039】
ソース電極243およびドレイン電極244が形成された第1層間絶縁層283の上層には、例えばアクリル系の樹脂成分を主体とする平坦化膜284が形成されている。この平坦化膜284は、アクリル系やポリイミド系等の、耐熱性絶縁性樹脂などによって形成されたもので、駆動用TFT123(駆動素子4)やソース電極243、ドレイン電極244などによる表面の凹凸をなくすために形成された公知のものである。
【0040】
そして、ITO等からなる画素電極23が、この平坦化膜284の表面上に形成されるとともに、該平坦化膜284に設けられたコンタクトホール23aを介してドレイン電極244に接続されている。すなわち、画素電極23は、ドレイン電極244を介して、シリコン層241の高濃度ドレイン領域241Dに接続されている。
【0041】
画素電極23が形成された平坦化膜284の表面には、画素電極23と、前述した無機隔壁25とが形成されており、さらに無機隔壁25上には、有機隔壁221が形成されている。そして、画素電極23上には、無機隔壁25に形成された前記開口25aと、有機隔壁221に形成された開口221aとの内部、すなわち画素領域に、前記の正孔輸送層70と発光層60とが画素電極23側からこの順で積層され、これによって上述した有機EL素子3が形成されている。
【0042】
(ラインヘッドの製造方法)
次に、前記ラインヘッド1を製造する方法について説明する。なお、本実施形態では、基板5aとしてウエハ状のものを用いており、該基板5a上に有機EL素子3を形成し素子基板5を形成し、該素子基板5と前記反射基板6とを接着層8を介して貼着した後、ダイシングを行うことにより分断し、各ラインヘッド1を形成している。
【0043】
まず、図7(a)に示すように、素子基板5を構成する基板5aの表面に、下地保護層281を形成し、さらにこの下地保護層281上にポリシリコン層等を形成して、このポリシリコン層等から前記回路部11を形成する。
そして、素子基板2の全面を覆うように画素電極23となる透明導電膜として、反射性の高いAgやAlなどの金属膜とITOとを積層して形成する。そして、この導電膜をパターニングすることにより、平坦化膜284のコンタクトホール23aを介してドレイン電極244と導通する、画素電極23を形成する。
【0044】
次いで、画素電極23上および平坦化膜284上に、SiO2等の絶縁材料をCVD法等で成膜して隔壁層(図示せず)を形成し、続いて、公知のホトリソグラフィー技術、エッチング技術を用いて隔壁層をパターニングする。これにより、図7(a)に示すように、形成する各有機EL素子の画素領域毎に開口25aを形成すると同時に、無機隔壁25を形成する。
次いで、図7(b)に示すように、無機隔壁25の所定位置、詳しくは画素領域を囲む位置に樹脂等によって有機隔壁221を形成する。この有機隔壁221は、後述するように有機EL素子3を形成する領域を区画するためのものである。
【0045】
そして、素子基板2の表面に、親液性を示す領域と、撥液性を示す領域とを形成する。
本実施形態においては、プラズマ処理によって各領域を形成するものする。具体的には、該プラズマ処理は、予備加熱工程と、有機隔壁221の表面および開口221aの壁面ならびに画素電極23の電極面、無機隔壁25の表面をそれぞれ親液性にする親液化工程と、有機隔壁221の上面および開口221aの壁面を撥液性にする撥液化工程と、冷却工程とで構成する。
【0046】
すなわち、基材(前記隔壁などを含む素子基板2)を所定温度、例えば70〜80℃程度に加熱し、次いで親液化工程として大気圧下で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う。次いで、撥液化工程として大気圧下で4フッ化メタンを反応ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処理)を行い、その後、プラズマ処理のために加熱された基材を室温まで冷却することで、親液性および撥液性が所定箇所に付与されることとなる。
【0047】
なお、このCF4プラズマ処理においては、画素電極23の電極面および無機隔壁25についても多少の影響を受けるが、画素電極23の材料であるITOおよび無機隔壁25の構成材料であるSiO2、TiO2などはフッ素に対する親和性に乏しいため、親液化工程で付与された水酸基がフッ素基で置換されることがなく、親液性が保たれる。
【0048】
次いで、前記有機隔壁221に正孔輸送層70を形成する。この正孔輸送層70を形成するに際しては、液滴吐出法(以下、インクジェット法とよぶ)が好適に採用される。すなわち、このインクジェット法により、正孔輸送層形成材料70aを電極面上に選択的に配し、これを塗布する。その後、乾燥処理および熱処理を行い、画素電極23上に正孔輸送層70を形成する。正孔輸送層70の形成材料としては、例えば前記のPEDOT:PSSをイソプロピルアルコールなどの極性溶媒に溶解させたものが用いられる。
【0049】
このインクジェット法による正孔輸送層70の形成にあたっては、インクジェットヘッドHAに正孔輸送層形成材料70aを充填し、図7(b)に示すように、インクジェットヘッドHAの吐出ノズルを無機隔壁25に形成された前記開口25a内に位置する電極面に対向させ、インクジェットヘッドと基材(素子基板2)とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御された液滴を電極面に吐出する。次に、吐出後の液滴を乾燥処理し、正孔輸送層材料70aに含まれる分散媒や溶媒を蒸発させることにより、正孔輸送層70を形成する。
【0050】
ここで、上記インクジェットヘッドHAとしては、通電により機械振動を生じる圧電素子を用いて液室内の圧力を変化させることによりノズルから液滴を吐出する方式の液滴吐出ヘッドを採用することが望ましい。なお、発熱体で液室内を局部的に加熱して気泡を発生させることによりノズルから液滴を吐出する方式の液滴吐出ヘッドを採用してもよい。これ以外にも、帯電制御型、加圧振動型といった連続方式、静電吸引方式、さらにはレーザなどの電磁波を照射して発熱させ、この発熱による作用で液状体を吐出させる方式等を採用することもできる。
【0051】
吐出ノズルから吐出された液滴は、親液性処理がなされた電極面上にて広がり、無機隔壁25の開口25a内に満たされて該開口25a内に臨むようになる。
その一方で、撥液処理された有機隔壁221の上面では、液滴がはじかれて付着しない。
したがって、液滴が所定の吐出位置からずれて、液滴の一部が有機隔壁221の表面にかかったとしても、該表面が液滴で濡れることがなく、弾かれた液滴が無機隔壁25の開口25a内に引き込まれる。
なお、この正孔輸送層形成工程以降では、各種の形成材料や形成した要素の酸化・吸湿を防止すべく、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
【0052】
次いで、図7(c)に示すように、前記有機隔壁221に区画された領域に発光層60を形成する。
この発光層形成工程では、前記正孔輸送層70を形成する工程と同様に、上述したインクジェット法が好適に採用できる。すなわち、インクジェット法により、発光層形成材料を正孔輸送層70上に吐出し、その後、乾燥処理および熱処理を行うことにより、有機隔壁221に形成された開口221a内、すなわち画素領域上に発光層60を形成する。
【0053】
次いで、前記発光層60上に陰極50を形成する。この陰極50については、有機EL素子3を効率よく発光させるため、電子注入層と導電層のような積層構造を採用するのが一般的であり、本実施形態では上述したようにCaとITOとの積層膜から構成されている。
【0054】
ここで、本実施形態では、素子基板2と図示しないメタルマスクを位置合わせして蒸着法やスパッタ法で陰極50を成膜することにより、前記発光層60上を陰極50が選択的に覆った状態に形成することができる。なお、陰極50を形成するに際しては、有機隔壁221上を含む基板5aのほぼ全面に形成材料(ITO)を設けるようにしてもよい。
その後、封止工程によって前記陰極50及び有機隔壁221上を含む基板5aの全面を覆うようにして、例えばマイクロディスペンサ等を用いることで封止層51を塗布する。
【0055】
上述した工程により、図6に示したような有機EL素子3を備えた素子基板5が製造されることとなる。
次に、図8を参照し、反射基板6と素子基板5とを貼着する工程について説明する。なお、図8は、図2(b)に示したB−B´線矢視における断面に基づく工程図である。
【0056】
まず、図8(a)に示すように、前記素子基板5に貼着するための反射基板6の前駆体となるガラス基板6´を用意する。なお、このガラス基板6´は、上述したウエハ状の素子基板5と同じ大きさからなるものである。そして、該ガラス基板6´にウエットエッチングを行うことによって、図2に示したように、平面視した状態で有機EL素子3に対応し、かつその断面が半円状の凹部を形成する。ここで、前記凹部は後述するダイシング工程により、光出射部12を構成する反射部10(図3参照)となるものである。
その後、図8(b)に示すように、該凹部が形成されたガラス基板6´側の前面にスパッタ法により、有機EL素子3から発光された光を反射する反射膜6aを形成する。このようにして、有機EL素子3の光を反射する反射膜6aを備えた反射基板6が形成される。
【0057】
次いで、素子基板5と反射基板6とを光透過性を有した接着層8を介して貼りあわせる工程を行う。
まず、図8(c)に示すように、光透過性を有し、かつ熱硬化型の接着剤として機能する、例えばエポキシ樹脂をスクリーン印刷、ディスペンス等の方法を用いて、前記素子基板5における有機EL素子3が設けられた側の面に塗布する。
【0058】
その後、前記接着層8が設けられた素子基板5と、反射基板6とをアライメントした後、加熱及び加圧を行うことで、前記接着層8を介して前記素子基板5と前記反射基板6とを貼着し、図9(a)に示すヘッド基体7の前駆体となる接着体を形成する。ここで、本実施形態では、前記反射基板6に設けられた各凹部内には、図9(a)に示すように、平面視した状態で、2つの有機EL素子3が設けられた状態となっている。
【0059】
次いで、図9(b)に示すダイシングラインによって、上記接着体をダイシングブレードによって、各ラインヘッド毎に分断する。よって、図9(b)に示すように、接着層8を介して貼着された素子基板5と反射基板6とから構成されるヘッド基体7が形成される。
【0060】
このとき、ダイシングによる切断面となる、ヘッド基体7の一端面には、前記反射基板6に形成されていた凹部を切断することにより、切断面側に接着層8が露出することとなる。この接着層8は、上述したように光透過性を有しているので、有機EL素子3から発光された光は、反射基板6に形成されている反射膜6aによって反射された後は接着層8内を透過し、端面に露出した接着層8はヘッド基体7における光出射部12となる。ここで、各有機EL素子3と反射膜6aとの間に接着層8が充填された反射部10は、反射膜6aによって反射した各有機EL素子3の光を反射し、前記光出射部12へと光を導波する導波路となる。
【0061】
ところで、前記ヘッド基体における光出射部12は、ダイシングによって表面が荒れた状態となっている。そこで、前記ダイシング加工面に対して研磨を行うことで平坦化し、前記光出射部12から出射される有機EL素子3の光が拡散するのを防止できる。以上の工程により、本実施形態のラインヘッド1を形成することができる。
【0062】
なお、ヘッド基体7における光出射部12とは反対側の面には、図9(c)に示したように、前記接着層8が露出することにより前記の反射光の一部がもれる場合があるが、前記光出射部12に比べてその大きさが十分小さく問題は無いが、前記光出射部12とは反対側の面にも反射膜6aを別途形成することにより、有機EL素子3の光を前記光出射部12からのみ取り出すことで、光の取り出し効率を向上させることがより好ましい。
【0063】
次に、上記ラインヘッド1における各光出射部12から光を出射する場合について説明する。本実施形態のラインヘッド1は、上述したTFT等のスイッチング素子を含んだ回路部11によって、各有機EL素子3が発光させることができる。各有機EL素子3から発光された光は、反射膜6aによって反射される。
【0064】
ここで、反射基板6に形成されている反射部10は、有機EL素子3の反射光を導波する導波路として機能し、かつ各有機EL素子3から発光した光を対応する光出射部12に集光することとなる。
よって、該反射膜6aによって反射された光は接着層8内(反射部10)を、外部への光取り出し口となる光出射部12に向かって透過するようになる。
【0065】
このように、本実施形態のラインヘッド1によれば、各有機EL素子3から出射された光は、反射基板6に設けられた反射膜6aによって反射されるとともに、光透過性のある接着層8(反射部10)内を導波されて、ヘッド基体7の端面に設けられた光出射部12に集光されて、外部に取り出されることとなる。
【0066】
ここで、前記有機EL素子3の面積を大きくすることで、該有機EL素子3が発光する光量を増加させた際、本構成のヘッド基体7は長手方向に大きくなるが、光出射部12の大きさ、及び各光出射部12のピッチに変化が生じることがない。よって、ヘッド基体7の端面に設けられた光出射部12からは、より輝度の高い光を取り出すことができるのである。
【0067】
このように、本実施形態のラインヘッド1は、前記有機EL素子3により面発光された光を集光し、前記光出射部12から点状の光として出射しているので、該光出射部12から外部に取り出される光は輝度の高くなる。また、有機EL素子に流す電流を増加させることなく輝度の高い光を取り出すことが可能となるので、熱によりEL素子を劣化させることが無い。
したがって、ラインヘッド1は、有機EL素子3の長寿命化を図りつつ、輝度の高い光を取り出し可能なものとなり、該ラインヘッド1を備えたラインヘッドモジュール101を用いることにより、ラインヘッド1から出射された輝度の高い光をSLアレイ31を介することで感光体ドラム41上を確実に露光させることができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、本発明のラインヘッドにおける第2の実施形態について説明する。
本実施形態のラインヘッド1´は、図10(a),(b)に示すように、前記ヘッド基体7の端面側に複数のマイクロレンズMを備えたマイクロレンズアレイ基板MAが設けられている。なお、ラインヘッド1´は、前記マイクロレンズMが設けられている以外の構成は、前記第1の実施形態におけるマイクロレンズMと同様であるので、同じ構成については同一の符号を付して、その説明を省略することとする。
【0069】
前記マイクロレンズアレイ基板MAはガラス基板からなるもので、図10(a),(b)に示したように、各光出射部12に対応するマイクロレンズMが複数形成されたものである。
そして、前記各マイクロレンズMは、各光出射部12に対応するようにアライメントして、前述した光透過性を有した接着層8´によってヘッド基体7に貼着されている。なお、該接着層8´は素子基板5と反射基板6とを貼着している接着層8と同じ材料からなるものである。
【0070】
前記マイクロレンズMは、光出射部12から出射された光をマイクロレンズMによって集光することができ、光をより効率的にラインヘッド1´の外部に取り出すことが可能となり、光の輝度をより向上させることができる。よって、このラインヘッド1´を備えたラインヘッドモジュール101´を用いることで、感光体ドラム41をより高い輝度の光で露光させることができるので、後述する画像形成装置の描画品質を向上できる。
【0071】
また、本実施形態におけるラインヘッド1´は、前記マイクロレンズアレイ基板MAを接着層8を介して、ヘッド基体7の光出射部12側にマイクロレンズMを貼着する工程以外は同じあることから、その説明は省略する。
すなわち、ラインヘッド1´は、図7〜図9に示した製造工程により、形成されたヘッド基体7に、エポキシ樹脂からなる前記接着層8をスクリーン印刷、ディスペンス等の方法によって塗布し、上記マイクロレンズアレイ基板MAをアライメントした後、加熱、及び加圧することで、ヘッド基体7にマイクロレンズアレイ基板MAを貼着することにより、ラインヘッド1´が製造できる。
【0072】
(ラインヘッドモジュールの使用形態)
次に、上記ラインヘッドモジュール101の使用形態について説明する。
上記ラインヘッドモジュール101は、本発明の画像形成装置における露光装置として使用される。その場合、ラインヘッドモジュールは感光体ドラムに対向配置され、ラインヘッドからの光をSLアレイにより感光体ドラム上に正立等倍結像させて使用する。
以下に、タンデム方式、及び4サイクル方式の画像形成装置に関する実施形態について説明する。
【0073】
(タンデム方式の画像形成装置)
まず、タンデム方式の画像形成装置について説明する。
図11は、タンデム方式の画像形成装置の概略構成図であり、図11中符号80は画像形成装置である。この画像形成装置80は、本発明のラインヘッドモジュール101(本実施形態では、以下、これらをラインヘッドモジュール101K、101C、101M、101Yともよぶ)を、対応する同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)41K、41C、41M、41Yの露光装置にそれぞれ配置したもので、タンデム方式のものとして構成されたものである。
【0074】
この画像形成装置80は、駆動ローラ91と従動ローラ92とテンションローラ93とを備え、これら各ローラに中間転写ベルト90を、図11中矢印方向(反時計方向)に循環駆動するよう張架したものである。この中間転写ベルト90に対して、感光体ドラム41K、41C、41M、41Yが所定間隔で配置されている。これら感光体ドラム41K、41C、41M、41Yは、その外周面が像担持体としての感光層となっている。
【0075】
ここで、前記符号中のK、C、M、Yは、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローを意味し、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエロー用の感光体であることを示している。
なお、これら符号(K、C、M、Y)の意味は、他の部材についても同様である。感光体ドラム41K、41C、41M、41Yは、中間転写ベルト90の駆動と同期して、図11中矢印方向(時計方向)に回転駆動するようになっている。
【0076】
各感光体ドラム41(K、C、M、Y)の周囲には、それぞれ感光体ドラム41(K、C、M、Y)の外周面を一様に帯電させる帯電手段(コロナ帯電器)42(K、C、M、Y)と、この帯電手段42(K、C、M、Y)によって一様に帯電させられた外周面を感光体ドラム41(K、C、M、Y)の回転に同期して順次ライン走査する本発明のラインヘッドモジュール101(K、C、M、Y)とが設けられている。
【0077】
また、このラインヘッドモジュール101(K、C、M、Y)で形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像装置44(K、C、M、Y)と、この現像装置44(K、C、M、Y)で現像されたトナー像を一次転写対象である中間転写ベルト90に順次転写する転写手段としての一次転写ローラ45(K、C、M、Y)と、転写された後に感光体ドラム41(K、C、M、Y)の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング装置46(K、C、M、Y)とが設けられている。
【0078】
ここで、各ラインヘッドモジュール101(K、C、M、Y)は、有機EL素子の配列方向が感光体ドラム41(K、C、M、Y)の母線に沿うように設置されている。そして、各ラインヘッドモジュール101(K、C、M、Y)の発光エネルギーピーク波長と、感光体ドラム41(K、C、M、Y)の感度ピーク波長とが略一致するように設定されている。
【0079】
現像装置44(K、C、M、Y)は、例えば、現像剤として非磁性一成分トナーを用いるもので、その一成分現像剤を例えば供給ローラで現像ローラへ搬送し、現像ローラ表面に付着した現像剤の膜厚を規制ブレードで規制し、その現像ローラを感光体ドラム41(K、C、M、Y)に接触させあるいは押圧せしめることにより、感光体ドラム41(K、C、M、Y)の電位レベルに応じて現像剤を付着させ、トナー像として現像するものである。
【0080】
このような4色の単色トナー像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像は、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)に印加される一次転写バイアスによって中間転写ベルト90上に順次一次転写される。そして、中間転写ベルト90上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写ローラ66において用紙等の記録媒体Pに二次転写され、さらに定着部である定着ローラ対61を通ることで記録媒体P上に定着され、その後、排紙ローラ対62によって装置上部に形成された排紙トレイ68上に排出される。
【0081】
なお、図11中の符号63は多数枚の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、64は給紙カセット63から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ、65は二次転写ローラ66の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートローラ対、66は中間転写ベルト90との間で二次転写部を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、67は二次転写後に中間転写ベルト90の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレードである。
【0082】
(4サイクル方式の画像形成装置)
次に、4サイクル方式の画像形成装置について説明する。
図12は、4サイクル方式の画像形成装置の概略構成図である。図12において、画像形成装置160には主要構成部材として、ロータリ構成の現像装置161、像担持体として機能する感光体ドラム165、像書込手段(露光手段)として機能する本実施形態のラインヘッドモジュール167、中間転写ベルト169、用紙搬送路174、定着器の加熱ローラ172、給紙トレイ178が設けられている。
【0083】
現像装置161は、現像ロータリ161aが軸161bを中心として矢印A方向に回転するよう構成されたものである。現像ロータリ161aの内部は4分割されており、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色の像形成ユニットが設けられている。162a〜162dは、前記4色の各像形成ユニットに配置されており、矢印B方向に回転する現像ローラ、163a〜163dは、矢印C方向に回転するトナ−供給ローラである。また、164a〜164dはトナーを所定の厚さに規制する規制ブレードである。
【0084】
図12中符号165は、前記のように像担持体として機能する感光体ドラム、166は一次転写部材、168は帯電器である。また、167は像書込手段(露光手段)として機能する本実施形態のラインヘッドモジュールである。感光体ドラム165は、図示を省略した駆動モータ、例えばステップモータにより、現像ローラ162aとは逆の方向となる矢印D方向に回転駆動されるようになっている。
【0085】
中間転写ベルト169は、駆動ローラ170aと従動ローラ170bとの間に張架されたものである。駆動ローラ170aは、前記感光体ドラム165の駆動モータに連結されたもので、中間転写ベルト169に動力を伝達するようになっている。すなわち、該駆動モータの駆動により、中間転写ベルト169の駆動ローラ170aは感光体ドラム165とは逆の方向となる矢印E方向に回動するようになっている。
【0086】
用紙搬送路174には、複数の搬送ローラと排紙ローラ対176などが設けられており、用紙が搬送されるようになっている。中間転写ベルト169に担持されている片面の画像(トナー像)が、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に転写されるようになっている。二次転写ローラ171は、クラッチによって中間転写ベルト169に離当接されるようになっており、クラッチオンで中間転写ベルト169に当接され、用紙に画像が転写されるようになっている。
【0087】
上記のようにして画像が転写された用紙は、次に、定着ヒータHを有する定着器で定着処理がなされる。定着器には、加熱ローラ172、加圧ローラ173が設けられている。
定着処理後の用紙は、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印F方向に進行する。この状態から排紙ローラ対176が逆方向に回転すると、用紙は方向を反転して両面プリント用搬送路175を矢印G方向に進行する。177は電装品ボックス、178は用紙を収納する給紙トレイ、179は給紙トレイ178の出口に設けられているピックアップローラである。
【0088】
用紙搬送路において、搬送ローラを駆動する駆動モータとしては、例えば低速のブラシレスモータが用いられている。また、中間転写ベルト169については、色ずれ補正などが必要となるためステップモータが用いられている。これらの各モータは、図示を省略した制御手段からの信号によって制御されるようになっている。
【0089】
図12に示した状態で、イエロー(Y)の静電潜像が感光体ドラム165に形成され、現像ローラ162aに高電圧が印加されることにより、感光体ドラム165にはイエローの画像が形成される。イエローの裏側および表側の画像がすべて中間転写ベルト169に担持されると、現像ロータリ161aが矢印A方向に90度回転する。
【0090】
中間転写ベルト169は1回転して感光体ドラム165の位置に戻る。次に、シアン(C)の2面の画像が感光体ドラム165に形成され、この画像が中間転写ベルト169に担持されているイエローの画像に重ねて担持される。以下、同様にして現像ロータリ161の90度回転、中間転写ベルト169への画像担持後の1回転処理が繰り返される。
【0091】
4色のカラー画像担持には中間転写ベルト169は4回転して、その後さらに回転位置が制御されて二次転写ローラ171の位置で用紙に画像を転写する。給紙トレイ178から給紙された用紙を搬送路174で搬送し、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に前記カラー画像を転写する。片面に画像が転写された用紙は前記のように排紙ローラ対176で反転されて、搬送径路で待機している。その後、用紙は適宜のタイミングで二次転写ローラ171の位置に搬送されて、他面に前記カラー画像が転写される。ハウジング180には、排気ファン181が設けられている。
【0092】
このような図11、図12に示した画像形成装置80、160においては、図1に示したような本発明のラインヘッドモジュール101が露光手段として備えられている。
従って、これら画像形成装置80、160にあっては、前述したようにヘッド基体7の端面に設けられた光出射部12から輝度の高い発光光を取り出すことができるので、画像形成装置自体の印刷性能が向上し、得られるプリントの品質も高いものとなる。
なお、ラインヘッドモジュールを備えた画像形成装置は上記に限定されることなく、種々の変形が可能である。例えばラインヘッドモジュール101の代わりに、マイクロレンズアレイ基板MAを備えたラインヘッド1´を含むラインヘッドモジュール101´を露光手段として用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】ラインヘッドモジュールの側断面図である。
【図2】(a)はラインヘッドの斜視図、(b)はラインヘッドの側面図である。
【図3】図2(b)中、A−A´線矢視におけるラインヘッドの側断面図である。
【図4】図2(b)中、B−B´線矢視におけるラインヘッドの側断面図である。。
【図5】SLアレイの斜視図である。
【図6】(a),(b)は有機EL素子及び駆動素子の詳細な構成を示す図である。
【図7】ラインヘッドを製造工程を説明する図である。
【図8】図7に続くラインヘッドの製造工程を説明する図である。
【図9】図8に続くラインヘッドの製造工程を説明する図である。
【図10】第2の実施形態のラインヘッドを示す図である。
【図11】タンデム方式の画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図12】4サイクル方式の画像形成装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
1…ラインヘッド、3…有機EL素子、5…素子基板、6…反射基板、6a…反射膜、7…ヘッド基体、8…接着層、12…光出射部、41…感光体ドラム、80,160…画像形成装置、M…マイクロレンズ
【技術分野】
【0001】
本発明は、ラインヘッド、及び画像形成装置に関する。
【背景技術】
【0002】
電子写真方式を利用したプリンタとして、ラインプリンタ(画像形成装置)が知られている。このラインプリンタは、被露光部となる感光体ドラムの周面上に、帯電器、ライン状のプリンタヘッド(ラインヘッド)、現像器、転写器などの装置を近接配置したものである。すなわち、帯電器によって帯電された感光体ドラムの周面上に、プリンタヘッドに設けられた発光素子の選択的な発光動作で露光を行うことにより、静電潜像となる露光スポットを形成し、この潜像を現像器から供給されるトナーで現像して、そのトナー像を転写器で用紙に転写するようにしたものである。
このようなラインプリンタとして、有機エレクトロルミネセンス素子(有機EL素子)を発光素子とする発光素子アレイを、プリンタヘッドとして用いた画像形成装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【特許文献1】特開2005−119104号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
しかしながら、上記特許文献1のラインヘッドでは、面発光した有機EL素子によって感光体ドラム上に光を照射しているので光が広がって輝度が低下し、前記感光体ドラムを十分に露光させることが難しかった。そこで、例えば微小な有機EL素子に電流を多く流すことによって輝度の高い点状の光を取り出す方法が考えられるが、この場合、有機EL素子には電流量に応じて発声した高い熱によって劣化し発光素子としての寿命が短くなってしまう。
【0004】
本発明は前記事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、発光素子としての有機EL素子の長寿命化を図りつつ、かつ高輝度なラインヘッド、及び該ラインヘッドを備えた画像形成装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0005】
本発明のラインヘッドは、感光体ドラムに光を照射し、露光するラインヘッドにおいて、有機EL素子を複数形成した素子基板と、該素子基板の、前記有機EL素子の光出射側の面に光透過性を有した接着層を介して貼着された反射基板と、を備えてなるヘッド基体を有し、前記反射基板の内面側には、前記各有機EL素子より出射された光を反射し、前記ヘッド基体の端面側に導波させることで前記各有機EL素子より出射された光を集光する反射膜が設けられ、前記ヘッド基体の端面には、前記反射膜で集光された光を出射する光出射部が複数設けられていることを特徴とする。
【0006】
本発明のラインヘッドによれば、各有機EL素子から出射された光は、反射基板に設けられた反射膜によって反射されるとともに、光透過性のある接着層内を導波されて、ヘッド基体の端面に設けられた光出射部に集光されて、外部に取り出されることとなる。
このように、各有機EL素子から発光された光を集光した光を前記光出射部から出射しているので、該光出射部から出射される光は輝度の高いものとなる。さらに、例えばヘッド基体の端面側に設けられている光出射部の大きさを変化させないで、前記有機EL素子を大きくすれば、該有機EL素子から発光される光量が増加して、より輝度の高い光を光出射部から取り出すことが可能となる。よって、輝度の高い光を出射できるラインヘッドを用いることで、感光体ドラムを確実に露光できる。また、このように小さな有機EL素子に多量の電流を流すことなく、輝度の高い光を取り出すことができるので、熱によって有機EL素子が劣化することが無い。
このように、本発明のラインヘッドによれば、有機EL素子の長寿命化を図りつつ、輝度の高い光を取り出すことができる。
【0007】
また、前記ラインヘッドにおいては、前記素子基板は、基板と該基板における一方の面側に設けられた前記有機EL素子とを備えてなり、前記基板における前記有機EL素子が設けられた側の面に前記反射基板が貼着されていることが好ましい。
このようにすれば、有機EL素子から出射された光は接着層を透過し、反射膜によって導波されるので、例えば反射基板を前記基板の反対側に貼着した場合のように、有機EL素子から出射された光が反射膜の前に透過する基板によって光が減衰することがなく、したがって前記光出射部から効率的に光を取り出すことで、輝度の高い光を取り出すことが可能となる。
【0008】
また、前記ラインヘッドにおいては、前記光出射部にマイクロレンズが設けられたことが好ましい。
このようにすれば、光出射部から出射された光をマイクロレンズによって集光することができ、光を効率的に外部に取り出すことが可能となり、光の輝度をより向上できる。
【0009】
本発明の画像形成装置は、前記ラインヘッドと、該ラインヘッドによって露光される感光体ドラムとを備えたことを特徴とする。
本発明の画像形成装置によれば、上述したように輝度の高いラインヘッドを露光手段として備えているので、感光体ドラムを確実に露光させることができ、正確な画像を形成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0010】
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下で参照する各図面においては、図面を見易くするために、各構成要素の寸法等を適宜変更して表示している。
(第1実施形態)
最初に、ラインヘッドの第1実施形態について説明する。なお、ラインヘッドは、後述する画像形成装置の露光手段として用いられるもので、具体的にはラインヘッドを含むラインヘッドモジュールの状態で用いられる。
【0011】
(ラインヘッドモジュール)
最初に、画像形成装置の露光手段として用いられるラインヘッドモジュールについて説明する。
図1は、ラインヘッドモジュールの側断面図である。図1に示すように、本実施形態のラインヘッドモジュール101は、複数の有機EL素子(エレクトロルミネッセンス素子)を備えたラインヘッド1と、該ラインヘッド1からの出射された光を正立等倍結像させるSL素子31aを整列配置したSLアレイ31とを、ヘッドケース52に固定して構成されている。このラインヘッドモジュール101では、ラインヘッド1に整列配置された有機EL素子からの光をSLアレイ31を構成するSL素子31aに入射させ、図1中2点鎖線で示される感光体ドラム41の外周面に成立等倍結像させて露光するようになっている。
【0012】
(ラインヘッド)
次に、本実施形態におけるラインヘッド1について図2〜4を参照し説明する。
図2は、前記ラインヘッド1を模式的に示した図であり、図2(a)は斜視図であり、図2(b)は側面図である。そして、図3は、図2(b)中A−A´線矢視によるラインヘッド1の側断面を概略的に示す図であり、図4は、図2(b)中B−B´線矢視によるラインヘッド1の側断面を概略的に示す図である。なお、図3、及び図4中においては、素子基板5に形成されたTFT素子等の駆動素子部の図示を省略している。
【0013】
図2(a),(b)に示すように、ラインヘッド1は、有機EL素子3が複数形成された素子基板5と、該素子基板5に貼着され、前記有機EL素子3からの光を反射する反射膜6aが形成された反射基板6と、を備えてなるヘッド基体7を有している。また、前記素子基板5は、後述するように有機EL素子3とSiから構成される基板5aとを含むもの(図6参照)であって、前記基板5aの一方の面上には駆動素子が形成されている。そして、前記有機EL素子3は駆動素子に接続された状態に形成されている。
【0014】
そして、図3に示すように、前記反射基板6は、前記素子基板5と、該素子基板5の、前記有機EL素子3の光出射側の面に光透過性を有した、例えばエポキシ樹脂等からなる接着層8を介して貼着されたものとなっている。具体的に、本実施形態における有機EL素子3は、所謂トップエミッション型で発光を行うことから、前記接着層8及び反射基板6は前記基板5aの有機EL素子3が設けられた側の面上に設けられている。
そして、前記ヘッド基体7の端面には、各有機EL素子3から発光された光を出射する光出射部12が設けられている。
【0015】
ここで、前記有機EL素子3は、素子基板5上に設けられた有機隔壁221間に設けられる、陽極及び陰極からなる一対の電極間に少なくとも発光層60を備えたものであり、その一対の電極から前記発光層60に電流を供給することにより発光するようになっている。なお、本実施形態では、前記有機EL素子3は、陽極として機能する画素電極23と、この画素電極23からの正孔を注入/輸送する正孔輸送層70と、有機EL物質からなる発光層60と、陰極50とが順に形成されたことによって構成されている。
また、素子基板5には、後述するように、薄膜トランジスタ(TFT)等のスイッチング素子(駆動回路)が設けられていて、該スイッチング素子により有機EL素子3への通電が制御されるようになっている。
【0016】
そして、図3、及び図4に示すように、前記反射基板6の内面側(すなわち、前記接着層8)には、前記各有機EL素子3の直上に対向するようにして形成される、断面視略半球状の溝部が複数設けられていて、該溝を含む前記反射基板6の内面側には、各有機EL素子3より出射された光を反射する反射膜6aが設けられている。
そして、前記反射膜6aにより覆われた溝部は、前記反射基板6の一方の端部に露出した状態に形成されていて、各有機EL素子3からの光を反射する反射部10として機能するようになっている。
ここで、反射部10とは、各有機EL素子3と反射膜6aとの間に接着層8が充填された領域であって、反射膜6aによって反射した各有機EL素子3の光を反射し、後述する光出射部12へと光を導波する導波路としての機能を発揮するものである。
また、反射部10は、
【0017】
前記反射膜6aによって反射された各有機EL素子3の光は、図4中に示される前記基接着層8(反射部10)内を導波されることにより、前記ヘッド基体7の端面側に集光されるようになっている。そして、前記ヘッド基体7の端面には、前記反射膜6aで反射した前記各有機EL素子3の光を出射する光出射部12が設けられている。ここで、前記光出射部12の面積は、前記各有機EL素子3が発光する面積、すなわち発光層60の面積よりも小さくなっている。また、前記光出射部12は、後述する製造工程によりその表面が研磨された状態となっていて、該光出射部12から出射する光の拡散を防止したものとなっている。
【0018】
本実施形態のラインヘッド1によれば、各有機EL素子3から出射された光は、反射基板6に設けられた反射膜6aによって反射されるとともに、光透過性のある接着層8内を導波されて、ヘッド基体7の端面に設けられた光出射部12に集光されて、外部に取り出されるようになっている。
このような構成のもとに、本実施形態のラインヘッド1は、有機EL素子3から発光された光を、ヘッド基体7の端面側に設けられた光出射部12まで導波し、かつ集光させることで輝度の高い光を取り出すことが可能となっている。
【0019】
なお、本実施形態では、トップエミッション型の有機EL素子3に適応したが、例えば前記基板5aの有機EL素子3が設けられていない側に設けることで、接着層を介して反射基板を貼着することでボトムエミッション型の有機EL素子3に適応してもよい。このとき、前記接着層8の厚みを薄くすることが好ましい。このようにすれば、前記有機EL素子3と反射膜6aとの間隔が狭まることによって、有機EL素子3からの光を光出射部12から効率的に取り出すことが可能となる。
【0020】
(SLアレイ)
図5は、SLアレイの斜視図である。このSLアレイ31は、日本板硝子株式会社製のSL素子31aを配列したものである。このSL素子31aは、直径0.28mm程度のファイバー状に形成されている。また、各SL素子31aは千鳥状に配置され、各SL素子31aの隙間には黒色のシリコーン樹脂32が充填されている。さらに、その周囲にフレーム34が配置されて、SLアレイ31が形成されている。
【0021】
このSL素子31aは、その中心から周辺にかけて放物線上の屈折率分布を有している。そのため、SL素子31aに入射した光は、その内部を一定周期で蛇行しながら進むようになっている。このSL素子31aの長さを調整すれば、画像を正立等倍結像させることができる。そして、正立等倍結像するSL素子31aを整列配置すれば、隣接するSL素子31aの作る像を重ね合わせることが可能になり、広範囲の画像を得ることができる。したがって、図5のSLアレイは、ラインヘッド1全体からの光を精度よく結像させることができるようになっている。
【0022】
(有機EL素子および駆動素子)
次に、前記ラインヘッド1における有機EL素子3や駆動素子等の詳細な構成について、図6(a),(b)を参照して説明する。ここで、図6(a)は、前記ラインヘッド1を構成する素子基板5に設けられた有機EL素子3の構成を詳細に示した図であり、図6(b)は、駆動素子の構成を詳細に示した図である。
【0023】
本実施形態における有機EL素子3は、上述したように、いわゆるトップエミッション型となっていることから、この素子基板2における封止層51側から発光光が取り出されるようになっている。素子基板5を構成する基板5aとしては、透明基板及び不透明基板のいずれも用いることができるが、本実施形態では不透明基板を用いている。
このような不透明基板としては、例えば、アルミナ等のセラミックス、ステンレススチール等の金属シートに表面酸化などの絶縁処理を施したものの他に、熱硬化性樹脂、熱可塑性樹脂などが挙げられる。
【0024】
なお、ボトムエミッション型の場合に、光が基板5aを透過して出射されることから、透明基板となる基板5aを構成する材料としては、例えばガラス、石英、樹脂(プラスチック、プラスチックフィルム)等が挙げられ、特にガラス基板を好適に用いることができる。
【0025】
基板5a上には、画素電極23に接続する駆動用TFT123(駆動素子4)などを含む回路部11が形成されており、その上に有機EL素子3が設けられている。前記有機EL素子3は、陽極として機能する画素電極23と、この画素電極23からの正孔を注入/輸送する正孔輸送層70と、有機EL物質からなる発光層60と、陰極50とが順に形成されたことによって構成されている。なお、前記有機EL素子3は、有機隔壁221によって区画された領域に形成されている。
【0026】
ここで、有機EL素子3および駆動用TFT123(駆動素子4)を図2(a)に対応した模式図で示すと、図6(b)に示すようになる。図6(b)において、電源線17は駆動素子4のソース/ドレイン電極に接続し、電源線18は有機EL素子3の陰極50に接続している。
そして、このような構成のもとに有機EL素子3は、図6(a)に示すように、正孔輸送層70から注入された正孔と陰極50からの電子とが発光層60で結合することにより、発光をなすようになっている。
【0027】
また、本実施形態においては、画素電極23上にSiO2等の親液性の絶縁材料からなる無機隔壁25が形成されており、この無機隔壁25には開口25aが形成されている。
ここで、無機隔壁25は絶縁材料からなっているので、後述するように前記開口25a内に臨むようにして設けられた機能層においては、この無機隔壁25で覆われた箇所には電流が流れず、したがって発光する領域、すなわち発光面積は、この無機隔壁25の開口25aによって決定されるようになっている。
【0028】
前記画素電極23は、特にボトムエミッション型である場合、透明導電材料によって形成され、具体的にはITO(インジウム錫酸化物)が好適に用いられるが、上述したように本実施形態の場合はトップエミッション型であるので、反射性の高いAgやAlなどの金属膜上に仕事関数の比較的高いITO等の透明導電材料によって形成された透明電極を積層して構成される。
【0029】
正孔輸送層70の形成材料としては、特に3,4−ポリエチレンジオシチオフェン/ポリスチレンスルフォン酸(PEDOT/PSS)の分散液、すなわち、分散媒としてのポリスチレンスルフォン酸に3,4−ポリエチレンジオキシチオフェンを分散させ、さらにこれを水に分散させた分散液が好適に用いられる。
なお、正孔輸送層70の形成材料としては、前記のものに限定されることなく種々のものが使用可能である。例えば、ポリスチレン、ポリピロール、ポリアニリン、ポリアセチレンやその誘導体などを、適宜な分散媒、例えば前記のポリスチレンスルフォン酸に分散させたものなどが使用可能である。
【0030】
発光層60を形成するための材料としては、蛍光あるいは燐光を発光することが可能な公知の発光材料が用いられる。なお、本実施形態では、例えば発光波長帯域が赤色に対応した発光層が採用されるが、もちろん、発光波長帯域が緑色や青色に対応した発光層を採用するようにしてもよい。
【0031】
具体的な前記発光層60の形成材料としては、(ポリ)フルオレン誘導体(PF)、(ポリ)パラフェニレンビニレン誘導体(PPV)、ポリフェニレン誘導体(PP)、ポリパラフェニレン誘導体(PPP)、ポリビニルカルバゾール(PVK)、ポリチオフェン誘導体、ポリメチルフェニルシラン(PMPS)などのポリシラン系などが好適に用いられる。また、これらの高分子材料に、ペリレン系色素、クマリン系色素、ローダミン系色素などの高分子系材料や、ルブレン、ペリレン、9,10−ジフェニルアントラセン、テトラフェニルブタジエン、ナイルレッド、クマリン6、キナクリドン等の低分子材料をドープして用いることもできる。
【0032】
また、前記発光層60を覆うようにして陰極50が形成されている。
この陰極50を形成するための材料としては、本実施形態のラインヘッド1は上述したように、トップエミッション型であることから光透過性である必要があり、したがって透明導電材料が用いられる。透明導電材料としてはITOが好適とされるが、これ以外にも、例えば酸化インジウム・酸化亜鉛系アモルファス透明導電膜(Indium Zinc Oxide :IZO/アイ・ゼット・オー)(登録商標))(出光興産社製)等を用いることができる。なお、本実施形態ではITOを用いることとし、例えばCaを厚さ5nm程度に形成し、その上にITO膜を厚さ200nm程度に形成して積層構造の電極としたものが用いられる。よって、この陰極50側から発光光を取り出すことができるようになっている。
【0033】
このような陰極50の上には、該陰極50及び有機隔壁221の上面を覆うように、封止層51が設けられている。この封止層51は透光性を有する樹脂材料からなり、たとえば、アクリル樹脂、エポキシ樹脂などである。なお、この場合、陰極50上にパシベーションとしてSiN,SiONなどを製膜しておくとよい。
【0034】
また、封止層51は、その内側に酸素や水分が浸入するのを防止するためのものであって、これにより陰極50及び発光層60から構成される有機EL素子3への酸素や水分の浸入を防止し、酸素や水分による前記有機EL素子3の劣化等を抑えることができる。
【0035】
この封止層51は、例えば無機膜と合成樹脂等の接着機能を有する有機膜とを交互に複数積層してもよい。無機膜と有機膜とを複数積層することによりクラックの発生を防止することができる。また、無機膜を多層に設けてもよい。この場合、例えば酸窒化珪素(SiON)を多層に設けるなど、1種類の材料からなる膜を多層に設けてもよいし、窒化珪素と二酸化珪素とを積層するなど、異なる材料からなる膜を多層に設けてもよい。このように、無機膜を多層にすることにより、前記有機EL素子3に対する封止性能をより高めることができる。
【0036】
また、このような有機EL素子3の下方には、前述したように回路部11が設けられている。この回路部11は基板5a上に形成されたものである。すなわち、基板5aの表面にはSiO2を主体とする下地保護層281が下地として形成され、その上にはシリコン層241が形成されている。このシリコン層241の表面には、SiO2及び/又はSiNを主体とするゲート絶縁層282が形成されている。
【0037】
また、前記シリコン層241のうち、ゲート絶縁層282を挟んでゲート電極242と重なる領域がチャネル領域241aとされている。なお、このゲート電極242は、図示しない走査線の一部である。一方、シリコン層241を覆い、ゲート電極242を形成したゲート絶縁層282の表面には、SiO2を主体とする第1層間絶縁層283が形成されている。
【0038】
また、シリコン層241のうち、チャネル領域241aのソース側には、低濃度ソース領域241bおよび高濃度ソース領域241Sが設けられる一方、チャネル領域241aのドレイン側には低濃度ドレイン領域241cおよび高濃度ドレイン領域241Dが設けられて、いわゆるLDD(Light Doped Drain )構造となっている。これらのうち、高濃度ソース領域241Sは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホール243aを介して、ソース電極243に接続されている。このソース電極243は、電源線(図示せず)の一部として構成されている。一方、高濃度ドレイン領域241Dは、ゲート絶縁層282と第1層間絶縁層283とにわたって開孔するコンタクトホール244aを介して、ソース電極243と同一層からなるドレイン電極244に接続されている。
【0039】
ソース電極243およびドレイン電極244が形成された第1層間絶縁層283の上層には、例えばアクリル系の樹脂成分を主体とする平坦化膜284が形成されている。この平坦化膜284は、アクリル系やポリイミド系等の、耐熱性絶縁性樹脂などによって形成されたもので、駆動用TFT123(駆動素子4)やソース電極243、ドレイン電極244などによる表面の凹凸をなくすために形成された公知のものである。
【0040】
そして、ITO等からなる画素電極23が、この平坦化膜284の表面上に形成されるとともに、該平坦化膜284に設けられたコンタクトホール23aを介してドレイン電極244に接続されている。すなわち、画素電極23は、ドレイン電極244を介して、シリコン層241の高濃度ドレイン領域241Dに接続されている。
【0041】
画素電極23が形成された平坦化膜284の表面には、画素電極23と、前述した無機隔壁25とが形成されており、さらに無機隔壁25上には、有機隔壁221が形成されている。そして、画素電極23上には、無機隔壁25に形成された前記開口25aと、有機隔壁221に形成された開口221aとの内部、すなわち画素領域に、前記の正孔輸送層70と発光層60とが画素電極23側からこの順で積層され、これによって上述した有機EL素子3が形成されている。
【0042】
(ラインヘッドの製造方法)
次に、前記ラインヘッド1を製造する方法について説明する。なお、本実施形態では、基板5aとしてウエハ状のものを用いており、該基板5a上に有機EL素子3を形成し素子基板5を形成し、該素子基板5と前記反射基板6とを接着層8を介して貼着した後、ダイシングを行うことにより分断し、各ラインヘッド1を形成している。
【0043】
まず、図7(a)に示すように、素子基板5を構成する基板5aの表面に、下地保護層281を形成し、さらにこの下地保護層281上にポリシリコン層等を形成して、このポリシリコン層等から前記回路部11を形成する。
そして、素子基板2の全面を覆うように画素電極23となる透明導電膜として、反射性の高いAgやAlなどの金属膜とITOとを積層して形成する。そして、この導電膜をパターニングすることにより、平坦化膜284のコンタクトホール23aを介してドレイン電極244と導通する、画素電極23を形成する。
【0044】
次いで、画素電極23上および平坦化膜284上に、SiO2等の絶縁材料をCVD法等で成膜して隔壁層(図示せず)を形成し、続いて、公知のホトリソグラフィー技術、エッチング技術を用いて隔壁層をパターニングする。これにより、図7(a)に示すように、形成する各有機EL素子の画素領域毎に開口25aを形成すると同時に、無機隔壁25を形成する。
次いで、図7(b)に示すように、無機隔壁25の所定位置、詳しくは画素領域を囲む位置に樹脂等によって有機隔壁221を形成する。この有機隔壁221は、後述するように有機EL素子3を形成する領域を区画するためのものである。
【0045】
そして、素子基板2の表面に、親液性を示す領域と、撥液性を示す領域とを形成する。
本実施形態においては、プラズマ処理によって各領域を形成するものする。具体的には、該プラズマ処理は、予備加熱工程と、有機隔壁221の表面および開口221aの壁面ならびに画素電極23の電極面、無機隔壁25の表面をそれぞれ親液性にする親液化工程と、有機隔壁221の上面および開口221aの壁面を撥液性にする撥液化工程と、冷却工程とで構成する。
【0046】
すなわち、基材(前記隔壁などを含む素子基板2)を所定温度、例えば70〜80℃程度に加熱し、次いで親液化工程として大気圧下で酸素を反応ガスとするプラズマ処理(O2プラズマ処理)を行う。次いで、撥液化工程として大気圧下で4フッ化メタンを反応ガスとするプラズマ処理(CF4プラズマ処理)を行い、その後、プラズマ処理のために加熱された基材を室温まで冷却することで、親液性および撥液性が所定箇所に付与されることとなる。
【0047】
なお、このCF4プラズマ処理においては、画素電極23の電極面および無機隔壁25についても多少の影響を受けるが、画素電極23の材料であるITOおよび無機隔壁25の構成材料であるSiO2、TiO2などはフッ素に対する親和性に乏しいため、親液化工程で付与された水酸基がフッ素基で置換されることがなく、親液性が保たれる。
【0048】
次いで、前記有機隔壁221に正孔輸送層70を形成する。この正孔輸送層70を形成するに際しては、液滴吐出法(以下、インクジェット法とよぶ)が好適に採用される。すなわち、このインクジェット法により、正孔輸送層形成材料70aを電極面上に選択的に配し、これを塗布する。その後、乾燥処理および熱処理を行い、画素電極23上に正孔輸送層70を形成する。正孔輸送層70の形成材料としては、例えば前記のPEDOT:PSSをイソプロピルアルコールなどの極性溶媒に溶解させたものが用いられる。
【0049】
このインクジェット法による正孔輸送層70の形成にあたっては、インクジェットヘッドHAに正孔輸送層形成材料70aを充填し、図7(b)に示すように、インクジェットヘッドHAの吐出ノズルを無機隔壁25に形成された前記開口25a内に位置する電極面に対向させ、インクジェットヘッドと基材(素子基板2)とを相対移動させながら、吐出ノズルから1滴当たりの液量が制御された液滴を電極面に吐出する。次に、吐出後の液滴を乾燥処理し、正孔輸送層材料70aに含まれる分散媒や溶媒を蒸発させることにより、正孔輸送層70を形成する。
【0050】
ここで、上記インクジェットヘッドHAとしては、通電により機械振動を生じる圧電素子を用いて液室内の圧力を変化させることによりノズルから液滴を吐出する方式の液滴吐出ヘッドを採用することが望ましい。なお、発熱体で液室内を局部的に加熱して気泡を発生させることによりノズルから液滴を吐出する方式の液滴吐出ヘッドを採用してもよい。これ以外にも、帯電制御型、加圧振動型といった連続方式、静電吸引方式、さらにはレーザなどの電磁波を照射して発熱させ、この発熱による作用で液状体を吐出させる方式等を採用することもできる。
【0051】
吐出ノズルから吐出された液滴は、親液性処理がなされた電極面上にて広がり、無機隔壁25の開口25a内に満たされて該開口25a内に臨むようになる。
その一方で、撥液処理された有機隔壁221の上面では、液滴がはじかれて付着しない。
したがって、液滴が所定の吐出位置からずれて、液滴の一部が有機隔壁221の表面にかかったとしても、該表面が液滴で濡れることがなく、弾かれた液滴が無機隔壁25の開口25a内に引き込まれる。
なお、この正孔輸送層形成工程以降では、各種の形成材料や形成した要素の酸化・吸湿を防止すべく、窒素雰囲気、アルゴン雰囲気などの不活性ガス雰囲気で行うことが好ましい。
【0052】
次いで、図7(c)に示すように、前記有機隔壁221に区画された領域に発光層60を形成する。
この発光層形成工程では、前記正孔輸送層70を形成する工程と同様に、上述したインクジェット法が好適に採用できる。すなわち、インクジェット法により、発光層形成材料を正孔輸送層70上に吐出し、その後、乾燥処理および熱処理を行うことにより、有機隔壁221に形成された開口221a内、すなわち画素領域上に発光層60を形成する。
【0053】
次いで、前記発光層60上に陰極50を形成する。この陰極50については、有機EL素子3を効率よく発光させるため、電子注入層と導電層のような積層構造を採用するのが一般的であり、本実施形態では上述したようにCaとITOとの積層膜から構成されている。
【0054】
ここで、本実施形態では、素子基板2と図示しないメタルマスクを位置合わせして蒸着法やスパッタ法で陰極50を成膜することにより、前記発光層60上を陰極50が選択的に覆った状態に形成することができる。なお、陰極50を形成するに際しては、有機隔壁221上を含む基板5aのほぼ全面に形成材料(ITO)を設けるようにしてもよい。
その後、封止工程によって前記陰極50及び有機隔壁221上を含む基板5aの全面を覆うようにして、例えばマイクロディスペンサ等を用いることで封止層51を塗布する。
【0055】
上述した工程により、図6に示したような有機EL素子3を備えた素子基板5が製造されることとなる。
次に、図8を参照し、反射基板6と素子基板5とを貼着する工程について説明する。なお、図8は、図2(b)に示したB−B´線矢視における断面に基づく工程図である。
【0056】
まず、図8(a)に示すように、前記素子基板5に貼着するための反射基板6の前駆体となるガラス基板6´を用意する。なお、このガラス基板6´は、上述したウエハ状の素子基板5と同じ大きさからなるものである。そして、該ガラス基板6´にウエットエッチングを行うことによって、図2に示したように、平面視した状態で有機EL素子3に対応し、かつその断面が半円状の凹部を形成する。ここで、前記凹部は後述するダイシング工程により、光出射部12を構成する反射部10(図3参照)となるものである。
その後、図8(b)に示すように、該凹部が形成されたガラス基板6´側の前面にスパッタ法により、有機EL素子3から発光された光を反射する反射膜6aを形成する。このようにして、有機EL素子3の光を反射する反射膜6aを備えた反射基板6が形成される。
【0057】
次いで、素子基板5と反射基板6とを光透過性を有した接着層8を介して貼りあわせる工程を行う。
まず、図8(c)に示すように、光透過性を有し、かつ熱硬化型の接着剤として機能する、例えばエポキシ樹脂をスクリーン印刷、ディスペンス等の方法を用いて、前記素子基板5における有機EL素子3が設けられた側の面に塗布する。
【0058】
その後、前記接着層8が設けられた素子基板5と、反射基板6とをアライメントした後、加熱及び加圧を行うことで、前記接着層8を介して前記素子基板5と前記反射基板6とを貼着し、図9(a)に示すヘッド基体7の前駆体となる接着体を形成する。ここで、本実施形態では、前記反射基板6に設けられた各凹部内には、図9(a)に示すように、平面視した状態で、2つの有機EL素子3が設けられた状態となっている。
【0059】
次いで、図9(b)に示すダイシングラインによって、上記接着体をダイシングブレードによって、各ラインヘッド毎に分断する。よって、図9(b)に示すように、接着層8を介して貼着された素子基板5と反射基板6とから構成されるヘッド基体7が形成される。
【0060】
このとき、ダイシングによる切断面となる、ヘッド基体7の一端面には、前記反射基板6に形成されていた凹部を切断することにより、切断面側に接着層8が露出することとなる。この接着層8は、上述したように光透過性を有しているので、有機EL素子3から発光された光は、反射基板6に形成されている反射膜6aによって反射された後は接着層8内を透過し、端面に露出した接着層8はヘッド基体7における光出射部12となる。ここで、各有機EL素子3と反射膜6aとの間に接着層8が充填された反射部10は、反射膜6aによって反射した各有機EL素子3の光を反射し、前記光出射部12へと光を導波する導波路となる。
【0061】
ところで、前記ヘッド基体における光出射部12は、ダイシングによって表面が荒れた状態となっている。そこで、前記ダイシング加工面に対して研磨を行うことで平坦化し、前記光出射部12から出射される有機EL素子3の光が拡散するのを防止できる。以上の工程により、本実施形態のラインヘッド1を形成することができる。
【0062】
なお、ヘッド基体7における光出射部12とは反対側の面には、図9(c)に示したように、前記接着層8が露出することにより前記の反射光の一部がもれる場合があるが、前記光出射部12に比べてその大きさが十分小さく問題は無いが、前記光出射部12とは反対側の面にも反射膜6aを別途形成することにより、有機EL素子3の光を前記光出射部12からのみ取り出すことで、光の取り出し効率を向上させることがより好ましい。
【0063】
次に、上記ラインヘッド1における各光出射部12から光を出射する場合について説明する。本実施形態のラインヘッド1は、上述したTFT等のスイッチング素子を含んだ回路部11によって、各有機EL素子3が発光させることができる。各有機EL素子3から発光された光は、反射膜6aによって反射される。
【0064】
ここで、反射基板6に形成されている反射部10は、有機EL素子3の反射光を導波する導波路として機能し、かつ各有機EL素子3から発光した光を対応する光出射部12に集光することとなる。
よって、該反射膜6aによって反射された光は接着層8内(反射部10)を、外部への光取り出し口となる光出射部12に向かって透過するようになる。
【0065】
このように、本実施形態のラインヘッド1によれば、各有機EL素子3から出射された光は、反射基板6に設けられた反射膜6aによって反射されるとともに、光透過性のある接着層8(反射部10)内を導波されて、ヘッド基体7の端面に設けられた光出射部12に集光されて、外部に取り出されることとなる。
【0066】
ここで、前記有機EL素子3の面積を大きくすることで、該有機EL素子3が発光する光量を増加させた際、本構成のヘッド基体7は長手方向に大きくなるが、光出射部12の大きさ、及び各光出射部12のピッチに変化が生じることがない。よって、ヘッド基体7の端面に設けられた光出射部12からは、より輝度の高い光を取り出すことができるのである。
【0067】
このように、本実施形態のラインヘッド1は、前記有機EL素子3により面発光された光を集光し、前記光出射部12から点状の光として出射しているので、該光出射部12から外部に取り出される光は輝度の高くなる。また、有機EL素子に流す電流を増加させることなく輝度の高い光を取り出すことが可能となるので、熱によりEL素子を劣化させることが無い。
したがって、ラインヘッド1は、有機EL素子3の長寿命化を図りつつ、輝度の高い光を取り出し可能なものとなり、該ラインヘッド1を備えたラインヘッドモジュール101を用いることにより、ラインヘッド1から出射された輝度の高い光をSLアレイ31を介することで感光体ドラム41上を確実に露光させることができる。
【0068】
(第2実施形態)
次に、本発明のラインヘッドにおける第2の実施形態について説明する。
本実施形態のラインヘッド1´は、図10(a),(b)に示すように、前記ヘッド基体7の端面側に複数のマイクロレンズMを備えたマイクロレンズアレイ基板MAが設けられている。なお、ラインヘッド1´は、前記マイクロレンズMが設けられている以外の構成は、前記第1の実施形態におけるマイクロレンズMと同様であるので、同じ構成については同一の符号を付して、その説明を省略することとする。
【0069】
前記マイクロレンズアレイ基板MAはガラス基板からなるもので、図10(a),(b)に示したように、各光出射部12に対応するマイクロレンズMが複数形成されたものである。
そして、前記各マイクロレンズMは、各光出射部12に対応するようにアライメントして、前述した光透過性を有した接着層8´によってヘッド基体7に貼着されている。なお、該接着層8´は素子基板5と反射基板6とを貼着している接着層8と同じ材料からなるものである。
【0070】
前記マイクロレンズMは、光出射部12から出射された光をマイクロレンズMによって集光することができ、光をより効率的にラインヘッド1´の外部に取り出すことが可能となり、光の輝度をより向上させることができる。よって、このラインヘッド1´を備えたラインヘッドモジュール101´を用いることで、感光体ドラム41をより高い輝度の光で露光させることができるので、後述する画像形成装置の描画品質を向上できる。
【0071】
また、本実施形態におけるラインヘッド1´は、前記マイクロレンズアレイ基板MAを接着層8を介して、ヘッド基体7の光出射部12側にマイクロレンズMを貼着する工程以外は同じあることから、その説明は省略する。
すなわち、ラインヘッド1´は、図7〜図9に示した製造工程により、形成されたヘッド基体7に、エポキシ樹脂からなる前記接着層8をスクリーン印刷、ディスペンス等の方法によって塗布し、上記マイクロレンズアレイ基板MAをアライメントした後、加熱、及び加圧することで、ヘッド基体7にマイクロレンズアレイ基板MAを貼着することにより、ラインヘッド1´が製造できる。
【0072】
(ラインヘッドモジュールの使用形態)
次に、上記ラインヘッドモジュール101の使用形態について説明する。
上記ラインヘッドモジュール101は、本発明の画像形成装置における露光装置として使用される。その場合、ラインヘッドモジュールは感光体ドラムに対向配置され、ラインヘッドからの光をSLアレイにより感光体ドラム上に正立等倍結像させて使用する。
以下に、タンデム方式、及び4サイクル方式の画像形成装置に関する実施形態について説明する。
【0073】
(タンデム方式の画像形成装置)
まず、タンデム方式の画像形成装置について説明する。
図11は、タンデム方式の画像形成装置の概略構成図であり、図11中符号80は画像形成装置である。この画像形成装置80は、本発明のラインヘッドモジュール101(本実施形態では、以下、これらをラインヘッドモジュール101K、101C、101M、101Yともよぶ)を、対応する同様な構成である4個の感光体ドラム(像担持体)41K、41C、41M、41Yの露光装置にそれぞれ配置したもので、タンデム方式のものとして構成されたものである。
【0074】
この画像形成装置80は、駆動ローラ91と従動ローラ92とテンションローラ93とを備え、これら各ローラに中間転写ベルト90を、図11中矢印方向(反時計方向)に循環駆動するよう張架したものである。この中間転写ベルト90に対して、感光体ドラム41K、41C、41M、41Yが所定間隔で配置されている。これら感光体ドラム41K、41C、41M、41Yは、その外周面が像担持体としての感光層となっている。
【0075】
ここで、前記符号中のK、C、M、Yは、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエローを意味し、それぞれ黒、シアン、マゼンタ、イエロー用の感光体であることを示している。
なお、これら符号(K、C、M、Y)の意味は、他の部材についても同様である。感光体ドラム41K、41C、41M、41Yは、中間転写ベルト90の駆動と同期して、図11中矢印方向(時計方向)に回転駆動するようになっている。
【0076】
各感光体ドラム41(K、C、M、Y)の周囲には、それぞれ感光体ドラム41(K、C、M、Y)の外周面を一様に帯電させる帯電手段(コロナ帯電器)42(K、C、M、Y)と、この帯電手段42(K、C、M、Y)によって一様に帯電させられた外周面を感光体ドラム41(K、C、M、Y)の回転に同期して順次ライン走査する本発明のラインヘッドモジュール101(K、C、M、Y)とが設けられている。
【0077】
また、このラインヘッドモジュール101(K、C、M、Y)で形成された静電潜像に現像剤であるトナーを付与して可視像(トナー像)とする現像装置44(K、C、M、Y)と、この現像装置44(K、C、M、Y)で現像されたトナー像を一次転写対象である中間転写ベルト90に順次転写する転写手段としての一次転写ローラ45(K、C、M、Y)と、転写された後に感光体ドラム41(K、C、M、Y)の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニング装置46(K、C、M、Y)とが設けられている。
【0078】
ここで、各ラインヘッドモジュール101(K、C、M、Y)は、有機EL素子の配列方向が感光体ドラム41(K、C、M、Y)の母線に沿うように設置されている。そして、各ラインヘッドモジュール101(K、C、M、Y)の発光エネルギーピーク波長と、感光体ドラム41(K、C、M、Y)の感度ピーク波長とが略一致するように設定されている。
【0079】
現像装置44(K、C、M、Y)は、例えば、現像剤として非磁性一成分トナーを用いるもので、その一成分現像剤を例えば供給ローラで現像ローラへ搬送し、現像ローラ表面に付着した現像剤の膜厚を規制ブレードで規制し、その現像ローラを感光体ドラム41(K、C、M、Y)に接触させあるいは押圧せしめることにより、感光体ドラム41(K、C、M、Y)の電位レベルに応じて現像剤を付着させ、トナー像として現像するものである。
【0080】
このような4色の単色トナー像形成ステーションにより形成された黒、シアン、マゼンタ、イエローの各トナー像は、一次転写ローラ45(K、C、M、Y)に印加される一次転写バイアスによって中間転写ベルト90上に順次一次転写される。そして、中間転写ベルト90上で順次重ね合わされてフルカラーとなったトナー像は、二次転写ローラ66において用紙等の記録媒体Pに二次転写され、さらに定着部である定着ローラ対61を通ることで記録媒体P上に定着され、その後、排紙ローラ対62によって装置上部に形成された排紙トレイ68上に排出される。
【0081】
なお、図11中の符号63は多数枚の記録媒体Pが積層保持されている給紙カセット、64は給紙カセット63から記録媒体Pを一枚ずつ給送するピックアップローラ、65は二次転写ローラ66の二次転写部への記録媒体Pの供給タイミングを規定するゲートローラ対、66は中間転写ベルト90との間で二次転写部を形成する二次転写手段としての二次転写ローラ、67は二次転写後に中間転写ベルト90の表面に残留しているトナーを除去するクリーニング手段としてのクリーニングブレードである。
【0082】
(4サイクル方式の画像形成装置)
次に、4サイクル方式の画像形成装置について説明する。
図12は、4サイクル方式の画像形成装置の概略構成図である。図12において、画像形成装置160には主要構成部材として、ロータリ構成の現像装置161、像担持体として機能する感光体ドラム165、像書込手段(露光手段)として機能する本実施形態のラインヘッドモジュール167、中間転写ベルト169、用紙搬送路174、定着器の加熱ローラ172、給紙トレイ178が設けられている。
【0083】
現像装置161は、現像ロータリ161aが軸161bを中心として矢印A方向に回転するよう構成されたものである。現像ロータリ161aの内部は4分割されており、それぞれイエロー(Y)、シアン(C)、マゼンタ(M)、ブラック(K)の4色の像形成ユニットが設けられている。162a〜162dは、前記4色の各像形成ユニットに配置されており、矢印B方向に回転する現像ローラ、163a〜163dは、矢印C方向に回転するトナ−供給ローラである。また、164a〜164dはトナーを所定の厚さに規制する規制ブレードである。
【0084】
図12中符号165は、前記のように像担持体として機能する感光体ドラム、166は一次転写部材、168は帯電器である。また、167は像書込手段(露光手段)として機能する本実施形態のラインヘッドモジュールである。感光体ドラム165は、図示を省略した駆動モータ、例えばステップモータにより、現像ローラ162aとは逆の方向となる矢印D方向に回転駆動されるようになっている。
【0085】
中間転写ベルト169は、駆動ローラ170aと従動ローラ170bとの間に張架されたものである。駆動ローラ170aは、前記感光体ドラム165の駆動モータに連結されたもので、中間転写ベルト169に動力を伝達するようになっている。すなわち、該駆動モータの駆動により、中間転写ベルト169の駆動ローラ170aは感光体ドラム165とは逆の方向となる矢印E方向に回動するようになっている。
【0086】
用紙搬送路174には、複数の搬送ローラと排紙ローラ対176などが設けられており、用紙が搬送されるようになっている。中間転写ベルト169に担持されている片面の画像(トナー像)が、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に転写されるようになっている。二次転写ローラ171は、クラッチによって中間転写ベルト169に離当接されるようになっており、クラッチオンで中間転写ベルト169に当接され、用紙に画像が転写されるようになっている。
【0087】
上記のようにして画像が転写された用紙は、次に、定着ヒータHを有する定着器で定着処理がなされる。定着器には、加熱ローラ172、加圧ローラ173が設けられている。
定着処理後の用紙は、排紙ローラ対176に引き込まれて矢印F方向に進行する。この状態から排紙ローラ対176が逆方向に回転すると、用紙は方向を反転して両面プリント用搬送路175を矢印G方向に進行する。177は電装品ボックス、178は用紙を収納する給紙トレイ、179は給紙トレイ178の出口に設けられているピックアップローラである。
【0088】
用紙搬送路において、搬送ローラを駆動する駆動モータとしては、例えば低速のブラシレスモータが用いられている。また、中間転写ベルト169については、色ずれ補正などが必要となるためステップモータが用いられている。これらの各モータは、図示を省略した制御手段からの信号によって制御されるようになっている。
【0089】
図12に示した状態で、イエロー(Y)の静電潜像が感光体ドラム165に形成され、現像ローラ162aに高電圧が印加されることにより、感光体ドラム165にはイエローの画像が形成される。イエローの裏側および表側の画像がすべて中間転写ベルト169に担持されると、現像ロータリ161aが矢印A方向に90度回転する。
【0090】
中間転写ベルト169は1回転して感光体ドラム165の位置に戻る。次に、シアン(C)の2面の画像が感光体ドラム165に形成され、この画像が中間転写ベルト169に担持されているイエローの画像に重ねて担持される。以下、同様にして現像ロータリ161の90度回転、中間転写ベルト169への画像担持後の1回転処理が繰り返される。
【0091】
4色のカラー画像担持には中間転写ベルト169は4回転して、その後さらに回転位置が制御されて二次転写ローラ171の位置で用紙に画像を転写する。給紙トレイ178から給紙された用紙を搬送路174で搬送し、二次転写ローラ171の位置で用紙の片面に前記カラー画像を転写する。片面に画像が転写された用紙は前記のように排紙ローラ対176で反転されて、搬送径路で待機している。その後、用紙は適宜のタイミングで二次転写ローラ171の位置に搬送されて、他面に前記カラー画像が転写される。ハウジング180には、排気ファン181が設けられている。
【0092】
このような図11、図12に示した画像形成装置80、160においては、図1に示したような本発明のラインヘッドモジュール101が露光手段として備えられている。
従って、これら画像形成装置80、160にあっては、前述したようにヘッド基体7の端面に設けられた光出射部12から輝度の高い発光光を取り出すことができるので、画像形成装置自体の印刷性能が向上し、得られるプリントの品質も高いものとなる。
なお、ラインヘッドモジュールを備えた画像形成装置は上記に限定されることなく、種々の変形が可能である。例えばラインヘッドモジュール101の代わりに、マイクロレンズアレイ基板MAを備えたラインヘッド1´を含むラインヘッドモジュール101´を露光手段として用いてもよい。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】ラインヘッドモジュールの側断面図である。
【図2】(a)はラインヘッドの斜視図、(b)はラインヘッドの側面図である。
【図3】図2(b)中、A−A´線矢視におけるラインヘッドの側断面図である。
【図4】図2(b)中、B−B´線矢視におけるラインヘッドの側断面図である。。
【図5】SLアレイの斜視図である。
【図6】(a),(b)は有機EL素子及び駆動素子の詳細な構成を示す図である。
【図7】ラインヘッドを製造工程を説明する図である。
【図8】図7に続くラインヘッドの製造工程を説明する図である。
【図9】図8に続くラインヘッドの製造工程を説明する図である。
【図10】第2の実施形態のラインヘッドを示す図である。
【図11】タンデム方式の画像形成装置の概略構成を示す図である。
【図12】4サイクル方式の画像形成装置の概略構成を示す図である。
【符号の説明】
【0094】
1…ラインヘッド、3…有機EL素子、5…素子基板、6…反射基板、6a…反射膜、7…ヘッド基体、8…接着層、12…光出射部、41…感光体ドラム、80,160…画像形成装置、M…マイクロレンズ
【特許請求の範囲】
【請求項1】
感光体ドラムに光を照射し、露光するラインヘッドにおいて、
有機EL素子を複数形成した素子基板と、該素子基板の、前記有機EL素子の光出射側の面に光透過性を有した接着層を介して貼着された反射基板と、を備えてなるヘッド基体を有し、
前記反射基板の内面側には、前記各有機EL素子より出射された光を反射し、前記ヘッド基体の端面側に導波させることで前記各有機EL素子より出射された光を集光する反射膜が設けられ、
前記ヘッド基体の端面には、前記反射膜で集光された光を出射する光出射部が複数設けられていることを特徴とするラインヘッド。
【請求項2】
前記素子基板は、基板と該基板における一方の面側に設けられた前記有機EL素子とを備えてなり、
前記基板における前記有機EL素子が設けられた側の面に前記反射基板が貼着されていることを特徴とする請求項1に記載のラインヘッド。
【請求項3】
前記光出射部にマイクロレンズが設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のラインヘッド。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のラインヘッドと、該ラインヘッドによって露光される感光体ドラムとを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【請求項1】
感光体ドラムに光を照射し、露光するラインヘッドにおいて、
有機EL素子を複数形成した素子基板と、該素子基板の、前記有機EL素子の光出射側の面に光透過性を有した接着層を介して貼着された反射基板と、を備えてなるヘッド基体を有し、
前記反射基板の内面側には、前記各有機EL素子より出射された光を反射し、前記ヘッド基体の端面側に導波させることで前記各有機EL素子より出射された光を集光する反射膜が設けられ、
前記ヘッド基体の端面には、前記反射膜で集光された光を出射する光出射部が複数設けられていることを特徴とするラインヘッド。
【請求項2】
前記素子基板は、基板と該基板における一方の面側に設けられた前記有機EL素子とを備えてなり、
前記基板における前記有機EL素子が設けられた側の面に前記反射基板が貼着されていることを特徴とする請求項1に記載のラインヘッド。
【請求項3】
前記光出射部にマイクロレンズが設けられたことを特徴とする請求項1又は2に記載のラインヘッド。
【請求項4】
請求項1から請求項3のいずれか一項に記載のラインヘッドと、該ラインヘッドによって露光される感光体ドラムとを備えたことを特徴とする画像形成装置。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【公開番号】特開2007−30290(P2007−30290A)
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−215529(P2005−215529)
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年2月8日(2007.2.8)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月26日(2005.7.26)
【出願人】(000002369)セイコーエプソン株式会社 (51,324)
【Fターム(参考)】
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