説明

リソグラフィ装置およびデバイス製造方法

【課題】リソグラフィ装置の投影システムの最終レンズ素子と基板の間のスペースを液体で満たす浸漬リソグラフィ装置で、この最終素子に凹面レンズを使うと開口数を大きくできるが、気泡がこの最終素子の下に閉込められ、投影した像を乱すおそれがある。この気泡の滞留をなくした装置を提供する。
【解決手段】投影システムPLの最終素子として凹面屈折レンズ30をその光軸OAを外して使うので、このレンズの下面の最高点が像界EF内になく、従って浸漬液11中の気泡が像界EF内に留まることはない。また、レンズ30の使わない部分を切り落し、浸漬液11をレンズ30の上部から供給することができ、滑らかな流を得て、レンズ30の投影ビームPBに近い、最も熱い部分を冷却することができる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リソグラフィ装置およびデバイスを製造するための方法に関する。
【背景技術】
【0002】
リソグラフィ装置は、基板上に、通常は基板の目標部分上に、所望のパターンを付ける機械である。リソグラフィ装置は、例えば、集積回路(IC)の製造に使うことができる。その場合、マスクまたはレチクルとも呼ぶ、パターニング装置を使ってこのICの個々の層上に作るべき回路パターンを創成してもよい。このパターンを基板(例えば、シリコンウエハ)上の目標部分(例えば、一つまたは幾つかのダイの一部を含む)に転写することができる。このパターンの転写は、典型的には基板上に設けた放射線感応材料(レジスト)の層への結像による。一般的に、単一基板が、順次パターン化する隣接目標部分のネットワークを含む。既知のリソグラフィ装置には、全パターンをこの目標部分上に一度に露光することによって各目標部分を照射する、ステッパと、このパターンを放射線ビームによって、与えられた方向(“走査”方向)に走査することによって各目標部分を照射し、一方、この基板をこの方向と平行または逆平行に同期して走査する、スキャナがある。このパターンを基板上に印写することによってこのパターンをパターニング装置から基板へ転写することも可能である。
【0003】
この基板をリソグラフィ投影装置で、この投影システムの最終素子と基板の間のスペースを埋めるように、比較的高屈折率の液体、例えば、水に浸漬することが提案されている。この趣旨は、露光放射線が液体の中では波長が短いので、小さい形態の結像を可能にすることである。(この液体の効果は、このシステムの大きい有効NAを使うことを可能にし且つ焦点深度を増すとも見做してもよい。)中に固体粒子(例えば、石英)を懸濁した水を含む、他の浸漬液が提案されている。
【0004】
しかし、基板または基板と基板テーブルを液体浴に沈めることは(例えば、その全体を参考までにここに援用するUS4,509,852参照)、走査露光中加速しなければならない液体の塊があることを意味する。これは、追加のまたはより強力なモータを要し、この液体中の乱流が望ましくなく且つ予測できない影響に繋がるかも知れない。
【0005】
提案された解決策の一つは、液体供給システムが液体閉込めシステムを使って液体を基板の局部領域にのみおよび投影システムの最終素子と基板の間に提供することである(基板は、一般的に投影システムの最終素子より表面積が大きい)。提案されている、これに備える一つの方法は、WO99/49504に開示してあり、その全体をここに参考までに援用する。図2および図3に示すように、液体を少なくとも一つの入口INによって、好ましくは最終素子に対する基板の運動方向に沿って、基板上に供給し、投影システムの下を通過してから少なくとも一つの出口OUTによって除去する。即ち、基板をこの素子の下で−X方向に走査するとき、液体をこの素子の+X側に供給し、−X側で吸収する。図2は、この装置を概略的に示し、そこでは液体を入口INから供給し、この素子の反対側で低圧源に結合した出口OUTによって吸収する。図2の例では、液体を最終素子に対する基板の運動方向に沿って供給するが、これは、そうである必要はない。最終素子の周りに位置する種々の方位並びに種々の数の入口および出口が可能であり、一例を図3に示し、そこでは両側に出口のある4組の入口が最終素子の周りに規則的パターンで設けてある。
【0006】
提案されているもう一つの解決策は、投影システムの最終素子と基板テーブルの間のスペースの境界の少なくとも一部に沿って伸びるシール部材を備える、液体供給システムを設けることである。そのような解決策を図4に示す。このシール部材は、投影システムに対してZ方向に(光軸方向に)幾らかの相対運動があってもよいが、XY平面では実質的に固定である。このシール部材と基板表面の間にシールができる。このシールは、ガスシールのように無接触シールであるのが好ましい。ガスシールを備える、そのようなシステムは、ヨーロッパ特許出願第03252955.4号に開示してあり、その全体を参考までにここに援用する。
【0007】
ヨーロッパ特許出願第03257072.3号に二連または二段浸漬リソグラフィ装置のアイデアが開示してある。そのような装置は、基板を支持するために二つの段を備える。水準測定を、浸漬液なしに、ある段の第1位置で行い、露光を、浸漬液のある、ある段の第2位置で行う。その代りとしては、この装置が一段だけを有する。
【0008】
経験により、浸漬リソグラフィ装置では、空気(またはその他のガス)の気泡が最終レンズ素子の下に閉込められる様になり、それらが投影した像に欠陥、例えば、歪みまたは白点を生じることがあると断定している。特に、凹面最終レンズ素子を使うならば、これらの気泡は、このレンズ素子の真中心の下、即ち軸上に閉込められがちであり、そこでは最大の害を生じる。このレンズ素子の中心の下から気泡を吸収し且つ除去する液体の流れを設けることは、非常に困難である。凹面の最終レンズ素子は、高NA値の使用を可能にするために望ましい。
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
投影システムの最終素子として凹面レンズ素子を使い、この最終レンズ素子の下に閉込められる気泡の有害な影響を避けられる、浸漬リソグラフィ装置を提供することが望ましい。
【課題を解決するための手段】
【0010】
この発明の一態様によれば、パターン化した放射線ビームを基板の目標部分上に投影するように構成した投影システムおよびこの投影システムの最終素子とこの基板の間のスペースに液体を供給するための液体供給システムを有するリソグラフィ投影装置において、この投影システムの最終素子が凹面屈折レンズであり、および
この投影システムがこのパターン化した放射線ビームをこの投影システムの光軸を外して配置した像界に投影するように配置してある装置が提供される。
【0011】
この発明の更なる態様によれば、投影システムを使ってパターンの像を液体を通して基板の目標部分上へ投影する工程を含み、この投影システムの最終素子が凹面屈折レンズであり、および上記投影システムの像界が軸外であるデバイス製造方法が提供される。
【0012】
次に、この発明の実施例を、例としてだけ、添付の概略図を参照して説明し、それらの図面で対応する参照記号は対応する部品を指す。
【図面の簡単な説明】
【0013】
【図1】本発明の実施例によるリソグラフィ装置を示す。
【図2】先行技術のリソグラフィ投影装置で使用した液体供給システムを示す。
【図3】先行技術のリソグラフィ投影装置で使用した液体供給システムを示す。
【図4】別の先行技術のリソグラフィ投影装置による液体供給システムを示す。
【図5】別の先行技術のリソグラフィ投影装置による液体供給システムを示す。
【図6】本発明の実施例によるリソグラフィ装置の最終レンズ素子および液体供給システムを示す。
【図7】本発明の別の実施例によるリソグラフィ装置の最終レンズ素子および液体供給システムを示す。
【発明を実施するための形態】
【実施例1】
【0014】
図1は、本発明の一実施例によるリソグラフィ装置を概略的に描く。この装置は、
− 放射線ビームPB(例えば、UV放射線またはEUV放射線)を調整するように構成した照明システム(照明器)IL、
− パターニング装置(例えば、マスク)MAを支持するように構築し、且つこのパターニング装置をあるパラメータに従って正確に位置決めするように構成した第1位置決め装置PMに結合した支持構造体(例えば、マスクテーブル)MT、
− 基板(例えば、レジストを塗被したウエハ)Wを保持するように構築し、且つこの基板をあるパラメータに従って正確に位置決めするように構成した第2位置決め装置PWに結合した基板テーブル(例えば、ウエハテーブル)WT、および
− パターニング装置MAによって放射線ビームPBに与えたパターンを基板Wの目標部分C(例えば、一つ以上のダイを含む)上に投影するように構成した投影システム(例えば、屈折性投影レンズシステム)PLを含む。
【0015】
この照明システムは、放射線を指向し、成形し、または制御するための、屈折式、反射式、磁気式、電磁式、静電式若しくはその他の種類の光学部品、またはその任意の組合せのような、種々の型式の光学部品も包含してよい。
【0016】
この支持構造体は、パターニング装置を支持し、即ち、その重量を坦持する。それは、パターニング装置を、その向き、リソグラフィ装置の設計、および、例えば、パターニング装置が真空環境に保持されているかどうかのような、その他の条件に依る方法で保持する。この支持構造体は、機械、真空、静電またはその他のクランプ手法を使ってパターニング装置を保持することができる。この支持構造体は、例えば、フレームまたはテーブルでもよく、それらは必要に応じて固定または可動でもよい。この支持構造体は、パターニング装置が、例えば投影システムに関して、所望の位置にあることを保証してもよい。ここで使う“レチクル”または“マスク”という用語のどれも、より一般的な用語“パターニング装置”と同義と考えてもよい。
【0017】
ここで使う“パターニング装置”という用語は、放射線ビームの断面に、この基板の目標部分に創るようなパターンを与えるために使うことができる手段を指すと広く解釈すべきである。この放射線ビームに与えたパターンは、例えば、もしこのパターンが位相シフト形態または所謂補助形態を含むならば、基板の目標部分の所望のパターンと厳密には対応しないかも知れないことに注目すべきである。一般的に、放射線ビームに与えたパターンは、集積回路のような、この目標部分に創るデバイスの特別の機能層に対応するだろう。
【0018】
このパターニング装置は、透過性でも反射性でもよい。パターニング装置の例には、マスク、プログラム可能ミラーアレイ、およびプログラム可能LCDパネルがある。マスクは、リソグラフィでよく知られ、二値、交互位相シフト、および減衰位相シフトのようなマスク型、並びに種々のハイブリッドマスク型がある。プログラム可能ミラーアレイの一例は、小型ミラーのマトリックス配置を使用し、入射放射線ビームを異なる方向に反射するようにその各々を個々に傾斜することができる。これらの傾斜したミラーが、このミラーマトリックスによって反射した放射線ビームにパターンを与える。
【0019】
ここで使う“投影システム”という用語は、使用する露光放射線に対して、または浸漬液の使用または真空の使用のような他の要因に対して適宜、屈折式、反射式、反射屈折式、磁気式、電磁式および静電式光学システム、またはその任意の組合せを含む、あらゆる型式の投影システムを包含するように広く解釈すべきである。ここで使う“投影レンズ”という用語のどれも、より一般的な用語“投影システム”と同義と考えてもよい。
【0020】
ここに描くように、この装置は、透過型(例えば、透過性のマスクを使用する)である。その代りに、この装置は、反射型(例えば、反射性マスクを使用する)でもよい。
【0021】
このリソグラフィ装置は、二つ(二段)以上の基板テーブル(および/または二つ以上のマスクテーブル)を有する型式でもよい。そのような“多段”機械では、追加のテーブルを並列に使ってもよく、または準備工程を一つ以上のテーブルで行い、一方他の一つ以上のテーブルを露光用に使ってもよい。
【0022】
図1を参照して、照明器ILは、放射線源SOから放射線ビームを受ける。この線源とリソグラフィ装置は、例えば、線源がエキシマレーザであるとき、別々の存在であってもよい。そのような場合、この線源がリソグラフィ装置の一部を形成するとは考えられず、放射線は、線源SOから、例えば適当な指向ミラーおよび/またはビーム拡大器を含むビーム送出システムBDを使って、照明器ILへ送られる。他の場合、例えば、線源が水銀灯であるとき、線源がこの装置の一部分であってもよい。この線源SOと照明器ILは、もし必要ならビーム送出システムBDと共に、放射線システムと呼んでもよい。
【0023】
照明器ILは、放射線ビームの角強度分布を調整するように構成した調整装置ADを含んでもよい。一般的に、この照明器の瞳面での強度分布の少なくとも外側および/または内側半径方向範囲(普通、それぞれ、σ外側およびσ内側と呼ぶ)を調整できる。その上、照明器ILは、インテグレータINおよびコンデンサCOのような、種々の他の部品を含んでもよい。この照明器は、その断面に所望の均一性および強度分布を有するように、この放射線ビームを調節するために使ってもよい。
【0024】
放射線ビームPBは、支持構造体(例えば、マスクテーブルMT)上に保持されたパターニング装置(例えば、マスクMA)に入射し、このパターニング装置によってパターン化される。マスクMAを横断してから、放射線ビームPBは、投影システムPLを通過し、それがこのビームを基板Wの目標部分C上に集束する。第2位置決め装置PWおよび位置センサIF(例えば、干渉計測装置、線形エンコーダまたは容量式センサ)を使って、基板テーブルWTを、例えば、異なる目標部分CをビームPBの経路に配置するように、正確に動かすことができる。同様に、例えば、マスクライブラリから機械的に検索してから、または走査中に、第1位置決め装置PMおよびもう一つの位置センサIF(図1にはっきりとは示さず)を使ってマスクMAを放射線ビームPBの経路に関して正確に配置することができる。一般的に、マスクテーブルMTの移動は、第1位置決め装置PMの一部を形成する、長ストロークモジュール(粗位置決め)および短ストロークモジュール(微細位置決め)を使って実現してもよい。同様に、基板テーブルWTの移動は、第2位置決め装置PWの一部を形成する、長ストロークモジュールおよび短ストロークモジュールを使って実現してもよい。ステッパの場合は、スキャナと違って、マスクテーブルMTを短ストロークアクチュエータに結合するだけでもよく、または固定してもよい。マスクMAおよび基板Wは、マスク整列マークM、Mおよび基板整列マークP、Pを使って整列してもよい。図示する基板整列マークは、専用の目標部分を占めるが、それらは目標部分の間のスペースにあってもよい(それらは、スクライブレーン整列マークとして知られる)。同様に、マスクMA上に二つ以上のダイが設けてある場合は、マスク整列マークがダイ間にあってもよい。
【0025】
図示する装置は、以下のモードの少なくとも一つで使うことができる。
1.ステップモードでは、放射線ビームに与えた全パターンを目標部分C上に一度に(即ち、単一静的露光で)投影しながら、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを本質的に固定して保持する。次に基板テーブルWTをXおよび/またはY方向に移動して異なる目標部分Cを露光できるようにする。ステップモードでは、露光領域の最大サイズが単一静的露光で結像する目標部分Cのサイズを制限する。
2.走査モードでは、放射線ビームの与えたパターンを目標部分C上に投影(即ち、単一動的露光)しながら、マスクテーブルMTおよび基板テーブルWTを同期して走査する。マスクテーブルMTに対する基板テーブルWTの速度および方向は、投影システムPLの(縮)倍率および像反転特性によって決る。走査モードでは、露光領域の最大サイズが単一動的露光での目標部分の幅(非走査方向の)を制限し、一方走査運動の長さが目標部分の高さ(走査方向の)を決める。
3.もう一つのモードでは、プログラム可能パターニング装置を保持するマスクテーブルMTを本質的に固定し、放射線ビームに与えたパターンを目標部分C上に投影しながら、基板テーブルWTを動かしまたは走査する。このモードでは、一般的にパルス化した放射線源を使用し、プログラム可能パターニング装置を基板テーブルWTの各運動後または走査中の連続する放射線パルスの間に必要に応じて更新する。この作動モードは、上に言及した型式のプログラム可能ミラーアレイのような、プログラム可能パターニング装置を利用するマスクレス・リソグラフィに容易に適用できる。
上に説明した使用モードの組合せおよび/または変形または全く異なった使用モードも使ってよい。
【0026】
図5に示すように、液体供給システムを使って液体をこの投影システムの最終素子と基板の間のスペースに供給する。溜め10が、液体を閉込めて基板表面と投影システムの最終素子の間のスペースを満たすように、この投影システムの像界の周りに基板に対する無接触シールを形成する。この溜めは、投影システムPLの最終素子の下にその周りに配置されたシール部材12によって形成する。液体をこの投影システムの下のシール部材12内のスペースに持込む。シール部材12は、この投影システムの最終素子の少し上へ伸び、液体のバッファとなるように液体レベルがこの最終素子の上へ上昇する。シール部材12の内周は、上端がこの投影システムまたはその最終素子の形状とぴったり一致するのが好ましく且つ、例えば、丸くてもよい。下端で、この内周は、この像界の形状とぴったりと一致し、例えば、長方形であるが、そうである必要はない。
【0027】
この液体は、シール部材12の下端と基板Wの表面の間にガスシール16によって溜めに閉込められる。このガスシールは、圧力を掛けて入口15からシール部材12と基板の間の隙間へ供給し且つ第1出口14から引出す、ガス、例えば、空気または合成空気、好ましくは、Nまたは別の不活性ガスによって形成される。ガス入口15のこの過圧、第1出口14の真空レベルおよびこの隙間の形状寸法は、この液体を閉込める内方への高速空気流があるように決めてある。
【0028】
図6は、この発明の実施例によるリソグラフィ投影装置の基板レベルの装置を示す。この投影システムPLの最終素子は、凹面屈折レンズ30であり、この投影システムは、全体としてパターニング装置MAの像を軸外像界EF(スリットとしても知られる)上に投影するように構成してある。投影システムの種々の既知の設計、特に反射屈折の(反射性素子と屈折性素子の両方を含む)が適当な軸外像界を有する。
【0029】
この像界EFが軸外であるので、投影ビームPBも最終素子30で軸外にある。これは、最終素子30を像界EFから離れる光軸OAの側で切り落しできることを意味する。これは、この切り落した部分を放射線が何も通過しないので、投影した像に影響しない。勿論、このレンズ自体は完全なレンズを作って一部を切り落すことによって作る必要はなく(これが都合がよいかも知れないが)、必要に応じて直接最終形状に作ることができる。
【0030】
この最終レンズ素子30の切り落し形状は、二つの利点を有する。第1に、このレンズは、ドームの約半分しか作らないので、気泡がこのレンズの下に閉込められるようになる機会が少ないか全くない−気泡がこの切り落しを容易に浮流することができる。実際、像界EFが軸外であるので、このレンズの下の最高点にしばらく留まる気泡は、このビーム経路外にありそうで、従って投影した像に影響しないだろう。
【0031】
第2に、この切り落しは、浸漬液流が、矢印で示すように、全般的に下向きであるように、液体供給部23をレンズ30の下端の上に設けられるようにする。そのような流れは、レジストから浸出する汚染物質をレンズの表面に近付けない。
【0032】
この図に示すように、シール部材20は、この投影システムの下端の形状に整合する形状になっているが、そうでなく円形末端部品を有する投影システムに使うように設計した既知のシール部材と同じ原理で作用してもよい。例えば、シール部材20は、浸漬液を引出すために真空源に結合され且つ多孔質膜で覆われた抽出器21、および浸漬液の漏れを防ぐためにエアナイフ22を備えてもよい。また、最終レンズ素子30用保持器31をこの切り落し形状に適合する形状にすることが必要だろう。
【0033】
図7に示す、上に説明した実施例の変形では、レンズ素子30’がその正常な回転対称形状を保持するが、このレンズ素子の底面の最高点に貫通孔32開口を備える。このレンズ素子は、それによって従来の回転対称機械加工によって作り、貫通孔を後に、例えば、ドリル加工またはエッチングによって設けることができる。この貫通孔32は、それが投影ビームPBと干渉せず、従って結像に影響しないように位置する。貫通孔32を使って、浸漬液11を最終レンズ素子30’の下の最高点から更新することができ、このレンズの中心から気泡を押流す液体流を創ることができる。この液体閉込めシステムも対称に作ることができる。この最終レンズ素子がこの浸漬液、例えば、CaFと超純水に溶ける材料で作ってあるならば、この貫通孔32は、このレンズ素子の溶解を防ぐために、例えば、石英で、内張りすべきである。
【0034】
この発明の付加的利点は、浸漬液の流れが最終レンズ素子を、それが最も熱い、投影ビームに近い位置で冷却することである。それで、最終レンズ素子の温度均一性を改善する。
【0035】
この本文では、ICの製造でリソグラフィ装置を使用することを具体的に参照するかも知れないが、ここで説明するリソグラフィ装置は、集積光学システム、磁区メモリ用誘導検出パターン、フラットパネルディスプレイ、液晶ディスプレイ(LCD)、薄膜磁気ヘッド等の製造のような、他の用途があることを理解すべきである。当業者は、そのような代替用途の関係で、ここで使う“ウエハ”または“ダイ”という用語のどれも、それぞれ、より一般的な用語“基板”または“目標部分”と同義と考えてもよいことが分るだろう。ここで言及する基板は、露光の前または後に、例えば、トラック(典型的には基板にレジストの層を付け且つ露光したレジストを現像する器具)、計測器具および/または検査器具で処理してもよい。該当すれば、この開示をそのようなおよび他の基板処理器具に適用してもよい。更に、この基板を、例えば、多層ICを創るために、一度を超えて処理してもよく、それでここで使う基板という用語は既に多重処理した層を含む基板も指すかも知れない。
【0036】
ここで使用する“放射線”および“ビーム”という用語は、紫外(UV)放射線(例えば、365、248、193、157若しくは126nmまたはその付近の波長を有する)を含むあらゆる種類の電磁放射線を包含する。
“レンズ”という用語は、事情が許せば、屈折式、反射式光学部品を含む、種々の型式の光学部品の何れか一つまたは組合せを指してもよい。
【0037】
この発明の特定の実施例を上に説明したが、この発明を説明したのと別の方法で実施してもよいことが分るだろう。例えば、この発明は、上に開示した方法を記述する機械可読命令の一つ以上のシーケンスを含むコンピュータプログラム、またはそのようなコンピュータプログラムを記憶したデータ記憶媒体(例えば、半導体メモリ、磁気若しくは光ディスク)を含んでもよい。
【0038】
本発明は、任意の浸漬リソグラフィ装置に、特に、しかし排他的にではなく、上に述べた種類のものに適用できる。
上記の説明は、例示を意図し、限定を意図しない。従って、当業者は、説明したこの発明に以下に示す請求項の範囲から逸脱することなく修正を施すことができることが分るだろう。
【符号の説明】
【0039】
11 液体、浸漬液
30 最終素子、凹面屈折レンズ
30’ 最終素子、凹面屈折レンズ
32 貫通孔
C 目標部分
EF 像界
OA 光軸
PB 放射線ビーム
PL 投影システム
W 基板

【特許請求の範囲】
【請求項1】
パターン化した放射線ビームを基板(W)の目標部分上に投影するように構成した投影システムおよび該投影システムの最終素子と基板の間のスペースに液体を供給するための液体供給システムを有するリソグラフィ投影装置において、
前記投影システムの最終素子が凹面屈折レンズであり、
前記投影システムがパターン化した放射線ビームを投影システムの光軸を外して配置した像界(EF)に投影するように配置してある装置。
【請求項2】
請求項1に記載のリソグラフィ装置において、前記投影システムが反射屈折式システムである装置。
【請求項3】
請求項1に記載のリソグラフィ装置において、前記凹面屈折レンズが前記光軸の前記像界と反対側を切り落してある装置。
【請求項4】
請求項1に記載のリソグラフィ装置において、前記凹面屈折レンズが前記光軸を含む平面の周りに非対称である装置。
【請求項5】
請求項1に記載のリソグラフィ装置において、前記凹面屈折レンズが上記光軸の第1側の第1側縁および上記光軸の第2側の第2側縁を有し、この第1側縁がこの第2側縁が上記光軸に近いよりも一層上記光軸に近くおよび上記像界が上記光軸のこの第2側にある装置。
【請求項6】
請求項1に記載のリソグラフィ装置において、上記凹面屈折レンズは、実質的に、上記放射線ビームが横切る位置にだけある装置。
【請求項7】
請求項3に記載のリソグラフィ装置に於いて、前記液体供給システムが前記凹面屈折レンズの上記切り落しに隣接する位置から液体を供給するように配置してある装置。
【請求項8】
請求項4に記載のリソグラフィ装置に於いて、前記液体供給システムが前記光軸に近い位置から液体を供給するように配置してある装置。
【請求項9】
請求項5に記載のリソグラフィ装置に於いて、前記液体供給システムが前記第1側縁に近い位置から液体を供給するように配置してある装置。
【請求項10】
請求項1に記載のリソグラフィ装置に於いて、前記凹面屈折レンズがその凹面側の最高点近くに貫通孔開口を備え、それによって浸漬液を前記貫通孔から供給できる装置。
【請求項11】
投影システムを使ってパターンの像を液体を通して基板の目標部分上へ投影する工程を含み、前記投影システムの最終素子が凹面屈折レンズであり、および前記投影システムの像界が軸外であるデバイス製造方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2010−74184(P2010−74184A)
【公開日】平成22年4月2日(2010.4.2)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2009−287629(P2009−287629)
【出願日】平成21年12月18日(2009.12.18)
【分割の表示】特願2006−57450(P2006−57450)の分割
【原出願日】平成18年3月3日(2006.3.3)
【出願人】(504151804)エーエスエムエル ネザーランズ ビー.ブイ. (1,856)
【Fターム(参考)】