リニアアクチュエータ
【課題】小型の変位センサを設置することにより、小型で、かつ、位置決めできるリニアアクチュエータを提供する。
【解決手段】駆動モータ1により回転駆動するねじ部と、このねじ部に螺合されたナット部と、このナット部に取り付けられたスライダーとを備え、前記ねじ部の回転により前記ナット部とともに前記スライダーが直線的に移動するリニアアクチュエータにおいて、前記スライダーの両側面を拘束するガイド7と、このガイドの反スライダー側側壁に取り付けられた第1のアンテナ15と、この第1のアンテナに対向する反スライダー側側壁に取り付けられた第2のアンテナ16と、この第1と記第2のアンテナに挟持されるよう前記スライダーの両側壁に取り付けられた第3のアンテナ17とを備え、前記第1と第2のスライダーに対して前記第3のアンテナの位置が変化したときの静電容量の変化により前記スライダーの位置情報を検出する。
【解決手段】駆動モータ1により回転駆動するねじ部と、このねじ部に螺合されたナット部と、このナット部に取り付けられたスライダーとを備え、前記ねじ部の回転により前記ナット部とともに前記スライダーが直線的に移動するリニアアクチュエータにおいて、前記スライダーの両側面を拘束するガイド7と、このガイドの反スライダー側側壁に取り付けられた第1のアンテナ15と、この第1のアンテナに対向する反スライダー側側壁に取り付けられた第2のアンテナ16と、この第1と記第2のアンテナに挟持されるよう前記スライダーの両側壁に取り付けられた第3のアンテナ17とを備え、前記第1と第2のスライダーに対して前記第3のアンテナの位置が変化したときの静電容量の変化により前記スライダーの位置情報を検出する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転運動を直線運動に変換するリニアアクチュエータとして、例えば特開平11−264451号公報に記載のものが知られている。このアクチュエータは、本体に取り付けられたモータの回転運動をモータにより回転駆動される送りねじ部と送りねじ部に螺合する送りナット部とからなる動力伝達機構によって直線運動に変換することで作動部材を送りねじ部の軸線方向に沿って直線的に移動させるものである。また、スライダーを高精度で位置決めできるリニアアクチュエータとして、特開2002−58271号公報に記載のものが知られている。
【0003】
また、このアクチュエータは、スライダーの位置を検出する磁歪ポテンショ部を備え、スライダーの位置と指令位置との偏差をもとにそのスライダーの位置をフィードバック制御する位置制御部を備えるものである。
【特許文献1】特開平11−264451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では以下に示すような問題点がある。
特開平11−264451号公報に記載のリニアアクチュエータでは、作動部材の位置を検出するセンサが設置されていないため、作動部材の位置決めを行うには別途作動部材の位置を検出するセンサを設置しなければならなかった。また、作動部材の位置決めを行うセンサを設置する場合には、装置全体が大きくなるという課題があった。
【0005】
特開2002−58271号公報に記載のリニアアクチュエータでは、スライダーの位置決めを行うために、磁歪ポテンショ部を備えている。この磁歪ポテンショ部は磁歪スケールと磁歪ヘッドからなり、磁歪スケールは固定部材であるプラテンに設置され、磁歪ヘッドは可動部材であるスライダーに設置する必要があるためアクチュエータ自体が大型化してしまうとい問題があった。また、駆動モータとして高価なリニアパルスモータを使用しているため高価なものとなっていた。
【0006】
本発明の目的は、小型で高精度なリニアアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、駆動モータにより回転駆動するねじ部と、このねじ部に螺合されたナット部と、このナット部に取り付けられたスライダーとを備え、前記ねじ部の回転により前記ナット部とともに前記スライダーが直線的に移動するリニアアクチュエータにおいて、前記スライダーの両側面を拘束するガイドと、このガイドの反スライダー側側壁に取り付けられた第1のアンテナと、この第1のアンテナに対向する反スライダー側側壁に取り付けられた第2のアンテナと、この第1と記第2のアンテナに挟持されるよう前記スライダーの両側壁に取り付けられた第3のアンテナとを備え、前記第1と第2のスライダーに対して前記第3のアンテナの位置が変化したときの静電容量の変化により前記スライダーの位置情報を検出することにより達成される。
を特徴とするリニアアクチュエータ。
【0008】
また、上記目的は、前記第2のアンテナは接地されたものであり、前記第1のアンテナに高周波数の交流電圧を印加する発振回路と、前記発振回路と前記第1アンテナの間に接続する抵抗器と、前記第1アンテナからの信号を処理する信号処理回路と、前記信号処理回路からの信号をもとに前記スライダーの位置を算出し、前記駆動モータの駆動を制御する制御部とを有することにより達成される。
【0009】
また、上記目的は、前記第1アンテナと前記第3アンテナとから形成される第1のコンデンサと、前記第2アンテナと前記第3アンテナとから形成される第2のコンデンサと、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとから形成される第3のコンデンサの静電容量が前記スライダーの移動により変化し、前記第1のアンテナに印加されている前記発振回路からの交流電圧の変化を検出することにより前記ガイドに対する前記スライダーの位置を算出することにより達成される。
【0010】
また、上記目的は、前記第3のアンテナは前記第1と第2のアンテナに連続して対向するよう1本の導電体を折り曲げて形成されていることにより達成される。
【0011】
また、上記目的は、駆動モータにより回転駆動する回転バーと、この回転バーに螺合された螺旋ばねと、この螺旋ばねに取り付けられスライダーと、このスライダーと前記螺旋ばねを収納したガイドとを備え、前記回転バーの回転により前記螺旋ばねとともに前記スライダーが前記ガイド内で直線的に移動するものであって、前記ガイドの長手方向に配置した第1のアンテナと、この第1のアンテナに対向するように前記ガイドに配置されて接地された第2のアンテナと、前記第1と第2のアンテナに対向するように前記スライダーに取り付けられた第3のアンテナとを備え、前記第1のアンテナに高周波数の交流電圧を印加する発振回路と、この発振回路と前記第1のアンテナの間に接続する抵抗器と、前記第1のアンテナからの信号を処理する信号処理回路と、この信号処理回路からの信号をもとに前記スライダーの位置を算出し、前記駆動モータの駆動を制御する制御部とを有することにより達成される。
【0012】
また、上記目的は、前記駆動モータが停止している場合には、前記ガイドに対する前記スライダーの位置の変化量を検出し、この位置の変化量と前記螺旋ばねのばね定数とから前記スライダーに作用する外力を算出することにより達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、小型で高精度なリニアアクチュエータを提供リニアアクチュエータに小型の変位センサを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図1〜図16により説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明のリニアアクチュエータは、送りねじを用いて駆動モータの回転運動を直線運動に変換し物品等を直線移動するものであり、外径寸法の小型化、低コスト化を実現できるものである。
図1は、本発明の実施形態であるリニアアクチュエータの構成を示す正面図であり、図2は本発明の実施形態であるリニアアクチュエータの構成を示す斜視図である。
図1、図2において、リニアアクチュエータは、可動部5(スライダー)の駆動源となる駆動モータ1を備えている。2は駆動モータ1を固定する駆動モータホルダである。3は駆動モータ1に接続され、駆動モータ1の駆動とともに回転する送りねじ部である。4は駆動モータ1と送りねじ部3を連結するジョイントである。6は物品等を移動させるために直線移動する可動部5と送りねじ部3に螺合されて回転運動を直線運動に変換する送りナット部である。7は可動部5の回転を防止して可動部5が直線上に動くように案内するガイドである。8は可動部5の移動量を測定する変位センサ(ただし、図1、図2には示されていないので図4の説明の欄で述べる)である。9は駆動モータホルダ2およびガイド7を設置するベースである。10はリニアアクチュエータの駆動を制御する制御部(ただし、図1、図2には示されていないので図4の説明の欄で述べる)である。25は第2のストッパである。この第2ストッパ25は、ガイド7の駆動モータ1側の端部に設置されている。第2ストッパ25には穴が開けられており、送りねじ部3が挿入されている。この穴の内径は、送りねじ部3の外径より若干大きくし、摩擦抵抗が生じないようにしている。第2ストッパ25は、駆動モータ1の駆動とともに動く可動部5と送りナット部6の駆動モータ1側への移動を制限するものである。
【0016】
駆動源である駆動モータ1は、例えばDCブラシモータである。駆動モータ1には、位置制御が容易なステッピングモータやDCブラシレスモータ等を用いても良いが、低コスト化を考慮すると安価なDCブラシモータが良い。また、リニアアクチュエータの推力を大きくするため、駆動モータ1は減速器付きのものであっても構わない。しかし、リニアアクチュエータの小型化を実現するため、減速器の外径は駆動モータ1の外径以下であることが望ましい。駆動モータホルダ2は、駆動モータ1をベース9に固定するための部材である。駆動モータホルダ2により、駆動モータ1の出力軸がベース9に平行になるように駆動モータ1を設置できる。送りねじ部3は、外周面のほぼ全域にねじ溝が形成されている。送りねじ部3は、駆動モータ1の出力軸にジョイント4を介して接続されており、駆動モータ1の出力軸の中心軸線と送りねじ部3の中心軸線とが同一線上に配置される。ジョイント4を介して駆動モータ1に接続された送りねじ部3は、駆動モータ1の出力軸と一体回転する。また、送りねじ部3の長さは、可動部5の可動範囲(ストローク)より長くしており、送りねじ部3の材料は、送りねじ部3がたわまないように、例えばステンレスのような硬質の金属からなる。送りねじ部3のねじ溝のピッチが小さいほど、リニアアクチュエータの推力は大きくなるが、可動部5の移動速度は遅くなる。
【0017】
リニアアクチュエータの要求される仕様に応じて適度なピッチを選定する必要がある。ジョイント4は、例えばカップリングであるが、同様な効果が得られれば他のものであっても構わない。可動部5は、円筒ではない筒状の部材であり、少なくとも1箇所平らな面を有する。図2に示す可動部5では、後述する変位センサ8の第3アンテナ17を設置するために2箇所の平らな面を有する。可動部5の長さは、リニアアクチュエータの可動長さ(ストローク)より長くしている。可動部5の材料は、表面が滑らかな金属や樹脂等で形成して構わないが、軽量化を図るためには樹脂等であることが望ましい。可動部5の内部には、長手方向に、断面が円形状の貫通穴を有する。この穴は送りねじ部3を収容するためのものであり、送りねじ部3の外径より若干大きな穴にしている。この可動部5に他の物品を接続することにより物品を移動することができる。なお、可動部5には、移動物品を取り付けるために図示していない取り付け穴を複数個設置していてもよい。
【0018】
送りナット部6は、送りねじ部3とともに動力伝達機構を構成する筒状の部材であり、回転運動を直線運動に変換する役割を果たすものである。送りナット部6の有する貫通穴の内周面には、送りねじ部3と螺合可能なように等しいピッチのねじ溝が形成されている。送りナット部6は、可動部5の駆動モータ1側の端部に、可動部5の貫通穴の中心軸と送りナット部6の貫通穴の中心軸が一致するように固定されている。送りナット部6は、金属や樹脂等からなるが、軽量化のため樹脂等であることが望ましい。なお、可動部5と送りナット部6を一体で成型したものであってもよい。また、送りねじ部3の駆動モータ1と反対側の端部には、送りナット部6の抜け止め手段として第1のストッパ11(図1、図2には記載されていないので図3で説明する)が設置されている。
【0019】
図3は、第1のストッパ11近傍の拡大図である。
図3において、この第1ストッパ11の外径は、送りナット部6のねじ穴の外径より大きくしており、可動部5を突出させすぎて、送りナット部6が送りねじ部3から抜け落ちるのを防止している。ガイド7は、アクチュエータの長手方向に沿って延びるように形成されており、ベース9に固定されている。ガイド7は凹部を有し、断面形状はコの字状になっている。この凹部に可動部5を嵌め合わせるように配置することによって、駆動モータ1の回転に伴う可動部5の回転を阻止するとともに、可動部5が直線上に動くように案内する。なお、ガイド7と可動部5間の摩擦力を低減するためにガイド7の凹部の幅は、可動部5の幅より若干大きくしている。また、ガイド7は変位センサ8と設置するため絶縁体が良く、樹脂等で作られている。
【0020】
上記では、ガイド7の形状を断面形状がコの字状の凹部を有する部材としたが、駆動モータ1の回転に伴う可動部5の回転を阻止し、かつ、可動部5が直線上に動くように案内する効果が得られれば、他の形状であっても良く、例えば可動部5の外周を囲むような筒状の部材であってもよい。変位センサ8は、可動部5およびガイド7に設置し、可動部5の移動量を測定する。なお、詳細は後述する。
【0021】
次に本発明のリニアアクチュエータに変位センサ8を設置する理由を述べる。本リニアアクチュエータは、図示しない外部のセンサや入力手段等により、移動方向や移動量を取得し、可動部5の位置制御を行うものである。また、上述のように駆動モータ1は、低コスト化を実現するために、DCブラシモータを用いることにしている。駆動モータ1に高価なステッピングモータやDCブラシレスモータ等を使用する場合には、変位センサ8を設置せずに位置制御が可能であるが、DCブラシモータでは位置制御を行うことができない。これは、リニアアクチュエータの外部の負荷により、モータの回転数が変動するからである。したがって、本発明のリニアアクチュエータでは、可動部5の位置制御を行うために、変位センサ8を設置することにした。次に可動部5の移動量を検出する変位センサ8の概略を図4を用いて説明する。
【0022】
図4は、リニアアクチュエータに設置する変位センサ8の構成を示した図である。
図4において、変位センサ8は、リニアアクチュエータ本体に設置した検出部12と、検出部12に信号を印加する入力信号部13と、検出部12からの出力信号を処理する信号処理部14とからなる。検出部12は、ガイド7の外側の面に設置した第1アンテナ15と対向するもう一方のガイド7の外側面に設置した第2アンテナ16と、第1アンテナ15と第2アンテナ16に向き合うように可動部5の外周に設置した第3アンテナ17と、信号の直流成分を除去するコンデンサ18とからなる。入力信号部13は、第1アンテナ15に高周波数の正弦波を印加する発振回路19と、発振回路19と第1アンテナ15の間に接続する抵抗器20とからなる。信号処理部14は、所定の周波数以上の信号のみ通過させるハイパスフィルタ21と、信号の絶対値化および整流を行う全波検出回路22と、ゲイン調整およびオフセット調整を行う積分回路23と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器24とからなる。第1アンテナ15、第2アンテナ16、第3アンテナ17は、それぞれのアンテナ面が平行になるように配置し、かつ、それぞれのアンテナが接触しないように絶縁体を挿入するようにしている。これにより、第1アンテナ15と第3アンテナ17及び第2アンテナ16と第3アンテナ17でコンデンサが形成される。
【0023】
このようにアンテナによりコンデンサを形成するために、ガイド7は絶縁体としている。また、第1アンテナ15、第2アンテナ16、第3アンテナ17の幅寸法は同一であり、幅方向(図4の奥行き方向)が常に一致するように設置している。第3アンテナ17は、可動部5の送りナット部6を設置している面を除く外周の3つの面に設置する。このようにして、第3アンテナ17の第1アンテナ15側の面と第3アンテナ17の第2アンテナ16側の面を同電位にしている。これは、第1アンテナ15と第2アンテナ16の間の静電容量を大きくし、変位センサ8の検出感度を向上させるためである。第1アンテナ15には、入力信号部13と信号処理部14がコンデンサ18を介して接続されており、第2アンテナ16は接地されている。
【0024】
第3アンテナ17は可動部5に設置しているので、可動部5の動きとともにリニアアクチュエータの長手方向に動くことになる。第3アンテナ17に電線を接続する場合は、可動部5の移動により断線の恐れがあるので、第3アンテナ17には配線等は行わず、電気的に浮いた状態にしている。第1アンテナ15、第2アンテナ16、第3アンテナ17は、銅箔等の導体であるが、同様の効果が得られれば他のものであっても構わない。なお、リニアアクチュエータの小型化を考慮すると、これらのアンテナは、薄いシート状の導体が好ましい。また、これらのアンテナ導体の面積が大きいほど、静電容量が大きくなり変位センサ8の検出感度が良くなるので、可能な限り第1アンテナ15、第2アンテナ16、第3アンテナ17の面積は大きい方が良い。変位センサ8のコンデンサ18と抵抗器20と発振回路19とハイパスフィルタ21と全波検出回路22と積分回路23とA/D変換器24は、同一の回路基板上に設置されている。なお、第1アンテナ15をコンデンサ18から離れた場所に設置する場合には、外部ノイズの影響をなくすため第1アンテナ15とコンデンサ18をシールド線で接続することが望ましい。
【0025】
以上のようにリニアアクチュエータには第1アンテナ15、第2アンテナ16、第3アンテナ17の薄い導体のみ設置すれば良いので、リニアアクチュエータの小型化が実現できる。既知のポテンショメータ等の変位センサ8もあるがリニアアクチュエータの寸法が大きくなるので好ましくない。発振回路19は、抵抗器20とコンデンサ18を介して第1アンテナ15に接続されており、高周波数の正弦波を発生している。なお、コンデンサ18は必ずしも必要とせず、取り除いても構わない。変位センサ8では、コンデンサ18と抵抗器20の間の電位を出力電圧として計測する。この出力電圧は信号処理部14で処理され、制御部10に送られる。低周波数のノイズを除去するために設置されているハイパスフィルタ21は、入力側をコンデンサ18に接続し、出力側を全波検出回路22に接続する。変位センサ8は、発振回路19の発振周波数近傍の信号を全波検出回路22に送ればよいので、低周波数のノイズをハイパスフィルタ21で除去するようにしている。
【0026】
全波検出回路22は、入力側をハイパスフィルタ21に接続し、出力側を積分回路23に接続する。ハイパスフィルタ21からの信号は、プラスレンジおよびマイナスレンジに振動している正弦波である。A/D変換器24に信号を入力するために、全波検出回路22においてマイナスレンジの信号をプラスレンジに絶対値変換する。また、全波検出回路228において信号の整流も行う。積分回路23は、入力側を全波検出回路22に接続し、出力側をA/D変換器24に接続しており、全波検出回路22からの信号のオフセット調整およびゲイン調整を行う。オフセット調整およびゲイン調整は、変位センサ8の出力の感度を調整するものであり、検出感度が大きくなるように設定する。
【0027】
A/D変換器24は、入力側を積分回路23に接続し、出力側はリニアアクチュエータの制御部10に接続しており、積分回路23からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。制御部10は、A/D変換器24と駆動モータ1に接続しており、A/D変換器24からの信号をもとに移動量を算出する。また、図示しない外部のセンサや入力手段等からリニアアクチュエータの移動方向および移動量といった情報を取得できるようにしている。そして、移動方向や移動量、変位センサ8での検出結果をもとに駆動モータ1の回転方向やON/OFFを制御する。
【0028】
次に変位センサ8の測定原理を説明する。変位センサ8の検出部12では、第1アンテナ15、第2アンテナ16、第3アンテナ17により、3つのコンデンサが形成される。すなわち、第1アンテナ15と第3アンテナ17とから形成されるコンデンサC1、第2アンテナ16と第3アンテナ17とから形成されるコンデンサC2、第1アンテナ15と第2アンテナ16とから形成されるコンデンサC3である。一般に静電容量C(F)は、以下の式(1)より求めることができる。
C=ε・S/d (1)
ここで、ε(F/m)は誘電率、S(m2)は対向するアンテナの面積、d(m)は対向するアンテナ間の距離である。式(1)からわかるように、対向するアンテナ間の距離dが一定であれば、静電容量Cは誘電率εおよび対向するアンテナの面積Sに比例する。第1アンテナ15、第2アンテナ16、第3アンテナ17はそれぞれが平行する平面内に設置し、かつ、それぞれが長手方向において同一の幅を持っているので、例えばコンデンサC1では第1アンテナ15と第3アンテナ17が重なっている長さに静電容量は比例する。コンデンサC2、C3も同様である。可動部5の直線運動によりC1、C2、C3の静電容量が変化するので、抵抗器20とコンデンサ18間の出力電圧が変化する。この出力電圧を信号処理部14で処理することにより、制御部10において可動部5のガイド7に対する位置を算出することができる。なお、アンテナの長さが変位センサ8の測定範囲になるので、アンテナが長いほど測定範囲が大きい。したがって、ガイド7および可動部5の長手方向の全面にアンテナを設置することにしている。変位センサ8は、可動部5が最も駆動モータ1側に引き込んだ場合の出力電圧と可動部5が最も突出した場合の出力電圧の差が大きいほど、変位センサ8の検出感度が良くなるのでよい。
【0029】
第1アンテナ15、第2アンテナ16、第3アンテナ17で形成されるコンデンサC1、C2、C3の静電容量は小さいので、これらのコンデンサC1、C2、C3のインピーダンスが小さくなるように、発振回路19の周波数は大きい方がよい。しかし、周波数が過度に大きいと出力電圧が小さくなるので、発振回路19の周波数は適度に調整することが望ましい。なお、発振回路19の周波数は、800kHz程度としている。以上のようにして、変位センサ8で可動部5の移動量を検出できる。ところで、検出部12のリニアアクチュエータへの設置は、図4に示す以外のものであっても良く、例えば図5から図7に示すものであっても良い。
【0030】
以下、図5から図7に示す検出部12の設置方法を説明する。
図5は、第1アンテナ15をガイド7の外側の面に設置し、第2アンテナ16を可動部5の第1アンテナ15を取り付けた側の面に設置するものである。
図5において、第1アンテナ15にはコンデンサ18を介して入力信号部13および信号処理部14を接続し、第2アンテナ16は接地する。第2アンテナ16は電線等を用いて接地してもよいし、ガイド7に設けた導体でできたブラシ等の接触部材(図示せず)により接地してもよい。第2アンテナ16に電線を接続する場合は、電線の長さがリニアアクチュエータの動作に影響しない小さな動作範囲(ストローク)のリニアアクチュエータに適している。ブラシ等の接触部材により第2アンテナ16を接地する場合は、駆動モータ1のトルクに余裕があり、可動部5とガイド7間の摩擦負荷の影響が小さいリニアアクチュエータに適している。図5に示す検出部12の設置では、第1アンテナ15と第2アンテナ16でコンデンサC4が形成される。可動部5が移動することにより、第1アンテナ15と第2アンテナ16の重なっている部分の面積が変化するので、コンデンサC4の静電容量が変化する。これにより、可動部5の移動量を検出できる。なお、可動部5の第1アンテナ15を取り付けた側の面に第2アンテナ16を設置するのは、コンデンサC4の静電容量を大きくするためである。
【0031】
図6は、第1アンテナ15をガイド7の一方の外側の面に設置し、第2アンテナ16をガイド7のもう一方の外側の面に設置するものである。なお、可動部5は絶縁体である。
図6において、第1アンテナ15にはコンデンサ18を介して入力信号部13および信号処理部14を接続し、第2アンテナ16は接地する。図6に示す検出部12の設置では、第1アンテナ15と第2アンテナ16の間に可動部5が挿入されているコンデンサC5と可動部5が挿入されていないコンデンサC6が形成される。可動部5が移動することにより、コンデンサC5とコンデンサC6の電極の面積が変化するので、コンデンサC5およびC6の静電容量が変化する。これにより、可動部5の移動量を検出できる。コンデンサC5およびC6の静電容量は、図4、図5に示したものより小さいので、可動部5が小さく第1アンテナ15と第2アンテナ16間の距離が小さいリニアアクチュエータに適している。
【0032】
図7は、第1アンテナ15をガイド7の一方の外側の面に設置し、第2アンテナ16をガイド7のもう一方の外側の面に設置するものである。なお、可動部5は導体であり第3アンテナ17でもある。
【0033】
図7において、第1アンテナ15にはコンデンサ18を介して入力信号部13および信号処理部14を接続し、第2アンテナ16は接地する。図7に示す検出部12の設置では、図4に示す検出部12の設置と同様に第1アンテナ15と第3アンテナ17とからコンデンサC7、第2アンテナ16と第3アンテナ17とからコンデンサC8、第1アンテナ15と第2アンテナ16とからコンデンサC9が形成される。可動部5の直線運動によりコンデンサC7、C8、C9の静電容量が変化するので可動部5の移動量を検出できる。この場合、可動部5が導体であるので重量が大きくなる。駆動モータ1のトルクに余裕があり、可動部5の軽量化が不必要なリニアアクチュエータに適している。
【0034】
以上では変位センサ8のリニアアクチュエータへの設置について述べたが、変位センサ8は本リニアアクチュエータへの設置に限定されるものではなく、変位センサ8を他の機構や他の方式のアクチュエータに上記のように設置することにより、可動部材の移動量を検出できる。
【0035】
本発明のリニアアクチュエータでは、送りねじを使用して駆動モータ1の回転運動を可動部5の直線運動に変換する方式を用いた。これは、複数のリニアアクチュエータを近接して設置できたり、狭い隙間にリニアアクチュエータを設置できたりするように、リニアアクチュエータの外径寸法の小型化を実現するためである。リニアアクチュエータの小型化を実現するためには、駆動モータ1の寸法を小さくする必要がある、しかし、駆動モータ1の寸法が小さくなるとトルクが小さくなるので、リニアアクチュエータの推力を確保するため、減速機構によりトルクを拡大する必要がある。これらを考慮して本発明のリニアアクチュエータでは、外径寸法を小さくでき、かつ、推力を確保できる送りねじ方式とした。
なお、リニアアクチュエータの小型化を図るためには、ベース9と駆動モータホルダ2を駆動モータ1の外径より大きくしないほうが望ましい。
【0036】
次にリニアアクチュエータの動作を図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0037】
図8において、まずステップ101においてはリニアアクチュエータの初期動作を行い、可動部5を初期位置に戻す。初期位置は、可動部5が駆動モータ1側に最も収納された状態とする。初期位置になるまで駆動モータ1を駆動し、可動部5を駆動モータ1側に移動させる。初期位置に達したかどうかは可動部5が第2ストッパ25に当って止まった状態とする。また、図示しない光学式の検出センサを第2ストッパ25近傍に設置し、可動部5が検出センサの光軸を斜光したか否かを検出することにより可動部5の初期位置を検出するものであってもよい。なお、初期位置は可動部5が最も突出した位置としても良い。そして、ステップ102において可動部5の移動量と移動方向を取得する。この移動量および移動方向は操作者が外部から入力してもよいし、図示しない外部のセンサ等から制御部10で取得してもよい。次にステップ103において、ステップ102で取得した移動量、移動方向をもとに変位センサ8の目標電圧を算出する。変位センサ8の出力電圧は、図9に示すように可動部5の初期位置からの距離と比例関係にあり、現在位置x0の出力電圧V0と移動量dと移動方向とから目標電圧V1を算出する。可動部5を突出させる場合には、目標電圧V1は以下の式(2)より求めることができる。
V1=−a×d+V0 (2)
また、可動部5を引き込ませる場合には、目標電圧V1は以下の式(3)より求めることができる。
V1=−a×(−d)+V0 (3)
目標電圧を式(2)、式(3)を用いて算出するのは、変位センサ8の出力電圧が周囲の環境により若干オフセットする場合があるからである。次にステップ104において、ステップ102で取得した移動方向より駆動モータ1の正転または逆転の回転方向を選択し、駆動モータ1をONする。これにより、駆動モータ1の出力軸および送りねじ部3が一体となって回転駆動される。なお、駆動モータ1の回転方向により可動部5の移動方向を換えることができる。送りねじ部3が螺合されている送りナット部6は、上述のとおり可動部5に固定されており、可動部5はガイド7により回転しないようになっているので、送りナット部6も回転することはない。したがって、送りナット部6は可動部5とともに直線的に移動を開始する。次にステップ105において、可動部5の現在の位置が目標の位置に到達したか否かを判定する。これは、変位センサ8の現在の出力電圧とステップ103で算出した目標電圧V1とを比較することにより行う。変位センサ8の出力電圧が、可動部5の初期位置からの距離と図9に示すような関係がある場合、可動部5を突出方向に移動させるには、現在の出力電圧が目標電圧V1以下になったとき目標位置に到達したと判定する。また、可動部5を引き込み方向に移動させるには、現在の出力電圧が目標電圧V1以上になったとき目標位置に到達したと判定する。
【0038】
ステップ105において変位センサ8の出力電圧が目標電圧V1に到達したと判定すると、ステップ106において駆動モータ1を停止する。ステップ105において変位センサ8の出力電圧が目標電圧V1に到達していないと判定すると、ステップ105において、変位センサ8の出力電圧が目標電圧V1に到達するまで駆動モータ1を駆動し続ける。このステップ105の判定を行う時間間隔が短いほど、リニアアクチュエータの移動量の精度が良い。以上のように本リニアアクチュエータは変位センサ8の情報を用いて駆動モータ1のON/OFFを制御することにより、可動部5の位置制御を行う。なお、送りねじ部3、可動部5、ガイド7の長さを変えることにより、リニアアクチュエータの可動範囲(ストローク)は変更できる。また、ステップ101で行われる可動部5の初期位置の検出は、以下に示す方法であってもよい。スッテプ107で終了する。
【0039】
図10に示すように駆動モータ1とは反対側の可動部5の端部に第3アンテナ17aを設置する。これは第3アンテナ17を上下方向に伸ばしたものであり、可動部5が初期位置に到達した時に第3アンテナ17aが第1アンテナ15および第2アンテナ16に接触するようにしている。これにより、変位センサ8の出力電圧がゼロになる。変位センサ8の出力電圧がゼロになった時、可動部5が初期位置に到達したと判定する。この初期位置の検出方法では、ステップ103における目標電圧の算出方法を変更しなければならない。駆動モータ1を微小時間駆動後、式(2)または式(3)を用いて目標電圧V1を算出することとする。これは、上記のように初期位置では変位センサ8の出力電圧がゼロとなるからである。なお、駆動モータ1を微小時間駆動した際の可動部5の移動量を補正する必要がある。また、ステップ101において初期動作を行うことにしているが、繰り返しリニアアクチュエータを駆動する場合等で可動部5の現在位置がわかっている場合にはステップ101を省略してもよい。次に上記したリニアアクチュエータの第2の実施形態を説明する。
【実施例2】
【0040】
図11はリニアアクチュエータの第2の実施形態の構成を示す正面図である。
図12はリニアアクチュエータの第2の実施形態の構成を示す斜視図である。
図13は後述するガイド30を図示しないリニアアクチュエータの第2の実施形態の構成を示す正面図である。
図14は回転バーと螺旋ばね部の組み合わせ構造を説明する図である。
図11、12、13、14において、26は可動部28の駆動源である駆動モータである。27は駆動モータ26に接続され、駆動モータ26の駆動とともに回転する回転バーである。29は物品等を移動させるために直線移動する可動部28と回転バー27に螺合し、回転運動を直線運動に変換する螺旋ばね部である。30は可動部28が直線上に動くように案内するガイドである。8は可動部28の移動量を測定する変位センサである。10はリニアアクチュエータの駆動を制御する制御部である。なお、変位センサ8および制御部10は、第1の実施形態と同じであるので説明は省略する。
【0041】
駆動モータ26は、第1の実施形態と同様に例えばDCブラシモータである。駆動モータ26には、位置制御が容易なステッピングモータやDCブラシレスモータ等を用いても良いが、低コスト化を考慮すると安価なDCブラシモータが良い。また、リニアアクチュエータの推力を大きくするため、駆動モータ26は減速器付きのものであっても構わない。しかし、リニアアクチュエータの小型化を実現するため、減速器の外径は駆動モータ26の外径以下であることが望ましい。回転バー27は、端部にプロペラ状の羽根を設けた部材である。回転バー27は、駆動モータ26の出力軸に接続され、駆動モータ26の出力軸の中心軸線と回転バー27の中心軸線とが同一線上に配置される。駆動モータ26に接続された回転バー27は、駆動モータ26の出力軸と一体回転する。
【0042】
また、回転バー27は、図14に示すように螺旋状に巻かれた螺旋ばね部29の隙間に嵌め込むように設置するので、螺旋ばね部29との接触が滑らかになるように、中心軸に対して所定の角度傾けている。なお、回転バー27の長手方向の長さは、可動部28の可動範囲(ストローク)より長くしている。回転バー27の材料は、回転バー27がたわまないように、例えばステンレスのような硬質の金属からなる。可動部28は、円筒ではない筒状の部材であり、少なくとも1箇所平らな面を有する。
【0043】
図11、図12に示す可動部28では、上記した変位センサ8の第3アンテナ17を設置するために2箇所の平らな面を有する。可動部28の長さは、リニアアクチュエータの可動範囲(ストローク)より長くしている。可動部28の材料は、表面が滑らかな金属や樹脂等からなるが、軽量化を図るためには樹脂等であることが望ましい。この可動部5に他の物品を接続することにより物品を移動することができる。なお、可動部28には、移動物品を取り付けるために図示していない取り付け穴を複数個設置していてもよい。螺旋ばね部29は、回転バー27とともに動力伝達機構を構成する部材であり、回転運動を直線運動に変換する役割を果たすものである。螺旋ばね部29は、例えば圧縮ばねである。上述のように螺旋ばね部29には、回転バー27が填め込まれる。螺旋ばね部29の端部には、固定部28を接するように設置するが固定しない。
【0044】
螺旋ばね部29の巻数が多くピッチが小さいほど、リニアアクチュエータの推力は大きくなるが、可動部28の移動速度は遅くなる。リニアアクチュエータの要求される仕様に応じて適度なピッチを選定する必要がある。ガイド30は円筒状の部材であり、駆動モータ26、回転バー27、可動部28、螺旋ばね部29が直線上に並ぶようにしている。これにより、可動部28、螺旋ばね部29が直線上に動く。ガイド30の内径は、駆動モータ26の外径と一致し、ガイド30の端部に駆動モータ26が固定される。螺旋ばね部29が駆動モータ26の出力軸周りの回転を抑えるため、螺旋ばね部29に適度な摩擦力が作用するように、ガイド30の内径寸法および螺旋ばね部29の外径寸法を調整している。
【0045】
螺旋ばね部29とガイド30間の摩擦力が過小の場合には、回転バー27の回転とともに、螺旋ばね部29が回転してしまうので、螺旋ばね部29をリニアアクチュエータの長手方向に直線移動することができない。この摩擦力が過大の場合には、螺旋ばね部29が直線移動できない。また、回転バー27がガイド30に接触することなく回転するように、回転バー27の羽根部の外径寸法はガイド30の内径寸法より若干小さくしている。ガイド30の駆動モータ26を設置していない側の端部には、図15に示すように回転止め部31を有している。回転止め部31は、可動部28の平らな面に当接するように平らな面を有しており、駆動モータ26の回転に伴う可動部28の回転を阻止している。可動部28が滑らかに動くように。可動部28と回転止め部31の間には若干の隙間を設けている。なお、ガイド30は変位センサ8を設置するため絶縁体が良く、樹脂等で作られている。ガイド30と回転止め部31は一体で成型されていてもよい。可動部28の駆動モータ26側の端部には、第1ストッパ32が設置されている。この第1ストッパ32は円筒形状をしており、第1ストッパ32の外径はガイド30の内径より若干小さくしている。
【0046】
第1ストッパ32が回転止め部31に当ることにより、可動部28がガイド30から抜け落ちるのを防止している。なお、可動部28と第1ストッパ32は、一体で成型されていてもよい。回転バー27の駆動モータ26側の端部には、第2ストッパ33が設置されている。この第2ストッパ33は円筒形状をしており、第2ストッパ33の外径はガイド30の内径より若干小さくしている。螺旋ばね部29は駆動モータ26の駆動とともに上下に動く。第2ストッパ33は、螺旋ばね部29の下方への移動を制限するものである。以上のように、第2の実施形態のリニアアクチュエータは、通常の送りねじとは異なり、回転バー27と螺旋ばね部29を用いた構造にした。回転バー27、可動部28、螺旋ばね部29、ガイド30の寸法を変更することにより、リニアアクチュエータの可動範囲(ストローク)を変更できる。
【0047】
次に第2の実施形態のリニアアクチュエータへの変位センサ8の設置方法を図15で説明する。
図15において、第1アンテナ15はガイド30の外側の面に設置し、第2アンテナ16は第1アンテナ15に対向するようにガイド30の外側面に設置する。第3アンテナ17は、図15に示すように可動部28の外周の3つの面に設置する。ガイド30の外周面には、変位センサ8の第1アンテナ15および第2アンテナ16を設置するために平らな面を有している。これらの面は回転止め部31と平行な面であり、これにより可動部28に設置した第3アンテナ17と平行に設置することができる。第1アンテナ15には、入力信号部13と信号処理部14がコンデンサ18を介して接続されており、第2アンテナ16は接地されている。第3アンテナ17は可動部5に設置しているので、可動部28の動きとともにリニアアクチュエータの長手方向に動くことになる。第2の実施形態のリニアアクチュエータは、まず駆動モータ26の駆動により回転バー27が回転する。そして、回転バー27の回転により螺旋ばね部29がリニアアクチュエータの長手方向に移動し、可動部28を移動させる。なお、制御方法は、第1の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0048】
次に可動部28の初期動作について説明する。
初期位置は、可動部28が駆動モータ26側に最も収納された状態とする。初期位置になるまで駆動モータ26を駆動し、可動部28を駆動モータ26側に移動させる。初期位置に達したかどうかは螺旋ばね部29が第2ストッパ33に当って止まった状態とする。また、可動部28の初期位置の検出は、以下に示す方法であってもよい。
【0049】
図16に示すように駆動モータ26とは反対側の可動部28の端部に第3アンテナ17aを設置する。これは第3アンテナ17を左右方向に伸ばしたものであり、可動部28が駆動モータ26側に初期位置に到達した時に第1アンテナ15および第2アンテナ16に接触するようにしている。これにより、可動部28が駆動モータ26側に最も引っ込んだ時、第1アンテナ15と第3アンテナ17a、第2アンテナ16と第3アンテナ17aが接触し、変位センサ8の出力電圧がゼロになる。変位センサ8の出力電圧がゼロになった時、可動部5が初期位置に到達したと判定する。この初期位置の検出方法では、第1の実施形態の場合と同様に目標電圧の算出方法を変更しなければならない。駆動モータ26を微小時間駆動後、式(2)または式(3)を用いて目標電圧V1を算出することとする。これは、上記のように初期位置では変位センサ8の出力電圧がゼロとなるからである。なお、駆動モータ26を微小時間駆動した際の可動部28の移動量を補正する必要がある。上記では初期位置は、可動部28が駆動モータ26側に最も収納された状態としたが、可動部28が最も突出した位置としても良い。また、第2の実施形態のリニアアクチュエータでは、螺旋ばね部29と変位センサ8を用いて、可動部28に作用する外力を測定することができる。
【0050】
以下に、外力の測定方法を説明する。 駆動モータ26が停止している時、可動部28に外力が駆動モータ26の方向に作用すると、螺旋ばね部29の高さが小さくなる。あらかじめ、螺旋ばね29のばね定数がわかっていれば、ばね長さの変位量を変位センサ8で計測すれば、外力を算出できる。
【0051】
以上のようにして第2の実施形態のリニアアクチュエータでは、外力を検出できるセンサにもなる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態であるリニアアクチュエータの構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態であるリニアアクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態であるリニアアクチュエータの第1ストッパ近傍を拡大した図である。
【図4】本発明の実施形態であるリニアアクチュエータの変位センサの構成を示した図である。
【図5】別なる検出部の構成を示した図である。
【図6】さらに別なる検出部の構成を示した図である。
【図7】さらに別なる検出部の構成を示した図である。
【図8】本発明の実施形態であるリニアアクチュエータの動作を説明するフローチャートである。
【図9】可動部の初期位置からの距離と変位センサの出力電圧の関係を示した図である。
【図10】可動部の初期位置を別なる方法で検出するためのリニアアクチュエータの構成を示した図である。
【図11】リニアアクチュエータの第2の実施形態の構成を示す正面図である。
【図12】リニアアクチュエータの第2の実施形態の構成を示す斜視図である。
【図13】ガイドを図示しないリニアアクチュエータの第2の実施形態の構成を示す正面図である。
【図14】回転バーと螺旋ばね部の設置方法を説明する図である。
【図15】第2の実施形態のリニアアクチュエータの変位センサの設置を説明する図である。
【図16】可動部の初期位置を別なる方法で検出するための第2の実施形態のリニアアクチュエータの構成を示した図である。
【符号の説明】
【0053】
1…駆動モータ、2…駆動モータホルダ、3…送りねじ部、4…ジョイント、5…可動部、6…送りナット部、7…ガイド、8…変位センサ、9…ベース、10…制御部、11…第1ストッパ、12…検出部、13…入力信号部、14…信号処理部、15…第1アンテナ、16…第2アンテナ、17、17a…第3アンテナ、18…コンデンサ、19…発振回路、20…抵抗器、21…ハイパスフィルタ、22…全波検出回路、23…積分回路、24…A/D変換器、25…第2ストッパ、26…駆動モータ、27…回転バー、28…可動部、29…螺旋ばね部、30…ガイド、31…回転止め部、32…第1ストッパ、33…第2ストッパ。
【技術分野】
【0001】
本発明は、リニアアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
回転運動を直線運動に変換するリニアアクチュエータとして、例えば特開平11−264451号公報に記載のものが知られている。このアクチュエータは、本体に取り付けられたモータの回転運動をモータにより回転駆動される送りねじ部と送りねじ部に螺合する送りナット部とからなる動力伝達機構によって直線運動に変換することで作動部材を送りねじ部の軸線方向に沿って直線的に移動させるものである。また、スライダーを高精度で位置決めできるリニアアクチュエータとして、特開2002−58271号公報に記載のものが知られている。
【0003】
また、このアクチュエータは、スライダーの位置を検出する磁歪ポテンショ部を備え、スライダーの位置と指令位置との偏差をもとにそのスライダーの位置をフィードバック制御する位置制御部を備えるものである。
【特許文献1】特開平11−264451号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、上記の従来技術では以下に示すような問題点がある。
特開平11−264451号公報に記載のリニアアクチュエータでは、作動部材の位置を検出するセンサが設置されていないため、作動部材の位置決めを行うには別途作動部材の位置を検出するセンサを設置しなければならなかった。また、作動部材の位置決めを行うセンサを設置する場合には、装置全体が大きくなるという課題があった。
【0005】
特開2002−58271号公報に記載のリニアアクチュエータでは、スライダーの位置決めを行うために、磁歪ポテンショ部を備えている。この磁歪ポテンショ部は磁歪スケールと磁歪ヘッドからなり、磁歪スケールは固定部材であるプラテンに設置され、磁歪ヘッドは可動部材であるスライダーに設置する必要があるためアクチュエータ自体が大型化してしまうとい問題があった。また、駆動モータとして高価なリニアパルスモータを使用しているため高価なものとなっていた。
【0006】
本発明の目的は、小型で高精度なリニアアクチュエータを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記目的は、駆動モータにより回転駆動するねじ部と、このねじ部に螺合されたナット部と、このナット部に取り付けられたスライダーとを備え、前記ねじ部の回転により前記ナット部とともに前記スライダーが直線的に移動するリニアアクチュエータにおいて、前記スライダーの両側面を拘束するガイドと、このガイドの反スライダー側側壁に取り付けられた第1のアンテナと、この第1のアンテナに対向する反スライダー側側壁に取り付けられた第2のアンテナと、この第1と記第2のアンテナに挟持されるよう前記スライダーの両側壁に取り付けられた第3のアンテナとを備え、前記第1と第2のスライダーに対して前記第3のアンテナの位置が変化したときの静電容量の変化により前記スライダーの位置情報を検出することにより達成される。
を特徴とするリニアアクチュエータ。
【0008】
また、上記目的は、前記第2のアンテナは接地されたものであり、前記第1のアンテナに高周波数の交流電圧を印加する発振回路と、前記発振回路と前記第1アンテナの間に接続する抵抗器と、前記第1アンテナからの信号を処理する信号処理回路と、前記信号処理回路からの信号をもとに前記スライダーの位置を算出し、前記駆動モータの駆動を制御する制御部とを有することにより達成される。
【0009】
また、上記目的は、前記第1アンテナと前記第3アンテナとから形成される第1のコンデンサと、前記第2アンテナと前記第3アンテナとから形成される第2のコンデンサと、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとから形成される第3のコンデンサの静電容量が前記スライダーの移動により変化し、前記第1のアンテナに印加されている前記発振回路からの交流電圧の変化を検出することにより前記ガイドに対する前記スライダーの位置を算出することにより達成される。
【0010】
また、上記目的は、前記第3のアンテナは前記第1と第2のアンテナに連続して対向するよう1本の導電体を折り曲げて形成されていることにより達成される。
【0011】
また、上記目的は、駆動モータにより回転駆動する回転バーと、この回転バーに螺合された螺旋ばねと、この螺旋ばねに取り付けられスライダーと、このスライダーと前記螺旋ばねを収納したガイドとを備え、前記回転バーの回転により前記螺旋ばねとともに前記スライダーが前記ガイド内で直線的に移動するものであって、前記ガイドの長手方向に配置した第1のアンテナと、この第1のアンテナに対向するように前記ガイドに配置されて接地された第2のアンテナと、前記第1と第2のアンテナに対向するように前記スライダーに取り付けられた第3のアンテナとを備え、前記第1のアンテナに高周波数の交流電圧を印加する発振回路と、この発振回路と前記第1のアンテナの間に接続する抵抗器と、前記第1のアンテナからの信号を処理する信号処理回路と、この信号処理回路からの信号をもとに前記スライダーの位置を算出し、前記駆動モータの駆動を制御する制御部とを有することにより達成される。
【0012】
また、上記目的は、前記駆動モータが停止している場合には、前記ガイドに対する前記スライダーの位置の変化量を検出し、この位置の変化量と前記螺旋ばねのばね定数とから前記スライダーに作用する外力を算出することにより達成される。
【発明の効果】
【0013】
本発明によれば、小型で高精度なリニアアクチュエータを提供リニアアクチュエータに小型の変位センサを提供できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0014】
以下、本発明の実施形態を図1〜図16により説明する。
【実施例1】
【0015】
本発明のリニアアクチュエータは、送りねじを用いて駆動モータの回転運動を直線運動に変換し物品等を直線移動するものであり、外径寸法の小型化、低コスト化を実現できるものである。
図1は、本発明の実施形態であるリニアアクチュエータの構成を示す正面図であり、図2は本発明の実施形態であるリニアアクチュエータの構成を示す斜視図である。
図1、図2において、リニアアクチュエータは、可動部5(スライダー)の駆動源となる駆動モータ1を備えている。2は駆動モータ1を固定する駆動モータホルダである。3は駆動モータ1に接続され、駆動モータ1の駆動とともに回転する送りねじ部である。4は駆動モータ1と送りねじ部3を連結するジョイントである。6は物品等を移動させるために直線移動する可動部5と送りねじ部3に螺合されて回転運動を直線運動に変換する送りナット部である。7は可動部5の回転を防止して可動部5が直線上に動くように案内するガイドである。8は可動部5の移動量を測定する変位センサ(ただし、図1、図2には示されていないので図4の説明の欄で述べる)である。9は駆動モータホルダ2およびガイド7を設置するベースである。10はリニアアクチュエータの駆動を制御する制御部(ただし、図1、図2には示されていないので図4の説明の欄で述べる)である。25は第2のストッパである。この第2ストッパ25は、ガイド7の駆動モータ1側の端部に設置されている。第2ストッパ25には穴が開けられており、送りねじ部3が挿入されている。この穴の内径は、送りねじ部3の外径より若干大きくし、摩擦抵抗が生じないようにしている。第2ストッパ25は、駆動モータ1の駆動とともに動く可動部5と送りナット部6の駆動モータ1側への移動を制限するものである。
【0016】
駆動源である駆動モータ1は、例えばDCブラシモータである。駆動モータ1には、位置制御が容易なステッピングモータやDCブラシレスモータ等を用いても良いが、低コスト化を考慮すると安価なDCブラシモータが良い。また、リニアアクチュエータの推力を大きくするため、駆動モータ1は減速器付きのものであっても構わない。しかし、リニアアクチュエータの小型化を実現するため、減速器の外径は駆動モータ1の外径以下であることが望ましい。駆動モータホルダ2は、駆動モータ1をベース9に固定するための部材である。駆動モータホルダ2により、駆動モータ1の出力軸がベース9に平行になるように駆動モータ1を設置できる。送りねじ部3は、外周面のほぼ全域にねじ溝が形成されている。送りねじ部3は、駆動モータ1の出力軸にジョイント4を介して接続されており、駆動モータ1の出力軸の中心軸線と送りねじ部3の中心軸線とが同一線上に配置される。ジョイント4を介して駆動モータ1に接続された送りねじ部3は、駆動モータ1の出力軸と一体回転する。また、送りねじ部3の長さは、可動部5の可動範囲(ストローク)より長くしており、送りねじ部3の材料は、送りねじ部3がたわまないように、例えばステンレスのような硬質の金属からなる。送りねじ部3のねじ溝のピッチが小さいほど、リニアアクチュエータの推力は大きくなるが、可動部5の移動速度は遅くなる。
【0017】
リニアアクチュエータの要求される仕様に応じて適度なピッチを選定する必要がある。ジョイント4は、例えばカップリングであるが、同様な効果が得られれば他のものであっても構わない。可動部5は、円筒ではない筒状の部材であり、少なくとも1箇所平らな面を有する。図2に示す可動部5では、後述する変位センサ8の第3アンテナ17を設置するために2箇所の平らな面を有する。可動部5の長さは、リニアアクチュエータの可動長さ(ストローク)より長くしている。可動部5の材料は、表面が滑らかな金属や樹脂等で形成して構わないが、軽量化を図るためには樹脂等であることが望ましい。可動部5の内部には、長手方向に、断面が円形状の貫通穴を有する。この穴は送りねじ部3を収容するためのものであり、送りねじ部3の外径より若干大きな穴にしている。この可動部5に他の物品を接続することにより物品を移動することができる。なお、可動部5には、移動物品を取り付けるために図示していない取り付け穴を複数個設置していてもよい。
【0018】
送りナット部6は、送りねじ部3とともに動力伝達機構を構成する筒状の部材であり、回転運動を直線運動に変換する役割を果たすものである。送りナット部6の有する貫通穴の内周面には、送りねじ部3と螺合可能なように等しいピッチのねじ溝が形成されている。送りナット部6は、可動部5の駆動モータ1側の端部に、可動部5の貫通穴の中心軸と送りナット部6の貫通穴の中心軸が一致するように固定されている。送りナット部6は、金属や樹脂等からなるが、軽量化のため樹脂等であることが望ましい。なお、可動部5と送りナット部6を一体で成型したものであってもよい。また、送りねじ部3の駆動モータ1と反対側の端部には、送りナット部6の抜け止め手段として第1のストッパ11(図1、図2には記載されていないので図3で説明する)が設置されている。
【0019】
図3は、第1のストッパ11近傍の拡大図である。
図3において、この第1ストッパ11の外径は、送りナット部6のねじ穴の外径より大きくしており、可動部5を突出させすぎて、送りナット部6が送りねじ部3から抜け落ちるのを防止している。ガイド7は、アクチュエータの長手方向に沿って延びるように形成されており、ベース9に固定されている。ガイド7は凹部を有し、断面形状はコの字状になっている。この凹部に可動部5を嵌め合わせるように配置することによって、駆動モータ1の回転に伴う可動部5の回転を阻止するとともに、可動部5が直線上に動くように案内する。なお、ガイド7と可動部5間の摩擦力を低減するためにガイド7の凹部の幅は、可動部5の幅より若干大きくしている。また、ガイド7は変位センサ8と設置するため絶縁体が良く、樹脂等で作られている。
【0020】
上記では、ガイド7の形状を断面形状がコの字状の凹部を有する部材としたが、駆動モータ1の回転に伴う可動部5の回転を阻止し、かつ、可動部5が直線上に動くように案内する効果が得られれば、他の形状であっても良く、例えば可動部5の外周を囲むような筒状の部材であってもよい。変位センサ8は、可動部5およびガイド7に設置し、可動部5の移動量を測定する。なお、詳細は後述する。
【0021】
次に本発明のリニアアクチュエータに変位センサ8を設置する理由を述べる。本リニアアクチュエータは、図示しない外部のセンサや入力手段等により、移動方向や移動量を取得し、可動部5の位置制御を行うものである。また、上述のように駆動モータ1は、低コスト化を実現するために、DCブラシモータを用いることにしている。駆動モータ1に高価なステッピングモータやDCブラシレスモータ等を使用する場合には、変位センサ8を設置せずに位置制御が可能であるが、DCブラシモータでは位置制御を行うことができない。これは、リニアアクチュエータの外部の負荷により、モータの回転数が変動するからである。したがって、本発明のリニアアクチュエータでは、可動部5の位置制御を行うために、変位センサ8を設置することにした。次に可動部5の移動量を検出する変位センサ8の概略を図4を用いて説明する。
【0022】
図4は、リニアアクチュエータに設置する変位センサ8の構成を示した図である。
図4において、変位センサ8は、リニアアクチュエータ本体に設置した検出部12と、検出部12に信号を印加する入力信号部13と、検出部12からの出力信号を処理する信号処理部14とからなる。検出部12は、ガイド7の外側の面に設置した第1アンテナ15と対向するもう一方のガイド7の外側面に設置した第2アンテナ16と、第1アンテナ15と第2アンテナ16に向き合うように可動部5の外周に設置した第3アンテナ17と、信号の直流成分を除去するコンデンサ18とからなる。入力信号部13は、第1アンテナ15に高周波数の正弦波を印加する発振回路19と、発振回路19と第1アンテナ15の間に接続する抵抗器20とからなる。信号処理部14は、所定の周波数以上の信号のみ通過させるハイパスフィルタ21と、信号の絶対値化および整流を行う全波検出回路22と、ゲイン調整およびオフセット調整を行う積分回路23と、アナログ信号をデジタル信号に変換するA/D変換器24とからなる。第1アンテナ15、第2アンテナ16、第3アンテナ17は、それぞれのアンテナ面が平行になるように配置し、かつ、それぞれのアンテナが接触しないように絶縁体を挿入するようにしている。これにより、第1アンテナ15と第3アンテナ17及び第2アンテナ16と第3アンテナ17でコンデンサが形成される。
【0023】
このようにアンテナによりコンデンサを形成するために、ガイド7は絶縁体としている。また、第1アンテナ15、第2アンテナ16、第3アンテナ17の幅寸法は同一であり、幅方向(図4の奥行き方向)が常に一致するように設置している。第3アンテナ17は、可動部5の送りナット部6を設置している面を除く外周の3つの面に設置する。このようにして、第3アンテナ17の第1アンテナ15側の面と第3アンテナ17の第2アンテナ16側の面を同電位にしている。これは、第1アンテナ15と第2アンテナ16の間の静電容量を大きくし、変位センサ8の検出感度を向上させるためである。第1アンテナ15には、入力信号部13と信号処理部14がコンデンサ18を介して接続されており、第2アンテナ16は接地されている。
【0024】
第3アンテナ17は可動部5に設置しているので、可動部5の動きとともにリニアアクチュエータの長手方向に動くことになる。第3アンテナ17に電線を接続する場合は、可動部5の移動により断線の恐れがあるので、第3アンテナ17には配線等は行わず、電気的に浮いた状態にしている。第1アンテナ15、第2アンテナ16、第3アンテナ17は、銅箔等の導体であるが、同様の効果が得られれば他のものであっても構わない。なお、リニアアクチュエータの小型化を考慮すると、これらのアンテナは、薄いシート状の導体が好ましい。また、これらのアンテナ導体の面積が大きいほど、静電容量が大きくなり変位センサ8の検出感度が良くなるので、可能な限り第1アンテナ15、第2アンテナ16、第3アンテナ17の面積は大きい方が良い。変位センサ8のコンデンサ18と抵抗器20と発振回路19とハイパスフィルタ21と全波検出回路22と積分回路23とA/D変換器24は、同一の回路基板上に設置されている。なお、第1アンテナ15をコンデンサ18から離れた場所に設置する場合には、外部ノイズの影響をなくすため第1アンテナ15とコンデンサ18をシールド線で接続することが望ましい。
【0025】
以上のようにリニアアクチュエータには第1アンテナ15、第2アンテナ16、第3アンテナ17の薄い導体のみ設置すれば良いので、リニアアクチュエータの小型化が実現できる。既知のポテンショメータ等の変位センサ8もあるがリニアアクチュエータの寸法が大きくなるので好ましくない。発振回路19は、抵抗器20とコンデンサ18を介して第1アンテナ15に接続されており、高周波数の正弦波を発生している。なお、コンデンサ18は必ずしも必要とせず、取り除いても構わない。変位センサ8では、コンデンサ18と抵抗器20の間の電位を出力電圧として計測する。この出力電圧は信号処理部14で処理され、制御部10に送られる。低周波数のノイズを除去するために設置されているハイパスフィルタ21は、入力側をコンデンサ18に接続し、出力側を全波検出回路22に接続する。変位センサ8は、発振回路19の発振周波数近傍の信号を全波検出回路22に送ればよいので、低周波数のノイズをハイパスフィルタ21で除去するようにしている。
【0026】
全波検出回路22は、入力側をハイパスフィルタ21に接続し、出力側を積分回路23に接続する。ハイパスフィルタ21からの信号は、プラスレンジおよびマイナスレンジに振動している正弦波である。A/D変換器24に信号を入力するために、全波検出回路22においてマイナスレンジの信号をプラスレンジに絶対値変換する。また、全波検出回路228において信号の整流も行う。積分回路23は、入力側を全波検出回路22に接続し、出力側をA/D変換器24に接続しており、全波検出回路22からの信号のオフセット調整およびゲイン調整を行う。オフセット調整およびゲイン調整は、変位センサ8の出力の感度を調整するものであり、検出感度が大きくなるように設定する。
【0027】
A/D変換器24は、入力側を積分回路23に接続し、出力側はリニアアクチュエータの制御部10に接続しており、積分回路23からのアナログ信号をデジタル信号に変換する。制御部10は、A/D変換器24と駆動モータ1に接続しており、A/D変換器24からの信号をもとに移動量を算出する。また、図示しない外部のセンサや入力手段等からリニアアクチュエータの移動方向および移動量といった情報を取得できるようにしている。そして、移動方向や移動量、変位センサ8での検出結果をもとに駆動モータ1の回転方向やON/OFFを制御する。
【0028】
次に変位センサ8の測定原理を説明する。変位センサ8の検出部12では、第1アンテナ15、第2アンテナ16、第3アンテナ17により、3つのコンデンサが形成される。すなわち、第1アンテナ15と第3アンテナ17とから形成されるコンデンサC1、第2アンテナ16と第3アンテナ17とから形成されるコンデンサC2、第1アンテナ15と第2アンテナ16とから形成されるコンデンサC3である。一般に静電容量C(F)は、以下の式(1)より求めることができる。
C=ε・S/d (1)
ここで、ε(F/m)は誘電率、S(m2)は対向するアンテナの面積、d(m)は対向するアンテナ間の距離である。式(1)からわかるように、対向するアンテナ間の距離dが一定であれば、静電容量Cは誘電率εおよび対向するアンテナの面積Sに比例する。第1アンテナ15、第2アンテナ16、第3アンテナ17はそれぞれが平行する平面内に設置し、かつ、それぞれが長手方向において同一の幅を持っているので、例えばコンデンサC1では第1アンテナ15と第3アンテナ17が重なっている長さに静電容量は比例する。コンデンサC2、C3も同様である。可動部5の直線運動によりC1、C2、C3の静電容量が変化するので、抵抗器20とコンデンサ18間の出力電圧が変化する。この出力電圧を信号処理部14で処理することにより、制御部10において可動部5のガイド7に対する位置を算出することができる。なお、アンテナの長さが変位センサ8の測定範囲になるので、アンテナが長いほど測定範囲が大きい。したがって、ガイド7および可動部5の長手方向の全面にアンテナを設置することにしている。変位センサ8は、可動部5が最も駆動モータ1側に引き込んだ場合の出力電圧と可動部5が最も突出した場合の出力電圧の差が大きいほど、変位センサ8の検出感度が良くなるのでよい。
【0029】
第1アンテナ15、第2アンテナ16、第3アンテナ17で形成されるコンデンサC1、C2、C3の静電容量は小さいので、これらのコンデンサC1、C2、C3のインピーダンスが小さくなるように、発振回路19の周波数は大きい方がよい。しかし、周波数が過度に大きいと出力電圧が小さくなるので、発振回路19の周波数は適度に調整することが望ましい。なお、発振回路19の周波数は、800kHz程度としている。以上のようにして、変位センサ8で可動部5の移動量を検出できる。ところで、検出部12のリニアアクチュエータへの設置は、図4に示す以外のものであっても良く、例えば図5から図7に示すものであっても良い。
【0030】
以下、図5から図7に示す検出部12の設置方法を説明する。
図5は、第1アンテナ15をガイド7の外側の面に設置し、第2アンテナ16を可動部5の第1アンテナ15を取り付けた側の面に設置するものである。
図5において、第1アンテナ15にはコンデンサ18を介して入力信号部13および信号処理部14を接続し、第2アンテナ16は接地する。第2アンテナ16は電線等を用いて接地してもよいし、ガイド7に設けた導体でできたブラシ等の接触部材(図示せず)により接地してもよい。第2アンテナ16に電線を接続する場合は、電線の長さがリニアアクチュエータの動作に影響しない小さな動作範囲(ストローク)のリニアアクチュエータに適している。ブラシ等の接触部材により第2アンテナ16を接地する場合は、駆動モータ1のトルクに余裕があり、可動部5とガイド7間の摩擦負荷の影響が小さいリニアアクチュエータに適している。図5に示す検出部12の設置では、第1アンテナ15と第2アンテナ16でコンデンサC4が形成される。可動部5が移動することにより、第1アンテナ15と第2アンテナ16の重なっている部分の面積が変化するので、コンデンサC4の静電容量が変化する。これにより、可動部5の移動量を検出できる。なお、可動部5の第1アンテナ15を取り付けた側の面に第2アンテナ16を設置するのは、コンデンサC4の静電容量を大きくするためである。
【0031】
図6は、第1アンテナ15をガイド7の一方の外側の面に設置し、第2アンテナ16をガイド7のもう一方の外側の面に設置するものである。なお、可動部5は絶縁体である。
図6において、第1アンテナ15にはコンデンサ18を介して入力信号部13および信号処理部14を接続し、第2アンテナ16は接地する。図6に示す検出部12の設置では、第1アンテナ15と第2アンテナ16の間に可動部5が挿入されているコンデンサC5と可動部5が挿入されていないコンデンサC6が形成される。可動部5が移動することにより、コンデンサC5とコンデンサC6の電極の面積が変化するので、コンデンサC5およびC6の静電容量が変化する。これにより、可動部5の移動量を検出できる。コンデンサC5およびC6の静電容量は、図4、図5に示したものより小さいので、可動部5が小さく第1アンテナ15と第2アンテナ16間の距離が小さいリニアアクチュエータに適している。
【0032】
図7は、第1アンテナ15をガイド7の一方の外側の面に設置し、第2アンテナ16をガイド7のもう一方の外側の面に設置するものである。なお、可動部5は導体であり第3アンテナ17でもある。
【0033】
図7において、第1アンテナ15にはコンデンサ18を介して入力信号部13および信号処理部14を接続し、第2アンテナ16は接地する。図7に示す検出部12の設置では、図4に示す検出部12の設置と同様に第1アンテナ15と第3アンテナ17とからコンデンサC7、第2アンテナ16と第3アンテナ17とからコンデンサC8、第1アンテナ15と第2アンテナ16とからコンデンサC9が形成される。可動部5の直線運動によりコンデンサC7、C8、C9の静電容量が変化するので可動部5の移動量を検出できる。この場合、可動部5が導体であるので重量が大きくなる。駆動モータ1のトルクに余裕があり、可動部5の軽量化が不必要なリニアアクチュエータに適している。
【0034】
以上では変位センサ8のリニアアクチュエータへの設置について述べたが、変位センサ8は本リニアアクチュエータへの設置に限定されるものではなく、変位センサ8を他の機構や他の方式のアクチュエータに上記のように設置することにより、可動部材の移動量を検出できる。
【0035】
本発明のリニアアクチュエータでは、送りねじを使用して駆動モータ1の回転運動を可動部5の直線運動に変換する方式を用いた。これは、複数のリニアアクチュエータを近接して設置できたり、狭い隙間にリニアアクチュエータを設置できたりするように、リニアアクチュエータの外径寸法の小型化を実現するためである。リニアアクチュエータの小型化を実現するためには、駆動モータ1の寸法を小さくする必要がある、しかし、駆動モータ1の寸法が小さくなるとトルクが小さくなるので、リニアアクチュエータの推力を確保するため、減速機構によりトルクを拡大する必要がある。これらを考慮して本発明のリニアアクチュエータでは、外径寸法を小さくでき、かつ、推力を確保できる送りねじ方式とした。
なお、リニアアクチュエータの小型化を図るためには、ベース9と駆動モータホルダ2を駆動モータ1の外径より大きくしないほうが望ましい。
【0036】
次にリニアアクチュエータの動作を図8に示すフローチャートを用いて説明する。
【0037】
図8において、まずステップ101においてはリニアアクチュエータの初期動作を行い、可動部5を初期位置に戻す。初期位置は、可動部5が駆動モータ1側に最も収納された状態とする。初期位置になるまで駆動モータ1を駆動し、可動部5を駆動モータ1側に移動させる。初期位置に達したかどうかは可動部5が第2ストッパ25に当って止まった状態とする。また、図示しない光学式の検出センサを第2ストッパ25近傍に設置し、可動部5が検出センサの光軸を斜光したか否かを検出することにより可動部5の初期位置を検出するものであってもよい。なお、初期位置は可動部5が最も突出した位置としても良い。そして、ステップ102において可動部5の移動量と移動方向を取得する。この移動量および移動方向は操作者が外部から入力してもよいし、図示しない外部のセンサ等から制御部10で取得してもよい。次にステップ103において、ステップ102で取得した移動量、移動方向をもとに変位センサ8の目標電圧を算出する。変位センサ8の出力電圧は、図9に示すように可動部5の初期位置からの距離と比例関係にあり、現在位置x0の出力電圧V0と移動量dと移動方向とから目標電圧V1を算出する。可動部5を突出させる場合には、目標電圧V1は以下の式(2)より求めることができる。
V1=−a×d+V0 (2)
また、可動部5を引き込ませる場合には、目標電圧V1は以下の式(3)より求めることができる。
V1=−a×(−d)+V0 (3)
目標電圧を式(2)、式(3)を用いて算出するのは、変位センサ8の出力電圧が周囲の環境により若干オフセットする場合があるからである。次にステップ104において、ステップ102で取得した移動方向より駆動モータ1の正転または逆転の回転方向を選択し、駆動モータ1をONする。これにより、駆動モータ1の出力軸および送りねじ部3が一体となって回転駆動される。なお、駆動モータ1の回転方向により可動部5の移動方向を換えることができる。送りねじ部3が螺合されている送りナット部6は、上述のとおり可動部5に固定されており、可動部5はガイド7により回転しないようになっているので、送りナット部6も回転することはない。したがって、送りナット部6は可動部5とともに直線的に移動を開始する。次にステップ105において、可動部5の現在の位置が目標の位置に到達したか否かを判定する。これは、変位センサ8の現在の出力電圧とステップ103で算出した目標電圧V1とを比較することにより行う。変位センサ8の出力電圧が、可動部5の初期位置からの距離と図9に示すような関係がある場合、可動部5を突出方向に移動させるには、現在の出力電圧が目標電圧V1以下になったとき目標位置に到達したと判定する。また、可動部5を引き込み方向に移動させるには、現在の出力電圧が目標電圧V1以上になったとき目標位置に到達したと判定する。
【0038】
ステップ105において変位センサ8の出力電圧が目標電圧V1に到達したと判定すると、ステップ106において駆動モータ1を停止する。ステップ105において変位センサ8の出力電圧が目標電圧V1に到達していないと判定すると、ステップ105において、変位センサ8の出力電圧が目標電圧V1に到達するまで駆動モータ1を駆動し続ける。このステップ105の判定を行う時間間隔が短いほど、リニアアクチュエータの移動量の精度が良い。以上のように本リニアアクチュエータは変位センサ8の情報を用いて駆動モータ1のON/OFFを制御することにより、可動部5の位置制御を行う。なお、送りねじ部3、可動部5、ガイド7の長さを変えることにより、リニアアクチュエータの可動範囲(ストローク)は変更できる。また、ステップ101で行われる可動部5の初期位置の検出は、以下に示す方法であってもよい。スッテプ107で終了する。
【0039】
図10に示すように駆動モータ1とは反対側の可動部5の端部に第3アンテナ17aを設置する。これは第3アンテナ17を上下方向に伸ばしたものであり、可動部5が初期位置に到達した時に第3アンテナ17aが第1アンテナ15および第2アンテナ16に接触するようにしている。これにより、変位センサ8の出力電圧がゼロになる。変位センサ8の出力電圧がゼロになった時、可動部5が初期位置に到達したと判定する。この初期位置の検出方法では、ステップ103における目標電圧の算出方法を変更しなければならない。駆動モータ1を微小時間駆動後、式(2)または式(3)を用いて目標電圧V1を算出することとする。これは、上記のように初期位置では変位センサ8の出力電圧がゼロとなるからである。なお、駆動モータ1を微小時間駆動した際の可動部5の移動量を補正する必要がある。また、ステップ101において初期動作を行うことにしているが、繰り返しリニアアクチュエータを駆動する場合等で可動部5の現在位置がわかっている場合にはステップ101を省略してもよい。次に上記したリニアアクチュエータの第2の実施形態を説明する。
【実施例2】
【0040】
図11はリニアアクチュエータの第2の実施形態の構成を示す正面図である。
図12はリニアアクチュエータの第2の実施形態の構成を示す斜視図である。
図13は後述するガイド30を図示しないリニアアクチュエータの第2の実施形態の構成を示す正面図である。
図14は回転バーと螺旋ばね部の組み合わせ構造を説明する図である。
図11、12、13、14において、26は可動部28の駆動源である駆動モータである。27は駆動モータ26に接続され、駆動モータ26の駆動とともに回転する回転バーである。29は物品等を移動させるために直線移動する可動部28と回転バー27に螺合し、回転運動を直線運動に変換する螺旋ばね部である。30は可動部28が直線上に動くように案内するガイドである。8は可動部28の移動量を測定する変位センサである。10はリニアアクチュエータの駆動を制御する制御部である。なお、変位センサ8および制御部10は、第1の実施形態と同じであるので説明は省略する。
【0041】
駆動モータ26は、第1の実施形態と同様に例えばDCブラシモータである。駆動モータ26には、位置制御が容易なステッピングモータやDCブラシレスモータ等を用いても良いが、低コスト化を考慮すると安価なDCブラシモータが良い。また、リニアアクチュエータの推力を大きくするため、駆動モータ26は減速器付きのものであっても構わない。しかし、リニアアクチュエータの小型化を実現するため、減速器の外径は駆動モータ26の外径以下であることが望ましい。回転バー27は、端部にプロペラ状の羽根を設けた部材である。回転バー27は、駆動モータ26の出力軸に接続され、駆動モータ26の出力軸の中心軸線と回転バー27の中心軸線とが同一線上に配置される。駆動モータ26に接続された回転バー27は、駆動モータ26の出力軸と一体回転する。
【0042】
また、回転バー27は、図14に示すように螺旋状に巻かれた螺旋ばね部29の隙間に嵌め込むように設置するので、螺旋ばね部29との接触が滑らかになるように、中心軸に対して所定の角度傾けている。なお、回転バー27の長手方向の長さは、可動部28の可動範囲(ストローク)より長くしている。回転バー27の材料は、回転バー27がたわまないように、例えばステンレスのような硬質の金属からなる。可動部28は、円筒ではない筒状の部材であり、少なくとも1箇所平らな面を有する。
【0043】
図11、図12に示す可動部28では、上記した変位センサ8の第3アンテナ17を設置するために2箇所の平らな面を有する。可動部28の長さは、リニアアクチュエータの可動範囲(ストローク)より長くしている。可動部28の材料は、表面が滑らかな金属や樹脂等からなるが、軽量化を図るためには樹脂等であることが望ましい。この可動部5に他の物品を接続することにより物品を移動することができる。なお、可動部28には、移動物品を取り付けるために図示していない取り付け穴を複数個設置していてもよい。螺旋ばね部29は、回転バー27とともに動力伝達機構を構成する部材であり、回転運動を直線運動に変換する役割を果たすものである。螺旋ばね部29は、例えば圧縮ばねである。上述のように螺旋ばね部29には、回転バー27が填め込まれる。螺旋ばね部29の端部には、固定部28を接するように設置するが固定しない。
【0044】
螺旋ばね部29の巻数が多くピッチが小さいほど、リニアアクチュエータの推力は大きくなるが、可動部28の移動速度は遅くなる。リニアアクチュエータの要求される仕様に応じて適度なピッチを選定する必要がある。ガイド30は円筒状の部材であり、駆動モータ26、回転バー27、可動部28、螺旋ばね部29が直線上に並ぶようにしている。これにより、可動部28、螺旋ばね部29が直線上に動く。ガイド30の内径は、駆動モータ26の外径と一致し、ガイド30の端部に駆動モータ26が固定される。螺旋ばね部29が駆動モータ26の出力軸周りの回転を抑えるため、螺旋ばね部29に適度な摩擦力が作用するように、ガイド30の内径寸法および螺旋ばね部29の外径寸法を調整している。
【0045】
螺旋ばね部29とガイド30間の摩擦力が過小の場合には、回転バー27の回転とともに、螺旋ばね部29が回転してしまうので、螺旋ばね部29をリニアアクチュエータの長手方向に直線移動することができない。この摩擦力が過大の場合には、螺旋ばね部29が直線移動できない。また、回転バー27がガイド30に接触することなく回転するように、回転バー27の羽根部の外径寸法はガイド30の内径寸法より若干小さくしている。ガイド30の駆動モータ26を設置していない側の端部には、図15に示すように回転止め部31を有している。回転止め部31は、可動部28の平らな面に当接するように平らな面を有しており、駆動モータ26の回転に伴う可動部28の回転を阻止している。可動部28が滑らかに動くように。可動部28と回転止め部31の間には若干の隙間を設けている。なお、ガイド30は変位センサ8を設置するため絶縁体が良く、樹脂等で作られている。ガイド30と回転止め部31は一体で成型されていてもよい。可動部28の駆動モータ26側の端部には、第1ストッパ32が設置されている。この第1ストッパ32は円筒形状をしており、第1ストッパ32の外径はガイド30の内径より若干小さくしている。
【0046】
第1ストッパ32が回転止め部31に当ることにより、可動部28がガイド30から抜け落ちるのを防止している。なお、可動部28と第1ストッパ32は、一体で成型されていてもよい。回転バー27の駆動モータ26側の端部には、第2ストッパ33が設置されている。この第2ストッパ33は円筒形状をしており、第2ストッパ33の外径はガイド30の内径より若干小さくしている。螺旋ばね部29は駆動モータ26の駆動とともに上下に動く。第2ストッパ33は、螺旋ばね部29の下方への移動を制限するものである。以上のように、第2の実施形態のリニアアクチュエータは、通常の送りねじとは異なり、回転バー27と螺旋ばね部29を用いた構造にした。回転バー27、可動部28、螺旋ばね部29、ガイド30の寸法を変更することにより、リニアアクチュエータの可動範囲(ストローク)を変更できる。
【0047】
次に第2の実施形態のリニアアクチュエータへの変位センサ8の設置方法を図15で説明する。
図15において、第1アンテナ15はガイド30の外側の面に設置し、第2アンテナ16は第1アンテナ15に対向するようにガイド30の外側面に設置する。第3アンテナ17は、図15に示すように可動部28の外周の3つの面に設置する。ガイド30の外周面には、変位センサ8の第1アンテナ15および第2アンテナ16を設置するために平らな面を有している。これらの面は回転止め部31と平行な面であり、これにより可動部28に設置した第3アンテナ17と平行に設置することができる。第1アンテナ15には、入力信号部13と信号処理部14がコンデンサ18を介して接続されており、第2アンテナ16は接地されている。第3アンテナ17は可動部5に設置しているので、可動部28の動きとともにリニアアクチュエータの長手方向に動くことになる。第2の実施形態のリニアアクチュエータは、まず駆動モータ26の駆動により回転バー27が回転する。そして、回転バー27の回転により螺旋ばね部29がリニアアクチュエータの長手方向に移動し、可動部28を移動させる。なお、制御方法は、第1の実施形態と同じであるので、説明は省略する。
【0048】
次に可動部28の初期動作について説明する。
初期位置は、可動部28が駆動モータ26側に最も収納された状態とする。初期位置になるまで駆動モータ26を駆動し、可動部28を駆動モータ26側に移動させる。初期位置に達したかどうかは螺旋ばね部29が第2ストッパ33に当って止まった状態とする。また、可動部28の初期位置の検出は、以下に示す方法であってもよい。
【0049】
図16に示すように駆動モータ26とは反対側の可動部28の端部に第3アンテナ17aを設置する。これは第3アンテナ17を左右方向に伸ばしたものであり、可動部28が駆動モータ26側に初期位置に到達した時に第1アンテナ15および第2アンテナ16に接触するようにしている。これにより、可動部28が駆動モータ26側に最も引っ込んだ時、第1アンテナ15と第3アンテナ17a、第2アンテナ16と第3アンテナ17aが接触し、変位センサ8の出力電圧がゼロになる。変位センサ8の出力電圧がゼロになった時、可動部5が初期位置に到達したと判定する。この初期位置の検出方法では、第1の実施形態の場合と同様に目標電圧の算出方法を変更しなければならない。駆動モータ26を微小時間駆動後、式(2)または式(3)を用いて目標電圧V1を算出することとする。これは、上記のように初期位置では変位センサ8の出力電圧がゼロとなるからである。なお、駆動モータ26を微小時間駆動した際の可動部28の移動量を補正する必要がある。上記では初期位置は、可動部28が駆動モータ26側に最も収納された状態としたが、可動部28が最も突出した位置としても良い。また、第2の実施形態のリニアアクチュエータでは、螺旋ばね部29と変位センサ8を用いて、可動部28に作用する外力を測定することができる。
【0050】
以下に、外力の測定方法を説明する。 駆動モータ26が停止している時、可動部28に外力が駆動モータ26の方向に作用すると、螺旋ばね部29の高さが小さくなる。あらかじめ、螺旋ばね29のばね定数がわかっていれば、ばね長さの変位量を変位センサ8で計測すれば、外力を算出できる。
【0051】
以上のようにして第2の実施形態のリニアアクチュエータでは、外力を検出できるセンサにもなる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明の実施形態であるリニアアクチュエータの構成を示す正面図である。
【図2】本発明の実施形態であるリニアアクチュエータの構成を示す斜視図である。
【図3】本発明の実施形態であるリニアアクチュエータの第1ストッパ近傍を拡大した図である。
【図4】本発明の実施形態であるリニアアクチュエータの変位センサの構成を示した図である。
【図5】別なる検出部の構成を示した図である。
【図6】さらに別なる検出部の構成を示した図である。
【図7】さらに別なる検出部の構成を示した図である。
【図8】本発明の実施形態であるリニアアクチュエータの動作を説明するフローチャートである。
【図9】可動部の初期位置からの距離と変位センサの出力電圧の関係を示した図である。
【図10】可動部の初期位置を別なる方法で検出するためのリニアアクチュエータの構成を示した図である。
【図11】リニアアクチュエータの第2の実施形態の構成を示す正面図である。
【図12】リニアアクチュエータの第2の実施形態の構成を示す斜視図である。
【図13】ガイドを図示しないリニアアクチュエータの第2の実施形態の構成を示す正面図である。
【図14】回転バーと螺旋ばね部の設置方法を説明する図である。
【図15】第2の実施形態のリニアアクチュエータの変位センサの設置を説明する図である。
【図16】可動部の初期位置を別なる方法で検出するための第2の実施形態のリニアアクチュエータの構成を示した図である。
【符号の説明】
【0053】
1…駆動モータ、2…駆動モータホルダ、3…送りねじ部、4…ジョイント、5…可動部、6…送りナット部、7…ガイド、8…変位センサ、9…ベース、10…制御部、11…第1ストッパ、12…検出部、13…入力信号部、14…信号処理部、15…第1アンテナ、16…第2アンテナ、17、17a…第3アンテナ、18…コンデンサ、19…発振回路、20…抵抗器、21…ハイパスフィルタ、22…全波検出回路、23…積分回路、24…A/D変換器、25…第2ストッパ、26…駆動モータ、27…回転バー、28…可動部、29…螺旋ばね部、30…ガイド、31…回転止め部、32…第1ストッパ、33…第2ストッパ。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
駆動モータにより回転駆動するねじ部と、このねじ部に螺合されたナット部と、このナット部に取り付けられたスライダーとを備え、前記ねじ部の回転により前記ナット部とともに前記スライダーが直線的に移動するリニアアクチュエータにおいて、
前記スライダーの両側面を拘束するガイドと、このガイドの反スライダー側側壁に取り付けられた第1のアンテナと、この第1のアンテナに対向する反スライダー側側壁に取り付けられた第2のアンテナと、この第1と記第2のアンテナに挟持されるよう前記スライダーの両側壁に取り付けられた第3のアンテナとを備え、
前記第1と第2のスライダーに対して前記第3のアンテナの位置が変化したときの静電容量の変化により前記スライダーの位置情報を検出することを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記第2のアンテナは接地されたものであり、前記第1のアンテナに高周波数の交流電圧を印加する発振回路と、前記発振回路と前記第1アンテナの間に接続する抵抗器と、前記第1アンテナからの信号を処理する信号処理回路と、前記信号処理回路からの信号をもとに前記スライダーの位置を算出し、前記駆動モータの駆動を制御する制御部とを有することを特徴としたリニアアクチュエータ。
【請求項3】
請求項1記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記第1アンテナと前記第3アンテナとから形成される第1のコンデンサと、前記第2アンテナと前記第3アンテナとから形成される第2のコンデンサと、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとから形成される第3のコンデンサの静電容量が前記スライダーの移動により変化し、前記第1のアンテナに印加されている前記発振回路からの交流電圧の変化を検出することにより前記ガイドに対する前記スライダーの位置を算出することを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項4】
請求項1記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記第3のアンテナは前記第1と第2のアンテナに連続して対向するよう1本の導電体を折り曲げて形成されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項5】
駆動モータにより回転駆動する回転バーと、この回転バーに螺合された螺旋ばねと、この螺旋ばねに取り付けられスライダーと、このスライダーと前記螺旋ばねを収納したガイドとを備え、前記回転バーの回転により前記螺旋ばねとともに前記スライダーが前記ガイド内で直線的に移動するものであって、
前記ガイドの長手方向に配置した第1のアンテナと、この第1のアンテナに対向するように前記ガイドに配置されて接地された第2のアンテナと、前記第1と第2のアンテナに対向するように前記スライダーに取り付けられた第3のアンテナとを備え、
前記第1のアンテナに高周波数の交流電圧を印加する発振回路と、この発振回路と前記第1のアンテナの間に接続する抵抗器と、前記第1のアンテナからの信号を処理する信号処理回路と、この信号処理回路からの信号をもとに前記スライダーの位置を算出し、前記駆動モータの駆動を制御する制御部とを有することを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項6】
請求項5記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記駆動モータが停止している場合には、前記ガイドに対する前記スライダーの位置の変化量を検出し、この位置の変化量と前記螺旋ばねのばね定数とから前記スライダーに作用する外力を算出することを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項1】
駆動モータにより回転駆動するねじ部と、このねじ部に螺合されたナット部と、このナット部に取り付けられたスライダーとを備え、前記ねじ部の回転により前記ナット部とともに前記スライダーが直線的に移動するリニアアクチュエータにおいて、
前記スライダーの両側面を拘束するガイドと、このガイドの反スライダー側側壁に取り付けられた第1のアンテナと、この第1のアンテナに対向する反スライダー側側壁に取り付けられた第2のアンテナと、この第1と記第2のアンテナに挟持されるよう前記スライダーの両側壁に取り付けられた第3のアンテナとを備え、
前記第1と第2のスライダーに対して前記第3のアンテナの位置が変化したときの静電容量の変化により前記スライダーの位置情報を検出することを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項2】
請求項1記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記第2のアンテナは接地されたものであり、前記第1のアンテナに高周波数の交流電圧を印加する発振回路と、前記発振回路と前記第1アンテナの間に接続する抵抗器と、前記第1アンテナからの信号を処理する信号処理回路と、前記信号処理回路からの信号をもとに前記スライダーの位置を算出し、前記駆動モータの駆動を制御する制御部とを有することを特徴としたリニアアクチュエータ。
【請求項3】
請求項1記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記第1アンテナと前記第3アンテナとから形成される第1のコンデンサと、前記第2アンテナと前記第3アンテナとから形成される第2のコンデンサと、前記第1のアンテナと前記第2のアンテナとから形成される第3のコンデンサの静電容量が前記スライダーの移動により変化し、前記第1のアンテナに印加されている前記発振回路からの交流電圧の変化を検出することにより前記ガイドに対する前記スライダーの位置を算出することを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項4】
請求項1記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記第3のアンテナは前記第1と第2のアンテナに連続して対向するよう1本の導電体を折り曲げて形成されていることを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項5】
駆動モータにより回転駆動する回転バーと、この回転バーに螺合された螺旋ばねと、この螺旋ばねに取り付けられスライダーと、このスライダーと前記螺旋ばねを収納したガイドとを備え、前記回転バーの回転により前記螺旋ばねとともに前記スライダーが前記ガイド内で直線的に移動するものであって、
前記ガイドの長手方向に配置した第1のアンテナと、この第1のアンテナに対向するように前記ガイドに配置されて接地された第2のアンテナと、前記第1と第2のアンテナに対向するように前記スライダーに取り付けられた第3のアンテナとを備え、
前記第1のアンテナに高周波数の交流電圧を印加する発振回路と、この発振回路と前記第1のアンテナの間に接続する抵抗器と、前記第1のアンテナからの信号を処理する信号処理回路と、この信号処理回路からの信号をもとに前記スライダーの位置を算出し、前記駆動モータの駆動を制御する制御部とを有することを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項6】
請求項5記載のリニアアクチュエータにおいて、
前記駆動モータが停止している場合には、前記ガイドに対する前記スライダーの位置の変化量を検出し、この位置の変化量と前記螺旋ばねのばね定数とから前記スライダーに作用する外力を算出することを特徴とするリニアアクチュエータ。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図12】
【図13】
【図14】
【図15】
【図16】
【公開番号】特開2007−16831(P2007−16831A)
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−196952(P2005−196952)
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成19年1月25日(2007.1.25)
【国際特許分類】
【出願日】平成17年7月6日(2005.7.6)
【出願人】(000005108)株式会社日立製作所 (27,607)
【Fターム(参考)】
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