説明

リニアアクチュエータ

【課題】中間端子の組立時の雌端子のへたりを抑制防止することが可能なリニアアクチュエータを提供する。
【解決手段】電動モータ22の回転力が減速機構を介してボールネジナット11に入力されるとボールネジ軸12が軸線方向に変位し、その変位量に応じて揺動部材8が揺動して可動シーブ3bをプーリ軸方向に移動すると共に、一枚の金属製板材を折り曲げて形成され且つアクチュエータカバー14の凹部60内に収納される中間端子42には、カバー側モータ電源雄端子30に接触するカバー側モータ電源雌端子52及びモータ側モータ電源雄端子23に接触するモータ側モータ電源雌端子51と、凹部60の幅方向への変形を規制する2つの側壁部46、47と、それらの雌端子51、52の弾性変形量を規制するストッパ54、55とを形成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、無段変速機、特に車両用のベルト式無段変速機に好適なリニアアクチュエータに関するものである。
【背景技術】
【0002】
車両用ベルト式無段変速機(Vベルト式無段変速機とも呼ばれる)は、入力側の駆動プーリと出力側の従動プーリにベルト(Vベルト)を巻回し、プーリの溝幅を変更することでベルトとプーリの接触半径を変更し、それにより変速比(減速比)を無段階に変更する。プーリの溝幅を可変とするために、プーリは固定シーブと可動シーブの組合せとし、このうち可動シーブをプーリ軸方向に移動させることでプーリ溝幅を変更する。この可動シーブの移動に電動アクチュエータが用いられている。しかしながら、電動アクチュエータをエンジンハウジング(変速機ハウジング)内に収納すると、受熱、放熱などの面で問題が多い。そこで、本出願人は下記特許文献1に示す無段変速機を提案した。この無段変速機では、可動シーブに揺動部材の一端を連結し、この揺動部材の他端を電動のリニアアクチュエータで直線方向に移動させることで可動シーブを移動し、溝幅を変更するのであるが、これによりリニアアクチュエータをエンジンハウジング(変速機ハウジング)の外部に配置することが可能となり、受熱や放熱の問題を回避することができる。
【0003】
また、本出願人は、前記特許文献1に示す無段変速機用リニアアクチュエータに好適な中間端子を下記特許文献2に提案した。このリニアアクチュエータでは、アクチュエータハウジング側に電動モータを取付け、外部接続用の端子(カプラ)を、アクチュエータハウジングを覆うアクチュエータカバーに取付けるため、例えば電動モータに給電するためにはアクチュエータカバーと電動モータ、つまりアクチュエータハウジングとの間に配線が必要となる。アクチュエータハウジングとアクチュエータカバーとを電気的に接続するため、アクチュエータカバーにはカバー側雄端子を設け、アクチュエータハウジングには、電動モータに直接的にモータ側雄端子を設ける。カバー側雄端子とモータ側雄端子は、アクチュエータハウジングにアクチュエータカバーを取付けたとき、近接する位置で、互いに逆向きの突出する。この近接する位置で、互いに逆向きに突出する雄端子同士を、逆向きの雌端子を接続した中間端子で接続することにより、アクチュエータカバーとアクチュエータハウジング、即ち電動モータとを電気的に接続することができる。中間端子は、金属製薄板を折り曲げて、開口部が逆向きの雌端子部を2箇所形成したものであり、雌端子部の各箇所には、雄端子を両側から挟むように2つの雌端子が形成され、金属製薄板の弾性で雄端子に雌端子が押当するようにしてある。つまり、雌端子は、金属製薄板を折り曲げて形成されている。また、中間端子は、アクチュエータカバーの凹部内に収納され、収納後、樹脂キャップで覆われる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2009−79759号公報
【特許文献2】特開2009−278764号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、前記特許文献2に記載される中間端子を備えたリニアアクチュエータでは、単に金属製薄板を折り曲げて雌端子を形成しただけであるため、雄端子との組立時に雌端子の弾性力が低減して、所謂へたってしまい、雄端子に十分に押当しなくなって接触不良を生じる恐れがある。
本発明は、上記のような問題点に着目してなされたものであり、中間端子の組立時の雌端子のへたりを抑制防止することが可能なリニアアクチュエータを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、本発明のリニアアクチュエータは、ベルト式無段変速機のプーリ溝幅を可変するリニアアクチュエータであって、アクチュエータハウジングと、前記アクチュエータハウジングを覆うアクチュエータカバーと、前記アクチュエータハウジングに取付けられた電動モータと、前記電動モータが発生した回転力を伝達する減速機構及び前記減速機構を介して前記電動モータの回転力を入力する回転要素及び前記回転要素の回転量に応じて軸線方向に変位する軸線方向変位要素を含む駆動機構と、前記アクチュエータカバーの凹部内に収納され且つ当該凹部内に収納した状態で当該アクチュエータカバーに設けられたカバー側雄端子に接続され且つ当該アクチュエータカバーでアクチュエータハウジングを覆ったときに前記電動モータ又はアクチュエータハウジングに設けられたモータ側雄端子に接続される中間端子と、を備え、前記中間端子は、前記凹部の幅方向への変形を規制する2つの側壁部と、前記凹部の幅方向に弾性変形して前記カバー側雄端子に接触するカバー側雌端子及びモータ側雄端子に接触するモータ側雌端子と、を備えたことを特徴とするものである。
【0007】
また、前記中間端子は、前記カバー側雌端子及びモータ側雌端子の弾性変形量を規制するカバー側雌端子ストッパ及びモータ側雌端子ストッパを備えたことを特徴とするものである。
また、前記中間端子は、一枚の金属製板材を折り曲げて形成され、前記カバー側雌端子及びモータ側雌端子を並列に配置したことを特徴とするものである。
【0008】
また、前記2つの側壁部間を連結する2つの連結壁部と、前記2つの側壁部及び2つの連結壁部からなる方形筒部の一方の開放端部を覆う底壁部と、を備え、前記2つの連結壁部の前記底壁部と反対側の端部を前記方形筒部の内側に折り曲げて、2つの対向するカバー側雌端子及び2つの対向するモータ側雌端子を形成すると共に、前記底壁部にはカバー側雄端子又はモータ側雄端子の何れか一方が挿通される挿通孔を形成したことを特徴とするものである。
また、前記中間端子を前記凹部内に収納した後、樹脂キャップで凹部を覆い、当該樹脂キャップを前記アクチュエータカバーに固着することを特徴とするものである。
【発明の効果】
【0009】
而して、本発明のリニアアクチュエータによれば、例えば可動シーブに連結された揺動部材を揺動して当該可動シーブをプーリ軸方向に移動するに際し、電動モータの回転力が減速機構を介して回転要素に入力されると、その回転要素の回転量に応じて軸線方向変位要素が軸線方向に変位し、その変位量に応じて揺動部材が揺動されると共に、アクチュエータカバーの凹部内に収納され且つ当該凹部内に収納した状態で当該アクチュエータカバーに設けられたカバー側雄端子に接続され且つ当該アクチュエータカバーでアクチュエータハウジングを覆ったときに電動モータ又はアクチュエータハウジングに設けられたモータ側雄端子に接続される中間端子には、凹部の幅方向に弾性変形してカバー側雄端子に接触するカバー側雌端子及びモータ側雄端子に接触するモータ側雌端子と、凹部の幅方向への変形を規制する2つの側壁部とを形成したことにより、中間端子のカバー側雌端子及びモータ側雌端子のへたりを抑制防止することができる。
【0010】
また、中間端子に、カバー側雌端子及びモータ側雌端子の弾性変形量を規制するカバー側雌端子ストッパ及びモータ側雌端子ストッパを備えたことにより、カバー側雌端子及びモータ側雌端子のへたりをより一層抑制防止することができる。
また、一枚の金属製板材を折り曲げて中間端子を形成し、カバー側雌端子及びモータ側雌端子を並列に配置したことにより、近接するカバー側雄端子とモータ側雄端子を接続しやすく、中間端子を製造・管理しやすい。
【0011】
また、2つの側壁部及び2つの連結壁部からなる方形筒部の一方の開放端部を底壁部で覆い、2つの連結壁部の底壁部と反対側の端部を方形筒部の内側に折り曲げて、2つの対向するカバー側雌端子及び2つの対向するモータ側雌端子を形成すると共に、底壁部にはカバー側雄端子又はモータ側雄端子の何れか一方が挿通される挿通孔を形成したことにより、近接するカバー側雄端子とモータ側雄端子が互いに逆向きでも接続しやすく、中間端子を製造・管理しやすい。
また、中間端子を凹部内に収納した後、樹脂キャップで凹部を覆い、当該樹脂キャップをアクチュエータカバーに固着することとしたため、中間端子をアクチュエータカバーにアッセンブル化することができ、組立性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【0012】
【図1】本発明のリニアアクチュエータを用いた無段変速機の一実施形態を示すスケルトン図である。
【図2】図1のリニアアクチュエータの作用を説明する縦断面図である。
【図3】図2のリニアアクチュエータ内におけるアクチュエータハウジング側の駆動機構の説明図である。
【図4】図3のアクチュエータハウジングを覆うアクチュエータカバーの説明図である。
【図5】図2のセンサの説明図である。
【図6】図4のアクチュエータカバーに図5のセンサを固定した状態の説明図である。
【図7】図6のアクチュエータカバーを図3のアクチュエータハウジングに取付けた状態の説明図である。
【図8】図7の状態におけるセンサ及びアームの位置の説明図である。
【図9】図6に示す中間端子の展開図である。
【図10】中間端子の五面図である。
【図11】(a)は図10のA−A断面図、(b)は図10のB−B断面図である。
【図12】中間端子の斜視図である。
【図13】中間端子に形成された雌端子の斜視図である。
【図14】中間端子をアクチュエータカバーに取付けた状態の説明図である。
【図15】中間端子をアクチュエータカバーに取付ける状態の説明図である。
【図16】図6のC−C断面図である。
【図17】図7のD−D断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0013】
次に、本発明のリニアアクチュエータの一実施形態について図面を参照しながら説明する。
図1は、本実施形態のリニアアクチュエータを用いた無段変速機のスケルトン図である。本実施形態では、エンジン1のクランクシャフト2から無段変速機内の駆動プーリ3に伝達された車両駆動力は、ベルト(Vベルト)4を介して従動プーリ5に伝達され、更にファイナルギヤ6から駆動輪に伝達される。駆動プーリ3も従動プーリ5も、共に固定シーブ3a、5aと可動シーブ3b、5bの組合せで構成されており、本実施形態では駆動プーリ3の可動シーブ3bをリニアアクチュエータ7でプーリ軸方向に移動させて溝幅を変更する。従動プーリ5の可動シーブ5bにはバネ201と遠心クラッチ202が取付けられており、駆動プーリ3の溝幅の変更に伴ってベルト4の接触半径が変化すると、そのベルト4の移動に伴って可動シーブ5bがプーリ軸方向に移動して自動的に溝幅が変更される。また、駆動プーリ3の可動シーブ3bにもリターンスプリング203が取付けられている。なお、シーブ(sheave)は、それ自体がロープをかけるプーリの意味を有するが、本実施形態では、プーリの溝を形成する何れか一方の円錐体を意味する。
【0014】
駆動プーリ3の可動シーブ3bには、揺動部材8の一端が連結されている。揺動部材8の中央部は、例えばピンなどの揺動結合構造9によって、例えば変速機ハウジングに揺動可能に連結されている。従って、本実施形態では、前記揺動部材8の他端をリニアアクチュエータ7によってプーリ軸と平行に直線方向に移動すれば、駆動プーリ3の可動シーブ3bをプーリ軸方向に移動して当該駆動プーリ3の溝幅を変更することができる。なお、駆動プーリ3の可動シーブ3bも、従動プーリ5の可動シーブ5bも軸受204及び軸受ホルダ205を介してリターンスプリング203や揺動部材8、或いはバネ201や遠心クラッチ202に連結されている。具体的には、軸受204の内輪が可動シーブ3b、5bに嵌合され、外輪が軸受ホルダ205に嵌合される。従って、軸受204の内輪は可動シーブ3b、5bと一緒に回転するが、外輪及び軸受ホルダ205は回転しない。
【0015】
リニアアクチュエータ7の内部における動力伝達構造については後述するとして、図2には、前記揺動部材8を駆動する軸線方向変位要素及び当該軸線方向変位要素を軸線方向に移動させるための回転要素を示す。図から明らかなように、回転要素及び軸線方向変位要素はボールネジ機構からなり、回転要素はボールネジナット11からなり、軸線方向変位要素はボールネジ軸12からなる。ボールネジナット11やボールネジ軸12はアルミニウム製のアクチュエータハウジング13内に収納され、このアクチュエータハウジング13が図示しない変速機ハウジングの外側に取付けられる。また、アクチュエータハウジング13の図示左方の開口端は樹脂製のアクチュエータカバー14で覆われる。
【0016】
ボールネジ軸12のボールネジ溝は、図2の左方半分だけに形成されており、右方半分は溝のない丸棒である。ボールネジ軸12の丸棒部分は、ボールネジ溝部分の外径より小さい。このボールネジ軸12の丸棒部分はシール部材15を介してアクチュエータハウジング13から図示右方に突出しており、シール部材15はボールネジ軸12の丸棒部分を摺動可能にシールする。また、ボールネジ軸12の丸棒部分は、当該丸棒部分より僅かに径の大きいアクチュエータハウジング13の円穴内に収納される。一方、ボールネジ軸12のボールネジ溝部分は、前記円穴に連通するアクチュエータハウジング13の収納部17に収納され、この収納部に、当該ボールネジ溝部分に螺合するボールネジナット11も収納されている。なお、ボールネジ軸12の突出端部は、前記揺動部材8の他端部に、図示しないリンク機構を介して連結され、当該リンク機構をボールネジ軸12の先端の穴にピンで係合することによりボールネジ軸12自体の回転が規制される。また、本実施形態のボールネジナット11にはボール溝が3列(3回路)あり、当該ボールネジナット11の内周面に冷間鍛造によって成形された循環部11aでボールが循環するようになっている。
【0017】
ボールネジナット11は軸受16を介してアクチュエータハウジング13に回転自在に取付けられている。その結果、ボールネジナット11の軸線方向の移動は規制される。また、ボールネジナット11の外周には、後述する減速機構の最終ギヤ18がキー21を介して取付けられている。なお、キー21は最終ギヤ18に一体形成されている。従って、最終ギヤ18が回転すると回転要素であるボールネジナット11が回転するが、ボールネジナット11自体の軸線方向への移動は規制されているので、軸線方向変位要素であるボールネジ軸12が軸線方向に移動する。図2aは、ボールネジ軸12が最も図示左方にある、即ちアクチュエータハウジング13からの突出量が最小の状態を示し、図2bは、ボールネジ軸12が最も図示右方にある、即ちアクチュエータハウジング13からの突出量が最大の状態を示す。
【0018】
ボールネジ軸12が最も図示右方にある状態では、ボールネジ軸12のボールネジ溝部分がアクチュエータハウジング13の収納部の端面に当接して、当該ボールネジ軸12のそれ以上右方への移動が規制される。一方、ボールネジ軸12が最も図示左方にある状態では、ボールネジ軸12の図示左方端面がアクチュエータカバー14の収納部20の端面に当接して、当該ボールネジ軸12のそれ以上左方への移動が規制される。なお、図中の符号19は、前記軸線方向変位要素であるボールネジ軸12の図示左方端面に直接当接して、当該ボールネジ軸12の軸線方向への変位量を検出するセンサである。
【0019】
図3は、アクチュエータハウジング13に取付けられた電動モータ22及び減速機構の説明図であり、図3aは正面図、図3bは底面図である。電動モータ22は、アクチュエータハウジング13とは別体であり、例えば六角穴付きボルトなどの固定具24によってアクチュエータハウジング13に固定されている。なお、図中の符号23は、モータ側モータ電源雄端子である。この電動モータ22の回転軸には駆動ピニオン25が圧入固定されている。前記駆動ピニオン25に噛合する中間ギヤ26は中間軸28に回転自在に係合され、中間ギヤ26と一体の中間ピニオン27が前記最終ギヤ18と噛合する。なお、中間軸28はアクチュエータハウジング13に圧入固定されている。従って、電動モータ22の回転力は駆動ピニオン25から中間ギヤ26、中間軸28、中間ピニオン27の順に伝達され、最後に最終ギヤ18に伝達され、ボールネジナット11を回転した後、ボールネジ軸12を軸線方向に変位する。
【0020】
図4は、種々の部品が取付けられていない状態のアクチュエータカバー14の正面図である。図中の符号29は、図面の紙面垂直方向に突設された位置決め係合爪部であり、図3のアクチュエータハウジング13の最終ギヤ18の周囲の縁部に係合して位置決めする。また、符号30は、前記モータ側モータ電源雄端子23に接続されるカバー側モータ電源雄端子であり、樹脂製のアクチュエータカバー14にインサート成形される。なお、カバー側モータ電源雄端子30から後述するカプラまでの薄板配線も樹脂製のアクチュエータカバー14内にインサート成形される。また、図中の符号41は、アクチュエータカバー14の貫通穴に取付けられたブリーザーである。このブリーザー41は、中央に多孔質膜が張られたキャップ体であり、その多孔質膜を通じてアクチュエータカバー14の内部の圧力調整を行うことができる。
【0021】
図4の符号31は、センサ19が収納されるセンサ収納部である。図5には、前記軸線方向変位要素であるボールネジ軸12の軸線方向の変位量を検出するセンサ19の詳細を示す。図5aはセンサ19の斜視図、図5bはセンサ19の正面図、図5cはセンサ19の底面図、図5dはセンサ19の右側面図である。このセンサ19は、ロータリ型のポテンショメータからなり、図5cの下面側にセンサ電源端子32、センサグラウンド(接地)端子33、センサ出力端子34が突設されている。このロータリ型のポテンショメータからなるセンサ19の回転軸にはアーム35が固定されており、このアーム35の先端部を前記ボールネジ軸12の端部に直接当接する。ボールネジ軸12が軸線方向に変位すると、図2に示すように、センサ19のアーム35がボールネジ軸12の図示左方端面、即ち軸端面に当接し、摺動しながら回転される。その結果、ロータリ型ポテンショメータからなるセンサ19の回転軸が回転され、センサ19の出力信号が変化する。この出力信号の変化を図示しない制御装置で検出し、前記電動モータ22の回転状態をフィードバック制御する。ちなみに、図2aに示すボールネジ軸12が最も図示左方にある状態では、前述のように、ボールネジ軸12の図示左方端面はアクチュエータカバー14の収納部20の端面に当接するが、センサ19のアーム35はアクチュエータカバー14と干渉しないように設定されている。
【0022】
図6aは、アクチュエータカバー14にセンサ19を固定した状態の正面図、図6bは、更に、そのアクチュエータカバー14にカプラ36を固定した状態の底面図である。センサ19は、前記センサ収納部31内に収納され、アクチュエータカバー14にポッティング(樹脂盛り)や接着剤で固定される。アクチュエータカバー14のセンサ収納部31の外側にはカプラ36が一体成形されており、センサ収納部31内に収納固定されたセンサ19の端子32〜34側にカプラ36の内側接続端面が対向しているので、このカプラ35の内側接続端面にセンサ19の端子32〜34を差し込み、端子32〜34をカプラ36の内部配線と接続する(差し込むだけで自動接続される)。なお、図6a中の符号42は、前記アクチュエータカバー14側のカバー側モータ電源雄端子30に差し込まれた中間端子、符号43は、当該中間端子42に取付けられた樹脂キャップである。アクチュエータハウジング13側のモータ側モータ電源雄端子23は、この中間端子42を介して、アクチュエータカバー14側のモータ側モータ電源雄端子30に接続される。
【0023】
図7aは、前記カプラ36が取付けられたアクチュエータカバー14をアクチュエータハウジング13に被せ、ビスなどの固定具37で固定した状態の正面図であり、図7bは、図7aのA矢視図である。アクチュエータハウジング13にアクチュエータカバー14を被せて固定する際、図2、図4に示すように、アクチュエータカバー14の合わせ面外周部に形成された溝38内にシール部材39を装入してリニアアクチュエータ7の内部を液密状態とする。
【0024】
図中の符号40は、前記アクチュエータカバー14の内側にインサート成形されたカバー側モータ電源雄端子30に通ずる薄板配線であり、前述したようにアクチュエータカバー14と一体成形されたカプラ36の内部まで延設されている。ちなみに、図7bには、カプラ36の外部接続用雄端子のレイアウトを示す。本実施形態では、2段3列の外部接続用雌端子のうち、図示右上の雌端子がモータ電源(−)用であり、図示左上の雌端子がモータ電源(+)用であり、図示右下の雌端子がセンサグラウンド用であり、図示中央下の雌端子がセンサ出力信号用であり、図示左下の雌端子がセンサ電源用である。
【0025】
図8は、図7のようにアクチュエータハウジング13にアクチュエータカバー14を被せて固定した状態で、当該アクチュエータカバー14を透視した状態の正面図である。ボールネジ軸12には、加工用のセンタ穴が開設されているが、前記センサ19のアーム35は、このボールネジ軸12のセンタ穴を避けて当該ボールネジ軸12の軸線方向端面、即ち軸端部に当接するように設定されており、これによりボールネジ軸12の軸線方向への移動に伴ってセンサ19のアーム35がスムーズに摺接移動する。
【0026】
図9は、前記中間端子42の展開図である。本実施形態の中間端子42は金属製薄板を折り曲げて形成され、図の一点鎖線を山折りにし、隣合う破線間を湾曲する。図10は、折り曲げて完成された中間端子42の5面図、図11aは図10のA−A断面図、図11bは図10のB−B断面図、図12は中間端子42の斜視図、図13は形成された雌端子の一例を示す斜視図である。この中間端子42は、前記モータ側モータ電源雄端子23に接続されるモータ側モータ電源雌端子部44と、前記カバー側モータ電源雄端子30に接続されるカバー側モータ電源雌端子部45とを並列に隣接して設けたものであり、それらの外側の夫々にモータ側モータ電源雌端子側壁部46及びカバー側モータ電源雌端子側壁部47が設けられ、両者を連結する2つの連結壁部48とそれら2つの側壁部46,47によって方形筒部が形成され、その方形筒部の一方の端部を底壁部49で覆うことで、有底の方形筒状体となっている。また、2つの側壁部46、47は、一方の連結壁部48の端部を折り曲げて他方の連結壁部48に開設された差し込み穴50に差し込んで固定してあるため、中間端子42そのものの変形、特に後述するアクチュエータカバー14の凹部の幅方向への変形を抑制防止することができる。なお、連結壁部48の壁面直交方向を幅方向、側壁部46、47の壁面直交方向を長手方向、幅方向及び長手方向の両者と直交する方向を高さ方向と定義する。また、前記差し込み穴50の外周部分は前記モータ側モータ電源雌端子側壁部46及びカバー側モータ電源雌端子側壁部47より外側に張り出しており、後述するアクチュエータカバー14の凹部内への組付時の誤組防止爪59として機能する。
【0027】
また、モータ側モータ電源雌端子部44及びカバー側モータ電源雌端子部45の夫々において、前記2つの連結壁部48の底壁部49と反対側の夫々の端部を方形筒部の内側に折り曲げてモータ側モータ電源雌端子51及びカバー側モータ電源雌端子52が2つずつ対向して形成されている。また、これらのモータ側モータ電源雌端子51及びカバー側モータ電源雌端子52には、図13に明示するように、その中央部を雌端子同士の対向方向内側に突出させて接触突子53が形成され、これによりモータ側モータ電源雄端子23及びカバー側モータ電源雄端子30との接触を確実なものとしている。また、モータ側モータ電源雌端子51の裏側にあたる部分の連結壁部48をコ字状にくりぬき、その残りの部分を方形筒部の内側に向けて折り曲げることで、モータ側モータ電源雌端子51の弾性変形量を規制するモータ側モータ電源雌端子ストッパ54が形成されている。同様に、カバー側モータ電源雌端子52の裏側にあたる部分の連結壁部48をコ字状にくりぬき、その残りの部分を方形筒部の内側に向けて折り曲げることで、カバー側モータ電源雌端子52の弾性変形量を規制するカバー側モータ電源雌端子ストッパ55が形成されている。
【0028】
更に本実施形態では、後述するようにモータ側モータ電源雌端子部44の開口側からモータ側モータ電源雄端子23を差し込み、カバー側モータ電源雌端子部45には、その反対側、つまり底壁部49側からカバー側モータ電源雄端子30を差し込むので、当該底壁部49には当該カバー側モータ電源雄端子30を挿通するためのカバー側モータ電源雄端子挿通孔56が開設されている。更に、モータ側モータ電源雌端子側壁部46には完成品のモータ側モータ電源雌端子51の状態を見るためのモータ側モータ電源雌端子覗き穴57が開設され、カバー側モータ電源雌端子側壁部47には完成品のカバー側モータ電源雌端子52の状態を見るためのカバー側モータ電源雌端子覗き穴58が開設されている。
【0029】
図11に明示するように、モータ側モータ電源雌端子51もカバー側モータ電源雌端子52も、く字状に折り曲げられ、その突出部近傍に前記接触突子53が形成されているが、2つのモータ側モータ電源雌端子51のく字状突出部は互いに対向して接触し、その裏側の部分にモータ側モータ電源雌端子ストッパ54が位置しているのに対し、2つのカバー側モータ電源雌端子52のく字状の突出部は図の上下方向、つまり高さ方向にずれ、所謂オフセットし、カバー側モータ電源雌端子ストッパ55も夫々のく字状突出部の裏側に対向するように位置している。これは、カバー側モータ電源雄端子30とモータ側モータ電源雄端子23の板厚が異なるためであり、この板厚の違いに対応すべくカバー側モータ電源雌端子52の変位量が大きくなるように2つのカバー側モータ電源雌端子52のく字状突出部を高さ方向にずらしている。
【0030】
この中間端子42を、図14、図15に示すように、前記カバー側モータ電源雄端子30が突設されているアクチュエータカバー14の凹部60内に取付ける。その際、凹部60に形成されている図示しない逃げ部内に前記誤組防止爪59が収まるようにして凹部60内に中間端子42を収納すると、中間端子42の誤組付を防止できる。図15に示すように、誤組防止爪59を逃げ部内に収まるように中間端子42を凹部60内に収納すると、カバー側モータ電源雄端子30は底壁部49側からカバー側モータ電源雌端子部45に差し込まれるので、前記カバー側モータ電源雄端子挿通孔56内にカバー側モータ電源雄端子30を挿通して中間端子42を凹部60内に収納すると、図16に示すように、カバー側モータ電源雄端子30が2つのカバー側モータ電源雌端子52で挟まれ、両者が接続される。このように中間端子42の凹部60内への収納が完了し、カバー側モータ電源雄端子30がカバー側モータ電源雌端子52に接続されたら、中間端子42の外側から凹部60に樹脂キャップ43を被せ、溶着や接着によって樹脂キャップ43をアクチュエータカバー14に固着する。
【0031】
このように中間端子42がアッセンブル化されたアクチュエータカバー14を、前記図7に示すようにアクチュエータハウジング13に取付けると、モータ側モータ電源雄端子23はモータ側モータ電源雌端子部44の開口側から差し込まれ、図17に示すように、モータ側モータ電源雄端子23が2つのモータ側モータ電源雌端子51で挟まれ、両者が接続され、その結果、中間端子42を介してカバー側モータ電源雄端子30とモータ側モータ電源雄端子23とが接続される。
【0032】
このように本実施形態のリニアアクチュエータでは、可動シーブ3bに連結された揺動部材8を揺動して当該可動シーブ3bをプーリ軸方向に移動するに際し、電動モータ22の回転力が減速機構を介してボールネジナット(回転要素)11に入力されると、その回転量に応じてボールネジ軸(軸線方向変位要素)12が軸線方向に変位し、その変位量に応じて揺動部材8が揺動されると共に、アクチュエータカバー14の凹部60内に収納され且つ当該凹部60内に収納した状態で当該アクチュエータカバー14に設けられたカバー側モータ電源雄端子30に接続され且つ当該アクチュエータカバー14でアクチュエータハウジング13を覆ったときに電動モータ22に設けられたモータ側モータ電源雄端子23に接続される中間端子42には、凹部60の幅方向に弾性変形してカバー側モータ電源雄端子30に接触するカバー側モータ電源雌端子52及びモータ側モータ電源雄端子23に接触するモータ側モータ電源雌端子51と、凹部60の幅方向への変形を規制する2つの側壁部46、47を形成したことにより、中間端子42のカバー側モータ電源雌端子52及びモータ側モータ電源雌端子51のへたりを抑制防止することができる。
【0033】
また、中間端子42に、カバー側モータ電源雌端子52及びモータ側モータ電源雌端子51の弾性変形量を規制するカバー側モータ電源雌端子ストッパ55及びモータ側モータ電源雌端子ストッパ54を備えたことにより、カバー側モータ電源雌端子52及びモータ側モータ電源雌端子51のへたりをより一層抑制防止することができる。
また、一枚の金属製板材を折り曲げて中間端子42を形成し、カバー側モータ電源雌端子52及びモータ側モータ電源雌端子51を並列に配置したことにより、近接するカバー側モータ電源雄端子30とモータ側モータ電源雄端子23を接続しやすく、また中間端子42を製造・管理しやすい。
【0034】
また、2つの側壁部46、47及び2つの連結壁部48からなる方形筒部の一方の開放端部を底壁部49で覆い、2つの連結壁部48の底壁部49と反対側の端部を方形筒部の内側に折り曲げて、2つの対向するカバー側モータ電源雌端子52及び2つの対向するモータ側モータ電源雌端子51を形成すると共に、底壁部49にはカバー側モータ電源雄端子30が挿通されるカバー側モータ電源雄端子挿通孔56を形成したことにより、近接するカバー側モータ電源雄端子30とモータ側モータ電源雄端子23が互いに逆向きでも接続しやすく、また中間端子42を製造・管理しやすい。
【0035】
また、中間端子42を凹部60内に収納した後、樹脂キャップ43で凹部60を覆い、当該樹脂キャップ43をアクチュエータカバー14に固着することとしたため、中間端子42をアクチュエータカバー14にアッセンブル化することができ、組立性が向上する。
なお、前記モータ側モータ電源雄端子23は、必ずしも電動モータ22に設けられている必要はなく、電動モータ22を収納するアクチュエータハウジング13に設けられ、個別の配線(薄板配線を含む)で電動モータ22に接続されているようにしても差し支えない。
【0036】
また、前記実施形態では、アクチュエータカバー14の凹部60内に中間端子42を底壁部49側から差し込むようにしたため、カバー側モータ電源雄端子30の挿通するカバー側モータ電源雄端子挿通孔56を底壁部に設けたが、アクチュエータカバー14の凹部60内に中間端子42を雌端子部開放側から差し込むようにしてもよく、その場合には、底壁部49には、モータ側モータ電源雄端子23を挿通するモータ側モータ電源雄端子挿通孔を形成することになる。
【0037】
また、前記回転要素及び軸線方向変位要素は必ずしもボールネジ機構でなくともよく、例えば通常のボルト・ナットの組合せでもよい。
また、前記センサ19は必ずしもポテンショメータでなくともよく、軸線方向変位要素であるボールネジ軸の軸線方向への変位を直接的に当接して検出するものであれば種々のものを適用できる。
また、本発明の無段変速機及びリニアアクチュエータが適用される車両の駆動形態は前記実施形態に限定されるものではなく、例えば車両駆動源としてエンジンとモータを併用する、所謂ハイブリッド車両であってもよい。
【符号の説明】
【0038】
1はエンジン、2はクランクシャフト、3は駆動プーリ、3aは固定シーブ、3bは可動シーブ、4はベルト(Vベルト)、5は従動プーリ、5aは固定シーブ、5bは可動シーブ、6はファイナルギヤ、7はリニアアクチュエータ、8は揺動部材、9は揺動連結構造、10はボールネジ機構、11はボールネジナット、12はボールネジ軸、13はアクチュエータハウジング、14はアクチュエータカバー、15はシール部材、16は軸受、17は収納部、18は最終ギヤ、19はセンサ、20は収納部、21はキー、22は電動モータ、23はモータ側モータ電源雄端子、24は固定具、25は駆動ピニオン、26は中間ギヤ、27は中間ピニオン、28は中間軸、29は位置決め係合爪部、30はカバー側モータ電源雄端子、31はセンサ収納部、32はセンサ電源端子、33はセンサグラウンド端子、34はセンサ出力端子、35はアーム、36はカプラ、37は固定具、38は溝、39はシール部材、40は薄板配線、41はブリーザー、42は中間端子、43は樹脂キャップ、44はモータ側モータ電源雌端子部、45はカバー側モータ電源雌端子部、46はモータ側モータ電源雌端子側壁部、47はカバー側モータ電源雌端子側壁部、48は連結壁部、49は底壁部、50は差し込み穴、51はモータ側モータ電源雌端子、52はカバー側モータ電源雌端子、53は接触突子、54はモータ側モータ電源雌端子ストッパ、55はカバー側モータ電源雌端子ストッパ、56はカバー側モータ電源雄端子挿通孔、57はモータ側モータ電源雌端子覗き窓、58はカバー側モータ電源雌端子覗き窓、59は誤組防止爪、60は凹部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ベルト式無段変速機のプーリ溝幅を可変するリニアアクチュエータであって、アクチュエータハウジングと、前記アクチュエータハウジングを覆うアクチュエータカバーと、前記アクチュエータハウジングに取付けられた電動モータと、前記電動モータが発生した回転力を伝達する減速機構及び前記減速機構を介して前記電動モータの回転力を入力する回転要素及び前記回転要素の回転量に応じて軸線方向に変位する軸線方向変位要素を含む駆動機構と、前記アクチュエータカバーの凹部内に収納され且つ当該凹部内に収納した状態で当該アクチュエータカバーに設けられたカバー側雄端子に接続され且つ当該アクチュエータカバーでアクチュエータハウジングを覆ったときに前記電動モータ又はアクチュエータハウジングに設けられたモータ側雄端子に接続される中間端子と、を備え、前記中間端子は、前記凹部の幅方向への変形を規制する2つの側壁部と、前記凹部の幅方向に弾性変形して前記カバー側雄端子に接触するカバー側雌端子及びモータ側雄端子に接触するモータ側雌端子と、を備えたことを特徴とするリニアアクチュエータ。
【請求項2】
前記中間端子は、前記カバー側雌端子及びモータ側雌端子の弾性変形量を規制するカバー側雌端子ストッパ及びモータ側雌端子ストッパを備えたことを特徴とする請求項1に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項3】
前記中間端子は、一枚の金属製板材を折り曲げて形成され、前記カバー側雌端子及びモータ側雌端子を並列に配置したことを特徴とする請求項1又は2に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項4】
前記2つの側壁部間を連結する2つの連結壁部と、前記2つの側壁部及び2つの連結壁部からなる方形筒部の一方の開放端部を覆う底壁部と、を備え、前記2つの連結壁部の前記底壁部と反対側の端部を前記方形筒部の内側に折り曲げて、2つの対向するカバー側雌端子及び2つの対向するモータ側雌端子を形成すると共に、前記底壁部にはカバー側雄端子又はモータ側雄端子の何れか一方が挿通される挿通孔を形成したことを特徴とする請求項3に記載のリニアアクチュエータ。
【請求項5】
前記中間端子を前記凹部内に収納した後、樹脂キャップで凹部を覆い、当該樹脂キャップを前記アクチュエータカバーに固着することを特徴とする請求項1乃至4の何れか一項に記載のリニアアクチュエータ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【公開番号】特開2012−21609(P2012−21609A)
【公開日】平成24年2月2日(2012.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−160759(P2010−160759)
【出願日】平成22年7月15日(2010.7.15)
【出願人】(000004204)日本精工株式会社 (8,378)
【出願人】(000115142)ユニオンマシナリ株式会社 (38)
【Fターム(参考)】