説明

リニアモータシステム、リニアモータアクチュエータ及び制御装置

【課題】リニアスケールのコストを減らしつつ、高速な移動を可能とし、且つ、停止精度を高くする。
【解決手段】位置センサはリニアスケールの目盛りを読み取り第1の位置情報を生成し、磁気センサは可動子又は固定子の一方から発生する磁界を検出し、90°の位相差を持つ正弦波状信号及び余弦波状信号を出力し、位置検出手段は正弦波状信号及び余弦波状信号に基づいて第2の位置情報を生成し、リニアスケール又は位置センサの一方は可動子とともに移動し、リニアスケール又は位置センサの他方は可動子が移動可能な範囲のうちの一部の範囲のみで位置センサがリニアスケールの目盛りを読み取ることができるように配設され、制御装置は、可動子の位置が一部の範囲から外れているときには第2の位置情報を、可動子の位置が一部の範囲に入っているときに当該範囲内で可動子を停止させる場合には第1の位置情報を、コイルに流れる電流の制御に用いる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、磁石の磁界とコイルに流れる電流とによって運動する推力を得るリニアモータにおいて、可動子の位置を検出し、検出された位置に基づいてリニアモータを制御するリニアモータシステム、リニアモータアクチュエータ及び制御装置の技術分野に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、磁石の磁界とコイルに流れる電流とによってリニアモータを駆動し、移動体を軌道レール等に沿って直進運動させるリニアモータアクチュエータにおいては、移動体の位置を検出するために、光学式又は磁気式のリニアスケールとセンサとが用いられている。
【0003】
この場合においては、移動体にセンサを取り付けるとともに、リニアモータアクチュエータの長手方向の一端から他端までリニアスケールを取り付け、移動体の可動範囲全域において、センサがリニアスケールを読み取ることができるようにしていた(例えば、特許文献1)。こうすることによって、移動体を所望の位置に精度よく停止させることができる。
【特許文献1】国際公開第2006/001479号パンフレット
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
しかしながら、移動体の可動範囲全域をカバーするようにリニアスケールを取り付けなければならないので、可動範囲が長くなればなるほど、リニアスケールに要するコストが高くならざるを得なかった。
【0005】
本発明は、以上の点に鑑みてなされたものであり、リニアスケールのコストを減らしつつ、高速な移動を可能とし、且つ、停止精度の高いリニアモータシステム、リニアモータアクチュエータ及び制御装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0006】
上記課題を解決するために、請求項1に記載の発明は、N極とS極との磁極が交互に並べられる可動子又は固定子の一方と、複数のコイルを含む可動子又は固定子の他方と、を有し、前記一方から発生する磁界と前記他方の前記コイルに流れる電流とによって、前記磁極が交互に並ぶ方向に前記可動子が前記固定子に対して運動するリニアモータと、目盛りが設けられたリニアスケールと、前記リニアスケールの目盛りを読み取り、前記固定子に対する前記可動子の相対的な位置を示す第1の位置情報を生成する位置センサと、前記一方から発生する磁界を検出し、前記運動によって生ずる磁界の変化に伴って、90°の位相差を持つ正弦波状信号及び余弦波状信号を出力する磁気センサと、前記正弦波状信号及び前記余弦波状信号に基づいて、前記固定子に対する前記可動子の相対的な位置を示す第2の位置情報を生成する位置検出手段と、前記位置情報に基づいて、前記コイルに供給される電流を制御する制御装置と、を備え、前記リニアスケール又は前記位置センサの一方は、前記可動子とともに移動し、前記リニアスケール又は前記位置センサの他方は、前記可動子が前記運動によって移動可能な範囲のうちの一部の範囲のみで前記位置センサが前記リニアスケールの目盛りを読み取ることができるように配設され、前記制御装置は、前記可動子が前記一部の範囲外を移動しているときには、前記第2の位置情報を前記制御に用い、前記可動子が前記一部の範囲内を移動しているときに、当該範囲内で前記可動子を停止させる場合には、前記第1の位置情報を前記制御に用いることを特徴とする。
【0007】
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載のリニアモータシステムにおいて、前記生成された第1の位置情報又は前記生成された第2の位置情報の何れか一方を、前記制御装置による制御に基づいて当該制御装置に供給する位置情報供給手段を更に備え、前記制御装置は、前記一部の範囲に対して前記可動子の位置を対応付けた範囲情報を記憶する記憶手段を有し、前記位置情報供給手段から供給された位置情報と、前記範囲情報と、に基づいて、前記可動子が前記一部の範囲に位置しているか否かを判定し、前記第1の位置情報又は前記第2の位置情報のうち前記コイルに供給される電流の制御に用いる方の位置情報を、前記位置情報供給手段から供給させることを特徴とする。
【0008】
請求項3に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアモータシステムにおいて、前記リニアモータは、前記可動子又は前記固定子の一方として、軸線方向と直交する方向の両端面にN極及びS極の磁極が着磁される複数のマグネットが軸線方向に並べられる界磁マグネットを有し、前記可動子又は前記固定子の他方として、前記界磁マグネットにすきまを介して対向する複数のコイルを有するフラットタイプリニアモータであることを特徴とする。
【0009】
請求項4に記載の発明は、請求項1又は請求項2に記載のリニアモータシステムにおいて、前記リニアモータは、前記可動子又は前記固定子の一方として、軸線方向の両端部にN極及びS極の磁極が着磁される複数のマグネットが、隣り合うマグネットのN極同士及びS極同士が向かい合うように軸線方向に並べられるロッドを有し、前記可動子又は前記固定子の他方として、前記ロッドを囲む複数のコイルを有するロッドタイプリニアモータであることを特徴とする。
【0010】
請求項5に記載の発明は、N極とS極との磁極が交互に並べられる可動子又は固定子の一方と、複数のコイルを含む可動子又は固定子の他方と、を有し、前記一方から発生する磁界と前記他方の前記コイルに流れる電流とによって、前記磁極が交互に並ぶ方向に前記可動子が前記固定子に対して運動するリニアモータを備え、制御装置により、前記コイルに供給される電流が、前記固定子に対する前記可動子の相対的な位置を示す位置情報に基づいて制御されるリニアモータアクチュエータにおいて、目盛りが設けられたリニアスケールと、前記リニアスケールの目盛りを読み取り、第1の前記位置情報を生成する位置センサと、前記一方から発生する磁界を検出し、前記運動によって生ずる磁界の変化に伴って、90°の位相差を持つ正弦波状信号及び余弦波状信号を出力する磁気センサと、を備え、前記正弦波状信号及び前記余弦波状信号に基づいて、第2の前記位置情報が位置検出手段により生成され、前記リニアスケール又は前記位置センサの一方は、前記可動子とともに移動し、前記リニアスケール又は前記位置センサの他方は、前記可動子が前記運動によって移動可能な範囲のうちの一部の範囲のみで前記位置センサが前記リニアスケールの目盛りを読み取ることができるように配設され、前記可動子が前記一部の範囲外を移動しているときには、前記第2の位置情報に基づいて制御装置により前記コイルに供給される電流が制御され、前記可動子が前記一部の範囲内を移動しているときに、当該範囲内で前記可動子が停止する場合には、前記第1の位置情報に基づいて制御装置により前記コイルに供給される電流が制御されることを特徴とする。
【0011】
請求項6に記載の発明は、N極とS極との磁極が交互に並べられる可動子又は固定子の一方と、複数のコイルを含む可動子又は固定子の他方と、を有し、前記一方から発生する磁界と前記他方の前記コイルに流れる電流とによって、前記磁極が交互に並ぶ方向に前記可動子が前記固定子に対して運動するリニアモータと、目盛りが設けられたリニアスケールと、前記リニアスケールの目盛りを読み取り、前記固定子に対する前記可動子の相対的な位置を示す第1の位置情報を生成する位置センサと、前記一方から発生する磁界を検出し、前記運動によって生ずる磁界の変化に伴って、90°の位相差を持つ正弦波状信号及び余弦波状信号を出力する磁気センサと、前記正弦波状信号及び前記余弦波状信号に基づいて、前記固定子に対する前記可動子の相対的な位置を示す第2の位置情報を生成する位置検出手段と、を備え、前記リニアスケール又は前記位置センサの一方は、前記可動子とともに移動し、前記リニアスケール又は前記位置センサの他方は、前記可動子が前記運動によって移動可能な範囲のうちの一部の範囲のみで前記位置センサが前記リニアスケールの目盛りを読み取ることができるように配設されるリニアモータの位置検出システムにおける前記コイルに供給される電流を、前記位置情報に基づいて制御する制御装置において、前記可動子が前記一部の範囲外を移動しているときには、前記第2の位置情報を前記制御に用い、前記可動子が前記一部の範囲内を移動しているときに、当該範囲内で前記可動子を停止させる場合には、前記第1の位置情報を前記制御に用いることを特徴とする。
【発明の効果】
【0012】
本発明によれば、位置センサがリニアスケールの目盛りを読み取ることができない範囲を可動子が移動しているときには、リニアモータの推力を得るための磁極から発生する磁界を磁気センサで検出することによって得られた位置情報で制御が行われ、位置センサがリニアスケールの目盛りを読み取ることができる範囲を可動子が移動してるときに可動子を停止させる場合には、位置センサからの位置情報で制御が行われるので、リニアスケールを可動子の移動可能範囲全域に取り付けなくても、可動子を高速に移動させることができ、且つ、予め定められた停止位置での停止精度を高めることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0013】
以下、本発明を実施するための好適な実施形態について、図面を参照しつつ説明する。なお、以下の各実施形態は、各請求項に係る発明を限定するものではなく、また、各実施形態の中で説明されている特徴の組み合わせの全てが発明の解決手段に必須であるとは限らない。
【0014】
[1.第1実施形態]
以下、リニアモータとして、フラットタイプリニアモータに本発明を適用した場合における実施形態について説明する。
【0015】
[1.1 リニアモータシステムの構成]
まず、第1実施形態に係るリニアモータシステム1の構成を、図1を用いて説明する。ここで、図1は、第1実施形態に係るリニアモータシステム1の概要構成を示す図である。
【0016】
図1に示すように、リニアモータシステム1は、アクチュエータ21と、位置検出手段としてのインターポレータ25と、位置情報供給手段としての位置情報切替器26と、ドライバ27と、を備えている。そして、アクチュエータ21は、スライダ(移動体)2と、スライダ2をスライド自在に支持するベース4と、ベース4に取り付けられた複数のリニアスケール22と、リニアスケール22を読み取りスライダ2(に取り付けられた電機子)の位置を検出する位置センサとしての光センサ23と、磁界の方向を検出する磁気センサ24と、を備えている。
【0017】
アクチュエータ21は、スライダ2をリニアモータでベース4の長手方向に往復運動させるリニアモータアクチュエータである。ベース4には、複数のリニアスケール22が取り付けられており、各リニアスケール22には、ベース4の長手方向に沿って一定間隔で、目盛りとしてのスリットが配列されている。スライダ2には、光センサ23と磁気センサ24とが取り付けられている。
【0018】
光センサ23は、発光ダイオードを点灯させ、リニアスケール22のスリットを通して発光ダイオードからの光を断続的にフォトダイオードで受光することによって、スライダ2の位置を示す第1の位置情報をエンコーダケーブル31を介して位置情報切替器26に出力する。磁気センサ24は、ベース4上に並べられた駆動用マグネットから発生する磁界を検出し、検出した磁界に応じた信号をケーブル32を介してインターポレータ25に出力する。
【0019】
インターポレータ25は、磁気センサ24が出力する信号を内挿処理し、スライダ2(に取り付けられた電機子)の位置を示す第2の位置情報をエンコーダケーブル33を介して位置情報切替器26に出力する。位置情報切替器26は、ドライバ27から出力される制御信号に応じて、第1の位置情報と第2の位置情報のうちの一方をエンコーダケーブル34を介してドライバ27に出力する。ドライバ27は、位置情報切替器26から出力された位置情報に基づいて、リニアモータのコイルに供給する電流を制御する。ドライバ27からの電流は、動力ケーブル35を介してスライダ2に取り付けられたリニアモータのコイルに供給される。
【0020】
本実施形態においては、スライダ2の移動可能な範囲のうち、事前に計画されている停止位置を含むその停止位置前後の位置決めするための領域(以下、「停止領域」という)のみにリニアスケール22が取り付けられる。図1に示す例では、スライダ2の移動可能な範囲の両端にそれぞれリニアスケール22が取り付けられているとともに、やや中央よりに1箇所リニアスケール22が取り付けられている。つまり、アクチュエータ21においては、3箇所の停止領域が設けられている。
【0021】
停止領域以外の領域は、スライダ2が基本的に通過するだけの領域である(以下、「通過領域」という)。ただし、通過領域であっても、必要に応じてスライダ2を停止させることは可能である。ここで、やや中央よりに設けられた停止領域においては、スライダ2がその移動手順により、停止する場合と通過する場合とがある。
【0022】
ドライバ27は、スライダ2が通過領域に位置しているときには(通過するだけの場合、通過領域で停止させる場合、及び、移動を開始させる場合を含む)、磁気センサ24の出力信号に基づきインターポレータ25から出力された第2の位置情報に基づいて、リニアモータのコイルに供給する電流を制御する。一方、ドライバ27は、スライダ2が停止領域を移動しているときに、その停止領域でスライダ2を停止させる場合には、光センサ23から出力された第1の位置情報に基づいて、リニアモータのコイルに供給する電流を制御する。これら以外の場合、例えば、やや中央よりの停止領域をスライダ2が通過するだけの場合、スライダ2が停止領域で停止しているときに移動を開始させる場合には、ドライバ27は、どちらの位置情報を用いてもよい。本実施形態においては、第2の位置情報に基づいてリニアモータのコイルに供給する電流を制御することとする。
【0023】
[1.2 リニアモータアクチュエータの構成]
次に、アクチュエータ21の構成について、図2乃至4を用いて説明する。ここで、図2は、第1実施形態に係るアクチュエータ21の斜視図である。また、図3は、第1実施形態に係るアクチュエータ21の正面図である。また、図4は、第1実施形態に係る電機子10の移動方向に沿った断面図である。
【0024】
アクチュエータ21のリニアモータ11は、表面にN極又はS極が着磁される複数枚の板状の駆動用マグネット5を有する界磁マグネットに対して、電機子10が相対的に直線運動するフラットタイプのリニアモータである。電機子10は界磁マグネットにすきまgを介して対向する。
【0025】
細長く伸びるベース4上には、板状の複数枚の駆動用マグネット5が軸線方向に一列に並べられる。これら複数枚の駆動用マグネット5がリニアモータ11の固定子となる。ベース4は、底壁部4aと、底壁部4aの幅方向の両側に設けられる一対の側壁部4bとから構成される。底壁部4aの上面に駆動用マグネット5が取り付けられる。
【0026】
各駆動用マグネット5には、軸線方向と直交する方向(図中上下方向)の両端面にN極及びS極が形成される。複数枚の駆動用マグネット5の表面に交互にN極及びS極が形成されるように、各駆動用マグネット5は隣接する一対の駆動用マグネット5に対して、磁極を反転させた状態で並べられる。
【0027】
ベース5の側壁部4bの側面の一部には、リニアスケール22が、そのスリットの並びがベース5の長手方向に沿うようにして取り付けられる。
【0028】
ベース4の側壁部4bの上面には、リニアガイド9の軌道レール8が取り付けられる。軌道レール8には、移動ブロック7がスライド可能に組み付けられる。軌道レール8と移動ブロック7との間には、転がり運動可能に複数のボールが介在される(図示せず)。移動ブロック7には、複数のボールを循環させるためのサーキット状のボール循環経路が設けられる。軌道レール8に対して移動ブロック7がスライドすると、複数のボールがこれらの間を転がり運動し、また複数のボールがボール循環経路を循環する。これにより、移動ブロック7の円滑な直線運動が可能になる。
【0029】
一つの移動ブロック7の側面には、ブラケット28が取り付けられる。ブラケット28には、光センサ23が、リニアスケール22の読み取りが可能なように取り付けられる。
【0030】
リニアガイド9の移動ブロック7の上面には、テーブル3が取り付けられる。テーブル3は例えばアルミなどの非磁性材料からなる。テーブル3には、移動対象が取り付けられる。テーブル3の下面には、リニアモータ11の可動子である電機子10が吊り下げられる。図3の正面図に示されるように、駆動用マグネット5と電機子10との間にはすきまが設けられる。リニアガイド9は、電機子10が駆動用マグネット5に対して相対的に移動するときにも、このすきまgを一定に維持する。
【0031】
図4に示すように、テーブル3の下面には、断熱材13を介して電機子10が取り付けられる。電機子10は、珪素鋼などの磁性材料からなるコア14と、コア14の突極14a,14b,14cに巻かれる三相コイル16a,16b,16cと、から構成される。三相コイル16a,16b,16cそれぞれには、120度の位相差をもつ三相交流電流が供給される。突極14a,14b,14cに三相コイル16を巻いた後、三相コイル16は樹脂封止される。
【0032】
テーブル3の下面には、電機子10を挟んで一対の補助コア17が取り付けられる。補助コア17は、リニアモータ11に発生するコギングを低減するために設けられる。
【0033】
図3に示されるように、電機子10には、磁気センサ24が取り付けられる。磁気センサ24は、電機子10と共に移動しながら固定子である複数枚の駆動用マグネット5の磁界の方向(磁気ベクトルの方向)を検出する。
【0034】
[1.3 駆動用マグネットと磁気センサとを用いた位置検出の方法]
次に、駆動用マグネットと磁気センサとを用いた位置検出の方法について説明する。
【0035】
[1.3.1 磁気センサの構成]
まず、磁気センサ24の構成について、図5乃至17を用いて説明する。ここで、図5は、第1実施形態に係る磁気センサ24の原理を示す図である。また、図6は、磁界の方向の角度θと磁気センサ24の抵抗値との関係を示すグラフである。また、図7は、磁気センサの強磁性薄膜金属の形状の一例を示す平面図である。また、図8は、図7に示す磁気センサの等価回路図である。また、図9は、ホイーストン・ブリッジから構成される磁気センサの一例を示す図である。また、図10は、駆動用マグネット5が発生する磁界と磁気センサ24との位置関係を示す図である。また、図11は、磁気センサ24が検出する磁気ベクトルの方向と、出力電圧の関係を示すグラフである。また、図12は、二組のフルブリッジ構成の磁気センサの一例を示す図であり、(a)は、磁気センサの強磁性薄膜金属の形状を示す平面図であり、(b)は、等価回路図である。また、図13は、磁気センサ24から出力される正弦波状信号及び余弦波状信号を示すグラフである。また、図14は、駆動用マグネット5と磁気センサ24の位置関係及び磁気センサ24の出力信号を示す概念図である。また、図15は、正弦波及び余弦波によって描かれるリサージュ図形を示す図である。また、図16は、複数枚の駆動用マグネット5の平面図である。また、図17は、シミュレーションにより計算した磁界強度(磁束密度)と正弦波を比較したグラフである。
【0036】
図5に示されるように、磁気センサ24は、Si若しくはガラス基板36と、その上に形成されたNi,Feなどの強磁性金属を主成分とする合金の強磁性薄膜金属で構成される磁気抵抗素子37を有する。磁気センサ24は、特定の磁界方向で抵抗値が変化するためにAMR(Anisotropic-Magnetro-Resistance)センサ(異方性磁気抵抗素子)と呼ばれる。
【0037】
磁気抵抗素子37に電流を流し、抵抗変化量が飽和する磁界強度を印加し、その磁界(H)の方向を電流方向Yに対して角度変化θを与えたとする。図6に示されるように、抵抗変化量(△R)は、電流方向と磁界の方向が垂直(θ=90°,270°)の時に最大となり、電流方向と磁界の方向が平行(θ=0°,180°)の時に最小となる。抵抗値Rは、電流方向と磁界方向の角度成分に応じて、下記の(1)式のように変化する。
【0038】
R=Ro−△Rsin2θ…(1)
Ro:無磁界中の強磁性薄膜金属の抵抗値
△R:抵抗変化量
θ:磁界方向を示す角度
【0039】
飽和感度領域以上であれば、△Rは定数になり、抵抗値Rは磁界の強度には影響されなくなる。
【0040】
飽和感度領域以上の磁界強度で、磁界の方向を検出する磁気センサ24の強磁性薄膜金属の形状を図7に示す。縦方向に形成された強磁性薄膜金属エレメント(R1)と横方向のエレメント(R2)が直列に結線した形状になる。
【0041】
エレメント(R1)に対して最も大きな抵抗変化を促す垂直方向の磁界は、エレメント(R2)に対し最小の抵抗変化となる。抵抗値R1とR2は次式で与えられる。
【0042】
R1=Ro−△Rsin2θ…(2)
【0043】
R2=Ro−△Rcos2θ…(3)
【0044】
この磁気センサ24の等価回路(ハーフブリッジ)を図8に示す。出力Voutは次式で与えられる。
【0045】
Vout=R1・Vcc/(R1十R2)…(4)
【0046】
(4)式に(2),(3)式を代入し、整理すると、
【0047】
Vout=Vcc/2十αcos2θ…(5)
α=△R・Vcc/2(2Ro−△R)
が成立する。
【0048】
図9に示されるように強磁性薄膜金属の形状を形成すれば、一般的に知られているホイーストン・ブリッジの構成となる。二つの出力Vout+とVout−を用いることにより、中点電位の安定性の向上と増幅を行うことが可能になる。
【0049】
電機子10が直線運動するときの磁界方向の変化と磁気センサ24の出力について説明する。図10に示されるように、磁気センサ24を、飽和感度領域以上の磁界強度が印加されるギャップlの位置に、かつ磁界の方向変化がセンサ面に寄与するように配置する。図11に示されるように、電機子10が距離λを直線移動したとき、センサ面では磁界の方向が1回転となる。このときに電圧の信号は1周期の正弦波になる。より正確にいえば、(5)式のVout=Vcc/2+αcos2θより出力波形は2周期の波形となる。しかし、磁気センサ24のエレメントの延伸方向に対して45°にバイアス磁界を掛けるならば、周期が半減し、電機子10がλを直線移動したときに1周期の出力波形が得られる。
【0050】
運動の方向を知るためには、図12に示されるように、二組のフルブリッジ構成のエレメントを、互いに45°傾くように一つの基板上に形成すればよい。二組のフルブリッジ回路によって得られた出力VoutAとVoutBは、図13に示されるように、互いに90°の位相差を持つ余弦波及び正弦波となる。
【0051】
本実施形態によれば、磁気センサ24が駆動用マグネット5の磁界の方向の変化を検出するので、たとえ図14に示されるように、磁気センサ24の取り付け位置が(1)から(2)にずれたとしても、磁気センサ24が出力する正弦波及び余弦波には変化が少ない。
【0052】
図15に示されるように、正弦波及び余弦波によって描かれるリサージュ図形も円の大きさが変化しにくくなる。しかし、そうであっても、フラットタイプのリニアモータにおいては、正弦波及び余弦波に歪みが生じる。
【0053】
ここで、固定子である駆動用マグネット5の形状及び駆動用マグネット5が発生する磁界強度の分布について説明する。図16は、複数枚の駆動用マグネット5の平面図である。また、図17は、シミュレーションにより計算した磁界強度(磁束密度)と正弦波を比較したグラフである。
【0054】
磁気センサ24は、駆動用マグネット5の中央部の上方を通過する。駆動用マグネット5は磁気センサ24の下側にのみ配置される。駆動用マグネット5に発生する磁力線は空気を伝わって隣の駆動用マグネット5に伝わる。図17には、磁気センサ24が移動する位置における磁界強度の分布が示されている。シミュレーションの結果、磁界強度の分布が太った波形になり、理想的な正弦波から若干歪んだ。これは、磁気センサ24の移動方向における各駆動用マグネット5の両端部の磁界強度が高くなり、これによって、可動子の移動方向における駆動用マグネット5の中央部の磁界強度が両端部の磁界強度に近くなり、ピークがでにくくなっていることが原因だと思われる。
【0055】
磁気センサ24を(磁気抵抗素子37に対して飽和感度領域以上の磁界強度が印加される範囲内で)駆動用マグネット5から離せば離すほど、磁気センサ24が通過する部分の磁束密度の分布を正弦波に近付けることができる。つまり、位置検出の精度を高めることができる。しかし、その分スペースが大きくはなる。
【0056】
[1.3.2 駆動用マグネットの形状による正弦波の波形の改善]
次に、磁気センサ24が出力する信号を理想的な正弦波に近付けるための例について、図18乃至22を用いて説明する。ここで、図18は、駆動用マグネット5の端部を円弧形状に形成した場合の一例であり、(a)は、複数枚の駆動用マグネット5の平面図であり、(b)は、各駆動用マグネット5の幅方向の端部の平面図である。また、図19は、図18に示す駆動用マグネット5において、シミュレーションにより計算した磁界強度(磁束密度)と正弦波を比較したグラフである。また、図20は、駆動用マグネット5の他の例を示す図である。また、図21は、駆動用マグネット6の側面形状の他の例を示す側面図である。また、図22は、駆動用マグネット6の側面形状のさらに他の例を示す側面図である。
【0057】
図18(a)及び(b)に示すように、駆動用マグネット5の磁気センサ24が通過する部分L1である端部5a(正確にいえば磁気センサ24が通過する部分L1の下方にある端部5a)を、円弧形状に形成する。そうすると、この端部5aが円弧形状に形成されるので、電機子10の移動方向の中央部18の横幅W2が両端部19の横幅W1よりも広くなる。
【0058】
駆動用マグネット5の中央部18の横幅を両端部19よりも広くすることで、図19に示すように、駆動用マグネット5の中央部18に磁界強度のピークをもってくることができ、両端部19の磁界強度を小さくすることができる。したがって、シミュレーションによって得られる磁界強度の分布が正弦波に近くなる。
【0059】
図20は、各駆動用マグネット5の他の例を示す平面図である。図20(a)は図18で示した場合と同様に、駆動用マグネット5の幅方向の端部5aが円弧形状に形成される例を示す。図20(a)の二点鎖線は、駆動用マグネット5の幅方向の両端部5a,5bを円弧形状に形成した例を示す。このようにすると、コイルの有効長さの全長にわたって駆動用マグネット5の磁界強度の分布を正弦波に近付けることができる。このため、リニアモータ11に発生するコギングを低減することができる。
【0060】
図20(b)は、駆動用マグネット5の幅方向の端部5cを三角形状に尖らせた例を示す。図20(b)中の二点鎖線は、コギングを低減するために幅方向の両端部5c,5dを三角形状に尖らせた例を示す。
【0061】
図20(c)は、駆動用マグネット5の幅方向の端部5eを台形形状に尖らせた例を示す。図20(c)中の二点鎖線は、コギングを低減するために幅方向の両端部5e,5fを台形形状に尖らせた例を示す。
【0062】
図20(d)は、駆動用マグネット5の幅方向の端部5gを楕円形状に丸めた例を示す。図20(d)中の二点鎖線は、コギングを低減するために幅方向の両端部5,5hを楕円形状に丸めた例を示す。
【0063】
図20(e)はコギングを低減するために、駆動用マグネット5の全体を斜めに傾けた例を示す。駆動用マグネット5の幅方向の端部5iの平面形状は、円弧形状に形成されると共に、可動子の移動方向に直交する線L2に対して対称である。端部5iの平面形状を線対称に形成することで、磁界強度の分布を正弦波に近付けることができる。
【0064】
図20(f)はコギングを低減するために、駆動用マグネット5の全体を斜めに傾けた例を示す。この例では、駆動用マグネット5の端部5jは、円弧形状に形成されると共に、傾けた中心線L3に対して対称に形成される。
【0065】
図21は、駆動用マグネットのさらに他の例を示す。この例の駆動用マグネット6は、側面図において、各駆動用マグネット6の磁気センサ24が通過する部分の形状(正確には磁気センサ24が通過する部分の下方の形状)は、半円形状に形成され、可動子の移動方向の中央部6aの高さが両端部6bの高さよりも高い。駆動用マグネット6の中央部6aの高さを高く、両端部6bの高さを低くすることで、駆動用マグネット6の中央部6aに磁界強度のピークをもってくることができ、両端部6bの磁界強度を小さくすることができる。したがって、シミュレーションによって得られる磁界強度の分布20も正弦波に近くなる。
【0066】
駆動用マグネット6を幅方向(図21の紙面の直交方向)に断面一定の半円柱形状にすることで、磁気センサ24の幅方向の取り付け位置によらず、磁界強度の分布を正弦波に近付けることができる。また、駆動用マグネット6の全体が発生する磁界の分布が正弦波に近付くので、コギングも低減できる。
【0067】
図22は、駆動用マグネット6の側面形状のさらに他の例を示す。図22(a)は、図28の例と同様に、駆動用マグネット6の側面形状を半円柱形状に形成した例を示す。図22(b)は三角形状に形成した例を、図22(c)は台形形状に形成した例を、図22(d)は五角形形状に形成した例を示す。図22(e)は駆動用マグネット6の側壁56cを直線形状にし、上部6dを円弧形状にした例を示す。図22(f)は駆動用マグネット6の側壁6eを直線形状にし、上部6fを直線と円弧の組み合わせで構成した例を示す。いずれの例においても、可動子の移動方向における駆動用マグネット6の中央部の高さが両端部の高さよりも高く設定される。
【0068】
このように、駆動用マグネット5の磁気センサ24が通過する部分の平面形状を円弧形状に形成したり、駆動用マグネット6の磁気センサ24が通過する部分の側面形状を半円柱形状に形成したりすることで、磁気センサ24を駆動用マグネット5,6からそれほど離さなくても、磁気センサ24が通過する部分の磁束密度の分布を正弦波に近付けることができる。また、駆動用マグネット6の側面形状を半円柱形状に形成すると、駆動用マグネット6の磁束密度の大きさが若干小さくなる。駆動用マグネット5の平面形状を円弧形状に形成することで、磁束密度の大きさも小さくなることがなく、リニアモータ11の推力を大きくすることができる。
【0069】
[1.3.3 インターポレータの構成]
次に、インターポレータ25の構成について、図23及び図24を用いて説明する。ここで、図23は、インターポレータ25の概要構成を示す図である。また、図24は、ルックアップテーブルメモリのメモリ構成の一例を示す図である。
【0070】
磁気センサ24が出力する正弦波状信号及び余弦波状信号は、インターポレータ25に取り込まれる。内挿回路であるインターポレータ25は、90°位相が異なる正弦波状信号及び余弦波状信号にディジタル的な内挿処理を加えて高分解能の位相角データを出力する。駆動用マグネット5の磁極間のピッチは例えば数十mmのオーダーであり、光学式又は磁気式のエンコーダの数百μmのオーダーに比べてはるかに大きい。駆動用マグネット5を磁気スケールとして流用するときには、磁気センサ24が出力する正弦波状信号及び余弦波状信号を細分化し、分解能を上げる必要がある。磁気センサ24が出力する正弦波状信号及び余弦波状信号の変化は、分解能を上げた位置検出回路に大きな影響を及ぼす。このため、磁気センサ24が出力する正弦波状信号及び余弦波状信号の変化は小さいことが望まれる。
【0071】
90°位相が異なる正弦波状信号及び余弦波状信号それぞれは、A/D変換器30に入力される。A/D変換器30は、正弦波状信号及び余弦波状信号それぞれを所定の周期でディジタルデータDA,DBにサンプリングする。
【0072】
予め、図24に示されるように、ルックアップテーブルメモリ39には、逆正接関数(TAN−1)を用いた次の式に基づいて作成されたルックアップテーブルデータが記録されている。
【0073】
u=TAN−1(DB/DA)
【0074】
図19には、8ビット×8ビットのアドレス空間に1周期1000分割の位相角データを持たせる場合のルックアップテーブルメモリのメモリ構成が示されている。
【0075】
位相角データ算出手段である信号処理部40は、ディジタルデータDA,DBをそれぞれx,yアドレスとしてルックアップテーブルデータを検索し、x,yアドレスに対応した位相角データuを得る。これにより、1波長(0から2πまでの区間)内を分割・内挿することが可能になる。なお、ルックアップテーブルメモリを用いる替わりに、u=ATAN−1(DB/DA)の演算をして、位相角データuを算出することにより、1波長(0から2πまでの区間)内を分割・内挿してもよい。
【0076】
次に、パルス信号発生手段である信号処理部40は、位相角データuからA相エンコーダパルス信号及びB相エンコーダパルス信号を生成し、1周期に1度のZ相パルス信号を生成する。信号処理部40が出力するA相パルス信号、B相パルス信号、Z相パルス信号は、第2の位置情報として位置情報切替器26に出力される。
【0077】
[1.4 ドライバの構成及び動作]
次に、ドライバ27の構成について、図25及び図26を用いて説明する。ここで、図25は、ドライバ27の概要構成を示すブロック図である。また、図26は、制御器42の処理例を示すフローチャートである。
【0078】
図25に示すように、ドライバ27は、リニアモータ11を制御するのに適した形態をした電力を供給するPWM(Pulse Width Modulation)インバータ等の電力変換器43と、上位の指令器41からの指令によって電力変換器43を制御する制御器42と、を含んで構成される。
【0079】
光センサ23は、電機子10が停止領域を移動している間にリニアスケール22を読み取り、第1の位置情報を位置情報切替器26に出力する。一方、磁気センサ24は、電機子10の移動に伴い、正弦波状及び余弦波状の電圧信号を出力する。
【0080】
インターポレータ25は、正弦波状及び余弦波状の電圧信号に基づいて、第2の位置情報を算出する。インターポレータ25が算出した第2の位置情報は、位置情報切替器26に出力される。
【0081】
位置情報切替器26は、供給された第1の位置情報又は第2の位置情報のうち一方の位置情報をドライバ27に出力する。どちらの位置情報を出力するかについては、制御器42によって制御される。
【0082】
制御器42は、指令器41からの位置指令どおりに電機子10が移動するように、電力変換器43を制御し、最終的にはリニアモータ11の電機子10に供給する電流を制御する。制御器42は、電機子10を停止させるか否かという情報と、電機子10が停止領域に位置しているか否かという情報とに基づいて、位置情報切替器26から第1の位置情報又は第2の位置情報を出力させる。制御器42は、電機子10を停止させるか否かについては、指令器41からの指令に基づいて判断する。一方、制御器42は、電機子10が停止領域に位置しているか否かについては、位置情報切替器26から出力された位置情報と制御器42が有するメモリに記憶されている停止領域座標データとに基づいて判断する。範囲情報としてメモリに記憶されている停止領域座標データは、停止領域の範囲と電機子10の位置との関係を示している(例えば、座標x1〜x2が第1の停止領域、座標x3〜x4が第2の停止領域等)。制御器42は、この停止領域座標データと位置情報とを照合することにより、電機子10が位置している領域を判断することができる。
【0083】
図26に示すように、制御器42は、指令器41からの指令に基づいて、電機子10を停止させるか否かを判定する(ステップS1)。このとき、制御器42は、電機子10を停止させない場合には(ステップS1:NO)、位置情報切替器26からは第2の位置情報を出力させ、第2の位置情報に基づいてリニアモータ11の三相コイル16に供給される電流を制御する(ステップS2)。次いで、制御器42は、ステップS1に移行する。
【0084】
一方、制御器42は、電機子10を停止させる場合には(ステップS1:YES)、位置情報切替器26からの位置情報と停止領域座標データとに基づいて、電機子10の現在位置が停止領域に入っているか否かを判定する(ステップS3)。このとき、制御器42は、電機子10の現在位置が停止領域に入っていない場合、すなわち、電機子10が通過領域に入っている場合には(ステップS3:NO)、位置情報切替器26からは第2の位置情報を出力させ、第2の位置情報に基づいてリニアモータ11の三相コイル16に供給される電流を制御する(ステップS2)。駆動用マグネット5と磁気センサ24とを用いた位置検出によって、リニアスケール22が取り付けられていない通過領域でも、電機子10を所望の位置に停止させることができる。次いで、制御器42は、ステップS1に移行する。
【0085】
一方、制御器42は、電機子10の現在位置が停止領域に入っている場合には(ステップS3:YES)、位置情報切替器26からは第1の位置情報を出力させ、第2の位置情報に基づいてリニアモータ11の三相コイル16に供給される電流を制御する(ステップS4)。停止領域では、リニアスケール22と光センサ23とを用いた位置検出によって、通過領域で停止させる場合と比較して、より精度良く電機子10を所望の位置に停止させることができる。次いで、制御器42は、ステップS1に移行する。このようにして、制御器42は、制御ループを繰り返す。
【0086】
以上説明したように、本実施形態によれば、ドライバ27の制御器42は、電機子10が通過領域の中を移動しているときには、インターポレータ25からの第2の位置情報に基づいてリニアモータ11の三相コイル16に供給される電流を制御し、電機子10が停止領域の中を移動しているときに当該領域内で電機子10を停止させる場合には、リニアスケール22を読み取った光センサ23からの第1の位置情報に基づいて三相コイル16に供給される電流を制御するので、リニアスケール22を通過領域に取り付けなくても、通過領域では高速に電機子10を移動させることができ、且つ、停止領域での電機子10の停止精度を高めることができる。
【0087】
また、駆動用マグネット5をリニアスケールの代わりとして用い、磁気センサ24が駆動用マグネット5の磁界を検出し、電機子10の移動に伴って90°の位相差を持つ正弦波状信号及び余弦波状信号を出力し、インターポレータ25が、正弦波状信号及び余弦波状信号に基づいて第2の位置情報を生成し、ドライバ27の制御器42に供給するので、制御器42は、リニアスケール22が取り付けられていない通過領域でも、第2の位置情報に基づいて電機子10を通過領域内の所望の位置に停止させることができる。
【0088】
また、制御器42は、位置情報切替器26から供給された位置情報とメモリに記憶されている停止領域座標データとに基づいて、電機子10の現在位置が停止領域に入っているか否かを判定し、電機子10の現在位置が停止領域から外れている場合には、第2の位置情報を供給するように位置情報切替器26を制御し、電機子10の現在位置が停止領域に入っているときに当該領域内で電機子10を停止させる場合には、第1の位置情報を出力するように位置情報切替器26を制御するので、光センサ23と磁気センサ24との切替を容易且つ適切に行うことができる。
【0089】
また、軸線方向と直交する方向の両端面にN極及びS極の磁極が着磁される複数の駆動用マグネット5が軸線方向に並べられ、この複数の駆動用マグネット5とすきまを介して電機子10を対向させ、磁極センサ24が駆動用マグネット5から発生する磁界を検出するようにしたので、リニアスケール22を取り付けなくても、高速に電機子10を移動させることができ、且つ、電機子10の停止精度を高めることを、フラットタイプのリニアモータで実現することができる。
【0090】
[2.第2実施形態]
次に、リニアモータとして、ロッドタイプリニアモータに本発明を適用した場合における実施形態について説明する。
【0091】
まず、第2実施形態に係るリニアモータシステム50の構成を、図27を用いて説明する。ここで、図27は、第2実施形態に係るリニアモータシステム50の概要構成を示す図である。
【0092】
図27に示すように、リニアモータシステム50は、アクチュエータ51と、位置検出手段としてのインターポレータ57と、位置情報供給手段としての位置情報切替器58と、ドライバ59と、を備えている。そして、アクチュエータ51は、スライダ52と、スライダ52をスライド自在に支持するベース53と、ベース53に取り付けられた複数のリニアスケール54と、リニアスケール54を読み取りスライダ52に取り付けられたフォーサ62の位置を検出する位置センサとしての光センサ55と、磁界の方向を検出する磁気センサ56と、を備えている。
【0093】
アクチュエータ51は、スライダ52に取り付けられたリニアモータ71のロッド61の軸線方向に対してスライダ52が移動するロッドタイプリニアモータアクチュエータである。リニアモータ71は、長尺な円柱状に形成された固定子としてのロッド61と、このロッド61の周囲にわずかな隙間を介して遊嵌した可動子としてのフォーサ62とから構成されている。ロッド61には、軸線方向に沿って複数のマグネットが配列されている。各マグネットは軸線方向の両端部にN極及びS極を有しており、互いに隣接するマグネットはN極同士又はS極同士が対向するように交互に向きを逆転させて配列されている。これによって、ロッド61は、軸線方向に沿ってN極の磁極とS極の磁極とが交互に並んだ界磁マグネットとなっている。また、ロッド61は、その両端がベース53のエンドプレートにそれぞれ固定されている。フォーサ62は、全体が四角柱状に形成されるフォーサハウジング内に、ロッド61が軸線方向に貫通する円筒状のコイル部材を収納して構成される。コイル部材は、U,V及びW相の3つのコイルを1組とする複数のコイルを有している。コイル部材に三相電流を流すと、コイル部材の軸線方向に、移動する移動磁界が発生する。フォーサ62は、移動磁界とロッド61から発生する界磁との相互作用により推力を得て、スライダ52とともに移動磁界の速さに同期してロッド61に対して相対的に直線運動を行う。
【0094】
第1実施形態の場合と同様に、ベース54の側壁部には、複数のリニアスケール54が取り付けられており、各リニアスケール54には、ベース54の長手方向に沿って一定間隔でスリットが配列されている。スライダ52には、光センサ55と磁気センサ56とが取り付けられている。
【0095】
光センサ55から出力される第1の位置情報は、エンコーダケーブル81を介して位置情報切替器58に供給される。磁気センサ56から出力された正弦波状信号及び余弦波状信号は、ケーブル82を介してインターポレータ25に供給される。インターポレータ25から供給される第2の位置情報は、エンコーダケーブル83を介して位置情報切替器58に供給される。位置情報切替器58から出力される位置情報は、エンコーダケーブル84を介してドライバ59に供給される。ドライバ27からの電流は、動力ケーブル85を介してスライダ52に取り付けられたリニアモータのコイルに供給される。
【0096】
光センサ55、磁気センサ56、インターポレータ57、位置情報切替器58及びドライバ59の構成は、第1実施形態において説明した光センサ23、磁気センサ24、インターポレータ25、位置情報切替器26及びドライバ27とそれぞれ同様であるので、詳細な説明は省略する。
【0097】
本実施形態においても、第1実施形態の場合と同様に、停止領域と通過領域とが設定され、停止領域のみにリニアスケール54が取り付けられる。
【0098】
ドライバ59は、スライダ52が通過領域に位置しているときには、磁気センサ56の出力信号に基づきインターポレータ57から出力された第2の位置情報に基づいて、リニアモータ71のコイルに供給する電流を制御する。一方、ドライバ59は、スライダ52が停止領域に位置しているときに、その停止領域でスライダ52を停止させる場合には、光センサ55から出力された第1の位置情報に基づいて、リニアモータ71のコイルに供給する電流を制御する。
【0099】
磁気センサ56は、ロッド61の磁界の方向を検出する。そして、磁気センサ56は、90度位相がずれた正弦波状及び余弦波状の電圧信号を出力する。磁気センサ56が出力する電圧信号は、位置信号生成手段であるインターポレータ57に出力される。
【0100】
インターポレータ57は、正弦波状及び余弦波状の電圧信号に基づいて、第2の位置情報を算出する。インターポレータ57が算出した位置情報は、位置情報切替器58に出力される。一方、光センサ23は、フォーサ62が停止領域を移動している間、リニアスケール54を読み取り、第1の位置情報を位置情報切替器58に出力する。
【0101】
位置情報切替器58は、供給された第1の位置情報又は第2の位置情報のうち一方の位置情報をドライバ59に出力する。ドライバ59は、上位の指令器からの位置指令どおりに可動子が移動するように、PWMインバータなどの電力変換器を制御し、最終的にはリニアモータ71のコイルに供給する電流を制御する。ドライバ59の制御系は、位置制御を行う位置制御ループと、速度制御を行う速度制御ループと、電流制御を行う電流制御ループと、から構成される。ドライバ59の制御器によるリニアモータ71のコイルに供給する電流の制御方法及び動作は第1実施形態の場合と同様である。
【0102】
なお、本実施形態では、フォーサがロッドに対して直線運動しているが、ロッドがフォーサに対して直線運動してもよい。
【0103】
また、ロッドのストロークを短くしたくないとき、磁気センサをフォーサに取り付けてもよい。推力を発生させるロッドの磁界は強力なので、コイルが発生する磁界の影響を受けずに、ロッドの磁界の方向を検出することができる。
【0104】
以上説明したように、本実施形態によれば、リニアモータ71が、軸線方向の両端部にN極及びS極の磁極が着磁される複数のマグネットが、隣り合うマグネットのN極同士及びS極同士が向かい合うように軸線方向に並べられたロッド61と、ロッド61を囲む複数のコイルを有するフォーサ62と、を有し、ドライバ59の制御器は、フォーサ62が通過領域の中を移動しているときには、インターポレータ57からの第2の位置情報に基づいてリニアモータ71のコイルに供給される電流を制御し、フォーサ62が停止領域の中を移動しているときに当該領域内でフォーサ62を停止させる場合には、リニアスケール54を読み取った光センサ55からの第1の位置情報に基づいてコイルに供給される電流を制御するので、ロッドタイプのリニアモータにおいても、第1実施形態の場合と同様に、リニアスケール54を通過領域に取り付けなくても、通過領域では高速にフォーサ62を移動させることができ、且つ、停止領域でのフォーサ62の停止精度を高めることができる。
【0105】
なお、上記各実施形態においては、駆動用マグネット5又はロッド61の磁界を検出する磁気センサとしてAMRセンサを用いていたが、その他のMRセンサやホールセンサ等を用いてもよい。
【0106】
また、上記各実施形態においては、リニアスケールをベースに取り付けるとともに、光センサをスライダに取り付けていたが、その反対に、リニアスケールをスライダに取り付け、光センサをベースの停止領域に取り付けてもよい。ここで、複数の停止領域を設けるためにそれぞれの停止領域に光センサを取り付けたような場合には、制御器は、いずれかの停止領域でスライダを停止させるときに、スライダが位置している停止領域に取り付けられた光センサから位置情報を取得する必要がある。この場合は、例えば、位置情報切替器に光センサからの位置情報の切替も行わせるように構成し、制御器が、位置情報切替器からの位置信号とメモリに記憶された情報とに基づいて位置情報切替器を制御すればよい。
【0107】
また、光学式のリニアスケールとセンサとに代えて、例えば、磁気式のリニアスケールとセンサとを用いてもかまわない。
【図面の簡単な説明】
【0108】
【図1】第1実施形態に係るリニアモータシステム1の概要構成を示す図である。
【図2】第1実施形態に係るリニアモータアクチュエータ21の斜視図である。
【図3】第1実施形態に係るリニアモータアクチュエータ21の正面図である。
【図4】第1実施形態に係る電機子10の移動方向に沿った断面図である。
【図5】第1実施形態に係る磁気センサ24の原理を示す図である。
【図6】第1実施形態において、磁界の方向の角度θと磁気センサ24の抵抗値との関係を示すグラフである。
【図7】磁気センサの強磁性薄膜金属の形状の一例を示す平面図である。
【図8】図7に示す磁気センサの等価回路図である。
【図9】ホイーストン・ブリッジから構成される磁気センサの一例を示す図である。
【図10】第1実施形態において、駆動用マグネット5が発生する磁界と磁気センサ24との位置関係を示す図である。
【図11】第1実施形態において、磁気センサ24が検出する磁気ベクトルの方向と、出力電圧の関係を示すグラフである。
【図12】二組のフルブリッジ構成の磁気センサの一例を示す図であり、(a)は、磁気センサの強磁性薄膜金属の形状を示す平面図であり、(b)は、等価回路図である。
【図13】第1実施形態において、磁気センサ24から出力される正弦波状信号及び余弦波状信号を示すグラフである。
【図14】第1実施形態において、駆動用マグネット5と磁気センサ24の位置関係及び磁気センサ24の出力信号を示す概念図である。
【図15】正弦波及び余弦波によって描かれるリサージュ図形を示す図である。
【図16】第1実施形態に係る複数枚の駆動用マグネット5の平面図である。
【図17】第1実施形態において、シミュレーションにより計算した磁界強度(磁束密度)と正弦波を比較したグラフである。
【図18】駆動用マグネット5の端部を円弧形状に形成した場合の一例であり、(a)は、複数枚の駆動用マグネット5の平面図であり、(b)は、各駆動用マグネット5の幅方向の端部の平面図である。
【図19】図18に示す駆動用マグネット5において、シミュレーションにより計算した磁界強度(磁束密度)と正弦波を比較したグラフである。
【図20】駆動用マグネット5の他の例を示す図である。
【図21】駆動用マグネット6の側面形状の他の例を示す側面図である。
【図22】駆動用マグネット6の側面形状のさらに他の例を示す側面図である。
【図23】第1実施形態に係るインターポレータ25の概要構成を示す図である。
【図24】ルックアップテーブルメモリのメモリ構成の一例を示す図である。
【図25】第1実施形態に係るドライバ27の概要構成を示すブロック図である。
【図26】第1実施形態に係る制御器42の処理例を示すフローチャートである。
【図27】第2実施形態に係るリニアモータシステム50の概要構成を示す図である。
【符号の説明】
【0109】
1 リニアモータシステム、 2 スライダ、 4 ベース、 5 駆動用マグネット、 10 電機子、 11 リニアモータ、 16、16a、16b、16c コイル、 22 リニアスケール、 23 光センサ、 24 磁気センサ、 25 インターポレータ、 26 位置情報切替器、 27 ドライバ、 41 制御器、 51 リニアモータシステム、 52 スライダ、 53 ベース、 54 リニアスケール、 55 光センサ、 56 磁気センサ、 57 インターポレータ、 58 位置情報切替器、 59 ドライバ、 61 ロッド、 62 フォーサ、 71 リニアモータ

【特許請求の範囲】
【請求項1】
N極とS極との磁極が交互に並べられる可動子又は固定子の一方と、複数のコイルを含む可動子又は固定子の他方と、を有し、前記一方から発生する磁界と前記他方の前記コイルに流れる電流とによって、前記磁極が交互に並ぶ方向に前記可動子が前記固定子に対して運動するリニアモータと、
目盛りが設けられたリニアスケールと、
前記リニアスケールの目盛りを読み取り、前記固定子に対する前記可動子の相対的な位置を示す第1の位置情報を生成する位置センサと、
前記一方から発生する磁界を検出し、前記運動によって生ずる磁界の変化に伴って、90°の位相差を持つ正弦波状信号及び余弦波状信号を出力する磁気センサと、
前記正弦波状信号及び前記余弦波状信号に基づいて、前記固定子に対する前記可動子の相対的な位置を示す第2の位置情報を生成する位置検出手段と、
前記位置情報に基づいて、前記コイルに供給される電流を制御する制御装置と、を備え、
前記リニアスケール又は前記位置センサの一方は、前記可動子とともに移動し、前記リニアスケール又は前記位置センサの他方は、前記可動子が前記運動によって移動可能な範囲のうちの一部の範囲のみで前記位置センサが前記リニアスケールの目盛りを読み取ることができるように配設され、
前記制御装置は、
前記可動子が前記一部の範囲外を移動しているときには、前記第2の位置情報を前記制御に用い、
前記可動子が前記一部の範囲内を移動しているときに、当該範囲内で前記可動子を停止させる場合には、前記第1の位置情報を前記制御に用いることを特徴とするリニアモータシステム。
【請求項2】
請求項1に記載のリニアモータシステムにおいて、
前記生成された第1の位置情報又は前記生成された第2の位置情報の何れか一方を、前記制御装置による制御に基づいて当該制御装置に供給する位置情報供給手段を更に備え、
前記制御装置は、
前記一部の範囲に対して前記可動子の位置を対応付けた範囲情報を記憶する記憶手段を有し、
前記位置情報供給手段から供給された位置情報と、前記範囲情報と、に基づいて、前記可動子が前記一部の範囲に位置しているか否かを判定し、
前記第1の位置情報又は前記第2の位置情報のうち前記コイルに供給される電流の制御に用いる方の位置情報を、前記位置情報供給手段から供給させることを特徴とするリニアモータシステム。
【請求項3】
請求項1又は請求項2に記載のリニアモータシステムにおいて、
前記リニアモータは、
前記可動子又は前記固定子の一方として、軸線方向と直交する方向の両端面にN極及びS極の磁極が着磁される複数のマグネットが軸線方向に並べられる界磁マグネットを有し、
前記可動子又は前記固定子の他方として、前記界磁マグネットにすきまを介して対向する複数のコイルを有するフラットタイプリニアモータであることを特徴とするリニアモータシステム。
【請求項4】
請求項1又は請求項2に記載のリニアモータシステムにおいて、
前記リニアモータは、
前記可動子又は前記固定子の一方として、軸線方向の両端部にN極及びS極の磁極が着磁される複数のマグネットが、隣り合うマグネットのN極同士及びS極同士が向かい合うように軸線方向に並べられるロッドを有し、
前記可動子又は前記固定子の他方として、前記ロッドを囲む複数のコイルを有するロッドタイプリニアモータであることを特徴とするリニアモータシステム。
【請求項5】
N極とS極との磁極が交互に並べられる可動子又は固定子の一方と、複数のコイルを含む可動子又は固定子の他方と、を有し、前記一方から発生する磁界と前記他方の前記コイルに流れる電流とによって、前記磁極が交互に並ぶ方向に前記可動子が前記固定子に対して運動するリニアモータを備え、
制御装置により、前記コイルに供給される電流が、前記固定子に対する前記可動子の相対的な位置を示す位置情報に基づいて制御されるリニアモータアクチュエータにおいて、
目盛りが設けられたリニアスケールと、
前記リニアスケールの目盛りを読み取り、第1の前記位置情報を生成する位置センサと、
前記一方から発生する磁界を検出し、前記運動によって生ずる磁界の変化に伴って、90°の位相差を持つ正弦波状信号及び余弦波状信号を出力する磁気センサと、
を備え、
前記正弦波状信号及び前記余弦波状信号に基づいて、第2の前記位置情報が位置検出手段により生成され、
前記リニアスケール又は前記位置センサの一方は、前記可動子とともに移動し、前記リニアスケール又は前記位置センサの他方は、前記可動子が前記運動によって移動可能な範囲のうちの一部の範囲のみで前記位置センサが前記リニアスケールの目盛りを読み取ることができるように配設され、
前記可動子が前記一部の範囲外を移動しているときには、前記第2の位置情報に基づいて制御装置により前記コイルに供給される電流が制御され、
前記可動子が前記一部の範囲内を移動しているときに、当該範囲内で前記可動子が停止する場合には、前記第1の位置情報に基づいて制御装置により前記コイルに供給される電流が制御されることを特徴とするリニアモータアクチュエータ。
【請求項6】
N極とS極との磁極が交互に並べられる可動子又は固定子の一方と、複数のコイルを含む可動子又は固定子の他方と、を有し、前記一方から発生する磁界と前記他方の前記コイルに流れる電流とによって、前記磁極が交互に並ぶ方向に前記可動子が前記固定子に対して運動するリニアモータと、
目盛りが設けられたリニアスケールと、
前記リニアスケールの目盛りを読み取り、前記固定子に対する前記可動子の相対的な位置を示す第1の位置情報を生成する位置センサと、
前記一方から発生する磁界を検出し、前記運動によって生ずる磁界の変化に伴って、90°の位相差を持つ正弦波状信号及び余弦波状信号を出力する磁気センサと、
前記正弦波状信号及び前記余弦波状信号に基づいて、前記固定子に対する前記可動子の相対的な位置を示す第2の位置情報を生成する位置検出手段と、
を備え、
前記リニアスケール又は前記位置センサの一方は、前記可動子とともに移動し、前記リニアスケール又は前記位置センサの他方は、前記可動子が前記運動によって移動可能な範囲のうちの一部の範囲のみで前記位置センサが前記リニアスケールの目盛りを読み取ることができるように配設されるリニアモータの位置検出システムにおける前記コイルに供給される電流を、前記位置情報に基づいて制御する制御装置において、
前記可動子が前記一部の範囲外を移動しているときには、前記第2の位置情報を前記制御に用い、
前記可動子が前記一部の範囲内を移動しているときに、当該範囲内で前記可動子を停止させる場合には、前記第1の位置情報を前記制御に用いることを特徴とする制御装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【図19】
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【図20】
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【図21】
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【図22】
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【図23】
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【図24】
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【図25】
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【図26】
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【図27】
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【公開番号】特開2010−57280(P2010−57280A)
【公開日】平成22年3月11日(2010.3.11)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−220021(P2008−220021)
【出願日】平成20年8月28日(2008.8.28)
【出願人】(390029805)THK株式会社 (420)
【Fターム(参考)】