説明

リニアモータ及びこのリニアモータを用いたステージ装置

【課題】 本発明はリニアモータのコイル部を効率良く冷却することを課題とする。
【解決手段】 リニアモータ20は、磁石ユニット54の磁石46間に挿入されるコイル部60と、このコイル部60を冷却するコイル冷却ユニット62と、2列のコイル列を保持するコイルホルダ64とを備える。コイル冷却ユニット62は、第1の冷却パネル62Aと第2の冷却パネル62Bとが交互に配置されている。第1の冷却パネル62Aは、コイル部60に接する高温側と放熱を行う低温側との温度差によって発電する熱電変換素子が平板状に並設されている。また、第2の冷却パネル62Bは、熱電変換素子からの電流供給によりコイル部60を冷却するペルチェ素子が平板状に並設されている。コイル冷却ユニット62は、コイル部60の熱を利用して発電を行って冷却効果を増大させるため、効率的にコイル部60を冷却できる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はコイルからの発熱を効率良く冷却するよう構成されたリニアモータ及びこのリニアモータを用いたステージ装置に関する。
【背景技術】
【0002】
例えば、半導体製造装置や液晶製造装置等の精密位置決め装置では、基板などの被加工物が載置されたステージを駆動する駆動手段としてリニアモータを用いており、ステージの両端を一対のリニアモータにより並進駆動制御している。
【0003】
この種のリニアモータでは、複数のコイルが一列に配設されたコイル部と、コイル列に対向するように配置された複数の永久磁石が一列に配設されたマグネットヨーク部とから構成されている。そして、コイル部に通電されて電磁力が発生することにより、永久磁石に対して推力(駆動力)が発生する。
【0004】
また、リニアモータの構成としては、マグネットヨーク部が固定側でコイル部が可動側となるムービングコイル方式と、コイル部が固定側でマグネットヨーク部が可動側となるムービングマグネット方式とがある。
【0005】
上記2方式の何れの方式においてもコイルからの発熱による温度上昇が発生すると、コイル自体の抵抗値が上昇するため、駆動電流が低下することになる。リニアモータでは、推力が駆動電流に比例することから、駆動電流が低下すると、推力も低下する。
【0006】
そのため、リニアモータでは、コイルからの発熱による影響を減らすため、コイル部を冷却する冷却手段を設けている。この冷却手段としては、例えば、コイル部の内部にパネル状のヒートパイプを設ける構成のものがある。この冷却方式では、コイルからの熱をヒートパイプによりコイル部を保持するホルダ側へ伝導させており、効率良くコイルの熱を逃がすことができる(例えば、特許文献1参照)。
【0007】
さらに、この特許文献1のリニアモータでは、コイル部の両側面に2列のコイルが背中合わせで配設されているため、2列のコイル背面間の隙間にヒートパイプが挿入されており、コンパクトな構成になっている。
【0008】
また、リニアモータにおいては、2列のコイル列と、2列のマグネット列とが対向するように配置されている。そして、各コイル形状が平面的でなく、矩形状に巻回されたコイルの両側を90度曲げたコ字状に形成されている。さらに、コイル列の隣接するコイル同士のコ字状の向きが180度異なるように配置され、各コイルの両側の曲げ部分が移動方向で重なり合うように配置してトルク変動を抑制するように構成されたものもある(例えば、特許文献2参照)。
【特許文献1】特開2001−327152号公報
【特許文献2】特開2002−10616号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
しかしながら、上記特許文献1のリニアモータでは、移動方向に延在する各コイル列において、矩形状に巻回された各コイルが同一平面に所定間隔で配置されるため、各コイル間で電磁力が低下してトルク不足が生じるという問題がある。
【0010】
そのため、上記特許文献1のリニアモータでは、ヒートパイプによりコイルの熱を効率良く放熱部分に逃がすことができる反面、リニアモータの効率低下を解消することが困難である。
【0011】
また、上記特許文献2のリニアモータでは、両側を90度曲げてコ字状に形成されたコイルを隣接するコイル同士で180度異なるように配置され、各コイルの両側の曲げ部分が重なり合うように構成しているため、トルク不足を解消して精密な移動制御を実現できるものの、クランク状に曲がった各コイル列の隙間にパネル状のヒートパイプを挿入することができなかった。
【0012】
そのため、特許文献2のリニアモータでは、コイル部に冷媒を循環させるための冷却流路を設け、その流路に冷媒を供給するためのポンプ等を設けており、さらに冷媒の流出を防止するシール構造も必要になるため、構成が大型化、及び複雑化し、コストアップの要因になっている。
【0013】
そこで、本発明は上記課題を解決したリニアモータ及びこのリニアモータを用いたステージ装置を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
請求項1記載の発明は、複数のコイルが並設されたコイル部と、複数の永久磁石が前記コイル列に対向するように並設されたマグネットヨーク部と、前記コイル部を冷却するコイル冷却部とを有するリニアモータにおいて、前記コイル冷却部は、前記コイルからの熱伝導により発電を行う熱電変換手段と、該熱電変換手段からの電流供給により前記コイル部の冷却を行う電熱変換手段と、を備えたことを特徴とする。
【0015】
請求項2記載の発明は、前記熱電変換手段が、前記コイル部に接する高温側と放熱を行う低温側との温度差によって発電する熱電変換素子を有することを特徴とする。
【0016】
請求項3記載の発明は、前記電熱変換手段が、電流供給により前記コイル部を冷却するペルチェ素子を有することを特徴とする。
【0017】
請求項4記載の発明は、前記コイル冷却部が、前記コイル部を保持するコイルホルダに設けられたことを特徴とする。
【0018】
請求項5記載の発明は、前記コイル冷却部が、前記コイル部のコイルに近接する位置に設けられたことを特徴とする。
【0019】
請求項6記載の発明は、請求項1乃至5の何れかに記載のリニアモータを駆動手段に用いたことを特徴とするステージ装置である。
【発明の効果】
【0020】
本発明によれば、コイル冷却部が、コイルからの熱伝導により発電を行う熱電変換手段と、熱電変換手段からの電流供給によりコイル部の冷却を行う電熱変換手段とからなるため、コイル部を効率良く冷却することが可能になり、且つトルク変動を抑制するために隣接するコイルを重ね合わせるように配置した場合でもコイル部の発熱を十分に冷却することが可能になる。そのため、トルク不足を解消する構成とするためにコイル形状が複雑である場合でも、コイル部の周囲から効率良く冷却することが可能になり、トルク増大により精密な高速移動制御の実現と、コイル部の冷却による推力低下の防止という2つの課題を同時に解決することができる。
【0021】
また、熱電変換手段が熱エネルギを電気エネルギに変換する際の吸熱作用による自己冷却と、これによって得られた電流を電熱変換手段に供給することにより電熱変換手段がコイル部を冷却するため、外部からの電力供給が不要であり、構成の簡略化を図れると共に、省エネルギ化を図ることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0022】
以下、図面と共に本発明の一実施例について説明する。
【実施例1】
【0023】
図1は本発明になるリニアモータの一実施例が適用されたステージ装置を示す平面図である。
図1に示されるように、ステージ装置10は、XYステージであり、コンクリート製の基礎上に固定されたベース14と、ベース14上を移動する可動部16と、可動部16の両端部をY方向に駆動する一対のリニアモータ20とを有する。
【0024】
可動部16は、リニアモータ20により駆動されるスライダ18と、スライダ18間を連結するように移動方向と直交するX方向に横架されたYスライダ24と、Yスライダ24上をX方向に移動するXスライダ26とを有する。
【0025】
スライダ18は、Y方向に延在するガイド部30のガイドレール50にガイドされてY方向に摺動可能に支持されており、リニアモータ20のコイル部60が取り付けられている。
【0026】
可動部16は、左右両端に設けられたスライダ18がガイド部30によりガイドされながらリニアモータ20の駆動力によりY方向に駆動される。よって、可動部16は、両端に配置されたスライダ18がリニアモータ20の駆動力により同時に駆動されることにより、左右のスライダ18が並進する。
【0027】
ここで、リニアモータ20及びガイド部30の構成について図2及び図3を参照して説明する。
図2及び図3に示されるように、リニアモータ20は、コイル部60と、モータ支持部34の上端に支持されたコ字状からなるヨーク44の内側面に固着された永久磁石46を等間隔に配列したものとから構成されている。コイル部60のコイル66(図7参照)は、永久磁石46に対向するように配置されており、駆動電圧の印加により永久磁石46に対するY方向の推力(駆動力)を発生させる。
【0028】
従って、リニアモータ20は、永久磁石46に対するローレンツ力をコイル部60から発生させることでY方向の駆動力をスライダ18に付与するように構成されており、コイル部60のコイル66に印加される電圧を制御されることによりスライダ18をY方向に一定速度で走行させるように駆動力を発生させることができる。
【0029】
可動部16は、Y方向に延在するガイドレール50と、ガイドレール50の4辺を囲むように形成されたスライダ18と、スライダ18とガイドレール50の上面50-1との間に圧縮空気を噴射してスライダ18を上方にフローティング状態に支持する第1の静圧空気軸受52と、スライダ18とガイドレール50の右側面50-2との間に圧縮空気を噴射して可動部16を側方にフローティング状態に支持する第2の静圧空気軸受54とを有する。
【0030】
スライダ18は、ガイドレール50の各面に微小な隙間を介して対向するガイド面を有する。従って、上記静圧空気軸受54から上記隙間に噴射された圧縮空気は、スライダ18のガイド面を所定圧力で押圧する。これにより、スライダ18は、ガイドレール50に対して微小な隙間を介してフローティング支持されているので、殆ど摩擦の無い非接触状態でY方向に移動することが可能である。
【0031】
スライダ18の移動位置を検出するリニアスケール22は、ガイドレール50の右側面50-2にY方向に延在形成して設けられた被位置検出板22aと、被位置検出板22aのスリット数を検出するセンサ22bとから構成されている。センサ22bは、スライダ18に取り付けられているため、移動量を所定間隔で一列に配置されたスリット数に応じたパルス数を検出信号として出力する。
【0032】
ここで、リニアモータ20のコイル部60の構成について図4及び図5を参照して説明する。
【0033】
図4に示されるように、コイル部60は、2列のコイル66をモールド63により一体化したものであり、進行方向(Y方向)に延在形成されている。また、コイル部60は、上部にコイル冷却ユニット62が搭載され、さらにモールド63の上部及びコイル冷却ユニット62を保持するコイルホルダ64が取り付けられる。従って、コイル冷却ユニット62は、モールド63の上部とコ字状に形成されたコイルホルダ64との間に収納されるように挟持される。
【0034】
また、磁石ユニット56は、ベースヨーク58、サイドヨーク59をU字状に組み合わせた構成であり、このサイドヨーク59の内壁に上記磁石46が取り付けられている。従って、ベースヨーク58の両側に起立するサイドヨーク59の内側に固着された磁石46は、モールド63内部に収納されたコイル66の両側に対向するように配置される。
【0035】
図5に示されるように、コイル冷却ユニット62は、コイル部60の上部に載置された状態で上方からコイルホルダ64に挟持されるように取り付けられている。従って、コイル冷却ユニット62は、磁石ユニット56の磁石46から離間したコイル部60の上端部を冷却するように設けられており、磁石46とコイル66との間で発生する推力に影響を与えないように配置されている。
【0036】
また、コイル冷却ユニット62は、第1の冷却パネル62Aと第2の冷却パネル62Bとが交互に配置された構成である。
【0037】
第1の冷却パネル62Aは、コイル部60に接する高温側と放熱を行う低温側との温度差によって発電するゼーベック効果を利用した熱電変換素子(熱電変換手段)が平板状に並設されている。また、第2の冷却パネル62Bは、熱電変換素子からの電流供給によりコイル部60を冷却するペルチェ素子(電熱変換手段)が平板状に並設されている。
【0038】
また、コイル冷却ユニット62は、熱電変換素子を有する第1の冷却パネル62Aのみを用いる構成でも良い。
【0039】
図6に示されるように、コイル66は、銅線を矩形状に巻回し、且つ両側を90度曲げたいわゆる鞍型構造になっており、より具体的には、直線部66Aと、この直線部66Aの両端に屈曲形成される一対の屈曲部66Bと、両側の直線部66A間に形成された凹部66Cとを備えるように形成される。
【0040】
図7に示されるように、コイル部60は、両側が90度曲げられたコ字状のコイル66が進行方向(X方向)に並設された2つのコイル列60A,60Bが夫々180度異なる向きで対向配置されており、第1コイル列60Aのコイル66と第2コイル列60Bのコイル66とが交互に嵌合するように組み合わされている。
【0041】
従って、第1コイル列60Aのコイル66の直線部66Aが第2コイル列60Bのコイル66の凹部66Cに嵌合され、第2コイル列60Bのコイル66の直線部66Aが第1コイル列60Aのコイル66の凹部66Cに嵌合され、第1コイル列60Aのコイル66の直線部66Aと第2コイル列60Bのコイル66の直線部66Aとが重なり合うように交互に組み合わされている。
【0042】
このように、コイル部60では、鞍型構造のコイル66を180度の向きから立体的に組み合わせるため、前述した特許文献1のように平面状のコイルを同一平面に並設するよりも大きい駆動力が得られるが、コイル列間にヒートパイプを挿入するスペースが無い。
【0043】
さらに、このままの状態では、各コイル66が互いに連結されておらず分解してしまうので、このコイル部60は、進行方向(Y方向)に延在形成されたコイルホルダ64と共に樹脂材によって一体モールド成型されている。
【0044】
ここで、コイル冷却ユニット62の冷却パネル62A,62Bの構成について図8を参照して説明する。尚、図8において、冷却パネル62A,62Bは、夫々搭載される素子が異なるが外観形状は略同一である。
【0045】
図8に示されるように、冷却パネル62Aは、半導体の両端に温度差を加えることによって、正孔の温度差による電場を利用した熱−電変換可能な発電素子として熱電変換素子70を有する。また、冷却パネル62Bは、熱電変換素子70による発電によって発生された電流が供給されることで温度差を発生させてコイル部60を冷却するペルチェ素子72を有する。
【0046】
冷却パネル62A,62Bの表面は、セラミック基板からなる吸熱板74と放熱板76により覆われており、パネル内部には、夫々複数の熱電変換素子70、ペルチェ素子72がマトリクス状に並設されている。また、各熱電変換素子70またはペルチェ素子72の電極に接続されたリード線79が放熱板76の側方に引き出されている。
【0047】
図9に示されるように、熱電変換素子70は、N型半導体78とP型半導体80とを組み合わせた構成であり、リード線79が接続される一対の電極70aがコイル部60に接触する高温側であり、電極70aと反対側に位置する放熱板70bが低温側となる。
【0048】
熱電変換素子70においては、電極70aがコイル部60からの熱伝導により約100°C付近まで加熱されるのに対し、金属板からなる放熱板70bがコイルホルダ64に伝熱するか、あるいは空気中に放熱することで冷却されるため、室温となる。このように、電極70aと放熱板70bとの温度差が生じると、発電が行われ、一対の電極70a間の電位差によってリード線79に電流が流れる。
【0049】
熱電変換素子70は、コイル部60からの熱エネルギの一部が放熱されずに、N型半導体78及びP型半導体80によって電気エネルギに変換され、リード線79を介して熱起電力Vを取り出すことが可能になる。この熱起電力Vは、次式で表わされる。
V=SAB(T−T)… (1)
上式(1)において、SABはゼーベック係数(N型半導体78、P型半導体80の材質によって決まる固有の値)、Tは高温側温度(コイル部60の温度)、Tは低温側温度(空気中に放熱される放熱板70bの温度)である。
【0050】
上記のような温度差によるゼーベック効果を利用した発電素子は、高温側と低温側との温度差が大きいほど、より大きな起電力が得られるため、リニアモータ20の駆動時にコイル部60から発生する熱が100°C以上になることを考慮すると、十分な大きさの起電力が得られることが分かる。
【0051】
ペルチェ素子72は、上記熱電変換素子70と逆の作用を有しており、N型半導体82とP型半導体84とを組み合わせた構成であり、リード線79が接続される一対の電極72aが放熱を行う高温側であり、電極72aと反対側に位置しコイル部60に接する吸熱板72bが低温側となる。そして、ペルチェ素子72においては、電極72aに熱電変換素子70によって発電された電流が供給されることで、熱の移動が行われ、吸熱板72bが冷却されるため、コイル部60を冷却することができる。
【0052】
このように、コイル冷却ユニット62では、熱電変換素子70の吸熱作用に伴う発電によって得られた電力でペルチェ素子72による冷却を行う自己冷却システムによってコイル部60を効率良く冷却することが可能になる。
【0053】
ペルチェ素子72による冷却効果としての熱量Qは、次式(2)で表わされる。
Q=ΠABI… (2)
上式(2)において、ΠABはペルチェ係数(N型半導体82、P型半導体84の材質によって決まる固有の値)、Iは熱電変換素子70から供給される電流である。従って、ペルチェ素子72は、熱電変換素子70から供給される電流Iが大きいほど、冷却効果も大きくなることが分かる。すなわち、コイル部60の温度上昇が大きくなるのに連れて熱電変換素子70の発電量が増大すると共に、ペルチェ素子72による冷却効果もより増大することになる。
【0054】
そのため、コイル部60では、各コイル66の温度上昇が抑制されるため、発熱に伴う各コイル66の抵抗が増大することが抑制され、リニアモータ20の熱による推力の低下を防止できると共に、発熱による影響を受けずに高推力化を図り、安定したトルクを得ることが可能になる。よって、リニアモータ20では、トルク不足を解消する構成とするためにコイル形状が複雑である場合でも、コイル部60の周囲から効率良く冷却することが可能になり、トルク増大により精密な高速移動制御の実現と、コイル部60の冷却による推力低下の防止という2つの課題を同時に解決することができる。
【0055】
また、コイル冷却ユニット62では、熱電変換素子70とペルチェ素子72とを組み合わせることにより、自己冷却システムを構築することができ、従来廃熱としていたコイル部60の熱を利用して発電を行って冷却効果を増大させるため、効率的にコイル部60を冷却できると共に、外部からの電力供給が不要であるので、省エネルギ化を図ることができる。さらに、リニアモータ20は、前述した特許文献2のように冷媒を循環させるための流路をコイル部60の表面に設ける必要がないので、構成の簡略化を大幅に促進することが可能になる。
【実施例2】
【0056】
図10は実施例2の縦断面図である。
図10に示されるように、実施例2のリニアモータ20では、コイル部60の上端とコイルホルダ64との間に冷却パネル62A(熱電変換素子70を有する)が取り付けられている。また、コイル部60の両側面に冷却パネル62B(ペルチェ素子72を有する)が取り付けられており、その表面がモールド成型されている。これにより、コイル部60上部の発熱により冷却パネル62Aから得られた電圧を冷却パネル62Bに印加し、冷却パネル62Bは、コイル66の中央部分をペルチェ素子72により効率良く冷却することができる。
【実施例3】
【0057】
図11は実施例3の縦断面図である。
【0058】
図11に示されるように、実施例3では、コイルホルダ64の側面及び上面に冷却パネル62B(ペルチェ素子72を有する)を取り付け、コイルホルダ64の側面及び上面及び冷却パネル62Bの表面はカバー90により覆われる。カバー90の内側とコイルホルダ64との間に介在するペルチェ素子72は、コイルホルダ64を冷却してコイル部60との温度差をつくりだす。これにより、コイル部60の上部に設けられた冷却パネル62A(熱電変換素子70を有する)による発電効率を高めることができる。
【実施例4】
【0059】
図12は実施例4の縦断面図である。
【0060】
図12に示されるように、実施例4では、冷却パネル62A,62Bが、コイル部60からの熱を空気中に放熱する構成であるため、コイルホルダ64に覆われておらず、放熱面が露出されている。冷却パネル62Aと62Bとの間に両パネル間の熱的干渉を防止するためのスペーサ63が介在している。また、冷却パネル62A、62Bの放熱効果を高めるために、第1、第2の熱電変換部62A,62Bの露出面に放熱用フィンを設ける構成としても良い。
【産業上の利用可能性】
【0061】
尚、上記実施例では、熱電変換素子70を有する冷却パネル62Aと、ペルチェ素子72を有する冷却パネル62Bとが交互に配設された構成を一例として挙げたが、これに限らず、一つのパネル内部に熱電変換素子70とペルチェ素子72とを混在させる構成としても良いのは勿論である。
【0062】
また、上記実施例では、ムービンコイル型のリニアモータについて説明したが、本発明は、ムービングマグネット型のリニアモータにも適用できるのは言うまでもない。
【0063】
また、上記実施例では、コアレス型のコイル部について説明したが、これに限らず、コア付型を用いた構成にも本発明を適用できるのは勿論である。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明になるリニアモータの一実施例が適用されたステージ装置を示す平面図である。
【図2】リニアモータ20及びガイド部30の構成を拡大して示す正面図である。
【図3】リニアモータ20及びガイド部30の構成を拡大して示す平面図である。
【図4】リニアモータ20の構成を示す縦断面図である。
【図5】リニアモータ20の構成を示す分解斜視図である。
【図6】コイル66の構成を示す斜視図である。
【図7】複数のコイル66を組み合わせた状態を示す斜視図である。
【図8】冷却パネル62A,62Bの内部構造を示す一部切載した斜視図である。
【図9】熱電変換素子70とペルチェ素子72と接続した状態を示す原理図である。
【図10】リニアモータの実施例2の縦断面図である。
【図11】リニアモータの実施例3の縦断面図である。
【図12】リニアモータの実施例4の縦断面図である。
【符号の説明】
【0065】
10 ステージ装置
14 ベース
16 可動部
18 スライダ
20 リニアモータ
22 リニアスケール
24 Yスライダ
26 Xスライダ
30 ガイド部
44 ヨーク
46 永久磁石
50 ガイドレール
52,54 静圧空気軸受
56 磁石ユニット
58 ベースヨーク
59 サイドヨーク
60 コイル部
62 コイル冷却ユニット
62A 第1の冷却パネル
62B 第2の冷却パネル
63 モールド
64 コイルホルダ
66 コイル
70 熱電変換素子
72 ペルチェ素子
74 吸熱板
76 放熱板
78,82 N型半導体
79 リード線
80,84 P型半導体

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数のコイルが並設されたコイル部と、複数の永久磁石が前記コイル列に対向するように並設されたマグネットヨーク部と、前記コイル部を冷却するコイル冷却部とを有するリニアモータにおいて、
前記コイル冷却部は、
前記コイルからの熱伝導により発電を行う熱電変換手段と、
該熱電変換手段からの電流供給により前記コイル部の冷却を行う電熱変換手段と、
を備えたことを特徴とするリニアモータ。
【請求項2】
前記熱電変換手段は、前記コイル部に接する高温側と放熱を行う低温側との温度差によって発電する熱電変換素子を有することを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項3】
前記電熱変換手段は、電流供給により前記コイル部を冷却するペルチェ素子を有することを特徴とする請求項1に記載のリニアモータ。
【請求項4】
前記コイル冷却部は、前記コイル部を保持するコイルホルダに設けられたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のリニアモータ。
【請求項5】
前記コイル冷却部は、前記コイル部のコイルに近接する位置に設けられたことを特徴とする請求項1乃至3の何れかに記載のリニアモータ。
【請求項6】
請求項1乃至5の何れかに記載のリニアモータを駆動手段に用いたことを特徴とするステージ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2006−33909(P2006−33909A)
【公開日】平成18年2月2日(2006.2.2)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−204743(P2004−204743)
【出願日】平成16年7月12日(2004.7.12)
【出願人】(000002107)住友重機械工業株式会社 (2,241)
【Fターム(参考)】