説明

リペア装置のメンテナンス機構

【課題】大型化した装置に対して、メンテナンス時の作業性を向上させる。
【解決手段】リペア対象板が載置されるワークテーブルと、当該ワークテーブルの両側に配置されたガイドレールと、当該各ガイドレールに移動可能に支持されて上記ワークテーブル上に架け渡される門型ステージと、当該門型ステージに上記ガイドレールと直交する方向にスライド可能に支持されて上記ワークテーブル上の上記リペア対象板をリペアするリペアユニットとを備えたリペア装置のメンテナンス機構である。このメンテナンス機構を、上記各ガイドレールにそれぞれ嵌合する足台と、当該各足台に載置されて上記ワークテーブル上に架け渡される天板とから構成した。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、大型のリペア装置の内部でメンテナンスを行う際に用いるリペア装置のメンテナンス機構に関する。
【背景技術】
【0002】
大型のリペア装置の場合は、外部からメンテナンスを行うのは容易でないため、内部に作業者が入ってメンテナンスを行う必要がある。この場合、内部にリペアユニット等の種々の機器があるため、足場を確保せずにメンテナンスを行うのは難しく、不用意に装置内へ入ると、機器の破損等の不具合を招く恐れがある。このため、予めメンテナンス機構が組み込まれているリペア装置がある。このような例として特許文献1の検査装置がある。
【0003】
この特許文献1の検査装置は、フレームと、検査すべき表示用基板を受けるチャックと、該チャックに受けられた基板の電極に電気的に接続される複数の接触子を備えた接触子組立体であってチャックの上方に位置して上記フレームに配置された接触子組立体と、作業者が乗ることができる作業ステージとを含んで構成されている。上記作業ステージは、検査装置の筺体の上部位置に配置されている。作業者は、保守点検作業や部品交換作業を作業ステージに乗った状態で行う。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開2002−62327号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
ところで、上記特許文献1の検査装置では、ほぼ立方体状の筺体の上側面に備えた作業床に作業者が乗って、メンテナンス作業を行う。この場合、中央が開口した矩形の作業床に乗った作業者が、中央の開口からプローブブロック等に手を伸ばしてメンテナンス作業を行う。
【0006】
しかし、この場合、検査装置があまり大きくなければ問題ないが、検査対象の基板の大型化に伴って検査装置が大型化すると、作業性が悪くなる。即ち、検査装置の大型化により、作業床からプローブブロック等までの距離が遠くなると、作業者の手が届かなくなって、メンテナンスの作業性が悪くなるという問題がある。
【0007】
本発明はこのような問題点に鑑みてなされたもので、大型化した装置に対してメンテナンス箇所に作業者の手が容易に届くようにしてメンテナンス時の作業性を向上させたリペア装置のメンテナンス機構を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0008】
本発明に係るリペア装置のメンテナンス機構は、リペア対象板が載置されるワークテーブルと、当該ワークテーブルの両側に配置されたガイドレールと、当該各ガイドレールに移動可能に支持されて上記ワークテーブル上に架け渡される門型ステージと、当該門型ステージに上記ガイドレールと直交する方向にスライド可能に支持されて上記ワークテーブル上の上記リペア対象板をリペアするリペアユニットとを備えたリペア装置において、上記各ガイドレールにそれぞれ嵌合する足台と、当該各足台に載置されて上記ワークテーブル上に架け渡される天板とから構成されたことを特徴とする。
【発明の効果】
【0009】
上記構成により、大型化した装置に対してメンテナンス時の作業性を向上させることができる。
【図面の簡単な説明】
【0010】
【図1】本発明の実施形態に係るリペア装置の要部及びメンテナンス機構を示す斜視図である。
【図2】図1のリペア装置(メンテナンス機構を除く)を示す平面図である。
【図3】図1のリペア装置(メンテナンス機構を除く)を示す正面図である。
【図4】本発明の実施形態に係るリペア装置のメンテナンス機構を示す斜視図である。
【発明を実施するための形態】
【0011】
以下、本発明の実施形態に係るリペア装置のメンテナンス機構について、添付図面を参照しながら説明する。本発明に係るリペア装置は、液晶ディスプレイ等のリペア対象板の表面に形成された回路等のリペアを行うための装置である。リペア装置のメンテナンス機構は、リペア装置の立上時の調整や、清掃、不測のトラブル発生時等のメンテナンスの際に用いる機構である。
【0012】
まず、リペア装置について説明する。リペア装置は、筺体(図示せず)と、当該筺体内に収納されたワークテーブルやリペアユニット等の機器とから構成されている。
【0013】
筺体内の機器としては種々のものがあるが、その主要部品について説明する。リペア装置の筺体内には、図1〜3に示すように主に、ワークテーブル1と、ガイドレール2と、門型ステージ3と、リペアユニット4とを備えている。
【0014】
ワークテーブル1は、液晶ディスプレイ等のリペア対象板を載置するためのテーブルである。ワークテーブル1は、架台5の上側面に設置されている。
【0015】
ガイドレール2は、門型ステージ3を支持するためのレールである。ガイドレール2は、架台5の上側面のうち、ワークテーブル1の両側に2つ並列に配置されている。これにより、各ガイドレール2は、X方向(図2の左右方向)に配置されている。ガイドレール2は、長尺の長方体状(断面四角形の棒状)に形成されている。ガイドレール2の上側面に、2本のレール部7が並列に設けられている。このレール部7に門型ステージ3がスライド可能に支持されている。ガイドレール2はワークテーブル1との間に隙間を空けて配設されている。これにより、ガイドレール2とワークテーブル1との間にガイド溝8が形成されている。ガイド溝8は、後述するメンテナンス機構21の足台22の嵌合棒部29をスライド可能に案内する溝である。
【0016】
門型ステージ3は、リペアユニット4を支持してリペア対象位置に移動させるための装置である。門型ステージ3は、スライドガイド10と、梁部11と、レール部12とから構成されている。
【0017】
スライドガイド10は、ガイドレール2に移動可能に支持されて、リペアユニット4のX方向への移動を案内するための部材である。スライドガイド10は、各ガイドレール2上のレール部7にスライド可能に嵌合されている。スライドガイド10には、直動機構(図示せず)が設けられている。
【0018】
梁部11は、ワークテーブル1上に架け渡される部材である。梁部11は、リペアユニット4を、Y方向(ガイドレール2の長手方向(X方向)と直交する方向)に移動可能に支持する。梁部11の両端部にはスライドガイド10が固定されている。これにより、2つのスライドガイド10が各ガイドレール2のレール部7にそれぞれスライド可能に嵌合されることで、梁部11が上記ワークテーブル1上に架け渡して設けられている。
【0019】
レール部12は、リペアユニット4をY方向に移動可能に支持するための部材である。レール部12は、梁部11の側面に取り付けられることで、Y方向に配設されている。レール部12は、2本並列に配設されている。
【0020】
リペアユニット4は、ワークテーブル1に載置されたリペア対象板上の回路等をリペアするための装置である。リペアユニット4は主に、光学系、カメラ、レーザー装置、塗布ユニット等(いずれも図示せず)を備えて構成されている。さらに、リペアユニット4の背面(図2の左側面)には、スライドガイド14が設けられている。スライドガイド14は、リペアユニット4をY方向に移動させるための装置である。スライドガイド14は、梁部11のレール部12にスライド可能に嵌合されて、リペアユニット4をY方向にスライド可能に支持している。スライドガイド14には、直動機構(図示せず)が設けられている。
さらに、架台5の上側面には、作業者の足場となる作業用通路16が設けられている。この作業用通路16は、作業者が使用する通路である。作業用通路16は、メンテナンス時には作業者が足場として使用する。作業用通路16は、2つのガイドレール2のうちの一方の外側(図3の右側のガイドレール2の右外側)に配設されている。作業用通路16は、ガイドレール2とほぼ同じ長さに設定されている。作業用通路16とガイドレール2との間隔は、上記ガイド溝8とほぼ同じか、ガイド溝8よりも広く設定されている。これにより、作業用通路16とガイドレール2との間に、足台22の嵌合棒部29が嵌合できるようになっている。
【0021】
次に、メンテナンス機構21について説明する。メンテナンス機構21は、リペア装置内でメンテナンスをする必要が生じたときに用いる機構である。メンテナンス機構21は、図1,4に示すように、足台22と、天板23とから構成されている。
【0022】
足台22は、上記各ガイドレール2にそれぞれ嵌合されて、天板23を支持するための部材である。足台22は、上記天板23を直接支持する支持板部25と、上記ガイドレール2に嵌合する嵌合脚部26とから構成されている。
【0023】
支持板部25は、上記天板23を支持する平板部25Aと、当該平板部25Aの両側に設けられ上記天板23の幅方向両側を支持する縦板部25Bとから構成されている。
【0024】
嵌合脚部26は、支持板部25の四隅の位置に4本設けられている。嵌合脚部26は、嵩上げ部28と、嵌合棒部29とから構成されている。
【0025】
嵩上げ部28は、上記天板23を支持する位置をガイドレール2の上方に嵩上げするための部分である。嵩上げ部28は、支持板部25の周囲から下方へ垂下された板材で構成されている。嵩上げ部28は、嵌合棒部29よりもその幅を広く形成されている。これにより、嵩上げ部28の下端部には、嵌合棒部29が一体的に設けられていると共に、ガイドレール2への当接面28Aが形成されている。この当接面28Aがガイドレール2の上側面に当接することで、嵩上げ部28により、上記天板23を支持する位置を上方へ嵩上げしている。
【0026】
嵌合棒部29は、上記ガイド溝8に嵌合する部分である。嵌合棒部29は、嵩上げ部28よりも狭い幅の棒状に形成されている。嵌合棒部29の幅は、ガイド溝8よりも狭い幅に設定されている。さらに、対向する2つの嵌合棒部29(Y方向に並んだ2つの嵌合棒部29)の間隔は、ガイドレール2の幅よりも僅かに広く設定されている。なお、嵌合棒部29の幅は、ガイド溝8の幅よりも僅かに狭い幅に設定してもよい。これにより、X方向に並んだ2つの嵌合棒部29がガイド溝8に嵌合し、Y方向に並んだ2つの嵌合棒部29がガイドレール2を挟むように嵌合することで、足台22がガイドレール2に容易に且つ安定して嵌合するようになっている。さらに、嵩上げ部28の当接面28Aがガイドレール2の上側面に当接して、上記天板23を支持する位置を上方へ確実に嵩上げして支持するようになっている。
【0027】
さらに、嵌合棒部29がガイド溝8に案内されてスムーズにスライドし、足台22がガイドレール2の長手方向に容易に移動するようになっている。
【0028】
なお、足台22には、方向性はなく、縦板部25Bと天板23の方向があっていればよい。縦板部25Bと天板23の方向があっていれば、足台22を180度向きを変えてガイドレール2に嵌合してもよい。
【0029】
天板23は、各足台22に載置されて上記ワークテーブル1上に架け渡される板材である。作業者は、ワークテーブル1上に架け渡された天板23に乗ってメンテナンス作業を行う。天板23は、上記支持板部25の2つ縦板部25Bの間隔よりも狭く又はほぼ同じ幅に形成されている。なお、天板23は2つの足台22に載置されるため、ガイドレール2に設置された2つの足台22が多少ずれても、天板23を足台22の支持板部25に確実に載置できるように、天板23の幅を2つ縦板部25Bの間隔よりも大幅に狭く、かつ作業者が十分に乗れる幅に設定するようにしてもよい。
【0030】
天板23の長手方向両端には、フランジ部23Aが形成されている。このフランジ部23Aは、上記2つ縦板部25Bの間隔よりも広く形成されて、上記各縦板部25Bに係止して(図1の状態)、天板23の抜け落ちを防止する。
【0031】
以上のワークテーブル1、ガイドレール2、門型ステージ3、リペアユニット4及び架台5等は、すべてリペア装置の筺体内に組み込まれている。メンテナンス機構21は、メンテナンス時に筺体内に組み込まれる。この筺体は、リペア装置の種類によって異なるが、フレームだけのもの、フレームに壁板を設けたもの等がある。
【0032】
以上のように構成されたリペア装置及びメンテナンス機構21は、次のようにして使用される。
【0033】
リペア装置では、ワークテーブル1にリペア対象板が載置されて、このリペア対象板のリペア位置にリペアユニット4が移動される。具体的には、門型ステージ3のスライドガイド10がガイドレール2に案内されて移動し、リペアユニット4がレール部12に案内されて移動することで、リペアユニット4がリペア対象板のリペア位置に移動される。
【0034】
次いで、リペアユニット4が作動してレーザー光等でリペア処理が施される。
【0035】
リペア装置の一定期間の使用等によりメンテナンスが必要になると、メンテナンス機構21を用いる。
【0036】
この場合はまず、メンテナンス機構21の足台22をガイドレール2に設置する。具体的には、Y方向に並んだ2つ嵌合脚部26の嵌合棒部29がガイドレール2を挟むようにして、嵌合棒部29をガイド溝8に嵌合して、2つの足台22を2つのガイドレール2にそれぞれ設置する。次に、2つの足台22を互いに整合する位置に合わせる。
【0037】
このとき、嵌合脚部26の嵩上げ部28の当接面28Aがガイドレール2の上側面に当接して、平板部25Aをガイドレール2よりも上方へ嵩上げする。
【0038】
次いで、天板23を2つの足台22に架け渡す。具体的には、天板23を、各足台22の平板部25Aに載置して、フランジ部23Aを各縦板部25Bの外側(図1中の右上から左下方向の外側)に当接させて引っかける。
【0039】
次いで、作業者は、作業用通路16及びメンテナンス機構21の天板23上を適宜移動して門型ステージ3のリペアユニット4やワークテーブル1等のメンテナンスを行う。
【0040】
足場をずらす場合は、天板23をかけたままで2つの足台22を同時にずらしたり、天板23を一旦持ち上げて2つの足台22をずらした後、天板23を各足台22に載置したりする。
【0041】
以上のように、メンテナンス機構21を用いて、リペア装置内にメンテナンス作業のための足場を確実に確保することができるため、大型化した装置に対してメンテナンス箇所に作業者の手が容易に届くようになり、メンテナンス時の作業性が向上する。
【0042】
[変形例]
上記実施形態では、作業用通路16を、上記2つのガイドレール2のうちの一方のガイドレール2の外側(図3の右側のガイドレール2の右側)に設けたが、他方のガイドレール2の外側(図3の左側のガイドレール2の左側)に設けてもよい。また、スペースに余裕があれば、2つのガイドレール2のうちの両方のガイドレール2の外側(図3の左右のガイドレール2の左側及び右側)に、作業用通路16をそれぞれ設けるようにしてもよい。
【0043】
上記実施形態では、足台22を、天板23が1枚設置できる寸法に設定したが、平板部25Aの幅を広げて天板23を2枚又は3枚以上設置できる寸法に設定してもよい。即ち、足台22を、メンテナンス作業時に必要な足場面積を確保するのに必要な枚数の天板23を設置できる寸法に設定する。また、両方とも寸法を変えた複数種類の足台22と天板23を用意して、メンテナンス作業時に必要な足場面積に合わせて用いてもよい。
【0044】
上記実施形態では、足台22と天板23とを別部材として構成したが、これらを一体の部材として構成してもよい。
【符号の説明】
【0045】
1:ワークテーブル、2:ガイドレール、3:門型ステージ、4:リペアユニット、5:架台、7:レール部、8:ガイド溝、10:スライドガイド、11:梁部、12:レール部、14:スライドガイド、16:作業用通路、21:メンテナンス機構、22:足台、23:天板、23A:フランジ部、25:支持板部、25A:平板部、25B:縦板部、26:嵌合脚部、28:嵩上げ部、28A:当接面、29:嵌合棒部。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
リペア対象板が載置されるワークテーブルと、
当該ワークテーブルの両側に配置されたガイドレールと、
当該各ガイドレールに移動可能に支持されて上記ワークテーブル上に架け渡される門型ステージと、
当該門型ステージに上記ガイドレールと直交する方向にスライド可能に支持されて上記ワークテーブル上の上記リペア対象板をリペアするリペアユニットとを備えたリペア装置において、
上記各ガイドレールにそれぞれ嵌合する足台と、
当該各足台に載置されて上記ワークテーブル上に架け渡される天板とから構成されたことを特徴とするリペア装置のメンテナンス機構。
【請求項2】
請求項1に記載のリペア装置のメンテナンス機構において、
上記各ガイドレールが上記ワークテーブルとの間に隙間を空けて配設されて、これらの間にガイド溝を形成し、
上記足台が、上記天板を支持する支持板部と、上記ガイドレールに嵌合する嵌合脚部とから構成され、
上記嵌合脚部が、上記天板を支持する位置を上方へ嵩上げする嵩上げ部と、上記ガイド溝に嵌合する嵌合棒部とから構成されたことを特徴とするリペア装置のメンテナンス機構。
【請求項3】
請求項2に記載のリペア装置のメンテナンス機構において、
上記足台の上記支持板部が、上記天板を支持する平板部と、当該平板部の両側に設けられ上記天板の幅方向両側を支持する縦板部とからなり、
上記天板が、上記2つ縦板部の間隔よりも狭く形成されると共に、その長手方向両端に上記2つ縦板部の間隔よりも広く形成され上記各縦板部に係止して天板の抜け落ちを防止するフランジ部を備えたことを特徴とするリペア装置のメンテナンス機構。
【請求項4】
請求項1乃至3のいずれか1項に記載のリペア装置のメンテナンス機構において、
上記2つのガイドレールのうちの一方のガイドレールの外側又は両方のガイドレールの外側に、作業用通路を設けたことを特徴とするリペア装置のメンテナンス機構。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−218823(P2012−218823A)
【公開日】平成24年11月12日(2012.11.12)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−82941(P2011−82941)
【出願日】平成23年4月4日(2011.4.4)
【出願人】(000153018)株式会社日本マイクロニクス (349)
【Fターム(参考)】