説明

レニン阻害剤

本発明は、式(I)の非環式アミノアミドに関する。これらの化合物は、非ペプチド性低分子量のレニン阻害剤である。本発明はさらに、これらの化合物の調製方法、これらの化合物を含有する医薬組成物、ならびにこれらの使用、ならびに心血管イベントおよび腎機能障害の治療方法に関する。


【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
請求にかかる発明は、Merck & Co.,IncとActelion Pharmaceuticals Ltd.との間の共同研究契約の範囲内で進められた活動の結果としてなされた。本契約は2003年12月4日に発効された。本発明の分野を以下に記載する。
【0002】
本発明は、一般式(I)の新規レニン阻害剤に関する。本発明はまた、本化合物を調製する方法、1種以上の式(I)の化合物を含有する医薬組成物、特に心血管イベントおよび腎機能障害におけるレニン阻害剤としてのこれらの使用を含む関連態様に関する。
【背景技術】
【0003】
レニン−アンジオテンシン系(RAS)において、生物学的に活性なアンジオテンシンII(AngII)は2段階機序により生成される。高度に特異的な酵素であるレニンは、アンジオテンシノーゲンをアンジオテンシンI(Ang I)に開裂させ、次いで、AngIは、特異性が小さいアンジオテンシン変換酵素(ACE)によりAngIIにさらに処理される。AngIIは、ATおよびATと称される少なくとも2種の受容体サブタイプに作用することが知られている。ATはAngIIの既知の機能の大部分を伝達すると考えられている一方、ATの役割は依然として不明である。
【0004】
RASの調節は、心血管疾患治療における主要な進歩を表している。ACE阻害剤およびAT遮断剤は、高血圧の治療に承認されている(Waeber B.ら、「The renin−angiotensin system:role in experimental and human hypertension」、Birkenhager W.H.、Reid J.L.(編):Hypertension、Amsterdam、Elsevier Science Publishing Co、1986、489−519頁;Weber M.A.、Am.J.Hypertens.、1992、5、247頁)。さらに、ACE阻害剤は、腎臓保護(Rosenberg M.E.ら、Kidney International、1994、45、403頁;Breyer J.A.ら、Kidney International、1994、45、156頁)に使用され、欝血性心不全(Vaughan D.E.ら、Cardiovasc.Res.、1994、28、159頁;Fouad−Tarazi F.ら、Am.J.Med、1988、84(増補3A)、83頁)および心筋梗塞(Pfeffer M.A.ら、N.Engl.J.Med.、1992、327、669頁)の予防に使用される。
【0005】
レニン阻害剤を開発する根拠は、レニンの特異性である(Kleinert H.D.、Cardiovasc.Drugs、1995、9、645頁)。レニンについて公知の唯一の基質はアンジオテンシノーゲンであり、アンジオテンシノーゲンは(生理学的条件下で)レニンによってのみ処理され得る。これに対し、ACEはAngIの他にブラジキニンを開裂させることもでき、セリンプロテアーゼであるキマーゼにより迂回され得る(Husain A.、J.Hypertens.、1993、11、1155頁)。したがって、患者において、ACEを阻害することによりブラジキニンが蓄積し、咳(5−20%)および潜在的に重篤な血管神経性浮腫(0.1−0.2%)が惹起される(Israili Z.H.ら、Annals of Internal Medicine、1992、117、234頁)。キマーゼはACE阻害剤によっては阻害されない。したがって、ACE阻害剤により治療された患者においてはAngIIの形成が依然として考えられる。一方、(例えば、ロサルタンによって)AT受容体を遮断することにより、他のAT受容体サブタイプ(例えば、AT)が、AT受容体の遮断により濃度が顕著に増大したAngIIに過剰に曝露される。要約すると、レニン阻害剤は、RASの遮断および安全性の面における効力に関して、ACE阻害剤およびAT遮断剤とは異なる薬学的プロファイルを示すことが予期される。
【先行技術文献】
【非特許文献】
【0006】
【非特許文献1】Waeber B.ら、「The renin−angiotensin system:role in experimental and human hypertension」、Birkenhager W.H.、Reid J.L.(編):Hypertension、Amsterdam、Elsevier Science Publishing Co、1986、489−519頁
【非特許文献2】Weber M.A.、Am.J.Hypertens.、1992、5、247頁
【非特許文献3】Rosenberg M.E.ら、Kidney International、1994、45、403頁
【非特許文献4】Breyer J.A.ら、Kidney International、1994、45、156頁
【非特許文献5】Vaughan D.E.ら、Cardiovasc.Res.、1994、28、159頁
【非特許文献6】Fouad−Tarazi F.ら、Am.J.Med、1988、84(増補3A)、83頁
【非特許文献7】Pfeffer M.A.ら、N.Engl.J.Med.、1992、327、669頁
【非特許文献8】Kleinert H.D.、Cardiovasc.Drugs、1995、9、645頁
【非特許文献9】Husain A.、J.Hypertens.、1993、11、1155頁
【非特許文献10】Israili Z.H.ら、Annals of Internal Medicine、1992、117、234頁
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、非ペプチド性低分子量のレニン阻害剤の同定に関する。組織のレニン−キマーゼ系を活性化し、局所的機能、例えば腎臓、心臓および血管のリモデリング、アテローム性動脈硬化症、ならびにおそらく再狭窄を病態生理学的に変化させることができる、血圧調節を越えた適応症に活性である、長い作用持続時間の経口的に活性なレニン阻害剤を記載する。したがって、本発明は、これらの非ペプチドレニン阻害剤を記載する。
【0008】
本発明に記載の化合物は、レニン阻害剤の新規構造クラスを表す。
【課題を解決するための手段】
【0009】
(発明の要旨)
本発明は、ある種の化合物およびレニン系に関連することが知られている病態の治療を含む、レニン酵素の阻害におけるこれらの使用を対象とする。本発明は、式Iの化合物を含む:
本発明は、式(I)
【0010】
【化1】

の化合物および薬学的に許容されるこれらの塩、ならびにこれらの光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、例えばラセミ体、ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーラセミ体、ジアステレオマーラセミ体の混合物、メソ体、互変異性体、塩、溶媒和物、ならびに形態学的形態
[式中、
Wは、
1)アリールおよび
2)a)N、OまたはSからなる群から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子環原子を有する5員または6員の飽和または不飽和の単環、
b)N、OまたはSからなる群から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子環原子を有する8員、9員または10員の飽和または不飽和の二環および
c)N、OまたはSからなる群から選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子環原子を有する11員から15員の飽和または不飽和の三環
からなる群から選択される複素環系
からなる群から選択され、
ここで、前記アリールまたは複素環は、非置換またはRで一置換されており、またはRから独立して選択される基で二置換されており、またはRから独立して選択される基で三置換されており、またはRから独立して選択される基で四置換されており、ここで、任意の安定なSまたはN複素環原子は、非置換またはオキソで置換されており、前記複素環のR置換は、1個以上の複素環の炭素または窒素原子上に存在し;
は、
1)OH、
2)NH
3)CN、
4)OCFH、
5)CF
6)C−Cアルキル、
7)C−Cアルコキシ、
8)−SO−Cアルキル、および
9)−SOH;および
からなる群から選択され;
nは、各出現時において、独立して0、1または2であり;
pは、各出現時において、独立して0、1または2であり;
およびRは、H、C−CアルキルおよびC−Cアルケニルからなる群から独立して選択され、ここで、アルキルおよびアルケニル基は、非置換または
1)OH、
2)CN、
3)CF
4)COOH、
5)C−Cアルコキシ、
6)C(O)R
7)C(O)N(R
8)S(O)−Cアルキル、
9)SON(R
10)N(R
11)NHC(O)R
12)NHC(O)NHR
13)NHC(S)NHR
14)NHC(NR)NH R
15)テトラゾリル、および
16)−(CH1−2
から独立して選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており;
は、H、C−CアルキルおよびC−Cアルケニルからなる群から選択され、ここで、アルキルおよびアルケニル基は、非置換または
1)OH、
2)CN、
3)CF
4)COOH、
5)C−Cアルコキシ、
6)C(O)R
7)C(O)N(R
8)S(O)−Cアルキル、
9)SON(R
10)N(R
11)NHC(O)R
12)NHC(O)NHR
13)NHC(S)NHR
14)NH(NR)NHR、および
15)テトラゾリル、
から独立して選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており、
またはRは、Rと一緒になって、非置換または=OおよびC−Cアルキルからなる群から選択される置換基で一置換もしくは二置換されている5員または6員の複素環を形成しており;
は、水素および−C(NH(NH)からなる群から選択され、またはRは、Rと一緒になって、非置換または=OおよびC−Cアルキルからなる群から選択される置換基で一置換もしくは二置換されている5員または6員の複素環を形成しており;
およびRは、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、CFおよびCHCFからなる群から選択され;
は、H、C−CアルキルおよびCHCFからなる群から選択され;
は、HおよびC−Cアルキルからなる群から選択され、ここで、アルキル基は、非置換または
1)OH、
2)CN、
3)CF
4)COOH、および
5)C(O)NHR、および
6)テトラゾリル;
からなる群から選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており;
は、1個または2個の窒素原子を有する5員または6員のヘテロアリール環であり;
Arは、Arおよび9員または10員の縮合二環式アリールまたはヘテロアリール環からなる群から独立して選択され、ここで、縮合二環式ヘテロアリールは、O、SおよびNから選択される1個から4個のヘテロ原子を含有し、ここで、縮合二環式アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ、非置換または
1)OH、
2)CN、
3)ハロゲン、
4)N
5)NO
6)COOH、
7)OCFH、
8)CF
9)非置換またはArで置換されているC−Cアルキル、
10)C−Cアルキル、
11)C−Cアルケニル、
12)C−Cアルコキシ、
13)C(O)C−Cアルキル、
14)S(O)−Cアルキル、
15)−O(CH1−2Ar
16)−O(CH1−2D、
17)−OC(O)D、
18)−OC(O)NH(C−Cアルキレン)C(O)NH、および
19)−OC(O)NH(C−Cアルキレン)(OH)R
からなる群から独立して選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており;
ここで、置換基(10)−(14)は、非置換または
a)OH、
b)COOR
c)CN、
d)CF
e)C−Cアルコキシ、
f)S(O)−Cアルキル、
g)テトラゾリル
h)−C(O)NH
i)−COONa、
j)−NR、および
k)−NRC(O)R
からなる群から独立して選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており;
O、SおよびNから選択される1個から3個のヘテロ原子を含有するヘテロアリール環であり、ここで、置換アリール環および置換ヘテロアリール環は、
1)OH、
2)CN、
3)ハロゲン、
4)N
5)NO
6)COOH、
7)OCFH、
8)CF
9)C−Cアルキル、
10)C−Cアルケニル、
11)C−Cアルコキシ、
12)C(O)C−Cアルキル、および
13)S(O)−Cアルキル、
からなる群から独立して選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており、
ここで、置換基(9)−(13)は、非置換または
a)OH、
b)COOH、
c)CN、
d)CF
e)C−Cアルコキシ、
f)S(O)−Cアルキル;
からなる群から独立して選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており;
Arは、非置換もしくは置換のアリール環であり、またはO、SおよびNから選択される1個から3個のヘテロ原子を含有する非置換もしくは置換の5員もしくは6員のヘテロアリール環であり、ここで、置換アリール環および置換ヘテロアリール環は、
1)OH、
2)CN、
3)ハロゲン、
4)N
5)NO
6)COOH、
7)OCFH、
8)CF
9)C−Cアルキル、
10)C−Cアルケニル、
11)C−Cアルコキシ、
12)C(O)C−Cアルキル、および
13)S(O)−Cアルキル、
からなる群から独立して選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており、
ここで、置換基(9)−(13)は、非置換または
a)OH、
b)COOH、
c)CN、
d)CF
e)C−Cアルコキシ、
f)S(O)−Cアルキル;
からなる群から独立して選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており;
Arは、非置換もしくは置換のアリール環であり、またはO、SおよびNから選択される1個から3個のヘテロ原子を含有する非置換もしくは置換の5員もしくは6員のヘテロアリール環であり、ここで、置換アリール環および置換ヘテロアリール環は、
1)OH、
2)CN、
3)OCFH、
4)CF
5)C−Cアルキル、
6)C−Cアルコキシ、および
7)−SO
からなる群から独立して選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており;
Dは、1個または2個の窒素原子および0個または1個の酸素原子を有する5員または6員の飽和複素環であり、ここで、環は非置換であってよく、またはC−Cアルキルで置換されていてよい。]に関する。
【発明を実施するための形態】
【0011】
式Iの化合物の一実施形態において、Wは、フェニル、ピリジル、インドリルまたはNHで置換されているピリジルであり、全ての他の可変部は上記定義の通りである。
【0012】
式Iの化合物の別の実施形態において、RはHであり、全ての他の可変部は上記定義の通りである。
【0013】
式Iの化合物の別の実施形態において、RはHであり、全ての他の可変部は上記定義の通りである。
【0014】
式Iの化合物の別の実施形態において、nは1であり、RはHであり、RはHであり、全ての他の可変部は上記定義の通りである。
【0015】
式Iの化合物の別の実施形態において、Rはシクロプロピルであり、全ての他の可変部は上記定義の通りである。
【0016】
式Iの化合物の別の実施形態において、Arは、Cl、−CHCHOCH、−OCHCHOCHおよび−CHCHCHOCHから独立して選択される基で二置換されているフェニルであり、全ての他の可変部は上記定義の通りである。
【0017】
上記式Iの化合物および薬学的に許容されるこれらの塩は、レニン阻害剤である。本化合物は、レニンを阻害し、高血圧などの病態を治療するのに有用である。
【0018】
式(I)の化合物に対するあらゆる表記はまた、このような化合物の光学的に純粋なエナンチオマー、エナンチオマーの混合物、例えばラセミ体、ジアステレオマー、ジアステレオマーの混合物、ジアステレオマーラセミ体、ジアステレオマーラセミ体の混合物、メソ体および互変異性体、ならびに塩(特に薬学的に許容される塩)および溶媒和物(水和物を含む。)、ならびに形態学的形態を必要に応じて便宜的に意味すると解されるべきである。本発明は、これら全ての形態を包含する。混合物は、自体公知の手段、例えばカラムクロマトグラフィー、薄層クロマトグラフィー(TLC)、高速液体クロマトグラフィー(HPLC)または結晶化において分離される。本発明の化合物は、キラル中心を有することができ、例えば1個のキラル中心(2種の立体異性体(R)および(S)を提供する。)または2個のキラル中心(最大4種の立体異性体(R,R)、(S,S)、(R,S)、(S,R)を提供する。)を有することができる。本発明は、これらの光学異性体およびこれらの混合物全てを含む。特に記載のない限り、1種の異性体に対する表記は考えられる異性体のいずれにも当てはまる。異性体組成が明示されていない場合は、考えられる全ての異性体が含まれる。
【0019】
式Iに定義の化合物の互変異性体も、本発明の範囲内に含まれる。例えば、カルボニル−CHC(O)−基(ケト体)を含む化合物は、互変異性に供してヒドロキシル−CH=C(OH)−基(エノール体)を形成させることができる。ケト体およびエノール体は、両方とも本発明の範囲内に含まれる。
【0020】
さらに、炭素−炭素二重結合を有する化合物がZ体およびE体で生じ得、この化合物の全ての異性形態が本発明に含まれる。
【0021】
本発明の化合物は、1個以上の部位、例えば酸素(ヒドロキシル縮合)、硫黄(スルフィドリル縮合)および/または窒素を介してニトロソ化された式(I)のニトロソ化化合物をも含む。本発明のニトロソ化化合物は、当業者に公知の慣用の方法を使用して調製することができる。例えば、化合物をニトロソ化する公知の方法は、米国特許第5,380,758号、第5,703,073号、第5,994,294号、第6,242,432号および第6,218,417号;WO98/19672およびOaeら、Org.Prep.Proc.Int.、15(3):165−198頁(1983)に記載されている。
【0022】
塩は、好ましくは式(I)の化合物の薬学的に許容される塩である。表現「薬学的に許容される塩」は、生物体に毒性を示さない無機酸もしくは有機酸、例えば塩酸、臭化水素酸、ヨウ化水素酸、硫酸、スルファミン酸、リン酸、硝酸、亜リン酸、亜硝酸、クエン酸、ギ酸、酢酸、シュウ酸、マレイン酸、乳酸、酒石酸、フマル酸、安息香酸、マンデル酸、桂皮酸、パモ酸、ステアリン酸、グルタミン酸、アスパラギン酸、メタンスルホン酸、エタンスルホン酸、エタンジスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、サリチル酸、コハク酸、トリフルオロ酢酸などとの塩、または式(I)の化合物が酸性である場合、無機塩基、例えばアルカリもしくはアルカリ土類塩基、例えば水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウムなどとの塩を包含する。薬学的に許容される塩の他の例については、特に「Salt selection for basic drugs」、Int.J.Pharm.(1986)、33、201−217頁を参照することができる。
【0023】
本発明はまた、プロドラッグとして作用する式(I)の化合物の誘導体を含む。これらのプロドラッグは、患者への投与に続き、通常の代謝プロセスにより体内で式Iの化合物に変換される。このようなプロドラッグは、式Iの化合物の薬物吸収を改善するためのバイオアベイラビリティの向上(以下の表4を参照のこと。)、組織特異性および/または細胞送達を示すプロドラッグを含む。このようなプロドラッグの作用は、物理化学的特性、例えば親油性、分子量、電荷および薬物の浸透特性を決定する他の物理化学的特性の改変から得ることができる。
【0024】
式Iにおいて上記および下記に使用の一般用語は、好ましくは、本開示内で、特に記載のない限り以下の意味を有する。複数の形態が化合物、塩、医薬組成物、疾患などについて使用される場合、この形態は単一の化合物、塩などをも意味するものとする。
【0025】
用語「アルキル」は、単独で、または他の基との組合せにおいて、1個から6個の炭素原子を有する飽和の直鎖および分枝鎖基、すなわちC1−6アルキルを意味する。アルキル基の例は、メチル、エチル、n−プロピル、イソ−プロピル、n−ブチル、イソ−ブチル、sec−ブチル、tert−ブチル、ペンチル、ヘキシルおよびヘプチルである。メチル、エチルおよびイソプロピル基が好ましい。化合物の構造表現は、末端メチル基を「−CH」、「Me」または
【0026】
【化2】

として示すことができ、すなわち、これらは等価の意味を有する。
【0027】
用語「アルコキシ」は、単独で、または他の基との組合せにおいて、R−O−基(式中、Rはアルキル基である。)を意味する。アルコキシ基の例は、メトキシ、エトキシ、プロポキシ、イソ−プロポキシ、イソ−ブトキシ、sec−ブトキシおよびtert−ブトキシである。
【0028】
用語「ヒドロキシ−アルキル」は、単独で、または他の基との組合せにおいて、HO−R−基(式中、Rはアルキル基である。)を意味する。ヒドロキシ−アルキル基の例は、HO−CH−、HO−CHCH−、HO−CHCHCH−およびCHOH(OH)−である。
【0029】
用語「ハロゲン」は、フッ素、塩素、臭素またはヨウ素を意味し、好ましくはフッ素、塩素または臭素を意味し、特にフッ素または塩素を意味する。
【0030】
用語「シクロアルキル」は、単独で、または組合せにおいて、3個から8個の炭素原子を有する飽和環式炭化水素環系、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、シクロヘプチルおよびシクロオクチルを意味する。
【0031】
用語「アリール」は、芳香族の炭素単環系および炭素多環系を意味し、「アレーン」とも称され、ここで、多環系内の個々の炭素環は互いに縮合しており、または単結合を介して互いに結合している。好適なアリール基は、フェニル、ナフチル、インダニルおよびビフェニレニルを含む。略語「Ph」は、フェニルを表す。
【0032】
特に記載のない限り、用語「複素環」(およびこの変形、例えば「複素環式」または「ヘテロシクリル」)は、(i)安定な4員から8員の飽和または不飽和の単環、(ii)安定な7員から12員の二環系または(iii)安定な11員から15員の三環系を広く意味し、ここで、(ii)および(iii)の各環は、他の1個もしくは複数の環から独立しており、または他の1個もしくは複数の環に縮合しており、各環は飽和または不飽和であり、単環、二環系または三環系は、N、OおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子(例えば、1個から6個のヘテロ原子または1個から4個のヘテロ原子)、ならびに残りの炭素原子を含有し(単環は、典型的には、少なくとも1個の炭素原子を含有し、二環系および三環系は、典型的には、少なくとも2個の炭素原子を含有する。);ここで、窒素および硫黄ヘテロ原子の任意の1個以上は、場合によって酸化されており、窒素ヘテロ原子の任意の1個以上は、場合によって第四級化されている。特に記載のない限り、複素環は、結合が安定構造の作出をもたらす場合に限り、任意のヘテロ原子または炭素原子において結合していてよい。特に記載のない限り、複素環が置換基を有する場合、複素環は、置換基が、安定な化学構造が生じる場合に限り、ヘテロ原子または炭素原子を問わず、環内の任意の原子に結合していてよいと解される。
【0033】
飽和複素環式は、複素環のサブセットを形成する。特段の記載がない限り、用語「飽和複素環式」は、一般に、環系(単環式または多環式を問わない。)全体が飽和である上記定義の複素環を意味する。用語「飽和複素環」は、炭素原子、ならびにN、OおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子からなる4員から8員の飽和単環、安定な7員から12員の二環系または安定な11員から15員の三環系を意味する。代表例は、ピペリジニル、ピペラジニル、アゼパニル、ピロリジニル、ピラゾリジニル、イミダゾリジニル、オキサゾリジニル、イソオキサゾリジニル、モルホリニル、チオモルホリニル、チアゾリジニル、イソチアゾリジニルおよびテトラヒドロフリル(またはテトラヒドロフラニル)を含む。
【0034】
不飽和複素環式は、複素環の別のサブセットを形成する。特段の記載がない限り、用語「不飽和複素環式」は、一般に、環系(単環式または多環式を問わない。)全体が飽和でない、すなわちこのような環が不飽和または部分不飽和である上記定義の複素環を意味する。特段の記載がない限り、用語「ヘテロ芳香族環」は、炭素原子、ならびにN、OおよびSから選択される1個以上のヘテロ原子からなる5員または6員の単環式芳香族環、7員から12員の二環系または11員から15員の三環系を意味する。少なくとも1個の窒素原子を含有する置換ヘテロ芳香族環(例えば、ピリジン)の場合において、このような置換はN−オキシド形成をもたらす置換であってよい。ヘテロ芳香族環の代表例は、ピリジル、ピロリル、ピラジニル、ピリミジニル、ピリダジニル、チエニル(またはチオフェニル)、チアゾリル、フラニル、イミダゾリル、ピラゾリル、トリアゾリル、テトラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、オキサジアゾリル、チアゾリル、イソチアゾリルおよびチアジアゾリルを含む。
【0035】
二環式複素環の代表例は、ベンゾトリアゾリル、インドリル、イソインドリル、インダゾリル、インドリニル、イソインドリニル、キノキサリニル、キナゾリニル、シンノリニル、クロマニル、イソクロマニル、テトラヒドロキノリニル、キノリニル、テトラヒドロイソキノリニル、イソキノリニル、2,3−ジヒドロベンゾフラニル、2,3−ジヒドロベンゾ−1,4−ジオキシニル(すなわち、
【0036】
【化3】

)、イミダゾ(2,1−b)(1,3)チアゾール(すなわち、
【0037】
【化4】

)およびベンゾ−1,3−ジオキソリル(すなわち、
【0038】
【化5】

)を含む。本明細書においてある文脈において、
【0039】
【化6】

は、代替的に、2個の隣接炭素原子に結合しているメチレンジオキシを置換基として有するフェニルと称される。
【0040】
用語「ヘテロアリール」は、単独で、または組合せにおいて、1個から4個の窒素原子を含有する6員芳香族環;1個から3個の窒素原子を含有するベンゾ縮合6員芳香族環;1個の酸素、1個の窒素または1個の硫黄原子を含有する5員芳香族環;1個の酸素、1個の窒素または1個の硫黄原子を含有するベンゾ縮合5員芳香族環;酸素、窒素および硫黄から独立して選択される2個のヘテロ原子を含有する5員芳香族環、ならびにこのような環のベンゾ縮合誘導体;3個の窒素原子を含有する5員芳香族環およびこれらのベンゾ縮合誘導体;テトラゾリル環;チアジニル環;またはクマリニルを意味する。このような環系の例は、フラニル、チエニル、ピロリル、ピリジニル、ピリミジニル、インドリル、キノリニル、イソキノリニル、イミダゾリル、トリアジニル、チアゾリル、イソチアゾリル、ピリダジニル、ピラゾリル、オキサゾリル、イソオキサゾリル、ベンゾチエニル、キナゾリニルおよびキノキサリニルである、ある複素環式環を意味する。
【0041】
式Iの化合物および薬学的に許容されるこれらの塩の具体例は、以下の列記されるものを含む:
【0042】
【化7】

【0043】
本発明はまた、薬学的に許容される担体および式Iの化合物または薬学的に許容されるこれらの結晶形態もしくは水和物を含む医薬配合物を包含する。好ましい実施形態は、第2の薬剤をさらに含む、式Iの化合物の医薬組成物である。
【0044】
略語リスト:
ABTS 2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)2NH
Boc t−ブトキシカルボニル
BSA ウシ血清アルブミン
DME ジメトキシエタン
DMF ジメチルホルムアミド
DMSO ジメチルスルホキシド
EDTA エチレンジアミン四酢酸
EIA 酵素免疫測定法
HATU O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート
Hex ヘキサン
PBS リン酸緩衝生理食塩水
TFA トリフルオロ酢酸
THF テトラヒドロフラン
特段の記載がない限り、本明細書に引用される全範囲が包括的である。例えば、C−Cアルキルと記載されるアルキル基は、このアルキル基が1個、2個、3個、4個、5個または6個の炭素原子を含有することができることを意味する。
【0045】
任意の可変部が本発明の化合物を表現および説明する任意の成分または任意の式において1回以上生じる場合、各出現時のこの定義は、あらゆる他の出現時のこの定義から独立している。また、置換基および/または可変部の組合せは、このような組合せが安定な化合物をもたらす場合にのみ許容される。
【0046】
用語「置換されている」(例えば、「・・・1個以上の置換基で場合によって置換されているアルキル」におけるような)は、指定の置換基による一置換および多置換を、このような単一置換および複数置換(同一部位における複数置換を含む。)が化学的に許容される程度に含む。
【0047】
ピリジル−N−オキシド部分を有する本発明の化合物において、このピリジル−N−オキシド部は、等価の意味を有する慣用表示、例えば
【0048】
【化8】

を使用して構造的に表現される。
【0049】
本発明はまた、上記定義の化合物をヒトまたは動物に投与することを含む、高血圧、欝血性心不全、肺高血圧、収縮期高血圧、腎機能障害、腎虚血、腎不全、腎線維症、心機能障害、心肥大、心線維症、心筋虚血、心筋症、糸球体腎炎、腎仙痛、糖尿病に起因する合併症、例えば腎症、脈管障害および神経障害、緑内障、眼圧亢進、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、血管または心臓の術後合併症、勃起不全、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安症、認知障害、免疫抑制剤による治療の合併症に関連する疾患、ならびにレニン−アンジオテンシン系に関連することが知られている他の疾患を治療および/または予防する方法に関する。
【0050】
別の実施形態において、本発明は、高血圧、欝血性心不全、肺高血圧、腎機能障害、腎虚血、腎不全、腎線維症、心機能障害、心肥大、心線維症、心筋虚血、心筋症、糖尿病に起因する合併症、例えば腎症、脈管障害および神経障害に関連する疾患を治療および/または予防する方法に関する。
【0051】
別の実施形態において、本発明は、レニン−アンジオテンシン系の調節不全に伴う疾患を治療および/または予防する方法、ならびに上記疾患を治療する方法に関する。
【0052】
本発明はまた、上記疾患を治療および/または予防する医薬品の調製のための、式(I)の化合物の使用に関する。
【0053】
式(I)の化合物または上記医薬組成物は、ACE阻害剤、中性エンドペプチダーゼ阻害剤、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、エンドセリン受容体アンタゴニスト、血管拡張剤、カルシウムアンタゴニスト、カリウム活性化物質、利尿薬、交感神経遮断薬、ベータ−アドレナリンアンタゴニスト、アルファ−アドレナリンアンタゴニストを含む、他の薬理学的に有効な化合物と組み合わせても有用であり、または上記疾患の予防もしくは治療に有益な他の薬物と組み合わせても有用である。
【0054】
式Iの化合物に関する用語「投与」およびこの変形(例えば、化合物を「投与する」)は、治療または予防が必要とされる個体に化合物または該化合物のプロドラッグを提供することを意味する。本発明の化合物またはこのプロドラッグが1種以上の他の有効薬剤(例えば、アンジオテンシンII受容体アンタゴニスト、ACE阻害剤などの薬剤または血圧を降下させることが知られている他の有効薬剤)と組み合わせて提供される場合、「投与」およびこの変形は、化合物またはプロドラッグおよび他の薬剤を同時に、または異なる時間に提供することを含むとそれぞれ解される。組合せ薬剤が同時投与される場合、組合せ薬剤は単一組成物として一緒に投与することができ、または別個に投与することができる。
【0055】
本明細書において使用される用語「組成物」は、特定の成分を特定の量で含む生成物および特定の成分を特定の量で組み合わせることから直接的または間接的に得られる任意の生成物を包含するものとする。
【0056】
「薬学的に許容される」は、医薬組成物の成分が、互いに適合性でなければならず、このレシピエントに有害であってはならないことを意味する。
【0057】
本明細書において使用される用語「対象」は、治療、観察または実験の目的である動物を意味し、好ましくは哺乳動物を意味し、最も好ましくはヒトを意味する。
【0058】
本明細書において使用される用語「有効量」は、研究者、獣医師、医師または他の臨床家により求められている、組織、系、動物またはヒトにおいて生物学的または医学的応答を誘発する有効化合物または医薬剤の量を意味する。一実施形態において、有効量は、治療されている疾患または病態の症状を緩和する「治療有効量」である。別の実施形態において、有効量は、防止されている疾患または病態の症状を予防する「予防有効量」である。この用語は、本明細書において、レニンを阻害し、これにより、求められている応答を誘発させるのに十分な有効化合物の量(すなわち、「阻害有効量」)をも含む。有効化合物(すなわち、有効成分)が塩として投与される場合、有効成分の量という表記は、化合物の遊離形態(すなわち、非塩形態)に対するものである。
【0059】
好ましい実施形態において、この量は1日当たり1mgから1000mgである。特に好ましい実施形態において、この量は1日当たり1mgから500mgである。さらに特に好ましい実施形態において、この量は1日当たり1mgから200mgである。
【0060】
本発明の(すなわち、レニンを阻害する)方法において、場合によって塩の形態である式Iの化合物を、有効薬剤を薬剤作用部位と接触させる任意の手段により投与することができる。本発明の化合物は、個々の治療剤として、または治療剤の組合せにおいて、医薬に関連する使用に利用可能な任意の慣用手段により投与することができる。本発明の化合物は、単独で投与することができるが、典型的には、選択される投与経路および標準的な医薬実務に基づいて選択される医薬担体とともに投与される。本発明の化合物は、化合物の有効量、ならびに慣用の非毒性の薬学的に許容される担体、補助剤およびビヒクルを含有する医薬組成物の単位投与量の形態で、例えば経口投与、非経口投与(皮下注射、静脈内注射、筋肉内注射、胸骨内注射または注入技術を含む。)、吸入噴霧投与または直腸投与することができる。経口投与に好適な液体製剤(例えば、懸濁剤、シロップ剤、エリキシル剤など)は、当該分野において公知の技術により調製することができ、通常の媒体、例えば水、グリコール、油、アルコールなどのいずれかを使用することができる。経口投与に好適な固体製剤(例えば、散剤、丸剤、カプセル剤および錠剤)は、当該分野で公知の技術により調製することができ、固体賦形剤、例えばデンプン、糖、カオリン、潤滑剤、結合剤、崩壊剤などを使用することができる。非経口組成物は、当該分野において公知の技術により調製することができ、典型的には、担体として滅菌水を使用し、他の成分、例えば溶解助剤を場合によって使用することができる。注射液剤は、当該分野で公知の方法により調製することができ、ここで、担体は、生理食塩水、グルコース溶液または生理食塩水およびグルコースの混合物を含有する溶液を含む。本発明に使用される医薬組成物の調製に使用するのに好適な方法および前記組成物に使用するのに適切な成分のさらなる記載は、Remington’s Pharmaceutical Sciences、18版、A.R.Gennaro編、Mack Publishing Co.、1990に提供されている。
【0061】
合成方法
本発明の化合物は、下記に示され、記載されている例示の合成反応スキームに表現されている種々の方法により作製することができる。これらの化合物の調製において使用される出発材料および試薬は、一般に、供給業者、例えばAldrich Chemical Co.から入手可能であり、または当業者に公知の方法により、参考文献、例えばFieserおよびFieser’s Reagents for Organic Synthesis;Wiley & Sons:New York、1−21巻;R.C.LaRock、Comprehensive Organic Transformations、2版;Wiley−VCH:New York、1999;Comprehensive Organic Synthesis、B.TrostおよびI.Fleming(編)1−9巻 Pergamon:Oxford、1991;Comprehensive Heterocyclic Chemistry、A.R.KatritzkyおよびC.W.Rees(編)1−9巻 Pergamon:Oxford 1984;Comprehensive Heterocyclic Chemistry II、A.R.KatritzkyおよびC.W.Rees(編)1−11巻 Pergamon:Oxford、1996;およびOrganic Reactions、Wiley & Sons:New York、1991、1−40巻に記載の手順に従って調製される。以下の合成反応スキームおよび実施例は、本発明の化合物を合成することができるいくつかの方法を単に例示するためのものにすぎず、本出願に含まれる開示を参照して、これらの合成反応スキームの種々の改変をなすことができ、当業者に示唆される。
【0062】
合成反応スキームの出発材料および中間体は、限定されるものではないが、濾過、蒸留、結晶化、クロマトグラフィーなどを含む慣用の技術を使用して所望により単離および精製することができる。このような材料は、物理定数およびスペクトルデータを含め、慣用の手段により特性決定することができる。
【0063】
特に記載のない限り、実験手順を以下の条件下で実施した。溶媒の蒸発は、ロータリーエバポレーターを使用し、減圧(600−4000パスカル:4.5−30mmHg)下で、最高60℃の浴温度により実施した。反応は、特に記載のない限り、典型的には窒素雰囲気下で周囲温度で実行する。無水溶媒、例えばTHF、DMF、EtO、DMEおよびトルエンは、市販グレードである。試薬は市販グレードであり、さらに精製することなく使用した。フラッシュクロマトグラフィーは、シリカゲル(230−400メッシュ)上で実行する。反応過程を薄層クロマトグラフィー(TLC)または核磁気共鳴(NMR)分光法により追跡し、反応時間は単に例示するために与えられる。全ての最終生成物の構造および純度をTLC、質量分析法、H NMRおよび/または高圧液体クロマトグラフィー(HPLC)により確認した。化学記号は、これらの通常の意味を有する。以下の略語も使用したv(体積)、w(重量)、b.p.(沸点)、m.p.(融点)、L(リットル)、mL(ミリリットル)、g(グラム)、mg(ミリグラム)、mol(モル)、mmol(ミリモル)、eq.(当量)。特に記載がない限り、下記の全ての可変部は上記の意味を有する。
【0064】
本発明の化合物は、以下のスキーム1−4に例示の一般的方法により調製することができる。例えば、シアノ酢酸塩IIおよび適切に置換されているアルデヒドIII間のKnoevenagelタイプの縮合により、α,β−不飽和エステルIVを提供することができる。IVのアルケンおよびシアノ基の同時還元は、還元剤、例えばCoCl−NaBHにより実施することができる。得られた飽和アミンは、例えばN−BOCにより保護した後、より良好に単離して誘導体Vを生じさせることができる。エステルVのけん化および得られた酸のアミンVIとのカップリングにより、保護アミノアミドVIIを提供する。最後に、保護基の除去により所望のアミノアミドVIIIを提供することができる(スキーム1)。
【0065】
【化9】

【0066】
代替的に、順序をアミンVIのシアノ酢酸IXとの最初のカップリングにより変えてアミド前駆体Xを生じさせることができる(スキーム2)。置換アルデヒドIIIとの後続のKnoevenagel縮合により、α,β−不飽和アミドXIを供与することができる。二重結合およびシアノ基の還元は、還元剤、例えばCoCl−NaBHにより同様に実施することができる。得られた飽和アミンは、N−BOC誘導体VIIとして非常に便利に単離することができる。最後に、酸性条件下でBOC保護基を除去することにより、所望のアミノアミドVIIIを供給する。
【0067】
【化10】

【0068】
市販されていないアルデヒドIIIおよびアミンVIは、特許出願WO2007/009250に記載の手順を使用して容易に入手することができる。ある場合において、スキーム1および2のWをBOC保護基の最終的な除去の前に変えることが望ましいことがある。例えば、2−クロロピリジンXIIのこの対応するピリジンXIIIへの変換を、典型的な水素化条件下で実施することができる(スキーム3)。
【0069】
【化11】

【0070】
また、2−ブロモピリジンXIVの2−アミノピリジンXVへの変換は、CuOの存在下で水酸化アルミニウムにより実施することができる(スキーム4)。
【0071】
【化12】

【実施例1】
【0072】
3−アミノ−N−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−N−シクロプロピル−2−(フェニルメチル)プロパンアミド
【0073】
【化13】

【0074】
段階1:N−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−2−シアノ−N−シクロプロピルアセトアミド
シアノ酢酸(1当量)、Hunig塩基(3当量)およびN−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)シクロプロパンアミン(1当量、WO2007/009250)のDMF溶液(0.6M)に、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’,−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(1.2当量)を分けて添加した。得られた反応溶液を室温で16時間撹拌した。目下の赤色を帯びた溶液をエーテルにより希釈し、水および10%の水性HClにより洗浄した。水性洗液をエーテルにより逆抽出した。合わせた有機抽出物をブラインにより洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮して赤色半固体を得た。こうして得られた粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、10:1(v/v)のHex:EtOAc→1:4(v/v)のHex:EtOAc)を用いて精製することにより、表題化合物をオフホワイト色粉末として得た。
【0075】
段階2:(2E)−N−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−2−シアノ−N−シクロプロピル−3−フェニル−2−プロペンアミド
前段階からのN−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−2−シアノ−N−シクロプロピルアセトアミド(1当量)およびベンズアルデヒド(1当量)を、ベンゼン中で合わせた(0.05M)。次いでこの溶液に、数滴のピペリジンを添加し、Dean−Stark装置を反応容器に取り付けた。得られた淡黄色溶液を48時間還流させた。揮発物を真空中で除去し、こうして得られた粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、10:1(v/v)のHex:EtOAc→1:4(v/v)のHex:EtOAc)を用いて精製した。表題化合物を淡黄色固体として単離した。
【0076】
段階3:1,1−ジメチルエチル[3−[({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)(シクロプロピル)アミノ−3−オキソ−2−(フェニルメチル)プロピル]カルバメート
前段階からの(2E)−N−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−2−シアノ−N−シクロプロピル−3−フェニル−2−プロペンアミド(1当量)、塩化コバルト(II)六水和物(2当量)および二炭酸ジ−tert−ブチル(2当量)を、14:1(v/v)のEtOH/THF中溶液中で合わせた(0.07M)。次いでこの混合物に、水素化ホウ素ナトリウム(10当量)をゆっくりと分けて0℃で添加した。得られた黒色懸濁液を室温で8時間撹拌した。次いで、揮発物を真空中で除去し、得られた残留物をEtOAcおよび10%の水性HClに配した。水層を分離し、EtOAcにより逆抽出した。次いで、合わせた有機抽出物を1Nの水性NaOH、水およびブラインにより連続的に洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮して黄金色油状物を得た。こうして得られた粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、10:1(v/v)のHex:EtOAc→1:4(v/v)のHex:EtOAc)を用いて精製することにより、表題化合物を無色油状物として得た。
【0077】
段階4:3−アミノ−N−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−N−シクロプロピル−2−(フェニルメチル)プロパンアミド
前段階からの1,1−ジメチルエチル[3−[({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)(シクロプロピル)アミノ−3−オキソ−2−(フェニルメチル)プロピル]カルバメート(1当量)のCHCl溶液(0.5M)に、HCl(4.0Mジオキサン溶液、30当量)を添加した。得られた黄色溶液を室温で3時間撹拌した。揮発物を真空中で除去した後、得られた残留物を、97:3(v/v)のCHCl:MeOH中2.0MのNHにより充填されたSiOカラム上に直接ロードした。同一溶媒系により溶出させることにより、表題化合物を無色油状物として供給した。MS(ESI+):414.9。
【実施例2】
【0078】
3−アミノ−N−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−N−シクロプロピル−2−(1H−インドール−4−イルメチル)プロパンアミド
【0079】
【化14】

【0080】
段階1:(2E)−N−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−2−シアノ−N−シクロプロピル−3−(1H−インドール−4−イル)−2−プロペンアミド
N−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−2−シアノ−N−シクロプロピルアセトアミド(1当量、実施例1の段階1)および1H−インドール−4−カルバルデヒド(1.1当量)を、トルエン中で合わせた(0.07M)。次いでこの溶液に、数滴のピペリジンを添加し、Dean−Stark装置を反応容器に取り付けた。得られた淡黄色溶液を18時間還流させた。揮発物を真空中で除去し、こうして得られた粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、7:3(v/v)のHex:EtOAc→EtOAc)を用いて精製した。表題化合物を淡桃色固体として単離した。
【0081】
段階2:1,1−ジメチルエチル4−{(1E)−3−[({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)(シクロプロピル)アミノ]−2−シアノ−3−オキソ−1−プロペン−1−イル}−1H−インドール−1−カルボキシレート
前段階からの(2E)−N−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−2−シアノ−N−シクロプロピル−3−(1H−インドール−4−イル)−2−プロペンアミド(1当量)のTHF溶液(0.06M)に、水素化ナトリウム(3当量)を0℃で添加した。得られた赤色溶液を0℃で10分間撹拌し、次いで室温で5分間撹拌した。最後に、炭酸フェニルt−ブチル(1.2当量)を無希釈で添加し、得られた溶液を室温で16時間撹拌した。こうして得られた反応混合物をエーテルにより希釈し、水により慎重にクエンチした。水層を分離し、エーテルにより逆抽出した。合わせた有機抽出物を、1Nの水性NaOH、水およびブラインによりさらに洗浄した。次いで、合わせた有機抽出物をNaSO上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮した。こうして得られた粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、9:1(v/v)のHex:EtOAc→EtOAc)を用いて精製した。表題化合物を山吹色油状物として単離した。
【0082】
段階3:1,1−ジメチルエチル4−{3−[({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)(シクロプロピル)アミノ]−2−[({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)メチル]−3−オキソプロピル}−1H−インドール−1−カルボキシレート
前段階からの1,1−ジメチルエチル4−{(1E)−3−[({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)(シクロプロピル)アミノ]−2−シアノ−3−オキソ−1−プロペン−1−イル}−1H−インドール−1−カルボキシレート(1当量)、塩化コバルト(II)六水和物(2当量)および二炭酸ジ−tert−ブチル(2当量)を、EtOH中で合わせた(0.05M)。次いでこの混合物に、水素化ホウ素ナトリウム(8当量)をゆっくりと分けて0℃で添加した。得られた黒色懸濁液を室温で8時間撹拌した。次いで、揮発物を真空中で除去し、得られた残留物をEtOAcおよび10%の水性HClに配した。水層を分離し、EtOAcにより逆抽出した。次いで、合わせた有機抽出物を1Nの水性NaOH、水およびブラインにより連続的に洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮して淡緑色油状物を得た。こうして得られた粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、10:1(v/v)のHex:EtOAc→EtOAc)を用いて精製することにより、表題化合物を淡黄色油状物として得た。
【0083】
段階4:3−アミノ−N−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−N−シクロプロピル−2−(1H−インドール−4−イルメチル)プロパンアミド
前段階からの1,1−ジメチルエチル4−{3−[({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)(シクロプロピル)アミノ]−2−[({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)メチル]−3−オキソプロピル}−1H−インドール−1−カルボキシレート(1当量)のCHCl溶液(0.02M)に、TFA(30当量×2)を添加した。得られた黄色溶液を室温で38時間撹拌した。揮発物を真空中で除去した後、得られた残留物をEtOAcにより希釈し、飽和水性NaHCOによりクエンチした。水性洗液をEtOAcおよびCHClにより逆抽出した。合わせた有機抽出物をブラインによりさらに洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮した。こうして得られた粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、4:1(v/v)のCHCl:MeOH中2.0MのNH)を用いて精製することにより、表題化合物を黄色油状物として得た。MS(ESI+):454.2。
【実施例3】
【0084】
3−アミノ−N−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−N−シクロプロピル−2−(1H−インドール−6−イルメチル)プロパンアミド
【0085】
【化15】

【0086】
実施例2に記載の手順により調製したが、1H−インドール−6−カルバルデヒドを出発材料として代わりに使用した。表題化合物を黄色油状物として得た。MS(ESI+):454.4。
【実施例4】
【0087】
3−アミノ−N−シクロプロピル−N−({3−{[2−(メチルオキシ)エチル]オキシ}−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−2−(3−ピリジニルメチル)プロパンアミド
【0088】
【化16】

【0089】
段階1:エチル(2E)−3−({2−クロロ−3−ピリジニル)−2−シアノ−2−プロペノエート
シアノ酢酸エチル(1当量)および2−クロロ−3−ピリジンカルバルデヒド(1当量)を、トルエン中で合わせた(0.2M)。次いでこの溶液に、数滴のピペリジンを添加し、Dean−Stark装置を反応容器に取り付けた。得られた淡黄色溶液を16時間還流させた。揮発物を真空中で除去し、こうして得られた粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、19:1(v/v)のHex:EtOAc→3:7(v/v)のHex:EtOAc)を用いて精製した。表題化合物を黄色固体として単離した。
【0090】
段階2:エチル3−(2−クロロ−3−ピリジニル)−2−[({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)メチル]プロパノエート
前段階からのエチル(2E)−3−({2−クロロ−3−ピリジニル)−2−シアノ−2−プロペノエート(1当量)、塩化コバルト(II)六水和物(2当量)および二炭酸ジ−tert−ブチル(2当量)を、EtOH中で合わせた(0.076M)。次いでこの混合物に、水素化ホウ素ナトリウム(10当量)をゆっくりと分けて0℃で添加した。得られた黒色懸濁液を室温で14時間撹拌した。次いで、揮発物を真空中で除去し、得られた残留物をEtOAcおよび10%の水性HClに配した。水層を分離し、EtOAcにより逆抽出した。次いで、合わせた有機抽出物を1Nの水性NaOH、水およびブラインにより連続的に洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮して黄金色油状物を得た。こうして得られた粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、19:1(v/v)のHex:EtOAc→3:7(v/v)のHex:EtOAc)を用いて精製することにより、表題化合物を無色油状物として得た。
【0091】
段階3:エチル3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−2−(3−ピリジニルメチル)プロパノエート
前段階からのエチル3−(2−クロロ−3−ピリジニル)−2−[({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)メチル]プロパノエート(1当量)、酢酸ナトリウム(1.3当量)およびパラジウム(炭素上10%w/w、0.1当量)を、MeOH中で合わせた(0.05M)。この懸濁液に、Hを5分間バブリングし、次いでHの静止バルーン雰囲気下で室温で14時間撹拌しておいた。不溶物をセライトのベッドに通して濾過することにより除去し、濾液を真空中で濃縮して灰色半固体を得た。この残留物をEtOAcおよび水に配した。水層を分離し、EtOAcにより逆抽出した。次いで、合わせた有機抽出物をブラインにより連続的に洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮して無色油状物を得た。こうして得られた粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、3:2(v/v)のHex:EtOAc→EtOAc)を用いてさらに精製することにより、表題化合物を無色油状物として得た。
【0092】
段階4:3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−2−(3−ピリジニルメチル)プロパン酸
前段階からのエチル3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−2−(3−ピリジニルメチル)プロパノエート(1当量)の2:1(v/v)のTHF:MeOH溶液(0.63M)に、LiOH(2.0M水溶液、3当量)を添加した。得られた溶液を室温で10時間撹拌した。揮発物を真空中で除去した後、残留物をEtOAc中に取り、1Nの水性HClによりpHを4にした。水層を分離し、EtOAcにより逆抽出した。合わせた有機抽出物をブラインによりさらに洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮して表題化合物を白色固体として得た。
【0093】
段階5:1,1−ジメチルエチル[3−[シクロプロピル({3−{[2−(メチルオキシ)エチル]オキシ}−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)アミノ]−3−オキソ−2−(3−ピリジニルメチル)プロピル]カルバメート
前段階からの3−({[(1,1−ジメチルエチル)オキシ]カルボニル}アミノ)−2−(3−ピリジニルメチル)プロパン酸(1当量)、Hunig塩基(3当量)およびN−({3−{[2−(メチルオキシ)エチル]オキシ}−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)シクロプロパンアミン(1当量、WO2007/009250)のDMF溶液(0.1M)に、O−(7−アザベンゾトリアゾール−1−イル)−N,N,N’,N’,−テトラメチルウロニウムヘキサフルオロホスフェート(1.2当量)を分けて添加した。得られた反応溶液を室温で16時間撹拌した。目下の赤色を帯びた溶液をEtOAcにより希釈し、水および1Nの水性NaOHにより洗浄した。水性洗液をEtOAcにより逆抽出した。合わせた有機抽出物をブラインにより洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮して赤色油状物を得た。こうして得られた粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、96:4(v/v)のCHCl:MeOH中2.0MのNH)を用いて精製することにより、表題化合物を黄色油状物として得た。
【0094】
段階6:3−アミノ−N−シクロプロピル−N−({3−{[2−(メチルオキシ)エチル]オキシ}−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−2−(3−ピリジニルメチル)プロパンアミド
前段階からの1,1−ジメチルエチル[3−[シクロプロピル({3−{[2−(メチルオキシ)エチル]オキシ}−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)アミノ]−3−オキソ−2−(3−ピリジニルメチル)プロピル]カルバメート(1当量)のCHCl溶液(0.5M)に、HCl(4.0Mジオキサン溶液、30当量)を添加した。得られた黄色溶液を室温で3時間撹拌した。揮発物を真空中で除去した後、得られた残留物を93:7(v/v)のCHCl:MeOH中2.0MのNHにより充填されたSiOカラム上に直接ロードした。同一溶媒系により溶出させることにより、表題化合物を黄色油状物として供給した。MS(ESI+):456.2。
【実施例5】
【0095】
3−アミノ−2−[(2−アミノ−3−ピリジニル)メチル]−N−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−N−シクロプロピルプロパンアミド
【0096】
【化17】

【0097】
段階1:(2E)−3−(2−ブロモ−3−ピリジニル)−N−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−2−シアノ−N−シクロプロピル−2−プロペンアミド
N−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−2−シアノ−N−シクロプロピルアセトアミド(1当量、実施例1の段階1)および2−ブロモ−3−ピリドンカルバルデヒド(1.1当量)を、トルエン中で合わせた(0.05M)。次いでこの溶液に、数滴のピペリジンを添加し、Dean−Stark装置を反応容器に取り付けた。得られた淡黄色溶液を48時間還流させた。揮発物を真空中で除去し、こうして得られた粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、10:1(v/v)のHex:EtOAc→EtOAc)を用いて精製した。表題化合物を黄色粘稠性油状物として単離した。
【0098】
段階2:1,1−ジメチルエチル{2−[(2−ブロモ−3−ピリジニル)メチル]−3−[({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)(シクロプロピル)アミノ]−3−オキソプロピル)カルバメート
前段階からの(2E)−3−(2−ブロモ−3−ピリジニル)−N−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−2−シアノ−N−シクロプロピル−2−プロペンアミド(1当量)、塩化コバルト(II)六水和物(2当量)および二炭酸ジ−tert−ブチル(2当量)を、5:1(v/v)のEtOH/THF溶液中で合わせた(0.055M)。次いでこの混合物に、水素化ホウ素ナトリウム(10当量)をゆっくりと分けて0℃で添加した。得られた黒色懸濁液を室温で18時間撹拌した。次いで、揮発物を真空中で除去し、得られた残留物をEtOAcおよび10%の水性HClに配した。水層を分離し、EtOAcにより逆抽出した。次いで、合わせた有機抽出物を1Nの水性NaOH、水およびブラインにより連続的に洗浄し、MgSO上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮して黄色油状物を得た。こうして得られた粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、10:1(v/v)のHex:EtOAc→EtOAc)を用いて精製することにより、表題化合物を無色油状物として得た。
【0099】
段階3:1,1−ジメチルエチル{2−[(2−アミノ−3−ピリジニル)メチル]−3−[({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)(シクロプロピル)アミノ]−3−オキソプロピル)カルバメート
密封管中で、前段階からの1,1−ジメチルエチル{2−[(2−ブロモ−3−ピリジニル)メチル]−3−[({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)(シクロプロピル)アミノ]−3−オキソプロピル)カルバメート(1当量)および酸化銅(I)をエチレングリコール中で合わせた(0.06M)。これに、アンモニアガスを0℃で10分間バブリングしてから、容器を密封し、80℃で18時間加熱した。懸濁液を室温に冷却しておき、EtOAcにより希釈し、セライトのベッドに通して濾過した。次いで、濾液を1Nの水性NaOH、水およびブラインにより洗浄し、NaSO上で乾燥させ、濾過し、濾液を真空中で濃縮した。こうして得られた粗製生成物をカラムクロマトグラフィー(SiO、95:5(v/v)のCHCl:MeOH中2.0MのNH)を用いて精製することにより、表題化合物を黄色油状物として得た。
【0100】
段階4:3−アミノ−2−[(2−アミノ−3−ピリジニル)メチル]−N−({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)−N−シクロプロピルプロパンアミド
前段階からの1,1−ジメチルエチル{2−[(2−アミノ−3−ピリジニル)メチル]−3−[({2−クロロ−5−[3−(メチルオキシ)プロピル]フェニル}メチル)(シクロプロピル)アミノ]−3−オキソプロピル)カルバメート(1当量)のCHCl溶液(0.5M)に、HCl(4.0Mジオキサン溶液、30当量)を添加した。得られた黄色溶液を室温で4時間撹拌した。揮発物を真空中で除去した後、得られた残留物を、92:8(v/v)のCHCl:MeOH中2.0MのNHにより充填されたSiOカラム上に直接ロードした。同一溶媒系により溶出させることにより、表題化合物を無色油状物として供給した。MS(ESI+):431.1。レニンQFRET IC50:17nM。レニンヒト血漿IC50:240nM。
【0101】
生物学的活性を実証するアッセイ
ヒト組換えレニンの阻害
酵素的インビトロアッセイを384ウェルポリプロピレンプレート(Nunc)中で実施した。アッセイ緩衝液は、1mMのEDTAおよび0.1%のBSAを含むPBS(Gibco BRL)からなるものであった。反応混合物は、DMSO中の1ウェル当たり47.5μLの酵素混合物および2.5μLのレニン阻害剤から構成されるものであった。酵素混合物を4℃で予備混合し、酵素混合物は、以下の成分からなる:
・ヒト組換えレニン(40pM)
・合成ヒトアンジオテンシン(1−14)(0.5μM)
・硫酸ヒドロキシキノリン(1mM)
次いで、混合物を37℃で3時間温置した。酵素反応を、反応プレートを湿潤氷上に配置することにより停止させた。
【0102】
酵素的活性およびこの阻害を求めるため、蓄積したAngIを384ウェルプレート(Nunc)中で酵素免疫測定法(EIA)により検出した。5μLの反応混合物または標準液を、AngIおよびウシ血清アルブミンの共有結合複合体(AngI−BSA)が事前にコートされている免疫プレートに移した。0.01%のTween20を含む75μLの上記アッセイ緩衝液中のAngI−抗体を添加し、プレートを4℃で一晩温置した。
【0103】
代替プロトコールを、最終濃度0.02NのHClにより酵素的反応を停止させることにより使用することもできた。5μLの反応混合物または標準液を免疫プレートに移し、0.01%のTween20を含む75μLの上記アッセイ緩衝液中のAngI−抗体を添加し、プレートを室温で4時間温置した。
【0104】
プレートを、0.01%のTween20を含むPBSで3回洗浄し、次いで抗ウサギ−ペルオキシダーゼ結合抗体(WA934、Amersham)とともに室温で2時間温置した。プレートを3回洗浄した後、ペルオキシダーゼ基質のABTS((2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)2NH)を添加し、プレートを室温で60分間温置した。プレートをマイクロプレートリーダーにおいて405nmで評価した。阻害率を各濃度点について計算し、酵素活性を50%だけ阻害するレニン阻害濃度(IC50)を求めた。全試験化合物のIC50値は2μM未満であった。
【0105】
ヒト血漿におけるレニンの阻害
酵素的インビトロアッセイを384ウェルポリプロピレンプレート(Nunc)中で実施した。アッセイ緩衝液は、1mMのEDTAおよび0.1%のBSAを含むPBS(Gibco BRL)からなるものであった。反応混合物は、DMSO中の1ウェル当たり80μLのヒト血漿、酵素、AngI−抗体の混合物および5μLのレニン阻害剤から構成されるものであった。ヒト血漿混合物を4℃で予備混合し、ヒト血漿混合物は、
・10名の正常ドナーから得られたヒト血漿
・ヒト組換えレニン(3pM)
・AngI−抗体
からなる。
【0106】
次いで、混合物を37℃で2時間温置した。
【0107】
酵素的活性およびこの阻害を求めるため、蓄積したAngIを384ウェルプレート(Nunc)中で酵素免疫測定法(EIA)により検出した。10μLの反応混合物または標準液を、AngIおよびウシ血清アルブミンの共有結合複合体(AngI−BSA)が事前にコートされている免疫プレートに移した。70μLのアッセイ緩衝液を添加し、プレートを4℃で一晩温置した。プレートを、0.01%のTween20を含むPBSにより3回洗浄し、次いで抗ウサギ−ペルオキシダーゼ結合抗体(WA934、Amersham)とともに室温で2時間温置した。プレートを3回洗浄した後、ペルオキシダーゼ基質のABTS((2,2’−アジノ−ビス(3−エチルベンゾチアゾリン−6−スルホン酸)2NH)を添加し、プレートを室温で60分間温置した。プレートをマイクロプレートリーダーにより405nmで評価した。阻害率を各濃度点について計算し、酵素活性を50%だけ阻害するレニン阻害濃度(IC50)を求めた。
【0108】
インビボ動物モデル−雌性二重トランスジェニックラットをRCC Ltd、Fullingsdorf、Switzerlandから購入した。全動物を同一条件下で維持し、通常のペレット化ラット飼料および水を自由に摂取させた。ラットを最初にエナラプリル(1mg/kg/日)により2ヵ月間処置した。エナラプリル処置を中止して約2週間後、二重トランスジェニックラットは高血圧になり、160−170mmHgの範囲の平均動脈圧に達する。
【0109】
送信機移植−ラットを90mg/kgのKetamin−HCl(Ketavet、Parke−Davis、Berlin FRG)および10mg/kgのキシラジン(xylazin)(Rompun、Bayer、Leverkusen、FRG)の混合物により腹腔内麻酔した。圧力送信機を無菌条件下で腹腔内に移植し、検出カテーテルを下行大動脈中に腎動脈下で上流に向けて配置した。送信機を腹部筋系に縫合し、皮膚を閉じた。
【0110】
遠隔測定システム−遠隔測定装置をData Sciences(St.Paul、MN)から入手した。移植されるセンサは、真空と比較した絶対動脈圧を計測する極めて安定な低コンダクタンスひずみゲージ式圧力変換器に接続された液体充填カテーテル(直径0.7mm、長さ8cm;モデルTA11PA−C40)および無線送信機からなるものであった。カテーテルの先端に、血液逆流を防止する粘稠性ゲルを充填し、血栓形成を阻害する抗血栓性皮膜を被覆した。移植片(長さ=2.5cm、直径=1.2cm)は重量9gであり、典型的な電池寿命は6ヵ月である。受信機プラットフォーム(RPC−1、Data Sciences)により、無線信号を専用パーソナルコンピュータ(Compaq、deskpro)に送信されるデジタル化入力に接続した。動脈圧を、周囲圧力基準(APR−1、Data Sciences)からの入力を使用して較正した。収縮期血圧、平均血圧および拡張期血圧を水銀柱ミリメートル(mmHg)で表した。
【0111】
血行力学的計測−圧力送信機が移植された二重トランスジェニックラットに、ビヒクルまたは10mg/kgの試験物質(1群当たりn=6)を強制経口投与し、平均動脈圧を連続的にモニタリングした。試験物質の効果を、対照群に対する処置群における平均動脈圧(MAP)の最大減少として表す。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
式(I)
【化1】

を有する式Iの化合物もしくは薬学的に許容されるこの塩、またはこの光学異性体、および薬学的に許容されるこの塩
[式中、
Wは、
1)アリールおよび
2)a)N、OまたはSからなる群から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子環原子を有する5員または6員の飽和または不飽和の単環、
b)N、OまたはSからなる群から選択される1個、2個または3個のヘテロ原子環原子を有する8員、9員または10員の飽和または不飽和の二環および
c)N、OまたはSからなる群から選択される1個、2個、3個または4個のヘテロ原子環原子を有する11員から15員の飽和または不飽和の三環
からなる群から選択される複素環系
からなる群から選択され、
ここで、前記アリールまたは複素環は、非置換またはRで一置換されており、またはRから独立して選択される基で二置換されており、またはRから独立して選択される基で三置換されており、またはRから独立して選択される基で四置換されており、ならびにここで、任意の安定なSまたはN複素環原子は、非置換またはオキソで置換されており、前記複素環のR置換は、1個以上の複素環の炭素または窒素原子上に存在し;
2)NH
3)CN、
4)OCFH、
5)CF
6)C−Cアルキル、
7)C−Cアルコキシ、
8)−SO−Cアルキル、および
9)−SOH;および
であり;ならびに
nは、各出現時において、独立して0、1または2であり;
pは、各出現時において、独立して0、1または2であり;
およびRは、H、C−CアルキルおよびC−Cアルケニルからなる群から独立して選択され、ここで、アルキルおよびアルケニル基は、非置換または
1)OH、
2)CN、
3)CF
4)COOH、
5)C−Cアルコキシ、
6)C(O)R
7)C(O)N(R
8)S(O)−Cアルキル、
9)SON(R
10)N(R
11)NHC(O)R
12)NHC(O)NHR
13)NHC(S)NHR
14)NHC(NR)NH R
15)テトラゾリル、および
16)−(CH1−2
から独立して選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており;
は、H、C−CアルキルおよびC−Cアルケニルからなる群から選択され、ここで、アルキルおよびアルケニル基は、非置換または
1)OH、
2)CN、
3)CF
4)COOH、
5)C−Cアルコキシ、
6)C(O)R
7)C(O)N(R
8)S(O)−Cアルキル、
9)SON(R
10)N(R
11)NHC(O)R
12)NHC(O)NHR
13)NHC(S)NHR
14)NH(NR)NHR、および
15)テトラゾリル、
から独立して選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており、
またはRは、Rと一緒になって、非置換または=OおよびC−Cアルキルからなる群から選択される置換基で一置換もしくは二置換されている5員または6員の複素環を形成しており;
は、水素および−C(NH(NH)からなる群から選択され、またはRは、Rと一緒になって、非置換または=OおよびC−Cアルキルからなる群から選択される置換基で一置換もしくは二置換されている5員または6員の複素環を形成しており;
は、C−Cシクロアルキルであり;
は、H、C−Cアルキル、C−Cシクロアルキル、C−Cアルケニル、C−Cアルコキシ、CFおよびCHCFからなる群から選択され;
は、H、C−CアルキルおよびCHCFからなる群から選択され;
は、HおよびC−Cアルキルからなる群から選択され、ここで、アルキル基は、非置換または
1)OH、
2)CN、
3)CF
4)COOH、および
5)C(O)NHR、および
6)テトラゾリル;
からなる群から選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており;
は、1個または2個の窒素原子を有する5員または6員のヘテロアリール環であり;
Arは、Arおよび9員または10員の縮合二環式アリールまたはヘテロアリール環からなる群から独立して選択され、ここで、縮合二環式ヘテロアリールは、O、SおよびNから選択される1個から4個のヘテロ原子を含有し、ここで、縮合二環式アリールおよびヘテロアリールは、それぞれ、非置換または
1)OH、
2)CN、
3)ハロゲン、
4)N
5)NO
6)COOH、
7)OCFH、
8)CF
9)非置換またはArで置換されているC−Cアルキル、
10)C−Cアルキル、
11)C−Cアルケニル、
12)C−Cアルコキシ、
13)C(O)C−Cアルキル、
14)S(O)−Cアルキル、
15)−O(CH1−2Ar
16)−O(CH1−2D、
17)−OC(O)D、
18)−OC(O)NH(C−Cアルキレン)C(O)NH、および
19)−OC(O)NH(C−Cアルキレン)(OH)R
からなる群から独立して選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており;
ここで、置換基(10)−(14)は、非置換または
a)OH、
b)COOR
c)CN、
d)CF
e)C−Cアルコキシ、
f)S(O)−Cアルキル、
g)テトラゾリル
h)−C(O)NH
i)−COONa、
j)−NR、および
k)−NRC(O)R
からなる群から独立して選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており;
Arは、非置換もしくは置換のアリール環であり、またはO、SおよびNから選択される1個から3個のヘテロ原子を含有する非置換もしくは置換の5員もしくは6員のヘテロアリール環であり、ここで、置換アリール環および置換ヘテロアリール環は、
1)OH、
2)CN、
3)ハロゲン、
4)N
5)NO
6)COOH、
7)OCFH、
8)CF
9)C−Cアルキル、
10)C−Cアルケニル、
11)C−Cアルコキシ、
12)C(O)C−Cアルキル、および
13)S(O)−Cアルキル、
からなる群から独立して選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており、
ここで、置換基(9)−(13)は、非置換または
a)OH、
b)COOH、
c)CN、
d)CF
e)C−Cアルコキシ、
f)S(O)−Cアルキル;
からなる群から独立して選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており;
Arは、非置換もしくは置換のアリール環であり、またはO、SおよびNから選択される1個から3個のヘテロ原子を含有する非置換もしくは置換の5員もしくは6員のヘテロアリール環であり、ここで、置換アリール環および置換ヘテロアリール環は、
1)OH、
2)CN、
3)OCFH、
4)CF
5)C−Cアルキル、
6)C−Cアルコキシ、および
7)−SO
からなる群から独立して選択される1個、2個、3個または4個の置換基で置換されており;
Dは、1個または2個の窒素原子および0個または1個の酸素原子を有する5員または6員の飽和複素環であり、ここで、環は非置換またはC−Cアルキルで置換されていてよい。]。
【請求項2】
Wが、NHで置換されているフェニル、ピリジル、インドリル、またはピリジルである、請求項1の化合物または薬学的に許容されるこの塩。
【請求項3】
がHである、請求項1の化合物または薬学的に許容されるこの塩。
【請求項4】
がHである、請求項1の化合物または薬学的に許容されるこの塩。
【請求項5】
nが1であり、RがHであり、ならびにRがHである、請求項1の化合物または薬学的に許容されるこの塩。
【請求項6】
Arが、Cl、−CHCHOCH、−OCHCHOCHおよび−CHCHCHOCHから独立して選択される基で二置換されているフェニルである、請求項1の化合物または薬学的に許容されるこの塩。
【請求項7】
がシクロプロピルである、請求項1から6のいずれか一項の化合物または薬学的に許容されるこの塩。
【請求項8】
【化2】

からなる群から選択される、請求項1の化合物または薬学的に許容されるこの塩。
【請求項9】
請求項1に記載の化合物または薬学的に許容されるこの塩の有効量および薬学的に許容される担体を含む高血圧を治療するための医薬組成物。
【請求項10】
高血圧、欝血性心不全、肺高血圧、腎機能障害、腎虚血、腎不全、腎線維症、心機能障害、心肥大、心線維症、心筋虚血、心筋症、糸球体腎炎、腎仙痛、糖尿病に起因する合併症、例えば腎症、脈管障害および神経障害、緑内障、眼圧亢進、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、血管または心臓の術後合併症、勃起不全、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安症、認知障害、免疫抑制剤による治療の合併症に関連する疾患、ならびにレニン−アンジオテンシン系に関連することが知られている他の疾患を治療または予防する医薬品の製造のための、請求項1に記載の化合物または請求項9に記載の組成物の使用。
【請求項11】
請求項1に記載の化合物の薬学有効量を患者に投与することを含む、高血圧、欝血性心不全、肺高血圧、腎機能障害、腎虚血、腎不全、腎線維症、心機能障害、心肥大、心線維症、心筋虚血、心筋症、糸球体腎炎、腎仙痛、糖尿病に起因する合併症、例えば腎症、脈管障害および神経障害、緑内障、眼圧亢進、アテローム性動脈硬化症、血管形成術後の再狭窄、血管または心臓の術後合併症、勃起不全、高アルドステロン症、肺線維症、強皮症、不安症、認知障害、免疫抑制剤による治療の合併症に関連する疾患、ならびにレニン−アンジオテンシン系に関連することが知られている他の疾患を治療または予防する方法。

【公表番号】特表2010−535716(P2010−535716A)
【公表日】平成22年11月25日(2010.11.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−519314(P2010−519314)
【出願日】平成20年8月4日(2008.8.4)
【国際出願番号】PCT/CA2008/001429
【国際公開番号】WO2009/018662
【国際公開日】平成21年2月12日(2009.2.12)
【出願人】(305042057)メルク フロスト カナダ リミテツド (99)
【Fターム(参考)】