説明

レンズアレイおよびこれを備えた光モジュール

【課題】モニタ光を効率的に得ることができ、小型化、多チャンネル化を図ることができる光送受信対応のレンズアレイおよび光モジュールを提供すること。
【解決手段】各第1のレンズ面11に入射した各発光素子8ごとの光を、第2のプリズム面15bで全反射させた後、反射/透過層17によって各第2のレンズ面12側、各第3のレンズ面13側に分光させ、第2のレンズ面12側への透過光を、第2のレンズ面12によって光伝送体6側に出射させ、第3のレンズ面13側に反射されたモニタ光を、第3のレンズ面13によって各第1の受光素子9側に出射させ、各第4のレンズ面24に入射した光伝送体26からの光を、第3のプリズム面15cにおいて透過させた後、第2のプリズム面15bで全反射させ、各第5のレンズ面25によって各第2の受光素子29側に出射させること。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、レンズアレイおよびこれを備えた光モジュールに係り、特に、複数の発光素子と光伝送体の端面とを光学的に結合するのに好適なレンズアレイおよびこれを備えた光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、システム装置内または装置間もしくは光モジュール間において信号を高速に伝送する技術として、いわゆる光インターコネクションの適用が広まっている。ここで、光インターコネクションとは、光部品をあたかも電気部品のように扱って、パソコン、車両または光トランシーバなどに用いられるマザーボードや回路基板等に実装する技術をいう。
【0003】
このような光インターコネクションに用いられる光モジュールには、例えば、メディアコンバータやスイッチングハブの内部接続、光トランシーバ、医療機器、テスト装置、ビデオシステム、高速コンピュータクラスタなどの装置内や装置間の部品接続等の様々な用途がある。
【0004】
そして、この種の光モジュールに適用される光学部品としては、マルチチャンネルの光通信をコンパクトな構成で実現するのに有効なものとして、複数の小径のレンズが整列配置されたレンズアレイの需要が益々高まりつつある。
【0005】
ここで、レンズアレイは、従来から、複数の発光素子(例えば、VCSEL:Vertical Cavity Surface Emitting Laser)を備えた光電変換装置が取り付け可能とされるとともに、光伝送体としての複数の光ファイバが取り付け可能とされていた。
【0006】
そして、レンズアレイは、このように光電変換装置と複数の光ファイバとの間に配置された状態で、光電変換装置の各発光素子から出射された光を、各光ファイバの端面に光学的に結合させることにより、マルチチャンネルの光送信を行うことが可能とされていた。
【0007】
また、光電変換装置の中には、光送受信(双方向通信)に対応すべく、光ファイバを介して伝搬されて光ファイバの端面から出射された通信情報を含む光を受光する受光素子を発光素子とともに備えたものもあり、このような光電変換装置に対応するレンズアレイは、光ファイバの端面から出射された光を、受光素子に光学的に結合させるようになっていた。
【0008】
さらに、光電変換装置の中には、発光素子の出力特性を安定させるべく、発光素子から出射された光(特に、強度もしくは光量)をモニタ(監視)するためのモニタ用の受光素子を備えたものもあり、このような光電変換装置に対応するレンズアレイは、発光素子から出射された光の一部を、モニタ光としてモニタ用の受光素子側に反射させるようになっていた。
【0009】
このようなモニタ光を発生させる反射機能を備えた光送受信対応のレンズアレイとしては、これまでも、本発明者によって、例えば、特許文献1に示すような提案がなされている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】特開2010−262222号公報(図11〜図15の構成)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
特許文献1に記載のレンズアレイは、反射/透過面における透過とフレネル反射とを利用して、発光素子から出射された光を光ファイバの端面に結合する光とモニタ光とに分光することによって、モニタ光を確実に得ることができるようになっている。
【0012】
また、特許文献1に記載のレンズアレイにおいては、レンズアレイ本体が、レンズ面の整列方向において、光送信用の領域(すなわち、反射/透過面および送信用のレンズ面を形成する領域)と光受信用の領域(すなわち、反射/透過面を形成せず、受信用のレンズ面を形成する領域)とに分割され、光送信用の構成部が光受信用の光路外に位置されるように構成されている。これにより、光送信用の構成部(反射/透過面)が光送信用の光路上だけでなく光受信用の光路上にまで位置される場合のように、光受信用の光路を設計する際に、光送信用の構成部による光受信用の光の進行方向の変更(屈折等)を加味する必要がなく、光受信用の独自の光路を容易に設計することを可能ならしめている。
【0013】
本発明者は、このような特許文献1に記載のレンズアレイの利点を念頭に置きつつ、更なる付加価値を見出すべく鋭意研究を行った結果、モニタ光の効率的な取得、コンパクト化および多チャンネル化により好適な本発明をなすに至った。
【0014】
本発明は、このような点に鑑みなされたものであり、モニタ光を効率的に得ることができ、更なる小型化および多チャンネル化を図ることができる光送受信対応のレンズアレイおよびこれを備えた光モジュールを提供することを目的とするものである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
前述した目的を達成するため、本発明の請求項1に係るレンズアレイの特徴は、複数の発光素子、これらから発光された光をモニタするための各発光素子ごとのモニタ光をそれぞれ受光する複数の第1の受光素子および光伝送体を介して伝送された光を受光する複数の第2の受光素子が形成された光送受信用の第1の光電変換装置と、前記光伝送体との間に配置され、光送信のために前記複数の発光素子と前記光伝送体の端面とを光学的に結合可能とされるとともに、光受信のために前記光伝送体の端面と前記複数の第2の受光素子とを光学的に結合可能とされたレンズアレイであって、前記第1の光電変換装置として、前記複数の発光素子が所定の第1の方向に沿って整列形成され、前記発光素子の列に対して前記第1の方向に直交する第2の方向側であって前記光伝送体側の位置に、前記複数の第1の受光素子が前記第1の方向に沿って整列形成され、前記第1の受光素子の列に対して前記第2の方向側であって前記光伝送体と反対側の位置に、前記複数の第2の受光素子が前記第1の方向に沿って整列形成されたものが配置され、前記第1の光電変換装置に対して前記第1の方向および前記第2の方向に直交する第3の方向において臨むレンズアレイ本体の第1の板状部と、この第1の板状部における前記第2の方向側であって前記光伝送体側の端部から、前記第3の方向側であって前記第1の光電変換装置と反対側に向かって延出され、前記光伝送体の端面に対して前記第2の方向において臨む前記第1の板状部と同屈折率の前記レンズアレイ本体の第2の板状部と、前記第1の板状部における前記第1の光電変換装置に臨む第1の面に、前記第1の方向に沿って整列形成され、前記複数の発光素子ごとに発光された光がそれぞれ入射する複数の第1のレンズ面と、前記第2の板状部における前記光伝送体の端面に臨む第2の面に、前記第1の方向に沿って整列形成され、前記複数の第1のレンズ面にそれぞれ入射した前記複数の発光素子ごとの光を、前記光伝送体の端面に向けてそれぞれ出射させる複数の第2のレンズ面と、前記第1の面における前記第1のレンズ面の列に対して前記第2の方向側であって前記第2の板状部側の位置に、前記第1の方向に沿って整列形成され、前記第1の板状部の内部側から入射した前記複数の発光素子ごとのモニタ光を前記複数の第1の受光素子に向けてそれぞれ出射させる複数の第3のレンズ面と、前記第2の面における前記第2のレンズ面の列に対して前記第3の方向側の位置に、前記第1の方向に沿って整列形成され、前記光伝送体の端面から出射された前記伝送された光が入射する複数の第4のレンズ面と、前記第1の面における前記第3のレンズ面の列に対して前記第2の方向側であって前記第2の板状部と反対側の位置に、前記第1の方向に沿って整列形成され、前記複数の第4のレンズ面にそれぞれ入射した前記伝送された光を、前記複数の第2の受光素子に向けてそれぞれ出射させる複数の第5のレンズ面と、前記第1の板状部における前記第1の面と反対側の第3の面に対して前記第3の方向側であって前記第1の光電変換装置と反対側に所定の間隙を設けるようにして配置され、前記複数の第1のレンズ面に入射した後の前記複数の発光素子ごとの光の光路および前記複数の第4のレンズ面に入射した後の前記伝送された光の光路をそれぞれ形成するプリズムと、このプリズムの表面の一部をなし、前記第3の面に臨む位置に配置され、前記複数の第1のレンズ面に入射した後の前記複数の発光素子ごとの光が入射し、また、前記プリズムの内部側から入射した前記複数の第4のレンズ面への入射後の前記伝送された光を前記複数の第5のレンズ面側に透過させる第1のプリズム面と、前記プリズムの表面の一部をなし、前記第1のプリズム面に対してこの第1のプリズム面から離間するにしたがって前記第2の板状部側に傾斜するような所定の傾斜角を有し、前記第1のプリズム面に入射した前記複数の発光素子ごとの光を前記複数の第2のレンズ面に向けて全反射させ、また、前記プリズムの内部側から入射した前記複数の第4のレンズ面への入射後かつ前記第1のプリズム面への入射前の前記伝送された光を前記第1のプリズム面に向けて全反射させる第2のプリズム面と、前記プリズムの表面の一部をなし、前記第1のプリズム面に対してこの第1のプリズム面から離間するにしたがって前記第2の板状部と反対側に傾斜するような所定の傾斜角を有し、前記第2のプリズム面によって全反射された前記複数の発光素子ごとの光が前記プリズムの内部側から入射し、また、前記複数の第4のレンズ面への入射後かつ前記第2のプリズム面への入射前の前記伝送された光が入射し、この入射した前記伝送された光を前記第2のプリズム面側に透過させる第3のプリズム面と、この第3のプリズム面上に、前記複数の発光素子ごとの光の入射位置を含むとともに前記伝送された光の入射位置を除外する所定の範囲にわたって形成され、前記第3のプリズム面に入射した前記複数の発光素子ごとの光を、所定の反射率で前記複数の発光素子ごとのモニタ光として前記複数の第3のレンズ面に向けて反射させるとともに、所定の透過率で前記複数の第2のレンズ面側に透過させる反射/透過層と、前記第3の面と前記第1のプリズム面との間に充填された第1の充填材と、前記第3のプリズム面と前記第2の板状部における前記第2の面と反対側の第4の面との間に充填され、前記プリズムとの屈折率差が所定値以下とされた第2の充填材とを備えた点にある。
【0016】
そして、この請求項1に係る発明によれば、複数の第1のレンズ面に入射した複数の発光素子ごとの光を、第2のプリズム面において全反射させた後に第3のプリズム面上の反射/透過層によって複数の第2のレンズ面側および複数の第3のレンズ面側にそれぞれ分光させ、複数の第2のレンズ面側に分光された複数の発光素子ごとの光を、複数の第2のレンズ面によって光伝送体の端面側に出射させることができるとともに、複数の第3のレンズ面側に十分な反射率で分光された複数の発光素子ごとのモニタ光を、複数の第3のレンズ面によって複数の第1の受光素子側に出射させることができる。一方、複数の第4のレンズ面に入射した光伝送体を介して伝送された光を、第3のプリズム面における反射/透過層の非形成領域において透過させた後に、第2のプリズム面において複数の第5のレンズ面側に全反射させ、そして、これら複数の第5のレンズ面によって複数の第2の受光素子側に出射させることができる。これにより、光送信のための複数の発光素子と光伝送体の端面との光学的な結合を適正に行うことができるとともにモニタ光を確実かつ効率的に得ることができ、かつ、光受信のための光伝送体の端面と複数の第2の受光素子との光学的な結合を適正に行うことができる。また、全反射機能(第2のプリズム面)と分光機能(反射/透過層)とを1つの部材(プリズム)上の互いに近い位置に集約させることによって、コンパクトかつ容易な設計が可能となる。さらに、光送信用の領域と光受信用の領域とをレンズ面の整列方向に直交する方向において分割するとともに、光送信用光路・光受信用光路の別を反射/透過層の形成の有無によって選択することによって、多チャンネル化を実現する場合に、レンズアレイ本体におけるレンズ面の整列方向の幅が大きくなり過ぎることを抑制することができるとともに、光受信用光路を簡便な手法によって光送信用の構成部(反射/透過層)外に配置することができるので、多チャンネルでありながらコンパクトな設計かつ受信用光路の簡便な設計が可能となる。さらにまた、プリズムと第2の充填材との屈折率差を所定値以下に形成することで、第2のプリズム面と第3のプリズム面との間の光路と、第2の充填材の内部の光路との直線性を確保することができるので、製品検査の際に複数の第2のレンズ面に入射する光が各レンズ面の中心からずれていることが確認された場合に、これを解消するための寸法調整を要する箇所を削減することができ、ひいては、製造の容易化に寄与することができる。
【0017】
また、請求項2に係るレンズアレイの特徴は、請求項1において、更に、前記第1の光電変換装置は、前記第2の受光素子の列が、前記発光素子の列と前記第1の受光素子の列との間の位置に配置され、前記第5のレンズ面の列は、前記第1のレンズ面の列と前記第3のレンズ面の列との間の位置に配置され、前記第2のプリズム面は、前記複数の発光素子ごとの光の全反射位置が、前記伝送された光の全反射位置よりも前記第1の板状部側に設定され、前記第3のプリズム面は、前記複数の発光素子ごとの光の入射位置が、前記伝送された光の入射位置よりも前記第1の板状部側に設定され、前記反射/透過層は、前記第3のプリズム面における前記第1の板状部側の一部の領域上に形成され、前記第2のレンズ面の列は、前記第4のレンズ面の列に対して前記第3の方向側であって前記第1の板状部側の位置に配置されている点にある。
【0018】
そして、この請求項2に係る発明によれば、光伝送体の端面に対する所期の結合効率が高精度に求められる複数の発光素子ごとの光について、第2の充填材よりも密度の均一性に基づく光学的安定性に優れたプリズムの内部における光路長が、第2の充填材の内部における光路長よりも長くなるように光路設計することができるので、光伝送体の端面に対する結合効率を安定的に確保することができる。
【0019】
さらに、請求項3に係るレンズアレイの特徴は、請求項1において、更に、前記第1の光電変換装置は、前記第2の受光素子の列が、前記発光素子の列に対して前記第2の方向側であって前記光伝送体と反対側の位置に配置され、前記第5のレンズ面の列は、前記第1のレンズ面の列に対して前記第2の方向側であって前記第2の板状部と反対側の位置に配置され、前記第2のプリズム面は、前記複数の発光素子ごとの光の全反射位置が、前記伝送された光の全反射位置よりも前記第1の板状部と反対側に設定され、前記第3のプリズム面は、前記複数の発光素子ごとの光の入射位置が、前記伝送された光の入射位置よりも前記第1の板状部と反対側に設定され、前記反射/透過層は、前記第3のプリズム面における前記第1の板状部と反対側の一部の領域上に形成され、前記第2のレンズ面の列は、前記第4のレンズ面の列に対して前記第3の方向側であって前記第1の板状部と反対側の位置に配置されている点にある。
【0020】
そして、この請求項3に係る発明によれば、第2のプリズム面以後の複数の発光素子ごとの光の光路を短縮することができるので、第2のプリズム面の傾斜角に製造上または組立上の誤差が生じた場合においても、この誤差が与える複数の発光素子ごとの光の結合効率への影響を緩和することができる。
【0021】
さらにまた、請求項4に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜3のいずれか1項において、更に、前記第3の面は、前記複数の第1のレンズ面の光軸に直交するように形成され、前記第1のプリズム面は、前記第3の面に平行に配置されている点にある。
【0022】
そして、この請求項4に係る発明によれば、第1の充填材および第1のプリズム面に対して、複数の発光素子ごとの光を垂直入射させることができるので、複数の第1のレンズ面と第2のプリズム面との間の光路の直線性が確保された簡便な設計を行うことができ、また、レンズアレイ本体、第1の充填材およびプリズムの材料(屈折率)選択の自由度を広げることも可能となる。
【0023】
また、請求項5に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜4のいずれか1項において、更に、前記レンズアレイ本体と前記第1の充填材との屈折率差が所定値以下とされている点にある。
【0024】
そして、この請求項5に係る発明によれば、第3の面と第1充填材との界面における複数の発光素子ごとの光の屈折およびフレネル反射を抑制することができるので、第3の面と複数の第1のレンズ面の光軸との直交性に拘束されることなく第3の面の前後での光路の直線性が確保された簡便な設計を行うことができ、また、光送受信およびモニタにとって障害となる迷光の発生を抑制することができる。
【0025】
さらに、請求項6に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜5のいずれか1項において、更に、前記第1の充填材と前記プリズムとの屈折率差が所定値以下とされている点にある。
【0026】
そして、この請求項6に係る発明によれば、第1の充填材と第1のプリズム面との界面における複数の発光素子ごとの光の屈折およびフレネル反射を抑制することができるので、第1のプリズム面と複数の第1のレンズ面の光軸との直交性に拘束されることなく第1のプリズム面の前後での光路の直線性が確保された簡便な設計を行うことができ、また、光送受信およびモニタにとって障害となる迷光の発生を抑制することができる。
【0027】
さらにまた、請求項7に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜6のいずれか1項において、更に、前記第4の面は、前記複数の第2のレンズ面の光軸に直交するように形成され、前記反射/透過層を透過した前記複数の発光素子ごとの光が前記第2の充填材側から垂直入射する点にある。
【0028】
そして、この請求項7に係る発明によれば、第4の面の前後での光路の直線性が確保された簡便な設計を行うことができ、また、レンズアレイ本体および第2の充填材の材料(屈折率)選択の自由度を広げることも可能となる。
【0029】
また、請求項8に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜7のいずれか1項において、更に、前記第2の充填材と前記レンズアレイ本体との屈折率差が所定値以下とされている点にある。
【0030】
そして、この請求項8に係る発明によれば、第2の充填材と第4の面との界面における複数の発光素子ごとの光の屈折およびフレネル反射を抑制することができるので、第4の面と複数の第2のレンズ面の光軸との直交性に拘束されることなく第4の面の前後での光路の直線性が確保された簡便な設計を行うことができ、また、光送受信およびモニタにとって障害となる迷光の発生を抑制することができる。
【0031】
さらにまた、請求項9に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜8のいずれか1項において、更に、前記第3の面は、前記第1の充填材を充填させる空間を確保するように凹入形成された凹入面とされている点にある。
【0032】
そして、この請求項9に係る発明によれば、第3の面を凹入面とすることによって、第1の充填材の安定的な充填空間を容易に確保することができる。
【0033】
また、請求項10に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜8のいずれか1項において、更に、前記第1のプリズム面は、前記第1の充填材を充填させる空間を確保するように凹入形成された凹入面とされている点にある。
【0034】
そして、この請求項10に係る発明によれば、第1のプリズム面を凹入面とすることによって、第1の充填材の充填空間を容易に確保することができる。
【0035】
さらにまた、請求項11に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜10のいずれか1項において、更に、前記第1の充填材および前記第2の充填材は、透光性の接着材からなり、前記プリズムは、前記第1および第2の充填材によって前記レンズアレイ本体に接着されている点にある。
【0036】
そして、この請求項11に係る発明によれば、充填材が接着材を兼ねることによって、プリズムを安定的に保持することができるとともに部品点数を削減することができる。
【0037】
また、請求項12に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜11のいずれか1項において、更に、前記第1の充填材と前記第2の充填材とが同一物とされている点にある。
【0038】
そして、この請求項12に係る発明によれば、組立時のプロセスを簡略化することができ、更に容易な製造が可能となる。
【0039】
さらに、請求項13に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜12のいずれか1項において、更に、前記第2のプリズム面は、前記第1のプリズム面に対して45°の傾斜角を有するように形成され、前記第3のプリズム面は、前記第2のプリズム面に対して直角かつ前記第1のプリズム面に対して45°の傾斜角を有するように形成されている点にある。
【0040】
そして、この請求項13に係る発明によれば、プリズムを直角二等辺三角形状に形成することができるので、プリズムの寸法精度の測定を簡便に行うことができ、取り扱い性を向上させることができる。
【0041】
さらにまた、請求項14に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜13のいずれか1項において、更に、前記プリズムは、前記第2のプリズム面と前記第3のプリズム面との境界位置に、前記第2の充填材の前記第2のプリズム面上への流出を防止するための壁部を有する点にある。
【0042】
そして、この請求項14に係る発明によれば、壁部によって、第2の充填材の第2のプリズム面上への流出を抑制することができるので、第2のプリズム面の全反射機能を適正に確保することができる。
【0043】
また、請求項15に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜14のいずれか1項において、更に、前記プリズムは、前記第3のプリズム面の縁部に、前記第2の充填材の前記第2のプリズム面上への流出を防止するための凸状段差部を有する点にある。
【0044】
そして、この請求項15に係る発明によれば、凸状段差部によって、第2の充填材の第2のプリズム面上への流出を抑制することができるので、第2のプリズム面の全反射機能を適正に確保することができる。
【0045】
さらに、請求項16に係るレンズアレイの特徴は、請求項1〜15のいずれか1項において、更に、前記第1の光電変換装置に代わり、光送信専用の第2の光電変換装置として、前記第2の受光素子の列の代わりに前記発光素子の列が形成されていることによって前記発光素子の列を複数列有するとともに、これら複数列の発光素子に対応して前記第1の受光素子の列を複数列有するものを配置し、かつ、前記反射/透過層が前記第3のプリズム面上に前記所定の範囲にわたって形成された前記プリズムに代わり、前記反射/透過層が前記第3のプリズム面上に全面的に形成された前記プリズムを配置した状態で、光送信専用として、前記複数列の発光素子と前記光伝送体の端面とを光学的に結合可能とされ、前記第1の面には、前記第3のレンズ面の列が、前記第2の方向において互いに隣位するようにして複数列配置され、光送信専用としての使用状態において、前記複数の第5のレンズ面には、前記複数列の発光素子における前記複数の第1のレンズ面に対応する列とは異なる列の複数の発光素子ごとの光が入射し、前記第1のプリズム面には、前記複数の第5のレンズ面に入射した後の前記複数の発光素子ごとの光が入射し、前記第2のプリズム面は、前記複数の第5のレンズ面への入射後に前記第1のプリズム面に入射した前記複数の発光素子ごとの光を、前記複数の第4のレンズ面に向けて全反射させ、前記反射/透過層は、前記複数の第5のレンズ面、前記第1のプリズム面および前記第2のプリズム面を経た後に前記第3のプリズム面に入射した前記複数の発光素子ごとの光を、所定の反射率で前記複数の発光素子ごとのモニタ光として前記複数列の第3のレンズ面における前記複数の第1のレンズ面に対応する列とは異なる列の複数の第3のレンズ面に向けて反射させるとともに、所定の透過率で前記複数の第4のレンズ面側に透過させ、前記複数の第4のレンズ面は、前記反射/透過層によって透過された前記複数の発光素子ごとの光を、前記光伝送体の端面に向けてそれぞれ出射させる点にある。
【0046】
そして、この請求項16に係る発明によれば、レンズアレイ本体に第3のレンズ面の列を初めから複数列形成しておけば、反射/透過層が全面的に形成されたプリズムを選択することによって光送信専用のレンズアレイを選択することができ、一方、反射/透過層が所定の範囲にわたって形成されたプリズムを選択することによって光送受信用のレンズアレイを選択することができるので、光送受信用と光送信専用との間での使用形態の選択を容易かつ低コストで行うことが可能となる。
【0047】
さらにまた、請求項17に係る光モジュールの特徴は、請求項1〜15のいずれか1項に記載のレンズアレイと、請求項1に記載の第1の光電変換装置とを備え、光送受信に用いられる点にある。
【0048】
そして、この請求項17に係る発明によれば、光送信のための複数の発光素子と光伝送体の端面との光学的な結合を適正に行うことができるとともにモニタ光を確実かつ効率的に得ることができ、かつ、光受信のための光伝送体の端面と複数の第2の受光素子との光学的な結合を適正に行うことができる。また、全反射機能と分光機能とを1つの部材上の互いに近い位置に集約させることによって、コンパクトかつ容易な設計が可能となる。さらに、光送信用の領域と光受信用の領域とをレンズ面の整列方向に直交する方向において分割するとともに、光送信用光路・光受信用光路の別を反射/透過層の形成の有無によって選択することによって、多チャンネル化を実現する場合に、レンズアレイ本体におけるレンズ面の整列方向の幅が大きくなり過ぎることを抑制することができるとともに、光受信用光路を簡便な手法によって光送信用の構成部外に配置することができるので、多チャンネルでありながらコンパクトな設計かつ受信用光路の簡便な設計が可能となる。さらにまた、第2のプリズム面と第3のプリズム面との間の光路と、第2の充填材の内部の光路との直線性を確保して、製品検査の際に複数の第2のレンズ面に入射する光が各レンズ面の中心からずれていることが確認された場合に、これを解消するための寸法調整を要する箇所を削減することができるので、製造の容易化に寄与することができる。
【0049】
また、請求項18に係る光モジュールの特徴は、請求項17において、更に、前記第1の光電変換装置に代わり、請求項16に記載の第2の光電変換装置を配置し、かつ、請求項1に記載の反射/透過層が第3のプリズム面上に所定の範囲にわたって形成されたプリズムに代わり、請求項16に記載の反射/透過層が第3のプリズム面上に全面的に形成されたプリズムを配置することによって、光送信専用への転換が可能とされている点にある。
【0050】
そして、この請求項18に係る発明によれば、レンズアレイに第3のレンズ面の列を初めから複数列形成しておけば、反射/透過層が全面的に形成されたプリズムおよび第2の光電変換装置を選択することによって光送信専用の光モジュールを選択することができ、一方、反射/透過層が所定の範囲にわたって形成されたプリズムおよび第1の光電変換装置を選択することによって光送受信用の光モジュールを選択することができるので、光送受信用と光送信専用との間での使用形態の選択を容易かつ低コストで行うことが可能となる。
【発明の効果】
【0051】
本発明によれば、光送受信に対応しつつ、モニタ光を効率的に得ることができるとともに、更なる小型化および多チャンネル化を図ることができる。
【図面の簡単な説明】
【0052】
【図1】本発明に係る光モジュールの実施形態を示す概略構成図
【図2】本発明に係るレンズアレイの実施形態において、レンズアレイ本体を示す縦断面図
【図3】本発明に係るレンズアレイの実施形態において、光路制御部材を示す縦断面図
【図4】図2の左側面図
【図5】図2の下面図
【図6】本発明の第1の変形例を示す縦断面図
【図7】本発明の第2の変形例を示す縦断面図
【図8】本発明の第3の変形例を示す左側面図(a)および平面図(b)
【図9】本発明の第4の変形例を示す縦断面図
【図10】本発明の第5の変形例において、レンズアレイ本体を示す縦断面図
【図11】本発明の第5変形例において、送受信用の光モジュールを示す概略構成図
【図12】本発明の第5変形例において、送信専用への転換状態を示す概略構成図
【発明を実施するための形態】
【0053】
以下、本発明に係るレンズアレイおよびこれを備えた光モジュールの実施形態について、図1〜図12を参照して説明する。
【0054】
ここで、図1は、本実施形態における光モジュール1の概要を本実施形態におけるレンズアレイ2の縦断面図とともに示した概略構成図である。また、図2は、レンズアレイ2を構成するレンズアレイ本体3の縦断面図である。さらに、図3は、レンズアレイ本体3とともにレンズアレイ2を構成する光路制御部材4の縦断面図である。さらにまた、図4は、図2の左側面図である。また、図5は、図2の下面図である。
【0055】
図1に示すように、本実施形態におけるレンズアレイ2は、光送受信用の第1の光電変換装置5と光伝送体としての光送信用の光ファイバ6および光受信用の光ファイバ26との間に配置されるようになっている。
【0056】
ここで、第1の光電変換装置5は、半導体基板7におけるレンズアレイ2に臨む面に、この面に対して垂直方向(図1における上方向)にレーザ光Lt(光束のうちの中心光のみを図示)を出射(発光)する複数の発光素子8を有しており、これらの発光素子8は、前述したVCSEL(垂直共振器面発光レーザ)を構成している。なお、各発光素子8によるレーザ光Ltの出射方向は、本発明における第3の方向に相当する。また、発光素子8は、所定の第1の方向としての図1における紙面垂直方向に沿って等ピッチで整列(本実施形態においては12個)形成されていることによって発光素子8の列(一列)をなしている。さらに、図1に示すように、第1の光電変換装置5は、半導体基板7におけるレンズアレイ2に臨む面であって、発光素子8の列に対して第2の方向側であって光伝送体側の位置としての図1における左方位置に、複数の発光素子8からそれぞれ出射されたレーザ光Ltの出力(例えば、強度や光量)をモニタするためのモニタ光M(中心光のみを図示)を受光する発光素子8と同数の複数の第1の受光素子9を有している。第1の受光素子9は、発光素子8と同様に、図1における紙面垂直方向に沿って等ピッチで整列形成されていることによって第1の受光素子9の列(一列)をなしている。また、各第1の受光素子9は、整列方向の一方から数えて同じ順番の発光素子8との間で、整列方向における位置が互いに一致している。第1の受光素子9は、フォトディテクタであってもよい。さらに、図1に示すように、第1の光電変換装置5は、半導体基板7におけるレンズアレイ2に臨む面であって、発光素子8の列と第1の受光素子9の列との間の位置としての発光素子8の左方近傍位置に、光受信用の光ファイバ26を介して伝送された光Lr(中心光のみを図示)を受光するための発光素子8と同数の複数の第2の受光素子29を有している。第2の受光素子9は、発光素子8と同様に、図1における紙面垂直方向に沿って等ピッチで整列形成されていることによって第2の受光素子29の列(一列)をなしている。第2の受光素子29は、フォトディテクタであってもよい。さらに、図示はしないが、第1の光電変換装置5には、第1の受光素子9によって受光されたモニタ光Mの強度や光量に基づいて発光素子8から発光されるレーザ光Ltの出力を制御する制御回路が接続されている。このような第1の光電変換装置5は、図1に示すように、半導体基板7をレンズアレイ2に当接させた状態で、レンズアレイ2に対して対向配置されるようになっている。そして、この第1の光電変換装置5は、例えば、クランプバネ等の不図示の公知の固定手段によってレンズアレイ2に取付けられることにより、レンズアレイ2とともに光モジュール1を構成するようになっている。
【0057】
また、本実施形態における光送信用の光ファイバ6は、発光素子8および第1の受光素子9と同数本配設されており、図1における紙面垂直方向に沿って整列配置されている。これら光送信用の複数の光ファイバ6は、整列方向の一方から数えて同じ順番の発光素子8との間で、整列方向における位置が互いに一致している。さらに、本実施形態における光受信用の光ファイバ26は、第2の受光素子29と同数(本実施形態においては、発光素子8、第1の受光素子9および光送信用の光ファイバ6とも同数)配設されており、図1における紙面垂直方向に沿って整列配置されている。これら光受信用の複数の光ファイバ26は、整列方向の一方から数えて同じ順番の第2の受光素子29との間で、整列方向における位置が互いに一致している。また、図1に示すように、光受信用の光ファイバ26の列は、光送信用の光ファイバ6の列の上方に配置されている。各列の光ファイバ6、26は、例えば、それぞれ同寸のマルチモード方式の光ファイバ6、26とされているとともに、その端面6a、26a側の部位がMT(Mechanically Transferable)コネクタ等の多心一括型の光コネクタ10内に保持されている。このような各列の光ファイバ6、26は、図1に示すように、光コネクタ10におけるレンズアレイ2側の端面をレンズアレイ2に当接させた状態で、不図示の公知の固定手段(例えば、クランプバネ等)によってレンズアレイ2に取付けられるようになっている。
【0058】
そして、レンズアレイ2は、このような第1の光電変換装置5と光送信用・光受信用の光ファイバ6、26との間に配置された状態で、光送信のために複数の発光素子8と光送信用の複数の光ファイバ6の端面6aとを光学的に結合させ、また、光受信のために光受信用の複数の光ファイバ26の端面26aと複数の第2の受光素子29とを光学的に結合させるようになっている。
【0059】
このレンズアレイ2についてさらに詳述すると、図1に示すように、レンズアレイ2は、透光性材料(例えば、樹脂材料)からなるレンズアレイ本体3を有しており、このレンズアレイ本体3は、その外形が略箱状に形成されている。具体的には、図1および図2に示すように、レンズアレイ本体3は、平面矩形状の横板状の第1の板状部3aを有しており、この第1の板状部3aは、同各図において横方向に所定の幅を、紙面垂直方向に所定の奥行きを、縦方向に所定の厚みを有するとともに、第1の光電変換装置5に対して上方から臨むようになっている。また、図1および図2に示すように、レンズアレイ本体3は、第1の板状部3aにおける第2の方向側であって光伝送体側の端部としての左端部から、第3の方向側における第1の光電変換装置5の反対側としての上方に向かって直角に延出された平面矩形状の縦板状の第2の板状部3bを有している。この第2の板状部3bは、奥行きが第1の板状部3aと同寸に形成されているとともに、第1の板状部3aと一体であるが故に当然に第1の板状部3aと同屈折率に形成されている。さらに、第2の板状部3bは、光送信用・光受信用の光ファイバ6、26の端面6a、26aに対して図1および図2における右方から臨むようになっている。
【0060】
このようなレンズアレイ本体3における第1の板状部3aの下端面(平面)は、第1の光電変換装置5に臨む第1の面S1とされており、この第1の面S1には、図2および図5に示すように、発光素子8と同数の平面円形状の第1のレンズ面(凸レンズ面)11が形成されている。ここで、図2および図5に示すように、第1のレンズ面11は、図2における紙面垂直方向(図5における縦方向)に沿って等ピッチで整列形成されていることによって第1のレンズ面11の列(一列)をなしている。これら複数の第1のレンズ面11は、整列方向の一方から数えて同じ順番の発光素子8との間で、整列方向における位置が互いに一致している。なお、図5に示すように、互いに隣位する第1のレンズ面11同士は、それぞれの周端部を互いに接触させた隣接状態に形成されていてもよい。また、図1に示すように、各第1のレンズ面11の光軸OA(1)は、各発光素子8から出射されるレーザ光Ltの中心軸に一致することが望ましい。より好ましくは、各第1のレンズ面11の光軸OA(1)は、第1の面S1に直交するようにする。
【0061】
このような複数の第1のレンズ面11には、図1に示すように、複数の発光素子8ごとに出射されたレーザ光Ltが入射する。より具体的には、任意の1つの第1のレンズ面11には、複数の発光素子8のうちの整列方向の一方から数えて任意の1つの第1のレンズ面11と同じ順番の1つの発光素子8の出射光が入射する。そして、各第1のレンズ面11は、入射した各発光素子8ごとのレーザ光Ltを第1の板状部3aの内部(上方)へと進行させる。なお、各第1のレンズ面11は、入射した各発光素子8ごとのレーザ光Ltをコリメートさせてもよいし、または、収束させてもよい。あるいは、各第1のレンズ面11を凹レンズ面に形成することによって、レーザ光Ltを発散させてもよい。
【0062】
一方、第2の板状部3bの左端面(平面)は、光送信用・光受信用の光ファイバ6、26の端面6a、26aに臨む第2の面S2とされており、この第2の面S2には、図2および図4に示すように、発光素子8と同数の平面円形状の第2のレンズ面(凸レンズ面)12が形成されている。ここで、図2および図4に示すように、第2のレンズ面12は、図2における紙面垂直方向(図4における横方向)に沿って等ピッチで整列形成されていることによって第2のレンズ面12の列(一列)をなしている。これら複数の第2のレンズ面12は、整列方向の一方から数えて同じ順番の発光素子8との間で、整列方向における位置が互いに一致している。なお、図4に示すように、互いに隣位する第2のレンズ面12同士は、それぞれの周端部を互いに接触させた隣接状態に形成されていてもよい。また、図1に示すように、各第2のレンズ面12の光軸OA(2)は、光送信用の各光ファイバ6の端面6aの中心軸に一致することが望ましい。より好ましくは、各第2のレンズ面12の光軸OA(2)は、第2の面S2に直交するようにする。
【0063】
このような複数の第2のレンズ面12には、図1に示すように、複数の発光素子8ごとに出射されたレーザ光Ltが、複数の第1のレンズ面11およびその後のレンズアレイ2の光路(詳細は後述する)を経た後に入射する。より具体的には、任意の1つの第2のレンズ面12には、整列方向の一方から数えて任意の1つの第2のレンズ面12と同じ順番の発光素子8の出射光が、同じ順番の第1のレンズ面11を経由して入射する。このとき、各発光素子8ごとのレーザ光Ltの中心軸は、各第2のレンズ面12の光軸OA(2)と一致することが望ましい。そして、各第2のレンズ面12は、入射した各発光素子8ごとのレーザ光Ltを、収束させて各第2のレンズ面12に対応する光送信用の各光ファイバ6の端面6aに向けてそれぞれ出射させる。
【0064】
このようにして、各発光素子8と光送信用の各光ファイバ6の端面6aとが各第1のレンズ面11および各第2のレンズ面12を介して光学的に結合されるようになっている。
【0065】
さらに、図2および図5に示すように、第1の面S1上であって、第1のレンズ面11の列に対する左方位置には、発光素子8と同数の平面円形状の第3のレンズ面(凸レンズ面)13が形成されている。ここで、図2および図5に示すように、第3のレンズ面13は、図2における紙面垂直方向(図5における縦方向)に沿って等ピッチで整列形成されていることによって第3のレンズ面13の列(一列)をなしている。これら複数の第3のレンズ面13は、整列方向の一方から数えて同じ順番の発光素子8との間で、整列方向における位置が互いに一致している。なお、図5に示すように、互いに隣位する第3のレンズ面13同士は、それぞれの周端部を互いに接触させた隣接状態に形成されていてもよい。また、各第3のレンズ面13の光軸OA(3)は、各第1の受光素子9の受光面の中心軸に一致することが望ましい。より好ましくは、各第3のレンズ面13の光軸OA(3)は、第1の面S1に直交するようにする。
【0066】
このような各第3のレンズ面13には、図1に示すように、第1の板状部3aの内部側(上方)から各発光素子8ごとのモニタ光Mが入射する。より具体的には、任意の1つの第3のレンズ面13には、整列方向の一方から数えて任意の1つの第3のレンズ面13と同じ順番の発光素子8のモニタ光が、同じ順番の第1のレンズ面11を経由して入射する。そして、各第3のレンズ面13は、入射した各発光素子8ごとのモニタ光Mを、収束させて各第3のレンズ面13に光学的に対応する各第1の受光素子9に向けてそれぞれ出射させる。なお、モニタ光Mを発生させる手段については後述する。
【0067】
さらにまた、図2および図4に示すように、第2の面S2上であって、第2のレンズ面12の列に対して第3の方向側における第1の板状部3aと反対側である上方位置には、光受信用の光ファイバ26と同数の平面円形状の第4のレンズ面(凸レンズ面)24が形成されている。ここで、図2および図4に示すように、第4のレンズ面24は、図2における紙面垂直方向(図4における横方向)に沿って等ピッチで整列形成されていることによって第4のレンズ面24の列(一列)をなしている。これら複数の第4のレンズ面24は、整列方向の一方から数えて同じ順番の光受信用の光ファイバ26との間で、整列方向における位置が互いに一致している。なお、図4に示すように、互いに隣位する第4のレンズ面24同士は、それぞれの周端部を互いに接触させた隣接状態に形成されていてもよい。また、このような隣接状態は、図4に示すように、第2のレンズ面12との間においても成立するようにしてもよい。さらに、各第4のレンズ面24の光軸OA(4)は、光受信用の各光ファイバ26の端面26aの中心軸に一致することが望ましい。より好ましくは、各第4のレンズ面24の光軸OA(4)は、第2の面S2に直交するようにする。
【0068】
このような複数の第4のレンズ面24には、図1に示すように、光受信用の複数の光ファイバ26ごとに出射されたレーザ光Lrが入射する。より具体的には、任意の1つの第4のレンズ面24には、光受信用の複数の光ファイバ26のうちの整列方向の一方から数えて任意の1つの第4のレンズ面24と同じ順番の1つの光ファイバ26の端面26aからの出射光が入射する。そして、各第4のレンズ面24は、入射した各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrを第2の板状部3bの内部(右方)へと進行させる。なお、各第4のレンズ面24は、入射した各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrをコリメートさせてもよいし、または、収束させてもよい。あるいは、各第4のレンズ面24を凹レンズ面に形成することによって、レーザ光Lrを発散させてもよい。
【0069】
また、図2および図5に示すように、第1の面S1上であって、第1のレンズ面11の列と第3のレンズ面の列との間の位置としての第1のレンズ面11の列に対する左方近傍位置には、光受信用の光ファイバ26と同数の平面円形状の第5のレンズ面(凸レンズ面)25が形成されている。ここで、図2および図5に示すように、第5のレンズ面25は、図2における紙面垂直方向(図5における縦方向)に沿って等ピッチで整列形成されていることによって第5のレンズ面25の列(一列)をなしている。これら複数の第5のレンズ面25は、整列方向の一方から数えて同じ順番の光受信用の光ファイバ26との間で、整列方向における位置が互いに一致している。なお、図5に示すように、互いに隣位する第5のレンズ面25同士は、それぞれの周端部を互いに接触させた隣接状態に形成されていてもよい。また、このような隣接状態は、図5に示すように、第1のレンズ面11との間においても成立するようにしてもよい。さらに、各第5のレンズ面25の光軸OA(5)は、各第2の受光素子29の受光面の中心軸に一致することが望ましい。より好ましくは、各第5のレンズ面25の光軸OA(5)は、第1の面S1に直交するようにする。
【0070】
このような複数の第5のレンズ面25には、図1に示すように、光受信用の複数の光ファイバ26ごとに出射されたレーザ光Lrが、複数の第4のレンズ面24およびその後のレンズアレイ2の光路(詳細は後述する)を経た後に入射する。より具体的には、任意の1つの第5のレンズ面25には、整列方向の一方から数えて任意の1つの第5のレンズ面25と同じ順番の光受信用の光ファイバ26の出射光が、同じ順番の第4のレンズ面24を経由して入射する。このとき、各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrの中心軸は、各第5のレンズ面25の光軸OA(5)と一致することが望ましい。そして、各第5のレンズ面25は、入射した各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrを、収束させて各第5のレンズ面25に対応する各第2の受光素子29に向けてそれぞれ出射させる。
【0071】
このようにして、光受信用の各光ファイバ26の端面26aと各第2の受光素子29とが各第4のレンズ面24および各第5のレンズ面25を介して光学的に結合されるようになっている。
【0072】
次に、光送信用・モニタ用のレンズ面11、12、13同士および光受信用のレンズ面24、25同士を中継する光路を形成するための具体的な手段について説明する。
【0073】
すなわち、図1に示すように、第1の板状部3aの上端面には、下方にわずかに凹入された凹入平面(ザグリ面)が形成されており、この凹入平面は、第1の板状部3aにおける第1の面S1と反対側の第3の面S3とされている。図1に示すように、第3の面S3の上部近傍位置には、第3の面S3に対して上方(第3の方向側であって第1の光電変換装置5と反対側)に間隙を設けるようにして、前述した光路制御部材4が配置されている。
【0074】
ここで、光路制御部材4について詳述すると、図1および図3に示すように、光路制御部材4は、透光性材料(例えば、樹脂材料)からなる縦断面三角形状(三角柱状)のプリズム15を有しており、このプリズム15は、各第1のレンズ面11に入射した後の各発光素子8ごとのレーザ光Ltの光路および各第4のレンズ面24に入射した後の各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrの光路をそれぞれ形成するようになっている。
【0075】
具体的には、図1に示すように、プリズム15は、これの表面の一部(底面)をなす第1のプリズム面15aを有しており、この第1のプリズム面15aは、第3の面S3に上方近傍から臨んでいる。なお、図1に示すように第1のプリズム面15aの横幅は、第1の板状部3aの横幅とほぼ同幅に形成されている。また、図1に示すように、第1のプリズム面15aと第3の面S3との間隙部は、第3の面S3が凹入面であることによって形成された空間であり、この空間には、透光性の接着材からなる第1の充填材16が充填されている。そして、プリズム15は、この第1の充填材16の接着力を利用してレンズアレイ本体3に接着されている。なお、第1の充填材16としては、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等を用いることができる。
【0076】
このような第1のプリズム面15aには、図1に示すように、各第1のレンズ面11に入射して第1の板状部3aおよび第1の充填材16を透過した後の各発光素子8ごとのレーザ光Ltが、下方(第3の方向)から入射する。そして、第1のプリズム面15aは、入射した各発光素子8ごとのレーザ光Ltを透過させて、プリズム15の内部の光路上へと進行させる。また、図1に示すように、第1のプリズム面15aには、各第4のレンズ面24に入射した後の各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrが、上方から内部入射する。そして、第1のプリズム面15aは、内部入射した各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrを、各第5のレンズ面25側に透過させる。このようにして透過された各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrは、第1の充填材16および第1の板状部3aを透過して各第5のレンズ面25に内部入射して、各第5のレンズ面25によって、これらに対応する各第2の受光素子29に向けてそれぞれ出射される。
【0077】
また、図1に示すように、プリズム15は、これの表面の一部(右斜面)をなす第2のプリズム面15bを有しており、この第2のプリズム面15bは、これの下端部において第1のプリズム面15aの右端部に連接されているとともに、第1のプリズム面15aに対して、第1のプリズム面15aから離間するにしたがって第2の板状部3b側(左側)に傾斜するような所定の傾斜角を有している。
【0078】
このような第2のプリズム面15bには、図1に示すように、第1のプリズム面15aに入射してプリズム15の内部の光路上を進行した後の各発光素子8ごとのレーザ光Ltが、臨界角より大きな入射角で下方から内部入射する。そして、第2のプリズム面15bは、内部入射した各発光素子8ごとのレーザ光Ltを、各第2のレンズ面12(左方)に向けて全反射させる。また、図1に示すように、第2のプリズム面15bには、各第4のレンズ面24への入射後かつ第1のプリズム面15aへの入射前の各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrが、臨界角より大きな入射角で左方から内部入射する。そして、第2のプリズム面15bは、内部入射した各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrを、第1のプリズム面15aに向けて全反射させる。このようにして全反射された各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrは、前述のように第1のプリズム面15aに内部入射する。
【0079】
さらに、図1に示すように、プリズム15は、これの表面の一部(左斜面)をなす第3のプリズム面15cを有しており、この第3のプリズム面15cは、これの下端部において第1のプリズム面15aの左端部に連接されているとともに、上端部において第2のプリズム面15bの上端部に連接されている。また、図1に示すように、第3のプリズム面15cは、第1のプリズム面15aに対して、第1のプリズム面15aから離間するにしたがって第2の板状部3bと反対側(右側)に傾斜するような所定の傾斜角を有している。
【0080】
このような第3のプリズム面15cには、図1に示すように、第2のプリズム面15bによって全反射されてプリズム15の内部の光路上を進行した後の各発光素子8ごとのレーザ光Ltが右方から内部入射する。また、図1に示すように、第3のプリズム面15cには、各第4のレンズ面24への入射後かつ第2のプリズム面15bへの内部入射前の各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrが左方から入射する。このようにして入射した各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrは、第3のプリズム面15cを透過した後に、前述のように第2のプリズム面15bに内部入射する。
【0081】
このようなプリズム15に加えて、更に、光路制御部材4は、図1および図3に示すように、第3のプリズム面15c上に、各発光素子8ごとのレーザ光Ltの入射位置を含むとともに各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrの入射位置を除外する所定の範囲として、第1の板状部3a側の半部(下半部)の領域にわたって、厚みが薄い反射/透過層17を有している。この反射/透過層17は、Ni、CrまたはAl等の単一の金属からなる単層膜もしくは互いに誘電率が異なる複数の誘電体(例えば、TiOとSiO)を交互に積層することによって得られる誘電体多層膜を、第3のプリズム面15c上にコーティングすることによって形成してもよい。この場合に、コーティングには、インコーネル蒸着等の公知のコーティング技術を用いることができる。このようなコーティングを用いる場合には、反射/透過層17を、例えば、1μm以下の極めて薄い厚さに形成することができる。
【0082】
このような反射/透過層17には、図1に示すように、第3のプリズム面15c上の入射位置に内部入射した各発光素子8ごとのレーザ光Ltが直ちに入射する。そして、反射/透過層17は、入射した各発光素子8ごとのレーザ光Ltを、所定の反射率で、各発光素子8にそれぞれ対応する各発光素子8ごとのモニタ光Mとして各モニタ光Mに対応する各第3のレンズ面13側(下方)に向かって反射させるとともに、所定の透過率で、各第2のレンズ面12側(左方)に透過させる。このとき、反射/透過層17の厚みが薄いことによって、反射/透過層17を透過するレーザ光Ltの屈折は無視する(直進透過とみなす)ことができる。なお、反射/透過層17の反射率および透過率としては、レーザ光Ltの出力をモニタするために十分とみなされる光量のモニタ光Mを得ることができる限度において、反射/透過層17の材質や厚み等に応じた所望の値を設定することができる。例えば、反射/透過層17を、前述した単層膜によって形成する場合には、その厚みにもよるが、反射/透過層17の反射率を20%、透過率を60%(吸収率20%)とすることもできる。また、例えば、反射/透過層17を、前述した誘電体多層膜によって形成する場合には、その厚みや層数にもよるが、反射/透過層17の反射率を10%、透過率を90%とすることもできる。
【0083】
このようにして反射/透過層17によって反射された各発光素子8ごとのモニタ光Mは、プリズム15の内部の光路上を進行して、第1のプリズム面15a、第1の充填材16および第1の板状部3aを順次透過した後に、対応する各第3のレンズ面13に内部入射し、各第3のレンズ面13からこれらに対応する各第1の受光素子9に向けてそれぞれ出射される。
【0084】
また、図1に示すように、反射/透過層17と第2の板状部3bにおける第2の面S2と反対側の第4の面S4(右端面)との間には、熱硬化性樹脂や紫外線硬化性樹脂等の透光性の接着材からなる第2の充填材18が充填されている。したがって、プリズム15は、第1の充填材16だけでなく、第2の充填材18の接着力も利用して、より安定的にレンズアレイ本体3に接着されている。第2の充填材18は、プリズム15との屈折率差が所定値以下とされている。この屈折率差は、好ましくは0.01以下とされ、より好ましくは、0.005以下とされている。例えば、プリズム15を、ポリエステルとしての大阪ガスケミカル社製のOKP4HTによって形成する場合には、第2の充填材18を、紫外線硬化性樹脂としての大阪ガスケミカル社製のEA−0200によって形成してもよい。この場合には、プリズム15および第2の充填材18の屈折率を、波長850nmの光に対していずれも1.61とすることができる。
【0085】
このような第2の充填材18には、図1に示すように、反射/透過層17によって透過された各発光素子8ごとのレーザ光Ltが直ちに入射する。このとき、第2の充填材18に対する各発光素子8ごとのレーザ光Ltの入射方向は、反射/透過層17に対する各発光素子8ごとのレーザ光Ltの入射方向と同一とみなすことができる。これは、反射/透過層17が非常に薄く、この層17でのレーザ光Ltの屈折を無視できることによるものである。そして、第2の充填材18に入射した各発光素子8ごとのレーザ光Ltは、第2の充填材18の内部の光路上を各第2のレンズ面12側に向かって進行する。このとき、第2の充填材18とプリズム15との屈折率差が十分に小さいことによって、各発光素子8ごとのレーザ光Ltが第2の充填材18に入射する際に、各レーザ光Ltに屈折が生じることはない。そして、第2の充填材18の内部の光路上を進行した各発光素子8ごとのレーザ光Ltは、第2の板状部3bを透過して各第2のレンズ面12に内部入射して、各第2のレンズ面12によって、これらに対応する光送信用の各光ファイバ6の端面6aに向けてそれぞれ出射される。また、図1に示すように、第2の充填材18には、各第4のレンズ面24への入射後かつ第3のプリズム面15cへの入射前の各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrが左方から入射する。そして、第2の充填材18の内部の光路上を進行した各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrは、前述のように第3のプリズム面15c上の入射位置に入射する。このとき、第2の充填材18とプリズム15との屈折率差が十分に小さいことによって、各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrが第3のプリズム面15cに入射する際に、各レーザ光Lrに屈折が生じることはない。
【0086】
そして、このような構成によれば、各第1のレンズ面11に入射した各発光素子8ごとのレーザ光Ltを、第2のプリズム面15bにおいて全反射させた後に反射/透過層17によって各第2のレンズ面12側および各第3のレンズ面13側にそれぞれ分光させることができる。そして、各第2のレンズ面12側に分光(透過)された各発光素子8ごとのレーザ光Ltを、各第2のレンズ面12によって光送信用の各光ファイバ6の端面6a側に出射させ、また、各第3のレンズ面13側に十分な反射率で分光(反射)された各発光素子8ごとのモニタ光Mを、各第3のレンズ面13によって各第1の受光素子9側に出射させることができる。一方、各第4のレンズ面24に入射した光受信用の各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrを、第3のプリズム面15cにおける反射/透過層17の非形成領域において透過させた後に、第2のプリズム面15bにおいて各第5のレンズ面25側に全反射させ、そして、各第5のレンズ面25によって各第2の受光素子29側に出射させることができる。これにより、光送信のための各発光素子8と各光ファイバ6の端面6aとの光学的な結合を適正に行うことができるとともにモニタ光を確実かつ効率的に得ることができ、なおかつ、光受信のための各光ファイバ26の端面26aと各第2の受光素子29との光学的な結合を適正に行うことができる。また、全反射機能15bと分光機能17とを1つの部材15上の互いに近い位置に集約させることによって、コンパクトかつ容易な設計が可能となる。さらに、特許文献1のように、光送信用の領域と光受信用の領域とをレンズ面の整列方向において分割するのではなく、レンズ面の整列方向に直交する方向において分割し、また、光送信用光路・光受信用光路の別を反射/透過層17の形成の有無によって選択することができる。これにより、本発明のような多チャンネル化を実現する場合に、レンズアレイ本体3におけるレンズ面11、12、13、24、25の整列方向の幅が大きくなり過ぎることを抑制することができるとともに、光受信用光路を簡便な手法によって光送信用の構成部(反射/透過層17)外に配置することができるので、多チャンネルでありながらコンパクトな設計かつ光受信用光路の簡便な設計が可能となる。さらにまた、プリズム15と第2の充填材18との屈折率差を所定値以下に形成することで、第2のプリズム面15bと第3のプリズム面15cとの間の光路と、第2の充填材18の内部の光路との直線性を確保することができるので、製品検査の際に各第2のレンズ面12に入射するレーザ光Ltが各レンズ面12の中心からずれていることが確認された場合に、これを解消するための寸法調整を要する箇所を削減することができ、ひいては、製造の容易化に寄与することができる。具体的には、仮に、第2のプリズム面15bと第3のプリズム面15cとの間の光路と第2の充填材18の内部の光路との直線性を確保できない構成の場合には、第2のレンズ面12に対する入射光の軸ずれを許容限度内に補正するために、第3のプリズム面15cの傾斜角の調整を要する場合がある。これに対して、本実施形態においては、第2のプリズム面15bにおける全反射方向が適正に確保されていれば、第3のプリズム面15cに最適な角度を設定し直すような煩雑な寸法調整は要しない。
【0087】
更に、本実施形態においては、前述のように、第1の光電変換装置5において、第2の受光素子29の列が、発光素子8の列と第1の受光素子9の列との間の位置に配置されていることにともなって、第5のレンズ面25の列が、第1のレンズ面11の列と第3のレンズ面13の列との間の位置に配置されている。また、第2のプリズム面15bは、各発光素子8ごとのレーザ光Ltの全反射位置が、各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrの全反射位置よりも第1の板状部3a側に設定され、第3のプリズム面15cは、各発光素子8ごとのレーザ光Ltの入射位置が、各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrの入射位置よりも第1の板状部3a側に設定されている。さらに、反射/透過層17が、第3のプリズム面15cにおける第1の板状部3a側の一部の領域上に形成され、また、第2のレンズ面12の列が、第4のレンズ面24の列に対して第1の板状部3a側の位置に配置されている。
【0088】
そして、このような構成によれば、光送信用の各光ファイバ6の端面6aに対する所期の結合効率が高精度に求められる各発光素子8ごとのレーザ光Ltについて、第2の充填材18よりも密度の均一性に基づく光学的安定性に優れたプリズム15の内部における光路長が、第2の充填材18の内部における光路長よりも長くなるように光路設計することができるので、各光ファイバ6の端面6aに対する結合効率を安定的に確保することができる。
【0089】
上記構成に加えて、更に、本実施形態においては、図1に示すように、第3の面S3が、各第1のレンズ面11の光軸OA(1)に直交するように形成されているとともに、第1のプリズム面15aが、第3の面S3に平行に配置されている。
【0090】
そして、このような構成によれば、第1の充填材16および第1のプリズム面15aに対して、各発光素子8ごとのレーザ光Ltを垂直入射させることができるので、各第1のレンズ面11と第2のプリズム面15bとの間の光路の直線性が確保された簡便な設計を行うことができ、また、レンズアレイ本体3、第1の充填材16およびプリズム15の材料(屈折率)選択の自由度を広げることも可能となる。
【0091】
上記構成に加えて、更に、本実施形態においては、図1に示すように、第4の面S4が、各第2のレンズ面12の光軸OA(2)および各第4のレンズ面24の光軸OA(4)に直交するように形成され、反射/透過層17を透過した各発光素子8ごとのレーザ光Ltが第2の充填材18側から垂直入射し、また、各第4のレンズ面24に入射した各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrが第2の充填材18に垂直入射するようになっている。
【0092】
そして、このような構成によれば、第4の面S4の前後での光路の直線性が確保された簡便な設計を行うことができ、また、レンズアレイ本体3および第2の充填材18の材料(屈折率)選択の自由度を広げることも可能となる。
【0093】
上記構成に加えて、更に、本実施形態においては、図1および図3に示すように、第2のプリズム面15bの傾斜角が、第1のプリズム面15aを基準(0°)として同各図における時計回りに45°とされている。また、同各図に示すように、第3のプリズム面15cの傾斜角が、第1のプリズム面15aを基準として同各図における反時計回りに45°とされている。すなわち、第3のプリズム面15cは、第2のプリズム面15bに対して直角をなしている。
【0094】
そして、このような構成によれば、プリズム15を直角二等辺三角形状に形成することができるので、プリズム15の寸法精度の測定を簡便に行うことができ、取り扱い性を向上させることができる。また、第2のプリズム面15bにおける各発光素子8ごとのレーザ光Ltの全反射角および各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrの全反射角ならび反射/透過層17における各発光素子8ごとのレーザ光Lrの全反射角を90°に設計することができるので、光路設計が更に容易となる。
【0095】
上記構成に加えて、更に、レンズアレイ本体3と第1の充填材16との屈折率差を所定値以下(例えば、0.01以下(好ましくは、0.005以下))に形成してもよい。
【0096】
そして、このように構成すれば、第3の面S3と第1充填材16との界面における各発光素子8ごとのレーザ光Ltの屈折およびフレネル反射を抑制することができるので、前述した第3の面S3と各第1のレンズ面11の光軸OA(1)との直交性に拘束されることなく第3の面S3の前後での光路の直線性が確保された簡便な設計を行うことができ、また、光送受信およびモニタにとって障害となる迷光の発生を抑制することができる。
【0097】
上記構成に加えて、更に、第1の充填材16とプリズム15との屈折率差を所定値以下(例えば、0.01以下(好ましくは、0.005以下))に形成してもよい。
【0098】
そして、このように構成すれば、第1の充填材16と第1のプリズム面15aとの界面における各発光素子8ごとのレーザ光Ltの屈折およびフレネル反射を抑制することができるので、第1のプリズム面15aと各第1のレンズ面11の光軸OA(1)との直交性に拘束されることなく第1のプリズム面15aの前後での光路の直線性が確保された簡便な設計を行うことができ、また、光送受信およびモニタにとって障害となる迷光の発生を抑制することができる。
【0099】
上記構成に加えて、更に、レンズアレイ本体3と第2の充填材18との屈折率差を所定値以下(例えば、0.01以下(好ましくは、0.005以下))に形成してもよい。
【0100】
そして、このように構成すれば、第2の充填材18と第4の面S4との界面における各発光素子8ごとのレーザ光Ltおよび各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrの屈折ならびにフレネル反射を抑制することができる。これにより、前述した第4の面S4と各第2のレンズ面12の光軸OA(2)との直交性に拘束されることなく第4の面S4の前後での光路の直線性が確保された簡便な設計を行うことができ、また、光送受信およびモニタにとって障害となる迷光の発生を抑制することができる。
【0101】
上記構成に加えて、更に、第1の充填材16と第2の充填材18とは同一物であってもよい。
【0102】
そして、このような構成によれば、組立時に充填材を換える作業を要しなくなるので、製造プロセスを簡略化することができ、更に容易な製造が可能となる。
【0103】
上記構成に加えて、更に、レンズアレイ本体3とプリズム15とは、同一材料からなるものであってもよい。
【0104】
そして、このような構成によれば、材料を統一することによってコストの削減を図ることができる。
【0105】
上記構成以外にも、図1および図5に示すように、レンズアレイ本体3は、第1の光電変換装置5を保持するためのデバイス側周状凸部3cを有している。このデバイス側周状凸部3cは、第1の面S1を四方から包囲するようにして第1の面S1および第1のレンズ面11よりも第1の光電変換装置5側(図1における下方)に突出形成されているとともに、先端面(下端面)において第1の光電変換装置5を当接保持するようになっている。なお、デバイス側周状凸部3cの先端面は、第1の面S1に平行かつ面一とされている。また、図1および図4に示すように、レンズアレイ本体3は、光ファイバ6、26を保持するためのファイバ側周状凸部3dを有している。このファイバ側周状凸部3dは、第2の面S2を四方から包囲するようにして第2の面S2および第2のレンズ面12よりも光ファイバ6、26側(図1における左方)に突出形成されているとともに、先端面(左端面)において光ファイバ6、26を当接保持するようになっている。なお、ファイバ側周状凸部3dの先端面は、第2の面S2に平行かつ面一とされている。この他にも、デバイス側周状凸部3cおよび第1の光電変換装置5(半導体基板7)には、互いに機械的または光学的に係合することによってレンズアレイ2に対する第1の光電変換装置5の位置決めを行うための位置決め手段が形成されていてもよい。この位置決め手段としては、デバイス側周状凸部3cおよび第1の光電変換装置5のいずれか一方に形成されたピンと、他方に形成されたピン挿入用の孔または穴との組合わせや、デバイス側周状凸部3cおよび第1の光電変換装置5の所定の位置に形成された光学的に検出可能なマーク等を挙げることができる。同様に、ファイバ側周状凸部3dおよび光ファイバ6、26(コネクタ10)にも、互いに機械的または光学的に係合することによってレンズアレイ2に対する光ファイバ6の位置決めを行うための位置決め手段(ピンと孔/穴との組合わせや光学マーク等)が形成されていてもよい。なお、図1、図2および図4には、位置決め手段の一例として、ファイバ側周状凸部3dに形成されたピン30が示されている。さらに、図1および図2に示すように、レンズアレイ本体3は、第2の板状部3bに対向し、かつ、第1の板状部3aの右端部に垂直に連設された第3の板状部3eを有している。この第3の板状部3eは、必要に応じて設けるようにしてもよい。
【0106】
更に、前述した構成以外にも、本発明には、種々の変形例を適用することができる。
【0107】
(第1の変形例)
例えば、図6に示すように、プリズム15として、第2のプリズム面15bと第3のプリズム面15cとの境界位置に、第2の充填材18の第2のプリズム面15b上への流出を防止するための壁部20が立設されたものを用いてもよい。
【0108】
このような構成によれば、第2の充填材18の充填の際に、壁部20が第2の充填材18を堰き止めることによって、第2の充填材18の第2のプリズム面15b上への流出を確実に抑制することができるので、第2のプリズム面15bの全反射機能を適正に確保することができる。
【0109】
(第2の変形例)
また、図7に示すように、第3の面S3を凹入面にする代わりに、第1のプリズム面15aを凹入面に形成してもよい。
【0110】
このような構成においても、第3の面S3と第1のプリズム面15aとの間に第1の充填材16の充填空間(間隙部)を容易に確保することができる。
【0111】
(第3の変形例)
さらに、図8(a)の左側面図および図8(b)の平面図に示すように、プリズム15として、第3のプリズム面15cの縁部に、第2の充填材18の第2のプリズム面15b上への流出を防止するための凸状段差部21が形成されたものを用いてもよい。この凸状段差部21は、反射/透過層17を包囲するような平面略コの字形状に形成されているとともに、反射/透過層17よりも第3のプリズム面15cの面法線方向に所定の寸法だけ突出するように形成されている。
【0112】
このような構成によれば、凸状段差部21によって第2の充填材18が第3のプリズム面15c上および反射/透過層17上に溜まりやすくすることができるので、第2の充填材18の第2のプリズム面15b上への流出を効果的に抑制することができ、第2のプリズム面15bの全反射機能を適正に確保することができる。
【0113】
(第4の変形例)
さらにまた、前述したレンズ面11〜13、24、25、発光素子8、受光素子9、29、光ファイバ6、26および反射/透過層17の各構成部について、それぞれの光学性能を保持しつつ図9に示すようにレイアウトを変更してもよい。
【0114】
すなわち、図9に示すように、本変形例において、第1の光電変換装置5は、第2の受光素子29の列が、発光素子8の列に対する右方位置(第2の方向側であって光ファイバ6、26と反対側の位置)に配置されている。また、これにともなって、図9に示すように、第5のレンズ面25の列は、第1のレンズ面11の列に対する右方位置(第2の方向側であって第2の板状部3bと反対側の位置)に配置されている。さらに、図9に示すように、第2のプリズム面15bは、各発光素子8ごとのレーザ光Ltの全反射位置が、各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrの全反射位置よりも第1の板状部3aと反対側(上方)に設定され、また、第3のプリズム面15cは、各発光素子8ごとのレーザ光Ltの入射位置が、各光ファイバ26ごとのレーザ光Lrの入射位置よりも第1の板状部3aと反対側に設定されている。さらにまた、図9に示すように、反射/透過層17は、第3のプリズム面15c上に、本変形例における所定の範囲としての第1の板状部3aと反対側の一部の領域(上半部)にわたって形成されている。また、図9に示すように、第2のレンズ面12の列は、第4のレンズ面24の列に対する上方位置(第3の方向側であって第1の板状部3aと反対側の位置)に配置されている。
【0115】
このような構成によれば、第2のプリズム面15b以後の各発光素子8ごとのレーザ光Ltの光路を短縮することができるので、第2のプリズム面15bの傾斜角に製造上(樹脂成形上)または組立上の誤差が生じた場合においても、この誤差が与える各発光素子8ごとのレーザ光Ltの結合効率への影響を緩和することができる。
【0116】
なお、本変形例の構成に、更に、第1〜第3の変形例を組み合わせてもよいことは勿論である。
【0117】
(第5の変形例)
また、図10に示すように、第1の面S1に、第3のレンズ面13の列を、横方向(第2の方向)において互いに隣位するようにして2列配置してもよい。
【0118】
このような本変形例のレンズアレイ本体3は、図11に示すように、前述した第1の光電変換装置5と、反射/透過層17が第3のプリズム面15c上に所定の範囲にわたって形成されたプリズム15と、光送信用・光受信用の光ファイバ6、26とを配置した状態で、光送受信用のレンズアレイ2および光モジュール1を構成することができる。図11に示すレンズアレイ2は、光学的に機能しない第3のレンズ面13が一列追加されているという点以外は、図1〜図5に示した構成と同様である。
【0119】
一方、本変形例のレンズアレイ本体3は、図12に示すように、光送信専用の第2の光電変換装置35と、反射/透過層17が第3のプリズム面15c上に全面的に形成されたプリズム15と、光送信用の2列の光ファイバ6とを配置した状態で、光送信専用のレンズアレイ2’および光モジュール1’を構成することができる。ただし、図12に示すように、第2の光電変換装置35は、第1の光電変換装置5における第2の受光素子29の列の配置位置に相当する位置に、第2の受光素子29の列の代わりに発光素子8の列が形成されていることによって発光素子8の列を2列有しているとともに、これら2列の発光素子8に対応して第1の受光素子9の列を2列有している。
【0120】
図12に示すように、光送信専用としての使用状態において、各第5のレンズ面25には、2列の発光素子8のうちの各第1のレンズ面11に対応する列とは異なる列の各発光素子8ごとのレーザ光Ltが入射する。また、図12に示すように、第1のプリズム面15aには、各第5のレンズ面25に入射した後の各発光素子8ごとのレーザ光Ltが入射する。さらに、図12に示すように、第2のプリズム面15bは、各第5のレンズ面25への入射後に第1のプリズム面15aに入射した各発光素子8ごとのレーザ光Ltを、各第4のレンズ面24に向けて全反射させる。さらにまた、図12に示すように、反射/透過層17は、各第5のレンズ面25、第1のプリズム面15aおよび第2のプリズム面15bを経た後に第3のプリズム面15cに入射した各発光素子8ごとのレーザ光Ltを、所定の反射率で各発光素子8ごとのモニタ光Mとして2列の第3のレンズ面13のうちの各第1のレンズ面11に対応する列とは異なる列の各第3のレンズ面13に向けて反射させるとともに、所定の透過率で各第4のレンズ面24側に透過させる。また、図12に示すように、各第4のレンズ面24は、反射/透過層17によって透過された各発光素子8ごとのレーザ光Ltを、光送信用の光ファイバ6の端面6aに向けてそれぞれ出射させる。このようにして、光送信のために2列の発光素子8と2列の光ファイバ6の端面6aとを光学的に結合することができ、その際に、各列ごとのモニタを行うことができる。
【0121】
このような構成によれば、反射/透過層17が全面的に形成されたプリズム15を選択することによって光送信専用のレンズアレイ2’を選択することができ、一方、反射/透過層17が所定の範囲にわたって形成されたプリズム15を選択することによって光送受信用のレンズアレイ2を選択することができるので、光送受信用と光送信専用との間での使用形態の選択を容易かつ低コストで行うことが可能となる。
【0122】
本変形例の構成に、更に、第1〜第4の変形例を組み合わせてもよいことは勿論である。
【0123】
なお、本発明は、前述した実施の形態に限定されるものではなく、本発明の特徴を損なわない限度において種々変更することができる。
【0124】
例えば、発光素子8、第1の受光素子9、第2の受光素子29、第1〜第5のレンズ面11〜13、24、25は、2列以上設けてもよい。また、本発明は、光導波路等の光ファイバ以外の光伝送体にも有効に適用することができる。
【符号の説明】
【0125】
1 光モジュール
2 レンズアレイ
3 レンズアレイ本体
3a 第1の板状部
3b 第2の板状部
5 第1の光電変換装置
6 光ファイバ
8 発光素子
9 第1の受光素子
11 第1のレンズ面
12 第2のレンズ面
13 第3のレンズ面
15 プリズム
15a 第1のプリズム面
15b 第2のプリズム面
15c 第3のプリズム面
16 第1の充填材
17 反射/透過層
18 第2の充填材
24 第4のレンズ面
25 第5のレンズ面
29 第2の受光素子

【特許請求の範囲】
【請求項1】
複数の発光素子、これらから発光された光をモニタするための各発光素子ごとのモニタ光をそれぞれ受光する複数の第1の受光素子および光伝送体を介して伝送された光を受光する複数の第2の受光素子が形成された光送受信用の第1の光電変換装置と、前記光伝送体との間に配置され、光送信のために前記複数の発光素子と前記光伝送体の端面とを光学的に結合可能とされるとともに、光受信のために前記光伝送体の端面と前記複数の第2の受光素子とを光学的に結合可能とされたレンズアレイであって、
前記第1の光電変換装置として、前記複数の発光素子が所定の第1の方向に沿って整列形成され、前記発光素子の列に対して前記第1の方向に直交する第2の方向側であって前記光伝送体側の位置に、前記複数の第1の受光素子が前記第1の方向に沿って整列形成され、前記第1の受光素子の列に対して前記第2の方向側であって前記光伝送体と反対側の位置に、前記複数の第2の受光素子が前記第1の方向に沿って整列形成されたものが配置され、
前記第1の光電変換装置に対して前記第1の方向および前記第2の方向に直交する第3の方向において臨むレンズアレイ本体の第1の板状部と、
この第1の板状部における前記第2の方向側であって前記光伝送体側の端部から、前記第3の方向側であって前記第1の光電変換装置と反対側に向かって延出され、前記光伝送体の端面に対して前記第2の方向において臨む前記第1の板状部と同屈折率の前記レンズアレイ本体の第2の板状部と、
前記第1の板状部における前記第1の光電変換装置に臨む第1の面に、前記第1の方向に沿って整列形成され、前記複数の発光素子ごとに発光された光がそれぞれ入射する複数の第1のレンズ面と、
前記第2の板状部における前記光伝送体の端面に臨む第2の面に、前記第1の方向に沿って整列形成され、前記複数の第1のレンズ面にそれぞれ入射した前記複数の発光素子ごとの光を、前記光伝送体の端面に向けてそれぞれ出射させる複数の第2のレンズ面と、
前記第1の面における前記第1のレンズ面の列に対して前記第2の方向側であって前記第2の板状部側の位置に、前記第1の方向に沿って整列形成され、前記第1の板状部の内部側から入射した前記複数の発光素子ごとのモニタ光を前記複数の第1の受光素子に向けてそれぞれ出射させる複数の第3のレンズ面と、
前記第2の面における前記第2のレンズ面の列に対して前記第3の方向側の位置に、前記第1の方向に沿って整列形成され、前記光伝送体の端面から出射された前記伝送された光が入射する複数の第4のレンズ面と、
前記第1の面における前記第3のレンズ面の列に対して前記第2の方向側であって前記第2の板状部と反対側の位置に、前記第1の方向に沿って整列形成され、前記複数の第4のレンズ面にそれぞれ入射した前記伝送された光を、前記複数の第2の受光素子に向けてそれぞれ出射させる複数の第5のレンズ面と、
前記第1の板状部における前記第1の面と反対側の第3の面に対して前記第3の方向側であって前記第1の光電変換装置と反対側に所定の間隙を設けるようにして配置され、前記複数の第1のレンズ面に入射した後の前記複数の発光素子ごとの光の光路および前記複数の第4のレンズ面に入射した後の前記伝送された光の光路をそれぞれ形成するプリズムと、
このプリズムの表面の一部をなし、前記第3の面に臨む位置に配置され、前記複数の第1のレンズ面に入射した後の前記複数の発光素子ごとの光が入射し、また、前記プリズムの内部側から入射した前記複数の第4のレンズ面への入射後の前記伝送された光を前記複数の第5のレンズ面側に透過させる第1のプリズム面と、
前記プリズムの表面の一部をなし、前記第1のプリズム面に対してこの第1のプリズム面から離間するにしたがって前記第2の板状部側に傾斜するような所定の傾斜角を有し、前記第1のプリズム面に入射した前記複数の発光素子ごとの光を前記複数の第2のレンズ面に向けて全反射させ、また、前記プリズムの内部側から入射した前記複数の第4のレンズ面への入射後かつ前記第1のプリズム面への入射前の前記伝送された光を前記第1のプリズム面に向けて全反射させる第2のプリズム面と、
前記プリズムの表面の一部をなし、前記第1のプリズム面に対してこの第1のプリズム面から離間するにしたがって前記第2の板状部と反対側に傾斜するような所定の傾斜角を有し、前記第2のプリズム面によって全反射された前記複数の発光素子ごとの光が前記プリズムの内部側から入射し、また、前記複数の第4のレンズ面への入射後かつ前記第2のプリズム面への入射前の前記伝送された光が入射し、この入射した前記伝送された光を前記第2のプリズム面側に透過させる第3のプリズム面と、
この第3のプリズム面上に、前記複数の発光素子ごとの光の入射位置を含むとともに前記伝送された光の入射位置を除外する所定の範囲にわたって形成され、前記第3のプリズム面に入射した前記複数の発光素子ごとの光を、所定の反射率で前記複数の発光素子ごとのモニタ光として前記複数の第3のレンズ面に向けて反射させるとともに、所定の透過率で前記複数の第2のレンズ面側に透過させる反射/透過層と、
前記第3の面と前記第1のプリズム面との間に充填された第1の充填材と、
前記第3のプリズム面と前記第2の板状部における前記第2の面と反対側の第4の面との間に充填され、前記プリズムとの屈折率差が所定値以下とされた第2の充填材と
を備えたことを特徴とするレンズアレイ。
【請求項2】
前記第1の光電変換装置は、前記第2の受光素子の列が、前記発光素子の列と前記第1の受光素子の列との間の位置に配置され、
前記第5のレンズ面の列は、前記第1のレンズ面の列と前記第3のレンズ面の列との間の位置に配置され、
前記第2のプリズム面は、前記複数の発光素子ごとの光の全反射位置が、前記伝送された光の全反射位置よりも前記第1の板状部側に設定され、
前記第3のプリズム面は、前記複数の発光素子ごとの光の入射位置が、前記伝送された光の入射位置よりも前記第1の板状部側に設定され、
前記反射/透過層は、前記第3のプリズム面における前記第1の板状部側の一部の領域上に形成され、
前記第2のレンズ面の列は、前記第4のレンズ面の列に対して前記第3の方向側であって前記第1の板状部側の位置に配置されていること
を特徴とする請求項1に記載のレンズアレイ。
【請求項3】
前記第1の光電変換装置は、前記第2の受光素子の列が、前記発光素子の列に対して前記第2の方向側であって前記光伝送体と反対側の位置に配置され、
前記第5のレンズ面の列は、前記第1のレンズ面の列に対して前記第2の方向側であって前記第2の板状部と反対側の位置に配置され、
前記第2のプリズム面は、前記複数の発光素子ごとの光の全反射位置が、前記伝送された光の全反射位置よりも前記第1の板状部と反対側に設定され、
前記第3のプリズム面は、前記複数の発光素子ごとの光の入射位置が、前記伝送された光の入射位置よりも前記第1の板状部と反対側に設定され、
前記反射/透過層は、前記第3のプリズム面における前記第1の板状部と反対側の一部の領域上に形成され、
前記第2のレンズ面の列は、前記第4のレンズ面の列に対して前記第3の方向側であって前記第1の板状部と反対側の位置に配置されていること
を特徴とする請求項1に記載のレンズアレイ。
【請求項4】
前記第3の面は、前記複数の第1のレンズ面の光軸に直交するように形成され、
前記第1のプリズム面は、前記第3の面に平行に配置されていること
を特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項5】
前記レンズアレイ本体と前記第1の充填材との屈折率差が所定値以下とされていること
を特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項6】
前記第1の充填材と前記プリズムとの屈折率差が所定値以下とされていること
を特徴とする請求項1〜5のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項7】
前記第4の面は、前記複数の第2のレンズ面の光軸に直交するように形成され、前記反射/透過層を透過した前記複数の発光素子ごとの光が前記第2の充填材側から垂直入射すること
を特徴とする請求項1〜6のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項8】
前記第2の充填材と前記レンズアレイ本体との屈折率差が所定値以下とされていること
を特徴とする請求項1〜7のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項9】
前記第3の面は、前記第1の充填材を充填させる空間を確保するように凹入形成された凹入面とされていること
を特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項10】
前記第1のプリズム面は、前記第1の充填材を充填させる空間を確保するように凹入形成された凹入面とされていること
を特徴とする請求項1〜8のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項11】
前記第1の充填材および前記第2の充填材は、透光性の接着材からなり、
前記プリズムは、前記第1および第2の充填材によって前記レンズアレイ本体に接着されていること
を特徴とする請求項1〜10のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項12】
前記第1の充填材と前記第2の充填材とが同一物とされていること
を特徴とする請求項1〜11のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項13】
前記第2のプリズム面は、前記第1のプリズム面に対して45°の傾斜角を有するように形成され、
前記第3のプリズム面は、前記第2のプリズム面に対して直角かつ前記第1のプリズム面に対して45°の傾斜角を有するように形成されていること
を特徴とする請求項1〜12のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項14】
前記プリズムは、前記第2のプリズム面と前記第3のプリズム面との境界位置に、前記第2の充填材の前記第2のプリズム面上への流出を防止するための壁部を有すること
を特徴とする請求項1〜13のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項15】
前記プリズムは、前記第3のプリズム面の縁部に、前記第2の充填材の前記第2のプリズム面上への流出を防止するための凸状段差部を有すること
を特徴とする請求項1〜14のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項16】
前記第1の光電変換装置に代わり、光送信専用の第2の光電変換装置として、前記第2の受光素子の列の代わりに前記発光素子の列が形成されていることによって前記発光素子の列を複数列有するとともに、これら複数列の発光素子に対応して前記第1の受光素子の列を複数列有するものを配置し、かつ、前記反射/透過層が前記第3のプリズム面上に前記所定の範囲にわたって形成された前記プリズムに代わり、前記反射/透過層が前記第3のプリズム面上に全面的に形成された前記プリズムを配置した状態で、光送信専用として、前記複数列の発光素子と前記光伝送体の端面とを光学的に結合可能とされ、
前記第1の面には、前記第3のレンズ面の列が、前記第2の方向において互いに隣位するようにして複数列配置され、
光送信専用としての使用状態において、
前記複数の第5のレンズ面には、前記複数列の発光素子における前記複数の第1のレンズ面に対応する列とは異なる列の複数の発光素子ごとの光が入射し、
前記第1のプリズム面には、前記複数の第5のレンズ面に入射した後の前記複数の発光素子ごとの光が入射し、
前記第2のプリズム面は、前記複数の第5のレンズ面への入射後に前記第1のプリズム面に入射した前記複数の発光素子ごとの光を、前記複数の第4のレンズ面に向けて全反射させ、
前記反射/透過層は、前記複数の第5のレンズ面、前記第1のプリズム面および前記第2のプリズム面を経た後に前記第3のプリズム面に入射した前記複数の発光素子ごとの光を、所定の反射率で前記複数の発光素子ごとのモニタ光として前記複数列の第3のレンズ面における前記複数の第1のレンズ面に対応する列とは異なる列の複数の第3のレンズ面に向けて反射させるとともに、所定の透過率で前記複数の第4のレンズ面側に透過させ、
前記複数の第4のレンズ面は、前記反射/透過層によって透過された前記複数の発光素子ごとの光を、前記光伝送体の端面に向けてそれぞれ出射させること
を特徴とする請求項1〜15のいずれか1項に記載のレンズアレイ。
【請求項17】
請求項1〜15のいずれか1項に記載のレンズアレイと、
請求項1に記載の第1の光電変換装置と
を備え、
光送受信に用いられることを特徴とする光モジュール。
【請求項18】
前記第1の光電変換装置に代わり、請求項16に記載の第2の光電変換装置を配置し、かつ、請求項1に記載の反射/透過層が第3のプリズム面上に所定の範囲にわたって形成されたプリズムに代わり、請求項16に記載の反射/透過層が第3のプリズム面上に全面的に形成されたプリズムを配置することによって、光送信専用への転換が可能とされていること
を特徴とする請求項17に記載の光モジュール。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【公開番号】特開2013−20121(P2013−20121A)
【公開日】平成25年1月31日(2013.1.31)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−153818(P2011−153818)
【出願日】平成23年7月12日(2011.7.12)
【出願人】(000208765)株式会社エンプラス (403)
【Fターム(参考)】