説明

レーザー干渉計ミラー・アセンブリ

レーザー干渉計ミラー・アセンブリである。このレーザー干渉計ミラー・アセンブリ(1)は、ガラス・ベース(2)と、第1および第2の直角のガラス・ミラー・ブロック(3、4)と、を備えている。それぞれのミラー・ブロックは、ガラス・ベースの上面(5)において、1組の足(6、7、8、9)を使用して、支持されている。

【発明の詳細な説明】
【本発明の技術分野】
【0001】
本発明は、レーザー干渉計ミラー・アセンブリに関するものであり、特に、しかし排他的でなく、電子ビーム露光装置で使用するためのものである。
【背景技術】
【0002】
電子ビーム露光装置では、レーザー干渉計ミラー・アセンブリは、x-y位置調整ステージと、工作物を保持するチャックの間に、通常置かれる。ミラー・アセンブリはベース部分から立ち上がる、直角の、一組の平面鏡を含んでいる。したがって、チャックがベース部分に置かれる場合、チャックに支持された工作物は、実質的に、ミラーと同じ高さに位置する。
【0003】
従来のミラー・アセンブリは、約30-60mmの厚さが典型的にはある、ガラスの単一のブロックから、機械加工される。ブロックにおける二つの、外に向いた、直角の側部を、切らない状態で残しておき、ブロックを、側方が開いた、15〜20mmの深さのくぼみ(このくぼみは二つの削らない側部に沿う、くぼみの二つの側部に沿って走る棚を持つ)を形成するように薄くする。切らない側部における上部は、研磨されて、ミラーを成形する。
【0004】
ガラスのブロックは、機械加工されることが可能なほど十分に厚くなければならない。
しかしながら、これは、重いミラー・アセンブリという結果を招く。より薄いブロックが使用される場合には、ブロックは、機械加工中に壊れやすくなる。
【0005】
1つの解決策は、平らなガラス・ベースと、このベース上に固着した2つのミラー・ブロックとを有するミラー・アセンブリを提供することである。しかしながら、ベースの表面高さにおける変動は、ミラー・ブロックを、歪んだものとする。したがって、もしベースが並外れて高度の(つまりlμm未満の)平面度に研摩されなければ、そのミラー・アセンブリは、レーザ干渉計にとって十分に平坦なミラーを供給しない。
【0006】
本発明は、改善されたミラー・アセンブリを提供しようとするものである。
【発明の要約】
【0007】
本発明によれば、 上面を有するガラス・ベースと、第1および第2のガラス・ミラー・ブロックとを含む、レーザー干渉計ミラー・アセンブリが提供される。それぞれのガラス・ミラー・ブロックは、二つまたは三つのガラス支持体のセットを用いて、前記ガラス・ベースの前記上面において支持されており、それぞれの支持体は、ガラス・ブロックに接着されており、それぞれのミラー・ブロックは、支持体のそれぞれのセットに接着されており、前記第1および第2のガラス・ミラー・ブロックは、前記ガラス・ミラー・ブロックに配置されて、第1および第2の直角のミラーを提供している。
【0008】
このミラー・アセンブリは、容易に製造できるという点において利点を有する。なぜなら、前記ベース及びミラーが、同じブロックからの完全なユニットであるために、機械加工される必要がないからである。さらに、ガラス・ブロックにそれぞれの支持体を接着し、そして、支持体のそれぞれのセットにミラー・ブロックを接着することは、頑丈な構造を提供するために役立ちうる。
【0009】
前記ベース、ミラー・ブロックおよび支持体は、同じガラス材料、例えばZerodur(登録商標)ガラスで構成されてもよい。前記ミラー・ブロックは、前記ベースの直角の側部に沿って配置されていてもよい。前記ミラー・ブロックは、前記ベースにおける外向きの側部に対して、横方向において水平な、外向きの側部を有していてもよい。
【0010】
前記ベースは、5〜10mmの間の厚さを有していてもよいし、また、0.025:1と0.05:1との間の縦横比を有していてもよい。
【0011】
前記支持体は、平らなスペーサの形態であってもよいし、また、1mm未満の厚さを有していてもよいし、また、1〜10mmの幅を有していてもよい。
【0012】
前記上部支持体は実質的に平らであってもよい。
【図面の簡単な説明】
【0013】
本発明の実施形態は、添付の図面を参照して、例として説明される:
図1は、本発明によるレーザー干渉計ミラー・アセンブリの斜視図である;
図2は、図1で示されるミラー・アセンブリの側面図である;
図3は、図1で示されるミラー・アセンブリの平面図である;
図4は、本発明に従う他のレーザー干渉計ミラー・アセンブリにおける、一部分の平面図である;
図5は、x-y位置調整ステージ、本発明によるレーザー干渉計ミラー・アセンブリ、チャックおよびチャック支持体の側面図である。
【発明の詳細な説明】
【0014】
図1、2および3を参照して、本発明によるレーザー干渉計ミラー・アセンブリ1の実施形態は、ガラス・ベース2と、ガラス・ベース2の上面5に、それぞれの対のガラス・サポートあるいは足6、7、8、9により据え付けられた第1および第2のガラス・ミラー・ブロック3, 4とを備える。ベース2、ミラー・ブロック3、4、および支持体6、7、8、9は、Zerodur(RTM:登録商標)ガラスから形成される。しかしながら、低い熱膨張率を持っている他のガラスが使用されてもよい。
【0015】
ガラス・ベース2は、平面視して、全体的に長方形であり、面取りされた端を持ち、そして、上面5を横切って、10μm以内で平坦である。ガラス・ベース2の領域的なサイズは、x-y位置調整ステージ17(図5)によって支えられたチャック18(図7)によって支えられた工作物のサイズに依存する。この場合、ガラス・ベース2は、側部において約200mmの長さを有している。ガラス・ベース2の厚さは7mmである。ガラス・ベース2の厚さは5〜10mmの間であってもよい。したがって、0.025:1から0.05:1の間で、縦横比(例えば幅に対する高さ)が達成されるかもしれない。
【0016】
ミラー・ブロック3、4は、2つの直角の側部10、11に沿って、ガラス・ベース2の上部の表面5に配置される。この例において、ミラー・ブロック3、4は、長さ方向において垂直である。ブロック3、4は、外向きの側部12、13を有しており、それは、ガラス・ベース2の、外向きの側部14、15と、横方向において水平である。ミラー・ブロック3、4は、ベース2から突き出ている。ミラー・ブロック3、4は、5mmの幅および10mmの厚さを有している。外向きの側部12、13は研磨され、レーザー光線17を反射するために、それぞれのλ/20ミラーを提供する(図4)。
【0017】
支持体6、7、8、9は、平らなスペーサの形態となっており、12mmの幅w(ミラー・ブロックの幅を横切って)、5mmの長さl(ミラー・ブロックの長さに沿って)、および0.5mmの高さh(厚さ)を有している。支持体6、7、8、9は、1〜15mmの間の幅を有していてもよい。
その支持体は、1〜15mmの間の長さを有していてもよい。支持体6、7、8、9は、ミラー・ブロック3、4と同じ幅を持つ必要はない。正方形の支持体(そのときはw = l)が使用されてもよい。より短くより狭いスペーサが十分な加圧を提供するのであれば、それらを使用することができ、そのことは、ルーチンの実験によって決定することができる。
【0018】
1組の支持体6、7、8、9は、それぞれのミラー・ブロック3、4のために提供される。
それぞれの組の支持体6、7、8、9 6、7は、ベース2の上に横たわり、そして、それぞれのミラー・ブロック3、4の下に横たわる。それぞれのミラー・ブロック3、4については、1つの支持体6、8が、ブロック3、4に沿っておよそ4分の1に供給され、そして、他の支持体7、9が、ブロック3、4に沿っておよそ4分の3に供給される。ここで、1組の支持体6、7、8、9は、ミラー・ブロック3のそれぞれの端から同じ間隔で離間されていればよく、その間隔は、前記とは異なっていてもよい。例えば、支持体6、7、8、9は、それぞれのミラー・ブロック3、4のそれぞれの端に提供されるかもしれない。
【0019】
支持体6、7、8、9は、等間隔の状態で配置されないかもしれない。支持体6、7、8、9は、接着剤を使用して、ベース2およびミラー・ブロック3、4へ取り付けられる。好ましくは、薄く均一の接着剤層を塗布するのを助けるために、未乾燥状態では、接着剤は、低い粘性を持っている。
【0020】
二つの、細く平らな足6、7、8、9を使ってミラー・ブロック3、4を支持することは、ミラー・ブロック3、4の変形を最小限とし、ミラー・ブロック3、4の表面12、13を平らに保つことを助ける。それぞれの脚6、7、8、9の足跡、つまり脚によって覆われた領域は小さく、したがって、それは、ミラー・ブロック3、4を、例えばミラー・ブロック3、4をベース2に直接に接着する場合に比べて、より少ない表面変動にさらす。
【0021】
ミラー・ブロック12、13をベース2に取り付けることができるので、ミラー・アセンブリ1を単一のブロックから機械加工する必要はない。したがって、より薄いベース2を使用することができる。これは、x-y位置調整ステージ17(図5)上の荷重を減少する、より軽いミラー・アセンブリに帰結する。したがって、ステージを含むアセンブリは、より短い整定時間(settling time)において、より速く反応することができる。それは、電子ビーム露光装置のスループットを高めるのを助ける。
【0022】
図4を参照して、本発明によるレーザー干渉計ミラー・アセンブリ1'の、他の実施形態の一部が示される。ミラー・アセンブリ1'は、前で記述されたミラー・アセンブリ1と実質的に同様である。しかしながら、二つの支持体6、7の代わりに、三角形となるように配置された三つの支持体14、15、16が、ミラー・ブロック3のために提供される。支持体14、15、16は、平面視において実質的に正方形である。支持体14、15、16の幅wおよび長さlは、ミラー・ブロック3の幅Wより小さい。三つの支持体(示されない)は、ミラー・ブロック4のためにも提供される。しかしながら、1つのミラー・ブロック4は、二つの支持体を持っているかもしれない。また、他のミラー・ブロック3は、三つの支持体を持っているかもしれない。
【0023】
三つの小さな支持体14、15、16を使用して、ミラー・ブロック3、4を支持することは、ミラー・ブロック3、4の変形を最小限にすることを助ける。
【0024】
図5を参照して、ミラー・アセンブリ1は、ステッパーモーター(示されない)によって駆動されるx-y位置調整ステージ17に据え付けられる。半導体ウェーハーのような工作物または試料19を支えるためのチャック18は、ミラー・アセンブリ1に据え付けられる。
工作物または試料の19の位置は、位置調整ユニット21(唯一つの位置調整ユニットが明瞭のために示される)からの、それぞれのレーザー光線20を向けることにより決定することができる。
【0025】
多くの修正が、上に記述された実施形態に対してなされるかもしれないことは認識されるだろう。例えば、ミラー・アセンブリは、イオンビーム・システムのような他のマイクロリソグラフィ(microlithography)システム、走査電子顕微鏡のような顕微鏡システム、および、干渉計方式を使用する他のシステムにおいて使用されてもよい。支持体はミラー・ブロックの下から突出してもよい。言いかえれば、支持体の上面の一部は、ミラー・ブロックに接していてもよい。
【図1】

【図2】

【図3】

【図4】

【図5】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザー干渉計ミラー・アセンブリであって、以下を含む:
上面を有するガラス・ベース;
ならびに、第1および第2のガラス・ミラー・ブロック;
それぞれのガラス・ミラー・ブロックは、二つまたは三つのガラス支持体のセットを用いて、前記ガラス・ベースの前記上面において支持されており、それぞれの支持体は、ガラス・ブロックに接着されており、それぞれのミラー・ブロックは、支持体のそれぞれのセットに接着されており、前記第1および第2のガラス・ミラー・ブロックは、前記ガラス・ミラー・ブロックに配置されて、第1および第2の直角のミラーを提供している。
【請求項2】
請求項1によるミラー・アセンブリであって、ここで、前記ベース、ミラー・ブロックおよび支持体は、同じガラス材料から作られている。
【請求項3】
請求項2によるミラー・アセンブリであって、ここで、前記ガラス材料は、Zerodur(登録商標)ガラスである。
【請求項4】
先のいずれかの請求項によるミラー・アセンブリであって、ここで、前記ミラー・ブロックは、前記ベースの直角の側部に沿って配置されている。
【請求項5】
先のいずれかの請求項によるミラー・アセンブリであって、ここで、前記ミラー・ブロックは、前記ベースにおける外向きの側部に対して、横方向において水平な、外向きの側部を有している。
【請求項6】
先のいずれかの請求項によるミラー・アセンブリであって、ここで、前記ベースは5〜10mmの間の厚さを有している。
【請求項7】
先のいずれかの請求項によるミラー・アセンブリであって、ここで、前記ベースは、0.025:1と0.05:1との間の縦横比を有している。
【請求項8】
先のいずれかの請求項によるミラー・アセンブリであって、ここで、前記支持体は、平らなスペーサの形態となっている。
【請求項9】
先のいずれかの請求項によるミラー・アセンブリであって、ここで、前記支持体は、1mm未満の厚さを有している。
【請求項10】
先のいずれかの請求項によるミラー・アセンブリであって、ここで、前記支持体は、1〜10mmの幅を有している。
【請求項11】
請求項1〜10のうちのいずれかによるミラー・アセンブリであって、ここで、それぞれの前記ミラー・ブロックは、二つの支持体を用いて、前記表面上において支持されている。
【請求項12】
請求項1〜10のうちのいずれかによるミラー・アセンブリであって、ここで、それぞれの前記ミラー・ブロックは、三つの支持体を用いて、前記表面上において支持されている。
【請求項13】
先のいずれかの請求項によるミラー・アセンブリであって、ここで、前記上部の支持体は実質的に平らである。
【請求項14】
レーザー干渉計ミラー・アセンブリであって、以下を含む:
上面を有するガラス・ベース;
ならびに、第1および第2のガラス・ミラー・ブロック;
それぞれの前記ガラス・ミラー・ブロックは、二つのガラス支持体のセットを用いて前記ガラス・ベースの上面において支持されており、それぞれの支持体は、前記ガラス・ブロックに接着されており、それぞれのミラー・ブロックは、それぞれの支持体のセットに接着されており、そして、前記第1および第2のガラス・ミラー・ブロックは、前記ガラス・ミラー・ブロックに配置されて、第1および第2の直角のミラーを提供している。
【請求項15】
レーザー干渉計ミラー・アセンブリであって、以下を含む:
上面を有するガラス・ベース;
ならびに、第1および第2のガラス・ミラー・ブロック;
それぞれの前記ガラス・ミラー・ブロックは、三つのガラス支持体のセットを用いて前記ガラス・ベースの上面において支持されており、それぞれの支持体は、前記ガラス・ブロックに接着されており、それぞれのミラー・ブロックは、それぞれの支持体のセットに接着されており、そして、前記第1および第2のガラス・ミラー・ブロックは、前記ガラス・ミラー・ブロックに配置されて、第1および第2の直角のミラーを提供している。
【請求項16】
レーザー干渉計ミラー・アセンブリであって、以下を含む:
面を有するベース;
ならびに、第1および第2の直交ミラーを提供するために構成された第1および第2のミラー・ブロック;
ここで、それぞれの前記ミラー・ブロックは、二つまたは三つの支持体を用いて、前記面において支持されている。

【公表番号】特表2008−501945(P2008−501945A)
【公表日】平成20年1月24日(2008.1.24)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−514143(P2007−514143)
【出願日】平成17年5月13日(2005.5.13)
【国際出願番号】PCT/GB2005/050065
【国際公開番号】WO2005/119362
【国際公開日】平成17年12月15日(2005.12.15)
【出願人】(505367394)ナノビーム リミテッド (4)
【Fターム(参考)】