説明

レーザ加工装置及びレーザ加工装置のレーザ照射位置制御方法

【課題】 直径が非常に小さい円筒パイプ状の加工対象物の表面をレーザ加工する場合に、加工対象物の表面に形成される光スポットの大きさが所定の大きさに保たれるようにしたレーザ加工装置を提供する。
【解決手段】 X軸方向に延びた円筒パイプ状の加工対象物OBに対して、加工用ヘッド10からZ軸方向に加工用レーザ光を照射するとともに、サーボ用Z軸方向光ヘッド20からサーボ用Z軸方向レーザ光をZ軸方向に照射し、サーボ用Y軸方向光ヘッド30からサーボ用Y軸方向レーザ光をY軸方向に照射する。フォトディテクタ118に映し出される加工対象物OBの射影の位置により加工対象物OBのY軸方向のずれを検出し、フォトディテクタ402に映し出される加工対象物OBの射影の位置により加工対象物OBのZ軸方向のずれを検出する。検出したずれに基づいて、対物レンズ112を駆動する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、円筒パイプ状の加工対象物の表面をレーザ加工するレーザ加工装置及びレーザ加工装置におけるレーザ光の照射位置を加工対象物の適正位置に合わせる照射位置制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来から、ドラム状の固定治具の外周面にシート状の加工対象物を固定し、固定治具をその中心軸周りに回転させながら軸方向に沿って移動させるとともに、加工ヘッドにより加工用レーザ光を対物レンズで集光して加工対象物の表面に照射することで、加工対象物表面に螺旋状にレーザ加工(ピット、溝、反応跡等の形成)を施すレーザ加工装置が知られている。このようなレーザ加工装置は、例えば、特許文献1に提案されている。
【0003】
ドラム式レーザ加工装置において、加工対象物に微細なレーザ加工を行う場合は、例えば、特許文献2に提案されているように、光ディスク装置におけるフォーカスサーボ制御と同様、加工対象物からの反射光を4分割された受光領域を有するフォトディテクタで受光し、非点収差法等により、各受光領域の受光信号からレーザ光の焦点位置と加工対象物の表面との光軸方向のずれに相当するフォーカスエラー信号を生成する。そして、このフォーカスエラー信号の値がゼロになるように、レーザ光を集光する対物レンズをレーザ光の光軸方向に移動させることで、レーザ光の焦点位置が加工対象物の表面と一致するようにしている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0004】
【特許文献1】特開平8−132268号公報
【特許文献2】特開2001−243663号公報
【発明の概要】
【0005】
近年、人体の血管、気管などの管状の部分にステントを挿入し、管径を拡げて管状の部分の狭窄を防止するステント治療が広まってきている。ステントは、ステンレス、タンタル、コバルト合金、ニッケル・チタン合金などの金属製の円筒パイプの側面に、図18に示すように複数の帯状の孔を設けて、網目状にしたものである。このステントの製作においては、レーザ加工により、円筒パイプの側面に複数の帯状の孔を設けることがある。
【0006】
ステントの直径は、挿入する管の直径に応じて様々である。血管のように直径の小さい管用のステントの直径は、0.5mmから3mmほどであり、さらに小さな直径のステントもある。このように、直径が小さい円筒パイプの側面に複数の帯状の孔を高精度に加工するのは非常に困難である。上記従来のレーザ加工におけるフォーカスサーボ制御は、レーザ光を加工対象物の表面に垂直に照射できることを前提としており、加工対象物が直径の小さいステントのように非常に細い円筒パイプである場合には、レーザ光の光軸が円筒パイプの中心軸からずれている(交差しない)と、レーザ光を加工対象物の表面に対して斜めに照射してしまうため、適切なフォーカスエラー信号を生成することができない。こうした場合においては、加工対象物のレーザ光の光軸方向の変動に加えて光軸に垂直な方向の変動も考慮しなければならない。従って、加工対象物が直径の小さい円筒状部材である場合、上記従来のフォーカスサーボ制御によってでは、加工対象物の表面に形成される光スポットの大きさを所定の大きさに維持することが困難であった。
【0007】
本発明は、上記問題に対処するためになされたもので、直径が非常に小さい円筒パイプ状の加工対象物の表面をレーザ加工する場合に、加工対象物の表面に形成される光スポットの大きさが所定の大きさに保たれるようにレーザ光の照射位置を制御することができるレーザ加工装置を提供することを目的とする。なお、下記本発明の各構成要件の記載においては、本発明の理解を容易にするために、後述する実施形態の対応箇所の符号を括弧内に記載しているが、本発明の各構成要件は、実施形態の符号によって示された対応箇所の構成に限定解釈されるべきものではない。
【0008】
上記目的を達成するために、本発明の特徴は、円筒パイプ状の加工対象物を、その中心軸方向をX軸方向にして支持する対象物支持手段(51)と、加工対象物を加工する加工用レーザ光を出射する加工用レーザ光源(102)及び前記加工用レーザ光を集光する対物レンズ(112)を備え、加工対象物の中心軸線方向であるX軸方向に対して垂直方向となるZ軸方向に対物レンズによって集光された加工用レーザ光を照射して加工対象物の表面に光スポットを形成する加工用レーザ光照射手段(102,104,108,112)と、加工対象物又は加工用レーザ光照射手段をX軸方向回りに回転させて、加工対象物に対する加工用レーザ光の照射位置を、加工対象物に対して相対的にX軸方向回りに回転させる回転手段(52)と、加工対象物又は加工用レーザ光照射手段をX軸方向に変位させて、加工対象物に対する加工用レーザ光の照射位置を、加工対象物に対して相対的にX軸方向に移動させる移動手段(51,53)とを備えたレーザ加工装置において、照射方向がZ軸方向に設定されたサーボ用Z軸方向レーザ光と、照射方向がZ軸方向とX軸方向とに対して垂直方向となるY軸方向に設定されたサーボ用Y軸方向レーザ光とを加工対象物に照射するサーボ用レーザ光照射手段(202,204;302,304;130,132,136,110,112;410,412,416,404;202,204,212,214,216)と、サーボ用Z軸方向レーザ光及びサーボ用Y軸方向レーザ光を加工対象物に照射して形成される加工対象物の射影又は加工対象物からの反射光を受光して、受光位置に応じた受光信号を出力するサーボ用レーザ光受光手段(112,110,116,118;402;112,110,136,134,140;404,406,402;404,418,406,402;404,416,414,420)と、受光信号に基づいて、加工用レーザ光の光軸が加工対象物の中心軸と交差し、かつ加工用レーザ光を加工対象物に照射することで加工対象物の表面に形成される光スポットの大きさが所定の大きさに保たれるように対物レンズを駆動するサーボ手段(161〜163,171〜173,114y,114z)とを備えたことにある。
【0009】
この場合、サーボ用レーザ光受光手段は、サーボ用Z軸方向レーザ光を加工対象物に照射して形成される射影又は加工対象物からの反射光を受光面に受けて、前記受光面における前記射影又は前記反射光の位置に応じた受光信号を出力するZ軸方向レーザ光検出手段(112,110,116,118;112,110,136,134,140)と、サーボ用Y軸方向レーザ光を加工対象物に照射して形成される射影又は加工対象物からの反射光を受光面に受けて、前記受光面における前記射影又は前記反射光の位置に応じた受光信号を出力するY軸方向レーザ光検出手段(402;404,406,402;404,418,406,402;404,416,414,420)とを備え、サーボ手段は、Z軸方向レーザ光検出手段の出力する受光信号に基づいて、加工用レーザ光の光軸が加工対象物の中心軸と交差するように対物レンズをY軸方向に駆動するY軸方向サーボ手段(161,162,163,114y)と、Y軸方向レーザ光検出手段の出力する受光信号に基づいて、加工対象物の表面に形成される光スポットの大きさが所定の大きさに保たれるように対物レンズをZ軸方向に駆動するZ軸方向サーボ手段(171,172,173,114z;191,192,183,114z)とを備えるとよい。
【0010】
また、この場合、サーボ用レーザ光照射手段は、加工対象物の直径よりも大きな直径の平行レーザ光をサーボ用Z軸方向レーザ光として加工対象物へZ軸方向に照射するZ軸方向照射手段(202,204)と、加工対象物の直径よりも大きな直径の平行レーザ光をサーボ用Y軸方向レーザ光として加工対象物へY軸方向に照射するY軸方向照射手段(302,304)とを備え、Z軸方向レーザ光検出手段(112,110,116,118)は、サーボ用Z軸方向レーザ光を加工対象物に照射して形成される射影を受光面に受けて、前記受光面における前記射影の位置に応じた受光信号を出力し、Y軸方向レーザ光検出手段(402)は、サーボ用Y軸方向レーザ光を加工対象物に照射して形成される射影を受光面に受けて、前記受光面における前記射影の位置に応じた受光信号を出力するとよい。
【0011】
また、この場合、Z軸方向照射手段(202,204)は、サーボ用Z軸方向レーザ光を、加工用レーザ光照射手段から照射される加工用レーザ光と光軸が同一となる位置で、かつ、加工対象物に対して加工用レーザ光の照射方向とは反対方向から照射し、加工用レーザ光を加工対象物に照射するための光路の途中に、前記光路に入射したサーボ用Z軸方向レーザ光を前記光路から分離してZ軸方向レーザ光検出手段の受光面に導く分離用光学素子(110)を備えるとよい。
【0012】
また、この場合、サーボ用レーザ光照射手段は、対物レンズにより加工用レーザ光と同程度に集光したレーザ光をサーボ用Z軸方向レーザ光として加工用レーザ光と同軸となる位置で加工対象物へZ軸方向に照射するZ軸方向照射手段(130,132,136,110,112)と、加工対象物の直径よりも大きな直径の平行レーザ光をサーボ用Y軸方向レーザ光として加工対象物へY軸方向に照射するY軸方向照射手段(302,304)とを備え、Z軸方向レーザ光検出手段(112,110,136,134,140)は、サーボ用Z軸方向レーザ光の加工対象物からの反射光を受光面に受けて、前記受光面における前記反射光の位置に応じた受光信号を出力し、Y軸方向レーザ光検出手段(402)は、サーボ用Y軸方向レーザ光を加工対象物に照射して形成される射影を受光面に受けて、前記受光面における前記射影の位置に応じた受光信号を出力するとよい。
【0013】
さらに、この場合、加工対象物の表面に形成される光スポットは、X軸方向に長く、加工対象物は、ステントに加工される円筒パイプとするとよい。
【0014】
上記のように構成したレーザ加工装置においては、Z軸方向とY軸方向との2方向における加工対象物の射影又は加工対象物からの反射光の検出位置に基づいて対物レンズを駆動する。これにより、加工対象物の位置がZ軸方向及びY軸方向に変動しても、簡単に、加工用レーザ光を加工対象物の表面の適正位置に照射することができ、加工対象物の表面に形成される光スポットの大きさを所定の大きさに保つことができる。特に、レーザ加工により円筒状パイプに孔を形成してステントを製作する場合に有効であって、孔の位置及び孔の大きさの精度を向上させることができる。
【0015】
本発明の他の特徴は、Y軸方向レーザ光検出手段(402)の受光面への入射光路にてZ軸方向に移動可能なサーボレーザ用リレーレンズ(404)を設け、Z軸方向サーボ手段(171,182,183,114z,408)は、Y軸方向レーザ光検出手段の出力する受光信号に基づいて、サーボ用Y軸方向レーザ光を加工対象物に照射して形成される射影がY軸方向レーザ光検出手段の受光面の中央に位置するようにサーボレーザ用リレーレンズをZ軸方向に駆動するとともに、サーボレーザ用リレーレンズの駆動と合わせて対物レンズをZ軸方向に駆動することにある。
【0016】
上記のように構成したレーザ加工装置においては、Z軸方向サーボ手段が、Y軸方向レーザ光検出手段の出力する受光信号に基づいて、サーボ用Y軸方向レーザ光の加工対象物の棒状の射影がY軸方向レーザ光受光手段の受光面の中央に位置するようにサーボレーザ用リレーレンズを駆動する。サーボレーザ用リレーレンズを光軸に対して垂直方向に移動させると、それに伴って、Y軸方向レーザ光検出手段の受光面に映し出されるサーボ用Y軸方向レーザ光の加工対象物の射影が移動する。したがって、Z軸方向サーボ手段は、サーボ用Y軸方向レーザ光の加工対象物の射影の位置をフィードバックして、射影がY軸方向レーザ光検出手段の受光面の中央に位置するようにサーボレーザ用リレーレンズを駆動制御することができる。
【0017】
また、Z軸方向サーボ手段が、このサーボレーザ用リレーレンズの駆動と合わせて対物レンズをZ軸方向に駆動することにより、加工対象物の表面に形成される光スポットの大きさを所定の大きさに保つことができる。この結果、Z軸方向のサーボ制御の精度が向上するとともに、加工用レーザ光のZ軸方向の照射位置の調整範囲を広くすることができる。
【0018】
本発明の他の特徴は、Y軸方向照射手段は、加工対象物の直径よりも大きな直径の平行レーザ光を第1サーボ用Y軸方向レーザ光として加工対象物へY軸方向に照射する第1Y軸方向照射手段(302,304)と、加工対象物の直径よりも小さな直径に集光したレーザ光を第2サーボ用Y軸方向レーザ光として加工対象物へY軸方向に照射する第2Y軸方向照射手段(410,412,416,404)とを備え、Y軸方向レーザ光検出手段は、第1サーボ用Y軸方向レーザ光を加工対象物に照射して形成される射影を受光面に受けて、前記受光面における前記射影の位置に応じた受光信号を出力する第1Y軸方向レーザ光検出器(402)と、第2サーボ用Y軸方向レーザ光の加工対象物からの反射光を受光面に受けて、前記受光面における前記反射光の位置に応じた受光信号を出力する第2Y軸方向レーザ光検出器(420)とを備え、第1Y軸方向レーザ光検出器と前記第2Y軸方向レーザ光検出器との共通の入射光路にてZ軸方向に移動可能なサーボレーザ用リレーレンズ(404)を設け、Z軸方向サーボ手段は、第1サーボ用Y軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影が前記第1Y軸方向レーザ光検出器の受光面の中央に位置するようにサーボレーザ用リレーレンズをZ軸方向に駆動するとともに、サーボレーザ用リレーレンズの駆動と合わせて対物レンズをZ軸方向に駆動する第1Z軸方向サーボ手段(1911,1921,183,114z,408)と、第2サーボ用Y軸方向レーザ光の加工対象物からの反射光が第2Y軸方向レーザ光検出器の受光面の中央に位置するようにサーボレーザ用リレーレンズを駆動するとともに、サーボレーザ用リレーレンズの駆動と合わせて対物レンズをZ軸方向に駆動する第2Z軸方向サーボ手段(1912,1922,183,114z,408)と、第1Z軸方向サーボ手段の作動の後に前記第2Z軸方向サーボ手段が作動するように作動切替を行う作動切替手段(90)とを備えたことにある。
【0019】
上記のように構成したレーザ加工装置においては、レーザ光の照射位置と加工対象物の表面とのずれを検出する場合、加工対象物の射影位置を用いれば検出範囲が広くなり、加工対象物の反射光位置を用いれば検出精度が高くなる。したがって、先に、加工対象物の射影位置に基づいてZ軸方向のサーボ制御を開始し(サーボ制御の引き込みを行い)、その後、加工対象物の反射光位置に基づいてZ軸方向のサーボ制御を行うことで、Z軸方向のサーボ制御の引き込みを確実に行え、Z軸方向の加工用レーザ光の照射位置制御を高精度に行うことができる。
【0020】
本発明の他の特徴は、サーボ用レーザ光照射手段は、加工対象物の直径よりも大きな直径の平行レーザ光をサーボ用レーザ光として出射するサーボ用レーザ出射手段(202,204)と、サーボ用レーザ光をサーボ用Z軸方向レーザ光とサーボ用Y軸方向レーザ光とに分離する分離光学素子(212)とを備え、サーボ用レーザ光検出手段は、受光領域が十字状に分割された受光面を有し、各受光領域ごとに受光した光強度に応じた受光信号を出力するレーザ光検出器(230)と、サーボ用Z軸方向レーザ光とサーボ用Y軸方向レーザ光とを加工対象物に照射して形成されるそれぞれの射影が十字状にクロスするように合成してレーザ光検出器の受光面に導く合成光学素子(228;232)とを備え、サーボ手段は、レーザ光検出器の左右又は上下の受光領域における受光信号の差に基づいて、加工用レーザ光の光軸が加工対象物の中心軸と交差するように対物レンズをY軸方向に駆動するY軸方向サーボ手段(561,562,563,114y)と、レーザ光検出器の上下又は左右の受光領域における受光信号の差に基づいて、加工対象物の表面に形成される光スポットの大きさが所定の大きさに保たれるように対物レンズをZ軸方向に駆動するZ軸方向サーボ手段(571,572,573,114z)を備えたことにある。
【0021】
上記のように構成したレーザ加工装置によれば、サーボ用のレーザ光源、レーザ光検出器、その他の光学素子を減らすことができるため、低コスト化を図ることができる。尚、本発明において、上下、左右とは、絶対的な方向を意味するものではなく、受光面における一方の方向を上下と定義したときに、それに対して垂直な方向を左右と定義するものである。
【0022】
本発明の他の特徴は、加工用レーザ光照射手段により加工対象物の表面に照射された加工用レーザ光の反射光の強度を検出し、前記検出した反射光の強度が基準値以下となる場合に、加工用レーザ光の照射位置が適正でないと判断する照射位置不適正判定手段(S118〜S120)を備えたことにある。
【0023】
本発明においては、照射位置不適正判定手段が、加工対象物の表面に照射された加工用レーザ光の反射光の強度を検出し、検出した反射光の強度が基準値以下となる場合に、加工用レーザ光の照射位置が適正でないと判断する。したがって、レーザ加工を開始する前に、Y軸方向サーボ手段とZ軸方向サーボ手段とを作動させた状態で、照射位置不適正判定手段によりY軸方向及びZ軸方向のサーボ制御が適正に行われているか否かを確認することができる。このため、レーザ加工の失敗を防止することが可能となる。
【0024】
更に、本発明の実施にあたっては、レーザ加工装置の発明に限定されることなく、レーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法の発明としても実施し得るものである。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明の第1実施形態に係るレーザ加工装置のシステム構成図である。
【図2】第1実施形態に係るレーザ加工装置の加工用ヘッドとサーボ用Z軸方向光ヘッドの概略構成図である。
【図3】第1実施形態に係るレーザ加工装置のサーボ用Y軸方向光ヘッドとY軸方向受光装置の概略構成図である。
【図4】X軸方向、Y軸方向、Z軸方向を表す説明図である。
【図5】発光信号供給回路が出力するパルス列信号のタイミングチャートである。
【図6】フォトディテクタに照射された射影の状態を表す説明図である。
【図7】加工対象物の変位とエラー信号波形値との関係を表す特性図である。
【図8】フォトディテクタに照射された射影の状態を表す説明図である。
【図9】レーザ加工制御ルーチンを表すフローチャートである。
【図10】第2実施形態に係るレーザ加工装置の加工用ヘッドの概略構成図である。
【図11】加工対象物の変位とフォトディテクタに照射された反射光の位置変化との関係を表す説明図である。
【図12】第3実施形態に係るレーザ加工装置のY軸方向受光装置とZ軸方向サーボ系回路の概略構成図である。
【図13】第4実施形態に係るレーザ加工装置のY軸方向受光装置とZ軸方向サーボ系回路の概略構成図である。
【図14】第4実施形態に係るレーザ加工装置のレーザ加工制御ルーチンを表すフローチャート(変更部分)である。
【図15】第5実施形態に係るレーザ加工装置の加工用ヘッドとサーボ系回路の概略構成図である。
【図16】フォトディテクタに照射された十字状の射影の状態を表す説明図である。
【図17】第5実施形態の変形例に係るレーザ加工装置の加工用ヘッドの概略構成図である。
【図18】ステントの正面図である。
【発明を実施するための形態】
【0026】
以下、本発明の一実施形態について図面を用いて説明する。図1は、第1実施形態に係るレーザ加工装置のシステム構成図である。このレーザ加工装置は、細い円筒パイプ状の加工対象物OBの表面に加工用レーザ光を照射して孔を形成する。このレーザ加工装置は、加工対象物OBを保持して加工対象物OBの中心軸回りに回転させるとともに加工対象物OBをその中心軸方向に移動させるワーク駆動装置50と、加工対象物OBの表面に加工用レーザ光を照射する加工用ヘッド10と(図2参照)、加工対象物OBの表面にサーボ用Z軸方向レーザ光を照射するサーボ用Z軸方向光ヘッド20と(図2参照)、同じく加工対象物OBの表面にサーボ用Y軸方向レーザ光を照射するサーボ用Y軸方向光ヘッド30と(図3参照)、サーボ用Y軸方向光ヘッド30から照射されたサーボ用Y軸方向レーザ光を受光するY軸方向受光装置40と(図3参照)、各種の電気回路(後述する)と、レーザ加工装置全体の作動を制御するコントローラ90とを備えている。
【0027】
ここで、レーザ加工装置における方向を定義する。図4に示すように、ワーク駆動装置50に固定された加工対象物OBの中心軸線方向をX軸方向と呼ぶ。また、X軸方向に対して垂直方向であって加工用ヘッド10から加工対象物OBに照射される加工用レーザ光の光軸の方向をZ軸方向と呼ぶ。また、X軸方向とZ軸方向との両方に対して垂直となる方向をY軸方向と呼ぶ。サーボ用Y軸方向光ヘッド30は、加工対象物OBに照射するサーボ用レーザ光の光軸がY軸方向となるように固定されている。従って、サーボ用Y軸方向光ヘッド30とY軸方向受光装置40は、図1中において、紙面の前後に位置するものであるが、ここでは、両者が重ならないように左右に配置して記載している。
【0028】
本実施形態における加工対象物OBは、直径0.5mmのステンレス製のパイプである。この加工対象物OBは、最終的に直径0.5mmのステントに加工されるもので、本実施形態のレーザ加工装置は、前記パイプの表面に加工用レーザ光を所定の間隔をおいて照射することにより、前記パイプに複数の孔を形成する。
【0029】
このように非常に細い径のパイプ状の加工対象物OBに対してレーザ加工を行う場合には、従来から知られているように加工用レーザ光の反射光からナイフエッジ法などによりフォーカスエラー信号を生成しても、加工用レーザ光の光軸が加工対象物OBの中心軸から外れてしまうと、適正なフォーカスエラー信号が得られない。そこで、本実施形態においては、加工対象物OBにサーボ用レーザ光をZ軸方向とY軸方向とに照射し、加工対象物OBが映し出される射影の位置に基づいて加工用レーザ光の照射位置を制御する。
【0030】
まず、ワーク駆動装置50から説明する。ワーク駆動装置50は、加工対象物OBの両端をチャッキングして回転可能に保持する移動ステージ51と、移動ステージ51に保持された加工対象物OBをその中心軸回りに回転させるスピンドルモータ52と、移動ステージ51をX軸方向に移動させるねじ送り機構53とを備えている。
【0031】
ねじ送り機構53は、移動ステージ51に固定されたナット(図示略)に螺合するスクリューロッド54と、スクリューロッド54を回転させるフィードモータ55とを備えている。スクリューロッド54は、移動ステージ51に保持された加工対象物OBの中心軸(即ち、スピンドルモータ52の回転軸)と平行となるX軸方向に延びて設けられ、その一端側が、レーザ加工装置本体フレーム(図示略)に固定されたフィードモータ55の出力軸に連結され、他端側が、レーザ加工装置本体フレームに固定された軸受部(図示略)に回転可能に軸支される。また、移動ステージ51は、図示しない案内ガイドにより、回転規制されており、X軸方向にのみ移動可能となっている。従って、フィードモータ55を正転又は逆転駆動すると、フィードモータ55の回転運動が移動ステージ51の直線運動に変換され、加工対象物OBがX軸方向に前進又は後退できるようになっている。
【0032】
スピンドルモータ52内には、エンコーダ52aが組み込まれている。エンコーダ52aは、スピンドルモータ52が所定の微小回転角度だけ回転する度に、ハイレベルとローレベルとに交互に切り替わるパルス列信号を出力する。また、エンコーダ52aは、スピンドルモータ52の回転軸の回転位置が基準回転位置に来る度に、ローレベルからハイレベルに切り替わり、基準回転位置からずれるとローレベルに戻るインデックス信号を出力する。エンコーダ52aから出力されるパルス列信号及びインデックス信号は、スピンドルモータ制御回路56及びコントローラ90に入力される。スピンドルモータ制御回路56は、コントローラ90からの指示により作動開始し、エンコーダ52aから出力されるパルス列信号の単位時間当たりのパルス数からスピンドルモータ52の回転速度を計算し、計算した回転速度がコントローラ90によって設定された回転速度に等しくなるようにスピンドルモータ52の回転を制御する。
【0033】
フィードモータ55内にも、エンコーダ55aが組み込まれている。このエンコーダ55aは、フィードモータ55が所定の微小回転角度だけ回転する度に、ハイレベルとローレベルとに交互に切り替わるパルス列信号を出力する。エンコーダ55aから出力されるパルス列信号は、フィードモータ制御回路57と移動位置検出回路58に入力される。移動位置検出回路58は、コントローラ90からの指示により作動開始し、作動開始後、エンコーダ55aから出力されるパルス列信号が入力されなくなると移動限界位置を意味する信号をフィードモータ制御回路57に出力し、カウント値を「0」として、以後、エンコーダ55aが出力するパルス列信号のパルス数をカウントする。そして積算したカウント数から移動ステージ51の移動位置を計算してコントローラ90及びフィードモータ制御回路57に出力する。このカウント値が「0」となる移動限界位置が、移動ステージ51の移動位置を制御する原点位置となる。
【0034】
フィードモータ制御回路57は、コントローラ90からの指示により作動開始し、コントローラ90から移動位置の設定値を入力すると、移動位置検出回路58から所定時間間隔で出力される移動位置を入力し、入力した移動位置がコントローラ90から入力した設定値になるまでフィードモータ55を駆動して移動ステージ51を移動させる。なお、作動開始直後において移動位置の設定値が入力されると、フィードモータ55を駆動して移動ステージ51を移動限界位置方向に移動させ、移動位置検出回路58から移動限界位置を表す信号を入力するとフィードモータ55への駆動信号の出力を停止する。その後、移動位置検出回路58から出力される移動位置がコントローラ90から入力した移動位置の設定値になるまでフィードモータ55を駆動して移動ステージ51を移動させる。詳しくは後述するように、本実施形態においては、X軸方向の1つの加工位置における孔加工が終了するごとに、加工対象物OBに形成する孔のX軸方向の幅の半分の長さよりもやや長い距離(以下、軸方向孔間隔dXという)だけ、移動ステージ51を移動させる。
【0035】
また、フィードモータ制御回路57には、移動ステージ51の移動速度の設定値(設定速度)がコントローラ90により入力される。そして、コントローラ90から移動開始の指示を入力すると、エンコーダ55aから出力されるパルス列信号の単位時間当たりのパルス数から移動ステージ51の移動速度を計算し、計算した移動速度が設定速度になるようにフィードモータ55を駆動制御する。
【0036】
次に、加工用ヘッド10について図2を用いて説明する。加工用ヘッド10は、加工対象物OBの円筒表面に加工用レーザ光を照射する機能と、サーボ用Z軸方向光ヘッド20から照射されたサーボ用Z軸方向レーザ光を受光して加工対象物OBのY軸方向のずれに応じた信号を出力する機能を有する。加工用ヘッド10は、加工用レーザ光を出射するレーザ光源102と、レーザ光源102から出射される加工用レーザ光の光軸に沿って設けられるコリメートレンズ104,偏光ビームスプリッタ106,1/4波長板108,ダイクロイックミラー110,対物レンズ112を備えている。
【0037】
レーザ光源102は、加工用レーザ駆動回路150から供給される電流及び電圧により駆動されて楕円断面形状の加工用レーザ光を出射する。レーザ光源102から出射された加工用レーザ光は、コリメートレンズ104により平行光となって偏光ビームスプリッタ106に入射する。加工用レーザ光は、その大半(例えば、95%)が偏光ビームスプリッタ106をそのまま透過し、1/4波長板108を通過して直線偏光から円偏光に変換される。1/4波長板108を通過した加工用レーザ光は、ダイクロイックミラー110を透過して対物レンズ112に入射する。レーザ光源102から出射された加工用レーザ光は、整形されることなく、その光束の断面形状はレーザ光源102から出射された状態のまま(すなわち楕円状)である。こうして、加工対象物OBの表面に楕円状の光スポットが形成される。この加工対象物OBの表面に形成される楕円状の光スポットの長軸方向がX軸方向に平行となるように、レーザ光源102の向きが設定されている。詳しくは後述するように、加工用レーザ光の光軸が加工対象物OBの中心軸と直交するように制御されるので、この楕円状の光スポットの長軸部分は、加工対象物OBのうち対物レンズ112側に最も近くなる。したがって、この光スポットの長軸部分が線状に加工される。そして、加工対象物OBを回転させながら加工用レーザ光を間欠的に照射することにより、複数の帯状の孔を形成することができる。なお、加工対象物OBの表面に形成される光スポットのX軸方向の長さを調整するため、レーザ光源102から出射された加工用レーザ光をビーム整形器(例えば、プリズム)によって整形してもよい。
【0038】
対物レンズ112には、フォーカスアクチュエータ114が設けられている。フォーカスアクチュエータ114は、対物レンズ112を加工用レーザ光の光軸方向、つまり、Z軸方向に移動させるZ軸アクチュエータ114zと、対物レンズ112をY軸方向に移動させるY軸アクチュエータ114yとを備えている。従って、Z軸アクチュエータ114z及びY軸アクチュエータ114yを作動させることにより加工用レーザ光の照射位置をZ軸方向(光軸方向)及びY軸方向に移動できるようになっている。尚、対物レンズ112は、アクチュエータ114z、114yが通電されていないときに、Z軸方向及びY軸方向の可動範囲の中心に位置する。以下、この位置を対物レンズ112の原点位置と呼ぶ。また、対物レンズを2軸方向に駆動するアクチュエータは、例えば、特開2004−39065等において知られている。
【0039】
対物レンズ112で集光された加工用レーザ光は、加工対象物OBの表面に照射され反射する。加工対象物OBで反射した反射光は、対物レンズ112、ダイクロイックミラー110、1/4波長板108を通過する。この場合、反射光は、1/4波長板108を2回通過したことになるため、コリメートレンズ104から偏光ビームスプリッタ106に入射したレーザ光とは偏光方向が90°相違したものとなる。従って、1/4波長板108を通過して偏光ビームスプリッタ106に入射した反射光は、偏光ビームスプリッタ106で反射する。偏光ビームスプリッタ106による反射光の反射方向には、集光レンズ120及びフォトディテクタ122が設けられている。このため、偏光ビームスプリッタ106で反射した反射光は、集光レンズ120によりフォトディテクタ122に集光される。
【0040】
フォトディテクタ122は、受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。従って、フォトディテクタ122は、加工用レーザ光が加工対象物OBで反射した反射光の強度に対応した受光信号を出力する。フォトディテクタ122の出力する受光信号は、増幅回路152により増幅され、A/D変換器153に供給される。A/D変換器153は、コントローラ90からの指令により作動し、増幅回路152から供給された受光信号をデジタル信号に変換してコントローラ90に出力する。コントローラ90は、この受光信号が表す反射光強度から、後述する加工用レーザ光のZ軸方向及びY軸方向の照射位置制御が適切に行われているかを判断する。
【0041】
また、加工用ヘッド10は、レーザ光源102から出射された加工用レーザ光の一部(例えば、5%)を偏光ビームスプリッタ106で反射させ、その反射光を集光レンズ124によりフォトディテクタ126の受光面に集光させる構成を備えている。フォトディテクタ126は、フォトディテクタ122と同様に、その受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。従って、フォトディテクタ126は、レーザ光源102が出射した加工用レーザ光の強度に対応した受光信号を出力する。この受光信号は、加工用レーザ駆動回路150に供給される。
【0042】
加工用レーザ駆動回路150は、コントローラ90からの指令に基づいて、レーザ光源に対して加工用強度、つまり、加工対象物OBの表面を適切に加工できる強度のレーザ光を出射するための電流及び電圧を供給する回路である。本実施形態においては、加工用レーザ駆動回路150は、フォトディテクタ126が出力する受光信号をフィードバックして、受光信号の強度が予め設定した設定強度となるようにレーザ光源102に出力する電流及び電圧を調整する。これにより、加工対象物OBに照射される加工用レーザ光の強度が設定加工用強度に維持される。
【0043】
また、加工用レーザ駆動回路150は、発光信号供給回路151によりレーザ光源102への駆動信号の出力形態が制御される。発光信号供給回路151は、コントローラ90から加工模様を表すデータを入力して、レーザ加工中に、そのデータに対応したパルス列信号又は連続信号を加工用レーザ駆動回路150に供給する。本実施形態では、加工用レーザ駆動回路150は、加工対象物OBの表面に形成する孔の周方向の幅及び孔の形成間隔に応じた時間幅のハイレベル信号とローレベル信号からなるパルス列信号を出力する。具体的には、図5に示すように、発光信号供給回路151は、コントローラ90からの指令により、パルス列信号A及びパルス列信号Bを交互に切り替えながら出力する。コントローラ90は、エンコーダ52aからインデックス信号を入力する毎に、出力するパルス列信号を切り替えるよう、発光信号供給回路151に指示する。パルス列信号A及びパルス列信号Bは、6個のパルスからなる。各パルスのデューティ比及び周期は一定である。また、パルス列信号Aとパルス列信号Bは、位相が180度ずれている。したがって、パルス列信号A及びパルス列信号Bに対応して、加工対象物OBの周方向にそれぞれ6箇所ずつ孔が形成される。パルス列信号Aに対応して形成される孔とパルス列信号Bに対応して形成される孔とは、周方向に30°ずれている。また、上記のように、コントローラ90は、パルス列信号A及びパルス列信号Bのいずれか一方に対応した孔加工が終了する毎に、軸方向孔間隔dXだけ、移動ステージ151を移動させる。したがって、パルス列信号Aに対応して形成される孔とパルス列信号Bに対応して形成される孔は、軸方向孔間隔dXだけずれている。ただし、パルス列信号A及びパルス列信号Bを構成するパルス数は6個に限られず、周方向に形成する孔の数に応じて増減可能である。また、パルス列信号A及びパルス列信号Bを構成する各パルスのデューティ比は一定でなくてもよく、孔の周方向の幅及び周方向の位置に応じて変更可能である。また、発光信号供給回路151は、コントローラ90の指令により、強度が一定の連続信号を出力する。詳しくは後述するように、加工用レーザ駆動回路150は、この連続信号に基づいて、加工対象物OBの表面を加工しない非加工強度のレーザ光が出射されるようにレーザ光源102を制御する。
【0044】
ふたたび図2の説明に戻る。加工用ヘッド10には、更に、ダイクロイックミラー110の反射方向にリレーレンズ(結像レンズ)116とフォトディテクタ118が設けられている。このリレーレンズ116及びフォトディテクタ118は、サーボ用Z軸方向光ヘッド20から照射されたサーボ用Z軸方向レーザ光を検出するために設けられたものである。従って、先に、サーボ用Z軸方向光ヘッド20について説明する。
【0045】
サーボ用Z軸方向光ヘッド20は、図2に示すように、加工対象物OBを挟んで加工用ヘッド10と向き合うように、加工用ヘッド10と対になってレーザ加工装置の本体フレーム(図示略)に固定される。サーボ用Z軸方向光ヘッド20は、サーボ用レーザ光を出射するレーザ光源202と、レーザ光源202から出射されるサーボ用レーザ光の光軸に沿って設けられるコリメートレンズ204,偏光ビームスプリッタ206と、偏光ビームスプリッタ206の反射方向に設けられる集光レンズ208,フォトディテクタ210を備えている。
【0046】
レーザ光源202は、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240から供給される電流及び電圧により駆動されてサーボ用レーザ光を出射する。レーザ光源202から出射されたサーボ用レーザ光は、コリメートレンズ204により平行光となって偏光ビームスプリッタ206に入射する。サーボ用レーザ光は、その大半(例えば、95%)が偏光ビームスプリッタ206をそのまま透過してサーボ用Z軸方向光ヘッド20から出射する。このサーボ用Z軸方向光ヘッド20から出射したレーザ光が、サーボ用Z軸方向レーザ光である。サーボ用Z軸方向レーザ光は、加工対象物OBの直径よりも大きな直径の平行光となる。
【0047】
サーボ用Z軸方向光ヘッド20は、サーボ用Z軸方向レーザ光の出射方向がZ軸方向となり、しかも、その光軸が、加工用ヘッド10の対物レンズ112が原点位置にある時に加工用ヘッド10から出射する加工用レーザ光の光軸と一致するように位置決めされている。この場合、サーボ用Z軸方向光ヘッド20と加工用ヘッド10は、サーボ用Z軸方向レーザ光及び加工用レーザ光の光軸がワーク駆動装置50の回転軸(スピンドルモータ52の回転軸)と直交するように、ワーク駆動装置50に対する相対位置関係が定められている。
【0048】
サーボ用Z軸方向光ヘッド20から出射したサーボ用Z軸方向レーザ光は、加工対象物OBの直径よりも大きな直径の平行光であるため、加工対象物OBに遮られなかったレーザ光が加工用ヘッド10の対物レンズ112に入射する。この場合、対物レンズ112に入射したサーボ用Z軸方向レーザ光は、受光すると中央に加工対象物OBの棒状の影が形成されたものとなる。この加工対象物OBによってできた影を射影と呼び、射影とその周囲の光とを合わせて射影光と呼ぶ。
【0049】
対物レンズ112に入射したサーボ用Z軸方向レーザ光は、集光されてダイクロイックミラー110に入射する。ダイクロイックミラー110は、特定の波長の光を反射し、その他の波長の光を透過する光学素子であり、レーザ光源202から出射されるサーボ用レーザ光に対しては反射し、レーザ光源102から出射される加工用レーザ光に対しては透過するように、各レーザ光の波長が設定されている。従って、サーボ用Z軸方向レーザ光は、ダイクロイックミラー110で反射する。ダイクロイックミラー110の反射方向には、リレーレンズ116(結像レンズ)、フォトディテクタ118が設けられており、ダイクロイックミラー110で反射したサーボ用Z軸方向レーザ光がリレーレンズ116により平行光になりフォトディテクタ118の受光面に入射する。フォトディテクタ118の受光面には、加工対象物OBの影である棒状の射影が映し出される。
【0050】
フォトディテクタ118は、図6に示すように、受光領域が左右に(Y軸方向)2分割された受光素子を備え、その受光領域A,Bに入射した光の強度に比例した検出信号を受光信号(a,b)として出力する。このフォトディテクタ118は、受光したサーボ用Z軸方向レーザ光(射影光L)における棒状の射影Sが受光領域A,Bの分割線DIVと平行になるように、かつ、Z軸方向から見て加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致しているときに加工対象物OBの射影Sが受光領域の分割線DIVにより2等分される位置に配置される。
【0051】
フォトディテクタ118から出力される受光信号(a,b)は、Y軸方向エラー信号生成回路161に入力される。Y軸方向エラー信号生成回路161は、受光信号(a,b)を増幅した後、この信号を使って光強度の差(a−b)を演算し、その演算結果をY軸方向エラー信号(a−b)としてY軸方向サーボ回路162に出力する。Y軸方向エラー信号(a−b)の大きさは、加工対象物OBの中心軸とワーク駆動装置50の回転軸とのY軸方向におけるずれ量を表すものである。
【0052】
図7は、加工対象物OBの位置をY軸方向に変化させたときのY軸方向エラー信号(a−b)の波高値を表したものである。図示するように、Y軸方向エラー信号(a−b)は、S字状波形となる。従って、S字状波形の山(c位置)から谷(a位置)までの範囲r(S字検出範囲rと呼ぶ)においては、加工対象物OBのY軸方向のずれ量とY軸方向エラー信号(a−b)の大きさとが一対一に対応する。このため、S字検出範囲r内において、Y軸方向エラー信号(a−b)に基づいて加工対象物OBのY軸方向のずれ量を検出することができる。
【0053】
例えば、加工対象物OBの位置がY軸方向にずれていない場合、(b)に示すように、フォトディテクタ118に映し出される射影Sは、受光面の中央に位置するため、Y軸方向エラー信号(a−b)はゼロとなる。一方、加工対象物OBの位置がY軸方向における一方側(左側と呼ぶ)にずれている場合には、(a)に示すように、フォトディテクタ118に映し出される射影Sが受光面の左側に位置するため、Y軸方向エラー信号(a−b)は負の値をとる。また、加工対象物OBの位置がY軸方向における他方側(右側と呼ぶ)にずれている場合には、(c)に示すように、フォトディテクタ118に映し出される射影Sが受光面の右側に位置するため、Y軸方向エラー信号(a−b)は正の値をとる。
【0054】
Y軸方向サーボ回路162は、コントローラ90からの指令により作動を開始し、Y軸方向エラー信号生成回路161から入力したY軸方向エラー信号(a−b)に基づいて、Y軸方向エラー信号(a−b)が常にゼロとなるようなY軸方向サーボ信号を生成してY軸方向ドライブ回路163に出力する。Y軸方向ドライブ回路163は、Y軸方向サーボ信号に基づいてY軸アクチュエータ114yを駆動する信号を出力して、対物レンズ112をY軸方向に移動させる。従って、フォトディテクタ118に映し出される射影が受光面の中央に維持されるように対物レンズ112のY軸方向の位置が制御されることとなる。対物レンズ112のY軸方向の移動は、加工対象物OBに照射する加工用レーザ光の光軸をY軸方向に移動させることになる。このため、対物レンズ112のY軸方向の位置制御により、加工用レーザ光の光軸が加工対象物OBの中心軸と交差するように維持される。
【0055】
サーボ用Z軸方向光ヘッド20は、レーザ光源202から出射されたサーボ用レーザ光の一部(例えば、5%)を偏光ビームスプリッタ206で反射させ、その反射光を集光レンズ208によりフォトディテクタ210の受光面に集光させる構成を備えている。フォトディテクタ210は、受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。従って、フォトディテクタ210は、レーザ光源202が出射したサーボ用レーザ光の強度に対応した受光信号を出力する。この受光信号は、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240に供給される。
【0056】
サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240は、コントローラ90からの指令に基づいて、レーザ光源202に対して、加工対象物OBの表面を変化させず、かつ、加工用ヘッド10のフォトディテクタ118で射影光を検出できる強度のサーボ用レーザ光を出射するための電流及び電圧を供給する回路である。本実施形態においては、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240は、フォトディテクタ210が出力する受光信号をフィードバックして、受光信号の強度が予め設定した設定強度となるようにレーザ光源202に出力する電流及び電圧を制御する。これにより、サーボ用Z軸方向光ヘッド20から出射するサーボ用Z軸方向レーザ光の強度が一定の適正値に維持される。
【0057】
次に、サーボ用Y軸方向光ヘッド30とY軸方向受光装置40とについて説明する。図3に示すように、サーボ用Y軸方向光ヘッド30とY軸方向受光装置40とは、互いに加工対象物OBをY軸方向に挟んで向かい合うようにレーザ加工装置の本体フレーム(図示略)に固定される。サーボ用Y軸方向光ヘッド30は、サーボ用レーザ光を出射するレーザ光源302と、レーザ光源302から出射されるサーボ用レーザ光の光軸に沿って設けられるコリメートレンズ304,ビームスプリッタ306と、ビームスプリッタ306の反射方向に設けられる集光レンズ308,フォトディテクタ310を備えている。
【0058】
レーザ光源302は、サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340から供給される電流及び電圧により駆動されてサーボ用レーザ光を出射する。レーザ光源302から出射されたサーボ用レーザ光は、コリメートレンズ304により平行光となってビームスプリッタ306に入射する。サーボ用レーザ光は、その大半(例えば、95%)がビームスプリッタ306をそのまま透過してサーボ用Y軸方向光ヘッド30から出射する。このサーボ用Y軸方向光ヘッド30から出射したレーザ光がサーボ用Y軸方向レーザ光である。サーボ用Y軸方向レーザ光は、加工対象物OBの直径よりも大きな直径の平行光となる。
【0059】
サーボ用Y軸方向光ヘッド30は、サーボ用Y軸方向レーザ光の出射方向がY軸方向となり、しかも、その光軸が、ワーク駆動装置50の回転軸と交差するように位置決めされている。サーボ用Y軸方向光ヘッド30と向かい合うY軸方向受光装置40には、サーボ用Y軸方向レーザ光を受光するフォトディテクタ402が設けられる。フォトディテクタ402は、その受光面の中心にサーボ用Y軸方向レーザ光の光軸が通るように位置決めされている。サーボ用Y軸方向光ヘッド30から出射したサーボ用Y軸方向レーザ光は、加工対象物OBの直径よりも大きな直径の平行光であるため、フォトディテクタ402の受光面には加工対象物OBの影である棒状の射影が映し出される。
【0060】
フォトディテクタ402は、図8に示すように、受光領域が上下に(Z軸方向に)2分割された受光素子を備え、その受光領域C,Dに入射した光の強度に比例した検出信号を受光信号(c,d)として出力する。このフォトディテクタ402は、受光したサーボ用Y軸方向レーザ光(射影光L)における棒状の射影Sが受光領域C,Dの分割線DIVと平行になるように、かつ、Y軸方向から見て加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致しているときに加工対象物OBの射影Sが受光領域の分割線DIVにより2等分される位置に配置される。
【0061】
フォトディテクタ402から出力される受光信号(c,d)は、Z軸方向エラー信号生成回路171に入力される。Z軸方向エラー信号生成回路171は、受光信号(c,d)を増幅した後、この信号を使って光強度の差(c−d)を演算し、その演算結果をZ軸方向エラー信号(c−d)としてZ軸方向サーボ回路172に出力する。Z軸方向エラー信号(c−d)の大きさは、加工対象物OBの位置をZ軸方向に変化させると、上述したY軸方向エラー信号(a−b)の特性と同様にS字状に変化する(図7参照)。従って、S字検出範囲rにおいては、加工対象物OBのZ軸方向のずれ量(加工対象物OBの中心軸とワーク駆動装置50の回転軸とのZ軸方向におけるずれ量)とZ軸方向エラー信号(c−d)の大きさとが一対一に対応する。このため、S字検出範囲r内において、Z軸方向エラー信号(c−d)に基づいて加工対象物OBのZ軸方向のずれ量を検出することができる。
【0062】
Z軸方向サーボ回路172は、コントローラ90からの指令により作動を開始し、Z軸方向エラー信号生成回路171から入力したZ軸方向エラー信号(c−d)に基づいて、加工対象物OBのZ軸方向のずれ量を検出し、このずれ量分に相当する対物レンズ112のZ軸方向移動量を表すZ軸方向サーボ信号を生成してZ軸方向ドライブ回路173に出力する。Z軸方向ドライブ回路173は、Z軸方向サーボ信号に基づいてZ軸アクチュエータ114zを駆動する信号を出力して、対物レンズ112をZ軸方向に移動させる。従って、加工対象物OBのZ軸方向のずれ量だけ、対物レンズ112が原点位置からZ軸方向に離れた位置に維持される。尚、フォトディテクタ402に映し出される射影の位置は、対物レンズ112のZ軸方向移動によっては変化しない。
【0063】
加工用ヘッド10は、対物レンズ112が原点位置にあり、かつ、加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致している場合に、加工対象物OBの表面に形成される光スポットの大きさが、形成する孔に対応した大きさになるように位置決めされている。このため、加工対象物OBの位置がZ軸方向に変動しても、その変動量だけ対物レンズ112を原点位置からZ軸方向に移動させることにより、常に、加工対象物OBの表面に形成される光スポットの大きさが、形成する孔に対応した大きさになるように制御できる。
【0064】
サーボ用Y軸方向光ヘッド30は、レーザ光源302から出射されたサーボ用レーザ光の一部(例えば、5%)をビームスプリッタ306で反射させ、その反射光を集光レンズ308によりフォトディテクタ310の受光面に集光させる構成を備えている。フォトディテクタ310は、受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。従って、フォトディテクタ310は、レーザ光源302が出射したサーボ用レーザ光の強度に対応した受光信号を出力する。この受光信号は、サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340に供給される。
【0065】
サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340は、コントローラ90からの指令に基づいて、レーザ光源302に対して、加工対象物OBの表面を変化させず、かつ、Y軸方向受光装置40のフォトディテクタ402で射影光を検出できる強度のサーボ用レーザ光を出射するための電流及び電圧を供給する回路である。本実施形態においては、サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340は、フォトディテクタ310が出力する受光信号をフィードバックして、受光信号の強度が予め設定した設定強度となるようにレーザ光源302に出力する電流及び電圧を制御する。これにより、サーボ用Y軸方向光ヘッド30から出射するサーボ用Y軸方向レーザ光の強度が一定の適正値に維持される。
【0066】
コントローラ90は、CPU、ROM、RAMを備えたマイクロコンピュータと、ハードディスクや不揮発性メモリなどの記憶装置と、入出力インタフェース等から構成される電子制御装置である。コントローラ90には、作業者が各種パラメータや処理等を指示するための入力装置91と、作業者に対して作動状況等を視覚的に知らせるための表示装置92とが接続されている。
【0067】
次に、レーザ加工を行う際の制御について説明する。図9は、コントローラ90が実行するレーザ加工処理ルーチンを表すフローチャートである。レーザ加工処理ルーチンは、コントローラ90のROM内に制御プログラムとして記憶されている。作業者は、加工対象物OBをワーク駆動装置50にセットした後、入力装置91を使ってレーザ加工の開始指示操作を行う。これにより、本ルーチンが起動する。
【0068】
本ルーチンがステップS100にて起動すると、コントローラ90は、ステップS102において、加工位置カウンタn(n=1、2・・・)を「1」に初期化し、パルス列信号選択フラグSgを「0」に初期化する。加工位置カウンタnは、X軸方向の加工位置を示す。また、パルス列信号選択フラグSgは、発光信号供給回路151から出力するパルス列信号A又はパルス列信号Bのいずれかを選択するためのフラグである。つぎに、コントローラ90は、ステップS104にて、各種回路の作動を開始させる。続いて、ステップS106において、フィードモータ制御回路57に対して加工開始位置への移動指令を出力する。この指令により、フィードモータ制御回路57は、移動位置検出回路58により検出される移動位置を取り込みながらフィードモータ55を駆動して移動ステージ51を加工開始位置Stにまで移動させる。続いて、コントローラ90は、ステップS108において、スピンドルモータ制御回路56に対して回転開始指令を出力する。これにより、スピンドルモータ52が起動して加工対象物OBの回転が始まる。このとき、スピンドルモータ制御回路56は、エンコーダ52aにより検出されるパルス列信号の単位時間当たりのパルス数からスピンドルモータ52の回転速度を計算し、計算した回転速度がコントローラ90によって設定された回転速度に等しくなるようにスピンドルモータ52の回転を制御する。
【0069】
続いて、コントローラ90は、ステップS110において、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240とサーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340とに対して、サーボ用レーザ光の照射開始指令を出力する。従って、サーボ用Z軸方向光ヘッド20からサーボ用Z軸方向レーザ光が加工対象物OBに対してZ軸方向に照射され、サーボ用Y軸方向光ヘッド30からサーボ用Y軸方向レーザ光が加工対象物OBに対してY軸方向に照射される。この処理は、本発明のZ軸方向照射ステップとY軸方向照射ステップとを含んだサーボ用レーザ光照射ステップに相当する。また、このサーボ用レーザ光の照射により、フォトディテクタ118が受光信号(a,b)を出力する処理が、本発明のZ軸方向レーザ光検出ステップに相当し、フォトディテクタ402が受光信号(c,d)を出力する処理が、本発明のY軸方向レーザ光検出ステップに相当する。
【0070】
続いて、コントローラ90は、ステップS112において、Y軸方向サーボ回路162とZ軸方向サーボ回路172とに対して、サーボ制御の開始指令を出力する。これにより、Y軸方向サーボ回路162は、Y軸方向エラー信号生成回路161からY軸方向エラー信号(a−b)を入力し、このY軸方向エラー信号(a−b)に基づいて、Y軸方向エラー信号(a−b)が常にゼロとなるようなY軸方向サーボ信号を生成してY軸方向ドライブ回路163に出力する。Y軸方向ドライブ回路163は、Y軸方向サーボ信号に基づいてY軸アクチュエータ114yを駆動する信号を出力して、対物レンズ112をY軸方向に移動させる。従って、フォトディテクタ118に映し出される射影が受光面の中央に維持されるように対物レンズ112のY軸方向位置が制御され、加工用レーザ光の光軸が加工対象物OBの中心軸と交差するように維持される。この処理は、本発明のY軸方向サーボステップに相当する。
【0071】
同様に、Z軸方向サーボ回路172は、Z軸方向エラー信号生成回路171からZ軸方向エラー信号(c−d)を入力し、このZ軸方向エラー信号(c−d)に基づいて、加工対象物OBのZ軸方向のずれ量を検出し、このずれ量分の対物レンズ112のZ軸方向移動量を表すZ軸方向サーボ信号を生成してZ軸方向ドライブ回路173に出力する。Z軸方向ドライブ回路173は、Z軸方向サーボ信号に基づいてZ軸アクチュエータ114zを駆動する信号を出力して、対物レンズ112をZ軸方向に移動させる。従って、加工対象物OBのZ軸方向のずれ量だけ、対物レンズ112が原点位置からZ軸方向に離れた位置に制御され、加工対象物OBの表面に形成される光スポットの大きさが、常に、形成する孔の大きさに対応した大きさになる。この処理は、本発明のZ軸方向サーボステップに相当する。
【0072】
続いて、コントローラ90は、ステップS114において、発光信号供給回路151及び加工用レーザ駆動回路150に対して、加工用レーザ光の照射開始指令を出力する。この場合、コントローラ90は、加工用レーザ光の強度を、加工対象物OBが変化しない低レベルに設定する。これにより、発光信号供給回路151は、一定強度の連続値を発光信号として加工用レーザ駆動回路150に供給し、加工用レーザ駆動回路150は、レーザ光源102に供給する電圧及び電流の強度を低いレベルに設定してレーザ光源102を駆動する。従って、加工用ヘッド10からは、非加工強度のレーザ光が加工対象物OBに向けて出射されることになる。加工対象物OBは、この非加工強度のレーザ光に対してはレーザ加工されない。
【0073】
続いて、コントローラ90は、ステップS116において、加工用ヘッド10に設けられたフォトディテクタ122の出力する受光信号を増幅回路152及びA/D変換器153を介して取り込んで加工用レーザ光の反射光強度Rを検出する。次に、ステップS118において、反射光強度Rと下限値Rrefと比較する。反射光強度Rが下限値Rref以下であれば、Z軸方向サーボ制御とY軸方向サーボ制御とが正常に行われていないと判断して、ステップS120において、表示装置92にその旨を表示し、その処理をステップS146に進める。一方、反射光強度Rが下限値Rrefを上回っていれば、上述したZ軸方向サーボ制御とY軸方向サーボ制御とが正常に行われていると判断して、その処理をステップS122に進める。このステップS118,S120の処理が、本発明の照射位置不適正判定ステップに相当する。
【0074】
コントローラ90は、ステップS118において「Yes」、つまり、Z軸方向サーボ制御とY軸方向サーボ制御とが正常に行われていると判断した場合には、ステップS122において、エンコーダ52aからインデックス信号を入力する。そして、エンコーダ52aから入力したインデックス信号のレベルがローレベル(L)であれば、ステップS118の処理を繰り返し実行する。一方、インデックス信号のレベルがハイレベル(H)であれば、その処理をステップS124に進める。
【0075】
つぎに、コントローラ90は、ステップS124にて、パルス列信号選択フラグSgに応じて処理を振り分ける。すなわち、パルス列信号選択フラグSgが「0」であれば、その処理をステップS126に進め、パルス列信号選択フラグSgが「1」であれば、その処理をステップS144に進める。最初パルス列信号選択フラグは「0」に初期化されているので、コントローラ90は、その処理をステップS126に進める。コントローラ90は、ステップS126にて、発光信号供給回路151及び加工用レーザ駆動回路150に対して、加工用レーザ光の照射開始指令を出力する。この場合、コントローラ90は、加工用レーザ光の強度を、加工対象物OBに孔が形成される程度の加工強度に設定する。これにより、発光信号供給回路151は、パルス列信号A(図5参照)を発光信号として加工用レーザ駆動回路150に供給し、加工用レーザ駆動回路150は、レーザ光源102に供給する電圧及び電流の強度を加工強度に設定してレーザ光源102を駆動する。これにより、レーザ光源102から、加工強度のレーザ光であって、パルス列信号Aに対応したパルス状のレーザ光が出力される。
【0076】
つぎに、コントローラ90は、ステップS128にて、パルス列信号選択フラグSgを「1」にセットし、ステップS130にて、エンコーダ52aからインデックス信号を入力する。入力したインデックス信号のレベルがローレベルであれば、ステップS130の処理を繰り返し実行する。そして、入力したインデックス信号がハイレベルになると、コントローラ90は、その処理をステップS132に進める。すなわち、ステップS122にてインデックス信号がハイレベルになったことを検出してから加工対象物OBが1回転するまで待機する。この間、加工用レーザ光の光軸が加工対象物OBの中心軸と交差し、かつ、加工対象物OBの表面に形成される光スポットの大きさが加工する孔の大きさに対応した大きさになるように対物レンズ112のZ軸方向とY軸方向の位置が制御される。これにより、加工対象物OBに6つの孔が周方向に等間隔に形成される。そして、コントローラ90は、ステップS132にて、加工用レーザの照射を停止する。
【0077】
つぎに、コントローラ90は、加工開始位置St、加工位置カウンタn及び軸方向孔間隔dXを用いて算出される加工位置(St+n×dX)の値を加工終了位置の値と比較する。加工位置(St+n×dX)の値が加工終了位置の値以上であれば、その処理を後述のステップS146に進める。一方、加工位置(St+n×dX)の値が加工終了位置の値よりも小さければ、コントローラ90は、その処理をステップS136に進める。
【0078】
コントローラ90は、ステップS136にて、フィードモータ制御回路57に対して移動ステージ51のX軸方向への移動開始指令を出力する。フィードモータ制御回路57は、エンコーダ55aから出力されるパルス列信号の単位時間当たりのパルス数から移動ステージ51の移動速度を計算し、計算した移動速度が設定速度になるようにフィードモータ55を駆動制御する。そして、コントローラ90は、ステップS138にて、移動位置検出回路58により検出される移動ステージ51の移動位置を取り込み、現時点の位置が加工位置(St+n×dX)に到達したかを判断する。移動ステージ51の位置が加工位置(St+n×dX)に到達していない場合、「No」と判定し、ステップS138の処理を繰り返し実行する。すなわち、コントローラ90は、移動ステージ51が加工位置(St+n×dX)に到達するまで待機する。そして、移動ステージ51が加工位置(St+n×dX)に到達すると、「Yes」と判定し、ステップS140にて、フィードモータ制御回路57に対して移動ステージ51の移動停止指令を出力とともに、その処理をステップS142に進める。
【0079】
コントローラ90は、ステップ142にて、加工位置カウンタnをインクリメントして、ステップS122に戻る。そして、ステップS122にて、インデックス信号がハイレベルになったことを検出すると、その処理をステップS124に進める。上述のように、ステップS128にてパルス列信号選択フラグSgが「1」にセットされているので、コントローラ90は、その処理をステップS144に進める。コントローラ90は、ステップS144にて、発光信号供給回路151及び加工用レーザ駆動回路150に対して、加工用レーザ光の照射開始指令を出力する。この場合、コントローラ90は、加工用レーザ光の強度を、加工対象物OBに孔が形成される程度の加工強度に設定する。これにより、発光信号供給回路151は、パルス列信号B(図5参照)を発光信号として加工用レーザ駆動回路150に供給し、加工用レーザ駆動回路150は、レーザ光源102に供給する電圧及び電流の強度を加工強度に設定してレーザ光源102を駆動する。これにより、レーザ光源102から、加工強度のレーザ光であって、パルス列信号Bに対応したパルス状のレーザ光が出力される。そして、コントローラ90は、ステップS146にて、パルス列信号選択フラグSgを「0」にセットして、その処理をステップS130に進める。これにより、加工対象物OBに6つの孔が周方向に等間隔に形成される。以降、移動ステージ51が加工終了位置に達するまで、ステップS122〜S146を繰り返す。
【0080】
移動ステージ51の移動位置が加工終了位置に達すると(S134:Yes)、コントローラ90は、ステップS148において、Y軸方向サーボ回路162とZ軸方向サーボ回路172とに対して、サーボ制御の停止指令を出力する。これにより、Y軸アクチュエータ114y及びZ軸アクチュエータ114zの作動が停止する。次に、ステップS150において、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240とサーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340とに対して、サーボ用レーザ光の照射停止指令を出力する。これにより、サーボ用Z軸方向光ヘッド20からのサーボ用Z軸方向レーザ光の照射、及び、サーボ用Y軸方向光ヘッド30からのサーボ用Y軸方向レーザ光の照射が停止される。
【0081】
続いて、コントローラ90は、ステップS152において、スピンドルモータ制御回路56に対して回転停止指令を出力する。これにより、スピンドルモータ52への通電が停止され、加工対象物OBの回転が停止する。次に、ステップS154において、フィードモータ制御回路57に対して加工対象物OBの取り外し位置への移動指令を出力する。これによりフィードモータ制御回路57は、移動位置検出回路58により検出される移動位置を取り込みながらフィードモータ55を駆動して移動ステージ51を加工対象物OBの取り外し位置にまで移動させる。作業者は、この位置で加工対象物OBをワーク駆動装置50から取り外す。こうして、移動ステージ51が所定の取り外し位置にまで移動すると、ステップS156により本レーザ加工処理ルーチンが終了する。
【0082】
以上説明した第1実施形態のレーザ加工装置によれば、加工対象物OBに対して、サーボ用Z軸方向レーザ光とサーボ用Y軸方向レーザ光とを加工対象物OBに照射し、その射影の位置に基づいて、加工用レーザ光の光軸の位置が加工対象物OBの中心軸と交差し、かつ、加工対象物OBの表面に形成される光スポットの大きさが形成する孔の大きさに対応した大きさになるように、対物レンズ112のZ軸方向とY軸方向の位置が制御される。従って、非常に細いパイプ状の加工対象物OBの表面を孔加工する場合でも、適正に集光した加工用レーザ光を加工対象物OBの表面に垂直に照射することができ、これにより、ステントを製作することができる。
【0083】
また、本実施形態においては、加工用レーザ光とサーボ用Z軸方向レーザ光とを同一の光軸上で照射し、フォトディテクタ118の受光信号から得られたY軸方向エラー信号(a−b)をフィードバックして、Y軸方向エラー信号(a−b)が常にゼロとなるようにクローズドループ制御によりY軸アクチュエータ114yを駆動するため、特にY軸方向サーボ制御を高精度に行うことができる。
【0084】
また、加工用レーザ光の反射光強度Rと下限値Rrefとの比較に基づいて、Z軸方向サーボ制御とY軸方向サーボ制御の異常発生の有無を判定し、異常が検出されたときには、加工用レーザ光の照射位置が適正となっていないためレーザ加工を中止する。これにより、レーザ加工の失敗を防止することができる。
【0085】
また、サーボ用Z軸方向レーザ光及びサーボ用Y軸方向レーザ光を出射するにあたり、フォトディテクタ210,310で検出した光の強度が設定強度となるようにレーザ光源202,302の出力を制御するため、Z軸方向及びY軸方向のサーボ制御を精度良く行うことができる。
【0086】
次に、第2実施形態に係るレーザ加工装置について説明する。図10は、第2実施形態のレーザ加工装置における加工用ヘッド12の概略構成を表す。第2実施形態のレーザ加工装置は、第1実施形態のレーザ加工装置の加工用ヘッド10とサーボ用Z軸方向光ヘッド20に代えて、加工用ヘッド12を設けたもので、他の構成については第1実施形態と同一である。この加工用ヘッド12は、加工用レーザ光を照射/受光する構成に加えて、サーボ用Z軸レーザ光を照射/受光する構成を備えている。以下、第1実施形態と同様な構成については、図面に第1実施形態と同一の符号を付して簡単な説明に留める。
【0087】
加工用ヘッド12は、第1実施形態の加工用ヘッド10と同様に、加工用レーザ光を加工対象物OBに照射する構成としてレーザ光源102,コリメートレンズ104,偏光ビームスプリッタ106,1/4波長板108,ダイクロイックミラー110及び対物レンズ112を備え、加工用レーザ光の反射光強度を検出する構成として集光レンズ120及びフォトディテクタ122を備え、レーザ光源102から出射する加工用レーザ光の強度を検出する構成として集光レンズ124及びフォトディテクタ126を備え、対物レンズ112をZ軸方向とY軸方向とに駆動する構成としてZ軸アクチュエータ114zとY軸アクチュエータ114yからなるフォーカスアクチュエータ114を備える。
【0088】
更に、加工用ヘッド12は、サーボ用レーザ光を照射するレーザ光源130と、レーザ光源130から出射されるサーボ用レーザ光の光軸に沿って設けられるコリメートレンズ132,偏光ビームスプリッタ134,1/4波長板136を備えている。レーザ光源130は、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240から供給される電流及び電圧により駆動されてサーボ用レーザ光を出射する。レーザ光源130から出射されたサーボ用レーザ光は、コリメートレンズ132により平行光となって偏光ビームスプリッタ134に入射する。サーボ用レーザ光は、その大半(例えば、95%)が偏光ビームスプリッタ134をそのまま透過して1/4波長板136を通過して直線偏光から円偏光に変換される。1/4波長板136を通過したサーボ用レーザ光は、加工用レーザ光の光路途中に設けられるダイクロイックミラー110に入射し、そこで反射する。従って、サーボ用レーザ光と加工用レーザ光とが合成されて対物レンズ112に入射する。この場合、ダイクロイックミラー110で反射したサーボ用レーザ光の光軸と、ダイクロイックミラー110を透過した加工用レーザ光の光軸とが一致するように、サーボ用レーザ光と加工用レーザ光の光路が設定されている。
【0089】
サーボ用レーザ光は、加工用レーザ光と同様に、対物レンズ112により加工対象物OBの直径よりも小さな径に集光されて加工対象物OBの表面にスポット状に照射される。この加工対象物OBの照射されるサーボ用レーザ光がサーボ用Z軸方向レーザ光である。加工用レーザ光及びサーボ用Z軸方向レーザ光は、加工対象物OBの表面で反射して対物レンズ112に入射し平行光に戻される。この場合、加工用レーザ光は、そのままダイクロイックミラー110を透過するが、サーボ用Z軸方向レーザ光は、ダイクロイックミラー110で反射する。従って、ダイクロイックミラー110で加工用レーザ光とサーボ用Z軸方向レーザ光とが分離されることになる。
【0090】
ダイクロイックミラー110で反射したサーボ用Z軸方向レーザ光は、1/4波長板136を通過する。この場合、サーボ用Z軸方向レーザ光(反射光)は、1/4波長板を2回通過したことになるため、レーザ光源130から出射されたレーザ光とは偏光方向が90°相違したものとなる。従って、サーボ用Z軸方向レーザ光は、偏光ビームスプリッタ134で反射する。
【0091】
偏光ビームスプリッタ134の反射方向には、フォトディテクタ140が設けられている。従って、加工対象物OBの表面で反射したサーボ用Z軸方向レーザ光は、フォトディテクタ140に入射する。このフォトディテクタ140は、第1実施形態のフォトディテクタ118と同様に、受光領域が左右に(Y軸方向)2分割された2つの受光素子を備え、その受光領域A,Bに入射した光の強度に比例した検出信号を受光信号(a,b)として出力する。また、フォトディテクタ140は、対物レンズ112が原点位置にあり、かつ、Z軸方向から見て加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致しているときに、図11(b)に示すように、サーボ用Z軸方向レーザ光が受光領域の分割線DIVにより2等分される位置に配置される。
【0092】
フォトディテクタ140から出力される受光信号(a,b)は、第1実施形態と同様にY軸方向エラー信号生成回路161に入力される。Y軸方向エラー信号生成回路161は、受光信号(a,b)を増幅した後、この信号を使って光強度の差(a−b)を演算し、その演算結果をY軸方向エラー信号(a−b)としてY軸方向サーボ回路162に出力する。加工対象物OBの位置がY軸方向に変動すると、図11(a),(b),(c)に示すように、その変動位置に応じて加工対象物OBに照射されるサーボ用Z軸方向レーザ光の位置が変化し、これに伴って、フォトディテクタ140に受光される反射光RLの位置が変化する。このため、Y軸方向エラー信号(a−b)の大きさは、加工対象物OBの中心軸とワーク駆動装置50の回転軸とのY軸方向におけるずれ量を表すものとなる。
【0093】
Y軸方向サーボ回路162及びY軸方向ドライブ回路163の動作についても第1実施形態と同様である。つまり、Y軸方向サーボ回路162が、Y軸方向エラー信号生成回路163から入力したY軸方向エラー信号(a−b)に基づいて、Y軸方向エラー信号(a−b)が常にゼロとなるようなY軸方向サーボ信号を生成し、Y軸方向ドライブ回路163が、Y軸方向サーボ信号に基づいてY軸アクチュエータ114yに駆動信号を出力して、対物レンズ112をY軸方向に移動させる。従って、フォトディテクタ140に受光されたサーボ用Z軸方向レーザ光の反射光が、受光面の中央に維持されるように対物レンズ112のY軸方向位置が制御されることとなる。このため、加工用レーザ光の光軸が加工対象物OBの中心軸と交差するように維持される。
【0094】
加工用ヘッド12は、更に、レーザ光源130から出射されたサーボ用レーザ光の一部(例えば、5%)を偏光ビームスプリッタ134で反射させ、その反射光を集光レンズ142によりフォトディテクタ144の受光面に集光させる構成を備えている。フォトディテクタ144は、第1実施形態のフォトディテクタ210と同様に、レーザ光源130が出射したサーボ用レーザ光の強度に対応した受光信号を出力する。この受光信号は、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240に供給される。サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240は、フォトディテクタ144が出力する受光信号をフィードバックして、受光信号の強度が予め設定した強度となるようにレーザ光源130の出力を調整する。これにより、加工用ヘッド12から加工対象物OBに向けて出射するサーボ用Z軸方向レーザ光の強度が一定の適正値に維持される。
【0095】
また、第2実施形態のレーザ加工装置は、第1実施形態と同様のレーザ加工制御ルーチンを実行する。
【0096】
以上説明した第2実施形態のレーザ加工装置においては、加工用ヘッド12によりサーボ用Z軸方向レーザ光を集光して加工対象物OBに照射し、その反射光の位置に基づいて加工用レーザ光の光軸の位置が加工対象物OBの中心軸と交差するように対物レンズ112のY軸方向の位置を制御するとともに、サーボ用Y軸方向光ヘッド30により加工対象物OBの直径より大きな直径のサーボ用レーザ光(平行光)を加工対象物OBに照射して、その射影光をY軸方向受光装置40にて受光し、射影の位置に基づいて加工対象物OBの表面に形成される光スポットの大きさが加工する孔の大きさに対応した大きさになるように対物レンズ112のZ軸方向の位置を制御する。従って、第1実施形態と同様な効果を奏する。また、サーボ用Z軸方向レーザ光の反射光の検出位置は、加工対象物OBのY軸方向の変位に対して大きく変動するため、Y軸方向サーボ制御を高精度に行うことができる。
【0097】
次に、第3実施形態に係るレーザ加工装置について説明する。この第3実施形態のレーザ加工装置は、Z軸方向のサーボ制御をクローズドループ制御で実施できるようにしたもので、第1実施形態のレーザ加工装置とは、Y軸方向受光装置、Z軸方向のサーボ系回路が相違し、他の構成については第1実施形態と同一である。
【0098】
図12に示すように、第3実施形態のレーザ加工装置におけるY軸方向受光装置43は、第1実施形態におけるY軸方向受光装置40のフォトディテクタ402の入射部に第1リレーレンズ404、第2リレーレンズ406を設け、更に、第1リレーレンズ404をZ軸方向に駆動するリレーレンズアクチュエータ408を設けたものである。第1リレーレンズ404は、サーボ用Y軸方向光ヘッド30から出射したサーボ用Y軸方向レーザ光(加工対象物OBの射影光)を集光し、第2リレーレンズ406は、第1リレーレンズ404で集光したサーボ用Y軸方向レーザ光を平行光に戻す。フォトディテクタ402は、第2リレーレンズ406を通過したサーボ用Y軸方向レーザ光を受光する。第1リレーレンズ404は、その位置がリレーレンズアクチュエータ408によりZ軸方向に移動可能となっている。第1リレーレンズ404は、リレーレンズアクチュエータ408が通電されていないときに、Z軸方向の可動範囲の中心に位置する(この位置を原点位置と呼ぶ)。フォトディテクタ402は、第1リレーレンズ404が原点位置にあるとき、サーボ用Y軸方向レーザ光の光軸が受光面の中心を通るように位置決めされている。
【0099】
フォトディテクタ402の受光面には、加工対象物OBの棒状の射影が映し出されるが、リレーレンズアクチュエータ408により第1リレーレンズ404がZ軸方向に駆動された場合には、その移動に伴って射影の位置もZ軸方向に移動する。
【0100】
フォトディテクタ402は、上述したように、受光領域が上下に(Z軸方向)2分割された受光素子を備え、その受光領域C,Dに入射した光の強度に比例した検出信号を受光信号(c,d)として出力する。また、フォトディテクタ402は、受光したサーボ用Y軸方向レーザ光における棒状の射影が受光領域の分割線DIVと平行になるように、かつ、第1リレーレンズ404が原点位置にありY軸方向から見て加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致しているときに加工対象物OBの射影が受光領域の分割線DIVにより2等分される位置に配置される。
【0101】
第3実施形態のレーザ加工装置は、第1実施形態のZ軸方向サーボ回路172,Z軸方向ドライブ回路173に代えて、Z軸方向サーボ回路182,Z軸方向ドライブ回路183を備えている。尚、Z軸方向エラー信号生成回路171については、第1実施形態と同一である。フォトディテクタ402から出力される受光信号(c,d)は、Z軸方向エラー信号生成回路171に入力される。Z軸方向エラー信号生成回路171は、受光信号(c,d)を増幅した後、この信号を使って光強度の差(c−d)を演算し、その演算結果をZ軸方向エラー信号(c−d)としてZ軸方向サーボ回路182に出力する。Z軸方向サーボ回路182は、Z軸方向エラー信号(c−d)を入力し、Z軸方向エラー信号(c−d)が常にゼロとなるようなZ軸方向サーボ信号を生成してZ軸方向ドライブ回路183に出力する。Z軸方向ドライブ回路183は、Z軸方向サーボ信号に基づいてリレーレンズアクチュエータ408を駆動する信号を出力して第1リレーレンズ404をZ軸方向に移動させるとともに、加工用ヘッド10のZ軸アクチュエータ114zを駆動する信号を出力して対物レンズ112をZ軸方向に移動させる。この場合、第1リレーレンズ404の移動量と対物レンズ112の移動量とが同一となるように、それぞれの駆動信号は設定されている。従って、対物レンズ112と第1リレーレンズ404とは、Z軸方向における相対位置がほとんど変化しない。
【0102】
第1実施形態においては、対物レンズ112のみをZ軸方向に移動させる構成であったため、フォトディテクタ402に映し出される加工対象物OBの射影は移動しないが、第3実施形態においては、第1リレーレンズ404もZ軸方向サーボ信号によりZ軸方向に移動するため、フォトディテクタ402に映し出される加工対象物OBの射影がZ軸方向に移動する。従って、この第3実施形態におけるZ軸方向サーボ制御では、フォトディテクタ402に映し出される加工対象物OBの射影が、常に、受光面の中央、つまり、受光領域の分割線DIVにより2等分される位置となるように第1リレーレンズ404がZ軸方向に駆動され、これに合わせて対物レンズ112がZ軸方向に駆動されることになる。従って、Y軸方向サーボ制御だけでなくZ軸方向サーボ制御においてもクローズドループ制御を行うため、Z軸方向サーボ制御も高精度となる。また、加工対象物OBがZ軸方向に大きく変動しても、それに合わせてリレーレンズアクチュエータ408が、フォトディテクタ402に映し出される射影の位置が受光面の中央側にくるように第1リレーレンズ404を移動させるため、加工対象物OBのZ軸方向の検出エリアが広くなる。
【0103】
また、第3実施形態のレーザ加工装置は、第1実施形態と同様のレーザ加工制御ルーチンを実行する。この場合、ステップS110においては、Y軸方向エラー信号(a−b)が常にゼロとなるようなY軸方向サーボ信号に基づいてY軸アクチュエータ114yを駆動するとともに、Z軸方向エラー信号(c−d)が常にゼロとなるようなZ軸方向サーボ信号に基づいてリレーレンズアクチュエータ408を駆動し、それと等しい駆動量でZ軸アクチュエータ114zを駆動する。
【0104】
以上説明した第3実施形態のレーザ加工装置によれば、第1実施形態の効果に加えて、加工対象物OBのZ軸方向のずれ検出範囲が広くなるため、Z軸方向のサーボ制御可能範囲を広くすることができる。また、クローズドループ制御を行うためZ軸方向サーボ制御も高精度に行うことができる。
【0105】
次に、第4実施形態に係るレーザ加工装置について説明する。第3実施形態においては、1つのサーボ用Y軸方向レーザ光を加工対象物OBに照射し、その加工対象物OBの射影の位置に基づいて、Z軸方向サーボ制御を行ったが、この第4実施形態においては、さらに別のサーボ用Y軸方向レーザ光を加工対象物OBに照射してその反射光の位置を検出することにより、射影と反射光との両方の位置に基づいてZ軸方向サーボ制御を行うものである。第4実施形態のレーザ加工装置は、図13に示すように、第3実施形態のレーザ加工装置におけるY軸方向受光装置43に代えて、第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44を備えている。
【0106】
尚、第4実施形態のレーザ加工装置は、以下に説明する構成以外については第3実施形態のレーザ加工装置と同一であるが、サーボ用Y軸方向光ヘッド30と第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44と区別するために、このサーボ用Y軸方向光ヘッド30を第1サーボ用Y軸方向光ヘッド30と呼ぶ。また、第1サーボ用Y軸方向光ヘッド30から出射されるサーボ用レーザ光を第1サーボ用Y軸方向レーザ光と呼び、レーザ光源302を第1レーザ光源302と呼び、第1レーザ光源302を駆動するサーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340を第1サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340と呼ぶ。
【0107】
まず、第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44における、第1サーボ用Y軸方向レーザ光の加工対象物OBの射影を検出する構成から説明する。図13に示すように、第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44は、第3実施形態のY軸方向受光装置43と同様に、第1リレーレンズ404、第2リレーレンズ406、フォトディテクタ402及びリレーレンズアクチュエータ408を備えるが、更に、第1リレーレンズ404と第2リレーレンズ406との間にダイクロイックミラー418を介装している。第1サーボ用Y軸方向レーザ光は、その波長がダイクロイックミラー418で反射するように設定されている。従って、第1サーボ用Y軸方向レーザ光の進む光路は、ダイクロイックミラー418で90度曲がった構成となっている。
【0108】
第1リレーレンズ404に入射する第1サーボ用Y軸方向レーザ光は、加工対象物OBの射影光となる。射影光は、第1リレーレンズ404を通過して集光され、ダイクロイックミラー418で反射する。そして、第2リレーレンズ406で平行光に戻されてフォトディテクタ402の受光面に入射する。これにより、フォトディテクタ402の受光面には、加工対象物OBの棒状の射影が映し出される。以下、フォトディテクタ402を第1フォトディテクタ402と呼ぶ。
【0109】
第1フォトディテクタ402は、受光領域が左右に(Y軸方向に)2分割された受光素子を備え、その受光領域C,Dに入射した光の強度に比例した検出信号を受光信号(c,d)として出力する。この第1フォトディテクタ402は、受光した第1サーボ用Y軸方向レーザ光における棒状の射影が受光領域の分割線DIVと平行になるように、かつ、第1リレーレンズ404が原点位置にありY軸方向から見て加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致しているときに加工対象物OBの射影が受光領域の分割線DIVにより2等分される位置に配置される。
【0110】
第1リレーレンズ404は、その位置がリレーレンズアクチュエータ408によりZ軸方向に移動可能となっている。第1リレーレンズ404は、リレーレンズアクチュエータ408が通電されていないときに、Z軸方向の可動範囲の中心、つまり、原点に位置する。
【0111】
第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44は、更に、加工対象物OBに対して第1サーボ用Y軸方向レーザ光とは反対方向から第2サーボ用Y軸方向レーザ光を照射し、その反射光を検出する構成として、第2レーザ光源410、コリメートレンズ412、偏光ビームスプリッタ414、1/4波長板416及び第2フォトディテクタ420を備えている。第2レーザ光源410は、第2サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路440から供給される電流及び電圧により駆動されてサーボ用レーザ光を出射する。第2レーザ光源410から出射されたサーボ用レーザ光は、コリメートレンズ412により平行光となって偏光ビームスプリッタ414に入射する。サーボ用レーザ光は、その大半(例えば、95%)が偏光ビームスプリッタ414をそのまま透過し、1/4波長板416を通過して直線偏光から円偏光に変換される。1/4波長板416を通過したサーボ用レーザ光は、ダイクロイックミラー418を透過し、第1リレーレンズ404に入射する。第1リレーレンズ404は、対物レンズとして働くためサーボ用レーザ光を集光する。こうして加工対象物OBの直径よりも小さな径に集光されたレーザスポットが加工対象物OBの表面に照射される。
【0112】
加工対象物OBに照射されたサーボ用レーザ光(第2サーボ用Y軸方向レーザ光)は、加工対象物OBの表面で反射して第1リレーレンズ404に入射し平行光に戻されて、ダイクロイックミラー418をそのまま通過し、さらに、1/4波長板416を通過する。この場合、第2サーボ用Y軸方向レーザ光は、第2レーザ光源410から出射されたサーボ用レーザ光とは偏光方向が90°相違したものとなるため、偏光ビームスプリッタ414で反射する。偏光ビームスプリッタ414の反射方向には、第2フォトディテクタ420が設けられている。従って、加工対象物OBの表面で反射した第2サーボ用Y軸方向レーザ光は、第2フォトディテクタ420に入射する。この第2フォトディテクタ420は、受光領域が左右に(Y軸方向に)2分割された受光素子を備え、その受光領域E,Fに入射した光の強度に比例した検出信号を受光信号(e,f)として出力する。この第2フォトディテクタ420は、第1リレーレンズ404が原点位置にあり、かつ、Y軸方向から見て加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致しているときに加工対象物OBで反射した反射光が受光領域の分割線DIVにより2等分される位置に配置される。
【0113】
また、第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44は、第2レーザ光源410から出射されたサーボ用レーザ光の一部(例えば、5%)を偏光ビームスプリッタ414で反射させ、その反射光を集光レンズ422によりフォトディテクタ424の受光面に集光させる構成を備えている。フォトディテクタ424は、受光面に集光された光の強度に応じた受光信号を出力する受光素子である。従って、フォトディテクタ424は、第2レーザ光源410が出射したサーボ用レーザ光の強度に対応した受光信号を出力する。この受光信号は、第2サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路440に供給される。
【0114】
第2サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路440は、コントローラ90からの指令に基づいて、第2レーザ光源410に対して、加工対象物OBの表面を変化させず、かつ、第2フォトディテクタ420で加工対象物OBからの反射光を検出できる強度のサーボ用レーザ光を出射するための電流及び電圧を供給する回路である。第2サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路440は、フォトディテクタ424が出力する受光信号をフィードバックして、受光信号の強度が予め設定した設定強度となるように第2レーザ光源410に出力する電流及び電圧を調整する。これにより、第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44から出射するサーボ用Y軸方向レーザ光の強度が一定に維持される。
【0115】
第4実施形態のレーザ加工装置は、第3実施形態のZ軸方向エラー信号生成回路171,Z軸方向サーボ回路182に代えて、Z軸方向エラー信号生成回路191及びZ軸方向サーボ回路192を備えている。尚、Z軸方向ドライブ回路183に関しては、第3実施形態と同一である。
【0116】
第1フォトディテクタ402から出力される受光信号(c,d)、及び、第2フォトディテクタ420から出力される受光信号(e,f)は、Z軸方向エラー信号生成回路191に入力される。Z軸方向エラー信号生成回路191は、第1生成部1911と第2生成部1912とからなり、第1フォトディテクタ402から出力される受光信号(c,d)が第1生成部1911に入力され、第2フォトディテクタ420から出力される受光信号(e,f)が第2生成部1912に入力される。第1生成部1911は、受光信号(c,d)を増幅した後、この信号を使って光強度の差(c−d)を演算し、その演算結果を第1Z軸方向エラー信号(c−d)として出力する。第2生成部1912は、受光信号(e,f)を増幅した後、この信号を使って光強度の差(e−f)を演算し、その演算結果を第2Z軸方向エラー信号(e−f)として出力する。
【0117】
第1Z軸方向エラー信号(c−d)、及び、第2Z軸方向エラー信号(e−f)は、Z軸方向サーボ回路192に入力される。Z軸方向サーボ回路192は、第1サーボ部1921と第2サーボ部1922とからなり、第1Z軸方向エラー信号(c−d)が第1サーボ部1921に入力され、第2Z軸方向エラー信号(e−f)が第2サーボ部1922に入力される。
【0118】
第1サーボ部1921は、コントローラ90から出力されるサーボ開始指令により作動を開始し、第1Z軸方向エラー信号(c−d)に基づいて、第1Z軸方向エラー信号(c−d)が常にゼロとなるようなZ軸方向サーボ信号を生成してZ軸方向ドライブ回路183に出力する。従って、第1フォトディテクタ402に映し出される加工対象物OBの射影が、受光面の中央、つまり、受光領域の分割線DIVにより2等分される位置となるように第1リレーレンズ404がZ軸方向に駆動され、これと同じ駆動量で対物レンズ112がZ軸方向に駆動される。また、第1サーボ部1921は、コントローラ90からのサーボ切替指令に基づいて作動を停止する。
【0119】
第2サーボ部1922は、コントローラ90から出力されるサーボ切替指令により、第1サーボ部1921に代わって作動を開始し、第2Z軸方向エラー信号(e−f)に基づいて、第2Z軸方向エラー信号(e−f)が常にゼロとなるようなZ軸方向サーボ信号を生成してZ軸方向ドライブ回路183に出力する。従って、第2フォトディテクタ420に受光された第2サーボ用Y軸方向レーザ光の反射光が受光領域の中央に維持されるように第1リレーレンズ404がZ軸方向に駆動され、これと同じ駆動量で対物レンズ112がZ軸方向に駆動される。
【0120】
次に、第4実施形態におけるコントローラ90の実行するレーザ加工制御ルーチンについて説明する。第4実施形態のレーザ加工制御ルーチンは、第1実施形態のものとステップS110〜S112の処理、及び、ステップS146〜S148の処理が相違する。図14は、第1実施形態におけるステップS110〜S112,ステップS146〜S158の処理に代えて行う第4実施形態の処理を表す部分フローチャートである。
【0121】
コントローラ90は、ステップS108において、スピンドルモータ制御回路56に対して回転開始指令を出力すると、続いて、ステップS201において、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240と第1サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340とに対して、それぞれのサーボ用レーザ光の照射開始指令を出力する。従って、サーボ用Z軸方向光ヘッド20からサーボ用Z軸方向レーザ光が加工対象物OBに対してZ軸方向に照射され、第1サーボ用Y軸方向光ヘッド30から第1サーボ用Y軸方向レーザ光が加工対象物OBに対してY軸方向に照射される。この第1サーボ用Y軸方向光ヘッド30から第1サーボ用Y軸方向レーザ光を照射する処理は、本発明の第1Y軸方向照射ステップに相当する。また、第1サーボ用Y軸レーザ光の照射により、第1フォトディテクタ402が受光信号(c,d)を出力する処理が、本発明の第1Y軸方向レーザ光検出ステップに相当する。
【0122】
続いて、コントローラ90は、ステップS202において、Z軸方向サーボ回路192とY軸方向サーボ回路162に対して、サーボ開始指令を出力する。これにより、各サーボ回路は、上述したZ軸方向サーボ及びY軸方向サーボ制御を開始する。この場合、Z軸方向サーボ回路192では、第1サーボ部1921のみが作動してZ軸方向サーボ信号を生成する。この場合の第1生成部1911,第1サーボ部1921及びZ軸方向ドライブ回路183の処理が、本発明の第1Z軸方向サーボステップに相当する。
【0123】
続いて、コントローラ90は、ステップS203において、サーボ開始指令の出力から所定時間経過するまで待機する。この間、上述したサーボ制御が継続される。この場合、Z軸方向サーボにおいては、第1サーボ用Y軸方向光ヘッド30から出射された第1サーボ用Y軸方向レーザ光の加工対象物OBの射影が、第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44の第1フォトディテクタ402の受光面の中央位置にくるように第1リレーレンズ404がZ軸方向に駆動され、これと同じ駆動量で対物レンズ112がZ軸方向に駆動されるため、Z軸方向のサーボ制御可能範囲が広い。従って、加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転中心軸に対してZ軸方向に大きくずれていても、加工用レーザ光の照射位置を加工対象物OBの表面にまで移動させることができる。
【0124】
サーボ開始指令の出力から所定時間経過すると(S203:Yes)、コントローラ90は、ステップS204において、第1サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340、第2サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路440、Z軸方向サーボ回路192に対してサーボ切替指令を出力する。これにより、第1サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340による第1レーザ光源302の駆動が停止され、代わりに、第2サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路440による第2レーザ光源410の駆動が開始される。従って、加工対象物OBには、第1サーボ用Y軸方向レーザ光に代わって第2サーボ用Y軸方向レーザ光が照射される。この第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44から第2サーボ用Y軸方向レーザ光を照射する処理は、本発明の第2Y軸方向照射ステップに相当する。また、第2サーボ用Y軸レーザ光の照射により、第2フォトディテクタ420が受光信号(e,f)を出力する処理が、本発明の第2Y軸方向レーザ光検出ステップに相当する。
【0125】
また、同時に、Z軸方向サーボ回路192においては、第1サーボ部1921に代わって第2サーボ部1922が作動を開始する。これにより、Z軸方向のサーボ制御態様が切り替わり、第2サーボ用Y軸方向レーザ光の加工対象物OBからの反射光が第2フォトディテクタ420の受光面の中央位置にくるように第1リレーレンズ404がZ軸方向に駆動され、これと同じ駆動量で対物レンズ112がZ軸方向に駆動される。この場合、反射光位置に基づいてZ軸方向サーボ制御を行うため、加工対象物OBのZ軸方向の変位に対して第2サーボ部1922の出力する第2Z軸方向エラー信号(e−f)の変化が大きくなり、高精度にZ軸方向サーボ制御を行うことができる。この場合の第2生成部1912,第1サーボ部1922及びZ軸方向ドライブ回路183の処理が、本発明の第2Z軸方向サーボステップに相当する。コントローラ90は、ステップS204においてZ軸方向のサーボ制御態様を切り換えると、上述したステップS114からの処理を実行する。
【0126】
コントローラ90は、第1実施形態のステップS146〜S148の処理に代えて、ステップS205〜S206の処理を実行する。コントローラ90は、ステップS205において、Z軸方向サーボ回路192とY軸方向サーボ回路162に対して、サーボ制御の停止指令を出力する。これにより、Z軸アクチュエータ114z、Y軸アクチュエータ114y及びリレーレンズアクチュエータ408の作動が停止する。続いて、ステップS206において、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240と第2サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路440とに対して、サーボ用レーザ光の照射停止指令を出力する。これにより、サーボ用Z軸方向光ヘッド20からのサーボ用Z軸方向レーザ光の照射、及び、第2サーボ用Y軸方向光ヘッド44からの第2サーボ用Y軸方向レーザ光の照射が停止される。
【0127】
以上説明した第4実施形態のレーザ加工装置によれば、最初に加工対象物OBの射影の検出位置に基づいてZ軸方向のフォーカスサーボ制御を開始し(サーボ制御の引き込みを行い)、その後、加工対象物OBの反射光の検出位置に基づいてZ軸方向サーボ制御を行うようにしているため、Z軸方向サーボ制御の引き込みを確実に行え、Z軸方向サーボ制御を高精度に行うことができる。
【0128】
次に、第5実施形態に係るレーザ加工装置について説明する。上述した第1〜第4実施形態のレーザ加工装置においては、サーボ用レーザ光の照射源としてZ軸方向とY軸方向とで別々のレーザ光源を備え、また、それらサーボ用レーザ光を検出する別々のフォトディテクタを備えた構成であったが、第5実施形態においては、Z軸方向とY軸方向とでレーザ光源とフォトディテクタとを共通化した構成を採用している。
【0129】
図15は、第5実施形態のレーザ加工装置における加工用ヘッド15の概略構成を表す。この加工用ヘッド15は、第1実施形態における加工用ヘッド10,サーボ用Z軸方向光ヘッド20,サーボ用Y軸方向光ヘッド30及びY軸方向受光装置40に代えて設けられるもので、加工対象物OBの表面に加工用レーザ光を照射する機能と、加工対象物OBにサーボ用Z軸方向レーザ光とサーボ用Y軸方向レーザ光とを照射する機能と、加工対象物OBに照射されたサーボ用Z軸方向レーザ光とサーボ用Y軸方向レーザ光との両方の射影光を検出する機能を有する。図中において、第1実施形態と同じものについては、第1実施形態で使用した符号と同一の符号を付して簡単な説明に留める。
【0130】
加工用ヘッド15は、その中央に加工対象物OBが挿通される領域H(空間)が設けられており、その領域Hに加工用レーザ光及びサーボ用レーザ光を出射するように構成されている。加工用ヘッド15は、加工対象物OBの表面に加工用レーザ光を照射する構成として、加工用レーザ駆動回路150により駆動されるレーザ光源102と、レーザ光源102から出射される加工用レーザ光の光軸に沿って設けられるコリメートレンズ104,偏光ビームスプリッタ106,1/4波長板108,ダイクロイックミラー110及び対物レンズ112と、対物レンズ112の位置をZ軸方向とY軸方向とに調整するフォーカスアクチュエータ114(Z軸アクチュエータ114z,Y軸アクチュエータ114y)とを備えている。また、加工用レーザ光が加工対象物OBで反射した反射光の強度を検出するための構成として、集光レンズ120とフォトディテクタ122とを備えている。また、加工用レーザ光の強度を検出するための構成として、集光レンズ124とフォトディテクタ126とを備えている。これらの構成は、第1実施形態と同一である。従って、加工用レーザ光の進む経路や、フォトディテクタ122,126の出力に基づく制御についても第1実施形態と同一である。
【0131】
加工用ヘッド15は、対物レンズ112が原点位置にあり、かつ、加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致している場合に、加工対象物OBに形成される光スポットの大きさが形成する孔の大きさに対応した大きさになるように位置決めされている。
【0132】
次に、サーボ用レーザ光を加工対象物OBに照射する構成について説明する。加工用ヘッド15は、第1実施形態のサーボ用Z軸方向光ヘッド20と同様な、サーボ用レーザ光を出射するレーザ光源202と、レーザ光源202から出射されるサーボ用レーザ光を平行光にするコリメートレンズ204と、平行光の大半(例えば95%)を透過し残りを反射する偏光ビームスプリッタ206と、偏光ビームスプリッタ206の反射方向に設けられる集光レンズ208と、集光レンズ208により集光されたサーボ用レーザ光の強度を検出するフォトディテクタ210を備えている。レーザ光源202は、サーボ用レーザ駆動回路540から供給される電流及び電圧により駆動されてサーボ用レーザ光を出射する。このサーボ用レーザ駆動回路540は、第1実施形態のサーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240に相当するもので、フォトディテクタ210により検出したサーボ用レーザ光の光強度が設定強度となるようにレーザ光源202に出力する電流及び電圧を調整する。
【0133】
サーボ用レーザ光が偏光ビームスプリッタ206を透過する方向には、ビームスプリッタ212が設けられる。ビームスプリッタ212は、入射したサーボ用レーザ光の半分を透過し残り半分を反射する。従って、サーボ用レーザ光は、光強度が同程度となる2つのサーボ用レーザ光に分けられる。ビームスプリッタ212を透過したサーボ用レーザ光は、加工対象物OBに対して加工用レーザ光とは反対方向からZ軸方向に照射される。以下、ビームスプリッタ212を透過したサーボ用レーザ光をサーボ用Z軸方向レーザ光と呼ぶ。このサーボ用Z軸方向レーザ光は、第1実施形態のサーボ用Z軸方向レーザ光と同様に、加工対象物OBの直径よりも大きな直径の平行光であり、その光軸が、加工用ヘッド15の対物レンズ112が原点位置にある時に加工用レーザ光の光軸と一致するように光路が位置決めされている。
【0134】
サーボ用Z軸方向レーザ光は、加工対象物OBの直径よりも大きな直径の平行光であるため、加工対象物OBに遮られなかったレーザ光が対物レンズ112に入射する。この場合、対物レンズ112に入射するサーボ用Z軸方向レーザ光は、受光すると中央に加工対象物OBの棒状の射影が形成された射影光となる。対物レンズ112に入射したサーボ用Z軸方向レーザ光は、集光されてダイクロイックミラー110に入射して反射する。ダイクロイックミラー110の反射方向には、リレーレンズ116(結像レンズ)、偏光ビームスプリッタ228、フォトディテクタ230が設けられている。偏光ビームスプリッタ228は、透過方向がレーザ光源202を出射したレーザ光の偏光方向に設定されている。従って、ダイクロイックミラー110で反射したサーボ用Z軸方向レーザ光は、リレーレンズ116を通過して平行光となり、偏光ビームスプリッタ228を透過してフォトディテクタ230の受光面に入射する。こうしてフォトディテクタ230の受光面には、加工対象物OBの影であるX軸方向に延びた棒状の射影が映し出される。
【0135】
フォトディテクタ230は、図16に示すように、受光領域が十字状に4分割された4つの同一正方形状の受光素子を備え、時計回りに配置された受光領域A,B,C,Dに入射した光の強度に比例した検出信号を受光信号(a,b,c,d)として出力する。このフォトディテクタ230は、十字状の分割線DIVがZ軸方向とX軸方向とに向くように配置されている。以下、分割線DIVのうち、X軸方向に向いた分割線をX軸方向分割線DIVXと呼び、Z軸方向に向いた分割線をZ軸方向分割線DIVZと呼ぶ。
【0136】
また、ビームスプリッタ212で反射したサーボ用レーザ光は、第1反射ミラー214と第2反射ミラー216とで反射して加工対象物OBに対してY軸方向に照射される。以下、ビームスプリッタ212で反射したサーボ用レーザ光をサーボ用Y軸方向レーザ光と呼ぶ。このサーボ用Y軸方向レーザ光は、第1実施形態のサーボ用Y軸方向レーザ光と同様に、加工対象物OBの直径よりも大きな直径の平行光であり、その光軸がワーク駆動装置50の回転軸と交差するように光路が位置決めされている。
【0137】
加工対象物OBを挟んで第2反射ミラー216と向かい合う位置に第3反射ミラー218が設けられる。第2反射ミラー216で反射したサーボ用Y軸方向レーザ光は、加工対象物OBの直径よりも大きな直径の平行光であるため、加工対象物OBに遮られなかったレーザ光(射影光)が第3反射ミラー218に入射する。サーボ用Y軸方向レーザ光は、第3反射ミラー218で反射し、更に、第4反射ミラー220で反射する。第4反射ミラー220の反射方向には、像回転プリズム(ダブプリズム)222及び第5反射ミラー224が設けられる。第4反射ミラー220で反射したサーボ用Y軸方向レーザ光は、像回転プリズム222で像が90度回転する。従って、像回転プリズム222から出射するサーボ用Y軸方向レーザ光は、加工対象物OBの射影の向きがZ軸方向となる。像回転プリズム222から出射したサーボ用Y軸方向レーザ光は、第5反射ミラー224で反射して進行方向を変え、1/2波長板226を通過することで偏光方向が90度変化して偏光ビームスプリッタ228に入射する。偏光ビームスプリッタ228は透過方向がレーザ光源202を出射したレーザ光の偏光方向に設定されているため、入射したサーボ用Y軸方向レーザ光は偏光ビームスプリッタ228で反射する。これにより、サーボ用Y軸方向レーザ光とサーボ用Z軸方向レーザ光とが合成される。
【0138】
フォトディテクタ230には、図16に示すように、サーボ用Y軸方向レーザ光とサーボ用Z軸方向レーザ光とによる加工対象物OBの射影Sが映し出されるが、この射影Sは、Z軸方向とX軸方向とに延びた十字形状となる。このフォトディテクタ230は、Y軸方向から見て加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致しているときに射影Sが受光領域のZ軸方向分割線DIVZにより2等分される位置で、かつ、対物レンズ112が原点位置にありZ軸方向から見て加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸と一致しているときに射影Sが受光領域のX軸方向分割線DIVXにより2等分される位置に配置される。
【0139】
フォトディテクタ230の出力する受光信号(a,b,c,d)は、ぞれぞれ、Y軸方向エラー信号生成回路561とZ軸方向エラー信号生成回路571とに入力される。この第5実施形態においては、Y軸方向エラー信号生成回路561は、受光信号(a,b,c,d)を使って((a+d)−(b+c))の演算を行い、その演算結果をY軸方向エラー信号((a+d)−(b+c))として出力する。Y軸方向エラー信号(((a+d)−(b+c))の大きさは、加工対象物OBの中心軸とワーク駆動装置50の回転軸とのY軸方向におけるずれ量を表すものとなる。また、Z軸方向エラー信号生成回路571は、受光信号(a,b,c,d)を使って((a+b)−(c+d))の演算を行い、その演算結果をZ軸方向エラー信号((a+b)−(c+d))として出力する。Z軸方向エラー信号((a+b)−(c+d))の大きさは、加工対象物OBの中心軸とワーク駆動装置50の回転軸とのZ軸方向におけるずれ量を表すものとなる。
【0140】
Y軸方向サーボ回路562は、コントローラ90からの指令により作動を開始し、Y軸方向エラー信号生成回路561から入力したY軸方向エラー信号(((a+d)−(b+c))に基づいて、Y軸方向エラー信号(((a+d)−(b+c))が常にゼロとなるようなY軸方向サーボ信号を生成してY軸方向ドライブ回路563に出力する。Y軸方向ドライブ回路563は、Y軸方向サーボ信号に基づいてY軸アクチュエータ114yを駆動する信号を出力して、対物レンズ112をY軸方向に移動させる。従って、フォトディテクタ230に映し出される十字形状の射影におけるX軸方向に向いた部分が受光領域のX軸方向分割線DIVXにより2等分される位置に維持されるように対物レンズ112のY軸方向位置が制御される。この結果、加工用レーザ光の光軸が加工対象物OBの中心軸と交差する位置に維持される。
【0141】
また、Z軸方向サーボ回路572は、コントローラ90からの指令により作動を開始し、Z軸方向エラー信号生成回路571から入力したZ軸方向エラー信号((a+b)−(c+d))に基づいて、加工対象物OBのZ軸方向のずれ量を検出し、このずれ量分の対物レンズ112のZ軸方向移動量を表すZ軸方向サーボ信号を生成してZ軸方向ドライブ回路573に出力する。Z軸方向ドライブ回路573は、Z軸方向サーボ信号に基づいてZ軸アクチュエータ114zを駆動する信号を出力して、対物レンズ112をZ軸方向に移動させる。従って、加工対象物OBのZ軸方向のずれ量だけ、対物レンズ112が原点位置からZ軸方向に離れた位置に維持される。このため、加工対象物OBの位置がZ軸方向に変動しても、加工対象物OBの中心軸がワーク駆動装置50の回転軸とずれている量だけ対物レンズ112を原点位置から移動させることにより、加工対象物OBに形成される光スポットの大きさを形成する孔の大きさに対応した大きさに維持できる。
【0142】
尚、本実施形態においても、サーボ用Y軸方向レーザ光の光路上に第1リレーレンズ404及び第2リレーレンズ406を設け、第3実施形態と同様、第1リレーレンズ404をリレーレンズアクチュエータ408で駆動し、それと等しい駆動量でZ軸アクチュエータ114zを駆動して、クローズドループ制御によりZ軸方向サーボ制御を行うようにすることができる。
【0143】
また、加工対象物OBに形成されるビームスポットの径が大きくてもよい場合は、図17に示すように、対物レンズ112の焦点距離を長くすることができるので、加工対象物OBと対物レンズ112の間にビームスプリッタ232を設け、像回転プリズム222から出射したサーボ用Y軸方向レーザ光とサーボ用Z軸方向レーザ光をビームスプリッタ232で合成させるようにしてもよい。この場合、加工対象物OBから対物レンズ112までの光路長を2つの方向のレーザ光において等しくする必要があるため、リレーレンズ234,236を設ける。これによれば、サーボ用Y軸方向レーザ光も対物レンズ112を通過させることができるので、リレーレンズを設けなくてもクローズドループ制御によりZ軸方向サーボ制御を行うことができる。
【0144】
以上説明した第5実施形態のレーザ加工装置によれば、第1実施形態の効果を奏するだけでなく、サーボ用レーザ光のレーザ光源、サーボ用レーザ駆動回路、フォトディテクタ及びその他の光学素子の数を減らすことができ、装置の低コスト化を図ることができる。
【0145】
尚、第1実施形態では、レーザ加工制御ルーチンにおけるステップS108,S132の処理において、サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路240とサーボ用Y軸方向レーザ駆動回路340との両方に対して照射開始指令又は照射停止指令を出力したが、第5実施形態においては、サーボ用Z軸方向レーザ光とサーボ用Y軸方向レーザ光とを共通のレーザ光源202から出射するように構成しているため、照射開始指令及び照射停止指令は、レーザ光源202を駆動するサーボ用レーザ駆動回路540のみに対して出力されることになる。
【0146】
以上、本発明の5つの実施形態について説明したが、本発明の実施にあたっては、上記実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を逸脱しない限りにおいて種々の変形も可能である。
【0147】
例えば、第1実施形態においては、サーボ用Z軸方向レーザ光を、加工用レーザ光を集光させる対物レンズ112を介してフォトディテクタ118で受光する構成を採用しているが、サーボ用Z軸方向レーザ光の光軸を加工用レーザ光の光軸から僅かにずらし、対物レンズ112の近傍に設けたフォトディテクタでサーボ用Z軸方向レーザ光を受光する構成であってもよい。この構成では、加工対象物OBの変動を加工用レーザ光の焦点位置の近傍で検出することになるが、加工対象物OBの変動が大きくなければサーボ制御は可能である。
【0148】
また、上記各実施形態においては、アクチュエータ114による対物レンズ112の駆動のみにより加工用レーザ光の照射位置が加工対象物OBの適正位置になるように制御したが、Y軸アクチュエータ114yに変位センサを設け、この変位センサが出力する信号の直流成分(オフセット部分)を検出し、この直流成分がゼロになるように加工用ヘッド及びサーボ用Z軸方向光ヘッドをY軸方向に一体的に移動させるアクチュエータを別に設けるようにしてもよい。この場合には、対物レンズ112が原点位置を中心に駆動されるため、さらに精度の高いサーボ制御を行うことができる。尚、Y軸アクチュエータ114yに変位センサを設けずに、Y軸方向サーボ回路162、562が出力する信号の直流成分を検出するようにしてもよい。
【0149】
また、上記各実施形態においては、加工用レーザ光の照射位置をX軸方向に移動させるにあたって、ワーク駆動装置50により加工対象物OBをX軸方向に移動させているが、例えば、加工用ヘッド10、サーボ用Z軸方向光ヘッド20、サーボ用Y軸方向光ヘッド30及びY軸方向受光装置40を一体化したユニットをX軸方向に移動させる構成であってもよい。
【0150】
また、上記各実施形態においては、加工対象物OBをその中心軸回りに回転させているが、加工対象物OBを固定し、加工用ヘッド10、サーボ用Z軸方向光ヘッド20、サーボ用Y軸方向光ヘッド30及びY軸方向受光装置40を加工対象物OBの中心軸回りに回転させる構成であってもよい。
【0151】
また、上記各実施形態においては、加工対象物OBを横方向に向けて固定しているが、加工対象物OBを固定する向きは任意の方向に設定できるものである。また、これに伴って、加工用レーザ光、サーボ用Z軸方向レーザ光、サーボ用Y軸方向レーザ光の向きに関しても、X軸,Y軸,Z軸方向の関係を満たす条件で任意に設定できるものである。
【符号の説明】
【0152】
OB…加工対象物、10,12,15…加工用ヘッド、20…サーボ用Z軸方向光ヘッド、30…サーボ用Y軸方向光ヘッド、40,43…Y軸方向受光装置、44…第2サーボ用Y軸方向光ヘッド、50…ワーク駆動装置、51…移動ステージ、52…スピンドルモータ、55…フィードモータ、56…スピンドルモータ制御回路、57…フィードモータ制御回路、58…移動位置検出回路、90…コントローラ、102,202,130,302,410…レーザ光源、110…ダイクロイックミラー、112…対物レンズ、114…フォーカスアクチュエータ、114y…Y軸アクチュエータ、114z…Z軸アクチュエータ、118,122,126,140,144,210,230,310,402,420,424…フォトディテクタ、404…第1リレーレンズ、408…リレーレンズアクチュエータ、161,561…Y軸方向エラー信号生成回路、162,562…Y軸方向サーボ回路、163,563…Y軸方向ドライブ回路、171,191,571…Z軸方向エラー信号生成回路、172,182,192,572…Z軸方向サーボ回路、173,183、573…Z軸方向ドライブ回路、212…ビームスプリッタ、222…像回転プリズム、240…サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路、340…サーボ用Y軸方向レーザ駆動回路、440…第2サーボ用Z軸方向レーザ駆動回路、540…サーボ用レーザ駆動回路。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円筒パイプ状の加工対象物を、その中心軸方向をX軸方向にして支持する対象物支持手段と、
前記加工対象物を加工する加工用レーザ光を出射する加工用レーザ光源及び前記加工用レーザ光を集光する対物レンズを備え、前記加工対象物の中心軸線方向であるX軸方向に対して垂直方向となるZ軸方向に前記対物レンズによって集光された加工用レーザ光を照射して前記加工対象物の表面に光スポットを形成する加工用レーザ光照射手段と、
前記加工対象物又は前記加工用レーザ光照射手段を前記X軸方向回りに回転させて、前記加工対象物に対する加工用レーザ光の照射位置を、前記加工対象物に対して相対的に前記X軸方向回りに回転させる回転手段と、
前記加工対象物又は前記加工用レーザ光照射手段を前記X軸方向に変位させて、前記加工対象物に対する加工用レーザ光の照射位置を、前記加工対象物に対して相対的に前記X軸方向に移動させる移動手段とを備えたレーザ加工装置において、
照射方向が前記Z軸方向に設定されたサーボ用Z軸方向レーザ光と、照射方向が前記Z軸方向と前記X軸方向とに対して垂直方向となるY軸方向に設定されたサーボ用Y軸方向レーザ光とを前記加工対象物に照射するサーボ用レーザ光照射手段と、
前記サーボ用Z軸方向レーザ光及び前記サーボ用Y軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される前記加工対象物の射影又は前記加工対象物からの反射光を受光して、受光位置に応じた受光信号を出力するサーボ用レーザ光受光手段と、
前記受光信号に基づいて、前記加工用レーザ光の光軸が前記加工対象物の中心軸と交差し、かつ前記加工用レーザ光を前記加工対象物に照射することで前記加工対象物の表面に形成される光スポットの大きさが所定の大きさに保たれるように前記対物レンズを駆動するサーボ手段とを備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項2】
請求項1に記載のレーザ加工装置において、
前記サーボ用レーザ光受光手段は、
前記サーボ用Z軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影又は前記加工対象物からの反射光を受光面に受けて、前記受光面における前記射影又は前記反射光の位置に応じた受光信号を出力するZ軸方向レーザ光検出手段と、
前記サーボ用Y軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影又は前記加工対象物からの反射光を受光面に受けて、前記受光面における前記射影又は前記反射光の位置に応じた受光信号を出力するY軸方向レーザ光検出手段とを備え、
前記サーボ手段は、
前記Z軸方向レーザ光検出手段の出力する受光信号に基づいて、前記加工用レーザ光の光軸が前記加工対象物の中心軸と交差するように前記対物レンズを前記Y軸方向に駆動するY軸方向サーボ手段と、
前記Y軸方向レーザ光検出手段の出力する受光信号に基づいて、前記加工対象物の表面に形成される光スポットの大きさが所定の大きさに保たれるように前記対物レンズを前記Z軸方向に駆動するZ軸方向サーボ手段とを備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項3】
請求項2に記載のレーザ加工装置において、
前記サーボ用レーザ光照射手段は、
前記加工対象物の直径よりも大きな直径の平行レーザ光を前記サーボ用Z軸方向レーザ光として前記加工対象物へ前記Z軸方向に照射するZ軸方向照射手段と、
前記加工対象物の直径よりも大きな直径の平行レーザ光を前記サーボ用Y軸方向レーザ光として前記加工対象物へ前記Y軸方向に照射するY軸方向照射手段とを備え、
前記Z軸方向レーザ光検出手段は、前記サーボ用Z軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影を受光面に受けて、前記受光面における前記射影の位置に応じた受光信号を出力し、
前記Y軸方向レーザ光検出手段は、前記サーボ用Y軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影を受光面に受けて、前記受光面における前記射影の位置に応じた受光信号を出力することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項4】
請求項3に記載のレーザ加工装置において、
前記Z軸方向照射手段は、前記サーボ用Z軸方向レーザ光を、前記加工用レーザ光照射手段から照射される加工用レーザ光と光軸が同一となる位置で、かつ、前記加工対象物に対して前記加工用レーザ光の照射方向とは反対方向から照射し、
前記加工用レーザ光を前記加工対象物に照射するための光路の途中に、前記光路に入射した前記サーボ用Z軸方向レーザ光を前記光路から分離して前記Z軸方向レーザ光検出手段の受光面に導く分離用光学素子を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項5】
請求項2に記載のレーザ加工装置において、
前記サーボ用レーザ光照射手段は、
前記対物レンズにより前記加工用レーザ光と同程度に集光したレーザ光を前記サーボ用Z軸方向レーザ光として前記加工用レーザ光と同軸となる位置で前記加工対象物へ前記Z軸方向に照射するZ軸方向照射手段と、
前記加工対象物の直径よりも大きな直径の平行レーザ光を前記サーボ用Y軸方向レーザ光として前記加工対象物へ前記Y軸方向に照射するY軸方向照射手段とを備え、
前記Z軸方向レーザ光検出手段は、前記サーボ用Z軸方向レーザ光の前記加工対象物からの反射光を受光面に受けて、前記受光面における前記反射光の位置に応じた受光信号を出力し、
前記Y軸方向レーザ光検出手段は、前記サーボ用Y軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影を受光面に受けて、前記受光面における前記射影の位置に応じた受光信号を出力することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項6】
請求項2乃至請求項5のうちのいずれか1つに記載のレーザ加工装置において、
前記Y軸方向レーザ光検出手段の受光面への入射光路にて前記Z軸方向に移動可能なサーボレーザ用リレーレンズを設け、
前記Z軸方向サーボ手段は、
前記Y軸方向レーザ光検出手段の出力する受光信号に基づいて、前記サーボ用Y軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影が前記Y軸方向レーザ光検出手段の受光面の中央に位置するように前記サーボレーザ用リレーレンズを前記Z軸方向に駆動するとともに、前記サーボレーザ用リレーレンズの駆動と合わせて前記対物レンズを前記Z軸方向に駆動することを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項7】
請求項3乃至請求項5のうちのいずれか1つに記載のレーザ加工装置において、
前記Y軸方向照射手段は、
前記加工対象物の直径よりも大きな直径の平行レーザ光を第1サーボ用Y軸方向レーザ光として前記加工対象物へ前記Y軸方向に照射する第1Y軸方向照射手段と、
前記加工対象物の直径よりも小さな直径に集光したレーザ光を第2サーボ用Y軸方向レーザ光として前記加工対象物へ前記Y軸方向に照射する第2Y軸方向照射手段とを備え、
前記Y軸方向レーザ光検出手段は、
前記第1サーボ用Y軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影を受光面に受けて、前記受光面における前記射影の位置に応じた受光信号を出力する第1Y軸方向レーザ光検出器と、
前記第2サーボ用Y軸方向レーザ光の前記加工対象物からの反射光を受光面に受けて、前記受光面における前記反射光の位置に応じた受光信号を出力する第2Y軸方向レーザ光検出器とを備え、
前記第1Y軸方向レーザ光検出器と前記第2Y軸方向レーザ光検出器との共通の入射光路にて前記Z軸方向に移動可能なサーボレーザ用リレーレンズを設け、
前記Z軸方向サーボ手段は、
前記第1サーボ用Y軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影が前記第1Y軸方向レーザ光検出器の受光面の中央に位置するように前記サーボレーザ用リレーレンズを前記Z軸方向に駆動するとともに、前記サーボレーザ用リレーレンズの駆動と合わせて前記対物レンズを前記Z軸方向に駆動する第1Z軸方向サーボ手段と、
前記第2サーボ用Y軸方向レーザ光の前記加工対象物からの反射光が前記第2Y軸方向レーザ光検出器の受光面の中央に位置するように前記サーボレーザ用リレーレンズを駆動するとともに、前記サーボレーザ用リレーレンズの駆動と合わせて前記対物レンズを前記Z軸方向に駆動する第2Z軸方向サーボ手段と、
前記第1Z軸方向サーボ手段の作動の後に前記第2Z軸方向サーボ手段が作動するように作動切替を行う作動切替手段とを備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項8】
請求項1に記載のレーザ加工装置において、
前記サーボ用レーザ光照射手段は、
前記加工対象物の直径よりも大きな直径の平行レーザ光をサーボ用レーザ光として出射するサーボ用レーザ出射手段と、
前記サーボ用レーザ光を前記サーボ用Z軸方向レーザ光と前記サーボ用Y軸方向レーザ光とに分離する分離光学素子とを備え、
前記サーボ用レーザ光検出手段は、
受光領域が十字状に分割された受光面を有し、各受光領域ごとに受光した光強度に応じた受光信号を出力するレーザ光検出器と、
前記サーボ用Z軸方向レーザ光と前記サーボ用Y軸方向レーザ光とを前記加工対象物に照射して形成されるそれぞれの射影が十字状にクロスするように合成して前記レーザ光検出器の受光面に導く合成光学素子とを備え、
前記サーボ手段は、
前記レーザ光検出器の左右又は上下の受光領域における受光信号の差に基づいて、前記加工用レーザ光の光軸が前記加工対象物の中心軸と交差するように前記対物レンズを前記Y軸方向に駆動するY軸方向サーボ手段と、
前記レーザ光検出器の上下又は左右の受光領域における受光信号の差に基づいて、前記加工対象物の表面に形成される光スポットの大きさが所定の大きさに保たれるように前記対物レンズを前記Z軸方向に駆動するZ軸方向サーボ手段を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項9】
請求項1乃至請求項8のうちのいずれか1つに記載のレーザ加工装置において、
前記加工用レーザ光照射手段により前記加工対象物の表面に照射された加工用レーザ光の反射光の強度を検出し、前記検出した反射光の強度が基準値以下となる場合に、前記加工用レーザ光の照射位置が適正でないと判断する照射位置不適正判定手段を備えたことを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項10】
請求項1乃至請求項9のうちのいずれか1つに記載のレーザ加工装置において、
前記加工対象物の表面に形成される光スポットは、前記X軸方向に長く、
前記加工対象物は、ステントに加工される円筒パイプであることを特徴とするレーザ加工装置。
【請求項11】
円筒パイプ状の加工対象物を、その中心軸方向をX軸方向にして支持する対象物支持手段と、
前記加工対象物を加工する加工用レーザ光を出射する加工用レーザ光源及び前記加工用レーザ光を集光する対物レンズを備え、前記加工対象物の中心軸線方向であるX軸方向に対して垂直方向となるZ軸方向に前記対物レンズによって集光された加工用レーザ光を照射して前記加工対象物の表面に光スポットを形成する加工用レーザ光照射手段と、
前記加工対象物又は前記加工用レーザ光照射手段を前記X軸方向回りに回転させて、前記加工対象物に対する加工用レーザ光の照射位置を、前記加工対象物に対して相対的に前記X軸方向回りに回転させる回転手段と、
前記加工対象物又は前記加工用レーザ光照射手段を前記X軸方向に変位させて、前記加工対象物に対する加工用レーザ光の照射位置を、前記加工対象物に対して相対的に前記X軸方向に移動させる移動手段とを備えたレーザ加工装置に適用され、前記加工用レーザ光の照射位置を制御するレーザ光照射位置制御方法において、
照射方向が前記Z軸方向に設定されたサーボ用Z軸方向レーザ光と、照射方向が前記Z軸方向と前記X軸方向とに対して垂直方向となるY軸方向に設定されたサーボ用Y軸方向レーザ光とを前記加工対象物に照射するサーボ用レーザ光照射ステップと、
前記サーボ用Z軸方向レーザ光及び前記サーボ用Y軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される前記加工対象物の射影又は前記加工対象物からの反射光を受光して、受光位置に応じた受光信号を出力するサーボ用レーザ光検出ステップと、
前記受光信号に基づいて、前記加工用レーザ光の光軸が前記加工対象物の中心軸と交差し、かつ前記加工用レーザ光を前記加工対象物に照射することで前記加工対象物の表面に形成される光スポットの大きさが所定の大きさに保たれるように前記対物レンズを駆動するサーボステップとを含むことを特徴とするレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法。
【請求項12】
請求項11に記載のレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法において、
前記サーボ用レーザ光検出ステップは、
前記サーボ用Z軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影又は前記加工対象物からの反射光をZ軸方向レーザ検出器の受光面に受けて、前記受光面における前記射影又は前記反射光の位置に応じた受光信号を出力するZ軸方向レーザ光検出ステップと、
前記サーボ用Y軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影又は前記加工対象物からの反射光をY軸方向レーザ検出器の受光面に受けて、前記受光面における前記射影又は前記反射光の位置に応じた受光信号を出力するY軸方向レーザ光検出ステップとを含み、
前記サーボステップは、
前記Z軸方向レーザ光検出手段の出力する受光信号に基づいて、前記加工用レーザ光の光軸が前記加工対象物の中心軸と交差するように、前記対物レンズを前記Y軸方向に駆動するY軸方向サーボステップと、
前記Y軸方向レーザ光検出手段の出力する受光信号に基づいて、前記加工対象物の表面に形成される光スポットの大きさが所定の大きさに保たれるように前記対物レンズを前記Z軸方向に駆動するZ軸方向サーボステップを含むことを特徴とするレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法。
【請求項13】
請求項12に記載のレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法において、
前記サーボ用レーザ光照射ステップは、前記加工対象物の直径よりも大きな直径の平行レーザ光を前記サーボ用Z軸方向レーザ光として前記加工対象物へ前記Z軸方向に照射するZ軸方向照射ステップと、前記加工対象物の直径よりも大きな直径の平行レーザ光を前記サーボ用Y軸方向レーザ光として前記加工対象物へ前記Y軸方向に照射するY軸方向照射ステップとを含み、
前記Z軸方向レーザ光検出ステップは、前記サーボ用Z軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影を前記Z軸方向レーザ光検出器の受光面に受けて、前記受光面における前記射影の位置に応じた受光信号を出力し、
前記Y軸方向レーザ光検出ステップは、前記サーボ用Y軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影を前記Y軸方向レーザ光検出器の受光面に受けて、前記受光面における前記射影の位置に応じた受光信号を出力することを特徴とするレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法。
【請求項14】
請求項13に記載のレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法において、
前記Z軸方向照射ステップは、前記サーボ用Z軸方向レーザ光を、前記加工用レーザ光照射手段から照射される加工用レーザ光と光軸が同一となる位置で、かつ、前記加工対象物に対して前記加工用レーザ光の照射方向とは反対方向から照射し、
前記Z軸方向レーザ光検出ステップは、前記加工用レーザ光を前記加工対象物に照射するための光路の途中に設けた分離用光学素子により、前記光路に入射したサーボ用Z軸方向レーザ光を前記光路から分離して前記Z軸方向レーザ光検出器の受光面に導くステップを含むことを特徴とするレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法。
【請求項15】
請求項12に記載のレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法において、
前記サーボ用レーザ光照射ステップは、
前記対物レンズにより前記加工用レーザ光と同程度に集光したレーザ光を前記サーボ用Z軸方向レーザ光として前記加工用レーザ光と同軸となる位置で前記加工対象物へ前記Z軸方向に照射するZ軸方向照射ステップと、
前記加工対象物の直径よりも大きな直径の平行レーザ光を前記サーボ用Y軸方向レーザ光として前記加工対象物へ前記Y軸方向に照射するY軸方向照射ステップとを含み、
前記Z軸方向レーザ光検出ステップは、前記サーボ用Z軸方向レーザ光の前記加工対象物からの反射光を前記Z軸方向レーザ光検出器の受光面に受けて、前記受光面における前記反射光の位置に応じた受光信号を出力し、
前記Y軸方向レーザ光検出ステップは、前記サーボ用Y軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影を前記Y軸方向レーザ光検出器の受光面に受けて、前記受光面における前記射影の位置に応じた受光信号を出力することを特徴とするレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法。
【請求項16】
請求項12乃至請求項15のうちのいずれか1つに記載のレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法において、
前記Z軸方向サーボステップは、
前記Y軸方向レーザ光検出器の受光面への入射光路にて前記Z軸方向に移動可能に設けられたサーボレーザ用リレーレンズを、前記Y軸方向レーザ光検出器の出力する受光信号に基づいて、前記サーボ用Y軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影が前記Y軸方向レーザ光検出器の受光面の中央に位置するように前記Z軸方向に駆動するとともに、前記サーボレーザ用リレーレンズの駆動と合わせて前記対物レンズを前記Z軸方向に駆動することを特徴とするレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法。
【請求項17】
請求項13乃至請求項15のうちのいずれか1つに記載のレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法において、
前記Y軸方向照射ステップは、
前記加工対象物の直径よりも大きな直径の平行レーザ光を第1サーボ用Y軸方向レーザ光として前記加工対象物へ前記Y軸方向に照射する第1Y軸方向照射ステップと、
前記加工対象物の直径よりも小さな直径に集光したレーザ光を第2サーボ用Y軸方向レーザ光として前記加工対象物へ前記Y軸方向に照射する第2Y軸方向照射ステップとを含み、
前記Y軸方向レーザ光検出ステップは、
前記第1サーボ用Y軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影を第1Y軸方向レーザ光検出器の受光面に受けて、前記受光面における前記射影の位置に応じた受光信号を出力する第1Y軸方向レーザ光検出ステップと、
前記第2サーボ用Y軸方向レーザ光の前記加工対象物からの反射光を第2Y軸方向レーザ光検出器の受光面に受けて、前記受光面における前記反射光の位置に応じた受光信号を出力する第2Y軸方向レーザ光検出ステップとを含み、
前記Z軸方向サーボステップは、
前記第1Y軸方向レーザ光検出器と前記第2Y軸方向レーザ光検出器との共通の入射光路にて前記Z軸方向に移動可能に設けられたサーボレーザ用リレーレンズを、前記第1サーボ用Y軸方向レーザ光を前記加工対象物に照射して形成される射影が前記第1Y軸方向レーザ光検出器の受光面の中央に位置するように前記Z軸方向に駆動するとともに、前記サーボレーザ用リレーレンズの駆動と合わせて前記対物レンズを前記Z軸方向に駆動する第1Z軸方向サーボステップと、
第1Z軸方向サーボステップの後に行われ、前記第2サーボ用Y軸方向レーザ光の前記加工対象物からの反射光が前記第2Y軸方向レーザ光検出器の受光面の中央に位置するように前記サーボレーザ用リレーレンズを駆動するとともに、前記サーボレーザ用リレーレンズの駆動と合わせて前記対物レンズを前記Z軸方向に駆動する第2Z軸方向サーボステップとを含むことを特徴とするレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法。
【請求項18】
請求項11に記載のレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法において、
前記サーボ用レーザ光照射ステップは、前記加工対象物の直径よりも大きな直径の平行レーザ光をサーボ用レーザ光として出射し、前記サーボ用レーザ光を前記サーボ用Z軸方向レーザ光と前記サーボ用Y軸方向レーザ光とに分離するステップを含み、
前記サーボ用レーザ光検出ステップは、前記サーボ用Z軸方向レーザ光と前記サーボ用Y軸方向レーザ光とを前記加工対象物に照射して形成されるそれぞれの射影が十字状にクロスするように合成し、受光領域が十字状に分割された受光面を有し、各受光領域ごとに光強度に応じた受光信号を出力するレーザ光検出器の前記受光面に、前記合成した射影を導くステップを含み、
前記サーボステップは、
前記レーザ光検出器の左右又は上下の受光領域における受光信号の差に基づいて、前記加工用レーザ光の光軸が前記加工対象物の中心軸と交差するように前記対物レンズを前記Y軸方向に駆動するY軸方向サーボステップと、
前記レーザ光検出器の上下又は左右の受光領域における受光信号の差に基づいて、前記加工対象物の表面に形成される光スポットの大きさが所定の大きさに保たれるように前記対物レンズを前記Z軸方向に駆動するZ軸方向サーボステップとを含むことを特徴とするレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法。
【請求項19】
請求項11乃至請求項18のうちのいずれか1つに記載のレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法において、
前記加工用レーザ光照射ステップにより前記加工対象物の表面に照射された加工用レーザ光の反射光の強度を検出し、前記検出した反射光の強度が基準値以下となる場合に、前記加工用レーザ光の照射位置が適正でないと判断する照射位置不適正判定ステップを含むことを特徴とするレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法。
【請求項20】
請求項11乃至請求項19のうちのいずれか1つに記載のレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法において、
前記加工対象物の表面に形成される光スポットは、前記X軸方向に長く、
前記加工対象物は、ステントに加工される円筒パイプであることを特徴とするレーザ加工装置のレーザ光照射位置制御方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2012−91186(P2012−91186A)
【公開日】平成24年5月17日(2012.5.17)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−238716(P2010−238716)
【出願日】平成22年10月25日(2010.10.25)
【出願人】(000112004)パルステック工業株式会社 (179)
【Fターム(参考)】