レーザ超音波検査装置およびレーザ超音波検査方法
【課題】周波数応答が高くて安価な撮像素子を利用できるレーザ超音波検査手法、または、分解能が低い安価な撮像素子を利用しても大きな光強度変化から小さな光強度変化まで検出することが可能なレーザ超音波検査手法を提供する。
【解決手段】レーザ超音波検査装置は、レーザ光源2と、レーザ光を照射レーザ光Iiとリファレンス用レーザ光Irとに分岐させるレーザ光分岐機構3と、照射レーザ光を被検査対象面1に照射するレーザ照射機構30と、被検査対象面1で反射した照射レーザ光を集光するレーザ集光機構31と、照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とを受光して干渉計測を行なうためのフォトリフラクティブ結晶6と、フォトリフラクティブ結晶6で干渉を受けたレーザ光の波長を変換する波長変換機構14と、波長が変換されたレーザ光を受光する受光機構13と、を有する。
【解決手段】レーザ超音波検査装置は、レーザ光源2と、レーザ光を照射レーザ光Iiとリファレンス用レーザ光Irとに分岐させるレーザ光分岐機構3と、照射レーザ光を被検査対象面1に照射するレーザ照射機構30と、被検査対象面1で反射した照射レーザ光を集光するレーザ集光機構31と、照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とを受光して干渉計測を行なうためのフォトリフラクティブ結晶6と、フォトリフラクティブ結晶6で干渉を受けたレーザ光の波長を変換する波長変換機構14と、波長が変換されたレーザ光を受光する受光機構13と、を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
この発明は被検査対象面にレーザ光を照射して非破壊で被検査対象面の欠陥などを検査するためのレーザ超音波検査装置およびレーザ超音波検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非破壊で検査を行なう手法として超音波探傷が挙げられる。超音波探傷は材料の特性や劣化を検出することができるため、様々な分野で広く使用されている。超音波探傷を行なう手段としては、圧電素子を用いる方法や、電磁気、レーザを用いた手法が挙げられる。これらの手法を用いてある対象を検査する場合、多くの場合は1点のみ計測を行なうのではなく、対象のある領域、若しくは全面に亘って広く検査することが求められることが多い。そのため、一般的には1つのセンサを走査させる方法や、センサをアレイ化して広い範囲の検査に対応しているのが現状である。
【0003】
そのような手法をさらに高度化した超音波検出手法として、レーザ光を用いた2次元計測手法が近年提案されている。レーザ光による2次元計測手法例として、スペックルを用いた計測手法が知られている(特許文献1)。これは、レーザ光を対象に照射した際に生じるスペックルを計測し、超音波を発生させた際に再度スペックルを計測し、2つのスペックルの差を取ることで、超音波の伝播によるスペックルの変化、すなわち超音波が対象内で受ける物性や劣化等の影響を計測することが可能になる技術である。
【0004】
また、フォトリフラクティブ効果を用いたレーザ光による2次元干渉計測手法も提案されている(特許文献2)。これは、図11に示すようにレーザ光源2から出射したレーザ光を、レーザ光分岐機構3により照射レーザ光Iiとリファレンス用レーザ光Irに分岐させ、照射レーザ光Iiが被検査対象物1の表面で反射して超音波成分を含んだレーザ光Isと、リファレンス用レーザ光Irを位相変調器4で変調させた2つのレーザ光をフォトリフラクティブ結晶6に入射させる。これにより、フォトリフラクティブ結晶6内部に回折格子が形成され、それにより干渉計測を行なう。干渉後のレーザ光Iは被検査対象物1の表面に照射した2次元形状像を保ちながら、その形状像を受光機構13で計測することが可能である。このように、2次元的な超音波信号の分布状態の計測が可能である。
【特許文献1】特開2004−101189号公報
【特許文献2】米国特許第 6,175,411号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1で提案されている手法は超音波を励起する前のデータを使用する必要があることから、1回の超音波送信で検査することができない問題がある。それに対して特許文献2に開示された方法は、一般的な超音波検査のように超音波信号そのものを検出する手法である。
【0006】
図11で示した計測装置において、超音波信号を検出するために干渉計測を可能にするフォトリフラクティブ結晶をBSO(Bismuth Silicon Oxide)結晶としている。この結晶は可視光に対して動作が可能であることを特徴としている。そのため、干渉信号を廉価なCCD(Charge Coupled Device)カメラで計測することが可能である。しかし、BSO結晶は干渉を行なうためにフォトリフラクティブ素子に回折格子を形成する応答時間が遅いという問題がある。これにより、干渉計測する際に計測可能な超音波信号の周波数に制限が生じることとなる。
【0007】
そのために、図11の位相変調器4によりリファレンス用レーザ光Irの位相を変調させ、実際に計測したい超音波信号による変調との差周波数を低くなるようにすることで、高い周波数を持った超音波の計測を可能にしている。しかし、位相変調器の多くは高価であることや、レーザ光により損傷する可能性があること、計測したい超音波信号の周波数をある程度事前に決定する必要があることなどの問題がある。
【0008】
また、BSO結晶は光学活性がある結晶のため、結晶内をレーザ光が透過する際に偏光が旋光する特徴がある。そのため、BSO結晶でフォトリフラクティブ効果を効率よく生じさせるために、偏光状態を調整する必要がある。そのため、光学素子配置が増加し、装置が複雑化すること、および、光学ロスが発生するため検出感度の低下につながる。
【0009】
このような問題があるにもかかわらず、BSO結晶を使用するのは次の理由による。すなわち、他の時定数の速いフォトリフラクティブ結晶にはInP、GaAs、または量子井戸型半導体などがあるがいずれも近赤外の波長に対してフォトリフラクティブ効果を持ち、可視光では使用が困難であるためである。可視でないことは、光学系の調整が困難であることに加えて、検出器に問題が生じる。現在汎用のCCDカメラやC−MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラの多くは、可視光を効率よく検出できるように設計されており、近赤外の波長に対してはCCDカメラの検出性能が低下する。また、近赤外用のCCDカメラは性能が悪いだけでなく、コスト的にも可視光用のCCDカメラに比べて高くて不利である。
【0010】
そこで、本発明の第一の課題は、周波数応答が高く、可視光用のCCDなどを使用することが可能なレーザ超音波検査手法を提供することである。
【0011】
一方、受光機構には、CCDカメラやC−MOSカメラが有力な候補であるが、それらにはダイナミックレンジの問題が生じる。CCDやC−MOSは高い画素分解能を持ち、数十万個から数百万個もの光検出器でリアルタイムに信号を収録することが可能であるが、光強度に対するダイナミックレンジは一般的なフォトダイオードを利用した場合に比べて悪いという問題がある。また、光信号を電気信号に変換後、デジタル信号として出力する際に、多くのCCDは8ビットの分解能、すなわち光強度がフルスケールに対して256階調という低分解能で変換される。そのため、暗い光から明るい光まで一度に検出をするのが困難である。
【0012】
これは、たとえば図11のような検査手法において問題が生じる。被検査対象1を上部から見た状態を想定するとき、超音波励起点Gに超音波を励起すると、発生した超音波は同心円状に伝播していく。この場合、超音波励起点Gの近傍で最も超音波振幅が大きく、伝播が進むにつれ距離減衰や材料特性による散乱・減衰が生じるため超音波振幅が小さくなっていく。すなわち、光強度変化が小さくなっていく。したがって、超音波励起点G近傍と、離れた場所では検出する光強度のダイナミックレンジが大きく異なる。そのため、超音波励起点近傍の光強度変化を検出すべくCCDの感度を調整すると、超音波励起点から離れた場所での光強度変化はCCDの分解能が低いことから光強度変化の検出分解能が低くなる問題がある。
【0013】
そこで、本発明の第二の課題は、分解能が低いCCDなどにおいても大きな光強度変化から小さな光強度変化まで検出することが可能なレーザ超音波検査手法を提供することである。
【0014】
本発明は上記第1または第2の課題を解決するものであって、その目的は、周波数応答が高くて安価なCCDなどの撮像素子を利用できるレーザ超音波検査手法、または、分解能が低い安価なCCDなどの撮像素子を利用しても大きな光強度変化から小さな光強度変化まで検出することが可能なレーザ超音波検査手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係るレーザ超音波検査装置の一つの態様は、レーザ光を発生させるレーザ光源と、前記レーザ光源で発生したレーザ光を照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とに分岐させるレーザ光分岐手段と、前記照射レーザ光を被検査対象面に照射するレーザ照射手段と、前記被検査対象面で反射した照射レーザ光を集光するレーザ集光手段と、前記レーザ集光手段を通った照射レーザ光と前記リファレンス用レーザ光とを受光して干渉計測を行なうためのフォトリフラクティブ結晶と、前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けたレーザ光の波長を変換する波長変換手段と、前記波長変換手段で波長が変換されたレーザ光を受光する受光手段と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るレーザ超音波検査装置の他の一つの態様は、レーザ光を発生させるレーザ光源と、前記レーザ光源で発生したレーザ光を照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とに分岐させるレーザ光分岐手段と、前記照射レーザ光を被検査対象面に照射するレーザ照射手段と、前記被検査対象面で反射した照射レーザ光を集光するレーザ集光手段と、前記レーザ集光手段を通った照射レーザ光と前記リファレンス用レーザ光とを受光して干渉計測を行なうためのフォトリフラクティブ結晶と、前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けたレーザ光のプロファイルを変化させるプロファイル制御手段と、前記プロファイル制御手段でプロファイルを変化したレーザ光を受光する受光手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るレーザ超音波検査方法の一つの態様は、レーザ光を発生させ、前記レーザ光を照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とに分岐させ、前記照射レーザ光を被検査対象面に照射して反射させ、前記被検査対象面で反射した照射レーザ光を集光し、前記集光された照射レーザ光と前記リファレンス用レーザ光とをフォトリフラクティブ結晶で受光して干渉計測を行ない、前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けたレーザ光の波長を変換し、前記波長が変換されたレーザ光を受光すること、を有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るレーザ超音波検査方法の他の一つの態様は、レーザ光を発生させ、前記レーザ光を照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とに分岐させ、前記照射レーザ光を被検査対象面に照射して反射させ、前記被検査対象面で反射した照射レーザ光を集光し、前記集光された照射レーザ光と前記リファレンス用レーザ光とをフォトリフラクティブ結晶で受光して干渉計測を行ない、前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けたレーザ光のプロファイルを変化させ、前記プロファイルが変化したレーザ光を受光すること、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、周波数応答が高くて安価なCCDなどの撮像素子を利用できるレーザ超音波検査手法、または、分解能が低い安価なCCDなどの撮像素子を利用しても大きな光強度変化から小さな光強度変化まで検出することが可能なレーザ超音波検査手法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係るレーザ超音波検査装置の実施形態について、図1ないし図10を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1を用いて本発明に係るレーザ超音波検査装置の第1の実施形態について説明する。ここで、図1は第1の実施形態のレーザ超音波検査装置を模式的に示す縦断面図である。
【0022】
第1の実施形態のレーザ超音波検査装置は、レーザ光源2と、レーザ光分岐機構3と、レーザ照射機構30と、レーザ集光機構31と、偏光子11と、フォトリフラクティブ結晶6と、波長変換素子14と、受光機構13とを有する。
【0023】
レーザ光源2は、被検査対象物1の表面にレーザ光Iiを照射させるためのもので、たとえば、1064nmの波長を持つ近赤外線領域のレーザ光を発光するものである。それ以外にフォトリフラクティブ結晶6に対して動作可能な波長をもつ他のレーザ光の波長も考えられる。また、レーザ光源2は連続光だけでなく、ピークパワーが高いパルスレーザ光を使用することも可能である。
【0024】
レーザ光源2から発射されたレーザ光はレーザ光分岐機構3に入射されて照射レーザ光Iiとリファレンス用レーザ光Irに分岐される。
【0025】
レーザ光分岐機構3で分岐した照射レーザ光Iiは、レーザ照射機構30で、観測したい2次元領域にレーザ光が照射されるように任意の形状に変えられて被検査対象物1の表面に照射される。レーザ照射機構30は、たとえば光学レンズ7および反射鏡8を含んでいる。
【0026】
照射レーザ光Iiが被検査対象物1の表面に照射されると、照射レーザ光Iiは表面の超音波振動により影響を受け、超音波成分を含んだ照射レーザ光Isとなって反射される。この超音波成分を含んだ照射レーザ光Isはレーザ集光機構31で集光される。レーザ集光機構31は、たとえば光学レンズ9、10を含んでいる。レーザ集光機構31は、レンズを組み合わせた機構のほか、ファイバにて像転送を行なうことが可能なイメージングファイバなどを使用することも可能である(図示せず)。
【0027】
レーザ集光機構31から出射した照射レーザ光Isは偏光子11を通ってフォトリフラクティブ結晶6に入射される。一方、レーザ光分岐機構3で分岐したリファレンス用レーザ光Irはそのままフォトリフラクティブ結晶6に入射される。フォトリフラクティブ結晶6は超音波成分を含んだ照射レーザ光Isとレーザ光Irとを干渉させる。すなわち、レーザ光Irとレーザ光Isがフォトリフラクティブ結晶4に照射されると、2つのレーザ光によりフォトリフラクティブ結晶内部に回折格子が形成される。この回折格子によって、超音波振動の影響を受けているIsは干渉を受け、干渉の影響を受けたレーザ光Iとなる。
【0028】
フォトリフラクティブ結晶6として使用できる結晶は、GaAs、GaP、InP系(たとえばInP:Fe)、CdTe系(たとえばCdTe:V)、量子井戸構造を持った素子(たとえばAlGaAs/GaAs)、などが挙げられる。
【0029】
フォトリフラクティブ結晶6で干渉を受けたレーザ光Iは波長変換素子14を通され、受光機構13が持つ最適な感度となる波長を持つレーザ光Iwに変換される。波長変換素子14は、好ましくは可視光の波長を持つレーザ光に変換することができる素子を使用するとし、たとえばBiBO系結晶、BBO系結晶、KTP系結晶、LBO系結晶、LiNbO系結晶などあり、また他の結晶も考えられる。
【0030】
波長変換素子14で波長変換されたレーザ光Iwは受光機構13で受光する。受光機構13は、CCDカメラやC−MOSカメラ、フォトダイオードアレイやその他2次元的に光を計測できる機構、またはリニアアレイセンサ等の1次元的に光を計測できる機構である。レーザ光Iwは空間的にプロファイルを持っていることから、受光機構13によって、被検査対象物1の表面の超音波の状態を一般的な点計測ではなく、1次元的または2次元的に計測することが可能である。
【0031】
つぎに、以上説明した実施形態の効果について説明する。
【0032】
一般に、フォトリフラクティブ素子としてBSO結晶など、可視光で動作する結晶を使用する場合、レーザ光が目視で確認できるため光学系の調整が容易である。また、使用できる受光機構13にCCDカメラやC−MOSカメラを使用する場合、それらの装置は可視光下での使用を想定している場合が多いため、可視光に最適化された機能を持っていること、および多彩な機能やコストの点からも可視光で動作するCCDやC−MOSカメラが優れていることから、可視光で動作する結晶を用いるのが適している。
【0033】
一方で、可視光で動作するBSO結晶は、回折格子を形成する応答速度が遅いという問題がある。そのため、回折格子が形成される時間が遅くなることから、高い周波数を持った超音波の計測に不向きである。また、BSO結晶が持つ光学活性は、結晶内部で伝播するレーザ光の偏光を変化させてしまう。そのため、光学素子配置が複雑になる。
【0034】
一方で、主に波長900nmから1500nmのレーザ光で動作することができるGaAs結晶やInP結晶、CdTe結晶などは、より速い応答速度を持っていることや、光学活性がないことから、BSO結晶より高い周波数を持った超音波の計測が容易になり、且つ光学素子配置を簡単にすることが可能である。
【0035】
そこで、レーザ光源2として、上記結晶を動作させることが可能な近赤外の波長(900nm〜1500nm)を持つレーザ光源を使用し、GaAs結晶やInP結晶、CdTe結晶などの結晶を用いることで速い応答速度を持つ干渉計とすることができる。干渉後のレーザ光Iは、そのままでは近赤外の波長を持つが、これを波長変換機構にて可視光波長を持つレーザ光Iwに変換することで、高機能、高感度の可視光用CCDカメラやC−MOSカメラを適用することができる。このように本実施の形態により、本発明における第一の課題である、周波数応答が高く、可視光用のCCDを使用することが可能なレーザ超音波検査手法を提供することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
図2を用いて本発明に係るレーザ超音波検査装置の第2の実施形態について説明する。ここで、図2は第2の実施形態のレーザ超音波検査装置を模式的に示す縦断面図である。この実施形態は、第1の実施形態(図1)の変形例であって、レーザ光分岐機構3で分岐したリファレンス用レーザ光Irがフォトリフラクティブ結晶6に入射される前に、位相変調器4を通過する構成となっている。この構成であっても、第1の実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0037】
(第3の実施形態)
図3を用いて本発明に係るレーザ超音波検査装置の第3の実施形態について説明する。ここで、図3は第3の実施形態のレーザ超音波検査装置を模式的に示す縦断面図である。
【0038】
第3の実施形態のレーザ超音波検査装置は、レーザ光源2と、レーザ光分岐機構3と、レーザ照射機構30と、レーザ集光機構31と、偏光子11と、フォトリフラクティブ結晶6と、波長変換素子14と、受光機構13とを有するほかに、アイソレータ19と、光学レンズ37と、反射鏡38とを有する。
【0039】
レーザ光源2から発射されたレーザ光はアイソレータ19を経て、レーザ光分岐機構3に入射され、照射レーザ光Iiとリファレンス用レーザ光Irに分岐される。
【0040】
レーザ光分岐機構3で分岐した照射レーザ光Iiはレーザ照射機構30で、観測したい2次元領域にレーザ光が照射されるように任意の形状に変えられて被検査対象物1の表面に照射される。この実施形態では、レーザ照射機構30は光学レンズ7と、偏光ビームスプリッタ17と、1/4波長板18とを有する。レーザ光分岐機構3で分岐した照射レーザ光Iiは光学レンズ7、偏光ビームスプリッタ17、1/4波長板18の順に通り、被検査対象物1に照射される。この実施形態では、照射レーザ光Iiが被検査対象物1の表面に対して垂直に入射される。
【0041】
被検査対象物1の表面に照射された照射レーザ光は、超音波振動により影響を受け、超音波成分を含んだ照射レーザ光Isとなって反射される。この超音波成分を含んだ照射レーザ光Isは、1/4波長板18を経て再び偏光ビームスプリッタ17に入射され、ここで向きを変えて、レーザ集光機構31で集光される。レーザ集光機構31は、たとえば光学レンズから構成されている。
【0042】
レーザ集光機構31から出射した照射レーザ光Isは偏光子11を通ってフォトリフラクティブ結晶6に入射される。一方、レーザ光分岐機構3で分岐したリファレンス用レーザ光Irは、光学レンズ37および反射鏡38を通ってフォトリフラクティブ結晶6に入射される。フォトリフラクティブ結晶6は超音波成分を含んだ照射レーザ光Isとレーザ光Irとを干渉させる。これにより、超音波振動の影響を受けているIsは干渉を受け、干渉の影響を受けたレーザ光Iとなる。
【0043】
レーザ光Iは波長変換素子14を通され、受光機構13が持つ最適な感度となる波長を持つレーザ光Iwに変換される。波長変換素子14で波長変換されたレーザ光Iwは受光機構13で受光する。
【0044】
この実施形態によれば、被検査対象物1に対して正対させてレーザ光を照射することができる。
【0045】
(第4の実施形態)
図4を用いて本発明に係るレーザ超音波検査装置の第4の実施形態について説明する。ここで、図4は第4の実施形態のレーザ超音波検査装置を模式的に示す縦断面図である。
【0046】
第4の実施形態は第2の実施形態(図2)の変形であって、可視光源15を有し、可視光源15から出射された可視光Vは、レーザ光分岐機構3で照射レーザ光Iiと重畳される。可視光源15としてはレーザ光源2で使用しているレーザ光の波長にできるだけ近い波長を持つ光源を使用すると、光学素子それぞれで受ける収差等の影響が小さいことから望ましい。
【0047】
第2の実施形態で、レーザ光源2を可視光の波長を持つレーザ光から、高速応答時間を持つフォトリフラクティブ結晶6が動作可能な近赤外の波長を持つレーザ光源にした際、レーザ光は多くの場合、目で見ることはできない。そのため、被検査対象物1の表面のどこにレーザ光Iiが照射されているか、または様々な箇所で使用されている光学素子の位置調整や、受光機構13で得る像の確認が困難になってしまう。
【0048】
この第4の実施形態では、可視光Vを可視光源15から出射し、レーザ光Iiとほぼ同じ光路となるように調整することで、これらの問題を解決できる。しかも、前述の第一の課題である周波数応答が高く、可視光用のCCDを使用することが可能なレーザ超音波検査手法を提供することができる。
【0049】
(第5の実施形態)
図5を用いて本発明に係るレーザ超音波検査装置の第5の実施形態について説明する。ここで、図5は第5の実施形態のレーザ超音波検査装置を模式的に示す縦断面図である。
【0050】
第5の実施形態は第2の実施形態(図2)の変形であって、第2の実施形態の波長変換素子14の代わりにプロファイル制御機構16を配置したものである。ここで、プロファイル制御機構16としては、ND(Neutral Density)フィルタ(減速フィルタ)や、フーリエレンズ、回折格子など、レーザ光Iのプロファイルを変化させることが可能なものである。干渉の影響を受けたレーザ光Iはプロファイル制御機構16によって、プロファイルを成形された干渉後のレーザ光I’に変化する。
【0051】
フォトリフラクティブ結晶6において干渉計測されたレーザ光Iは、計測された超音波のプロファイルに応じた強度プロファイルとなっている。そこで、プロファイルを持ったレーザ光Iをプロファイル制御機構16に透過させることで、そのプロファイルを変化させることが可能である。たとえば、超音波信号により得られたプロファイルが図7および図8に示すように同心円波形状である場合、プロファイル制御機構16を図9の実線40に示すような透過量をもつ機構とすると、出力されるレーザ光Iのプロファイルを図10のようにすることが可能である。
【0052】
また、フーリエレンズをプロファイル制御機構16として使用する場合、規則的な周期性を持つプロファイルをレーザ光Iが持っていた場合、その空間周波数に応じた2次元周波数変換結果としてレーザ光Iのプロファイルが変換されることとなる。
【0053】
一般に、たとえば図8ではCCDカメラのダイナミックレンジをR1に設定しなければならないが、この場合、R2部分の強度変化に対しては、分解能が低い部分で計測しなければならないため、低SNで計測せざるを得ない問題が生じる。一方、本実施形態によれば、図9のようなレーザ光の透過量を変化させることができるプロファイル制御機構16により、レーザ光Iのプロファイルを変化させることができ、レーザ光Iのプロファイルは図10のように変換される。変換されたレーザ光Iのプロファイルは、あるダイナミックレンジR3のみで、プロファイル分布を均一化することができるため、プロファイルの場所によって感度低下などを生じさせず、計測することが可能になる。
【0054】
また、プロファイル制御機構16をフーリエレンズとした場合、規則性のある超音波波形によるプロファイル変化は、規則性が破れた場合にいつもと違うレーザ光のプロファイル変化を出力することになり、プロファイル的に微少な変化でも、大きなプロファイルの変化に変換することが可能である。
【0055】
このように、本実施の形態により、本発明における第二の課題である、分解能が低いCCDにおいても大きな光強度変化から小さな光強度変化まで検出することが可能なレーザ超音波検査手法を提供することが可能である。
【0056】
(第6の実施形態)
図6を用いて本発明に係るレーザ超音波検査装置の第6の実施形態について説明する。ここで、図6は第6の実施形態のレーザ超音波検査装置を模式的に示す縦断面図である。
【0057】
第6の実施形態は第1の実施形態(図1)の変形または第5の実施形態(図5)の変形であって、第1の実施形態の波長変換素子14と受光機構13の間に、第5の実施形態と同様のプロファイル制御機構16を挿入した構成である。また、第5の実施形態の構成から位相変調器4を削除したものであるともいえる。この構成により、第5の実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0058】
(他の実施形態)
以上説明した各実施形態は単なる例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
たとえば、第6の実施形態の変形例として、プロファイル制御機構16を波長変換素子14の前に配置することもできる。
【0060】
また、第3または第4の実施形態のフォトリフラクティブ結晶6をプロファイル制御機構16で置き換えることや、第3または第4の実施形態のフォトリフラクティブ結晶6の前方または後方にプロファイル制御機構16を追加することなど、各実施形態の特徴を種々に組み合わせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第1の実施形態を模式的に示す縦断面図。
【図2】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第2の実施形態を模式的に示す縦断面図。
【図3】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第3の実施形態を模式的に示す縦断面図。
【図4】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第4の実施形態を模式的に示す縦断面図。
【図5】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第5の実施形態を模式的に示す縦断面図。
【図6】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第6の実施形態を模式的に示す縦断面図。
【図7】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第5の実施形態の効果を説明するための図であって、超音波信号の強度の2次元分布を明るさの分布として示すグラフ。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う強度分布のプロファイルを示すグラフ。
【図9】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第5の実施形態におけるプロファイル制御装置の透過量特性を示すグラフ。
【図10】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第5の実施形態において図9の特性を有するプロファイル制御装置に図8に示す信号を透過した後の強度分布のプロファイルを示すグラフ。
【図11】従来のレーザ超音波検査装置の一例を模式的に示す縦断面図。
【符号の説明】
【0062】
1 : 被検査対象物
2 : レーザ光源
3 : レーザ光分岐機構
4 : 位相変調器
5 : 偏光子
6 : フォトリフラクティブ結晶
7 : 光学レンズ
8 : 反射鏡
9 : 光学レンズ
10 : 光学レンズ
11、12 : 偏光子
13 : 受光機構
14 : 波長変換素子
15 : 可視光源
16 : プロファイル制御機構
17 : 偏光ビームスプリッタ
18 : 1/4波長板
19 : アイソレータ
30 : レーザ照射機構
31 : レーザ集光機構
37 : 光学レンズ
38 : 反射鏡
【技術分野】
【0001】
この発明は被検査対象面にレーザ光を照射して非破壊で被検査対象面の欠陥などを検査するためのレーザ超音波検査装置およびレーザ超音波検査方法に関する。
【背景技術】
【0002】
非破壊で検査を行なう手法として超音波探傷が挙げられる。超音波探傷は材料の特性や劣化を検出することができるため、様々な分野で広く使用されている。超音波探傷を行なう手段としては、圧電素子を用いる方法や、電磁気、レーザを用いた手法が挙げられる。これらの手法を用いてある対象を検査する場合、多くの場合は1点のみ計測を行なうのではなく、対象のある領域、若しくは全面に亘って広く検査することが求められることが多い。そのため、一般的には1つのセンサを走査させる方法や、センサをアレイ化して広い範囲の検査に対応しているのが現状である。
【0003】
そのような手法をさらに高度化した超音波検出手法として、レーザ光を用いた2次元計測手法が近年提案されている。レーザ光による2次元計測手法例として、スペックルを用いた計測手法が知られている(特許文献1)。これは、レーザ光を対象に照射した際に生じるスペックルを計測し、超音波を発生させた際に再度スペックルを計測し、2つのスペックルの差を取ることで、超音波の伝播によるスペックルの変化、すなわち超音波が対象内で受ける物性や劣化等の影響を計測することが可能になる技術である。
【0004】
また、フォトリフラクティブ効果を用いたレーザ光による2次元干渉計測手法も提案されている(特許文献2)。これは、図11に示すようにレーザ光源2から出射したレーザ光を、レーザ光分岐機構3により照射レーザ光Iiとリファレンス用レーザ光Irに分岐させ、照射レーザ光Iiが被検査対象物1の表面で反射して超音波成分を含んだレーザ光Isと、リファレンス用レーザ光Irを位相変調器4で変調させた2つのレーザ光をフォトリフラクティブ結晶6に入射させる。これにより、フォトリフラクティブ結晶6内部に回折格子が形成され、それにより干渉計測を行なう。干渉後のレーザ光Iは被検査対象物1の表面に照射した2次元形状像を保ちながら、その形状像を受光機構13で計測することが可能である。このように、2次元的な超音波信号の分布状態の計測が可能である。
【特許文献1】特開2004−101189号公報
【特許文献2】米国特許第 6,175,411号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
上述の特許文献1で提案されている手法は超音波を励起する前のデータを使用する必要があることから、1回の超音波送信で検査することができない問題がある。それに対して特許文献2に開示された方法は、一般的な超音波検査のように超音波信号そのものを検出する手法である。
【0006】
図11で示した計測装置において、超音波信号を検出するために干渉計測を可能にするフォトリフラクティブ結晶をBSO(Bismuth Silicon Oxide)結晶としている。この結晶は可視光に対して動作が可能であることを特徴としている。そのため、干渉信号を廉価なCCD(Charge Coupled Device)カメラで計測することが可能である。しかし、BSO結晶は干渉を行なうためにフォトリフラクティブ素子に回折格子を形成する応答時間が遅いという問題がある。これにより、干渉計測する際に計測可能な超音波信号の周波数に制限が生じることとなる。
【0007】
そのために、図11の位相変調器4によりリファレンス用レーザ光Irの位相を変調させ、実際に計測したい超音波信号による変調との差周波数を低くなるようにすることで、高い周波数を持った超音波の計測を可能にしている。しかし、位相変調器の多くは高価であることや、レーザ光により損傷する可能性があること、計測したい超音波信号の周波数をある程度事前に決定する必要があることなどの問題がある。
【0008】
また、BSO結晶は光学活性がある結晶のため、結晶内をレーザ光が透過する際に偏光が旋光する特徴がある。そのため、BSO結晶でフォトリフラクティブ効果を効率よく生じさせるために、偏光状態を調整する必要がある。そのため、光学素子配置が増加し、装置が複雑化すること、および、光学ロスが発生するため検出感度の低下につながる。
【0009】
このような問題があるにもかかわらず、BSO結晶を使用するのは次の理由による。すなわち、他の時定数の速いフォトリフラクティブ結晶にはInP、GaAs、または量子井戸型半導体などがあるがいずれも近赤外の波長に対してフォトリフラクティブ効果を持ち、可視光では使用が困難であるためである。可視でないことは、光学系の調整が困難であることに加えて、検出器に問題が生じる。現在汎用のCCDカメラやC−MOS(Complementary Metal Oxide Semiconductor)カメラの多くは、可視光を効率よく検出できるように設計されており、近赤外の波長に対してはCCDカメラの検出性能が低下する。また、近赤外用のCCDカメラは性能が悪いだけでなく、コスト的にも可視光用のCCDカメラに比べて高くて不利である。
【0010】
そこで、本発明の第一の課題は、周波数応答が高く、可視光用のCCDなどを使用することが可能なレーザ超音波検査手法を提供することである。
【0011】
一方、受光機構には、CCDカメラやC−MOSカメラが有力な候補であるが、それらにはダイナミックレンジの問題が生じる。CCDやC−MOSは高い画素分解能を持ち、数十万個から数百万個もの光検出器でリアルタイムに信号を収録することが可能であるが、光強度に対するダイナミックレンジは一般的なフォトダイオードを利用した場合に比べて悪いという問題がある。また、光信号を電気信号に変換後、デジタル信号として出力する際に、多くのCCDは8ビットの分解能、すなわち光強度がフルスケールに対して256階調という低分解能で変換される。そのため、暗い光から明るい光まで一度に検出をするのが困難である。
【0012】
これは、たとえば図11のような検査手法において問題が生じる。被検査対象1を上部から見た状態を想定するとき、超音波励起点Gに超音波を励起すると、発生した超音波は同心円状に伝播していく。この場合、超音波励起点Gの近傍で最も超音波振幅が大きく、伝播が進むにつれ距離減衰や材料特性による散乱・減衰が生じるため超音波振幅が小さくなっていく。すなわち、光強度変化が小さくなっていく。したがって、超音波励起点G近傍と、離れた場所では検出する光強度のダイナミックレンジが大きく異なる。そのため、超音波励起点近傍の光強度変化を検出すべくCCDの感度を調整すると、超音波励起点から離れた場所での光強度変化はCCDの分解能が低いことから光強度変化の検出分解能が低くなる問題がある。
【0013】
そこで、本発明の第二の課題は、分解能が低いCCDなどにおいても大きな光強度変化から小さな光強度変化まで検出することが可能なレーザ超音波検査手法を提供することである。
【0014】
本発明は上記第1または第2の課題を解決するものであって、その目的は、周波数応答が高くて安価なCCDなどの撮像素子を利用できるレーザ超音波検査手法、または、分解能が低い安価なCCDなどの撮像素子を利用しても大きな光強度変化から小さな光強度変化まで検出することが可能なレーザ超音波検査手法を提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0015】
上記目的を達成するために、本発明に係るレーザ超音波検査装置の一つの態様は、レーザ光を発生させるレーザ光源と、前記レーザ光源で発生したレーザ光を照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とに分岐させるレーザ光分岐手段と、前記照射レーザ光を被検査対象面に照射するレーザ照射手段と、前記被検査対象面で反射した照射レーザ光を集光するレーザ集光手段と、前記レーザ集光手段を通った照射レーザ光と前記リファレンス用レーザ光とを受光して干渉計測を行なうためのフォトリフラクティブ結晶と、前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けたレーザ光の波長を変換する波長変換手段と、前記波長変換手段で波長が変換されたレーザ光を受光する受光手段と、を有することを特徴とする。
【0016】
また、本発明に係るレーザ超音波検査装置の他の一つの態様は、レーザ光を発生させるレーザ光源と、前記レーザ光源で発生したレーザ光を照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とに分岐させるレーザ光分岐手段と、前記照射レーザ光を被検査対象面に照射するレーザ照射手段と、前記被検査対象面で反射した照射レーザ光を集光するレーザ集光手段と、前記レーザ集光手段を通った照射レーザ光と前記リファレンス用レーザ光とを受光して干渉計測を行なうためのフォトリフラクティブ結晶と、前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けたレーザ光のプロファイルを変化させるプロファイル制御手段と、前記プロファイル制御手段でプロファイルを変化したレーザ光を受光する受光手段と、を有することを特徴とする。
【0017】
また、本発明に係るレーザ超音波検査方法の一つの態様は、レーザ光を発生させ、前記レーザ光を照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とに分岐させ、前記照射レーザ光を被検査対象面に照射して反射させ、前記被検査対象面で反射した照射レーザ光を集光し、前記集光された照射レーザ光と前記リファレンス用レーザ光とをフォトリフラクティブ結晶で受光して干渉計測を行ない、前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けたレーザ光の波長を変換し、前記波長が変換されたレーザ光を受光すること、を有することを特徴とする。
【0018】
また、本発明に係るレーザ超音波検査方法の他の一つの態様は、レーザ光を発生させ、前記レーザ光を照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とに分岐させ、前記照射レーザ光を被検査対象面に照射して反射させ、前記被検査対象面で反射した照射レーザ光を集光し、前記集光された照射レーザ光と前記リファレンス用レーザ光とをフォトリフラクティブ結晶で受光して干渉計測を行ない、前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けたレーザ光のプロファイルを変化させ、前記プロファイルが変化したレーザ光を受光すること、を有することを特徴とする。
【発明の効果】
【0019】
本発明によれば、周波数応答が高くて安価なCCDなどの撮像素子を利用できるレーザ超音波検査手法、または、分解能が低い安価なCCDなどの撮像素子を利用しても大きな光強度変化から小さな光強度変化まで検出することが可能なレーザ超音波検査手法を提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0020】
以下、本発明に係るレーザ超音波検査装置の実施形態について、図1ないし図10を参照して説明する。ここで、互いに同一または類似の部分には共通の符号を付して、重複説明は省略する。
【0021】
(第1の実施形態)
図1を用いて本発明に係るレーザ超音波検査装置の第1の実施形態について説明する。ここで、図1は第1の実施形態のレーザ超音波検査装置を模式的に示す縦断面図である。
【0022】
第1の実施形態のレーザ超音波検査装置は、レーザ光源2と、レーザ光分岐機構3と、レーザ照射機構30と、レーザ集光機構31と、偏光子11と、フォトリフラクティブ結晶6と、波長変換素子14と、受光機構13とを有する。
【0023】
レーザ光源2は、被検査対象物1の表面にレーザ光Iiを照射させるためのもので、たとえば、1064nmの波長を持つ近赤外線領域のレーザ光を発光するものである。それ以外にフォトリフラクティブ結晶6に対して動作可能な波長をもつ他のレーザ光の波長も考えられる。また、レーザ光源2は連続光だけでなく、ピークパワーが高いパルスレーザ光を使用することも可能である。
【0024】
レーザ光源2から発射されたレーザ光はレーザ光分岐機構3に入射されて照射レーザ光Iiとリファレンス用レーザ光Irに分岐される。
【0025】
レーザ光分岐機構3で分岐した照射レーザ光Iiは、レーザ照射機構30で、観測したい2次元領域にレーザ光が照射されるように任意の形状に変えられて被検査対象物1の表面に照射される。レーザ照射機構30は、たとえば光学レンズ7および反射鏡8を含んでいる。
【0026】
照射レーザ光Iiが被検査対象物1の表面に照射されると、照射レーザ光Iiは表面の超音波振動により影響を受け、超音波成分を含んだ照射レーザ光Isとなって反射される。この超音波成分を含んだ照射レーザ光Isはレーザ集光機構31で集光される。レーザ集光機構31は、たとえば光学レンズ9、10を含んでいる。レーザ集光機構31は、レンズを組み合わせた機構のほか、ファイバにて像転送を行なうことが可能なイメージングファイバなどを使用することも可能である(図示せず)。
【0027】
レーザ集光機構31から出射した照射レーザ光Isは偏光子11を通ってフォトリフラクティブ結晶6に入射される。一方、レーザ光分岐機構3で分岐したリファレンス用レーザ光Irはそのままフォトリフラクティブ結晶6に入射される。フォトリフラクティブ結晶6は超音波成分を含んだ照射レーザ光Isとレーザ光Irとを干渉させる。すなわち、レーザ光Irとレーザ光Isがフォトリフラクティブ結晶4に照射されると、2つのレーザ光によりフォトリフラクティブ結晶内部に回折格子が形成される。この回折格子によって、超音波振動の影響を受けているIsは干渉を受け、干渉の影響を受けたレーザ光Iとなる。
【0028】
フォトリフラクティブ結晶6として使用できる結晶は、GaAs、GaP、InP系(たとえばInP:Fe)、CdTe系(たとえばCdTe:V)、量子井戸構造を持った素子(たとえばAlGaAs/GaAs)、などが挙げられる。
【0029】
フォトリフラクティブ結晶6で干渉を受けたレーザ光Iは波長変換素子14を通され、受光機構13が持つ最適な感度となる波長を持つレーザ光Iwに変換される。波長変換素子14は、好ましくは可視光の波長を持つレーザ光に変換することができる素子を使用するとし、たとえばBiBO系結晶、BBO系結晶、KTP系結晶、LBO系結晶、LiNbO系結晶などあり、また他の結晶も考えられる。
【0030】
波長変換素子14で波長変換されたレーザ光Iwは受光機構13で受光する。受光機構13は、CCDカメラやC−MOSカメラ、フォトダイオードアレイやその他2次元的に光を計測できる機構、またはリニアアレイセンサ等の1次元的に光を計測できる機構である。レーザ光Iwは空間的にプロファイルを持っていることから、受光機構13によって、被検査対象物1の表面の超音波の状態を一般的な点計測ではなく、1次元的または2次元的に計測することが可能である。
【0031】
つぎに、以上説明した実施形態の効果について説明する。
【0032】
一般に、フォトリフラクティブ素子としてBSO結晶など、可視光で動作する結晶を使用する場合、レーザ光が目視で確認できるため光学系の調整が容易である。また、使用できる受光機構13にCCDカメラやC−MOSカメラを使用する場合、それらの装置は可視光下での使用を想定している場合が多いため、可視光に最適化された機能を持っていること、および多彩な機能やコストの点からも可視光で動作するCCDやC−MOSカメラが優れていることから、可視光で動作する結晶を用いるのが適している。
【0033】
一方で、可視光で動作するBSO結晶は、回折格子を形成する応答速度が遅いという問題がある。そのため、回折格子が形成される時間が遅くなることから、高い周波数を持った超音波の計測に不向きである。また、BSO結晶が持つ光学活性は、結晶内部で伝播するレーザ光の偏光を変化させてしまう。そのため、光学素子配置が複雑になる。
【0034】
一方で、主に波長900nmから1500nmのレーザ光で動作することができるGaAs結晶やInP結晶、CdTe結晶などは、より速い応答速度を持っていることや、光学活性がないことから、BSO結晶より高い周波数を持った超音波の計測が容易になり、且つ光学素子配置を簡単にすることが可能である。
【0035】
そこで、レーザ光源2として、上記結晶を動作させることが可能な近赤外の波長(900nm〜1500nm)を持つレーザ光源を使用し、GaAs結晶やInP結晶、CdTe結晶などの結晶を用いることで速い応答速度を持つ干渉計とすることができる。干渉後のレーザ光Iは、そのままでは近赤外の波長を持つが、これを波長変換機構にて可視光波長を持つレーザ光Iwに変換することで、高機能、高感度の可視光用CCDカメラやC−MOSカメラを適用することができる。このように本実施の形態により、本発明における第一の課題である、周波数応答が高く、可視光用のCCDを使用することが可能なレーザ超音波検査手法を提供することができる。
【0036】
(第2の実施形態)
図2を用いて本発明に係るレーザ超音波検査装置の第2の実施形態について説明する。ここで、図2は第2の実施形態のレーザ超音波検査装置を模式的に示す縦断面図である。この実施形態は、第1の実施形態(図1)の変形例であって、レーザ光分岐機構3で分岐したリファレンス用レーザ光Irがフォトリフラクティブ結晶6に入射される前に、位相変調器4を通過する構成となっている。この構成であっても、第1の実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0037】
(第3の実施形態)
図3を用いて本発明に係るレーザ超音波検査装置の第3の実施形態について説明する。ここで、図3は第3の実施形態のレーザ超音波検査装置を模式的に示す縦断面図である。
【0038】
第3の実施形態のレーザ超音波検査装置は、レーザ光源2と、レーザ光分岐機構3と、レーザ照射機構30と、レーザ集光機構31と、偏光子11と、フォトリフラクティブ結晶6と、波長変換素子14と、受光機構13とを有するほかに、アイソレータ19と、光学レンズ37と、反射鏡38とを有する。
【0039】
レーザ光源2から発射されたレーザ光はアイソレータ19を経て、レーザ光分岐機構3に入射され、照射レーザ光Iiとリファレンス用レーザ光Irに分岐される。
【0040】
レーザ光分岐機構3で分岐した照射レーザ光Iiはレーザ照射機構30で、観測したい2次元領域にレーザ光が照射されるように任意の形状に変えられて被検査対象物1の表面に照射される。この実施形態では、レーザ照射機構30は光学レンズ7と、偏光ビームスプリッタ17と、1/4波長板18とを有する。レーザ光分岐機構3で分岐した照射レーザ光Iiは光学レンズ7、偏光ビームスプリッタ17、1/4波長板18の順に通り、被検査対象物1に照射される。この実施形態では、照射レーザ光Iiが被検査対象物1の表面に対して垂直に入射される。
【0041】
被検査対象物1の表面に照射された照射レーザ光は、超音波振動により影響を受け、超音波成分を含んだ照射レーザ光Isとなって反射される。この超音波成分を含んだ照射レーザ光Isは、1/4波長板18を経て再び偏光ビームスプリッタ17に入射され、ここで向きを変えて、レーザ集光機構31で集光される。レーザ集光機構31は、たとえば光学レンズから構成されている。
【0042】
レーザ集光機構31から出射した照射レーザ光Isは偏光子11を通ってフォトリフラクティブ結晶6に入射される。一方、レーザ光分岐機構3で分岐したリファレンス用レーザ光Irは、光学レンズ37および反射鏡38を通ってフォトリフラクティブ結晶6に入射される。フォトリフラクティブ結晶6は超音波成分を含んだ照射レーザ光Isとレーザ光Irとを干渉させる。これにより、超音波振動の影響を受けているIsは干渉を受け、干渉の影響を受けたレーザ光Iとなる。
【0043】
レーザ光Iは波長変換素子14を通され、受光機構13が持つ最適な感度となる波長を持つレーザ光Iwに変換される。波長変換素子14で波長変換されたレーザ光Iwは受光機構13で受光する。
【0044】
この実施形態によれば、被検査対象物1に対して正対させてレーザ光を照射することができる。
【0045】
(第4の実施形態)
図4を用いて本発明に係るレーザ超音波検査装置の第4の実施形態について説明する。ここで、図4は第4の実施形態のレーザ超音波検査装置を模式的に示す縦断面図である。
【0046】
第4の実施形態は第2の実施形態(図2)の変形であって、可視光源15を有し、可視光源15から出射された可視光Vは、レーザ光分岐機構3で照射レーザ光Iiと重畳される。可視光源15としてはレーザ光源2で使用しているレーザ光の波長にできるだけ近い波長を持つ光源を使用すると、光学素子それぞれで受ける収差等の影響が小さいことから望ましい。
【0047】
第2の実施形態で、レーザ光源2を可視光の波長を持つレーザ光から、高速応答時間を持つフォトリフラクティブ結晶6が動作可能な近赤外の波長を持つレーザ光源にした際、レーザ光は多くの場合、目で見ることはできない。そのため、被検査対象物1の表面のどこにレーザ光Iiが照射されているか、または様々な箇所で使用されている光学素子の位置調整や、受光機構13で得る像の確認が困難になってしまう。
【0048】
この第4の実施形態では、可視光Vを可視光源15から出射し、レーザ光Iiとほぼ同じ光路となるように調整することで、これらの問題を解決できる。しかも、前述の第一の課題である周波数応答が高く、可視光用のCCDを使用することが可能なレーザ超音波検査手法を提供することができる。
【0049】
(第5の実施形態)
図5を用いて本発明に係るレーザ超音波検査装置の第5の実施形態について説明する。ここで、図5は第5の実施形態のレーザ超音波検査装置を模式的に示す縦断面図である。
【0050】
第5の実施形態は第2の実施形態(図2)の変形であって、第2の実施形態の波長変換素子14の代わりにプロファイル制御機構16を配置したものである。ここで、プロファイル制御機構16としては、ND(Neutral Density)フィルタ(減速フィルタ)や、フーリエレンズ、回折格子など、レーザ光Iのプロファイルを変化させることが可能なものである。干渉の影響を受けたレーザ光Iはプロファイル制御機構16によって、プロファイルを成形された干渉後のレーザ光I’に変化する。
【0051】
フォトリフラクティブ結晶6において干渉計測されたレーザ光Iは、計測された超音波のプロファイルに応じた強度プロファイルとなっている。そこで、プロファイルを持ったレーザ光Iをプロファイル制御機構16に透過させることで、そのプロファイルを変化させることが可能である。たとえば、超音波信号により得られたプロファイルが図7および図8に示すように同心円波形状である場合、プロファイル制御機構16を図9の実線40に示すような透過量をもつ機構とすると、出力されるレーザ光Iのプロファイルを図10のようにすることが可能である。
【0052】
また、フーリエレンズをプロファイル制御機構16として使用する場合、規則的な周期性を持つプロファイルをレーザ光Iが持っていた場合、その空間周波数に応じた2次元周波数変換結果としてレーザ光Iのプロファイルが変換されることとなる。
【0053】
一般に、たとえば図8ではCCDカメラのダイナミックレンジをR1に設定しなければならないが、この場合、R2部分の強度変化に対しては、分解能が低い部分で計測しなければならないため、低SNで計測せざるを得ない問題が生じる。一方、本実施形態によれば、図9のようなレーザ光の透過量を変化させることができるプロファイル制御機構16により、レーザ光Iのプロファイルを変化させることができ、レーザ光Iのプロファイルは図10のように変換される。変換されたレーザ光Iのプロファイルは、あるダイナミックレンジR3のみで、プロファイル分布を均一化することができるため、プロファイルの場所によって感度低下などを生じさせず、計測することが可能になる。
【0054】
また、プロファイル制御機構16をフーリエレンズとした場合、規則性のある超音波波形によるプロファイル変化は、規則性が破れた場合にいつもと違うレーザ光のプロファイル変化を出力することになり、プロファイル的に微少な変化でも、大きなプロファイルの変化に変換することが可能である。
【0055】
このように、本実施の形態により、本発明における第二の課題である、分解能が低いCCDにおいても大きな光強度変化から小さな光強度変化まで検出することが可能なレーザ超音波検査手法を提供することが可能である。
【0056】
(第6の実施形態)
図6を用いて本発明に係るレーザ超音波検査装置の第6の実施形態について説明する。ここで、図6は第6の実施形態のレーザ超音波検査装置を模式的に示す縦断面図である。
【0057】
第6の実施形態は第1の実施形態(図1)の変形または第5の実施形態(図5)の変形であって、第1の実施形態の波長変換素子14と受光機構13の間に、第5の実施形態と同様のプロファイル制御機構16を挿入した構成である。また、第5の実施形態の構成から位相変調器4を削除したものであるともいえる。この構成により、第5の実施形態と同様の作用・効果を得ることができる。
【0058】
(他の実施形態)
以上説明した各実施形態は単なる例示であって、本発明はこれらに限定されるものではない。
【0059】
たとえば、第6の実施形態の変形例として、プロファイル制御機構16を波長変換素子14の前に配置することもできる。
【0060】
また、第3または第4の実施形態のフォトリフラクティブ結晶6をプロファイル制御機構16で置き換えることや、第3または第4の実施形態のフォトリフラクティブ結晶6の前方または後方にプロファイル制御機構16を追加することなど、各実施形態の特徴を種々に組み合わせることもできる。
【図面の簡単な説明】
【0061】
【図1】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第1の実施形態を模式的に示す縦断面図。
【図2】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第2の実施形態を模式的に示す縦断面図。
【図3】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第3の実施形態を模式的に示す縦断面図。
【図4】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第4の実施形態を模式的に示す縦断面図。
【図5】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第5の実施形態を模式的に示す縦断面図。
【図6】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第6の実施形態を模式的に示す縦断面図。
【図7】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第5の実施形態の効果を説明するための図であって、超音波信号の強度の2次元分布を明るさの分布として示すグラフ。
【図8】図7のVIII−VIII線に沿う強度分布のプロファイルを示すグラフ。
【図9】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第5の実施形態におけるプロファイル制御装置の透過量特性を示すグラフ。
【図10】本発明に係るレーザ超音波検査装置の第5の実施形態において図9の特性を有するプロファイル制御装置に図8に示す信号を透過した後の強度分布のプロファイルを示すグラフ。
【図11】従来のレーザ超音波検査装置の一例を模式的に示す縦断面図。
【符号の説明】
【0062】
1 : 被検査対象物
2 : レーザ光源
3 : レーザ光分岐機構
4 : 位相変調器
5 : 偏光子
6 : フォトリフラクティブ結晶
7 : 光学レンズ
8 : 反射鏡
9 : 光学レンズ
10 : 光学レンズ
11、12 : 偏光子
13 : 受光機構
14 : 波長変換素子
15 : 可視光源
16 : プロファイル制御機構
17 : 偏光ビームスプリッタ
18 : 1/4波長板
19 : アイソレータ
30 : レーザ照射機構
31 : レーザ集光機構
37 : 光学レンズ
38 : 反射鏡
【特許請求の範囲】
【請求項1】
レーザ光を発生させるレーザ光源と、
前記レーザ光源で発生したレーザ光を照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とに分岐させるレーザ光分岐手段と、
前記照射レーザ光を被検査対象面に照射するレーザ照射手段と、
前記被検査対象面で反射した照射レーザ光を集光するレーザ集光手段と、
前記レーザ集光手段を通った照射レーザ光と前記リファレンス用レーザ光とを受光して干渉計測を行なうためのフォトリフラクティブ結晶と、
前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けたレーザ光の波長を変換する波長変換手段と、
前記波長変換手段で波長が変換されたレーザ光を受光する受光手段と、
を有することを特徴とするレーザ超音波検査装置。
【請求項2】
前記レーザ光源で発生するレーザ光は近赤外の波長のレーザ光であって、前記波長変換手段は、赤外線領域の波長のレーザ光を可視光領域の波長のレーザ光に変換するものであること、を特徴とする請求項1に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項3】
前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けて前記受光手段に入射される前のレーザ光のプロファイルを変化させるプロファイル制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項4】
レーザ光を発生させるレーザ光源と、
前記レーザ光源で発生したレーザ光を照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とに分岐させるレーザ光分岐手段と、
前記照射レーザ光を被検査対象面に照射するレーザ照射手段と、
前記被検査対象面で反射した照射レーザ光を集光するレーザ集光手段と、
前記レーザ集光手段を通った照射レーザ光と前記リファレンス用レーザ光とを受光して干渉計測を行なうためのフォトリフラクティブ結晶と、
前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けたレーザ光のプロファイルを変化させるプロファイル制御手段と、
前記プロファイル制御手段でプロファイルを変化したレーザ光を受光する受光手段と、
を有することを特徴とするレーザ超音波検査装置。
【請求項5】
前記プロファイル制御手段はNDフィルタを含むことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項6】
前記プロファイル制御手段はフーリエレンズを含むことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項7】
前記レーザ光源がパルスレーザ光源であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項8】
前記レーザ光分岐手段で分岐した前記照射レーザ光に位相変調を行なって前記フォトリフラクティブ結晶に受光させる位相変調手段をさらに有することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項9】
前記レーザ照射手段は偏光ビームスプリッタを含み、
前記被検査対象面で反射した照射レーザ光が前記偏光ビームスプリッタを通って前記レーザ集光手段へ入射されるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項10】
前記レーザ光分岐手段および前記レーザ照射手段を通して前記照射レーザ光に重ねて前記被検査対象面に可視光を照射する可視光源をさらに有することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項11】
前記受光手段は可視光用CCDカメラまたはC−MOSカメラを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項12】
レーザ光を発生させ、
前記レーザ光を照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とに分岐させ、
前記照射レーザ光を被検査対象面に照射して反射させ、
前記被検査対象面で反射した照射レーザ光を集光し、
前記集光された照射レーザ光と前記リファレンス用レーザ光とをフォトリフラクティブ結晶で受光して干渉計測を行ない、
前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けたレーザ光の波長を変換し、
前記波長が変換されたレーザ光を受光すること、
を有することを特徴とするレーザ超音波検査方法。
【請求項13】
レーザ光を発生させ、
前記レーザ光を照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とに分岐させ、
前記照射レーザ光を被検査対象面に照射して反射させ、
前記被検査対象面で反射した照射レーザ光を集光し、
前記集光された照射レーザ光と前記リファレンス用レーザ光とをフォトリフラクティブ結晶で受光して干渉計測を行ない、
前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けたレーザ光のプロファイルを変化させ、
前記プロファイルが変化したレーザ光を受光すること、
を有することを特徴とするレーザ超音波検査方法。
【請求項1】
レーザ光を発生させるレーザ光源と、
前記レーザ光源で発生したレーザ光を照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とに分岐させるレーザ光分岐手段と、
前記照射レーザ光を被検査対象面に照射するレーザ照射手段と、
前記被検査対象面で反射した照射レーザ光を集光するレーザ集光手段と、
前記レーザ集光手段を通った照射レーザ光と前記リファレンス用レーザ光とを受光して干渉計測を行なうためのフォトリフラクティブ結晶と、
前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けたレーザ光の波長を変換する波長変換手段と、
前記波長変換手段で波長が変換されたレーザ光を受光する受光手段と、
を有することを特徴とするレーザ超音波検査装置。
【請求項2】
前記レーザ光源で発生するレーザ光は近赤外の波長のレーザ光であって、前記波長変換手段は、赤外線領域の波長のレーザ光を可視光領域の波長のレーザ光に変換するものであること、を特徴とする請求項1に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項3】
前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けて前記受光手段に入射される前のレーザ光のプロファイルを変化させるプロファイル制御手段をさらに有することを特徴とする請求項1または請求項2に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項4】
レーザ光を発生させるレーザ光源と、
前記レーザ光源で発生したレーザ光を照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とに分岐させるレーザ光分岐手段と、
前記照射レーザ光を被検査対象面に照射するレーザ照射手段と、
前記被検査対象面で反射した照射レーザ光を集光するレーザ集光手段と、
前記レーザ集光手段を通った照射レーザ光と前記リファレンス用レーザ光とを受光して干渉計測を行なうためのフォトリフラクティブ結晶と、
前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けたレーザ光のプロファイルを変化させるプロファイル制御手段と、
前記プロファイル制御手段でプロファイルを変化したレーザ光を受光する受光手段と、
を有することを特徴とするレーザ超音波検査装置。
【請求項5】
前記プロファイル制御手段はNDフィルタを含むことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項6】
前記プロファイル制御手段はフーリエレンズを含むことを特徴とする請求項3または請求項4に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項7】
前記レーザ光源がパルスレーザ光源であることを特徴とする請求項1ないし請求項6のいずれか一項に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項8】
前記レーザ光分岐手段で分岐した前記照射レーザ光に位相変調を行なって前記フォトリフラクティブ結晶に受光させる位相変調手段をさらに有することを特徴とする請求項1ないし請求項7のいずれか一項に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項9】
前記レーザ照射手段は偏光ビームスプリッタを含み、
前記被検査対象面で反射した照射レーザ光が前記偏光ビームスプリッタを通って前記レーザ集光手段へ入射されるように構成されていることを特徴とする請求項1ないし請求項8のいずれか一項に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項10】
前記レーザ光分岐手段および前記レーザ照射手段を通して前記照射レーザ光に重ねて前記被検査対象面に可視光を照射する可視光源をさらに有することを特徴とする請求項1ないし請求項9のいずれか一項に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項11】
前記受光手段は可視光用CCDカメラまたはC−MOSカメラを含むことを特徴とする請求項1ないし請求項10のいずれか一項に記載のレーザ超音波検査装置。
【請求項12】
レーザ光を発生させ、
前記レーザ光を照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とに分岐させ、
前記照射レーザ光を被検査対象面に照射して反射させ、
前記被検査対象面で反射した照射レーザ光を集光し、
前記集光された照射レーザ光と前記リファレンス用レーザ光とをフォトリフラクティブ結晶で受光して干渉計測を行ない、
前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けたレーザ光の波長を変換し、
前記波長が変換されたレーザ光を受光すること、
を有することを特徴とするレーザ超音波検査方法。
【請求項13】
レーザ光を発生させ、
前記レーザ光を照射レーザ光とリファレンス用レーザ光とに分岐させ、
前記照射レーザ光を被検査対象面に照射して反射させ、
前記被検査対象面で反射した照射レーザ光を集光し、
前記集光された照射レーザ光と前記リファレンス用レーザ光とをフォトリフラクティブ結晶で受光して干渉計測を行ない、
前記フォトリフラクティブ結晶で干渉を受けたレーザ光のプロファイルを変化させ、
前記プロファイルが変化したレーザ光を受光すること、
を有することを特徴とするレーザ超音波検査方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2010−38880(P2010−38880A)
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−205622(P2008−205622)
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成22年2月18日(2010.2.18)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年8月8日(2008.8.8)
【出願人】(000003078)株式会社東芝 (54,554)
【Fターム(参考)】
[ Back to top ]