説明

ローラの位置決め機構

【課題】簡単な構成でローラの位置決めを行うことができるローラ位置決め機構を提供する。
【解決手段】第1ローラ10と、第1ローラ10の回転に追従して回転する第2ローラ20と、第1ローラ10を軸支する支持軸30とを有し、第1ローラ10は支持軸30に軸通され、第1ローラ10を軸線方向にスライドさせて支持軸30から着脱可能とし、第1ローラ10と支持軸30には、支持軸30に第1ローラ10を装着した時に、第1ローラ10の軸心の位置決めを行う位置決め機構40が設けられている。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ローラの位置決め機構に関する。
【背景技術】
【0002】
普通紙等の転写材にカラー画像を出力する場合、黄、シアン、マゼンダ、黒色のトナーを用いて行う。具体的な構成として、一般的には、4本の感光ドラムに各色それぞれのトナーで可視像を作り順に転写してカラー画像を得るものがある。この時、転写材には、各色の可視像が重ねられ補色が作られる。
【0003】
転写材に高画質なカラー画像を得るためには、各色のトナーの精度のよい重なりが重要になる。その重なり精度は40μ以下が要求される。そのために4色の感光ドラム周速が同じであることが要求される。
【0004】
理由は、各感光ドラムに周速差があると、転写材に、各感光ドラムに形成された可視像を摺り合わせることが悪くなるからである。このため、感光ドラムを支持する構成として特許文献1のようなものが開示されている。
【0005】
特許文献1は、感光体ドラム部Aとハウジング部Bと感光体ドラムユニットCと画像形成装置本体Dとからなる。感光ドラム部Aは、両切りタイプの感光体ドラム1と、この感光体ドラム1を両端側から狭持する感光体支持部材2とから形成される。
【0006】
ハウジング部Bは、感光体ドラム1をクリーニングするクリーニング装置9と、感光体ドラム1を除電する除電装置10と、感光体ドラム1を帯電する帯電装置11とを備え、感光体ドラム部Aを両端から保持する前後フランジ3a、3bが設けられている。
【0007】
画像形成装置本体Dは感光体Aを回転駆動する駆動軸15が配設され、感光体ドラム部Aが支持された感光体ドラムユニットCを収容する。
【0008】
以上の構成により、画像形成装置本体Dから感光ドラム部Aを装着する場合には、一旦、感光体ドラム支持部材2により感光体ドラム1を仮止めの状態で保持する。次いで、感光体ドラムユニットCに設けられたすべり軸受7a、7bに駆動軸15を挿入して、感光ドラム部Aの装着が完了する。
【0009】
【特許文献1】特開平5−289588号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
しかし、特許文献1に示されている構成は、複雑であるため、部品点数が多くなる。また部品点数が多くなることにより、製造原価が高くなる。
【課題を解決するための手段】
【0011】
上記問題を解決するために、本発明は、請求項1の発明においては、第1ローラと、第1ローラの回転に追従して回転する第2ローラと、第1ローラを軸支する支持軸とを有し、第1ローラは支持軸に軸通され、第1ローラを軸線方向にスライドさせて支持軸から着脱可能とし、第1ローラと支持軸には、支持軸に第1ローラを装着した時に、第1ローラの軸心の位置決めを行う位置決め機構が設けられたことを特徴とする。
【0012】
請求項2の発明は、位置決め機構は、支持軸に軸通される一方の第1ローラ側に設けられた取付部と、第1ローラを装着した時に該取付部を受ける支持軸に設けられた受部とからなることを特徴とする。また請求項3の発明は、第1ローラおよび第2ローラの両側には、各々第1ローラの回転を第2ローラに伝達する伝達手段が設けられていることを特徴とする。
【0013】
さらに、請求項4の発明は、伝達手段を、第1ローラに設けられた第1ギアと、該第1ギアと噛み合う第2ローラに設けられた第2ギアとし、第1ギアおよび第2ギアには、支持軸方向に、ねじ山が形成されていることを特徴とする。
【0014】
請求項5の発明は、第1ギアと第2ギアはハス歯歯車であることを特徴し、請求項6記載の発明は、第1ギアを、第1ローラの両側には設けられたフランジに配置したことを特徴とする。
【0015】
請求項7記載の発明は、支持軸に第1ローラを装着した時に、位置決め機構の第1ローラの軸心の位置決め作用と、第2ギアに第1ギアを噛み合わせた歯圧とにより第1ローラの軸心の位置を固定することを特徴とする。
【0016】
請求項8記載の発明は、支持軸を、第1ローラを回転させる駆動源に連結させ、取付部を、駆動源側に配置することを特徴とする。請求項9記載の発明は、位置決め機構を、取付部をフランジに設けられた凸部とし、さらに、受部を該凸部に嵌合する形状をなすことを特徴とする。
【0017】
請求項10記載の発明は、第1ローラを、入力した画像データ等を光信号に変換し表面に静電潜像を形成する感光ドラムとし、第2ローラを、第1ローラに形成された静電潜像を現像する現像ローラとすることを特徴とする。
【発明の効果】
【0018】
請求項1は、第1ローラと支持軸には、支持軸に第1ローラを装着した時に、第1ローラの軸心の位置決めを行う位置決め機構を設けることにより、簡単な構成で第1ローラの軸心の位置決めを行うことができる。
【0019】
請求項2は、位置決め機構を、支持軸に軸通される一方の第1ローラ側に設けられた取付部と、第1ローラを装着した時に該取付部を受ける支持軸に設けられた受部とで構成することにより、この位置決め機構を具体化して、第1ローラの軸心の位置決めを行うことができる。
【0020】
請求項3は、第1ローラおよび第2ローラの両側に、各々第1ローラの回転を第2ローラに伝達する伝達手段を設けることにより、第1ローラの回転を第2ローラに伝達することができる。
【0021】
請求項4、5および6は、伝達手段を、第1ローラに設けられた第1ギアと、該第1ギアと噛み合う第2ローラに設けられた第2ギアとし、さらに、各ギアは各ローラの両端に設けられたフランジに設けられるとともに、第1ギアおよび第2ギアに、支持軸方向にねじ山が形成したハス歯歯車を形成することにより、伝達手段を具体化して、第1ローラの軸心の位置決めを行うことができる。
【0022】
請求項7は、支持軸に第1ローラを装着した時に、位置決め機構の第1ローラの軸心の位置決め作用と、第2ギアに第1ギアを噛み合わせた歯圧との作用により、第1ローラの軸心の位置を固定することができる。
【0023】
請求項8および9記載の発明は、支持軸を、第1ローラを回転させる駆動源に連結させ、取付部を、駆動源側に配置し、さらに、位置決め機構を、取付部をフランジに設けられた凸部と、受部を該凸部に嵌合する形状をなすことにより、この位置決め機構を具体化して、第1ローラの軸心の位置決めを行うことができる。
【0024】
請求項10記載の発明は、第1ローラを、入力した画像データ等を光信号に変換し表面に静電潜像を形成する感光ドラムとし、さらに、第2ローラを、第1ローラに形成された静電潜像を現像する現像ローラとすることにより、電子写真装置に転用することができる。
【図面の簡単な説明】
【0025】
【図1】本発明のローラの位置決め機構を適用した装置の概略図。
【図2】図1の画像形成装置の概略図
【図3】図2の矢視Aから見た図であり、感光ドラムを支持軸から着脱した状態を示す図。
【図4】図3の状態から感光ドラムを支持軸に装着した状態を示す図。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の実施の形態を図面に基づいて説明する。図1に、本発明のローラの位置決め機構を適用した装置の概略図を示す。
【0027】
この装置は、二つ以上の搬送手段1により略垂直方向に搬送経路を形成し、この搬送経路の間に、所定の間隔で二つ以上の画像形成装置(2Y、2M、2C、2BK)が配置されたものである。
【0028】
この構成のもと、図示しない給紙手段から転写材を搬送経路に繰り出し、順次、転写材にトナー像を転写してカラー画像を形成し、次いで、これらの未定着のカラー画像を、所定位置に配置された定着手段3で一括定着するものである。
【0029】
画像形成装置は、順に、イエローY、マゼンタM、シアンC、ブラックBKが配置された構成となり、各画像形成装置(2Y、2M、2C、2BK)には本発明のローラの位置決め機構が設けられている。図2に画像形成装置の概略図を示す。なお、他の色の画像形成装置も同じ構成をしている。画像形成装置は、画像形成部Aと転写部Bとからなる。
【0030】
なお、この実施の形態において、本発明は、ローラの位置決め機構は、図2に図示され画像形成装置について述べているが、これに限定されることはなく、軸線方向に着脱するローラの支持機構であればよく、例えば、ベルトを支持するローラなどにも適用してもよい。
【0031】
次に各部について間単に説明する。画像形成部Aは、像担持体A10と除電装置A20と帯電装置A30と露光装置A40と現像装置A50とクリーニング装置A60とからなる。これらおよび転写部Bは像担持体A10の周辺に適宜位置に配置されている。
【0032】
像担持体A10は、本発明の第1ローラ10であり、例えば、矢印で示す方向、すなわち反時計方向に回転し、アルミニウム等のドラム状基体表面に電子感光体A11を備えた構成よりなる感光ドラム10である。感光体A11としては、OPC(有機光導電体)感光体A11やアモルファスシリコン感光体等の周知のものを使用し得る。感光体A11の両側はフランジ11により圧入されている。フランジ11は、感光ドラム10の軽量化を図るためにアルミニウムからなる。
【0033】
感光ドラム10は、支持軸30に軸支され、後に述べる位置決め機構40により、矢印方向(軸線方向)にスライドさせて支持軸30に着脱する構成となっている。図2に示されているが、支持軸30は、駆動源50に連結されている。
【0034】
除電装置A20は、像担持体A10の表面に残留する電荷を消去して像担持体A10の表面を中和するものであり、具体的にはイレーサランプである。帯電装置A30は、除電装置A20で中和された像担持体A10の表面を特性極性に一様に帯電するものであり、具体的にはコロナ帯電器である。
【0035】
現像装置A50は、像担持体A10に形成された潜像にトナー像を現像するものであり、具体的には、トナーが充填されたトナーカートリッジA51と、トナーカートリッジA51から供給されたトナーが収容された現像容器A52と、現像ローラ20と、現像ローラ20に適当な圧力で接触して配置され、現像ローラ20上に一定のトナー薄層を形成する層厚規制部A53と、現像ローラ20と接触して設けられ現像容器A52内のトナーを現像ローラ20に供給する供給ローラA54と、供給ローラA54の後方に配置された攪拌部材A55を備えたものである。
【0036】
現像ローラ20は、本発明の第2ローラ20に相当するものであり、現像容器A52に軸支されている。現像ローラ20と感光ドラム10は後に述べる伝達手段60が設けられ、感光ドラム10の回転が現像ローラ20に伝達されるように構成されている。
【0037】
現像ローラ20両側は、感光ドラム10と同じようにフランジ21で圧入されている。現像ローラ20のフランジは、プラスチックモールドで形成されている。なお、以下から、第1ローラを感光ドラム10、第2のローラを現像ローラ20として説明する。
【0038】
転写部Bは、像担持体A10に現像されたトナー像を用紙に転写するものであり、具体的は、トナー像を用紙に転写する転写装置B10と、転写後の用紙を像担持体A10から分離する分離装置B20とからなるものである。
【0039】
クリーニング装置A60は転写後に、用紙に転写されずに像担持体A10に残ったトナーを回収するものである。また、図示されていないが定着装置は、用紙に転写したトナー像を固定するものであり、具体的には、定着ローラと加圧ローラとからなる。
【0040】
次に、位置決め機構40について説明する。図3、4に、ローラの位置決め機構の概略図を示す。位置決め機構40は取付部41と受部42とからなる。
【0041】
取付部41は、支持軸30に軸通される現像ローラ20側に設けられている。具体的に、取付部41はフランジ11の中央を突出させた凸部である。さらに、受部42は、プラスチックモールドからなり、取付部41の凸部が嵌るように凹条に形成されている。
【0042】
さらに、受部42は、感光ドラム10を装着したときに、取付部41が確実に受部42にはまり込む位置に配置され、ピン等により支持軸30に固定されている。
【0043】
伝達手段60は、感光ドラム10、現像ローラ20の各々のフランジ(11、21)に設けられた第1ギア12と第2ギア22とからなる。第1ギア12および第2ギア22には、ハス歯歯車が形成され、支持軸30方向にねじ山が設けられている。
【0044】
以上の構成により、図3に示すように感光ドラム10を支持軸30から解除した状態から、第1ギア12と第2ギア22の歯の間を介して、矢印方向に感光ドラム10をスライドさせる。このスライドは、取付部41が受部42に嵌るまで行われる
【0045】
取付部41が受部42に嵌ると、図4に示すように、感光ドラム10を支持軸30に装着する。この時、取付部41と受部42との嵌合と、第2ギア22に第1ギア12を噛み合わせた歯圧とにより、感光ドラム10が支持軸30に固定されると共に感光ドラム10の軸心の位置が固定される。
【0046】
この結果、機械的に僅かに軸心のズレが生じたとしても、そのズレが、取付部41と受部42との間、および第1ギア12、第2ギア22の歯圧により吸収され、軸心ブレによる回転むらを生じることなく感光ドラム10を回転させることができる。
【0047】
特に、図1に示すような、黄、シアン、マゼンダ、黒の4色のトナーを用いてカラー画像を形成するカラー電子写真装置に適用した場合には、各色のトナー像の位置のズレがなくなる程度に抑制され、高画質な画像をえることができる。
【符号の説明】
【0048】
10 第1ローラ(感光ドラム)
20 第2ローラ(現像ローラ)
30 支持軸
40 位置決め機構

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1ローラと、第1ローラの回転に追従して回転する第2ローラと、第1ローラを軸支する支持軸とを有し、
前記第1ローラは前記支持軸に軸通され、前記第1ローラを軸線方向にスライドさせて前記支持軸から着脱可能とし、
前記第1ローラと前記支持軸には、前記支持軸に前記第1ローラを装着した時に、前記第1ローラの軸心の位置決めを行う位置決め機構が設けられたことを特徴とローラの位置決め機構。
【請求項2】
前記位置決め機構は、前記支持軸に軸通される一方の前記第1ローラ側に設けられた取付部と、前記第1ローラを装着した時に該取付部を受ける前記支持軸に設けられた受部とからなることを特徴とする請求項1記載のローラ位置決め機構。
【請求項3】
前記第1ローラおよび前記第2ローラの両側には、各々前記第1ローラの回転を前記第2ローラに伝達する伝達手段が設けられていることを特徴とする請求項1記載のローラの位置決め機構。
【請求項4】
前記伝達手段は、前記第1ローラに設けられた第1ギアと、該第1ギアと噛み合う前記第2ローラに設けられた第2ギアとからなり、
前記第1ギアおよび前記第2ギアは、前記支持軸方向に、ねじ山が形成されていることを特徴とする請求項3記載のローラの位置決め機構。
【請求項5】
前記第1ギアと前記第2ギアはハス歯歯車であることを特徴とする請求項4記載のローラ位置決め機構。
【請求項6】
前記第1ギアは、前記第1ローラの両側には設けられたフランジに配置されていることを特徴とする請求項4または5記載のローラの位置決め機構。
【請求項7】
前記支持軸に前記第1ローラを装着した時に、前記位置決め機構の前記第1ローラの軸心の位置決め作用と、前記第2ギアに前記第1ギアを噛み合わせた歯圧とにより前記第1ローラの軸心の位置を固定することを特徴とする請求項1乃至6いずれか記載のローラ位置決め機構。
【請求項8】
前記支持軸は、前記第1ローラを回転させる駆動源に連結され、
前記取付部は、前記駆動源側に配置されていることを特徴とする請求項2記載のローラ位置決め機構。
【請求項9】
前記位置決め機構は、前記取付部を前記フランジに設けられた凸部とし、さらに、前記受部を該凸部に嵌合する形状をなすことを特徴とする請求項1または2記載のローラの位置決め機構。
【請求項10】
前記第1ローラは、入力した画像データ等を光信号に変換し表面に静電潜像を形成する感光ドラムであり、
前記第2ローラは、前記第1ローラに形成された静電潜像を現像する現像ローラであることを特徴とする請求項1、3または4記載のローラ位置決め機構。


【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【公開番号】特開2012−226166(P2012−226166A)
【公開日】平成24年11月15日(2012.11.15)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−94393(P2011−94393)
【出願日】平成23年4月20日(2011.4.20)
【出願人】(000165136)桂川電機株式会社 (66)
【Fターム(参考)】