説明

ワイヤハーネス用バンド

【課題】ワイヤハーネスが載置される載置板部の撓みの影響によって構造物への固定に支障が生じることを防止することができ、しかも、載置板部の重量化を抑止することもできるワイヤハーネス用バンドを提供すること。
【解決手段】平板状の載置板部11の一端側に結束用バンド部21が設けられると共に、他端側にはバンド係止部31が設けられるワイヤハーネス用バンド1において、載置板部11の表面には、ワイヤハーネス103の外周面との間に形成される隙間を埋める周面支え突起51が、ワイヤハーネス103が線接触する載置中心線13を挟む両側に、それぞれ設けられる構成。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、車両等におけるワイヤハーネスの配索経路上の構造物にワイヤハーネスを固定するワイヤハーネス用バンドに関する。
【背景技術】
【0002】
図23〜図26は、車両等におけるワイヤハーネスの配索経路上の構造物にワイヤハーネスを固定するワイヤハーネス用バンドの従来例を示したものである。
【0003】
このワイヤハーネス用バンド101により構造物に固定されるワイヤハーネス103は、図24に示すように、複数本の電線104の束の外周を外装材105で覆った構造になっている。
【0004】
図示のワイヤハーネス用バンド101は、載置板部111と、該載置板部111の一端側に延設される結束用バンド部121と、載置板部111の他端側に延設されるバンド係止部131と、載置板部111の裏面に突設される取付部141(図25参照)と、を備えている。
【0005】
図示のワイヤハーネス用バンド101において、載置板部111と結束用バンド部121とバンド係止部131は下記特許文献1に開示されている結束バンドと同じ構成である。また、ワイヤハーネス用バンド101の取付部141は、下記特許文献2におけるアンカー突起と同様の構造である。
【0006】
次に、上記載置板部111、結束用バンド部121、バンド係止部131、取付部141の構造を更に詳しく説明する。
【0007】
載置板部111は、ワイヤハーネス103を載置する部位で、平板状に形成されている。
【0008】
結束用バンド部121は、載置板部111に載置されたワイヤハーネス103の外周に巻き付け可能に、載置板部111の一端側からワイヤハーネス103の軸線と直交する方向(図23の矢印A方向)に延出している。また、結束用バンド部121の片面(ワイヤハーネス103に接触する側とは逆側の面)には、当該結束用バンド部121の延出方向(図23の矢印A方向)に所定の間隔で、複数の係合溝122が形成されている。
【0009】
バンド係止部131は、載置板部111の他端側に一体形成されている。このバンド係止部131は、結束用バンド部121を挿通する挿通穴132と、該挿通穴132近傍に設けられ前記係合溝122に係合して、挿通穴132に挿通した結束用バンド部121の戻る方向への移動を係止する係止爪(図示せず)と、を有して、載置板部111の他端側に一体形成されている。
【0010】
取付部141は、載置板部111の裏面に突設されており、ワイヤハーネス103の配索経路の構造物151上の取付孔152に嵌合することで、載置板部111を構造物151に連結する。
【0011】
以上のワイヤハーネス用バンド101によってワイヤハーネス103を構造物151に固定する場合の操作は、次のような手順になる。
【0012】
まず、図24に示すように、ワイヤハーネス用バンド101の載置板部111にワイヤハーネス103を載せた後、結束用バンド部121をワイヤハーネス103の外周に巻き付ける。そして、図25に示すように、結束用バンド部121の先端を挿通穴132に挿入し、図26に示すように、結束用バンド部121がワイヤハーネス103の外周をしっかりと締め付けるまで、結束用バンド部121の先端を引っ張ってワイヤハーネス103を載置板部111に固定する。その後、取付部141を構造物151の取付孔152に嵌合させる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0013】
【特許文献1】特許第3538688号公報
【特許文献2】特開平9−250515号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0014】
ところで近年、車載の電子部品の増加に伴い、ワイヤハーネス103に収容する電線104の数量が増加しており、配索性を高めるため、図25に示したようにワイヤハーネス103の断面形状を楕円状に形成する場合がある。
【0015】
従来のワイヤハーネス用バンド101では、載置板部111が平板状のため、載置板部111の表面112に楕円断面のワイヤハーネス103が載置された状態では、図25に示すように、ワイヤハーネス103の湾曲している両側で、載置板部111の表面112との間に隙間107が形成される。
【0016】
一方、楕円断面のワイヤハーネス103を載せるために、載置板部111のワイヤハーネス103の軸線と直交する方向における長さが大きく設定されており、載置板部111は従来よりも曲げ剛性が低い。
【0017】
そのため、結束用バンド部121による締め付けを行うと、図26に矢印Bで示すように、載置板部111が、ワイヤハーネス103の外周の湾曲に沿って撓むという問題が発生する。この載置板部111の撓みは、取付部141に歪みを発生させ、構造物への固定に支障を招くおそれがあった。
【0018】
上記のような問題を回避する対策として、載置板部111の板厚を全体的に増大させて、載置板部111の曲げ剛性を高める方法があるが、このような方法では、載置板部111にかなりの板厚増が必要になり、載置板部111の重量化を招くという問題が発生する。
【0019】
そこで、本発明の目的は、上記課題を解消することに係り、載置板部がワイヤハーネスの外周の湾曲に沿って撓むことを防止して、ワイヤハーネスが載置される載置板部の撓みの影響によって構造物への固定に支障が生じることを防止することができ、しかも、前記載置板部の板厚増による重量化を抑止することもできるワイヤハーネス用バンドを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0020】
本発明の前述した目的は、下記の構成により達成される。
(1)ワイヤハーネスを載置する平板状の載置板部と、該載置板部に載置されたワイヤハーネスの外周に巻き付け可能に前記載置板部の一端側からワイヤハーネスの軸線と直交する方向に延出すると共に、片面には前記延出方向に所定の間隔で複数の係合溝が形成された結束用バンド部と、該結束用バンド部を挿通する挿通穴と該挿通穴近傍に設けられ前記係合溝に係合して挿通した前記結束用バンド部の戻る方向への移動を係止する係止爪とを有して前記載置板部の他端側に一体形成されたバンド係止部と、を備えたワイヤハーネス用バンドであって、
前記載置板部の表面には、該表面に載置されるワイヤハーネスの外周面の湾曲のために前記外周面と前記表面との間に形成される隙間を埋める周面支え突起が、前記ワイヤハーネスと前記表面とが線接触する載置中心線を挟む両側に、それぞれ設けられることを特徴とするワイヤハーネス用バンド。
【0021】
(2)前記周面支え突起として、前記載置中心線に直交する方向に延在し、上面が前記ワイヤハーネスの外周面に接触する周面支えリブが設けられることを特徴とする上記(1)に記載のワイヤハーネス用バンド。
【0022】
(3)前記周面支えリブの上面、又は載置板部の表面の少なくとも一方の面に、ワイヤハーネスの外周面に当接する滑り止め突起が設けられることを特徴とする上記(1)又は(2)に記載のワイヤハーネス用バンド。
【0023】
(4)前記周面支え突起として、前記載置中心線からの離間距離に応じて前記載置板部の表面からの高さが相異する複数の錐体状突起が設けられることを特徴とする上記(1)に記載のワイヤハーネス用バンド。
【0024】
(5)前記錐体状突起は、前記載置板部に載置されるワイヤハーネスの軸線方向に間隔をあけた複数列に配置されることを特徴とする上記(4)に記載のワイヤハーネス用バンド。
【0025】
(6)前記複数の錐体状突起が、前記ワイヤハーネスの軸線方向に沿う列状に、前記載置中心線の両側にそれぞれ1列ずつ、設けられたことを特徴とする上記(4)に記載のワイヤハーネス用バンド。
【0026】
上記(1)の構成によれば、楕円断面のワイヤハーネスが載置板部に載置された場合に、ワイヤハーネスの外周面と載置板部の表面との間の隙間が、周面支え突起によって埋められる。そのため、載置板部上のワイヤハーネスに巻き付けた結束用バンド部を締め付けても、載置板部がワイヤハーネスの外周の湾曲に沿って撓むことを防止することができる。
【0027】
従って、取付部を有する場合には、載置板部の撓みの影響によって、取付部に歪み(変形)が生じることを防止することができ、取付部の歪みによって構造物への固定に支障が生じることを防止することができる。
【0028】
しかも、周面支え突起の装備は、載置板部の表面の一部でよく、載置板部の板厚を全体的に増加させる必要はない。従って、載置板部の板厚増による重量化を抑止することもできる。
【0029】
上記(2)の構成によれば、周面支え突起として、載置板部上の載置中心線に直交する方向に延在する周面支えリブが装備されていて、該周面支えリブは延在する方向に沿って曲げ剛性を高めるため、載置板部がワイヤハーネスの外周面に沿って撓むことを防止する効果を更に高めることができる。
【0030】
上記(3)の構成によれば、結束用バンド部を締め付けた際、周面支えリブの上面、又は載置板部の表面に設けられる滑り止め突起がワイヤハーネスの外周面との摩擦力を高めるため、結束用バンド部によるワイヤハーネスの固定強度が向上し、より堅固にワイヤハーネスを配索経路に固定することが可能になる。
【0031】
上記(4)の構成によれば、周面支え突起として錐体状突起を備えており、錐体状突起の先端がワイヤハーネスの外周面に食い込み易いため、専用の滑り止め突起を追加せずとも、ワイヤハーネスの固定強度を向上させることができる。
【0032】
上記(5)の構成によれば、ワイヤハーネスの軸線方向に間隔をあけた複数列の錐体状突起のそれぞれが、ワイヤハーネスの軸線方向の移動を拘束する滑り止め突起として機能するため、ワイヤハーネスの軸線方向への移動をしっかりと規制することができる。
【0033】
上記(6)の構成によれば、載置板部上に装備する複数の錐体状突起が、載置中心線の両側にそれぞれ1列ずつの2列であり、ワイヤハーネスの横断面上での載置板部への接触は、2列の錐体状突起に対する接触と、載置中心線上での載置板部への直接接触との3点接触となり、錐体状突起の装備数を抑えて効率よくワイヤハーネスを固定することが可能になる。換言すれば、錐体状突起の装備数を抑えて、載置板部の構造を単純化することができる。
【発明の効果】
【0034】
本発明によるワイヤハーネス用バンドによれば、楕円断面のワイヤハーネスが載置板部に載置された場合に、ワイヤハーネスの外周面と載置板部の表面との間の隙間が、周面支え突起によって埋められる。そのため、載置板部上のワイヤハーネスに巻き付けた結束用バンド部を締め付けても、載置板部がワイヤハーネスの外周の湾曲に沿って撓むことを防止することができる。従って、取付部を有する場合には、載置板部の撓みの影響によって、取付部に歪み(変形)が生じることを防止することができ、取付部の歪みによって構造物への固定に支障が生じることを防止することができる。
【0035】
しかも、周面支え突起の装備は、載置板部の表面の一部でよく、載置板部の板厚を全体的に増加させる必要はない。従って、載置板部の板厚増による重量化を抑止することもできる。
【図面の簡単な説明】
【0036】
【図1】本発明に係るワイヤハーネス用バンドの第1実施形態の平面図である。
【図2】図1に示したワイヤハーネス用バンドの側面図である。
【図3】第1実施形態のワイヤハーネス用バンドにおいて、結束用バンド部によりワイヤハーネスを締め付けた状態を示す側面図である。
【図4】本発明に係るワイヤハーネス用バンドの第2実施形態の平面図である。
【図5】図4に示したワイヤハーネス用バンドの側面図である。
【図6】第2実施形態のワイヤハーネス用バンドにおいて、結束用バンド部によりワイヤハーネスを締め付けた状態を示す側面図である。
【図7】本発明に係るワイヤハーネス用バンドの第3実施形態の平面図である。
【図8】図7に示したワイヤハーネス用バンドの側面図である。
【図9】本発明に係るワイヤハーネス用バンドの第4実施形態の平面図である。
【図10】図9に示したワイヤハーネス用バンドの側面図である。
【図11】図9のD矢視図である。
【図12】第4実施形態のワイヤハーネス用バンドにおいて、結束用バンド部によりワイヤハーネスを締め付けた状態を示す側面図である。
【図13】本発明に係るワイヤハーネス用バンドの第5実施形態の平面図である。
【図14】図13に示したワイヤハーネス用バンドの側面図である。
【図15】図13のE矢視図である。
【図16】第5実施形態のワイヤハーネス用バンドにおいて、結束用バンド部によりワイヤハーネスを締め付けた状態を示す側面図である。
【図17】第5実施形態のワイヤハーネス用バンドにおいて、結束用バンド部によりワイヤハーネスを締め付けた状態を示す平面図である。
【図18】本発明に係るワイヤハーネス用バンドの第6実施形態の平面図である。
【図19】図18に示したワイヤハーネス用バンドの側面図である。
【図20】図18のG矢視図である。
【図21】第6実施形態のワイヤハーネス用バンドにおいて、結束用バンド部によりワイヤハーネスを締め付けた状態を示す側面図である。
【図22】第6実施形態のワイヤハーネス用バンドにおいて、結束用バンド部によりワイヤハーネスを締め付けた状態を示す平面図である。
【図23】従来のワイヤハーネス用バンドの斜視図である。
【図24】図23に示したワイヤハーネス用バンドの載置板部にワイヤハーネスが載置された状態の斜視図である。
【図25】図23に示したワイヤハーネス用バンドの載置板部に載置されたワイヤハーネスに結束用バンド部を巻き付ける操作を示す側面図である。
【図26】図23に示したワイヤハーネス用バンドにおいて、結束用バンド部を締め付けた時の状態を示す側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0037】
以下、本発明に係るワイヤハーネス用バンドの好適な実施形態について、図面を参照して詳細に説明する。
【0038】
<第1実施形態>
図1〜図3は本発明に係るワイヤハーネス用バンドの第1実施形態を示したもので、図1は第1実施形態のワイヤハーネス用バンドの平面図、図2は図1に示したワイヤハーネス用バンドの側面図、図3は第1実施形態のワイヤハーネス用バンドにおいて、結束用バンド部によりワイヤハーネスを締め付けた状態を示す側面図である。
【0039】
この第1実施形態のワイヤハーネス用バンド1は、楕円断面のワイヤハーネス103を載置する平板状の載置板部11と、該載置板部11の一端側に延設される結束用バンド部21と、載置板部11の他端側に延設されるバンド係止部31と、載置板部11の裏面に突設される取付部41(図2参照)と、載置板部11の表面に一体形成された周面支え突起としての周面支えリブ51と、を備えている。
【0040】
ワイヤハーネス103は、図24に示した構造で、複数本の電線104と、これらの電線104の外周を楕円断面状に覆う外装材105と、を備えている。
【0041】
結束用バンド部21は、載置板部11に載置されたワイヤハーネス103の外周に巻き付け可能に、載置板部11の一端側からワイヤハーネス103の軸線と直交する方向(図1の矢印C方向)に延出している。また、結束用バンド部21の片面(ワイヤハーネス103に接触する側とは逆側の面)には、延出方向に所定の間隔で複数の係合溝(図示せず)が形成されている。
【0042】
バンド係止部31は、載置板部11の他端側に一体形成されている。このバンド係止部31は、結束用バンド部21を挿通する挿通穴32と、該挿通穴32近傍に設けられ係合溝に係合して、挿通穴32に挿通した結束用バンド部21の戻る方向への移動を係止する係止爪33と、を有している。
【0043】
取付部41は、載置板部11の裏面に突設されており、図3に示すように、ワイヤハーネス103の配索経路の構造物151上の取付孔152に嵌合することで、載置板部11を構造物151に連結する。
【0044】
周面支えリブ51は、載置板部11の表面に載置されるワイヤハーネス103の外周面の湾曲のためにワイヤハーネス103の外周面と載置板部11の表面との間に形成される隙間を埋める。この周面支えリブ51は、ワイヤハーネス103と載置板部11の表面とが線接触する載置中心線13を挟む両側に、それぞれ設けられる。載置中心線13は、ワイヤハーネス103の軸線と平行である。
【0045】
本実施形態の場合、周面支えリブ51は、載置中心線13に直交する方向(図1の矢印X方向)に延在している。また、周面支えリブ51は、上面52が、ワイヤハーネス103の外周面に接触する。
【0046】
本実施形態の場合、周面支えリブ51は、載置中心線13を挟む両側に、それぞれ4本ずつ、載置中心線13方向に間隔をあけて設けられている。
【0047】
以上に説明した第1実施形態のワイヤハーネス用バンド1では、楕円断面のワイヤハーネス103が載置板部11に載置された場合に、ワイヤハーネス103の外周面と載置板部11の表面との間の隙間が、周面支え突起としての周面支えリブ51によって埋められる。そのため、載置板部11上のワイヤハーネス103に巻き付けた結束用バンド部21を締め付けても、載置板部11がワイヤハーネス103の外周の湾曲に沿って撓むことを防止することができる。
【0048】
従って、載置板部11の撓みの影響によって、取付部41に歪み(変形)が生じることを防止することができ、取付部41の歪みによって構造物151への固定に支障が生じることを防止することができる。
【0049】
しかも、周面支えリブ51の装備は、載置板部11の表面の一部でよく、載置板部11の板厚を全体的に増加させる必要はない。従って、載置板部11の板厚増による重量化を抑止することもできる。
【0050】
また、上記第1実施形態のワイヤハーネス用バンド1では、周面支え突起として、載置板部11上の載置中心線13に直交する方向に延在する周面支えリブ51が装備されていて、該周面支えリブ51は延在する方向に沿って曲げ剛性を高めるため、載置板部11がワイヤハーネス103の外周面に沿って撓むことを防止する効果を更に高めることができる。
【0051】
<第2実施形態>
図4〜図6は本発明に係るワイヤハーネス用バンドの第2実施形態を示したもので、図4は第2実施形態のワイヤハーネス用バンドの平面図、図5は図4に示したワイヤハーネス用バンドの側面図、図6は第2実施形態のワイヤハーネス用バンドにおいて、結束用バンド部によりワイヤハーネスを締め付けた状態を示す側面図である。
【0052】
この第2実施形態のワイヤハーネス用バンド1Aは、第1実施形態のワイヤハーネス用バンド1を改良したもので、改良した点は、それぞれの周面支えリブ51の上面52に、ワイヤハーネス103の外周面に当接する滑り止め突起54が設けられた点である。
【0053】
滑り止め突起54は、各周面支えリブ51の上面52に、ワイヤハーネス103の周方向に適宜間隔をあけて、複数配置される。また、各滑り止め突起54は、円錐状であるが、角錐状、円柱状とすることも可能である。
【0054】
この第2実施形態のワイヤハーネス用バンド1Aは、滑り止め突起54以外の構成は第1実施形態のワイヤハーネス用バンド1と同様であり、第1実施形態と同様の構成については、第1実施形態と同番号を付して説明を省略する。
【0055】
以上に説明した第2実施形態のワイヤハーネス用バンド1Aでは、第1実施形態で説明した作用・効果の他に、次の作用・効果を得ることができる。
【0056】
即ち、ワイヤハーネス用バンド1Aでは、結束用バンド部21を締め付けた際、周面支えリブ51の上面52に設けられる滑り止め突起54がワイヤハーネス103の外周面との摩擦力を高めるため、結束用バンド部21によるワイヤハーネス103の固定強度が向上し、より堅固にワイヤハーネス103を配索経路に固定することが可能になる。
【0057】
<第3実施形態>
図7及び図8は本発明に係るワイヤハーネス用バンドの第3実施形態を示したもので、図7は第3実施形態のワイヤハーネス用バンドの平面図、図8は図7に示したワイヤハーネス用バンドの側面図である。
【0058】
この第3実施形態のワイヤハーネス用バンド1Bは、第2実施形態のワイヤハーネス用バンド1Aを更に改良したものである。
【0059】
第2実施形態からの改良点は、載置板部11の表面にも、円錐状の滑り止め突起54を追加したものである。載置板部11の表面に滑り止め突起54を追加した点以外の構成は、第2実施形態と同様で良く、第2実施形態と同様の構成については同番号を付して説明を省略する。
【0060】
この第3実施形態のワイヤハーネス用バンド1Bでは、第2実施形態のワイヤハーネス用バンド1Aと比較して、滑り止め突起54の装備数、及び装備領域が増えた分、ワイヤハーネス103の固定強度を更に向上させることができる。
【0061】
なお、この第3実施形態では、周面支えリブ51の上面52と、載置板部11の表面とのそれぞれに滑り止め突起54を配置した。しかし、滑り止め突起54により固定強度を増加させる点では、周面支えリブ51の上面52には滑り止め突起54を設けず、載置板部11の表面(載置中心線13の周辺)にのみ、滑り止め突起54を設ける構成としても良い。
【0062】
即ち、滑り止め突起54は、周面支えリブ51の上面52及び載置板部11の表面の少なくとも一方の面に、設ければ、目的を達成することができる。
【0063】
<第4実施形態>
図9〜図12は本発明に係るワイヤハーネス用バンド1の第4実施形態を示したもので、図9は第4実施形態のワイヤハーネス用バンド1の平面図、図10は図9に示したワイヤハーネス用バンド1の側面図、図11は図9のD矢視図、図12は第4実施形態のワイヤハーネス用バンド1において、結束用バンド部21によりワイヤハーネス103を締め付けた状態を示す側面図である。
【0064】
この第4実施形態のワイヤハーネス用バンド1Cは、第1実施形態のワイヤハーネス用バンド1を改良したものである。
【0065】
改良点は、載置板部11に載置されたワイヤハーネス103の外周面と載置板部11の表面との間の隙間を埋める周面支え突起として、第1実施形態の周面支えリブ51の代わりに、複数の錐体状突起51Cを備えたものである。
【0066】
錐体状突起51Cは、載置中心線13からの楕円の長径方向への離間距離に応じて載置板部11の表面からの高さが相異するように、載置板部11の表面からの高さ寸法(突出寸法)が設定されている。
【0067】
また、複数の錐体状突起51Cは、載置板部11の表面に、載置中心線13に対して略線対称となるように、配置されている。また、本実施形態の場合、各錐体状突起51Cは、円錐体状であるが、角錐体状とすることも可能である。
【0068】
更に、本実施形態では、複数の錐体状突起51Cは、載置板部11に載置されるワイヤハーネス103の軸線方向に間隔をあけた3つの列L1,L2,L3に配置される。各列L1,L2,L3では、載置中心線13に対して略線対称となるように、6つの錐体状突起51Cを配置している。
【0069】
以上に説明した第4実施形態のワイヤハーネス用バンド1Cでは、ワイヤハーネス103の外周面と載置板部11の表面との間の隙間を埋める周面支え突起として錐体状突起51Cを備えており、錐体状突起51Cの先端がワイヤハーネス103の外周面に食い込み易いため、錐体状突起51Cが滑り止め突起を兼ねることになる。そのため、専用の滑り止め突起を追加せずとも、ワイヤハーネス103の固定強度を向上させることができる。
【0070】
また、以上に説明した第4実施形態のワイヤハーネス用バンド1Cでは、ワイヤハーネス103の軸線方向に間隔をあけた3列の錐体状突起51Cのそれぞれが、ワイヤハーネス103の軸線方向の移動を拘束する滑り止め突起54として機能するため、ワイヤハーネス103の軸線方向への移動をしっかりと規制することができる。
【0071】
<第5実施形態>
図13〜図17は本発明に係るワイヤハーネス用バンド1の第5実施形態を示したもので、図13は第5実施形態のワイヤハーネス用バンド1の平面図、図14は図13に示したワイヤハーネス用バンド1の側面図、図15は図13のE矢視図、図16は第5実施形態のワイヤハーネス用バンド1において、結束用バンド部21によりワイヤハーネス103を締め付けた状態を示す側面図、図17は第5実施形態のワイヤハーネス用バンド1において、結束用バンド部21によりワイヤハーネス103を締め付けた状態を示す平面図である。
【0072】
この第5実施形態のワイヤハーネス用バンド1Dは、第4実施形態のワイヤハーネス用バンド1Cを更に改良したものである。第5実施形態のワイヤハーネス用バンド1Dの場合も、載置板部11に載置されるワイヤハーネス103の軸線方向に間隔をあけた複数列に錐体状突起51Cを配置する点では、第4実施形態のワイヤハーネス用バンド1Cと共通している。
【0073】
しかし、この第5実施形態のワイヤハーネス用バンド1Dでは、載置板部11が載置中心線13に沿う方向に長く形成され、図13に示したように、載置中心線13方向に間隔をあけて配列される錐体状突起51Cの列数を、L1〜L8の8列に増やしている。
【0074】
但し、各列L1〜L8では、載置中心線13に対して略線対称となるように、4つの錐体状突起51Cを配置している。従って、1列に装備される錐体状突起51Cの数量は、第4実施形態の場合よりも削減されている。
【0075】
このように錐体状突起51Cの列数を増やしたことで、ワイヤハーネス103の軸方向(図17の矢印F方向)に沿う移動を規制する力(保持力)が増加し、ワイヤハーネスをより強固に固定することができる。
【0076】
<第6実施形態>
図18〜図22は本発明に係るワイヤハーネス用バンド1の第6実施形態を示したもので、図18は第6実施形態のワイヤハーネス用バンド1の平面図、図19は図18に示したワイヤハーネス用バンド1の側面図、図20は図18のG矢視図、図21は第6実施形態のワイヤハーネス用バンド1において、結束用バンド部21によりワイヤハーネス103を締め付けた状態を示す側面図、図22は第6実施形態のワイヤハーネス用バンド1において、結束用バンド部21によりワイヤハーネス103を締め付けた状態を示す平面図である。
【0077】
この第6実施形態のワイヤハーネス用バンド1Eは、第5実施形態のワイヤハーネス用バンド1Dにおける錐体状突起51Cの数量を更に削減した配列にしたものである。
【0078】
具体的には、複数の錐体状突起51Cが、ワイヤハーネス103の軸線方向に沿う列状に、載置中心線13の両側にそれぞれ1列ずつ、備えられている。載置中心線13方向に間隔をあけて配列される錐体状突起51Cの列数が、L1〜L8の8列である点は、第5実施形態と共通である。
【0079】
即ち、第6実施形態のワイヤハーネス用バンド1Eは、載置中心線13方向に間隔をあけて配列される錐体状突起51Cの各列は、載置中心線13に対して略線対称となるように、2つの錐体状突起51Cを配置している。従って、装備する錐体状突起51Cの総数は、第5実施形態の1/2になっている。
【0080】
この第6実施形態のワイヤハーネス用バンド1Eでは、載置板部11上に装備する複数の錐体状突起51Cが、載置中心線13の両側にそれぞれワイヤハーネスの軸線方向に沿う1列ずつの2列であり、ワイヤハーネス103の横断面上での載置板部11への接触は、図21に示すように、2列の錐体状突起51Cに対する接触Q1,Q2と、載置中心線13上での載置板部11への直接接触Q3との3点接触となり、錐体状突起51Cの装備数を抑えて効率よくワイヤハーネス103を固定することが可能になる。換言すれば、錐体状突起51Cの装備数を抑えて、載置板部11の構造を単純化することができる。
【0081】
なお、本発明のワイヤハーネス用バンドは、前述した各実施形態に限定されるものでなく、適宜な変形、改良等が可能である。また、本発明のワイヤハーネス用バンドの各構成の材質、形状、寸法、形態、数量、配置箇所等は、本発明の目的を達成できるものであれば、任意であり、前述した各実施形態に限定されない。
【符号の説明】
【0082】
1,1A,1B ワイヤハーネス用バンド
1C,1D,1E ワイヤハーネス用バンド
11 載置板部
13 載置中心線
21 結束用バンド部
31 バンド係止部
32 挿通穴
41 取付部
51 周面支えリブ(周面支え突起)
51C 錐体状突起(周面支え突起)
52 上面
54 滑り止め突起
103 ワイヤハーネス
151 構造物
152 取付孔

【特許請求の範囲】
【請求項1】
ワイヤハーネスを載置する平板状の載置板部と、
該載置板部に載置されたワイヤハーネスの外周に巻き付け可能に前記載置板部の一端側からワイヤハーネスの軸線と直交する方向に延出すると共に、片面には前記延出方向に所定の間隔で複数の係合溝が形成された結束用バンド部と、
該結束用バンド部を挿通する挿通穴と該挿通穴近傍に設けられ前記係合溝に係合して挿通した前記結束用バンド部の戻る方向への移動を係止する係止爪とを有して前記載置板部の他端側に一体形成されたバンド係止部と、
を備えたワイヤハーネス用バンドであって、
前記載置板部の表面には、該表面に載置されるワイヤハーネスの外周面の湾曲のために前記外周面と前記表面との間に形成される隙間を埋める周面支え突起が、前記ワイヤハーネスと前記表面とが線接触する載置中心線を挟む両側に、それぞれ設けられることを特徴とするワイヤハーネス用バンド。
【請求項2】
前記周面支え突起として、前記載置中心線に直交する方向に延在し、上面が前記ワイヤハーネスの外周面に接触する周面支えリブが設けられることを特徴とする請求項1に記載のワイヤハーネス用バンド。
【請求項3】
前記周面支えリブの上面、又は載置板部の表面の少なくとも一方の面に、ワイヤハーネスの外周面に当接する滑り止め突起が設けられることを特徴とする請求項1又は2に記載のワイヤハーネス用バンド。
【請求項4】
前記周面支え突起として、前記載置中心線からの離間距離に応じて前記載置板部の表面からの高さが相異する複数の錐体状突起を備えることを特徴とする請求項1に記載のワイヤハーネス用バンド。
【請求項5】
前記錐体状突起は、前記載置板部に載置されるワイヤハーネスの軸線方向に間隔をあけた複数列に配置されることを特徴とする請求項4に記載のワイヤハーネス用バンド。
【請求項6】
前記複数の錐体状突起が、前記ワイヤハーネスの軸線方向に沿う列状に、前記載置中心線の両側にそれぞれ1列ずつ、備えられたことを特徴とする請求項4に記載のワイヤハーネス用バンド。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate

【図11】
image rotate

【図12】
image rotate

【図13】
image rotate

【図14】
image rotate

【図15】
image rotate

【図16】
image rotate

【図17】
image rotate

【図18】
image rotate

【図19】
image rotate

【図20】
image rotate

【図21】
image rotate

【図22】
image rotate

【図23】
image rotate

【図24】
image rotate

【図25】
image rotate

【図26】
image rotate


【公開番号】特開2011−259562(P2011−259562A)
【公開日】平成23年12月22日(2011.12.22)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−130225(P2010−130225)
【出願日】平成22年6月7日(2010.6.7)
【出願人】(000006895)矢崎総業株式会社 (7,019)
【Fターム(参考)】