説明

ワークの中心位置合わせ装置

【課題】回転動作を停止させることなく回転動作中にワークの中心位置を回転軸の中心に合わせることが可能な位置合わせ装置を提供する。
【解決手段】ワークWを載せる載置台21と、載置台21の下側に配置され且つ載置台21を平面上で直交する2方向に移動させるXYステージ22と、XYステージ22を駆動させるX軸駆動部6,Y軸駆動部7と、XYステージ22を下方から回転可能に支持しXYステージ22の原点に一致する回転軸と、回転軸を回転駆動させる回転軸駆動部8と、ワークWのエッジ位置を検出するエッジ位置検出手段3とを備え、制御部4によって、回転軸を回転駆動させながらエッジ位置情報及び回転角度情報に基づきワークWの中心位置を回転軸の中心に一致させるために要するXYステージ22の移動量を算出し、移動量に基づいてX軸駆動部6又はY軸駆動部7の少なくとも何れか一方を作動させるようにした。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ウェーハ等のほぼ円周形状をなす外形状を有するワークの中心位置を回転ステージの回転軸の中心に合わせるワークの中心位置合わせ装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
例えばFOUPなどの収容容器内に収容したウェーハ等のほぼ円盤形状をなすワークを処理装置内に搬入したり、処理装置により処理を終えたワークを収容容器内に搬入する際には、搬入対象となる全てのワークを所定の姿勢に位置決めさせた状態で搬入することが求められる。そこで、従来から、例えばFOUPなどの収容容器内から半導体製造装置内へワークを搬送する途中でワークを回転ステージに載せ、その状態で回転ステージを一回転させながらワークのエッジ位置をセンサで検出し、その検出したエッジ位置に基づいてワークの中心位置を算出する態様が知られている(例えば特許文献1、特許文献2)。
【0003】
特許文献1には、ワークを載置した状態で回転ステージを回転軸回りに一回転させながらセンサでエッジ位置を検出し、その検出したエッジ位置に基づいて算出したワークの中心位置と回転軸の中心とのズレ量に応じて、回転ステージの回転を停止させた状態でXYステージを平面内で直交する2方向に適宜移動させてウェーハの中心位置と回転軸の中心とを一致させる態様が開示されている。
【0004】
また、特許文献2には、ワークを載置した状態で回転ステージを回転軸回りに一回転させながらセンサによって検出したエッジ位置に基づいてワークの中心位置を算出し、算出したワークの中心位置と回転軸の中心とのズレ量に応じて、回転ステージの回転を停止させた状態でワークに対するワーク搬送用アームのアクセス位置を補正することによって、収容容器内または処理装置内におけるウェーハの中心位置を整然に維持し得るように構成された態様が開示されている。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0005】
【特許文献1】特開平09−8105号公報
【特許文献2】特許3748940号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかしながら、上述した何れの態様においても、ウェーハの中心位置を算出するために、ワークを回転ステージ上で一回転させてその過程の全てのエッジ位置または所定箇所(所定回転角度毎)のエッジ位置を検出することが必須条件であるため、当然のことながらワークを一回転させている間はワークの中心位置を回転軸の中心に一致させることは不可能であった。
【0007】
このように、従来の態様では、エッジ位置の検出のために少なくともワークを一回転させる時間を確保しなければならず、より高速での位置合わせ処理の実現、ひいてはワークに対して所望の処理を施すために要する時間全体の短縮化が望まれる。
【0008】
本発明は、このような問題に着目してなされたものであって、主たる目的は、ワークを回転させてエッジ位置を検出しながら、回転動作を停止させることなく回転動作中にワークの中心位置を回転軸の中心に合わせることが可能な位置合わせ装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
すなわち、本発明に係るワークの位置合わせ装置は、円周形状またはほぼ円周形状の外形状を有するワークを載せる載置台と、載置台の下側に配置され且つ載置台を平面上で直交するX軸方向及びY軸方向に移動させるXYステージと、XYステージを下方から回転可能に支持しXYステージの原点に一致する回転軸と、載置台に載置したワークのエッジ位置を検出するエッジ位置検出手段とを備えていることを特徴としている。
【0010】
このように、本発明では、XYステージ及び載置台を共通の回転軸回りに回転可能に構成し、載置台に載置したワークのエッジ位置をエッジ位置検出手段で検出可能な構成を採用している。ここで、エッジ位置検出手段としては、センサまたはカメラなど光学機器を挙げることができる。また、本発明におけるワークは、「円周形状またはほぼ円周形状の外形状を有する」ものであればよく、エッジに切り欠きやスリット等のノッチあるいはオリフラ(オリエントフラット)を形成した概ね円周状の外形を有しているとみなせるワークも包含するものである。ワークとしては、ウェーハやCD、DVD等の記録用ディスク、ダイヤフラムや鏡板等の機械部品が挙げられる。
【0011】
そして、本発明に係るワークの位置合わせ装置は、さらに、XYステージをX軸方向へ駆動させるX軸駆動部と、XYステージをY軸方向へ駆動させるY軸駆動部と、回転軸を回転駆動させる回転軸駆動部と、エッジ位置検出手段からエッジの位置に関するエッジ位置情報及び回転軸駆動部から回転軸の回転角度に関する回転角度情報、これらの情報(エッジ位置情報、回転角度情報)の入力を受けてX軸駆動部及びY軸駆動部の作動を制御する制御部とを備え、この制御部が、回転軸駆動部により回転軸を回転駆動させている状態において、入力されるエッジ位置情報及び回転角度情報に基づきワークの中心位置を回転軸中心に一致させるために要するXYステージの移動量を算出し、この移動量に基づいてX軸駆動部又はY軸駆動部の少なくとも何れか一方を作動させるものであることを特徴としている。
【0012】
このようなワークの位置合わせ装置であれば、載置台にワークを載置した状態で回転軸回りに載置台及びXYステージを回転させて、エッジ位置検出手段によりワークのエッジ位置を検出しながら、リアルタイムで制御部に入力されるエッジ位置情報及び回転角度情報に基づいて算出したXYステージの移動量に応じて制御部によりX軸駆動部又はY軸駆動部の少なくとも何れか一方を作動させるように構成しているため、ワークを回転させながらその中心位置を回転軸の中心に合わせることができる。したがって、従来のようにエッジ位置の検出のために少なくともワークを一回転させる時間を確保しなければならない態様と比較して、ワークの中心位置を回転軸の中心に一致させる処理(位置合わせ処理)の短時間化を実現することができ、ワークに対して所望の処理を施すために要する時間全体の短縮化に図ることができる。ここで、本発明では、制御部が算出した移動量によって、X軸駆動部のみを作動させる場合と、Y軸駆動部のみを作動させる場合と、X軸駆動部及びY軸駆動部の両方を作動させる場合とがある。
【0013】
また、本発明に係るワークの位置合わせ装置であれば、回転させながらワークの中心位置を回転軸の中心に一致させることが可能であるため、位置合わせ処理が完了した状態のワークを例えばアームで次工程に搬送する場合に、ワークに対するアームのアクセス位置を固定することができる。したがって、本発明に係る位置合わせ装置は、回転ステージの回転を停止させた状態でワークに対するワーク搬送用アームのアクセス位置を補正する態様と比較して、ワークに対するワーク搬送用アームのアクセス位置を補正する処理が不要となり、構造の簡素化及び低価格化を図りつつ短時間化を実現することができる。
【発明の効果】
【0014】
本発明によれば、載置台をXYステージ上に配置し、これら載置台及びXYステージを共通の回転軸を中心に回転させるという斬新な技術的思想を採用することによって、載置台上のワークを回転させながら、エッジ位置情報及び回転角度情報に基づいて回転ワークの中心位置を回転軸の中心に合わせることが可能となり、位置合わせ処理に要する時間の短縮化を実現することができる。
【図面の簡単な説明】
【0015】
【図1】本発明の一実施形態に係るワークの中心位置合わせ装置の全体構成模式図。
【図2】図1のA方向矢視図。
【図3】同実施形態における基準データを示す図。
【図4】同実施形態においてウェーハの中心位置が回転軸中心に一致していない場合の図3に対応するグラフを模式的に示す図。
【図5】同実施形態に係るワークの中心位置合わせ装置によってウェーハの中心位置を回転軸中心に一致させる処理を行った場合の図3に対応するグラフを模式的に示す図。
【図6】同実施形態に係るワークの中心位置合わせ装置の処理手順を示す図。
【発明を実施するための形態】
【0016】
以下、本発明の一実施形態を、図面を参照して説明する。
【0017】
本実施形態に係るワークの中心位置合わせ装置1(アライメント装置とも称される。以下、説明の便宜上、「本装置1」と記載する場合がある)は、ワークたるウェーハWの中心位置を回転ステージ2の回転中心位置に合わせるものであり、図1及び図2に示すように、ウェーハWを載せて回転可能な回転ステージ2と、この回転ステージ2の上方に所定の等角度間隔で設けられウェーハWのエッジ位置を検出可能なエッジ位置検出手段3と、これら回転ステージ2及びエッジ位置検出手段3の作動を制御する制御部4とを備えている。
【0018】
回転ステージ2は、ウェーハWを載せる載置台21と、載置台21の下側に配置されて載置台21を平面上で直交するX軸方向及びY軸方向に移動させるXYステージ22とを有し、これら載置台21及びXYステージ22が、XYステージ22を下方から回転可能に支持しXYステージ22の原点に一致する回転軸5を中心に一体回転するものである。すなわち、本実施形態では、XYステージ22自体も回転軸5回りに回転し、このXYステージ22の上側に配置した載置台21もXYステージ22と共に回転軸5回りに回転するように構成している。この回転ステージ2の回転中心は回転軸5の中心と一致する。
【0019】
載置台21は、上面が平坦なものであればよく、本実施形態では略円盤状を有するものを適用している。また、XYステージ22は、X軸方向にスライド移動可能なX軸スライダ22Aと、Y軸方向にスライド移動可能なY軸スライダ22Bとを備えている。
【0020】
エッジ位置検出手段3は、例えばセンサを用いて構成したものであり、載置台21に載せたウェーハWのエッジを検出可能な位置に配置している。本実施形態では、エッジ位置検出手段3で検出したエッジ位置に関する情報(エッジ位置情報)を制御部4に提供(出力)している。
【0021】
また、本装置1は、XYステージ22をX軸方向へ駆動させるX軸駆動部6と、XYステージ22をY軸方向へ駆動させるY軸駆動部7と、回転軸5を回転駆動させる回転軸駆動部8とを備え、これら各駆動部(X軸駆動部6、Y軸駆動部7、回転軸駆動部8)の作動を制御部4で制御している。
【0022】
X軸駆動部6やY軸駆動部7は、例えばリニアモータを用いて構成したものである。なお、リニアモータに代えてボールネジ機構を適用してもよい。本実施形態では、X軸駆動部6とX軸スライダ22Aとをスリップリング(図示省略)を介して接続するとともに、Y軸駆動部7とY軸スライダ22Bとをスリップリング(図示省略)を介して接続している。その結果、回転軸5を一方向へ連続して回転させた場合であっても、各軸駆動部(X軸駆動部6、Y軸駆動部7)とXYステージ22(X軸スライダ22A、Y軸スライダ22B)との間で断線が生じることなく、各軸駆動部(X軸駆動部6、Y軸駆動部7)からXYステージ22(X軸スライダ22A、Y軸スライダ22B)に対して駆動電力と電気信号を適切に伝達することができる。
【0023】
また、回転軸駆動部8は、例えば回転軸5を有する回転モータMを作動させて回転軸5の回転動作を制御するものであり、本実施形態ではこの回転軸駆動部8によって回転させる回転軸5の回転角度に関する情報(回転角度情報)を制御部4に提供(出力)している。
【0024】
制御部4は、ウェーハWの回転中心位置と回転ステージ2の回転中心位置(回転軸5の中心)との位置合わせに係る制御や処理を行うものである。この制御部4は、演算機能、通信機能等を備えた汎用のパーソナルコンピュータ等からなるコントローラC内に設けられ、当該コントローラCに備えられた内部メモリやHDDなど外部記憶装置に記憶されたプログラムに従って、CPUや通信インタフェース、その他コントローラCの各構成部品や各要素を作動させることによって、図1に示すように、XYステージ移動量算出手段41と、XYステージ補正手段42としての機能を少なくとも有するものである。
【0025】
XYステージ移動量算出手段41は、回転軸駆動部8により回転軸5を回転駆動させている状態において、入力されるエッジ位置情報及び回転角度情報に基づきウェーハWの中心位置を回転軸5の中心に一致させるために要するXYステージ22の移動量を算出するものである。ここで、制御部4には、回転ステージ2上に載置したウェーハWの中心位置と回転軸5の中心とが一致した状態で回転軸5を回転させた場合における回転角度情報とエッジ位置情報との関係を図3に示すようにXY座標上に表したデータ(基準データ)が記憶されている。同図からも把握できるように、回転ステージ2上に載置したウェーハWの中心位置と回転軸5の中心とを一致させ状態で回転軸5を回転させた場合、何れの回転角度であってもウェーハWのエッジ位置は常に一定である。基準データにおけるエッジ位置(基準エッジ位置)の集合である直線を水平基準線Lとする。なお、この基準データは、ウェーハWとしてエッジ部分にノッチやオリフラ等の切欠部を形成していない円形のものを適用した場合のものである。
【0026】
そして、回転ステージ2に載置したウェーハWのエッジ位置と回転軸5の回転角度についても、基準データと同様のXY座標上に表すことができ、回転ステージ2に載置したウェーハWの中心位置が回転軸5の中心と一致していない場合には、回転ステージ2上のウェーハWのエッジ位置の集合である線は、例えば図4に示すような曲線として表れる。なお、同図において、他の部分とは明らかに異なる曲線iが表れる領域Iは、ウェーハWのエッジに形成したノッチWnをエッジ位置検出手段3で検出している状態を意味する。
【0027】
本実施形態のXYステージ移動量算出手段41は、エッジ位置検出手段3及び回転軸駆動部8から入力されるエッジ位置情報と回転角度情報とに基づいて基準データと同様のXY座標上に表示されるある回転角度における回転ステージ2上のウェーハWのエッジ位置と基準エッジ位置(水平基準線L上のある点)との差分(図4における上下方向の直線距離t)に応じて、回転軸5の回転中心方向へウェーハWを移動させる量(移動量)を算出する。具体的に、XYステージ移動量算出手段41は、回転角度情報から回転角度を把握し、その回転角度におけるX軸方向及びY軸方向の合成移動量が回転軸5の中心を向くようにXYステージ22の移動量を算出する。例えば、回転軸5の回転角度が90度であれば、Y軸駆動部7によってY軸スライダ22Bを回転ステージ2上のウェーハWのエッジ位置と基準エッジ位置との差分だけ移動させる値を移動量として算出する。また、回転軸5の回転角度が45度であれば、X軸駆動部6によってX軸スライダ22Aを回転ステージ2上のウェーハWのエッジ位置と基準エッジ位置との差分に「1/2×√2」を乗じた分だけ移動させる値、及びY軸駆動部7によってY軸スライダ22Bを回転ステージ2上のウェーハWのエッジ位置と基準エッジ位置との差分に「1/2×√2」を乗じた分だけ移動させる値を移動量として算出する。
【0028】
XYステージ補正手段42は、XYステージ移動量算出手段41で算出した移動量に基づいてX軸駆動部6又はY軸駆動部7の少なくとも何れか一方を作動させてXYステージ22を面方向(X軸方向、Y軸方向)に水平姿勢を維持したまま移動させるものである。本実施形態では、XYステージ移動量算出手段41で算出した移動量によって、XYステージ補正手段42はX軸スライダ22Aのみを移動させる場合、またはY軸スライダ22Bのみを移動させる場合、あるいはX軸スライダ22A及びY軸スライダ22Bの両方を移動させる場合がある。XYステージ補正手段42は、XYステージ移動量算出手段41で算出した移動量に基づくXYステージ22の補正値によってX軸駆動部6及びY軸駆動部7の作動を制御している。
【0029】
次に、図5及び図6を参照しながら本実施形態に係るワークの中心位置合わせ装置1の操作手順及び作用について説明する。
【0030】
先ず、エッジの一部にノッチWnを形成したウェーハWを回転ステージ2の載置台21上にセットした状態で、本装置1は、回転軸駆動部8によって回転軸5を回転させて回転ステージ2と共に回転するウェーハWのエッジ位置をエッジ位置検出手段3で検出する。そして、本装置1では、XYステージ移動量算出手段41が、エッジ位置検出手段3から入力されるエッジ位置情報と、回転軸駆動部8から入力される回転角度情報とに基づいて、ウェーハWの中心位置を回転軸5の中心に一致させるために要するXYステージ22の移動量を算出する(XYステージ移動量算出工程S1、図6参照)。例えば、図5に示すように、回転軸5の回転角度が90度における回転ステージ2上のウェーハWのエッジ位置と基準データの基準エッジ位置との差が「α」である場合(ケース1)、XYステージ移動量算出手段41は、Y軸駆動部7によってY軸スライダ22Bを回転ステージ2上のウェーハWのエッジ位置と基準エッジ位置との差分「α」だけ移動させる値を移動量として算出する。また、回転軸5の回転角度が45度における回転ステージ2上のウェーハWのエッジ位置と基準データの基準エッジ位置との差が「β」である場合(ケース2)、XYステージ移動量算出手段41は、X軸駆動部6によってX軸スライダ22Aを回転ステージ2上のウェーハWのエッジ位置と基準エッジ位置との差分βに「1/2×√2」を乗じた値「β(1/2×√2)」、及びY軸駆動部7によってY軸スライダ22Bを回転ステージ2上のウェーハWのエッジ位置と基準エッジ位置との差分βに「1/2×√2」を乗じた値「β(1/2×√2)」、をそれぞれX軸スライダ22Aの移動量、Y軸スライダ22Bの移動量として算出する。
【0031】
次いで、本装置1では、制御部4により、算出した移動量を補正値として、この補正値に基づいてX軸駆動部6又はY軸駆動部7の少なくとも何れか一方を作動させて、XYステージ21の位置を補正する(XYステージ補正工程S2、図6参照)。例えば、ケース1では、制御部4のXYステージ補正手段42が、Y軸駆動部7によってY軸スライダ22Bを補正値に応じた移動量「α」だけ移動させる。また、ケース2では、制御部4のXYステージ補正手段42が、X軸駆動部6によってX軸スライダ22Aを補正値に応じた移動量「β(1/2×√2)」」だけ移動させるとともに、Y軸駆動部7によってY軸スライダ22Bを移動量「β(1/2×√2)」だけ移動させる。
【0032】
以上の処理手順を経ることによって、本装置1はXYステージ22をX軸方向またはY軸方向の少なくとも一方へ所定量移動させて、このXYステージ22に支持されてXYステージ22と一体回転する載置台21上に載置したウェーハWの中心位置と回転軸5の中心とを一致させることができる。
【0033】
ここで、本装置1は、回転ステージ2を回転させた状態でXYステージ移動量工程S1及びXYステージ補正工程S2を行うため、図5に示すように、回転ステージ2を1回転させる過程で、回転ステージ2上のウェーハWのエッジ位置を基準エッジ位置に近付けることができ、少なくとも回転ステージ2が一回転し終えた時点では回転ステージ2上のウェーハWのエッジ位置を基準エッジ位置に一致させることができる。
【0034】
このように、本装置1は、載置台21にウェーハWを載置した状態で回転軸5回りに載置台21及びXYステージ22を回転させて、エッジ位置検出手段3によりウェーハWのエッジ位置を検出しながら、リアルタイムで制御部4に入力されるエッジ位置情報及び回転角度情報に基づいて算出したXYステージ22の移動量に応じて制御部4によりX軸駆動部6又はY軸駆動部7の少なくとも何れか一方を作動させるように構成しているため、ウェーハWを回転させながらその中心位置を回転軸5の中心に合わせることができる。したがって、従来のように回転ステージを一回転させてから一旦停止し、回転中に検出したエッジ位置情報に基づいて回転ステージを所定方向へ移動させる態様と比較して、ウェーハWの中心位置を回転軸5の中心に一致させる処理(位置合わせ処理)に要する時間の短縮化を実現することができ、ウェーハWに対して所望の処理を施すために要する時間全体の短縮化に図ることができる。
【0035】
また、本実施形態に係る位置合わせ装置1では、回転させながらウェーハWの中心位置を回転軸5の中心にリアルタイムで一致させることが可能であるため、位置合わせ処理が完了した状態のウェーハWを例えばアームで次工程に搬送する場合に、ウェーハWに対する搬送用アーム(図示しない)のアクセス位置を固定することができる。したがって、本装置1は、回転ステージの回転を停止させた状態で、算出した所定のズレ量に応じてウェーハに対する搬送用アームのアクセス位置を補正する態様と比較して、ウェーハWに対する搬送用アームのアクセス位置を補正する処理が不要となり、構造の簡素化及び低価格化を図ることができる。
【0036】
さらに、ウェーハWの中心位置を回転軸5の中心に一致させるために要するXYステージ22の移動量は、上述したように、ある回転角度における実際のウェーハWのエッジ位置と基準エッジ位置との差分に基づいて簡易な演算処理で算出することができ、高度且つ複雑な演算処理が要求される態様と比較して、処理能力がさほど高くない安価な演算処理装置を用いることが可能であり、低コスト化をも図ることができる。
【0037】
また、エッジの一部にノッチWnを形成したウェーハWの中心位置を回転軸5の中心に一致させる場合、図4及び図5に示すように、ウェーハWのうちノッチWnを形成した領域がエッジ位置検出手段3のエッジ検出ポイントを通過している間のエッジ位置情報に基づくエッジ位置の集合である曲線iが、ノッチWnを形成していないエッジがエッジ位置検出手段3のエッジ検出ポイントを通過している間のエッジ位置情報に基づくエッジ位置の集合である曲線と比較して特異な線となる。この点に着目し、制御部4が、入力されるエッジ位置情報及び回転角度情報に基づいて、特異な曲線iが表れている時点Iを、ウェーハWのうちノッチWnを形成した領域がエッジ位置検出手段3のエッジ検出ポイントを通過している時点と捉え、この時点における回転角度に基づいて、回転軸駆動部8によって回転駆動軸を所定角度回転させるようにすれば、載置台21上のウェーハWを所定の向きに設定した状態で次工程に提供することができる。また、ノッチWn部分がエッジ位置検出手段3に近い位置となるように載置台21上にウェーハWをセットして、位置合わせ処理を行うようにすれば、ノッチWn部分を検出するための回転角度を少なくすることができる。
【0038】
なお、本発明は上述した実施形態に限定されるものではない。例えば、ワークとして、ノッチやオリフラなどの切欠部を形成していないウェーハや、ウェーハに代えて、CDやDVD等の記録用ディスク、或いはダイヤフラムや鏡板等の機械部品を適用してもよい。
【0039】
上述した実施形態では、X軸駆動部とX軸スライダとの間、Y軸駆動部とY軸スライダとの間にそれぞれスリップリングを配置した態様を例示したが、各軸駆動部とXYステージをリード線で接続してもよい。この場合、回転軸を一方向へ連続して回転させた場合にリード線が絡まったり、リード線に無理な力(引っ張り力)が作用することによって断線し得る事態を回避するために、回転軸を所定角度回転させる毎(例えば、一回転毎であったり、あるいは所定回数の回転毎も含む)に回転方向を逆転させるようにすることが望ましい。
【0040】
また、XYステージを所定の移動量に応じて移動させた後においてもウェーハの中心位置が回転軸中心に一致していない場合、つまり、ウェーハのエッジ位置情報及び回転角度情報を関連付けたXY座標上において、載置台上のウェーハのエッジ位置が予め設定している基準エッジ位置と一致しない事象が確認される場合、上述したXYステージ移動量算出工程及びXYステージ補正工程を上記事象が完全に消える又はほぼ消えるまで繰り返せばよい。
【0041】
また、エッジ位置検出手段が、カメラや偏位計を利用してワークのエッジ位置を検出するものであっても構わない。
【0042】
XYステージ移動量算出手段における演算プログラムが上述した実施形態に述べた演算プログラム以外のものであっても構わない。
【0043】
その他、各部の具体的構成についても上記実施形態に限られるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々変形が可能である。
【符号の説明】
【0044】
1…ワークの中心位置合わせ装置
21…載置台
22…XYステージ
3…エッジ位置検出手段
4…制御部
5…回転軸
6…X軸駆動部
7…Y軸駆動部
8…回転軸駆動部
W…ワーク(ウェーハ)

【特許請求の範囲】
【請求項1】
円周形状またはほぼ円周形状の外形状を有するワークを載せる載置台と、
前記載置台の下側に配置され且つ載置台を平面上で直交するX軸方向及びY軸方向に移動させるXYステージと、
前記XYステージをX軸方向へ駆動させるX軸駆動部と、
前記XYステージをY軸方向へ駆動させるY軸駆動部と、
前記XYステージを下方から回転可能に支持し当該XYステージの原点に一致する回転軸と、
前記回転軸を回転駆動させる回転軸駆動部と、
ワークのエッジ位置を検出するエッジ位置検出手段と、
前記エッジ位置検出手段からエッジの位置に関するエッジ位置情報、及び前記回転軸駆動部から前記回転軸の回転角度に関する回転角度情報、の入力を受けて前記X軸駆動部及び前記Y軸駆動部の作動を制御する制御部とを備え、
前記制御部が、前記回転軸駆動部により前記回転軸を回転駆動させている状態において、入力される前記エッジ位置情報及び前記回転角度情報に基づきワークの中心位置を回転軸中心に一致させるために要する前記XYステージの移動量を算出し、当該移動量に基づいて前記X軸駆動部又は前記Y軸駆動部の少なくとも何れか一方を作動させるものであることを特徴とするワークの中心位置合わせ装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2012−209361(P2012−209361A)
【公開日】平成24年10月25日(2012.10.25)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−72715(P2011−72715)
【出願日】平成23年3月29日(2011.3.29)
【出願人】(000002059)シンフォニアテクノロジー株式会社 (1,111)
【Fターム(参考)】