説明

ワーク移載装置、ケーサーシステム、およびワーク移載方法

【課題】ワークにストレスをかけることなく、かつ高速で効率よくワークをケースに移載できるワーク移載装置、ケーサーシステム、およびワーク移載方法を提供すること。
【解決手段】フレームに組みつけられたワーク移載装置300であって、チャックユニット10と、チャックユニット10に接続され、第一位置P301におけるワークWの配置に対応する第一形態から第二位置P302におけるワークWの配置に対応する第二形態へとワークWの配列を変換する配列変換部20と、配列変換部20に取り付けられ、第一形態から第二形態へワークWの配列を変換するための駆動力を発する動力源と、この動力源に接続された歯車部材と、フレームに少なくとも一部が固定され、第一位置から第二位置への配列変換部20の移動軌跡を規定し、歯車部材に噛み合う歯が形成された歯付き部材と、を備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、ワーク移載装置、ケーサーシステム、およびワーク移載方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、液体飲料を充填した紙パック容器やペットボトル、ビール壜、牛乳壜およびアイスクリームやヨーグルトなどを充填したカップ容器等(以下「ワーク」と称する。)は、所定個数ずつプラスチックやダンボール箱等の流通箱(以下「ケース」と称する。)に箱詰めされて出荷されている。
【0003】
ワークをケースへ移載する技術としては、例えば、コンベア上に一列に流れてきたワークを所定個数ずつプッシャで押し出すことにより、ワークを整列・集積させてワークの配列をケースの形状に適した配列に変換することが知られている。また、所定の行および列に集積されたワークを、挟み込みまたは吸盤等を有するヘッドにより捕捉して持ち上げて、別のコンベアによって供給されたケース上に移動し、ワークをケースに箱詰めすることが知られている。この際、ワークを捕捉したヘッドを降下させる方法、およびワークに対してケースを上昇させる方法が知られている。
【0004】
このようにワークをケースに箱詰めする方法として、特許文献1には、ゲーブルトップ型紙製容器の箱詰め方法が開示されている。この特許文献1に記載の方法では、液体充填後のカートンを複数個集積させた後にカートンをグリッパーによって吊り上げてケースに移載している。また、上述の集積は、コンベアによって直列状態で供給されるワークを、プッシャによって所定個数づつ押出して整列させることが記載されている。
【0005】
また、特許文献2には、商品を整列・集積できる商品集積装置が開示されている。この特許文献2に記載の商品集積装置は、所定個数の商品が収容される櫛歯状の整列ガイドと、整列ガイドに収容された商品を載置しておくためのテーブルとを備えている。この商品集積装置によれば、整列ガイドを上述の櫛歯の1ピッチ分移動させるだけで、整列ガイドの溝内に商品を導入することができ、商品の流れを停滞させることなく商品を整列・集積できる。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0006】
【特許文献1】特開平6−239305号公報 (図1)
【特許文献2】特開平8−133228号公報 (図2)
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、プッシャによってワークの胴体部が押されながらワークが移動するため、ワークの胴体部にストレスがかかり、またワークの底が擦れたりするため、紙カートンに損傷を与える場合があった。さらに、ワークを所定の行および列に整列・集積させた後に、それらを捕捉してケースに移載するという2段階の動作を要するので、ワーク処理能力を向上させることが困難であった。
また、特許文献2に記載の装置では、商品がテーブルに対して摺動されるので、商品にストレスあるいは損傷を与える場合があった。
【0008】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたものであって、その目的は、ワークにストレスをかけることなく、かつ高速で効率よくワークをケースに移載できるワーク移載装置、ケーサーシステム、およびワーク移載方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0009】
本発明のワーク移載装置は、フレームに組みつけられ、ワークを第一位置と第二位置との間で移載するワーク移載装置であって、前記ワークを把持するチャック部を2以上有するチャックユニットと、前記チャックユニットに接続され、前記第一位置における前記ワークの配置に対応する第一形態から前記第二位置における前記ワークの配置に対応する第二形態へと前記ワークの配列を変換する配列変換部と、前記配列変換部に取り付けられ、前記第一形態から前記第二形態へ前記ワークの配列を変換するための駆動力を発する動力源と、前記動力源に接続された歯車部材と、前記フレームに少なくとも一部が固定され、前記第一位置から前記第二位置への前記配列変換部の移動軌跡を規定し、前記歯車部材に噛み合う歯が形成された歯付き部材と、を備え、前記配列変換部は、前記動力源が前記歯車部材を介して前記歯付き部材へ伝達する駆動力によって、前記第一位置から前記第二位置へ、あるいは前記第二位置から前記第一位置へ移動することを特徴とする。
【0010】
また、前記配列変換部は、前記動力源に接続されているとともに前記動力源が発する駆動力によって前記チャック部を所定の旋回面に沿って旋回動作させる旋回機構を有することが好ましい。
【0011】
また、前記旋回機構は、旋回本体と、前記旋回面に直交し互いに離間する第一軸線および第二軸線を有し、前記旋回本体に対して前記第一軸線回りに相対回動自在に接続されたスイングアームと、前記動力源を有しているとともに前記スイングアームの少なくとも一つと前記旋回本体とを前記第一軸線回りに相対回動させる回動駆動部と、前記スイングアームに対して第二軸線回りに回動可能に接続され少なくとも一つの前記チャック部を有する移動子と、を有することが好ましい。
【0012】
また、前記旋回本体は前記チャック部を少なくとも一つ有することが好ましい。
【0013】
また、前記旋回本体と前記移動子との間に、前記第一軸線と前記第二軸線との距離と等しい長さを有して前記旋回本体と前記移動子とを接続するリンク部材をさらに備えることが好ましい。
【0014】
本発明のケーサーシステムは、本発明のワーク移載装置と、前記ワークを前記第一形態で前記第一位置に配置するワーク供給部と、前記ワークを前記第二形態で収容するためのケースを前記第二位置に搬送するケース搬送部と、を備えることを特徴とする。
【0015】
また、前記ケース搬送部の軌道上に位置し前記ケースに梱包された前記ワークが格納される格納手段を備えることが好ましい。
【0016】
また、前記格納手段は、前記ワークが要冷蔵の場合は、前記ワークを冷蔵する冷蔵庫を有することが好ましい。
【0017】
また、前記格納手段は、前記ワークが要冷凍の場合は、前記ワークを冷凍する冷凍庫を有することが好ましい。
【0018】
本発明のワーク移載方法は、ワークを第一位置と第二位置との間で移載するワーク移載方法であって、前記ワークを第一位置に第一形態で配列して供給するワーク供給工程と、前記ワークを所定個数だけ把持する把持工程と、前記把持工程に続いて前記所定個数の前記ワークが把持された状態で、前記ワークの配列を第一形態と異なる第二形態に変換しつつ、前記ワークを前記第一位置から前記第二位置まで搬送するワーク搬送工程と、前記第二形態に配列された前記ワークを前記第二位置で移載する移載工程と、を備え、前記ワーク搬送工程において、前記ワークの配列の変換タイミングと前記ワークの搬送タイミングとが同期していることを特徴とする。
【0019】
また、本発明のワーク移載装置は、前記ワークがゲーブルトップ型紙製容器であることが好ましい。
また、前記ワークはカップ容器であってもよい。
また、前記ワークはボトル容器であってもよい。
【発明の効果】
【0020】
本発明のワーク移載装置、ケーサーシステム、およびワーク移載方法によれば、ワークの胴体を押したり、底部をこすったりする動作が抑制されているので、ワークにストレスあるいは損傷を与えることを抑制できる。
さらに、所定の配列で供給されるワークが、ケースに搬送される動作と同時にケースの形状に適した配列に変換されるので、ワークにストレスをかけることなく、かつ高速で効率よくワークをケースに移載できる。
また、従来は別工程として行われていたワークの整列・集積とケースへの移動とが同時に行われるため、ワーク集積スペースが不要となるとともにワーク処理能力を高めることができる。これにより、従来の方式に比べて工程が単純化され、機械装置の構成や構造も簡素化され、装置全体の外形寸法も大幅に小型化することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【0021】
【図1】本発明の一実施形態のワーク移載装置およびケーサーシステムのレイアウトを示す概略構成図である。
【図2】(A)は同ケーサーシステムにおけるワーク移載装置を拡大して示す正面図、(B)は同ワーク移載装置の平面図である。
【図3】同ワーク移載装置の一部の構成を拡大して示す正面図である。
【図4】(A)ないし(C)は同ワーク移載装置の使用時の動作を示す平面図である。
【図5】同ワーク移載装置の側面図である。
【発明を実施するための形態】
【0022】
以下、本発明の一実施形態のワーク移載装置およびワーク移載装置を搭載するケーサーシステムについて図1ないし図5を参照して説明する。
図1は、本実施形態のワーク移載装置を搭載するケーサーシステムのレイアウトを示す図である。また、図2は、本実施形態のワーク移載装置を示す図で、(A)は本実施形態のワーク移載装置の正面図、(B)は同ワーク移載装置の平面図である。
図1に示すケーサーシステム1は、液体飲料等が充填された紙容器(カートン)がワークWであり、所定個数のワークWをまとめてケースCに収容するための設備である。本実施形態では、ワークWの形状として牛乳などの飲料を充填するために広く用いられているゲーブルトップ型の容器形状を示しているが、ワークWの形状はこれに限られるものではない。
【0023】
本実施形態では、ケースCの形状として、ワークWを第二形態(4×3の行列でワークWが配列された形態)で収容可能な形状を例示し、ケースCに対して最大12個のワークWを収容可能な装置構成について説明する。
【0024】
ケーサーシステム1は、ワークWを供給するワーク供給部100と、ワークWを収容するためのケースCを搬送するケース搬送部200と、ワークWをケースCに移載するワーク移載装置300と、を備えている。
【0025】
本実施形態では、ワーク供給部100は、ワークWに液体を充填する液体充填装置であり、周知の液体充填装置を適宜採用することができる。また、ワーク供給部100は、ワークWをワーク移載装置300へ搬送するためのワーク供給コンベア101を備えている。
【0026】
ワーク供給コンベア101には、周知のコンベア装置を適宜採用することができる。例えば本実施形態のワーク供給コンベア101は、ワークWが載置される無端ベルト状のコンベアチェーン102と、コンベアチェーン102を駆動させるためのギヤードモーター103と、を有している(図2参照)。
【0027】
ケース搬送部200は、所定のケース保管位置P201と所定の製品保管庫P202との間に軌道を有する周知のコンベア装置を適宜採用することができ、新規なケースCあるいは回収されたリサイクルケースC’(以下あわせてケースCと称する。)などを搬送可能である。また、前記軌道上にはワーク移載装置300が配置されている。製品保管庫P202は、ワークWに適した特性を有する格納手段を採用することができる。具体的には、常温保管が好ましいワークに対しては常温保管庫、例えば飲料等であって冷蔵保管が好ましいワークに対しては冷蔵庫、さらに例えばアイスクリーム等であって冷凍保管が好ましいワークに対しては冷凍庫を備えることができる。
【0028】
図2に示すように、ワーク移載装置300には、ワーク供給コンベア101が接続されてワークWが供給される第一位置P301と、ケース搬送部200の軌道上に位置しておりワークWをケースCに収容する位置である第二位置P302と、が設定されている。
【0029】
本実施形態のワーク移載装置300は、ワークWを第一位置P301と第二位置P302との間で移載する装置であって、ワークWを把持するチャック部11、12、13を有するチャックユニット10と、チャックユニット10に接続され、第一位置P301におけるワークWの配置に対応する第一形態から第二位置P302におけるワークWの配置に対応する第二形態へとワークWの配列を変換する配列変換部20と、配列変換部20に接続され、チャックユニット10を配列変換部20ごと第一位置P301と第二位置P302との間で移動させるワーク搬送部30と、を備えている。
【0030】
また、第一位置P301には、ワーク供給コンベア101と接続され所定数量のワークWを整列させて保持するマガジン部40が設けられている。
【0031】
本実施形態のマガジン部40は、ワーク供給部100によって供給されたワークWを、第一形態で配置(直線上に12個整列配置)することができる。また、必要に応じてマガジン部40には、ワークWに対してマガジン部40を挟んで対向して配置され、ワークWの側壁部(胴部)に接触してワークWの姿勢を修正する図示しない姿勢修正機構を有していてもよい。
マガジン部40には、ワーク供給コンベア101上を搬送されてきたワークWの流れをせき止めるためのストッパ43が設けられている。
【0032】
図3は、図2(A)におけるチャックユニット10部分を拡大して示す正面図である。図3に示すように、チャックユニット10は、ワークWを所定数量(本実施形態では4個)まで把持可能な同形同大のチャック部11、12、13を有して構成されており、チャック部11、12、13の動作は同期するように設定されている。このため、3つのチャック部11、12、13によって、マガジン部40に供給された12個のワークWを一括して把持可能である。
【0033】
本実施形態のチャック部11、12、13は、ゲーブルトップ型のワークWにおける頂部W1を把持可能な挟み込み(開閉動作)型のグリップ機構(詳細な図示は省略する)を有し、ワークWの底部を空中に引き上げることができるようにワークWを把持するものである。
【0034】
配列変換部20は、チャック部12およびチャック部13のそれぞれを、チャック部11を旋回の中心として所定の旋回面Q(本実施形態では図2(B)の紙面方向に延びる面)に沿って旋回動作させる旋回機構50を有している。
【0035】
旋回機構50は、チャック部11が接続された旋回本体51と、旋回面Qに直交し互いに離間する第一軸線O1および第二軸線O2を有し、旋回本体51に対して第一軸線O1回りに相対回動自在に接続されたスイングアーム54と、スイングアーム54と旋回本体51とを第一軸線O1回りに相対回動させる回動駆動部55と、スイングアーム54に対して第二軸線O2回りに回動可能に接続されチャック部12を有する移動子52と、を有している。
【0036】
さらに、旋回本体51と移動子52との間に、第一軸線O1と第二軸線O2との距離と等しい長さを有して旋回本体51と移動子52とを接続するリンク部材54aが接続されており、旋回本体51と移動子52との間には平行リンク機構が構成されている。
【0037】
また、旋回機構50は、移動子52と同様の構成を有しチャック部13が接続された移動子53を有し、上述の平行リンク機構と同様の効果を奏するスイングアーム54’、リンク部材54a’が接続されている。
【0038】
回動駆動部55は、第一軸線O1に平行な軸回りの回転力を発生させるサーボモータ56と、サーボモータ56によって回動される駆動プーリ57と、駆動プーリ57に掛け回されたタイミングベルト58と、タイミングベルト58が掛け回されるとともにリンク部材54a、54a’、およびスイングアーム54’にそれぞれ固定された複数の従動プーリ59とを有している。
【0039】
本実施形態ではリンク部材54a、54a’にも従動プーリ59が設けられており、すべての従動プーリ59に同一のタイミングベルト58が掛け回されている。このため、サーボモータ56によって生じる回転駆動力はスイングアーム54、54’、およびリンク部材54a、54a’のそれぞれに等しく伝達される。
【0040】
図2に示すワーク搬送部30としては、フレームFに設置可能な構成を有する周知の産業用ロボットを採用することができ、特に水平多関節ロボットを好適に採用することができる。本実施形態では、ワーク搬送部30として汎用ロボット(ヤマハ発動機株式会社製の4軸スカラロボットYK1200X)を採用した。また、ワーク搬送部30の作用軸31には、上述の配列変換部20が接続されており、ワーク搬送部30に設けられた図示しない制御部によって旋回機構50の動作が制御されている。
【0041】
以上に説明する構成の、本実施形態のケーサーシステム1全体の使用時の動作及びワーク移載装置300の作用について説明する。
まず、図1に示すワーク供給部100においてワークWに適宜の加工(液体の充填、開口部の封止など)が施され、図2に示すようにワークWがワーク供給コンベア101を通じてワーク移載装置300のマガジン部40に搬送される。マガジン部40では、ストッパ43によってワークWの流れが止められ、マガジン部40にはワークWが上述の第一形態で配列される(ワーク供給工程S1)。必要に応じて、図示しない姿勢修正機構によってワークWが直列状態となるように整列されてもよい。
【0042】
続いて、図3に示すチャック部11、12、13のそれぞれが開動作されるとともに、図2(B)に示すようにチャックユニット10がワーク搬送部30によってマガジン部40における所定のチャック位置まで搬送される。所定のチャック位置は、ワークWの形状の差異(例えば容器の容量の違いによる形状の差異など)によって予め設定されており、ワークWの種類によって切り換えて動作可能である。
【0043】
続いて、上述のチャック部11、12、13のそれぞれが閉動作され、チャック部11、12、13のそれぞれによってワークWの頂部W1が把持される(ワーク把持工程S2)。さらに、ワーク搬送部30によってチャックユニット10が鉛直上方に移動されて、ワークWはチャック部11、12、13によって空中に引き上げられる。このとき、ワークWの底部および胴体部はマガジン部40等の部材から離間している。
【0044】
図4(A)ないし図4(C)は、ワークWが第一位置P301から第二位置P302まで搬送される工程(ワーク搬送工程S3)におけるチャック部11、12、13の相対位置の移動を示した図である。図4(A)は第一位置P301におけるチャック部11、12、13の位置関係を示し、図4(B)は第一位置P301と第二位置P302との間のある位置でのチャック部11、12、13の位置関係を示し、図4(C)は第二位置P302におけるチャック部11、12、13の位置関係を示している。
【0045】
図4(A)に示すように、第一位置P301では、チャック部11、12、13はワークWの直列方向に一列に配置されている。ワーク搬送部30がチャックユニット10を第一位置P301から第二位置P302まで搬送する間に、上述のサーボモータ56が駆動されて、図4に示す平面視でスイングアーム54、54’が第一軸線O1、O1’(図3参照)回りにAからB方向に回動される。
【0046】
すると、図4(B)に示すように、移動子52、53は上述の平行リンク機構によって旋回本体51に対して平行状態を保ちつつ旋回する。その結果、ワーク搬送部30によってチャックユニット10が第一位置P301から第二位置P302に搬送される間に、チャック部11、12、13は互いに平行な3列に配列変換される。この時、チャック部11、12、13に把持されたワークWは4個×3列すなわち第二形態に整列、集積されている(図4(C)参照)。
【0047】
図5は、ワーク移載装置300の側面図で、ワーク移載装置300によってワークWが移載される軌道を示している。図5に示すように、第二位置P302において、3列化されたチャックユニット10はワーク搬送部30によってケースCまで搬送され、ワークWがケースCの内部に挿入される。続いて、ワークWがケースCに収容された状態でチャック部11、12、13(図3参照)のそれぞれが開動作され、ケースCへのワークWの移載が完了する(ワーク移載工程S4)。
【0048】
ワークWの移載が完了した後、ワーク搬送部30は、チャックユニット10を第二位置P302から第一位置P301まで搬送する。この時、チャックユニット10における旋回機構50は、上述と逆の旋回動作を行って移動子52、53を旋回本体51に対して旋回させてチャック部11、12、13を再び直列状態に配置する。
【0049】
ワークWおよびケースCが供給されている間は上述の一連の工程を繰り返し、ケース搬送部200によって搬送されるケースCのそれぞれに対して順次ワークを収容してゆく。ワークWが収納されたケースCは、図1に示すようにケース搬送部200によって製品保管庫P202の所定の位置まで搬送される。製品保管庫P202は、ワークWに適した特性を有する格納手段を採用することができる。具体的には、常温保管が好ましいワークに対しては常温保管庫、例えば飲料等であって冷蔵保管が好ましいワークに対しては冷蔵庫、さらに例えばアイスクリーム等であって冷凍保管が好ましいワークに対しては冷凍庫を備えることができる。
【0050】
以上説明したように、本実施形態のワーク移載装置300、ケーサーシステム1、およびワーク移載方法によれば、チャック部11、12、13によってワークWの頂部W1を把持し、ワークWを空中に引き上げた後にワークWを第一位置P301から第二位置P302へと搬送できる。このため、ワークWの胴体を押したり、底部をこすったりする動作が抑制されている。その結果、ワークをケースに収容する工程の間でワークにストレスあるいは損傷を与えることを抑制できる。
【0051】
さらに、直列状態である第一形態で供給されるワークが、ケースに搬送される動作と同時にケースの形状に適した第二形態に変換されるので、ワークにストレスをかけることなく、かつ高速で効率よくワークをケースに移載できる。
一例を挙げると、ワークとして市販の牛乳・乳飲料用の1000cc紙容器(一般的に紙カートンと呼ばれている。)に水1000ccを充填・シールしたものを用意し、本実施形態の移載装置300に供給し、12本のワークを第二形態(4本×3列)としてプラスティックケースに収容する運転を行った。その結果、1000ccの上記紙容器12本を安定して、9000個/h(750ケース/h)の高速で処理可能であった。ワークを集積する集積装置を有する従来型移載装置では、処理速度が6000個/h(500ケース/h)程度であったことに比べて、約1.5倍の高速処理が可能であり、かつ、紙容器の胴部外面(サイド)や底部のこすれも殆ど無く、ワークにやさしい移載が可能であった。
【0052】
また、旋回機構50によって、旋回本体51に対して移動子52、53を旋回させるので、旋回軸(第一軸線O1、O1’)回りの一動作によって短時間で効率よくワークWの配列変換を行うことができる。
【0053】
また、旋回機構50においてスイングアーム54、54’とリンク部材54a、54a’によって平行リンク機構が構成されているので、チャック部11に対してチャック部12、13を平行状態を保ちつつ旋回動作させることができる。このため、ワークWの向きを揃えた状態でワークWの配列を変換することができる。
【0054】
また、ワーク搬送部30が水平多関節ロボットであるので、チャックユニット10を搬送する軌道の設定の自由度が高く、ワークWあるいはケースCの搬送軌道の設計変更に柔軟に対応してワーク移載装置を構成することができる。
【0055】
以上、本発明の実施形態について図面を参照して詳述したが、具体的な構成はこの実施形態に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲の設計変更等も含まれる。
一例を挙げると、チャックユニット10の移動手段は上述の水平多関節ロボット(汎用ロボット)に限られるものではない。例えば、2軸のサーボモータを用いてチャックユニット10を移動させることも可能である。
【0056】
また、スイングアーム54を旋回させるための回動駆動部55にラック・ピニオン等の機構を付加して、スイングアーム54を旋回させるための動力とチャックユニット10を水平移動させるための動力とを兼用させることも可能である。すなわち、回動駆動部55における駆動プーリ57を軸回りに回転させるピニオンと、フレームFに対して相対位置関係が固定されたラックとを備えることで、チャックユニット10の搬送動作の一部を駆動プーリ57の回転動作として伝達することができる。この場合、他にチャックユニットを移動させるために必要な動力はワークWを上げ下げする鉛直方向のみとなる。
【0057】
また、チャックユニットの水平および垂直方向の移動にエアーシリンダを用いることも可能である。
【0058】
また、本発明のワーク移載装置は、上述の実施形態において説明したゲーブルトップ型の容器以外のワークを移載する装置にも適用することができる。例えば、アイスクリームやヨーグルト等を充填したカップ容器をケースに移載する装置に本発明を適用する場合には、チャックユニット10におけるチャック部11、12、13に代えて、上記カップ容器の一部に吸着可能な吸着ヘッドを備えればよい。このような吸着ヘッドは、例えば真空エゼクタ(SMC ZH10BS−06−01)あるいはバキュームパット(妙徳 PJG−40−S)などの部品で構成することができる。また、チャック部11、12、13に代えてワークを把持する二つ割のチャックを採用することで、牛乳壜をケースに移載するワーク移載装置にも本発明を適用することができる。
【0059】
また、上述の実施形態においてワークWの配列の第一形態はワークWが1列に計12個配列された形態を示し、ワークWの配列の第二形態はワークWが4×3の行列に計12個配列された形態を示したが、第一形態と第二形態とのそれぞれにおけるワークWの数量及び配列は適宜選択することができる。例えば、上述の平行リンク機構の数を増やすことで1列から4列、あるいは1列から5列のような配列変換や、2列から3列、あるいは2列から4列のような配列変換も一動作で行うことができる。
【符号の説明】
【0060】
1 ケーサーシステム
10 チャックユニット
11、12、13 チャック部
20 配列変換部
30 ワーク搬送部
50 旋回機構
51 旋回本体
52、53 移動子
54、54’ スイングアーム
54a、54a’ リンク部材
55 回動駆動部
100 ワーク供給部
101 ワーク供給コンベア
200 ケース搬送部
300 ワーク移載装置
C ケース
O1、O1’ 第一軸線
O2、O2’ 第二軸線
Q 旋回面
W ワーク
S1 供給工程
S2 把持工程
S3 搬送工程
S4 移載工程
P301 第一位置
P302 第二位置

【特許請求の範囲】
【請求項1】
フレームに組みつけられ、ワークを第一位置と第二位置との間で移載するワーク移載装置であって、
前記ワークを把持するチャック部を2以上有するチャックユニットと、
前記チャックユニットに接続され、前記第一位置における前記ワークの配置に対応する第一形態から前記第二位置における前記ワークの配置に対応する第二形態へと前記ワークの配列を変換する配列変換部と、
前記配列変換部に取り付けられ、前記第一形態から前記第二形態へ前記ワークの配列を変換するための駆動力を発する動力源と、
前記動力源に接続された歯車部材と、
前記フレームに少なくとも一部が固定され、前記第一位置から前記第二位置への前記配列変換部の移動軌跡を規定し、前記歯車部材に噛み合う歯が形成された歯付き部材と、
を備え、
前記配列変換部は、前記動力源が前記歯車部材を介して前記歯付き部材へ伝達する駆動力によって、前記第一位置から前記第二位置へ、あるいは前記第二位置から前記第一位置へ移動する
ことを特徴とするワーク移載装置。
【請求項2】
前記配列変換部は、前記動力源に接続されているとともに前記動力源が発する駆動力によって前記チャック部を所定の旋回面に沿って旋回動作させる旋回機構を有する請求項1に記載のワーク移載装置。
【請求項3】
前記旋回機構は、
旋回本体と、
前記旋回面に直交し互いに離間する第一軸線および第二軸線を有し、前記旋回本体に対して前記第一軸線回りに相対回動自在に接続されたスイングアームと、
前記動力源を有しているとともに前記スイングアームの少なくとも一つと前記旋回本体とを前記第一軸線回りに相対回動させる回動駆動部と、
前記スイングアームに対して第二軸線回りに回動可能に接続され少なくとも一つの前記チャック部を有する移動子と、
を有する請求項2に記載のワーク移載装置。
【請求項4】
前記旋回本体は前記チャック部を少なくとも一つ有することを特徴とする請求項3に記載のワーク移載装置。
【請求項5】
前記旋回本体と前記移動子との間に、前記第一軸線と前記第二軸線との距離と等しい長さを有して前記旋回本体と前記移動子とを接続するリンク部材をさらに備える請求項3または4に記載のワーク移載装置。
【請求項6】
請求項1〜5のいずれか一項に記載のワーク移載装置と、
前記ワークを前記第一形態で前記第一位置に配置するワーク供給部と、
前記ワークを前記第二形態で収容するためのケースを前記第二位置に搬送するケース搬送部と、
を備えるケーサーシステム。
【請求項7】
前記ケース搬送部の軌道上に位置し前記ケースに梱包された前記ワークが格納される格納手段を備える請求項6に記載のケーサーシステム。
【請求項8】
前記格納手段は、前記ワークが要冷蔵の場合は、前記ワークを冷蔵する冷蔵庫を有する請求項7に記載のケーサーシステム。
【請求項9】
前記格納手段は、前記ワークが要冷凍の場合は、前記ワークを冷凍する冷凍庫を有する請求項7に記載のケーサーシステム。
【請求項10】
ワークを第一位置と第二位置との間で移載するワーク移載方法であって、
前記ワークを第一位置に第一形態で配列して供給するワーク供給工程と、
前記ワークを所定個数だけ把持する把持工程と、
前記把持工程に続いて前記所定個数の前記ワークが把持された状態で、前記ワークの配列を第一形態と異なる第二形態に変換しつつ、前記ワークを前記第一位置から前記第二位置まで搬送するワーク搬送工程と、
前記第二形態に配列された前記ワークを前記第二位置で移載する移載工程と、
を備え、
前記ワーク搬送工程において、前記ワークの配列の変換タイミングと前記ワークの搬送タイミングとが同期していることを特徴とするワーク移載方法。
【請求項11】
前記ワークがゲーブルトップ型紙製容器である請求項1に記載のワーク移載装置。
【請求項12】
前記ワークがカップ容器である請求項1に記載のワーク移載装置。
【請求項13】
前記ワークがボトル容器である請求項1に記載のワーク移載装置。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【公開番号】特開2011−6155(P2011−6155A)
【公開日】平成23年1月13日(2011.1.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−225112(P2010−225112)
【出願日】平成22年10月4日(2010.10.4)
【分割の表示】特願2009−140216(P2009−140216)の分割
【原出願日】平成21年6月11日(2009.6.11)
【出願人】(000223148)株式会社トーワテクノ (10)
【Fターム(参考)】