一芯双方向光モジュール
【課題】LDの光学特性が良く低コストの一芯双方向光モジュールを提供する。
【解決手段】一芯双方向光モジュール1は、光ファイバ21aへ入射する送信光を出力する半導体発光素子11、光ファイバ21aが出射する受信光を受光する半導体受光素子12、並びに、送信光及び受信光のいずれかを透過し他を反射し、送信光を光ファイバ21aへ入射すると共に受信光を半導体受光素子12に受光させる波長合分波フィルタ13bを備える。そして、入射された光をその偏波方向を回転して出射する回転素子40aと、特定の波長帯域に対して偏光特性を示す波長帯域依存偏光特性膜40bと、が一体に形成されて成る光アイソレータ40を、光ファイバ21aと波長合分波フィルタ13bの間に備える。
【解決手段】一芯双方向光モジュール1は、光ファイバ21aへ入射する送信光を出力する半導体発光素子11、光ファイバ21aが出射する受信光を受光する半導体受光素子12、並びに、送信光及び受信光のいずれかを透過し他を反射し、送信光を光ファイバ21aへ入射すると共に受信光を半導体受光素子12に受光させる波長合分波フィルタ13bを備える。そして、入射された光をその偏波方向を回転して出射する回転素子40aと、特定の波長帯域に対して偏光特性を示す波長帯域依存偏光特性膜40bと、が一体に形成されて成る光アイソレータ40を、光ファイバ21aと波長合分波フィルタ13bの間に備える。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を送受信する一芯双方向光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、FTTH(Fiber to the Home)に代表される加入者系通信網(アクセス系)では、より高速で大容量の即時通信がリーズナブルな価格で可能となるPON(Passive Optical Network)システムの導入が進んでいる。このPONシステムでは、一芯双方向通信方式の採用により、ファイバ本数を減らし、局側とファイバ伝送路を複数のユーザ(宅側)でシェアすることで、メタルケーブル並に低価格で、より高速なサービスを実現している。なお、PONシステムでは、1本の光ファイバを用いて、1.31μm帯並びに1.49μ帯でのデジタル信号及び/または1.55μm帯でのアナログ信号の送受信を行う波長多重(WDM)方式を採用している。
【0003】
このようなPONシステムに使用される一芯双方向モジュール(Bi−D:Bi-Directional Module)では、半導体発光素子(LD:Laser Diode)から出射される送信光を光ファイバに光結合させて送信し、一方、光ファイバから出射される受信光を半導体受光素子(PD:Photodiode)へ光結合させて受信している。このようなBi−Dに関して種々のものが提案されている。
【0004】
その一例として、2パッケージ型Bi−Dがある(例えば、特許文献1,2参照)。この2パッケージ型Bi−Dは、LDとPDとを所謂CANパッケージに別々に収納した送信用光モジュールと受信用光モジュールとを備え、これらのモジュールと光ファイバの間の光路中に、送信光と受信光を合波・分波するWDMフィルタを配設したものである。なお、WDMフィルタは、例えば、波長に応じて送信光と受信光のうち一方を透過し他方を反射することで、上記合波・分波を行うことができる。また、この2パッケージ型Bi−Dの送信用光モジュール側では、LDから出射した送信光がレンズ(集光レンズ、コリメートレンズ等)やWDMフィルタを通過し光ファイバに光結合する。一方、受信用光モジュール側では、光ファイバから出射した受信光がWDMフィルタ、レンズを透過し、PDに光結合する。
このようなBi−Dの構造は、既存のCANパッケージ型光モジュールを利用できる点や、組立ても比較的容易に行えるという点等で、広く普及している。
【0005】
また、その他のBi−Dの例としては、一つのCANパッケージにLD及びPDを内蔵した所謂1パッケージ型Bi−Dがある(例えば、特許文献3参照)。このBi−Dでは、パッケージ内に、上記LD及びPDの他に、レンズやミラー(ハーフミラー、全反射ミラー)、WDMフィルタ、回折素子等を収納している。また、LDから出射した送信光がLDとレンズとの間に配設されているWDMフィルタで反射した後にレンズを透過し、さらに光ファイバに結合する。また、光ファイバから出射した受信光がレンズ、WDMフィルタを透過し、PDに結合する。
【0006】
上記2パッケージ型Bi−Dまたは1パッケージ型Bi−DをONU(Optical Network Unit)またはOLT(Optical Line Terminal)の光通信規格に適合させる場合には、良好な光学特性が求められる。この場合、例えば、LDとして分散特性に優れる分布帰還型LD(DFB−LD:Distributed Feed Back Laser Diode)を使用することができる。しかし、DFB−LD等のLDは、出射した光(送信光)が光ファイバの結合端面やその他の不連続界面にて反射して、LDの共振器に戻ってきたときに、LDの発光状態が不安定になってしまうことがある。
【0007】
そのため、Bi−Dにおいて良好な光学特性を得るために、従来、反射戻り光がLDに戻るのを防ぐように、一方向からの光(送信光)は損失なく透過させるが、逆方向からの光(反射戻り光)を遮断し透過させない機能、すなわち光の一方向透過機能を有する光アイソレータをDFB−LDと光ファイバとの間に配設していた。
【0008】
図11は、光アイソレータの一例を説明する図である。光アイソレータ100は、図11(A)に示すように、ガーネットを素材とし、光の偏波方向(偏波面)を矢印Z方向に対して、45度回転するファラデー回転子101、所定の偏波方向を有する光のみを透過する偏光子102a,102bから構成されている。なお、LDからの送信光が進む方向を順方向及びこの送信光の反射戻り光が進む方向を逆方向という。
【0009】
ファラデー回転子101は、偏光子102aと偏光子102bの間に配設され、磁気光学効果により、順方向と逆方向で偏波方向を同方向に回転する非相反素子である。偏光子102aは、偏波方向が矢印Zに対して0度の光のみを透過するように配設されている。また、偏光子102bは、偏波方向が偏光子102aに対して45度の光のみを透過するように配設されている。
【0010】
このような光アイソレータでは、図11(B)に示すように、順方向から入射した光(送信光)のうち、矢印Zに対して0度の偏波方向を有する光のみが偏光子102aを透過する。さらに、偏光子102aを透過した光は、ファラデー回転子101により偏波方向が45度回転され、偏光子102bを透過する。
【0011】
一方、図11(C)に示すように、逆方向から入射した光(反射戻り光)のうち、偏波方向が矢印Zに対して45度の偏波方向を有する光のみが偏光子102bを透過する。偏光子102bを透過した光は、ファラデー回転子101により偏波方向が45度回転され、矢印Zに対して90度の偏波方向を有する直線偏光となる。そのため、逆方向から入射した光は、偏光子102aを通過することができなくなるので、反射戻り光を遮断することができる。このような光アイソレータ100は、偏波依存型光アイソレータとも呼ばれる。
【特許文献1】特開2006−126495号公報
【特許文献2】特開2000−180671号公報
【特許文献3】特開2004−271921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、従来のBi−Dに用いられる図11に示すような光アイソレータは、高価であり、また、Bi−Dの形態等によっては、Bi−D内の構成要素の幾何学的配置に制限が存在するため、実装できないことがある。
【0013】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、LDの光学特性が良く低コストの一芯双方向光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の一芯双方向光モジュールは、光ファイバへ入射する送信光を出力する半導体発光素子、光ファイバが出射する受信光を受光する半導体受光素子、並びに、送信光及び受信光のいずれかを透過し他を反射し、送信光を光ファイバへ入射すると共に受信光を半導体受光素子に受光させる波長合分波フィルタを備えたもので、入射された光をその偏波方向を回転して出射する回転素子と、特定の波長帯域に対して偏光特性を示す波長帯域依存偏光特性膜と、が一体に形成されて成る光アイソレータを、光ファイバと波長合分波フィルタの間に備えることを特徴とする。
【0015】
光アイソレータの波長帯域依存偏光特性膜は、少なくとも回転素子の光ファイバ側の面に形成されていることが好ましい。また、光アイソレータは、光ファイバの端面に接着されていることが好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、低コストで形成可能な波長帯域依存偏光特性膜を有する光アイソレータを、光ファイバと波長合分波フィルタの間に設けることで、反射戻り光がLDの光学特性に影響を与えることがなくなるため、LDの光学特性が良く低コストの一芯双方向光モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る一芯双方向光モジュールの一例の概略を説明する図である。一芯双方向光モジュール(Bi−D)1は、例えば、半導体発光素子(LD)11及び半導体受光素子(PD)12を1つのパッケージに内蔵した光デバイス10、光デバイス10内のLD11及びPD12と外部光伝送路との光接続を形成するためのスリーブ部20、光デバイス10とスリーブ部20を連結するジョイントスリーブ(Jスリーブ)30を備える。Bi−D1は、光デバイス10にJスリーブ30を介してスリーブ部20を結合してなり、スリーブ部20に光コネクタが挿入されることで、当該光コネクタを介して外部伝送路に光接続され、光信号の送受信を行うことができるようになる。
【0018】
光デバイス10は、例えば、LD11、PD12、ステム13、レンズキャップ14を有する。LD11は、外部伝送路への送信光(例えば、波長1310nm)を出力するものであり、本明細書では、その活性層に平行な方向に偏波方向を有する光を出射する分布帰還型のLDであるものとする。PD12は、送信光とは異なる波長(例えば、波長1490nm)を有する受信光を受光するものである。
【0019】
ステム13は、レンズキャップ14と協働して、内部に素子搭載空間を有するCANパッケージを構成しており、LD11やPD12を搭載し、外部回路に電気接続するためのリードピン13aがガラス封止されている。ステム13上には、送信光の光学経路と受信光の光学経路とが交差する位置にWDMフィルタ(波長合分波フィルタともいう)13bを傾斜させて搭載し、送信光と受信光を選択的に反射又は透過させて分離している。
【0020】
レンズキャップ14は、ステム13と協働してLD11やPD12を気密封止するキャップとして機能するものであり、LD11からの送信光とPD12への受信光を集光するレンズ14aが、上部中央の開口14bにガラス封着されている。この開口14b(すなわちレンズ14a)が送信光の出射口及び受信光の入射口になっており、レンズ14aとしては、安価なボールレンズを用いることができる。
【0021】
次に、スリーブ部20について説明する。スリーブ部20は、外部光伝送路との光接続のために光コネクタ(図示せず)を受納するもので、スタブ21、スリーブ22、スリーブシェル23及びブッシュ24を有する。
円柱状のスタブ21は、光デバイス10内のLD11及びPD12と光コネクタとを高光結合効率で光結合させるためのものであって、その中心部にシングルモード光ファイバ21aが挿入されている。スリーブ22は、光コネクタのフェルールが挿入されたときに、フェルール内の光ファイバと、スタブ21内の光ファイバ21aとが互いに突き合わされるようにするものであって、一端部にスタブ21を嵌合保持している。
【0022】
スリーブシェル23は、光コネクタを受納すると共に、スリーブ22を収納して保護する。ブッシュ24は、後述のように、軸方向と垂直な方向の調芯を行うためのものであり、スタブ21を嵌合したスリーブ22を収納するスリーブシェル23が装着される。なお、スタブ21の光デバイス10側の端面は、光ファイバ21aとともに斜めに研磨されており、当該端面での信号光の反射戻りを抑制するようにしている。
【0023】
続いて、Jスリーブ30について説明する。以下のJスリーブ30を介して、上述の光デバイス10とスリーブ部20とは結合される。Jスリーブ30は、その上端面30aが平坦に形成されると共に、上部の中央に開口30bが設けられており、レンズ14aにより集光される信号光及びレンズ14aに向う信号光は、この開口30bを通過する。
【0024】
また、Jスリーブ30は、開口30bと光デバイス10の間(すなわち、スタブ21とレンズ14aの間)に、本発明の特徴に関わる光アイソレータである波長選択型光アイソレータ40(その詳細は後述)を有する。また、波長選択型光アイソレータ40の周囲には、当該アイソレータ40を構成するファラデー回転子40aのためのマグネット30cが設けられている。マグネット30cは、その磁界によって上記ファラデー回転子が光の振動方向を所定の方向に回転させることができるようになっている。
【0025】
Bi−D1において、軸方向と径方向の調芯は、Jスリーブ30を介して行われる。光デバイス10とスリーブ部20間の軸方向位置(入出射光の集光距離)は、Jスリーブ30とレンズキャップ14の軸方向の嵌合長さで調整される。一方、光デバイス10とスリーブ部20間の径方向位置(入出射光の位置)は、Jスリーブ30とブッシュ24の相対位置を変えて調整される。これらの調整後、Jスリーブ30は、レンズキャップ14とブッシュ24に接着又は溶接により固定されて一体化される。
【0026】
Bi−D1が上記のようにして調芯されると、LD11から出力された送信光は、WDMフィルタ13bで反射されてレンズ14aで集光され、波長選択型光アイソレータ40を透過し、Jスリーブ30の開口30bを通ってスタブ21の光ファイバ21aに入射される。他方、外部伝送路からの信号光は、スタブ21の光ファイバ21aから出射され、Jスリーブ30の開口30bを通り、波長選択型光アイソレータ40を透過して、レンズ14aで集光され、WDMフィルタ13bを透過してPD12で受光される。
【0027】
ここで、LD11で発光され出力された信号光のほとんどは、スタブ21の光ファイバ21aに入射されて外部伝送路に送信されるが、出力された信号光の一部が、例えば、スタブ21の端面で反射され、反射戻り光として光デバイス10側に戻ってくる。本発明では、この反射戻り光を、波長選択型光アイソレータ40をJスリーブ30内に設けて抑制するようにしている。
【0028】
次に、図2により、波長選択型光アイソレータの一例を説明する。この波長選択型光アイソレータ40は、光の偏波方向を45度回転するファラデー回転子40aに波長帯域依存偏光特性膜40bを形成してなる。この波長帯域依存偏光特性膜40bは、特定の波長帯域の光に対して偏光特性(偏波特性)を示し、別の波長帯域の光に対しては偏光特性を示さないものである。本例の波長帯域依存偏光特性膜40bは、例えば、波長帯域1310nmの光に対しては偏光特性を示し、この帯域の光のうち偏波方向が特定の方向のもののみ(特定の偏光のみ)を透過し、それ以外の光(本例の場合は波長帯域1490nmの光)に対しては偏光特性を示さず、この帯域の光は偏波方向に関わらず透過する。なお、波長帯域依存偏光特性膜40bは、図の例では、ファラデー回転子40aの片面(光ファイバ側の面)に形成されている。
【0029】
ファラデー回転子40aは、例えば、ガーネットにより形成され、ファラデー回転子40a上への波長帯域依存偏光特性膜40bの形成は、例えば、ナノインプリント技術により行われる。ナノインプリント技術は、機械加工やリソグラフィの物理的限界を打破する技術として、関心が高まっている技術であり、金型に刻み込んだ数十nm〜数百nmの凹凸を、基板上に塗布した樹脂材料に押付けて形状を転写する技術である。光の波長よりも小さい周期格子構造体をガラス等の上に形成することができる。ナノインプリント技術では、転写の工程は数分で終了し、同じ形状の部品を短時間で大量に作り出せる量産効果はもちろんのこと、格子を積層させることにより得られる素子の統合化が可能となり、一つの素子上に複数の機能を持たせることができる。
【0030】
次に、図1のBi−D1において、分布帰還型のLD11の送信光が、図2の例の波長選択型光アイソレータ40を透過して光ファイバ21aに結合する過程と、送信光の反射戻り光が同光アイソレータ40を透過する過程と、受信光が同光アイソレータ40を透過する過程を、図3〜図5を用いてそれぞれ説明する。なお、図の波長選択型光アイソレータ40において、ファラデー回転子40aは、光の偏波方向を矢印Zに対して−45度回転させる。また、波長帯域依存偏光特性膜40bは、LD11の偏波方向に合わせて、波長帯域1310nmの光のうち、偏波方向が矢印Zに対して45度であるものを透過するように配設される。
【0031】
LD11の送信光(波長1310nm)は、図3(A)に示すように、WDMフィルタ13bで反射してレンズ14aで集光され、波長選択型アイソレータを透過し、光ファイバ21aに光結合する。このとき、LD11からの送信光は、図3(B)に示すように、ファラデー回転子40に入射する前において、その偏波方向が矢印Zに対して90度であるが、ファラデー回転子40aによりその偏波方向が−45度回転され、矢印Zに対して45度の偏波方向を有する光となるため、波長帯域依存偏光特性膜40bを通過(透過)し、光ファイバ21aに結合する。
【0032】
また、波長帯域依存偏光特性膜40bを通過した送信光は、図4(A)に示すように、光ファイバ21aの端面や伝送路等で反射し、反射戻り光として再び波長選択型光アイソレータ40を透過する。この際、反射戻り光は、図4(B)に示すように、波長帯域依存偏光特性膜40bにより、指定方向の偏波(矢印Zに対して45度のもの)以外が遮断される。さらに、波長帯域依存偏光特性膜40bを通過した一偏波方向の反射戻り光は、ファラデー回転子40aにより、その偏波方向が−45度回転され、矢印Zに対して0度の偏波方向を有する光となり、この光がLD11に戻る。LD11に戻る光は、LD出射光の偏波方向とはその偏波方向が直交するため、すなわち、LD11(この例では、活性層に平行な方向に偏波方向を有する光を出射している)の活性層に垂直な方向に偏波方向を有する光であるため、LD特性に影響を与えない。
【0033】
また、光ファイバ21aからの受信光(波長1490nm)は、波長選択型光アイソレータ40を透過し、レンズ14aに集光され、WDMフィルタ13bを透過してPD12に受光される。このとき、受信光は、光ファイバ21aから出射されると、波長帯域依存偏光特性膜40bは受信光の波長帯域に偏光特性を示さないので、当該膜40bをそのまま通過し、ファラデー回転子40aにより偏波方向が−45度回転され、PD12に集光される。そのため、PD12は、1490nm帯域の受信光を受光することができる。なお、PD12の受光面の受光特性は、偏波方向に関係がない。
【0034】
以上のように、本Bi−Dでは、分布帰還型のLDが出射する送信光の反射戻り光が波長選択型光アイソレータを介してLDに入射したときに、その入射光の偏波方向が出射光の偏波方向と直交するため、LD特性が変化せず、また、光ファイバからの受信光を、波長選択型光アイソレータを介しても、PDに集光させることができる。
【0035】
また、Bi−Dにおいて、図11の従来の偏光素子を使用した光アイソレータは、WDMフィルタとレンズの間に配置されたのでは、偏光の方向が未知の受信光も遮断してしまう可能性があるため、LDとフィルタの間に配置される必要があった。しかし、LDとレンズとの間は、1パッケージ型Bi−Dでは極めて狭い空間で、当該箇所に従来の光アイソレータを配置するのは実質不可能であった。これを一例とするように、1パッケージ型Bi−Dにおいては、幾何学的配置に非常なる制限が存在するため、従来、光アイソレータを用いるのは、その幾何学的配置に非常なる制限が存在するために、実質不可能であった。
【0036】
しかし、本発明のBi−Dでは、波長選択型光アイソレータが、上述のように、反射戻り光をLDからの出射光の偏波方向と直交する偏波方向を有する光として透過し、実質上送信光に対するアイソレータ機能をBi−Dに与え、受信光に対しては全てを透過することができるものであるため、レンズと光ファイバとの間に配置すること(すなわち実装すること)ができる。
【0037】
図6は、波長選択型光アイソレータの他の例を示す図である。本発明のBi−Dに用いられる波長選択型光アイソレータは、上述では、ファラデー回転子40aの光ファイバ側の面(片面)に波長帯域依存偏光特性膜40bが形成されていたが、この形態に限られない。波長選択型光アイソレータは、例えば、図6(A)に示すように、ファラデー回転子40aの両面(光ファイバ側及びレンズ側の面)に波長帯域依存偏光特性膜40bを形成してもよい。
【0038】
また、波長選択型アイソレータは、図6(B)に示すように、ファラデー回転子40aの光ファイバ側の面に波長帯域依存偏光特性膜40bを設け、偏光素子(波長帯域依存偏光特性膜40bが偏光特性を示す光であって当該膜40bが透過する偏波方向の光と同じ偏波方向の光のみを透過するもの)40cをレンズ側に設けてもよい。また、図6(C)に示すように、ファラデー回転子40aのレンズ側の面に波長帯域依存偏光特性膜40bを設け、光ファイバ側に上記偏光素子40cを設けてもよい。この場合、光ファイバから出射される受信光は、偏光素子40cにより偏光に変えられ(偏光され)、PDにより受光されることになるが、上述のように、PD12の受光面の受光特性は偏波方向に依存しないため、受光特性に大きな影響はない。
【0039】
アイソレータを図6(A)〜図6(C)のような構成とすることにより、反射戻り光のアイソレーション機能をさらに高めることができる。
また、本発明に関わる、ナノインプリントによる波長選択性の膜(波長帯域依存偏光特性膜)を形成した光アイソレータは、従来の偏波依存型光アイソレータ(ファラデー回転素子の両側に偏光素子を設けたもの)に比べ、偏光素子を使用しないまたは偏光素子の数が少ない構造であり、その分コストダウンが可能であり、低価格が要求されるBi−Dにおいて、その効果が大きい。
【0040】
なお、本発明は、本実施形態のBi−DのLDとPDの配置を入れ替えたものに対しても適用可能である(ただし、1310nm帯域の光を透過し1490nmの帯域の光を反射するWDMフィルタを用いる)。
また、上述の例のBi−Dは、波長1310nmの光を送信光、波長1490nmの光を受信光とするONU用途の光モジュールであるが、本発明は、波長1490nmの光を送信光、波長1310nmの光を受信光とするOLT用途の光モジュールにも適用することができる(なお、この場合、1490nm帯域の光に対して偏光特性を示し1310nmの帯域の光に対して偏光特性を示さない波長選択型光アイソレータを用いる)。
【0041】
また、本発明は、上述のレセプタクル型のものに限らずピグテール型のBi−Dにも適用することができる。
また、上述の例のBi−Dでは、光ファイバとCANパッケージの光デバイスを光接続するための光接続部材を構成するJスリーブに、波長選択型光アイソレータが取り付けられていたが、当該アイソレータをファイバスタブが有する光ファイバ等に接着させておくこともできる。
【0042】
次に、図7及び図8を用いて、本発明の他の実施形態に係るBi−Dについて説明する。図7は、本実施形態に係るBi−Dの一例の断面図であり、図8は、図7のBi−Dにおける光結合関係を示す図である。なお、上述の実施形態と同様の部分については、同様の参照番号を付すことによって、その説明は適宜省略する。図7に示すように、本実施形態のBi−Dは、LD11とPD12とをそれぞれ別にCANパッケージに収納した送信用光デバイス50と受信用光デバイス60を備える2パッケージ型一芯Bi−D(ダイプレクサ)である。Bi−D2は、上記送信用及び受信用光デバイス50,60の他にスリーブ部材70とJスリーブ80とを備える。
【0043】
送信用光デバイス50のLD11は、第1の波長(波長1310nm)の光信号を出射し、受信用光デバイス60のPD12は、第2の波長(波長1490nm)の光信号を受光する。スリーブ部材70は、ファイバケーブルの端部のフェルール71を保持するものである。送信用光デバイス50及び受信用光デバイス60とスリーブ部材70とはJスリーブ80を介して結合される。
【0044】
Jスリーブ80には、送信用光デバイス50、受信用光デバイス60及びスリーブ部材70が取り付けられる他、波長1310nmの光信号を透過し波長1490nmの光信号を反射するWDMフィルタ81及び波長選択型光アイソレータ40が取り付けられる。
【0045】
WDMフィルタ81は、スリーブ部材70のフェルール71の光ファイバ71aと送信用光デバイス50のLD11との間の光路中であって当該光ファイバ71aと受信用光デバイス60のPD12との間の光路中に設けられる。
波長選択型光アイソレータ40は、WDMフィルタ81とスリーブ部材70のフェルール71の光ファイバ71aとの間に、送信用光デバイス50のLD11の偏波方向に合わせて設けられる。つまり、波長選択型光アイソレータ40は、LD11及び光ファイバ71aに対する関係が、図3(B)、図4(B)、図5(B)のLD11及び光ファイバ21aに対する関係となり、PD12及び光ファイバ71aに対する関係が、同図のPD12及び光ファイバ21aに対する関係になるように設けられる。
【0046】
Bi−D2において、送信用光デバイス50を、Jスリーブ80の第1の面82aに開けた第1の貫通孔82b内で光軸に平行な方向に調整し、スリーブ部材70を、Jスリーブ80の第2の面82c上で、光軸に垂直な方向に調芯することで、LD11に関していわゆる3軸調芯を行ない、それぞれをYAG溶接して固定する。次いで、受信用光デバイス60をJスリーブ80の第3の面82d上で、光軸に垂直な方向に調芯し、PD12に関していわゆる2軸調芯を行ない、YAG溶接して固定する。
【0047】
Bi−D2が上記のようにして調芯されると、図8に示すように、送信用光デバイス50のLD11から出力された送信光は、送信用光デバイス50のレンズ14aで集光され、WDMフィルタ81を透過し、波長選択型光アイソレータ40を透過し、スリーブ部材70のフェルール71の光ファイバ71aに入射される。
【0048】
このとき、1310nm帯域の送信光は、図3(B)と同様にして、ファラデー回転子40aで(偏波方向を−45度)回転され、ナノインプリント技術で成形した波長帯域依存偏光特性膜40bを通過する。通過した送信光は、その先の光ファイバ71aの端面や伝送路等で反射し戻ってくるが、図4(B)と同様にして、波長帯域依存偏光特性膜40bで指定方向の偏波以外が遮断される。波長帯域依存偏光特性膜40bを通過した一偏波方向の反射戻り光は、ファラデー回転子40aにより(偏波方向を−45度)回転され、LD送信光の偏波方向と直交する方向に偏波方向を有する光となるため、LDに影響を与えない。
【0049】
また、Bi−D2が上記のようにして調芯されると、外部伝送路からの信号光は、スリーブ部材70のフェルール71の光ファイバ71aから出射され、波長選択型光アイソレータ40を透過して、WDMフィルタ81で反射され、受信用光デバイス60のレンズ14aで集光され、PD12で受光される。このとき、1490nm帯域の受信光では、偏波方向に関係なく、波長帯域依存偏光特性膜40bをそのまま通過している。
【0050】
以上のように、本実施形態のBi−Dにおいても、低コストの波長選択性光アイソレータを用いて、反射戻り光をLDからの出射光の偏波方向と直交する偏波方向を有する光として透過し、反射戻り光がLDの特性に悪影響を与えることを防ぎつつ、受信光に対しては全て透過させPDにて受光させることができる。
【0051】
また、2パッケージ型Bi−Dにおいて、図11の従来の偏光素子を使用した光アイソレータは、送信用光デバイスのレンズとWDMフィルタの間に配置されるため、ここを通る光のスポット径の関係から、当該アイソレータの平面サイズが大きくなる(0.5mm角程度)。図8には、本実施形態のBi−Dの波長選択型光アイソレータ40の代わりに、図11の従来の光アイソレータを設けた場合のその搭載位置を仮想線で示す。
一方、本発明で使用する波長選択型光アイソレータは、集光点近傍(ファイバに近接した位置)に配置できるので、平面サイズを小さくでき(切断によるチッピング性や、取り扱いの面から、0.2mm角程度まで小さくできる)、コストダウンが可能であり、低価格が要求されるBi−Dにおいて、その効果が大きい。
【0052】
本発明は、図1等に示した実施形態のBi−Dと同様に、本実施形態のBi−Dの送信用光デバイスと受信用光デバイスの配置を入れ替えたものに対しても適用可能である(ただし、Jスリーブ80をLD11に関して3軸調芯ができるように構成する必要がある)。また、本発明は、図1のBi−Dと同様に、本実施形態のBi−Dを波長1490nmの光を送信光、波長1310nmの光を受信光とするOLT用途の光モジュールとしたものにも適用することができる。
【0053】
次に、図9及び図10を用いて、本発明のさらに別の実施形態に係るBi−Dについて説明する。図9は、本実施形態に係るBi−Dの一例の断面図であり、図10は、図9のBi−Dにおける光結合関係を示す図である。なお、上述の実施形態と同様の部分については、同様の参照番号を付すことによって、その説明は適宜省略する。図9に示すように、本実施形態のBi−Dは、LD11とPD12とをそれぞれ別にCANパッケージに収納した送信用光デバイス50と受信用光デバイス60に加えて、別のPD91を同様にCANパッケージに収納した受信用光デバイス90を備える3パッケージ型一芯Bi−D(トライプレクサ)である。
【0054】
Bi−D3において、送信用光デバイス50のLD11は、第1の波長(波長1310nm)の光信号を出射し、受信用光デバイス60のPD12は、第2の波長(波長1490nm)の光信号を受光し、受信用光デバイス90のPD91は、第3の波長(波長1550nm)の光信号を受光する。図9に示すように、送信用光デバイス50、受信用光デバイス60及び受信用光デバイス90とスリーブ部材70とはJスリーブ80’を介して結合される。
【0055】
Jスリーブ80’には、送信用光デバイス50、受信用光デバイス60、受信用光デバイス90及びスリーブ部材70が取り付けられる。その他に、WDMフィルタ81と、波長1310nmの光信号及び波長1490nmの光信号を透過し波長1490nmの光信号を反射するWDMフィルタ83’と、波長選択型光アイソレータ40が取り付けられる。なお、波長選択型光アイソレータ40は、例えば、波長帯域1310nmの光に対しては偏光特性を示し、それ以外の光(本例の場合は波長帯域1490nm及び1550nmの光)に対しては偏光特性を示さないものである。
【0056】
WDMフィルタ83’は、スリーブ部材70のフェルール71の光ファイバ71aと送信用光デバイス50のLD11との間の光路中であり且つ当該光ファイバ71aと受信用光デバイス60のPD12との間の光路中であって、当該光ファイバ71aと受信用光デバイス90のPD91との間の光路中に設けられる。波長選択型光アイソレータ40は、WDMフィルタ83’とスリーブ部材70のフェルール71の光ファイバ71aとの間に、送信用光デバイス50のLD11の偏波方向に合わせて設けられる。
【0057】
Bi−D3において、送信用光デバイス50を、Bi−D2におけるものと同様にして、Jスリーブ80’内で光軸に平行な方向に調整し、スリーブ部材70を、Jスリーブ80’上で、光軸に垂直な方向に調芯することで、LD11に関していわゆる3軸調芯を行ない、それぞれをYAG溶接して固定する。次いで、受信用光デバイス60を、Bi−D2におけるものと同様にして、Jスリーブ80’上で、光軸に垂直な方向に調芯し、PDに関していわゆる2軸調芯を行ない、YAG溶接して固定する。そして、受信用光デバイス90をJスリーブ80’の第4の面82e’上で、光軸に垂直な方向に調芯し、PD91に関していわゆる2軸調芯を行ない、YAG溶接して固定する。
【0058】
Bi−D3が上記のようにして調芯されると、図10に示すように、送信用光デバイス50のLD11から出力された送信光は、送信用光デバイス50のレンズ14aで集光され、WDMフィルタ81及びWDMフィルタ83’を透過し、波長選択型光アイソレータ40を透過し、スリーブ部材70のフェルール71の光ファイバ71aに入射される。
【0059】
このとき、1310nm帯域の送信光は、図3(B)と同様にして、ファラデー回転子40aで回転され、ナノインプリント技術で成形した波長帯域依存偏光特性膜40bを通過する。通過した送信光は、その先の光ファイバ71aの端面や伝送路等で反射し戻ってくるが、図4(B)と同様にして、波長帯域依存偏光特性膜40bで指定方向の偏波以外が遮断される。波長帯域依存偏光特性膜40bを通過した一偏波方向の反射戻り光は、ファラデー回転子40aにより回転され、LD送信光の偏波方向と直交する方向に偏波方向を有する光となるため、LDに影響を与えない。
【0060】
また、Bi−D3が上記のようにして調芯されると、スリーブ部材70のフェルール71の光ファイバ71aから出射される信号光のうち、1490nm帯域のものは、波長選択型光アイソレータ40を透過して、WDMフィルタ83’を透過し、WDMフィルタ81で反射され、受信用光デバイス60のレンズ14aで集光され、PD12で受光される。また、光ファイバ71aからの信号光のうち、1550nm帯域のものは、波長選択型光アイソレータ40を透過して、WDMフィルタ83’で反射され、受信用光デバイス90のレンズ14aで集光され、PD91で受光される。これらのとき、1490nm帯域及び1550nm帯域の受信光では、偏波方向に関係なく、波長帯域依存偏光特性膜40bをそのまま通過している。
【0061】
以上のように、本実施形態のBi−Dにおいても、低コストの波長選択性光アイソレータを用いて、反射戻り光をLDからの出射光の偏波方向と直交する方向に偏波方向を有する光として透過し、反射戻り光がLDの特性に悪影響を与えることを防ぎつつ、2種の受信光に対しては全て透過させ、それぞれ対応するPDにて受光させることができる。
また、本実施形態のBi−Dにおいても、本発明で使用する波長選択型光アイソレータを、集光点近傍(ファイバに近接した位置)に配置できるので、コストダウンが可能であり、低価格が要求されるBi−Dにおいて、その効果が大きい。
【0062】
本発明は、本実施形態のBi−Dの各光デバイスの配置を入れ替えたものに対しても適用可能である(ただし、Jスリーブ80’をLD11に関して3軸調芯ができるように構成する必要があり、WDMフィルタについても適宜その特性を選択する必要がある)。
【0063】
以上のように、本発明によれば、ナノインプリントによる波長帯域依存偏光特性膜を形成した低コストの光アイソレータを用いることで、Bi−Dにおいて、低コストでLDの光学特性を良くすることができる。
また、従来の偏波依存型アイソレータ(偏光素子+ファラデー回転子(素子)+偏光素子のもの)は、該光アイソレータを構成する各素子の厚みは、0.2〜0.3mm程度で、全体で約0.7mmである。本発明に係る波長選択型光アイソレータは、偏光素子を使用しない、または、偏光素子の数が少ない分、厚み方向のサイズが小さくなり、光学長(ファイバとレンズまたはWDMフィルタとの間の距離)が小さいBi−Dに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係る一芯双方向光モジュール(Bi−D)の一例の概略を説明する図である。
【図2】波長選択型光アイソレータの一例を示す図である。
【図3】図1のBi−Dにおいて、LDの送信光が、図2の波長選択型光アイソレータを透過して光ファイバに結合する過程を説明する図である。
【図4】図1のBi−Dにおいて、送信光の反射戻り光が図2の波長選択型光アイソレータを透過する過程を説明する図である。
【図5】図1のBi−Dにおいて、受信光が図2の波長選択型光アイソレータを透過する過程を説明する図である。
【図6】波長選択型光アイソレータの他の例を示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るBi−Dの一例の断面図である。
【図8】図7のBi−Dにおける光結合関係を示す図である。
【図9】本発明のさらに別の実施形態に係るBi−Dの一例の断面図である。
【図10】図9のBi−Dにおける光結合関係を示す図である。
【図11】従来の光アイソレータの一例を説明する図である。
【符号の説明】
【0065】
1,2,3…一芯双方向光モジュール(Bi−D)、10…光デバイス、11…LD、12…PD、13…ステム、13a…リードピン、13b…WDMフィルタ、14…レンズキャップ、14a…レンズ、14b…開口、20…スリーブ部、21…スタブ、21a…シングルモード光ファイバ、22…スリーブ、23…スリーブシェル、24…ブッシュ、30…Jスリーブ、30a…上端面、30b…開口、30c…マグネット、40…波長選択型光アイソレータ、40a…ファラデー回転子、40b…波長帯域依存偏光特性膜、50…送信用光デバイス、60…受信用光デバイス、70…スリーブ部材、71…フェルール、71a…光ファイバ、80,80’…Jスリーブ、81…WDMフィルタ、83’…WDMフィルタ、90…受信用光デバイス、91…PD。
【技術分野】
【0001】
本発明は、光信号を送受信する一芯双方向光モジュールに関する。
【背景技術】
【0002】
近年、FTTH(Fiber to the Home)に代表される加入者系通信網(アクセス系)では、より高速で大容量の即時通信がリーズナブルな価格で可能となるPON(Passive Optical Network)システムの導入が進んでいる。このPONシステムでは、一芯双方向通信方式の採用により、ファイバ本数を減らし、局側とファイバ伝送路を複数のユーザ(宅側)でシェアすることで、メタルケーブル並に低価格で、より高速なサービスを実現している。なお、PONシステムでは、1本の光ファイバを用いて、1.31μm帯並びに1.49μ帯でのデジタル信号及び/または1.55μm帯でのアナログ信号の送受信を行う波長多重(WDM)方式を採用している。
【0003】
このようなPONシステムに使用される一芯双方向モジュール(Bi−D:Bi-Directional Module)では、半導体発光素子(LD:Laser Diode)から出射される送信光を光ファイバに光結合させて送信し、一方、光ファイバから出射される受信光を半導体受光素子(PD:Photodiode)へ光結合させて受信している。このようなBi−Dに関して種々のものが提案されている。
【0004】
その一例として、2パッケージ型Bi−Dがある(例えば、特許文献1,2参照)。この2パッケージ型Bi−Dは、LDとPDとを所謂CANパッケージに別々に収納した送信用光モジュールと受信用光モジュールとを備え、これらのモジュールと光ファイバの間の光路中に、送信光と受信光を合波・分波するWDMフィルタを配設したものである。なお、WDMフィルタは、例えば、波長に応じて送信光と受信光のうち一方を透過し他方を反射することで、上記合波・分波を行うことができる。また、この2パッケージ型Bi−Dの送信用光モジュール側では、LDから出射した送信光がレンズ(集光レンズ、コリメートレンズ等)やWDMフィルタを通過し光ファイバに光結合する。一方、受信用光モジュール側では、光ファイバから出射した受信光がWDMフィルタ、レンズを透過し、PDに光結合する。
このようなBi−Dの構造は、既存のCANパッケージ型光モジュールを利用できる点や、組立ても比較的容易に行えるという点等で、広く普及している。
【0005】
また、その他のBi−Dの例としては、一つのCANパッケージにLD及びPDを内蔵した所謂1パッケージ型Bi−Dがある(例えば、特許文献3参照)。このBi−Dでは、パッケージ内に、上記LD及びPDの他に、レンズやミラー(ハーフミラー、全反射ミラー)、WDMフィルタ、回折素子等を収納している。また、LDから出射した送信光がLDとレンズとの間に配設されているWDMフィルタで反射した後にレンズを透過し、さらに光ファイバに結合する。また、光ファイバから出射した受信光がレンズ、WDMフィルタを透過し、PDに結合する。
【0006】
上記2パッケージ型Bi−Dまたは1パッケージ型Bi−DをONU(Optical Network Unit)またはOLT(Optical Line Terminal)の光通信規格に適合させる場合には、良好な光学特性が求められる。この場合、例えば、LDとして分散特性に優れる分布帰還型LD(DFB−LD:Distributed Feed Back Laser Diode)を使用することができる。しかし、DFB−LD等のLDは、出射した光(送信光)が光ファイバの結合端面やその他の不連続界面にて反射して、LDの共振器に戻ってきたときに、LDの発光状態が不安定になってしまうことがある。
【0007】
そのため、Bi−Dにおいて良好な光学特性を得るために、従来、反射戻り光がLDに戻るのを防ぐように、一方向からの光(送信光)は損失なく透過させるが、逆方向からの光(反射戻り光)を遮断し透過させない機能、すなわち光の一方向透過機能を有する光アイソレータをDFB−LDと光ファイバとの間に配設していた。
【0008】
図11は、光アイソレータの一例を説明する図である。光アイソレータ100は、図11(A)に示すように、ガーネットを素材とし、光の偏波方向(偏波面)を矢印Z方向に対して、45度回転するファラデー回転子101、所定の偏波方向を有する光のみを透過する偏光子102a,102bから構成されている。なお、LDからの送信光が進む方向を順方向及びこの送信光の反射戻り光が進む方向を逆方向という。
【0009】
ファラデー回転子101は、偏光子102aと偏光子102bの間に配設され、磁気光学効果により、順方向と逆方向で偏波方向を同方向に回転する非相反素子である。偏光子102aは、偏波方向が矢印Zに対して0度の光のみを透過するように配設されている。また、偏光子102bは、偏波方向が偏光子102aに対して45度の光のみを透過するように配設されている。
【0010】
このような光アイソレータでは、図11(B)に示すように、順方向から入射した光(送信光)のうち、矢印Zに対して0度の偏波方向を有する光のみが偏光子102aを透過する。さらに、偏光子102aを透過した光は、ファラデー回転子101により偏波方向が45度回転され、偏光子102bを透過する。
【0011】
一方、図11(C)に示すように、逆方向から入射した光(反射戻り光)のうち、偏波方向が矢印Zに対して45度の偏波方向を有する光のみが偏光子102bを透過する。偏光子102bを透過した光は、ファラデー回転子101により偏波方向が45度回転され、矢印Zに対して90度の偏波方向を有する直線偏光となる。そのため、逆方向から入射した光は、偏光子102aを通過することができなくなるので、反射戻り光を遮断することができる。このような光アイソレータ100は、偏波依存型光アイソレータとも呼ばれる。
【特許文献1】特開2006−126495号公報
【特許文献2】特開2000−180671号公報
【特許文献3】特開2004−271921号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0012】
しかし、従来のBi−Dに用いられる図11に示すような光アイソレータは、高価であり、また、Bi−Dの形態等によっては、Bi−D内の構成要素の幾何学的配置に制限が存在するため、実装できないことがある。
【0013】
本発明は、上述のような実情に鑑みてなされたもので、LDの光学特性が良く低コストの一芯双方向光モジュールを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0014】
上記課題を解決するために、本発明の一芯双方向光モジュールは、光ファイバへ入射する送信光を出力する半導体発光素子、光ファイバが出射する受信光を受光する半導体受光素子、並びに、送信光及び受信光のいずれかを透過し他を反射し、送信光を光ファイバへ入射すると共に受信光を半導体受光素子に受光させる波長合分波フィルタを備えたもので、入射された光をその偏波方向を回転して出射する回転素子と、特定の波長帯域に対して偏光特性を示す波長帯域依存偏光特性膜と、が一体に形成されて成る光アイソレータを、光ファイバと波長合分波フィルタの間に備えることを特徴とする。
【0015】
光アイソレータの波長帯域依存偏光特性膜は、少なくとも回転素子の光ファイバ側の面に形成されていることが好ましい。また、光アイソレータは、光ファイバの端面に接着されていることが好適である。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、低コストで形成可能な波長帯域依存偏光特性膜を有する光アイソレータを、光ファイバと波長合分波フィルタの間に設けることで、反射戻り光がLDの光学特性に影響を与えることがなくなるため、LDの光学特性が良く低コストの一芯双方向光モジュールを提供することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0017】
図1は、本発明の一実施形態に係る一芯双方向光モジュールの一例の概略を説明する図である。一芯双方向光モジュール(Bi−D)1は、例えば、半導体発光素子(LD)11及び半導体受光素子(PD)12を1つのパッケージに内蔵した光デバイス10、光デバイス10内のLD11及びPD12と外部光伝送路との光接続を形成するためのスリーブ部20、光デバイス10とスリーブ部20を連結するジョイントスリーブ(Jスリーブ)30を備える。Bi−D1は、光デバイス10にJスリーブ30を介してスリーブ部20を結合してなり、スリーブ部20に光コネクタが挿入されることで、当該光コネクタを介して外部伝送路に光接続され、光信号の送受信を行うことができるようになる。
【0018】
光デバイス10は、例えば、LD11、PD12、ステム13、レンズキャップ14を有する。LD11は、外部伝送路への送信光(例えば、波長1310nm)を出力するものであり、本明細書では、その活性層に平行な方向に偏波方向を有する光を出射する分布帰還型のLDであるものとする。PD12は、送信光とは異なる波長(例えば、波長1490nm)を有する受信光を受光するものである。
【0019】
ステム13は、レンズキャップ14と協働して、内部に素子搭載空間を有するCANパッケージを構成しており、LD11やPD12を搭載し、外部回路に電気接続するためのリードピン13aがガラス封止されている。ステム13上には、送信光の光学経路と受信光の光学経路とが交差する位置にWDMフィルタ(波長合分波フィルタともいう)13bを傾斜させて搭載し、送信光と受信光を選択的に反射又は透過させて分離している。
【0020】
レンズキャップ14は、ステム13と協働してLD11やPD12を気密封止するキャップとして機能するものであり、LD11からの送信光とPD12への受信光を集光するレンズ14aが、上部中央の開口14bにガラス封着されている。この開口14b(すなわちレンズ14a)が送信光の出射口及び受信光の入射口になっており、レンズ14aとしては、安価なボールレンズを用いることができる。
【0021】
次に、スリーブ部20について説明する。スリーブ部20は、外部光伝送路との光接続のために光コネクタ(図示せず)を受納するもので、スタブ21、スリーブ22、スリーブシェル23及びブッシュ24を有する。
円柱状のスタブ21は、光デバイス10内のLD11及びPD12と光コネクタとを高光結合効率で光結合させるためのものであって、その中心部にシングルモード光ファイバ21aが挿入されている。スリーブ22は、光コネクタのフェルールが挿入されたときに、フェルール内の光ファイバと、スタブ21内の光ファイバ21aとが互いに突き合わされるようにするものであって、一端部にスタブ21を嵌合保持している。
【0022】
スリーブシェル23は、光コネクタを受納すると共に、スリーブ22を収納して保護する。ブッシュ24は、後述のように、軸方向と垂直な方向の調芯を行うためのものであり、スタブ21を嵌合したスリーブ22を収納するスリーブシェル23が装着される。なお、スタブ21の光デバイス10側の端面は、光ファイバ21aとともに斜めに研磨されており、当該端面での信号光の反射戻りを抑制するようにしている。
【0023】
続いて、Jスリーブ30について説明する。以下のJスリーブ30を介して、上述の光デバイス10とスリーブ部20とは結合される。Jスリーブ30は、その上端面30aが平坦に形成されると共に、上部の中央に開口30bが設けられており、レンズ14aにより集光される信号光及びレンズ14aに向う信号光は、この開口30bを通過する。
【0024】
また、Jスリーブ30は、開口30bと光デバイス10の間(すなわち、スタブ21とレンズ14aの間)に、本発明の特徴に関わる光アイソレータである波長選択型光アイソレータ40(その詳細は後述)を有する。また、波長選択型光アイソレータ40の周囲には、当該アイソレータ40を構成するファラデー回転子40aのためのマグネット30cが設けられている。マグネット30cは、その磁界によって上記ファラデー回転子が光の振動方向を所定の方向に回転させることができるようになっている。
【0025】
Bi−D1において、軸方向と径方向の調芯は、Jスリーブ30を介して行われる。光デバイス10とスリーブ部20間の軸方向位置(入出射光の集光距離)は、Jスリーブ30とレンズキャップ14の軸方向の嵌合長さで調整される。一方、光デバイス10とスリーブ部20間の径方向位置(入出射光の位置)は、Jスリーブ30とブッシュ24の相対位置を変えて調整される。これらの調整後、Jスリーブ30は、レンズキャップ14とブッシュ24に接着又は溶接により固定されて一体化される。
【0026】
Bi−D1が上記のようにして調芯されると、LD11から出力された送信光は、WDMフィルタ13bで反射されてレンズ14aで集光され、波長選択型光アイソレータ40を透過し、Jスリーブ30の開口30bを通ってスタブ21の光ファイバ21aに入射される。他方、外部伝送路からの信号光は、スタブ21の光ファイバ21aから出射され、Jスリーブ30の開口30bを通り、波長選択型光アイソレータ40を透過して、レンズ14aで集光され、WDMフィルタ13bを透過してPD12で受光される。
【0027】
ここで、LD11で発光され出力された信号光のほとんどは、スタブ21の光ファイバ21aに入射されて外部伝送路に送信されるが、出力された信号光の一部が、例えば、スタブ21の端面で反射され、反射戻り光として光デバイス10側に戻ってくる。本発明では、この反射戻り光を、波長選択型光アイソレータ40をJスリーブ30内に設けて抑制するようにしている。
【0028】
次に、図2により、波長選択型光アイソレータの一例を説明する。この波長選択型光アイソレータ40は、光の偏波方向を45度回転するファラデー回転子40aに波長帯域依存偏光特性膜40bを形成してなる。この波長帯域依存偏光特性膜40bは、特定の波長帯域の光に対して偏光特性(偏波特性)を示し、別の波長帯域の光に対しては偏光特性を示さないものである。本例の波長帯域依存偏光特性膜40bは、例えば、波長帯域1310nmの光に対しては偏光特性を示し、この帯域の光のうち偏波方向が特定の方向のもののみ(特定の偏光のみ)を透過し、それ以外の光(本例の場合は波長帯域1490nmの光)に対しては偏光特性を示さず、この帯域の光は偏波方向に関わらず透過する。なお、波長帯域依存偏光特性膜40bは、図の例では、ファラデー回転子40aの片面(光ファイバ側の面)に形成されている。
【0029】
ファラデー回転子40aは、例えば、ガーネットにより形成され、ファラデー回転子40a上への波長帯域依存偏光特性膜40bの形成は、例えば、ナノインプリント技術により行われる。ナノインプリント技術は、機械加工やリソグラフィの物理的限界を打破する技術として、関心が高まっている技術であり、金型に刻み込んだ数十nm〜数百nmの凹凸を、基板上に塗布した樹脂材料に押付けて形状を転写する技術である。光の波長よりも小さい周期格子構造体をガラス等の上に形成することができる。ナノインプリント技術では、転写の工程は数分で終了し、同じ形状の部品を短時間で大量に作り出せる量産効果はもちろんのこと、格子を積層させることにより得られる素子の統合化が可能となり、一つの素子上に複数の機能を持たせることができる。
【0030】
次に、図1のBi−D1において、分布帰還型のLD11の送信光が、図2の例の波長選択型光アイソレータ40を透過して光ファイバ21aに結合する過程と、送信光の反射戻り光が同光アイソレータ40を透過する過程と、受信光が同光アイソレータ40を透過する過程を、図3〜図5を用いてそれぞれ説明する。なお、図の波長選択型光アイソレータ40において、ファラデー回転子40aは、光の偏波方向を矢印Zに対して−45度回転させる。また、波長帯域依存偏光特性膜40bは、LD11の偏波方向に合わせて、波長帯域1310nmの光のうち、偏波方向が矢印Zに対して45度であるものを透過するように配設される。
【0031】
LD11の送信光(波長1310nm)は、図3(A)に示すように、WDMフィルタ13bで反射してレンズ14aで集光され、波長選択型アイソレータを透過し、光ファイバ21aに光結合する。このとき、LD11からの送信光は、図3(B)に示すように、ファラデー回転子40に入射する前において、その偏波方向が矢印Zに対して90度であるが、ファラデー回転子40aによりその偏波方向が−45度回転され、矢印Zに対して45度の偏波方向を有する光となるため、波長帯域依存偏光特性膜40bを通過(透過)し、光ファイバ21aに結合する。
【0032】
また、波長帯域依存偏光特性膜40bを通過した送信光は、図4(A)に示すように、光ファイバ21aの端面や伝送路等で反射し、反射戻り光として再び波長選択型光アイソレータ40を透過する。この際、反射戻り光は、図4(B)に示すように、波長帯域依存偏光特性膜40bにより、指定方向の偏波(矢印Zに対して45度のもの)以外が遮断される。さらに、波長帯域依存偏光特性膜40bを通過した一偏波方向の反射戻り光は、ファラデー回転子40aにより、その偏波方向が−45度回転され、矢印Zに対して0度の偏波方向を有する光となり、この光がLD11に戻る。LD11に戻る光は、LD出射光の偏波方向とはその偏波方向が直交するため、すなわち、LD11(この例では、活性層に平行な方向に偏波方向を有する光を出射している)の活性層に垂直な方向に偏波方向を有する光であるため、LD特性に影響を与えない。
【0033】
また、光ファイバ21aからの受信光(波長1490nm)は、波長選択型光アイソレータ40を透過し、レンズ14aに集光され、WDMフィルタ13bを透過してPD12に受光される。このとき、受信光は、光ファイバ21aから出射されると、波長帯域依存偏光特性膜40bは受信光の波長帯域に偏光特性を示さないので、当該膜40bをそのまま通過し、ファラデー回転子40aにより偏波方向が−45度回転され、PD12に集光される。そのため、PD12は、1490nm帯域の受信光を受光することができる。なお、PD12の受光面の受光特性は、偏波方向に関係がない。
【0034】
以上のように、本Bi−Dでは、分布帰還型のLDが出射する送信光の反射戻り光が波長選択型光アイソレータを介してLDに入射したときに、その入射光の偏波方向が出射光の偏波方向と直交するため、LD特性が変化せず、また、光ファイバからの受信光を、波長選択型光アイソレータを介しても、PDに集光させることができる。
【0035】
また、Bi−Dにおいて、図11の従来の偏光素子を使用した光アイソレータは、WDMフィルタとレンズの間に配置されたのでは、偏光の方向が未知の受信光も遮断してしまう可能性があるため、LDとフィルタの間に配置される必要があった。しかし、LDとレンズとの間は、1パッケージ型Bi−Dでは極めて狭い空間で、当該箇所に従来の光アイソレータを配置するのは実質不可能であった。これを一例とするように、1パッケージ型Bi−Dにおいては、幾何学的配置に非常なる制限が存在するため、従来、光アイソレータを用いるのは、その幾何学的配置に非常なる制限が存在するために、実質不可能であった。
【0036】
しかし、本発明のBi−Dでは、波長選択型光アイソレータが、上述のように、反射戻り光をLDからの出射光の偏波方向と直交する偏波方向を有する光として透過し、実質上送信光に対するアイソレータ機能をBi−Dに与え、受信光に対しては全てを透過することができるものであるため、レンズと光ファイバとの間に配置すること(すなわち実装すること)ができる。
【0037】
図6は、波長選択型光アイソレータの他の例を示す図である。本発明のBi−Dに用いられる波長選択型光アイソレータは、上述では、ファラデー回転子40aの光ファイバ側の面(片面)に波長帯域依存偏光特性膜40bが形成されていたが、この形態に限られない。波長選択型光アイソレータは、例えば、図6(A)に示すように、ファラデー回転子40aの両面(光ファイバ側及びレンズ側の面)に波長帯域依存偏光特性膜40bを形成してもよい。
【0038】
また、波長選択型アイソレータは、図6(B)に示すように、ファラデー回転子40aの光ファイバ側の面に波長帯域依存偏光特性膜40bを設け、偏光素子(波長帯域依存偏光特性膜40bが偏光特性を示す光であって当該膜40bが透過する偏波方向の光と同じ偏波方向の光のみを透過するもの)40cをレンズ側に設けてもよい。また、図6(C)に示すように、ファラデー回転子40aのレンズ側の面に波長帯域依存偏光特性膜40bを設け、光ファイバ側に上記偏光素子40cを設けてもよい。この場合、光ファイバから出射される受信光は、偏光素子40cにより偏光に変えられ(偏光され)、PDにより受光されることになるが、上述のように、PD12の受光面の受光特性は偏波方向に依存しないため、受光特性に大きな影響はない。
【0039】
アイソレータを図6(A)〜図6(C)のような構成とすることにより、反射戻り光のアイソレーション機能をさらに高めることができる。
また、本発明に関わる、ナノインプリントによる波長選択性の膜(波長帯域依存偏光特性膜)を形成した光アイソレータは、従来の偏波依存型光アイソレータ(ファラデー回転素子の両側に偏光素子を設けたもの)に比べ、偏光素子を使用しないまたは偏光素子の数が少ない構造であり、その分コストダウンが可能であり、低価格が要求されるBi−Dにおいて、その効果が大きい。
【0040】
なお、本発明は、本実施形態のBi−DのLDとPDの配置を入れ替えたものに対しても適用可能である(ただし、1310nm帯域の光を透過し1490nmの帯域の光を反射するWDMフィルタを用いる)。
また、上述の例のBi−Dは、波長1310nmの光を送信光、波長1490nmの光を受信光とするONU用途の光モジュールであるが、本発明は、波長1490nmの光を送信光、波長1310nmの光を受信光とするOLT用途の光モジュールにも適用することができる(なお、この場合、1490nm帯域の光に対して偏光特性を示し1310nmの帯域の光に対して偏光特性を示さない波長選択型光アイソレータを用いる)。
【0041】
また、本発明は、上述のレセプタクル型のものに限らずピグテール型のBi−Dにも適用することができる。
また、上述の例のBi−Dでは、光ファイバとCANパッケージの光デバイスを光接続するための光接続部材を構成するJスリーブに、波長選択型光アイソレータが取り付けられていたが、当該アイソレータをファイバスタブが有する光ファイバ等に接着させておくこともできる。
【0042】
次に、図7及び図8を用いて、本発明の他の実施形態に係るBi−Dについて説明する。図7は、本実施形態に係るBi−Dの一例の断面図であり、図8は、図7のBi−Dにおける光結合関係を示す図である。なお、上述の実施形態と同様の部分については、同様の参照番号を付すことによって、その説明は適宜省略する。図7に示すように、本実施形態のBi−Dは、LD11とPD12とをそれぞれ別にCANパッケージに収納した送信用光デバイス50と受信用光デバイス60を備える2パッケージ型一芯Bi−D(ダイプレクサ)である。Bi−D2は、上記送信用及び受信用光デバイス50,60の他にスリーブ部材70とJスリーブ80とを備える。
【0043】
送信用光デバイス50のLD11は、第1の波長(波長1310nm)の光信号を出射し、受信用光デバイス60のPD12は、第2の波長(波長1490nm)の光信号を受光する。スリーブ部材70は、ファイバケーブルの端部のフェルール71を保持するものである。送信用光デバイス50及び受信用光デバイス60とスリーブ部材70とはJスリーブ80を介して結合される。
【0044】
Jスリーブ80には、送信用光デバイス50、受信用光デバイス60及びスリーブ部材70が取り付けられる他、波長1310nmの光信号を透過し波長1490nmの光信号を反射するWDMフィルタ81及び波長選択型光アイソレータ40が取り付けられる。
【0045】
WDMフィルタ81は、スリーブ部材70のフェルール71の光ファイバ71aと送信用光デバイス50のLD11との間の光路中であって当該光ファイバ71aと受信用光デバイス60のPD12との間の光路中に設けられる。
波長選択型光アイソレータ40は、WDMフィルタ81とスリーブ部材70のフェルール71の光ファイバ71aとの間に、送信用光デバイス50のLD11の偏波方向に合わせて設けられる。つまり、波長選択型光アイソレータ40は、LD11及び光ファイバ71aに対する関係が、図3(B)、図4(B)、図5(B)のLD11及び光ファイバ21aに対する関係となり、PD12及び光ファイバ71aに対する関係が、同図のPD12及び光ファイバ21aに対する関係になるように設けられる。
【0046】
Bi−D2において、送信用光デバイス50を、Jスリーブ80の第1の面82aに開けた第1の貫通孔82b内で光軸に平行な方向に調整し、スリーブ部材70を、Jスリーブ80の第2の面82c上で、光軸に垂直な方向に調芯することで、LD11に関していわゆる3軸調芯を行ない、それぞれをYAG溶接して固定する。次いで、受信用光デバイス60をJスリーブ80の第3の面82d上で、光軸に垂直な方向に調芯し、PD12に関していわゆる2軸調芯を行ない、YAG溶接して固定する。
【0047】
Bi−D2が上記のようにして調芯されると、図8に示すように、送信用光デバイス50のLD11から出力された送信光は、送信用光デバイス50のレンズ14aで集光され、WDMフィルタ81を透過し、波長選択型光アイソレータ40を透過し、スリーブ部材70のフェルール71の光ファイバ71aに入射される。
【0048】
このとき、1310nm帯域の送信光は、図3(B)と同様にして、ファラデー回転子40aで(偏波方向を−45度)回転され、ナノインプリント技術で成形した波長帯域依存偏光特性膜40bを通過する。通過した送信光は、その先の光ファイバ71aの端面や伝送路等で反射し戻ってくるが、図4(B)と同様にして、波長帯域依存偏光特性膜40bで指定方向の偏波以外が遮断される。波長帯域依存偏光特性膜40bを通過した一偏波方向の反射戻り光は、ファラデー回転子40aにより(偏波方向を−45度)回転され、LD送信光の偏波方向と直交する方向に偏波方向を有する光となるため、LDに影響を与えない。
【0049】
また、Bi−D2が上記のようにして調芯されると、外部伝送路からの信号光は、スリーブ部材70のフェルール71の光ファイバ71aから出射され、波長選択型光アイソレータ40を透過して、WDMフィルタ81で反射され、受信用光デバイス60のレンズ14aで集光され、PD12で受光される。このとき、1490nm帯域の受信光では、偏波方向に関係なく、波長帯域依存偏光特性膜40bをそのまま通過している。
【0050】
以上のように、本実施形態のBi−Dにおいても、低コストの波長選択性光アイソレータを用いて、反射戻り光をLDからの出射光の偏波方向と直交する偏波方向を有する光として透過し、反射戻り光がLDの特性に悪影響を与えることを防ぎつつ、受信光に対しては全て透過させPDにて受光させることができる。
【0051】
また、2パッケージ型Bi−Dにおいて、図11の従来の偏光素子を使用した光アイソレータは、送信用光デバイスのレンズとWDMフィルタの間に配置されるため、ここを通る光のスポット径の関係から、当該アイソレータの平面サイズが大きくなる(0.5mm角程度)。図8には、本実施形態のBi−Dの波長選択型光アイソレータ40の代わりに、図11の従来の光アイソレータを設けた場合のその搭載位置を仮想線で示す。
一方、本発明で使用する波長選択型光アイソレータは、集光点近傍(ファイバに近接した位置)に配置できるので、平面サイズを小さくでき(切断によるチッピング性や、取り扱いの面から、0.2mm角程度まで小さくできる)、コストダウンが可能であり、低価格が要求されるBi−Dにおいて、その効果が大きい。
【0052】
本発明は、図1等に示した実施形態のBi−Dと同様に、本実施形態のBi−Dの送信用光デバイスと受信用光デバイスの配置を入れ替えたものに対しても適用可能である(ただし、Jスリーブ80をLD11に関して3軸調芯ができるように構成する必要がある)。また、本発明は、図1のBi−Dと同様に、本実施形態のBi−Dを波長1490nmの光を送信光、波長1310nmの光を受信光とするOLT用途の光モジュールとしたものにも適用することができる。
【0053】
次に、図9及び図10を用いて、本発明のさらに別の実施形態に係るBi−Dについて説明する。図9は、本実施形態に係るBi−Dの一例の断面図であり、図10は、図9のBi−Dにおける光結合関係を示す図である。なお、上述の実施形態と同様の部分については、同様の参照番号を付すことによって、その説明は適宜省略する。図9に示すように、本実施形態のBi−Dは、LD11とPD12とをそれぞれ別にCANパッケージに収納した送信用光デバイス50と受信用光デバイス60に加えて、別のPD91を同様にCANパッケージに収納した受信用光デバイス90を備える3パッケージ型一芯Bi−D(トライプレクサ)である。
【0054】
Bi−D3において、送信用光デバイス50のLD11は、第1の波長(波長1310nm)の光信号を出射し、受信用光デバイス60のPD12は、第2の波長(波長1490nm)の光信号を受光し、受信用光デバイス90のPD91は、第3の波長(波長1550nm)の光信号を受光する。図9に示すように、送信用光デバイス50、受信用光デバイス60及び受信用光デバイス90とスリーブ部材70とはJスリーブ80’を介して結合される。
【0055】
Jスリーブ80’には、送信用光デバイス50、受信用光デバイス60、受信用光デバイス90及びスリーブ部材70が取り付けられる。その他に、WDMフィルタ81と、波長1310nmの光信号及び波長1490nmの光信号を透過し波長1490nmの光信号を反射するWDMフィルタ83’と、波長選択型光アイソレータ40が取り付けられる。なお、波長選択型光アイソレータ40は、例えば、波長帯域1310nmの光に対しては偏光特性を示し、それ以外の光(本例の場合は波長帯域1490nm及び1550nmの光)に対しては偏光特性を示さないものである。
【0056】
WDMフィルタ83’は、スリーブ部材70のフェルール71の光ファイバ71aと送信用光デバイス50のLD11との間の光路中であり且つ当該光ファイバ71aと受信用光デバイス60のPD12との間の光路中であって、当該光ファイバ71aと受信用光デバイス90のPD91との間の光路中に設けられる。波長選択型光アイソレータ40は、WDMフィルタ83’とスリーブ部材70のフェルール71の光ファイバ71aとの間に、送信用光デバイス50のLD11の偏波方向に合わせて設けられる。
【0057】
Bi−D3において、送信用光デバイス50を、Bi−D2におけるものと同様にして、Jスリーブ80’内で光軸に平行な方向に調整し、スリーブ部材70を、Jスリーブ80’上で、光軸に垂直な方向に調芯することで、LD11に関していわゆる3軸調芯を行ない、それぞれをYAG溶接して固定する。次いで、受信用光デバイス60を、Bi−D2におけるものと同様にして、Jスリーブ80’上で、光軸に垂直な方向に調芯し、PDに関していわゆる2軸調芯を行ない、YAG溶接して固定する。そして、受信用光デバイス90をJスリーブ80’の第4の面82e’上で、光軸に垂直な方向に調芯し、PD91に関していわゆる2軸調芯を行ない、YAG溶接して固定する。
【0058】
Bi−D3が上記のようにして調芯されると、図10に示すように、送信用光デバイス50のLD11から出力された送信光は、送信用光デバイス50のレンズ14aで集光され、WDMフィルタ81及びWDMフィルタ83’を透過し、波長選択型光アイソレータ40を透過し、スリーブ部材70のフェルール71の光ファイバ71aに入射される。
【0059】
このとき、1310nm帯域の送信光は、図3(B)と同様にして、ファラデー回転子40aで回転され、ナノインプリント技術で成形した波長帯域依存偏光特性膜40bを通過する。通過した送信光は、その先の光ファイバ71aの端面や伝送路等で反射し戻ってくるが、図4(B)と同様にして、波長帯域依存偏光特性膜40bで指定方向の偏波以外が遮断される。波長帯域依存偏光特性膜40bを通過した一偏波方向の反射戻り光は、ファラデー回転子40aにより回転され、LD送信光の偏波方向と直交する方向に偏波方向を有する光となるため、LDに影響を与えない。
【0060】
また、Bi−D3が上記のようにして調芯されると、スリーブ部材70のフェルール71の光ファイバ71aから出射される信号光のうち、1490nm帯域のものは、波長選択型光アイソレータ40を透過して、WDMフィルタ83’を透過し、WDMフィルタ81で反射され、受信用光デバイス60のレンズ14aで集光され、PD12で受光される。また、光ファイバ71aからの信号光のうち、1550nm帯域のものは、波長選択型光アイソレータ40を透過して、WDMフィルタ83’で反射され、受信用光デバイス90のレンズ14aで集光され、PD91で受光される。これらのとき、1490nm帯域及び1550nm帯域の受信光では、偏波方向に関係なく、波長帯域依存偏光特性膜40bをそのまま通過している。
【0061】
以上のように、本実施形態のBi−Dにおいても、低コストの波長選択性光アイソレータを用いて、反射戻り光をLDからの出射光の偏波方向と直交する方向に偏波方向を有する光として透過し、反射戻り光がLDの特性に悪影響を与えることを防ぎつつ、2種の受信光に対しては全て透過させ、それぞれ対応するPDにて受光させることができる。
また、本実施形態のBi−Dにおいても、本発明で使用する波長選択型光アイソレータを、集光点近傍(ファイバに近接した位置)に配置できるので、コストダウンが可能であり、低価格が要求されるBi−Dにおいて、その効果が大きい。
【0062】
本発明は、本実施形態のBi−Dの各光デバイスの配置を入れ替えたものに対しても適用可能である(ただし、Jスリーブ80’をLD11に関して3軸調芯ができるように構成する必要があり、WDMフィルタについても適宜その特性を選択する必要がある)。
【0063】
以上のように、本発明によれば、ナノインプリントによる波長帯域依存偏光特性膜を形成した低コストの光アイソレータを用いることで、Bi−Dにおいて、低コストでLDの光学特性を良くすることができる。
また、従来の偏波依存型アイソレータ(偏光素子+ファラデー回転子(素子)+偏光素子のもの)は、該光アイソレータを構成する各素子の厚みは、0.2〜0.3mm程度で、全体で約0.7mmである。本発明に係る波長選択型光アイソレータは、偏光素子を使用しない、または、偏光素子の数が少ない分、厚み方向のサイズが小さくなり、光学長(ファイバとレンズまたはWDMフィルタとの間の距離)が小さいBi−Dに好適に用いることができる。
【図面の簡単な説明】
【0064】
【図1】本発明の一実施形態に係る一芯双方向光モジュール(Bi−D)の一例の概略を説明する図である。
【図2】波長選択型光アイソレータの一例を示す図である。
【図3】図1のBi−Dにおいて、LDの送信光が、図2の波長選択型光アイソレータを透過して光ファイバに結合する過程を説明する図である。
【図4】図1のBi−Dにおいて、送信光の反射戻り光が図2の波長選択型光アイソレータを透過する過程を説明する図である。
【図5】図1のBi−Dにおいて、受信光が図2の波長選択型光アイソレータを透過する過程を説明する図である。
【図6】波長選択型光アイソレータの他の例を示す図である。
【図7】本発明の他の実施形態に係るBi−Dの一例の断面図である。
【図8】図7のBi−Dにおける光結合関係を示す図である。
【図9】本発明のさらに別の実施形態に係るBi−Dの一例の断面図である。
【図10】図9のBi−Dにおける光結合関係を示す図である。
【図11】従来の光アイソレータの一例を説明する図である。
【符号の説明】
【0065】
1,2,3…一芯双方向光モジュール(Bi−D)、10…光デバイス、11…LD、12…PD、13…ステム、13a…リードピン、13b…WDMフィルタ、14…レンズキャップ、14a…レンズ、14b…開口、20…スリーブ部、21…スタブ、21a…シングルモード光ファイバ、22…スリーブ、23…スリーブシェル、24…ブッシュ、30…Jスリーブ、30a…上端面、30b…開口、30c…マグネット、40…波長選択型光アイソレータ、40a…ファラデー回転子、40b…波長帯域依存偏光特性膜、50…送信用光デバイス、60…受信用光デバイス、70…スリーブ部材、71…フェルール、71a…光ファイバ、80,80’…Jスリーブ、81…WDMフィルタ、83’…WDMフィルタ、90…受信用光デバイス、91…PD。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
光ファイバへ入射する送信光を出力する半導体発光素子、前記光ファイバが出射する受信光を受光する半導体受光素子、並びに、前記送信光及び前記受信光のいずれかを透過し他を反射し、前記送信光を前記光ファイバへ入射すると共に前記受信光を半導体受光素子に受光させる波長合分波フィルタを備えた一芯双方向光モジュールであって、
入射された光をその偏波方向を回転して出射する回転素子と、特定の波長帯域に対して偏光特性を示す波長帯域依存偏光特性膜と、が一体に形成されて成る光アイソレータを、前記光ファイバと前記波長合分波フィルタの間に備えることを特徴とする一芯双方向光モジュール。
【請求項2】
前記波長帯域依存偏光特性膜は、少なくとも前記回転素子の前記光ファイバ側の面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の一芯双方向光モジュール。
【請求項3】
前記光アイソレータは、前記光ファイバの端面に接着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の一芯双方向光モジュール。
【請求項1】
光ファイバへ入射する送信光を出力する半導体発光素子、前記光ファイバが出射する受信光を受光する半導体受光素子、並びに、前記送信光及び前記受信光のいずれかを透過し他を反射し、前記送信光を前記光ファイバへ入射すると共に前記受信光を半導体受光素子に受光させる波長合分波フィルタを備えた一芯双方向光モジュールであって、
入射された光をその偏波方向を回転して出射する回転素子と、特定の波長帯域に対して偏光特性を示す波長帯域依存偏光特性膜と、が一体に形成されて成る光アイソレータを、前記光ファイバと前記波長合分波フィルタの間に備えることを特徴とする一芯双方向光モジュール。
【請求項2】
前記波長帯域依存偏光特性膜は、少なくとも前記回転素子の前記光ファイバ側の面に形成されていることを特徴とする請求項1に記載の一芯双方向光モジュール。
【請求項3】
前記光アイソレータは、前記光ファイバの端面に接着されていることを特徴とする請求項1または2に記載の一芯双方向光モジュール。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2009−222893(P2009−222893A)
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−66018(P2008−66018)
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成21年10月1日(2009.10.1)
【国際特許分類】
【出願日】平成20年3月14日(2008.3.14)
【出願人】(000002130)住友電気工業株式会社 (12,747)
【出願人】(502312498)住友電工ネットワークス株式会社 (212)
【Fターム(参考)】
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