説明

一連の可視領域を使用するホログラフィック再構成システム及び方法

本発明は、シーンの物体光点の3次元再構成のためのホログラフィック再構成システム(100)及び方法に関する。ホログラフィック再構成システムは、少なくとも1つのビデオホログラムと干渉する光波を変調する空間光変調手段と、観察者が焦点合わせにより生成される可視領域からシーンの再構成物体光点を見れるように変調された光波を集束する集束手段と、変調された光波を割り当てることにより可視領域を位置付ける偏向手段(120)とを含む。1人以上の観察者が移動した場合でも再構成シーンを正確に見れることを確実にするために、本発明に係るホログラフィック再構成システムは、異なる隣接する観察位置に可視領域(160〜162)を順次調整するように偏向手段を制御する偏向制御手段と、パルス光が観察位置毎に放射され且つ一連の可視領域がつなげられるように偏向制御手段と同期して光波を切り替える光制御手段とを含む。本発明により、従来の手段によるホログラフィック再構成システムの実現が容易になる一方で、1人以上の観察者は異なる位置(170、172)からシーンを見れる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、シーンの物体光点の3次元再構成に対するホログラフィック再構成システム及びその方法に関する。ホログラフィック再構成システムは、少なくとも1つのビデオホログラムと干渉する光波を変調する空間光変調器手段と、観察者が焦点合わせにより生成される可視領域からシーンの再構成物体光点を見れるように変調された光波を集束する集束手段と、変調された光波を向けることにより可視領域を位置付ける偏向手段とを含む。
【背景技術】
【0002】
ホログラフィック再構成システムにおいて、十分にコヒーレントな光は、LCD等の空間光変調器手段(SLM)により変調される。回折構造、ホログラム又は一連のホログラムは、SLM上で符号化される。物体光点は、SLMにおいてホログラムにより変調される光の干渉により生成される。それらの物体光点の全体は、物体又はシーンの3次元再構成を形成する。全ての物体光点の光は光波面の形態で伝播するため、1人又は複数の観察者は眼の位置からそれらの物体光点を3次元シーンとして見れる。観察者にとっては、光は、SLMからではなく3次元物体再構成から、すなわち複数の奥行き面から入射するように見える。観察者は、複数の奥行き面を有する物体再構成に自身の眼の焦点を合わせる。眼は、直接透過される光ではなくSLMにより回折される光のみを見れる。観察者は、ホログラフィックディスプレイを見る時、実際の物体を見ているかのような印象を受けるのが理想的である。これは、立体表現とは異なり、ホログラフィック再構成が代用物体を実現することを意味する。そのため、一般に実際のシーンを見ることとホログラフィック再構成シーンを見ることとの間に差がないため、眼の疲労及び頭痛等の立体視に関する周知の問題が生じない。
【0003】
例えば特許文献1、特許文献2又は特許文献3において本出願人により説明されるような従来のホログラフィック再構成システムは、主に以下の一般的な原理に基づく。空間光変調器手段は、ホログラフィック情報により波面を変調する。変調された波面は、1人又は複数の観察者の一方の眼又は双方の眼の前方に位置付けられる再構成ボリュームにおいて物体光点の形態で3次元シーンを再構成する。再構成ボリュームは、変調波面が再構成システムから射出する時に通る表示画面の射出面から遠視野可視領域まで広がる。空間光変調器手段において符号化されるビデオホログラムの変調波面(又は任意の他の遠視野変換)を集束する時に行なわれるフーリエ変換は、可視領域に存在する。しかし、ホログラムは、物体光点が表示画面の前方だけでなく表示画面上及び表示画面の後方にも現れるように符号化されるため、再構成ボリュームは表示画面の前方に存在するだけでなく画面を越えて存続し、観察者は表示画面の前方、表示画面上又は表示画面の後方において再構成3次元シーンの一部を知覚する。
【0004】
焦点合わせにより生成される可視領域は、例えば眼又は瞳孔のサイズを有する。この場合、他方の眼に向けられる第2の波面は、視差が異なる第2の再構成を提供する必要があるため、他方の眼には別の可視領域が提供される。観察者の各眼が可視領域に位置する場合、観察者はホログラフィック再構成シーンを見れる。一般に異なる眼に向けられる波面は、従来の裸眼立体手段を使用して空間的又は時間的にインタリーブされる。空間周波数フィルタは、波面間の光学的クロストークを防止する。複数の観察者が対応する場合、それに従って増加した数の可視領域が例えば時分割多重化又は空間分割多重化により提供される。
【0005】
ある程度明確にするために、以下の説明は主にホログラフィックシステムの単一の波面の調整に関する。必要に応じて、再構成システムは第1の波面と同様に更なる波面を実現できる。本発明の概念は、実際の波面数に依存してそれに必要な回数だけ適用可能であることは当業者には理解される。その場合、本発明の機能素子は、複数の波面に対して共通に使用されるのが好ましい。
【0006】
あるいは、観察者の双方の眼を範囲に含む可視領域を更に生成できる。しかし、可視領域のサイズは、ホログラフィック再構成システムの焦点距離、使用される光の波長及びホログラムとして再構成されるシーンを符号化するために使用される空間変調器の画素ピッチ(2つの隣接画素の中心間の距離)に依存する。所望の可視領域が広い程、使用されるSLMの解像度は高い必要がある。広い可視領域を得るために、SLMは、大きな回折角をもたらす非常に小さな画素開口を有する必要がある。すなわち、SLMは小さな画素ピッチ及び従って大量の画素を有する必要がある。
【0007】
SLMの必要な解像度を低減するために、可視領域のサイズは、例えば瞳孔のサイズに縮小される。しかし、これにより、観察者の眼が可視領域内に部分的にのみ位置する場合は3次元再構成の可視性に関する問題が起こる可能性がある。観察者の僅かな動きが可視性の消失、けられ又は空間周波数スペクトルの歪み等の結果を既にもたらしている可能性がある。更に、眼が可視領域外に位置する観察者にとって、再構成ボリュームの境界は見つけにくい。従って、観察者が移動した場合、可視領域の位置が新しい眼の位置に適応されることが必要である。
【0008】
従来のシステムは、眼の位置を検出するアイファインダと、可視領域を眼の位置に向けるミラー等の偏向手段とを含む。偏向手段の必要とされる角度位置は、検出された眼の位置に基づいて見つけられ、偏向手段は、可視領域の位置を眼の位置に一致するように制御される。偏向手段が可視領域を眼の位置に一致させると、アドレス指定された位置に対するホログラムは符号化され、3次元シーンは再構成される。その後、次の眼の位置が検出される。これは、偏向手段が断続的に移動する原因となる。カラー多重化モードを実現する場合又は複数の観察者に同時に対応する場合に高周波数が明らかに必要とされるため、特に例えば20Hzを上回る高周波数において従来の手段を使用してその断続的な移動を実現するのは困難である。
【0009】
小さな可視領域の場合、アイファインダが非常に高い精度で眼の位置を検出することが更に必要とされる。例えば、可視領域のサイズが5〜10mmである場合、アイファインダは、最大約1mmの誤差で眼の位置を検出すべきである。ここでも、これは、従来の手段を使用して実現するのは困難である。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0010】
【特許文献1】国際公開第WO2004/044659号公報
【特許文献2】国際公開第WO2006/119920号公報
【特許文献3】国際公開第WO2006/119760号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0011】
従って、本発明の目的は、1人又は複数の観察者が移動した場合でも再構成シーンを正確に見れることを保証するホログラフィック再構成システムを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0012】
目的は、複数の隣接する観察位置に可視領域を順次向けるように偏向手段を制御する偏向制御手段と、パルス光が各観察位置に対して放射され且つ一連の可視領域がつなげられるように偏向制御手段に同期して光波をオンにする光制御手段とを有する本発明に係るホログラフィック再構成システムにより解決される。本発明は、請求項17に記載の方法により更に解決される。本発明の好適な実施形態は、添付の請求の範囲において説明される。
【0013】
本発明は、人間の眼では区別できないように短い期間内に可視領域が複数の隣接する観察位置に順次向けられ、その結果、観察者が一連の可視領域からなる可視範囲を提供されるという概念に基づく。この処理は、少なくとも50ビデオホログラム/秒等の眼が知覚できない程十分に高い特定の周波数で繰り返されるため、多くの場合に可視領域は観察者に対して観察位置に位置し、定常な画像であるという印象が与えられる。
【0014】
可視領域は、特定の周波数で複数の隣接する観察位置に可視領域を順次向けるように偏向制御手段により制御される偏向手段を使用して位置付けられる。可視領域は隣接し、光制御手段は偏向制御手段に同期して光波をオンにする。光制御手段は、例えば光源手段をオン及びオフにする手段であってもよく、あるいはシャッター等のシステムの任意の時点で光路を遮断する手段であってもよい。このように、光パルスは、偏向手段の動きに同期して放射される。すなわち、カラー再構成を生成するために、観察位置毎にある特定の数の光パルス、例えば観察位置毎に光源手段により提供される各波長に対して1つの光パルスが放射される。好適な一実施形態によると、光制御手段は、各観察位置に対して複数の光パルスを放射するために提供される。別の実施形態において、干渉する光波は異なる波長を有し、光制御手段は各観察位置に対して波長毎に少なくとも1つの光パルスを放射する。
【0015】
光源手段は、例えばパルスレーザ等のレーザ光源であってもよい。例えば発光ダイオード(LED)を光源手段として使用できる。各インコヒーレント光源が空間フィルタリング及び/又はスペクトルフィルタリングされた場合に十分にコヒーレントになることは、当業者には一般的に周知である。
【0016】
一般に、観察者がホログラムの再構成を見る方法は、可視領域内の眼の位置に依存する。可視領域の眼の位置が変更される場合、観察者が再構成を見る時に使用する透視画も変更される。可視領域が継続的に移動される場合、観察者は依然として自身の観察者位置にいるが、可視領域が観察者の眼を範囲に含む間全ての透視画を見れる。例えば瞳孔より大きい可視領域において、これは、観察者が次々に種々の透視画からの点を迅速に見るため、再構成ホログラム点がぼやけていると観察者が知覚する原因になる。眼は、再構成点がぼやけるのを防止するためにその動きを知覚するべきではない。従って、光パルスは、観察者がその動きを知覚できない程十分に短い必要があり、観察者が定常な可視領域であるという印象を受けるようにかなり頻繁に生成される必要がある。
【0017】
波面を変調するためのホログラムが可視となる透視画は、ある特定の観察者の位置に対するホログラムを計算する時に更に考慮される。この透視画は、観察位置毎に異なる。すなわち、異なるホログラムが観察位置毎に符号化される必要がある。従って、透視画は、可視領域が双方の眼に同時に対応するのに十分な程大きくない場合に左眼及び右眼に対して異なる。双方の眼は、異なる方法で計算されたホログラムを見る必要がある。
【0018】
再構成シーンがそれらの観察位置から知覚される際に使用する透視画を考慮するために、可能な各観察位置に対するホログラムを計算できる。しかし、全ての可能な観察位置に対してではなく、観察者の眼が検出された観察位置に対して及び隣接する位置に対してのみホログラムを計算するので十分である。アイファインダは、観察者の眼の位置を検出する必要がある。好適な一実施形態によると、本発明に係るホログラフィック再構成システムは、観察者の少なくとも一方の眼の位置を検出する眼位置検出手段を含む。ここで、偏向制御手段は、検出された眼の位置に依存して偏向手段を制御し、その眼の位置に対して符号化されるビデオホログラムを含む一連の可視領域を各々の検出された眼の位置に向ける。少なくとも1つの可視領域は、検出された眼の位置を範囲に含む。例えばこれは、一連の可視領域が眼の位置の前方、眼の位置及び眼の位置の後方の範囲内に位置付けられることを意味する。眼位置検出手段は各眼を検出するが、眼位置検出手段が一対の眼の一方の眼のみを検出する場合に十分であると仮定する。他方の眼の位置は、眼の間隔に基づいて計算される。眼の大まかな位置を検出するので十分である。複数の観察者が対応する場合、対応する数の対の眼が検出される必要がある。すなわち、常に各対の眼のうち一方の眼が検出される必要がある。
【0019】
観察者がホログラフィック再構成シーンを均一に見れることを保証するために、アイファインダが低い精度で眼の位置を検出する場合でも、ホログラムは、検出された眼の位置に依存して1つの観察位置に対して計算され、観察位置の少なくとも1つが検出された眼の位置を範囲に含む複数の観察位置にわたり維持される。従って、同一のビデオホログラムが眼の位置に割り当てられる一連の可視領域の全ての観察位置に対して空間光変調器手段において符号化されるのが特に好ましい。
【0020】
本発明に係る解決策の好適な一実施形態において、偏向手段は、反射型構成の偏向手段であり、各観察位置に変調された光波を反射するように光路中に設けられる。ここで、ビデオホログラムの中間画像が偏向手段において作成されるのが特に好ましい。別の実施形態において、本発明に係るホログラフィック再構成システムは、縮小中間画像等のビデオホログラムの中間画像を生成するテレセントリックレンズを含む。更にフーリエ平面(又は異なる遠視野変換の平面)がテレセントリックレンズにおいて生成されるため、起こる可能性のある望ましくない回折次数はその時点で既にフィルタリングされていてもよい。更なる実施形態において、本発明に係るホログラフィック再構成システムは、集束表示画面に投影することによりビデオホログラムの中間画像を拡大する投影レンズを含む。投影ミラーは、投影レンズの代替物として使用される。例えば投影ミラーは、色収差が防止され、一連の可視領域が位置付けられる角度範囲がより広くなるという利点を示す。
【0021】
別の実施形態において、偏向手段は、平面の光偏向特性を示す。偏向手段は、例えば反射平面を有し、例えば平面鏡の形態等を有することができる。例えば、更に偏向手段は、平面の光学結像特性のみを実現するが必ずしも平面自体を有する必要はないOASLM又はEASLMの形態を有することができる。しかし、別の実施形態において、偏向手段は、球面又は非球面、あるいは平面、球面及び/又は非球面の組合せの光学結像特性を示すことができる。球面効果又は非球面効果のために、追加の光学的効果が達成可能である。例えば、ホログラフィック再構成システムの追加の構成要素を偏向手段に組み込むことができる。
【0022】
一実施形態において、偏向制御手段は、偏向手段を光学的、電気的又は機械的に制御する。更なる実施形態において、それらの物理的形態のうち少なくとも2つの組合せが可能である。例えば偏向手段は、光アドレス型空間光変調器又は電気アドレス型空間光偏重器の形態で設計される。偏向手段は、機械的に駆動される部分より高速に動作可能であり且つ収差の追加の補償を可能にするという追加の利点を有する。
【0023】
個々の実施形態は、偏向手段が電気的にアドレス指定可能な光マイクロセルのアレイであることを仮定する。各光マイクロセルは、制御可能な光の屈折の挙動又は制御可能な表面の傾斜を示すか、あるいはプリズム関数により符号化される。それらの特徴の組合せも可能である。
【0024】
偏向手段の機械制御は、角度範囲にわたり回転軸を中心に偏向手段を継続的に回転するか又は継続的に回動するという概念に基づく。従って、偏向制御手段が回転軸を中心に偏向手段を回転又は回動することは、ホログラフィック再構成システムの物理的形態に対応する。ここで、偏向手段の回転数は、例えば偏向制御手段により制御されるのが好ましい。光パルスが回転数に同期して光制御手段により提供されるため、複数の可視領域は隣接する。光制御手段は、変位方向の可視領域の範囲に対応する変位距離毎に1つの光パルスのみを生成するのが好ましい。1つの光パルスは、観察者が見ているホログラフィックシーンの動きとして偏向手段の回転又は回動運動を知覚しない程十分に短い必要がある。この設計により、可視領域が観察者の眼を通過する間に観察者が複数の透視画を知覚することが回避される。このように、シーンがぼやけていると知覚されることを防止できる。
【0025】
一実施形態において、偏向制御手段は、直流電動モータ等の電動モータである。一般に、偏向手段が回転又は回動されることを可能にし且つ十分に高い均一な回転数を提供できる任意の他の種類の駆動装置も使用可能である。
【0026】
更なる実施形態において、偏向手段は反射面を示し、偏向制御手段の回転軸が反射平面に位置するように偏向制御手段に接続される。偏向手段は、表面鏡の形態で設計されるのが好ましい。この構成のために、ホログラフィック再構成シーンは、偏向手段の回転又は回動運動により表示画面に対して移動しない。反射面が回転軸上にない場合、ミラーは、回転したために、偏向手段に投影される中間画像の光学位置を投影レンズに対して変更する。図6の説明において、本実施形態を詳細に説明する。
【図面の簡単な説明】
【0027】
図面を参照して、本発明を以下に更に詳細に説明する。
【図1】第1の時点における可視領域を示す本発明の原理の簡略化された例を示す上面図である。
【図2】第1の時点及び第2の時点における可視領域を示す本発明の原理の簡略化された例を示す上面図である。
【図3】光パルスによる可視領域の生成を示す概略図である。
【図4】第1の時点における第1の実施形態に係る本発明のホログラフィック再構成システムを示す簡略化された図である。
【図5】第2の時点における第1の実施形態に係る本発明のホログラフィック再構成システムを示す簡略化された図である。
【図6】第1の実施形態に係る偏向手段及び偏向制御手段の相互の配置を示す簡略化された上面図である。
【図7】第2の実施形態に係る偏向手段の一般的な設計を示す図である。
【図8】第3の実施形態に係る偏向手段の一般的な設計を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0028】
図1は、本発明の原理を簡略化された図に示す上面図である。第1の時点における第1の観察位置の可視領域の位置を示す。
【0029】
図示されるホログラフィック再構成システム100は、ホログラム投影機110、偏向手段120、投影手段130及び表示画面140を含む。図は、表示画面140と可視領域160との間にわたる再構成ボリューム150、第1の眼の位置170、第2の眼の位置172及び可視領域がつなげられる可能な可視範囲180を更に示す。本明細書において、再構成ボリューム150は、簡略化されて例示的に示される。再構成ボリューム150は、表示画面140の前方、表示画面140上及び表示画面140の後方に及ぶ。
【0030】
ホログラム投影機110は、空間光変調器(SLM)(不図示)において符号化されるホログラムの中間画像を偏向手段に投影する。
【0031】
平面鏡、光アドレス型空間光変調器(OASLM)又は電気アドレス型空間光変調器(EASLM)等の偏向手段120は、ホログラム投影機110により偏向手段120に投影されるSLMの中間画像の方向を投影手段130の方向に変更する。また、偏向手段120は、球面鏡又は非球面鏡の効果等の球面効果又は非球面効果を更に有することができる。これにより、いくつかの光学機能が1つの素子に組み合わされることが可能になる。
【0032】
偏向手段120は、偏向制御手段(不図示)により制御される。例えば偏向制御手段は、以下に説明される第1の実施形態及び図6において示すように、偏向手段を機械的に制御する。以下に説明する第2の実施形態及び第3の実施形態において、例えば偏向手段は光学的又は電気的に制御される。
【0033】
投影手段130は、特に本実施形態においては楕円形の投影ミラーである非球面の形態で設計される。しかし、投影手段は、球面鏡、平面鏡又は適応投影ミラーの形態で設計可能である。投影ミラーを使用する場合に一連の可視領域が位置付けられる角度範囲がより広いため、投影ミラーを使用することは投影レンズを使用するより好ましい。投影手段130は、投影手段130に入射する光を表示画面140に向けて反射する。
【0034】
本実施形態における表示画面140は球面鏡であり、入射光の形状及び入射角に依存して入射光を特定の方向に反射及び集束する。このように可視領域160が生成され、観察者は、少なくとも一方の眼がその可視領域内に位置する場合、再構成ボリューム150においてホログラフィック再構成シーンをその可視領域から見れる。これは、眼の位置170に位置する眼が再構成ボリューム150においてホログラフィック再構成シーンを見れることを意味する。しかし、表示画面140は、非球面鏡、平面鏡又は適応ミラーの形態でも設計可能である。
【0035】
第1の眼の位置170及び第2の眼の位置172の双方は、第1の眼の位置から第2の眼の位置に移動した同一の眼を示すか、あるいは観察者の左眼及び右眼又は1人の観察者の左眼及び別の観察者の右眼等の異なる眼を示す。図示する第1の時点における第2の眼の位置172に位置する眼は、この時点では3次元シーンの再構成を見れない。しかし、可視領域の結合及びその繰返しは、観察者の眼の前方に可視領域が繰り返し現れる時の時差を観察者が知覚しない程の速い速度で行なわれる。
【0036】
図2は、本発明の原理を簡略化された図に示す上面図である。可視領域は、図1のように第1の時点における第1の観察位置に示され、更に第2の時点における第2の観察位置に示される。構成は、図1と同一である。同一の参照符号は同一の要素を示す。更に図2は、第2の観察位置162及び再構成ボリューム152の第2の位置を示す。
【0037】
偏向制御手段により開始される偏向手段120の光偏向機能の繰り返し行なわれる順次変更、あるいは継続的な回転又は回動により、可視領域160は、可視範囲180内において順次変位される。第2の時点において、可視領域は、第2の観察位置162に位置する。第2の時点において第2の眼の位置172に位置する眼は、その時点で再構成ボリューム152においてホログラフィック再構成シーンを見れる。
【0038】
図3は、光パルスによる可視領域の生成を示す例示的な概略図である。この図は、眼の位置310、光パルス320、322、324及び時点t1〜t8における観察位置330、332、334の可視領域を示す。
【0039】
時点t3とt5との間で、可視領域332は眼の位置310を範囲に含む。これは、観察者がその期間中に再構成を見れることを意味する。ここで、t5−t3の期間内の光パルスが生成される場合、観察者は、位置する可視領域内の正確な場所に関係なく再構成の小さな透視断面のみを見れる。
【0040】
光制御手段は、特定の周波数で光パルス320、322、324を提供する。光制御手段による光パルスの提供と偏向制御手段による可視領域の位置付けとは、観察位置330、332、334の可視領域が重なり合わないように整合される。これは図から分かる。光パルスは、時点t2、t4及びt6においてのみ提供される。偏向制御手段による偏向手段の制御及び可視領域の対応する動きのために、観察位置330、332、334の可視領域はそれらの時点で重なり合わない。第2の観察位置332は、第1の観察位置330に対して可視領域のサイズだけ変位される。更に、第3の観察位置334は、第2の観察位置332に対して可視領域のサイズだけ変位される。
【0041】
全ての時点t1〜t6において、光パルスが提供される場合、可視領域は重なり合い、観察者はぼやけた画像を知覚する可能性がある。
【0042】
更に、眼位置検出手段は少なくとも一方の眼310の位置を検出するために提供される。光源手段は、眼の位置310に依存して光パルス320、322、324を提供できる。その場合、眼の位置310の検出の起こりうる不正確さが考慮される。図示するように、検出された眼の位置の前の第1の観察位置330は、第1の光パルス320により生成される。その後、この図によると、2つの更なる光パルス322、324が追従し、第1の観察位置330に追従する観察位置332、334を生成する。従って、眼の位置が多少不正確に検出される場合でも、眼の位置310の眼は可視領域を確実に提供されることが保証される。
【0043】
観察者が複数の透視画を知覚し且つその結果ぼやけた物体を見ることを防止するために、同一の物体再構成が後続する光パルスにより後続の観察位置に更に提供される。
【0044】
当然、光パルス及び観察位置の数は図示するものに限定されない。
【0045】
図4は、第1の時点における第1の実施形態に係る本発明のホログラフィック再構成システム400を示す簡略化された図である。図は、光源手段410、412、空間光変調器手段(SLM)420、422、ビームスプリッタ430、432、テレセントリックレンズ440、442、偏向手段450、452、投影レンズ460、462及び反射手段470、472を示す。表示画面480は、構成全体において1度だけ提供される。更に、可視領域490、492及び眼の位置500、502、再構成ボリューム510、512及び可視範囲520、522を示す。図中、偏向手段を制御する偏向制御手段及び光パルスを生成する光制御手段は明示されない。
【0046】
図から分かるように、構成全体は類似する設計の2つのアセンブリを含む。各アセンブリは、一方の眼に対する画像を生成する。以下の説明は、それらのアセンブリの一方のみに関する。当業者は、他方のアセンブリに対してその原理を容易に解釈できる。一般に、例えば時分割多重化方法を使用して、1つのアセンブリによる解決策も可能である。
【0047】
光源手段410は、本実施形態においてパルスレーザの形態を有する。パルスレーザは、シャッター等を使用して例えば電気制御により又は機械的に光制御手段により時間変調される。光源手段410は、レーザのビーム直径を拡大するビーム拡大器を含むことができる。別の実施形態によると、種々の波長を有する複数のレーザを提供できる。更に別の実施形態によると、レーザの代わりに異なる光源手段を採用し且つ光のコヒーレント部分をフィルタリングすることが更に可能である。
【0048】
光源手段410は、ビームスプリッタ430を通してテレセントリックレンズ440を照明する。これは、特定の方向に直線偏光される光を反射する特性を有する。SLM420は、可能な限り多くの光エネルギーにより照明される。回折パターンは、振幅変調を介して画素格子を有するSLM420上に提供される。SLM420から反射された後、回折されたレーザ光はテレセントリックレンズ440に向けて伝播する。
【0049】
レーザ光を空間的にフィルタリングするシャッターは、テレセントリックレンズ440の入射レンズの焦点面又はフーリエ平面に設けられる。そこで望ましくない回折次数は除去される。望ましくない次数の光エネルギーは、望ましい次数の部分よりはるかに高い。テレセントリックレンズ440は、例えば1:2の縮尺で縮小されたSLM420の中間画像を偏向手段450に投影する。SLM420の縮小された実際の中間画像が存在する。
【0050】
本実施形態において、ビームスプリッタ430、SLM420及びテレセントリックレンズ440は、光路中の偏向手段450の前方に設けられる。
【0051】
この第1の実施形態において、偏向手段450は平面鏡の形態を有し、直流電動モータ等の偏向制御手段(不図示)により回動される。偏向制御手段の回転軸は鏡面の平面にある。これを図6に示す。テレセントリックレンズ440により放射される光は、偏向手段により投影レンズ460に向けて偏向される。
【0052】
本実施形態において、投影レンズ460、反射手段470及び表示画面480は、光路中の偏向手段450の後に設けられる。
【0053】
投影レンズ460は、偏向手段450により偏向されるSLM420の縮小中間画像を反射手段470に投影する。本実施形態において、反射手段470は平面鏡であり、入射光を表示画面480に向けて反射する。表示画面480は、本実施形態においては球面鏡の形態を有する。表示画面480は、可視領域490に対してSLM420のフーリエ平面の1:1投影を行なうように配置される。本明細書において、再構成ボリューム510は、表示画面480と可視領域490との間にわたる。眼の位置500に位置する観察者の眼は、再構成ボリューム510において可視領域490から再構成シーンを見れる。
【0054】
この第1の実施形態において、偏向手段450の回転は、可視領域490が可視範囲520内で変位されるように光路を変更する。可視範囲520の範囲は、ホログラフィック再構成システム400の設計により空間的に制限される。偏向手段450が1回転を完了すると、可視領域490は可視範囲520の開始部分に再度現れる。可視領域490の変位方向は、偏向手段450の回転方向に依存する。しかし、回転方向は、本発明の一般的な原理に関係ない。
【0055】
一般に、SLM420は、可視範囲520内の観察位置毎に種々のホログラムにより符号化される。しかし、可視範囲520が非常に小さい場合、その可視範囲520内の全ての観察位置に対して1つのホログラムコードのみをSLMに提供できる。あるいは、SLM420が可視範囲520のセクション毎に1つのホログラムにより符号化される中間的な解決策も可能である。前記セクションは、少なくとも2つの観察位置を含む。
【0056】
図5は、第2の時点における第1の実施形態に係る本発明のホログラフィック再構成システムを示す簡略化された図である。構成は、図4に示す構成と同一である。しかし、図5においては、偏向手段450は図4に示す状況と比較して異なる角度位置を有する。このように変更された光路により、可視領域490は可視範囲520内において異なる観察位置を有する。
【0057】
第2の時点において、観察者は眼の位置490からホログラフィックシーンの任意の再構成を見れない。しかし、偏向手段450の回転数は、観察者がそのことに気付かない程高い。可視領域490は、ホログラフィック再構成シーンが定常なシーンとして多くの場合知覚されるように観察者の眼の前方に現れる。
【0058】
図6は、第1の実施形態に係る偏向手段及び偏向制御手段の相互の配置を示す簡略化された上面図である。偏向手段は回動される。ここで、回転軸は鏡面の平面にある。図6は、反射面620を有する偏向手段610及びシャフト640を有する偏向制御手段630を示す。
【0059】
シャフト640は、直流電動モータ等の偏向制御手段630に取り付けられる。偏向制御手段630は、回転軸を中心にシャフト640を回転する。回転軸は、シャフト640の中心にある。回転運動は、図中の矢印により例示的に示される。しかし、シャフトは他方の方向にも回転可能である。図から分かるように、偏向手段610は、反射面620がシャフト640の中心にある回転軸上に設けられるようにシャフト640に取り付けられる。シャフト640が回転する場合、反射面620はシャフト640の中心から外れて動かないため、光路の望ましくない変更等の望ましくない結果は起こらない。
【0060】
偏向制御手段630は、観察者が可視領域の動きをちらつきとして知覚しない程速い回転速度を有する。更に、偏向制御手段は一定の回転速度を有する。すなわち、回転速度は任意の望ましくない変動をしない。
【0061】
第1の実施形態において説明したように、機械制御可能な偏向手段の代替物として、光制御可能な偏向手段又は電気制御可能な偏向手段等の非機械制御偏向手段が使用される。それらの物理的形態の組合せも可能である。対応するホログラフィック再構成システムの設計は、図4及び図5に示す設計と同一であってもよい。すなわち、偏向手段は図4及び図5に示すように光路中に設けられるが、偏向手段及び偏向制御手段は異なる設計である。光制御可能な偏向手段を含む可能な構成について、図7及び図8を参照して第2の実施形態及び第3の実施形態の例により以下に説明する。
【0062】
図7は、回折構造を有する光アドレス型空間光変調器(OASLM)712及びOASLM712に取り付けられる偏向ミラー714を有する本発明の第2の実施形態に係る偏向手段700の一般的な設計を示す。
【0063】
本実施形態によると、OASLM712は、透過電極を含む第1のガラス板716、OASLM712の回折構造を形成し且つLC分子を含むLC層718、透過感光性半導体層720及び基板である第2のガラス板722を含む。本実施形態において、OASLM712は、3次元シーンの再構成に使用される光を透過するため、その光は、後方に配置された偏向ミラー714に到達できる。
【0064】
図8は、回折構造を有する光アドレス型空間光変調器(OASLM)812を有する品発明の第3の実施形態に係る偏向手段800の一般的な設計を示す。反射層の形態の偏向ミラー814は、OALSM812に組み込まれる。
【0065】
本実施形態においても、OASLM812は、透過電極を含むガラス板816、OASLM13の回折構造を形成し且つLC分子を含むLC層818、感光性半導体層820及び基板であるガラス板822を含む。本実施形態において、偏向ミラー814は、LC層818と半導体層820との間に組み込まれる。
【0066】
あるいは、OASLM712、812は、屈折構造又は回折構造及び屈折構造の組合せを示すことができるため、OASLMにおいて種々の屈折率で屈折による光変調も可能である。
【0067】
偏向ミラー714、814が異なる位置でOASLM712、812に組み込まれることが更に可能である。全ての他の実施形態のように、3次元シーンの再構成に対して使用される光は、半導体層で吸収されてはならない。更に、半導体層は、偏向制御手段の書込光、すなわち偏向手段の偏向特性を制御するために使用される光によってのみ影響を及ぼされる必要があり、書込光は可視領域において観察者により知覚されないことが保証される必要がある。これを達成するために、偏向ミラーは、部分的な領域のみ、1方向のみ、選択された波長に対してのみ、特定の偏光又はそれらの組合せに対してのみ等のいくつかの点において透過的であってもよい。
【0068】
偏向手段700、800の光偏向特性は、偏向制御手段により制御される。第2の実施形態及び第3の実施形態において、例えば偏向手段は光源手段に組み込まれ、3次元シーンの再構成に対して使用される光とは異なる波長を有する偏向手段を制御する書込光を提供する。例えば書込光は、走査レーザビームの形態で提供され、それはOASLM712、812の半導体層720、820上に集束され、後者を走査する。レーザビームの強度は、その動きに同期して変調されるため、半導体層720、820は必要とされる強度分布に露光される。この方法は、双安定OASLMが使用される場合にのみ適用可能であるため、全体的に回折構造は存在する。偏向制御手段により提供される書込光は、人間の眼に不可視である波長範囲の光であるため、書込光は可視領域において観察者により知覚されない。単一の走査レーザビームを使用する代わりに、各々がOASLMのサブセクションのみを内接させる複数の走査レーザビームが使用可能である。1つの走査レーザビームのみが書き込みに使用される場合、その走査レーザビームは、非常に小さな焦点及び大きな走査範囲を有する必要があるため、多くの要求を満足する必要がある。
【0069】
偏向手段の光偏向特性は、以下のように偏向制御手段により変更される。電界は、感光性半導体層720、820と透過電極を有する第1のガラス板716、816との間に発生する。感光性半導体層720、820上のスポットが偏向制御手段により提供される書込光により照明される場合、電界は局所的に影響を受ける。その結果、LC層718、818のLC分子の配向は変更され、局所屈折率も変更される。OASLM712、812の屈折率の変動は、位相又は振幅変調を引き起こす可能性がある。位相変調は、回折効率がより高いため好ましい。
【0070】
一般に、屈折率の変動は単安定又は双安定であってもよい。単安定の場合、半導体層が照明されている間にのみ、屈折率は変動する。双安定の場合、層が照明されるのが中止された後、OASLMに印加される電圧が装置を初期状態に再設定するまで、屈折率は変動し続ける。
【0071】
偏向ミラー714、814に入射する光は、偏向ミラー714、814から反射され、その光路は、OASLM712、812により影響を受ける。偏向手段700、800に入射する光が偏向手段700、800から順次反射される角度が、可視領域が変位される角度になるように、偏向制御手段は偏向手段700、800の光偏向機能を制御する。観察者が知覚できない程速い速度で、この一連の処理が繰り返される。更に、光パルスは、偏向手段700、800の光偏向機能の制御と同期して提供される。このように、可視領域は、第1の実施形態と同様につなげられる。偏向手段700、800の光偏向機能の変調は、上述のようにLC層のLC分子の配向を偏向することにより行なわれる。一般に、光の偏向角は、LC分子の配向又はLC層の屈折率に依存する。
【0072】
偏向手段700、800の光偏向機能の変調は、観察者が可視領域の動きを知覚しない程の速い速度及び繰返し数で行なわれる。更に、偏向制御手段は、定速度で偏向手段700、800を制御する。すなわち、一連の処理及び繰返し数は望ましくない変動をしない。
【0073】
あるいは、更に偏向制御手段は、第2の実施形態及び第3の実施形態において以下の形態を有してもよい。半導体層は、再構成に使用される光の方向と反対方向から内接する。すなわち、偏向制御手段は、偏向ミラーの後方に設けられる。特定の実施形態によると、再構成に使用される光及び書込光は、極性又は波長が異なる等、必要な特性を示し、OASLMの層は対応する特性を有するべきである。書込光の特定の入射角を選択することにより、書込光が可視領域において観察者により知覚されることを回避することが更に可能である。
【0074】
更に、OASLMは、例えば光ファイバケーブル又はビームスプリッタを使用してリンクされてもよい2つのコヒーレント光源の干渉により生成される干渉パターンに露光されることにより制御される。半導体層のこの干渉パターンは、OASLMにおける屈折率の変動の原因となる。この方法は、感光性フィルムのホログラフィック露光のように動作する。入射側焦点における光源による後続の走査の間、OASLMにおいて露光されるホログラムは、射出側焦点において光源を再構成する。
【0075】
1人又は複数の観察者の眼のそれぞれに対して1つの可視領域を順次生成するために、必要とされる回折構造がOASLMに順次書き込まれることが可能である。カラーホログラフィック再構成を表示するために、個々の原色を表す部分再構成は順次生成され、特定の波長に一致する回折構造はOASLMに順次書き込まれる。
【0076】
第4の実施形態において、偏向手段は電気アドレス型空間光変調器(EASLM)であり、偏向制御手段は偏向手段を電気的に制御するように設計される。本出願人は、例えば現在までに公開されていない独国特許出願第10 2007 051 521.0号及び米国特許出願第12/100,032号においてそのような光変調器を開示している。それらの出願において説明される光変調器は、反射モードで動作するのが好ましい。そのような光変調器は、標準的なデータバスを介して制御される。
【0077】
複数の隣接する観察位置に順次向けられる可視領域を有するホログラフィック再構成システム及びその方法は、添付の図面及び実施形態を参照して上述された。しかし、本発明は上述の実施形態に限定されない。
【0078】
ホログラフィック再構成システムの素子が異なる方法で配置される場合、素子は省略可能であり、一体化可能であり、あるいは互いに組み合わせ可能である。更に、個々の実施形態の特徴は互いに組み合わせ可能である。
【0079】
また、観察者が双方の眼でホログラフィック再構成シーンを見れる可視領域を生成できる。本発明の原理が同様に適用可能である。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
シーンの物体光点の3次元再構成を行うホログラフィック再構成システム(100、400)であって、
−少なくとも1つのビデオホログラムとの干渉を生成可能な光波を変調する空間光変調器手段と、
−観察者がそのように生成される可視領域(160、490)から前記シーンの再構成された物体光点を観察可能なように前記変調された光波を集束する集束手段と、
−前記変調された光波を向けることにより前記可視領域を位置付ける偏向手段(120、450、610)と、
−複数の隣接する観察位置に前記可視領域(160、490)を順次向けるように前記偏向手段(120、450、610)を制御する偏向制御手段(630)と
を具備し、
パルス光が観察位置毎に放射され、一連の可視領域がつなげられるように、前記偏向制御手段(630)と同期して前記光波をオンにする光制御手段を備えることを特徴とするホログラフィック再構成システム。
【請求項2】
複数の光パルスは、観察位置毎に前記光制御手段により放射可能である、請求項1記載のホログラフィック再構成システム。
【請求項3】
干渉を生成可能な前記光波は異なる波長を有し、
少なくとも1つの光パルスは各観察位置に対して波長毎に前記光制御手段により放射可能である、請求項1記載のホログラフィック再構成システム。
【請求項4】
観察者の少なくとも一方の眼(170、310、500)の眼の位置を検出する眼位置検出手段を有し、
前記偏向手段の制御は、前記検出した眼の位置に依存して前記偏向制御手段により行なわれ、
前記眼の位置に対して符号化されるビデオホログラムを含む一連の可視領域は、検出された眼の位置の各々に向けられる、請求項1記載のホログラフィック再構成システム。
【請求項5】
前記空間光変調器手段は、眼の位置に割り当てられた一連の可視領域の全ての観察位置について、同一のビデオホログラムを用いて符号化される、請求項4記載のホログラフィック再構成システム。
【請求項6】
前記偏向手段は、反射型であり、前記偏向手段が各観察位置に前記変調された光波を反射するように光路中に設けられる、請求項1記載のホログラフィック再構成システム。
【請求項7】
前記ビデオホログラムの中間画像が前記偏向手段において作成される、請求項6記載のホログラフィック再構成システム。
【請求項8】
前記ビデオホログラムの前記中間画像を作成するテレセントリックレンズを有する、請求項7記載のホログラフィック再構成システム。
【請求項9】
集束表示画面に投影することにより前記ビデオホログラムの前記中間画像を拡大する投影レンズを有する、請求項7記載のホログラフィック再構成システム。
【請求項10】
前記偏向手段は平面の光偏向特性を示す、請求項1記載のホログラフィック再構成システム。
【請求項11】
前記偏向手段は、前記偏向制御手段により、光学的、電気的、又は機械的に、あるいはそれらの制御オプションのうち少なくとも2つの組合せにより制御可能である、請求項1記載のホログラフィック再構成システム。
【請求項12】
前記偏向手段は、光アドレス型空間光変調器又は電気アドレス型空間光変調器の形態で設計される、請求項1記載のホログラフィック再構成システム。
【請求項13】
前記偏向手段は、電気的にアドレス指定可能な光マイクロセルのアレイであり、
前記光マイクロセルの各々は、制御可能な光の屈折の挙動又は制御可能な表面の傾斜を示すか、プリズム関数により符号化されるか、これらの特徴のうち少なくとも2つの組合せを示す、請求項1記載のホログラフィック再構成システム。
【請求項14】
前記偏向手段(120、450、610)は、前記偏向制御手段により、回転軸を中心に回転されるか又は回動されることが可能である、請求項1記載のホログラフィック再構成システム。
【請求項15】
前記偏向制御手段(630)は電動モータの形態で設計される、請求項14記載のホログラフィック再構成システム。
【請求項16】
前記偏向手段(610)は反射面(620)を有し、
前記偏向制御手段(630)の前記回転軸が前記反射面(620)の平面に位置するように前記偏向手段(610)と前記偏向制御手段(630)とが接続される、請求項14記載のホログラフィック再構成システム。
【請求項17】
ホログラフィック再構成システムにおけるシーンの3次元再構成を行うホログラフィック再構成方法であって、
−少なくとも1つのビデオホログラムとの干渉を生成可能な光波を変調する工程と、
−観察者が焦点合わせにより生成される可視領域から前記再構成されたシーンを観察可能なように、前記変調された光波を集束する工程と、
−前記集束され変調された光波を向けることにより前記可視領域を位置付ける工程と、
−パルス光が観察位置毎に放射され、一連の可視領域がつなげられるように、前記観察位置に対して光波を同期的にオンにすることにより、複数の隣接する観察位置に前記可視領域を順次向ける工程と
を有するホログラフィック再構成方法。
【請求項18】
−観察者の眼の位置を検出する工程と、
−前記眼の位置に対して符号化されるビデオホログラムを含む一連の可視領域を検出された眼の位置の各々に向ける工程と
を有する請求項17記載のホログラフィック再構成方法。
【請求項19】
前記同一のビデオホログラムは、眼の位置に割り当てられる一連の可視領域の全ての観察位置に対して符号化される、請求項18記載のホログラフィック再構成方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【公表番号】特表2010−529483(P2010−529483A)
【公表日】平成22年8月26日(2010.8.26)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−508799(P2010−508799)
【出願日】平成20年5月14日(2008.5.14)
【国際出願番号】PCT/EP2008/055894
【国際公開番号】WO2008/141988
【国際公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【出願人】(507230267)シーリアル テクノロジーズ ソシエテ アノニム (89)
【氏名又は名称原語表記】SEEREAL TECHNOLOGIES S.A.
【Fターム(参考)】