三次元形状測定方法及び三次元形状測定装置
【課題】 表面形状を短時間で精度良く測定することができる三次元形状測定方法及び三次元形状測定装置を提供する。
【解決手段】 三次元形状測定装置1は、縞パターン照射手段としてのパターン照射ユニット20と、2次元に配置された複数の画素を有するCCDカメラ9と、エッジ点特定用レーザ光源としてのエッジ点特定レーザ出力装置7と、演算処理手段としてのコンピュータ10と、を備える。ガラス2の被測定面2Aに向かって、ライン状(線状)のレーザ光LR1を出射しガラス2の任意の位置にあるエッジを発光させ、その発光したエッジをエ
ッジ点Pとし、該エッジ点Pを基準に各ガラス2の被測定面2Aの表面形状を算出するようにした。
【解決手段】 三次元形状測定装置1は、縞パターン照射手段としてのパターン照射ユニット20と、2次元に配置された複数の画素を有するCCDカメラ9と、エッジ点特定用レーザ光源としてのエッジ点特定レーザ出力装置7と、演算処理手段としてのコンピュータ10と、を備える。ガラス2の被測定面2Aに向かって、ライン状(線状)のレーザ光LR1を出射しガラス2の任意の位置にあるエッジを発光させ、その発光したエッジをエ
ッジ点Pとし、該エッジ点Pを基準に各ガラス2の被測定面2Aの表面形状を算出するようにした。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元形状測定方法及び三次元形状測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車に搭載される各種ガラスやフラットパネルディスプレイ(FPD)等に使用されるガラスといった光透過性を有する透明材質物体の表面形状を測定する方法として、反射表面を備える測定対象物の表面形状を測定する三次元形状測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この三次元形状測定装置は、測定対象物の表面上の任意の1点の座標位置を入力する位置入力手段を備え、この位置入力手段により入力された位置を出発点として幾何学的に測定対象物の表面形状を解析手段により求める。
【0004】
位置入力手段は、測定対象物であるウエハ表面の任意の点の座標位置を検出する検出装置であり、例えば、XY移動機構と距離センサ等で構成される。
【特許文献1】特開平11−257930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、測定対象物の表面形状を解析するための出発点として、測定対象物であるウエハ表面の任意の点の座標位置を検出するための位置入力手段として、XY移動機構と距離センサ等で構成される検出装置が必要である。そのため、測定装置全体の構成が複雑化するとともに、任意の点の座標位置を検出するための操作に時間がかかり、測定に長時間を要するという問題点があった。また、測定対象物がウエハのように表面が平坦な場合には、任意の点の座標位置の検出はそれ程難しくはないが、曲面形状の反射表面を有するガラス等が測定対象物の場合には、任意の点の座標位置を高精度に検出するのは難しいとともに、その位置検出を短時間で行うのも難しい。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、表面形状を短時間で精度良く測定することができる三次元形状測定方法及び三次元形状測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、鏡面反射する表面を有する測定対象物の表面形状を測定する三次元形状測定方法において、輝度が正弦波状に変化する格子縞が形成された格子板を有し、前記格子縞の縞パターンを前記表面全体に照射する縞パターン照射手段と、2次元に配置された複数の画素を有するCCDカメラとを、前記表面全体で反射される前記縞パターンを前記複数の画素で撮像するように配置し、エッジ点特定用の線状レーザ光を前記測定対象物に照射して該測定対象物のエッジ点を発光させ、該発光した前記エッジ点を前記CCDカメラで撮像し、前記エッジ点の3次元位置を算出し、該エッジ点の接平面を基準に前記表面全体の形状を順に測定することを要旨とする。
【0008】
これによれば、測定対象物の表面形状を測定する際、測定対象物のエッジ点を発光させ、該エッジ点の位置を算出し、該エッジ点の接平面を基準に測定対象物の表面全体の形状を順に測定するようにした。従って、従来のように、XY移動機構と距離センサ等で構成される検出装置は必要ないので、測定装置全体の構成を簡単にすることができる。
【0009】
また、エッジ点を発光させ、その様子をCCDカメラで撮像することでエッジ点の3次元位置を算出するようにしたので、任意の点の座標位置を検出するための操作時間が短くなり、その結果、測定に要する時間を短くすることができる。さらに、測定対象物が曲面形状の反射表面を有するガラス等であっても、前記と同様に、測定対象物のエッジ点を発光させ、それをCCDカメラで撮像するだけなので、エッジ点の座標位置を高精度に検出することができ、また、その位置検出を短時間で行うことができる。
【0010】
さらに、従来では、ある任意の点として測定対象物の中心付近の所定の位置を基準に前記表面全体の形状を順に測定する場合では、その任意の点から一方のエッジ点に至るまで表面形状を順に測定した後、前記任意の点まで戻り、同任意の点から他方のエッジ点に向かって表面形状を順に測定する必要があった。しかし、本発明では、エッジ点を基準にそのエッジ点から他方のエッジに至るまで一方方向に表面全体の形状を順に測定するようにしたので測定が容易になり、その結果、測定時間が短くなる。従って、多数の測定対象物の表面形状を測定しなければならない場合であっては、短時間で多くの測定対象物の表面形状を測定することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の三次元形状測定方法において、前記格子縞の縞パターンを前記表面全体に照射し、前記表面で反射されその表面形状に応じて前記縞パターンが変化した変形縞パターンを前記CCDカメラで撮像し、位相シフト法により、前記CCDカメラの各画素における前記変形縞パターンの輝度値から前記各画素における前記正弦波の位相値を求め、前記各画素の位相値に基づき、前記各画素の視線上にある前記格子縞上の各位置を求め、前記各画素の視線が通る前記表面上の各点の接平面を、前記エッジ点の接平面を基準に順に求めることを要旨とする。
【0012】
これによれば、位相シフト法により各画素における正弦波の位相値を求め、各画素の位相値に基づき各画素の視線上にある格子縞上の各位置を求め、各画素の視線が通る表面上の各点の接平面をエッジ点の接平面を基準に順に求めるようにしたので、測定対象物に対して非接触でその表面形状を測定することができる。従って、例えば、測定対象物が薄い板状のガラスであっても、その形状を変形させることなく精度良く表面形状を測定することが可能となる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の三次元形状測定方法において、前記位相シフト法により前記各画素における前記正弦波の位相値を求める際に、前記格子縞を縦方向に配置した状態で、前記格子縞の位相を横方向に同ピッチずつずらして少なくとも3枚の縦の変形縞パターンを前記CCDカメラにより撮像し、該3枚の縦の変形縞パターンを使って位相シフト法を行う縦縞の位相シフトと、前記格子縞を横方向に配置した状態で、前記格子縞の位相を縦方向に同ピッチずつずらして少なくとも3枚の横の変形縞パターンを前記CCDカメラにより撮像し、該3枚の横の変形縞パターンを使って位相シフト法を行う横縞の位相シフトと、を行うことを要旨とする。
【0014】
これによれば、少なくとも3枚の縦の変形縞パターンを使って位相シフト法を行う縦縞の位相シフトと、少なくとも3枚の横の変形縞パターンを使って位相シフト法を行う横縞の位相シフトとを行うので、測定対象物の表面形状を精度良く測定することができる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の三次元形状測定方法において、前記縦縞の位相シフトでは、縦方向に配置した前記格子縞の1つに縦縞特定用の線状レーザ光を照射し、該線状レーザ光が照射された前記格子縞の1つが前記表面で反射される縦の基準線を前記CCDカメラで撮像し、前記縦の基準線の位置に基づき、該基準線に直交する方向における前記各画素とそれぞれ対応する前記格子縞上の位置を算出し、前記横縞の位相シフトでは、横方向に配置した前記格子縞の1つに横縞特定用の線状レーザ光を照射し、該線状
レーザ光が照射された前記格子縞の1つが前記表面で反射される横の基準線を前記CCDカメラで撮像し、前記横の基準線の位置に基づき、該基準線に直交する方向における前記各画素とそれぞれ対応する前記格子縞上の位置を算出する、ことを要旨とする。
【0016】
これによれば、前記縦の基準線の位置に基づき、該基準線に直交する方向における各画素とそれぞれ対応する格子縞上の位置を算出し、前記横の基準線の位置に基づき、該基準線に直交する方向における各画素とそれぞれ対応する格子縞上の位置を算出する。このため、CCDカメラの各画素と格子縞上の位置とをそれぞれ精度良く対応付けることができ、測定対象物の表面形状を精度良く測定することができる。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の三次元形状測定方法において、前記エッジ点の3次元位置を、前記エッジ点特定用の線状レーザで定義される平面と、前記エッジ点を通る前記複数の画素の1つの視線との交点から算出することを要旨とする。
これによれば、エッジ点の3次元位置を正確に算出することができる。
【0018】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の三次元形状測定方法において、前記エッジ点の接平面は、前記エッジ点を通る前記複数の画素の1つの視線と、該1つの画素に対応する前記格子縞上の位置と前記エッジ点とを結ぶ直線の2等分線を前記エッジ点での法線とする面として求めることを要旨とする。
これによれば、エッジ点の接平面を容易に算出することができる。
【0019】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の三次元形状測定方法において、前記測定対象物を上方から見た平面をXY平面とすると、前記エッジ点とY座標値が同じ横一列の形状測定の際には、前記エッジ点からX座標値を前記画素の配列ピッチの1つ分ずつずらした各測定点を、前回の測定点での接平面と、該前回の測定点を視線が通る画素の隣の画素の視線との交点から決め、前記各測定点では、各測定点と、該各測定点にそれぞれ対応する前記格子縞上の点とを結ぶ線をそれぞれ求め、ここで求めた各線と前記各測定点を通る前記各画素の視線とのなす角の2等分線を法線とする接平面をそれぞれ求め、その後、前記エッジ点特定用の線状レーザ光を前記複数の画素の配列ピッチの1つ分ずつずらして前記測定対象物に照射して、前記測定対象物の別のエッジ点を順に発光させ、順に発光させた各エッジ点の接平面を基準に、前記別のエッジ点とY座標値が同じ前記横一列の形状測定を前記表面のY方向全体にわたって順に繰り返して、前記表面全体の形状を測定することを要旨とする。
これによれば、測定対象物の表面全体の形状をエッジ点の接平面を基準に容易に算出することができる。
【0020】
請求項8に係る発明は、鏡面反射する表面を有する測定対象物の表面形状を測定する三次元形状測定装置において、輝度が正弦波状に変化する格子縞が形成された格子板および光源を有し、該光源の点灯により前記格子縞の縞パターンを前記表面全体に照射する縞パターン照射手段と、2次元に配置された複数の画素を有し、前記表面全体で反射される前記縞パターンを撮像するCCDカメラと、エッジ点特定用の線状レーザ光を前記測定対象物に照射して該測定対象物のエッジ点を発光させるエッジ点特定用レーザ光源と、前記エッジ点の3次元位置を算出し、該エッジ点の接平面を基準に前記表面全体の形状を順に測定する演算処理を行う演算処理手段と、を備えることを要旨とする。
【0021】
これによれば、測定対象物の表面形状を測定する際、測定対象物のエッジ点を発光させ、該エッジ点の位置を算出し、該エッジ点の接平面を基準に測定対象物の表面全体の形状を順に測定するようにした。従って、従来のように、XY移動機構と距離センサ等で構成される検出装置は必要ないので、測定装置全体の構成を簡単にすることができる。
【0022】
また、エッジ点を発光させ、その様子をCCDカメラで撮像することでエッジ点の3次元位置を算出するようにしたので、任意の点の座標位置を検出するための操作時間が短くなり、その結果、測定に要する時間を短くすることができる。さらに、測定対象物が曲面形状の反射表面を有するガラス等であっても、前記と同様に、測定対象物のエッジ点を発光させ、それをCCDカメラで撮像するだけなので、エッジ点の座標位置を高精度に検出することができ、また、その位置検出を短時間で行うことができる。
【0023】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の三次元形状測定装置において、縦方向に配置した前記格子縞の1つに縦縞特定用の線状レーザ光を照射するとともに、横方向に配置した前記格子縞の1つに横縞特定用の線状レーザ光を照射する縞特定用レーザ光源を備えることを要旨とする。
【0024】
これによれば、縦の基準線の位置に基づき、該基準線に直交する方向におけるCCDカメラの各画素とそれぞれ対応する格子縞上の位置を算出することができる。また、同様に、横の基準線の位置に基づき、該基準線に直交する方向におけるCCDカメラの各画素とそれぞれ対応する格子縞上の位置を算出することができる。これにより、CCDカメラの全ての画素が格子縞上のどの位置に対応するかがわかるので、位相シフトにより測定された位相値がどの測定対象物のどの位置に対応したものなのかが分かる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、測定対象物の表面形状を短時間で精度良く測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の三次元形状測定装置を用いた三次元形状測定方法の一実施形態について説明する。
(測定装置の構成)
まず、図面に従って本発明の三次元形状測定装置1の概略を説明する。図1に示すように、鏡面反射する表面を有する測定対象物としての板状のガラス2は、ZX平面上に配置され、その鏡面反射する表面である被測定面2AがY方向に向くように測定対象物支持体3によって支持固定されている。ガラス2は、表面形状が滑らかな湾曲を成した板状のガラスであって、たとえば、自動車のフロントガラスである。
【0027】
三次元形状測定装置1は、縞パターン照射手段としてのパターン照射ユニット20と、2次元に配置された複数の画素を有するCCDカメラ9と、エッジ点特定用レーザ光源としてのエッジ点特定レーザ出力装置7と、演算処理手段としてのコンピュータ10と、を備える。パターン照射ユニット20は、輝度が正弦波状に変化する格子縞としての格子グリッド4Aが形成された格子板としての格子縞フィルム4および光源としてのバックライト5を有し、該バックライト5の点灯により格子グリッド4Aの縞パターンをガラス2の被測定面2A全体に照射するようになっている。CCDカメラ9は、ガラス2の被測定面2A全体で反射される変形縞パターンを撮像するように配置されている。
【0028】
また、被測定面2Aに対して直角な向きに、即ち、YZ平面上に、格子縞フィルム4が配置されている。この格子縞フィルム4は、公知である位相シフト法により被測定面2Aの表面形状を検出する際に使用するものである。格子縞フィルム4は、縦方向(Z軸方向)に延設された複数の格子グリッド4Aが横方向(Y軸方向)に沿って等ピッチに配列したものであって、そのグリッドピッチは、例えば32mmである。また、この格子縞フィルム4は、たとえば、図示しない回転駆動機構に支持され該回転駆動機構によりX軸周りにYZ平面内で90°回転させることで格子グリッド4Aの向きを横方向(Y軸方向)に切
り換えて配列させることが可能となっている。
【0029】
格子縞フィルム4は、バックライト5を備えた支持体6に支持されている。そして、バックライト5にて発せられた光は、格子縞フィルム4を通過することで縞パターンになり、その縞パターンがガラス2の被測定面2A全体に照射されるようになっている。その縞パターンは、格子グリッド4Aを縦方向(Z軸方向)に沿って配列した場合では、図6(a)に示すように、輝度の強度値が横方向(Y矢印方向)に正弦波状に周期的に変化する縦縞状の縞パターン30である。また、その縞パターンは、格子縞フィルム4を回転させ格子グリッド4Aを横方向(Y軸方向)に沿って配列した場合では、図7に示すように、輝度の強度値が縦方向(Z矢印方向)に正弦波状に周期的に変化する横縞状の縞パターン50である。
【0030】
また、図1に示すように、ガラス2の周辺にはエッジ点特定レーザ出力装置7が配置されている。このエッジ点特定レーザ出力装置7は、後記するように被測定面2Aの表面形状を算出する際のガラス2上のエッジ点Pを特定するためのものであって、レーザ光LR1がガラス2の被測定面2Aに向かって出射される向きに配置されている。本実施形態の
エッジ点特定レーザ出力装置7は、横方向(X軸方向)に沿ったライン状(線状)レーザ光LR1を出射するように配置されている。
【0031】
また、エッジ点特定レーザ出力装置7は、被測定面2A上にレーザ光LR1をZ軸方向
に所定のピッチ(本実施形態では、CCDカメラ9の1画素ピッチ)ずつずらして出射できるようになっている。そして、レーザ光LR1はガラス2のエッジに照射されると、エ
ッジの端面は拡散面になっているため、透過せずに散乱される。その結果、レーザ光LR1が照射されたエッジは輝点として観測される。そして、その輝点の位置がエッジ点Pと
して特定されるようになっている。
【0032】
さらに、ガラス2の周辺には格子縞特定十字レーザ出力装置8が配置されている。この格子縞特定十字レーザ出力装置8は、位相シフト法を用いて被測定面2Aの表面形状を検出する際に、たとえば、同被測定面2A上に投影される縦縞状の縞パターン30,50のうち、注目する画素情報がどの位置の縞が反射されたものかの対応関係を求めるためのものである。つまり、位相シフト法では、図6(b)に示すように、被測定面2A上で反射された変形縞パターン40の所定の1本の縦縞が、格子縞フィルム4を介して出射された元の縞パターン30のうちのどの格子グリッド4Aによる縞に相当するかを特定することができない。このため、検出された被測定面2Aの表面形状を正確に判定することができない。
【0033】
そこで、予め特定の格子グリッド4Aの位置を他のグリッドの位置と区別できるようにマークする。このようにすることで、後に行う位相シフト法にて被測定面2A上に投影された複数の縞のうち、変形縞パターン40の特定の1本の縦縞が、元の縞パターン30のうちどの縞に相当するものなのかを特定する。
【0034】
具体的には、格子縞特定十字レーザ出力装置8は、縦方向(Z軸方向)及び横方向(Y軸方向)に沿った2種類のライン形状を成すレーザ光LR2を出射するレーザ出力装置で
あって、レーザ光LR2が格子縞フィルム4に向かって出射される向きに配置されている
。格子縞特定十字レーザ出力装置8は、格子縞フィルム4上の格子グリッド4Aが縦方向(Z軸方向)に沿って配列された場合では、縦方向(Z軸方向)に沿った縦縞特定用のライン状(線状)のレーザ光LR2を出射し、格子グリッド4Aが横方向(Y軸方向)に沿
って配列された場合では、横方向(Y軸方向)に沿った横縞特定用のライン状(線状)を成すレーザ光LR2を出射する。つまり、格子縞特定十字レーザ出力装置8は、格子グリ
ッド4Aの配列方向に沿ったライン形状(線状)を成すレーザ光LR2を出射する。これ
により、レーザ光LR2が照射された位置にある格子グリッド4Aを基準の格子グリッド
として特定する。
【0035】
さらにまた、ガラス2の周辺には2次元に配置された複数の画素を有するCCDカメラ9が配置されている。CCDカメラ9は、たとえば、走査方向に1392ピクセル、副走査方向に1040ピクセルの画素数を備えたカメラである。図2に示すように、CCDカメラ9は、前記した被測定面2Aにて反射された変形縞パターン50を撮影する。また、CCDカメラ9は、被測定面2A上に投影された各レーザ光LR1,LR2の反射パターンを撮影する。
【0036】
また、図1に示すように、三次元形状測定装置1は、コンピュータ10を備えている。コンピュータ10は、CCDカメラ9にて撮影された各種パターンをそれぞれ画像データとして入力する。また、コンピュータ10には、各種演算プログラムが記憶されている。そして、コンピュータ10は、その各画像データに基づいて、後記するエッジ点の3次元位置演算処理、エッジ点と同x画素縦1列の形状演算処理、全体形状演算処理を各種演算プログラムに従って行う。そして、コンピュータ10は、その各種演算処理に基づいて、ガラス2の被測定面2Aの表面形状を3次元グラフィック画像としてモニタ11に出力するようになっている。そして、観測者は、モニタ11上に表示されたグラフィック画像を見ることで被測定面2Aの詳細な表面形状に関する知見を得ることができる。
【0037】
次に、三次元形状測定装置1を用いたガラス2の表面形状の測定方法について説明する。
先ず、バックライト5及び格子縞特定十字レーザ出力装置8をともにオフにした状態で、エッジ点特定レーザ出力装置7を駆動させて被測定面2Aに向かってレーザ光LR1を
出射しガラス2の任意のエッジを光らせる。そして、その様子をCCDカメラ9で撮影する。
【0038】
このとき、レーザ光LR1は、前記したように、横方向(X軸方向)に沿って広がった
ライン状(線状)のレーザ光であるので、図3(a)に示すように、ガラス2の左右両端のエッジが輝点として観測される。そこで、その2つのうちのいずれか一方の輝点を選択しエッジ点Pとする。本実施形態では、図3(a)に示す右側の輝点をエッジ点Pとしている。また、図3(b)は、CCDカメラ9にて撮影された画像である。CCDカメラ9は、コンピュータ10に撮影した画像のデータを第1画像データD1として出力する。
【0039】
続いて、バックライト5及びエッジ点特定レーザ出力装置7をともにオフ状態で、格子縞特定十字レーザ出力装置8をオンさせ、まず、縦方向(Z軸方向)のライン状(線状)のレーザ光LR2を格子縞フィルム4上に照射する(図4(a)参照)。すると、縦方向
のレーザ光LR2が格子縞フィルム4に反射され、その反射光Sが縦の基準線Q1として
ガラス2の被測定面2A上に映り込む(図4(b)参照)。そして、その様子をCCDカメラ9で撮影する。図4(c)は、CCDカメラ9にて撮影された画像である。CCDカメラ9は、撮影した縦方向のレーザ光LR2の反射像を第2画像データD2としてコンピュータ10に出力する。
【0040】
次に、エッジ点特定レーザ出力装置7及び格子縞特定十字レーザ出力装置8をともにオフさせ、バックライト5を点灯させる。そして、格子縞フィルム4を回転させ、図6(a)に示すように、縦縞状の縞パターン30を被測定面2A全体に照射し、その被測定面2Aの表面形状に応じて縞パターン30が変化した変形縞パターン40をCCDカメラ9で撮像する。そして、縦縞の位相シフトにより、CCDカメラ9の各画素における変形縞パターン40の輝度値から各画素における位相値を求め、前記各画素の位相値に基づき、前記各画素の視線上にある縞パターン30上の横方向の各位置を求める。
【0041】
具体的には、1枚の縞パターンに対応した1枚の画像は絶対的な明るさなので、格子縞フィルム4やバックライト5またはCCDカメラ9の汚れ等に起因する濃度ムラ等による誤差が生じる場合がある。そこで、この誤差を無くすため、本実施形態では、格子縞フィルム4を横方向(Y軸方向)に縞パターンの位相のπ/2ずつ、即ち、0、π/2、π、3π/2ずらして、それぞれにおいてCCDカメラ9によって4種類の変形縞パターンを撮影する。そして、その各変形縞パターンに対する各第3画像データD3A,D3B,D3
C,D3Dを順にコンピュータ10に出力する。そして、コンピュータ10によって第3
画像データD3A〜D3Dに基づいて後記する演算処理が行われることで、各画素における位相値が算出される。位相シフト法によれば、表面形状を決定する位相値Qは、次の式により求められる。
【数1】
【0042】
ここで、I0(x,z)、I1(x,z)、I2(x,z)、I3(x,z)は、それぞれ縞パターンの位相を0、π/2、π、3π/2ずらしたときの被測定面2A上の任意の点(x,z)の変形縞パターンの輝度値Ii(x,z)(i=0〜3)である。
【0043】
従って、コンピュータ10は、各第3画像データD3A〜D3Dに基づいて、上式(1)に従って、被測定面2A上の各画素における位相値Qを算出し、それにより、各画素間の差分を算出して位相差を求める。このとき、隣り合う点に位相飛びがある場合には、位相を繋ぎ合わせる必要があるため補正を行う。また、位相シフト法による計算を行う前処理として、得られた4枚の画像にそれぞれ4次のスプライン補間処理を施して移動平均演算を行う。このようにすることで、CCDカメラ9の各画素の視線上にある縞パターン30上の横方向の各位置(X座標値)が求められる。
【0044】
続いて、バックライト5及びエッジ点特定レーザ出力装置7をともにオフ状態で、格子縞特定十字レーザ出力装置8をオンさせ、横方向(Y軸方向)のライン状(線状)のレーザ光LR2を格子縞フィルム4上に照射する(図5(a)参照)。すると、横方向のレー
ザ光LR2が格子縞フィルム4に反射され、その反射光Sが横の基準線Q2としてガラス
2の被測定面2A上に映り込む(図5(b)参照)。そして、その様子をCCDカメラ9で撮影する。CCDカメラ9は、撮影した横方向のレーザ光LR2の反射像を第4画像デ
ータD4としてコンピュータ10に出力する。
【0045】
次に、エッジ点特定レーザ出力装置7及び格子縞特定十字レーザ出力装置8をともにオフさせ、バックライト5を点灯させる。そして、格子縞フィルム4を90°回転させ、図7に示すように、横縞状の縞パターン50を被測定面2A全体に照射し、その被測定面2Aの表面形状に応じて前記縞パターン50が変化した変形縞パターンをCCDカメラ9で撮像する。そして、横縞の位相シフトにより、CCDカメラ9の各画素における変形縞パターン40の輝度値から各画素における位相値を求め、前記各画素の位相値に基づき、前記各画素の視線上にある縞パターン30上の縦方向の各位置(Y座標値)を求める。
【0046】
具体的には、前記した各画素の視線上にある縞パターン30上の縦方向の各位置を求めた場合と同様にして、格子縞フィルム4を縦方向(Z軸方向)に縞パターンの位相のπ/2ずつ、即ち、0、π/2、π、3π/2ずらして、それぞれにおいてCCDカメラ9によって4種類の変形縞パターンを撮影する。そして、その各変形縞パターンに対する各第5画像データD5A,D5B,D5C,D5Dを順にコンピュータ10に出力する。そして、コンピュータ10によって第5画像データD5A〜D5Dに基づいて、前記と同様な計算を
行うことでCCDカメラ9の各画素の視線上にある縞パターン50上の縦方向の各位置が求められる。
【0047】
このようにすることで、CCDカメラ9の各画素の視線上にある縞パターン30,50上の各位置が求められる。
次に、コンピュータ10にて行われる各種演算の詳細を説明する。
【0048】
まず、コンピュータ10は、第1画像データD1に基づいてエッジ点Pの3次元位置(
Xp,Yp,Zp)を算出する(エッジ点Pの3次元位置演算処理)。以下、その算出方法を図8に従って説明する。
【0049】
図8に示すように、エッジ点Pは、CCDカメラ9の1392×1040個ある画素のうちのエッジ点Pを通る前記複数の画素の1つの画素の視線式とレーザ光LR1で定義さ
れる平面との交点に対応する。次式で表わされる画素(i,j)におけるCCDカメラ9の視線式として次式が成り立つ。
【数2】
【0050】
【数3】
【0051】
【数4】
【0052】
ここで、VecXc及びVecZcは、それぞれCCDカメラ9の方向ベクトルのx成分及びz成分である。また、Pcx及びPczは、原点(0,0,0)に対するCCDカメラの焦点位置Pc(Pcx,Pcy,Pcz)のx成分及びz成分である。
【0053】
一方、エッジ点特定レーザの発光点P1の座標を(P1x,P1y,P1z)とすると、レー
ザ光LR1で定義される平面の方程式は、次式で表わされる。
【数5】
【0054】
ここで、thX1は、レーザ光LR1をXY平面に投影した場合のX軸とのなす角を表わし
ている。
そして、コンピュータ10は、式(2)〜(4)と式(5)とを用いることにより、CCDカメラ9の視線式とライン型レーザの平面式の交点を算出する。このとき、パラメータtは以下の式で求まる。
【数6】
【0055】
このようにして、コンピュータ10は、第1画像データD1によりパラメータtを計算
する。また、コンピュータ10は、式(6)に計算したパラメータtを代入して、エッジ点Pの3次元位置(Xp,Yp,Zp)を算出する。
【0056】
続いて、コンピュータ10は、前記した演算プログラムに従って、求めたエッジ点Pの3次元位置(Xp,Yp,Zp)での接平面を算出し、エッジ点Pと同x画素縦1列の表面
形状を求める。ここで、同x画素縦1列の表面形状とは、エッジ点PとX座標値が同じ縦一列の表面形状のことである。以下、エッジ点Pと同x画素縦1列の表面形状の算出方法を説明する。尚、説明を簡単にするために、3次元ではなく、2次元(たとえば、ZX平面)について説明する。
【0057】
ここで、前述したように、CCDカメラ9上の各画素の視線上にある縞パターン30,50上の各位置が求められるので、コンピュータ10は、エッジ点P(Xp,Yp,Zp)
や該エッジ点P(Xp,Yp,Zp)に対応する格子縞フィルム4上の位置(Pky,Pkz)
を算出することができる。これより、エッジ点P(Xp,Yp,Zp)での縞パターンの単
位ベクトルK2が求まる。
【0058】
また、CCDカメラ9の焦点位置Pc(Pcx,Pcy,Pcz)及びエッジ点P(Xp,Yp
,Zp)により、エッジ点P(Xp,Yp,Zp)での変形縞パターンの単位ベクトルK1を
求めることができる。従って、ガラス2のエッジ点P(Xp,Yp,Zp)における法線ベ
クトルR0(ak3y,ak3z)が求まる。図9に示すように、法線ベクトルR0(ak3y,ak3z)は、縞パターンの単位ベクトルと変形縞パターンの各単位ベクトルK2
,K1との2等分線ベクトルとして得られる。エッジ点P(Xp,Yp,Zp)における接平面S0は以下の式で算出される。
【数7】
【0059】
【数8】
【0060】
となる。但し、
【数9】
【0061】
【数10】
【0062】
【数11】
【0063】
【数12】
【0064】
【数13】
【0065】
【数14】
【0066】
である。従って、算出された法線ベクトルR0よりエッジ点P(Xp,Yp,Zp)における接平面S0は次式で表わされる。
【数15】
【0067】
次に、エッジ点P(Xp,Yp,Zp)と同x画素縦1列の表面形状の求め方について図
10に従って説明する。つまり、エッジ点P(Xp,Yp,Zp)を基準としてそのエッジ
点Pから他方のエッジに向かって同x画素縦1列方向に表面全体の形状を順に測定する。エッジ点Pの同x画素i上の隣の画素(i,j+1)、即ち、図1中X軸方向に沿った隣の画素のガラス2上の3次元位置は、エッジ点Pの接平面S0とCCDカメラ9の画素(
i,j+1)における視線との交点により求める。CCDカメラ9は、各画素における前記した視線式(2)〜(4)及び式(10)より、次式(11)が成立する。
【数16】
【0068】
求めたパラメータtを式(2)〜(4)に代入することで、エッジ点P(Xp,Yp,Zp)の同x画素i上の隣の画素(i,j+1)の3次元位置が求まる。同様に、その隣の
画素(i,j+2)についても同様にして求めることで、エッジ点P(Xp,Yp,Zp)
と同x画素縦1列の表面形状を求めることができる。
【0069】
次に、ガラス2の全体形状を算出する。図11に示すように、先に求めたエッジ点P(Xp,Yp,Zp)からZ軸方向に前記に対応して所定のピッチずれた新たなエッジ点Pを
基準値として、前記と同様にして、その新たなエッジ点Pにおける接平面を求める。
【0070】
そして、その後、前記と同様にしてその新たなエッジ点Pと同x画素縦1列の表面形状を求める。以降、同様に、順次、各エッジ点Pから縦1列の画素についても同じ作業を行っていけば、ガラス2の全体形状を算出することができる。
【0071】
前記実施形態によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1) 本実施形態では、ガラス2の被測定面2Aに向かって、ライン状(線状)のレーザ光LR1を出射しガラス2の任意の位置にあるエッジを発光させ、その発光したエッジ
をエッジ点Pとし、該エッジ点Pを基準に各ガラス2の被測定面2Aの表面形状を算出するようにした。従って、従来のように、たとえば、XY移動機構と距離センサ等で構成される検出装置は必要ないので、測定装置全体の構成を簡単にすることができる。
【0072】
また、エッジ点Pを発光させ、その様子をCCDカメラで撮像することでエッジ点Pの3次元位置(Xp,Yp,Zp)を算出するようにしたので、任意の点の座標位置を検出す
るための操作時間が短くなり、その結果、測定に要する時間を短くすることができる。さらに、本実施形態のように、ガラス2の被測定面2Aが曲面形状であっても、そのエッジにライン状のレーザ光LR1を照射し発光させ、それをCCDカメラで撮像するだけなの
で、エッジ点Pの3次元位置(Xp,Yp,Zp)を高精度に検出することができ、また、
その位置検出を短時間で行うことができる。
(2) 本実施形態では、ガラス2の被測定面2Aに向かって、ライン状(線状)のレーザ光LR1を出射しガラス2の任意の位置にあるエッジを発光させ、その発光したエッジ
をエッジ点Pとし、その被測定面2Aの様子をCCDカメラ9にて撮影するようにした。そして、ライン状(線状)のレーザ光LR1で定義される面とCCDカメラ9の画素の視
線との交点を算出することによりエッジ点Pの3次元位置(Xp,Yp,Zp)を決めるよ
うにした。従って、エッジ点Pを簡単に算出することができる。また、このように算出されたエッジ点Pに基づいて該エッジ点Pの接平面を算出し、エッジ点Pでの表面形状を算出するようにした。この結果、ガラス2の被測定面2Aの表面形状を簡単に精度良く算出することができる。
(3) 本実施形態では、格子縞状の縞パターンを被測定面2A上全体に照射し、被測定面2Aで反射された変形縞パターンをCCDカメラ9で撮像し、位相シフト法により被測定面2A上の各位置での位相値を求めるようにした。そして、各位置での位相値から被測定面2A上全体の表面形状を算出するようにした。従って、例えば、測定対象物が薄い板状のガラスであっても、その形状を変形させることなく精度良く表面形状を測定することが可能となる。
(4) 本実施形態では、位相シフト法によりCCDカメラ9の各画素における正弦波の位相値を求める際に、格子縞フィルム4を横方向(Y軸方向)に縞パターンの位相のπ/2ずつずらして、それぞれにおいてCCDカメラ9によって反射パターンを撮影するようにした。その後、格子縞フィルム4を90°回転させた後、縦縞状の入射パターンをガラス2の被測定面2A上に投影し、格子縞フィルム4を縦方向(Z軸方向)に縞パターンの位相のπ/2ずつずらして、それぞれにおいてCCDカメラ9によって4種類の反射パターンを撮影するようにした。その各反射パターンに対する第4画像データD4に基づいて
各種演算処理を行うことで各画素における位相値を算出するようにした。従って、格子縞フィルム4やバックライト5またはCCDカメラ9の汚れ等に起因する濃度ムラ等による誤差が無くなるので、被測定面2Aの表面形状を精度良く測定することができる。
(5) 本実施形態では、ガラス2の任意の位置にあるエッジを発光させ、その発光したエッジをエッジ点Pとし、該エッジ点Pを基準に、そのエッジ点Pから他方のエッジに向かって同x画素縦1列方向に表面全体の形状を順に測定するようにしたので測定が容易に
なり、その結果、測定時間が短くなる。従って、多数のガラス2の表面形状を測定しなければならない場合であっては、短時間で多くの表面形状を測定することができる。
【0073】
尚、発明の実施形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように実施してもよい。
○上記実施形態では、エッジ点特定レーザ出力装置7は、ガラス2に対して横方向(X軸方向)に沿ったライン状(線状)レーザ光LR1を出射するレーザ出力装置であったが
、これに限定されるものではなく、ガラス2に対して斜めであるレーザ光を出射するレーザ出力装置であってもよい。要は、ガラス2のエッジを発光させるようなレーザを出射するものであればどんなレーザ出力装置であってもよい。
【0074】
○上記実施形態では、エッジ点特定レーザ出力装置7をCCDカメラ9の1画素ピッチずつずらして被測定面2A上にレーザ光LR1を出射するようにし、そのエッジ点Pを基
準にそのエッジ点Pから他方のエッジに向かって同x画素縦1列方向に表面全体の形状を順に測定するようにした。これを、そうではなく、たとえば、エッジ点特定レーザ出力装置7をCCDカメラ9の、たとえば5画素ピッチずつずらして被測定面2A上にレーザ光LR1を出射するようにしてもよい。このようにすることで、ガラス2の表面形状の測定
時間を更に短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の三次元形状測定装置の概略を説明するための図である。
【図2】同じく、三次元形状測定装置の概略を説明するための図である。
【図3】(a)は、エッジ点特定レーザ出力装置から出射したレーザ光をガラス上に照射したときの図であり、(b)は、その様子をCCDカメラで撮影したときの画像である。
【図4】(a)は、格子縞特定十字レーザ出力装置からの縦方向のライン状(線状)のレーザ光を格子縞フィルムに照射したときの図であり、(b)は、そのレーザ光がガラス上に反射されたときの図であり、(c)は、その様子をCCDカメラで撮影したときの画像である。
【図5】(a)は、格子縞特定十字レーザ出力装置からの横方向のライン状(線状)のレーザ光がガラス上に反射されたときの図であり、(b)は、その様子をCCDカメラで撮影したときの画像である。
【図6】(a)は、輝度の強度値が横方向に正弦波状に周期的に変化する縦の縞パターンであり、(b)は、ガラス上に反射された反射パターンである。
【図7】輝度の強度値が縦方向に正弦波状に周期的に変化する横の縞パターンである。
【図8】エッジ点の3次元位置を算出する方法を説明するための図である。
【図9】エッジ点での接平面を求める方法を説明するための図である。
【図10】同x画素上の各接平面を求める方法を説明するための図である。
【図11】ガラスの被測定面の全体形状を算出する方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0076】
2A…鏡面反射する表面としての被測定面、2…測定対象物としてのガラス、4…格子板としての格子縞フィルム、9…CCDカメラ、LR1…エッジ点特定用の線状レーザ光
としてのレーザ光、P…エッジ点、Q1…縦の基準線、Q2…横の基準線、7…エッジ点特定レーザ光源としてのエッジ点特定レーザ出力装置、10…演算処理手段としてのコンピュータ、8…縞特定用レーザ光源としての格子縞特定十字レーザ出力装置、20…縞パターン照射手段としてのパターン照射ユニット。
【技術分野】
【0001】
本発明は、三次元形状測定方法及び三次元形状測定装置に関するものである。
【背景技術】
【0002】
従来より、自動車に搭載される各種ガラスやフラットパネルディスプレイ(FPD)等に使用されるガラスといった光透過性を有する透明材質物体の表面形状を測定する方法として、反射表面を備える測定対象物の表面形状を測定する三次元形状測定装置が知られている(例えば、特許文献1参照)。
【0003】
この三次元形状測定装置は、測定対象物の表面上の任意の1点の座標位置を入力する位置入力手段を備え、この位置入力手段により入力された位置を出発点として幾何学的に測定対象物の表面形状を解析手段により求める。
【0004】
位置入力手段は、測定対象物であるウエハ表面の任意の点の座標位置を検出する検出装置であり、例えば、XY移動機構と距離センサ等で構成される。
【特許文献1】特開平11−257930号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
しかしながら、上記従来技術では、測定対象物の表面形状を解析するための出発点として、測定対象物であるウエハ表面の任意の点の座標位置を検出するための位置入力手段として、XY移動機構と距離センサ等で構成される検出装置が必要である。そのため、測定装置全体の構成が複雑化するとともに、任意の点の座標位置を検出するための操作に時間がかかり、測定に長時間を要するという問題点があった。また、測定対象物がウエハのように表面が平坦な場合には、任意の点の座標位置の検出はそれ程難しくはないが、曲面形状の反射表面を有するガラス等が測定対象物の場合には、任意の点の座標位置を高精度に検出するのは難しいとともに、その位置検出を短時間で行うのも難しい。
【0006】
本発明は、上述した事情に鑑みてなされたもので、その目的とするところは、表面形状を短時間で精度良く測定することができる三次元形状測定方法及び三次元形状測定装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0007】
上記課題を解決するために、請求項1に係る発明は、鏡面反射する表面を有する測定対象物の表面形状を測定する三次元形状測定方法において、輝度が正弦波状に変化する格子縞が形成された格子板を有し、前記格子縞の縞パターンを前記表面全体に照射する縞パターン照射手段と、2次元に配置された複数の画素を有するCCDカメラとを、前記表面全体で反射される前記縞パターンを前記複数の画素で撮像するように配置し、エッジ点特定用の線状レーザ光を前記測定対象物に照射して該測定対象物のエッジ点を発光させ、該発光した前記エッジ点を前記CCDカメラで撮像し、前記エッジ点の3次元位置を算出し、該エッジ点の接平面を基準に前記表面全体の形状を順に測定することを要旨とする。
【0008】
これによれば、測定対象物の表面形状を測定する際、測定対象物のエッジ点を発光させ、該エッジ点の位置を算出し、該エッジ点の接平面を基準に測定対象物の表面全体の形状を順に測定するようにした。従って、従来のように、XY移動機構と距離センサ等で構成される検出装置は必要ないので、測定装置全体の構成を簡単にすることができる。
【0009】
また、エッジ点を発光させ、その様子をCCDカメラで撮像することでエッジ点の3次元位置を算出するようにしたので、任意の点の座標位置を検出するための操作時間が短くなり、その結果、測定に要する時間を短くすることができる。さらに、測定対象物が曲面形状の反射表面を有するガラス等であっても、前記と同様に、測定対象物のエッジ点を発光させ、それをCCDカメラで撮像するだけなので、エッジ点の座標位置を高精度に検出することができ、また、その位置検出を短時間で行うことができる。
【0010】
さらに、従来では、ある任意の点として測定対象物の中心付近の所定の位置を基準に前記表面全体の形状を順に測定する場合では、その任意の点から一方のエッジ点に至るまで表面形状を順に測定した後、前記任意の点まで戻り、同任意の点から他方のエッジ点に向かって表面形状を順に測定する必要があった。しかし、本発明では、エッジ点を基準にそのエッジ点から他方のエッジに至るまで一方方向に表面全体の形状を順に測定するようにしたので測定が容易になり、その結果、測定時間が短くなる。従って、多数の測定対象物の表面形状を測定しなければならない場合であっては、短時間で多くの測定対象物の表面形状を測定することができる。
【0011】
請求項2に係る発明は、請求項1に記載の三次元形状測定方法において、前記格子縞の縞パターンを前記表面全体に照射し、前記表面で反射されその表面形状に応じて前記縞パターンが変化した変形縞パターンを前記CCDカメラで撮像し、位相シフト法により、前記CCDカメラの各画素における前記変形縞パターンの輝度値から前記各画素における前記正弦波の位相値を求め、前記各画素の位相値に基づき、前記各画素の視線上にある前記格子縞上の各位置を求め、前記各画素の視線が通る前記表面上の各点の接平面を、前記エッジ点の接平面を基準に順に求めることを要旨とする。
【0012】
これによれば、位相シフト法により各画素における正弦波の位相値を求め、各画素の位相値に基づき各画素の視線上にある格子縞上の各位置を求め、各画素の視線が通る表面上の各点の接平面をエッジ点の接平面を基準に順に求めるようにしたので、測定対象物に対して非接触でその表面形状を測定することができる。従って、例えば、測定対象物が薄い板状のガラスであっても、その形状を変形させることなく精度良く表面形状を測定することが可能となる。
【0013】
請求項3に係る発明は、請求項2に記載の三次元形状測定方法において、前記位相シフト法により前記各画素における前記正弦波の位相値を求める際に、前記格子縞を縦方向に配置した状態で、前記格子縞の位相を横方向に同ピッチずつずらして少なくとも3枚の縦の変形縞パターンを前記CCDカメラにより撮像し、該3枚の縦の変形縞パターンを使って位相シフト法を行う縦縞の位相シフトと、前記格子縞を横方向に配置した状態で、前記格子縞の位相を縦方向に同ピッチずつずらして少なくとも3枚の横の変形縞パターンを前記CCDカメラにより撮像し、該3枚の横の変形縞パターンを使って位相シフト法を行う横縞の位相シフトと、を行うことを要旨とする。
【0014】
これによれば、少なくとも3枚の縦の変形縞パターンを使って位相シフト法を行う縦縞の位相シフトと、少なくとも3枚の横の変形縞パターンを使って位相シフト法を行う横縞の位相シフトとを行うので、測定対象物の表面形状を精度良く測定することができる。
【0015】
請求項4に係る発明は、請求項3に記載の三次元形状測定方法において、前記縦縞の位相シフトでは、縦方向に配置した前記格子縞の1つに縦縞特定用の線状レーザ光を照射し、該線状レーザ光が照射された前記格子縞の1つが前記表面で反射される縦の基準線を前記CCDカメラで撮像し、前記縦の基準線の位置に基づき、該基準線に直交する方向における前記各画素とそれぞれ対応する前記格子縞上の位置を算出し、前記横縞の位相シフトでは、横方向に配置した前記格子縞の1つに横縞特定用の線状レーザ光を照射し、該線状
レーザ光が照射された前記格子縞の1つが前記表面で反射される横の基準線を前記CCDカメラで撮像し、前記横の基準線の位置に基づき、該基準線に直交する方向における前記各画素とそれぞれ対応する前記格子縞上の位置を算出する、ことを要旨とする。
【0016】
これによれば、前記縦の基準線の位置に基づき、該基準線に直交する方向における各画素とそれぞれ対応する格子縞上の位置を算出し、前記横の基準線の位置に基づき、該基準線に直交する方向における各画素とそれぞれ対応する格子縞上の位置を算出する。このため、CCDカメラの各画素と格子縞上の位置とをそれぞれ精度良く対応付けることができ、測定対象物の表面形状を精度良く測定することができる。
【0017】
請求項5に係る発明は、請求項1〜4のいずれか1つに記載の三次元形状測定方法において、前記エッジ点の3次元位置を、前記エッジ点特定用の線状レーザで定義される平面と、前記エッジ点を通る前記複数の画素の1つの視線との交点から算出することを要旨とする。
これによれば、エッジ点の3次元位置を正確に算出することができる。
【0018】
請求項6に係る発明は、請求項5に記載の三次元形状測定方法において、前記エッジ点の接平面は、前記エッジ点を通る前記複数の画素の1つの視線と、該1つの画素に対応する前記格子縞上の位置と前記エッジ点とを結ぶ直線の2等分線を前記エッジ点での法線とする面として求めることを要旨とする。
これによれば、エッジ点の接平面を容易に算出することができる。
【0019】
請求項7に係る発明は、請求項6に記載の三次元形状測定方法において、前記測定対象物を上方から見た平面をXY平面とすると、前記エッジ点とY座標値が同じ横一列の形状測定の際には、前記エッジ点からX座標値を前記画素の配列ピッチの1つ分ずつずらした各測定点を、前回の測定点での接平面と、該前回の測定点を視線が通る画素の隣の画素の視線との交点から決め、前記各測定点では、各測定点と、該各測定点にそれぞれ対応する前記格子縞上の点とを結ぶ線をそれぞれ求め、ここで求めた各線と前記各測定点を通る前記各画素の視線とのなす角の2等分線を法線とする接平面をそれぞれ求め、その後、前記エッジ点特定用の線状レーザ光を前記複数の画素の配列ピッチの1つ分ずつずらして前記測定対象物に照射して、前記測定対象物の別のエッジ点を順に発光させ、順に発光させた各エッジ点の接平面を基準に、前記別のエッジ点とY座標値が同じ前記横一列の形状測定を前記表面のY方向全体にわたって順に繰り返して、前記表面全体の形状を測定することを要旨とする。
これによれば、測定対象物の表面全体の形状をエッジ点の接平面を基準に容易に算出することができる。
【0020】
請求項8に係る発明は、鏡面反射する表面を有する測定対象物の表面形状を測定する三次元形状測定装置において、輝度が正弦波状に変化する格子縞が形成された格子板および光源を有し、該光源の点灯により前記格子縞の縞パターンを前記表面全体に照射する縞パターン照射手段と、2次元に配置された複数の画素を有し、前記表面全体で反射される前記縞パターンを撮像するCCDカメラと、エッジ点特定用の線状レーザ光を前記測定対象物に照射して該測定対象物のエッジ点を発光させるエッジ点特定用レーザ光源と、前記エッジ点の3次元位置を算出し、該エッジ点の接平面を基準に前記表面全体の形状を順に測定する演算処理を行う演算処理手段と、を備えることを要旨とする。
【0021】
これによれば、測定対象物の表面形状を測定する際、測定対象物のエッジ点を発光させ、該エッジ点の位置を算出し、該エッジ点の接平面を基準に測定対象物の表面全体の形状を順に測定するようにした。従って、従来のように、XY移動機構と距離センサ等で構成される検出装置は必要ないので、測定装置全体の構成を簡単にすることができる。
【0022】
また、エッジ点を発光させ、その様子をCCDカメラで撮像することでエッジ点の3次元位置を算出するようにしたので、任意の点の座標位置を検出するための操作時間が短くなり、その結果、測定に要する時間を短くすることができる。さらに、測定対象物が曲面形状の反射表面を有するガラス等であっても、前記と同様に、測定対象物のエッジ点を発光させ、それをCCDカメラで撮像するだけなので、エッジ点の座標位置を高精度に検出することができ、また、その位置検出を短時間で行うことができる。
【0023】
請求項9に係る発明は、請求項8に記載の三次元形状測定装置において、縦方向に配置した前記格子縞の1つに縦縞特定用の線状レーザ光を照射するとともに、横方向に配置した前記格子縞の1つに横縞特定用の線状レーザ光を照射する縞特定用レーザ光源を備えることを要旨とする。
【0024】
これによれば、縦の基準線の位置に基づき、該基準線に直交する方向におけるCCDカメラの各画素とそれぞれ対応する格子縞上の位置を算出することができる。また、同様に、横の基準線の位置に基づき、該基準線に直交する方向におけるCCDカメラの各画素とそれぞれ対応する格子縞上の位置を算出することができる。これにより、CCDカメラの全ての画素が格子縞上のどの位置に対応するかがわかるので、位相シフトにより測定された位相値がどの測定対象物のどの位置に対応したものなのかが分かる。
【発明の効果】
【0025】
以上説明したように、本発明によれば、測定対象物の表面形状を短時間で精度良く測定することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0026】
以下、本発明の三次元形状測定装置を用いた三次元形状測定方法の一実施形態について説明する。
(測定装置の構成)
まず、図面に従って本発明の三次元形状測定装置1の概略を説明する。図1に示すように、鏡面反射する表面を有する測定対象物としての板状のガラス2は、ZX平面上に配置され、その鏡面反射する表面である被測定面2AがY方向に向くように測定対象物支持体3によって支持固定されている。ガラス2は、表面形状が滑らかな湾曲を成した板状のガラスであって、たとえば、自動車のフロントガラスである。
【0027】
三次元形状測定装置1は、縞パターン照射手段としてのパターン照射ユニット20と、2次元に配置された複数の画素を有するCCDカメラ9と、エッジ点特定用レーザ光源としてのエッジ点特定レーザ出力装置7と、演算処理手段としてのコンピュータ10と、を備える。パターン照射ユニット20は、輝度が正弦波状に変化する格子縞としての格子グリッド4Aが形成された格子板としての格子縞フィルム4および光源としてのバックライト5を有し、該バックライト5の点灯により格子グリッド4Aの縞パターンをガラス2の被測定面2A全体に照射するようになっている。CCDカメラ9は、ガラス2の被測定面2A全体で反射される変形縞パターンを撮像するように配置されている。
【0028】
また、被測定面2Aに対して直角な向きに、即ち、YZ平面上に、格子縞フィルム4が配置されている。この格子縞フィルム4は、公知である位相シフト法により被測定面2Aの表面形状を検出する際に使用するものである。格子縞フィルム4は、縦方向(Z軸方向)に延設された複数の格子グリッド4Aが横方向(Y軸方向)に沿って等ピッチに配列したものであって、そのグリッドピッチは、例えば32mmである。また、この格子縞フィルム4は、たとえば、図示しない回転駆動機構に支持され該回転駆動機構によりX軸周りにYZ平面内で90°回転させることで格子グリッド4Aの向きを横方向(Y軸方向)に切
り換えて配列させることが可能となっている。
【0029】
格子縞フィルム4は、バックライト5を備えた支持体6に支持されている。そして、バックライト5にて発せられた光は、格子縞フィルム4を通過することで縞パターンになり、その縞パターンがガラス2の被測定面2A全体に照射されるようになっている。その縞パターンは、格子グリッド4Aを縦方向(Z軸方向)に沿って配列した場合では、図6(a)に示すように、輝度の強度値が横方向(Y矢印方向)に正弦波状に周期的に変化する縦縞状の縞パターン30である。また、その縞パターンは、格子縞フィルム4を回転させ格子グリッド4Aを横方向(Y軸方向)に沿って配列した場合では、図7に示すように、輝度の強度値が縦方向(Z矢印方向)に正弦波状に周期的に変化する横縞状の縞パターン50である。
【0030】
また、図1に示すように、ガラス2の周辺にはエッジ点特定レーザ出力装置7が配置されている。このエッジ点特定レーザ出力装置7は、後記するように被測定面2Aの表面形状を算出する際のガラス2上のエッジ点Pを特定するためのものであって、レーザ光LR1がガラス2の被測定面2Aに向かって出射される向きに配置されている。本実施形態の
エッジ点特定レーザ出力装置7は、横方向(X軸方向)に沿ったライン状(線状)レーザ光LR1を出射するように配置されている。
【0031】
また、エッジ点特定レーザ出力装置7は、被測定面2A上にレーザ光LR1をZ軸方向
に所定のピッチ(本実施形態では、CCDカメラ9の1画素ピッチ)ずつずらして出射できるようになっている。そして、レーザ光LR1はガラス2のエッジに照射されると、エ
ッジの端面は拡散面になっているため、透過せずに散乱される。その結果、レーザ光LR1が照射されたエッジは輝点として観測される。そして、その輝点の位置がエッジ点Pと
して特定されるようになっている。
【0032】
さらに、ガラス2の周辺には格子縞特定十字レーザ出力装置8が配置されている。この格子縞特定十字レーザ出力装置8は、位相シフト法を用いて被測定面2Aの表面形状を検出する際に、たとえば、同被測定面2A上に投影される縦縞状の縞パターン30,50のうち、注目する画素情報がどの位置の縞が反射されたものかの対応関係を求めるためのものである。つまり、位相シフト法では、図6(b)に示すように、被測定面2A上で反射された変形縞パターン40の所定の1本の縦縞が、格子縞フィルム4を介して出射された元の縞パターン30のうちのどの格子グリッド4Aによる縞に相当するかを特定することができない。このため、検出された被測定面2Aの表面形状を正確に判定することができない。
【0033】
そこで、予め特定の格子グリッド4Aの位置を他のグリッドの位置と区別できるようにマークする。このようにすることで、後に行う位相シフト法にて被測定面2A上に投影された複数の縞のうち、変形縞パターン40の特定の1本の縦縞が、元の縞パターン30のうちどの縞に相当するものなのかを特定する。
【0034】
具体的には、格子縞特定十字レーザ出力装置8は、縦方向(Z軸方向)及び横方向(Y軸方向)に沿った2種類のライン形状を成すレーザ光LR2を出射するレーザ出力装置で
あって、レーザ光LR2が格子縞フィルム4に向かって出射される向きに配置されている
。格子縞特定十字レーザ出力装置8は、格子縞フィルム4上の格子グリッド4Aが縦方向(Z軸方向)に沿って配列された場合では、縦方向(Z軸方向)に沿った縦縞特定用のライン状(線状)のレーザ光LR2を出射し、格子グリッド4Aが横方向(Y軸方向)に沿
って配列された場合では、横方向(Y軸方向)に沿った横縞特定用のライン状(線状)を成すレーザ光LR2を出射する。つまり、格子縞特定十字レーザ出力装置8は、格子グリ
ッド4Aの配列方向に沿ったライン形状(線状)を成すレーザ光LR2を出射する。これ
により、レーザ光LR2が照射された位置にある格子グリッド4Aを基準の格子グリッド
として特定する。
【0035】
さらにまた、ガラス2の周辺には2次元に配置された複数の画素を有するCCDカメラ9が配置されている。CCDカメラ9は、たとえば、走査方向に1392ピクセル、副走査方向に1040ピクセルの画素数を備えたカメラである。図2に示すように、CCDカメラ9は、前記した被測定面2Aにて反射された変形縞パターン50を撮影する。また、CCDカメラ9は、被測定面2A上に投影された各レーザ光LR1,LR2の反射パターンを撮影する。
【0036】
また、図1に示すように、三次元形状測定装置1は、コンピュータ10を備えている。コンピュータ10は、CCDカメラ9にて撮影された各種パターンをそれぞれ画像データとして入力する。また、コンピュータ10には、各種演算プログラムが記憶されている。そして、コンピュータ10は、その各画像データに基づいて、後記するエッジ点の3次元位置演算処理、エッジ点と同x画素縦1列の形状演算処理、全体形状演算処理を各種演算プログラムに従って行う。そして、コンピュータ10は、その各種演算処理に基づいて、ガラス2の被測定面2Aの表面形状を3次元グラフィック画像としてモニタ11に出力するようになっている。そして、観測者は、モニタ11上に表示されたグラフィック画像を見ることで被測定面2Aの詳細な表面形状に関する知見を得ることができる。
【0037】
次に、三次元形状測定装置1を用いたガラス2の表面形状の測定方法について説明する。
先ず、バックライト5及び格子縞特定十字レーザ出力装置8をともにオフにした状態で、エッジ点特定レーザ出力装置7を駆動させて被測定面2Aに向かってレーザ光LR1を
出射しガラス2の任意のエッジを光らせる。そして、その様子をCCDカメラ9で撮影する。
【0038】
このとき、レーザ光LR1は、前記したように、横方向(X軸方向)に沿って広がった
ライン状(線状)のレーザ光であるので、図3(a)に示すように、ガラス2の左右両端のエッジが輝点として観測される。そこで、その2つのうちのいずれか一方の輝点を選択しエッジ点Pとする。本実施形態では、図3(a)に示す右側の輝点をエッジ点Pとしている。また、図3(b)は、CCDカメラ9にて撮影された画像である。CCDカメラ9は、コンピュータ10に撮影した画像のデータを第1画像データD1として出力する。
【0039】
続いて、バックライト5及びエッジ点特定レーザ出力装置7をともにオフ状態で、格子縞特定十字レーザ出力装置8をオンさせ、まず、縦方向(Z軸方向)のライン状(線状)のレーザ光LR2を格子縞フィルム4上に照射する(図4(a)参照)。すると、縦方向
のレーザ光LR2が格子縞フィルム4に反射され、その反射光Sが縦の基準線Q1として
ガラス2の被測定面2A上に映り込む(図4(b)参照)。そして、その様子をCCDカメラ9で撮影する。図4(c)は、CCDカメラ9にて撮影された画像である。CCDカメラ9は、撮影した縦方向のレーザ光LR2の反射像を第2画像データD2としてコンピュータ10に出力する。
【0040】
次に、エッジ点特定レーザ出力装置7及び格子縞特定十字レーザ出力装置8をともにオフさせ、バックライト5を点灯させる。そして、格子縞フィルム4を回転させ、図6(a)に示すように、縦縞状の縞パターン30を被測定面2A全体に照射し、その被測定面2Aの表面形状に応じて縞パターン30が変化した変形縞パターン40をCCDカメラ9で撮像する。そして、縦縞の位相シフトにより、CCDカメラ9の各画素における変形縞パターン40の輝度値から各画素における位相値を求め、前記各画素の位相値に基づき、前記各画素の視線上にある縞パターン30上の横方向の各位置を求める。
【0041】
具体的には、1枚の縞パターンに対応した1枚の画像は絶対的な明るさなので、格子縞フィルム4やバックライト5またはCCDカメラ9の汚れ等に起因する濃度ムラ等による誤差が生じる場合がある。そこで、この誤差を無くすため、本実施形態では、格子縞フィルム4を横方向(Y軸方向)に縞パターンの位相のπ/2ずつ、即ち、0、π/2、π、3π/2ずらして、それぞれにおいてCCDカメラ9によって4種類の変形縞パターンを撮影する。そして、その各変形縞パターンに対する各第3画像データD3A,D3B,D3
C,D3Dを順にコンピュータ10に出力する。そして、コンピュータ10によって第3
画像データD3A〜D3Dに基づいて後記する演算処理が行われることで、各画素における位相値が算出される。位相シフト法によれば、表面形状を決定する位相値Qは、次の式により求められる。
【数1】
【0042】
ここで、I0(x,z)、I1(x,z)、I2(x,z)、I3(x,z)は、それぞれ縞パターンの位相を0、π/2、π、3π/2ずらしたときの被測定面2A上の任意の点(x,z)の変形縞パターンの輝度値Ii(x,z)(i=0〜3)である。
【0043】
従って、コンピュータ10は、各第3画像データD3A〜D3Dに基づいて、上式(1)に従って、被測定面2A上の各画素における位相値Qを算出し、それにより、各画素間の差分を算出して位相差を求める。このとき、隣り合う点に位相飛びがある場合には、位相を繋ぎ合わせる必要があるため補正を行う。また、位相シフト法による計算を行う前処理として、得られた4枚の画像にそれぞれ4次のスプライン補間処理を施して移動平均演算を行う。このようにすることで、CCDカメラ9の各画素の視線上にある縞パターン30上の横方向の各位置(X座標値)が求められる。
【0044】
続いて、バックライト5及びエッジ点特定レーザ出力装置7をともにオフ状態で、格子縞特定十字レーザ出力装置8をオンさせ、横方向(Y軸方向)のライン状(線状)のレーザ光LR2を格子縞フィルム4上に照射する(図5(a)参照)。すると、横方向のレー
ザ光LR2が格子縞フィルム4に反射され、その反射光Sが横の基準線Q2としてガラス
2の被測定面2A上に映り込む(図5(b)参照)。そして、その様子をCCDカメラ9で撮影する。CCDカメラ9は、撮影した横方向のレーザ光LR2の反射像を第4画像デ
ータD4としてコンピュータ10に出力する。
【0045】
次に、エッジ点特定レーザ出力装置7及び格子縞特定十字レーザ出力装置8をともにオフさせ、バックライト5を点灯させる。そして、格子縞フィルム4を90°回転させ、図7に示すように、横縞状の縞パターン50を被測定面2A全体に照射し、その被測定面2Aの表面形状に応じて前記縞パターン50が変化した変形縞パターンをCCDカメラ9で撮像する。そして、横縞の位相シフトにより、CCDカメラ9の各画素における変形縞パターン40の輝度値から各画素における位相値を求め、前記各画素の位相値に基づき、前記各画素の視線上にある縞パターン30上の縦方向の各位置(Y座標値)を求める。
【0046】
具体的には、前記した各画素の視線上にある縞パターン30上の縦方向の各位置を求めた場合と同様にして、格子縞フィルム4を縦方向(Z軸方向)に縞パターンの位相のπ/2ずつ、即ち、0、π/2、π、3π/2ずらして、それぞれにおいてCCDカメラ9によって4種類の変形縞パターンを撮影する。そして、その各変形縞パターンに対する各第5画像データD5A,D5B,D5C,D5Dを順にコンピュータ10に出力する。そして、コンピュータ10によって第5画像データD5A〜D5Dに基づいて、前記と同様な計算を
行うことでCCDカメラ9の各画素の視線上にある縞パターン50上の縦方向の各位置が求められる。
【0047】
このようにすることで、CCDカメラ9の各画素の視線上にある縞パターン30,50上の各位置が求められる。
次に、コンピュータ10にて行われる各種演算の詳細を説明する。
【0048】
まず、コンピュータ10は、第1画像データD1に基づいてエッジ点Pの3次元位置(
Xp,Yp,Zp)を算出する(エッジ点Pの3次元位置演算処理)。以下、その算出方法を図8に従って説明する。
【0049】
図8に示すように、エッジ点Pは、CCDカメラ9の1392×1040個ある画素のうちのエッジ点Pを通る前記複数の画素の1つの画素の視線式とレーザ光LR1で定義さ
れる平面との交点に対応する。次式で表わされる画素(i,j)におけるCCDカメラ9の視線式として次式が成り立つ。
【数2】
【0050】
【数3】
【0051】
【数4】
【0052】
ここで、VecXc及びVecZcは、それぞれCCDカメラ9の方向ベクトルのx成分及びz成分である。また、Pcx及びPczは、原点(0,0,0)に対するCCDカメラの焦点位置Pc(Pcx,Pcy,Pcz)のx成分及びz成分である。
【0053】
一方、エッジ点特定レーザの発光点P1の座標を(P1x,P1y,P1z)とすると、レー
ザ光LR1で定義される平面の方程式は、次式で表わされる。
【数5】
【0054】
ここで、thX1は、レーザ光LR1をXY平面に投影した場合のX軸とのなす角を表わし
ている。
そして、コンピュータ10は、式(2)〜(4)と式(5)とを用いることにより、CCDカメラ9の視線式とライン型レーザの平面式の交点を算出する。このとき、パラメータtは以下の式で求まる。
【数6】
【0055】
このようにして、コンピュータ10は、第1画像データD1によりパラメータtを計算
する。また、コンピュータ10は、式(6)に計算したパラメータtを代入して、エッジ点Pの3次元位置(Xp,Yp,Zp)を算出する。
【0056】
続いて、コンピュータ10は、前記した演算プログラムに従って、求めたエッジ点Pの3次元位置(Xp,Yp,Zp)での接平面を算出し、エッジ点Pと同x画素縦1列の表面
形状を求める。ここで、同x画素縦1列の表面形状とは、エッジ点PとX座標値が同じ縦一列の表面形状のことである。以下、エッジ点Pと同x画素縦1列の表面形状の算出方法を説明する。尚、説明を簡単にするために、3次元ではなく、2次元(たとえば、ZX平面)について説明する。
【0057】
ここで、前述したように、CCDカメラ9上の各画素の視線上にある縞パターン30,50上の各位置が求められるので、コンピュータ10は、エッジ点P(Xp,Yp,Zp)
や該エッジ点P(Xp,Yp,Zp)に対応する格子縞フィルム4上の位置(Pky,Pkz)
を算出することができる。これより、エッジ点P(Xp,Yp,Zp)での縞パターンの単
位ベクトルK2が求まる。
【0058】
また、CCDカメラ9の焦点位置Pc(Pcx,Pcy,Pcz)及びエッジ点P(Xp,Yp
,Zp)により、エッジ点P(Xp,Yp,Zp)での変形縞パターンの単位ベクトルK1を
求めることができる。従って、ガラス2のエッジ点P(Xp,Yp,Zp)における法線ベ
クトルR0(ak3y,ak3z)が求まる。図9に示すように、法線ベクトルR0(ak3y,ak3z)は、縞パターンの単位ベクトルと変形縞パターンの各単位ベクトルK2
,K1との2等分線ベクトルとして得られる。エッジ点P(Xp,Yp,Zp)における接平面S0は以下の式で算出される。
【数7】
【0059】
【数8】
【0060】
となる。但し、
【数9】
【0061】
【数10】
【0062】
【数11】
【0063】
【数12】
【0064】
【数13】
【0065】
【数14】
【0066】
である。従って、算出された法線ベクトルR0よりエッジ点P(Xp,Yp,Zp)における接平面S0は次式で表わされる。
【数15】
【0067】
次に、エッジ点P(Xp,Yp,Zp)と同x画素縦1列の表面形状の求め方について図
10に従って説明する。つまり、エッジ点P(Xp,Yp,Zp)を基準としてそのエッジ
点Pから他方のエッジに向かって同x画素縦1列方向に表面全体の形状を順に測定する。エッジ点Pの同x画素i上の隣の画素(i,j+1)、即ち、図1中X軸方向に沿った隣の画素のガラス2上の3次元位置は、エッジ点Pの接平面S0とCCDカメラ9の画素(
i,j+1)における視線との交点により求める。CCDカメラ9は、各画素における前記した視線式(2)〜(4)及び式(10)より、次式(11)が成立する。
【数16】
【0068】
求めたパラメータtを式(2)〜(4)に代入することで、エッジ点P(Xp,Yp,Zp)の同x画素i上の隣の画素(i,j+1)の3次元位置が求まる。同様に、その隣の
画素(i,j+2)についても同様にして求めることで、エッジ点P(Xp,Yp,Zp)
と同x画素縦1列の表面形状を求めることができる。
【0069】
次に、ガラス2の全体形状を算出する。図11に示すように、先に求めたエッジ点P(Xp,Yp,Zp)からZ軸方向に前記に対応して所定のピッチずれた新たなエッジ点Pを
基準値として、前記と同様にして、その新たなエッジ点Pにおける接平面を求める。
【0070】
そして、その後、前記と同様にしてその新たなエッジ点Pと同x画素縦1列の表面形状を求める。以降、同様に、順次、各エッジ点Pから縦1列の画素についても同じ作業を行っていけば、ガラス2の全体形状を算出することができる。
【0071】
前記実施形態によれば、以下のような特徴を得ることができる。
(1) 本実施形態では、ガラス2の被測定面2Aに向かって、ライン状(線状)のレーザ光LR1を出射しガラス2の任意の位置にあるエッジを発光させ、その発光したエッジ
をエッジ点Pとし、該エッジ点Pを基準に各ガラス2の被測定面2Aの表面形状を算出するようにした。従って、従来のように、たとえば、XY移動機構と距離センサ等で構成される検出装置は必要ないので、測定装置全体の構成を簡単にすることができる。
【0072】
また、エッジ点Pを発光させ、その様子をCCDカメラで撮像することでエッジ点Pの3次元位置(Xp,Yp,Zp)を算出するようにしたので、任意の点の座標位置を検出す
るための操作時間が短くなり、その結果、測定に要する時間を短くすることができる。さらに、本実施形態のように、ガラス2の被測定面2Aが曲面形状であっても、そのエッジにライン状のレーザ光LR1を照射し発光させ、それをCCDカメラで撮像するだけなの
で、エッジ点Pの3次元位置(Xp,Yp,Zp)を高精度に検出することができ、また、
その位置検出を短時間で行うことができる。
(2) 本実施形態では、ガラス2の被測定面2Aに向かって、ライン状(線状)のレーザ光LR1を出射しガラス2の任意の位置にあるエッジを発光させ、その発光したエッジ
をエッジ点Pとし、その被測定面2Aの様子をCCDカメラ9にて撮影するようにした。そして、ライン状(線状)のレーザ光LR1で定義される面とCCDカメラ9の画素の視
線との交点を算出することによりエッジ点Pの3次元位置(Xp,Yp,Zp)を決めるよ
うにした。従って、エッジ点Pを簡単に算出することができる。また、このように算出されたエッジ点Pに基づいて該エッジ点Pの接平面を算出し、エッジ点Pでの表面形状を算出するようにした。この結果、ガラス2の被測定面2Aの表面形状を簡単に精度良く算出することができる。
(3) 本実施形態では、格子縞状の縞パターンを被測定面2A上全体に照射し、被測定面2Aで反射された変形縞パターンをCCDカメラ9で撮像し、位相シフト法により被測定面2A上の各位置での位相値を求めるようにした。そして、各位置での位相値から被測定面2A上全体の表面形状を算出するようにした。従って、例えば、測定対象物が薄い板状のガラスであっても、その形状を変形させることなく精度良く表面形状を測定することが可能となる。
(4) 本実施形態では、位相シフト法によりCCDカメラ9の各画素における正弦波の位相値を求める際に、格子縞フィルム4を横方向(Y軸方向)に縞パターンの位相のπ/2ずつずらして、それぞれにおいてCCDカメラ9によって反射パターンを撮影するようにした。その後、格子縞フィルム4を90°回転させた後、縦縞状の入射パターンをガラス2の被測定面2A上に投影し、格子縞フィルム4を縦方向(Z軸方向)に縞パターンの位相のπ/2ずつずらして、それぞれにおいてCCDカメラ9によって4種類の反射パターンを撮影するようにした。その各反射パターンに対する第4画像データD4に基づいて
各種演算処理を行うことで各画素における位相値を算出するようにした。従って、格子縞フィルム4やバックライト5またはCCDカメラ9の汚れ等に起因する濃度ムラ等による誤差が無くなるので、被測定面2Aの表面形状を精度良く測定することができる。
(5) 本実施形態では、ガラス2の任意の位置にあるエッジを発光させ、その発光したエッジをエッジ点Pとし、該エッジ点Pを基準に、そのエッジ点Pから他方のエッジに向かって同x画素縦1列方向に表面全体の形状を順に測定するようにしたので測定が容易に
なり、その結果、測定時間が短くなる。従って、多数のガラス2の表面形状を測定しなければならない場合であっては、短時間で多くの表面形状を測定することができる。
【0073】
尚、発明の実施形態は、上記実施形態に限定されるものではなく、以下のように実施してもよい。
○上記実施形態では、エッジ点特定レーザ出力装置7は、ガラス2に対して横方向(X軸方向)に沿ったライン状(線状)レーザ光LR1を出射するレーザ出力装置であったが
、これに限定されるものではなく、ガラス2に対して斜めであるレーザ光を出射するレーザ出力装置であってもよい。要は、ガラス2のエッジを発光させるようなレーザを出射するものであればどんなレーザ出力装置であってもよい。
【0074】
○上記実施形態では、エッジ点特定レーザ出力装置7をCCDカメラ9の1画素ピッチずつずらして被測定面2A上にレーザ光LR1を出射するようにし、そのエッジ点Pを基
準にそのエッジ点Pから他方のエッジに向かって同x画素縦1列方向に表面全体の形状を順に測定するようにした。これを、そうではなく、たとえば、エッジ点特定レーザ出力装置7をCCDカメラ9の、たとえば5画素ピッチずつずらして被測定面2A上にレーザ光LR1を出射するようにしてもよい。このようにすることで、ガラス2の表面形状の測定
時間を更に短くすることができる。
【図面の簡単な説明】
【0075】
【図1】本発明の三次元形状測定装置の概略を説明するための図である。
【図2】同じく、三次元形状測定装置の概略を説明するための図である。
【図3】(a)は、エッジ点特定レーザ出力装置から出射したレーザ光をガラス上に照射したときの図であり、(b)は、その様子をCCDカメラで撮影したときの画像である。
【図4】(a)は、格子縞特定十字レーザ出力装置からの縦方向のライン状(線状)のレーザ光を格子縞フィルムに照射したときの図であり、(b)は、そのレーザ光がガラス上に反射されたときの図であり、(c)は、その様子をCCDカメラで撮影したときの画像である。
【図5】(a)は、格子縞特定十字レーザ出力装置からの横方向のライン状(線状)のレーザ光がガラス上に反射されたときの図であり、(b)は、その様子をCCDカメラで撮影したときの画像である。
【図6】(a)は、輝度の強度値が横方向に正弦波状に周期的に変化する縦の縞パターンであり、(b)は、ガラス上に反射された反射パターンである。
【図7】輝度の強度値が縦方向に正弦波状に周期的に変化する横の縞パターンである。
【図8】エッジ点の3次元位置を算出する方法を説明するための図である。
【図9】エッジ点での接平面を求める方法を説明するための図である。
【図10】同x画素上の各接平面を求める方法を説明するための図である。
【図11】ガラスの被測定面の全体形状を算出する方法を説明するための図である。
【符号の説明】
【0076】
2A…鏡面反射する表面としての被測定面、2…測定対象物としてのガラス、4…格子板としての格子縞フィルム、9…CCDカメラ、LR1…エッジ点特定用の線状レーザ光
としてのレーザ光、P…エッジ点、Q1…縦の基準線、Q2…横の基準線、7…エッジ点特定レーザ光源としてのエッジ点特定レーザ出力装置、10…演算処理手段としてのコンピュータ、8…縞特定用レーザ光源としての格子縞特定十字レーザ出力装置、20…縞パターン照射手段としてのパターン照射ユニット。
【特許請求の範囲】
【請求項1】
鏡面反射する表面を有する測定対象物の表面形状を測定する三次元形状測定方法において、
輝度が正弦波状に変化する格子縞が形成された格子板を有し、前記格子縞の縞パターンを前記表面全体に照射する縞パターン照射手段と、2次元に配置された複数の画素を有するCCDカメラとを、前記表面全体で反射される前記縞パターンを前記複数の画素で撮像するように配置し、
エッジ点特定用の線状レーザ光を前記測定対象物に照射して該測定対象物のエッジ点を発光させ、該発光した前記エッジ点を前記CCDカメラで撮像し、
前記エッジ点の3次元位置を算出し、該エッジ点の接平面を基準に前記表面全体の形状を順に測定することを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の三次元形状測定方法において、
前記格子縞の縞パターンを前記表面全体に照射し、前記表面で反射されその表面形状に応じて前記縞パターンが変化した変形縞パターンを前記CCDカメラで撮像し、
位相シフト法により、前記CCDカメラの各画素における前記変形縞パターンの輝度値から前記各画素における前記正弦波の位相値を求め、
前記各画素の位相値に基づき、前記各画素の視線上にある前記格子縞上の各位置を求め、
前記各画素の視線が通る前記表面上の各点の接平面を、前記エッジ点の接平面を基準に順に求めることを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の三次元形状測定方法において、
前記位相シフト法により前記各画素における前記正弦波の位相値を求める際に、
前記格子縞を縦方向に配置した状態で、前記格子縞の位相を横方向に同ピッチずつずらして少なくとも3枚の縦の変形縞パターンを前記CCDカメラにより撮像し、該3枚の縦の変形縞パターンを使って位相シフト法を行う縦縞の位相シフトと、
前記格子縞を横方向に配置した状態で、前記格子縞の位相を縦方向に同ピッチずつずらして少なくとも3枚の横の変形縞パターンを前記CCDカメラにより撮像し、該3枚の横の変形縞パターンを使って位相シフト法を行う横縞の位相シフトと、を行うことを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項4】
請求項3に記載の三次元形状測定方法において、
前記縦縞の位相シフトでは、縦方向に配置した前記格子縞の1つに縦縞特定用の線状レーザ光を照射し、該線状レーザ光が照射された前記格子縞の1つが前記表面で反射される縦の基準線を前記CCDカメラで撮像し、前記縦の基準線の位置に基づき、該基準線に直交する方向における前記各画素とそれぞれ対応する前記格子縞上の位置を算出し、
前記横縞の位相シフトでは、横方向に配置した前記格子縞の1つに横縞特定用の線状レーザ光を照射し、該線状レーザ光が照射された前記格子縞の1つが前記表面で反射される横の基準線を前記CCDカメラで撮像し、前記横の基準線の位置に基づき、該基準線に直交する方向における前記各画素とそれぞれ対応する前記格子縞上の位置を算出する、ことを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の三次元形状測定方法において、
前記エッジ点の3次元位置を、前記エッジ点特定用の線状レーザで定義される平面と、前記エッジ点を通る前記複数の画素の1つの視線との交点から算出することを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項6】
請求項5に記載の三次元形状測定方法において、
前記エッジ点の接平面は、前記エッジ点を通る前記複数の画素の1つの視線と、該1つの画素に対応する前記格子縞上の位置と前記エッジ点とを結ぶ直線の2等分線を前記エッジ点での法線とする面として求めることを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項7】
請求項6に記載の三次元形状測定方法において、
前記測定対象物を上方から見た平面をXY平面とすると、
前記エッジ点とY座標値が同じ横一列の形状測定の際には、
前記エッジ点からX座標値を前記画素の配列ピッチの1つ分ずつずらした各測定点を、前回の測定点での接平面と、該前回の測定点を視線が通る画素の隣の画素の視線との交点から決め、
前記各測定点では、各測定点と、該各測定点にそれぞれ対応する前記格子縞上の点とを結ぶ線をそれぞれ求め、ここで求めた各線と前記各測定点を通る前記各画素の視線とのなす角の2等分線を法線とする接平面をそれぞれ求め、
その後、前記エッジ点特定用の線状レーザ光を前記複数の画素の配列ピッチの1つ分ずつずらして前記測定対象物に照射して、前記測定対象物の別のエッジ点を順に発光させ、
順に発光させた各エッジ点の接平面を基準に、前記別のエッジ点とY座標値が同じ前記横一列の形状測定を前記表面のY方向全体にわたって順に繰り返して、前記表面全体の形状を測定することを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項8】
鏡面反射する表面を有する測定対象物の表面形状を測定する三次元形状測定装置において、
輝度が正弦波状に変化する格子縞が形成された格子板および光源を有し、該光源の点灯により前記格子縞の縞パターンを前記表面全体に照射する縞パターン照射手段と、
2次元に配置された複数の画素を有し、前記表面全体で反射される前記縞パターンを撮像するCCDカメラと、
エッジ点特定用の線状レーザ光を前記測定対象物に照射して該測定対象物のエッジ点を発光させるエッジ点特定用レーザ光源と、
前記エッジ点の3次元位置を算出し、該エッジ点の接平面を基準に前記表面全体の形状を順に測定する演算処理を行う演算処理手段と、を備えることを特徴とする三次元形状測定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の三次元形状測定装置において、
縦方向に配置した前記格子縞の1つに縦縞特定用の線状レーザ光を照射するとともに、横方向に配置した前記格子縞の1つに横縞特定用の線状レーザ光を照射する縞特定用レーザ光源を備えることを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項1】
鏡面反射する表面を有する測定対象物の表面形状を測定する三次元形状測定方法において、
輝度が正弦波状に変化する格子縞が形成された格子板を有し、前記格子縞の縞パターンを前記表面全体に照射する縞パターン照射手段と、2次元に配置された複数の画素を有するCCDカメラとを、前記表面全体で反射される前記縞パターンを前記複数の画素で撮像するように配置し、
エッジ点特定用の線状レーザ光を前記測定対象物に照射して該測定対象物のエッジ点を発光させ、該発光した前記エッジ点を前記CCDカメラで撮像し、
前記エッジ点の3次元位置を算出し、該エッジ点の接平面を基準に前記表面全体の形状を順に測定することを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項2】
請求項1に記載の三次元形状測定方法において、
前記格子縞の縞パターンを前記表面全体に照射し、前記表面で反射されその表面形状に応じて前記縞パターンが変化した変形縞パターンを前記CCDカメラで撮像し、
位相シフト法により、前記CCDカメラの各画素における前記変形縞パターンの輝度値から前記各画素における前記正弦波の位相値を求め、
前記各画素の位相値に基づき、前記各画素の視線上にある前記格子縞上の各位置を求め、
前記各画素の視線が通る前記表面上の各点の接平面を、前記エッジ点の接平面を基準に順に求めることを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項3】
請求項2に記載の三次元形状測定方法において、
前記位相シフト法により前記各画素における前記正弦波の位相値を求める際に、
前記格子縞を縦方向に配置した状態で、前記格子縞の位相を横方向に同ピッチずつずらして少なくとも3枚の縦の変形縞パターンを前記CCDカメラにより撮像し、該3枚の縦の変形縞パターンを使って位相シフト法を行う縦縞の位相シフトと、
前記格子縞を横方向に配置した状態で、前記格子縞の位相を縦方向に同ピッチずつずらして少なくとも3枚の横の変形縞パターンを前記CCDカメラにより撮像し、該3枚の横の変形縞パターンを使って位相シフト法を行う横縞の位相シフトと、を行うことを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項4】
請求項3に記載の三次元形状測定方法において、
前記縦縞の位相シフトでは、縦方向に配置した前記格子縞の1つに縦縞特定用の線状レーザ光を照射し、該線状レーザ光が照射された前記格子縞の1つが前記表面で反射される縦の基準線を前記CCDカメラで撮像し、前記縦の基準線の位置に基づき、該基準線に直交する方向における前記各画素とそれぞれ対応する前記格子縞上の位置を算出し、
前記横縞の位相シフトでは、横方向に配置した前記格子縞の1つに横縞特定用の線状レーザ光を照射し、該線状レーザ光が照射された前記格子縞の1つが前記表面で反射される横の基準線を前記CCDカメラで撮像し、前記横の基準線の位置に基づき、該基準線に直交する方向における前記各画素とそれぞれ対応する前記格子縞上の位置を算出する、ことを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項5】
請求項1〜4のいずれか1つに記載の三次元形状測定方法において、
前記エッジ点の3次元位置を、前記エッジ点特定用の線状レーザで定義される平面と、前記エッジ点を通る前記複数の画素の1つの視線との交点から算出することを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項6】
請求項5に記載の三次元形状測定方法において、
前記エッジ点の接平面は、前記エッジ点を通る前記複数の画素の1つの視線と、該1つの画素に対応する前記格子縞上の位置と前記エッジ点とを結ぶ直線の2等分線を前記エッジ点での法線とする面として求めることを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項7】
請求項6に記載の三次元形状測定方法において、
前記測定対象物を上方から見た平面をXY平面とすると、
前記エッジ点とY座標値が同じ横一列の形状測定の際には、
前記エッジ点からX座標値を前記画素の配列ピッチの1つ分ずつずらした各測定点を、前回の測定点での接平面と、該前回の測定点を視線が通る画素の隣の画素の視線との交点から決め、
前記各測定点では、各測定点と、該各測定点にそれぞれ対応する前記格子縞上の点とを結ぶ線をそれぞれ求め、ここで求めた各線と前記各測定点を通る前記各画素の視線とのなす角の2等分線を法線とする接平面をそれぞれ求め、
その後、前記エッジ点特定用の線状レーザ光を前記複数の画素の配列ピッチの1つ分ずつずらして前記測定対象物に照射して、前記測定対象物の別のエッジ点を順に発光させ、
順に発光させた各エッジ点の接平面を基準に、前記別のエッジ点とY座標値が同じ前記横一列の形状測定を前記表面のY方向全体にわたって順に繰り返して、前記表面全体の形状を測定することを特徴とする三次元形状測定方法。
【請求項8】
鏡面反射する表面を有する測定対象物の表面形状を測定する三次元形状測定装置において、
輝度が正弦波状に変化する格子縞が形成された格子板および光源を有し、該光源の点灯により前記格子縞の縞パターンを前記表面全体に照射する縞パターン照射手段と、
2次元に配置された複数の画素を有し、前記表面全体で反射される前記縞パターンを撮像するCCDカメラと、
エッジ点特定用の線状レーザ光を前記測定対象物に照射して該測定対象物のエッジ点を発光させるエッジ点特定用レーザ光源と、
前記エッジ点の3次元位置を算出し、該エッジ点の接平面を基準に前記表面全体の形状を順に測定する演算処理を行う演算処理手段と、を備えることを特徴とする三次元形状測定装置。
【請求項9】
請求項8に記載の三次元形状測定装置において、
縦方向に配置した前記格子縞の1つに縦縞特定用の線状レーザ光を照射するとともに、横方向に配置した前記格子縞の1つに横縞特定用の線状レーザ光を照射する縞特定用レーザ光源を備えることを特徴とする三次元形状測定方法。
【図1】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【図2】
【図3】
【図4】
【図5】
【図6】
【図7】
【図8】
【図9】
【図10】
【図11】
【公開番号】特開2006−105942(P2006−105942A)
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2004−297033(P2004−297033)
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【Fターム(参考)】
【公開日】平成18年4月20日(2006.4.20)
【国際特許分類】
【出願日】平成16年10月8日(2004.10.8)
【出願人】(000004008)日本板硝子株式会社 (853)
【出願人】(593006630)学校法人立命館 (359)
【Fターム(参考)】
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