説明

三輪車の差動装置

【課題】現在多くの三輪自転車は後輪のどちらか一方を駆動して走行の方式を採用している。これは従来の差動装置では高価で扱い難い事に原因があるからで、片輪駆動走行では、旋回の時、駆動輪側に旋回が困難と言う不具合を承知の上の選択手段と考えられる。
この不具合は走行安全上も問題視すべきで、旋回が円滑に出来る様、安価で簡単、取り扱い易い差動装置の開発が待ち望まれるものの所以である。
【解決手段】差動装置には普通傘型歯車が用いられるが、傘型歯車は、製作が平型歯車に比べて生産性が低く、又2〜3倍高価である。平型歯車を採用すれば、材料費が安価で加工が楽である。実現方法として、2個の椀型のハウジング内部の車輪軸と結合の二枚の平歯車と、ハウジングに保持される二本の軸の2個の平遊星歯車の4者を夫々噛み合わせて、ハウジングを駆動する事により、構造簡単で安価、取り扱いが楽の差動装置を実現する

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は三輪車等の後二輪を駆動して走行する乗物に関する物である。
【技術背景】
【0002】
従来の差動装置は概ね傘型歯車を使用して差動装置を構成しているが、傘型歯車は高価で量産に向かなく、製品高となり、扱い難い。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0003】
本発明は傘型歯車に替えて安価で量産の可能な平歯車を使って差動装置を実現しようとするものである。・
【問題を解決する為の手段】
【0004】
向かい合わせの椀型の二個のハウジングの内部で、車輪軸に結着の2個の大きい平歯車に2個の軸を持つ平遊星ピニオンをそれぞれ噛み合わせ、又、そのピニオン同士もかみ合わせてピニオンの二本の軸をハウジングにて支持して、ハウジングの回転を前記ピニオンを介して車輪軸に回転を伝えて、差動装置を構成する。
【0005】
以後ピニオンを遊星歯車と称す
【0006】
以下図によって説明する。図1は本発明を三輪自転車に装着した図で1a、1bはハウジング、1cはハウジングを廻すギヤー、2a,2bは車輪軸、10a,10bは車輪、11は、ペダル12の回転をハウジング1c、に伝えるチェーン。
【0007】
図2、図3、は本発明の外観図で1a,1bはハウジング、1c、はハウジング1bと一体の回転受けのギヤー、2a、2bは左、右車輪軸、4c,5cは遊星歯車4a,5aの軸、7a,7bは軸4cの支持穴、8a,8bは軸5cの支持穴、9は、1a,1b,を貫くノックピン、6、6、6,6は1a,1b、を結着のボルトである
【0008】
図4は本発明を軸方向から見た図で、ハウジング内部の歯車の配置を示す、図5は内部構造を説明の為、図4のA−A′でハウジング1a,1b、だけを割いた図である。図5に於いて、3aは、車軸2aと結合の平歯車、3bは、車軸2bと結合の平歯車、4aは遊星歯車、4bはスペーサー、4cは4a,4bの軸である。
【0009】
5aは遊星歯車、5bはスペーサー、5cは5a,5bの軸である。4aは一端が平大歯車3aと噛み合い5aは一端が平大歯車3bと噛み合い、且つ、4aと5aが他端で互いに噛み合う位置に、軸4c,5cがあり、ハウジング1a,1b,の支持穴7a7b,8a、8bが軸4c、5cの両端末を支持する。
【0010】
図6は遊星歯車4a,5aが上部に位置する時の、軸方向から見た図である。図7は図6のB−B′でハウジングだけを割いた図で,歯車3a,3bに結着の2a,2b,の軸が向き合って夫々突き出て、3a,3bの間に隙間を形成して、遊星歯車4a,5aの噛み合いの場を作る。又4b,5b、は4a,5aが軸方向に所定位置で噛み合う為のスペーサーである、
【0011】
次に作用について説明する。ベルト11に依って1cを回転すると、直進の場合、ハウジング1a,1b、が回転して軸4c,5cがそれについて廻り、その回転が遊星歯車4a,5aを介して車輪軸2a,2bの歯車3a,3bを同時に廻し、車輪10a,10bが同じ回転をする。
【0012】
今、仮りに車輪10b側に旋回すると10bが減速し、歯車3bが減速するので遊星歯車5aはハウジングによって強制的に引き回され、3b上を転がりながら回転を起こし、その回転を遊星歯車4aに伝える。4aは回転しながら転がり、回転を歯車3aに伝達して、3aは増速する。これに依り車輪10aは10bの減速分回転が早まり、いわゆる差動効果が生ずる。
【0013】
反対に、車輪10aが減速の場合も前記と同様な作用で逆の差動が生じて、10bは10aの減速分増速する。又、極端な例として、一方の車輪が停止の時は、反対側の車輪は回転受けギヤー1cの回転の二倍の回転をする。
【発明の効果】
【0014】
平歯車は傘型歯車に比べて製作費が安く、又、車輪軸、遊星歯車軸が平行であるのでハウジングの軸受け加工が容易である。従って平型歯車を採用する事は自転車のような小動力車にとっては、構造簡単で、軸が交錯して加工費が嵩み価格が高い傘型歯車に比べて製作費が安くなり有利である
【発明を実施するために最良の形態】
【0015】
以下本発明の実施の形態を図2〜7に基ついて説明する
【0016】
椀型の底に当たる部が軸受けのハウジングに、軸端を少々突き出した平歯車3a,3bを固着した軸2a,2b,を1a,1bの軸受けに通し、ハウジングを向かい合わせる。3a,3b間は車軸が突出しているので図7に見る如く間隔が生ずる。軸4c,5cは長型の遊星歯車4a,5a、とスペーサー4b,5bの夫々通し軸となる。
【0017】
而して4aは3aと、5aは3bと噛み合わせ且つ3a,3bの間隙で4a,5aを噛み合わせて軸4c,5cの両端はハウジング1a,1bの支持穴7a7b,8a8bに固定する。その際4bと5bは4aが3bに、5aが3aに触れない様互い違いに4a,4bと共に4c,5cに取り付ける。
【0018】
9のノックピンは4c、5cを正しい位置に保持し、1a,1bを合わせ組み立てる時のガイドと、使用中1a,1bがずれて、歯車同士の噛み合いの不調のを防止する重要な役目を持つ。
【図面の簡単な説明】
【0019】
【図1】本発明の差動装置を装着の三輪車の外観図
【図2】本発明の軸に直角の視図
【図3】、本発明の軸方向より見る図
【図4】本発明の内部構造図
【図5】本発明のハウジングだけをA−A′で割いた図
【図6】図4を90度右に回転した図
【図7】図6のハウジングだけをB−B′で割いた図
【符号の説明】
【0020】
1a ハウジング(左)
1b ハウジング(右)
1c 駆動受けギヤー
2a 車軸(左)
2b 車軸(右)
3a 車軸平歯車(左)
3b 車軸平歯車(右)
4a 遊星平歯車
4b スペーサー
4c 軸
5a 遊星平歯車
5b スペーサー
5c 軸
締め付けボルト
締め付けボルト
締め付けボルト
締め付けボルト
7a 軸取り付け穴
7b 軸取り付け穴
8a 軸取り付け穴
8b 軸取り付け穴
10a 車輪(左)
10b 車輪(右)
11 動力伝達チェーン
12 足こぎペダル

【特許請求の範囲】
【請求項1】
底部に軸受けを持つ椀型の2個のハウジングの軸受けに、一端に平歯車を固定した2軸の歯車をハウジング内に収めて軸をそれぞれを通し、前記二枚の歯車間に間隔を設けて向かい合わせて、、この2個の軸付き平歯車に、長形の2個のピニオンの一端を夫々かみ合わせ、且つ両ピニオンの他端を前記平歯車の対峙する隙間で互いに噛み合う位置で二個のピニオンの軸の両端を両ハウジングに保持して、ハウジングを結合して、ハウジングの受動ギヤーからの回転を、ピニオンを介して軸付き平歯車に伝達する事を特徴とする差動装置
【請求項2】
請求項1記載の合わせ結合のハウジングに、ノックピンを設けて遊星歯車軸のずれ防止の差動装置
【請求項3】
請求項1記載の差動装置を搭載する三輪自転車

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【公開番号】特開2008−286380(P2008−286380A)
【公開日】平成20年11月27日(2008.11.27)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2007−158036(P2007−158036)
【出願日】平成19年5月21日(2007.5.21)
【出願人】(500159853)
【Fターム(参考)】