説明

不安を処置するための方法

不安の処置を必要とする患者に、式(I):


(I)
で示される化合物を投与することによって不安を処置する方法を開示する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本明細書には、不安の処置を必要とする患者に、式:
【化1】

[式中、XはCH2またはCH2-CH2であり、
Aはアリール、またはN、SおよびOからなる群より選択される0、1、2もしくは3個の原子を持つヘテロアリールであって、
Aは、0〜8個の炭素原子、0〜3個の酸素原子、0〜3個のハロゲン原子、0〜2個の窒素原子、0〜2個の硫黄原子、および0〜24個の水素原子からなる群より独立して選択される0、1、2または3個の置換基を持つ]
で示される化合物を投与することによって不安を処置する方法を開示する。
【背景技術】
【0002】
不安
「不安」とは、人を苦しめ、または不快にする、心配または他の困惑という感情状態を指す。これは、例えば全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、恐怖症性障害、およびストレス障害を含むさまざまな不安障害の中心的特徴である。不安は、他の精神障害、例えば混合性不安-抑うつ障害と共に、共存症として発生することもあり、例えば月経前不快気分症候群などにおいて、それらの精神障害の一症状である場合もある。不安は、精神障害以外の状態、例えばアルツハイマー病または線維筋痛症などと共に、共存症として発生することもある。
【0003】
全般性不安障害は、ほとんど誘因が存在しないことの多い過剰な不安を特徴とする。不安は、多くの場合、1つ以上の対象(例えば財力および健康)を持ち、時間の経過と共に変化する。これは、多くの場合、1つ以上の身体的症状、例えば疲労、頭痛、筋緊張、筋痛、嚥下困難、振戦、痙攣、易怒性、発汗、のぼせ、不穏、および集中困難などを伴う。
【0004】
強迫性障害は、侵入的観念(例えば汚染を恐れること、飛行を恐れること)もしくは衝動(例えば他者に危害を加えること)、またはそのような観念もしくは衝動によって惹起される不安を和らげるために一定の行為を行おうとする強迫、を特徴とする。強迫は、多くの場合、何度も繰り返して手を洗う、数を数える、または一定の句を口に出すなどの反復的行為を伴い、他者にとって目につく場合も目につかない場合もある。
【0005】
パニック発作は、1つ以上の認知症状または身体症状を伴う、強い、多くの場合自発的な、不安のエピソードを特徴とする。認知症状には、死を恐れること、発狂もしくは自制力の喪失を恐れること、非現実感、違和感、または周囲からの離脱感が含まれる。身体症状には、胸痛または胸部不快感、めまい、失神、息苦しさ、紅潮または冷感、悪心または腹部苦悶、しびれ感または刺痛感、動悸または心拍数上昇、息切れ感または窒息感、発汗、および振戦または震えが含まれる。パニック発作は、自発的に発生する場合も、他の不安障害と共に発生する場合もあり、例えば閉所恐怖症を持つ人は、エレベーターに乗った時にパニック発作を起こしうる。パニック障害は、ある人が繰り返してパニック発作を起こす場合に発生する。
【0006】
恐怖症性障害は、一定の状況および対象に対する強い非合理的な恐れを特徴とし、多くの場合、その恐れの原因の忌避を伴う。全般性恐怖症と特定恐怖症の2タイプがある。全般性恐怖症は、広場恐怖症および社会恐怖症を含む。広場恐怖症は、逃避または救援が叶わない状況または場所に追い込まれることに対する恐れであり、例えば映画館で座ることを恐れたり、バスに乗ることを恐れたりしうる。社会恐怖症は、一定の社会状況によって惹起される恐れである。この恐怖症を持つ人は、多くの場合、彼らが首尾良く行動できなかった場合に困惑または屈辱が生じることを恐れる。また、彼らは、不安の症状(発汗、赤面、声の震えなど)が明白になって、それがさらなる困惑と屈辱につながることを恐れる場合もある。
【0007】
特定恐怖症では、恐怖のもとが、動物(動物恐怖症)、雷雨(雷光恐怖症および雷鳴恐怖症)、または血液(血液恐怖症)などの特定対象であるか、高所(高所恐怖症)または閉ざされた場所(閉所恐怖症)にさらされることなどの特定状況である。
【0008】
ストレス障害は、一般に、急性ストレス障害タイプと心的外傷後ストレス障害タイプに区分される。急性ストレス障害は、心的外傷的出来事を目撃または体験することに起因し、その症状には、その出来事の反復的回想、覚醒亢進、感情的分離、および/または健忘などが含まれる。急性ストレス障害は、持続期間が短く、通常は4週間以内である。それより長い症状持続は、多くの場合、心的外傷後ストレス障害を示す。心的外傷後ストレス障害は、心的外傷的出来事の反復的で頻回な望まれない回想、悪夢、抑うつ感または罪悪感、および感情的分離を特徴とする。
【0009】
本明細書に記載する障害は、人の機能を妨害する場合がある。しかし、そうでない場合もあり、本発明の化合物は、たとえその不安が重症でなくても、不安を処置するために使用することができる。例えば偶発的パニック発作を持つ人は、たとえその人がパニック障害を持たないとしても、本発明の化合物で処置することができる。その人が度重なるパニック発作に悩まされるか、またはそれらのせいで支障を来すようになる前に、本発明の化合物による処置を開始しうる。同様に、軽度の急性ストレス障害を患っている患者を、本発明の化合物で処置することができ、その急性障害が心的外傷後ストレス障害に進行するまで待つ必要はない。重要なのは、不安の処置を求めている人が不安を不快だと認め、それを軽減したいおよび/またはその発生を予防したいと願うことだけである。
【発明の概要】
【0010】
本発明の化合物
本発明の方法は、次式の化合物を患者に投与することを含む:
【化2】

[式中、XはCH2またはCH2-CH2であり、
Aはアリール、またはN、SおよびOからなる群より選択される0、1、2もしくは3個の原子を持つヘテロアリールであって、
Aは、0〜8個の炭素原子、0〜3個の酸素原子、0〜3個のハロゲン原子、0〜2個の窒素原子、0〜2個の硫黄原子、および0〜24個の水素原子からなる群より独立して選択される0、1、2または3個の置換基を持つ]。
【0011】
本明細書にいう「アリール」は、少なくとも1つの芳香環を含有する任意の環または環系を意味する。
【0012】
本明細書にいう「ヘテロアリール」は、環内の原子のうちの0、1、2または3個がN、SまたはOである芳香環を意味し、これには、例えばピリジニル、チエニル、およびフリルが包含される。
【0013】
置換基は、同じであっても相異なってもよい。本明細書に定義する制約を持つ置換基の例には、限定するわけではないが、以下に挙げるものが含まれる:
【0014】
ヒドロカルビル、つまり炭素および水素だけからなる部分、例えば、
a.アルキル、つまり二重結合も三重結合も持たないヒドロカルビル、例えば
i)直鎖アルキル、例えばメチル、エチル、n-プロピル、n-ブチル、n-ペンチル、n-ヘキシルなど、
ii)分岐アルキル、例えばイソプロピル、t-ブチルおよび他の分岐ブチル異性体、分岐ペンチル異性体など、
iii)シクロアルキル、例えばシクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシルなどであって、場合によっては、別のシクロアルキルまたはフェニル置換基に縮合していてもよい、
iv)直鎖、分岐、および/またはシクロアルキルの組合せ
を包含するが、これらに限るわけではない;
b.アルケニル、例えば1個以上の二重結合を持つヒドロカルビルであって、直鎖、分岐、またはシクロアルケニルを含む;
c.アルキニル、例えば1個以上の三重結合を持つヒドロカルビルであって、直鎖または分岐(アルキニル)を含む;
d.アルキル、アルケニル、および/またはアルキニルの組合せ;
を包含するが、これらに限るわけではない;
【0015】
アルキル-CN、例えば-CH2-CN、-(CH2)2-CN、-(CH2)3-CNなど;
ヒドロキシアルキル、すなわちアルキル-OH、例えばヒドロキシメチル、ヒドロキシエチルなど;
エーテル置換基、例えば-O-アルキル、アルキル-O-アルキルなどを含む;
ヒドロキシアルキルエーテル、例えば-COOH;
チオアルキルおよびチオエーテル置換基、例えば-S-アルキル、アルキル-S-アルキルなどを含む;
【0016】
アミン置換基、例えば-NH2、-NH-アルキル、-N-アルキル1アルキル2(すなわちアルキル1およびアルキル2は同じであるか、または相異なり、どちらもNに結合している)、アルキル-NH2、アルキル-NH-アルキル、アルキル-N-アルキル1アルキル2などを含む;
アミノアルキル、つまり例えばアミノメチル(-CH2-アミン)、アミノエチルなどのアルキル-アミン;
【0017】
エステル置換基、例えば-CO2-アルキル、-CO2-フェニルなどを含む;
他のカルボニル置換基、例えばアルデヒド;アシル(すなわち
【化3】

)などのケトンを含み、特にアセチル、プロピオニル、およびベンゾイル置換基が考えられる;
【0018】
フェニルおよび置換フェニル(このフェニルおよび置換フェニルは、それ自体が、場合によっては別のフェニルまたはシクロアルキル置換基と縮合していてもよい);
フルオロカーボンおよびヒドロフルオロカーボン、例えば-CF3、-CH2CF3など;
-CN;ならびに
-F、-Cl、-Br、または-I。
定義した制約を条件として、上記の置換基の組合せも考えられる。
【0019】
置換基は、常圧下、室温で、ボトル中に少なくとも12時間は保存されるように十分に安定であるか、または本明細書に開示する目的に役立つように十分に安定でなければならない。
【0020】
置換基が、例えばカルボン酸またはアミンなどの塩である場合、前記塩の対イオン、すなわち分子の残りの部分に共有結合的には結合していないイオンは、置換基中の重原子の数にはカウントされない。したがって、例えば、塩-CO2-Na+は3個の重原子からなる安定な置換基である(すなわちナトリウムはカウントされない)。別の例として、塩-NH(Me)2+Cl-は3個の重原子からなる安定な置換基である(すなわち塩素はカウントされない)。
【0021】
ある実施形態では、Aがピリジニルである。つまり、例えば以下に示すような構造の化合物が考えられる。これらの構造において、R1、R2、およびR3は本明細書に定義する置換基である。
【化4】

【0022】
別の実施形態では、Aがチエニルである。つまり、例えば以下に示すような構造の化合物が考えられる。これらの構造において、R1およびR2は本明細書に定義する置換基である。
【化5】

【0023】
別の実施形態では、Aがフリルである。つまり、例えば以下に示すような構造の化合物が考えられる。これらの構造において、R1、R2、およびR3は本明細書に定義する置換基である。
【化6】

【0024】
ある実施形態では、各置換基が独立して、1〜8個の炭素原子を持つアルキルである。
別の実施形態では、Aが無置換であるか、イソプロピル置換基を持つ。
別の実施形態では、Bの各置換基が-F、-Cl、-CH3、または-CF3である。
【0025】
別の実施形態では、Aが、0、1、2または3個の置換基を持つピリジル、チエニル、フリル、ピロリル、ピロリジニル、イミダゾリル、オキサゾリル、チアゾリル、ピラゾリル、ピリミジニル、キノリニル、またはピラジニルである。
【0026】
別段の表示がない限り、化合物への言及は、記載した構造または化学名を持つ化学種の薬学的に許容できる塩、プロドラッグ、互変異性体、異なる固体形態、および非共有結合的複合体を包含する。
【0027】
薬学的に許容できる塩は、動物またはヒトへの投与に適した親化合物の任意の塩である。薬学的に許容できる塩は、酸、別の塩、または酸もしくは塩に変換されるプロドラッグを投与した結果としてインビボで形成されうる任意の塩も指す。塩は、1つ以上の対応する対イオンを伴う、当該化合物の1つ以上のイオン型、例えば共役酸または共役塩基を含む。塩は、1つ以上の脱プロトン化した酸性基(例えばカルボン酸)、1つ以上のプロトン化した塩基性基(例えばアミン)またはその両方(例えば両性イオン)から形成されるか、それらを組み込むことができる。
【0028】
酸性官能基の薬学的に許容できる塩は、有機塩基または無機塩基から誘導されうる。塩は、一価または多価イオンを含みうる。特に興味深いのは、無機イオン、リチウム、ナトリウム、カリウム、カルシウム、およびマグネシウムである。有機塩は、アミン類、特にモノ、ジおよびトリアルキルアミンまたはエタノールアミンなどを使って製造することができ、特にアンモニウム塩である。塩は、カフェイン、トロメタミンおよび類似の分子を使って形成させることもできる。塩酸または他の薬学的に許容できる酸は、アミンまたはピリジン環などの塩基性基を含む化合物との塩を形成することができる。
【0029】
プロドラッグは、投与後に治療的に活性な化合物に変換される化合物である。本発明の範囲を限定するつもりはないが、変換は、エステル基または他の何らかの生物学的に不安定な基の加水分解によって起こりうる。必ずしもそうとは限らないが、一般的には、プロドラッグは不活性であるか、それが変換されて生じる治療的に活性な化合物よりも活性が低い。特に、本明細書に開示する化合物のエステルプロドラッグが考えられる。エステルは、C1のカルボン酸(すなわち天然プロスタグランジンの末端カルボン酸)から誘導するか、エステルは、分子の別の部分(例えばフェニル環上)にあるカルボン酸官能基から誘導することができる。限定するつもりはないが、エステルは、アルキルエステル、アリールエステル、またはヘテロアリールエステルであることができる。アルキルという用語は当業者に広く理解されている意味を持ち、直鎖、分岐、または環状アルキル部分を指す。C1-6アルキルエステルは、特に有用である。この場合、そのエステルのアルキル部分は1〜6個の炭素原子を持ち、限定するわけではないが、メチル、エチル、プロピル、イソプロピル、n-ブチル、s-ブチル、イソブチル、t-ブチル、ペンチル異性体、ヘキシル異性体、シクロプロピル、シクロブチル、シクロペンチル、シクロヘキシル、および1〜6個の炭素原子を持つその組合せなどを含む。
【0030】
互変異性体は、互いに迅速な平衡状態にある異性体である。それらは多くの場合、プロトン、水素原子、または水素化物イオンの移動を伴うが、必ずしもそうであるとは限らない。例えば、本明細書に記載の構造は、以下に示す互変異性体型を包含するものとする(ただしこれらに限るわけではない):
【化7】

【0031】
立体化学を明示的に示さない限り、構造は、考えうる全ての立体異性体を、純品として、または考えうる任意の混合物として、包含する。
【0032】
異なる固体形態は、本明細書に記載する手順を実施することによって生じるであろう、ある固体形態とは異なる固体形態である。例えば異なる固体形態は、多形、さまざまな非晶質固体形態、ガラスなどであることができる。
【0033】
非共有結合的複合体は、化合物と1つ以上のさらなる化学種との間に形成されうる複合体であって、その化合物とさらなる化学種との間に共有結合的相互作用を伴わないものである。それらは、化合物とさらなる化学種との間に、特定の比を持っても、持たなくてもよい。その例は、溶媒和物、水和物、電荷移動錯体などを包含しうる。
【0034】
本発明の化合物を製造するための方法は、例えば米国特許出願第60/647,271号に記述されており、その開示は参照により本明細書に組み込まれる。
【0035】
本発明の方法に役立つ組成物は、さらに賦形剤を含みうる。そのような賦形剤は、担体または希釈剤であることができ、これは通常、活性化合物と混合されるか、これを使って活性化合物が希釈または封入される。希釈剤の場合、担体は、活性化合物に対して賦形剤またはビヒクルとして作用する、固形、半固形、または液状材料であることができる。製剤は、湿潤剤、乳化剤、保存剤、甘味剤、および/または着香剤も含みうる。
【0036】
処置方法
本明細書に記載する化合物は、不安に苦しむ患者を処置するために使用することができる。
【0037】
本明細書にいう「処置する」とは、医学的に対処することを意味する。これは、例えば、不安の発現を予防するため、その重症度を軽減するため、およびその再発を予防するために、本発明の化合物を投与することを含む。
【0038】
本発明の化合物は、薬学的有効量で投与することができる。そのような量は通常、所望の治療効果を達成するのに必要な最小用量であり、不安の処置にあっては、この量は、大ざっぱに言って、不安を排除するか、または不安を忍容できるレベルまで減少させるのに必要な量である。そのような量は、一般に不安の予防にも同様に有効でありうるが、この目的には、より少ない量を使用することもできる。成人の場合、有効量は、一般的には0.1〜5,000mg/日の範囲内になるだろうが、より好ましくは1〜3,000mg/日、10mg〜500mg/日、500〜1,000mg/日、1,000〜1,500mg/日、1,500〜2,000mg/日、2,000〜2,500mg/日、または2,500〜3,000mg/日の範囲内になるだろう。任意の所与の症例において投与されるべき化合物の実際の量は、不安の重症度、患者の年齢および体重、患者の全身健康状態、ならびに投与経路などの関連状況を考慮して、医師によって決定されることになる。
本化合物は、哺乳動物、特にヒトにおける不安の処置に有用である。
【0039】
患者には、例えば錠剤、液剤、カプセル剤、粉末剤などの任意の許容できる形態で、経口的に本発明化合物を投与することができる。他の経路が望ましいか、または必要なこともありうる(特に患者が悪心に苦しんでいる場合)。そのような他の経路には、例えば経皮、腹腔内、非経口、皮下、鼻内、クモ膜下、筋肉内、静脈内および直腸内送達様式を含めることができる。
【0040】
実施例
高架式十字迷路試験
高架式十字迷路(EPM)は、開放的な環境における齧歯類の本能的不安応答と、それに続いて起こる、そのような環境を避けようとする性癖とを利用する。マウスの試験は、十字記号のような形状をした乳白色プラスチック迷路で行われる。迷路は、床から約40インチ離れたテーブル上に設置され、それ自体が約40cmの高さである。迷路の4本のアームは全て同じ長さを持ち、それぞれ30.5cmである。迷路の中心部分は5cm角である。迷路の2本(北/南)のアームは、その「十字」の中心部分を除くアーム全体にわたって、高さ15.25cmの壁を持つ。他の2本(東/西)のアームは開放されており、端部を囲む0.3cmの縁だけがあって、開放された3辺は全て視覚的断崖になっている。各アームの幅は5cmである。
【0041】
EPM試験は、試験化合物を腹腔内(i.p.)投与または経口胃管(p.o.)投与した60分後に行う。i.p.投与の場合は、化合物をH2O中に製剤化し、1ml/kg体重の体積で、腹腔内に注射することによって与える。p.o.投与の場合は、化合物をH2O中に製剤化し、食道を通して胃内にゆっくり挿入される25ゲージの1.5インチ胃管栄養針を使って、1ml/kg体重の体積で与える。
【0042】
試験は5分間継続する。動物をクローズアームに向けて迷路の中心に置き、まる5分間、迷路を自由に探索させる。オープンアームおよびクローズアームへの進入回数をカウントし、オープンアームでの滞在時間(秒単位)もカウントする。後者の変数(オープンアーム内での時間)は、このタスクにおける主要従属変数としてよく使用され、表1に示す変数である。対照(ビヒクル処置)動物は通常、オープンアームには1〜3回より多くは進入せず、これらのアームには合計10〜20秒間滞在する。ジアゼパムまたはブスピロンなどの抗不安化合物は、オープンアームへの進入回数およびオープンアームでの滞在時間を増加させる。これらのデータも陽性対照データとして下記表1に示す。
【0043】
【表1−1】

【0044】
【表1−2】

【0045】
【表1−3】

【0046】
【表1−4】


【特許請求の範囲】
【請求項1】
不安を処置するための医薬の製造における、式:
【化1】

[式中、XはCH2またはCH2-CH2であり、
Aはアリール、またはN、SおよびOからなる群より選択される0、1、2もしくは3個の原子を持つヘテロアリールであって、
Aは、0〜8個の炭素原子、0〜3個の酸素原子、0〜3個のハロゲン原子、0〜2個の窒素原子、0〜2個の硫黄原子、および0〜24個の水素原子からなる群より独立して選択される0、1、2または3個の置換基を持つ]
で示される化合物の使用。
【請求項2】
Aがピリジニル、チエニル、フリル、キノリニル、メチルフェニル、およびビフェニルからなる群より選択される、請求項1に記載の使用。
【請求項3】
Aが無置換である、請求項2に記載の使用。
【請求項4】
不安が全般性不安障害、強迫性障害、パニック障害、恐怖症性障害、急性ストレス障害、心的外傷後ストレス障害、または混合性不安-抑うつ障害に関連する、請求項1〜3のいずれかに記載の使用。
【請求項5】
Aが
【化2】

である、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項6】
Aが
【化3】

である、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項7】
Aが
【化4】

である、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項8】
Aが
【化5】

である、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項9】
Aが
【化6】

である、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項10】
Aが
【化7】

である、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項11】
Aが
【化8】

である、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項12】
Aが
【化9】

である、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。
【請求項13】
Aが
【化10】

である、請求項1〜4のいずれかに記載の使用。

【公表番号】特表2010−533720(P2010−533720A)
【公表日】平成22年10月28日(2010.10.28)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2010−517073(P2010−517073)
【出願日】平成20年7月8日(2008.7.8)
【国際出願番号】PCT/US2008/069428
【国際公開番号】WO2009/012082
【国際公開日】平成21年1月22日(2009.1.22)
【出願人】(591018268)アラーガン、インコーポレイテッド (293)
【氏名又は名称原語表記】ALLERGAN,INCORPORATED
【Fターム(参考)】