説明

不良検査装置、部品実装システム、不良検査方法、プログラム

【課題】基板を撮像した画像に基づいて不良の有無を的確に検出可能な不良検査装置を提供する。
【解決手段】半田印刷工程後の基板を撮像した印刷基板画像データと部品装着工程後の基板を撮像した部品装着基板画像データのそれぞれからパッドごとの半田面積を求める。そして、パッドごとの半田面積の半田印刷工程後と部品装着工程後とでの変化量に基づいて、パッドにおける半田付け不良が発生したか否かについて判定する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基板の半田付け不良を検査する不良検査装置、不良検査方法およびプログラムに関する。また、不良検査装置を備える部品実装システムに関する。
【背景技術】
【0002】
基板に対する部品実装技術としてSMT(Surface Mount Technology:表面実装技術)が知られている。SMTは、基板に部品実装用の孔部を形成するのではなく、基板上に載置するように部品を装着し、装着面に対する半田付けにより部品の固定と接続を行うという技術である。このSMTによる基板への部品実装は、半田印刷工程、部品装着工程、リフロー工程の順に行われる。
【0003】
このSMTにより実装される部品として、その両端にそれぞれ電極を有するチップ型の部品が広く知られている。このチップ型の部品は、リフロー工程後において「部品浮き」または「部品立ち(マンハッタンあるいはツームストーン)」などと呼ばれる現象による半田付け不良(浮き不良)が発生する場合がある。部品浮きとは、半田が溶融して生じる張力によるモーメントが部品の両端部で不均衡となった場合にその一方の端部が引っ張られることで、他方の端部が基板から浮き上がる(立ち上がる)現象である。
【0004】
そこで、半田印刷工程により塗布された半田の3次元情報を測定する装置を使用して不良を検査することが行われている。しかし、このような装置は高価であることと、3次元情報を取得するための演算処理が重く時間もかかるため、製造コストおよび時間効率などの点で不利である。
【0005】
そこで、2次元情報を利用して不良を検査する技術も知られている。この場合には、例えば基板を撮像する撮像装置を用意し、不良検査装置は撮像画像を対象とした画像処理を行えばよいため、上記コストおよび時間効率の問題を解消することができる。
【0006】
上記のように2次元情報を利用した不良検査を行うものとして、以下の特許文献1の技術が知られている。つまり、半田印刷工程、部品装着工程およびリフロー工程の各工程において基板を撮像し、まず、リフロー工程の撮像画像から浮き不良を検査する。そして、浮き不良が検出された場合には、部品実装工程の撮像画像から半田にじみの有無を判定する。半田にじみとは、半田がランドの外にはみ出す現象をいう。そして、この半田にじみが有る場合に、浮き不良の発生原因が半田印刷工程における半田ペースト量の過多であると特定するというものである。なお、半田にじみの有無は、以下のように判定している。つまり、画像処理によって部品電極部分とランド部分を抽出し、半田があるべき範囲を算出する。そして、画像処理によって半田の色を有する領域を抽出し、その領域と半田があるべき範囲とを比較する。半田があるべき範囲以外で半田の色領域が検出されれば、半田にじみ有りと判定する。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0007】
【特許文献1】特開2006−324424号公報
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0008】
上記特許文献1に記載の技術を用いれば、部品実装工程の撮像画像を利用して半田がパッドからはみ出しているか否かを判定することにより、半田塗布量の過多を原因とする浮き不良を検出できることになる。
【0009】
しかし、現実における部品装着工程後の半田の状態であるが、浮き不良が発生した部位が必ずしもパッドからはみ出ているとは限らない。つまり、部品装着工程後の半田がパッドからはみ出していなくとも部品浮きが発生する場合がある。また、逆に、部品装着工程後の半田がパッドからはみ出していても浮き不良が発生しない場合がある。
【0010】
一例として、部品装着工程後の半田がパッドからはみ出していなくとも浮き不良が発生する場合として、部品装着工程において部品の片側端部の半田への押し込み量が不十分な場合を挙げることができる。また、部品装着工程後の半田がパッドからはみ出ていても部品浮きが発生しない場合として、部品装着工程における半田への部品の押し込み量が適切である場合を挙げることができる。
【0011】
上記のように浮き不良の発生とパッドから半田がはみ出す状態は必ずしも一致するものではない。このため、特許文献1による技術では、不良の有無を的確に判定することができない。
【0012】
そこでこの発明は、上述の課題を解決することのできる不良検査装置、部品実装システム、不良検査方法、プログラムを提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0013】
本発明は、上述の課題を解決すべくなされたもので、本発明の一態様としての不良検査装置は、半田印刷工程によりパッドに半田を塗布した基板を撮像して得られた印刷基板画像データに基づいて前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、当該算出したパッドごとの半田面積を含む印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記基板を撮像して得られた部品装着基板画像データに基づいて前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、当該算出したパッドごとの半田面積を含む部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成部と、前記印刷基板半田情報に含まれる判定対象のパッドに対応する半田面積と、前記部品装着基板半田情報に含まれる前記判定対象のパッドに対応する半田面積との間での半田面積変化量を算出する半田面積変化量算出部と、前記半田面積変化量に基づいて前記判定対象のパッドにおける半田付けの不良の有無を判定する不良判定部とを備える。
【0014】
また、本発明の一態様としての部品実装システムは、基板のパッドに半田を塗布する半田印刷工程を行う半田印刷装置と、前記半田印刷装置により前記パッドに半田が塗布された前記基板を撮像して印刷基板画像データを生成する印刷基板撮像装置と、前記半田印刷装置により半田が塗布された前記基板のパッドに対して部品を装着する部品装着工程を行う部品装着装置と、前記部品装着装置により部品が装着された前記基板を撮像して部品装着基板画像データを生成する部品装着基板撮像装置と、前記部品装着装置により部品が装着された前記基板を加熱して前記半田を溶融させることにより、装着された前記部品を前記パッドに半田付けするリフロー工程を行うリフロー炉と、前記基板のパッドごとにおける半田付けの不良の有無を検査する不良検査装置とを備え、前記不良検査装置は、前記印刷基板画像データに基づいて前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、当該算出したパッドごとの半田面積を含む印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、前記部品装着基板画像データに基づいて前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、当該算出したパッドごとの半田面積を含む部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成部と、前記印刷基板半田情報に含まれる判定対象のパッドに対応する半田面積と、前記部品装着基板半田情報に含まれる前記判定対象のパッドに対応する半田面積との間での半田面積変化量を算出する半田面積変化量算出部と、前記半田面積変化量に基づいて前記判定対象のパッドにおける半田付けの不良の有無を判定する不良判定部とを備える。
【0015】
また、本発明の一態様としての不良検査方法は、半田印刷工程によりパッドに半田を塗布した基板を撮像して得られた印刷基板画像データに基づいて前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、当該算出したパッドごとの半田面積を含む印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成ステップと、部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記基板を撮像して得られた部品装着基板画像データに基づいて前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、当該算出したパッドごとの半田面積を含む部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成ステップと、前記印刷基板半田情報に含まれる判定対象のパッドに対応する半田面積と、前記部品装着基板半田情報に含まれる前記判定対象のパッドに対応する半田面積との間での半田面積変化量を算出する半田面積変化量算出ステップと、前記半田面積変化量に基づいて前記判定対象のパッドにおける半田付けの不良の有無を判定する不良判定ステップとを備える。
【0016】
また、本発明の一態様としてのプログラムは、コンピュータを、半田印刷工程によりパッドに半田を塗布した基板を撮像して得られた印刷基板画像データに基づいて前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、当該算出したパッドごとの半田面積を含む印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成手段、部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記基板を撮像して得られた部品装着基板画像データに基づいて前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、当該算出したパッドごとの半田面積を含む部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成手段、前記印刷基板半田情報に含まれる判定対象のパッドに対応する半田面積と、前記部品装着基板半田情報に含まれる前記判定対象のパッドに対応する半田面積との間での半田面積変化量を算出する半田面積変化量算出手段、前記半田面積変化量に基づいて前記判定対象のパッドにおける半田付けの不良の有無を判定する不良判定手段として機能させる。
【発明の効果】
【0017】
本発明によれば、基板を撮像した画像に基づいて不良の有無を的確に検出することができる。
【図面の簡単な説明】
【0018】
【図1】本発明の実施形態としての不良検査装置を含む部品実装システムの構成例を示す図である。
【図2】装着時の部品の傾きを原因とする部品浮きに応じた部品と半田の状態例を示す図である。
【図3】装着時に部品が傾く原因例を示す図である。
【図4】半田印刷工程による半田量の不均衡を原因とする浮き不良に応じた部品と半田の状態例を示す図である。
【図5】本実施形態における不良検査装置の構成例を示す図である。
【図6】本実施形態における不良検査装置の機能構成例を示す図である。
【図7】本実施形態における半田面積の算出手法例を示す図である。
【図8】印刷基板半田情報と部品装着基板半田情報の構造例を示す図である。
【図9】不良検査装置が実行する処理手順例を示す図である。
【図10】不良判定部が実行する基板不良判定処理の手順例を示す図である。
【発明を実施するための形態】
【0019】
[部品実装システムの構成]
図1は、本実施形態の不良検査装置100を含む部品実装システム1の構成例を示している。本実施形態の部品実装システム1は、基板のしかるべき位置に対して部品を半田付けすることにより部品実装を行うものであり、そのための複数の装置から成る。また、本実施形態の部品実装システム1は、SMT(Surface Mount Technology:表面実装技術)に対応する。SMTは、基板上に部品を装着し、基板上の部品実装面に対して半田付けを行うことにより部品の固定と接続を行うというものであり、半田印刷工程、部品装着工程、リフロー工程の順で進行する。
【0020】
半田印刷工程は、基板に形成されたパッドといわれる電極に対してクリーム状の半田を塗布する工程である。部品装着工程は、上記のようにクリーム状の半田が塗布されたパッド位置に対して部品を載せ置くように装着する工程である。リフロー工程は、部品が装着された基板全体を加熱することにより半田を溶融させ、これにより基板に部品を固定させる工程である。
【0021】
本実施形態の部品実装システム1は、半田印刷装置2、部品装着装置3、リフロー炉4、搬送装置5、搬送装置6、印刷基板撮像装置7、部品装着基板撮像装置8および不良検査装置100から成る。
【0022】
半田印刷装置2は、半田印刷工程としての動作を実行する装置である。半田印刷装置2には、部品が固定される導体であるパッドのパターンが形成された基板10が搬入される。半田印刷装置2は、搬入されてくる基板10のパッドに対してクリーム状の半田を塗布するためのスクリーン印刷を行う。
【0023】
半田の塗布が終了して半田印刷装置2から排出された基板10は、搬送装置5に受け渡される。搬送装置5は、この受け渡された基板10を部品装着装置3に対して搬送する。
【0024】
部品装着装置3には、上記のようにパッド上に半田が塗布された基板10が搬送装置5により搬入される。部品装着装置3は、この搬入された基板10上の半田が塗布されたパッド位置に載せ置くように部品を装着する。
【0025】
部品の装着が終了して部品装着装置3から搬出された基板10は、搬送装置6に対して受け渡される。搬送装置6は、この受け渡された基板をリフロー炉4に対して搬送する。
【0026】
リフロー炉4には、部品が装着された基板10が上記搬送装置6により搬入される。リフロー炉4は、搬入された基板10全体を所定の温度および時間により加熱することにより半田を溶融させることで半田付けを行い、基板10に対する部品の固定とパッドとの電気的接続を行う。これにより、リフロー炉4からは、部品が固定された状態で実装された基板10が排出されることになる。
【0027】
印刷基板撮像装置7は、半田印刷装置2による半田印刷工程が終了した段階の基板10ごとに、その半田が塗布される基板面を平面方向より撮像して画像データを生成する。このように生成された画像データは、基板10ごとの半田印刷工程後の状態を示す印刷基板画像データとして不良検査装置100に出力される。本実施形態において、印刷基板撮像装置7は、搬送装置5により搬送途中の基板10を撮像可能なように設けられているものとする。
【0028】
また、部品装着基板撮像装置8は、部品装着装置3による部品装着工程が終了した段階の基板10ごとに、半田の塗布および部品の装着が行われた基板面(印刷基板撮像装置7が撮像するのと同じ基板面となる)を平面方向より撮像して画像データを生成する。このように生成された画像データは、基板10ごとの部品装着工程後の状態を示す部品装着基板画像データとして不良検査装置100に出力される。また、部品装着基板撮像装置8は、搬送装置6により搬送途中の基板10を撮像可能なように設けられているものとする。
【0029】
不良検査装置100は、基板10のパッドごとにおける半田の不良の有無を検査する。このために、不良検査装置100は、印刷基板撮像装置7から出力される印刷基板画像データと、部品装着基板撮像装置8から出力される部品装着基板画像データとを利用する。このように、印刷基板画像データと部品装着基板画像データとに基づいて不良の検査を行うということは、すなわち、リフロー工程の前段階で基板の不良の有無を判定できることを意味する。
【0030】
[不良発生の原因]
SMTにおいてはチップ型の部品を基板に実装する。このチップ型の部品は、略立方体の形状を有し、その両端に電極が形成されている。これらの電極ごとにパッドが半田付けされることで部品の固定および電気的接続が行われる。
【0031】
このチップ型の部品は、リフロー工程後において「浮き不良」と呼ばれる半田付け不良が発生する場合がある。この浮き不良とは、チップ型の部品の一方の端部が基板から浮き上がる(立ち上がる)ことで半田と電極の接合が不良となる現象である。なお、このような現象は、「部品浮き」または「部品立ち(マンハッタンあるいはツームストーン)」などともいわれる。
【0032】
そこで、本実施形態の不良検査装置100による不良検査のための構成を説明するのに先立ち、不良検査装置100が検査対象とする上記浮き不良が発生する原因について説明する。
【0033】
図2は、浮き不良が発生する過程の一例を示している。図2(a)の平面図および図2(b)の側面図は、基板10におけるパッド11a、11bの各々に対して、半田印刷工程により半田20a、20bが塗布された状態を、それぞれ、平面方向および側面方向により示している。なお、これらのパッド11aと11bに対しては同じ部品30が実装される。
【0034】
図2(a)によると、半田20aと半田20bは、それぞれパッド11aと11bにおいて面積が互いにほぼ同じとなっている。また、図2(b)によると、半田20aと半田20bの高さは同じものとして示されている。これは、半田20aと半田20bの塗布量(すなわち、体積)が同じであることを示している。
【0035】
次に、図2(c)および図2(d)は、上記図2(a)および図2(b)の基板10に対して、部品装着工程によりチップ型の部品30を装着した状態を示している。これら図2(c)および図2(d)には、パッド11a、11bのそれぞれに塗布された半田20a、20bの上に対して部品30を装着した状態が示されている。つまり、部品30の両端に設けられる電極31、31を、それぞれ、半田20a、20bが塗布されたパッド11a、11bに位置させるように部品30が載せ置かれる。
【0036】
ここで示される部品30の装着状態には不具合が生じている。つまり、本来であれば、部品30は、半田20aと20bの上においてほぼ水平な姿勢となるように載せ置かれることが好ましい。しかし、図2(d)に示されるように、この場合の部品30は半田20bのほうに傾くように載せ置かれている。
【0037】
このような部品30の装着姿勢の傾きが生じる原因の一例について、図3により説明する。図3において、ノズル40は部品装着装置3において備えられ、部品30を装着位置にまで搬送するために、部品30を吸引して持ち上げる部位である。このノズル40が部品30を吸引しようとした際に、ノズル40と部品30の間に異物50があったとすると、この異物50が挟まってしまったまま部品30を持ち上げてしまい、部品30が傾いてしまう。そして、このままの状態で実装位置にまで搬送して装着が行われた場合、部品30は傾いた姿勢のまま半田20aと20bに載せられる。例えばこのようなことが原因で、部品30の装着姿勢が傾く。ここでは、部品30の装着姿勢が傾いたことに応じて、図2(d)に示すように、半田20bに対しては適切な押し込み量となっているが、半田20aについては押し込みが不十分で、電極31とほとんど接触せずほぼ浮いている状態が示されている。
【0038】
この状態では、部品30との接触面積は半田20aよりも半田20bのほうが大きい。このため、この図2(c)および図2(d)の基板10をリフロー工程により加熱したとすると、溶融した半田20aと20bに生じる表面張力は、半田20bのほうが大きくなり、パッド11b側に部品30が引っ張られることになる。これによって、半田20a側の部品30の端部が浮いた状態になってしまうと、浮き不良が発生したことになる。
【0039】
図2(e)および図2(f)には、図2(c)および図2(d)の状態からリフロー工程を行った結果、浮き不良が発生した状態を示している。つまり、半田20a側において部品30の端部が浮いてしまっており、半田20aと電極31が良好に接合していない状態が示されている。
【0040】
また、図4を参照して、半田塗布量のアンバランスを原因とする浮き不良について説明する。図4(a)の平面図と図4(b)の側面図には、半田印刷工程後の状態として、パッド11a、11bのそれぞれに半田20a、20bが塗布された状態が示されている。
【0041】
図4(a)の平面図によると半田20a、20bの各面積は同じとされているが、図4(b)の側面図に示されるように、半田20aよりも半田20bのほうが厚さ(高さ)が大きい。これは、半田20aと半田20bの塗布量が不均衡であることを意味している。
【0042】
次に、上記図4(c)および図4(d)は、上記図4(a)および図4(b)の状態から部品装着工程により部品30を装着した状態を示している。この場合、部品30は傾くことなく正常に装着されたものとする。しかし、半田20bの量が過剰であったために、図4(d)に示すように、部品30は、半田20b側において半田20aより押し込み量が大きい状態となっている。これに伴い、図4(c)に示すように、平面方向からみた半田20bの面積は、半田20aの面積よりも大きく拡ることになる。
【0043】
したがって、図4(c)および図4(d)においては、先の図2(c)および図2(d)と同じ半田20a、20bの状態となっており、これに伴って部品30との接触面積も半田20bのほうが大きくなっている。
【0044】
これにより、図4(c)および図4(d)の状態からリフロー工程を行った場合には、前述のように溶融した半田20aと半田20bとの間で生じる表面張力差によって、図4(e)および図4(f)に示すように浮き不良が発生する。このように、半田印刷工程における半田体積の不均衡も浮き不良の発生原因となる。また、図4の例のように、半田体積が不均衡な状態として、一方の半田20bの高さが適正よりも高いという状態では、リフロー工程後において、半田20bが部品30の側面にまで広がるという不良も発生する可能性がある。
【0045】
なお、以降の説明にあたり、パッド11a、11bについて特に区別する必要がない場合にはパッド11と記載する。また、同様に半田20a、20bについて特に区別する必要がない場合には半田20と記載する。
【0046】
図2における部品30による半田押し込み量の不均衡は、半田20aのほうが適正よりも少ないのに対して半田20bが適正となっている状態であるため、パッド11a、11bのいずれにおいても半田20a、20bのはみ出しは生じない。このため、先の特許文献1のように、部品装着工程後のパッドからの半田のはみ出しの有無に応じて浮き不良の有無を判定したとすれば、上記図2の状態については浮き不良を判定することは難しい。
【0047】
また、パッド11からの半田20のはみ出しが或る程度生じたとしても、部品30による半田20への押し込み量が両端部で均衡であれば浮き不良は発生しない。しかし、パッドからの半田へのはみ出しの有無に基づく浮き不良の検出では、浮き不良有りと誤判定することになる。
【0048】
また、半田押し込み量が多い場合、リフロー工程によって半田20が部品30の上まで吸いあがる状態となる不良が発生する。しかし、塗布された半田20の面積はさほど大きくはないが高さがある、というような外形となった場合には、半田20に対する押し込み量が多いとしても半田20がパッドからはみ出さない可能性が高い。したがって、半田20への押し込み量の過多による半田吸い上がりの不良についても、パッド11からの半田20のはみ出しの有無に基づいて的確に検出することは難しい。
【0049】
また、図4に示したように、一方の半田20が適正よりも高い状態となって浮き不良が発生する場合においても、その半田20が塗布された外形によっては、部品装着工程後において半田20がパッド11からはみ出さない場合がある。このような場合も、パッド11からの半田20のはみ出しの有無に基づいて浮き不良であると検出することは難しい。
【0050】
さらに、半田印刷工程により塗布された半田20の体積が適切であるのに係わらず、パッド11からの半田20のはみ出しが生じる場合もある。この場合には、半田20が溶融したときの表面張力によってパッド11に半田20が集まることで、不良ではなくなる可能性が高い。しかし、このような状態についても、パッド11からの半田20のはみ出しの有無に基づく不良検出の場合には、不良であると誤判定することになる。
【0051】
[不良検査装置の構成例]
本実施形態の不良検査装置100は、上記の事例などに対応して、パッドごとの浮き不良の有無を、的確に検出可能に構成される。また、不良検査装置100は、この浮き不良の検出を部品装着工程後の段階、つまり、リフロー工程前の段階で検出する。以降、不良検査装置100の構成について説明していく。
【0052】
図5は、不良検査装置100の構成例を示している。この図に示す不良検査装置100は、CPU101、RAM102、記憶部103、入力インターフェース104、出力インターフェース105およびデータインターフェース106を備える。また、これらの部位はデータバス107により接続される。
【0053】
CPU101は、記憶部103に記憶されるプログラムを実行することにより、不良検査装置100としての動作を実現する部位である。
【0054】
RAM102は、主記憶装置として機能するもので、CPU101が実行すべきプログラムが記憶部103から読み出されて展開される。また、RAM102は、CPU101が演算処理を実行する際の作業領域として使用される。
【0055】
記憶部103は、補助記憶装置として機能するもので、CPU101により実行されるプログラムや各種データを格納する。なお、この記憶部103には、例えばハードディスクやフラッシュメモリなどの半導体記憶装置を採用することができる。
【0056】
入力インターフェース104は、例えばキーボードやマウスなどの操作デバイスをはじめとする入力デバイスを一括して示したものである。出力インターフェース105は、例えばディスプレイデバイス(表示部)やスピーカ(音声出力部)などの出力デバイスを一括して示したものである。
【0057】
データインターフェース106は、CPU101の制御に応じて、所定の1以上のデータインターフェース規格に対応して通信を実行する。本実施形態においては、印刷基板撮像装置7および部品装着基板撮像装置8がデータインターフェース106と接続される。これにより、不良検査装置100は、印刷基板撮像装置7にて生成された印刷基板画像データと部品装着基板撮像装置8にて生成された部品装着基板画像データをデータインターフェース106経由で入力することができる。なお、この図5に示す構成は、例えばコンピュータ装置により具現化することができる。
【0058】
[不良検査装置の機能構成例]
図6は不良検査装置100のCPU101がプログラムを実行することにより実現される機能部の構成例を示している。CPU101は、図示するように、印刷基板半田情報生成部111、部品装着基板半田情報生成部112、半田面積変化量算出部113、不良判定部114および通知制御部115としての各機能を備える。また、同図においては、RAM102が記憶するデータのうち、CPU101が不良判定に利用するデータとして、印刷基板半田情報200と部品装着基板半田情報300が示される。
【0059】
印刷基板半田情報生成部111は、印刷基板画像データから前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、この算出したパッドごとの半田面積を含む印刷基板半田情報200を生成する。このために、印刷基板半田情報生成部111は、印刷基板撮像装置7からデータインターフェース106が入力した印刷基板画像データを取得する。
【0060】
印刷基板画像データは、前述のように半田印刷工程後における基板10においてパッドが形成されている基板面を印刷基板撮像装置7が平面方向から撮像して得られる画像である。印刷基板半田情報生成部111は、この印刷基板画像データを利用して、基板10に形成されたパッドごとに対応して塗布された半田の面積(半田面積)を算出する。
【0061】
半田面積は、一例として、以下のように算出することができる。例えば、記憶部103には、半田に相当する画像部分の画素値の特徴量の情報を記憶させておく、そして、この特徴量の情報と一致する画素から成る画像部分領域を半田が塗布された半田領域として特定し、この半田領域の画素数を求める。そして、このように求められた画素数を半田面積とすることが考えられる。
【0062】
また、より簡易な手法として、半田印刷工程により塗布される半田20の平面形状が図2および図4などに示すように方形であることに着目し、半田20の縦サイズと横サイズを乗算して求めるようにしてもよい。つまり、図7に示すように、半田20における縦サイズをPy、横サイズをpxとして、(Py×Px)により半田面積を求めるものである。なお、縦サイズPyと横サイズpxについても、上記半田領域として特定された輪郭の縦方向と横方向の各画素数により求めることとすればよい。
【0063】
説明を図6に戻す。印刷基板半田情報生成部111は、上記のようにパッド11ごとに対応して求めた半田面積の情報を含む印刷基板半田情報200を生成する。そして、生成した印刷基板半田情報200をRAM102に記憶させる。
【0064】
部品装着基板半田情報生成部112は、部品装着基板画像データから基板10のパッド11ごとに対応する半田面積を算出し、この算出したパッドごとの半田面積を含む部品装着基板半田情報300を生成する。このために、部品装着基板半田情報生成部112は、部品装着基板撮像装置8からデータインターフェース106が入力した部品装着基板画像データを取得する。
【0065】
部品装着基板画像データは、前述のように部品装着工程後における基板10においてパッドが形成されている基板面を部品装着基板撮像装置8が平面方向から撮像して得られる画像である。部品装着基板半田情報生成部112は、この部品装着基板画像データを利用して、基板10に形成されたパッド11ごとに対応する半田面積を算出する。
【0066】
なお、部品装着基板半田情報生成部112による半田面積の算出手法は、上記印刷基板半田情報生成部111と同様でよい。ただし、部品装着基板画像データにおける半田の領域は、部品30によってその一部が隠れた状態となるため、半田20に相当する画素値の画素の数をそのまま半田面積として求めた場合には、実際の半田面積より小さくなってしまう。そこで、この場合には、部品30によって隠れた半田20の部分を補間処理などによって推定して半田領域全体を特定したうえで半田面積としての画素数を求めることとすればよい。
【0067】
そして、部品装着基板半田情報生成部112は、上記のようにパッド11ごとに対応して求めた半田面積の情報を含む部品装着基板半田情報300を生成する。そして、生成した部品装着基板半田情報300をRAM102に記憶させる。
【0068】
本実施形態において、印刷基板半田情報200と部品装着基板半田情報300は同じ構造を有するものとする。図8は、印刷基板半田情報200と部品装着基板半田情報300の構造例を示している。
【0069】
印刷基板半田情報200と部品装着基板半田情報300は、図示するように、工程識別子領域201、301、基板識別子領域202、302、パッド位置領域203、303および半田面積領域204、304の各領域から成る。
【0070】
工程識別子領域201、301は、直前段階において終了した工程を識別する識別子を格納する。印刷基板半田情報200であれば半田印刷工程を示す識別子が格納される。部品装着基板半田情報300であれば部品装着工程を示す識別子が格納される。
【0071】
基板識別子領域202、302は、当該印刷基板半田情報200または部品装着基板半田情報300が対応する基板10を個々に識別する基板識別子を格納する。基板識別子領域202と302が同じ印刷基板半田情報200と部品装着基板半田情報300は、それぞれ、同じ基板10に対応していることになる。
【0072】
パッド位置領域203、303は、対応の基板10に形成されたパッド11ごとの位置を示すパッド位置を格納する。
【0073】
半田面積領域204、304は、対応のパッド位置領域203、303が格納するパッド位置に塗布された半田についての半田面積を格納する。この半田面積は、前述のように、印刷基板半田情報生成部111、部品装着基板半田情報生成部112がそれぞれ算出したものである。
【0074】
説明を図6に戻す。半田面積変化量算出部113は、印刷基板半田情報200に含まれる判定対象のパッドに対応する半田面積と、部品装着基板半田情報300に含まれる前記判定対象のパッドに対応する半田面積との間での半田面積変化量を算出する。
【0075】
半田面積変化量は、1つのパッド11に対して半田印刷工程により塗布された半田20の面積の、部品装着工程を経たことによる変化量を示す。半田面積変化量算出部113は、この半田面積変化量を以下のように求める。
【0076】
まず、半田面積変化量算出部113は、印刷基板半田情報200から判定対象として選択したパッドの位置を格納するパッド位置領域203に対応付けられた半田面積領域204に格納された半田面積を読み込む。また、部品装着基板半田情報300から同じ判定対象のパッドの位置を格納するパッド位置領域303に対応付けられた半田面積領域304に格納された半田面積を読み込む。
【0077】
次に、半田面積変化量算出部113は、印刷基板半田情報200から読み込んだ半田面積をS1とし、部品装着基板半田情報300から読み込んだ半田面積をS2、半田面積変化量をSVとして、
SV=(S2/S1)−1
により求める。つまり、半田印刷工程による半田面積に対する部品装着工程による半田面積の変化率として半田面積変化量SVを求めるものである。
【0078】
また、半田面積変化量SVの他の算出手法例として、
SV=S2−S1
により求めることも考えられる。つまり、部品装着工程による半田面積に対する半田印刷工程による半田面積の差分として半田面積変化量を求めるものである。
【0079】
不良判定部114は、上記のように求められた半田面積変化量SVに基づいて前記判定対象のパッドにおける半田付けの不良の有無を判定する。具体的に、不良判定部114は、予め設定された第1の閾値th1と、当該第1の閾値th1より大きい第2の閾値th2を利用して、
th1≦SV≦th2
が成立するか否かについて判定する。上式が成立しない場合として、まず、(th1>SV)となる場合、つまり、半田面積変化量が一定以上に小さい場合は、以下のような状態に対応する。つまり、例えば判定対象のパッド11に対応する半田20の塗布量(体積)が少なかった状態、または、部品装着工程において部品30を装着した際の半田20への押し込み量が少ない状態の少なくともいずれか一方が生じている状態である。このいずれの状態も浮き不良を発生させる原因となる。そこで、不良判定部114は、(th1>SV)となる場合にはパッドにおける半田付け不良(パッド不良)有りと判定する。
【0080】
また、上式が成立しない場合として、(SV>th2)となる場合、つまり、半田面積変化量が一定以上に大きい場合は、以下のような状態に対応する。つまり、例えば判定対象のパッド11に対応する半田20の塗布量(体積)が多い状態のもとで部品30による半田20への押し込み量が大きかった状態に対応する。または、装着された部品30が傾いたことで半田20に対する押し込み量が非常に大きかった場合に対応する。これらの状態も浮き不良を発生させることになる。そこで、不良判定部114は、(SV>th2)となる場合にパッド不良有りと判定する。
【0081】
また、上式が成立した場合には、半田20の塗布量や半田20に対する部品30の押し込み量などが適正範囲であり浮き不良は発生しない状態であることになる。そこで、不良判定部114は、上式が成立した場合にはパッド不良無しと判定する。また、不良判定部114は、基板10におけるすべてのパッド11について不良無しと判定した場合に基板10としての不良(基板不良)が無いと判定する。
【0082】
通知制御部115は、不良判定部114により基板不良有りと判定されるのに応じて、作業者に対して部品実装不良の発生を通知するための制御を実行する。具体例として、通知制御部115は、出力インターフェース105におけるスピーカなどから、部品実装不良が発生したことを通知するアラーム音を出力させる。また、基板不良が発生した基板10を示す情報やパッド不良の箇所を示す情報などを出力インターフェース105におけるディスプレイデバイスなどに表示させる。
【0083】
[処理手順例]
図9のフローチャートは、不良検査装置100が実行する処理手順例を示している。この図では、図1の部品実装システム1により各工程を経て部品が実装される1つの基板10に対応して実行される処理を示している。また、この図に示す処理は、図6に示すCPU101内の機能部が適宜実行するものとしてみることができる。
【0084】
まず、印刷基板半田情報生成部111は、印刷基板撮像装置7から出力された印刷基板画像データを取得する(ステップS101)。次に、印刷基板半田情報生成部111は、上記ステップS101により取得した印刷基板画像データを利用して、前述のようにパッドごとに対応する半田面積を算出する(ステップS102)。そして、この半田面積を格納した印刷基板半田情報200を生成し、RAM102に記憶させる(ステップS103)。
【0085】
また、部品装着基板半田情報生成部112は、部品装着基板撮像装置8から出力された部品装着基板画像データを取得する(ステップS104)。なお、このステップS104では、先のステップS101にて取得した印刷基板画像データと同じ基板10を撮像した部品装着基板画像データを取得する。
【0086】
次に、部品装着基板半田情報生成部112は、上記ステップS104により取得した部品装着基板画像データを利用して、パッドごとに対応する半田面積を算出する(ステップS105)。そして、この半田面積を格納した部品装着基板半田情報300を生成し、RAM102に記憶させる(ステップS106)。
【0087】
次に、半田面積変化量算出部113と不良判定部114は、基板10としての不良を判定するた基板不良判定処理を実行する(ステップS107)。このステップS107としての基板不良判定処理については図10のフローチャートにより後述する。
【0088】
不良検査装置100は、上記ステップS107による基板不良判定処理により基板不良有りとの判定結果が得られたか否かについて判定する(ステップS108)。ここで、基板不良無しと判定された場合は(ステップS108−NO)、ステップS101に戻ることにより次の基板を対象とする不良判定のための処理に移行する。なお、このように基板不良無しと判定された基板10はリフロー工程に送られる。つまり、リフロー炉4に移送されてリフローが行われる。
【0089】
これに対して、基板不良有りと判定した場合(ステップS108−YES)、通知制御部115は、基板不良が発生した旨の通知を出力インターフェース105により出力させるための制御を実行する(ステップS109)。なお、基板不良有りと判定された基板10は、リフロー工程に送られることなく、例えば不良検品、修正などの工程に送られる。
【0090】
なお、本実施形態による上記図9の手順によれば、リフロー工程の前段階において基板不良を判定できる。特許文献1においては、半田印刷工程後と部品装着工程後とリフロー工程後のそれぞれにおける基板の撮像画像データから不良検出を行うが、不良検出の際には、各工程に対応する撮像画像データをそれぞれ個別に利用しており、工程間の撮像画像データの差分を利用するようなことは行っていない。このために、部品実装工程が進行しているのに応じて、リフロー工程前の段階でリアルタイムに不良判定を行うことはできない。リフロー工程後の基板に不良が検出された場合には、この基板から部品を取り外して付け直しなどの修正を行うことになるが、リフロー工程後においては、部品と基板のパッドと半田により既に接合された状態になっているため、半田を溶かすなどして部品を外す必要があり手間がかかる。これに対して、本実施形態のようにリフロー工程の前段階で不良が検出可能となれば、まだ半田による接合が完了していないので、基板に実装された部品の取り外し作業は非常に容易なものとなり、製造効率が向上する。
【0091】
図10のフローチャートは、上記ステップS107としての基板不良判定処理のための手順例を示している。先ず、半田面積変化量算出部113は、判定対象のパッド11を1つ選択する(ステップS201)。次に、半田面積変化量算出部113は、印刷基板半田情報200から判定対象のパッド11に対応する半田面積S1を取得する(ステップS202)。
【0092】
また、半田面積変化量算出部113は、部品装着基板半田情報300から判定対象のパッド11に対応する半田面積S2を取得する(ステップS203)。この際、半田面積変化量算出部113は、上記ステップS202により半田面積S1を取得した印刷基板半田情報200と同じ基板識別子を格納する部品装着基板半田情報300から半田面積S2を取得する。
【0093】
そして、半田面積変化量算出部113は、上記半田面積S1、S2を利用して前述のように半田面積変化量SVを算出する(ステップS204)。
【0094】
次に、不良判定部114は、半田面積変化量SVと第1閾値thと第2閾値th2とを利用して、前述の(th1≦SV≦th2)が成立するか否かについて判定する(ステップS205)。不良判定部114は、上式が成立した場合(ステップS205−YES)、パッド不良無しと判定し(ステップS206)、成立しなかった場合(ステップS205−NO)、パッド不良有りと判定する(ステップS207)。
【0095】
上記ステップS206またはS207によるパッド不良判定の後、不良判定部114は、判定対象の基板10におけるすべてのパッド11についてのパッド不良判定を終了したか否かについて判定する(ステップS208)。ここで、未だパッド不良判定が行われていないパッド11が残っていると判定した場合には(ステップS208−NO)、ステップS101に戻ることで次の判定対象のパッド11についてのパッド不良判定の処理に移行する。
【0096】
これに対してすべてのパッド11についてのパッド不良判定が終了したことを判定した場合(ステップS208−YES)、不良判定部114は、すべてのパッド11についてパッド不良無しとの判定結果が得られている否かについてさらに判定する(ステップS209)。ここで、すべてのパッド11についてパッド不良無しとの判定結果が得られている場合(ステップS209−YES)、不良判定部114は、基板不良無しと判定する(ステップS210)。これに対して、少なくとも1つのパッド11についてパッド不良有りとの判定結果が得られている場合(ステップS209−NO)、不良判定部114は、基板不良有りと判定する(ステップS211)。
【0097】
なお、上記説明では、半田面積変化量SVと比較する閾値として、第1閾値th1および第2閾値th2を使用している。しかし、半田面積変化量と不良発生パターンとの関係性によっては、第1閾値th1と第2閾値th2のいずれか一方を使用して不良判定を行うようにすることも考えられる。
【0098】
なお、上述の不良検査装置100は内部に、コンピュータシステムを有している。そして、上述した不良判定の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータが当該プログラムを実行するようにしても良い。
【0099】
また、図6に示す各機能部を実現するためのプログラムをコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記録して、この記録媒体に記録されたプログラムをコンピュータシステムに読み込ませ、実行することにより本実施形態における不良判定を行ってもよい。なお、ここでいう「コンピュータシステム」とは、OSや周辺機器等のハードウェアを含むものとする。また、「コンピュータシステム」は、ホームページ提供環境(あるいは表示環境)を備えたWWWシステムも含むものとする。また、「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、フレキシブルディスク、光磁気ディスク、ROM、CD−ROM等の可搬媒体、コンピュータシステムに内蔵されるハードディスク等の記憶装置のことをいう。さらに「コンピュータ読み取り可能な記録媒体」とは、インターネット等のネットワークや電話回線等の通信回線を介してプログラムが送信された場合のサーバやクライアントとなるコンピュータシステム内部の揮発性メモリ(RAM)のように、一定時間プログラムを保持しているものも含むものとする。
【0100】
また、上記プログラムは、このプログラムを記憶装置等に格納したコンピュータシステムから、伝送媒体を介して、あるいは、伝送媒体中の伝送波により他のコンピュータシステムに伝送されてもよい。ここで、プログラムを伝送する「伝送媒体」は、インターネット等のネットワーク(通信網)や電話回線等の通信回線(通信線)のように情報を伝送する機能を有する媒体のことをいう。また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現するためのものであっても良い。さらに、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるもの、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であっても良い。
【符号の説明】
【0101】
1 部品実装システム
2 半田印刷装置
3 部品装着装置
4 リフロー炉
7 印刷基板撮像装置
8 部品装着基板撮像装置
10 基板
11、11a、11b パッド
20、20a、20b 半田
30 部品
31 電極
100 不良検査装置
111 印刷基板半田情報生成部
112 部品装着基板半田情報生成部
113 半田面積変化量算出部
114 不良判定部
115 通知制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
半田印刷工程によりパッドに半田を塗布した基板を撮像して得られた印刷基板画像データに基づいて前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、当該算出したパッドごとの半田面積を含む印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、
部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記基板を撮像して得られた部品装着基板画像データに基づいて前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、当該算出したパッドごとの半田面積を含む部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成部と、
前記印刷基板半田情報に含まれる判定対象のパッドに対応する半田面積と、前記部品装着基板半田情報に含まれる前記判定対象のパッドに対応する半田面積との間での半田面積変化量を算出する半田面積変化量算出部と、
前記半田面積変化量に基づいて前記判定対象のパッドにおける半田付けの不良の有無を判定する不良判定部と
を備えることを特徴とする不良検査装置。
【請求項2】
前記不良判定部は、前記半田面積変化量を第1の閾値と当該第1の閾値より大きい第2の閾値の少なくとも一方と比較した結果に基づいて、前記判定対象のパッドにおける半田付けの不良の有無を判定することを特徴とする請求項1に記載の不良検査装置。
【請求項3】
前記不良判定部は、
前記半田面積変化量が第1の閾値以上かつ前記第2の閾値以下である場合に不良無しと判定し、前記半田面積変化量が前記第1の閾値未満または前記第2の閾値より大きい場合に、前記判定対象のパッドにおける半田付けの不良が有ると判定する
ことを特徴とする請求項2に記載の不良検査装置。
【請求項4】
前記不良判定部は、
判定対象の基板におけるすべてのパッドにおける半田付けの不良の有無を判定した結果に基づいて基板についての不良の有無を判定する
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか一項に記載の不良検査装置。
【請求項5】
基板のパッドに半田を塗布する半田印刷工程を行う半田印刷装置と、
前記半田印刷装置により前記パッドに半田が塗布された前記基板を撮像して印刷基板画像データを生成する印刷基板撮像装置と、
前記半田印刷装置により半田が塗布された前記基板のパッドに対して部品を装着する部品装着工程を行う部品装着装置と、
前記部品装着装置により部品が装着された前記基板を撮像して部品装着基板画像データを生成する部品装着基板撮像装置と、
前記部品装着装置により部品が装着された前記基板を加熱して前記半田を溶融させることにより、装着された前記部品を前記パッドに半田付けするリフロー工程を行うリフロー炉と、
前記基板のパッドごとにおける半田付けの不良の有無を検査する不良検査装置とを備え、
前記不良検査装置は、
前記印刷基板画像データに基づいて前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、当該算出したパッドごとの半田面積を含む印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成部と、
前記部品装着基板画像データに基づいて前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、当該算出したパッドごとの半田面積を含む部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成部と、
前記印刷基板半田情報に含まれる判定対象のパッドに対応する半田面積と、前記部品装着基板半田情報に含まれる前記判定対象のパッドに対応する半田面積との間での半田面積変化量を算出する半田面積変化量算出部と、
前記半田面積変化量に基づいて前記判定対象のパッドにおける半田付けの不良の有無を判定する不良判定部と
を備えることを特徴とする部品実装システム。
【請求項6】
半田印刷工程によりパッドに半田を塗布した基板を撮像して得られた印刷基板画像データに基づいて前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、当該算出したパッドごとの半田面積を含む印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成ステップと、
部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記基板を撮像して得られた部品装着基板画像データに基づいて前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、当該算出したパッドごとの半田面積を含む部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成ステップと、
前記印刷基板半田情報に含まれる判定対象のパッドに対応する半田面積と、前記部品装着基板半田情報に含まれる前記判定対象のパッドに対応する半田面積との間での半田面積変化量を算出する半田面積変化量算出ステップと、
前記半田面積変化量に基づいて前記判定対象のパッドにおける半田付けの不良の有無を判定する不良判定ステップと
を備えることを特徴とする不良検査方法。
【請求項7】
コンピュータを、
半田印刷工程によりパッドに半田を塗布した基板を撮像して得られた印刷基板画像データに基づいて前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、当該算出したパッドごとの半田面積を含む印刷基板半田情報を生成する印刷基板半田情報生成手段、
部品装着工程により前記半田が塗布されたパッドに対して部品を装着した前記基板を撮像して得られた部品装着基板画像データに基づいて前記基板のパッドごとに対応する半田面積を算出し、当該算出したパッドごとの半田面積を含む部品装着基板半田情報を生成する部品装着基板半田情報生成手段、
前記印刷基板半田情報に含まれる判定対象のパッドに対応する半田面積と、前記部品装着基板半田情報に含まれる前記判定対象のパッドに対応する半田面積との間での半田面積変化量を算出する半田面積変化量算出手段、
前記半田面積変化量に基づいて前記判定対象のパッドにおける半田付けの不良の有無を判定する不良判定手段
として機能させるためのプログラム。

【図1】
image rotate

【図2】
image rotate

【図3】
image rotate

【図4】
image rotate

【図5】
image rotate

【図6】
image rotate

【図7】
image rotate

【図8】
image rotate

【図9】
image rotate

【図10】
image rotate


【公開番号】特開2013−68559(P2013−68559A)
【公開日】平成25年4月18日(2013.4.18)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2011−208643(P2011−208643)
【出願日】平成23年9月26日(2011.9.26)
【出願人】(000004237)日本電気株式会社 (19,353)
【Fターム(参考)】