説明

両面クリームはんだ印刷機及び両面クリームはんだ印刷方法

【課題】基板の表裏面の印刷切替で生産の作業時間が停止せず、人手を不要とする。
【解決手段】表面、裏面に異なる認識マークを付したプリント基板105が載置されるステージ106と、プリント基板の表面、裏面を密着する2つの密着部分161,162の各々の内部に開口パターン113,114が形成され、かつ、認識マークが付されるスクリーン112と、ステージを移動先の密着部分に駆動し、ステージに載置されたプリント基板を密着部分に密着させるステージ駆動部107と、ステージに載置されたプリント基板の認識マークを撮像する第1のカメラ100と、スクリーンの認識マークを撮像する第2のカメラ101と、第1のカメラの撮像情報、第2のカメラの撮像情報から移動先の密着部分を決定し決定した密着部分にステージ駆動部を駆動し、ステージに載置されたプリント基板を決定した密着部分に密着させ、スキージ印刷を行わせる制御部108とを備える。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はプリント基板の両面にクリームはんだ印刷を行う両面クリームはんだ印刷機に関する。特に、本発明は、プリント基板の表裏面に応じて印刷面を切り替え作業の容易化を図る両面クリームはんだ印刷機及び両面クリームはんだ印刷方法に関する。
【背景技術】
【0002】
従来、両面基板の印刷を行う両面クリームはんだ印刷機は周知である。従来の技術である両面クリームはんだ印刷機において、スクリーン1枚には開口パターンは1面分しか設けられていない。両面基板の生産において、両面基板の表裏の切り替えを行う場合にはスクリーン交換、クリームはんだの除去、供給、印刷プログラムの入れ替えといった作業が必要となる。このため、生産時に作業時間が停止するという問題があった。
【0003】
さらに、スクリーンに基板の両面分の開口パターンを設けても、印刷機には印刷面を判別する機能、自動的にスクリーン上の印刷位置を切り替える機能がないため、人手で切り替えなければならないという問題があり、作業の容易化を図るべきという課題がある。
このような両面クリームはんだ印刷機に関連して以下の従来技術がある。
従来、クリームはんだを印刷する際に使用するメタルマスクは通常表面用と裏面用の2枚が必要であるが、これを1枚で兼用できるようにするため、メタルマスクにクリームはんだ印刷用の開口を行う際に、プリント基板に対し十分広いメタルマスクを用意し、実装工程の流れと同じ方向の中心線T−T’に対し上方にプリント基板の表面用の開口を施し、また、中心線T−T’に対し下方にプリント基板の裏面用の開口を、上下を逆にして施すものがある(例えば、特許文献1参照)。
【0004】
しかしながら、上記特許文献1では、メタルマスクにプリント基板の表面用の開口と裏面用の開口を施すが、プリント基板の表裏面に応じて印刷面を切り替えて作業の容易化を行うものではない。
また、従来、半導体装置が設定されるステージと、マスクに突設されたパターン孔より前記半導体装置用の基板上に印刷液を供給してパターンを形成するスキージとを備えた半導体装置用印刷装置において、前記ステージ上の半導体装置を保持するチャック部と、このチャック部を回転する回転部とを有し前記ステージに対し進退する反転装置をステージの側方に付設したことを特徴とする半導体装置用印刷機がある(例えば、特許文献2参照)。
【0005】
しかしながら、上記特許文献2では、パターン孔より半導体装置用の基板上に印刷液を供給してパターンを形成するが、前述のように、プリント基板の表裏面に応じて印刷面を切り替えて作業の容易化を行うものではない。
また、従来、表面に第1のプリント配線基板の表と第2のプリント配線基板の裏を配置し、裏面に第1のプリント配線基板の裏と第2のプリント配線基板の表を配置した被印刷媒体と、第1のパターンと第2のパターンを設けたスクリーンとを備え、スクリーンで被印刷媒体の表面に第1のパターンと第2のパターンをスクリーン印刷し、被印刷媒体の裏面に第1のパターンと第2のパターンをスクリーン印刷することを特徴とする両面スクリーン印刷機がある(例えば、特許文献3参照)。
【0006】
しかしながら、上記特許文献3では、プリント配線基板の表と裏にスクリーン印刷を行うが、前述のように、プリント基板の表裏面に応じて印刷面を切り替えて作業の容易化を行うものではない。
従来、両面プリント配線板の電子部品実装方法の改良に関し、その生産性を改善するため、両面プリント配線板を組み合わせたものを基準単品とし、これに合わせたメタルマスクを制作し、この時、両面プリント配線板は通常状態のまま、他方の両面プリント配線板は通常状態から「裏返し」、「左右を逆」にした状態で固定し、従って、メタルマスクは、一度に2枚の両面プリント配線板の表面と裏面とにクリームはんだを塗布することができ、クリームはんだの塗布の後、この面に所定の電子部品を実装し、これをリフロー炉にて熱処理すると、配線板の一方の面についての部品実装を完了し、次に、配線板を「裏返し」、同様の処理を配線板の他方面に施すと2枚の両面プリント配線板Pが完成するものがある(例えば、特許文献4参照)。
【0007】
しかしながら、上記特許文献4では、一度に2枚の両面プリント配線板の表面と裏面とにクリームはんだを塗布するが、前述のように、プリント基板の表裏面に応じて印刷面を切り替えて作業の容易化を行うものではない。
従来、プリント配線基板の両面に同時にランドに半田を印刷することを可能とし、電子部品の実装システムの小型化を図るため、プリント配線基板2を略垂直に立った状態で搬送する搬送機構と、搬送機構に支持されたプリント配線基板に対向して配設される一対のスクリーンを有し、スクリーンがプリント配線基板に対して近接離間する方向に移動するように設けられた一対のスクリーン機構と、各スクリーン機構に対応して設けられ、スクリーンがプリント配線基板に近接しているとき、スクリーンに摺動され、クリーム半田をプリント配線基板に押し出すスキージを有するスキージ機構と、スキージ機構をスクリーン機構に摺動させるように移動させる駆動機構とを備えるものがある(例えば、特許文献5参照)。
【0008】
しかしながら、上記特許文献5では、プリント配線基板の両面に同時にランドに半田を印刷するが、前述のように、プリント基板の表裏面に応じて印刷面を切り替えて作業の容易化を行うものではない。
【0009】
【特許文献1】特開平05−165220号公報
【特許文献2】特開昭59−214293号公報
【特許文献3】実開平02−041477号公報
【特許文献4】特開平07−273411号公報
【特許文献5】特開2001−310443号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0010】
したがって、本発明は上記問題点に鑑みて、プリント基板の表裏面に応じて印刷面を切り替えて作業の容易化を行い、生産時に作業時間が停止せず、切り替え時に人手を必要としない両面クリームはんだ印刷機及び両面クリームはんだ印刷方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0011】
本発明は前記問題点を解決するために、スキージを駆動してクリームはんだ印刷を行う両面クリームはんだ印刷機において、表面、裏面に異なる認識マークを付したプリント基板が載置されるステージと、前記プリント基板の表面、裏面を密着する2つの密着部分の各々の内部に開口パターンが形成され、かつ、前記認識マークが付されるスクリーンと、前記ステージを移動先の密着部分に駆動し、前記ステージに載置された前記プリント基板を前記密着部分に密着させるステージ駆動部と、前記ステージに載置された前記プリント基板の認識マークを撮像する第1のカメラと、前記スクリーンの認識マークを撮像する第2のカメラと、前記第1のカメラの撮像情報から前記プリント基板の表面又は裏面の認識マークを判別し、判別した前記プリント基板の表面又は裏面の認識マークと前記第2のカメラの撮像情報から前記スクリーンに付された認識マークとを比較し、一致する認識マークから移動先の密着部分を決定し決定した前記密着部分に前記ステージ駆動部を駆動し、ステージに載置された前記プリント基板を決定した前記密着部分に密着させ、スキージ印刷を行わせる制御部とを備えることを特徴とする両面クリームはんだ印刷機を提供する。
【0012】
さらに、前記ステージに、表面の右上隅と左下隅に認識マークを配置した前記プリント基板又は裏面の左上隅と右下隅に認識マークを配置した前記プリント基板を載置し、前記プリント基板の表面が密着される前記密着部分の右上隅と左下隅に認識マークを配置し、前記プリント基板の裏面が密着される前記密着部分の左上隅と右下隅に認識マークを配置する。
さらに、前記ステージに表面用バーコードを配置した前記プリント基板又は裏面用バーコードを配置した前記プリント基板を載置し、前記プリント基板の表面が密着される前記密着部分に表面用バーコード、前記プリント基板の裏面が密着される前記密着部分に裏面用バーコードを配置する。
【0013】
さらに、本発明は、スキージを駆動してクリームはんだ印刷を行う両面クリームはんだ印刷方法において、表面、裏面に異なる認識マークが付されたプリント基板をステージに載置する工程と、スクリーンに前記プリント基板の表面、裏面が密着される2つの密着部分の各々の内部に開口パターンを形成し、かつ、認識マークを付する工程と、前記ステージに載置された前記プリント基板の認識マークを第1のカメラで撮像する工程と、前記スクリーンの認識マークを第2のカメラで撮像する工程と、前記第1のカメラの撮像情報から前記プリント基板の表面又は裏面の認識マークを判別し、判別した前記プリント基板の表面又は裏面の認識マークと前記第2のカメラの撮像情報から前記スクリーンに付された認識マークとを比較し、一致する認識マークから移動先の密着部分を決定する工程と、決定された密着部分の移動先に前記ステージを駆動し、前記ステージに載置された前記プリント基板を決定された前記密着部分に密着させる工程と、前記ステージに載置された前記プリント基板を密着させた前記密着部分に対してスキージ印刷を行う工程とを備えることを特徴とする両面クリームはんだ印刷方法を提供する。
【発明の効果】
【0014】
以上説明したように、本発明によれば、表面、裏面に異なる認識マークが付されたプリント基板をステージに載置し、スクリーンにプリント基板の表面、裏面を密着する2つの密着部分の各々の内部に開口パターンを形成し、かつ、認識マークを付し、ステージに載置されたプリント基板の認識マークを第1のカメラで撮像し、スクリーンの認識マークを第2のカメラで撮像し、第1のカメラの撮像情報からプリント基板の表面又は裏面の認識マークを判別し、判別したプリント基板の表面又は裏面の認識マークと第2のカメラの撮像情報からスクリーンに付された認識マークとを比較し、一致する認識マークから移動先の密着部分を決定し、決定された密着部分の移動先にステージを駆動し、ステージに載置されたプリント基板を決定された密着部分に密着させ、ステージに載置されたプリント基板を密着させた密着部分に対してスキージ印刷を行うようにしたので、スクリーン上に表面、裏面両方の表面用開口パターン、裏面用開口パターンが形成されているので、従来のようにプリント基板の表裏着替え時にスクリーンの交換作業が不要となる。
【0015】
さらに、従来のようにスクリーン交換不要であるので、スクリーン交換と同時に発生するクリームはんだの取り出し、スクリーン清掃、クリームはんだ供給作業も不要となる。
プリント基板の表面又は裏面の認識マークにより表裏の判別を行い、スクリーンの表面の開口パターン、裏面の開口パターンを選択し、スクリーン上の印刷位置切り替え動作を自動で行っているため、生産中に人手による操作は不要となる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0016】
以下、本発明の実施の形態について図面を参照して説明する。
図1は本発明に係る両面クリームはんだ印刷機の概略構成を示す図である。本図に示すように、クリームはんだ印刷の対象のプリント基板105はステージ106に載置されており、ステージ106の上方にはスクリーン112が設置され、スクリーン112はスクリーン枠111に貼り付けられ、スクリーン枠111はスクリーンホルダ141に固定される。なお、ステージ106にプリント基板105を載置する場合には載置作業を容易にするためステージ106とスクリーン112の間の距離L1を確保する。
【0017】
スクリーン112にはプリント基板105の表面側が密着される表面密着部分161に表面用開口パターン113が形成され、プリント基板105の裏面側が密着される裏面密着部分162に裏面用開口パターン114が形成される。
表面用開口パターン113は表面側のプリント基板105のクリームはんだ印刷に使用されスクリーン112の開口パターンであり、裏面用開口パターン114は裏面側のプリント基板105のクリームはんだ印刷に使用されるスクリーン112の開口パターンである。
【0018】
ステージ駆動部107は、3次元の移動が可能であり、移動に伴って現在の座標X、Y、Z、θを算出し、ステージ106に載置されているプリント基板105をスクリーン112の所定位置に密着させる機能を有する。
スクリーン112上にはスキージ駆動部109が設けられ、スキージ駆動部109はスキージ121、122を駆動し、スキージ121、122は、はんだ印刷時にはY方向に往復動作し、往路側と復路側でZ方向の上下動作により切り替えて使用され、スクリーン112上のクリームはんだ103をスキージ121とスキージ122の間で保持された状態でスクリーン112に密着したプリント基板105にはんだ印刷を行う機能を有する。
【0019】
カメラ100はプリント基板105の表面又は裏面を撮像するために使用され、カメラ101はスクリーン112を撮像し、スクリーン112の表面用開口パターン113又は裏面用開口パターン114を選択するために使用される。
制御部108はカメラ100、カメラ101の撮像データを入力し、ステージ駆動部107を駆動しプリント基板105の表面又は裏面を判別してスクリーン112の表面用開口パターン113又は裏面用開口パターン114を選択して、プリント基板105の表面又は裏面を選択されたスクリーン112の表面用開口パターン113又は裏面用開口パターン114に密着させて、スキージ121、122の一方をスクリーン112上へ降ろし、スキージ駆動部109を駆動しY軸方向に移動することによりクリームはんだ印刷を行う。以下詳細な説明を行う。
【0020】
図2は図1におけるスクリーン112をカメラ101側からみた例の概略を示す図である。本図の点線で示すように、スクリーン112には、前述したように、プリント基板105の表面側が密着される表面密着部分161と、プリント基板105の裏面側が密着される裏面密着部分162が並置して設定される。
表面密着部分161内には表面用開口パターン113が形成され、さらに、ステージ駆動部107に面する側には複数の表面用密着部分認識マーク115、116が付される。
【0021】
裏面密着部分162内には裏面用開口パターン114が形成され、さらに、ステージ駆動部107に面する側には複数の裏面用密着部分認識マーク117、118が付される。
なお、表面密着部分161、裏面密着部分162の中心部分の座標を(a1、b1、c1)、(a2、b2、c2)とする。
表面用密着部分認識マーク115、116と裏面用密着部分認識マーク117、118は、異なる配置により、プリント基板105が表面密着部分161、裏面密着部分162を択一的に選択して密着するのに使用される。
【0022】
一例として、表面用密着部分認識マーク115は丸形状で表面密着部分161の右上隅に、表面用密着部分認識マーク116は丸形状で表面密着部分161の左下隅に配置される。
さらに、裏面用密着部分認識マーク117は丸形状で裏面密着部分162の左上隅に、裏面用密着部分認識マーク118は丸形状で裏面密着部分162の右下隅に配置される。
【0023】
表面用開口パターン113、裏面用開口パターン114は簡単な形状で示されているが実際は相互に異なる複雑な形状である。
図3は図1におけるプリント基板105をスクリーン112側からみた例の概略を示す図である。本図(a)に示すように、スクリーン112に密着するプリント基板105の表面側には複数の表面側基板認識マーク151、152が付され、表面側基板ランドパターン155が設けられ、本図(b)に示すように、スクリーン112に密着するプリント基板105の裏面側には複数の裏面側基板認識マーク153、154が付され、裏面側基板ランドパターン156が設けられる。
【0024】
表面側基板認識マーク151、152、裏面側基板認識マーク153、154は、プリント基板105の表面又は裏面を判別するために使用される。
複数の表面側基板認識マーク151、152はスクリーン112の複数の表面用密着部分認識マーク115、116とそれぞれ形状、配置が一致し、複数の裏面側基板認識マーク153、154はスクリーン112の複数の裏面用密着部分認識マーク117、118とそれぞれ形状、配置が一致するようにする。
【0025】
一例として、プリント基板105の表面側において、表面側基板認識マーク151は丸形状で右上隅に、表面側基板認識マーク152は丸形状で左下隅に配置される。
さらに、プリント基板105の裏面側において、裏面側基板認識マーク153は丸形状で左上隅に、裏面側基板認識マーク154は丸形状で右下隅に配置される。
スクリーン112の表面密着部分161にプリント基板105の表面が密着した場合、表面側基板ランドパターン155は表面用開口パターン113と一致する。
【0026】
同様に、スクリーン112の裏面密着部分162にプリント基板105の裏面が密着した場合、裏面側基板ランドパターン156は裏面用開口パターン114と一致する。
裏面側基板ランドパターン155、裏面側基板156の各々は簡単な形状で示されているが、表面用開口パターン113、裏面用開口パターン114が実際には相互に異なる複雑な形状であると同様に複雑な形状である。
【0027】
図4は図1における制御部108の概略構成示すブロック図である。本図に示すように、制御部108には基板認識マーク検出部201が設けられ、基板認識マーク検出部201はカメラ100で撮像した信号を入力しステージ106上のプリント基板105の面の表面側基板認識マーク151、152又は裏面側基板認識マーク153、154の画像を検出する。
【0028】
基板認識マーク検出部201には基板認識マーク判別部202が接続され、基板認識マーク判別部202は表面側基板認識マーク151、152、裏面側基板認識マーク153、154を保存し、基板認識マーク検出部201で検出された表面側基板認識マーク151、152又は裏面側基板認識マーク153、154と、保存された表面側基板認識マーク151、152、裏面側基板認識マーク153、154とを比較して、比較結果に基づいて、ステージ106に載置されたプリント基板105に付されている表面側基板認識マーク151、152又は裏面側基板認識マーク153、154を判別し、同時にステージ106に載置されているプリント基板105の表面、裏面を判別する。
【0029】
さらに、制御部108にはスクリーン認識マーク検出部203が設けられ、密着部分認識マーク検出部203はカメラ101で撮像した信号を入力しスクリーン112上の表面用密着部分認識マーク115、116、裏面用密着部分認識マーク117、118の画像を検出する。
基板認識マーク判別部202、密着部分認識マーク検出部203の双方には移動先の密着部分決定部204が接続され、移動先の密着部分決定部204は、密着部分認識マーク検出部203で検出された表面用密着部分認識マーク115、116又は裏面用密着部分認識マーク117、118と、基板認識マーク判別部203で判別された表面側基板認識マーク151、152又は裏面側基板認識マーク153、154とを比較して、比較結果に基づいて、スクリーン112の表面密着部分161又は裏面密着部分162を移動先として決定する。
【0030】
移動先の密着部分決定部204にはステージ駆動制御部205が接続され、ステージ駆動制御部205は移動先の密着部分決定部204で移動先として決定されたスクリーン112の表面密着部分161又は裏面密着部分162の情報をステージ駆動制御部205に通知し、ステージ駆動制御部205を駆動させ、ステージ106に載置されたステージ106を決定された表面密着部分161又は裏面密着部分162に密着させ、ステージ駆動制御部205から駆動完了の通知を受信する。
【0031】
ステージ駆動制御部205にはスキージ駆動制御部206が接続され、スキージ駆動制御部206はステージ駆動制御部205から印刷開始の指示を受け、スキージ駆動部109に印刷開始の指示を通知し、スキージ駆動部109では、ステージ106に載置されたプリント基板105に対して表面密着部分161の表面用開口パターン113又は裏面密着部分162の裏面用開口パターン114を介してスキージ121、122によりクリームはんだ103の印刷を行い、印刷完了の通知を受信すると、ステージ駆動制御部205に印刷完了の通知を行う。
【0032】
図5は図1におけるステージ駆動部107の動作例を説明するフローチャートである。本図に示すように、ステップS301において、スクリーン112の表面密着部分161の座標を入力する。一例として、表面密着部分161の座標は、表面密着部分161の中心座標であり、図2に示すように、(a1、b1、c1)である。
ステップS302において、スクリーン112の裏面密着部分162の座標を入力する。一例として、裏面密着部分162の座標は、裏面密着部分162の中心座標であり、図2に示すように、(a2、b2、c2)である。
【0033】
ステップS303において、制御部108のステージ駆動制御部205より、移動先として決定された密着部分161又は密着部分162の通知を受信する。
ステップS304において、通知された密着部分が表面密着部分161か否かを判断する。密着部分が裏面密着部分162の場合にはステップS311に進む。
ステップS305において、密着部分が表面密着部分161の場合には、ステージ駆動部107の現在位置の座標(x、y、z)を算出する。なお、座標(x、y、z)はステージに載置されたプリント基板105の中心位置の座標とする。
【0034】
ステップS306において、表面密着部分161を移動先として移動量(Δx、Δy、Δz)を以下のように算出する。
Δx=(x−a1)
Δy=(y−b1)
Δz=(z−c1)
ステップS307において、ステージ駆動部107は移動量に基づき移動を行う。
【0035】
ステップS308において、ステージ駆動部107が移動先の位置に移動したか否かを判断する。ステージ駆動部107の位置が移動先でない場合にはステップS305に戻り、新たな現在位置に対して上記処理を繰り返す。Δx=0、Δy=0、Δz=0になったときステージ駆動部107の位置が移動先になったと判断する。
ステップS309において、ステージ駆動部107の位置が移動先になった場合には、ステージ駆動部107の駆動を停止する。
【0036】
ステップS310において、駆動完了通知を制御部108のステージ駆動制御部205に送信して処理を終了する。
ステップS311において、密着部分が裏面密着部分162の場合には、ステージ駆動部107の現在位置の座標(x、y、z)を算出する。
ステップS312において、裏面密着部分162を移動先として移動量(Δx、Δy、Δz)を以下のように算出する。
【0037】
Δx=(x−a2)
Δy=(y−b2)
Δz=(z−c2)
ステップS313において、ステージ駆動部107は移動量に基づき移動を行う。
ステップS314において、ステージ駆動部107が移動先の位置に移動したか否かを判断する。ステージ駆動部107の位置が移動先でない場合にはステップS311に戻り、新たな現在位置に対して上記処理を繰り返す。Δx=0、Δy=0、Δz=0になったときステージ駆動部107の位置が移動先になったと判断し、ステップS309に進む。
【0038】
図6は図1における両面クリームはんだ印刷機の一連の動作を説明するフローチャートである。本図に示すように、ステップS321において、カメラ100によりステージ106上のプリント基板105を撮像し、表面側基板認識マーク151、152又は裏面側基板認識マーク153、154の検出を行う。
ステップS322において、表面側基板認識マーク151、152を検出した場合には、プリント基板105が表面側であると判断し、裏面側基板認識マーク153、154を検出した場合にはプリント基板105が裏面側であると判断する。
【0039】
ステップS323において、カメラ101によりスクリーン112を撮像し、表面用密着部分認識マーク115、116、裏面用密着部分認識マーク117、118の検出を行う。
ステップS324において、制御部108では、検出された表面用密着部分認識マーク115、116又は裏面用密着部分認識マーク117、118と、判別された表面側基板認識マーク151、152又は裏面側基板認識マーク153、154とを比較して、比較結果に基づいて、スクリーン112の表面密着部分161又は裏面密着部分162をステージ駆動部107の移動先として決定する。
【0040】
ステップS325において、決定した移動先の表面密着部分161又は裏面密着部分162の情報を制御部108からステージ駆動部107に通知を行う。
ステップS326において、ステージ駆動部107から制御部108に駆動完了の通知を受信する。
ステップS327において、制御部108からスキージ駆動部109に印刷開始の指示通知を行う。
【0041】
スキージ駆動部109では、印刷開始の指示があった表面密着部分161又は裏面密着部分162のスクリーン112に対して、スキージ121、122を印刷のためのスタート位置へ移動し、スキージ121、122の一方をスクリーン112に降ろしY軸往方向に移動することにより表面用開口パターン113又は裏面用開口パターン114を介してプリント基板105の表面又は裏面に対してクリームはんだ103の印刷を行う。
【0042】
印刷が完了したら、ステージ駆動制御部205は、ステージ駆動部107により、ステージ106を下降させ、印刷が完了したプリント基板105を取り出し、ステージ106に次のプリント基板105を載置する。
同じ表面側又は裏面側のプリント基板105の2枚目の印刷時には、スキージ駆動制御部206は、プリント基板105をスクリーン112に密着後に、スキージ駆動部109に対して、スキージ121、122の他方をスクリーン112上に降ろしY軸復方向に移動することにより表面用開口パターン113又は裏面用開口パターン114を介してプリント基板105の表面又は裏面に対してクリームはんだ103の印刷を行うように制御する。
【0043】
異なる表面側又は裏面側のプリント基板105の印刷時には、スキージ駆動制御部206は、スキージ121、122を印刷のためのスタート位置へ移動させて、上記と同様の動作を制御する。
ステップS328において、スキージ駆動部109から制御部108に印刷完了の通知を受信すると、一連の動作を終了する。
【0044】
したがって、本発明によれば、スクリーン112上に表面、裏面両方の表面用開口パターン113、裏面用開口パターン114が設けられているので、従来のようにプリント基板の表裏着替え時にスクリーンの交換作業が不要となる。
さらに、従来のようにスクリーン交換不要であるので、スクリーン交換と同時に発生するクリームはんだの取り出し、スクリーン清掃、クリームはんだ供給作業も不要となる。
【0045】
プリント基板105の表面側基板認識マーク151、152、裏面側基板認識マーク153、154により表裏の判別を行い、スクリーン112の表面用開口パターン113、裏面用開口パターン114を選択し、スクリーン112上の印刷位置切り替え動作を自動で行っているため、生産中に人手による操作は不要となる。
【実施例1】
【0046】
以上の説明では、表面用密着部分認識マーク115、116、裏面用密着部分認識マーク117、118、表面側基板認識マーク151、152、裏面側基板認識マーク153、154は丸形状の認識マークとしたがこれに代わり、スクリーン112の表面密着部分161、表面密着部分162、プリント基板105の表面、裏面を認識する認識マークとして表面用バーコード、裏面用バーコードを使用してもよい。これにより、本発明の汎用性が増す。
【図面の簡単な説明】
【0047】
【図1】本発明に係る両面クリームはんだ印刷機の概略構成を示す図である。
【図2】図1におけるスクリーン112をカメラ101側からみた例の概略を示す図である。
【図3】図1におけるプリント基板105をスクリーン112側からみた例の概略を示す図である。
【図4】図1における制御部108の概略構成示すブロック図である。
【図5】図1におけるステージ駆動部107の動作例を説明するフローチャートである。
【図6】図1における両面クリームはんだ印刷機の一連の動作を説明するフローチャートである。
【符号の説明】
【0048】
100…カメラ
101…カメラ
103…クリームはんだ
105…プリント基板
106…ステージ
107…ステージ駆動部
108…制御部
109…スキージ駆動部
111…スクリーン枠
112…スクリーン
113…表面用開口パターン
114…裏面用開口パターン
115、116…表面用密着部分認識マーク
117、118…裏面用密着部分認識マーク
121、122…スキージ
141…スクリーンホルダ
151、152…表面側基板認識マーク
153、154…裏面側基板認識マーク
155…表面側基板ランドパターン
156…裏面側基板ランドパターン
161…表面密着部分
162…裏面密着部分
201…基板認識マーク検出部
202…基板認識マーク判別部
203…密着部分認識マーク検出部
204…移動先の密着部分決定部
205…ステージ駆動制御部
206…スキージ駆動制御部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
スキージを駆動してクリームはんだ印刷を行う両面クリームはんだ印刷機において、
表面、裏面に異なる認識マークを付したプリント基板が載置されるステージと、
前記プリント基板の表面、裏面を密着する2つの密着部分の各々の内部に開口パターンが形成され、かつ、前記認識マークが付されるスクリーンと、
前記ステージを移動先の密着部分に駆動し、前記ステージに載置された前記プリント基板を前記密着部分に密着させるステージ駆動部と、
前記ステージに載置された前記プリント基板の認識マークを撮像する第1のカメラと、
前記スクリーンの認識マークを撮像する第2のカメラと、
前記第1のカメラの撮像情報から前記プリント基板の表面又は裏面の認識マークを判別し、判別した前記プリント基板の表面又は裏面の認識マークと前記第2のカメラの撮像情報から前記スクリーンに付された認識マークとを比較し、一致する認識マークから移動先の密着部分を決定し決定した前記密着部分に前記ステージ駆動部を駆動し、ステージに載置された前記プリント基板を決定した前記密着部分に密着させ、スキージ印刷を行わせる制御部とを備えることを特徴とする両面クリームはんだ印刷機。
【請求項2】
前記ステージに表面の右上隅と左下隅に認識マークを配置した前記プリント基板又は裏面の左上隅と右下隅に認識マークを配置した前記プリント基板を載置し、前記プリント基板の表面が密着される前記密着部分の右上隅と左下隅に認識マークを配置し、前記プリント基板の裏面が密着される前記密着部分の左上隅と右下隅に認識マークを配置することを特徴とする、請求項1に記載の両面クリームはんだ印刷機。
【請求項3】
前記ステージに表面用バーコードを配置した前記プリント基板又は裏面用バーコードを配置した前記プリント基板を載置し、前記プリント基板の表面が密着される前記密着部分に表面用バーコード、前記プリント基板の裏面が密着される前記密着部分に裏面用バーコードを配置することを特徴とする、請求項1に記載の両面クリームはんだ印刷機。
【請求項4】
スキージを駆動してクリームはんだ印刷を行う両面クリームはんだ印刷方法において、
表面、裏面に異なる認識マークが付されたプリント基板をステージに載置する工程と、
スクリーンに前記プリント基板の表面、裏面が密着される2つの密着部分の各々の内部に開口パターンを形成し、かつ、認識マークを付する工程と、
前記ステージに載置された前記プリント基板の認識マークを第1のカメラで撮像する工程と、
前記スクリーンの認識マークを第2のカメラで撮像する工程と、
前記第1のカメラの撮像情報から前記プリント基板の表面又は裏面の認識マークを判別し、判別した前記プリント基板の表面又は裏面の認識マークと前記第2のカメラの撮像情報から前記スクリーンに付された認識マークとを比較し、一致する認識マークから移動先の密着部分を決定する工程と、
決定された密着部分の移動先に前記ステージを駆動し、前記ステージに載置された前記プリント基板を決定された前記密着部分に密着させる工程と、
前記ステージに載置された前記プリント基板を密着させた前記密着部分に対してスキージ印刷を行う工程とを備えることを特徴とする両面クリームはんだ印刷方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2007−234705(P2007−234705A)
【公開日】平成19年9月13日(2007.9.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2006−51586(P2006−51586)
【出願日】平成18年2月28日(2006.2.28)
【出願人】(390010179)埼玉日本電気株式会社 (1,228)
【Fターム(参考)】