説明

中屈折率及び高屈折率を有するシロキサン系ハードコーティング組成物、その製造方法、及びこれから製造される光学レンズ

本発明は、付着性及び着色性が改善されたシロキサン系コーティング組成物に係り、さらに具体的に、オルガノシランのゾル−ゲル反応を高温で行って生成された有機−無機ゾルに、水素結合及び縮合反応が可能なアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、メチロール基、アンハイドライド基、及びイソシアネート基からなる群より選択される1種以上の官能基を含む化合物を添加することによって製造されるシロキサン系コーティング組成物、その製造方法、及びこれから製造される光学レンズに関する。
前記コーティング組成物の着色性は高温でゾル−ゲル反応を行うことによって改善され、基板に対する付着性は水素結合及び縮合反応が可能な化合物を転化することによって改善される。従って、本発明のコーティング膜は、着色性及び基板に対する付着性が優れているので、眼鏡、産業安全ゴーグル、レジャー用ゴーグルなどのプラスチックレンズの表面のコーティング膜として好ましく適用される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、付着性及び着色性が優れていて、光学用レンズ、産業安全ゴーグル、またはレジャー用ゴーグルなどのプラスチックレンズの表面のコーティング膜として適用可能な、中屈折及び高屈折シロキサン系コーティング組成物、その製造方法、及びこれから製造される光学レンズに関する。
【背景技術】
【0002】
プラスチック材質は、透明で軽いだけでなく、耐破裂性及び染料着色性が優れていて、多様な機能を付与するのが容易な長所がある。そのため、プラスチックレンズは、光学用レンズや産業安全ゴーグル及びレジャー用ゴーグルなどに多様に適用されている。
【0003】
しかし、プラスチック材質の特性上、表面が軟質であるため、外部の衝撃によって簡単にキズできて、クラック(crack)が発生するので、レンズとしての使用範囲に制約がある。このような短所を補完するために、プラスチックレンズの表面に耐摩耗性が優れている有機物またはシリコンコーティング剤などのコーティング組成物をコーティングして使用している。
【0004】
前記コーティング組成物は、プラスチック材質の製品の表面を十分に保護することができるように、形成されたコーティング膜が一定水準の耐摩耗性、耐熱湯性、着色性、耐溶剤性、付着性、及び光沢を有する必要があり、コーティング組成物の保存安定性が優れていなければならず、全工程で工程が容易でなければならない。しかし、実際の工程では、このような条件を全て満たすことはできない。
【0005】
大韓民国公開特許第2000−0020026号は、オルガノシラン及びジルコニウムアルコキシドをゾル−ゲル反応させて、ここに複合酸化物を添加したコーティング組成物を開示している。しかし、前記コーティング組成物は、耐衝撃性は優れているが、着色性及び光沢が低い問題点がある。
【0006】
大韓民国公開特許第2002−0009786号は、オルガノシラン及びジルコニウムアルコキシドをゾル−ゲル反応させて、ここに表面処理されていない単一酸化物を表面処理した3〜4種の複合酸化物として使用したコーティング組成物を開示している。前記特許では、ゾル−ゲル反応後に生成されたゾルの最終組成物の熟成温度及び熟成時間を調節することによって分子量を調節して、付着性及び保存安定性を向上させることができるとしている。しかし、このような組成物でコーティング膜を形成する場合、実際の実験の結果、着色性が若干低く、耐熱湯実験時にコーティング膜にクラックが発生する短所が提起された。
【特許文献1】大韓民国公開特許第2000−0020026号
【特許文献2】大韓民国公開特許第2002−0009786号
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0007】
本発明は、このような問題点を解決するためのものであって、本発明の目的は、付着性及び着色性が改善され、光学用レンズ、産業安全ゴーグル、またはレジャー用ゴーグルなどのプラスチックレンズの表面にコーティング膜として適用可能な、中屈折及び高屈折シロキサン系コーティング組成物を提供することにある。
【0008】
本発明の他の目的は、前記中屈折及び高屈折シロキサン系コーティング組成物の製造方法を提供することにある。
【0009】
本発明の他の目的は、前記シロキサン系コーティング組成物から製造されるコーティング膜を含む光学レンズを提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0010】
本発明は、前記目的を達成するために、a)下記の化学式1で示される化合物、その加水分解物、または部分縮合物0.1乃至50重量部、b)下記の化学式2で示される化合物、その加水分解物、または部分縮合物10乃至60重量部、c)屈折率が1.7乃至3.0の範囲である無機酸化物1.0乃至100重量部、d)水素結合及び縮合反応が可能なアミノ基(amino)、カルボキシル基(carboxylic acid)、メルカプト基(mercaptan)、メチロール基(methylol)、アンハイドライド基(anhydride)、及びイソシアネート基(isocyanate)からなる群より選択される1種以上の官能基を含む化合物0.1乃至5重量部、e)少なくとも1つ以上のカルボニル基(carbonyl)を含み、C−C12のアルキル基またはアセテート基が結合された錯体化合物10乃至50重量部、及びf)溶媒10乃至130重量部を含む、シロキサン系コーティング組成物を提供する。
【0011】
[化学式1]
(SiOR4−a
【0012】
[化学式2]
Si(OR4−b
【0013】
前記化学式で、R及びRは各々独立的にC−Cのアルキル基、C−Cのアルケニル基、C−Cのハロゲン化アルキル基、アリル基、及びC−Cの芳香族基からなる群より選択され、R
【化1】

であり、この時、RはC−Cのアルキレン基であり、Rは水素、C−Cのアルキル基、及び
【化2】

からなる群より選択され、この時、Rは水素、C−Cのアルキレン基、及びC−Cのアルキル基からなる群より選択され、RはC−Cのアルキル基であり、aは0乃至3の整数であり、bは0乃至3の整数である。
【0014】
本発明は、また、a)溶媒及び触媒存在下で、前記化学式1で示される化合物、その加水分解物、または部分縮合物から選択される少なくとも1種の化合物と、前記化学式2で示される化合物、その加水分解物、または部分縮合物から選択される少なくとも1種の化合物とを混合した後、高温でゾル−ゲル反応を行って、有機−無機ゾルを生成する段階;b)前記有機−無機ゾルに、少なくとも1つ以上のカルボニル基(carbonyl)を含み、C−C12のアルキル基またはアセテート基が結合された錯体化合物を添加する段階;c)前記段階b)で製造された混合物に、屈折率が1.7乃至3.0の範囲である無機酸化物を添加する段階;及びd)前記段階c)で製造された混合物に、水素結合及び縮合反応が可能なアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、メチロール基、アンハイドライド基、及びイソシアネート基からなる群より選択される1種以上の官能基を含む化合物を添加する段階;を含む、シロキサン系コーティング組成物の製造方法を提供する。
【0015】
本発明は、また、前記シロキサン系コーティング組成物で製造され、屈折率が1.5乃至1.65であるコーティング膜が形成された、光学レンズを提供する。
【発明の効果】
【0016】
本発明の中屈折及び高屈折シロキサン系コーティング組成物によって形成されたコーティング膜は、高硬度で、優れた耐摩耗性及び耐溶剤性を有し、硬化時の変色がなく、優れた保存安定性を有している。特に、着色が容易であり、基材及びコーティング膜の付着力が優れているので、眼鏡、産業安全ゴーグル、レジャー用ゴーグルなどのプラスチックレンズの表面のコーティング膜として好ましく適用される。
【0017】
[発明の実施の形態]
以下、本発明をより詳細に説明する。
【0018】
本発明によるシロキサン系コーティング組成物は、オルガノシランのゾル−ゲル反応を高温で行って、水素結合及び縮合反応が可能なアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、メチロール基、アンハイドライド基、及びイソシアネート基を含む化合物を添加して、着色性及び基材に対する付着性を向上させることによって、各種光学用レンズ、産業安全ゴーグル、またはレジャー用ゴーグルなどのレンズの表面にコーティング膜として適用可能な組成物である。
【0019】
オルガノシランのゾル−ゲル反応は、非常に複雑で、その原理が正確に解明されていない。しかし、酸触媒を使用して有機−無機ゾルを生成する場合、有機−無機ゾルの物性は、オルガノシランの種類、酸触媒の種類及び濃度、酸性度(pH)、温度、水の濃度、アルコールの種類及び濃度、塩などの影響を受けるといわれている。特に、生成された有機−無機ゾルの粒子の大きさ及び凝集程度、オルガノシランの反応基の数は、形成されるコーティング膜の耐摩耗性及び着色性に大きな影響を与える。
【0020】
一般に、生成されるゾルの大きさが小さいほど、形成されるコーティング膜の内部の空隙の大きさが小さくなって、充填密度(packing density)が増加する。したがって、着色性を向上させるためには、着色染料分子の大きさ以上の空隙が必要であり、本発明では、高温でゾル−ゲル反応を行って、ゾルの粒子の大きさを成長させる。
【0021】
使用可能なオルガノシランは、下記の化学式1で示される化合物、その加水分解物、または部分縮合物である。
【0022】
[化学式1]
(SiOR4−a
【0023】
前記化学式1で、R及びRは各々独立的にC−Cのアルキル基、C−Cのアルケニル基、C−Cのハロゲン化アルキル基、アリル基、及びC−Cの芳香族基からなる群より選択され、aは0乃至3の整数である。
【0024】
前記化学式1の化合物は、aが1以上である場合にはRがメチル基であるのが最も好ましい。この時、Rのアルキル基が長くなるほど、形成されたコーティング膜の軟質特性が強くて、コーティング膜としての物性が低下する。
【0025】
ここで、必要に応じて、メチル基を含む化合物及び異なる置換基を含む化合物を併用することもできるが、メチル基を含むシラン化合物のモル数が他のシラン化合物のモル数より多くなければならない。また、aが0である場合にはRがC−Cのアルキル基であるのが好ましい。
【0026】
具体的に、前記化学式1の化合物は、メチルトリメトキシシラン(methyl trimethoxy silane)、メチルトリエトキシシラン(methyl triethoxy silane)、ビニルトリメトキシシラン(vinyl trimethoxy silane)、ビニルトリエトキシシラン(vinyl triethoxy silane)、ジメチルジメトキシシラン(dimethyl dimethoxy silane)、ジメチルジエトキシシラン(dimethyl diethoxy silane)、ビニルメチルジメトキシシラン(vinyl methyl dimethoxy silane)、ブチルトリメトキシシラン(butyl trimethoxy silane)、ジフェニルエトキシビニルシラン(diphenyl ethoxy vinylsilane)、メチルトリイソプロポキシシラン(methyl triisopropoxy silane)、メチルトリアセトキシシラン(methyl triacetoxy silane)、テトラフェノキシシラン(tetraphenoxy silane)、テトラプロポキシシラン(tetrapropoxy silane)、及びビニルトリイソプロポキシシラン(vinyl triisopropoxy silane)などが可能である。
【0027】
このような化学式1のオルガノシラン化合物は、組成物全体で0.1乃至50重量部、好ましくは1.0乃至15重量部で含まれている。万が一、前記範囲未満で含まれている場合には、コーティング膜の耐摩耗性が低下し、これとは反対に、前記範囲を超過する場合には、むしろ耐熱湯性実験時にコーティング膜にクラックが発生する問題点が発生するようになるので、前記範囲内で適切に調節する。
【0028】
本発明によるシロキサン系コーティング組成物は、他の成分として、下記の化学式2で示されるオルガノシラン化合物、その加水分解物、または部分縮合物が使用される。
【0029】
[化学式2]
Si(OR4−b
【0030】
前記化学式2で、R
【化3】

であり、この時、RはC−Cのアルキレン基であり、Rは水素、C−Cのアルキル基、及び
【化4】

からなる群より選択され、この時、Rは水素、C−Cのアルキレン基、及びC−Cのアルキル基からなる群より選択され、RはC−Cのアルキル基であり、bは0乃至3の整数である。
【0031】
前記化学式2のオルガノシラン化合物は、官能基としてエポキシ官能基を含むことによって、本発明の組成物を基材上に硬化させる時に、有機染料の着色または染色を可能にする。
【0032】
具体的に、前記化学式2の化合物は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン(3−glycydoxy propyl trimethoxy silane)、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン(3−glycydoxy propyl triethoxy silane)、3−グリシドキシプロピルメチルメトキシシラン(3−glycydoxy propyl methylmethoxy silane)、3−グリシドキシプロピルメチルエトキシシラン(3−glycydoxy propyl methylethoxy silane)、及びβ−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン(β−(3,4−epoxycy clohexyl)ethyl trimethoxy silane)などが可能である。
【0033】
このような化学式2のオルガノシラン化合物は、組成物全体で10乃至60重量部、好ましくは20乃至40重量部で含まれている。万が一、前記範囲未満で含まれている場合には、耐熱湯性実験時にコーティング膜の表面にクラックが発生し、これとは反対に、前記範囲を超過する場合には、むしろコーティング膜の耐摩耗性が低下する問題点が発生するようになるので、前記範囲内で化学式2のオルガノシラン化合物の含有量を適切に調節する。
【0034】
前記オルガノシランのゾル−ゲル反応は、酸触媒の添加によって行われ、このような酸触媒によってpH及び反応速度が制御されて、シロキサン系コーティング組成物の保存安定性及び耐摩耗性などの諸般の物性を調節する。
【0035】
使用可能な酸触媒としては、酢酸、燐酸、硫酸、塩酸、硝酸、クロロスルホン酸(chloro sulfonic acid)、パラ−トルエンスルホン酸(p−toluene sulfonic acid)、トリクロロ酢酸(trichloro acetic acid)、ポリリン酸(polyphosphoric acid)、ヨウ素酸、無水ヨウ素酸、及び過塩素酸(perchloric acid)からなる群より選択される酸触媒が好ましく、最終pHまたは成分による反応速度、そして適用基材に対する付着性などを考慮して、単独または2種以上を併用することができる。
【0036】
また、本発明のシロキサン系コーティング組成物は、中屈折及び高屈折率を有し、耐摩耗性を向上させるために、無機酸化物を一定の含有量で含む。
【0037】
使用可能な無機酸化物は、屈折率が1.7乃至3.0である無機酸化物であり、より好ましくは、酸化チタン(TiO)(屈折率2.5〜2.7)、酸化シリコン(SiO)(屈折率1.5)、酸化ジルコニウム(ZrO)(屈折率2.2)、酸化錫(SnO)(屈折率2.0)、酸化セリウム(Ce)(屈折率2.2)、チタン酸バリウム(BaTiO)(屈折率2.4)、酸化アルミニウム(Al)(屈折率1.73)、及び酸化イットリウム(Y)(屈折率1.92)からなる群より選択される2種以上の酸化物を含む複合酸化物がある。
【0038】
前記複合酸化物の選定は、屈折率によって組成を適切にして使用する。一例として、TiO−ZrO−SnO、TiO−ZrO−SiO、及びTiO−SnO−SiOなどが可能である。このような複合酸化物を使用してコーティング膜の屈折率を1.50乃至1.65の範囲に調節して、中屈折及び高屈折コーティング膜として適用する。
【0039】
前記複合酸化物は、シロキサン系コーティング組成物で安定した分散状態を維持し、形成されたコーティング膜の透明度を考慮して、粒子が5乃至30nmのナノサイズ水準のものを使用する。
【0040】
この時、複合酸化物は、組成物全体で1.0乃至100重量部、好ましくは10乃至70重量部で含まれている。万が一、前記範囲未満で含まれている場合には、屈折率が適切な水準のコーティング膜の形成が困難であり、これとは反対に、前記範囲を超過する場合には、むしろクラック点となってコーティング膜がひび割れたり破けることがあって、膜の硬度が深刻に低下するので、前記範囲内で適切に調節する。
【0041】
特に、本発明では、従来のコーティング膜の基材との低い付着性を改善するために、コーティング膜及び基材が化学的に結合可能な官能基を含む化合物を添加する。
【0042】
使用可能な官能基は、アミノ基(−NH)、カルボキシル基(C(=O)OH)、メルカプト基(−SH)、メチロール基(−CHOH)、アンハイドライド基(−C(=O)OC(=O)−)、及びイソシアネート基(−N=C=O)など、反応性が優れていて、水素結合及び縮合反応によって化学結合が可能な官能基である。
【0043】
アミノ基を含む化合物としては、エチレンジアミン(ethylene diamine)、ジエチレントリアミン(diethylene triamine)、トリメチレンテトラアミン(trimethylene tetraamine)、トリエチレンテトラアミン(trimethylene tetraamine)、シクロアリファティクイソプレンジアミン(cyclo aliphatic isoprene diamine)、メタ−フェニレンジアミン(m−phenylene diamine)、4,4−ジアミノジフェニルメタン(4,4−diamino diphenyl methane)、4,4−ジアミノジフェニルスルホン(4,4−diamino diphenyl sulfone)、ジシアンジアミド(dicyan diamide)、C−C4のヒドロキシアルキルアミン(hydroxylalkylamine)、C−Cのアルキルアミノシラン(alkylamino silane)などの化合物、及びポリアミド樹脂(polyamides)などの高分子が可能であり、ジシアンジアミド(dicyan diamide)、及びC−Cのアルキルアミノシラン(alkylamino silane)などが好ましい。
【0044】
使用可能なカルボキシル基を含む化合物としては、イタコン酸(itaconic acid)、マレイン酸(maleic acid)、酒石酸(tartaric acid)、及びコハク酸(succinic acid)からなる群より選択されるものがある。
【0045】
メルカプト基を含む化合物としては、ジメルカプトコハク酸(dimercapto succinic acid)、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール(2,3−dimercapto−1−propanol)、及び2,3−ジメルカプト−1−プロパンスルホン酸(2,3−dimercapto−1−propanesulfonicacid)からなる群より選択されるものが好ましい。
【0046】
使用可能なメチロール基を含む化合物としては、メチロール基を含むフェノール化合物、メチロール基を含むアミノ化合物、及びメチロール基を含むウレア化合物からなる群より選択されるものがある。
【0047】
アンハイドライド基を含む化合物としては、無水マレイン酸(maleic anhydride)、無水フタル酸(phthalic anhydride)、フタリックジアンハイドライド(phthalic dianhydride)、及びヘキサヒドロフタリックアンハイドライド(hexahydro phthalic anhydride)からなる群より選択されるものが好ましい。
【0048】
使用可能なイソシアネート基を含む化合物としては、ジフェニルメタンジイソシアネート(diphenyl methane diisocyanate、MDI)、トルエンジイソシアネート(toluene diisocyanate、TDI)、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート(1,6−hexamethylene diisocyanate、HDI)、及びイソプレンジイソシアネート(isoprene diisocyanate、IPDI)からなる群より選択されるものがある。
【0049】
このような化合物は、組成物全体で0.1乃至5重量部、好ましくは0.5乃至3重量部で含まれている。万が一、前記範囲未満で含まれている場合には、満足できるだけの水準の基材との付着性を実現することができず、これとは反対に、前記範囲を超過する場合には、むしろ耐摩耗性が低下する問題点があるので、前記範囲内で適切に調節する。
【0050】
一方、オルガノシランによって、長期間保存する場合に、有機−無機ゾルの表面にあるヒドロキシ基(OH)間の縮合反応によって凝集現象が発生してべとつくため、本発明では、特に、作業性及び保存安定性を改善するために、前記ヒドロキシ基とキレーティングすることができる物質の錯体化合物を添加する。このような錯体化合物は、ゾル−ゲル反応後に生成された有機−無機ゾルの表面に位置するヒドロキシ基と錯体を形成して、ヒドロキシ基間の縮合反応を抑制することによって、有機−無機ゾルの凝集現象を防止する。
【0051】
前記錯体化合物は、少なくとも1つ以上のカルボニル基(carbonyl)を含み、C−C12のアルキル基またはアセテート基が結合された化合物であって、ケトンまたはジケトン化合物が使用される。代表的な錯体化合物としては、アセチルアセトン(acetyl acetone)、アセトン(acetone)、メチルエチルケトン(methyl ethyl ketone)、及び2,4−ヘキサンジオン(2,4−hexandion)からなる群より選択される1種以上がある。
【0052】
このような錯体化合物は、組成物全体で10乃至50重量部、好ましくは20乃至30重量部で含まれている。万が一、前記範囲未満で含まれている場合には、満足できるだけの水準の保存安定性を実現することができず、これとは反対に、前記範囲を超過する場合には、乾燥が不良で、コーティング性が低下する問題点があるので、前記範囲内で適切に調節する。
【0053】
本発明のシロキサン系コーティング組成物は、アルコール類、セルソルブ類などの有機溶媒に希釈して使用することができる。
【0054】
前記溶媒の例は、オルガノシランのゾル−ゲル反応に利用される溶媒の例と同一であり、好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチルアセテート、メチルアセテート、キシレン、及びトルエンからなる群より選択される1種以上の単独または混合溶媒がある。前記溶媒は、組成物全体で10乃至130重量部、好ましくは30乃至100重量部になるように希釈して使用されるのが好ましい。
【0055】
また、本発明のシロキサン系コーティング組成物は、a)前記化学式1で示される化合物、その加水分解物、または部分縮合物から選択される1種以上の化合物と、前記化学式2で示される化合物、その加水分解物、または部分縮合物から選択される1種以上の化合物とを溶媒及び触媒存在下でゾル−ゲル反応して生成された有機−無機ゾル、c)無機酸化物、d)水素結合及び縮合反応が可能な官能基を含む化合物、及びe)錯体化合物を含むものであってもよい。
【0056】
また、本発明のシロキサン系コーティング組成物は、基材との付着性、加工性、反射防止性などをより改善するために、本発明の効果が低下しない範囲で各種の添加剤を追加的に使用することもできる。
【0057】
このような添加剤の例としては、ポリオレフィン系エポキシ樹脂、シクロヘキサンオキシド、ポリグリシジルエステル類、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシアクリレート樹脂、またはベンゾフェノン系、ベンゾトリアゾール系、フェノール系などの紫外線吸収剤などがある。また、コーティング組成物の塗布性を改善するために、各種界面活性剤を添加することもでき、このような界面活性剤としては、ジメチルシロキサン及びポリエーテルのブロック共重合体やグラフト共重合体、またはフッ素系界面活性剤などがある。
【0058】
以下、本発明によるシロキサン系コーティング組成物の製造方法を説明する。
【0059】
本発明のシロキサン系コーティング組成物の製造方法は、a)溶媒及び触媒存在下で、前記化学式1及び化学式2で示される化合物、その加水分解物、または部分縮合物を混合した後、高温でゾル−ゲル反応を行って、有機−無機ゾルを生成する段階;b)前記有機−無機ゾルに、少なくとも1つ以上のカルボニル基を含み、C−C12のアルキル基またはアセテート基が結合された錯体化合物を添加する段階;c)前記段階b)で製造された混合物に、屈折率が1.7乃至3.0である無機酸化物を添加する段階;及びd)前記段階c)で製造された混合物に、水素結合及び縮合反応が可能なアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、メチロール基、アンハイドライド基、及びイソシアネート基からなる群より選択される1種以上の官能基を含む化合物を添加する段階;を含む。
【0060】
具体的に、段階a)では、反応器で溶媒及び触媒存在下で化学式1で示される化合物及び化学式2で示される化合物を混合した後、ゾル−ゲル反応を行う。
【0061】
段階a)で使用される溶媒は、アルコール類、セルソルブ類などであり、好ましくは、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチルアセテート、メチルアセテート、キシレン、及びトルエンからなる群より選択される1種以上の単独または混合溶媒がある。
【0062】
特に、本発明では、ゾル−ゲル反応を70乃至95℃で行って、ゾル−ゲル反応によって生成されたゾルの粒子を成長させる。前記成長したゾルの粒子は、化学式1及び化学式2の化合物が3次元網状構造からなって分子の状態が安定しており、所定の大きさの空隙が形成され、このような空隙に着色染料が位置して、着色性が向上する。
【0063】
段階b)では、前記ゾル−ゲル反応によって生成された反応物に錯体化合物を添加する。
この時、反応温度を下降させずにゾル−ゲル反応と同様の温度で行う。
【0064】
段階c)では、前記段階b)で製造された反応物の温度を20乃至40℃に調節した後、複合酸化物を添加する。
この時、複合酸化物は、分散性及び常用性を考慮して、ゾル−ゲル反応に使用された反応溶媒に分散させて注入する。
【0065】
段階d)では、前記段階c)で製造された混合物に付着性を向上させる官能基を含む化合物を添加して、20乃至40℃で反応させる。
【0066】
前記のように、本発明の組成物から形成されたコーティング膜は、1.5乃至1.65の範囲の屈折率を有して、中屈折及び高屈折コーティング膜として適用され、各種光学用レンズ、特に産業安全ゴーグル及びレジャー用ゴーグルなどのプラスチックレンズの表面にコーティングされて、レンズの品質を向上させることができる。
【0067】
特に、前記コーティング膜は、耐摩耗性が優れていて、染色後の透過率が30乃至70%であり、耐熱湯性実験による付着性が優れている特徴がある。そればかりか、前記コーティング膜は、耐溶剤性、着色性が優れていて、硬化時に変色がない特徴がある。
【0068】
前記コーティング膜は、通常のコーティング方法を使用して、光学用レンズ、特に産業安全ゴーグル及びレジャー用ゴーグルなどのプラスチックレンズの表面にコーティングされて乾燥した後、硬化されて製造される。
【0069】
この時、コーティング後の硬化条件は組成物の配合比や成分によって多少異なるが、一般的には、基材の軟化点未満の温度である60乃至150℃で十分な時間硬化させ、より好ましくは、20分乃至10時間硬化させることによって目的とする特性のコーティング膜を形成することができる。
【0070】
また、使用されるコーティング方法としては、通常の湿式コーティング法があり、一例として、ロールコーティング、スプレーコーティング、ディップコーティング、またはスピンコーティングがあるが、これらに限定されない。
【0071】
前記シロキサン系コーティング組成物によって形成されたコーティング膜は、分散染料で染色可能である。前記染色は、分散染料の濃度、温度、時間などの条件を任意に決定することができ、一般的には、0.1乃至1重量%の濃度の染料水溶液を使用して、80乃至100℃の温度で5乃至10分間浸漬して染色する。
【0072】
以下、本発明の好ましい実施例を記載する。ただし、下記の実施例は本発明の好ましい一実施例にすぎず、本発明は下記の実施例によって限定されない。
【0073】
〔実施例1〕
組成物の製造
常温に維持されているジャケット反応器(jacket reactor)に、テトラエトキシシラン100g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン250g、メタノール100gを入れた後、5分間攪拌した。次に、pH2.5の酢酸水溶液80gを入れて反応器の温度を75℃に上げた後、3時間攪拌して、ゾル−ゲル反応を行った。
次に、前記ゾル−ゲル反応によって生成されたゾル溶液に、アセチルアセトン145gを添加して攪拌した。次に、反応器の温度を25℃に下げて、メタノールに分散したTiO−SnO−ZrOゾル(日産化学社製造HIT−30M、粒径5−20nm、球形、結晶状、屈折率2.3、固形分30重量%)350gを添加して攪拌した。次に、イタコン酸40gを添加した後、1時間攪拌してから反応を終了させて、シロキサン系コーティング組成物を製造した。
【0074】
コーティング膜の形成
眼鏡用高屈折レンズ(ケミグラス社製造、MR−8、屈折率1.59)をエッチングした後、前記製造されたシロキサン系コーティング組成物に浸漬してコーティングし、110℃で2時間硬化させて、コーティング膜を形成した。
【0075】
〔実施例2〕
イタコン酸40gの代わりにジシアンジアミド及びイタコン酸を各々20g使用したことを除いては、前記実施例1と同一に行って、シロキサン系コーティング組成物及びコーティング膜を製造した。
【0076】
〔実施例3〕
イタコン酸40gの代わりにジシアンジアミド40gを使用したことを除いては、前記実施例1と同様に行って、シロキサン系コーティング組成物及びコーティング膜を製造した。
【0077】
〔比較例1〕
ジャケット反応器(jacket reactor)に、テトラエトキシシラン100g、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン250g、メタノール100gを入れた後、5分間攪拌した。次に、pH2.5の酢酸水溶液80gを入れて、25℃で3時間攪拌して、ゾル−ゲル反応を行った。
次に、前記ゾル−ゲル反応によって生成されたゾル溶液に、アセチルアセトン145gを添加して攪拌した。次に、反応器の温度を25℃に下げて、メタノールに分散したTiO−SnO−ZrOゾル(日産化学社製造HIT−30M、粒径5−20nm、球形、結晶状、屈折率2.3、固形分30重量%)350gを添加して攪拌してから反応を終了させて、シロキサン系コーティング組成物を製造した。
【0078】
〔比較例2〕
ゾル−ゲル反応を75℃で行ったことを除いては、前記比較例1と同様に行って、シロキサン系コーティング組成物及びコーティング膜を製造した。
【0079】
実験例1:シロキサン系コーティング組成物の物性の測定
前記実施例及び比較例で製造された各々のシロキサン系コーティング組成物の保存安定性を評価して、その結果を下記の表1に示した。
【0080】
【表1】

【0081】
前記表1を参照すれば、実施例及び比較例で製造されたシロキサン系コーティング組成物の全てが保存安定性が優れていることが分かる。
【0082】
実験例2:コーティング膜の物性の測定
前記実施例及び比較例で形成された各々のコーティング膜の物性を下記の表2のように測定して、その結果を表3に示した。
【0083】
【表2】

【0084】
【表3】

【0085】
前記表3を参照すれば、本発明によってゾル−ゲル反応を高温で行って製造されたコーティング組成物で形成された実施例1乃至3のコーティング膜は、硬度が8Hであり、外観、耐摩耗性、耐溶剤性、耐熱湯性が優れている結果を示した。
【0086】
特に、付着性の結果を見れば、水素結合及び縮合反応が可能な化合物を使用することによって、基材との付着性が改善されることが分かる。
【0087】
また、着色性においては、数値が大きいほど染料の着色性が低いことを意味するが、前記表3の結果を見れば、本発明による実施例1乃至3のコーティング膜は、着色性が40乃至45%と非常に良好であることが分かる。
【0088】
比較例1のコーティング膜の場合、高屈折率を有し、耐摩耗性、耐溶剤性、変色性、及び硬度の全てが優れている結果を示した。
【0089】
しかし、比較例1のコーティング膜は、基材との付着性が低く、100℃で付着性を評価した耐熱湯性実験の結果を見れば、コーティング膜として使用することができないことが分かる。さらに、着色性が68%と高い数値を示し、染料着色性がコーティング膜として不足していることが分かる。このような結果は、ゾル−ゲル反応を常温で行うことによって、生成されるゾルの粒子の大きさが小さくなり、コーティング膜の形成時に内部の空隙の大きさが小さくなって、染料が安定的に分散できないことに起因する。
【0090】
比較例2のコーティング膜の場合、着色性が優れていて、硬化時の変色がなく、高屈折コーティング膜として使用することができる。しかし、硬度が6Hと非常に低く、耐摩耗性実験の結果を見れば、コーティング膜の表面に擦り傷が発生した。また、基材との付着性が低く、耐熱湯性実験でも付着性が低く、コーティング膜として適切でないことが分かる。このような付着性の違いは、水素結合及び縮合反応が可能な反応基を含む化合物の添加の有無によって大きな違いを示すことが分かる。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
a)下記の化学式1で示される化合物、その加水分解物、または部分縮合物0.1乃至50重量部、
b)下記の化学式2で示される化合物、その加水分解物、または部分縮合物10乃至60重量部、
c)屈折率が1.7乃至3.0の範囲である無機酸化物1.0乃至100重量部、
d)水素結合及び縮合反応が可能なアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、メチロール基、アンハイドライド基、及びイソシアネート基からなる群より選択される1種以上の官能基を含む化合物0.1乃至5重量部、
e)少なくとも1つ以上のカルボニル基を含み、C−C12のアルキル基またはアセテート基が結合された錯体化合物10乃至50重量部、及び
f)溶媒10乃至130重量部を含む、シロキサン系コーティング組成物。
[化学式1]
(SiOR4−a
[化学式2]
Si(OR4−b
前記化学式で、
及びRは各々独立的にC−Cのアルキル基、C−Cのアルケニル基、C−Cのハロゲン化アルキル基、アリル基、及びC−Cの芳香族基からなる群より選択され、

【化1】

であり、この時、RはC−Cのアルキレン基であり、Rは水素、C−Cのアルキル基、及び
【化2】

からなる群より選択され、この時、Rは水素、C−Cのアルキレン基、及びC−Cのアルキル基からなる群より選択され、
はC−Cのアルキル基であり、
aは0乃至3の整数であり、
bは0乃至3の整数である。
【請求項2】
前記化学式1の化合物は、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、ビニルメチルジメトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン、ジフェニルエトキシビニルシラン、メチルトリイソプロポキシシラン、メチルトリアセトキシシラン、テトラフェノキシシラン、テトラプロポキシシラン、及びビニルトリイソプロポキシシランからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載のシロキサン系コーティング組成物。
【請求項3】
前記化学式2の化合物は、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルメチルエトキシシラン、及びβ-(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシランからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載のシロキサン系コーティング組成物。
【請求項4】
前記無機酸化物は、酸化チタン、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化セリウム、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、及び酸化イットリウムからなる群より選択される2種以上の酸化物を含む複合酸化物である、請求項1に記載のシロキサン系コーティング組成物。
【請求項5】
前記無機酸化物は、TiO−ZrO−SnO、TiO−ZrO−SiO、及びTiO−SnO−SiOからなる群より選択される1種以上の複合酸化物である、請求項4に記載のシロキサン系コーティング組成物。
【請求項6】
前記無機酸化物は、粒子の大きさが5乃至30nmである、請求項1に記載のシロキサン系コーティング組成物。
【請求項7】
前記アミノ基を含む化合物は、エチレンジアミン、ジエチレントリアミン、トリメチレンテトラアミン、トリエチレンテトラアミン、シクロアリファティックイソプレンジアミン、m−フェニレンジアミン、4,4−ジアミノジフェニルメタン、4,4−ジアミノジフェニルスルホン、ジシアンジアミド、C−Cのヒドロキシアルキルアミン、及びC−Cのアルキルアミノシランを含む化合物、またはポリアミド樹脂からなる群より選択される1種以上であり、
前記カルボキシル基を含む化合物は、イタコン酸、マレイン酸、酒石酸、及びコハク酸からなる群より選択される1種以上であり、
前記メルカプト基を含む化合物は、ジメルカプトコハク酸、2,3−ジメルカプト−1−プロパノール、及び2,3−ジメルカプト−1−プロパンスルホン酸からなる群より選択される1種以上であり、
前記メチロール基を含む化合物は、メチロール基を含むフェノール化合物、メチロール基を含むアミノ化合物、及びメチロール基を含むウレア化合物からなる群より選択される1種以上であり、
前記アンハイドライド基を含む化合物は、無水マレイン酸、無水フタル酸、フタリックジアンハイドライド、及びヘキサヒドロフタリックアンハイドライドからなる群より選択される1種以上であり、
前記イソシアネート基を含む化合物は、ジフェニルメタンジイソシアネート、トルエンジイソシアネート、1,6−ヘキサメチレンジイソシアネート、ジシアンジアミド、及びイソプレンジイソシアネートからなる群より選択される1種以上である、請求項1に記載のシロキサン系コーティング組成物。
【請求項8】
前記d)の化合物は、エチレンジアミン、ジシアンジアミド、アルキルアミノシラン、イタコン酸、ジメルカプトコハク酸、アミノホルムアルデヒド、フタリックジアンハイドライド、及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートからなる群より選択されるものである、請求項1に記載のシロキサン系コーティング組成物。
【請求項9】
前記錯体化合物は、アセチルアセトン、アセトン、メチルエチルケトン、及び2,4−ヘキサンジオンからなる群より選択される1種である、請求項1に記載のシロキサン系コーティング組成物。
【請求項10】
前記溶媒は、メタノール、エタノール、イソプロパノール、n−プロパノール、n−ブタノール、sec−ブタノール、t−ブタノール、メチルセルソルブ、エチルセルソルブ、ブチルセルソルブ、エチルアセテート、メチルアセテート、キシレン、及びトルエンからなる群より選択される1種以上の単独または混合溶媒である、請求項1に記載のシロキサン系コーティング組成物。
【請求項11】
前記シロキサン系コーティング組成物は、前記化学式1で示される化合物、その加水分解物、または部分縮合物から選択される1種以上の化合物と、前記化学式2で示される化合物、その加水分解物、または部分縮合物から選択される1種以上の化合物とを、溶媒及び触媒存在下でゾル−ゲル反応して生成された有機−無機ゾル、c)無機酸化物、d)水素結合及び縮合反応が可能な官能基を含む化合物、及びe)錯体化合物を含む、請求項1に記載のシロキサン系コーティング組成物。
【請求項12】
a)溶媒及び触媒存在下で、下記の化学式1で示される化合物、その加水分解物、または部分縮合物から選択される1種以上の化合物と、前記化学式2で示される化合物、その加水分解物、または部分縮合物から選択される1種以上の化合物とを混合した後、高温でゾル−ゲル反応を行って、有機−無機ゾルを生成する段階;
b)前記有機−無機ゾルに、少なくとも1つ以上のカルボニル基を含み、C−C12のアルキル基またはアセテート基が結合された錯体化合物を添加する段階;
c)前記段階b)で製造された混合物に、屈折率が1.7乃至3.0の範囲である無機酸化物を添加する段階;及び
d)前記段階c)で製造された混合物に、水素結合及び縮合反応が可能なアミノ基、カルボキシル基、メルカプト基、メチロール基、アンハイドライド基、及びイソシアネート基からなる群より選択される1種以上の官能基を含む化合物を添加する段階;を含む、シロキサン系コーティング組成物の製造方法。
[化学式1]
(SiOR4−a
[化学式2]
Si(OR4−b
前記化学式で、
及びRは各々独立的にC−Cのアルキル基、C−Cのアルケニル基、C−Cのハロゲン化アルキル基、C−Cのアリル基、及びC−Cの芳香族基からなる群より選択され、

【化3】

であり、この時、RはC−Cのアルキレン基であり、Rは水素、C−Cのアルキル基、及び
【化4】

からなる群より選択され、この時、Rは水素、C−Cのアルキレン基、及びC−Cのアルキル基からなる群より選択され、
はC−Cのアルキル基であり、
aは0乃至3の整数であり、
bは0乃至3の整数である。
【請求項13】
前記段階a)及びb)は70乃至95℃で行われる、請求項12に記載のシロキサン系コーティング組成物の製造方法。
【請求項14】
前記段階c)及びd)は20乃至40℃で行われる、請求項12に記載のシロキサン系コーティング組成物の製造方法。
【請求項15】
前記酸触媒は、酢酸、燐酸、硫酸、塩酸、硝酸、クロロスルホン酸、p−トルエンスルホン酸、トリクロロ酢酸、ポリリン酸、ヨウ素酸、無水ヨウ素酸、及び過塩素酸からなる群より選択される1種以上である、請求項12に記載のシロキサン系コーティング組成物の製造方法。
【請求項16】
前記段階c)の無機酸化物は、酸化チタン、酸化シリコン、酸化ジルコニウム、酸化錫、酸化セリウム、チタン酸バリウム、酸化アルミニウム、及び酸化イットリウムからなる群より選択される2種以上の酸化物を含む複合酸化物である、請求項12に記載のシロキサン系コーティング組成物の製造方法。
【請求項17】
前記無機酸化物は、TiO−ZrO−SnO、TiO−ZrO−SiO、及びTiO−SnO−SiOからなる群より選択される1種以上の複合酸化物である、請求項16に記載のシロキサン系コーティング組成物の製造方法。
【請求項18】
前記段階d)で添加される化合物は、ジシアンジアミド、イタコン酸、ジメルカプトコハク酸、アミノホルムアルデヒド、フタリックジアンハイドライド、及び1,6−ヘキサメチレンジイソシアネートからなる群より選択されるものである、請求項12に記載のシロキサン系コーティング組成物の製造方法。
【請求項19】
請求項1乃至請求項10のうちのいずれか1項に記載のシロキサン系コーティング組成物で製造され、屈折率が1.5乃至1.65であるコーティング膜が形成された、光学レンズ。
【請求項20】
前記光学レンズは、産業安全ゴーグルまたはレジャー用ゴーグルである、請求項19に記載の光学レンズ。

【公表番号】特表2009−517521(P2009−517521A)
【公表日】平成21年4月30日(2009.4.30)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−543183(P2008−543183)
【出願日】平成18年11月24日(2006.11.24)
【国際出願番号】PCT/KR2006/004985
【国際公開番号】WO2007/064107
【国際公開日】平成19年6月7日(2007.6.7)
【出願人】(500239823)エルジー・ケム・リミテッド (1,221)
【Fターム(参考)】