説明

二次元停止画像に対して没入感を生成する方法およびシステム、または没入感を生成するためのファクタ調節方法、イメージコンテンツ分析方法およびスケーリングパラメータ予測方法

【課題】 二次元停止画像に対して没入感を生成する方法およびシステムを開示する。
【解決手段】 イメージに対して没入感を生成する方法は、入力されたイメージの色空間を変換する段階と、背景マスクをロードしてイメージを前景イメージおよび背景イメージに分離する段階と、イメージコンテンツ分析を介して色空間に対する知覚属性に基づいた属性情報を前景イメージまたは背景イメージによって獲得する段階と、属性情報に基づいてスケーリングパラメータを予測する段階と、前記スケーリングパラメータに基づいてイメージを強調する段階とを含む。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次元停止画像に対して没入感を生成する方法およびシステム、または没入感を生成するためのファクタ調節方法、イメージコンテンツ分析方法およびスケーリングパラメータ予測方法に関する。
【背景技術】
【0002】
TVやプロジエクタ、映画などで見られる大型サイズ(例えば、視野角50゜以上)のディスプレイにおいて、ディスプレイサイズの増加は、人々により高いリアリティ、十分な関連性、または強い存在感を感じさせる一種の没入感を引き起こすものであると言える。このような没入感は、イメージの品質とは別に、イメージに対して極めて高い好感を与えるようになる。
【0003】
一般的なサイズ(例えば、視野角30゜以下)のディスプレイでは、同じイメージやビデオコンテンツを再生する他のサイズのディスプレイと比べてみるとき、このような没入感が感じられ難いという問題点がある。
【0004】
視野角の差が生じる最大の理由は、ディスプレイのサイズ差にある。すなわち、物理的に異なるサイズのディスプレイを見るときに、視野角が相違するためである。例えば、大きいサイズのディスプレイでは、視野角も大きいため、視野角が網膜の大部分をカバーする。これに反し、相対的に小さいサイズのディスプレイでは、視野角も小さいため、視野角は単に網膜の主な部分だけしかカバーできない。
【特許文献1】特許公開平11−167487号公報
【特許文献2】大韓民国特許公開第2003−087195号公報
【特許文献3】大韓民国特許公開第2004−090373号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0005】
本発明は、イメージの背景イメージまたは前景イメージにそれぞれ個別的に用いられる4つの独立的なファクタを調節することで、一般的なサイズのディスプレイに対して没入感を生成する没入感生成方法およびシステムを提供することを目的とする。
【0006】
また、本発明は、イメージの明度(brightness or lightness)、彩度(saturation or chroma)、および色調を含む知覚属性を用いて属性情報を獲得するイメージ分析を介し、属性情報に基づいてスケーリングパラメータを予測してファクタを調節することで、ディスプレイに対する没入感を生成することができるイメージ分析方法、スケーリングパラメータ予測方法、およびファクタ調節方法を提供することを目的とする。
【課題を解決するための手段】
【0007】
本発明の一実施形態に係るイメージに対して没入感を生成する方法は、入力されたイメージの色空間を変換する段階と、背景マスクをロードして前記イメージを前景イメージおよび背景イメージに分離する段階と、イメージコンテンツ分析を介して前記色空間に対する知覚属性に基づいた属性情報を前記前景イメージまたは前記背景イメージによって獲得する段階と、前記属性情報に基づいてスケーリングパラメータを予測する段階と、前記スケーリングパラメータに基づいて前記イメージを強調する段階とを含む。
【0008】
本発明の一側面によれば、入力されたイメージの色空間を変換する前記段階は、RGB(Red−Green−Blue)デジタル信号を含む色空間を前記知覚属性を含む色空間に変換する段階であり、前記知覚属性は、前記イメージの明度、彩度、および色調のうちの少なくとも1つを含むようになる。
【0009】
本発明の一側面によれば、背景マスクをロードして前記イメージを前景イメージおよび背景イメージに分離する前記段階は、前記イメージの色情報および周波数(frequency)情報に基づいて前記イメージを前記前景イメージおよび前記背景イメージに分離する段階である。
【0010】
本発明の一側面によれば、前記知覚属性は、前記前景イメージまたは前記背景イメージの明度、彩度、および色調のうちの少なくとも1つを含むようになり、イメージコンテンツ分析を介して前記色空間に対する知覚属性に基づいた属性情報を前記前景イメージまたは前記背景イメージによって獲得する前記段階は、前記明度、前記彩度、または前記色調に基づいて前記属性情報を獲得する段階である。
【0011】
本発明の一側面によれば、前記属性情報に基づいてスケーリングパラメータを予測する前記段階は、(1)前記前景イメージと前記背景イメージとの間に明度の差の彩度の差に対する第1比率、(2)前記前景イメージおよび前記背景イメージの間に前記彩度の差の前記明度の差に対する第2比率、および(3)前記前景イメージの平均彩度のうちの少なくとも1つを用いて前記スケーリングパラメータを予測する段階である。
【0012】
本発明の一側面によれば、前記スケーリングパラメータに基づいて前記イメージを強調する前記段階は、(1)前記前景イメージに対する明度強調、(2)前記前景イメージに対する彩度強調、(3)前記前景イメージに対するコントラスト強調、および(4)前記背景イメージに対するソフトブラーのうちの少なくとも1つを介して前記イメージを強調する段階である。
【0013】
本発明の一実施形態に係るイメージに対する没入感生成に用いられるファクタを調節する方法は、入力されたイメージを前景イメージおよび背景イメージに分離する段階と、前記前景イメージの明度、彩度、およびコントラストのうちの少なくとも1つを強調する段階とを含む。
【0014】
本発明の一実施形態に係るイメージコンテンツ分析方法は、入力されたイメージの色空間を変換する段階と、背景マスクをロードして前記イメージを前景イメージおよび背景イメージに分離する段階と、前記色空間に対する知覚属性に基づいて前記前景イメージまたは前記背景イメージによる属性情報を獲得する段階とを含む。
【0015】
本発明の一実施形態に係るスケーリングパラメータ予測方法は、入力されたイメージの変換された色空間に対する知覚属性に基づいて属性情報を獲得する段階と、前記属性情報に基づいて前記イメージの前景イメージまたは背景イメージに対するスケーリングパラメータを予測する段階とを含む。
【発明の効果】
【0016】
本発明によれば、イメージの背景イメージまたは前景イメージにそれぞれ個別的に用いられる4つの独立的なファクタを調節することで、一般的なサイズのディスプレイに対して没入感を生成することができる。
【0017】
また、本発明によれば、イメージの明度、彩度、および色調を含む知覚属性を用いて属性情報を獲得し、属性情報に基づいてスケーリングパラメータを予測してファクタを調節することで、ディスプレイに対する没入感を生成することができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0018】
I.背景
本発明は、高精細テレビ(HDTV)やデジタルプロジエクタなどの一般的なサイズのディスプレイにおいて没入感を生成するカラーイメージを強調する方法に関する。
【0019】
人間の視覚システムにおいて、視野角は、網膜に到達して頭に伝達される情報の量を示すのに極めて重要である。このとき、相違する網膜離心率に対する視覚的な反応が均一でないことは周知の事実である。網膜の中心部は、網膜離心率の漸次的な増加に対して余り敏感でない反面、最も正確な情報を反映するものである。このため、大きいサイズのイメージを見るときには、イメージの境界が中心部分に比べて相対的にぼけ、イメージに没入し難くなるという現象が容易に見受けられる。
【0020】
しかし、視野角30゜以下の小さいサイズのイメージにおいては、このような現象は明確でない。したがって、イメージの前景および背景は、ディスプレイサイズが増加するほど容易に区分される。すなわち、前景と背景がより明確に区分されるようにすることで、二次元停止画像の没入感を引き起こすことができる。このとき、前景イメージと背景イメージは、没入感の生成においてそれぞれ重要な要素となる。
【0021】
背景イメージの場合、ソフトブラー(soft blur)が没入感の生成に用いられるようになる。明度と彩度、また大きい視野角を有するイメージをシミュレーションするために、背景イメージから減少されるようになる。さらに、ディスプレイの視野角の増加は、全体的な色感がさらにうすくかつ明るくなる。また、コントラスト感度も高くなる。このため、明暗、彩度、およびコントラスト感度は、大きいサイズのディスプレイのシミュレーション時に、画質を高めるために必要である。
【0022】
このような3種類のファクタそれぞれは、前景イメージと背景イメージとの間にさらに大きい差異点を与えるために、前景イメージと背景イメージで互いに異なるように処理されるようになる。例えば、前景イメージにおいては明度(または彩度)が強調される反面、背景イメージの明度(または彩度)が減少し、コントラスト感度は前景イメージでのみ用いられるようになる。
【0023】
背景イメージに対するソフトブラー、前景イメージに対するコントラスト感度、前景イメージと背景イメージのための明度および彩度という4種類のファクタは、テストイメージに対して個別的またはともに結合されて実行されるようになる。このようなファクタそれぞれに対して等しい強調技法がすべてのテストイメージに採択されるようになる。
【0024】
このとき、一対比較法(pair comparison method)を用いて没入感生成の性能を証明するための精神物理学的な実験が実行される。例えば、観察者がテストページと没入感生成の条件に応じて生成されたイメージとをそれぞれ比較する。実験結果により、4種類のファクタに対する処理のそれぞれが没入感を生成し得ることを明確に証明した。しかし、このような性能は、イメージコンテンツに極めて依存的である。没入感生成の条件が適用されたファクタにおいて結合したファクタの性能は、個別ファクタの性能よりも優れいてた。このとき、没入感生成は、4種類のファクタの間により適合した結合が適用され、さらに没入し得る感覚を発生させるようになる。
【0025】
したがって、一般的なサイズのディスプレイのための没入感生成を目的とするために、イメージコンテンツに応じて自動的に4つの独立的なイメージ処理を適用することが重要となる。いくつかの研究においては、色相情報の減少がイメージに良くないことが証明されているため、本明細書においては、背景イメージ情報が明度および彩度を処理することにおいて保護されるようにする。その結果として、4つの独立的なファクタに対する処理は次の通りとなる。
【0026】
1.前景イメージのための彩度強調
2.前景イメージのための明度強調
3.前景イメージのためのコントラスト強調
4.背景イメージのためのソフトブラー
II.本発明に係る没入感生成方法
以下、添付の図面を参照して、本発明に係る多様な実施形態を詳しく説明する。
【0027】
一般的なサイズのディスプレイのためのイメージ強調方法を用いて没入感を生成する際には、格別な注意を払うことが要求される。没入感に影響を与える4つのファクタの大部分が、二次元の停止画像に対して可能な限り多くの没入感を生成するために採択および結合される。イメージ選好が主なイシューであるとは言い難いが、イメージ選好は没入感生成方法の発展と関連がある。しかし、没入感生成方法において、イメージ選好の減少は避けることができる。
【0028】
本発明において、イメージに対する没入感強調は、人間の3種類の知覚属性に基づいて設計されるようになる。明度、彩度、およびコントラスト感度に対する強調が前景イメージで用いられる間、イメージのソフトブラーは背景イメージで用いられるようになる。1つのイメージコンテンツに対する分析が当該イメージコンテンツに基づいた互いに異なる処理のための互いに異なるスケーリングパラメータを割り当てるために採択されるのである。
【0029】
図1は、本発明の一実施形態において、没入感生成方法を説明するためのフローチャートである。
【0030】
段階S101で、2次元停止画像に没入感を生成させる没入感生成システムは、色空間を変換させる。すなわち、没入感を生成するために、RGBデジタル信号などの元来の色空間は、人間の視覚システムと関連がないため、色空間が直接的に没入感の生成に用いられることはない。
【0031】
したがって、視覚システムにおいて最終結果を示す明度、彩度、または色調などの人間の知覚属性が没入感の生成に用いられるようになる。互いに異なるフィールドを用いる互いに異なるアプリケーションを介して、RGBデジタル信号を人間の知覚属性に変換する多くの色空間が存在する。
【0032】
例えば、変換された色空間として、「CIECAM02」、「CIELAB」、および「HSV」を挙げることができる。「CIECAM02」は、主に正確な色出現予測に用いられるし、「CIELAB」は、主に色やイメージの差を判断するのに用いられる。また、「HSV」は、主にカラーデザインや簡単な産業アプリケーションに用いられる。本発明において、すべての色空間は、RGBデジタル信号を人間の知覚属性に変換するために採択されるようになる。
【0033】
下記の表1のように、色空間それぞれに人間の知覚属性の互いに異なる名称と略語が適用されるようになる。例えば、「CIECAM02」は、数学的モデルと実験的仮定を介して発展されたため、本明細書では略語でJ、C、およびHを用いている。
【0034】
用いられる互いに異なるモデルにおいて、スケーリングパラメータまたはスレッシュホールドは、たとえ構造と方程式が同じように提示されていたとしても差異点を有する。「CIECAM02」または「CIELAB」において、RGBデジタル信号とCIE比色法(CIE XYZ)との関係に基づく装置キャラクタリゼーションの実行が必要となる。互いに異なるディスプレイのために、互いに異なる方法が用いられるようになる。このとき、最も共通した2つの方法として、GOGモデルとPLCCモデルがある。GOGモデルは、主に陰極線管(CRT)ディスプレイのように線形またはパワーガンマ曲線を有する装置で用いられるようになる。また、PLCCモデルは、液晶ディスプレイ(LCD)または有機発光ダイオード(OLED)モバイルディスプレイのように不均衡なギャマット曲線を有する装置で用いられるようになる。
【0035】
【表1】

段階S102で、没入感生成システムは、背景マスクをロードする。背景マスクは、前景イメージと背景イメージを分離するのに用いられるようになる。例えば、デジタルナンバー「0」に前景イメージのピクセルが与えられたことに反し、デジタルナンバー「1」には背景イメージのピクセルが与えられる。このような背景分離は、イメージ処理の分野において長期間に渡って興味が持たれ、様々な研究を介して多くの方法が発展して来た。一般的に、停止画像に対する背景分離は、停止画像に対する色情報および周波数情報を用いて実行されるようになる。前景イメージが複雑なコンテンツを有してより高い周波数を有する反面、背景イメージはより均一である上に低い周波数を有するものと仮定する。このとき、背景分離は、背景イメージの色情報を探知し、当該色情報に基づいて背景イメージの境界を探知した後、境界を平坦にすることで実行されるようになる。
【0036】
段階S103で、没入感生成システムは、イメージコンテンツを分析する。互いに異なるイメージに対して、イメージコンテンツは重要な差を有するようになる。このとき、上述した4種類の支配的なファクタを用いた没入感の生成に対する性能は、イメージコンテンツによって重要な影響を受ける。言い換えれば、没入感の生成に対する性能は、互いに異なるイメージに等しいイメージ処理を用いるときに差異点を有する。したがって、それぞれのイメージに対する没入感を可能な限り強調するために、イメージコンテンツに基づいたイメージ強調が必須となる。
【0037】
ソフトブラーの効果が背景イメージの平坦度と極めて連関性が高く、コントラスト強調の性能は、前景イメージの彩度と逆関係にある。また、彩度と明度の強調において、明度および彩度は、それぞれが互いに対して極めて密接な関係にあり、互いに独立的なファクタとして関係することはない。これだけでなく、このような性能は、前景イメージと背景イメージとの間の明度差および彩度差の比率と関連性が極めて高い。したがって、没入感生成システムは、イメージコンテンツの分析を介して、イメージに対する人間の知覚属性に基づいた属性情報を次のように導き出すことができる。
【0038】
1.前景イメージの平均明度(J
2.前景イメージの平均彩度(C
3.前景イメージと背景イメージとの間の明度差(ΔJ)
4.前景イメージと背景イメージとの間の彩度差(ΔC)
5.背景イメージのイメージ平坦度(S)
すなわち、前景イメージと背景イメージに基づいて、JおよびCは、前景イメージの明度と彩度の平均によって獲得される。また、前景イメージと背景イメージとの間に明度と彩度の平均に対する差異を用いることで、ΔJおよびΔCが計算されるようになる。
【0039】
背景イメージのイメージ平坦度において、イメージ平坦度は、背景イメージにおいて柔らかいピクセルの比率として定義されるようになる。このとき、柔らかいピクセルとは、周囲のピクセルが同じ様子を有する任意のピクセルを意味するものである。例えば、任意のピクセルと当該任意のピクセルの周辺ピクセルそれぞれと間に平均色差が1.5以下である場合に、このようなピクセルを柔らかいピクセルとして決定するようになる。ΔECAM02は、柔らかいピクセルと下記の式(11)のような関連がある。
【0040】
【数8】

式(11)を詳察すれば、「CIELAB」における色差異は、与えられた色空間が「CIELAB」である場合に用いられるようになる。また、RGBデジタル信号の差異点は、与えられた色空間が「HSV」である場合に用いられるようになる。このとき、背景イメージの平坦度は、下記の式(12)に示されたように、背景イメージにおいて、柔らかいピクセルの総合を全体ピクセルの総合で分った値段として定義されるようになる。
【0041】
【数9】


式(11)および式(12)において、Sは背景イメージの平坦度を、Sx,yは柔らかいピクセル(x、y)を、BPは背景イメージの任意のピクセルを、J、ac、およびbcはピクセルのための「CIECAM02」における色情報をそれぞれ意味するものである。
【0042】
段階S104で、没入感生成システムは、スケーリングパラメータを予測する。それぞれのイメージコンテンツに基づいて、基本的な属性情報は、没入感を生成するために要約されるようになる。段階S104で、それぞれの没入感生成ファクタのためのスケーリングパラメータは、イメージコンテンツからの情報に基づいて予測されるようになる。
【0043】
彩度強調において、スケーリングパラメータKs1は、前景イメージと背景イメージとの間の明度の差の彩度の差に対する比率(ΔJ/ΔC)に対して、この比率が確実なスレッシュホールド以下である場合に、極めて密接な関係を有する。このようなスケーリングパラメータは、大きいスケールは彩度の差が小さいときに適用されるのに反し、さらに小さいスケールが与えられたときには、前景イメージと背景イメージとの間のさらに大きい彩度の差という結果を生成する。
【0044】
彩度のためのスケールは、下記の式(13)のように予測されるようになる。
【0045】
【数10】


明度の強調において、スケーリングパラメータKB1は、前景イメージおよび背景イメージの間に彩度の差の明度の差に対する比率(ΔC/ΔJ)に対し、この比率が確実なスレッシュホールド以下の比率である場合に、関連性が極めて高い。この場合、前景イメージと背景イメージとの間に明度差が小さい場合に大きいスケールが適用されるのに反し、さらに小さい明度のスケールが前景イメージと背景イメージとの間の大きい明度差として用いられる。明度のスケールであるKB1は、下記の式(14)のように示される線形関係によって予測されるようになる。
【0046】
【数11】


コントラスト強調において、スケーリングパラメータKCS1は、前景イメージの平均彩度と関連性が極めて高い。イメージがイメージの前景イメージにおいて高い彩度を有するときに、より小さいコントラスト強調は、没入感生成が期待されるようになる。この反面、より大きいコントラスト強調は、前景イメージがより明確でないときに期待されるようになる。コントラスト強調のためのスケーリングパラメータは、線形関数を用いた下記の式(15)によって予測されるようになる。
【0047】
【数12】

ソフトブラーにおいて、背景イメージの平坦度Sは、スケーリングパラメータとして直接的に用いられるようになる。
【0048】
段階S105で、没入感生成システムは、イメージの明度を強調する。前景イメージのピクセルにおいて、明度の強調は、下記の式(16)のように与えられたパワー関数を用いて実行されるようになる。
【0049】
【数13】

ここで、JinおよびJoutは、明度を強調するために入力および出力される明度を意味するものである。また、KB1およびKB2は、スケーリングパラメータを意味するものである。
【0050】
図2は、明度を強調する方法を説明するための一例である。グラフ200で示されるように、パワー関数は、パスポイント(0、0)および(100、100)が強制されるようになる。パスポイント(0、0)が対応するディスプレイのダークポイントを示す反面、パスポイント(100、100)は、ディスプレイのホワイトポイントを示している。すなわち、グラフ200は、入力明度と出力明度の関係を説明している。
【0051】
段階S106で、没入感生成システムは、イメージの彩度を強調する。このとき、前景イメージのそれぞれのピクセルのための彩度強調は、下記の式(17)のように与えられた線形関数を用いるようになる。
【0052】
【数14】

ここで、CinおよびCoutは、それぞれ彩度強調の処理において入力および出力される彩度を意味するものである。また、Kは、彩度強調のためのスケーリングパラメータを意味するものである。
【0053】
図3は、彩度を強調する方法を説明するための一例である。グラフ300に示されるように、式(17)は、明確でない色の彩度がサイズ効果によって変わるため、ポイント(0、0)が強要される。
【0054】
段階S107で、没入感生成システムは、イメージのコントラストを強調する。コントラスト強調は、イメージの前景イメージのために与えられた式(18)ないし式(22)によって実行されるようになる。前景イメージのコントラストを増加させるために関連したダークカラーの明度は、パワー関数によって減少するようになる。このとき、明度は、前景イメージの平均明度よりも小さい。一方、関連したホワイトカラーの明度は、さらに大きくなるように処理されるようになる。このとき、明度は、前景イメージの平均明度よりも大きい。
【0055】
【数15】

ここで、JinおよびJoutは、コントラスト強調のために入力および出力明度を、Jは前景イメージの平均明度を、KCS1およびKCS2は、Jよりもさらに小さい明度のためのスケーリングパラメータを、KCL1、前記KCL2、およびKCL3は、Jよりも大きい明度のためのスケーリングパラメータをそれぞれ意味するものである。
【0056】
図4は、コントラストを強調する方法を説明するための一例である。グラフ400に示されるように、明度がJよりも小さい場合に、パワー関数は、ポイント(0、0)および(J、J)を通過する。もしそうではなければ、パワー関数は、ポイント(J、J)および(100、100)を通過する。
【0057】
段階S108で、没入感生成システムは、背景イメージに対するソフトブラーを実行する。このとき、背景イメージのためのソフトブラーは、平均フィルタを用いて実行されるようになる。平均フィルタは、背景イメージのそれぞれのピクセルを通過する。また、実行のスケールは、背景イメージの平坦度Sに依存的である。没入感生成システムは、平坦度Sが80%以上である場合にソフトブラーを実行しない。例えば、背景イメージのための3×3平均フィルタは、平坦度Sが50%と80%の間である場合に用いられるようになるし、5×5平均フィルタは、平坦度Sが50%よりも小さい場合に用いられるようになる。
【0058】
段階S109で、没入感生成システムは、色空間を変換する。
【0059】
イメージの強調後、没入感生成システムは、前景イメージと背景イメージすべてに対して予測されたJout、Cout、およびHoutを用いて新しい没入イメージを結合して生成するようになる。このとき、色空間の変換は、人間の知覚属性をRGBデジタル信号に変換するために実行されるようになる。「CIECAM02」および「CIELAB」に対する色空間のために、リバース色出現モデルだけでなく、装置キャラクタリゼーションモデルも実行されるようになる。
【0060】
以上のように、段階S101ないし段階S109を用いることで、イメージに没入感が生成されるように処理することができる。
【0061】
図5は、本発明の一実施形態において、没入感生成方法を説明するためのブロック図である。
【0062】
ここで、図1を用いて説明した没入感生成システムは、入力イメージとしてRin、Gin、Binの入力を受けて色空間変換201過程を処理するようになる。すなわち、RGBデジタル信号などの元来の色空間は、人間の視覚システムと関連がなく、色空間が直接的に没入感の生成に用いられ得ない。したがって、人間の没入感を生成するために、没入感生成システムは、入力イメージの色空間を明度、彩度、または色調のように人間の知覚属性を有する色空間に変換するようになる。
【0063】
このとき、色空間変換501の出力は、色空間「CIECAM02」である場合に、上述したようにJ、C、Hの値を有するようになるし、没入感生成システムは、出力に対して背景マスクをロード502して背景イメージ503と前景イメージ504に分離するようになる。すなわち、J、C、およびHは、それぞれJ、C、およびHで表現される背景イメージ503とJ、C、およびHで表現される前景イメージ504とに分離されるようになる。
【0064】
このように分離された背景イメージ503と前景イメージ504は、イメージに対するコンテンツ分析505を介してイメージに対する人間の知覚属性に基づいた情報を得るようになる。すなわち、J、C、H、J、C、およびHを分析することで、前景イメージの平均明度J、イメージの平均彩度C、前景イメージと背景イメージとの間の明度差ΔJ、前景イメージと背景イメージとの間の彩度差ΔC、および背景イメージのイメージ平坦度Sのように知覚属性に基づいた情報が得られるようになる。
【0065】
この後、知覚属性に基づいた情報は、スケーリングパラメータ予測506に用いられるようになる。すなわち、上述した式(13)ないし式(15)を用いることで、コントラスト強調507、明度強調508、および彩度強調509に必要なスケーリングパラメータを予測するようになる。ソフトブラー510は、イメージ平坦度Sと背景イメージ503とを用いて実行されるようになる。
【0066】
より詳細に説明すれば、没入感生成システムは、コントラスト強調507、明度強調508、および彩度強調509で予測されたスケーリングパラメータであるKC1、KB1、およびKs1と前景イメージ504であるJ、C、およびHを用いて第1結果JF1、CF1、およびHF1を得るようになるし、ソフトブラー510でイメージ平坦度Sと背景イメージ503とを用いて第2結果JB1、CB1、およびHB1を得るようになる。
【0067】
最後に、没入感生成システムは、色空間変換511を介して第1結果と第2結果を入力イメージなどのRGBデジタル信号であるROUT、GOUT、およびBOUTに変換することで、入力イメージに没入感を生成することができる。
【0068】
図6は、本発明の一実施形態において、没入感生成システムの内部構造を説明するためのブロック図である。ここで、図6に示されるように、没入感生成システム600は、色空間変換部601と、背景マスクロード部602と、イメージコンテンツ分析部603と、スケーリングパラメータ予測部604と、明度強調部605と、彩度強調部606と、コントラスト強調部607と、ソフトブラー部608とを含むようになる。
【0069】
色空間変換部601は、色空間を変換させる。すなわち、人間の没入感を生成するために、RGBデジタル信号などの元来の色空間は人間視覚システムと関連がないため、色空間が直接的に没入感の生成に用いることができない。
【0070】
したがって、視覚システムにおいて最終結果を示す明度、彩度、または色調などの人間の知覚属性が没入感の生成に用いられるようになる。互いに異なるフィールドを用いる互いに異なるアプリケーションを介して、RGBデジタル信号を人間の知覚属性に変換する多くの色空間が存在する。
【0071】
例えば、変換された色空間として「CIECAM02」、「CIELAB」、および「HSV」を挙げることができる。「CIECAM02」は、主に正確な色出現予測に用いられるし、「CIELAB」は、主に色やイメージの差を判断するのに用いられる。また、「HSV」は、主にカラーデザインと簡単な産業アプリケーションに用いられるようになる。本発明において、すべての色空間は、RGBデジタル信号を人間の知覚属性に変換するために採択されるようになる。
【0072】
背景マスクロード部602は、背景マスクをロードする。このとき、背景マスクは、前景イメージと背景イメージを分離するのに用いられるようになる。例えば、デジタルナンバー「0」に前景イメージのピクセルが与えられたことに反し、デジタルナンバー「1」には背景イメージのピクセルが与えられる。このような背景分離は、イメージ処理の分野において長期間に渡って興味が持たれ、様々な研究によって多くの方法が発展してきた。一般的に、停止画像に対する背景分離は、停止画像に対する色情報および周波数情報を用いて実行されるようになる。前景イメージが複雑なコンテンツを有してより高い周波数を有する反面、背景イメージはより均一である上にさらに低い周波数を有するものと仮定する。このとき、背景分離は、背景イメージの色情報を探知し、当該色情報に基づいて背景イメージの境界を探知した後、境界を平坦にさせることで実行されるようになる。
【0073】
イメージコンテンツ分析部603は、イメージコンテンツを分析する。互いに異なるイメージに対して、イメージコンテンツは重要な差を有するようになる。このとき、上述した4種類の支配的なファクタを用いた没入感の生成に対する性能は、イメージコンテンツによって重要な影響を受ける。言い換えれば、没入感の生成に対する性能は、互いに異なるイメージに等しいイメージ処理を用いるときに差を有する。したがって、それぞれのイメージに対する没入感を可能な限り強調するために、イメージコンテンツに基づいたイメージ強調は必須である。
【0074】
ソフトブラーの効果が背景イメージの平坦度と関連性が極めて高く、コントラスト強調の性能は前景イメージの彩度と逆関係にある。また、彩度と明度の強調において、明度および彩度はそれぞれが互いに対して極めて密接な関係にあり、互いに独立したファクタとして関係し得ない。これだけでなく、性能は、前景イメージと背景イメージとの間の明度差および彩度差の比率と関連性が極めて高い。したがって、没入感生成システムは、イメージコンテンツの分析を介して、イメージに対する人間の知覚属性に基づいた情報を次のように導き出すことができる。
【0075】
1.前景イメージの平均明度(J
2.前景イメージの平均彩度(C
3.前景イメージと背景イメージとの間の明度差(ΔJ)
4.前景イメージと背景イメージとの間の彩度差(ΔC)
5.背景イメージのイメージ平坦度(S)
すなわち、前景イメージと背景イメージに基づき、JおよびCは、前景イメージの明度と彩度の平均を介して獲得される。また、前景イメージと背景イメージとの間に明度と彩度の平均に対する差異を用いることで、ΔJおよびΔCを計算できるようになる。
【0076】
背景イメージのイメージ平坦度において、イメージ平坦度は、背景イメージにおいて柔らかいピクセルの比率として定義されるようになる。このとき、柔らかいピクセルとは、周囲のピクセルが等しい様子を有する任意のピクセルを意味するものである。例えば、任意のピクセルと当該任意のピクセルの周辺ピクセルそれぞれとの間に平均色差が1.5以下である場合に、ピクセルを柔らかいピクセルとして決定するようになる。ΔECAM02は、柔らかいピクセルと上述した式(11)のような関連がある。
【0077】
式(11)を詳察すれば、「CIELAB」における色差異点は、与えられた色空間が「CIELAB」である場合に用いられるようになる。また、RGBデジタル信号の差異点は、与えられた色空間が「HSV」である場合に用いられるようになる。このとき、背景イメージの平坦度は、上述した式(12)に示されたように、背景イメージにおいて柔らかいピクセルの総合を全体ピクセルの総合で分った値として定義されるようになる。
【0078】
式(11)および式(12)において、Sは背景イメージの平坦度を、Sx,yは柔らかいピクセル(x、y)を、BPは背景イメージの任意のピクセルを、J、ac、およびbcは、ピクセルのための「CIECAM02」における色情報をそれぞれ意味するものである。
【0079】
スケーリングパラメータ予測部604は、スケーリングパラメータを予測する。それぞれのイメージコンテンツに基づき、基本的な情報は、没入感生成のために要約されるようになる。スケーリングパラメータ予測部604は、それぞれの没入感生成ファクタのためのスケーリングパラメータをイメージコンテンツからの情報に基づいて予測することができる。
【0080】
彩度強調において、スケーリングパラメータKs1は、前景イメージと背景イメージとの間の明度の差と彩度の差の比率(ΔJ/ΔC)に対し、この比率が確実なスレッシュホールド以下である場合に極めて密接な関係を有する。このようなスケーリングパラメータは、大きいスケールは彩度の差が小さいときに適用されるのに反し、より小さいスケールが与えられたときには、前景イメージと背景イメージとの間のさらに大きい彩度の差という結果を生成する。彩度のためのスケールは、上述した式(13)のように予測されるようになる。
【0081】
明度の強調において、スケーリングパラメータKB1は、前景イメージおよび背景イメージの間に彩度の差と明度の差の比率(ΔC/ΔJ)に対し、この比率が確実であるスレッシュホールド以下の比率である場合に関連性が極めて高い。この場合に、前景イメージと背景イメージとの間の明度差が小さい場合に大きいスケールが適用されるのに反し、より小さい明度のスケールが前景イメージと背景イメージとの間の大きい明度差として用いられる。明度のスケールであるKB1は、式(14)のように示される線形関係によって予測されるようになる。
【0082】
コントラスト強調において、スケーリングパラメータKCS1は、前景イメージの平均彩度と関連性が極めて高い。イメージが当該イメージの前景イメージにおいて高い彩度を有するとき、さらに小さいコントラスト強調は、没入感生成が期待されるようになる。この反面、さらに大きいコントラスト強調は、前景イメージがより明確でないときに期待されるようになる。コントラスト強調のためのスケーリングパラメータは、線形関数を用いた上述した式(15)によって予測されるようになる。
【0083】
ソフトブラーにおいて、背景イメージの平坦度Sは、スケーリングパラメータとして直接的に用いられるようになる。
【0084】
明度強調部605は、イメージの明度を強調する。このとき、前景イメージのピクセルにおいて、明度の強調は、上述した式(16)のように、与えられたパワー関数を用いて実行されるようになる。パワー関数は、パスポイント(0、0)および(100、100)が強制されるようになる。この場合、パスポイント(0、0)が対応するディスプレイのダークポイントを示す反面、パスポイント(100、100)は、ディスプレイのホワイトポイントを示す。
【0085】
彩度強調部606は、イメージの彩度を強調する。このとき、前景イメージのそれぞれのピクセルのための彩度強調は、上述した式(17)のように、与えられた線形関数を用いるようになる。ここで、CinおよびCoutは、それぞれ彩度強調の処理において入力および出力される彩度を意味するものである。また、Kは、彩度強調のためのスケーリングパラメータを意味するものである。式(17)は、明確でない色の彩度がサイズ効果によって変化するため、ポイント(0、0)が強要される。
【0086】
コントラスト強調部607は、イメージのコントラストを強調する。このとき、コントラスト強調は、イメージの前景イメージのために与えられた上述した式(18)ないし式(22)によって実行されるようになる。前景イメージのコントラストを増加させるために関連したダークカラーの明度は、パワー関数によって減少するようになる。このとき、明度は、前景イメージの平均明度よりも小さい。この反面、関連したホワイトカラーの明度は、さらに大きくなるように処理されるようになる。このとき、明度は、前景イメージの平均明度よりも大きい。明度がJよりも小さい場合に、パワー関数は、ポイント(0、0)および(J、J)を通過する。もしそうではなければ、パワー関数は、ポイント(J、J)および(100、100)を通過する。
【0087】
ソフトブラー部608は、背景イメージに対するソフトブラーを実行する。このとき、背景イメージのためのソフトブラーは、平均フィルタを用いて実行されるようになる。平均フィルタは、背景イメージのそれぞれのピクセルを通過する。また、実行のスケールは、背景イメージの平坦度Sに依存的である。没入感生成システムは、平坦度Sが80%以上である場合に、ソフトブラーを実行しない。例えば、背景イメージのための3×3平均フィルタは、平坦度Sが50%と80%との間の場合に用いられるようになるし、5×5平均フィルタは、平坦度Sが50%よりも小さい場合に用いられるようになる。
【0088】
イメージの強調後、色空間変換部601は、前景イメージと背景イメージすべてに対して予測されたJout、Cout、およびHoutを用いて新しい没入イメージを結合して生成するようになる。このとき、色空間の変換は、人間の知覚属性をRGBデジタル信号に変換するために実行されるようになる。
【0089】
このように、本発明に係る没入感生成方法または没入感生成システムを用いることで、イメージの背景イメージまたは前景イメージにそれぞれ個別的に用いられる4つの独立的なファクタを調節し、一般的なサイズのディスプレイに対して没入感を生成することができる。
【0090】
イメージに対する没入感生成に用いられるファクタを調節する方法、イメージコンテンツを分析する方法、およびスケーリングパラメータを予測する方法については、既に詳しく説明したため、追加的な説明は省略する。
【0091】
本発明に係る実施形態は、コンピュータにより具現される多様な動作を実行するためのプログラム命令を含むコンピュータ読み取り可能な媒体を含む。前記媒体は、プログラム命令、データファイル、データ構造などを単独または組み合わせて含むこともできる。前記媒体およびプログラム命令は、本発明の目的のために特別に設計されて構成されたものでもよく、コンピュータソフトウェア分野の技術を有する当業者にとって公知であり使用可能なものであってもよい。コンピュータ読み取り可能な記録媒体の例としては、ハードディスク、フロッピー(登録商標)ディスクおよび磁気テープのような磁気媒体、CD−ROM、DVDのような光記録媒体、フロプティカルディスクのような磁気−光媒体、およびROM、RAM、フラッシュメモリなどのようなプログラム命令を保存して実行するように特別に構成されたハードウェア装置が含まれる。前記媒体は、プログラム命令、データ構造などを保存する信号を送信する搬送波を含む光または金属線、導波管などの送信媒体でもある。プログラム命令の例としては、コンパイラによって生成されるもののような機械語コードだけでなく、インタプリタなどを用いてコンピュータによって実行される高級言語コードを含む。前記したハードウェア要素は、本発明の動作を実行するために一以上のソフトウェアモジュールとして作動するように構成することができ、その逆もできる。
【0092】
上述したように、本発明の好ましい実施形態を参照して説明したが、該当の技術分野において熟練した当業者にとっては、特許請求の範囲に記載された本発明の思想および領域から逸脱しない範囲内で、本発明を多様に修正および変更させることができることを理解することができるであろう。すなわち、本発明の技術的範囲は、特許請求の範囲に基づいて定められ、発明を実施するための最良の形態により制限されるものではない。
【図面の簡単な説明】
【0093】
【図1】本発明の一実施形態において、没入感生成方法を説明するためのフローチャートである。
【図2】明度を強調する方法を説明するための一例である。
【図3】彩度を強調する方法を説明するための一例である。
【図4】コントラストを強調する方法を説明するための一例である。
【図5】本発明の一実施形態において、没入感生成方法を説明するためのブロック図である。
【図6】本発明の一実施形態において、没入感生成システムの内部構造を説明するためのブロック図である。
【符号の説明】
【0094】
600 没入感生成システム
601 色空間変換部
602 背景マスクロード部
603 イメージコンテンツ分析部
604 スケーリングパラメータ予測部
605 明度強調部
606 彩度強調部
607 コントラスト強調部
608 ソフトブラー部

【特許請求の範囲】
【請求項1】
イメージに対して没入感を生成する方法において、
入力されたイメージの色空間を変換する段階と、
背景マスクをロードして前記イメージを前景イメージおよび背景イメージに分離する段階と、
イメージコンテンツ分析を介して前記色空間に対する知覚属性に基づいた属性情報を前記前景イメージまたは前記背景イメージによって獲得する段階と、
前記属性情報に基づいてスケーリングパラメータを予測する段階と、
前記スケーリングパラメータに基づいて前記イメージを強調する段階と、
を含むことを特徴とする没入感生成方法。
【請求項2】
入力されたイメージの色空間を変換する前記段階は、
RGBデジタル信号を含む色空間を前記知覚属性を含む色空間に変換する段階であって、
前記知覚属性は、前記イメージの明度、彩度、および色調のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項1に記載の没入感生成方法。
【請求項3】
背景マスクをロードして前記イメージを前景イメージおよび背景イメージに分離する前記段階は、
前記イメージの色情報および周波数情報に基づいて前記イメージを前記前景イメージおよび前記背景イメージに分離する段階であることを特徴とする請求項1に記載の没入感生成方法。
【請求項4】
前記知覚属性は、前記前景イメージまたは前記背景イメージの明度、彩度、および色調のうちの少なくとも1つを含み、
イメージコンテンツ分析を介して前記色空間に対する知覚属性に基づいた属性情報を前記前景イメージまたは前記背景イメージによって獲得する前記段階は、
前記明度、前記彩度、または前記色調に基づいて前記属性情報を獲得する段階であることを特徴とする請求項1に記載の没入感生成方法。
【請求項5】
前記属性情報は、(1)前記前景イメージの平均明度、(2)前記前景イメージの平均彩度、(3)前記前景イメージと前記背景イメージとの間の明度差、(4)前記前景イメージと前記背景イメージとの間の彩度差、および(5)前記背景イメージのイメージ平坦度のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項4に記載の没入感生成方法。
【請求項6】
前記イメージ平坦度は、前記背景イメージにおいて柔らかいピクセルの比率を含み、
前記柔らかいピクセルは、周囲のピクセルそれぞれとの平均色差を用いて決定されることを特徴とする請求項4に記載の没入感生成方法。
【請求項7】
前記属性情報に基づいてスケーリングパラメータを予測する前記段階は、
(1)前記前景イメージと前記背景イメージとの間の明度の差の彩度の差に対する第1比率、(2)前記前景イメージおよび前記背景イメージの間に前記彩度の差の前記明度の差に対する第2比率、および(3)前記前景イメージの平均彩度のうちの少なくとも1つを用いて前記スケーリングパラメータを予測することを特徴とする請求項1に記載の没入感生成方法。
【請求項8】
前記スケーリングパラメータは、彩度に対するスケールを含み、
前記スケールは、下記の式を用いて計算されることを特徴とする請求項7に記載の没入感生成方法。
【数1】


(ここで、前記Kは前記スケールを、前記ΔJ/ΔCは前記第1比率をそれぞれ意味する。)
【請求項9】
前記スケーリングパラメータは、明度に対するスケールを含み、
前記スケールは、下記の式を用いて計算されることを特徴とする請求項7に記載の没入感生成方法。
【数2】


(ここで、前記KB1は前記スケールを、前記ΔC/ΔJは前記第2比率をそれぞれ意味する。)
【請求項10】
前記スケーリングパラメータは、コントラストに対するスケールを含み、
前記スケールは、下記の式を用いて計算されることを特徴とする請求項7に記載の没入感生成方法。
【数3】


(ここで、前記KCS1は前記スケールを、前記Cは前記前景イメージの平均彩度をそれぞれ意味する。)
【請求項11】
前記スケーリングパラメータに基づいて前記イメージを強調する前記段階は、
(1)前記前景イメージに対する明度強調、(2)前記前景イメージに対する彩度強調、(3)前記前景イメージに対するコントラスト強調、および(4)前記背景イメージに対するソフトブラーのうちの少なくとも1つを介して前記イメージを強調する段階であることを特徴とする請求項1に記載の没入感生成方法。
【請求項12】
前記明度強調は、前記前景イメージのピクセルに対して下記の式を含むパワー関数を用いて実行されることを特徴とする請求項11に記載の没入感生成方法。
【数4】


(ここで、前記Jinおよび前記Joutは、前記明度の強調のために入力および出力される明度を、前記KB1および前記KB2は、前記スケーリングパラメータを意味する。)
【請求項13】
前記彩度強調は、前記前景イメージのピクセルに対して下記の式を含む線形関数を用いて実行されることを特徴とする請求項11に記載の没入感生成方法。
【数5】


(ここで、前記Cinおよび前記Coutは、それぞれ前記彩度強調の処理において入力および出力される彩度を、前記Kは、前記彩度強調のための前記スケーリングパラメータを意味する。)
【請求項14】
前記コントラスト強調は、前記前景イメージに対して下記の式を用いて実行されることを特徴とする請求項11に記載の没入感生成方法。
【数6】


(ここで、前記Jinおよび前記Joutは、前記コントラスト強調のための入力および出力明度を、前記Jは前記前景イメージの平均明度を、前記KCS1および前記KCS2は、前記Jよりもさらに小さい明度のためのスケーリングパラメータを、前記KCL1、前記KCL2、および前記KCL3は、前記Jよりも大きい明度のためのスケーリングパラメータをそれぞれ意味する。)
【請求項15】
前記KCS2、前記KCL1、前記KCL2、および前記KCL3は、それぞれ下記の式(7)ないし式(10)を用いて計算されることを特徴とする請求項14に記載の没入感生成方法。
【数7】

【請求項16】
前記ソフトブラーは、前記背景イメージのイメージ平坦度を前記スケーリングパラメータとして用いて実行されることを特徴とする請求項11に記載の没入感生成方法。
【請求項17】
前記強調されたイメージの色空間を再変換する段階、
をさらに含むことを特徴とする請求項1に記載の没入感生成方法。
【請求項18】
前記強調されたイメージの色空間を再変換する前記段階は、
前記強調されたイメージの色空間をRGBデジタル信号を含む色空間に変換する段階であることを特徴とする請求項17に記載の没入感生成方法。
【請求項19】
イメージに対する没入感生成に用いられるファクタを調節する方法において、
入力されたイメージを前景イメージおよび背景イメージに分離する段階と、
前記前景イメージの明度、彩度、およびコントラストのうちの少なくとも1つを強調する段階と、
を含むことを特徴とするファクタ調節方法。
【請求項20】
入力されたイメージを前景イメージおよび背景イメージに分離する前記段階は、
入力されたイメージの色空間を変換する段階と、
背景マスクをロードして前記イメージを前景イメージおよび背景イメージに分離する段階と、
を含むことを特徴とする請求項19に記載のファクタ調節方法。
【請求項21】
前記前景イメージの明度、彩度、およびコントラストのうちの少なくとも1つを強調する前記段階は、
イメージコンテンツ分析を介して前記色空間に対する知覚属性に基づいた属性情報を前記前景イメージまたは前記背景イメージによって獲得する段階と、
前記属性情報に基づいてスケーリングパラメータを予測する段階と、
前記スケーリングパラメータに基づいて前記イメージを強調する段階と、
を含むことを特徴とする請求項19に記載のファクタ調節方法。
【請求項22】
前記知覚属性は、前記前景イメージまたは前記背景イメージの明度、彩度、および色調のうちの少なくとも1つを含み、
イメージコンテンツ分析を介して前記色空間に対する知覚属性に基づいた属性情報を前記前景イメージまたは前記背景イメージによって獲得する前記段階は、
前記明度、前記彩度、または前記色調に基づいて前記属性情報を獲得する段階であることを特徴とする請求項21に記載のファクタ調節方法。
【請求項23】
前記属性情報は、(1)前記前景イメージの平均明度、(2)前記前景イメージの平均彩度、(3)前記前景イメージと前記背景イメージとの間の明度差、(4)前記前景イメージと前記背景イメージとの間の彩度差、および(5)前記背景イメージのイメージ平坦度のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項22に記載のファクタ調節方法。
【請求項24】
前記属性情報に基づいてスケーリングパラメータを予測する前記段階は、
(1)前記前景イメージと前記背景イメージとの間に明度の差の彩度の差に対する第1比率、(2)前記前景イメージおよび前記背景イメージとの間に前記彩度の差の前記明度の差に対する第2比率、および(3)前記前景イメージの平均彩度のうちの少なくとも1つを用いて前記スケーリングパラメータを予測することを特徴とする請求項21に記載のファクタ調節方法。
【請求項25】
前記スケーリングパラメータに基づいて前記イメージを強調する前記段階は、
(1)前記前景イメージに対する明度強調、(2)前記前景イメージに対する彩度強調、(3)前記前景イメージに対するコントラスト強調、および(4)前記背景イメージに対するソフトブラーのうちの少なくとも1つを介して前記イメージを強調する段階であることを特徴とする請求項21に記載のファクタ調節方法。
【請求項26】
前記背景イメージに対してソフトブラーを実行する段階、
をさらに含み、
前記ソフトブラーは、前記背景イメージのイメージ平坦度を用いて実行されることを特徴とする請求項19に記載のファクタ調節方法。
【請求項27】
イメージコンテンツ分析方法において、
入力されたイメージの色空間を変換する段階と、
背景マスクをロードして前記イメージを前景イメージおよび背景イメージに分離する段階と、
前記色空間に対する知覚属性に基づいて前記前景イメージまたは前記背景イメージによる属性情報を獲得する段階と、
を含むことを特徴とするイメージコンテンツ分析方法。
【請求項28】
入力されたイメージの色空間を変換する前記段階は、
RGBデジタル信号を含む色空間を前記知覚属性を含む色空間に変換する段階であって、
前記知覚属性は、前記イメージの明度、彩度、および色調のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項27に記載のイメージコンテンツ分析方法。
【請求項29】
前記知覚属性は、前記前景イメージまたは前記背景イメージの明度、彩度、および色調のうちの少なくとも1つを含み、
イメージコンテンツ分析を介して前記色空間に対する知覚属性に基づいた属性情報を前記前景イメージまたは前記背景イメージによって獲得する前記段階は、
前記明度、前記彩度、または前記色調に基づいて前記属性情報を獲得する段階であることを特徴とする請求項27に記載のイメージコンテンツ分析方法。
【請求項30】
前記属性情報は、(1)前記前景イメージの平均明度、(2)前記前景イメージの平均彩度、(3)前記前景イメージと前記背景イメージとの間の明度差、(4)前記前景イメージと前記背景イメージとの間の彩度差、および(5)前記背景イメージのイメージ平坦度のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項29に記載のイメージコンテンツ分析方法。
【請求項31】
スケーリングパラメータ予測方法において、
入力されたイメージの変換された色空間に対する知覚属性に基づいて属性情報を獲得する段階と、
前記属性情報に基づいて前記イメージの前景イメージまたは背景イメージに対するスケーリングパラメータを予測する段階と、
を含むことを特徴とするスケーリングパラメータ予測方法。
【請求項32】
前記属性情報に基づいて前記イメージの前景イメージまたは背景イメージに対するスケーリングパラメータを予測する前記段階は、
(1)前記前景イメージと前記背景イメージとの間に明度の差の彩度の差に対する第1比率、(2)前記前景イメージおよび前記背景イメージとの間に前記彩度の差の前記明度の差に対する第2比率、および(3)前記前景イメージの平均彩度のうちの少なくとも1つを用いて前記スケーリングパラメータを予測することを特徴とするスケーリングパラメータ予測方法。
【請求項33】
入力されたイメージの変換された色空間に対する知覚属性に基づいて属性情報を獲得する前記段階は、
入力されたイメージの色空間を変換する段階と、
背景マスクをロードして前記イメージを前景イメージおよび背景イメージに分離する段階と、
イメージコンテンツ分析を介して前記色空間に対する知覚属性に基づいた属性情報を前記前景イメージまたは前記背景イメージによって獲得する段階と、
を含むことを特徴とする請求項31に記載のスケーリングパラメータ予測方法。
【請求項34】
請求項1ないし33のいずれか一項の方法を実行させるためのプログラムを記録したコンピュータ読み取り可能な記録媒体。
【請求項35】
イメージに対して没入感を生成するシステムにおいて、
入力されたイメージの色空間を変換し、強調されたイメージの色空間を再変換する色空間変換部と、
背景マスクをロードして前記イメージを前景イメージおよび背景イメージに分離する背景マスクロード部と、
イメージコンテンツ分析を介して前記色空間に対する知覚属性に基づいた属性情報を前記前景イメージまたは前記背景イメージによって獲得するイメージコンテンツ分析部と、
前記属性情報に基づいてスケーリングパラメータを予測するスケーリングパラメータ予測部と、
前記スケーリングパラメータに基づいて前記イメージを強調するイメージ強調部と、
を含むことを特徴とする没入感生成システム。
【請求項36】
前記知覚属性は、前記前景イメージまたは前記背景イメージの明度、彩度、および色調のうちの少なくとも1つを含み、
前記イメージコンテンツ分析部は、
前記明度、前記彩度、または前記色調に基づいて前記属性情報を獲得する段階であることを特徴とする請求項35に記載の没入感生成システム。
【請求項37】
前記属性情報は、(1)前記前景イメージの平均明度、(2)前記前景イメージの平均彩度、(3)前記前景イメージと前記背景イメージとの間の明度差、(4)前記前景イメージと前記背景イメージとの間の彩度差、および(5)前記背景イメージのイメージ平坦度のうちの少なくとも1つを含むことを特徴とする請求項36に記載の没入感生成システム。
【請求項38】
前記スケーリングパラメータ予測部は、
(1)前記前景イメージと前記背景イメージとの間に明度の差の彩度の差に対する第1比率、(2)前記前景イメージおよび前記背景イメージとの間に前記彩度の差の前記明度の差に対する第2比率、および(3)前記前景イメージの平均彩度のうちの少なくとも1つを用いて前記スケーリングパラメータを予測することを特徴とする請求項35に記載の没入感生成システム。
【請求項39】
前記イメージ強調部は、
前記前景イメージに対する明度を強調する明度強調部と、
前記前景イメージに対する彩度を強調する彩度強調部と、
前記前景イメージに対するコントラストを強調するコントラスト強調部と、
前記背景イメージに対するソフトブラーを実行するソフトブラー部と、
を含むことを特徴とする請求項35に記載の没入感生成システム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公開番号】特開2009−37585(P2009−37585A)
【公開日】平成21年2月19日(2009.2.19)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−6260(P2008−6260)
【出願日】平成20年1月15日(2008.1.15)
【出願人】(390019839)三星電子株式会社 (8,520)
【氏名又は名称原語表記】SAMSUNG ELECTRONICS CO.,LTD.
【住所又は居所原語表記】416,Maetan−dong,Yeongtong−gu,Suwon−si,Gyeonggi−do 442−742(KR)
【Fターム(参考)】