説明

二次電池用の制御装置及び二次電池の出力制御方法

【課題】ドライバビリティへの悪化を抑制し得る二次電池用の制御装置及び二次電池の出力制御方法を提供することにある。
【解決手段】車両に搭載された駆動用の二次電池10の端子電圧を測定する電圧測定部3と、第1の時間内に二次電池10が出力可能な放電電力の上限値を特定する短時間出力情報、及び第1の時間よりも長い第2の時間内に二次電池10が出力可能な放電電力の上限値を特定する長時間出力情報を車両ECU20に出力する制御部2とを備える二次電池10用の制御装置において、制御部2に、電圧測定部3が測定した端子電圧が、第1の基準電圧V1まで降下した場合に、短時間出力情報によって特定される上限値を引き下げさせ、電圧測定部3が測定した端子電圧が、第1の基準電圧V1以下の値に設定された第2の基準電圧V2まで降下した場合に、長時間出力情報によって特定される上限値を引き下げさせる。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、二次電池用の制御装置、及び二次電池の出力制御方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、二次電池は、燃料電池や太陽電池、更には発電機と組み合わされ、電源システムとして利用されることがある。発電機は、風力や水力といった自然による力や、内燃機関等の人工的な動力によって駆動される。このような二次電池を組み合わせた電源システムは、余剰な電力を二次電池によって蓄積しておくことによって、エネルギー効率の向上を図っている。
【0003】
このようなシステムの一例としては、近年、動力源としてエンジンとモータとを搭載したハイブリッド自動車(「HEV」:Hybrid Electric Vehicle)が挙げられる。HEVは、走行に必要な動力に対してエンジンからの出力が大きい場合には、余剰の動力で発電機を駆動し、二次電池の充電を行なう。また、HEVは、車両の制動時や減速時には、車輪によってモータを駆動し、モータを発電機として利用することによっても、二次電池の充電を行なう。逆に、エンジンからの出力が小さい場合には、HEVは、不足の動力を補うため、二次電池を放電してモータを駆動する。
【0004】
このように、HEVにおいては、従来の自動車では熱として大気中に放出されていたエネルギーを二次電池に蓄積できるため、従来の自動車に比べて、エネルギー効率を高めることができ、燃費の飛躍的な向上を図ることができる。
【0005】
また、HEVにおいては、余剰電力を効率良く二次電池に充電するため、二次電池の充電状態(以下、SOC:state of charge)が100%とならないよう制御が行なわれている。また、必要なときにモータを駆動できるように、SOCが0(ゼロ)とならないようにも制御が行なわれている。具体的には、通常、二次電池においては、SOCが20%〜80%の範囲で推移するように制御が行なわれている。
【0006】
ところで、HEVや他の電源システムに搭載される二次電池は、複数個の電池セル(単電池)を直列に接続することによって構成される場合がある。このような二次電池においては、個々の電池セルの容量のバラツキにより、深い放電が行なわれると、容量の低い電池セルが過放電され、転極してしまうことがある。この場合、二次電池の寿命を低下させることとなる。
【0007】
このような転極の発生を回避するため、例えば、HEVにおいては、二次電池の端子電圧が一定値以下に降下した場合に、二次電池が出力を制限する出力制御が行なわれている(例えば、特許文献1参照)。具体的には、二次電池用の制御装置(以下「電池ECU」という。)は、二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する出力上限値を設定し、設定した出力上限値を、車両用の制御装置(以下「車両ECU」という。)へ送信する。これにより、車両ECUは、設定された上限値を超えない範囲でモータを駆動するため、二次電池の出力が制限される。
【0008】
また、車両ECUが二次電池に要求する出力は、車両の状況において異なっている。車両ECUは、例えば、発進する場合やシフトチェンジが行なわれる場合においては、車両が定常走行をしている場合に比べて、短時間の間に高出力を要求する。よって、出力上限値が定常走行時を基準に設定されていると、短時間の間での高出力が許可されず、エンジンの負担が大きくなってしまう。
【0009】
このため、上記特許文献1においては、電池ECUは二種類の出力上限値を設定している。なお、電池ECUは、出力制限処理の他、例えば、電池残存量(SOC)の算出、算出したSOCの出力、二次電池の劣化度の判定、判定結果の出力等も行なっている。
【0010】
ここで、図11を用いて従来からの二次電池の出力制御について説明する。図11は、従来からの二次電池における出力制御を示すグラフである。図11において、縦軸は二次電池の端子電圧と出力上限値とを示し、横軸は時間を示している。
【0011】
図11に示すように、電池ECU(図示せず)は、車両が短時間(例えば2秒間)の間に高出力を要求したときの放電電力の上限を規定する短時間出力上限値Ppと、車両が定常走行をしているときの放電電力の上限を規定する長時間出力上限値Pnとを設定している。また、通常時においては、短時間出力上限値Ppは28kWに設定され、長時間出力上限値Pnは20kWに設定されており、短時間出力上限値Ppは長時間出力上限値Pnよりも大きい値に設定されている。よって、発進する場合やシフトチェンジが行なわれる場合等においても、車両ECUはモータを駆動することができる。
【0012】
また、図11の例では、電池ECUは、二次電池の転極を抑制するため、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnについて上限の引き下げを行なっている。具体的には、電池ECUは、端子電圧Vbが12[V]まで降下すると、長時間出力上限値Pnについて、その上限の引き下げを行なう。長時間出力上限値Pnの引き下げは、端子電圧Vbの降下と共に段階的に行なわれる。更に、電池ECUは、短時間出力上限値Ppについても上限の引き下げを行なう。
【0013】
但し、短時間出力上限値Ppの引き下げは、端子電圧Vbが、例えば9.6[V]まで降下して初めて行なわれる。また、このとき、短時間出力上限値Ppは長時間出力上限値Pnと同程度にまで引き下げられる。更に、電池ECUは、端子電圧Vbが上昇して12[V]を超えても、一定期間内に再度12.0[V]まで降下すると、その度に、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnを引き下げる。
【0014】
このように、図11の例によれば、二種類の出力上限値が設定されるため、発進する場合やシフトチェンジが行なわれる場合等においてもモータを有効に駆動できる。更に、同時に、二次電池の転極の発生も抑制できる。
【特許文献1】特開2003−199258号公報(第3図及び第4図)
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0015】
しかしながら、図11の例では、短時間出力上限値の引き下げが開始される端子電圧は、長時間出力上限値Pnの引き下げが開始される端子電圧よりも、低い値に設定されている。よって、端子電圧Vbが、長時間出力上限値Pnの引き下げが開始される値に達してから、短時間出力上限値Ppの引き下げが開始される値に達するまでの間において、短時間出力上限値Ppと長時間出力上限値Pnとの差が大きくなってしまう。
【0016】
このため、図11の例では、車両ECUが、電池ECUに対する要求を、短時間の間に、高出力から通常の出力へと切り替えたときに、二次電池の放電電力が急激に制限されてしまい、HEVにおいてドライバビリティが悪化してしまうことがある。
【0017】
本発明の目的は、上記問題を解消し、二次電池を備えた電源システムにおいて急激な放電電力の制限が生じるのを抑制し得る二次電池用の制御装置及び二次電池の出力制御方法を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【0018】
上記目的を達成するために本発明における二次電池用の制御装置は、二次電池の出力を制御するための制御装置であって、前記二次電池の端子電圧を測定する電圧測定部と、設定時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する出力上限値を、前記設定時間を異ならせ、且つ前記設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定し、前記二次電池を使用する機器に、設定した複数個の前記出力上限値を出力する制御部とを備え、前記制御部は、複数個の前記出力上限値毎に基準電圧を設定し、前記電圧測定部が測定した端子電圧がいずれかの基準電圧まで降下した場合に、対応する前記出力上限値の値を引き下げ、前記出力上限値毎の前記基準電圧は、設定された出力上限値の数をnとし、前記出力上限値毎の前記基準電圧を、対応する前記出力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≧V2≧・・・≧Vnとなるように設定されていることを特徴とする。
【0019】
また、上記目的を達成するため本発明における二次電池の出力制御方法は、二次電池の出力を制御するための出力制御方法であって、(a)前記二次電池の端子電圧を測定する工程と、(b)設定時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する出力上限値を、前記設定時間を異ならせ、且つ前記設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定する工程と、(c)複数個の前記出力上限値毎に基準電圧を設定する工程と、(d)前記(a)の工程で測定した端子電圧が、いずれかの基準電圧まで降下した場合に、対応する前記出力上限値の値を再設定して、これを引き下げる工程とを有し、前記(c)の工程において、前記出力上限値毎の前記基準電圧の設定は、設定された出力上限値の数をnとし、前記出力上限値毎の前記基準電圧を、対応する前記出力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≧V2≧・・・≧Vnとなるように行なわれていることを特徴とする。
【0020】
更に、上記目的を達成するため本発明におけるプログラムは、二次電池の出力を制御するための出力制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、(a)前記二次電池の端子電圧を測定するステップと、(b)設定時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する出力上限値を、前記設定時間を異ならせ、且つ前記設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定するステップと、(c)複数個の前記出力上限値毎に基準電圧を設定するステップと、(d)前記(a)のステップで測定した端子電圧が、いずれかの基準電圧まで降下した場合に、対応する前記出力上限値の値を再設定して、これを引き下げるステップとをコンピュータに実行させ、前記(c)のステップにおいて、前記出力上限値毎の前記基準電圧の設定は、設定された出力上限値の数をnとし、前記出力上限値毎の前記基準電圧を、対応する前記出力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≧V2≧・・・≧Vnとなるように行なわれることを特徴とする。
【発明の効果】
【0021】
本発明においては、設定時間が短く、且つ、値が高い出力上限値ほど、引き下げのトリガとなる基準電圧を高く設定できる。また、隣接する出力上限値間においては、それぞれの基準電圧を同一の値に設定することもできる。このため、本発明によれば、従来例に比べて、複数個の出力上限値間の差が大きくなるのを抑制でき、二次電池を備えた電源システムにおいて急激な放電電力の制限が生じるのを抑制できる。
【0022】
例えば、本発明をHEVに適用すれば、車両の制御装置(車両ECU)が、二次電池用の制御装置に対する要求を急激に切り替えたときに、ドライバビリティが悪化するのを抑制できる。また、本発明を、燃料電池、太陽電池、発電機といった独立型電源と、二次電池とを連動させる電源システムに用いた場合は、負荷の消費電力が、電源システムの通常の出力を超えて急激に増加する事態となっても、負荷となっている機器の動作が不安定になるのを抑制できる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0023】
本発明における二次電池用の制御装置は、二次電池の出力を制御するための制御装置であって、前記二次電池の端子電圧を測定する電圧測定部と、設定時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する出力上限値を、前記設定時間を異ならせ、且つ前記設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定し、前記二次電池を使用する機器に、設定した複数個の前記出力上限値を出力する制御部とを備え、前記制御部は、複数個の前記出力上限値毎に基準電圧を設定し、前記電圧測定部が測定した端子電圧がいずれかの基準電圧まで降下した場合に、対応する前記出力上限値の値を引き下げ、前記出力上限値毎の前記基準電圧は、設定された出力上限値の数をnとし、前記出力上限値毎の前記基準電圧を、対応する前記出力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≧V2≧・・・≧Vnとなるように設定されていることを特徴とする。
【0024】
上記本発明における二次電池の制御装置は、前記二次電池が、動力源として内燃機関とモータを備える車両に搭載され、前記モータに電力を供給する場合に有効である。
【0025】
また、上記本発明における二次電池の制御装置は、前記制御部が、前記出力上限値として、第1の時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する短時間出力上限値と、前記第1の時間よりも長い第2の時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する長時間出力上限値とを設定し、前記短時間出力上限値に対応する前記基準電圧として、第1の基準電圧V1を設定し、前記長時間出力上限値に対応する前記基準電圧として、前記第1の基準電圧V1以下の第2の基準電圧V2を設定する第1の態様とするのが好ましい。上記第1の態様は、特にHEVにおいて有効である。
【0026】
上記第1の態様においては、前記制御部が、前記短時間出力上限値の初期値を、前記長時間出力上限値の初期値よりも大きな値に設定し、前記電圧測定部が測定した端子電圧が前記第1の基準電圧V1にまで降下した場合に、前記短時間出力上限値を前記長時間出力上限値と同じ大きさに再設定するようにするのが好ましい。このようにすることにより、短時間出力上限値と長時間出力上限値との差が広がるのをより確実に抑制することができる。
【0027】
また、上記第1の態様においては、前記制御部が、前記短時間出力上限値の初期値を、前記長時間出力上限値の初期値よりも大きな値に設定し、前記電圧測定部が測定した端子電圧が前記第1の基準電圧V1にまで降下した場合に、前記短時間出力上限値を段階的に引き下げるようにするのも好ましい。このようにした場合も、短時間出力上限値と長時間出力上限値との差が広がるのをより確実に抑制することができる。
【0028】
更に、上記場合においては、前記制御部が、前記電圧測定部が測定した端子電圧が前記第2の基準電圧V2に到達したときに、又は到達するまでに、前記短時間出力上限値を前記長時間出力上限値と同じ大きさに再設定するようにするのが好ましい。このようにすることにより、短時間出力上限値と長時間出力上限値との差が広がるのをより一層抑制できる。
【0029】
また、上記本発明における二次電池用の制御装置においては、前記二次電池の温度を測定する温度測定部を更に備え、前記制御部が、前記温度測定部が測定した温度に応じて、前記複数個の出力上限値を設定する第2の態様とするのが好ましい。二次電池の放電能力は電池温度によって変化するため、上記第2の態様によれば、精度の高い出力制御を行なうことができる。
【0030】
また、上記本発明における二次電池用の制御装置においては、前記制御部が、前記二次電池の残存容量を算出し、算出した残存容量に応じて、前記複数個の出力上限値を設定する第3の態様とするのも好ましい。二次電池の放電能力はSOCによっても変化するため、上記第3の態様によれば、更に精度の高い出力制御を行なうことができる。
【0031】
更に、上記本発明における二次電池用の制御装置では、前記二次電池が、複数個の単電池を電気的に直列に接続して構成された電池ブロックを、更に複数個電気的に直列に接続して構成されており、前記電圧測定部が、前記複数個の電池ブロックそれぞれの端子電圧を測定し、前記制御部が、前記電圧測定部によって測定された前記複数個の電池ブロックそれぞれの端子電圧のうち、最も小さい端子電圧が前記第1の基準電圧V1にまで降下した場合に、前記短時間出力上限値を引き下げ、前記最も小さい端子電圧が前記第2の基準電圧V2にまで降下した場合に、前記長時間出力上限値を引き下げる第4の態様とすることもできる。
【0032】
また、本発明における二次電池の出力制御方法は、二次電池の出力を制御するための出力制御方法であって、(a)前記二次電池の端子電圧を測定する工程と、(b)設定時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する出力上限値を、前記設定時間を異ならせ、且つ前記設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定する工程と、(c)複数個の前記出力上限値毎に基準電圧を設定する工程と、(d)前記(a)の工程で測定した端子電圧が、いずれかの基準電圧まで降下した場合に、対応する前記出力上限値の値を再設定して、これを引き下げる工程とを有し、前記(c)の工程において、前記出力上限値毎の前記基準電圧の設定は、設定された出力上限値の数をnとし、前記出力上限値毎の前記基準電圧を、対応する前記出力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≧V2≧・・・≧Vnとなるように行なわれていることを特徴とする。
【0033】
上記本発明における二次電池の出力制御方法は、前記二次電池が、動力源として内燃機関とモータとを備える車両に搭載され、前記モータに電力を供給する場合に有効である。
【0034】
更に、上記本発明における二次電池の出力制御方法では、前記(b)のステップにおいて、前記出力上限値として、第1の時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する短時間出力上限値と、前記第1の時間よりも長い第2の時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する長時間出力上限値とを設定し、前記(c)のステップにおいて、前記短時間出力上限値に対応する前記基準電圧として、第1の基準電圧V1を設定し、前記長時間出力上限値に対応する前記基準電圧として、前記第1の基準電圧V1以下の第2の基準電圧V2を設定する態様とするのが好ましい。上記態様は、特にHEVにおいて有効である。
【0035】
また、本発明は、上記の本発明における二次電池の出力制御方法を具現化するためのプログラムであっても良い。このプログラムをコンピュータにインストールして実行することにより、本発明における二次電池の出力制御方法が実行される。
【0036】
(実施の形態1)
以下、本発明の実施の形態1における二次電池用の制御装置及び二次電池の出力制御方法について、図1〜図4を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態1における二次電池用の制御装置の構成について図1を用いて説明する。図1は、本発明の実施の形態1における二次電池用の制御装置の概略構成を示す構成図である。
【0037】
図1に示すように、本実施の形態1における二次電池用の制御装置1は、HEVに搭載された二次電池10の制御を行なっている。二次電池10は、HEVの動力源となるモータ(図示せず)や、HEVに搭載された内燃機関のスタータモータ、更にはHEVにおいて電力を要求する部分全てに電力を供給する。
【0038】
本実施の形態1において、二次電池10は、電池ブロックB1〜B20を直列に接続して構成されている。電池ブロックB1〜B20は、電池ケース12に収容されている。また、電池ブロックB1〜B20それぞれは、2個の電池モジュールを電気的に直列に接続して構成されており、更に、各電池モジュールは、6個の単電池11を電気的に直列に接続して構成されている。各単電池11としては、ニッケル水素電池やリチウムイオン電池等を用いることができる。なお、電池ブロック、電池モジュール、単電池11の数は特に限定されるものではない。二次電池10の構成も上記した例に限定されるものではない。
【0039】
また、電池ケース12内には、複数の温度センサ6が配置されている。複数の温度センサ6の配置は、比較的温度が近い複数の電池ブロックを1つのグループとして、或いはいずれの電池ブロックとも比較的温度差がある1つの電池ブロックを1つのグループとして、グループ毎に1つの温度センサ6を配置することによって行なわれている。また、グループ分けは、事前の実験等によって、各電池ブロックの温度を計測することによって行なわれている。
【0040】
また、図1において、車両ECU20は、車両に搭載されたモータやエンジンの制御、更にはエアコンや各種計器類の制御等も行なう制御装置である。車両ECU20は、二次電池用の制御装置1から後述する短時間出力情報及び長時間出力情報を受け取ると、これら情報によって特定される短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnを超えない範囲で、モータの駆動等を行なう。
【0041】
二次電池用の制御装置1は、主に、制御部2と、電圧測定部3と、記憶部4と、温度測定部5とを備えている。また、本実施の形態1において、二次電池用の制御装置1は、電池ECUの一部を構成している。以下、各部について説明する。
【0042】
電圧測定部3は、二次電池10の端子電圧の測定を行なっている。本実施の形態1では、電圧測定部3は、電池ブロックB1〜B20それぞれの端子電圧Vu1〜Vu20を測定する。また、電圧測定部3は、電圧値電圧Vu1〜Vu20を特定する電圧データを生成し、これを制御部2に出力している。
【0043】
電圧データが出力されると、制御部2は、電圧データを記憶部4に格納すると共に、電池ブロック毎の端子電圧Vuの中から、最も低い端子電圧(最低端子電圧)Vu_minを特定する。電圧測定部3による制御部2への電圧データの出力は、予め設定された周期で行われる。
【0044】
温度測定部5は、二次電池10の温度の測定を行なっている。本実施の形態1では、温度測定部5は、電池ケース12内にグループ毎に設置された各温度センサ6が出力するアナログ信号をデジタル信号に変換し、これに基づいてグループ毎の電池温度を特定する温度データを生成し、これを制御部2に出力する。
【0045】
温度データが出力されると、制御部2は、温度データを記憶部4に格納すると共に、グループ毎の電池温度の中から、最も低い電池温度(最低電池温度)を特定する。温度測定部5による制御部2への温度データの出力も、予め設定された周期で行われている。
【0046】
また、制御部2は、設定時間内に二次電池10が出力可能な放電電力の上限を規定する出力上限値を設定する。本実施の形態1においては、制御部2は、短時間出力上限値Ppと長時間出力上限値Pnとの二種類の出力上限値を設定する。設定された短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnは、それぞれ短時間出力情報及び長時間出力情報として記憶部4に格納される。また、制御部2は、車両ECU20に、短時間出力情報及び長時間出力情報を出力する。
【0047】
短時間出力上限値Ppは、第1の時間内、例えば1秒〜2秒といった短時間の間に二次電池10が出力可能な放電電力の上限を規定する。短時間出力上限値Ppは、車両の発進時やシフトチェンジ時のように、短時間の間に車両から二次電池10の高出力放電が要求された場合において二次電池の放電出力を制限する。長時間出力上限値Pnは、第2の時間内、例えば10秒程度といった比較的長時間の間に二次電池10が出力可能な放電電力の上限を規定している。長時間出力上限値Pnは、例えば車両が定常走行をしている場合において二次電池の放電出力を制限する。
【0048】
また、本実施の形態1においては、制御部2は、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnの引き下げを行なう制限処理モードと、放電電力の短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnの引き下げを行なわない通常処理モードとの二つのモードを備えている。制御部2は、電池ブロックの最低端子電圧Vu_minが基準電圧V1又はV2まで降下した場合は、制限処理モードによって処理を実行し、最低端子電圧Vu_minが制限処理開始電圧V1及びV2を超えている場合は、通常処理モードによって処理を実行する。
【0049】
通常処理モードにおいては、制御部2は、車両ECU20に、短時間出力情報として短時間出力上限値Ppの初期値を出力し、長時間出力情報として長時間出力上限値Pnの初期値を出力する。但し、このとき、制御部2は、温度測定部5が出力した温度データに応じて、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnの初期値を設定する。温度データに基づく設定については、図4を用いて後述する。
【0050】
制限処理モードにおいては、制御部2は、二次電池10(各電池ブロック)の端子電圧の低下を抑制するため、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnの引き下げを行なう。具体的には、制御部2は、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V1まで降下すると、短時間出力上限値Ppを再設定して、その引き下げを行う。また、制御部2は、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V2まで降下すると、長時間出力上限値Pnを再設定して、その引き下げを行なう。また、制御部2は、引き下げを行なった後は、引き下げが行なわれた出力上限値について出力情報の内容の書き換えを行なうと共に、引き下げ後の出力上限値を特定する出力情報を車両ECU20に出力する。
【0051】
また、本実施の形態1においては、短時間出力上限値Ppの引き下げのトリガとなる基準電圧V1と長時間出力上限値Pnの引き下げのトリガとなる基準電圧V2とは、同一の値に設定されている。このため、短時間出力上限値Ppの引き下げと長時間出力上限値Pnの引き下げとは同時に行われる。更に、制御部2は、電池ブロックの最低端子電圧Vu_minが、制限処理解除電圧Vcancelまで上昇したときは、制限処理モードを解除し、通常処理モードへと復帰する。
【0052】
但し、本実施の形態1は、基準電圧V1と基準電圧V2とが同一の値に設定される例に限定されるものではない。本実施の形態1においては、基準電圧V1が基準電圧V2よりも大きな値に設定されていても良く、この場合であっても、短時間出力上限値Ppと長時間出力上限値Pnとの差が大きくなるのを抑制できる。
【0053】
また、本実施の形態1においては、記憶部4には、温度とその温度に最適な基準電圧V1及び基準電圧V2とを示すマップが格納されている。制御部2は、温度測定部5が出力した温度データの中から最低電池温度を特定し、これをマップに当てはめて、基準電圧V1及び基準電圧V2の設定を行っている。マップは、予め行なわれた放電実験の結果に基づいて、二次電池10の性能や負荷を考慮して作成されている。
【0054】
記憶部4は、上述した基準電圧V1、V2を設定するためのマップや、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnの初期値を設定するためのマップを格納している。また、記憶部4は、制限処理解除電圧Vcancelの値も格納している。また、記憶部4は、制御部2の指示に応じて、格納している情報を制御部2に出力する。
【0055】
次に、本発明の実施の形態1における二次電池の出力制御方法について図2〜図4を用いて説明する。本実施の形態1における出力制御法は、図1に示した本実施の形態1における二次電池用の制御装置を動作させることによって実施される。よって、以下においては、適宜図1を参酌しながら、図1に示す二次電池用の制御装置の動作に基づいて説明する。
【0056】
図2は、本発明の実施の形態1における二次電池の出力制御方法を示すフロー図である。図3は、実施の形態1における、二次電池を構成する電池ブロックの端子電圧、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnの経時変化を示す図である。図4は、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnと温度との関係を示す図である。
【0057】
最初に、図2に示すように、制御部2は、温度測定部5から出力された温度データに基づいて二次電池10の最低電池温度を特定し、特定した最低電池温度に応じて、短時間出力上限値Ppの初期値Pp0を設定する(ステップS1)。このとき、制御部2は通常処理モードで処理を行っている。また、本実施の形態1においては、短時間出力上限値Ppの初期値Pp0は記憶部4に格納されており、制御部2は、記憶部4から短時間出力上限値Ppの初期値Pp0を抽出し、抽出した値を設定値として用いている。
【0058】
但し、二次電池10の放電能力が電池温度に応じて変化することから、図4に示すように、短時間出力上限値Ppも電池温度に応じて変化する。このため、記憶部4には、予め選択された電池温度毎に、対応する短時間出力上限値Ppの初期値Pp0が特定されたマップ(参照マップPp)が格納されている。よって、ステップS1においては、制御部2は、記憶部4にアクセスし、参照マップPpを参照して、最低電池温度に応じた短時間出力上限値Ppの初期値Pp0の抽出及び設定を行なっている。
【0059】
また、図4に示すように、長時間出力上限値Pnの初期値Pn0も電池温度に応じて変化する。よって、記憶部4には、参照マップPpに加え、予め選択された電池温度毎に、対応する長時間出力上限値Pnの初期値Pn0が特定されたマップ(参照マップPn)も格納されている。
【0060】
なお、参照マップPpでは、電池温度が同一の条件下において、短時間出力上限値Ppの初期値Pp0は、長時間出力上限値Pnの初期値Pn0よりも高い値に設定されている。これは、図11に示した従来例と同様に、発進の場合やシフトチェンジが行なわれる場合等においても、車両ECU20がモータを駆動することができるようにするためである。
【0061】
次に、制御部2は、電圧測定部3から出力された電圧データに基づいて、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V1以下となっているかどうかを判定する(ステップS2)。最低端子電圧Vu_minが基準電圧V1以下となっていない場合は、短時間出力上限値Ppを引き下げる必要がないため、制御部2は、ステップS1で設定した短時間出力上限値Ppが特定された短時間出力情報を車両ECU20へと出力し(ステップS8)、その後、後述するステップS6を実行する。
【0062】
一方、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V1以下である場合は、短時間出力上限値Ppを引き下げる必要があるため、制御部2は、制限処理モードに移行して、短時間出力情報Ppの引き下げ処理を行う。この場合、図3の時間T1の時点のように、制御部2は、短時間出力上限値Ppの値を引き下げ、これを電池温度に応じた長時間出力上限値Pnの初期値Pn0と同じ値に再設定する(ステップS3)。また、このとき、制御部2は、短時間出力情報の書き換えも行なう。
【0063】
また、制御部2は、ステップS1〜S3、及びS8の処理と平行して、ステップS11〜S13、及びS14の処理も実行する。なお、ステップS11〜S14の処理は、ステップS1の実行前や、ステップS3の実行後に行なうこともできる。ステップS11〜S14について以下に説明する。
【0064】
制御部2は、最低電池温度に応じて、長時間出力上限値Pnの初期値Pn0を設定する(ステップS11)。このときも、制御部2は通常処理モードで処理を行っている。具体的には、制御部2は、記憶部4にアクセスし、上述した参照マップPnを参照して、最低電池温度に応じた長時間出力上限値Pnの初期値Pn0の抽出及び設定を行なう。
【0065】
次に、制御部2は、電圧測定部3から出力された電圧データに基づいて、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V2以下となっているかどうかを判定する(ステップS12)。最低端子電圧Vu_minが基準電圧V2以下となっていない場合は、長時間出力上限値Pnを引き下げる必要がないため、制御部2は、ステップS11で設定した長時間出力上限値Pnが特定された長時間出力情報を車両ECU20へと出力し(ステップS14)、その後、後述するステップS6を実行する。
【0066】
一方、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V2以下である場合は、長時間出力上限値Pnを引き下げる必要があるため、図3の時間T1の時点のように、制御部2は、制限処理モードに移行して、長時間出力上限値Ppの引き下げ処理を行う(ステップS13)。
【0067】
また、本実施の形態1において、長時間出力上限値Pnの一回目の引き下げ処理における引き下げ幅は、二次電池10の性能や電圧の降下速度等に応じて適宜設定され、特に限定されるものではない。更に、後述する二回目以降の引き下げ処理における引き下げ幅も、二次電池10の性能や電圧の降下速度等に応じて適宜設定され、特に限定されるものではない。
【0068】
次に、ステップS1〜S3の処理及びステップS11〜S13の処理が終了すると、制御部2は、現時点(最新)の短時間出力上限値Ppと現時点(最新)の長時間出力上限値Pnとが同一の値となっているかどうかを判定する(ステップS4)。
【0069】
現時点の短時間出力上限値Ppと現時点の長時間出力上限値Pnとが同一の値となっている場合は、制御部2は、この現時点の短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnを車両ECU20に出力する(ステップS5)。
【0070】
一方、現時点の短時間出力上限値Ppと現時点の長時間出力上限値Pnとが同一の値でない場合は、制御部2は、短時間出力上限値Ppの値を長時間出力上限値Pnの値に再設定する(ステップS7)。図3に示すT1の時点では、短時間出力上限値Ppは、ステップS3により長時間出力上限値Pnの初期値Pn0まで引き下げられた後、更に、ステップS7により、引き下げられた後の現在の長時間出力上限値Pnまで引き下げられる。この後、制御部2は、再設定された短時間出力上限値Ppと現時点の長時間出力上限値Pnとを車両ECU20に出力する(ステップS5)。
【0071】
ステップS5の終了後、制御部2は、電圧測定部3から出力した最新の電圧データに基づいて、現在の最低端子電圧Vu_minが制限処理解除電圧Vcancel以上となっているかどうかを判定する(ステップS6)。現在の最低端子電圧Vu_minが制限処理解除電圧Vcancel以上となっている場合は、制御部2は処理を終了する。
【0072】
一方、現在の最低端子電圧Vu_minが制限処理解除電圧Vcancel以上となっていない場合は、二次電池10の出力制限を継続する必要があるため、制御部2は、再度、ステップS12から処理を実行する。これは、長時間出力制限値Pnを引き下げたことにより、二次電池10の端子電圧が上昇し、基準電圧V2を上回る可能性があるためである。
【0073】
但し、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V2を上回っていない場合や、上回ってもすぐに下降する場合は、例えば、図3に示す時間T2〜T5の時点のように、長時間出力上限値Pnが更に階段状に引き下げられると共に、短時間出力上限値Ppも長時間出力上限値Pnに追随するように引き下げられる。
【0074】
このように、本実施の形態1においては、二次電池10の端子電圧が回復するまで、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnの引き下げが行なわれる。また、制御部2は、図2に示す処理を一定周期(例えば、100ms周期)で実行している。
【0075】
以上のように本実施の形態1によれば、図11に示した従来例と異なり、二次電池10(電池ブロック)の端子電圧が基準電圧まで降下すると、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnの両方が同時に引き下げられる(図3参照)。このため、短時間出力上限値Ppと長時間出力上限値Pnとの差が大きくなるのが抑制される。この結果、本実施の形態1によれば、従来例に比べ、車両ECU20が、二次電池用の制御装置に対する要求を切り替えたときにおいて、ドライバビリティの向上を図ることができる。
【0076】
本実施の形態1においては、上述したように、制御部2は、図2に示す処理を一定周期(例えば、100ms周期)で行なっているが、本実施の形態1はこれに限定されるものではない。本実施の形態1は、二次電池10(電池ブロック)の端子電圧が基準電圧まで降下した場合にのみ、制御部2によって図2に示す処理が実行される態様とすることもできる。
【0077】
また、本実施の形態1における二次電池用の制御装置は、電池ECUを構成するマイクロコンピュータに、図2に示す各種処理を具現化させるプログラムをインストールし、このプログラムを実行することによっても、実現することができる。この場合、マイクロコンピュータのCPU(central processing unit)が制御部2として機能する。また、二次電池との接続回路とCPUとが電圧測定部3として機能し、温度センサ6の接続回路とCPUとが温度測定部5として機能する。更に、マイクロコンピュータが備える各種メモリが記憶部4として機能する。
【0078】
更に、HEVの分野においては、車両ECUが電池ECUとしても機能する態様が考えられる。この態様においては、本実施の形態1における二次電池用の制御装置1は、車両ECUを構成するマイクロコンピュータに、図2に示す各種処理を具現化させるプログラムをインストールし、このプログラムを実行することによって、実現することができる。
【0079】
(実施の形態2)
次に、本発明の実施の形態2における二次電池用の制御装置及び二次電池の出力制御方法について、図5〜図7を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態2における二次電池用の制御装置の構成について図5を参照しながら説明する。図5は、本発明の実施の形態2における二次電池用の制御装置の概略構成を示す構成図である。図5において、図1に示された符号と同符号が付された部分は、図1において同符号が付された部分と同一のものである。
【0080】
図5に示すように、本実施の形態2における二次電池用の制御装置30も、実施の形態1と同様に、HEVに搭載された二次電池10の制御を行なっている。また、二次電池用の制御装置30を構成する制御部31も、図1に示した制御部2と同様に、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnを設定し、短時間出力情報及び長時間出力情報の両方を車両ECU20へと出力する。
【0081】
但し、本実施の形態2における二次電池用の制御装置30は、制御部31が行なう短時間出力上限値Ppの引き下げ処理、短時間出力上限値Ppの初期値Pp0の設定処理、及び長時間出力上限値Pnの初期値Pn0の設定処理の点で、実施の形態1における二次電池用の制御装置と異なっている。
【0082】
具体的には、本実施の形態2においては、制御部31は、短時間出力上限値Ppを長時間出力上限値Pnの初期値Pn0にまで引き下げるに際して、段階的な引き下げを行なっている。また、制御部31は、二次電池10のSOCの推定を行い、推定したSOCに応じて、短時間出力上限値Ppの初期値Pp0と長時間出力上限値Pnの初期値Pn0との設定を行なっている。
【0083】
更に、制御部31がSOCの算出を行なうため、二次電池用の制御装置30は電流測定部32を備えている。電流測定部32は、電流センサ(図示せず)が出力した信号に基づいて、二次電池10の充放電時における電流の電流値Iを測定している。本実施の形態2では、電流測定部32は、電流センサが出力したアナログ信号をデジタル信号に変換し、これに基づいて、充電時に二次電池10に入力された電流の電流値Iと、放電時に二次電池10から出力された電流の電流値Iとを特定する電流データを生成し、これを制御部31に出力する。
【0084】
また、電流測定部32は、充電時をマイナス、放電時をプラスとして電流データを生成する。電流測定部32による制御部2への電流データの出力も、予め設定された周期で行われ、制御部31は電流データも記憶部4に格納する。
【0085】
本実施の形態2においては、制御部31は、二次電池10の積算容量Qに基づいて第1のSOCを推定する。また、制御部31は、充放電履歴に基づいて第2のSOCも推定する。更に、制御部31は、第1のSOCと第2のSOCとの差を求め、求めた差に基づいて第1のSOCを補正し、補正後の第1のSOCを二次電池10のSOCとしている。なお、制御部31によるSOCの推定は、第1のSOC及び第2のSOCのうちのいずれかであっても良い。
【0086】
具体的には、第1のSOCの推定は、以下の手順によって行なわれる。先ず、制御部31は、記憶部4に格納された電流データを読み出して電流値Iを取得し、取得された電流値Iが充電時の電流(−)の場合は充電効率を乗算する。次に、制御部31は、得られた電流値I(充電時の場合は乗算値)を設定された時間にわたって積算して、積算容量Qを算出する。更に、制御部31は、予め実験によって求められている満充電時の容量と積算容量Qとの差を求め、次いで、満充電時の容量に対する差の比を求め、求めた比(%)を第1のSOCとして推定する。
【0087】
また、第2のSOCの推定は以下の手順によって行なわれる。先ず、制御部31は、設定期間内において、電圧測定部3から出力された電圧データと、電流測定部2から出力された電流データとから、電池ブロック毎に、端子電圧の電圧値と充放電時の電流の電流値Iとのペアデータを複数個取得する。取得されたペアデータは、充放電履歴として、記憶部4に格納される。
【0088】
次に、制御部31は、記憶部4に格納された電池ブロック毎のペアデータの中から、代表となる電池ブロックの、上限及び下限を除いた平均的なペアデータを選択する。更に、演算部は、選択されたペアデータから、回帰分析法を用いて、1次の近似直線(V−I近似直線)を求める。更に、制御部31は、V−I近似直線のV切片を無負荷電圧OCVとして求め、これを代表となる電池ブロックの無負荷電圧OCVとする。
【0089】
次に、制御部31は、積算容量Qの単位時間あたりの変化量△Qに基づいて、二次電池10の分極電圧を推定する。具体的には、制御部31は、変化量△Qに対して時間遅延処理及び平均化処理を行ない、これによって△Qの不要な高周波成分に相当する変動成分を除去して、△Q´を算出する。更に、制御部31は、温度を縦軸(又は横軸)、△Q´を横軸(又は縦軸)とし、縦軸と横軸との交点に対応する分極電圧が記録された二次元マップに、算出した変化量△Q´と最低電池温度とを当てはめて分極電圧を特定する。制御部31は、この特定した分極電圧を二次電池10の分極電圧として推定する。なお、この二次元マップも記憶部4に格納されている。
【0090】
次いで、制御部31は、代表となる無負荷電圧OCVから、推定した分極電圧を減算して、代表となる電池ブロックの起電力を算出する。更に、制御部31は、温度を縦軸(又は横軸)、起電力を横軸(又は縦軸)とし、縦軸と横軸との交点に対応するSOCが記録された二次元マップに、算出された起電力と最低電池温度とを当てはめてSOCを特定し、これを第2のSOCとして推定する。なお、この二次元マップも記憶部4に格納されている。
【0091】
また、上記の例では、代表となる電池ブロックを選択してOCVの算出を行なっているが、これに限定されるものではない。たとえば、二次電池全体の無負荷電圧を算出し、これから二次電池全体の起電力を算出して、第2のSOCを推定することもできる。
【0092】
また、本実施の形態2においては、記憶部4に格納された参照マップPpは、実施の形態1と異なり、予め選択されたSOC毎に、対応する短時間出力上限値Ppの初期値Pp0を特定している。同様に、記憶部4に格納された参照マップPnは、予め選択されたSOC毎に、対応する長時間出力上限値Pnの初期値Pn0を特定している。また、参照マップPpでは、SOCが同一の条件下において、短時間出力上限値Ppの初期値Pp0は、長時間出力上限値Pnの初期値Pn0よりも高い値に設定されている。
【0093】
なお、上述した点以外の点については、本実施の形態2における二次電池用の制御装置は、実施の形態1において図1に示した二次電池用の制御装置と同様に構成されている。
【0094】
次に、本発明の実施の形態2における二次電池の出力制御方法について図6及び図7を用いて説明する。本実施の形態2における二次電池の出力制御法は、図5に示した本実施の形態2における二次電池用の制御装置を動作させることによって実施される。よって、以下においては、適宜図5を参酌しながら、図5に示す二次電池用の制御装置の動作に基づいて説明する。
【0095】
図6は、本発明の実施の形態2における二次電池の出力制御方法を示すフロー図である。図7は、実施の形態2における、二次電池を構成する電池ブロックの端子電圧、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnの経時変化を示す図である。
【0096】
最初に、図6に示すように、制御部31は、二次電池10のSOCを算出し、記憶部4に格納された参照マップPpを用いて、算出したSOCに応じた短時間出力上限値Ppの初期値Pp0を設定する(ステップS21)。このとき、制御部31は通常処理モードで処理を行っている(図7における開始から時間T1までの区間参照)。
【0097】
次に、制御部31は、電圧測定部3から出力された電圧データに基づいて、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V1以下となっているかどうかを判定する(ステップS22)。最低端子電圧Vu_minが基準電圧V1以下となっていない場合は、短時間出力上限値Ppを引き下げる必要がないため、制御部31は、ステップS21で設定した短時間出力上限値Ppが特定された短時間出力情報を車両ECU20へと出力し(ステップS30)、その後、後述するステップS29を実行する。
【0098】
一方、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V1以下である場合は、短時間出力上限値Ppを引き下げる必要があるため、制御部31は、図7における時間T1から時間T2の区間のように、短時間出力上限値Ppの引き下げ処理を行う(ステップS23)。本実施の形態2において、ステップS23における引き下げ処理は、予め定められた幅(例えば、2kW)で短時間出力上限値Ppの値を引き下げることによって行なわれている。
【0099】
次に、制御部31は、引き下げ処理後の短時間出力上限値Ppが長時間出力上限値Pnの初期値Pn0より大きいかどうかを判定する(ステップS24)。なお、ここでいう長時間出力上限値Pnの初期値Pn0は、後述するステップS31で設定された値である。
【0100】
短時間出力上限値Ppが長時間出力上限値Pnの初期値Pn0より大きい場合は、制御部31は、短時間出力情報を車両ECU20に出力し(ステップS25)、その後、再度ステップS22を実行する。これは、短時間出力制限値Ppを引き下げたことにより、端子電圧が上昇し、基準電圧V1を上回る可能性があるためである。ステップS22〜ステップS25は、短時間出力上限値Ppが長時間出力上限値Pnの初期値Pn0よりも小さくなるか、それと同じになるまで繰り返され、短時間出力制限値Ppは階段状に引き下げられる(図7における時間T1から時間T2の区間参照)。
【0101】
一方、短時間出力上限値Ppが長時間出力上限値Pnの初期値Pn0より大きくない場合は、制御部31は、ステップS26を実行する。また、制御部31は、ステップS21〜S25、及びS30の処理と平行して、ステップS31〜S34の処理も実行する。なお、ステップS31〜S34の処理は、ステップS21の実行前や、ステップS24の実行後に行なうこともできる。ステップS31〜S34について以下に説明する。
【0102】
制御部31は、記憶部4に格納された参照マップPnを参照して、算出されたSOCに応じた長時間出力上限値Pnの初期値Pn0を設定する(ステップS31)。このときも、制御部31は通常処理モードで処理を行っている(図7における開始から時間T3までの区間参照)。
【0103】
次に、制御部31は、電圧測定部3から出力された電圧データに基づいて、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V2以下となっているかどうかを判定する(ステップS32)。実施の形態2においては、実施の形態1と異なり、基準電圧V2は基準電圧V1より小さな値に設定されている。
【0104】
最低端子電圧Vu_minが基準電圧V2以下となっていない場合は、長時間出力上限値Pnを引き下げる必要がないため、制御部31は、ステップS31で設定した長時間出力上限値Pnを車両ECU20へと出力し(ステップS34)、その後、後述のステップS29を実行する。
【0105】
一方、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V2以下である場合は、長時間出力上限値Pnを引き下げる必要があるため、制御部31は、図7における時間T3の時点のように、長時間出力上限値Pnの引き下げ処理を行う(ステップS33)。なお、ステップS33は、実施の形態1において図2に示したステップS13と同様に行なわれる。
【0106】
次に、ステップS21〜S25の処理及びステップS31〜S33の処理が終了すると、制御部31は、現時点の短時間出力上限値Ppと現時点の長時間出力上限値Pnとが同一の値となっているかどうかを判定する(ステップS26)。現時点の短時間出力上限値Ppと現時点の長時間出力上限値Pnとが同一の値となっている場合は、制御部31は、この現時点の短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnを車両ECU20に出力する(ステップS27)。
【0107】
一方、現時点の短時間出力上限値Ppと現時点の長時間出力上限値Pnとが同一の値でない場合は、制御部31は、短時間出力上限値Ppの値を長時間出力上限値Pnの値に再設定し(ステップS28)、その後、ステップS27の処理を実行する。
【0108】
ステップS27の終了後、制御部31は、電圧測定部3から出力した最新の電圧データに基づいて、現在の最低端子電圧Vu_minが制限処理解除電圧Vcancel以上となっているかどうかを判定する(ステップS29)。現在の最低端子電圧Vu_minが制限処理解除電圧Vcancel以上となっている場合は、制御部31は処理を終了する。
【0109】
一方、現在の最低端子電圧Vu_minが制限処理解除電圧Vcancel以上となっていない場合は、二次電池10の出力制限を継続する必要があるため、制御部2は、再度、ステップS32から処理を実行する。これは、長時間出力制限値Pnを引き下げたことにより、端子電圧が上昇し、基準電圧V2を上回る可能性があるためである。また、この処理により、例えば、図7に示す時間T2〜T7の時点のように、長時間出力上限値Pnが更に階段状に引き下げられると共に、短時間出力上限値Ppも長時間出力上限値Pnに追随するように引き下げられる。
【0110】
このように、本実施の形態2においても、実施の形態1と同様に、二次電池10の端子電圧が回復するまで、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnの引き下げが行なわれる。また、制御部31は、図6に示す処理を一定周期(例えば、100ms周期)で実行している。
【0111】
以上のように本実施の形態2においては、二次電池10(電池ブロック)の端子電圧が基準電圧まで降下すると、先ず、短時間出力上限値Ppが引き下げられ、次いで、長時間出力上限値Pnが引き下げられる(図7参照)。このため、本実施の形態2によっても、実施の形態1と同様に、短時間出力上限値Ppと長時間出力上限値Pnとの差が大きくなるのが抑制され、従来例に比べて、ドライバビリティの向上を図ることができる。また、本実施の形態2においては、短時間出力上限値Ppも階段状に引き下げられるため、更なるドライバビリティの向上を図ることもできる。
【0112】
また、本実施の形態2においては、ステップS22〜ステップS25の繰り返しには制限を設けるのが好ましい。具体的には、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V2まで降下した場合、更には基準電圧V1と基準電圧V2との間の値まで降下した場合に、ステップS22〜ステップS25の繰り返しを終了して、強制的にステップS26の処理を実行する態様とするのが好ましい。
【0113】
この態様によれば、最低端子電圧Vu_minが、急激に、基準電圧V2まで降下した場合に、短時間出力上限値Ppと長時間出力上限値Pnとを同じ大きさに設定できる。よって、短時間出力上限値Ppと長時間出力上限値Pnとの差が大きくなるのを一層抑制できる。
【0114】
また、実施の形態1と同様に、制御部31は、図6に示す処理を一定周期で行なっているが、本実施の形態2はこれに限定されるものではない。本実施の形態2においても、制御部31は、二次電池10(電池ブロック)の端子電圧が基準電圧まで降下した場合にのみ図6に示す処理を実行する態様とすることもできる。
【0115】
更に、本実施の形態2における二次電池用の制御装置も、電池ECUを構成するマイクロコンピュータに、図6に示す各種処理を具現化させるプログラムをインストールし、このプログラムを実行することによって、実現することができる。この場合も、マイクロコンピュータのCPU(central processing unit)が制御部31として機能する。また、電圧センサの接続回路とCPUとが電圧測定部3として、電流センサの接続回路とCPUとが電流測定部32として、温度センサ6の接続回路とCPUとが温度測定部5として機能する。更に、マイクロコンピュータが備える各種メモリが記憶部4として機能する。
【0116】
また、本実施の形態2においても、二次電池用の制御装置30は、車両ECU20を構成するマイクロコンピュータに、図6に示す各種処理を具現化させるプログラムをインストールし、このプログラムを実行することによって、実現することができる。
【0117】
(実施の形態3)
次に、本発明の実施の形態3における二次電池用の制御装置及び二次電池の出力制御方法について、図8〜図10を参照しながら説明する。最初に、本実施の形態3における二次電池用の制御装置の構成について図8を参照しながら説明する。図8は、本発明の実施の形態3における二次電池用の制御装置の概略構成を示す構成図である。図8において、図1に示された符号と同符号が付された部分は、図1において同符号が付された部分と同一のものである。
【0118】
図8に示すように、本実施の形態3においては、実施の形態1及び2と異なり、二次電池10は、発電装置40と組み合わされて電源システムを構成している。二次電池10は、実施の形態1及び2で用いられている二次電池と同様のものである。発電装置40としては、具体的には、太陽光発電装置(太陽電池)、燃料電池、風力発電装置、水力発電装置、ガスタービンエンジンといった内燃機関を備えた火力発電装置等が挙げられる。
【0119】
図8に示す電源システムにおいては、発電装置40が出力した電力のうち負荷42に対して余剰となる分が、充放電制御装置41を介して二次電池10に入力され、これにより二次電池10の充電が行なわれる。また、負荷42の消費電力が急減に増大し、負荷42が要求する電力が発電装置40の出力を超えると、二次電池10から不足の電力が充放電制御装置41を介して負荷42に供給される。
【0120】
また、図8に示す電源システムにおいても、HEVと同様に、二次電池10のSOCが20%〜80%程度の範囲で推移するように制御が行われている(背景技術の欄参照)。具体的には、本実施の形態3における二次電池用の制御装置44は、実施の形態2と同様に、二次電池10のSOCを算出し、算出したSOCを特定する情報を充放電制御装置41に出力している。充放電制御装置41は、出力された情報に基づいて、二次電池10のSOCが上記の範囲内に収まるよう二次電池10の充放電を制御している。
【0121】
また、図8に示すように、本実施の形態3においても、二次電池用の制御装置44は、実施の形態1及び2で示した例と同様に、電圧測定部3、温度測定部5、記憶部4及び制御部45とを備えている。更に、二次電池用の制御装置44は、実施の形態2で示した例と同様に、電流測定部32も備えている。また、制御部45は、実施の形態1及び2で示した制御部と同様に、設定時間内に二次電池10が出力可能な放電電力の上限を規定する出力上限値を設定する。
【0122】
但し、本実施の形態3においては、実施の形態1及び2と異なり、制御部45は、超短時間出力上限値Psと、短時間出力上限値Ppと、長時間出力上限値Pnとの三種類の上限値を設定する。なお、設定された超短時間出力上限値Ps、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnは、それぞれ、超短時間出力情報、短時間出力情報及び長時間出力情報として記憶部4に格納される。
【0123】
また、本実施の形態3においては、制御部45は、充放電制御装置41に、超短時間出力情報、短時間出力情報及び長時間出力情報を出力する。充放電制御装置41は、制御部45から、超短時間出力情報、短時間出力情報及び長時間出力情報を受け取ると、これら情報によって特定される上限値を超えない範囲で、二次電池10から負荷42に電力を出力させる。
【0124】
超短時間出力上限値Psは、例えば1秒以下といった極めて短い時間の間に二次電池10が出力可能な放電電力の上限を規定している。つまり、超短時間出力上限値Psは、充放電制御装置41から瞬間的な高出力放電が要求された場合において、二次電池10の放電電力を制限している。
【0125】
短時間出力上限値Ppは、例えば2秒前後といった短時間の間に二次電池が出力可能な放電電力の上限値を規定する。短時間出力上限値Ppは、負荷42の起動時のように、短時間の間に充放電制御装置41から二次電池10の高出力放電が要求された場合において二次電池の放電電力を制限する。長時間出力上限値Pnは、例えば10秒程度といった比較的長時間の間に二次電池10が出力可能な放電電力の上限値を規定している。長時間出力上限値Pnは、例えば、負荷42が定常動作をしている場合において二次電池の放電電力を制限する。
【0126】
また、実施の形態1及び2の例と同様に、制御部45は、制限処理モードと通常処理モードとを備えているが、本実施の形態3においては、制限処理モードにおいて、超短時間出力上限値Psについても引き下げを行なう。
【0127】
具体的には、制限処理モードにおいては、制御部45は、最低電圧Vu_minが、基準電圧V1まで降下すると、超短時間出力上限値Psを再設定して、その引き下げを行う。また、制御部45は、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V2まで降下すると、短時間出力上限値Ppを再設定して、引き下げ処理を行う。更に、最低電圧Vu_minが、基準電圧V3まで降下すると、長時間出力上限値Pnを再設定して、その後引き下げ処理を行う。また、制御部45は、引き下げを行った後は、引き下げが行われた出力上限値について出力情報の内容の書き換えを行うと共に、引き下げ後の出力上限値を特定する出力情報を充放電制御装置41に出力する。
【0128】
通常処理モードにおいては、制御部45は、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnに加えて、超短時間出力上限値Psについても、初期値Ps0を設定し、これを充放電制御装置41に超短時間出力情報として出力する。超短時間出力上限値Psの初期値Ps0も記憶部4に格納されている。
【0129】
また、このとき、制御部45は、超短時間出力上限値Psの設定も、温度測定部5が出力した温度データに応じて行なう。これは、超短時間出力上限値Psも、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnと同様に、電池温度に応じて変化するからである(図4参照)。本実施の形態3においては、記憶部4には、予め選択された電池温度毎に、対応する超短時間出力上限値Psの初期値Ps0が特定されたマップ(参照マップPs)も格納されている。
【0130】
また、本実施の形態3においては、超短時間出力上限値Psの引き下げのトリガとなる基準電圧V1、短時間出力上限値Ppの引き下げのトリガとなる基準電圧V2、長時間出力上限値Pnの引き下げのトリガとなる基準電圧V3は、同一の値に設定されている。更に、制御部45は、電池ブロックの最低端子電圧Vu_minが、制限処理解除電圧Vcancelまで上昇したときは、制限処理モードを解除し、通常処理モードへと復帰する。
【0131】
但し、本実施の形態3も、実施の形態1と同様に、基準電圧V1、基準電圧V2及び基準電圧V3が同一の値に設定されている例に限定されるものではない。本実施の形態3においては、基準電圧V1は基準電圧V2よりも大きな値に設定されていても良いし、基準電圧V2は基準電圧V3よりも大きな値に設定されていても良い。このような場合であっても、超短時間出力上限値Psと短時間出力上限値Ppとの差、更に、短時間出力上限値Ppと長時間出力上限値Pnとの差が大きくなるのを抑制できる。
【0132】
更に、本実施の形態3においては、記憶部4には、温度とその温度に最適な基準電圧V1、基準電圧V2及び基準電圧V3とを示すマップが格納されている。制御部45は、温度データの中から最低電池温度を特定し、これをマップに当てはめて、基準電圧V1、基準電圧V2及び基準電圧V3を設定している。このマップは、予め行われた放電実験の結果を用いて、二次電池10の性能や負荷を考慮して作成される。また、記憶部4には、制限処理解除電圧Vcancelの値も格納されている。
【0133】
次に、本発明の実施の形態3における二次電池の出力制御方法について図9及び図10を用いて説明する。本実施の形態3における出力制御法は、図8に示した本実施の形態3における二次電池用の制御装置を動作させることによって実施される。よって、以下においては、適宜図8を参酌しながら、図8に示す二次電池用の制御装置の動作に基づいて説明する。
【0134】
図9は、本発明の実施の形態3における二次電池の出力制御方法を示すフロー図である。図10は、実施の形態3における、二次電池を構成する電池ブロックの端子電圧、超短時間出力上限値Ps、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnの経時変化を示す図である。
【0135】
最初に、図9に示すように、制御部45は、温度測定部5から出力された温度データに基づいて二次電池10の最低電池温度を特定し、特定した最低電池温度に応じて、超短時間出力上限値Psの初期値Ps0を設定する(ステップS51)。この時、制御部45は通常処理モードで処理を行っている。本実施例の形態3において、制御部45は、上述したように、記憶部4に格納されている参照マップPsを参照して、最低電池温度に応じた超短時間出力上限値Psの初期値Ps0を抽出し、抽出した値を設定値として用いている。
【0136】
なお、参照マップPsでは、電池温度が同一の条件下において、超短時間出力上限値Psの初期値Ps0は、短時間出力上限値Ppの初期値Pp0よりも高い値に設定されている。これは、瞬間的な放電電力の要求に対応して、充放電制御装置41が負荷42に対して安定した電力供給を行なえるようにするためである。
【0137】
次に、制御部45は、電圧測定部3から出力された電圧データに基づいて、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V1以下となっていないかどうかを判定する(ステップS52)。最低端子電圧Vu_minが基準電圧V1以下となっていない場合は、超短時間出力上限値Psを引き下げる必要がないため、制御部45は、ステップS51で設定した超短時間出力上限値Psが特定された超短時間情報を充放電制御装置41へと出力する(ステップS58)。その後、制御部45は、後述のステップS56を実行する。
【0138】
一方、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V1以下である場合は、超短時間出力上限値Psを引き下げる必要があるため、制御部45は、制限処理モードに移行して、超短時間出力上限値Psの引き下げ処理を行う。この場合、図10の時間T1の時点のように、制御部45は、超短時間出力上限値Psの値を引き下げ、電池温度に応じた長時間出力上限値Pnの初期値Pn0と同じ値に再設定する(ステップS53)。また、このとき、制御部45は、超短時間出力情報の書き換えも行う。
【0139】
また、制御部45は、ステップS51〜S53、及びS58の処理と平行して、ステップS61~S66、及びステップS71〜S74の処理も実行する。なお、ステップS61~S66、及びステップS71〜S74の処理は、ステップS51の実行前や、ステップS53の実行後に行うこともできる。
【0140】
以下、ステップS61~S66、及びステップS71〜S74の処理について説明する。但し、説明は、ステップS61〜S64の処理、ステップS71〜S74の処理、ステップS65及びS66の処理の順で行なう。
【0141】
先ず、制御部45は、最低電池温度に応じて、短時間出力上限値Ppの初期値Pp0を設定する(ステップS61)。ステップS61は、実施の形態1において図1に示したステップS1と同様に、参照マップPpを用いて行なわれる。次に、制御部45は、電圧測定部3から出力された電圧データに基づいて、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V2以下となっているかどうかを判断する(ステップS62)。
【0142】
最低端子電圧Vu_minが基準電圧V2以下となっていない場合は、制御部45は、ステップS61で設定した短時間出力上限値Ppが特定された短時間出力情報を充放電制御装置41へと出力し(ステップS64)、その後、後述のステップS56を実行する。一方、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V2以下である場合は、実施の形態1において図2に示したステップS3と同様に、図10の時間T1の時点のように、制御部45は、制限処理モードに移行して、短時間出力上限値Ppの引き下げ処理を行う(ステップS63)。
【0143】
次に、ステップS71〜S74の処理について説明する。制御部45は、長時間出力上限値Pnの初期値Pn0を設定する(ステップS71)。ステップS71は、実施の形態1において図2に示したステップS11と同様に、参照マップPnを用いて行なわれる。次に、制御部45は、電圧測定部3から出力された電圧データに基づいて、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V3以下となっているかどうかを判断する(ステップS72)。
【0144】
最低端子電圧Vu_minが基準電圧V3以下となっていない場合は、制御部45は、ステップS71で設定した長時間出力上限値Pnが特定された長時間出力情報を充放電制御装置41に出力し(ステップS74)、その後、後述のステップS56を実行する。一方、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V3以下である場合は、実施の形態1において図2に示したステップS13と同様に、図10の時間T1の時点のように、制御部45は、制限処理モードに移行して、長時間出力上限値Pnの引き下げ処理を行う(ステップS73)。
【0145】
なお、本実施の形態3においても、実施の形態1と同様に、長時間出力上限値Pnの1回目の引き下げ処理における引き下げ幅は、二次電池10の性能や電圧の低下速度に応じて適宜設定され、特に限定されるものではない。更に、後述する2回目以降の引き下げ処理における引き下げ幅も、二次電池10の性能や電圧の降下速度等に応じて適宜設定され、特に限定されるものではない。
【0146】
次に、ステップS61〜S64の処理及びステップS71〜S74の処理が終了すると、制御部45は、現時点(最新)の短時間出力上限値Ppと現時点(最新)の長時間出力上限値Pnとが同一の値となっているかどうかを判定する(ステップS65)。現時点の短時間出力上限値Ppと現時点の長時間出力上限値Pnとが同一になっている場合は、制御部45は、後述するステップS54を実行する。
【0147】
一方、現時点の短時間出力上限値Ppと現時点の長期出力上限値Pnとが同一の値でない場合は、制御部45は、短時間上限値Ppの値を長時間出力上限値Pnの値に再設定する(ステップS66)。図10に示すT1の時点では、短時間出力上限値Ppは、ステップS33により長時間出力上限値Pnの初期値Pn0まで引き下げられた後、更に、ステップS65により、引き下げられた後の現在の長時間出力上限値Pnまで引き下げられる。この後、制御部45は、後述するステップS54を実行する。
【0148】
次に、ステップS65及びS66の処理が終了すると、制御部45は、現時点の超短時間出力上限値Psと現時点の長時間出力上限値Pnとが同一の値となっているかどうかを判定する(ステップS54)。
【0149】
現時点の超短時間出力上限値Psと長時間出力上限値Pnとが同一の値となっている場合は、制御部45は、現時点における超短時間出力上限値Ps、短時間出力上限値Pp、長時間出力上限値Pnを充放電制御装置41へ出力する(ステップS55)。
【0150】
一方、現時点の超短時間出力上限値Psと現時点の長期出力上限値Pnとが同一の値でない場合は、制御部45は、超短時間上限値Psの値を長時間出力上限値Pnの値に再設定する(ステップS57)。
【0151】
図10に示すT1の時点では、超短時間出力上限値Psは、ステップS53により長時間出力上限値Pnの初期値Pn0まで引き下げられた後、更に、ステップS57により、引き下げられた後の現在の長時間出力上限値Pnまで引き下げられる。この後、制御部45は、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnと共に、再設定された超短期出力上限値Psを充放電制御装置41に出力する(ステップS55)。
【0152】
ステップS55の終了後、制御部45は、電圧測定部3から出力した最新の電圧データに基づいて、現在の最低端子電圧Vu_minが制限処理解除電圧Vcancel以上となっているかどうかを判定する(ステップS56)。現在の最低端子電圧Vu_minが制限処理解除電圧Vcancel以上となっている場合は、制御部45は処理を終了する。
【0153】
一方、現在の最低端子電圧Vu_minが制限処理解除電圧Vcancel以上となっていない場合は、二次電池10の出力制限を継続する必要があるため、制御部45は、再度、ステップS72から処理を実行する。これは、実施の形態1と同様に、長時間出力制限値Pnを引き下げたことにより、二次電池10の端子電圧が上昇し、基準電圧V3を上回る可能性があるためである。
【0154】
但し、最低端子電圧Vu_minが基準電圧V3を上回っていない場合や、上回ってもすぐに下降する場合は、例えば、図3に示す時間T2〜T5の時点のように、長時間出力上限値Pnが更に階段状に引き下げられると共に、超短時間出力上限値Ps及び短時間出力上限値Ppも長時間出力上限値Pnに追随するように引き下げられる。
【0155】
このように、本実施の形態3においては、二次電池10の端子電圧が回復するまで、超短時間出力上限値Ps、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnの引き下げが行われる。また、制御部45は、図9に示す処理を一定周期(例えば、100ms周期)で実行している。但し、本実施の形態3も、二次電池10(電池ブロック)の端子電圧が基準電圧まで降下した場合にのみ、制御部45によって図9に示す処理が実行される態様とすることもできる。
【0156】
以上のように本実施の形態3においても、実施の形態1及び2と同様に、出力上限値間の差が大きくなるのが抑制される。よって、本実施の形態3によれば、負荷42の消費電力が、発電装置40の通常の出力を超えて急激に増加する事態となっても、負荷となっている機器の動作が不安定になるのを抑制できる。
【0157】
また、本実施の形態3における二次電池用の制御装置も、マイクロコンピュータに、図9に示す各種処理を具現化させるプログラムをインストールし、このプログラムを実行することによって、実現することができる。この場合、マイクロコンピュータのCPU(central processing unit)が制御部45として機能する。また、二次電池との接続回路とCPUとが電圧測定部3として、電流センサの接続回路とCPUとが電流測定部32として、温度センサ6の接続回路とCPUとが温度測定部5として機能する。更に、マイクロコンピュータが備える各種メモリが記憶部4として機能する。
【0158】
更に、本実施の形態3においては、充放電制御装置41が、二次電池用の制御装置44として機能する態様も考えられる。この態様においては、本実施の形態3における二次電池用の制御装置44は、充放電制御装置41を構成するマイクロコンピュータに、図9に示す各種処理を具現化させるプログラムをインストールし、このプログラムを実行することによって、実現することが可能である。
【0159】
また、本実施の形態1〜3は、グループ毎に測定された電池温度の中から最大の電池温度を特定し、これを用いて処理を行なう態様や、平均の電池温度が算出され、これを用いて処理を行なう態様であっても良い。更に、本実施の形態1〜3は、電池ブロックの平均の端子電圧や、電池パック全体の端子電圧が算出され、これらを用いて処理を行なう態様であっても良い。
【0160】
実施の形態1〜3においては、出力上限値は、電池温度及びSOCのいずれかに応じて設定されているが、これに限定されるものではなく、電池温度及びSOCの両方に応じて設定されていても良い。この場合は、参照マップPs、参照マップPp及び参照マップPnとして、縦軸(又は横軸)を電池温度、横軸(又は縦軸)をSOCとし、縦軸と横軸との交点に最適な上限値が記録された二次元マップが用いられる。
【0161】
また、実施の形態1及び2においては、二つの上限値が設定され、実施の形態3においては、三つの上限値が設定されているが、本発明においては、四つ以上の上限値を設定する態様としても良い。更に、本発明において、基準電圧は、設定された出力上限値の数をnとし、出力上限値毎の基準電圧を、対応する出力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≧V2≧・・・≧Vnとなるように設定されていてれば良い。
【産業上の利用可能性】
【0162】
本発明における二次電池用の制御装置及び二次電池の出力制御方法は、燃料電池や太陽電池、及び発電機といった独立型電源と、二次電池とを組み合わせた電源システムに有効である。本発明における二次電池用の制御装置及び二次電池の出力制御方法は、産業上の利用可能性を有するものである。
【図面の簡単な説明】
【0163】
【図1】本発明の実施の形態1における二次電池用の制御装置の概略構成を示す構成図である。
【図2】本発明の実施の形態1における二次電池の出力制御方法を示すフロー図である。
【図3】実施の形態1における、二次電池を構成する電池ブロックの端子電圧、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnの経時変化を示す図である。
【図4】短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnと温度との関係を示す図である。
【図5】本発明の実施の形態2における二次電池用の制御装置の概略構成を示す構成図である。
【図6】本発明の実施の形態2における二次電池の出力制御方法を示すフロー図である。
【図7】実施の形態2における、二次電池を構成する電池ブロックの端子電圧、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnの経時変化を示す図である。
【図8】本発明の実施の形態3における二次電池用の制御装置の概略構成を示す構成図である。
【図9】本発明の実施の形態3における二次電池の出力制御方法を示すフロー図である。
【図10】実施の形態3における、二次電池を構成する電池ブロックの端子電圧、超短時間出力上限値Ps、短時間出力上限値Pp及び長時間出力上限値Pnの経時変化を示す図である。
【図11】従来からの二次電池における出力制御を示すグラフである。
【符号の説明】
【0164】
1、30、44 二次電池用の制御装置
2、31、45 制御部
3 電圧測定部
4 記憶部
5 温度測定部
6 温度センサ
10 二次電池
20 車両ECU
32 電流測定部
40 発電装置
41 充放電制御装置
42 負荷

【特許請求の範囲】
【請求項1】
二次電池の出力を制御するための制御装置であって、
前記二次電池の端子電圧を測定する電圧測定部と、設定時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する出力上限値を、前記設定時間を異ならせ、且つ前記設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定し、前記二次電池を使用する機器に、設定した複数個の前記出力上限値を出力する制御部とを備え、
前記制御部は、複数個の前記出力上限値毎に基準電圧を設定し、前記電圧測定部が測定した端子電圧がいずれかの基準電圧まで降下した場合に、対応する前記出力上限値の値を引き下げ、
前記出力上限値毎の前記基準電圧は、設定された出力上限値の数をnとし、前記出力上限値毎の前記基準電圧を、対応する前記出力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≧V2≧・・・≧Vnとなるように設定されていることを特徴とする二次電池用の制御装置。
【請求項2】
前記二次電池が、動力源として内燃機関とモータとを備える車両に搭載され、前記モータに電力を供給する請求項1に記載の二次電池用の制御装置。
【請求項3】
前記制御部が、前記出力上限値として、第1の時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する短時間出力上限値と、前記第1の時間よりも長い第2の時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する長時間出力上限値とを設定し、前記短時間出力上限値に対応する前記基準電圧として、第1の基準電圧V1を設定し、前記長時間出力上限値に対応する前記基準電圧として、前記第1の基準電圧V1以下の第2の基準電圧V2を設定する請求項1または2に記載の二次電池用の制御装置。
【請求項4】
前記制御部が、前記短時間出力上限値の初期値を、前記長時間出力上限値の初期値よりも大きな値に設定し、前記電圧測定部が測定した端子電圧が前記第1の基準電圧V1にまで降下した場合に、前記短時間出力上限値を前記長時間出力上限値と同じ大きさに再設定する請求項3に記載の二次電池用の制御装置。
【請求項5】
前記制御部が、前記短時間出力上限値の初期値を、前記長時間出力上限値の初期値よりも大きな値に設定し、前記電圧測定部が測定した端子電圧が前記第1の基準電圧V1にまで降下した場合に、前記短時間出力上限値を段階的に引き下げる請求項3に記載の二次電池用の制御装置。
【請求項6】
前記制御部が、前記電圧測定部が測定した端子電圧が前記第2の基準電圧V2に到達したときに、又は到達するまでに、前記短時間出力上限値を前記長時間出力上限値と同じ大きさに再設定する請求項5に記載の二次電池用の制御装置。
【請求項7】
前記二次電池の温度を測定する温度測定部を更に備え、
前記制御部が、前記温度測定部が測定した温度に応じて、前記複数個の出力上限値を設定する請求項1に記載の二次電池用の制御装置。
【請求項8】
前記制御部が、前記二次電池の残存容量を算出し、算出した残存容量に応じて、前記複数個の出力上限値を設定する請求項1に記載の二次電池用の制御装置。
【請求項9】
前記二次電池が、複数個の単電池を電気的に直列に接続して構成された電池ブロックを、更に複数個電気的に直列に接続して構成されており、
前記電圧測定部が、前記複数個の電池ブロックそれぞれの端子電圧を測定し、
前記制御部が、前記電圧測定部によって測定された前記複数個の電池ブロックそれぞれの端子電圧のうち、最も小さい端子電圧が前記第1の基準電圧V1にまで降下した場合に、前記短時間出力上限値を引き下げ、前記最も小さい端子電圧が前記第2の基準電圧V2にまで降下した場合に、前記長時間出力上限値を引き下げる請求項3〜6のいずれかに記載の二次電池用の制御装置。
【請求項10】
二次電池の出力を制御するための出力制御方法であって、
(a)前記二次電池の端子電圧を測定する工程と、
(b)設定時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する出力上限値を、前記設定時間を異ならせ、且つ前記設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定する工程と、
(c)複数個の前記出力上限値毎に基準電圧を設定する工程と、
(d)前記(a)の工程で測定した端子電圧が、いずれかの基準電圧まで降下した場合に、対応する前記出力上限値の値を再設定して、これを引き下げる工程とを有し、
前記(c)の工程において、前記出力上限値毎の前記基準電圧の設定は、設定された出力上限値の数をnとし、前記出力上限値毎の前記基準電圧を、対応する前記出力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≧V2≧・・・≧Vnとなるように行なわれていることを特徴とする二次電池用の出力制御方法。
【請求項11】
前記二次電池が、動力源として内燃機関とモータとを備える車両に搭載され、前記モータに電力を供給する請求項10に記載の二次電池の出力制御方法。
【請求項12】
前記(b)の工程において、前記出力上限値として、第1の時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する短時間出力上限値と、前記第1の時間よりも長い第2の時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する長時間出力上限値とを設定し、
前記(c)の工程において、前記短時間出力上限値に対応する前記基準電圧として、第1の基準電圧V1を設定し、前記長時間出力上限値に対応する前記基準電圧として、前記第1の基準電圧V1以下の第2の基準電圧V2を設定する請求項10または11に記載の二次電池の出力制御方法。
【請求項13】
二次電池の出力を制御するための出力制御方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
前記プログラムは、
(a)前記二次電池の端子電圧を測定するステップと、
(b)設定時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する出力上限値を、前記設定時間を異ならせ、且つ前記設定時間が長いほど値が低くなるように複数個設定するステップと、
(c)複数個の前記出力上限値毎に基準電圧を設定するステップと、
(d)前記(a)のステップで測定した端子電圧が、いずれかの基準電圧まで降下した場合に、対応する前記出力上限値の値を再設定して、これを引き下げるステップとをコンピュータに実行させ、
前記(c)のステップにおいて、前記出力上限値毎の前記基準電圧の設定は、設定された出力上限値の数をnとし、前記出力上限値毎の前記基準電圧を、対応する前記出力上限値の値が高いものから順にV1、V2、・・・、Vnとしたときに、V1≧V2≧・・・≧Vnとなるように行なわれることを特徴とするコンピュータに実行させるためのプログラム。
【請求項14】
前記二次電池が、動力源として内燃機関とモータとを備える車両に搭載され、前記モータに電力を供給する請求項13に記載のプログラム。
【請求項15】
前記(b)のステップにおいて、前記出力上限値として、第1の時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する短時間出力上限値と、前記第1の時間よりも長い第2の時間内に前記二次電池が出力可能な放電電力の上限を規定する長時間出力上限値とを設定し、
前記(c)のステップにおいて、前記短時間出力上限値に対応する前記基準電圧として、第1の基準電圧V1を設定し、前記長時間出力上限値に対応する前記基準電圧として、前記第1の基準電圧V1以下の第2の基準電圧V2を設定する請求項13または14に記載のプログラム。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【公開番号】特開2007−159247(P2007−159247A)
【公開日】平成19年6月21日(2007.6.21)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2005−350033(P2005−350033)
【出願日】平成17年12月2日(2005.12.2)
【出願人】(399107063)パナソニック・イーブイ・エナジー株式会社 (193)
【Fターム(参考)】