説明

二段ポペット弁を有するパイロット動作型制御バルブ

【課題】 本発明は改良されたパイロット動作型油圧バルブに関する。
【解決手段】
油圧バルブは流入部と流出部間の流量を制御するためバルブと係合し且つ分離する主ポペット弁を有する。主ポペット弁の動きは主ポペット弁のパイロット通路を開閉するパイロットバルブ素子により制御される。パイロットバルブ素子は電機子内の穿孔部で滑動的に受止められる。電機子は第1バネにより主ポペット弁に向けて偏倚され、第2バネは電機子から外方向に且つ主ポペット弁に向けてパイロットバルブ素子を偏倚する。第2バネは第1バネより小さいバネ率を有する。パイロットバルブ素子が主ポペット弁と係合すると、係合力を継続的に加えることにより第2バネが座屈し、且つパイロットバルブ素子が電機子内を滑動し、バルブに悪影響を与える力の一部を吸収する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明はパイロット動作型油圧バルブに関し、特に、バルブ間の圧力差の変化がバルブに流れる流量に作用する効果を補償する機構を内蔵したバルブに関する。
【背景技術】
【0002】
油圧システムの現在の傾向は電気制御及び電気動作型油圧バルブを使用することである。この型の制御は制御バルブがオペレータ運転席の近くに配置する必要がないので油圧の配管を単純にし、種々の機械機能のコンピュータ化された動作を可能にする。
【0003】
ソレノイド駆動型のパイロットバルブは作動液流量を制御する周知の電気動作型装置である。この種のバルブは穿孔部の端部のノーズポートと、穿孔部内に横方向に開く側部ポートと、ポート間に置かれたバルブシートとを有する。ポペット弁はバルブシートに係合及び離脱して、2つのポート間の流路を開閉する。流体は前進方向で、且つバルブを介して側部ポートからノーズポートに流れる。双方向バルブはまた逆方向で、ノーズポートから側部ポートに流れる流量を制御できる。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0004】
ポペット弁の動きはバルブシートからポペット弁の遠方の側に作用する制御チャンバー内の圧力により制御される。電磁コイルを通電することによりポペット弁を貫通するパイロット通路を開くパイロットバルブ素子を移動させ、制御チャンバー内の圧力を解放するので、ポペット弁はバルブシートから離脱する。ある型のパイロット動作型ポペットバルブに流れる流体は電磁コイルに流れる電流レベル及びポペット弁がバルブシートから離脱する距離を制御することにより変化する。得られた流量は電流レベルに関連し、これらのバルブは比例バルブと称される。電磁コイルが非通電になると、バネがパイロットバルブ素子を偏倚させ、パイロット通路を遮断するので、圧力が制御チャンバー内で上昇し、ポペット弁をバルブシートに抗して強制し、バルブを遮断する。
【0005】
従来のパイロット動作型ポペットバルブが遮断するように命令され且つ電流がソレノイドコイルから除去されると、電磁気力がすばやく消滅する。これによりパイロットバルブ素子はポペット弁がバルブシートに向かって動く速度よりバネ力に反応してより早く動く。したがって、パイロットバルブ素子はパイロットバルブ素子及びパイロット通路の開口部に時間と共に悪影響を与えるポペット弁内のパイロット通路の開口部に強制的に押し込められる。
【0006】
流体がバルブを貫通して逆方向に流れている場合、フロー力がパイロットバルブ素子に作用するバネを座屈させるパイロットバルブ素子に抗してポペット弁を押し付ける。この動作はバルブの寿命に悪影響を与えるポペット弁内のパイロット通路にパイロットバルブを駆動させる。
【0007】
したがって、パイロットバルブ素子をポペット弁のパイロット通路内に駆動するこれらの力を平衡させ又は減少させる機構を提供することが好ましい。
【課題を解決するための手段】
【0008】
油圧制御バルブはその内部に形成されたバルブシート付の第1穿孔部を有する本体を具備している。第1ポートはバルブシートの片側の第1穿孔部に横方向に開き、第2ポートはバルブシートの他方の第1穿孔部と連通する。主ポペット弁は第1及び第2ポート間の流量を制御するためバルブシートと選択的に係合し且つ分離し、制御チャンバーは主ポペット弁の片側の第1穿孔部内で形成される。主ポペット弁は制御チャンバーと第2ポート内の開口部を有するパイロット通路を有する。
【0009】
アクチュエータは本体内で動き且つ第2穿孔部を有する電機子を有する。第1バネは本体に対して電機子を偏倚させる。パイロットバルブ素子は電機子の移動と共にパイロットオリフィスを選択的に開閉するため第2穿孔部内に滑動的に受止められる。この開閉動作で従来のパイロット動作型バルブで使用される従来の方法で制御チャンバー内の圧力を制御する。第2バネは電機子に対してパイロットバルブ素子を偏倚させる。第2バネは第1バネより少ないバネ率を有し、パイロットバルブ素子を主ポペット弁と係合すると、パイロットバルブ素子と主ポペット弁を押す力を更に加えることにより第2バネが座屈し、パイロットバルブ素子が電機子内で滑動する。後者の滑動動作によりバルブの寿命に悪影響を与える力の一部を吸収する。
【0010】
油圧制御バルブの好ましい実施例において、パイロットバルブ素子はパイロットバルブ素子が主ポペット弁に向かって電機子内を滑動可能な量を制限する部材を有する。
【0011】
本発明を内蔵する油圧バルブの双方向のタイプも開示されている。このバルブパイロット通路も第1ポート内に開き、チェックバルブは両ポートのパイロット通路開口部に配置される。
【発明を実施するための最良の形態】
【0012】
図1を参照すると、ソレノイド動作型油圧バルブ10はバルブマニホールド12の縦方向第1穿孔部16内に取り付けられた円筒形カートリッジ型本体14を具備している。バルブマニホールド12は第1穿孔部16の側部で第1ポート18に開く横方向第1導管15を有する。第2導管19はバルブマニホールド12を貫通して伸び、第 1穿孔部16の内部端部で第2ポート20と連通する。バルブシート22は第1及び第2ポート18及び20間の第1穿孔部16内に形成される。
【0013】
主ポペット弁24はバルブシート22に対して第1穿孔部16内を滑動し、第1及び第2ポート18及び20間の流体の量を選択的に制御する。開口部26は主ポペット弁24内の中央に設けられ、第2ポート20の第1開口部から主ポペット弁の遠方の側の制御チャンバー28への第2開口部に伸びている。ポペット開口部26は第1開口部から離間した肩部33を有する。
【0014】
主ポペット弁24のノーズはバルブの閉鎖状態でバルブシート22と係合する切頭円錐状表面23を有する。この円錐状表面23は第2ポート23に突出する円筒ノーズ21で終端する。
【0015】
第1チェックバルブ34は肩部33と第1開口部間の主ポペット弁24内の第1圧力通路25内に配置された流量制御素子を形成し、流体がポペット開口部26から第2ポート20のみに流れるようにする。流量制御素子は第2チェックバルブ37から形成され、第1ポート18と肩部33の近傍のポペット開口部26間に延びる横方向第2圧力通路38内の主ポペット弁24内に配置される。第2チェックバルブ37はポペット弁開口部26から第1ポート18への方向のみに流れる通路38内の流量を制限する。第1及び第2チェックバルブ34及び37により制御される2つの流量通路は主ポペット弁24内の開口部26と一定の連通状態にある。
【0016】
制御チャンバー28内へのポペット弁開口部26の開口によりパイロット開口部27を有する柔軟性のパイロットシート30により閉じられる。パイロットシート30はスナップリング31により適切な位置に保持される。ポペット弁24内の二重螺旋ばね32はポペット弁開口部26の肩部33に対してパイロットシート30を偏倚する。パイロットシート30の反対側は制御チャンバー28内の圧力に露出され、パイロット通路35は主ポペット弁24内の二重螺旋ばね32を貫通して伸びる。
【0017】
バルブマニホールド12は制御チャンバー28と第1ポート18間に伸びる第1制御通路52を有し、流体制御素子が通路52内の第3チェックバルブ50から形成される。第3チェックバルブ50は流体を第1ポート18から制御チャンバー28の方向のみに流すことができる。第2制御通路56はバルブマニホールド12内に形成され、他の流量制御素子、具体的には、第2ポート20から制御チャンバー28内のみに流れる流量を制限する第4チェックバルブ54を有する。これらの制御通路52と56はそれぞれ第1及び第2流量制限オリフィス53及び57を有する。制御チャンバー28は外部装置が後述の制御チャンバーに接続されるのを可能にするバルブマニホールド12内の制御ポート59に直接接続されることを留意すべきである。
【0018】
主ポペット弁24の動作は電磁コイル39、電機子42、及びパイロットバルブ素子44からなるソレノイドアクチュエータ36により制御される。電機子42はバルブ本体14を貫通する穿孔部40内に位置決めされ、カートリッジ穿孔部40の露出端部内にネジ切りされた調整ネジ41により変更可能な力を作用させる第1、又は、調整ばね45により主ポペット弁24の方向に偏倚される。電磁コイル39はバルブ本体14の周囲に配置され且つ固定される。電機子42は電磁コイル39に電流を流すことにより発生する電磁界に反応して主ポペット弁24から離間するようにカートリッジ穿孔部40内を滑動する。
【0019】
パイロットバルブ素子44は管状電機子42の第2穿孔部46内に滑動的に受止められる。パイロットバルブ素子に固定されたスナップリング51と係合する第2バネ48は第2穿孔部46から外方向にパイロットバルブ素子44を偏倚するので、円錐先端62を有する近接端部がパイロット開口部27に入る。パイロットバルブ素子44の遠方端部43は、油圧バルブ10が図示された閉鎖状態にある場合、電機子42の近傍の端部から第2穿孔部46内に引き込まれる。パイロットバルブ素子遠方端部43はプルピン47が圧入される開口部を有する。プルピン47は電機子42の端部と第1バネ45間で保持されるワッシャ49と係合する外部ヘッドを有する。間隙はワッシャ49と、パイロットバルブ素子が第2バネ48の力に抗して電機子42内を上方に滑動させるパイロットバルブ素子44の近傍端部43との間に形成される。第1バネ45は第2バネ48より相当に大きなバネ率を有するので、パイロットバルブ素子44の先端に加えられる力は電機子42が後述のように第1バネを圧縮させる前に滑動動作を発生させる。
【0020】
電磁コイル39の非通電状態において、第1バネ45は電機子42を主ポペット弁24方向に強制し、第2バネ48は電機子から外方向にパイロットバルブ素子44を強制するので、円推先端62はパイロット開口部27を開閉する。この合成作用によりパイロットバルブ素子先端部62がパイロット通路35を閉じ、制御チャンバー28と第1及び第2ポート18及び20間の流体の連通を阻止する。同時に、第3及び第4チェックバルブ50及び54も流体が制御チャンバー28から排出するのを阻止し、制御チャンバー内の圧力が少なくとも第1及び第2ポートの高圧力と同等の大きさになる。結果として、制御チャンバー28内の圧力は主バルブシート22から主ポペット弁24を動かし油圧バルブ10を開かせる力に抗する。
【0021】
ソレノイドアクチュエータ36の通電は油圧バルブ10が第1及び第2ポート18及び20間の作動液の流量を比例制御するのを可能にする。電磁コイル39に加えられた電流は電機子42をソレノイドアクチュエータ36内に且つ主ポペット弁24から離間するように引き込む電磁界を発生する。電流の大きさはバルブが開く程度を決定し、且つバルブに流れる流量は電流に比例する。バルブは双方向であり、ポート間のいずれかの方向の流量を制御できる。
【0022】
第1ポート18の圧力が第2ポート20の圧力を超えると、より高い圧力がオリフィス53、第1圧力通路52、及び第3チェックバルブ50を介して制御チャンバー28に伝達される。ソレノイドアクチュエータの電磁界により電機子42がプルピン47とパイロットバルブ素子44を上方向に引き込む図1の上方向に移動する。この動作はパイロットバルブ素子先端部62を主ポペット弁24から離間するように動き、パイロット開口部27を開口し、この例において、より低い相対圧力を有する第2ポート20に制御チャンバー28内の圧力を解放する。結果として、第1ポート18からのより大きな圧力は制御チャンバー28内の主ポペット表面に作用する主ポペット弁の表面58に作用する。この圧力差はバルブシート22から離間するように切頭円錐表面23を強制し、第1及び第2ポート18及び20間の直接の連通を開く。得られた開口部により、流体は第1ポート18から第2ポート20に油圧バルブ10を介して前進方向に流れるのを可能にする。
【0023】
主ポペット弁24の動きは圧力/力平衡がパイロット開口部27の有効な開口部を介して流れる一定の流量により主ポペット弁間に確立されるまで継続する。このようにして、このバルブ開口部の大きさと作動液の流速は電磁コイル39の電流の大きさにより制御される電機子42とパイロットバルブ素子44の位置により決定される。
【0024】
負荷と供給圧力の変動はバルブを動作させるために要求される電流の大きさに影響を与えるバルブ間の変動圧力差を発生する。油圧バルブ10において、圧力差が主ポペット弁24に作用する効果は二重螺旋ばね32により偏倚される柔軟性パイロットシート30により平衡化される。二重螺旋ばね32はパイロットシート30が主ポペット弁24間の圧力差の変化に応答して動くのを可能にする。このような動作はパイロットシート30の軸方向位置を効果的に変更し、パイロットバルブの圧力差変化の効果を相殺する。パイロットシートの設計の柔軟性は二重螺旋ばね32のバネ率に基いて決定される。
【0025】
ソレノイドアクチュエータ36が油圧バルブ10を閉じるために非通電されると、高率調整第1バネ45は電機子42を主ポペット弁24に向けて駆動する。パイロットバルブ素子44は円錐先端部62が主ポペット弁24のパイロットシート30と係合するまで電機子42の動きと共に運ばれる。この係合動作はパイロットバルブ素子44の更なる動きに抵抗し、第2バネ48を座屈させ、電機子42がパイロットバルブ素子上を滑動するのを可能にする。したがって、従来のバルブにおいて主ポペット弁24内のパイロット開口部27の壁に伝達される力の一部は第2バネ48の座屈により吸収される。
【0026】
油圧バルブ10が逆方向の流量を制御すると、第2ポート20の圧力は第1ポート18の圧力を超過する。この場合、より高い第2ポート圧力はオリフィス57、第2制御通路56、及び第4チェックバルブ54を介して制御チャンバー28内に伝達される。電磁コイル39が通電されると、パイロットバルブ素子44は制御チャンバー28内の圧力を解放するパイロット開口部27から転出し、第2ポート圧力がバルブシート22から離間するように主ポペット弁24を移動させる。この比例流量制御は前方向の流量のための前述の制御と類似している。
【0027】
しかしながら、第2ポート20の圧力がパイロットバルブ素子先端部62に抗して主ポペット弁24を駆動するにつれて、第1バネ45は力の一部を吸収するように座屈し、パイロットバルブ素子先端部及びパイロット開口部27の潜在的悪影響を緩和する。
【0028】
更に、二重バネ45と48を有する座屈パイロットバルブ素子設計は主ポペット弁24がソレノイドアクチュエータ36の電機子42の移動可能な量より第1穿孔部内でより大きな距離を移動するのを可能にする。主ポペット弁24が移動する制御チャンバー28内の間隙は電機子42の上端部上方の間隙以上である。したがって、電機子42がその移動距離の極端な上方終端に到達すると、パイロットバルブ素子44は主ポペット弁24がバルブシート22から離間するように更なる上方向に移動するのを可能にする電機子の第2穿孔部内の更なる上方移動を可能にする。この主ポペット弁24の増加した移動距離はバルブを流れる流量を増加させる。
【0029】
例えば、油圧バルブ10が第2ポートから第1ポート18に流れる流量を制御中、圧力は第2ポート内でより大きい。このより大きい圧力は主ポペット弁24のノーズ21の比較的大きい表面積に加えられる。電機子はその移動距離の極端な上方終端にあるが、主ポペット弁はまだパイロットバルブ素子が第2バネ48を座屈させる電機子内で上方向に移動するに連れて主ポペット弁を更に強制的に開口させる。
【0030】
図2は本発明を内蔵する第2油圧バルブ70を示す。この第2油圧バルブ70は第1及び第2流量通路76及び78を有するマニホールド74の開口部内に搭載された円筒バルブ本体72を有する。第1流量通路はバルブ本体72内の第1ポート80を介して開き、バルブ本体のノーズは第2通路78と連通する第2ポート82を有する。バルブ本体72は主ポペット弁86が滑動的に動いてバルブシート88を第1及び第2ポート80及び82間の連通を選択的に開閉する内部穿孔部84を有する管状構成を有する。
【0031】
バルブシートから遠方の端部にあるポペット弁86の端部はバルブピストン87を受ける凹部を有し、中間チャンバー89を画成する。流体通路91はポペット弁86の反対側の中間チャンバー89と制御チャンバー92間でバルブピストン87を介して伸びている。中間及び制御チャンバー89及び92は互いに一定の流体で連通している。制御ポート95は、後述するように、制御チャンバー92が外部装置に接続されるのを可能にする。
【0032】
主ポペット弁86はバルブシート88から反対側の第2ポート82と中間チャンバー89間にパイロット通路90を有する。分岐通路内の第1チェックバルブ93はパイロット通路90から第1ポート80のみに流れる流量を可能にする。第2チェックバルブ94はパイロット通路90から第2ポート82のみに流れる流量を可能にする。第1制御通路96は第1ポート80から中間チャンバー89に且つ制御チャンバー92に延びており、制御チャンバーの方向のみに通路を介して流れる流量を可能にする第3チェックバルブ98を有する。第2制御通路100は第2ポート82と中間及び制御チャンバー89及び92間に延び、且つ流量が第2ポートからこれらのチャンバーに流れるのを可能にする第4チェックバルブ102を有する。
【0033】
第2油圧バルブ70は電機子110を滑動的に受ける電磁コイル108付のソレノイドアクチュエータ106を有する。第1バネ118は電機子110の端部表面に抗してワッシャ120を押し付け、電機子を主ポペット弁86の方向に偏倚させる。ソレノイドアクチュエータ106は個別部品または単一部品から形成可能なパイロットポペット弁114に取り付けられたパイロットピン112からなるパイロットバルブ素子111を有する。細長い管状パイロットピン112は電機子110の穿孔部を貫通し且つバルブピストン87内の開口部に伸びている。ソレノイドアクチュエータ106内であるパイロットピン112の端部は図示状態のバルブ内のワッシャ120に突き当たりパイロットピンの下方向の移動距離を制限する環状リブ121を有する。ピストン87内に伸びるピストンピン112の反対端部はパイロット通路90が中間チャンバー89内に開くパイロット開口部116と選択的に係合するパイロットポペット弁114に取り付けられている。第2バネ122は電機子110の反対側の端部から離間させパイロット開口部116内に偏倚させ開口部を閉鎖する。第3バネ123はソレノイドアクチュエータ106から離間するようにバルブピストン87及び主ポペット弁86を偏倚させる。
【0034】
図1の第1バルブ10のように、第2ポート82の圧力は主ポペット弁86と、パイロットバルブ素子111を電機子110内で滑動させるバルブピストン87とに力を作用させ、且つパイロットポペット弁114とパイロット開口部116の封止表面を損傷させる力を吸収できる。電機子110の位置に対して移動するためのパイロットバルブ素子111の能力は主ポペット弁86を電機子110が移動可能な距離以上の主バルブシート88に対する距離を移動するのを可能にする

【0035】
図3は油圧バルブ10又は70が利用される掘削機用の例示的な油圧回路200を示す。油圧回路200はブームシリンダー206をポンプ供給ライン208とタンク戻りライン210に結合する4個の制御バルブ201−204のような4個のバルブを採用している。シリンダー206はヘッドチャンバー211とロッドチャンバー212を有する。第1制御バルブ201はポンプ供給ライン208をロッドチャンバー212に接続し、第2制御バルブ202はポンプ供給ラインとヘッドチャンバー211間を接続する。第3制御バルブ203はロッドチャンバー212をタンク戻りライン210に結合し、第4制御バルブ204はヘッドチャンバー211とタンク戻りライン210間に同様な接続を与える。
【0036】
第1圧力リリーフバルブ214はシリンダー206のロッドチャンバー212内の圧力が所定の閾値を超えると第3制御バルブ203の制御ポート59又は95をタンク戻りライン210に接続する。この動作は第3制御バルブ203の制御チャンバー28又は92の圧力を逃がし、その主ポペット弁24又は86がロッドチャンバー212内の圧力に応答して開くのを可能にする。ロッドチャンバー212とタンク戻りライン210間に形成された通路はチャンバー内の過大な圧力を解放する。この構成は比較的小さい流量及び物理的に小さい圧力リリーフバルブ214を利用し、第3制御バルブ203が主圧力リリーフ導管として作用するのを可能にする。同様の圧力リリーフバルブ216がシリンダー206のヘッドチャンバー211内の過大な圧力に応答して制御バルブを開くため第4制御バルブ204の制御ポート59又は95に設けられる。
【0037】
掘削機のブーム用のシリンダー206は比較的大きな直径を有するピストンロッド255を有する。したがって、ヘッドチャンバー211はピストンがシリンダー内の中央部に来るとロッドチャンバー212よりきわめて大きい体積を有する。結果として、流体はピストンロッドを両方向に同速度で動かすためロッドチャンバー212から排出される流体以上の速度でヘッドチャンバー211を出入りしなければならない。したがって、ヘッドチャンバー211用の制御バルブ202及び204はロッドチャンバー212用の制御バルブ201及び203より大きい流路を与えなければならない。これは主ポペット弁24及び86が各ソレノイド電機子42及び110より長い距離を走行するのを可能にする第1及び第2油圧バルブ10及び70の能力を利用することにより達成される。
【0038】
この追加の動きは高流量オン/オフ型バルブである第1及び第2圧力リリーフバルブ220及び222により達成されるバルブの制御チャンバー28又は92内の圧力を解放することにより得られる。具体的には、第1圧力リリーフバルブ220は第2制御バルブ202の制御ポート59又は95間に接続され、開口すると、付随の制御チャンバー28又は92内の圧力をタンク戻りライン210に解放する。電機子が図1及び図2に示す移動距離の極端な上方終端に到達し、主ポペット弁24又は86がパイロット通路35又は90を閉鎖するパイロットバルブ素子44又は111と係合した後でも、制御チャンバー圧力は第1圧力リリーフバルブ220を介してタンクに解放される。制御チャンバー28又は92の圧力が解放すると、第2ポート20又は82の流体圧力はパイロットバルブ素子44又は111が滑動させ座屈させる力を電機子42又は110内に与える。この運動は主ポペット弁24又は86がソレノイドアクチュエータの電機子により許容されるよりさらに遠くに開口するのを可能にする。したがって、第2制御バルブ202は高速なピストン移動が要求されると流量を供給ラインからヘッドチャンバー211内に搬送できる。
【0039】
同様に、第2圧力リリーフバルブ222は第4制御バルブ204の制御ポート59又は95をタンク戻りライン210に結合し、各制御チャンバー28又は92内の圧力を解放し、付随の主ポペット弁24又は86が更なる開口位置に移動するのを可能にする。これにより、高速ピストン運動が逆方向で要求されると、第4制御バルブ204がヘッドチャンバー211からタンク戻りライン210により多くの流量を搬送するのを可能にする。
【0040】
前述の記載は主に本発明の好ましい実施例に向けられた。本発明の範囲内で種々の変形例に注目したが、当業者が本発明の実施例の開示から明らかである追加の代案を実現するであろう事が予期される。したがって、本発明の範囲は特許請求の範囲から決定されるべきであり、上記開示により限定されるものでない。
【図面の簡単な説明】
【0041】
【図1】図1は本発明によるソレノイド動作型油圧バルブの断面図である。
【図2】図2はソレノイド動作型油圧バルブの第2実施例の断面図である。
【図3】図3は本発明による油圧バルブを利用する油圧回路の概略図である。
【符号の説明】
【0042】
10 ソレノイド動作型油圧バルブ
12 バルブマニホールド
14 シリンダーカートリッジ型本体
15、19 導管
16 第1穿孔部
18、20、59 ポート
21 円筒ノーズ
22 バルブシート
23 切頭円錐形表面
24 主ポペット弁
25 圧力通路
26 開口部
28 制御チャンバー
30 パイロットシート
32 二重螺旋ばね
33 肩部
34、37、50、54 チェックバルブ
35、38 通路
36 ソレノイドアクチュエータ
39 電磁コイル
41 調整ネジ
42 電機子
44 パイロットバルブ素子
45 バネ
52、56 通路
53、57 オリフィス
51 スナップリング

【特許請求の範囲】
【請求項1】
間にバルブシートを有する第1ポート及び第2ポートを有する本体と、
前記第1ポートと前記第2ポート間の流量を制御するため前記バルブシートを選択的に係合し且つ分離し主ポペット弁の片側の制御チャンバーを形成する主ポペット弁であり、且つ前記制御チャンバー内に開き且つ前記第2ポートに接続されたパイロット通路を含む主ポペット弁と;
内部に穿孔部を有する可動電機子を含むアクチュエータと;
前記電機子を前記主ポペット弁に向けて偏倚させる第1バネと;
前記電機子の前記穿孔部内で滑動的に受止められ、且つ前記電機子の動きと共に前記パイロット通路を選択的に開閉するパイロットポペット弁と;
前記パイロット通路を閉じる位置に向けて前記ポペット弁を偏倚させ、且つ前記第1バネより小さいバネ率を有する第2バネと;
を具備することを特徴とする油圧制御バルブ。
【請求項2】
前記パイロットポペット弁と前記主ポペット弁を押す力を与えると、前記第2バネが前記パイロットポペット弁を前記電機子内で動かすことを特徴とする請求項1記載の油圧制御バルブ。
【請求項3】
前記パイロットポペット弁は前記パイロットポペット弁が前記主ポペット弁に向けて前記電機子内で滑動可能な量を制限する部材を有することを特徴とする請求項1記載の油圧制御バルブ。
【請求項4】
前記パイロットポペット弁は前記電機子の前記穿孔部内で受止められるステムと、前記ステムに取り付けられたヘッドを具備し、前記パイロット通路を開閉するため前記主ポペット弁と選択的に係合することを特徴とする請求項1記載の油圧制御バルブ。
【請求項5】
前記ポペット弁の凹部で受止められ且つ前記パイロットポペット弁を滑動的に受止める開口部を有するバルブピストンを更に具備することを特徴とする請求項1記載の油圧制御バルブ。
【請求項6】
前記パイロット通路と前記第2ポート間の第1圧力通路と;
流体がパイロット通路から前記第2ポートのみに流れるのを可能にする前記第1圧力通路内の第1流量制御素子と;
前記パイロット通路と前記第1ポート間に伸びる前記主ポペット弁内の第1圧力通路と;
流体が前記パイロット通路から前記第1ポートのみに流れるのを可能にする前記第2圧力通路内の第2流量制御素子と;
前記第1ポートと前記第2制御チャンバー間を連通させる第1制御通路と;
流体が前記第1ポートから前記制御チャンバーのみに流れるのを可能にする前記第1制御通路内の第3流量制御素子と;
前記第2ポートと前記制御チャンバー間に伸びる第2制御通路と;
流体が前記第2ポートから前記制御チャンバーのみに流れるのを可能にする前記第2制御通路内の第4流量制御素子と;
をさらに具備することを特徴とする請求項1記載の油圧制御バルブ。
【請求項7】
前記第1制御通路と前記第2制御通路が前記主ポペット弁内にあることを特徴とする請求項6記載の油圧制御バルブ。
【請求項8】
前記パイロットポペット弁の動作で前記パイロット通路と前記制御チャンバー間の圧力差により発生する効果を補償する圧力補償機構を更に具備することを特徴とする請求項1記載の油圧制御バルブ。
【請求項9】
前記圧力補償機構が前記パイロット通路と前記制御チャンバー間のパイロットバルブシートを具備し、前記主ポペット弁に対して可動であり、前記パイロットバルブシートは前記パイロットポペット弁が前記パイロットバルブシートと係合する場合閉鎖されるパイロットオリフィスを有することを特徴とする請求項8記載の双方向パイロット動作型バルブ。
【請求項10】
前記制御チャンバーに接続された圧力リリーフバルブを更に具備し、前記圧力リリーフバルブは、開くと、前記主ポペット弁が前記アクチュエータの動作により許容されるより前記バルブシートからより遠くに動くのを可能にする前記制御チャンバー内の圧力を解放することを特徴とする請求項1記載の油圧制御バルブ。
【請求項11】
内部に形成されたバルブシート付の第1穿孔部と、前記バルブシートの片側で前記第1穿孔部に横方向に開いた第1ポートと、前記バルブシートの他方の前記第1穿孔部の端部と連通する第2ポートとを有する本体と;
前記第1ポートと前記第2ポート間の流量を制御するため前記バルブシートに選択的に係合及び離脱し、主ポペット弁の片側に前記本体内で制御チャンバーを形成し、且つ前記制御チャンバーへの開口部及び前記第2ポートへの接続部を有するパイロット通路を有する主ポペット弁と;
前記本体内で移動し且つ内部に第2穿孔部を有する電機子を有するアクチュエータと;
前記電機子を前記主ポペット弁の方向に偏倚する第1バネと;
前記電機子の移動と共に前記パイロット通路を選択的に開閉するため前記第2穿孔部内で滑動的に受止められるパイロットポペット弁と;
前記パイロットポペット弁を前記電機子から外方向に且つ前記主ポペット弁の方向に偏倚させる第2バネと;
を具備し、前記パイロットポペット弁と前記主ポペット弁の係合で、前記パイロットポペット弁と前記主ポペット弁を共に押す力を更に加えることにより前記第2バネが座屈させ、且つ前記パイロットポペット弁を前記電機子内で滑動させることを特徴とする油圧制御バルブ。
【請求項12】
前記第1バネが前記第2バネより大きいバネ率を有することを特徴とする請求項11記載の油圧制御バルブ。
【請求項13】
前記パイロットポペット弁は前記ポペット弁が前記主ポペット弁に向かって前記電機子内を移動可能である量を制限する部材を有することを特徴とする請求項11記載の油圧制御バルブ。
【請求項14】
前記パイロットポペット弁は前記電機子の穿孔部内で受止められるステムと、前記ステムに取り付けられ且つ前記パイロット通路を開閉するために前記主ポペット弁と選択的に係合するヘッドとを具備することを特徴とする請求項11記載の油圧制御バルブ。
【請求項15】
間にバルブシートを有する第1ポートと第2ポートを有する本体と;
前記第1ポートと前記第2ポート間の流量を制御するため前記バルブシートに選択的に係合及び離脱し、主ポペット弁の片側で制御チャンバーを形成する主ポペット弁であり、且つ前記制御チャンバー内に開き且つ前記第2ポートに接続されたパイロット通路を有する主ポペット弁と;
内部に穿孔部を有する可動電機子を有するアクチュエータと;
前記電機子を前記主ポペット弁の方向に偏倚する第1バネと;
前記電機子の前記穿孔部内で滑動的に受止められ、且つ前記電機子の移動と共に前記パイロット通路を選択的に開閉するパイロットポペット弁と;
前記パイロットポペット弁をパイロット通路を閉鎖する位置に向けて偏倚させる第2バネであり、前記第1バネより小さいバネ率を有する第2バネと;
前記制御チャンバーに接続された圧力リリーフバルブと;
を具備し、圧力リリーフバルブが開くと、圧力を前記制御チャンバーに逃がし、前記主ポペット弁を前記アクチュエータの動作により得られるよりバルブシートから遠方に移動させることを特徴とする油圧制御バルブアセンブリ。
【請求項16】
前記圧力リリーフバルブが電気的に動作することを特徴とする請求項15記載の油圧制御バルブ。
【請求項17】
前記パイロットポペット弁と前記主ポペット弁を押す力を加えると前記第2バネが前記パイロットポペット弁を前記電機子内で動かすことを特徴とする請求項15記載の油圧制御バルブ。
【請求項18】
前記パイロットポペット弁は前記電機子の穿孔部内で受止められるステムと、前記ステムに接続され且つ前記パイロット通路を開閉するため前記主ポペット弁と選択的に係合するヘッドを具備することを特徴とする請求項15記載の油圧制御バルブ。
【請求項19】
前記主ポペット弁の凹部で受止められ且つパイロットポペット弁を滑動的に受止める開口部を有するバルブピストンを更に具備することを特徴とする請求項15記載の油圧制御バルブ。
【請求項20】
前記パイロット通路と前記第2ポート間の第1圧力通路と;
パイロット通路から前記第2ポートへ流れる流量のみを許容する前記第1圧力通路内の第1流量制御素子と;
前記パイロット通路と前記第1ポート間に伸びる前記主ポペット弁内の第2圧力通路と;
前記パイロット通路から前記第1ポートへ流れる流量のみを許容する前記第2圧力通路内の第2流量制御素子と;
前記第1ポートと前記制御チャンバー間の連通を与える第1制御通路と;
前記第1ポートから前記制御チャンバーへ流れる流量のみを許容する前記第1制御通路内の第3流量制御素子と;
前記第2ポートと前記制御チャンバー間に伸びる第2制御通路と;
前記第2ポートから前記制御通路へ流れる流量のみを許容する前記第2制御通路内の第4流量制御素子と;
を更に具備することを特徴とする請求項15記載の油圧制御バルブ。
【請求項21】
前記パイロット通路と前記制御チャンバー間で且つ前記主ポペット弁に対して可動するパイロットバルブシートを具備し、前記パイロットバルブシートは前記パイロットポペット弁が前記パイロットバルブシートと係合すると閉じるパイロットオリフィスを有することを特徴とする請求項15記載の油圧制御バルブ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【公開番号】特開2007−187315(P2007−187315A)
【公開日】平成19年7月26日(2007.7.26)
【国際特許分類】
【外国語出願】
【出願番号】特願2007−1967(P2007−1967)
【出願日】平成19年1月10日(2007.1.10)
【出願人】(598096131)フスコ インターナショナル インコーポレイテッド (21)
【氏名又は名称原語表記】HUSCO INTERNATIONAL, INC.
【住所又は居所原語表記】P.O. Box 257, Waukesha, Wisconsin 53187−0257 US
【Fターム(参考)】