人の生理状態をモニターするようになっているポータブル電子装置および健康管理システム
本発明は、シェーバ、歯ブラシ、ウォークマン、電話通信装置などのポータブル電子装置に関する。前記装置は、前記装置が通常の方法で使われている間、ユーザの生理状態を表す信号を測定するようになっている。電気シェーバ（２５）の実施態様では、複数のシェービングヘッド（２６ａ、２６ｂ、２６ｃ）を有する第１の接触面（２６）が備えられる。シェービングヘッドは電気伝導性材料、たいてい金属から作製され、シェービングの間、人の皮膚に対してよい電気的接触を与えるのに適しており、それゆえ、第１の電極を構成する。第２の接触面（２８’）はシェーバのハウジング、特に、シェーバのグリップ部分上に備えられ、人の手への接触が可能になる。第２の接触面（２８’）は第２の電極（２９）を有する。また、第２の接触面（２８’）はユーザの生理状態についての追加データを与えるようになっている別のセンサ（２９’）を有することができる。電極から測定される信号は、好ましくは差動増幅器である増幅器（３０）の入力に供給される。次に、差動増幅器（３０）からの信号は、好ましくは０．０２Ｈｚから１００Ｈｚの範囲にセットされているバンドパスフィルタ（３２）に供給される。次に、制限増幅された生物信号（３３）は、アナログディジタル変換器（３４）に転送される。次に、ディジタル化された信号は、分析手段（３５）によって分析され、導かれた健康関連パラメータを有する分析結果が電気シェーバのディスプレイ（３６）上に示される。また、健康関連パラメータおよび／または生データがビルトインされた伝送手段（３８）によって遠隔に配された装置に伝送される。好ましくは、伝送手段（３８）は無線送信器を有する。
【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【０００１】
本発明は、人によって用いられているときに前記人の皮膚と接触するようになっているポータブル電子装置であって、前記装置は第１の接触面および第２の接触面を有するポータブル電子装置に関する。
【０００２】
また、本発明は、人の生理状態をモニターするようになっている健康管理システムであって、
前記状態を表す信号を検出するようになっているセンシング手段と、
健康関連パラメータを得るために前記信号を分析するようになっている分析手段と、
前記分析手段によって作動可能であり、前記人の健康状態を得るために前記パラメータを処理するようになっている遠隔に配されたメディカルケアプロバイダに前記パラメータを転送するようになっている伝送手段とを有する健康管理システムに関する。
【背景技術】
【０００３】
冒頭に示したような装置の実施態様は、国際公開０２／０５８３０７号に認められる。公知の装置は、人によって用いられているときにパルスオキシメータ測定を行うようになっている歯ブラシである。パルスオキシメータは、人の健康状態に関連するデータを得るために、人の指先からの２つの波長の反射を用いる光学方法である。パルスオキシメータの原理は、酸化および脱酸化されたヘモグロビンの赤色および赤外光の吸収特性にもとづいている。酸化されたヘモグロビンは、より多くの赤外光を吸収し、より多くの赤色光を透過させる。脱酸化（または還元）されたヘモグロビンは、より多くの赤色光を吸収し、より多くの赤外光を透過させる。赤色光は、６００〜７５０ｎｍの波長光帯にある。赤外光は、８５０〜１０００ｎｍの波長光帯にある。パルスオキシメータは、かなりの血流とともにかなりの半透明の場所を浮かびあがらせる赤色および赤外発光ダイオード（ＬＥＤ）を有する発光装置を用いる。典型的な成人／小児の場所は、指、つま先、耳のひれ（上部）またはたぶである。赤ん坊の場所は、足または手のひらおよび足の指または親指である。透過測定のためには、光検出器が発光装置に対向して配される。光検出器は、発光装置と光検出器との間に配置された組織を透過した光を受光する。透過された赤色（Ｒ）および赤外（ＩＲ）信号が測定場所を透過し、光検出器で受光されると、Ｒ／ＩＲ比が計算される。次に、Ｒ／ＩＲ比は、この比をＳｐＯ２値に変換する「ルックアップ」テーブル（実験式からなる）と比較することができる。ルックアップテーブルを満たすために用いられるたいていの校正曲線は、さまざまなＳｐＯ２レベルにおいて健康テーマから得られる。Ｒ／ＩＲ比が確立すると、血液酸化レベルについての結論を得ることができる。この測定原理の、電話伝送診断のための手で扱える装置のクラスへの応用は、それ自体従来技術で公知である。
【０００４】
公知の装置の欠点は、人の指先のみからの信号が、人の健康状態を評価するために用いられることである。指先を用いる測定系では、赤色および赤外光上のパルス信号は動きに非常にセンシティブなので、比較的低い信頼性の読み取りがなされる。この次に、オキシメータ測定の結果は血液酸化レベルに関連するので、健康状態における小さいゆらぎについての直接の結論はほとんど得ることができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明の目的は、人によってしばしば用いられ、人の健康状態を表す信号を、改善された信号品質と測定の信頼度で測定するようになっている電子装置を提供することにある。また、本発明の目的は、人の健康状態における小さいゆらぎを信頼性高く測定するようになっている電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
したがって、本発明による電子装置は、前記第１の接触面は第１の電極を有し、前記第２の接触面は第２の電極を有し、前記第１の電極は前記第２の電極から電気的に絶縁され、前記装置は、前記装置が使用されている間、前記第１の電極および前記第２の電極からの電気信号を測定する手段をさらに有し、前記電気信号は前記人の生理状態を表すようになっている。
【０００７】
本発明の技術的な手段は、パーソナルケア、パーソナルエンターテイメントまたはコミュニケーションに適した電気器具のクラスが人の皮膚と接触するようになっている複数の表面を与えるという考えにもとづいている。適切な電気器具の例は、シェーバ、ウォークマンまたは他の任意のエンターテイメント装置、電話通信装置などを含む。これらの表面を電気伝導性にすることにより、人の生理状態を表す電気信号を、その装置が使用されている間測定することができ、したがって、このような装置の主用法と第２の用法、すなわち、人の生理状態の測定および／またはモニターを結合させることができる。特に、電気心電図の測定がこのような装置によって可能とすることができる。
【０００８】
本発明による装置の実施態様では、前記装置は、健康に関連するパラメータを得るために、前記電気信号の分析を実行するようになっている分析手段を有する。測定された信号が電気心電図に関連する場合、装置に取得されたＥＣＧスペクトルを分析するようになっている分析手段を備えるのが有利とわかる。例えば、分析手段は、ＥＣＧスペクトルにおける特徴的なピークの繰り返しレートを計算することによって、パルスレート分析を実行するようになっていることができる。好ましくは、Ｒピークがその目的のために用いられる。かわりに、分析手段は、例えば、実際の測定値を装置のメモリに保存されている測定値と比較することによって、ＥＣＧスペクトルの傾向分析を実行するようになっていることが可能である。この機能を可能とするために、電子装置には、装置のマイクロコントローラによってアクセス可能なメモリチップが備えられる。
【０００９】
本発明による装置の他の実施態様では、この装置は、前記健康に関連するパラメータを前記人に示す、前記分析手段に接続可能なユーザインタフェースをさらに有する。装置によって実行される測定についてユーザにフィードバックを与えるのが有利である。このフィードバックを低リスクの患者に日々の予防検査の手段として与えるのが特に有利である。
【００１０】
本発明による装置のさらに他の実施態様では、前記装置は、前記健康に関連するパラメータを遠隔に配された装置に転送するようになっている伝送手段を有する。好ましくは、前記伝送は、例えば、永続的な記録と続く測定データの報告のために、人の建物に配置されている他の装置にさなれることもできる。例えば、本発明の電子装置は、健康に関連するパラメータ、例えば心臓レートを、コンピュータ、携帯電話、データ接続ポート、パーソナルディジタルアシスタント、または任意の他の適切なハードウェアのような専用のハードウェアに伝送するようになっていることができる。好ましくは、健康に関連するパラメータの伝送は無線技術によって実行される。この目的のために適切な無線技術の例は、ブルートゥースおよびＤＥＣＴである。無線技術自体は当業者にとって公知であり、これ以上詳しく説明しない。
【００１１】
本発明による健康管理システムでは、前記センシング手段は、人によって用いられているときに前記人の皮膚と接触するようになっているポータブル電子装置を有し、前記装置は第１の接触面および第２の接触面を有し、前記第１の接触面は第１の電極を有し、前記第２の接触面は第２の電極を有し、前記第１の電極は前記第２の電極から電気的に絶縁され、前記装置は、前記装置が使用されている間、前記第１の電極および前記第２の電極からの電気信号を測定する手段をさらに有し、前記電気信号は前記人の生理状態を表している。
【００１２】
本発明による健康管理システムでは、日常の手入れ、娯楽、または通信のために、人によってしばしば用いられるようになっている電子装置が用いられる。このような装置に適切なセンシング手段を備えることによって、前記人の健康状態をモニターすることが、容易で、コスト効率が良いにもかかわらず、信頼性の高い方法で、可能になる。センシング手段が電気シェーバまたは歯ブラシに集積されている場合、人の健康状態は、ほぼその日の同じ時刻、同じ環境における構成された予防検査に左右される。このような電子装置を用いる人は、日々の健康検査を実行する追加の手段をとる必要はなく、これは、低リスク患者にとっては特に有利である。人の健康状態をモニターするようになっているシステムは、従来技術で公知である。本発明による健康管理システムでは、健康関連パラメータを得るために測定された信号を分析するそれ自体公知のハードウェアばかりではなく、前記パラメータを遠隔に配されたヘルスケアプロバイダに伝送するようになっている公知の伝送手段をも用いている。
【００１３】
本発明による健康管理システムの実施態様では、伝送手段は、通信ネットワークによってメディカルケアプロバイダに接続可能になっているベース装置に、無線信号によって健康関連パラメータを伝送するようになっている。総合病院の診察下にある患者にとって、遠隔のメディカルケアセンタにいる専門医が測定データを利用できることが有利である。本発明によるベース装置は、伝送手段から健康関連パラメータを受信し、それは例えば人のパルスレートである。また、全測定データの伝送は、専門医による検査のために可能とすることができる。これをすることにより、観察下にある患者は、定期的な検査のためにメディカルケアプロバイダを訪れる必要がなくなり、これは、患者の生活の質を改善させ、メディカルケアプロバイダの仕事量を減らす。
【００１４】
本発明のこれらおよび他の態様は、図面を参照してさらに詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
図１は、本発明による電子装置１の実施形態の概念図を示している。
電子装置１は、人の皮膚と第１の接触領域が設けられるようになっている第１の接触面６を有する。また、電子装置１は、人の皮膚と第２の接触領域が設けられるようになっている第２の接触面６’を有する。第１の接触領域６および第２の接触領域６’は、それぞれ、第１の電極８および第２の電極８’が備えられる。電極８、８’は、人の生理状態に関連する電気信号の測定を実行するために、人の皮膚との電気的接触を与えるようになっている。電極からの信号Ｓ、Ｓ’はそれぞれ、電気信号１０を測定する手段に供給される。また、装置１は、目的の生理状態とは直接には関連しない信号をモニターするようになっているセンサ、例えば、オキシメータセンサ９、９’をそれぞれ有することができる。電気信号１０を測定する手段は、センサ８、８’、９、９’に対する必要な電力供給を実行することによって、人の健康状態に直接関連する電気信号の測定を実行するようになっている。また、電気信号１０を測定する手段は、装置１のフロントエンドエレクトロニクス７に、対応する信号Ｍを出力するようになっている。フロントエンドエレクトロニクス７は、健康関連パラメータを得るために、前記信号を分析するようになっている。この目的のため、フロントエンドエレクトロニクス７は、プリアンプおよびアナログ処理回路１１、ＡＤＣユニット１２、マイクロプロセッサ１３、検出手段２０、伝送手段１６を有する。分析手段２０は、パラメータ抽出手段１５を備えたセンサ信号解釈装置１４を有する。装置１は次のように動作する。この装置が人によって使用され、その目的のためにオンされると、電気信号１０を測定する手段は、センサ８、８’、９、９’に必要な電力供給を行う。接触面６、６’が人の皮膚と接触するとき、電極８、８’、９、９’は電気信号１０を測定する手段に、対応する入力信号を出力する。測定された信号は、フロントエンドエレクトロニクス７にとって利用できるものとなる。フロントエンドは、センシング手段からの信号を受信する手段を有し、アナログ処理回路１１によって、適切なアナログ処理を実行する。処理された生データは、ＡＤＣ１２によってディジタルフォーマットに変換され、マイクロプロセッサ１３によって分析手段２０に転送される。そこで、ユーザの状態が分析される。例えば、心臓用途では、分析手段２０は、心臓サイクルのＲ−Ｒピーク間隔を求めるために、それ自体公知のＱＲＳ検出器を有することができる。分析手段２０は、健康関連パラメータ（１５）を得るようになっているセンサ信号解釈装置１４を有する。例えば、心臓用途では、前記特徴は信号の周波数でもよい。モニターされている生理状態ごとに、２つ以上の健康関連パラメータを割り当てることも可能である。この場合、パラメータを、例えば生理状態における検出された異常の重大性にしたがってランク付けすることができる。例えば、心臓用途では、心臓サイクルのマイナー変化は最も低いカテゴリの警告として認めることができるのに対し、不整脈または細動の発生はより高くランク付けされてもよい。好ましくは、人の普通状態に対応する健康関連パラメータの値がメモリ装置１７のルックアップテーブル（不図示）に保存される。また、システムは、自己学習システムとして構成することもでき、そこでは、あらかじめ保存されている値が特定のユーザの異常状態に対応しない場合、健康関連パラメータの閾値が調節され、ルックアップテーブルに保存される。
【００１６】
また、分析手段２０は、ユーザの便宜のため、健康関連パラメータをユーザインタフェース１８に与えるようになっている。ユーザインタフェース１８は、好ましくは、ディスプレイの一部であり、これはたいていのポータブル電子装置にとって標準的なものである。次に、求められた実際の健康関連パラメータ、例えばパルスレートは、適切なウインドウ１９に表示される。分析手段２０が異常状態を検出した場合、警報を生成する信号をユーザインタフェース１９に送る。警報の適切な方法は、音声警報または光警報である。伝送手段１６は、警報をベース装置（不図示）に、例えばＲＦリンクによって送信するようになっていることができる。それぞれのステーションから、緊急センタが知らされる。警報センタは、緊急管理を引き継ぎ、それぞれの公共サイトまたは医療サイトに、緊急事態、場所、患者のデータ、可能な診断を知らせる。また、装置１が電気シェーバまたは電気歯ブラシの場合、警報および／または健康関連パラメータの読み取り値は、例えば、ブルートゥースまたは他のショートレンジ無線通信によって、適切に配置された浴室のミラーに伝送することができる。
【００１７】
図２ａは、人の生理状態を表す電気信号を測定するようになっている電気シェーバの実施形態の概念図を示している。電気シェーバ２５は、複数のシェービングヘッド２６ａ、２６ｂ、２６ｃを有する第１の接触面２６を備えている。シェービングヘッドは電気伝導性材料、通常は金属から作製され、シェービングの間、人の皮膚と電気的接触を与えるのに適している。第２の接触面２８’は、シェーバのハウジング上、特にシェーバのグリップ部分２８上に備えられ、そこで、人の手との接触が可能になる。第２の接触面２８’は、第２の電極２９を有する。好ましくは、第２の電極は、伝導性ラバーから作製され、人の親指を収容する形になっている。これは、シェービングの間、動きのぶれを最小化し、測定される信号を改善する。また、第２の接触面２８’は、ユーザの生理状態について他のデータを与えるようになっているオキシメータセンサ２９’を有することができる。次に、電極から測定された信号は、増幅器３０の入力に供給され、増幅器３０は好ましくは差動増幅器である。次に、差動増幅器３０からの信号は、バンドパスフィルタ３２に供給され、バンドパスフィルタ３２は好ましくは０．０２Ｈｚから１００Ｈｚの範囲にセットされる。次に、制限増幅された生物信号３３は、アナログディジタルコンバータ３４に転送される。次に、ディジタル化された信号は分析手段３５によって分析され、推定された健康関連パラメータを有する分析結果は、電気シェーバのディスプレイ３６に表示される。また、健康関連パラメータおよび／または生データは、ビルトインされた伝送手段３８によって、遠隔に配された装置に伝送される。好ましくは、伝送手段３８は、無線送信器を有する。
【００１８】
また、電気シェーバに複数の動作モードを備えることが可能であり、そこでは、第１の動作モードは上述した構成に対応する。第２の動作モードは、シェービングヘッドが動かない状態に対応し、第１の電極および第２の電極を有する。この場合、第２のモードの動作選択によって活性化される、シェービングヘッドへの追加の電気配線が備えられる。このモードでは、シェーバは、人の胸の上に位置するとき、ＥＣＧを測定することができる。この場合の電極２９は、信号の質を改善するための参照電極として機能する。第２のモードは、通常動作モードの間に生じる信号干渉を避けられるので、特に有利である。
【００１９】
図２ｂは、人の生理状態を表す電気信号を測定するようになっている電気歯ブラシ４０の実施形態の概念図を示している。歯ブラシ４０のヘッド４１は、電気伝導性プラスチックまたは金属または電気伝導性シリコンラバーの適切なコーティングから作製されるのが好ましい。歯ブラシの繊維は歯茎に対する良い保護を保障するためになお非伝導性材料から作製されてもよい。なぜなら、歯ブラシのヘッドは、歯磨きをしている間、濡れた環境に置かれており、それゆえ、人の身体から歯ブラシのヘッドへの良い信号コンダクタンスが得られるからである。したがって、歯ブラシ４１のヘッドは第１の電極を構成する。小型化された電極４３は、ヘッドの表面上に備えることができる。また、良い信号コンダクタンスを得るために、歯ブラシヘッドの表面領域全体が電極を構成することが可能である。電気歯ブラシ４０の取っ手４８にはグリップ部分４２が備えられ、グリップ部分４２は人の手との接触が可能になっている。グリップ部分４２は、第２の電極４４を有する第２の接触面を有し、人の皮膚との電気的接触を可能にする。それぞれ第１の電極４１および第２の電極４２からの電気配線４６、４５は、測定された電気信号をフロントエンドエレクトロニクス４７に出力する。適切なフロントエンドエレクトロニクスの実施形態は図１を参照して説明した。フロントエンドエレクトロニクスは適切な信号分析を実行し、健康関連パラメータを表示装置４９に出力する。
【００２０】
図２ｃは、人の生理状態を表す電気信号を測定するようになっている携帯電話装置５０の実施形態の概念図を示している。携帯電話装置５０は、受話器５２のすぐ近傍の領域における携帯電話装置５０のハウジング上に配される第１の接触面５１を有する。第１の接触面は、電気伝導性材料、好ましくは電気伝導性プラスチックから作製される。第１の接触面は第１の電極５３を有し、人の皮膚からの電気信号を測定するようになっている。また、第１の接触面５１は、人の生理状態に関連する他の信号を測定する他のセンサ５６を有してもよい。適切な他のセンサの例はオキシメータである。この出願の挿入分で示したように、オキシメータ測定は、耳で実行されるのに特に適している。
【００２１】
また、第１の接触面は、電話の会話の間、電話装置が人の頬とよい接触をとれることが知られているので、キーパッド５１’上にあってもよい。キーの永続的な使用を保障するために、金属コーティングでキーパッドを作製するのが普通である。キーまたは複数のキーを適切な電気配線で備えることによって、人の生理状態を表す電気信号を測定することができる。この実施形態は生産するのが安い。
【００２２】
電話装置５０のハウジングには、グリップ部分５２が備えられる。そこでは、人はそれを使用している間、電話装置をつかんでいることになっており、それゆえ、第２の接触面を構成する。好ましくは、領域５２は電気伝導性材料から作製され、それゆえ、第２の電極として機能する。第２の電極のサイズをより小さくすることも可能であり、その結果、第２の接触面５２の一部のみをとることになる。適切な電気配線を備えることによって、人の生理状態を表す電気信号を測定することができる。次に、信号は、フロントエンドエレクトロニクス（不図示）によって処理され、得られた健康関連パラメータは、ディスプレイ５４上で人に示される。
【００２３】
図３は、本発明による健康管理システムの実施形態の概念図を示している。健康管理システム６０は、遠距離通信線６１によって遠隔に配されたメディカルケアプロバイダ６２’に接続可能なユーザサイト６２を有する。ユーザサイトは、電話モジュール６４’を備えるようになっているホームステーション６４を有する。ユーザが医療助力を必要としている事象は、電話モジュール６４’によって、トリガコールを遠隔に配されたメディカルケアプロバイダ６２’に転送するようになっているトリガ手段６３によって検出される。トリガ手段６３は、人の医療状態を表す信号を分析するようになっている分析手段６６によって動作する。この信号は、図１を参照して説明したような電子装置を有するモニターシステム６５によって与えられる。電子装置（不図示）からの信号は分析手段６６によって分析され、健康関連パラメータ６６’が得られる。トリガ手段６３は、健康関連パラメータが通常の状態を離れたときに動作する。また、トリガ手段６３は、ユーザの識別子を遠隔のメディカルケアプロバイダ６２’に出力するようになっている。適切な識別子の例は名前である。電話装置６４’は、ユーザ識別子とともに、遠隔に配されたメディカルケアプロバイダ６２’にトリガコールに転送する。遠隔に配されたメディカルケアプロバイダ６２’は、必要な背景患者データ６７をアップロードするデータベース６８から、あらかじめ保存された情報を使う。好ましくは、患者データは、患者の症状、診断、他の適切な医療関連データの履歴を有する。
【図面の簡単な説明】
【００２４】
【図１】本発明による電子装置の実施形態の概念図を示している。
【図２ａ】人の生理状態を表す電気信号を測定するようになっている電気シェーバの実施形態の概念図を示している。
【図２ｂ】人の生理状態を表す電気信号を測定するようになっている電気歯ブラシの実施形態の概念図を示している。
【図２ｃ】人の生理状態を表す電気信号を測定するようになっている携帯電話の実施形態の概念図を示している。
【図３】本発明による健康管理システムの実施形態の概念図を示している。
【技術分野】
【０００１】
本発明は、人によって用いられているときに前記人の皮膚と接触するようになっているポータブル電子装置であって、前記装置は第１の接触面および第２の接触面を有するポータブル電子装置に関する。
【０００２】
また、本発明は、人の生理状態をモニターするようになっている健康管理システムであって、
前記状態を表す信号を検出するようになっているセンシング手段と、
健康関連パラメータを得るために前記信号を分析するようになっている分析手段と、
前記分析手段によって作動可能であり、前記人の健康状態を得るために前記パラメータを処理するようになっている遠隔に配されたメディカルケアプロバイダに前記パラメータを転送するようになっている伝送手段とを有する健康管理システムに関する。
【背景技術】
【０００３】
冒頭に示したような装置の実施態様は、国際公開０２／０５８３０７号に認められる。公知の装置は、人によって用いられているときにパルスオキシメータ測定を行うようになっている歯ブラシである。パルスオキシメータは、人の健康状態に関連するデータを得るために、人の指先からの２つの波長の反射を用いる光学方法である。パルスオキシメータの原理は、酸化および脱酸化されたヘモグロビンの赤色および赤外光の吸収特性にもとづいている。酸化されたヘモグロビンは、より多くの赤外光を吸収し、より多くの赤色光を透過させる。脱酸化（または還元）されたヘモグロビンは、より多くの赤色光を吸収し、より多くの赤外光を透過させる。赤色光は、６００〜７５０ｎｍの波長光帯にある。赤外光は、８５０〜１０００ｎｍの波長光帯にある。パルスオキシメータは、かなりの血流とともにかなりの半透明の場所を浮かびあがらせる赤色および赤外発光ダイオード（ＬＥＤ）を有する発光装置を用いる。典型的な成人／小児の場所は、指、つま先、耳のひれ（上部）またはたぶである。赤ん坊の場所は、足または手のひらおよび足の指または親指である。透過測定のためには、光検出器が発光装置に対向して配される。光検出器は、発光装置と光検出器との間に配置された組織を透過した光を受光する。透過された赤色（Ｒ）および赤外（ＩＲ）信号が測定場所を透過し、光検出器で受光されると、Ｒ／ＩＲ比が計算される。次に、Ｒ／ＩＲ比は、この比をＳｐＯ２値に変換する「ルックアップ」テーブル（実験式からなる）と比較することができる。ルックアップテーブルを満たすために用いられるたいていの校正曲線は、さまざまなＳｐＯ２レベルにおいて健康テーマから得られる。Ｒ／ＩＲ比が確立すると、血液酸化レベルについての結論を得ることができる。この測定原理の、電話伝送診断のための手で扱える装置のクラスへの応用は、それ自体従来技術で公知である。
【０００４】
公知の装置の欠点は、人の指先のみからの信号が、人の健康状態を評価するために用いられることである。指先を用いる測定系では、赤色および赤外光上のパルス信号は動きに非常にセンシティブなので、比較的低い信頼性の読み取りがなされる。この次に、オキシメータ測定の結果は血液酸化レベルに関連するので、健康状態における小さいゆらぎについての直接の結論はほとんど得ることができない。
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【０００５】
本発明の目的は、人によってしばしば用いられ、人の健康状態を表す信号を、改善された信号品質と測定の信頼度で測定するようになっている電子装置を提供することにある。また、本発明の目的は、人の健康状態における小さいゆらぎを信頼性高く測定するようになっている電子装置を提供することにある。
【課題を解決するための手段】
【０００６】
したがって、本発明による電子装置は、前記第１の接触面は第１の電極を有し、前記第２の接触面は第２の電極を有し、前記第１の電極は前記第２の電極から電気的に絶縁され、前記装置は、前記装置が使用されている間、前記第１の電極および前記第２の電極からの電気信号を測定する手段をさらに有し、前記電気信号は前記人の生理状態を表すようになっている。
【０００７】
本発明の技術的な手段は、パーソナルケア、パーソナルエンターテイメントまたはコミュニケーションに適した電気器具のクラスが人の皮膚と接触するようになっている複数の表面を与えるという考えにもとづいている。適切な電気器具の例は、シェーバ、ウォークマンまたは他の任意のエンターテイメント装置、電話通信装置などを含む。これらの表面を電気伝導性にすることにより、人の生理状態を表す電気信号を、その装置が使用されている間測定することができ、したがって、このような装置の主用法と第２の用法、すなわち、人の生理状態の測定および／またはモニターを結合させることができる。特に、電気心電図の測定がこのような装置によって可能とすることができる。
【０００８】
本発明による装置の実施態様では、前記装置は、健康に関連するパラメータを得るために、前記電気信号の分析を実行するようになっている分析手段を有する。測定された信号が電気心電図に関連する場合、装置に取得されたＥＣＧスペクトルを分析するようになっている分析手段を備えるのが有利とわかる。例えば、分析手段は、ＥＣＧスペクトルにおける特徴的なピークの繰り返しレートを計算することによって、パルスレート分析を実行するようになっていることができる。好ましくは、Ｒピークがその目的のために用いられる。かわりに、分析手段は、例えば、実際の測定値を装置のメモリに保存されている測定値と比較することによって、ＥＣＧスペクトルの傾向分析を実行するようになっていることが可能である。この機能を可能とするために、電子装置には、装置のマイクロコントローラによってアクセス可能なメモリチップが備えられる。
【０００９】
本発明による装置の他の実施態様では、この装置は、前記健康に関連するパラメータを前記人に示す、前記分析手段に接続可能なユーザインタフェースをさらに有する。装置によって実行される測定についてユーザにフィードバックを与えるのが有利である。このフィードバックを低リスクの患者に日々の予防検査の手段として与えるのが特に有利である。
【００１０】
本発明による装置のさらに他の実施態様では、前記装置は、前記健康に関連するパラメータを遠隔に配された装置に転送するようになっている伝送手段を有する。好ましくは、前記伝送は、例えば、永続的な記録と続く測定データの報告のために、人の建物に配置されている他の装置にさなれることもできる。例えば、本発明の電子装置は、健康に関連するパラメータ、例えば心臓レートを、コンピュータ、携帯電話、データ接続ポート、パーソナルディジタルアシスタント、または任意の他の適切なハードウェアのような専用のハードウェアに伝送するようになっていることができる。好ましくは、健康に関連するパラメータの伝送は無線技術によって実行される。この目的のために適切な無線技術の例は、ブルートゥースおよびＤＥＣＴである。無線技術自体は当業者にとって公知であり、これ以上詳しく説明しない。
【００１１】
本発明による健康管理システムでは、前記センシング手段は、人によって用いられているときに前記人の皮膚と接触するようになっているポータブル電子装置を有し、前記装置は第１の接触面および第２の接触面を有し、前記第１の接触面は第１の電極を有し、前記第２の接触面は第２の電極を有し、前記第１の電極は前記第２の電極から電気的に絶縁され、前記装置は、前記装置が使用されている間、前記第１の電極および前記第２の電極からの電気信号を測定する手段をさらに有し、前記電気信号は前記人の生理状態を表している。
【００１２】
本発明による健康管理システムでは、日常の手入れ、娯楽、または通信のために、人によってしばしば用いられるようになっている電子装置が用いられる。このような装置に適切なセンシング手段を備えることによって、前記人の健康状態をモニターすることが、容易で、コスト効率が良いにもかかわらず、信頼性の高い方法で、可能になる。センシング手段が電気シェーバまたは歯ブラシに集積されている場合、人の健康状態は、ほぼその日の同じ時刻、同じ環境における構成された予防検査に左右される。このような電子装置を用いる人は、日々の健康検査を実行する追加の手段をとる必要はなく、これは、低リスク患者にとっては特に有利である。人の健康状態をモニターするようになっているシステムは、従来技術で公知である。本発明による健康管理システムでは、健康関連パラメータを得るために測定された信号を分析するそれ自体公知のハードウェアばかりではなく、前記パラメータを遠隔に配されたヘルスケアプロバイダに伝送するようになっている公知の伝送手段をも用いている。
【００１３】
本発明による健康管理システムの実施態様では、伝送手段は、通信ネットワークによってメディカルケアプロバイダに接続可能になっているベース装置に、無線信号によって健康関連パラメータを伝送するようになっている。総合病院の診察下にある患者にとって、遠隔のメディカルケアセンタにいる専門医が測定データを利用できることが有利である。本発明によるベース装置は、伝送手段から健康関連パラメータを受信し、それは例えば人のパルスレートである。また、全測定データの伝送は、専門医による検査のために可能とすることができる。これをすることにより、観察下にある患者は、定期的な検査のためにメディカルケアプロバイダを訪れる必要がなくなり、これは、患者の生活の質を改善させ、メディカルケアプロバイダの仕事量を減らす。
【００１４】
本発明のこれらおよび他の態様は、図面を参照してさらに詳細に説明される。
【発明を実施するための最良の形態】
【００１５】
図１は、本発明による電子装置１の実施形態の概念図を示している。
電子装置１は、人の皮膚と第１の接触領域が設けられるようになっている第１の接触面６を有する。また、電子装置１は、人の皮膚と第２の接触領域が設けられるようになっている第２の接触面６’を有する。第１の接触領域６および第２の接触領域６’は、それぞれ、第１の電極８および第２の電極８’が備えられる。電極８、８’は、人の生理状態に関連する電気信号の測定を実行するために、人の皮膚との電気的接触を与えるようになっている。電極からの信号Ｓ、Ｓ’はそれぞれ、電気信号１０を測定する手段に供給される。また、装置１は、目的の生理状態とは直接には関連しない信号をモニターするようになっているセンサ、例えば、オキシメータセンサ９、９’をそれぞれ有することができる。電気信号１０を測定する手段は、センサ８、８’、９、９’に対する必要な電力供給を実行することによって、人の健康状態に直接関連する電気信号の測定を実行するようになっている。また、電気信号１０を測定する手段は、装置１のフロントエンドエレクトロニクス７に、対応する信号Ｍを出力するようになっている。フロントエンドエレクトロニクス７は、健康関連パラメータを得るために、前記信号を分析するようになっている。この目的のため、フロントエンドエレクトロニクス７は、プリアンプおよびアナログ処理回路１１、ＡＤＣユニット１２、マイクロプロセッサ１３、検出手段２０、伝送手段１６を有する。分析手段２０は、パラメータ抽出手段１５を備えたセンサ信号解釈装置１４を有する。装置１は次のように動作する。この装置が人によって使用され、その目的のためにオンされると、電気信号１０を測定する手段は、センサ８、８’、９、９’に必要な電力供給を行う。接触面６、６’が人の皮膚と接触するとき、電極８、８’、９、９’は電気信号１０を測定する手段に、対応する入力信号を出力する。測定された信号は、フロントエンドエレクトロニクス７にとって利用できるものとなる。フロントエンドは、センシング手段からの信号を受信する手段を有し、アナログ処理回路１１によって、適切なアナログ処理を実行する。処理された生データは、ＡＤＣ１２によってディジタルフォーマットに変換され、マイクロプロセッサ１３によって分析手段２０に転送される。そこで、ユーザの状態が分析される。例えば、心臓用途では、分析手段２０は、心臓サイクルのＲ−Ｒピーク間隔を求めるために、それ自体公知のＱＲＳ検出器を有することができる。分析手段２０は、健康関連パラメータ（１５）を得るようになっているセンサ信号解釈装置１４を有する。例えば、心臓用途では、前記特徴は信号の周波数でもよい。モニターされている生理状態ごとに、２つ以上の健康関連パラメータを割り当てることも可能である。この場合、パラメータを、例えば生理状態における検出された異常の重大性にしたがってランク付けすることができる。例えば、心臓用途では、心臓サイクルのマイナー変化は最も低いカテゴリの警告として認めることができるのに対し、不整脈または細動の発生はより高くランク付けされてもよい。好ましくは、人の普通状態に対応する健康関連パラメータの値がメモリ装置１７のルックアップテーブル（不図示）に保存される。また、システムは、自己学習システムとして構成することもでき、そこでは、あらかじめ保存されている値が特定のユーザの異常状態に対応しない場合、健康関連パラメータの閾値が調節され、ルックアップテーブルに保存される。
【００１６】
また、分析手段２０は、ユーザの便宜のため、健康関連パラメータをユーザインタフェース１８に与えるようになっている。ユーザインタフェース１８は、好ましくは、ディスプレイの一部であり、これはたいていのポータブル電子装置にとって標準的なものである。次に、求められた実際の健康関連パラメータ、例えばパルスレートは、適切なウインドウ１９に表示される。分析手段２０が異常状態を検出した場合、警報を生成する信号をユーザインタフェース１９に送る。警報の適切な方法は、音声警報または光警報である。伝送手段１６は、警報をベース装置（不図示）に、例えばＲＦリンクによって送信するようになっていることができる。それぞれのステーションから、緊急センタが知らされる。警報センタは、緊急管理を引き継ぎ、それぞれの公共サイトまたは医療サイトに、緊急事態、場所、患者のデータ、可能な診断を知らせる。また、装置１が電気シェーバまたは電気歯ブラシの場合、警報および／または健康関連パラメータの読み取り値は、例えば、ブルートゥースまたは他のショートレンジ無線通信によって、適切に配置された浴室のミラーに伝送することができる。
【００１７】
図２ａは、人の生理状態を表す電気信号を測定するようになっている電気シェーバの実施形態の概念図を示している。電気シェーバ２５は、複数のシェービングヘッド２６ａ、２６ｂ、２６ｃを有する第１の接触面２６を備えている。シェービングヘッドは電気伝導性材料、通常は金属から作製され、シェービングの間、人の皮膚と電気的接触を与えるのに適している。第２の接触面２８’は、シェーバのハウジング上、特にシェーバのグリップ部分２８上に備えられ、そこで、人の手との接触が可能になる。第２の接触面２８’は、第２の電極２９を有する。好ましくは、第２の電極は、伝導性ラバーから作製され、人の親指を収容する形になっている。これは、シェービングの間、動きのぶれを最小化し、測定される信号を改善する。また、第２の接触面２８’は、ユーザの生理状態について他のデータを与えるようになっているオキシメータセンサ２９’を有することができる。次に、電極から測定された信号は、増幅器３０の入力に供給され、増幅器３０は好ましくは差動増幅器である。次に、差動増幅器３０からの信号は、バンドパスフィルタ３２に供給され、バンドパスフィルタ３２は好ましくは０．０２Ｈｚから１００Ｈｚの範囲にセットされる。次に、制限増幅された生物信号３３は、アナログディジタルコンバータ３４に転送される。次に、ディジタル化された信号は分析手段３５によって分析され、推定された健康関連パラメータを有する分析結果は、電気シェーバのディスプレイ３６に表示される。また、健康関連パラメータおよび／または生データは、ビルトインされた伝送手段３８によって、遠隔に配された装置に伝送される。好ましくは、伝送手段３８は、無線送信器を有する。
【００１８】
また、電気シェーバに複数の動作モードを備えることが可能であり、そこでは、第１の動作モードは上述した構成に対応する。第２の動作モードは、シェービングヘッドが動かない状態に対応し、第１の電極および第２の電極を有する。この場合、第２のモードの動作選択によって活性化される、シェービングヘッドへの追加の電気配線が備えられる。このモードでは、シェーバは、人の胸の上に位置するとき、ＥＣＧを測定することができる。この場合の電極２９は、信号の質を改善するための参照電極として機能する。第２のモードは、通常動作モードの間に生じる信号干渉を避けられるので、特に有利である。
【００１９】
図２ｂは、人の生理状態を表す電気信号を測定するようになっている電気歯ブラシ４０の実施形態の概念図を示している。歯ブラシ４０のヘッド４１は、電気伝導性プラスチックまたは金属または電気伝導性シリコンラバーの適切なコーティングから作製されるのが好ましい。歯ブラシの繊維は歯茎に対する良い保護を保障するためになお非伝導性材料から作製されてもよい。なぜなら、歯ブラシのヘッドは、歯磨きをしている間、濡れた環境に置かれており、それゆえ、人の身体から歯ブラシのヘッドへの良い信号コンダクタンスが得られるからである。したがって、歯ブラシ４１のヘッドは第１の電極を構成する。小型化された電極４３は、ヘッドの表面上に備えることができる。また、良い信号コンダクタンスを得るために、歯ブラシヘッドの表面領域全体が電極を構成することが可能である。電気歯ブラシ４０の取っ手４８にはグリップ部分４２が備えられ、グリップ部分４２は人の手との接触が可能になっている。グリップ部分４２は、第２の電極４４を有する第２の接触面を有し、人の皮膚との電気的接触を可能にする。それぞれ第１の電極４１および第２の電極４２からの電気配線４６、４５は、測定された電気信号をフロントエンドエレクトロニクス４７に出力する。適切なフロントエンドエレクトロニクスの実施形態は図１を参照して説明した。フロントエンドエレクトロニクスは適切な信号分析を実行し、健康関連パラメータを表示装置４９に出力する。
【００２０】
図２ｃは、人の生理状態を表す電気信号を測定するようになっている携帯電話装置５０の実施形態の概念図を示している。携帯電話装置５０は、受話器５２のすぐ近傍の領域における携帯電話装置５０のハウジング上に配される第１の接触面５１を有する。第１の接触面は、電気伝導性材料、好ましくは電気伝導性プラスチックから作製される。第１の接触面は第１の電極５３を有し、人の皮膚からの電気信号を測定するようになっている。また、第１の接触面５１は、人の生理状態に関連する他の信号を測定する他のセンサ５６を有してもよい。適切な他のセンサの例はオキシメータである。この出願の挿入分で示したように、オキシメータ測定は、耳で実行されるのに特に適している。
【００２１】
また、第１の接触面は、電話の会話の間、電話装置が人の頬とよい接触をとれることが知られているので、キーパッド５１’上にあってもよい。キーの永続的な使用を保障するために、金属コーティングでキーパッドを作製するのが普通である。キーまたは複数のキーを適切な電気配線で備えることによって、人の生理状態を表す電気信号を測定することができる。この実施形態は生産するのが安い。
【００２２】
電話装置５０のハウジングには、グリップ部分５２が備えられる。そこでは、人はそれを使用している間、電話装置をつかんでいることになっており、それゆえ、第２の接触面を構成する。好ましくは、領域５２は電気伝導性材料から作製され、それゆえ、第２の電極として機能する。第２の電極のサイズをより小さくすることも可能であり、その結果、第２の接触面５２の一部のみをとることになる。適切な電気配線を備えることによって、人の生理状態を表す電気信号を測定することができる。次に、信号は、フロントエンドエレクトロニクス（不図示）によって処理され、得られた健康関連パラメータは、ディスプレイ５４上で人に示される。
【００２３】
図３は、本発明による健康管理システムの実施形態の概念図を示している。健康管理システム６０は、遠距離通信線６１によって遠隔に配されたメディカルケアプロバイダ６２’に接続可能なユーザサイト６２を有する。ユーザサイトは、電話モジュール６４’を備えるようになっているホームステーション６４を有する。ユーザが医療助力を必要としている事象は、電話モジュール６４’によって、トリガコールを遠隔に配されたメディカルケアプロバイダ６２’に転送するようになっているトリガ手段６３によって検出される。トリガ手段６３は、人の医療状態を表す信号を分析するようになっている分析手段６６によって動作する。この信号は、図１を参照して説明したような電子装置を有するモニターシステム６５によって与えられる。電子装置（不図示）からの信号は分析手段６６によって分析され、健康関連パラメータ６６’が得られる。トリガ手段６３は、健康関連パラメータが通常の状態を離れたときに動作する。また、トリガ手段６３は、ユーザの識別子を遠隔のメディカルケアプロバイダ６２’に出力するようになっている。適切な識別子の例は名前である。電話装置６４’は、ユーザ識別子とともに、遠隔に配されたメディカルケアプロバイダ６２’にトリガコールに転送する。遠隔に配されたメディカルケアプロバイダ６２’は、必要な背景患者データ６７をアップロードするデータベース６８から、あらかじめ保存された情報を使う。好ましくは、患者データは、患者の症状、診断、他の適切な医療関連データの履歴を有する。
【図面の簡単な説明】
【００２４】
【図１】本発明による電子装置の実施形態の概念図を示している。
【図２ａ】人の生理状態を表す電気信号を測定するようになっている電気シェーバの実施形態の概念図を示している。
【図２ｂ】人の生理状態を表す電気信号を測定するようになっている電気歯ブラシの実施形態の概念図を示している。
【図２ｃ】人の生理状態を表す電気信号を測定するようになっている携帯電話の実施形態の概念図を示している。
【図３】本発明による健康管理システムの実施形態の概念図を示している。
【特許請求の範囲】
【請求項１】
人によって用いられているときに前記人の皮膚と接触するようになっているポータブル電子装置であって、前記装置は第１の接触面および第２の接触面を有し、前記第１の接触面は第１の電極を有し、前記第２の接触面は第２の電極を有し、前記第１の電極は前記第２の電極から電気的に絶縁され、前記装置は、前記装置が使用されている間、前記第１の電極および前記第２の電極からの電気信号を測定する手段をさらに有し、前記電気信号は前記人の生理状態を表している、ポータブル電子装置。
【請求項２】
前記装置は、健康に関連するパラメータを得るために、前記電気信号の分析を実行するようになっている分析手段をさらに有する、請求項１に記載の装置。
【請求項３】
前記装置は前記分析手段に接続可能なユーザインタフェースをさらに有し、前記ユーザインタフェースは前記健康に関連するパラメータを前記人に示すようになっている、請求項２に記載の装置。
【請求項４】
前記装置は、前記健康に関連するパラメータを遠隔に配された装置に転送するようになっている伝送手段をさらに有する、請求項３に記載の装置。
【請求項５】
前記装置は、心臓の活動によって生成された電気信号を測定するようになっている、請求項１から４のいずれか１項に記載の装置。
【請求項６】
前記装置は電気シェーバであり、前記第１の接触面はシェービングヘッドの前面を有し、前記第２の接触面は前記シェーバのグリップ部分を有する、請求項５に記載の装置。
【請求項７】
前記装置は複数のシェービングヘッドを有する電気シェーバであり、前記第１の接触面は第１の電極を有し、前記第２の接触面は第２の電極を有し、前記電気シェーバはグリップ部分をさらに有し、前記部分は参照信号を出力するようになっている電極をさらに有するようになっている、請求項５に記載の装置。
【請求項８】
前記装置は電気歯ブラシであり、前記第１の接触面はブラシヘッドを有し、前記第２の接触面は前記歯ブラシのグリップ部分を有する、請求項５に記載の装置。
【請求項９】
前記装置は電話送受話器であり、前記第１の接触面は前記電話送受話器のハウジング領域を有し、前記領域は受話器のすぐ近傍に配され、前記第２の接触面は前記電話送受話器のグリップ部分を有する、請求項５に記載の装置。
【請求項１０】
前記電話送受話器は携帯電話送受話器であり、前記第１の接触面はキーパッドを有し、前記第２の接触面は前記携帯電話送受話器のグリップ部分を有する、請求項９に記載の装置。
【請求項１１】
前記装置はイヤホンと身体装置を有し、前記第１の接触面は前記イヤホン上に配され、前記第２の接触面は前記身体装置上に配される、請求項５に記載の装置。
【請求項１２】
人の生理状態をモニターするようになっている健康管理システムであって、
前記状態を表す信号を検出するようになっているセンシング手段と、
健康関連パラメータを得るために前記信号を分析するようになっている分析手段と、
前記分析手段によって作動可能であり、前記人の健康状態を得るために前記パラメータを処理するようになっている遠隔に配されたメディカルケアプロバイダに前記パラメータを転送するようになっている伝送手段とを有し、
前記センシング手段は、人によって用いられているときに前記人の皮膚と接触するようになっているポータブル電子装置を有し、前記装置は第１の接触面および第２の接触面を有し、前記第１の接触面は第１の電極を有し、前記第２の接触面は第２の電極を有し、前記第１の電極は前記第２の電極から電気的に絶縁され、前記装置は、前記装置が使用されている間、前記第１の電極および前記第２の電極からの電気信号を測定する手段をさらに有し、前記電気信号は前記人の生理状態を表している、健康管理システム。
【請求項１３】
前記伝送手段は、通信ネットワークによって前記メディカルケアプロバイダに接続することができるようになっているベース装置に、無線信号によって前記パラメータを伝送するようになっている、請求項１２に記載の健康管理システム。
【請求項１４】
前記装置は、前記分析手段によって作動可能なユーザインタフェースをさらに有し、前記ユーザインタフェース前記人に前記パラメータを示すようになっている、請求項１２に記載の健康管理システム。
【請求項１】
人によって用いられているときに前記人の皮膚と接触するようになっているポータブル電子装置であって、前記装置は第１の接触面および第２の接触面を有し、前記第１の接触面は第１の電極を有し、前記第２の接触面は第２の電極を有し、前記第１の電極は前記第２の電極から電気的に絶縁され、前記装置は、前記装置が使用されている間、前記第１の電極および前記第２の電極からの電気信号を測定する手段をさらに有し、前記電気信号は前記人の生理状態を表している、ポータブル電子装置。
【請求項２】
前記装置は、健康に関連するパラメータを得るために、前記電気信号の分析を実行するようになっている分析手段をさらに有する、請求項１に記載の装置。
【請求項３】
前記装置は前記分析手段に接続可能なユーザインタフェースをさらに有し、前記ユーザインタフェースは前記健康に関連するパラメータを前記人に示すようになっている、請求項２に記載の装置。
【請求項４】
前記装置は、前記健康に関連するパラメータを遠隔に配された装置に転送するようになっている伝送手段をさらに有する、請求項３に記載の装置。
【請求項５】
前記装置は、心臓の活動によって生成された電気信号を測定するようになっている、請求項１から４のいずれか１項に記載の装置。
【請求項６】
前記装置は電気シェーバであり、前記第１の接触面はシェービングヘッドの前面を有し、前記第２の接触面は前記シェーバのグリップ部分を有する、請求項５に記載の装置。
【請求項７】
前記装置は複数のシェービングヘッドを有する電気シェーバであり、前記第１の接触面は第１の電極を有し、前記第２の接触面は第２の電極を有し、前記電気シェーバはグリップ部分をさらに有し、前記部分は参照信号を出力するようになっている電極をさらに有するようになっている、請求項５に記載の装置。
【請求項８】
前記装置は電気歯ブラシであり、前記第１の接触面はブラシヘッドを有し、前記第２の接触面は前記歯ブラシのグリップ部分を有する、請求項５に記載の装置。
【請求項９】
前記装置は電話送受話器であり、前記第１の接触面は前記電話送受話器のハウジング領域を有し、前記領域は受話器のすぐ近傍に配され、前記第２の接触面は前記電話送受話器のグリップ部分を有する、請求項５に記載の装置。
【請求項１０】
前記電話送受話器は携帯電話送受話器であり、前記第１の接触面はキーパッドを有し、前記第２の接触面は前記携帯電話送受話器のグリップ部分を有する、請求項９に記載の装置。
【請求項１１】
前記装置はイヤホンと身体装置を有し、前記第１の接触面は前記イヤホン上に配され、前記第２の接触面は前記身体装置上に配される、請求項５に記載の装置。
【請求項１２】
人の生理状態をモニターするようになっている健康管理システムであって、
前記状態を表す信号を検出するようになっているセンシング手段と、
健康関連パラメータを得るために前記信号を分析するようになっている分析手段と、
前記分析手段によって作動可能であり、前記人の健康状態を得るために前記パラメータを処理するようになっている遠隔に配されたメディカルケアプロバイダに前記パラメータを転送するようになっている伝送手段とを有し、
前記センシング手段は、人によって用いられているときに前記人の皮膚と接触するようになっているポータブル電子装置を有し、前記装置は第１の接触面および第２の接触面を有し、前記第１の接触面は第１の電極を有し、前記第２の接触面は第２の電極を有し、前記第１の電極は前記第２の電極から電気的に絶縁され、前記装置は、前記装置が使用されている間、前記第１の電極および前記第２の電極からの電気信号を測定する手段をさらに有し、前記電気信号は前記人の生理状態を表している、健康管理システム。
【請求項１３】
前記伝送手段は、通信ネットワークによって前記メディカルケアプロバイダに接続することができるようになっているベース装置に、無線信号によって前記パラメータを伝送するようになっている、請求項１２に記載の健康管理システム。
【請求項１４】
前記装置は、前記分析手段によって作動可能なユーザインタフェースをさらに有し、前記ユーザインタフェース前記人に前記パラメータを示すようになっている、請求項１２に記載の健康管理システム。
【図１】
【図３】
【図３】
【公表番号】特表２００７−５２７７３７（Ｐ２００７−５２７７３７Ａ）
【公表日】平成１９年１０月４日（２００７．１０．４）
【国際特許分類】
【出願番号】特願２００６−５２００６８（Ｐ２００６−５２００６８）
【出願日】平成１６年７月８日（２００４．７．８）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＩＢ２００４／０５１１５９
【国際公開番号】ＷＯ２００５／００６９６８
【国際公開日】平成１７年１月２７日（２００５．１．２７）
【公序良俗違反の表示】
（特許庁注：以下のものは登録商標）
１．ウォークマン
【出願人】（５９００００２４８）コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Ｆターム（参考）】
【公表日】平成１９年１０月４日（２００７．１０．４）
【国際特許分類】
【出願日】平成１６年７月８日（２００４．７．８）
【国際出願番号】ＰＣＴ／ＩＢ２００４／０５１１５９
【国際公開番号】ＷＯ２００５／００６９６８
【国際公開日】平成１７年１月２７日（２００５．１．２７）
【公序良俗違反の表示】
（特許庁注：以下のものは登録商標）
１．ウォークマン
【出願人】（５９００００２４８）コーニンクレッカ フィリップス エレクトロニクス エヌ ヴィ (12,071)
【Ｆターム（参考）】
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