説明

人体存在検知装置及び人体存在検知方法

【課題】低コストで実現可能であると共に、人体が存在するか否かの検知を、操作者である人体が操作する電子機器等の制御に適合しやすい人体存在検知装置を、提供する。
【解決手段】基準位置から一定距離内に、人体が存在するか否かの判断を行う機能を備えた人体存在検知装置1を、基準位置から一定方向に存在する人体または物の存在位置に対する基準位置からの離間距離を一定時間経過毎に測定する離間距離測定手段2、該測定された離間距離に基づき一定距離内外判定結果と動静判定結果とを形成する判定結果形成手段3、該一定距離内外判定結果と、該動静判定結果とで構成される検知状態情報を形成する検知状態情報形成手段4、該検知状態情報に基づき状態遷移パターンを形成する状態遷移パターン形成手段5、及び、該状態遷移パターンに基づき、基準位置から一定距離内に、人体が存在するか否かを判断する判断手段6で構成する。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、基準位置から一定距離内に人体が存在するか否かの判断を行う機能を備えた人体存在検知装置、及び、人体存在検知方法に関する。
【背景技術】
【0002】
近年、パソコン等の操作者が操作する電子機器等に対して、省エネ対策等の観点から、電子機器の前に操作者が存在するか否かを、非接触で検知することにより、表示画面の表示のON/OFFを制御する等の対策が講じられている。
【0003】
このような、操作者等の人体の存在を非接触で検知する方法としては、例えば、CCDカメラ等を用いて、撮影された画像から人体の画像を抽出する方法がある。この方法は、人体の存在を確実に検知することができる利点があるが、CCDカメラ等を用いなければならないことや、撮影された画像から人体の画像を抽出するアルゴリズムが非常に複雑となるため、装置が大がかりとなり、高コストとなる。
【0004】
そのため、低コストのセンサを用いて、人体の存在を検知する方法が検討され、例えば、焦電型の赤外線センサを用いる方法が提案されている。しかし、この焦電型の赤外線センサを用いる方法は、低コストであるが、位置の特定ができず、また、静止状態である人体の存在を検知することが困難である。
【0005】
そこで、複数のセンサを組合せて、人体の存在を検知する方法が模索され、焦電型センサと赤外線測距センサを組合せた方法(特許文献1参照)や、可視光画像に基づいて動体を検知する動体検知センサと赤外線の量または赤外線の変化量を検知する赤外線センサを組合せた方法(特許文献2参照)等が、提案されている。
【特許文献1】特開平8−338880号公報
【特許文献2】特開2000−155177号公報
【発明の開示】
【発明が解決しようとする課題】
【0006】
しかし、特許文献1や、特許文献2に記載の方法は、いずれも、上述したように、複数のセンサを組合せて用いることから、高コストとならざるを得ず、また、小型化することが困難である。
【0007】
また、パソコン等の操作者が操作する電子機器に対して、この電子機器の操作者である人体の存在を検知して、この電子機器の表示画面の表示のON/OFFを制御する等の電子機器の制御等に利用しようとする要望もある。
【0008】
そうすると、このような場合には、操作者が、電子機器の前から離れるのが短時間で、すぐに戻ることが想定されるような場合もある。このような場合に、単に、人体が存在するか否かの検知結果を、そのまま利用することは、かえって混乱を招く場合がある。
【0009】
そこで、この発明は、上記のような状況に対処するためになされたものであって、低コストで実現可能であると共に、人体が存在するか否かの検知を、操作者である人体が操作する電子機器の制御等に適合しやすい、人体存在検知装置及び人体存在検知方法を提供しようとするものである。
【課題を解決するための手段】
【0010】
まず、本発明の人体存在検知装置について説明する。本発明の人体存在検知装置は、基準位置から一定距離内に、人体が存在するか否かの判断を行う機能を備えた人体存在検知装置である。
【0011】
図1は、本発明の人体存在検知装置1の構成を示したブロック図である。図1において、この人体存在検知装置1は、離間距離測定手段2、判定結果形成手段3、検知状態情報形成手段4、状態遷移パターン形成手段5、及び、判断手段6で構成される。
【0012】
この内、離間距離測定手段2は、基準位置に設置されると共に、該基準位置から一定方向に存在する人体または物9の存在位置に対する基準位置からの離間距離を、一定時間経過毎に、即ち、一定時間間隔で測定する機能を備えている。
【0013】
判定結果形成手段3は、上記の離間距離測定手段2により、一定時間の経過の前後における経過前測定時点で測定された離間距離である経過前離間距離と、経過後測定時点で測定された離間距離である経過後離間距離とを用いることにより、次の処理を行う機能を備えている。
【0014】
即ち、経過後離間距離が一定距離以下であるか否かを判断してその判断結果を示す情報である一定距離内外判定結果と、経過後離間距離が経過前離間距離と略一致するか否かを判断してその判断結果を示す情報である動静判定結果とを形成する機能である。
【0015】
検知状態情報形成手段4は、上記の判定結果形成手段3により形成された一定距離内外判定結果と、動静判定結果とで構成される検知状態情報を形成する機能を備えている。
【0016】
状態遷移パターン形成手段5は、前回検知状態から今回検知状態への状態遷移パターンを形成する機能を備えている。前回検知状態とは、離間距離測定手段2が測定を行った最新測定時点よりも一定時間経過前の時点を経過後測定時点として形成された検知状態情報における検知状態である。また、今回検知状態とは、最新測定時点を経過後測定時点として形成された検知状態情報である今回検知状態情報における検知状態である。
【0017】
即ち、上記の状態遷移パターン形成手段は、検知状態情報として、離間距離測定手段が測定を行った最新測定時点よりも一定時間経過前の時点における前回検知状態情報と、最新測定時点における今回検知状態情報とを用いて、状態遷移パターンを形成する。
【0018】
そして、判断手段6は、上記の状態遷移パターン形成手段5により形成された状態遷移パターンが、人体存在有無と関連付けられて予め記憶されている複数の基準状態遷移パターンの中から合致するものを選択することにより、基準位置から一定距離内に人体が存在するか否かの判断を行う機能を備えている。
【0019】
上記の人体存在検知装置1では、基準位置から一定方向に存在する人体または物9の存在位置に対する該基準位置からの離間距離を測定するのに用いられる離間距離測定手段2としては、赤外線距離測定センサや、レーザ光距離測定センサ等の距離測定センサが、1個でよい。
【0020】
そのため、上記の人体存在検知装置1によれば、1個の距離測定センサで、基準位置から一定方向に存在する人体または物9の存在位置に対する基準位置からの離間距離を測定することができる。従って、複数の距離測定センサを用いる必要がないことから、人体存在検知装置を低コストで実現することができる。
【0021】
また、離間距離測定手段2が測定を行った最新測定時点よりも一定時間経過前の時点における前回検知状態から、最新測定時点における今回検知状態への状態遷移パターンを用いて人体が存在するか否かの判断を行っているので、後述するように、次のような状態における人体が存在するか否かの判断を行うことができる。
【0022】
即ち、例えば、パソコン等の操作者が操作する電子機器における操作者の人体の存在を検知する場合等において、操作者が、電子機器の前から離れるのが短時間で、すぐに戻ることが想定されるような場合があるが、このような場合に適合しやすい、後述する条件付判断をすることができる。
【0023】
上記の人体存在検知装置において、次のようにするのが合理的である。即ち、状態遷移パターン形成手段は、状態遷移パターンを形成するのに、前回検知状態情報に代えて、最新測定時点よりも一定時間経過前の過去の時点が、最新測定時点であった時に、検知状態情報形成手段が形成した今回検知状態情報を用いるのである。このようにすることができるのは、次の理由による。
【0024】
即ち、上記の人体存在検知装置では、判定結果形成手段が、一定時間の経過前の経過前離間距離と、経過後の経過後離間距離とを用いることにより、経過後離間距離が一定距離以下であるか否かを示す一定距離内外判定結果と、経過前離間距離と経過後離間距離とが略一致するか否かを示す動静判定結果とを形成する。
【0025】
この判定結果形成手段による一定距離内外判定結果と動静判定結果の形成は、一定時間の経過毎に繰返され、この形成された一定距離内外判定結果と動静判定結果とを用いて、検知状態情報形成手段が、検知状態情報を形成する。即ち、検知状態情報形成手段は、一定時間の経過毎に検知状態情報を形成する。
【0026】
ところで、状態遷移パターン形成手段は、検知状態情報として、離間距離測定手段が測定を行った最新測定時点よりも一定時間経過前の時点における検知状態情報である前回検知状態情報と、最新測定時点における検知状態情報である今回検知状態情報とを用いる。
【0027】
そうすると、前回検知状態情報は、最新測定時点よりも一定時間経過前の過去の時点が、最新測定時点であった時に、検知状態情報形成手段が形成した上記の過去の時点における今回検知状態情報と同じであるから、上記のようにすることができるのである。
【0028】
また、上記の人体存在検知装置において、次のようにするのが好適である。即ち、判定結果形成手段が形成する一定距離内外判定結果は、経過後離間距離が、一定距離以下であると「内」、一定距離以下と異なると、即ち、一定距離以下ではないと「外」となり、動静判定結果は、経過後離間距離が、経過前離間距離と略一致すると「静」、経過前離間距離と異なると、即ち、経過前離間距離と一致しないと「動」となるようにする。
【0029】
これらを具体的に説明すると、次のようになる。例えば、上記の例のように、基準位置に存在する電子機器の前に、人体が椅子等に座った状態で存在する場合、経過後離間距離は一定距離以下となるので、一定距離内外判定結果は、「内」となる。しかし、人体は、物と違って、ある程度、絶えず動くので、経過後離間距離は経過前離間距離と異なることから、動静判定結果は、「動」となる。
【0030】
これに対して、電子機器の前に、椅子等が存在するのみで人体は存在しない場合、上記と同様、経過後離間距離は一定距離以下となるので、一定距離内外判定結果は、「内」となる。しかし、物である椅子は、動かないので、経過後離間距離は経過前離間距離と略一致することから、動静判定結果は、「静」となる。
【0031】
さらに、電子機器の前に、人体も椅子も存在せず、離れたところに、人体、または、椅子等の物がある場合、経過後離間距離は一定距離以下とならないので、一定距離内外判定結果は、「外」となると共に、離れたところに存在するのが人体であれば、動静判定結果は、「動」、物であれば、「静」となる。
【0032】
また、上記の人体存在検知装置において、次のようにするのが合理的である。即ち、検知状態情報形成手段が形成する検知状態情報における検知状態は、上記の一定距離内外判定結果と動静判定結果が、それぞれ、「内」と「動」で構成される第1検知状態、「内」と「静」で構成される第2検知状態、「外」と「動」で構成される第3検知状態、及び、「外」と「静」で構成される第4検知状態の4つの検知状態の中から、いずれか1つとするのである。
【0033】
上記の各検知状態を、上記の例に基づいて、具体的に説明すると、次のようになる。即ち、第1検知状態は、「内」と「動」で構成されていることから、経過後離間距離が一定距離以下であると共に、経過後離間距離が経過前離間距離と異なる、即ち、経過前離間距離と一致しない(以下、「経過前離間距離と異なる」を「経過前離間距離と一致しない」と表現する)状態である。これは、上記の例では、基準位置に存在する電子機器の前に、人体が椅子等に座った状態で存在する場合である。
【0034】
第2検知状態は、「内」と「静」で構成されていることから、経過後離間距離が一定距離以下であると共に、経過後離間距離が経過前離間距離と略一致する状態である。これは、上記の例では、電子機器の前に、椅子等の物のみが存在する場合である。
【0035】
第3検知状態は、「外」と「動」で構成されていることから、経過後離間距離が一定距離以下と異なる、即ち、一定距離以下ではない(以下、「一定距離以下と異なる」を「一定距離以下ではない」と表現する)と共に、経過後離間距離が経過前離間距離と一致しない状態である。これは、上記の例では、電子機器の前から離れたところに、人体が存在する場合である。
【0036】
そして、第4検知状態は、「外」と「静」で構成されていることから、経過後離間距離が一定距離以下ではないと共に、経過後離間距離が経過前離間距離と略一致する状態である。これは、上記の例では、電子機器の前から離れたところに、椅子等の物のみが存在する場合である。
【0037】
上記のようにすることにより、人体存在検知装置を、分かりやすいシンプルな仕組とすることができる。
【0038】
さらに、上記の検知状態情報形成手段が形成する検知状態情報における検知状態を、第1検知状態、第2検知状態、第3検知状態、または、第4検知状態のいずれか1つとする人体存在検知装置において、次のようにするのが好適である。
【0039】
即ち、上記の人体存在検知装置の基準状態遷移パターンにおいて、基準位置から一定距離内に人体が存在することを表すパターンとして、以下の4つのパターンを、判断手段が予め記憶するようにする。
【0040】
この4つのパターンは、前回検知状態情報における前回検知状態から今回検知状態情報における今回検知状態への状態遷移パターンが、第1検知状態から第1検知状態へ遷移するA1状態遷移パターン、第2検知状態から第1検知状態へ遷移するA2状態遷移パターン、第3検知状態から第1検知状態へ遷移するA3状態遷移パターン、及び、第4検知状態から第1検知状態へ遷移するA4状態遷移パターンである。
【0041】
そうしておいて、状態遷移パターン形成手段により形成された状態遷移パターンが、これらのいずれか1つに合致すると、判断手段は、一定距離内に人体が存在するとの判断を行うようにするのである。
【0042】
即ち、この場合は、結果として現在、第1検知状態である場合、つまり、上記の例では、基準位置に存在する電子機器の前に、人体が椅子等に座った状態で存在する場合であるので、一定距離内に人体が存在するとの判断は合理的である。従って、上記のようにすることにより、人体存在検知装置を、合理的な仕組とすることができる。
【0043】
また、上記と同様にして、次のようにするのが好適である。即ち、上記の人体存在検知装置の基準状態遷移パターンにおいて、基準位置から一定距離内に人体が存在しないことを表すパターンとして、以下の5つのパターンを、判断手段が予め記憶するようにする。
【0044】
この5つのパターンは、前回検知状態情報における前回検知状態から今回検知状態情報における今回検知状態への状態遷移パターンが、第2検知状態から第2検知状態へ遷移するB1状態遷移パターン、第3検知状態から第3検知状態へ遷移するB2状態遷移パターン、第4検知状態から第4検知状態へ遷移するB3状態遷移パターン、第3検知状態から第4検知状態へ遷移するB4状態遷移パターン、及び、第4検知状態から第3検知状態へ遷移するB5状態遷移パターンである。
【0045】
そうしておいて、状態遷移パターン形成手段により形成された状態遷移パターンが、これらのいずれか1つに合致すると、判断手段は、一定距離内に人体が存在しないとの判断を行うようにするのである。
【0046】
即ち、この場合は、結果として現在、第1検知状態以外の場合、つまり、上記の例では、基準位置に存在する電子機器の前に、人体が椅子等に座った状態で存在する場合以外の場合であるので、一定距離内に人体が存在しないとの判断は合理的である。従って、上記のようにすることにより、人体存在検知装置を、合理的な仕組とすることができる。
【0047】
また、さらに、上記と同様にして、次のようにするのが好適である。即ち、上記の人体存在検知装置の基準状態遷移パターンにおいて、基準位置から一定距離内に人体が存在することを条件付で表すパターンとして、以下の3つのパターンを、判断手段が予め記憶するようにする。
【0048】
この3つのパターンは、前回検知状態情報における前回検知状態から今回検知状態情報における今回検知状態への状態遷移パターンが、第1検知状態から第2検知状態へ遷移するC1状態遷移パターン、第1検知状態から第3検知状態へ遷移するC2状態遷移パターン、及び、第1検知状態から第4検知状態へ遷移するC3状態遷移パターンである。
【0049】
そうしておいて、状態遷移パターン形成手段により形成された状態遷移パターンが、これらのいずれか1つに合致すると、判断手段は、その時点から存在見做時間が経過するまでの間は、一定距離内に人体が存在すると判断し、存在見做時間の経過が終了した時点で、一定距離内に人体が存在しないと判断する条件付判断を行うようにするのである。
【0050】
上記の「存在見做時間」とは、予め定めた一定の長さの時間であり、この時間が経過する間は、人体が存在しない状態になったとしても、人体が存在していると看做す時間のことである。
【0051】
また、上記の条件付判断とは、次のような判断である。即ち、上記の基準位置から一定距離内に人体が存在することを条件付で表す基準状態遷移パターンは、第1検知状態から、第2検知状態、第3検知状態、または、第4検知状態のいずれかに遷移するパターンである。
【0052】
これは、第1検知状態、つまり、上記の例では、基準位置に存在する電子機器の前に、人体が椅子等に座った状態で存在する場合から、この、人体が椅子等に座った状態で存在する場合以外の場合に、遷移した状態である。
【0053】
この状態は、一旦は、電子機器の前に、人体が存在しており、この人体が、電子機器の前から離れたものの、この電子機器の前から離れるのが短時間で、すぐに戻ることが想定される場合が有り得る状態である。
【0054】
そこで、このような場合に、存在見做時間が経過するまでの間は、一定距離内に人体が存在すると看做して、このように判断し、存在見做時間の経過が終了した時点で、一定距離内に人体が存在しないと判断するのが、上記の条件付判断である。
【0055】
このようにすることにより、人体存在検知装置を、操作者が操作する電子機器等の制御等に、適合しやすい仕組とすることができる。
【0056】
上記の基準状態遷移パターンとして、C1状態遷移パターン、C2状態遷移パターン、及び、C3状態遷移パターンを用いる人体存在検知装置では、次のような状態が生じる。
【0057】
即ち、存在見做時間が経過している途中で、新たに、状態遷移パターン形成手段により形成された状態遷移パターンが、A1状態遷移パターン、A2状態遷移パターン、A3状態遷移パターン、または、A4状態遷移パターンのいずれか1つに合致する状態になる場合が生じ得る。
【0058】
この場合は、このような状態が生じた時点では、結果として現在、第1検知状態である場合であり、上記の例では、基準位置に存在する電子機器の前に、人体が椅子等に座った状態で実際に存在する状態である。従って、一定距離内に人体が存在すると看做す必要はなく、実際に人体が存在すると判断すべきである。
【0059】
しかしながら、上記のC1状態遷移パターン、C2状態遷移パターン、及び、C3状態遷移パターンを用いる人体存在検知装置では、判断手段が、一旦、条件付判断を行うと、存在見做時間が経過するまでの間は、一定距離内に人体が存在すると判断し、存在見做時間の経過が終了した時点で、一定距離内に人体が存在しないと、機械的に判断してしまうことになる。そのため、実際には、電子機器の前に、人体が椅子等に座った状態で存在するにもかかわらず、一定距離内に人体が存在しないと判断してしまうことになる。
【0060】
そこで、このような状態が生じるのを避けるために、次のようにするのが好適である。即ち、上記のC1状態遷移パターン、C2状態遷移パターン、及び、C3状態遷移パターンを用いる人体存在検知装置において、存在見做時間が経過している途中に、新たに、状態遷移パターン形成手段により形成された状態遷移パターンが、A1状態遷移パターン、A2状態遷移パターン、A3状態遷移パターン、または、A4状態遷移パターンのいずれか1つに合致すると、その時点で、判断手段は、条件付判断を中止すると共に、新たに、一定距離内に人体が存在するとの判断を行うようにするのである。このようにすることにより、上述したような状態が生じるのを避けることができる。
【0061】
次に、本発明の人体存在検知方法について説明する。本発明の人体存在検知方法は、基準位置に設置されると共に、該基準位置から一定方向に存在する人体または物の存在位置に対する基準位置からの離間距離を、一定時間経過毎に測定する離間距離測定手段とコンピュータとを用いて行われる、基準位置から一定距離内に人体が存在するか否かの判断を行う人体存在検知方法である。
【0062】
この本発明の人体存在検知方法では、上記のコンピュータにより、判定結果形成ステップ、検知状態情報形成ステップ、状態遷移パターン形成ステップ、及び、判断ステップに基づく処理が行われる。
【0063】
この内、判定結果形成ステップは、上記の離間距離測定手段により、前記離間距離測定手段により、前記一定時間の経過前の経過前離間距離と、経過後の経過後離間距離とを用いることにより、前記経過後離間距離が一定距離以下であるか否かを示す一定距離内外判定結果と、前記経過前離間距離と前記経過後離間距離とが略一致するか否かを示す動静判定結果とを形成する処理を行うステップである。
【0064】
検知状態情報形成ステップは、一定距離内外判定結果と動静判定結果とで構成される検知状態情報を形成する処理を行うステップである。
【0065】
状態遷移パターン形成ステップは、上記の検知状態情報形成ステップにより作成された、前記離間距離測定手段が測定を行った最新測定時点よりも前記一定時間経過前の時点における前回検知状態情報と、前記最新測定時点における今回検知状態情報とにより、状態遷移パターンを形成する処理を行うステップである。
【0066】
そして、判断ステップは、該状態遷移パターン形成ステップにより形成された状態遷移パターンが、人体存在有無と関連付けられて予めコンピュータに記憶されている複数の基準状態遷移パターンの中から合致するものを選択することにより、基準位置から一定距離内に人体が存在するか否かの判断を行う処理を行うステップである。
【0067】
上記の人体存在検知方法による処理の仕組は、上述した人体存在検知装置における処理の仕組と同様である。また、この人体存在検知方法は、上述した人体存在検知装置と同様の、作用、効果を備えている。
【発明の効果】
【0068】
本発明によれば、基準位置から一定方向に存在する人体または物の存在位置に対する該基準位置からの離間距離を測定するのに用いられる離間距離測定手段としては、赤外線距離測定センサや、レーザ光距離測定センサ等のセンサは、1個でよい。
【0069】
そのため、1個の距離測定センサで、基準位置から一定方向に存在する人体または物の存在位置に対する基準位置からの離間距離を測定することができるので、複数の距離測定センサを用いる必要がないことから、人体存在検知装置を低コストで実現することができる。
【0070】
また、本発明によれば、離間距離測定手段が測定を行った最新測定時点よりもさらに一定時間経過前の時点における前回検知状態から、最新測定時点における今回検知状態への状態遷移パターンを用いて人体が存在するか否かの判断を行っている。
【0071】
そのため、例えば、パソコン等の操作者が操作する電子機器における操作者の人体の存在を検知する場合等、操作者が、電子機器の前から離れるのが短時間で、すぐに戻ることが想定される場合等に適合しやすいような、人体が存在するか否かの判断を行うことができる。従って、人体存在検知装置を、操作者が操作する電子機器等の制御等に、適合しやすい仕組とすることができる。
【発明を実施するための最良の形態】
【0072】
次に、本発明の実施の形態における人体存在検知装置について、図面に基づき詳細に説明する。
【0073】
<実施の形態1>
図2は、実施の形態1における人体存在検知装置10の構成を示したブロック図である。図2において、実施の形態1における人体存在検知装置10は、CPU11、メモリ12、操作部13、センサI/F14、USBI/F15、インターバルパルス発生部16、及び、距離測定センサ17、で構成されている。この内、距離測定センサ17は、センサI/F14に接続されており、それ以外は、内部バスライン18を介して、相互に接続されている。また、USBI/F15には、USBケーブル19が接続される。
【0074】
CPU11は、マイクロプロセッサで構成されており、メモリ12は、RAMやフラッシュメモリ等で構成されている。このメモリ12には、人体存在検知装置10を制御するのに必要なOSや各種の処理プログラム等のソフトウエアが格納されている。CPU11は、このメモリ12に搭載されたソフトウエアにより、人体存在検知装置10における各種の処理を行う。
【0075】
操作部13は、テンキー等で構成されており、人体存在検知装置10に対する各種の設定等に用いられる。
【0076】
センサI/F14は、距離測定センサ17を接続するためのインターフェイスであり、距離測定センサ17に対する各種の信号の授受を行う。このセンサI/F14には、後述する、図6に示す、3個のデータが記録可能なFIFOレジスタ(First In First Out Resistor)が備えられている。このFIFOレジスタには、後述する距離測定センサ17の出力データが記録される。
【0077】
USBI/F15は、USBケーブル19を介して、パソコン等の外部機器との各種の信号の授受や、この外部機器からの電源の供給を受ける。尚、図2では、このUSBI/F15における電源の供給を受ける部分は、表示されていない。
【0078】
インターバルパルス発生部16は、インターバルパルスを発生する機能を備えている。このインターバルパルスは、上記のセンサI/F14に備えられているFIFOレジスタのシフト用クロックである。このインターバルパルスは、クロック信号ライン20により、上記のセンサI/F14に備えられているFIFOレジスタに供給される。また、このインターバルパルスは、人体存在検知装置10のCPU11が行うソフトウエア処理にも、用いられる。
【0079】
距離測定センサ17は、上記の人体存在検知装置10の前方に存在する人体21または物までの距離を測定する機能を備えている。この距離測定センサ17としては、赤外線の投光器及び受光器を備えたセンサが用いられている。この、赤外線の投光器及び受光器を備えたセンサでは、上記の距離の測定は、投光器から前方に発光された赤外線が、人体存在検知装置10の前方に存在する人体21または物で反射して戻ってくる反射光を受信することにより行われる。尚、この距離測定センサ17としては、レーザ光を用いたセンサを用いてもよい。
【0080】
前述した離間距離測定手段2、判定結果形成手段3、検知状態情報形成手段4、状態遷移パターン形成手段5、及び、判断手段6は、人体存在検知装置10を構成する上記の各ハードウエア、及び、人体存在検知装置10のメモリ12に格納されているソフトウエアによる協働作業により、実現される。
【0081】
また、前述した人体存在検知方法を実行するのに用いられるコンピュータとしては、図2に示す構成要素で構成された上述した人体存在検知装置10、または、図2に示す構成要素から距離測定センサ17を除いた構成要素で構成された装置、若しくは、この装置と同等の機能を有する装置を使用する。
【0082】
図3(a)は、実施の形態1において、上記の人体存在検知装置10が使用される状態を示した平面図、図3(b)は、その側面図である。実施の形態1では、上記の人体存在検知装置10を用いることにより、机25の上に置かれたノートパソコン26に対して、このパソコンの操作を行う椅子22に座っている操作者である人体21の存在検知を行うことにより、パソコン26の表示画面の表示のON/OFFを制御しようとするものである。図中、23は、操作者である人体21の背後にある部屋の壁であり、24は、この部屋の床である。
【0083】
人体存在検知装置10は、ノートパソコン26の蓋の部分である表示部の上端に、クリップ状の取付具により取付けられており、USBケーブル19により、ノートパソコン26と接続されている。人体存在検知装置10には、上述したように、距離測定センサ17が備えられており、この距離測定センサ17の前方方向に、操作者である人体21が存在するように、人体存在検知装置10が取付けられる。
【0084】
また、この人体存在検知装置10による人体21の存在の有無の検知は、この人体存在検知装置10が備えている距離測定センサ17の方向に、この距離測定センサ17の先端から基準距離(DS)以内に、操作者である人体21が存在しているか否かにより、行われる。前述の基準位置は、この人体存在検知装置10が設置されている位置であり、詳しくは、存在検知装置10の距離測定センサ17の先端の位置である。また、人体存在検知装置10は、ノートパソコン26に取付けられているので、ノートパソコン26が設置されている位置は、上記の基準位置と看做すことができる。
【0085】
実施の形態1では、ノートパソコン26は、人体存在検知装置10から、「基準距離(DS)内に人体が存在している」との信号(「人体存在有信号」と称する)を受けると、ノートパソコン26の表示画面の表示をONし、「基準距離(DS)内に人体が存在していない」との信号(「人体存在無信号」と称する)を受けると、ノートパソコン26の表示画面の表示をOFFする仕組を採用している。この「基準距離(DS)」が、前述した「一定距離」に相当する。この基準距離(DS)としては、実施の形態1では、1.5mとしている。
【0086】
尚、人体存在検知装置10から出力される信号は、「人体存在有信号」、または、「人体存在無信号」のいずれかであるが、「人体存在有信号」が一旦出力されると、「基準距離(DS)内に人体が存在している」状態、あるいは、「基準距離(DS)内に人体が存在している」と看做せる状態の間は、特に信号は出力されず、「基準距離(DS)内に人体が存在していない」状態となったときに、「人体存在無信号」が出力される。
【0087】
また、「人体存在無信号」が一旦出力されると、「基準距離(DS)内に人体が存在していない」状態の間は、特に信号は出力されず、「基準距離(DS)内に人体が存在している」状態となったときに、「人体存在有信号」が出力される。
【0088】
以下、実施の形態1における人体存在検知装置10において、上記の人体存在有信号、及び、人体存在無信号が出力される仕組、即ち、基準位置から、基準距離(DS)以内に、操作者である人体21が存在しているか否かを検知する基本的な仕組について、説明する。
【0089】
図4(a)〜図4(d)は、実施の形態1において、人体存在検知装置10が行う人体の存在の有無に関する想定される状態を説明するための、人体存在検知装置10が使用される各状態を示した平面図である。
【0090】
図4(a)は、ノートパソコン26が置かれた机25の前に、ノートパソコン26の操作者である人体21が椅子22に座っている状態である。即ち、人体存在検知装置10に対して「基準距離(DS)内に人体21が存在している」状態である。この状態を、検知状態#1と称する。
【0091】
図4(b)は、ノートパソコン26が置かれた机25の前に、ノートパソコン26の操作者である人体21が椅子22に座っていなくて、椅子22のみが存在している状態である。即ち、人体存在検知装置10に対して「基準距離(DS)内に物(椅子22)が存在している」状態である。この状態を、検知状態#2と称する。
【0092】
図4(c)は、ノートパソコン26が置かれた机25の前から離れた位置に、人体21が存在している状態である。即ち、人体存在検知装置10に対して「基準距離(DS)外に人体21が存在している」状態である。この状態を、検知状態#3と称する。
【0093】
そして、図4(d)は、ノートパソコン26が置かれた机25の前にも、机25の前から離れた位置にも、人体21は存在してない状態である。即ち、人体存在検知装置10に対して「基準距離(DS)外に物(壁23)が存在している」状態である。この状態を、検知状態#4と称する。
【0094】
人体存在検知装置10は、上記の検知状態#1、検知状態#2、検知状態#3、及び、検知状態#4を、区別して検出することで、人体21の存在の有無の検知を行うのである。そこで、このような検知を行うために、人体存在検知装置10は、この人体存在検知装置10の前方に存在するものに対して、この距離測定センサ17の先端から、人体存在検知装置10の前方に存在する人体21または物までの距離である離間距離を、「一定時間(インターバル時間と称する)」経過毎に測定する。
【0095】
実施の形態1では、この一定時間(インターバル時間)の経過直前の時点を、経過前測定時点と称し、この経過前測定時点で測定された離間距離を、経過前離間距離と称する。また、この一定時間(インターバル時間)の経過直後の時点を、経過後測定時点と称し、この経過後測定時点で測定された離間距離を、経過後離間距離と称する。
【0096】
上記の一定時間(インターバル時間)は、実施の形態1では、例えば、30秒間としている。図5は、実施の形態1における人体存在検知装置10の距離測定センサ17による離間距離の測定タイミングを説明したタイムチャートである。
【0097】
図5において、人体存在検知装置10は、インターバル時間である30秒間毎に、離間距離を測定する。そこで、図5に示すように、離間距離の測定時点として、時間の経過に伴って、時点Tm、時点Tn、時点Tpの順に測定が行われたとすると、時点Tpが最新測定時点であり、この最新測定時点を今回測定時点と称する。そして、この今回測定時点である時点Tpのインターバル時間30秒前の時点Tnを、今回測定時点に対して前回測定時点と称し、さらに、この前回測定時点である時点Tnのインターバル時間30秒前の時点Tnを、今回測定時点に対して前々回測定時点と称する。
【0098】
そうすると、図5において、今回測定時点Tpは、時点Tpに対する経過後測定時点であり、前回測定時点Tnは、時点Tpに対する経過前測定時点である。また、前回測定時点Tnは、時点Tnに対する経過後測定時点であり、前々回測定時点Tmは、時点Tnに対する経過前測定時点である。
【0099】
上述したように、人体存在検知装置10のセンサI/F14には、図6に示す3個のデータが記録可能なFIFOレジスタが備えられている。このFIFOレジスタは、上述したインターバルパルスにより、シフトされる。このインターバルパルスは、上記のインターバル時間経過毎に発生されるパルスである。
【0100】
上記の3個のデータが記録可能なFIFOレジスタは、次のような仕組のレジスタである。即ち、最初にFIFOレジスタに入力されたデータは、FIFOレジスタの1段目に入力される。次に、新たなデータがFIFOレジスタに入力されると、1段目に入力されているデータは、2段目にシフトされると共に、新たなデータが、1段目に入力される。さらに、新たなデータがFIFOレジスタに入力されると、2段目に入力されているデータは、3段目にシフトされ、1段目に入力されているデータが、2段目にシフトされると共に、新たなデータが、1段目に入力される。
【0101】
人体存在検知装置10の距離測定センサ17がインターバル時間30秒ごとに測定した離間距離は、このFIFOレジスタに、測定した順に、入力される。従って、FIFOレジスタには、図6に示すように、1段目には最新測定時点、即ち、今回測定時点で測定された離間距離(今回離間距離(D1)と称する)が保持され、2段目には前回測定時点で測定された離間距離(前回離間距離(D2)と称する)が保持されると共に、3段目には前々回測定時点で測定された離間距離(前々回離間距離(D3)と称する)が保持される。
【0102】
そうすると、上述した、経過前離間距離、及び、経過後離間距離の説明から(図5参照)、今回測定時点Tpにおける経過後離間距離は、上記の今回離間距離(D1)、経過前離間距離は、前回離間距離(D2)である。また、前回測定時点Tnにおける経過後離間距離は、上記の前回離間距離(D2)、経過前離間距離は、前々回離間距離(D3)である。
【0103】
上記の人体存在検知装置10は、基準位置から、基準距離(DS)以内に、操作者である人体21が存在しているか否かを検知するために、即ち、基準位置から、基準距離(DS)以内に、操作者である人体21が存在しているか否かを判断するために、その準備として、上記の今回離間距離(D1)、前回離間距離(D2)、及び、前々回離間距離(D3)を用いて、次のような判定を行う。
【0104】
まず、基本的な判定として、一定距離内外判定と動静判定とを行う。一定距離内外判定は、上述した経過後離間距離が、基準距離(DS)以下であるか否かの判定である。この一定距離内外判定結果は、経過後離間距離が基準距離(DS)以下であると「内」、基準距離(DS)以下ではないと「外」となる。
【0105】
動静判定は、上述した経過後離間距離が、経過前離間距離と略一致するか否かの判定である。この動静判定結果は、経過後離間距離が経過前離間距離と略一致すると「静」、経過前離間距離と一致しないと「動」となる。
【0106】
上記の動静判定において、判定方法として、経過後離間距離が、経過前離間距離と「一致するか否か」ではなくて、「略一致するか否か」としているのは、人体存在検知装置10の距離測定センサ17が行う測定には、測定誤差が存在するので、この測定誤差の影響を避けるためである。
【0107】
上記の一定距離内外判定結果、及び、動静判定結果を具体的に説明すると、次のようになる。図4(a)のように、基準位置に存在するノートパソコン26の前に、人体21が椅子22に座った状態で存在する場合、経過後離間距離は基準距離(DS)以下となるので、一定距離内外判定結果は、「内」となる。しかし、人体は、物と違って、ある程度、絶えず動くので、経過後離間距離は経過前離間距離と一致しないことから、動静判定結果は、「動」となる。
【0108】
図4(a)は、上述したように、検知状態#1であるから、一定距離内外判定結果が「内」、動静判定結果が「動」の状態は、検知状態#1である。この検知状態#1は、前述の第1検知状態に該当する。
【0109】
これに対して、図4(b)のように、ノートパソコン26の前に、椅子22が存在するのみで人体21は存在しない場合、上記と同様、経過後離間距離は基準距離(DS)以下となるので、一定距離内外判定結果は、「内」となる。しかし、物である椅子22は、動かないので、経過後離間距離は経過前離間距離と略一致することから、動静判定結果は、「静」となる。
【0110】
図4(b)は、上述したように、検知状態#2であるから、一定距離内外判定結果が「内」、動静判定結果が「静」の状態は、検知状態#2である。この検知状態#2は、前述の第2検知状態に該当する。
【0111】
さらに、図4(c)、図4(d)のように、ノートパソコン26の前に、人体21も椅子22も存在せず(図4(c)では、椅子22は存在しているが、距離測定センサ17では検知されない状態である)、離れたところに、人体21または壁23が存在する場合、経過後離間距離は一定距離以下とならないので、一定距離内外判定結果は、「外」となると共に、離れたところに存在するのが人体であれば(図4(c))、動静判定結果は、「動」、物であれば(図4(d))、「静」となる。
【0112】
図4(c)は、上述したように、検知状態#3であるから、一定距離内外判定結果が「外」、動静判定結果が「動」の状態は、検知状態#3である。この検知状態#3は、前述の第3検知状態に該当する。また、図4(d)は、上述したように、検知状態#4であるから、一定距離内外判定結果が「外」、動静判定結果が「静」の状態は、検知状態#4である。この検知状態#4は、前述の第4検知状態に該当する。図7は、これらの検知状態を示したテーブルである。
【0113】
上記の人体存在検知装置10では、上記の一定距離内外判定、及び、動静判定を、今回測定時点Tpと、前回測定時点Tnの、連続する2つの測定時点において、行う。即ち、上述した前回測定時点Tnと、今回測定時点Tpの、連続する2つの測定時点において、検知状態が、図7のテーブルに示されている、検知状態#1〜検知状態#4のいずれであるかを示す検知状態情報を形成する。
【0114】
この内、前回測定時点Tnにおける検知状態情報を前回検知状態情報と称し、今回測定時点Tpにおける検知状態情報を今回検知状態情報と称する。また、前回検知状態情報における検知状態を前回検知状態、今回検知状態情報における検知状態を今回検知状態と称する。
【0115】
この2つの検知状態に基づいて、図8に示すように、前回検知状態から今回検知状態へ遷移する状態遷移パターンを形成し、この状態遷移パターンが、人体存在有無と関連付けられて予め人体存在検知装置10のメモリ12に記憶されている複数の基準状態遷移パターンの中から、合致するものを選択することにより、基準位置から、基準距離(DS)以内に、操作者である人体21が存在しているか否かの判断が行われる。
【0116】
尚、図は、前回検知状態が検知状態#2で、今回検知状態が検知状態#1である場合を示す。この場合の状態遷移パターンは、前回検知状態が検知状態#2から今回検知状態が検知状態#1へ遷移する状態遷移パターンである。このような状態遷移パターンの表現を、以後、前回検知状態が検知状態#1と、今回検知状態が検知状態#2とを用いることで、表現する。
【0117】
そこで、人体存在検知装置10のメモリ12には、基準距離(DS)以内に、操作者である人体21が存在しているか否かの判断を行うための基準である複数の基準状態遷移パターンが記憶されている。図9は、この基準状態遷移パターンを示したテーブルであり、基準状態遷移パターンは、図9に示すように、人体存在有無と関連付けられている。また、図10は、この基準状態遷移パターンの具体的な状態を示した基準状態遷移パターン図である。
【0118】
図9、及び、図10に示す基準状態遷移パターンは、次のように形成されている。まず、基準位置から基準距離(DS)内に人体が存在することを表すパターンとして、前回検知状態、及び、今回検知状態がそれぞれ、検知状態#1、検知状態#1であるA1状態遷移パターン、検知状態#2、検知状態#1であるA2状態遷移パターン、検知状態#3、検知状態#1であるA3状態遷移パターン、及び、検知状態#4、検知状態#1であるA4状態遷移パターンが形成されている。
【0119】
これらの各場合は、結果として現在、検知状態#1である場合、つまり、図4(a)における、基準位置に存在するノートパソコン26の前に、人体21が椅子22に座った状態で存在する場合であるので、基準距離(DS)内に人体21が存在するとの判断をすることができる。
【0120】
次に、基準位置から基準距離(DS)内に人体が存在しないことを表すパターンとして、前回検知状態、及び、今回検知状態がそれぞれ、検知状態#2、検知状態#2であるB1状態遷移パターン、検知状態#3、検知状態#3であるB2状態遷移パターン、検知状態#4、検知状態#4であるB3状態遷移パターン、検知状態#3、検知状態#4であるB4状態遷移パターン、及び、検知状態#4、検知状態#3であるB5状態遷移パターンが形成されている。
【0121】
これらの各場合は、結果として現在、検知状態#1以外の場合、つまり、図4(a)以外における場合であり、基準位置に存在するノートパソコン26の前に、人体21が椅子22に座った状態で存在する以外の場合(図4(b)〜図4(d))であるので、基準距離(DS)内に人体21が存在しないとの判断をすることができる。
【0122】
さらに、基準位置から基準距離(DS)内に人体が存在することを条件付で表すパターンとして、前回検知状態、及び、今回検知状態がそれぞれ、検知状態#1、検知状態#2であるC1状態遷移パターン、検知状態#1、検知状態#3であるC2状態遷移パターン、及び、検知状態#1、検知状態#4であるC3状態遷移パターンが形成されている。
【0123】
尚、図9、及び、図10に示す基準状態遷移パターンにおいて、前回検知状態、及び、今回検知状態がそれぞれ、検知状態#2、検知状態#3である状態遷移パターン、検知状態#3、検知状態#2である状態遷移パターン、検知状態#4、検知状態#2である状態遷移パターン、及び、検知状態#2、検知状態#4である状態遷移パターンが、記載されていない。これは、いずれもこれらの状態遷移パターンの間に、検知状態#1の状態が入るので、検知パターンとしては存在しないからである。
【0124】
これらの各ケースでは、次のような処理が行われる。即ち、上記の各ケースが生じた場合、その時点から存在見做時間が経過するまでの間は、基準位置から基準距離(DS)内に人体が存在すると判断し、存在見做時間の経過が終了した時点で、基準位置から基準距離(DS)内に人体が存在しないと判断する条件付判断を行う。実施の形態1では、上記の存在見做時間は、例えば、5分間としている。
【0125】
上記の条件付判断とは、次のような判断である。即ち、上記の基準位置から基準距離(DS)内に人体が存在することを条件付で表す基準状態遷移パターンは、検知状態#1から、検知状態#2、検知状態#3、または、検知状態#4のいずれかに遷移するパターンである。
【0126】
これは、検知状態#1、つまり、図4(a)における、基準位置に存在するノートパソコン26の前に、人体21が椅子22に座った状態で存在する場合から、この、人体21が椅子22に座った状態で存在する場合以外の場合に、遷移した状態である。
【0127】
この状態は、一旦は、ノートパソコン26の前に、人体21が存在しており、この人体21が、ノートパソコン26の前から離れたものの、このノートパソコン26の前から離れるのが短時間で、すぐに戻ることが想定される場合が有り得る状態である。
【0128】
そこで、このような場合に、存在見做時間が経過するまでの間は、基準距離(DS)内に人体が存在すると看做して、このように判断し、存在見做時間の経過が終了した時点で、基準距離(DS)内に人体が存在しないと判断するのが、上記の条件付判断である。
【0129】
但し、上記の場合に、次のような不都合を生じる。即ち、一旦、条件付判断を行うと、存在見做時間が経過するまでの間は、基準距離(DS)内に人体21が存在すると判断し、存在見做時間の経過が終了した時点で、基準距離(DS)内に人体21が存在しないと、機械的に判断してしまうことになる。
【0130】
そのため、実際には、存在見做時間が経過している途中の時点で、図3、図4において、ノートパソコン26の前に、人体21が椅子22に座った状態で存在する状態になったにもかかわらず、存在見做時間の経過が終了した時点で、基準距離(DS)内に人体21が存在しないと判断してしまうことになる。
【0131】
そこで、このような状態が生じるのを避けるために、次のような処理を行っている。即ち、上記の存在見做時間が経過している途中で、人体存在検知装置10の距離測定センサ17による新たな離間距離の測定により、新たに生じた状態遷移パターンが、A1状態遷移パターン、A2状態遷移パターン、A3状態遷移パターン、または、A4状態遷移パターンのいずれかであると、その時点で、上記の条件付判断を中止すると共に、新たに、基準距離(DS)内に人体21が存在するとの判断を行うのである。
【0132】
次に、上記の人体存在検知装置10の処理動作について、具体的に説明する。人体存在検知装置10は、この処理動作を行うために、人体存在検知装置10のメモリ12には、上述した、図9に示す基準状態遷移パターンのほか、図11(a)に示す6個の記録エリア、図11(b)に示す3個のフラグ、及び、ソフトウエアで構成されるタイマTMが備えられている。このタイマTMは、上述した「条件付人体存在有」状態の場合の、存在見做時間を計測するために用いられ、このタイマTMのタイムアップ時間は、実施の形態1では、上述したように、5分間である。
【0133】
図11(a)に示す6個の記録エリアは、今回内外判定記録エリアM11、今回動静判定記録エリアM12、今回検知状態記録エリアM13、前回内外判定記録エリアM21、前回動静判定記録エリアM22、そして、前回検知状態記録エリアM23である。また、図11(b)に示す3個のフラグは、初回サイクル完了表示フラグF0、人体存在有無表示フラグF1、及び、条件付人体存在有表示フラグF2である。
【0134】
尚、上記の人体存在検知装置10では、人体存在検知装置10から出力される信号は、上述したように、「人体存在有信号」、または、「人体存在無信号」のいずれかであるが、「人体存在有信号」が一旦出力されると、「基準距離(DS)内に人体が存在している」状態、あるいは、「基準距離(DS)内に人体が存在している」と看做せる状態の間は、特に信号は出力されず、「基準距離(DS)内に人体が存在していない」状態となったときに、初めて、「人体存在無信号」が出力される。
【0135】
また、「人体存在無信号」が一旦出力されると、「基準距離(DS)内に人体が存在していない」状態の間は、特に信号は出力されず、「基準距離(DS)内に人体が存在している」状態となったときに、初めて、「人体存在有信号」が出力される。
【0136】
しかし、人体存在検知装置10が処理動作開始直後における、「人体存在有信号」、または、「人体存在無信号」を出力すべき状態下では、それ以前の状態をチェックすることなく、直ちに、いずれかを出力する必要がある。上記の初回サイクル完了フラグF0は、このような処理を行うのに用いられる。この初回サイクル完了フラグF0は、初回サイクル未完了の間、即ち、「人体存在有信号」、または、「人体存在無信号」のいずれかが出力されるまでの間は、F0=0となり、初回サイクル完了後、即ち、「人体存在有信号」、または、「人体存在無信号」のいずれかが出力された後は、F0=1となる。
【0137】
また、人体存在有無表示フラグF1は、「基準距離(DS)内に人体が存在している」状態では、F1=1となり、「基準距離(DS)内に人体が存在していない」状態では、F1=0となる。また、条件付人体存在有表示フラグF2は、「条件付人体存在有」状態では、F2=1となり、そうでない状態では、F2=0となる。
【0138】
図12〜図17は、上記の人体存在検知装置10の処理動作を示したフローチャートである。この内、図12、及び、図13は、処理動作の基本フローチャートである。尚、この処理動作の開始に際しては、上述したインターバルパルス発生部16で、インターバルパルスが、少なくとも、3個発生されることにより、人体存在検知装置10のセンサI/F14に備えられているFIFOレジスタに、距離測定センサ17によって測定された離間距離のデータが記録される必要がある。
【0139】
即ち、上述した、今回離間距離(D1)がFIFOレジスタの1段目(FIFO1)に、前回離間距離(D2)がFIFOレジスタの2段目(FIFO1)に、そして、前々回離間距離(D3)がFIFOレジスタの3段目(FIFO3)に、全て、記録される必要がある。従って、人体存在検知装置10の処理動作は、インターバルパルスが、少なくとも、3個発生された後に開始される。
【0140】
図12、図13において、人体存在検知装置10の処理動作が開始されると、まず、初回サイクル完了表示フラグF0、人体存在有無表示フラグF1、条件付人体存在有表示フラグF2、及び、タイマTMをリセットする(S1)。
【0141】
次に、条件付人体存在有表示フラグF2をチェックする(S2)。この段階では、条件付人体存在有表示フラグF2は、F2=0であり、F2=1ではないので、次に、S5へ進む。
【0142】
S5では、インターバルパルスの有無をチェックし、インターバルパルスが発生していないと(S6)、S2へ戻って、S2以降を繰返す。インターバルパルスが発生していると(S6)、今回判定結果形成処理(S100A)、前回判定結果形成処理(S100B)、今回検知状態情報形成処理(S200A)、及び、前回検知状態情報形成処理(S200B)を、この順に行う。
【0143】
まず、今回判定結果形成処理(S100A)を行う。図14は、この今回判定結果形成処理(S100A)の処理動作を示したフローチャートである。図14において、まず、FIFO1から今回離間距離(D1)を読み出して、基準距離(DS)と比較する(S101A)。比較の結果、今回離間距離(D1)が基準距離(DS)以下であると(S102A)、「内」を今回内外判定記録エリアM11へ記録して(S103A)、S105Aへ進む。比較の結果、今回離間距離(D1)が基準距離(DS)以下ではないと(S102A)、「外」を今回内外判定記録エリアM11へ記録して(S104A)、S105Aへ進む。
【0144】
S105Aでは、FIFO1から今回離間距離(D1)を、FIFO2から前回離間距離(D2)を読み出して、双方を比較する。比較の結果、今回離間距離(D1)が前回離間距離(D2)と略等しいと、「静」を今回動静判定記録エリアM12へ記録して(S107A)、今回判定結果形成処理(S100A)を終了する。比較の結果、今回離間距離(D1)が前回離間距離(D2)と略等くはないと、「動」を今回動静判定記録エリアM12へ記録して(S108A)、今回判定結果形成処理(S100A)を終了する。
【0145】
次に、前回判定結果形成処理(S100B)を行う。図15は、この前回判定結果形成処理(S100B)の処理動作を示したフローチャートである。この前回判定結果形成処理(S100B)は、上記の今回判定結果形成処理(S100A)とフロー動作は、同じである。
【0146】
前回判定結果形成処理(S100B)が、今回判定結果形成処理(S100A)と異なるのは、FIFO1に代えてFIFO2を、FIFO2に代えてFIFO3を、また、今回内外判定記録エリアM11に代えて前回内外判定記録エリアM21を、そして、今回動静判定記録エリアM12に代えて前回動静判定記録エリアM22を、それぞれ用いる点であり、フロー動作そのものは、上述したように、同じである。
【0147】
次に、今回検知状態情報形成処理(S200A)を行う。図16は、今回検知状態情報形成処理(S200A)の処理動作を示したフローチャートである。図16において、まず、今回内外判定記録エリアM11の内容が、「内」であるかチェックし(S201A)、「内」であると(S202A)、次に、今回動静判定記録エリアM12の内容が「動」であるかチェックする(S203A)。
【0148】
S203Aにおける今回動静判定記録エリアM12の内容が「動」であるかのチェックで、「動」であると(S204A)、この場合の検知状態は、検知状態#1であるので、検知状態#1を今回検知状態記録エリアM13に記録して(S205A)、今回検知状態情報形成処理(S200A)を終了する。「動」ではないと(S204A)、即ち、「静」であると、この場合の検知状態は、検知状態#2であるので、検知状態#2を今回検知状態記録エリアM13に記録して(S206A)、今回検知状態情報形成処理(S200A)を終了する。
【0149】
S201Aにおける今回内外判定記録エリアM11の内容が、「内」であるかのチェックで、「内」ではないと(S202A)、即ち、「外」であると、次に、今回動静判定記録エリアM12の内容が「動」であるかチェックする(S207A)。
【0150】
S207Aにおける今回動静判定記録エリアM12の内容が「動」であるかのチェックで、「動」であると(S208A)、この場合の検知状態は、検知状態#3であるので、検知状態#3を今回検知状態記録エリアM13に記録して(S209A)、今回検知状態情報形成処理(S200A)を終了する。「動」ではないと(S208A)、即ち、「静」であると、この場合の検知状態は、検知状態#4であるので、検知状態#4を今回検知状態記録エリアM13に記録して(S210A)、今回検知状態情報形成処理(S200A)を終了する。
【0151】
次に、前回検知状態情報形成処理(S200B)を行う。図17は、前回検知状態情報形成処理(S200B)の処理動作を示したフローチャートである。この前回検知状態情報形成処理(S200B)は、上記の今回検知状態情報形成処理(S200A)とフロー動作は、同じである。
【0152】
前回検知状態情報形成処理(S200B)が、上記の今回検知状態情報形成処理(S200A)と異なるのは、今回内外判定記録エリアM11に代えて前回内外判定記録エリアM21を、今回動静判定記録エリアM12に代えて前回動静判定記録エリアM22を、また、今回検知状態記録エリアM13に代えて前回検知状態記録エリアM23を、それぞれ用いる点であり、フロー動作そのものは、上述したように、同じである。
【0153】
図12において、上記の今回判定結果形成処理(S100A)、前回判定結果形成処理(S100B)、今回検知状態情報形成処理(S200A)、及び、前回検知状態情報形成処理(S200B)が、この順に終了すると、S9へ進む(図13)。
【0154】
S9では、M23の前回検知状態とM13の今回検知状態の組合せが合致するパターンを、人体存在検知装置10のメモリ12に設けられている基準状態遷移パターンの中から選択して、S10へ進み、この選択されたパターンが、A1〜A4、B1〜B5、或いは、C1〜C3のいずれであるかをチェックする。尚、S10における選択されたパターンのチェックで、A1〜A4、B1〜B5、或いは、C1〜C3のいずれにも該当しない場合は(S27)、通常はありえない場合であるとして、何もしないで、S2へ戻り、S2以降の処理を繰返す。
【0155】
S10における選択されたパターンのチェックで、A1〜A4であると(S11)、これは、「基準位置から基準距離(DS)内に人体が存在する」状態である。そこで、次に、条件付人体存在有表示フラグF2をチェックする(S12)。この段階では、F2=0であり、F2=1ではないので、次に、S13へ進む。
【0156】
S13では、初回サイクル完了表示フラグF0をチェックする。この段階では、F0=0であり、F0=1ではないので、次に、F0=1とした後(S17)、「人体存在有」を出力すると共に(S15)、人体存在有無表示フラグF1を、F1=1として(S16)、S2へ戻り、S2以降の処理を繰返す。
【0157】
尚、初回サイクルが完了した後であると、S13における初回サイクル完了表示フラグF0のチェックでは、F0=1であるので、この場合は、次に、人体存在有無表示フラグF1をチェックする(S14)。そして、F1=1ではない場合、即ち、F1=0の場合は、「人体存在有」を出力すると共に(S15)、人体存在有無表示フラグF1を、F1=1とし(S16)、そうでない場合、即ち、S14の人体存在有無表示フラグF1のチェックで、F1=1の場合は、何もしないで、S2へ戻り、S2以降の処理を繰返す。
【0158】
上記の処理は、上述したように、「人体存在有信号」が一旦出力された後であると、「基準距離(DS)内に人体が存在している」状態、あるいは、「基準距離(DS)内に人体が存在している」とみなせる状態の間は、特に「人体存在有信号」は出力しないようにするためである。また、「人体存在無信号」が出力された後において、「基準距離(DS)内に人体が存在している」状態となったときには、「人体存在有信号」が出力されるようにするためである。
【0159】
S10における選択されたパターンのチェックで、B1〜B5であると(S20)、これは、「基準位置から基準距離(DS)内に人体が存在しない」状態である。そこで、次に、条件付人体存在有表示フラグF2をチェックする(S21)。この段階では条件付人体存在有表示フラグF2は、F2=0であり、F2=1ではないので、次に、S22へ進む。
【0160】
S22では、初回サイクル完了表示フラグF0をチェックする。この段階では、初回サイクル完了表示フラグF0は、F0=0であり、F0=1ではないので、次に、F0=1とした後(S26)、「人体存在無」を出力すると共に(S24)、人体存在有無表示フラグF1を、F1=0として(S25)、S2へ戻り、S2以降の処理を繰返す。
【0161】
尚、初回サイクルが完了した後であると、S22における初回サイクル完了表示フラグF0のチェックでは、F0=1であるので、この場合は、次に、人体存在有無表示フラグF1をチェックする(S23)。そして、F1=1の場合は、「人体存在無」を出力すると共に(S24)、F1=0とし(S25)、そうでない場合、即ち、S23の人体存在有無表示フラグF1のチェックで、F1=1ではない場合、即ち、F1=0の場合は、何もしないで、S2へ戻り、S2以降の処理を繰返す。
【0162】
上記の処理は、上述したように、「人体存在無信号」が一旦出力された後であると、「基準距離(DS)内に人体が存在していない」状態の間は、特に「人体存在無信号」は出力しないようにするためである。また、「人体存在有信号」が出力された後において、「基準距離(DS)内に人体が存在していない」状態となったときには、「人体存在無信号」が出力されるようにするためである。
【0163】
S10における選択されたパターンのチェックで、C1〜C3であると(S27)、これは、「条件付人体存在有」状態である。そこで、次に、条件付人体存在有表示フラグF2をチェックする(S28)。この段階では、条件付人体存在有表示フラグF2は、F2=0であり、F2=1ではないので、次に、S29へ進む。
【0164】
S29では、条件付人体存在有表示フラグF2を、F2=1とすると共に(S29)、タイマTMをスタートさせて(S30)、S13に進む。このS13以降の処理(「人体存在有」を出力する処理)については、S10における選択されたパターンのチェックで、A1〜A4である場合(S11)と、全く同じである。
【0165】
上記の処理は、次の理由に基づく。即ち、「条件付人体存在有」状態の場合は、存在見做時間が経過するまでの間は、基準距離(DS)内に人体が存在すると看做す。そこで、上記の存在見做時間を計測するためにタイマTMをスタートさせると共に、基準距離(DS)内に人体が存在すると看做すために「人体存在有」を出力する処理を行うのである。
【0166】
上記のS10のチェックで、A1〜A4である場合(S11)と、B1〜B5である場合(S20)は、これらの処理が行われてS2に戻る(X3)までの間には、条件付人体存在有表示フラグF2を、F2=1とする処理を行うS28は、含まれていない。
【0167】
そのため、条件付人体存在有表示フラグF2は、F2=1にはならず、F2=0のままであり、タイマTMのスタートも、行われない。そこで、S2へ戻ってS2以降の処理を行う処理は、S3及びS4をパスして、S5のインターバルパルスの有無をチェックするステップ以降の処理を行うことになる。
【0168】
これに対して、上記のS10のチェックで、C1〜C3である場合(S27)は、これらの処理が行われてS2に戻る(X3)までの間には、条件付人体存在有表示フラグF2を、F2=1とする処理を行うS28が、含まれている。
【0169】
そのため、条件付人体存在有表示フラグF2は、F2=1になり、タイマTMのスタートも行われる。そこで、この場合は、S2へ戻ってS2以降の処理を行う処理は、このS2の条件付人体存在有表示フラグF2をチェックするステップ以降の処理を行うことになる。即ち、S2における条件付人体存在有表示フラグF2のチェックで、F2=1であるので、次に、タイマTMがタイムアップしているかチェックする(S3)。
【0170】
このS3におけるタイマTMがタイムアップしているかのチェックで、タイマTMがタイムアップしていると(S4)、条件付人体存在有表示フラグF2を、F=0とすると共に(S7)、タイマTMをリセットして(S8)、S23へ進む。このS23以降の処理(「人体存在無」を出力する処理)は、S10における選択されたパターンのチェックで、B1〜B5である場合における(S20)、S23以降の処理と全く同じである。
【0171】
上記の処理は、次の理由に基づく。即ち、「条件付人体存在有」状態の場合は、存在見做時間が経過するまでの間は、基準距離(DS)内に人体が存在すると看做すと共に、存在見做時間の経過が終了した時点で、基準距離(DS)内に人体が存在しないと判断する。そこで、存在見做時間を計測するタイマTMがタイムアップすると、「人体存在無」を出力する処理を行うのである。
【0172】
上記のS3におけるタイマTMがタイムアップしているかのチェックで、タイマTMがタイムアップしていない場合は(S4)、インターバルパルスの有無をチェックし(S5)、インターバルパルスが発生していると(S6)、今回判定結果形成処理(S100A)、前回判定結果形成処理(S100B)、今回検知状態情報形成処理(S200A)、及び、前回検知状態情報形成処理(S200B)が行われた後、S10へ進む。
【0173】
この場合のS10以降の処理は、条件付人体存在有表示フラグF2が、F2=1となっている場合である。そこで、以下に、この場合のS10以降の処理について説明する。
【0174】
まず、条件付人体存在有表示フラグF2が、F2=1となっている場合におけるS10以降の処理において、S10のチェックの結果、A1〜A4である場合(S11)について説明する。
【0175】
この場合は、「基準位置から基準距離(DS)内に人体が存在する」状態である。そこで、次に、条件付人体存在有表示フラグF2をチェックする(S12)。この段階では、上述したように、条件付人体存在有表示フラグF2は、F2=1であるので、次に、この条件付人体存在有表示フラグF2を、F2=0とすると共に、タイマTMをリセットして、S2へ戻り、S2以降の処理を繰返す。
【0176】
上記の処理は、次の理由に基づく。即ち、「条件付人体存在有」状態の場合は、存在見做時間が経過するまでの間は、基準距離(DS)内に人体が存在すると看做すと共に、存在見做時間の経過が終了した時点で、基準距離(DS)内に人体が存在しないと判断する。しかし、存在見做時間が経過している途中で、人体存在検知装置10の距離測定センサ17による新たな離間距離の測定により、「基準位置から基準距離(DS)内に人体が存在する」状態になると、基準距離(DS)内に人体が存在すると看做す必要はなくなる。そこで、条件付人体存在有表示フラグF2を、F2=0とすると共に、タイマTMをリセットして、S2へ戻るのである。
【0177】
次に、条件付人体存在有表示フラグF2が、F2=1となっている場合におけるS10以降の処理において、S10のチェックの結果、B1〜B5である場合(S20)について説明する。
【0178】
この場合は、「基準位置から基準距離(DS)内に人体が存在しない」状態である。そこで、次に、条件付人体存在有表示フラグF2をチェックする(S21)。この段階では、上述したように、条件付人体存在有表示フラグF2は、F2=1であるので、何もしないで、S2へ戻り、S2以降の処理を繰返す。
【0179】
上記の処理は、次の理由に基づく。即ち、「条件付人体存在有」状態の場合は、存在見做時間が経過するまでの間は、基準距離(DS)内に人体が存在すると看做す。そこで、存在見做時間が経過する途中で、「基準位置から基準距離(DS)内に人体が存在しない」状態となったとしても、基準距離(DS)内に人体が存在すると看做すべく、敢えて、「人体存在無」を出力する処理を行わずに、何もしないで、S2へ戻るのである。
【0180】
次に、条件付人体存在有表示フラグF2が、F2=1となっている場合におけるS10以降の処理において、S10のチェックの結果、C1〜C3である場合(S27)について説明する。
【0181】
この場合は、「条件付人体存在有」状態である。そこで、次に、条件付人体存在有表示フラグF2をチェックする(S28)。この段階では、上述したように、条件付人体存在有表示フラグF2は、F2=1であるので、何もしないで、S2へ戻り、S2以降の処理を繰返す。
【0182】
上記の処理は、次の理由に基づく。即ち、「条件付人体存在有」状態の場合は、存在見做時間が経過するまでの間は、基準距離(DS)内に人体が存在すると看做す特殊な処理を行う。しかし、この段階では、既に、条件付人体存在有表示フラグF2が、F2=1となっているので、上記の特殊な処理は、既に開始されている。そのため、既に行われている上記の特殊な処理をそのまま継続させるために、何もしないで、S2へ戻るのである。
【0183】
上記の実施の形態1における人体存在検知装置10によれば、基準位置から一定方向に存在する人体または物の存在位置に対する該基準位置からの離間距離を測定するのに用いられる距離測定センサ17としては、赤外線距離測定センサや、レーザ光距離測定センサ等の距離測定センサが、1個でよい。
【0184】
そのため、1個の距離測定センサ17で、基準位置から一定方向に存在する人体または物の存在位置に対する基準位置からの離間距離を測定することができる。従って、複数の距離測定センサを用いる必要がないことから、人体存在検知装置10を低コストで実現することができる。
【0185】
また、距離測定センサ17が測定を行った最新測定時点よりも一定時間経過前の時点における前回検知状態から、最新測定時点における今回検知状態への状態遷移パターンを用いて、人体が存在するか否かの判断を行っているので、次のような、人体が存在するか否かの判断を行うことができる。
【0186】
即ち、パソコン等の操作者が操作する電子機器における操作者の人体の存在を検知する場合等、操作者が、電子機器の前から離れるのが短時間で、すぐに戻ることが想定される場合等に適合しやすいような、条件付人体存在有の判断をすることができる。
【0187】
<実施の形態2>
実施の形態2における人体存在検知装置は、実施の形態1における人体存在検知装置10とほとんど同じである。実施の形態2における人体存在検知装置が、実施の形態1における人体存在検知装置10と異なるのは、以下の点である。
【0188】
上記の実施の形態1における人体存在検知装置10では、この人体存在検知装置10の処理動作において、今回離間距離(D1)がFIFOレジスタの1段目(FIFO1)に、前回離間距離(D2)がFIFOレジスタの2段目(FIFO1)に、そして、前々回離間距離(D3)がFIFOレジスタの3段目(FIFO3)に記録される。
【0189】
そして、FIFOレジスタの1段目(FIFO1)の今回離間距離(D1)と、FIFOレジスタの2段目(FIFO2)の前回離間距離(D2)とが用いられて、今回検知状態が形成される。
【0190】
また、FIFOレジスタの2段目(FIFO2)の前回離間距離(D2)と、FIFOレジスタの3段目(FIFO3)の前々回離間距離(D3)とが用いられて、前回検知状態が形成される。
【0191】
しかし、FIFOレジスタの2段目(FIFO2)の前回離間距離(D2)は、FIFOレジスタをシフトするインターバルパルスが、1つ前の状態では、FIFOレジスタの1段目(FIFO1)に存在しており、FIFOレジスタの3段目(FIFO3)の前々回離間距離(D3)は、同様に、FIFOレジスタの2段目(FIFO2)に存在している状態である。
【0192】
即ち、前回検知状態を形成するのに用いられるFIFOレジスタの2段目(FIFO2)の前回離間距離(D2)と、FIFOレジスタの3段目(FIFO3)の前々回離間距離(D3)とは、それぞれ、FIFOレジスタをシフトするインターバルパルスが、1つ前の状態におけるFIFOレジスタの1段目(FIFO1)の今回離間距離(D1)と、FIFOレジスタの2段目(FIFO2)の前回離間距離(D2)と同じものである。
【0193】
従って、前回検知状態は、FIFOレジスタをシフトするインターバルパルスが、1つ前の状態における今回検知状態と同じものである。そのため、上記の人体存在検知装置10の処理動作における前回検知状態に代えて、FIFOレジスタをシフトするインターバルパルスが、1つ前の状態における今回検知状態を用いても、処理の結果は、変わらない。即ち、前回検知状態記録エリアM23に記録する検知状態は、インターバルパルスが、1つ前の今回検知状態記録エリアM13に記録されている検知状態と同じものでよい。
【0194】
そこで、実施の形態2では、上記の実施の形態1における人体存在検知装置10の処理動作における図12のフローチャートに代えて、図18に示すフローチャートを用いている。
【0195】
図18に示すフローチャートは、図12のフローチャートのS1〜S2の間に、S1A、S1B、S100A、及び、S200Aを挿入すると共に、S6とS100Aとの間にS6Aを挿入し、S100B、及び、S200Bを省略したものである。
【0196】
即ち、実施の形態2では、上述した前回判定結果形成処理(S100B)、及び、前回検知状態情報形成処理(S200B)が、不要である。また、図6に示すFIFOレジスタの3段目(FIFO3)も不要であると共に、人体存在検知装置10のメモリ12に備えられる図11に示す記録エリアの内の、前回内外判定記録エリアM21、及び、前回動静判定記録エリアM22も、不要である。
【0197】
尚、実施の形態2では、人体存在検知装置10の処理動作の開始に際しては、上述したインターバルパルス発生部16で、インターバルパルスが、少なくとも、2個発生されることにより、人体存在検知装置10のセンサI/F14に備えられているFIFOレジスタに、距離測定センサ17によって測定された離間距離のデータが記録される必要がある。
【0198】
即ち、上述した、今回離間距離(D1)がFIFOレジスタの1段目(FIFO1)に、そして、前回離間距離(D2)がFIFOレジスタの2段目(FIFO1)に、全て、記録される必要がある。従って、上記の図18に示すフローチャートを用いる場合の人体存在検知装置10の処理動作は、インターバルパルスが、少なくとも、2個発生された後に開始される。
【0199】
次に、実施の形態2で用いられる、図18に示すフローチャートについて、具体的に説明する。図18において、人体存在検知装置の処理動作が開始されると、まず、初回サイクル完了表示フラグF0、人体存在有無表示フラグF1、条件付人体存在有表示フラグF2、及び、タイマTMをリセットして(S1)、S1Aへ進む。
【0200】
S1Aでは、インターバルパルスの有無をチェックし、インターバルパルスが発生していると(S1B)、今回判定結果形成処理(S100A)、及び、今回検知状態情報形成処理(S200A)を、この順に行う。
【0201】
今回判定結果形成処理(S100A)、及び、今回検知状態情報形成処理(S200A)が終了すると、次に、条件付人体存在有表示フラグF2をチェックし(S2)、F2=1であると、次に、タイマTMがタイムアップしているかチェックする(S3)。
【0202】
このS3におけるタイマTMがタイムアップしているかのチェックで、タイマTMがタイムアップしていると(S4)、条件付人体存在有表示フラグF2を、F=0とすると共に(S7)、タイマTMをリセットして(S8)、S23(図13)へ進む。
【0203】
S2における条件付人体存在有表示フラグF2のチェックで、F2=1でないと、即ち、F2=0であると、次に、S5へ進む。
【0204】
S5では、インターバルパルスの有無をチェックし、インターバルパルスが発生していないと(S6)、S2へ戻って、S2以降を繰返す。インターバルパルスが発生していると(S6)、次に、今回検知状態記録エリアM13に記録されている検知状態を、前回検知状態記録エリアM23へ記録する(S6A)。
【0205】
S6Aの処理が終了すると、今回判定結果形成処理(S100A)、及び、今回検知状態情報形成処理(S200A)を、この順に行った後、S9(図13)へ進む。
【0206】
上記の実施の形態2における人体存在検知装置は、実施の形態1における人体存在検知装置10と同じ機能を備えている。従って、この実施の形態2における人体存在検知装置は、実施の形態1における人体存在検知装置10と同様の作用効果を備えている。
【0207】
<実施の形態3>
実施の形態3における人体存在検知装置は、上述した実施の形態1における人体存在検知装置10、または、実施の形態2における人体存在検知装置に、以下で説明する内容を追加したものである。
【0208】
即ち、上記の実施の形態1における人体存在検知装置10の処理動作では、図9の基準状態遷移パターンを示したテーブルにおける基準状態遷移パターンは、前回検知状態から今回検知状態への遷移パターンであり、これらの前回検知状態、及び、今回検知状態は、いずれも、人体存在検知装置10が電源ON状態下で、人体存在検知装置10の距離測定センサ17により測定された離間距離を基にして形成された検知状態情報に基づいている。
【0209】
そうすると、人体存在検知装置10が電源ONされた直後では、前回検知状態、及び、今回検知状態を把握するには、時間を要する。そこで、上記の基準状態遷移パターンとして、前回検知状態、及び、今回検知状態の組合せにおいて、前回検知状態に代えて、人体存在検知装置10の電源がONされた状態を用いた新たな基準状態遷移パターンを採用することもできる。実施の形態3における人体存在検知装置は、上記の新たな基準状態遷移パターンを、実施の形態1における人体存在検知装置10、または、実施の形態2における人体存在検知装置に追加したものである。
【0210】
具体的には、例えば、図9において、基準位置から基準距離(DS)内に人体が存在しないことを表すパターンとして、B1状態遷移パターン〜B5状態遷移パターンのほか、次に示すB6状態遷移パターン〜B8状態遷移パターンを追加する。
【0211】
この追加する基準状態遷移パターンとしては、次のような組合せのパターンである。即ち、前回検知状態、及び、今回検知状態が、それぞれ、B6状態遷移パターンは、電源ON状態と、検知状態#2、B7状態遷移パターンは、電源ON状態と、検知状態#3、そして、B8状態遷移パターンは、電源ON状態と、検知状態#4の組合せパターンである。
【0212】
このようにすることにより、実施の形態3における人体存在検知装置は、実施の形態1における人体存在検知装置10と同様の作用効果を備えるほか、さらに、人体存在検知を多様に行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【0213】
【図1】本発明の人体存在検知装置の構成を示したブロック図である。
【図2】実施の形態1における人体存在検知装置の構成を示したブロック図である。
【図3】実施の形態1における人体存在検知装置が使用される状態を示した、(a)は平面図、(b)は側面図である。
【図4】(a)〜(d)は、実施の形態1における人体存在検知装置が使用される各状態を示した平面図である。
【図5】実施の形態1における人体存在検知装置の距離測定センサによる離間距離の測定タイミングのタイムチャートである。
【図6】実施の形態1における人体存在検知装置で使用されるFIFOレジスタの構成図である。
【図7】実施の形態1における人体存在検知装置において対象となる検知状態を示したテーブルである。
【図8】実施の形態1における人体存在検知装置で使用される状態遷移パターンの形成の説明図である。
【図9】実施の形態1における人体存在検知装置で使用される基準状態遷移パターンを示したテーブルである。
【図10】実施の形態1における人体存在検知装置で使用される基準状態遷移パターン図である。
【図11】実施の形態1における人体存在検知装置で使用される、(a)は記録エリアの説明図、(b)はフラグ及びタイマの説明図である。
【図12】実施の形態1における人体存在検知装置の処理動作を示したフローチャート(その1)である。
【図13】実施の形態1における人体存在検知装置の処理動作を示したフローチャート(その2)である。
【図14】実施の形態1における人体存在検知装置の処理動作を示したフローチャート(その3)である。
【図15】実施の形態1における人体存在検知装置の処理動作を示したフローチャート(その4)である。
【図16】実施の形態1における人体存在検知装置の処理動作を示したフローチャート(その5)である。
【図17】実施の形態1における人体存在検知装置の処理動作を示したフローチャート(その6)である。
【図18】実施の形態2における人体存在検知装置の処理動作の一部を示したフローチャートである。
【符号の説明】
【0214】
1 人体存在検知装置
2 離間距離測定手段
3 判定結果形成手段
4 検知状態情報形成手段
5 状態遷移パターン形成手段
6 判断手段
9 人体または物
10 人体存在検知装置
11 CPU
12 メモリ
13 操作部
14 センサI/F
15 USBI/F
16 インターバルパルス発生部
17 距離測定センサ
18 内部バスライン
19 USBケーブル
20 クロック信号ライン
21 人体
22 椅子
23 壁
24 床
25 机
26 ノートパソコン

【特許請求の範囲】
【請求項1】
基準位置に設置されると共に、該基準位置から一定方向に存在する人体または物の存在位置に対する前記基準位置からの離間距離を、一定時間経過毎に測定する離間距離測定手段と、
該離間距離測定手段により、前記一定時間の経過前の経過前離間距離と、経過後の経過後離間距離とを用いることにより、前記経過後離間距離が一定距離以下であるか否かを示す一定距離内外判定結果と、前記経過前離間距離と前記経過後離間距離とが略一致するか否かを示す動静判定結果とを形成する判定結果形成手段と、
前記一定距離内外判定結果と、前記動静判定結果とで構成される検知状態情報を形成する検知状態情報形成手段と、
検知状態情報として、前記離間距離測定手段が測定を行った最新測定時点よりも前記一定時間経過前の時点における前回検知状態情報と、前記最新測定時点における今回検知状態情報とを用いて、状態遷移パターンを形成する状態遷移パターン形成手段と、
該状態遷移パターン形成手段により形成された前記状態遷移パターンが、予め記憶されている複数の基準状態遷移パターンの中から合致するものを選択することにより、前記基準位置から前記一定距離内に人体が存在するか否かの判断を行う判断手段と、を備えることを特徴とする人体存在検知装置。
【請求項2】
請求項1記載の人体存在検知装置において、
前記状態遷移パターン形成手段は、前記状態遷移パターンを形成するのに、前記前回検知状態情報に代えて、前記最新測定時点よりも前記一定時間経過前の過去の時点が、前記最新測定時点であった時に、前記検知状態情報形成手段が形成した前記今回検知状態情報を用いる人体存在検知装置。
【請求項3】
請求項1または2記載の人体存在検知装置において、
前記判定結果形成手段が形成する前記一定距離内外判定結果は、前記経過後離間距離が前記一定距離以下であると「内」、前記一定距離以下と異なると「外」となり、前記動静判定結果は、前記経過後離間距離が前記経過前離間距離と略一致すると「静」、前記経過前離間距離と異なると「動」となると共に、
前記検知状態情報形成手段が形成する前記検知状態情報における検知状態は、前記「内」と前記「動」で構成される第1検知状態、前記「内」と前記「静」で構成される第2検知状態、前記「外」と前記「動」で構成される第3検知状態、または、前記「外」と前記「静」で構成される第4検知状態のいずれか1つである人体存在検知装置。
【請求項4】
請求項3記載の人体存在検知装置において、
前記基準状態遷移パターンにおいて、前記基準位置から前記一定距離内に人体が存在することを表すパターンとして、前記前回検知状態情報における前回検知状態から前記今回検知状態情報における今回検知状態への状態遷移パターンが、前記第1検知状態から前記第1検知状態へ遷移するA1状態遷移パターン、前記第2検知状態から前記第1検知状態へ遷移するA2状態遷移パターン、前記第3検知状態から前記第1検知状態へ遷移するA3状態遷移パターン、及び、前記第4検知状態から前記第1検知状態へ遷移するA4状態遷移パターンの4パターンが予め記憶されており、
前記判断手段は、前記状態遷移パターン形成手段により形成された前記状態遷移パターンが、これらのいずれか1つに合致すると、前記一定距離内に人体が存在するとの判断を行う人体存在検知装置。
【請求項5】
請求項3記載の人体存在検知装置において、
前記基準状態遷移パターンにおいて、前記基準位置から前記一定距離内に人体が存在しないことを表すパターンとして、前記前回検知状態情報における前回検知状態から前記今回検知状態情報における今回検知状態への状態遷移パターンが、前記第2検知状態から前記第2検知状態へ遷移するB1状態遷移パターン、前記第3検知状態から前記第3検知状態へ遷移するB2状態遷移パターン、前記第4検知状態から前記第4検知状態へ遷移するB3状態遷移パターン、前記第3検知状態から前記第4検知状態へ遷移するB4状態遷移パターン、及び、前記第4検知状態から前記第3検知状態へのB5状態遷移パターンの5パターンが予め記憶されており、
前記判断手段は、前記状態遷移パターン形成手段により形成された前記状態遷移パターンが、これらのいずれか1つに合致すると、前記一定距離内に人体が存在しないとの判断を行う人体存在検知装置。
【請求項6】
請求項3記載の人体存在検知装置において、
前記基準状態遷移パターンにおいて、前記基準位置から前記一定距離内に人体が存在することを条件付で表すパターンとして、前記前回検知状態情報における前回検知状態から前記今回検知状態情報における今回検知状態への状態遷移パターンが、前記第1検知状態から前記第2検知状態へ遷移するC1状態遷移パターン、前記第1検知状態から前記第3検知状態へ遷移するC2状態遷移パターン、及び、前記第1検知状態から前記第4検知状態へ遷移するC3状態遷移パターンの3パターンが予め記憶されており、
前記判断手段は、前記状態遷移パターン形成手段により形成された前記状態遷移パターンが、これらのいずれか1つに合致すると、その時点から存在見做時間が経過するまでの間は、前記一定距離内に人体が存在すると判断し、前記存在見做時間の経過が終了した時点で、前記一定距離内に人体が存在しないと判断する条件付判断を行う人体存在検知装置。
【請求項7】
請求項6記載の人体存在検知装置において、
前記判断手段は、前記存在見做時間が経過する途中で、新たに、前記状態遷移パターン形成手段により形成された前記状態遷移パターンが、前記A1状態遷移パターン、前記A2状態遷移パターン、前記A3状態遷移パターン、または、前記A4状態遷移パターンのいずれか1つに合致すると、その時点で、前記条件付判断を中止すると共に、新たに、前記一定距離内に人体が存在するとの判断を行う人体存在検知装置。
【請求項8】
基準位置に設置されると共に、該基準位置から一定方向に存在する人体または物の存在位置に対する前記基準位置からの離間距離を、一定時間経過毎に測定する離間距離測定手段とコンピュータとを用いて行われる人体存在検知方法であって、
前記コンピュータにおいて、
前記離間距離測定手段により、前記一定時間の経過前の経過前離間距離と、経過後の経過後離間距離とを用いることにより、前記経過後離間距離が一定距離以下であるか否かを示す一定距離内外判定結果と、前記経過前離間距離と前記経過後離間距離とが略一致するか否かを示す動静判定結果とを形成する判定結果形成ステップと、
前記一定距離内外判定結果と、前記動静判定結果とで構成される検知状態情報を形成する検知状態情報形成ステップと、
前記離間距離測定手段が測定を行った最新測定時点よりも前記一定時間経過前の時点における前回検知状態情報と、前記最新測定時点における今回検知状態情報とにより、状態遷移パターンを形成する状態遷移パターン形成ステップと、
該状態遷移パターン形成手段により形成された前記状態遷移パターンが、予め記憶されている複数の基準状態遷移パターンの中から合致するものを選択することにより、前記基準位置から前記一定距離内に人体が存在するか否かの判断を行う判断ステップと、に基づく処理が行われることを特徴とする人体存在検知方法。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【図7】
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【図8】
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【図9】
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【図10】
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【図11】
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【図12】
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【図13】
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【図14】
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【図15】
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【図16】
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【図17】
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【図18】
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【公開番号】特開2010−145323(P2010−145323A)
【公開日】平成22年7月1日(2010.7.1)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2008−325202(P2008−325202)
【出願日】平成20年12月22日(2008.12.22)
【出願人】(000005049)シャープ株式会社 (33,933)
【Fターム(参考)】