説明

伝導性粘着テープ

【課題】熱及び電気伝導性の良い伝導性粘着テープを提供する。
【解決手段】第1の金属ホイルと、前記第1の金属ホイルの表面にポリマー接着剤を介して接着されるポリマーフィルムと、前記ポリマーフィルムの表面にポリマー接着剤を介して接着される第2の金属ホイルと、前記第1及び第2の金属ホイルの何れか1つの裏面にコーティングされて形成されるポリマー粘着剤層からなる伝導性粘着テープが開示される。

【発明の詳細な説明】
【技術分野】
【0001】
本発明は、伝導性粘着テープに関する。特に、上下両面が金属ホイルでなり、伝導性が良く、内部に配置された材料により引裂強度が優れ、容易に変形されず、柔軟性があり、製造コストが安価であるという様々な特性を有する伝導性粘着テープに関する。
【背景技術】
【0002】
通常、伝導性粘着テープは、電気伝導性粘着テープと熱伝導性粘着テープに区別され、長さ方向にのみ伝導性を有する伝導性粘着テープと、長さ及び厚さ方向共に伝導性を有する伝導性粘着テープに分類される。例えば、銅からなる金属ホイル(metal foil)とニッケルのような金属パウダー(metal powder)が混合された伝導性粘着剤で構成された伝導性粘着テープは、長さ及び厚さ方向共に熱及び電気伝導性を有する。しかしながら、金属ホイルと酸化された電気絶縁セラミックパウダー(ceramic powder)、例えば、酸化アルミナパウダーが混合された伝導性粘着剤で構成された伝導性粘着テープは、長さ及び厚さ方向共に熱伝導性を有するが、厚さ方向に電気伝導性を有しない。即ち、通常の伝導性粘着テープは、金属ホイルのような伝導性基材(conductive base)と、用途に適合する粘着剤で構成される。
【0003】
一般に、伝導性粘着テープは、電気を伝達するため、電磁波を遮蔽するため、または熱を伝達するために使用され、長さ及び厚さ方向に伝導性を有する伝導性粘着テープは、長さ方向にのみ伝導性を有する伝導性粘着テープの値段よりも高い。
【0004】
従来は、これら伝導性粘着テープは、通常、伝導性基材と粘着剤で構成され、伝導性基材としては、熱及び電気伝導度の良いアルミニウムまたは銅のような金属ホイルが主に使用され、粘着剤としては、熱及び電気伝導性の粘着剤、熱伝導性であるが電気非伝導性の粘着剤、または熱及び電気非伝導性の粘着剤の中から選択されて使用される。
【0005】
これら、伝導性粘着テープは、高周波用ケーブル(cable)上に重ね巻かれ、ケーブルで発生した電磁波(electromagnetic wave)が外部に放出しないようにするか、または外部の電磁波ノイズ(electromagnetic noise)がケーブルに流入されることを防ぐ電磁波遮蔽材(electromagnetic shielding material)として使用できる。即ち、伝導性粘着テープは、電気伝導性材料で構成され、入射された電磁波のほとんどを反射させる役割を果たす。
【0006】
他の用途として、伝導性粘着テープは、2箇所間を電気的に互いに連結する電気接地線(electric grounding wire)の用途に使用される。即ち、伝導性粘着テープを使用することにより、対象物を電気的に信頼性良く連結できる。
【0007】
更に、他の用途として、伝導性粘着テープは、熱を伝達させる役割として使用され、冷蔵庫やストーブなどの熱配管をつなぐ用途として使用されるか、または電子機器のヒートシンク部品として使用される。
【先行技術文献】
【特許文献】
【0008】
【特許文献1】韓国実用新案登録番号380753号
【発明の概要】
【発明が解決しようとする課題】
【0009】
従来、約0.03mm〜0.08mmの厚さを有するアルミニウムや銅のような金属ホイルにニッケル(Ni)等の伝導性パウダーが混合された伝導性アクリル粘着剤をコーティングした金属ホイルからなる伝導性粘着テープが使用されてきた。しかしながら、金属ホイルのみからなる伝導性粘着テープは、引裂強度(tear strength)が低いので裂け易く、切断面が鋭いので傷つき易く、また、しわになり易いという短所がある。また、アルミニウムホイルからなる粘着テープは、銅ホイルからなる粘着テープより値段は安いが、アルミニウム粘着テープは、半田付けができないという短所がある。また、アルミニウム及び銅ホイルは、非磁性金属であるので磁界(magnetic field)の遮蔽に制限があり、磁界遮蔽のために、ニッケルホイルからなる磁性金属粘着テープを使用する場合は、値段が高くなるという短所がある。
【0010】
他の従来技術として、例えば、約0.08mm厚のポリエステル(PET)繊維に無電解金属メッキを施した伝導性繊維に、ニッケルなどのパウダーが混合された伝導性アクリル粘着剤をコーティングした伝導性繊維粘着テープが使用されてきた。しかしながら、伝導性繊維粘着テープは、伝導性繊維を使用するため、値段が高く、切断面に毛羽が立つという問題が発生する短所がある。また、伝導性繊維の電気及び熱伝導度は、金属ホイルより劣るので、金属ホイルからなる伝導性粘着テープに比べて電気伝導度及び熱伝導度が劣るという短所がある。また、通常100℃以上の高温で使用するのが困難であり、半田付けがしにくいという短所がある。
【0011】
更に、他の従来技術として、約0.03mm程度の厚さを有するポリエステル(PET)フィルムの一面に、アルミニウムなどの金属ホイルを接合するか、またはアルミニウムなどの金属を0.001mm厚さで蒸着し、ポリエステルフィルムの更に他の一面には、ニッケルなどの伝導性パウダーが混合された伝導性アクリル粘着剤をコーティングした伝導性ポリエステル粘着テープが使用されてきた。しかしながら、伝導性ポリエステル粘着テープは、伝導性粘着剤が電気及び熱伝導度の悪いポリエステルフィルム上に配置されているので、電気及び熱伝導性が悪いという短所がある。また、ポリエステルフィルムの一面にのみ金属層が形成されているので、上下に電気伝導性の良い伝導性粘着テープを提供するのが困難であるという短所がある。また、ポリエステルフィルムの一面のみ金属層で構成され、ポリエステルフィルムは一定以上の高い温度で溶融されて、力が加わると容易に伸びるので、溶融点以上の温度では、伝導性ポリエステル粘着テープの加工性が悪いという短所がある。また、伝導性ポリエステル粘着テープに機械的な圧力を加えた後に、この機械的な圧力を除くと、一定厚さを有するポリエステルフィルムの反発力によって元の模様に復元されるので、伝導性粘着テープの表面に、エンボスなどの模様を形成するのが困難であるという短所がある。
【0012】
更に他の従来技術として、本出願人が出願して登録を受けた韓国実用新案登録番号380753号(特許文献1)によると、孔(hole)が形成されたポリエステルフィルムの孔に、伝導性粘着剤を充填して、金属ホイルと伝導性粘着剤を上下に連結した垂直伝導性粘着テープがある。しかしながら、この垂直伝導性粘着テープは、ポリエステルフィルム孔に伝導性接着剤を充填するのが困難であり、一面のみが一定の厚さを有する金属ホイルからなるので、伝導性が悪いという短所がある。また、熱により伸び易く、1つの金属でのみ構成されているので、半田付けが可能でありながら安価な伝導性粘着テープを提供することができないという短所がある。
【0013】
よって、本発明の目的は、熱及び電気伝導性の良い伝導性粘着テープを提供することである。
【0014】
本発明の他の目的は、引裂強度が優れ、裂け難く、柔軟性のある伝導性粘着テープを提供することである。
【0015】
本発明の更に他の目的は、高温において熱により伝導性粘着テープが伸び難い伝導性粘着テープを提供することである。
【0016】
本発明の更に他の目的は、機械的圧力により、容易にエンボスマーキングを行える伝導性粘着テープを提供することである。
【0017】
本発明の更に他の目的は、用途に適合する安価な材料を選択して使用することによって経済性ある伝導性粘着テープを提供することである。
【0018】
本発明の更に他の目的は、用途に応じて、垂直方向にも伝導性を有する伝導性粘着テープを提供することである。
【課題を解決するための手段】
【0019】
本発明の一側面によると、第1の金属ホイルと、前記第1の金属ホイルの表面にポリマー接着剤を介して接着されるポリマーフィルムと、前記ポリマーフィルムの表面にポリマー接着剤を介して接着される第2の金属ホイルと、前記第1及び第2の金属ホイルの何れか1つの裏面にコーティングされて形成されるポリマー粘着剤層からなる伝導性粘着テープが提供される。
【0020】
このような構成によると、上下面共に金属ホイルで形成されているので、電気及び熱伝導度が良く、内部にポリマーフィルムが含まれているので、引裂強度が優れ、裂け難く、柔軟性がある。
【0021】
本発明の他の側面によると、第1の金属ホイルと、前記第1の金属ホイルの表面にポリマー接着剤を介して接着されるポリマーフィルムと、前記ポリマーフィルムの表面にポリマー接着剤を介して接着される第2の金属ホイルと、前記第1及び第2の金属ホイルの何れか1つの裏面にコーティングされて形成されるポリマー粘着剤層からなり、前記第1及び第2の金属ホイルの何れか1つは、圧延された金属ホイルである伝導性粘着テープが提供される。
【0022】
このような構成によると、上記の利点以外に、圧延された金属ホイルにより、屈曲性能が優れるという利点がある。
【0023】
本発明の更に他の側面によると、第1の金属ホイルと、前記第1の金属ホイルの表面にポリマー接着剤を介して接着されるグラファイトシートと、前記グラファイトシートの表面にポリマー接着剤を介して接着されるポリマーフィルムと、前記ポリマーフィルムの表面にポリマー接着剤を介して接着される第2の金属ホイルと、前記第1及び第2の金属ホイルの何れか1つの裏面にコーティングされて形成されるポリマー粘着剤層からなる伝導性粘着テープが提供される。
【0024】
このような構成によると、熱伝導度及び電気伝導度が優れ、耐熱性が良く、熱による伸びもなく、特に、厚さ方向より表面方向に熱伝導度が良いという特性を有する。
【0025】
本発明の更に他の側面によると、第1の金属ホイルと、前記第1の金属ホイルの表面にポリマー接着剤を介して接着されるポリマーフィルムと、前記第1の金属ホイルの表面にポリマー接着剤を介して接着されるグラファイトシートと、前記グラファイトシートの表面にポリマー接着剤を介して接着されるポリマーフィルムと、前記ポリマーフィルムの表面にポリマー接着剤を介して接着される第2の金属ホイルと、前記第1及び第2の金属ホイルの何れか1つの裏面にコーティングされて形成されるポリマー粘着剤層でなる伝導性粘着テープが提供される。
【発明の効果】
【0026】
内部にポリマーフィルムが配設されているので、引裂強度が優れ、裂け難く、柔軟性がある。
【0027】
また、内部にグラファイトシートが配設されているので、熱により伸びず、高い温度でも使用可能であり、ローラなどによる機械的な力によってエンボスなどのマーキングの提供が可能である。
【0028】
また、上下の金属ホイルの厚さが薄いため、切断面により手を切る恐れが少ない。
【0029】
そして、外部に露出された金属ホイルの表面は、腐食防止処理を施しているので、酸化し難い。
【0030】
また、重ね巻いて使用する場合、重なる面を交差するように伝導性を有するので、垂直方向にも伝導性を提供できる。
【0031】
また、孔を形成し、この孔に伝導性ポリマー粘着剤を詰め込むことによって、あるいは孔により金属箔を上下に連結することによって、垂直方向に伝導性を付与できる。
【0032】
また、垂直方向に孔を形成することによって、この孔により内部の電磁波を必要に応じて外部に漏洩することもできる。
【0033】
また、粘着テープを対象物から剥がす時、粘着剤層を容易に剥がすことができる。
【0034】
また、グラファイトシートを適用する場合、粘着テープの表面方向に熱伝導性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【0035】
【図1】本発明の一実施形態に係る伝導性粘着テープを示す断面図である。
【図2】本発明の他の実施形態に係る伝導性粘着テープを示す断面図である。
【図3】本発明の更に他の実施形態に係る伝導性粘着テープを示す断面図である。
【図4】本発明の変形形態を示す断面図である。
【図5】図4の貫通孔を形成する一例を示す断面図である。
【図6】本発明の他の変形形態を示す断面図である。
【発明を実施するための形態】
【0036】
以下、添付の図面を参照して、本発明の実施形態を詳しく説明する。
【0037】
図1は、本発明の一実施形態に係る伝導性粘着テープを示す断面図である。
【0038】
図1を参照すると、下部からアルミニウムまたは銅ホイル10が位置し、その表面にポリマー接着剤20を介してポリマーフィルム30が接着され、ポリマーフィルム30表面にポリマー接着剤40を介してアルミニウムまたは銅ホイル50が接着される。下部のアルミニウムまたは銅ホイル10の裏面には、圧力感応性接着剤(PSA:pressure sensitive adhesive)としてポリマー粘着剤がコーティングされた粘着剤層60が形成される。
【0039】
このような構成の伝導性粘着テープによると、上下面共に金属ホイルで形成され、電気及び熱伝導度が良く、内部にポリマーフィルムが含まれ、引裂強度が良いので、裂け難く、柔軟性がある。
【0040】
また、上下面の金属ホイルの材質を互いに異なるように使用すると、即ち、上面と下面の何れか一面には、アルミニウムホイルを適用し、他面には、銅ホイルを適用することにより、全体的に材料コストを低減できるだけではなく、銅ホイルを利用して、半田付けをすることができる。また、非磁性体のアルミニウムや銅ホイル以外に磁性体のニッケルホイルを何れか一面に使用すると、安価且つ効率的に磁界(magnetic field)を遮蔽(shielding)できるという利点がある。
【0041】
上下面のアルミニウムまたは銅ホイル10、50は、圧延または電解めっきされた金属ホイルを使用できるが、好ましくは、屈曲性能良く圧延された金属ホイルを使用し、厚さは、0.006mm〜0.020mm程度であり、金属表面は、酸化防止処理を施す。金属ホイル10,50の厚さは、厚い程伝導性が良くなるが、値段が高く、柔軟性がないという短所がある。また、銅ホイルは、アルミニウムホイルに比べて熱及び電気伝導度は良いが、値段が高いため、伝導性粘着テープの上下面の金属ホイルの何れか1つは、圧延されたアルミニウムホイルを使用するのが好ましい。
【0042】
ポリマー接着剤20,40は、厚さは、好ましくは0.01mm以内に塗布され、アルミニウムまたは銅ホイル10,50とポリマーフィルム30を通常の接合技術で接合する。ポリマー接着剤20,40は、薄く塗布して伝導性に影響を少なく与えるようにし、金属ホイル10,50の種類とポリマーフィルム30の種類に応じて適合な材料を選択して使用する。伝導性を向上するために伝導性のポリマー接着剤20,40を使用する場合は、接着剤に混合されたパウダーの粒子サイズによって接着剤の厚さは、厚くなり得る。
【0043】
ポリマーフィルム30は、一般に、ポリエステル(PET)フィルムを使用するが、高温用途としては、ポリイミド(PI)フィルムを使用し、伝導性粘着テープの切断及び引裂強度が良くなるように、ポリマーフィルム30は、延伸されたものを使用する。また、ポリマーフィルム30の伝導性は悪いので、引裂強度が許容される範囲内で、できるだけ薄い厚さの製品を使用するのが好ましく、略厚さが0.006mm〜0.015mm程度の製品を使用する。
【0044】
金属ホイル10、50とポリマーフィルム30は、厚さが厚すぎると、伝導性粘着テープとしての柔軟性が劣り、値段が高くなり、薄すぎると、裂き易くなる。
【0045】
ポリマー粘着剤層60は、一般にアクリル粘着剤が適用されるか、または耐熱用としてシリコンゴムの粘着剤を適用でき、厚さは、好ましくは、0.02mm〜0.06mm間である。必要によって、粘着剤に伝導性を付与するためには、前記アクリルまたはシリコンゴム系の粘着剤にニッケル、カーボンまたはアルミナなどの伝導性パウダーを混合して使用する。ニッケルやカーボンパウダーを使用する場合、伝導性粘着剤層60は、電気及び熱伝導性を同時に有するが、アルミナパウダーのような酸化されたセラミックを使用する場合、伝導性粘着剤層60は、熱伝導性のみを有する。粘着剤層60は、略0.02mm〜0.06mmの厚さで形成することにより、充分な粘着力と伝導性を確保できる。
【0046】
前記伝導性粘着テープを製造する過程を見ると、金属ホイル50にポリマー接着剤40を介してポリマーフィルム30を接合した後、ポリマーフィルム30上にポリマー接着剤20を介して金属ホイル10を接合する。以後、金属ホイル10上にポリマー粘着剤でコーティングして粘着剤層60を形成する。上記製造工程及び製造技術は、通常の公知された粘着テープ製造工程を応用することができる。
【0047】
このとき、粘着剤層60を形成する前に、ローラ(roller)などの機械的な力を利用して、エンボス52マーキングを形成できる。これは、ポリマーフィルム30の厚さが、0.006mm〜0.015mm間であり、金属箔の厚さがそれぞれ0.006mm〜0.02mm間であるので、エンボスが形成され易く、このように、エンボス52を形成することにより、伝導性粘着テープのしわを減らすことができ、実質的に表面積が増加する効果を得ることができる。
【0048】
この時、エンボス52マーキングが深く形成されるようにし、金属ホイル10が金属ホイル50と相接するようにして垂直方向に伝導性を有するようにすることができる。即ち、エンボス52マーキングを深く形成すると、ポリマー接着剤20、40とポリマーフィルム30には、貫通孔が形成されるが、金属ホイル10は、延伸性に優れて良く伸びるので、延伸されて、結果的に金属ホイル50と接触されることになり、これにより垂直方向に伝導性を有するようにできる。
【0049】
一方、本実施形態において、粘着剤層60は、金属ホイル10上に形成されることに記載しているが、これに限定されず、他の金属ホイル50上にも形成して、上下面共に形成できる。
【0050】
一方、本実施形態において、図1では、金属ホイル10、50、ポリマー接触剤20、40及びポリマーフィルム30に垂直に孔が形成されないこととして記載しているが、これに限定されない。図4を参照すると、ポリマー伝導性粘着剤60を除いて、金属ホイル10、50、ポリマー接着剤20、40及びポリマーフィルム30に垂直方向にプレス工程により貫通孔(P0,P1,P2)を形成した後、この貫通孔(P0,P1,P2)にポリマー伝導性粘着剤60をコーティングする工程において、伝導性粘着剤60を詰め込み、伝導性粘着テープが垂直方向にも伝導性を有するようにできる。
【0051】
また、伝導性接触剤を詰め込まずに、垂直方向に伝導性を有するようにもできる。図5を参照すると、伝導性粘着テープに先が尖っている突起を備えたローラを加圧することによって、金属ホイル10から全体層に貫通孔(P0,P1,P2)を形成する。この時、金属ホイル10は、延伸性に優れて良く伸びるので、延伸されて、貫通孔(P0、P1,P2)の端において、金属ホイル50と接触して垂直方向に伝導性を有するようにできる。
【0052】
好ましくは、伝導性粘着テープは、粘着剤層60底部に離型ペーパー(release paper)や離型フィルムなどの離型紙(図示せず)が付着された状態で販売できる。
【0053】
図2は、本発明の他の実施形態に係る伝導性粘着テープを示す断面図である。
【0054】
図2を参照すると、下部にアルミニウムまたは銅ホイル110が設けられ、その表面にポリマー接着剤120を介してグラファイトが接着され、その表面にポリマー接着剤180を介してポリマーフィルム130が接着され、ポリマーフィルム130表面にポリマー接着剤140を介してアルミニウムまたは銅ホイル150が接着される。下部のアルミニウムまたは銅ホイル110の裏面には、ポリマー粘着剤がコーティングされた層160が形成される。
【0055】
このような構造によると、上記の一実施形態の利点に加え、伝導性粘着テープ内部にグラファイトが含まれているため、熱を加えても、熱により伝導性粘着テープが伸びず、寸法安定性が良く、機械的圧力により伝導性粘着テープにエンボス152などを更に容易に形成できる。
【0056】
また、グラファイトシートは、熱及び電気伝導度が優れ、耐熱性が良く、特に、厚さ方向より表面方向に熱伝導度が良いので、表面方向に熱伝導性が重要な用途に好適に使用できる。
【0057】
前記グラファイトシートは、純度が95%以上のグラファイトパウダーが積層されて圧縮された構造であって、略0.08mm〜0.3mmの厚さが好ましい。
【0058】
一方、図2の実施形態に係る粘着テープを使用して、対象物に粘着テープを付着した後、再度剥がす場合、粘着剤160の粘着力に比べグラファイトシートは、厚さ方向に容易に分離されるので、粘着剤層160が対象物に貼り付いている可能性がある。
【0059】
このような可能性を抑えるために、図3のように、グラファイトシート170とアルミニウムまたは銅ホイル110間に、ポリマーフィルム130のようなポリマーフィルム190を、ポリマー接着剤120、200を介して接着してもよい。
【0060】
このような構造によると、対向する対象物に伝導性粘着テープを付着した後、再度剥がす場合、粘着剤層160を剥がす力がポリマーフィルム190に伝達され、グラファイトシート170が厚さ方向に分離される可能性を一部低減でき、もし、粘着テープを剥がす途中にグラファイトシート170が厚さ方向に分離される場合においても、ポリマーフィルム190を利用して、対象物に付着された粘着剤層160を容易に剥がすことができる。
【0061】
上記実施形態において、粘着剤層60、160が形成されない金属ホイル上に約0.1〜0.4mm厚で均一に伝導性シリコンゴム(図示せず)をコーティングすることもできる。即ち、金属ホイル上に形成されたクッションを有する伝導性シリコンゴムは、対向する対象物間に位置し、対向する対象物と伝導性粘着テープとの密着性を信頼性あるようにして、伝導性を向上させる。
【0062】
また、上記実施形態において、伝導性粘着テープ内部にあるポリマーフィルム30、130、190などにより、伝導性粘着テープは、上下垂直方向には、電気的に非伝導性であるが、ケーブルなどに重ね巻いて使用される場合は、上下に位置する電気伝導性部分が重なり合い、伝導性粘着テープは、上下垂直方向に電気伝導性となる。即ち、使用方法によって伝導性粘着テープは、上下垂直に電気伝導性を有する。
【0063】
また、図4の実施形態のように、ポリマーフィルムに孔を形成することによって、上下垂直方向に伝導性を付与できる。
【0064】
図6は、本発明の他の変形形態を示す断面図である。
【0065】
本変形形態によると、上下面を貫通する貫通孔(P0,P1,P2)を形成し、例えば、粘着テープが漏洩ケーブルのような対象物を囲むように使用される場合、その粘着テープは、対象物から発生する電磁波などを外に漏洩するようにして用いることができる。
【0066】
上記のように、貫通孔(P0,P1,P2)は、例えば、プレスなどで粘着テープを厚さ方向に打抜くことによって形成できる。
【0067】
以上では、本発明の好ましい実施形態を中心として示したが、当業者の水準で多様に変更できる。例えば、アルミニウムや銅ホイルの代りに磁界遮蔽性能の良いニッケル等の金属ホイルが利用でき、半田付けが必要な面にのみ銅ホイルで、そして反対面には、値段の安価なアルミニウムホイルを適用することによって、材料コストを低減できる。また、必要により、ポリマー粘着剤層を省略して、伝導性テープとして利用することもできる。また、熱伝導性及び電気伝導性など使用目的に好適な粘着剤及びポリマーフィルムを選定して使用することもできる。また、垂直方向に伝導性を付与するため、孔を形成して使用することもできる。
【0068】
よって、このような変形と変更を考えると、本発明の権利範囲は、上記の実施形態に限定されなく、以下に記載される特許請求範囲により判断すべきである。

【特許請求の範囲】
【請求項1】
第1の金属ホイルと、
前記第1の金属ホイルの表面にポリマー接着剤を介して接着されるポリマーフィルムと、
前記ポリマーフィルムの表面にポリマー接着剤を介して接着される第2の金属ホイルと、
前記第1及び第2の金属ホイルの少なくとも何れか1つの裏面にコーティングされて形成されるポリマー粘着剤層からなることを特徴とする伝導性粘着テープ。
【請求項2】
第1の金属ホイルと、
前記第1の金属ホイルの表面にポリマー接着剤を介して接着されるポリマーフィルムと、
前記ポリマーフィルムの表面にポリマー接着剤を介して接着される第2の金属ホイルと、
前記第1及び第2の金属ホイルの少なくとも何れか1つの裏面にコーティングされて形成されるポリマー粘着剤層からなり、
前記第1及び第2の金属ホイルの少なくとも何れか1つは、圧延された金属ホイルであることを特徴とする伝導性粘着テープ。
【請求項3】
第1の金属ホイルと、
前記第1の金属ホイルの表面にポリマー接着剤を介して接着されるグラファイトシートと、
前記グラファイトシートの表面にポリマー接着剤を介して接着されるポリマーフィルムと、
前記ポリマーフィルムの表面にポリマー接着剤を介して接着される第2の金属ホイルと、
前記第1及び第2の金属ホイルの少なくとも何れか1つの裏面にコーティングされて形成されるポリマー粘着剤層からなることを特徴とする伝導性粘着テープ。
【請求項4】
第1の金属ホイルと、
前記第1の金属ホイルの表面にポリマー接着剤を介して接着されるポリマーフィルムと、
前記第1の金属ホイルの表面にポリマー接着剤を介して接着されるグラファイトシートと、
前記グラファイトシートの表面にポリマー接着剤を介して接着されるポリマーフィルムと、
前記ポリマーフィルムの表面にポリマー接着剤を介して接着される第2の金属ホイルと、
前記第1及び第2の金属ホイルの少なくとも何れか1つの裏面にコーティングされて形成されるポリマー粘着剤層からなることを特徴とする伝導性粘着テープ。
【請求項5】
前記第1及び第2の金属ホイルは、アルミニウム、銅またはニッケルホイルの何れか1つであって、
前記第1及び第2の金属ホイルは、同一材質であるか、または互いに異なる材質であることを特徴とする請求項1に記載の伝導性粘着テープ。
【請求項6】
前記ポリマーフィルムは、ポリエステルフィルム、ポリプロフィレンフィルムまたはポリイミドフィルムの何れか1つであることを特徴とする請求項1に記載の伝導性粘着テープ。
【請求項7】
前記ポリマー粘着剤層は、アクリル系粘着剤またはシリコンゴム系粘着剤の何れか1つからなることを特徴とする請求項1に記載の伝導性粘着テープ。
【請求項8】
前記ポリマー粘着剤層は、伝導性または非伝導性の何れか1つであることを特徴とする請求項1に記載の伝導性粘着テープ。
【請求項9】
伝導性粘着テープは、厚さ方向にエンボスマーキングになることを特徴とする請求項1に記載の伝導性粘着テープ。
【請求項10】
厚さ方向に上下面を貫通する複数の貫通孔が形成されることを特徴とする請求項1に記載の伝導性粘着テープ。
【請求項11】
前記ポリマー接着剤層が形成されていない前記金属ホイル上には、酸化防止処理が施されることを特徴とする請求項1に記載の伝導性粘着テープ。
【請求項12】
前記ポリマー粘着剤層が形成されていない前記金属ホイル上には、伝導性シリコンゴムが均一な厚さでコーティングされることを特徴とする請求項1に記載の伝導性粘着テープ。
【請求項13】
前記ポリマー粘着剤層を除いて、厚さ方向に上部面まで貫通する複数の貫通孔が形成され、前記貫通孔に伝導性ポリマー粘着剤が充填され、垂直にも電気伝導性を有することを特徴とする請求項1に記載の伝導性粘着テープ。
【請求項14】
前記伝導性粘着テープの厚さ方向に、エンボスマーキングを深く形成し、前記第1及び第2の金属ホイルが電気的に接触されることを特徴とする請求項1に記載の伝導性粘着テープ。
【請求項15】
前記伝導性粘着テープの厚さ方向にエンボスマーキングを厚く形成し、貫通孔が形成され、前記貫通孔の端において、前記第1及び第2の金属ホイルが電気的に接触されることを特徴とする請求項1に記載の伝導性粘着テープ。

【図1】
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【図2】
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【図3】
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【図4】
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【図5】
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【図6】
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【公表番号】特表2010−515802(P2010−515802A)
【公表日】平成22年5月13日(2010.5.13)
【国際特許分類】
【出願番号】特願2009−545482(P2009−545482)
【出願日】平成19年5月18日(2007.5.18)
【国際出願番号】PCT/KR2007/002421
【国際公開番号】WO2008/088107
【国際公開日】平成20年7月24日(2008.7.24)
【出願人】(309004909)ジョインセット カンパニー リミテッド (2)
【Fターム(参考)】